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特表2024-512950封止された気流経路を有するヒーター組立品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】封止された気流経路を有するヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240313BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240313BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023558395
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2022058809
(87)【国際公開番号】W WO2022207929
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21166787.8
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】カペリ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】サーデ ラトルレ エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】イム ジュン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】トゥッリーニ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ハウ ジュン ジエ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品(1)であって、ヒーター組立品(1)は、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシング(2)と、エアロゾル出口(10)を含む第二のヒーターケーシング(4)と、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー(6)とを備え、加熱チャンバー(6)は、空気吸込み口およびエアロゾル出口(10)の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定し、ヒーター組立品(1)はさらに、ヒーターマウント(8)であって、加熱チャンバー(6)がヒーターマウント(8)上に取り付けられる、ヒーターマウント(8)と、気流経路を封止するためのシール(30)とを備え、シール(30)は、シール(30)が加熱チャンバー(6)から離間するように、ヒーターマウント(8)上に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、前記ヒーター組立品が、
空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングと、
エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングと、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーであって、前記加熱チャンバーが、前記空気吸込み口およびエアロゾル出口の両方と流体連通して、前記ヒーター組立品を通した気流経路を画定する、加熱チャンバーと、を備え、
前記ヒーター組立品がさらに、
ヒーターマウントであって、前記加熱チャンバーが、前記ヒーターマウント上に取り付けられる、ヒーターマウント、および、
前記気流経路を封止するためのシール、を含み、
前記シールが、前記シールが前記加熱チャンバーから離間するように前記ヒーターマウント上に取り付けられる、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記第一および第二のヒーターケーシングが、互いに取り付けられて、前記加熱チャンバーおよび前記ヒーターマウントを封入し、前記シールが、前記ヒーターマウントと前記第一および第二のヒーターケーシングのうちの一方の内表面との間に配設される、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記シールが、前記ヒーターマウントと前記第一のヒーターケーシングの内表面との間に配設される、請求項1または2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記シールが、前記ヒーターマウントの第一の側に取り付けられ、前記加熱チャンバーが、前記ヒーターマウントの第二の側に取り付けられ、前記第二の側が、前記第一の側の軸方向に反対側にある、請求項1~3のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記シールが、前記ヒーターマウントの第一の端部に取り付けられ、前記加熱チャンバーが、前記ヒーターマウントの第二の端部に取り付けられ、前記第二の端部が、前記第一の端部の軸方向に反対側にある、請求項1~3のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記ヒーターマウントが、前記加熱チャンバーの上流に配設される、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記ヒーターマウントが、ポリマーを含む、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記シールが、前記加熱チャンバーから4ミリメートル~6ミリメートルの距離に配設される、請求項1~7のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記シールが、30A~90Aのショア硬度を有するポリマーを含む、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記シールが、0.5mm~2mmの非圧縮厚さを有する、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記第一のヒーターケーシング、前記第二のヒーターケーシング、前記加熱チャンバー、および前記ヒーターマウントが、各々気流チャネルを有し、前記気流チャネルが連通して、前記ヒーター組立品を通した前記気流経路を画定する、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記加熱チャンバーが、管状加熱チャンバーを含む、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記管状加熱チャンバーの各端部における前記管状加熱チャンバーの直径が、前記管状加熱チャンバーの二つの端部の間の領域における前記管状加熱チャンバーの直径よりも大きい、請求項12に記載のヒーター組立品。
【請求項14】
前記管状加熱チャンバーの各端部が、フレア状または漏斗形状である、請求項12または13に記載のヒーター組立品。
【請求項15】
前記管状加熱チャンバーの前記フレア状または漏斗形状の端部の軸方向の長さが、前記管状加熱チャンバーの全長の0.5パーセント~10パーセントである、請求項14に記載のヒーター組立品。
【請求項16】
前記管状加熱チャンバーの各端部が、段付きまたはせぎり加工されたプロファイルを有する、請求項13~15のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項17】
前記管状加熱チャンバーの前記段付きまたはせぎり加工された端部の軸方向の長さが、前記管状加熱チャンバーの前記全長の0.5パーセント~10パーセントである、請求項16に記載のヒーター組立品。
【請求項18】
前記加熱チャンバーが、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成される、請求項1~17のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項19】
エアロゾル発生装置であって、
請求項1~18のいずれかに記載のヒーター組立品と、
電力を前記ヒーター組立品に供給するための電源と、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項20】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の製造方法であって、前記方法が、
空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングを提供することと、
エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングを提供することと、
エアロゾル形成基体を加熱するために加熱チャンバーを提供し、前記空気吸込み口および前記空気出口の両方と流体連通して、前ヒーター組立品を通した気流経路を画定するように、前記加熱チャンバーを配設することと、
ヒーターマウントを提供し、前記加熱チャンバーを前記ヒーターマウント上に取り付けることと、
前記気流経路を封止するためにシールを提供し、前記シールが、前記加熱チャンバーから離間するように、前記シールを前記ヒーターマウント上に取り付けることと、
前記第一および第二のヒーターケーシングを互いに取り付けて、前記加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。本開示はさらに、ヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置に関する。具体的には、本開示は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生し、エアロゾルをユーザーの口の中に送達するための、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生装置に関するが、排他的ではない。本発明はまた、エアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を加熱して、エアロゾル形成基体を燃焼することなくエアロゾルを生成するエアロゾル発生装置は、当該技術分野で公知である。エアロゾル形成基体は典型的に、フィルターなどの他の構成要素と共にエアロゾル発生物品内に提供される。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は典型的に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されている。
【0003】
加熱チャンバーは、エアロゾル発生装置のハウジング内に配設され、エアロゾル発生装置を通した気流経路の一部を形成し得る。装置の電子機器を損傷する可能性がある、エアロゾルが気流経路から漏出してエアロゾル発生装置の他の部品の中に入ることを防止するよう試みるために、気流経路の周り、および加熱チャンバーとハウジングとの間にシールを提供することが知られている。シールは、加熱チャンバーと直接的に接触して配置されてもよく、したがって、一般的に、シリコーンまたはポリシロキサンなどの耐熱性ポリマーから形成される。しかしながら、こうしたポリマーシールを加熱チャンバーの加熱温度に曝露することにより、エアロゾルを汚染する可能性がある望ましくない副産物が発生する場合がある。さらに、こうした加熱温度は、時間とともにシールを劣化させ得る。
【0004】
加熱チャンバーを加熱するために、エアロゾル発生装置は、加熱チャンバーの周りに配設された可撓性発熱体を備えてもよい。シールと加熱チャンバーとの間の直接的な接触を可能にし、かつシールの加熱を低減するために、シールを、例えば加熱チャンバーの下流端に、発熱体から距離を置くことが試みられてきた。しかしながら、これにより、例えば、長い加熱チャンバーの使用を通してエアロゾル発生装置の全体的な寸法を妥協する必要が生じ、加熱チャンバーのエネルギー消費が増大し、エアロゾル発生装置の効率が低減する場合がある。さらに、加熱チャンバーの長さを増大させることにより、結果として、加熱チャンバーがフィルターなどのエアロゾル発生物品の他の構成要素を囲み、これらが加熱チャンバーを通した熱伝導を介して間接的に加熱され得る。望ましくないことに、フィルターの加熱はエネルギーを浪費する。
【0005】
加熱チャンバーの長さを増大させる代替として、加熱チャンバーを囲む発熱体の長さを減少させてもよい。しかしながら、これにより、エアロゾル形成基体の一部分が発熱体によって覆われないか、または囲まれなくなり、その結果、エアロゾル形成基体のこの一部分を加熱するために、加熱チャンバー壁の厚さを通して比較的短い距離を移動するのと比較して、加熱チャンバーの長さに沿ってより長い距離を熱が移動する必要があり得る。したがって、発熱体によって囲まれないエアロゾル形成基体の一部分が、発熱体によって囲まれる部分ほど効果的に加熱されなくなり得る。その結果として、発熱体によって囲まれないエアロゾル形成基体の一部分は、発熱体によって囲まれる部分よりも低温となり得、低温部分におけるエアロゾルの早期凝縮につながり得る。これにより、ユーザーに送達されるエアロゾルが減少し得る。
【0006】
加熱チャンバーと装置のハウジングとの間にポリマーシールを使用することのさらなる欠点は、ポリマーシールが、加熱チャンバーから離れて加熱チャンバーを囲む材料へと熱を伝達する熱伝導経路を提供することである。この熱損失により、エアロゾル形成基体を加熱するために利用可能な熱が減少し、エアロゾル発生装置の効率が低下する。
【0007】
エアロゾル発生装置内の気流経路の封止で遭遇する追加的な問題は、製造公差である。製造公差に起因する構成要素の寸法の変動は、構成要素間の係合不良、およびそれを通してエアロゾルが漏出し得る潜在的なギャップをもたらす場合がある。構成要素間の良好な封止係合を達成するには、通常、射出成形などの迅速な製造工程では達成が困難な場合がある厳格な製造公差を必要とする。
【0008】
その気流経路の封止が改善された、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を提供することが望ましい。エネルギー効率がより高く、ユーザーへのエアロゾルの送達を改善する、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を提供することが望ましい。製造公差をより良好に吸収することができる、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一実施例によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。ヒーター組立品は、第一のヒーターケーシングを備え得る。第一のヒーターケーシングは、空気吸込み口を含み得る。ヒーター組立品は、第二のヒーターケーシングを備え得る。第二のヒーターケーシングは、エアロゾル出口を含み得る。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備えてもよい。加熱チャンバーは、空気吸込み口と流体連通してもよい。加熱チャンバーは、エアロゾル出口と流体連通してもよい。加熱チャンバーは、空気吸込み口およびエアロゾル出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定し得る。ヒーター組立品は、ヒーターマウントを備え得る。加熱チャンバーは、ヒーターマウント上に取り付けられてもよい。ヒーター組立品は、気流経路を封止するためのシールを備え得る。シールは、ヒーターマウント上に取り付けられてもよい。シールは、加熱チャンバーから離間してもよい。
【0010】
本開示の一実施例によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。ヒーター組立品は、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングと、エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングと、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーであって、空気吸込み口およびエアロゾル出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定する、加熱チャンバーとを備える。ヒーター組立品はさらに、ヒーターマウントを備える。加熱チャンバーは、ヒーターマウント上に取り付けられる。ヒーター組立品はさらに、気流経路を封止するためのシールを備える。シールは、加熱チャンバーから離間するようにヒーターマウント上に取り付けられる。
【0011】
加熱チャンバーではなくヒーターマウント上にシールを取り付ける利点は、シールと加熱チャンバーとの間の接触が回避されることである。さらに、シールは有利なことに、加熱チャンバーから離間または距離を置くように、ヒーターマウント上に取り付けられる。加熱チャンバーとシールとの間の距離は、シールが、加熱チャンバーよりも低温に維持されて過熱されないことを意味する。シールが高い熱応力に供されないため、ヒーター組立品を通した気流経路の改善された封止が達成され得る。
【0012】
加熱チャンバーではなくヒーターマウント上にシールを取り付けるさらなる利点は、ポリマーシールと加熱チャンバーとの間の直接的な接触を可能にするために、加熱チャンバーの端部に空間を必要としないことである。例えば、発熱体と周囲のヒーターケーシングとの間の直接的な接触を回避するための、加熱チャンバーの一つ以上の端部における任意の空間を大幅に低減することができる。これは、短い加熱チャンバーを使用することができ、加熱管の長さの大きな割合を加熱することができることを意味する。これにより、エアロゾル形成基体のより効率的な加熱が可能になる。
【0013】
以下でより詳細に論じるように、シールは製造公差の少なくとも一部分を吸収して改善された封止を達成することができるため、本開示のヒーター組立品は製造公差の影響も受けにくい。
【0014】
エアロゾル出口は、エアロゾル発生物品を受容するための開口部であり得る。エアロゾルは、加熱チャンバー内に受容されたエアロゾル発生物品を介して開口部から出てもよい。
【0015】
第一および第二のヒーターケーシングは、互いに取り付けられてもよい。第一および第二のヒーターケーシングは、加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入し得る。シールは、ヒーターマウントと、第一および第二のヒーターケーシングのうちの一方の内表面との間に配設されてもよい。この配設は、ヒーターマウントと第一および第二のヒーターケーシングのうちの一方との間のシールを提供して、ヒーター組立品を通した気流経路の少なくとも一部分を効果的に封止して、エアロゾルが気流経路から漏出してエアロゾル発生装置に入ることを阻止する。
【0016】
第一および第二のヒーターケーシングは、締結具によって互いに取り付けられてもよい。第一および第二のヒーターケーシングは、複数の締結具によって互いに取り付けられてもよい。複数の締結具は、第一および第二のヒーターケーシングの周りに対称に離間してもよい。締結具または複数の締結具は、ねじなどのねじ付き締結具を含み得る。締結具または複数の締結具は、スナップ嵌合締結具を含み得る。
【0017】
第一および第二のヒーターケーシングは、加熱チャンバーおよびヒーターマウントから半径方向に離間して、加熱チャンバーおよびヒーターマウントの周りに中空のエアスペースを画定し得る。有利なことに、中空のエアスペースは、加熱チャンバーを断熱するのに役立ち、これは、加熱チャンバーからの熱損失を低減するのに役立ち、またヒーター組立品の外部への熱伝達を低減するのにも役立つ。
【0018】
任意選択で、シールは、ヒーターマウントと第一のヒーターケーシングの内表面との間に配設されてもよい。別の方法として、シールは、ヒーターマウントと第二のヒーターケーシングの内表面との間に配設されてもよい。
【0019】
シールは、ヒーターマウントの第一の側に取り付けられてもよい。加熱チャンバーは、ヒーターマウントの第二の側に取り付けられてもよい。第二の側は、第一の側の軸方向に反対側であり得る。シールは、ヒーターマウントの第一の端部に取り付けられてもよい。加熱チャンバーは、ヒーターマウントの第二の端部に取り付けられてもよい。第二の端部は、第一の端部の軸方向に反対側であり得る。シールを第一の側または端部の軸方向に反対側のヒーターマウントの側または端部に取り付ける利点は、シールが軸方向の力をヒーターマウントに加え、これが次いで、軸方向の力を加熱チャンバーに加えることである。軸方向の力を加えることにより、加熱チャンバーおよびヒーターマウントが互いに係合し、ヒーターマウントと加熱チャンバーとの間の交差で気流経路が封止される。さらに、軸方向の力は、気流経路の長さに沿って、例えば、ヒーターマウントおよび加熱チャンバーが第一および第二のヒーターケーシングの内表面に接続される点へと伝達される。したがって、シールは、これらの接続点にシールを提供して、気流経路の長さに沿っても封止し、エアロゾルが気流経路から漏出してエアロゾル発生装置に入ることを防止するのに役立つ。
【0020】
シールを第一の側の軸方向に反対側のヒーターマウントの側に取り付けるさらなる利点は、シールが製造公差を吸収するのに役立つことができることである。例えば、シールは、軸方向または長さ方向の公差を吸収するのに役立つことができる。本明細書で使用される「軸方向の公差」または「長さ方向の公差」という用語は、ヒーター組立品またはエアロゾル発生装置の主要な長軸方向軸または長さに実質的に平行な方向の製造公差、例えば、それらの指定された設計長さよりも長いか短い構成要素をもたらす公差を記述するために使用される。軸方向または長さ方向の公差は、「垂直方向の公差」と呼ばれることがある。加えて、シールはまた、傾斜公差を吸収するのにも役立つことができる。本明細書で使用される「傾斜公差」という用語は、例えば、支持体の一方の側が支持体の他方の側に対して異なるレベルまたは軸方向の位置にあって、それが支持する構成要素が傾斜する原因となる場合、ヒーター組立品またはエアロゾル発生装置の主要な長軸方向軸または長さに対して構成要素を傾斜させる原因となる製造公差を説明するために使用される。
【0021】
シールは、様々な方法で製造公差を吸収するのに役立つ。例えば、加熱チャンバーなどの構成要素が短過ぎる場合、シールの厚さが加熱チャンバーの長さの不足を補償して、ヒーターマウントを加熱チャンバーと係合させ、そうでなければ生じ得る任意のギャップを閉じ得る。加熱チャンバーなどの構成要素が長過ぎる場合には、シールを圧縮して過剰な長さに適合し得る。その上に加熱チャンバーが取り付けられるヒーターマウントの表面上の点が同じ表面上の別の点に対して異なるレベルまたは軸方向の位置にあって、取り付けられる時に加熱チャンバーが傾斜する場合、シールの少なくとも一部を圧縮して加熱チャンバーを正しく整列させることを可能にしてもよい。
【0022】
ヒーターマウントは、加熱チャンバーの上流、または遠位に配設されてもよい。「遠位」、「上流」、「近位」、および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。本開示によるエアロゾル発生物品および装置は、使用時にユーザーへの送達のためにエアロゾルがエアロゾル発生物品または装置を通って出る近位端と、反対側の遠位端と、を有する。エアロゾル発生物品および装置の近位端は、口側端とも呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生物品または装置によって発生したエアロゾルを吸入するために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端を吸う。上流および下流という用語は、ユーザーがエアロゾル発生物品の近位端を吸う時のエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置を通したエアロゾルの移動の方向に対するものである。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の遠位端の下流にある。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の下流端として呼ばれる場合もあり、またエアロゾル発生物品の遠位端は、エアロゾル発生物品の上流端として呼ばれる場合もある。
【0023】
有利なことに、ヒーターマウントを加熱チャンバーの上流または遠位に配設することにより、エアロゾルは、ヒーター組立品を通した気流経路の方向に、すなわち、加熱チャンバーから、加熱チャンバーの下流に配設されるエアロゾル出口へと移動する傾向があるため、加熱チャンバーからヒーターマウントへと移動する加熱されたエアロゾルの量が減少する。したがって、この配設は、ヒーターマウントへの熱伝達を低減し、シールを加熱チャンバーよりも低温に維持するのに役立つ。
【0024】
ヒーターマウントは、ポリマーを含み得る。ポリマーは一般に、典型的には金属または金属合金である、加熱チャンバーが形成される材料と比較して、熱伝導率の値が低い。ポリマーを含むか、またはポリマーから形成されるヒーターマウントは、シールへの熱伝達を低減して、シールを加熱チャンバーよりも低温に維持するのに役立つ。
【0025】
シールは、加熱チャンバーから少なくとも2ミリメートルの距離に配設されてもよい。シールは、加熱チャンバーから少なくとも4ミリメートルの距離に配設されてもよい。シールは、加熱チャンバーから約6ミリメートルの距離に配設されてもよい。シールは、加熱チャンバーから2ミリメートル~6ミリメートルの距離に、好ましくは加熱チャンバーから4ミリメートル~6ミリメートルの距離に配設されてもよい。
【0026】
シールは、弾性であってもよい。シールは、任意の適切な材料から形成されてもよい。シールは、弾性材料を含み得る。シールは、ポリマーを含み得る。シールは、弾性ポリマーを含み得る。シールは、限定されるものではないが、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムまたはシリコーンを含む任意の適切なポリマーを含むか、またはそれらから形成され得る。
【0027】
シールは、ヒーター組立品が組み立てられる時に圧縮されてもよい。シールは、ヒーター組立品が組み立てられる時に、ヒーターマウントと第一のヒーターケーシングとの間に圧縮されてもよい。
【0028】
シールは、30A~90Aのショア硬度、好ましくは50A~80Aのショア硬度、より好ましくは約70Aのショア硬度を有してもよい。ショア硬度のこれらの値は、長さ方向の公差および傾斜公差を吸収するのに十分に軟質であるが、気流経路の封止およびヒーター組立品の完全性のためにヒーター組立品に十分な力を提供するのに十分に硬質であることが見出された。
【0029】
シールは、任意の適切な形状を含み得る。シールは、ヒーターマウントの形状に適合する形状を含み得る。シールは、第一または第二のヒーターケーシングのうちの一方の形状に適合する形状を含み得る。シールは、O-リングを含んでもよい。シールは、限定されるものではないが、円形の断面形状、または正方形もしくは長方形の断面形状などの二つの対向する平坦な表面を有する断面形状を含む、ヒーター組立品の長軸方向の平面に任意の適切な断面形状を有してもよい。
【0030】
シールは、0.5ミリメートル~2ミリメートルの非圧縮厚さまたは直径を有してもよい。シールは、約1ミリメートルの非圧縮厚さまたは直径を有してもよい。これらの非圧縮厚さは、長さ方向の公差および傾斜公差を吸収し、気流経路の封止およびヒーター組立品の完全性を提供するのに特に効果的であることが見出された。
【0031】
第一のヒーターケーシングは、気流チャネルを有し得る。第一のヒーターケーシングの気流チャネルは、空気吸込み口と流体連通してもよい。第二のヒーターケーシングは、気流チャネルを有し得る。第二のヒーターケーシングの気流チャネルは、エアロゾル出口と流体連通してもよい。加熱チャンバーは、気流チャネルを有してもよい。加熱チャンバーの気流チャネルは、加熱チャンバーの長さを通過してもよい。ヒーターマウントは、気流チャネルを有してもよい。ヒーターマウントの気流チャネルは、ヒーターマウントの厚さまたは長さを通過してもよい。第一の加熱ケーシング、第二のヒーターケーシング、加熱チャンバーおよびヒーターマウントの各々の気流チャネルは、互いに流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定し得る。
【0032】
加熱チャンバーは、管状加熱チャンバーを含み得る。管状加熱チャンバーの第一の端部における管状加熱チャンバーの直径は、管状加熱チャンバーの長さに沿った直径よりも大きくてもよい。管状加熱チャンバーの第二の端部における管状加熱チャンバーの直径は、管状加熱チャンバーの長さに沿った直径よりも大きくてもよい。管状加熱チャンバーの各端部における管状加熱チャンバーの直径は、管状加熱チャンバーの二つの端部の間の領域における直径よりも大きくてもよい。
【0033】
有利なことに、管状加熱チャンバーの一方または両方の端部の直径を、例えば、管状加熱チャンバーの二つの端部の間の領域における加熱チャンバーの長さに沿った管状加熱チャンバーの直径よりも大きくすることにより、加熱チャンバーの、およびヒーター組立品の他の構成要素のより大きな製造公差が可能になる。特に、より大きな半径方向または横方向の公差が可能になる。本明細書で使用される「半径方向の公差」または「横方向の公差」という用語は、ヒーター組立品またはエアロゾル発生装置の主要な長軸方向軸または長さに実質的に垂直な方向における製造公差、例えば、それらの指定された設計幅よりも幅が広いか狭い、あるいはそれらの指定された設計直径よりも直径が大きいか小さい構成要素をもたらす公差を記述するために使用される。半径方向または横方向の公差は、「水平方向の公差」と呼ばれることがある。
【0034】
有利なことに、管状加熱チャンバーの端部の直径を管状加熱チャンバーの他の部分よりも大きくすることにより、管状加熱チャンバーの一方または両方の端部における内径が、管状加熱チャンバーが係合するヒーター組立品の他の構成要素、例えば、第二のヒーターケーシングまたはヒーターマウントにおける気流経路の内径よりも大きくなる。これは、エアロゾル発生物品が気流経路を介して加熱チャンバー内に受容された時にエアロゾル発生物品を損傷する可能性がある、管状加熱チャンバーの端面が気流経路の内部空間内に突出または侵入し、他の構成要素との封止係合を提供するための管状加熱チャンバーの端面が小さくなることを回避するのに役立つ。この配設はまた、他の構成要素におけるより大きな半径方向または横方向の公差を可能にし、これについては以下により詳細に記載する。
【0035】
管状加熱チャンバーの一方または両方の端部の外径は、管状加熱チャンバーの二つの端部の間の管状加熱チャンバーの一部分の外径よりも最大で20パーセント大きくてもよく、好ましくは最大で15パーセント大きくてもよく、より好ましくは最大で12パーセント大きくてもよく、さらにより好ましくは最大で8パーセント大きくてもよい。管状加熱チャンバーの一方または両方の端部の外径は、管状加熱チャンバーの二つの端部の間の管状加熱チャンバーの一部分の外径よりも1パーセント~20パーセント大きくてもよく、1パーセント~15パーセント大きくてもよく、1パーセント~12パーセント大きくてもよく、または1パーセント~8パーセント大きくてもよい。
【0036】
管状加熱チャンバーの一方または両方の端部は、7.5ミリメートル~9.0ミリメートル、好ましくは8.0ミリメートル~8.5ミリメートル、より好ましくは約8.4ミリメートルの外径を有してもよい。管状加熱チャンバーの二つの端部の間の管状加熱チャンバーの一部分は、6.5ミリメートル~8.0ミリメートル、好ましくは7.0ミリメートル~8.0ミリメートル、より好ましくは約7.5ミリメートルの外径を有してもよい。
【0037】
加熱チャンバーの内径は、エアロゾル発生物品の外径に実質的に相当するか、または実質的に等しくてもよい。一部の実施形態では、加熱チャンバーの内径は、エアロゾル発生物品が加熱チャンバー内で圧縮されるように、エアロゾル発生物品の外径よりもわずかに小さくてもよい。例えば、エアロゾル発生物品の外径は、約7.4ミリメートルであってもよく、加熱チャンバーの内径は、約7.3ミリメートルであってもよい。加熱チャンバーの長さは、エアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体の長さに実質的に相当するか、または実質的に等しくてもよい。
【0038】
管状加熱チャンバーの少なくとも一つの端部は、フレア状または漏斗形状であってもよい。管状加熱チャンバーの両方の端部における管状加熱チャンバーの一部分は、フレア状または漏斗形状であってもよい。管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部の軸方向の長さは、管状加熱チャンバーの全長の0.5パーセント~10パーセント、好ましくは管状加熱チャンバーの全長の1パーセント~5パーセント、より好ましくは管状加熱チャンバーの全長の約3.3パーセントであってもよい。
【0039】
管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部の軸方向の長さは、0.2ミリメートル~2ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートル~1ミリメートル、より好ましくは約0.5mmであってもよい。管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部または複数の端部は、加熱チャンバーもしくはヒーター組立品の長軸方向軸に対して30度~60度、40度~50度、または約45度の角度で配設され得る。一部の好ましい実施形態では、管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部または複数の端部は、加熱チャンバーまたはヒーター組立品の長軸方向軸に対して50度未満、好ましくは40度未満、またはより好ましくは30度未満の角度に配設されてもよい。有利なことに、管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部または複数の端部を加熱チャンバーまたはヒーター組立品の長軸方向軸に対して30度未満の角度で提供することにより、管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部または複数の端部に対して最適な剛性が加熱チャンバーまたはヒーター組立品の長軸方向軸の方向にもたらされ得る。
【0040】
管状加熱チャンバーの少なくとも一つの端部または端部は、段付きプロファイルを有してもよく、またはせぎり加工されていてもよい。管状加熱チャンバーの両方の端部における管状加熱チャンバーの一部分は、段付きのプロファイルを有してもよく、またはせぎり加工されていてもよい。管状加熱チャンバーの段付きまたはせぎり加工された端部の軸方向の長さは、管状加熱チャンバーの全長の0.5パーセント~10パーセント、好ましくは管状加熱チャンバーの全長の1パーセント~5パーセント、より好ましくは管状加熱チャンバーの全長の約3.7パーセントであってもよい。鋭利な縁部および応力集中を回避するために、段付きまたはせぎり加工された部分の間に半径が提供されることが好ましい。
【0041】
管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部の軸方向の長さは、0.2ミリメートル~2ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートル~1ミリメートル、より好ましくは約0.5mmであってもよい。
【0042】
管状加熱チャンバーは、0.05ミリメートル~1.00ミリメートル、好ましくは0.05ミリメートル~0.50ミリメートル、より好ましくは約0.10ミリメートルの管状壁厚さを有してもよい。
【0043】
加熱チャンバーは、限定されるものではないが、セラミックまたは金属または金属合金を含む、任意の適切な材料から作製され得る。適切な材料の例は、ステンレス鋼である。
【0044】
ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも一つの電気発熱体を備え得る。ヒーター組立品は、複数の電気発熱体を備えてもよい。電気発熱体または複数の電気発熱体は、加熱チャンバーの外表面の周りに配設されてもよく、または外表面を囲んでもよい。電気発熱体または複数の電気発熱体は、加熱チャンバーの内表面の周りに配設されてもよく、または内表面を囲んでもよい。電気発熱体または複数の電気発熱体は、加熱チャンバーの一部であってもよく、または加熱チャンバーと一体型であってもよい。
【0045】
電気発熱体または複数の電気発熱体は、電気抵抗材料を含み得る。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、金含有合金、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(商標)、Kanthal(商標)、および他の鉄-クロム-アルミニウム合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料では、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、絶縁材料中に包埋、絶縁材料に封入、もしくは絶縁材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0046】
一つ以上の発熱体は、温度と比抵抗との間に明確な関係を有する金属または金属合金を使用して形成されてもよい。この様態で形成された発熱体は、動作中に、発熱体の加熱と、発熱体の温度のモニターとの両方に使用されてもよい。
【0047】
発熱体は剛直な担体材料もしくは基体内に、またはその上に配置されてもよい。発熱体は、可撓性の担体材料もしくは基体内に、またはその上に配置されてもよい。発熱体は、セラミックまたはガラスまたはポリイミドフィルムなどの適切な絶縁材料上にトラックとして形成されてもよい。発熱体は、二つの絶縁材料の間に挟まれてもよい。
【0048】
ヒーター組立品は、加熱チャンバーの外表面の周りに配設された、または外表面を囲む可撓性発熱体を備えてもよい。可撓性発熱体は、エアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体の長さに実質的に等しい長さを有してもよい。加熱チャンバーは、発熱体よりも長くてもよい。加熱チャンバーは、発熱体によって覆われないか、または囲まれない少なくとも一つの端部を有してもよい。端部は、発熱体によって覆われないか、または囲まれない加熱チャンバーの両方の端部に提供され得る。端部または複数の端部は、発熱体とヒーター組立品の他の構成要素との間の直接的な接触を防止するためのスペーサー部分として作用し得る。端部または複数の端部は、各々2ミリメートル未満、好ましくは1ミリメートル未満、好ましくは約0.5ミリメートルの長さを有してもよい。有利なことに、スペーサー部分は、発熱体によって覆われる、または囲まれる加熱チャンバーの一部分よりも、加熱中により低温度であり得る。スペーサー部分は、漏斗形状の端部または段付きの端部を含み得る。
【0049】
加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい(以下に定義するように)。
【0050】
本開示の実施例によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、上述のヒーター組立品のいずれかによるヒーター組立品を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、電源、またはヒーター組立品に電力を供給するための電力源を備えてもよい。
【0051】
本開示の実施例によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、上述のヒーター組立品のいずれかによるヒーター組立品と、ヒーター組立品に電力を供給するための電源または電力源とを備える。
【0052】
電源は、例えば、DC電圧源などの任意の適切な電源であってもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。あるいは、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸もしくはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0053】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが片手の指の間に保持するのが快適である、手持ち式のエアロゾル発生装置であることが好ましい。
【0054】
エアロゾル発生装置は、ヒーター組立品への電力の供給を制御するよう構成された制御回路をさらに備えてもよい。制御回路は、マイクロプロセッサを備えてもよい。マイクロプロセッサは、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。制御回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、一部の実施形態では、制御回路は、センサー要素、スイッチ要素、ディスプレイ要素のうちのいずれかを備えてもよい。電力は装置の起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(毎回の吸煙ごとなど)供給されてもよい。電力は、例えば、パルス幅変調(PWM)によって、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0055】
エアロゾル発生装置は装置ハウジングを備えてもよい。装置ハウジングは、ヒーター組立品、電源、および制御回路を収容し得る。ハウジングは、エアロゾル発生物品を受容するための開口部を含んでもよい。開口部は、ヒーター組立品の第二のヒーターケーシングのエアロゾル出口に接続されて、エアロゾル発生物品を加熱チャンバーの中に挿入することを可能にし得る。ハウジングは、空気吸込み口を含み得る。空気吸込み口は、ヒーター組立品の第一のヒーターケーシングの空気吸込み口に接続され得る。
【0056】
ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適する熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は、軽量で、かつ脆くないことが好ましい。
【0057】
本開示の実施例によると、上述の実施例のうちのいずれかによるエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムが提供される。また、エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備えてもよい。
【0058】
本開示の実施例によると、上述の実施例のうちのいずれかによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生装置内で加熱された時に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置から分離され、またエアロゾル発生物品を加熱するためにエアロゾル発生装置と組み合わせるように構成される。
【0060】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。
【0061】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル形成基体は、およそ10ミリメートル~およそ18ミリメートルの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態では、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ12mmの長さを有してもよい。
【0062】
一実施形態では、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ7.3mmの外径を有してもよいが、およそ7.0mm~およそ7.4mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ16mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ21mmまたはおよそ26mmであってもよいが、およそ5mm~およそ28mmの範囲内であってもよい。分離は、中空管によって提供されてもよい。中空管は、厚紙またはセルロースアセテートから作製されてもよい。
【0063】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素との両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0064】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの葉脈の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジ内で提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0065】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこはシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5重量%~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0066】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含むための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態では、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0067】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙もしくは紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0068】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は、担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または代替的に、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0069】
上記では、固体エアロゾル形成基体を参照したが、その他の形態のエアロゾル形成基体をその他の実施形態で使用してもよいことが当業者に明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体であってもよい。液体エアロゾル形成基体が提供される場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を備えることが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、容器または液体貯蔵部分内に保持されてもよい。別の方法として、または追加的に、液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料の中へと吸収されてもよい。多孔性担体材料は、任意の適切な吸収性のプラグまたは本体、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、もしくはセラミックで作製されてもよい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置の使用の前に、多孔性担体材料内に保持されてもよく、または別の方法として、液体エアロゾル形成基体材料は、使用中または使用の直前に多孔性担体材料の中へと放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶融し、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料の中へと放出することが好ましい。カプセルは随意に、液体と組み合わせた固体を含有してもよい。
【0070】
別の方法として、担体は、たばこ構成成分がその中に組み込まれた不織布繊維または繊維の束であってもよい。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含んでもよい。
【0071】
本開示の実施例によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を製造する方法が提供される。方法は、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングを提供することを含み得る。方法は、エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングを提供することを含み得る。方法は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを提供することを含み得る。方法は、空気吸込み口および空気出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定するように、加熱チャンバーを配設することを含み得る。方法は、ヒーターマウントを提供することと、加熱チャンバーをヒーターマウント上に取り付けることとを含み得る。方法は、気流経路を封止するためのシールを提供することを含み得る。方法は、シールをヒーターマウント上に取り付けることを含み得る。方法は、シールを加熱チャンバーから離間させることを含み得る。方法は、第一および第二のヒーターケーシングを互いに取り付けて、加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入することを含み得る。
【0072】
本開示の実施例によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を製造する方法であって、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングを提供することと、エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングを提供することと、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを提供し、空気吸込み口および空気出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定するように、加熱チャンバーを配設することと、ヒーターマウントを提供し、加熱チャンバーをヒーターマウント上に取り付けることと、気流経路を封止するためにシールを提供し、加熱チャンバーから離間するように、シールをヒーターマウント上に取り付けることと、第一および第二のヒーターケーシングを互いに取り付けて、加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入することと、を含む方法が提供される。
【0073】
加熱チャンバーは、プレス嵌合によってヒーターマウント上に取り付けられてもよい。加熱チャンバーは、ヒーターマウントの第二の側の凹部にプレス嵌合されてもよい。
【0074】
加熱チャンバーは、プレス嵌合によって第二のヒーターケーシングに取り付けられてもよい。加熱チャンバーは、第二のヒーターケーシングの内表面上に配設された凹部にプレス嵌合されてもよい。
【0075】
第一および第二のヒーターケーシングは、締結具を使用して互いに取り付けられてもよい。第一および第二のヒーターケーシングを互いに取り付ける前に、圧縮力がヒーター組立品に印加されてもよい。第一および第二のヒーターケーシングは、圧縮力が印加されている間に締結具を使用して互いに取り付けられてもよい。圧縮力は、締結具が取り付けられた後に解放され得る。
【0076】
上記の実施例のうちの一つに関して記述される特徴は、本開示の他の実施例に等しく適用されてもよい。
【0077】
本発明は特許請求の範囲に定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0078】
実施例1:
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、ヒーター組立品が、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングと、エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングと、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーとを備え、加熱チャンバーが、空気吸込み口およびエアロゾル出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定する、ヒーター組立品。
実施例2:
ヒーター組立品がさらに、ヒーターマウントであって、加熱チャンバーがヒーターマウント上に取り付けられる、ヒーターマウントと、気流経路を封止するためのシールとを備え、シールが、加熱チャンバーから離間するように、ヒーターマウント上に取り付けられる、実施例1によるヒーター組立品。
実施例3:
第一および第二のヒーターケーシングが、互いに取り付けられて、加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入し、シールが、ヒーターマウントと第一および第二のヒーターケーシングのうちの一方の内表面との間に配設される、実施例2によるヒーター組立品。
実施例4:
シールが、ヒーターマウントと第一のヒーターケーシングの内表面との間に配設される、実施例2または3によるヒーター組立品。
実施例5:
シールが、ヒーターマウントの第一の側に取り付けられ、加熱チャンバーが、ヒーターマウントの第二の側に取り付けられ、第二の側が、第一の側の軸方向に反対側にある、実施例2~4のいずれかによるヒーター組立品。
実施例6:
ヒーターマウントが、加熱チャンバーの上流に配設される、実施例2~5のいずれかによるヒーター組立品。
実施例7:
ヒーターマウントが、ポリマーを含む、実施例2~6のいずれかによるヒーター組立品。
実施例8:
シールが、加熱チャンバーから少なくとも2ミリメートルの距離に配設される、実施例2~7のいずれかによるヒーター組立品。
実施例9:
シールが、加熱チャンバーから少なくとも4ミリメートルの距離に配設される、実施例8によるヒーター組立品。
実施例10:
シールが、加熱チャンバーから4ミリメートル~6ミリメートルの距離に配設される、実施例8または9によるヒーター組立品。
実施例11:
シールが、弾性材料を含む、実施例2~10のいずれかによるヒーター組立品。
実施例12:
シールが、30A~90Aの間のショア硬度を有するポリマーを含む、実施例2~11のいずれかによるヒーター組立品。
実施例13:
シールがヒーター組立品内で圧縮される、実施例2~12のいずれかによるヒーター組立品。
実施例14:
シールが0.5mm~2mmの非圧縮厚さを有する、実施例2~13のいずれかによるヒーター組立品。
実施例15:
第一のヒーターケーシング、第二のヒーターケーシング、加熱チャンバー、およびヒーターマウントが、各々気流チャネルを有し、気流チャネルが連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定する、実施例2~14のいずれかによるヒーター組立品。
実施例16:
加熱チャンバーが管状加熱チャンバーを含む、実施例1~15のいずれかによるヒーター組立品。
実施例17:
管状加熱チャンバーの各端部における管状加熱チャンバーの直径が、管状加熱チャンバーの二つの端部の間の領域における管状加熱チャンバーの直径よりも大きい、実施例16によるヒーター組立品。
実施例18:
管状加熱チャンバーの各端部が、フレア状または漏斗形状である、実施例16または17によるヒーター組立品。
実施例19:
管状加熱チャンバーのフレア状または漏斗形状の端部の軸方向の長さが、管状加熱チャンバーの全長の0.5パーセント~10パーセントである、実施例18によるヒーター組立品。
実施例20:
管状加熱チャンバーの各端部が、段付きまたはせぎり加工されたプロファイルを有する、実施例16または17によるヒーター組立品。
実施例21:
管状加熱チャンバーの段付きまたはせぎり加工された端部の軸方向の長さが、管状加熱チャンバーの全長の0.5パーセント~10パーセントである、実施例20によるヒーター組立品。
実施例22:
実施例1~21のいずれかによるヒーター組立品と、電力をヒーター組立品に供給するための電源とを備える、エアロゾル発生装置。
実施例23:
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品を製造する方法であって、方法は、空気吸込み口を含む第一のヒーターケーシングを提供することと、エアロゾル出口を含む第二のヒーターケーシングを提供することと、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを提供し、空気吸込み口および空気出口の両方と流体連通して、ヒーター組立品を通した気流経路を画定するように、加熱チャンバーを配設することと、ヒーターマウントを提供し、加熱チャンバーをヒーターマウント上に取り付けることと、気流経路を封止するためにシールを提供し、加熱チャンバーから離間するように、シールをヒーターマウント上に取り付けることと、
第一および第二のヒーターケーシングを互いに取り付けて、加熱チャンバーおよびヒーターマウントを封入することと、を含む、方法。
実施例24:
加熱チャンバーが、プレス嵌合によってヒーターマウント上に取り付けられる、実施例23による方法。
実施例25:
加熱チャンバーが、プレス嵌合によって第二のヒーターケーシングに取り付けられる、実施例23または24による方法。
【0079】
ここで、図を参照しながら実施例を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、本開示の実施例によるヒーター組立品の長軸方向の断面である。
図2図2は、組み立て前の図1のヒーター組立品の分解斜視図であり、軸方向に離間したヒーター組立品の構成要素を示す。
図3図3A~3Cは、図1のAで標識された点線ボックス内に含まれるヒーター組立品の一部の概略断面図であり、ヒーター組立品のシールが長さ方向の公差を吸収するのに役立ついくつかの方法を示す。 図3Dは、図1のAで標識された点線ボックス内に含まれるヒーター組立品の一部の概略図であり、どのようにヒーター組立品のシールが傾斜公差を吸収するのに役立つかを示す。
図4図4Aおよび4Bは、本開示によるヒーター組立品で使用するための二つの例示的な加熱チャンバーの側面図である。
図5図5A~5Cは、公知の管状加熱チャンバーの概略断面部分図であり、加熱チャンバーをヒーターケーシングにプレス嵌合させる結果として製造公差に起因して生じる可能性がある問題を示す。 図5Dは、図4Aの加熱チャンバーの上部の概略断面図であり、ヒーターケーシングの凹部内のそのプレス嵌合係合を示す。
図6図6は、本開示の実施例によるエアロゾル発生装置の内部、およびエアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1を参照すると、図1は、第一のヒーターケーシング2、第二のヒーターケーシング4、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー6、およびヒーターマウント8を備える、ヒーター組立品1の長軸方向の断面を示す。第一のヒーターケーシング2は、第一の中空のシェルセクション2aおよび第一の管状セクション2bを含む。第一の中空のシェルセクション2aは、ヒーターマウント8を囲む内部空洞2cを有する。空気吸込み口(図示せず)は、第一の管状セクション2bの遠位端に配設され、第一の管状セクション2bは、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に、第一の中空のシェルセクション2aから離れるように遠位に延びる。
【0082】
第二のヒーターケーシング4は、第二の中空のシェルセクション4aおよび第二の管状セクション4bを含む。第二の中空のシェルセクション4aは、加熱チャンバー6を囲む内部空洞4cを有する。エアロゾル出口10は、第二の管状セクション4bの近位端に配設され、第二の管状セクション4bは、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に、第二の中空のシェルセクション4aから離れるように近位に延びる。エアロゾル出口10は、エアロゾル発生物品(図示せず)を受容するように構成された開口部12によって画定される。エアロゾルは、加熱チャンバー6内に受容されたエアロゾル発生物品を介して開口部10を出る。第一のヒーターケーシング2および第二のヒーターケーシング4は、互いに取り付けられて、加熱チャンバー6およびヒーターマウント8を封入する。
【0083】
加熱チャンバー6は、ステンレス鋼管から作製された管状加熱チャンバーを含む。管状加熱チャンバー6の端部6a、6bは、フレア状または漏斗形状であり、その理由については以下でより詳細に論じられる。発熱体(図示せず)は、加熱チャンバー6を加熱するために加熱チャンバーの外表面の周りに配設され、次いで、管状加熱チャンバー6の内部空間内に受容されたエアロゾル形成基体(図示せず)を加熱する。発熱体は、典型的にはフィルム上に蛇行パターンを形成する抵抗加熱トラックを有する耐熱性可撓性ポリイミドフィルムを含む。抵抗加熱トラックは、電力供給源(図示せず)に接続され、電流が抵抗加熱トラックを通過する時に熱を発生する。図1には示されないが、発熱体は、漏斗形状の端部を除いて、管状加熱チャンバー6の実質的に全長の周りに配設されて、管状加熱チャンバー6の実質的に全長を加熱する。
【0084】
第一のヒーターケーシング2および第二のヒーターケーシング4は、その有利な機械的および断熱特性のために、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製される。第一および第二のヒーターケーシングの内部空洞2cおよび4cの壁はそれぞれ、加熱チャンバー6およびヒーターマウント8から半径方向に離間して、加熱チャンバー6およびヒーターマウント8の周りに中空のエアスペース13を画定する。中空のエアスペース13は、加熱チャンバー6を断熱するのに役立ち、これは、加熱チャンバー6からの熱損失を低減するのに役立ち、また、ヒーター組立品1およびエアロゾル発生装置の外部への熱伝達を低減するのにも役立つ。
【0085】
ヒーターマウント8は、第一のヒーターケーシング2内に配設される。ヒーターマウント8の第一の側8aは、第一の中空のシェルセクション2aの基部または遠位端壁に隣接して配設される。加熱チャンバー6は、ヒーターマウント8の第二の側8b上に取り付けられ、第二の側8bは、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に第一の側8aの軸方向に反対側にある。加熱チャンバー6の第一の端部6aは、ヒーターマウント8の第二の側8b内に形成される第一の凹部14にプレス嵌合される。加熱チャンバー6の第二の端部6bは、第二の中空のシェルセクション4aの上部または近位端壁、かつ第二の管状セクション4bの遠位端で、第二のヒーターケーシング4内に形成される第二の凹部16にプレス嵌合される。ヒーターマウント8は、その有利な機械的および断熱特性のために、PEEKから作製される。
【0086】
ヒーターマウント8は、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に、ヒーターマウント8の長さに沿って軸方向に延びる内部気流チャネル18を有する。ヒーターマウント8の気流チャネル18は、管状加熱チャンバー6の内部空間によって画定される気流チャネル20と流体連通し、気流チャネル20は、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に、加熱チャンバー6の長さに沿って軸方向に延びる。さらに、第一のヒーターケーシング2の第一の管状セクション2bは、気流チャネル22を有し、第二のヒーターケーシング4の第二の管状セクション4bは、気流チャネル24を有する。第一の管状セクション2b、ヒーターマウント8、管状加熱チャンバー6および第二の管状セクション4bの気流チャネル22、18、20および24はそれぞれ、互いに流体連通して、空気吸込み口(図示せず)とエアロゾル出口10との間のヒーター組立品1を通した気流経路26を画定する。したがって、加熱チャンバー6は、空気吸込み口およびエアロゾル出口10の両方と流体連通する。
【0087】
ヒーターマウント8は、その気流チャネル18内のヒーターマウント8の内表面内に形成される段または停止部28を有する。停止部28は、エアロゾル発生物品(図示せず)の遠位端と係合して、エアロゾル発生物品の遠位端が停止部28を越えて移動することを抑止し、エアロゾル発生物品内に提供されるエアロゾル形成基体を加熱チャンバー6内に正確に位置させるように配設される。
【0088】
エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムから作製されたOリングの形態のエラストマーポリマーシール30は、ヒーターマウント8上に取り付けられる。シール30は、ヒーターマウント8の第一の側8aに、ヒーターマウント8と、第一のヒーターケーシング2の第一の中空のシェルセクション2aの遠位端壁との間に取り付けられる。Oリングシールは、ヒーター組立品1を通した気流経路26を囲む。凹部32は、ヒーターマウント8の第一の側8aに形成され、シール30を位置させる。シール30は、技術規格ISO868タイプAで判定される70Aのショア硬度を有する。この硬度は、以下により詳細に論じるように、長さ方向の公差および傾斜公差を吸収するのに十分に軟質であるが、ヒーター組立品1に力を加えて、気流経路26の封止およびヒーター組立品1の完全性を提供するのに十分に硬質であることが見出された。シール30は、1ミリメートルの非圧縮厚さまたは直径を有する。この厚さはまた、長さ方向の公差および傾斜公差を吸収し、ヒーター組立品1に力を加えて、気流経路26の封止およびヒーター組立品1の完全性を提供するのに適していることが見出された。
【0089】
シール30をヒーターマウント8の第一の側8a上に取り付け、加熱チャンバー6をヒーターマウント8の第二の側8bに取り付けることによって、シール30が、加熱チャンバー6から離間するか、距離を置く。この配設では、ヒーターマウント8の少なくとも一部分は、シール30と加熱チャンバー6との間に配設される。これは、シール30への熱伝達を減少させ、シール30を加熱チャンバー6よりも低温に維持するのに役立つ。上述のように、ヒーターマウントは、ステンレス鋼から作製される加熱チャンバーよりも低い熱伝導率を有するPEEKから作製される。これは、シール30への熱伝達をさらに低減させ、シール30を加熱チャンバーよりも低温に維持するのに役立つ。したがって、図1の配設では、シール30は、加熱チャンバーと直接的に接触する場合よりも低温にあり、これは、シール30の完全性を維持し、改善された封止を提供するのに役立つ。
【0090】
シール30は弾性であり、ヒーター組立品1が組み立てられる時にある程度圧縮される。シール30の弾性により、ヒーターマウント8に、ヒーター組立品1の長軸方向軸X-Xに平行な方向に軸方向の力が加わる。ヒーターマウント8は、加熱チャンバー6と軸方向に整列し、次いで第二の管状セクション4bと軸方向に整列しているため、シール30は、これらの構成要素を互いに封止係合させて気流経路26を封止し、二つの構成要素間の公差点で気流経路26からエアロゾルが漏出する可能性を低減するのを支援する。シール30はまた、ヒーターマウント8と第一のヒーターケーシング2との間に気密シールを提供する。
【0091】
図2は、組み立て前の図1のヒーター組立品1の分解斜視図を示す。ヒーター組立品1の構成要素、すなわち、第一のヒーターケーシング2、ヒーターマウント8、シール30、加熱チャンバー6および第二のヒーターケーシング4は、図2に軸方向に離間して示される。ヒーター組立品1を組み立てるために、まず、シール30が、ヒーターマウント8の第一の側8aに取り付けられる。次いで、ヒーターマウント8およびシール30のサブアセンブリが、第一のヒーターケーシング2の第一の中空のシェルセクション2a内に取り付けられる。ヒーターマウント8の第一の側8aから遠位に延びる中空のプラグ8cは、第一の管状セクション2bの近位端に形成された内部凹部(図示せず)にプレス嵌合される。
【0092】
次いで、加熱チャンバー6が、第二のヒーターケーシング4の第二の中空のシェルセクション4aの近位端壁内に形成された内部凹部(図2には示されないが、図1の第二の凹部16を参照)にプレス嵌合される。ガイド(図示せず)は、第二のヒーターケーシング4の第二の管状セクション4bを通して、および加熱チャンバー6内の内部空間を通して内部に挿入されて、構成要素を軸方向に整列させて維持する。第二のヒーターケーシング4および加熱チャンバー6のサブアセンブリは、次いで第一のヒーターケーシング2、シール30およびヒーターマウント8を含むサブアセンブリ上に取り付けられる。ガイドの遠位端は、ヒーターマウント8の内部気流チャネル(図示せず)の中に挿入されて、構成要素を整列させて維持する。次いで、第一のヒーターケーシング2および第二のヒーターケーシング4が、二つのねじ34およびワッシャー36を使用して互いに取り付けられる。次いで、ガイドが取り外される。第一のヒーターケーシング2および第二のヒーターケーシング4を取り付けることにより、シール30が圧縮されて、次いで、上述のとおり、軸方向の力が加わり、ヒーター組立品1の構成要素を軸方向に封止係合させて維持し、ヒーター組立品を通した気流経路を封止する。したがって、気流経路は、第一のヒーターケーシング2の第一の管状セクション2bの遠位端に配設された空気吸込み口38と第二のヒーターケーシング4の近位端に配設されたエアロゾル出口10との間に封止される。
【0093】
図3A~3Cは、図1のAで標識された点線のボックス内に含まれるヒーター組立品1の一部の概略断面図であり、ヒーター組立品のシールが長さ方向の公差を吸収するのに役立ついくつかの方法を示す。図3Aを参照すると、図3Aは、ヒーターマウント8の上部または第二の側8bと係合した管状加熱チャンバー6の下部を示す。シール30は、ヒーターマウント8の下部または第一の側に、ヒーターマウント8と第一のヒーターケーシング2との間に配設される。シール30は、その非圧縮状態で長軸方向の平面に円形の断面を有するが、ヒーター組立品が組み立てられる時に、ヒーター組立品の長軸方向軸X-X(図1を参照)に平行な方向にある程度軸方向に圧縮される。したがって、図3Aでは、シール30は、平坦または楕円形の断面を有するように示され、軸方向の圧縮の効果を例示する。
【0094】
図3Aの実施例では、管状加熱チャンバー6、ヒーターマウント8および第二の加熱ケーシング2は、正確な指定された設計長さである。図3Aで、水平方向の破線B-Bは、加熱チャンバー6とヒーターマウント8とが交差する表面のレベルを示す。水平方向の線B-Bはまた、図3Bおよび3Cを横切って延び、加熱チャンバー6が正確な長さである場合に、加熱チャンバー6およびヒーターマウント8が交差する場所を示すデータムとして機能する。
【0095】
図3Bでは、加熱チャンバー6は短過ぎる、すなわち、加熱チャンバー6の長さは、その指定された設計長さよりも距離d1だけ小さい。しかし、その長さは依然として製造公差内である。この状況では、長さ方向の製造公差によって生じる長さの不足を吸収するために、シール30は、図3Aのその圧縮状態と比較して、距離d1に対応する量だけ軸方向に小さく圧縮される。図3Bのその小さく圧縮された状態でも、シールは依然として、ヒーター組立品の構成要素を軸方向に係合させて、ヒーター組立品を通した気流経路を封止するのに十分な圧縮を有し、依然としてヒーターマウント8と第一のヒーターケーシング2との間に気密シールを提供する。
【0096】
図3Cでは、加熱チャンバー6は長過ぎる、すなわち、加熱チャンバー6の長さは、その指定された設計長さよりも距離d2だけ大きい。しかし、その長さは依然として製造公差内である。この状況では、長さ方向の製造公差によって生じる過剰な長さを吸収するために、シール30は、図3Aのその圧縮状態と比較して、距離d2に相当する量だけ軸方向に大きく圧縮される。その大きく圧縮された状態でも、シールは依然として、ヒーター組立品の構成要素を軸方向に係合させて、ヒーター組立品を通した気流経路を封止することが可能であり、依然としてヒーターマウント8と第一のヒーターケーシング2との間に気密シールを提供する。
【0097】
当然のことながら、シール30の弾性および厚さは、図3Bおよび3Cに示すのと同様に、加熱チャンバー6に加えて、他の構成要素、例えば、ヒーターマウント8または第二の加熱ケーシング2の長さ方向の公差を補償するのに使用され得る。
【0098】
図3Dは、図3A~3Cと同様の、図1のAで標識された点線ボックス内に含まれるヒーター組立品1の一部の概略断面図である。この図は、ヒーター組立品のシール30がどのように傾斜公差を吸収するのに役立つかを示す。図3Dでは、第一のヒーターケーシング2の右側2rは、ヒーター組立品の長軸方向軸X-X(図1を参照)に平行な方向に、第一のヒーターケーシング2の左側2lとは距離d3だけ異なる軸方向のレベルにある。これは、製造傾斜公差に起因するものであり、ヒーターマウント8が第一のヒーターケーシング2上に直接取り付けられる場合、ヒーターマウント8および加熱チャンバー6が傾斜する。破線C-Cは、第一のヒーターケーシングの正確な指定された設計高さまたはレベルを示す。この状況では、シール30の左側30lは、図3Aに示す標準的な量の圧縮を有する。シール30の右側30rは、傾斜製造公差によって生じるレベルの差を吸収するために、距離d3に相当する量だけ、シール30の左側30rと比較して、軸方向にさらに圧縮される。この状態では、シールは依然として、ヒーター組立品の構成要素を軸方向に係合させて、ヒーター組立品を通した気流経路を封止することが可能であり、依然としてヒーターマウント8と第一のヒーターケーシング2との間に気密シールを提供する。
【0099】
図3A~3Dは概略であり、正確な縮尺ではないことに留意すべきである。明確にするために、図は、いくつかの詳細を省略することによって簡略化され、特徴のサイズを変更または誇張している。
【0100】
図4Aおよび4Bは、本開示によるヒーター組立品で使用するための二つの例示的な加熱チャンバーの側面図である。図4Aを参照すると、図4Aは、加熱チャンバー6Aの第一の実施例を示す。加熱チャンバー6Aは、円形の断面を有するステンレス鋼管を含む。管状加熱チャンバー6A内の中空の内部空間は、管状加熱チャンバー6Aが内部空間内でエアロゾル発生物品(図示せず)を受容することができるように、エアロゾル発生物品の外径に実質的に相当する内径を有する。加熱チャンバー6Aの各端部における加熱チャンバー6Aの一部分7aは、加熱チャンバー6Aの各端部に漏斗形状を形成するように外向きにフレア状である。フレア状の部分7aは、各々長さl1を有し、フレア状の部分の長さl1それぞれによって構成される加熱チャンバー6Aの全長lの割合は、1~5パーセントの範囲内であってもよい。加熱チャンバー6Aのフレア状の端部7aは、各々加熱チャンバー6Aの長軸方向軸と約45度の角度を形成する。フレア状の端部7aの結果として、加熱チャンバー6Aの二つの端部における外径Dは、二つのフレア状の端部7aの間の加熱チャンバー6Aの外径dよりも大きい。
【0101】
二つのフレア状の端部7aの間の加熱チャンバー6Aの一部分9aは、加熱チャンバー6Aの長軸方向軸に平行な直線状の側を有する。加熱チャンバー6Aの直線部分9aは、加熱チャンバー6A内に受容されるように構成されたエアロゾル発生物品内に提供されるエアロゾル形成基体の長さに実質的に相当する長さl2を有する。加熱チャンバー6Aの直線部分9aの長さl2の実質的にすべてが、可撓性発熱体(図示しないが、図1に関連して上述する)によって囲まれる。加熱チャンバー6Aのフレア状の部分7aは、発熱体によって囲まれておらず、発熱体の端部と加熱チャンバー6Aを保持する構成要素、すなわち、ヒーターマウントおよび第二のヒーターケーシングとの間のスペーサーとして作用し、これらの構成要素と発熱体との間の直接的な接触を防止するのに役立つ。
【0102】
図4Bを参照すると、図4Bは、加熱チャンバー6Bの第二の実施例を示す。加熱チャンバー6Bは、フレア状の端部の代わりに、加熱チャンバー6Bが段付きまたはせぎり加工された端部7bを有する点を除いて、図4Aの加熱チャンバー6Aと本質的に同じ構造を有する。すなわち、加熱チャンバー6Bの各端部における加熱チャンバー6Bの一部分7bは、半径方向外向きに段付けまたはせぎり加工されて、加熱チャンバー6Bの各端部に段を形成する。段付き部分7bは、各々長さl1を有し、段付き部分の長さl1それぞれによって構成される加熱チャンバー6Bの全長lの割合は、1~5パーセントの範囲内であってもよい。段付き端部7bの結果として、加熱チャンバー6Bの二つの端部における外径Dは、二つの段付き端部7bの間の加熱チャンバー6Bの外径dよりも大きい。
【0103】
二つの段付き端部7bの間の加熱チャンバー6Bの一部分9bは、加熱チャンバー6Bの長軸方向軸に平行な直線状の側を有する。加熱チャンバー6Bの直線部分9bは、加熱チャンバー6B内に受容されるように構成されたエアロゾル発生物品内に提供されるエアロゾル形成基体の長さに実質的に相当する長さl2を有する。加熱チャンバー6Bの直線部分9bの長さl2の実質的にすべてが、可撓性発熱体(図示しないが、図1に関連して上述する)によって囲まれる。加熱チャンバー6Bの段付き部分7bは、発熱体によって囲まれておらず、発熱体の端部と加熱チャンバー6Bを保持する構成要素、すなわち、ヒーターマウントおよび第二のヒーターケーシングとの間のスペーサーとして作用し、これらの構成要素と発熱体との間の直接的な接触を防止するのに役立つ。加熱チャンバー6Bはまた、各段付き部分7bそれぞれと直線部分9bとの間に移行部分11を含み、段付き部分それぞれの外径Dと直線部分の外径dとの間に傾斜した、または湾曲した移行部を提供する。
【0104】
図5A~5Cは、直線状の管状壁を有する公知の管状加熱チャンバーの一部の概略断面図であり、こうした加熱チャンバーをヒーターケーシングと係合させるプレス嵌合の間に製造公差に起因して生じる可能性がある問題を示す。製造公差により、構成要素の寸法が指定された設計長さよりも大きくまたは小さくなり、緊密に嵌合される構成要素の接続における問題につながり得る。射出成形などの迅速な製造技術では、非常に正確な製造公差を達成することがより困難である。
【0105】
図5Aを参照すると、図5Aは、上部ヒーターケーシング4の凹部16にプレス嵌合された、公知または従来の管状加熱チャンバー6の上部を示す。管状加熱チャンバー6の全長は直線状である、すなわち、その全長に沿って一定の外径を有し、また、管状加熱チャンバー6は、図4Aおよび4Bの管状加熱チャンバー6Aおよび6Bのようなフレア状または段付き端部を有しない。図5Aに見られるように、加熱チャンバー6の内径d1は、エアロゾル発生物品を加熱チャンバー6の中に挿入する間にエアロゾル発生物品が通過する、ヒーターケーシング4の開口部15の内径d2よりも小さい。結果として、壁の各々の厚さtの一部、すなわち、加熱チャンバー6の端面は、開口部15の内径d2によって画定される内部空間内に突出する。これにより、開口部15に鋭利な段17が形成され、これは、エアロゾル発生物品が開口部15を通して挿入される時にエアロゾル発生物品を損傷する場合がある、またはエアロゾル発生物品を挿入することが防止され得る。凹部16の幅wが管状加熱チャンバー6の壁の厚さtよりも小さい場合にも同様の状況が生じ得る。この場合、凹部16内に管状加熱チャンバー6の端部を受容するのに十分な空間がなく、その結果、端部が開口部15の内径d2によって画定される内部空間内に突出する。
【0106】
当然のことながら、図5Aに示すのと同様の状況が、管状加熱チャンバー6の下側または上流端で生じ得る。加熱チャンバーの上流端の鋭利な段は、段によって形成される隙間に破片または堆積物が蓄積する問題に悩まされる可能性があり、これをクリーニングツールを用いて除去または掃除することは困難であり得る。
【0107】
図5Bは、下側ヒーターケーシング2の凹部14にプレス嵌合された公知の、または従来の管状加熱チャンバー6の下部を示す。図5Aにおけるように、管状加熱チャンバー6の全長は直線状である。加熱チャンバー6の内径d3は、下側ヒーターケーシング2内に形成された開口部19の内径d4よりも大きく、エアロゾル発生物品が加熱チャンバー6内に適切に位置付けられた時に、それを通してエアロゾル発生物品の一部分が突出する。鋭利な段21が開口部19に形成される結果として、エアロゾル発生物品が開口部19を通過する時にエアロゾル発生物品を損傷する場合がある、またはエアロゾル発生物品を完全に挿入されることが防止され得る。
【0108】
当然のことながら、図5Bに示すのと同様の状況が、管状加熱チャンバー6の上側または下流端で生じ得る。加熱チャンバーの下流端の鋭利な段は、段によって形成される隙間に破片または堆積物が蓄積する問題に悩まされる可能性があり、これをクリーニングツールを用いて除去または掃除することは困難であり得る。
【0109】
図5Cは、上側ヒーターケーシング4の凹部16にプレス嵌合される、公知または従来の管状加熱チャンバー6の上部を示す。図5Aおよび5Cにおけるように、管状加熱チャンバー6の全長は直線状である。管状加熱チャンバー6の外径d5は、それを通してエアロゾル発生物品を加熱チャンバー6の中に挿入する間にエアロゾル発生物品が通過する、ヒーターケーシング4の開口部15の内径よりも小さい。結果として、管状加熱チャンバー6は開口部15を単純に通過するため、この状況ではプレス嵌合は不可能である。
【0110】
図5Dは、図4Aの管状加熱チャンバー6Aの上部の概略断面図である。上述の通り、管状加熱チャンバー6Aは、漏斗形状またはフレア状の端部7aを備えた壁を有する。フレア状の端部7aは、第二のヒーターケーシング4の凹部16にプレス嵌合されている。フレア状の端部7aの外径Dは、二つのフレア状の端部7a(図5Dでは一つのフレア状の端部のみが見える)の間の管状加熱チャンバー6Aの一部の外径dよりも大きい。フレア状の端部7aの外径Dはまた、それを通してエアロゾル発生物品を加熱チャンバー6の中に挿入する間にエアロゾル発生物品が通過する、ヒーターケーシング4の開口部15の内径d7よりも大きい。フレア状の端部7aの外径Dは、内径d7の半径方向または横方向の製造公差を考慮に入れた場合でも、開口部15の内径d7よりも大きい。
【0111】
図5Dの配設は、管状加熱チャンバー6Aの壁の端面6cの一部が直径d7、および図5Dに直径d7よって画定される気流経路断面内に突出する可能性を大幅に低減する。さらに、管状加熱チャンバー6Aの壁の端面6cは、直径d7によって画定される気流経路の断面から離れるように角度付けられ、管状加熱チャンバー6Aの壁の端面6cの一部が気流経路内に突出する可能性がさらに低減される。図5Dの配設、および特に、フレア状または漏斗形状の端部7aを有する管状加熱チャンバー6Aの使用は、より大きな半径方向または横方向の公差を有する構成要素の使用を可能にするため、迅速な製造技術に適している。図5Dの配設はまた、エアロゾル発生物品を加熱チャンバー6Aの中に挿入する際の、エアロゾル発生物品への損傷のリスクを大幅に低減する。
【0112】
図4Bの管状加熱チャンバー6Bはまた、同じ利益を達成するために、加熱チャンバー6Aの代わりに図5Dの配設でも使用され得ることが理解されよう。加熱チャンバー6Bの段付き端部7bの大きな外径Dは、管状加熱チャンバー6Bの壁の端面の一部が図5Dの直径d7および気流経路内に突出する可能性を低減する。加熱チャンバー6Bはまた、より大きな半径方向または横方向の公差を有する構成要素の使用を可能にし、エアロゾル発生物品を加熱チャンバー6Bの中に挿入する際のエアロゾル発生物品への損傷のリスクを低減する。
【0113】
図5A~5Dは概略であり、正確な縮尺ではないことに留意すべきである。明確にするために、図は、いくつかの詳細を省略することによって簡略化され、特徴のサイズを変更または誇張している。
【0114】
図6は、エアロゾル発生装置100と、エアロゾル発生装置100内に受容されたエアロゾル発生物品200との内部を示す概略断面図である。エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200は一緒に、エアロゾル発生システムを形成する。図6では、エアロゾル発生装置100は、簡略化された様態で示される。具体的には、エアロゾル発生装置100の要素は、実寸に比例して描かれていない。さらに、エアロゾル発生装置100の理解のために関連しない要素は、省略されている。
【0115】
エアロゾル発生装置100は、図1のヒーター組立品1、電源103、および制御回路105を収容するハウジング102を備える。図6では、第一のヒーターケーシング2、加熱チャンバー6、ヒーターマウント8、および第二のヒーターケーシング4が示される。図1に関連して上述したように、加熱チャンバー6は、加熱チャンバー6を加熱するためにその周りに配設された可撓性発熱体(図示せず)を有する。電源103は電池であり、この実施例では、これは再充電可能なリチウムイオン電池である。制御回路105は、電源103および発熱体の両方に接続され、電源103から発熱体への電気エネルギーの供給を制御して、発熱体の温度を調節する。
【0116】
ハウジング102は、エアロゾル発生装置100の近位端または口側端に開口部104を有し、それを通してエアロゾル発生物品200が受容される。開口部104は、それを介してエアロゾルがヒーター組立品1を出る、図1のヒーター組立品1の開口部12に接続される。しかしながら、当然のことながら、エアロゾルは、大部分がヒーター組立品1およびエアロゾル発生物品200を介してエアロゾル発生装置100から出る。ハウジング102は、エアロゾル発生装置100の遠位端に空気吸込み口106をさらに含む。空気吸込み口106は、第一のヒーターケーシング2の第一の管状セクション2bの遠位端に配設された空気吸込み口に接続される。第一の管状セクション2bは、空気吸込み口106から加熱チャンバー6へと空気を送達する。
【0117】
エアロゾル発生物品200は、端プラグ202と、エアロゾル形成基体204と、中空管206と、マウスピースフィルター208とを備える。エアロゾル発生物品100の上述の構成要素の各々は、実質的に円筒形の要素であり、各々が実質的に同じ直径を有する。構成要素は、同軸に整列して当接して連続的に配設され、外側紙ラッパー210によって囲まれて円筒形ロッドを形成する。エアロゾル形成基体204は、ラッパー(図示せず)によって囲まれた均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含むたばこロッドまたはプラグである。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。端プラグ202およびマウスピースフィルター208は、セルロースアセテート繊維から形成される。
【0118】
エアロゾル発生物品200の遠位端は、ハウジング102の開口部104を介してエアロゾル発生装置100の中に挿入され、ヒーターマウント8上に配設された、その点までエアロゾル発生物品200が完全に挿入される停止部(図6に図示せず)と係合するまで、エアロゾル発生装置100の中に押し込まれる。停止部は、加熱チャンバー6がエアロゾル形成基体204を加熱してエアロゾルを形成することができるように、エアロゾル形成基体204を加熱チャンバー6内に正確に位置させるのに役立つ。
【0119】
エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生物品200の存在を検出するためのセンサー(図示せず)と、発熱体を起動するためのボタンなどのユーザーインターフェース(図示せず)と、例えば、電池電力の残量、加熱ステータス、およびエラーメッセージなどの情報をユーザーに提示するためのディスプレイまたはインジケータ(図示せず)と、をさらに備えてもよい。
【0120】
使用時に、ユーザーは、図6に示すようにエアロゾル発生物品200をエアロゾル発生装置100の中に挿入する。次いで、ユーザーは、例えば、スイッチを押して装置をオンにすることでエアロゾル発生装置100を起動することによって、加熱サイクルを開始する。応答して、制御回路105は、電源103から発熱体(図示せず)への電力の供給を制御して発熱体を加熱し、これが次いで加熱チャンバー6を加熱する。加熱サイクルの間、発熱体は、加熱チャンバー6を所定の温度、または温度プロファイルに従った所定の温度範囲に加熱する。加熱サイクルは、約6分間持続し得る。加熱チャンバー6からの熱は、エアロゾル形成基体204に伝達され、これにより、エアロゾル形成基体204から揮発性化合物が放出される。揮発性化合物は、中空管206によって形成されるエアロゾル化チャンバー内でエアロゾルを形成する。加熱サイクルの間、ユーザーは、自身の口の唇の間にエアロゾル発生物品200のマウスピースフィルター208を置き、マウスピースフィルター208で吸煙または吸入を行う。発生したエアロゾルは、次いでマウスピースフィルター102を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0121】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±5パーセント(5%)として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3A-3C】
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
【国際調査報告】