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特表2024-512940流動触媒処理システムにおける触媒流を制御する方法
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  • 特表-流動触媒処理システムにおける触媒流を制御する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】流動触媒処理システムにおける触媒流を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/26 20060101AFI20240313BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B01J8/26
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557342
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2022021115
(87)【国際公開番号】W WO2022204009
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/165,254
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】プレッツ、マシュー ティ.
(72)【発明者】
【氏名】マクニーリー、アダム エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヤン
【テーマコード(参考)】
4G070
4H129
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB33
4G070CA13
4G070CA30
4G070CB17
4G070DA11
4H129AA01
4H129GA03
4H129LA10
(57)【要約】
1つ以上の実施形態によれば、流動触媒処理システムにおける触媒の流れは、流動触媒処理システムの第1の触媒床に存在する触媒の量を決定することを含む方法によって制御されてもよい。流動触媒処理システムは、第1の触媒床、第2の触媒床、第3の触媒床、及び第4の触媒床を含むことができる。本方法は、第1の触媒床に存在する触媒の量を閾値触媒量と比較することを含んでもよい。第1の触媒床に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である場合、本方法は、増加した目標量の触媒が第2の触媒床において維持されるように、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動触媒処理システムにおける触媒流を制御するための方法であって、
前記流動触媒処理システムの第1の触媒床に存在する触媒の量を決定することであって、前記流動触媒処理システムは、第1の触媒床、第2の触媒床、第3の触媒床、及び第4の触媒床を含み、
前記第1の触媒床は、前記第2の触媒床と流体連通しており、
前記第2の触媒床は、前記第3の触媒床と流体連通しており、
前記第3の触媒床は、前記第4の触媒床と流体連通しており、
前記第4の触媒床は、前記第1の触媒床と流体連通しており、
前記触媒は、前記第1の触媒床から前記第2の触媒床へ、前記第2の触媒床から前記第3の触媒床へ、前記第3の触媒床から前記第4の触媒床へ、及び前記第4の触媒床から前記第1の触媒床へ循環し、
前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への流れを調節して、前記第2の触媒床内の触媒の量を調整する、ことと、
前記第1の触媒床内に存在する触媒の量を閾値触媒量と比較することと、
前記第1の触媒床内に存在する触媒の量が前記閾値触媒量以上である場合、触媒の通常動作目標量が前記第2の触媒床内で維持されるように、前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への触媒の前記流れを調節することと、
前記第1の触媒床内に存在する触媒の量が前記閾値触媒量未満である場合に、増加した目標量の触媒が前記第2の触媒床内で維持されるように、前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への触媒の流れを調節することと、を含む、方法。
【請求項2】
不十分な量の触媒が前記第4の触媒床から前記第1の触媒床に通過されるので、前記第1の触媒床に存在する触媒の量が前記閾値触媒量未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第4の触媒床と前記第1の触媒床を流体的に接続する導管内に位置する弁が少なくとも部分的に閉じると、不十分な量の触媒が前記第4の触媒床から前記第1の触媒床に通過する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
不十分な量の触媒が前記第2の触媒床から前記第1の触媒床に再循環されるので、前記第1の触媒床に存在する触媒の量が前記閾値触媒量未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒処理システムの第1の触媒床に存在する触媒の量が、前記第1の触媒床の高さにわたる差圧によって決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記増加した触媒の目標量が、調整係数と前記第2の触媒床における触媒の前記通常動作目標量との合計の10%以内である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流動床内の触媒の量が前記第1の流動床内の前記閾値触媒量未満である場合、前記調整係数が、前記第1の流動床内の触媒の量と前記第1の流動床内の前記閾値触媒量との差の10%以内である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への触媒の前記流れを調節することが、前記第2の触媒床と前記第3の触媒床とを流体結合する導管に配置された弁を調整することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の1つ以上であり、
前記第2の触媒床は、高密度流動床を含み、
前記第1の触媒床は、乱流流動床又は高速流動床を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
以下の1つ以上であり、
前記第1の触媒床が脱水素化反応器内にあり、
前記第3の触媒床は、触媒処理容器内にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第4の触媒床が第2の触媒分離容器内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の触媒床が、第1の触媒分離容器内にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の触媒分離容器は、円筒部と円錐台部とを備え、前記円錐台部は、前記円筒部の上方に配置され、前記円錐台部は、前記円筒部の断面積よりも大きい平均断面積を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への前記触媒の前記流れが、前記第2の触媒床の上面が前記触媒分離容器の前記円錐台部の下を通過しないように調節される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒分離容器が、前記円錐台部内に延びるディップレッグを有するサイクロンを含み、前記第2の触媒床から前記第3の触媒床への前記触媒の前記流れが、前記第2の触媒床の上面が前記サイクロンの前記ディップレッグの上方を通過しないように調節される、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年03月24日に出願された「Methods for Controlling Catalyst Flow in Fluidized Catalytic Processing Systems」と題する米国特許出願第63/165,254号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、概して、化学処理に関し、より具体的には、触媒流を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの化学物質は、複数の流動床の間を通過し得る固体粒子状触媒を使用するプロセスを通して生成される。これらのプロセスの間、反応器システム内の触媒は、反応器ユニットと再生ユニットとの間で循環され得る。例えば、触媒が「使用済み」になり、その後の反応において活性が低下した場合、触媒を再生する必要があり得る。加えて、吸熱プロセスは熱を必要とし、触媒が反応器への熱の移動の一次媒体である場合、触媒は再生ユニットにおいて再加熱される必要があり得る。再生ユニットでの再生に続いて、再生された触媒は、後続の反応で使用するために反応器の流動床に戻され得る。
【発明の概要】
【0004】
触媒が再生される流動床反応器のいくつかの実施形態では、触媒が循環する4つの触媒床が存在する。例えば、床のうちの2つは、反応器及び再生器であり、2つの追加の床は、反応器部及び再生器部に続く、例えば分離ステップに続く収集領域である。このようなシステムは比較的広く使用されているが、特に非定常状態の動作条件では、システムの反応器部と再生器部との間の触媒の移動を考慮すべきである。
【0005】
4つの床を有するこのような流動触媒処理システムを通る触媒の流れを制御するための改善された方法が必要とされている。流動触媒処理システムを通る触媒の流れを制御するための多くの従来の戦略は、システムの不調(すなわち、非定常状態条件)の間に単一触媒床における触媒の過剰な蓄積をもたらし得る。そのような従来の戦略は、触媒分離装置のフラッディング(flooding)、又は単一容器内の触媒の蓄積に対応するためにプロセス装置を過大サイズにする必要性をもたらし得る。しかしながら、第1の触媒床における触媒の量が触媒の閾値量未満である場合、増加した量の触媒が第2の触媒床において維持されるように第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節することは、第4の触媒床における触媒の過剰な蓄積を防止し得ることが発見された。例えば、本明細書に開示される方法のいくつかは、第4の触媒床と第1の触媒床との間の触媒の流れが中断されるときなど、第1の触媒床内の触媒の量が少ないシステム不調の間に、第2の触媒床と第3の触媒床との間の触媒の流れを調整することを含み得る。これらの方法は、触媒が、第4の触媒床のみではなく、第2の触媒床及び第4の触媒床の両方に蓄積し得るので、システム不調の間に流動触媒処理システムを通る触媒の改善された分布をもたらし得る。例えば、本明細書に記載の制御方法の実施形態は、第4の触媒床に蓄積する過剰量の触媒によって悪影響を受ける可能性がある、触媒分離装置を含む触媒フラッディングプロセス装置の確率を低減することができる。更に、本明細書に記載される制御方法の実施形態は、触媒が第2及び第4の触媒床の両方に蓄積し得るので、第4の触媒床などの単一の流動床における触媒の蓄積に対応するために過大サイズであるプロセス装置の必要性を低減し得る。
【0006】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態によれば、流動触媒処理システムにおける触媒の流れは、流動触媒処理システムの第1の触媒床に存在する触媒の量を決定することを含む方法によって制御されてもよい。流動触媒処理システムは、第1の触媒床、第2の触媒床、第3の触媒床、及び第4の触媒床を含むことができる。第1の触媒床は、第2の触媒床と流体連通していてもよい。第2の触媒床は、第3の触媒床と流体連通していてもよい。第3の触媒床は、第4の触媒床と流体連通していてもよい。第4の触媒床は、第1の触媒床と流体連通していてもよい。触媒は、第1の触媒床から第2の触媒床へ、第2の触媒床から第3の触媒床へ、第3の触媒床から第4の触媒床へ、及び第4の触媒床から第1の触媒床へ循環してもよい。第2の触媒床から第3の触媒床への流れを調節して、第2の触媒床中の触媒の量を調整することができる。本方法は、第1の触媒床に存在する触媒の量を閾値触媒量と比較することを更に含むことができる。第1の触媒床に存在する触媒の量が閾値触媒量以上である場合、本方法は、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節して、第2の触媒床において通常の動作目標量の触媒が維持されるようにすることを含むことができる。第1の触媒床に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である場合、本方法は、増加した目標量の触媒が第2の触媒床において維持されるように、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節することを含んでもよい。
【0007】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、技術の実施形態を提示しており、また、これらが特許請求される技術の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、技術の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、様々な実施形態を例示し、説明とともに、技術の原則及び動作を説明するのに役立つ。更に、図面及び説明は、単なる例示であることを意図し、いかなる方式でも特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0008】
本明細書で開示された技術の追加の特徴及び利点は、後続の詳細な説明において記載され、その説明から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、又は後続の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載されるような技術を実践することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面と併せて読むと最も良く理解され得るが、そこでは、同様の構造が同様の参照数字で示されている。
図1】本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、流動触媒処理システムを概略的に示す。
図2】本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、流動触媒システムを概略的に示す。
図3】本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、流動触媒システムの反応器部を概略的に示す。
【0010】
図面が、本質的に概略的であり、限定なしに、温度伝送器、圧力伝送器、流量計、ポンプ、弁などの当該技術分野で一般的に使用される流体触媒処理システムのいくつかの構成要素を含まないことを理解されたい。これらの構成要素が、開示された本実施形態の趣旨及び範囲内にあることが知られているであろう。しかしながら、本開示に記載されているものなどの動作構成要素は、本開示に記載されている実施形態に追加され得る。
【0011】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載される方法は、流動触媒処理システムにおける触媒流を制御するために利用され得る。このような方法は、システム部品の特定の配向などの特定の特徴を有するシステムを利用する。図1は、流動床であってよい4つの触媒床を含むそのようなシステムを示す。触媒は、図1に示すように4つの触媒床の間を通過させることができ、1つの触媒床から別の触媒床への触媒の流れは、いずれか1つの触媒床における触媒の過剰な蓄積を防止するように調節することができる。本明細書のいくつかの実施形態に記載されるように、4つ全ての床が流動床であってもよいが、本出願の一般的概念は、任意の種類の触媒床に適用されてもよいことを理解されたい。
【0013】
加えて、本明細書に記載される1つ以上の実施形態において、流動触媒処理システムは、少なくとも反応器及び再生器を含む流動触媒脱水素プロセスを含んでもよい。本明細書で詳細に開示される1つの特定の実施形態が、図2に示される。しかしながら、本明細書に開示及び教示される原理が、異なる様式で配向された異なるシステム構成要素を利用する他のシステム、又は様々な触媒組成物を利用する異なる反応スキームに適用可能であり得ることを理解されたい。
【0014】
ここで図1を参照すると、前述の図及び説明を参照して理解され得るように、流動触媒処理システム100は、第1の触媒床101、第2の触媒床102、第3の触媒床103、及び第4の触媒床104を備え得る。1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101は、第2の触媒床102と流体連通していてもよい。第2の触媒床102は、第3の触媒床103と流体連通していてもよい。第3の触媒床103は、第4の触媒床104と流体連通していてもよい。また、第4の触媒床104は、第1の触媒床101と流体連通していてもよい。本明細書に記載されるように、システム構成要素は、流体又は流動化固体がシステム構成要素間を通過し得る場合、「流体連通」し得る。流体連通しているシステム構成要素は、直接接続されてもよく、又は導管、パイプ、もしくは他の好適な介在構造によって接続されてもよい。
【0015】
1つ以上の実施形態において、触媒は、第1の触媒床101から第2の触媒床102へ、第2の触媒床102から第3の触媒床103へ、第3の触媒床103から第4の触媒床104へ、及び第4の触媒床104から第1の触媒床101へ循環してもよい。1つ以上の実施形態において、触媒は、第2の触媒床102から第1の触媒床101に再循環されてもよい。1つ以上の実施形態において、触媒は、第4の触媒床104から第3の触媒床103に再循環されてもよい。
【0016】
第1の触媒床101、第2の触媒床102、第3の触媒床103、及び第4の触媒床104のそれぞれは、別個の容器内に収容されてもよい。容器は、ドラム、バレル、バット、タンク、及び流動床を収容するのに適した任意の他の容器を含むがこれらに限定されない任意の適切な容器であってもよい。容器は、一般に、円筒形状(すなわち、実質的に円形の直径を有する)であり得るか、あるいは、代わりに、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形又は閉曲線状又はこれらの組み合わせの断面形状を有する角柱状などの非円筒形状であり得る。容器は、触媒が触媒床の間を通過することを可能にするように、流体的に結合され得る。
【0017】
1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101、第2の触媒床102、第3の触媒床103、及び第4の触媒床104のそれぞれは、高密度流動床又は高速流動床を含んでもよい。本明細書に記載されるように、「高密度流動床」は、明確に定義された上限又は表面を有する流動床を指す。例えば、高密度流動床は、平滑流動化、バブリング流動化、及びスラッギング流動化などの流動化レジームを含むことができる。高密度流動床では、粒子同伴率は低くてもよいが、床を通って流れる気体の速度が増加するにつれて増加してもよい。
【0018】
本明細書に記載されるように、「高速流動床」は、流動床に明確な上限がない流動床を指す。代わりに、粒子は、流動床を含む容器全体に分散される。高速流動床中の粒子は、流動床を通って流れる気体と共に流動床から輸送され、粒子は、一般に、床から輸送された粒子を置換するために高速流動床に添加される。
【0019】
本明細書に記載される場合、「乱流流動床」は、高密度流動床と高速流動床との間の遷移状態にある流動床を指すことができる。ある場合には、乱流流動床は、高速流動床のように明確な上限を示さないことがある。場合によっては、乱流流動床は、高密度流動床のようなバブリングを示すことがある。しかしながら、乱流流動床内の気泡は、一貫して破壊される可能性があり、その結果、バブリング流動床又はスラッギング流動床で観察されるよりも均一な粒子分布が得られる。
【0020】
1つ以上の実施形態では、第1の触媒床101は乱流流動床を含んでもよく、第2の触媒床102は高密度流動床を含んでもよく、第3の触媒床103は乱流流動床を含んでもよく、第4の触媒床104は高密度流動床を含んでもよい。第1の触媒床101が乱流又は高速流動床である実施形態において、第1の触媒床101の体積は、第1の触媒床101を含有する容器の体積と実質的に同じであり、第1の触媒床101中に存在する触媒の質量は、第1の触媒床101中の触媒の密度に相関する。第2の触媒床102が高密度流動床である実施形態において、第2の触媒床の体積は、第2の触媒床102を収容する容器内の第2の触媒床102の高さ、及び第2の触媒床102を収容する容器の断面積に応じて変化し得る。第2の触媒床102中の触媒の量は、第2の触媒床102の体積及び第2の触媒床102の密度に相関し得る。
【0021】
同様に、第3の触媒床103が乱流又は高速流動床である1つ以上の実施形態において、第3の触媒床103の体積は、第3の触媒床103を含有する容器の体積と実質的に同じであり、第3の触媒床103中に存在する触媒の質量は、第3の触媒床103中の触媒の密度と相関する。第4の触媒床104が高密度流動床である実施形態では、第4の触媒床104の体積は、第4の触媒床104を収容する容器内の第4の触媒床104の高さ及び第4の触媒床104を収容する容器の断面積に応じて変化し得る。第4の触媒床104中の触媒の量は、第4の触媒床104の体積及び第4の触媒床104の密度に相関し得る。
【0022】
1つ以上の実施形態において、流動触媒処理システム100を通る触媒流を制御するための方法は、流動触媒処理システム100の第1の触媒床101中に存在する触媒の量を決定することを含む。本明細書に記載される場合、触媒床中の「触媒の量」は、触媒床中の触媒の質量を指す。第1の触媒床101中に存在する触媒の量は、第1の触媒床101中の触媒の量を第1の触媒床101の高さにわたる差圧測定値と相関させることを含むがこれに限定されない、任意の好適な手段によって決定され得る。
【0023】
1つ以上の実施形態において、流動触媒処理システム100を通る触媒流を制御するための方法は、第1の触媒床101に存在する触媒の量を閾値触媒量と比較することを含む。本明細書に記載されるように、「閾値触媒量」は、第1の触媒床101内の触媒の量を表す定数値を指し、これは、プロセスに対する変更が起こるべきかどうかを決定するために参照され得る。1つ以上の実施形態において、閾値触媒量は、第1の触媒床101が通常の動作条件で含むように設計されている触媒の量であってもよい。しかしながら、閾値触媒量は、任意の好適な値に調整され得ることに留意されたい。一般に、第1の触媒床101内の触媒の量を閾値触媒量と比較することは、第1の触媒床101内の触媒の量が閾値触媒量以上であるか又は閾値触媒量未満であるか否かを決定することを含む。第1の触媒床101における触媒の量の値を閾値触媒量と比較することは、任意の好適な手段によって行われてもよい。
【0024】
1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101に存在する触媒の量が閾値触媒量以上である場合、本方法は、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れを調節して、第2の触媒床102において触媒の通常動作目標量が維持されるようにすることを含むことができる。本明細書に記載されているように、「触媒の通常動作目標量」は、流動触媒処理システム100が通常条件下で動作しているときの第2の触媒床102内の触媒の所望量を表す一定値を指す。
【0025】
1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101内に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である場合、本方法は、増加した目標量の触媒が第2の触媒床102内で維持されるように、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れを調節することを含んでもよい。本明細書に記載されるように、「触媒の増加した目標量」は、第2の触媒床102内の触媒の所望の量を表す一定値を指す。1つ以上の実施形態において、触媒の増加した目標量は、調整係数と第2の触媒床102における触媒の通常動作目標量との合計の10%以内であってもよい。例えば、触媒の増加した目標量は、調整係数と第2の触媒床102における触媒の通常動作目標量との合計の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は更に1%以内であってもよい。
【0026】
本明細書に記載されているように、「調整係数」は、第1の触媒床101内の触媒の量が第1の触媒床101内の閾値触媒量未満である場合、第1の触媒床101内の触媒の量と第1の触媒床101内の閾値触媒量との差の10%(±10%)以内であってもよい。例えば、調整係数は、第1の触媒床101内の触媒の量と第1の触媒床101内の閾値触媒量との間の差の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は更に1%以内であってもよい。
【0027】
理論に束縛されるものではないが、第2の触媒床102内の触媒の目標量を調整することにより、流動触媒処理システム100の第1の触媒床101及び第2の触媒床102内に保持される触媒の量を増加させることができると考えられる。追加の触媒が第1の触媒床101及び第2の触媒床102に保持されていない場合、過剰な触媒が流動触媒処理システム100の第4の触媒床104に蓄積する可能性がある。第4の触媒床104内に蓄積する触媒が多すぎる場合、過剰な触媒は、第3の触媒床103と第4の触媒床104との間の気体/固体分離デバイスを溢れさせる可能性がある。第2の触媒床102内に保持される触媒の量を増加させることによって、触媒は、流動触媒処理システム100の第2の触媒床102と第3の触媒床103との間により均一に分配され、第3の触媒床103と第4の触媒床104との間の気体/固体分離デバイスのフラッディングを防止することができる。
【0028】
1つ以上の実施形態において、不十分な量の触媒が第4の触媒床104から第1の触媒床101に渡されるので、第1の触媒床101に存在する触媒の量は、閾値触媒量未満である。第4の触媒床104と第1の触媒床101との間に配置された触媒の流れを調節するための手段が、第4の触媒床104と第1の触媒床101との間の触媒の流れを制限又は防止するとき、不十分な量の触媒が、第4の触媒床104から第1の触媒床101に通過させられ得る。第4の触媒床104から第1の触媒床101への触媒の流れを調節するための手段は、第4の触媒床104内の触媒の量が不十分であることを含むがこれに限定されない様々な理由で、触媒の流れを制限又は防止することができる。例えば、安全システムトリップは、第4の触媒床104から第1の触媒床101への流れを自動的に遮断することができる。
【0029】
1つ以上の実施形態において、不十分な量の触媒が第2の触媒床102から第1の触媒床101に再循環されるので、第1の触媒床101中に存在する触媒の量は、閾値触媒量未満であり得る。不十分な量の触媒が、第2の触媒床102における低レベルの触媒、又は第2の触媒床102と第1の触媒床101との間の再循環導管における触媒流を調節するための弁もしくは他の手段の故障を含むがこれらに限定されない様々な理由のために、第2の触媒床から第1の触媒床に再循環され得る。
【0030】
1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れを調節するための方法は、弁などの触媒の流れを制限するための任意の適切な手段によって達成することができる。1つ以上の実施形態において、触媒の流れを制限するための手段は、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒流の速度を増加又は減少させるように調整され得る。1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102に蓄積する触媒の量は、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れに関連し得るので、触媒の流れを制限するための手段を調整することは、第2の触媒床102に蓄積する触媒の量を変化させ得る。
【0031】
流動触媒処理システム100における触媒流を制御するための方法は、特定の境界条件によって制約され得る。1つ以上の実施形態において、触媒流を制御するための方法は、第2の触媒床102内の触媒の量の増加をもたらし得る。例えば、第2の触媒床102における触媒の増加した目標量は、常に、第2の触媒床102における触媒の通常動作目標量よりも大きい。言い換えれば、調整係数は、第2の触媒床102内の触媒の量の減少をもたらさない。
【0032】
1つ以上の実施形態において、流動触媒処理システム100は、流動触媒プロセス400であってもよく、その実施形態を図2に示す。一般に、流動触媒プロセス400は、炭化水素供給流から軽質オレフィンなどの多種多様な生成物を生成するために使用することができる。軽質オレフィンは、異なる反応機構と異なる触媒を利用することによって、多種多様な炭化水素供給物流から生成され得る。「触媒」が本明細書で言及される場合、それらは、脱水素化、分解、脱水、メタノールからオレフィンへの変換などの様々な触媒プロセスによって軽質オレフィンを製造するのに有用な任意の適切な粒子状固体を指し得ることが理解されるべきである。更に、詳細な説明のいくつかの部分では、本明細書に記載されるシステム及びプロセスを脱水素化システムとして説明する場合があるが、他の化学反応機構も本明細書では企図されており、本明細書に請求される実施形態は、明示的に記載されない限り、脱水素化システムに限定されるべきではない。
【0033】
ここで図2を参照すると、流動触媒処理システム100は、反応器部200及び再生器部300を含むことができる。図2に関連して本明細書で使用される場合、反応器部200は、一般に、主要なプロセス反応が起こり(例えば、脱水素化、分解、脱水、メタノールからオレフィンへなど)、触媒が反応のオレフィン含有生成物流から分離される、流動触媒処理システム100の部分を指す。1つ以上の実施形態では、触媒は、使用済みであり得、これは、触媒が少なくとも部分的に不活性化されていることを意味する。また、本明細書で使用される場合、再生器部300は、一般に、触媒が燃焼などによって再生され、再生された触媒が、使用済み粒子状固体上で先に燃焼された材料から、又は補助燃料から発生した気体などの他のプロセス材料から分離される、流体触媒処理システム100の部分を指す。反応器部200は、一般に、反応容器250、外部ライザセグメント232及び内部ライザセグメント234を含むライザ230、並びに第1の触媒分離容器210を含む。再生器部300は、一般に、触媒処理容器350、外部ライザセグメント332及び内部ライザセグメント334を含むライザ330、並びに第2の触媒分離容器310を含む。一般に、第1の触媒分離容器210は、例えば導管126によって触媒処理容器350と流体連通し得、第2の触媒分離容器310は、例えば導管124によって反応容器250と流体連通し得る。
【0034】
一般に、流動触媒処理システム100は、炭化水素供給物及び流動化触媒を反応容器250に供給し、炭化水素供給物を流動化触媒と接触させることによって反応させて、反応器部200の反応容器250においてオレフィン含有生成物を生成することによって動作し得る。オレフィン含有生成物及び触媒は、反応容器250から出て、ライザ230を通って、第1の触媒分離容器210内の気体/固体分離デバイス220に送られてもよく、ここで触媒はオレフィン含有生成物から分離される。触媒は、第1の触媒分離容器210から触媒処理容器350に輸送されてもよい。触媒処理容器350において、触媒は、様々なプロセスによって再生され得る。例えば、使用済み触媒は、酸素含有気体との接触による触媒の酸化、触媒上に存在するコークスの燃焼、及び触媒を加熱するための補助燃料の燃焼のうちの1つ以上によって再生され得る。次に、触媒は、触媒処理容器350から出て、ライザ330を通ってライザ終端デバイス378に送られ、そこで、ライザ330からの気体及び触媒が部分的に分離される。ライザ330からの気体及び残りの触媒は、第2の触媒分離容器310内の二次分離デバイス320に輸送され、ここで、残りの触媒は、再生反応からの気体から分離される。気体から分離された触媒は、触媒収集領域380に通過させられ得る。触媒は、触媒収集領域380において、酸化などの更なる処理を受けてもよい。次いで、分離された触媒は、触媒収集領域380から反応容器250に通過させられ、そこで更に利用される。したがって、触媒は、反応器部200と再生器部300との間を循環し得る。
【0035】
図2に示すように、第1の触媒床101は、反応容器250内にあってもよい。1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101は、乱流又は高速流動床であってもよく、反応容器250の実質的に全体積を占めてもよい。本明細書に記載されるように、「実質的に全体積」は、体積の少なくとも95%、体積の少なくとも97%、又は体積の少なくとも99%さえも指し得る。第2の触媒床102は、第1の触媒分離容器210内にあってもよい。1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102は、上面122を有し、第1の触媒分離容器210の少なくとも一部を占有する高密度流動床であってもよい。第3の触媒床103は、触媒処理容器350内にあってもよい。1つ以上の実施形態において、第3の触媒床は、乱流又はバブリング流動床であってもよく、触媒処理容器350の実質的に全体積を占めてもよい。第4の触媒床104は、第2の触媒分離容器310内にあってもよい。1つ以上の実施形態において、第4の触媒床104は、上面144を有し、第2の触媒分離容器310の少なくとも一部を占有する高密度流動床であってもよい。
【0036】
理論に束縛されるものではないが、第1の触媒床101は乱流又は高速流動床であり、第2の触媒床102は高密度流動床であるため、流動触媒処理システム100の反応器部200内の触媒インベントリーは、第2の触媒床102内の触媒の量を制御することによって効果的に制御することができると考えられる。第2の触媒床102における触媒の量は、床の密度及び床の体積の両方に相関するので、第1の触媒分離容器210は、流動触媒処理システム100の反応器部200における触媒の量の制御を可能にするように、様々な量の触媒を収容するように設計されてもよい。同様に、流動触媒処理システム100の再生器部300では、第3の触媒床103が乱流又はバブリング流動床であり、第4の触媒床104が高密度流動床であるので、第2の触媒分離容器310は、流動触媒処理システム100の再生器部300内の様々な量の触媒を収容するように設計することができる。
【0037】
1つ以上の実施形態において、導管126を通る触媒の流れは、弁128によって調節され得る。弁128は、ゲート弁を含むがこれに限定されない任意の適切な弁であってもよい。1つ以上の実施形態において、弁128の位置を調整することにより、第1の触媒分離容器210から触媒処理容器350への触媒の流量を変化させることができる。1つ以上の実施形態において、第1の触媒分離容器120内の触媒の量は、弁128の位置を調整することによって制御され得る。弁128の位置は、任意の適切な手段によって調整され得る。例えば、弁128の位置は、手動で、又は電気、空気圧、もしくは油圧アクチュエータによって調整されてもよい。
【0038】
1つ以上の実施形態において、導管124を通る触媒の流れは、弁129によって調節され得る。弁129は、ゲート弁を含むがこれに限定されない任意の適切な弁であってもよい。1つ以上の実施形態において、再生器部300から反応器部200へ流れる触媒は、反応容器250へのエネルギー入力に寄与し、弁129は、流動触媒プロセス400のエネルギーバランスを維持するように調整され得る。更に、流動触媒プロセス400を通って循環する触媒の量は、弁129の位置によって制御することができる。したがって、1つ以上の実施形態において、弁129の位置は、流動触媒プロセス400の物質バランス及びエネルギーバランスを維持するように調整され得る。弁129の位置は、任意の適切な手段によって調整され得る。例えば、弁129の位置は、手動で、又は電気、空気圧、もしくは油圧アクチュエータによって調整されてもよい。
【0039】
第1の触媒分離容器210は、第2の触媒床102を収容することができる触媒収集領域280を含むことができる。1つ以上の実施形態において、触媒収集領域280は、実質的に一定の断面積を有してもよい。本明細書に記載されるように、「実質的に一定の断面積」は、10%、5%、3%、2%、又は更に1%を超えて変化しない断面積を指す。1つ以上の実施形態において、触媒収集領域280は、一般に円筒形(すなわち、実質的に円形の直径を有する)であるか、代替的に、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形、若しくは他の多角形又は閉曲線状或いはこれらの組み合わせの断面形状を伴う角柱状など非円筒形であってもよい。1つ以上の実施形態において、ライザ230は、触媒収集領域280を通過してもよく、触媒収集領域280は、実質的に環状の形状を有してもよい。
【0040】
1つ以上の実施形態において、触媒収集領域280は、一定の断面積を有していなくてもよい。そのような実施形態では、触媒収集領域280の断面積は、触媒収集領域280の高さにわたって変化してもよい。例えば、触媒収集領域280は、円錐形部、円錐台部、球根状部、湾曲部、又は任意の他の適切な形状を含むことができる。1つ以上の実施形態において、触媒収集領域280は、実質的に一定の断面積を有する部分と、一定でない断面積を有する部分とを備えてもよい。
【0041】
図3を参照すると、第1の触媒分離容器210は、円筒部216及び円錐台部214を備えることができる。円錐台部214は、円筒部216の上方に配置されてもよい。1つ以上の実施形態において、円錐台部214は、円錐台部214の断面積が円筒形部216の断面積と実質的に同じであるように、円筒形部216に直接接続されてもよい。円錐台部214は、レベル215において円筒部216に直接接続されてもよい。1つ以上の実施形態において、円錐台部の断面積は、円錐台部214の高さにわたって増加する。このような実施形態では、円錐台部214は、円筒形部216の断面積よりも大きい平均断面積を有することができる。
【0042】
1つ以上の実施形態では、気体/固体分離デバイス220は、サイクロン分離の2つ以上の段階を含むことができるサイクロン分離システムであってもよい。気体/固体分離デバイスがサイクロン分離システムを含む場合、気体/固体分離デバイスは、触媒が触媒収集領域280内に通過することができるディップレッグ222を含むことができる。1つ以上の実施形態では、ディップレッグ222は、円錐台部214内にレベル213まで延びてもよい。
【0043】
1つ以上の実施形態において、第1の触媒分離容器210が図3に示されるものと同様の形状を有する場合、第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れは、第2の触媒床102の上面122が触媒分離容器の円錐台部214の下を通過しないように調節され得る。例えば、第2の触媒床の上面122は、第1の触媒分離容器210のレベル215より下を通過しなくてもよい。理論に束縛されるものではないが、第2の触媒床102の上面122を第1の触媒分離容器210のレベル215より上に維持することにより、触媒を第3の触媒床103に一貫して通過させ、かつ/又は触媒を第1の触媒床101に再循環させるのに十分な触媒が第2の触媒床102に存在することを確実にすることができると考えられる。更に、第2の触媒床102の上面122を第1の触媒分離容器210のレベル215より上に維持することにより、本明細書で更に詳細に説明するように、第2の触媒床102の密度の正確な測定を容易にすることができる。
【0044】
更に図3を参照すると、1つ以上の実施形態において、第1の触媒分離容器210は、円錐台部214内に延びるディップレッグ222を有するサイクロン220を備える。第2の触媒床102から第3の触媒床103への触媒の流れは、第2の触媒床102の上面122が第1の触媒分離容器210内のレベル213でサイクロンのディップレッグ222の上方を通過しないように調節することができる。理論に束縛されるものではないが、第2の触媒床102の上面122を第1の触媒分離容器210内のレベル213でディップレッグ222の下方に維持することにより、サイクロン220のフラッディングを防止することができ、サイクロン220のフラッディングは、流動触媒処理システム100の動作を中断させる可能性があると考えられる。
【0045】
第1の触媒分離容器210の触媒収集領域280は、流動触媒処理システム100の反応器部200に関して説明されるが、流動触媒処理システムの再生器部300の触媒収集領域380は、触媒収集領域280の説明が触媒収集領域380にも適用され得るように、同様の構造及びシステム構成要素を共有し得ることも企図される。
【0046】
本明細書に記載される流動触媒処理システムにおいて触媒流を制御するための方法は、触媒床のそれぞれにおける触媒の量を決定するために様々な測定を使用して実施され得る。本明細書に記載の実施形態によれば、触媒の量又は質量は、差圧測定から決定することができる。更に、1つ以上の実施形態では、差圧測定値及び値を使用して、流動触媒処理システムを通る触媒の流れを制御することができる。
【0047】
差圧は、式1に示されるように、触媒床中の触媒の量に相関し得る。
【0048】
【数1】
【0049】
式1において、DPは差圧であり、Mは触媒床中の触媒の質量であり、Vは触媒床の体積であり、hは差圧が測定される触媒床の高さであり、Cは単位変換定数である。
【0050】
1つ以上の実施形態において、弁128の設定点は、式2によって表すことができ、式中、DP制御は、第1の触媒分離容器210内の差圧測定のための制御設定点であり、DP目標は、第1の触媒分離容器210内の通常動作目標差圧測定であり、DPAdjは、第1の触媒床101内の触媒の量が少ないときに使用することができる調整係数である。
DP制御=DP目標+DPAdj 式2
【0051】
上述したように、1つ以上の実施形態では、第1の触媒床にわたる差圧測定値(DP第1)は、式3によって表すことができ、式中、M第1は第1の触媒床101内の触媒の質量であり、V第1は第1の触媒床の体積であり、h第1は第1の触媒床101の高さであり、Cは単位変換定数である。1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101は、反応容器250内の乱流又は高速流動床であってもよい。そのような実施形態において、第1の触媒床101は、第1の触媒床101の体積及び高さが既知であるか、又は合理的に推定され得るように、反応容器250の体積と実質的に等しい体積を有し得る。したがって、式3は、第1の触媒床101内の触媒の質量について解くように再構成することができる。
【0052】
【数2】
【0053】
1つ以上の実施形態において、第1の触媒床101における触媒の質量の差は、式4を使用して計算され得る。式4において、ΔMは、第1の触媒床101内の触媒の通常動作目標量と第1の触媒床101内の触媒の測定量との差である。
【0054】
【数3】
【0055】
1つ以上の実施形態では、式4は、DP第1がDP閾値よりも小さいときに使用され得る。DP第1が0に等しいとき、ΔMは、第1の触媒床101内の触媒の通常動作目標量に等しい。
【0056】
1つ以上の実施形態において、DPadjは、式5に示されるように計算され得る。式5は、触媒量を差圧測定値に関連付ける式1と同じ一般形式に従う。式5において、ΔMは、第2の触媒床102に添加されることが望ましい触媒の量を表し、ΔVは、第2の触媒床102に添加されることが望ましい触媒の量の流動化体積であり、Δhは、第2の触媒床102に添加されることが望ましい床高さである。
【0057】
【数4】
【0058】
1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102は、高密度流動床であってもよく、可変高さを有してもよい。したがって、第2の触媒床102の高さは一定であると仮定されなくてもよい。1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102の平均密度を使用して、第2の触媒床102中の触媒の量を第2の触媒床102の高さに関連付けることができる。第2の触媒床102内で行われる差圧測定(DP第2)を使用して、第2の触媒床102の平均密度を推定することができる。1つ以上の実施形態において、この差圧測定は、第2の触媒床102の上面122に可能な限り近接して行われ得るが、依然として完全に第2の触媒床102内にある。密度は体積に対する質量に等しいので、式1は、式6に示されるように、第2の触媒床の密度を解くために再構成され得る。
【0059】
【数5】
【0060】
式6において、ρ第2は第2の触媒床102の密度を表し、DP第2は第2の触媒床内で行われた差圧測定を表し、h測定はDP第2が測定される高さを表す。
【0061】
1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102の計算された密度(ρ第2)は、式7に示されるように、第2の触媒床102に添加されることが所望される触媒の量(ΔM)によって置き換えられる追加の体積(ΔV)を決定するために使用されてもよい。
【0062】
【数6】
【0063】
そのような実施形態では、式5は、式8に示されるように簡略化され得る。
DPadj=ρ第2 ΔhC 式8
【0064】
第2の触媒床102の高さの所望の変化は、式8のDPAdjの式を満足するように解くことができる。1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102の断面積は、実質的に一定である。そのような実施形態において、第2の触媒床102の高さの所望の変化(Δh)は、式9によって表すことができ、式中、ΔVは、第2の触媒床102に添加されることが所望される触媒の量によって置き換えられる追加の体積であり、Aは、第2の触媒床102の断面積である。
Δh=ΔV/A 式9
【0065】
式7及び式9を式8に代入すると、式10に示す調整係数DPadjの式が得られる。
【0066】
【数7】
【0067】
更に、調整係数DPadjは、式11に示されるように、第1の触媒床101にわたって測定される差圧(DP第1)に関して表されてもよい。しかしながら、式11は、第2の触媒床102の断面積が一定である場合にのみ有効であることに留意されたい。
【0068】
【数8】
【0069】
1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102の断面積は、実質的に一定でなくてもよい。このような実施形態では、第2の触媒床の体積を第2の触媒床の高さに関連付けるために式を展開することができる。これらの式は、一般的に式12及び式13で表すことができ、式中、第2の触媒床102の高さは、第2の触媒床102の体積の関数であり、第2の触媒床102の体積は、第2の触媒床102の高さの逆関数である。
h=f(V) 式12
V=f-1(h) 式13
【0070】
1つ以上の実施形態において、第2の触媒床102の高さの所望の変化(Δh)について解くことは、式15及び式16に示されるように、触媒の通常の動作体積(VSet)から触媒の増加した目標体積(VSet+ΔV)への床体積の変化に対する床高さの変化を積分することを含み得る。
【0071】
【数9】
【0072】
積分を完了するために、第2の触媒床102内の触媒の通常の動作体積(Vset)は、本明細書に説明されるように計算されてもよい。第1に、第2の触媒床の高さは、式17に従って計算することができ、式中、hは、通常動作条件における第2の触媒床の高さであり、DP目標は、第1の触媒分離容器210内の通常動作目標差圧測定値であり、ρ第2は、第2の触媒床102の密度である。次いで、第2触媒床102内の触媒の通常動作体積(Vset)は、式18に従って計算することができる。
【0073】
【数10】
【0074】
高さが0に等しいとき、体積は0に等しいので、式18は、式19に示されるように縮小され得る。
【0075】
【数11】
【0076】
このような実施形態では、第2の触媒床102の高さの所望の変化(Δh)は、式20に示す形態に拡張することができる。
【0077】
【数12】
【0078】
式20は、式21に示すように、調整係数DPadjの式に挿入することができる。
【0079】
【数13】
【0080】
式21において、第2の触媒床102に添加されることが望ましい触媒の量(ΔM)は、式4によって表すことができ、第2の触媒床102の密度(ρ第2)は、式6によって表すことができる。
【0081】
第2の触媒床102の高さを第2の触媒床102の体積に関連付けるために明示的な式を展開することができることに留意されたい。1つ以上の実施形態では、式は区分関数であり得る。例えば、図3に示す触媒分離容器210のように、第2の触媒床102を収容する容器の様々な部分が異なる形状を有する場合、区分的関数が適切であり得る。
【0082】
本開示の第1の態様によれば、流動触媒処理システムにおける触媒の流れは、流動触媒処理システムの第1の触媒床に存在する触媒の量を決定することを含む方法によって制御されてもよい。流動触媒処理システムは、第1の触媒床、第2の触媒床、第3の触媒床、及び第4の触媒床を含むことができる。第1の触媒床は、第2の触媒床と流体連通していてもよい。第2の触媒床は、第3の触媒床と流体連通していてもよい。第3の触媒床は、第4の触媒床と流体連通していてもよい。第4の触媒床は、第1の触媒床と流体連通していてもよい。触媒は、第1の触媒床から第2の触媒床へ、第2の触媒床から第3の触媒床へ、第3の触媒床から第4の触媒床へ、及び第4の触媒床から第1の触媒床へ循環する。第2の触媒床から第3の触媒床への流れを調節して、第2の触媒床中の触媒の量を調整することができる。本方法は、第1の触媒床に存在する触媒の量を閾値触媒量と比較することを更に含むことができる。第1の触媒床に存在する触媒の量が閾値触媒量以上である場合、本方法は、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節して、第2の触媒床において通常の動作目標量の触媒が維持されるようにすることを含むことができる。第1の触媒床に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である場合、本方法は、増加した目標量の触媒が第2の触媒床において維持されるように、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節することを含んでもよい。
【0083】
本開示の第2の態様は、不十分な量の触媒が第4の触媒床から第1の触媒床に渡されるので、第1の触媒床内に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である第1の態様を含んでもよい。
【0084】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様のいずれかを含むことができ、弁が少なくとも部分的に閉じるとき、不十分な量の触媒が第4の触媒床から第1の触媒床に渡され、弁は、第4の触媒床と第1の触媒床とを流体結合する導管に配置される。
【0085】
本開示の第4の態様は、不十分な量の触媒が第2の触媒床から第1の触媒床に再循環されるので、第1の触媒床内に存在する触媒の量が閾値触媒量未満である、第1~第3の態様のいずれかを含んでもよい。
【0086】
本開示の第5の態様は、触媒処理システムの第1の触媒床内に存在する触媒の量が、第1の触媒床の高さにわたる差圧によって決定される、第1~第4の態様のいずれかを含んでもよい。
【0087】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれかを含むことができ、触媒の増加した目標量は、調整係数と第2の触媒床における触媒の通常動作目標量との合計の10%以内である。
【0088】
本開示の第7の態様は、第6の態様を含むことができ、第1の流動床内の触媒の量が第1の流動床内の閾値触媒量未満である場合、調整係数は、第1の流動床内の触媒の量と第1の流動床内の閾値触媒量との差の10%以内である。
【0089】
本開示の第8の態様は、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れを調節することは、第2の触媒床と第3の触媒床を流体的に接続する導管内に位置する弁を調整することを含む、第1~第7の態様のいずれかを含んでもよい。
【0090】
本開示の第9の態様は、第2の触媒床が高密度流動床を含む、第1~第8の態様のいずれかを含んでもよい。
【0091】
本開示の第10の態様は、第1の触媒床が乱流流動床又は高速流動床を含む、第1~第9の態様のいずれかを含んでもよい。
【0092】
本開示の第11の態様は、第1の触媒床が、脱水素反応器内にある、第1~第10の態様のいずれかを含んでもよい。
【0093】
本開示の第12の態様は、第3の触媒床は触媒処理容器内にある、第1~第11の態様のいずれかを含んでもよい。
【0094】
本開示の第13の態様は、第4の触媒床が第2の触媒分離容器内にある第1~第12の態様のいずれかを含んでもよい。
【0095】
本開示の第14の態様は、第2の触媒床が第1の触媒分離容器内にある、第1~第13の態様のいずれかを含んでもよい。
【0096】
本開示の第15の態様は、第14の態様を含むことができ、第1の触媒分離容器は、円筒形部及び円錐台部を備え、円錐台部は、円筒形部の上方に配置され、円錐台部は、円筒形部の断面積より大きい平均断面積を有する。
【0097】
本開示の第16の態様は、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れが、第2の触媒床の上面が触媒分離容器の円錐台部の下を通過しないように調節される、第15の態様を含んでもよい。
【0098】
本開示の第17の態様は、第15又は第16の態様のいずれかを含むことができ、ここで触媒分離容器は、円錐台部内に延びるディップレッグを有するサイクロンを備え、第2の触媒床から第3の触媒床への触媒の流れは、第2の触媒床の上面がサイクロンのディップレッグの上方を通過しないように調節される。
【0099】
本開示の主題は、特定の実施形態を参照して詳細に説明されている。実施形態の構成要素又は特徴のいずれの詳細な説明も、その構成要素又は特徴が特定の実施形態又は任意の他の実施形態に必須であることを必ずしも意味しないことを理解されたい。更に、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであるはずである。
【0100】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで(wherein)」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本技術を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のない「含む(comprising)」というプリアンブル用語と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。第1の構成要素が第2の構成要素を「含む(comprising)」と説明される場合、いくつかの実施形態では、第1の構成要素が、その第2の構成要素「からなる(consist)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」ことが企図されることを理解されたい。
【0101】
特性に割り当てられた任意の2つの定量値が、その特性の範囲を構成し得、所与の特性の全ての記述された定量値から形成される範囲の全ての組み合わせが、本開示において企図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】