(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】外側スリーブを有するモジュール式ラジアルフォイル軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558883
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 DE2022100244
(87)【国際公開番号】W WO2022214134
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021108889.5
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヒルビンガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ アンガー
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン ゲーヤー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ラウトナー
【テーマコード(参考)】
3J012
【Fターム(参考)】
3J012AB03
3J012AB06
3J012BB01
3J012EB09
3J012EB10
3J012EB11
3J012FB01
(57)【要約】
本発明は、トップフォイル及び波形フォイル(2、3)が湾曲セグメント(6)の形態でベース部フォイル(4)上に配設されるラジアルフォイル軸受(1)に関し、ベース部フォイル(4)は、管状ベース部(7)を形成するように巻かれ、管状ベース部(7)は、それ自体がラジアルフォイル軸受(1)として使用され得るか、又は外側リング(5)内に挿入されるときにラジアルフォイル軸受(1)を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのトップフォイル(2)及び少なくとも1つの波形フォイル(3)を有するラジアルフォイル軸受(1)であって、前記トップフォイル(2)及び前記波形フォイル(3)は、径方向(9)において互いに重なり合うように構築されており、これらのフォイル(2、3)は、周方向(10)において前記ラジアルフォイル軸受(1)の少なくとも1つの湾曲セグメント(6)を形成しており、
-共通の端部において互いに堅固に接続された第1のトップフォイル(2a)及び第1の波形フォイル(3a)からなる第1の湾曲セグメント(6a)が、存在し、
-前記第1の湾曲セグメント(a)は、ベース部フォイル(4)上に堅固に配設されており、
-共通の端部において互いに堅固に接続された第2のトップフォイル(2b)及び第2の波形フォイル(3b)からなる第2の湾曲セグメント(6b)が、前記ベース部フォイル(4)上に配設されており、
-前記2つの湾曲セグメント(6a、6b)は、前記ベース部フォイル(4)上に交互に配置されており、その結果、前記ベース部フォイル(4)が巻かれたときに、前記2つの湾曲セグメント(6a、6b)を有する管状ベース部(7)が作製され、前記ラジアルフォイル軸受(1)を形成する、ことを特徴とする、ラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項2】
第3の湾曲セグメント(6c)が、第3のトップフォイル(2c)及び第3の波形フォイル(3c)で形成され、前記3つの湾曲セグメント(6a、6b、6c)は各々、前記ベース部フォイル(4)上に連続して配設されたトップフォイル(2a、2b、2c)及び波形フォイル(3a、3b、3c)からなり、その結果、前記ベース部フォイル(4)が巻かれたときに、前記3つの湾曲セグメント(6a、6b、6c)を有する前記管状ベース部(7)が作製され、前記ラジアルフォイル軸受(1)を形成することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項3】
ベース部フォイル(4)上の湾曲セグメント(6a、6b、6c)の数及び前記湾曲セグメント(6a、6b、6c)の連続的な配列は、調整され得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項4】
前記ベース部フォイル(4)が巻かれて、前記湾曲セグメント(6a、6b、6c)を有する管状ベース部(7)を形成した後、前記管状ベース部(7)は、周方向において閉じた形状を有し、前記ベース部フォイル(4)の前記2つの端部は、互いに対向することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項5】
前記ベース部フォイル(4)が巻かれて、前記湾曲セグメント(6a、6b、6c)を有する管状ベース部(7)を形成した後、1つの湾曲セグメント(6a、6b、6c)の一方の端部は、後続の湾曲セグメント(6a、6b、6c)の端部に向かい合っていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項6】
前記向かい合う端部は、互いに接触していることを特徴とする、請求項4又は5に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項7】
前記向かい合う端部は、互いに離間していることを特徴とする、請求項4又は5に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項8】
前記トップフォイル(2)は、前記波形フォイル(3)よりも長い湾曲長さを有し、その結果、前記連続するトップフォイル(2a、2b、2c)は、前記ベース部フォイル(4)を巻かれた後、重なり合って、前記径方向において前記ベース部フォイル(4)の前記端部で接触する管状ベース部(7)を形成することを特徴とする、請求項4又は5に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項9】
前記管状ベース部(7)は、前記ラジアルフォイル軸受(1)を形成するために外側リング(5)に挿入されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項10】
前記外側リング(5)は、前記管状ベース部(7)とともに、ハウジングに挿入され得る前記ラジアルフォイル軸受(1)を形成する別個の構成要素であるか、又は前記外側リング(5)は、前記ハウジング自体によって形成され、前記ハウジングにおいて、前記管状ベース部(7)は、前記ラジアルフォイル軸受(1)を形成するために使用され得ることを特徴とする、請求項8に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項11】
前記外側リング(5)内に配置される前記管状ベース部(7)の軸方向(8)の自由度が阻止されることを特徴とする、請求項8又は9に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【請求項12】
前記外側リング(5)内に配置される前記管状ベース部(7)の前記周方向(10)の自由度が阻止されることを特徴とする、請求項8又は9に記載のラジアルフォイル軸受(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ラジアルフォイル軸受は、シャフトを空気力学的な装着を目的として設けられ、シャフトとラジアルフォイル軸受との間には、荷重支持ガス/エアクッションが形成されている。動作モードは、流体力学的滑り軸受の動作モードに類似しているが、シャフトが、流体力学的滑り軸受の流体クッションによってではなく、エアクッションを介してラジアルフォイル軸受によって支持されるという違いがある。両方の機能形態は、シャフトの回転運動のみが荷重支持クッションの形成をもたらすという共通点を有する。
【0002】
フォイル軸受は、回転シャフトと固定ハウジング構成要素との間に可撓性の弾性構造を有するという点で、従来の空気力学的軸受とは異なる。この特徴は、それらが従来の空気軸受よりも低い剛性を示すが、例えば、軸受座の位置合わせ不良誤差又はシャフト及びハウジングの異なる熱膨張によって引き起こされる空隙の幾何学的変化に適応し得、そのため、多くの用途において実際に高い動作信頼性を可能にすることを意味する。
【0003】
荷重支持エアクッションを形成するために、ラジアルフォイル軸受は、通常、固定シャフトと接触するトップフォイルと、トップフォイルと軸受の外側リングとの間に径方向に配設される波形フォイルとを有し、波形フォイルは径方向に弾性的に撓み得る。そのため、原則として、ラジアルフォイル軸受は、互いに接触する2つのフォイルと、フォイルを支持する外側リングとを有し、その結果、ラジアルフォイル軸受はハウジング内に受容され得る。外側リングは、ラジアルフォイル軸受のフォイルが挿入されるハウジングと一体的に形成され得る。
【0004】
シャフトがラジアルフォイル軸受に対して回転運動するように設定される場合、静止状態によって画定される空隙内に存在する空気が押しのけられる。シャフトのある特定の速度を超えると、トップフォイルとシャフトとの間にエアクッションが形成され、その上をシャフトが摺動し得る。この点に関して、波形フォイル及びその径方向ばね効果を有するフォイルパッケージは、空気圧の変動又は径方向のシャフトの振動が軸受に影響を及ぼさず、そのため、エアクッションの荷重支持を維持することを確実にする。
【0005】
先行技術では、様々な設計のフォイル軸受が知られている。ラジアルフォイル軸受に加えて、軸方向荷重支持能力を提供し得るアキシャルフォイル軸受も存在する。軸受のフォイルの配列及びそれらの幾何学的設計は多様であり、各用途に適合される。
【0006】
欧州特許出願公開第2942537号明細書には、3つの波形フォイルと、ほぼ円周状のトップフォイルとを有するラジアルフォイル軸受が示されており、波形フォイルは各々、フック状の端部で、外側リングの独自のスロットに引っ掛けられており、トップフォイルは、両端部が互いに接している状態で、スロットのうちの1つに挿入されている。
【0007】
欧州特許出願公開第3387275号明細書には、トップフォイル及び波形フォイルからなる3つのパックを有するラジアルフォイル軸受が示されており、各パックは、フォイルの各端部で外側リングのスロットに挿入されている。
【0008】
中国実用新案第209990776号明細書には、波形フォイルとトップフォイルの両方がほぼ完全に円周状になるように設計され、各々、両方のフォイルが共通のスロットに挿入される角度付けされた端部を有する、ラジアルフォイル軸受が示されている。次いで、この接続は、ねじで締め付けるように固定される。
【0009】
欧州特許出願公開第2473749号明細書には、外側リング内に軸受を形成するための正確に1つのトップフォイルと正確に1つの波形フォイルとを有するラジアルフォイル軸受が示されている。
【0010】
機能的な荷重支持能力を最適化するためにフォイルを経済的に配列することは問題であることが分かっている。
【0011】
そのため、本発明の目的は、フォイルの経済的な配列を可能にし、かつ機能に関してラジアルフォイル軸受を改善するラジアルフォイル軸受を設計することである。
【0012】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。
【0013】
本発明による解決策は、共通の端部において互いに堅固に接続された第1のトップフォイル及び第1の波形フォイルからなる第1の湾曲セグメントを有し、第1の湾曲セグメントは、ベース部フォイル上に堅固に配設されており、共通の端部において互いに堅固に接続された第2のトップフォイル及び第2の波形フォイルからなる第2の湾曲セグメントがベース部フォイル上に互いに堅固に配設され、2つの湾曲セグメントは、このベース部フォイル上に交互に配置されており、その結果、ベース部フォイルが巻かれたときに、2つの湾曲セグメントを有する管状ベース部が生じ、かつラジアルフォイル軸受を形成する、ラジアルフォイル軸受を特徴とする。
【0014】
ベース部フォイルは、好ましくは、ステンレスばね鋼シート金属から制作された薄い(<0.5mm)シート金属ストリップから形成され、これは、手によって、又は補助デバイスを使用して、円形形状に曲げられ得る。
【0015】
湾曲セグメントは、一方の端部で互いに堅固に接続、好ましくは、溶接されたトップフォイル及び波形フォイルから形成される。次いで、湾曲セグメントはベース部フォイル上に順に配置され、ベース部フォイルを巻いて管状ベース部を形成した後に、湾曲セグメントの一方の端部が、後続の湾曲セグメントの後続の端部とわずかに重なり合うか、当接するか、又は離間されるように、2つの連続する湾曲セグメントは、互いに離間される。
【0016】
この場合、ベース部フォイルは、湾曲したセグメントの周りに巻き付けられ、その結果、ベース部フォイルは、湾曲したセグメントを巻き付けて取り囲む。そのため、径方向において、管状ベース部の形成後に、互いに接するトップフォイル及び波形フォイルからのフォイルの後にベース部フォイルが続く。
【0017】
湾曲セグメントは、一方の端部でベース部フォイルに直接的に及び/又は間接的に固定され、例えば、溶接される。
【0018】
2つのフォイルが互いに接続される端部を有するベース部フォイルに湾曲セグメントを確実に配置して取り付けるために、ベース部フォイルは、例えば、凹部の形態の位置決め手段を有し、この位置決め手段は、湾曲セグメントのこの端部と接触又は位置合わせされ得る。位置決め手段は、有利には、ストリップ形状のベース部フォイルの縁部上のノッチとして設計され、したがって、湾曲セグメントをこの位置決め手段と位置合わせするツールにとって容易にアクセス可能である。
【0019】
これは、本発明によれば、ラジアルフォイル軸受は、例えば、圧縮機ハウジングなどの軸受収容ボア内で直接、湾曲セグメントとベース部フォイルとのアセンブリとして、又は、湾曲セグメントと軸受外側リングスリーブに接続されたベース部フォイルとの自己保持ユニットとして使用され得、その後、アセンブリに設置され得るという利点を有する。
【0020】
そのため、本発明によるラジアルフォイル軸受は、好ましくは、例えば、燃料電池圧縮機、eブースタ又はターボチャージャにおけるオイルフリーかつ高速のロータ軸受に使用され得、本発明によるラジアルフォイル軸受の設計は、可能な限り最も費用効率の高い大規模生産を可能にし、加えて、構成要素アセンブリにおけるラジアルフォイル軸受の実装に関する異なる要件をカバーするためのモジュール設計の選択肢を提供する。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、第3の湾曲セグメントが、第3のトップフォイル及び第3の波形フォイルとともに形成され、各々トップフォイル及び波形フォイルからなる3つの湾曲セグメントが、ベース部フォイル上に順に配設され、その結果、ベース部フォイルが巻かれたときに、管状ベース部が3つの湾曲セグメントから作製され、ラジアルフォイル軸受を形成する。3つの湾曲セグメントの使用は、動作中にシャフトがより良好に中央揃えされ得るという利点を有する。
【0022】
本発明の発展形態によれば、ベース部フォイル上の湾曲セグメントの数及びそれらの連続的な配列は、調整又は倍増され得る、すなわち、ベース部フォイル上に連続的に堅固に配置されるいくつかの湾曲セグメント又は湾曲セグメントのグループが設けられ得、その結果、ベース部フォイルが巻かれたときに、湾曲セグメントを有する管状ベース部が作製され、ラジアルフォイル軸受が形成される。
【0023】
本発明の有利な実施形態では、ベース部フォイルが巻かれて湾曲セグメントを有する管状ベース部を形成した後、管状ベース部は周辺部(閉した)形状を有し、ベース部フォイルの2つの端部は互いに対向している。ベース部フォイルの向かい合う端部は、
-それら端部面で互いに接触するか、又は
-径方向に重なりを形成するか、又は
-それらの端部面から互いに対して小さい間隔を有し得る。
ベース部フォイルの端部が接触又は重なり合う場合、これらの端部は、管状ベース部の閉じた状態で互いに堅固に接続され得る。端部が堅固に接続された閉じた状態で管状ベース部が存在する場合、それは外側リング内に挿入されるか、又はハウジングボア内に直接挿入されるかのいずれかであり得る。管状ベース部の端部が互いに堅固に接続されていない場合、管状ベース部を外側リング内に又は直接ハウジングボア内に挿入するために、アセンブリ又は設置補助具が必要とされる。
【0024】
ベース部フォイルの周方向長さは、管状ベース部のための受容ボアの内周の少なくとも240°に対応し、それにより、ベース部フォイルは、管状ベース部が挿入された後に軸受シートボア/軸受外側リングスリーブの内周面の円形形状を抱え込み、したがって、嵌合するように設計されている。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、ベース部フォイルが巻かれて湾曲セグメントを有する管状ベース部を形成した後、1つの湾曲セグメントの一方の端部は、後続の湾曲セグメントの端部に向かい合っている。有利には、向かい合う端部は、互いに接触している。代替的に、向かい合う端部は、互いから離間されている。2つの湾曲セグメントが重なり合うこともある。また、一方の湾曲セグメントのフォイルのうちの1つのみが、他方の湾曲セグメントのフォイルのうちの1つと重なり合うことも可能であり、その結果、これらの重なり合うフォイルは、重なり合う領域において径方向に互いに接触している。そのため、ラジアルフォイル軸受又は管状ベース部は、より安定し、より効率的に設計され得る。
【0026】
湾曲セグメントのフォイルは、支持エアクッションを形成するために回転シャフトに向かって機能的に必要なウェッジギャップが形成されるように管状ベース部が形成された後に、後続の湾曲セグメントのフォイルと重なり合い得る。
【0027】
本発明の発展形態では、管状ベース部が外側リングに挿入されてラジアルフォイル軸受を形成することを提供する。
【0028】
この場合、外側リングは、管状ベース部とともに、ラジアルフォイル軸受を形成する別個の構成要素であり得、その後、ハウジングに挿入される。その代替形態として、外側リングがハウジング自体によって形成され得、その結果として、管状ベース部は、ラジアルフォイル軸受を形成するために使用され得る。
【0029】
有利には、本発明は、外側リング内に配置される管状ベース部の軸方向における少なくとも一方の自由度が阻止されるようなものである。好ましくは、外側リング内に配置される管状ベース部の両方の軸方向において、両方の自由度が阻止される。
【0030】
外側リングを有する本発明によるラジアルフォイル軸受の有利な実施形態は、外側リング内に配置される管状ベース部の周方向の自由度が阻止されることを提供する。そのため、外側リング内に挿入される管状ベース部は、外側リングに溶接され得、その結果、管状ベース部と外側リングとの間の相対回転が防止される。
【0031】
本発明の有利な実施形態を以下の図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】3つの湾曲セグメントが取り付けられたベース部フォイルを示す。
【
図2】互いに接続された状態のトップフォイル及び波形フォイルを有する湾曲セグメントを示す。
【
図3】トップフォイルと波形フォイルとが分離された状態の湾曲セグメントを示す。
【
図5】管状ベース部を受容するための外側リングを示す。
【
図6】管状ベース部が装着された
図5による外側リングを示す。
【
図8】
図7の外側リングの一方の軸方向端部を示す断面図である。
【
図9】
図7による外側リング断面の他方の軸方向端部を示す。
【
図10】管状ベース部が装着された外側リングの第2の変形形態を示す。
【
図11】
図10による管状ベース部を受容するための外側リングを示す。
【
図12】
図10による実施形態を通過する軸方向断面図である。
【
図13】
図12による外側リング断面の一方の軸方向端部の詳細図を示す。
【
図14】
図12による外側リング断面の他方の軸方向端部の詳細図を示す。
【
図15】管状ベース部が装着された外側リングの第3の変形形態を示す。
【
図17】
図15による実施形態を通過する軸方向断面図である。
【
図18】
図15による外側リング断面の一方の軸方向端部の詳細図を示す。
【
図19】
図15による外側リング断面の他方の軸方向端部の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、3つの湾曲セグメント6a、6b、6cが取り付けられたベース部フォイル4を示す。ベース部フォイル4は、0.5mmの最大厚さを有する材料のストリップ、特にシート金属ストリップとして設計されている。ストリップ形状のベース部フォイル4は、ベース部フォイル4が巻かれて管状ベース部を形成した後に画定される、後続の軸方向8に横方向に延在している。ベース部フォイル4は、特にノッチ11の形態のいくつかの凹部を有し、これを用いて、ベース部フォイル4上に配置される湾曲セグメント6の位置合わせが行われ、その結果、配置される湾曲セグメント6は、ベース部フォイル4上に互いに正確な距離で容易かつ確実に配設され得、次いで、ベース部フォイル4に取り付けられ得る。
【0034】
図1では、3つの湾曲セグメント6a、6b、6cが、ベース部フォイル4上に連続してパターン内に配設され、その結果、このパターンは、ほぼ規則的でかつ繰り返し可能であり、全ての湾曲セグメント6a、6b、6cは、ベース部フォイル4上で同じ向きを有する。各湾曲セグメント6a、6b、6cは、ベース部フォイル4上のそれぞれの湾曲セグメント6と湾曲セグメント6のフォイル2及び3との両方が互いに溶接される端部を有する。全ての構成要素のこの溶接部17は、ベース部フォイル4上に湾曲セグメント6を形成するようにフォイル2及び3を位置決めするときに一緒に行われ得、又は湾曲セグメント6は、ベース部フォイル4とともに既に存在するトップフォイル及び波形フォイル2及び3からなる事前に組み立てられたフォイルパッケージとして設計され得る。
【0035】
湾曲セグメント6a、6b、6cをベース部フォイル4上に正確に位置決めするために、湾曲セグメント6a、6b、6cは各々、例えば、湾曲セグメント6の端部縁部がノッチ11の縁部と位置合わせされるように、ノッチ11と一致させられる。ノッチ11は、有利には、ストリップ形状のベース部フォイル4を画定する両側の縁部上に湾曲セグメント6のために形成され、湾曲セグメント6について対で存在している。位置決め手段としてのこのようなノッチ11の形状及び位置は、変化し得、代替的に、このような位置決め手段は、ストリップ形状のベース部フォイル4内に配設され、湾曲セグメント6を位置決めするのに好ましい形状を有し得る。
【0036】
図1から分かるように、湾曲セグメント6a、6b、6cは、平坦なストリップ形状のベース部フォイル4上に装着されるときに既に屈曲されている。
【0037】
図2は、トップフォイル及び波形フォイル2及び3又は2a及び3aが接続された状態の湾曲セグメント6又は6aを示す。トップフォイル2及び波形フォイル3は、湾曲セグメント6のために使用され、これらは、共通の端部で位置合わせされ、有利には、互いに接続されている。湾曲セグメント6のそれぞれの他方の端部は、2つのフォイル2及び3が互いに対して自由に移動することを可能にする。湾曲セグメント6の設計は、既に軸方向8及び周方向10を画定しており、これは他のアセンブリに伝達される。
【0038】
図3は、トップフォイル及び波形フォイル2a及び3aを有する湾曲セグメント6aを分離状態で示す。互いに接合されるフォイル2及び3は、理想的には既に屈曲されている。湾曲した形状は、
図3の例解とは対照的に、トップフォイル2が波形フォイル3の内側表面に持ち込まれ得るようなものであり、フォイル2及び3の両方の湾曲した外観は一致する。
【0039】
図4は、本発明によるラジアルフォイル軸受1を示す。ラジアルフォイル軸受1は、ベース部フォイル4を周方向10に巻くことによって作り出され、例えば、
図1によれば、湾曲セグメント6a、6b、6cを有するベース部フォイル4の準備された形成物が存在する。ラジアルフォイル軸受1は、
図4の管状ベース部7として既に存在しており、ベース部7に適合されるアセンブリのハウジングの受容ボアに挿入され、そこでシャフトを支持するように動作され得る。
【0040】
図5は、管状ベース部7を受容するための外側リング5を示す。管状ベース部7の形態の
図4によるラジアルフォイル軸受1は、外側リング5に挿入することによってアップグレードされ得、傷つきやすい敏感なフォイル2、3、及び4は、外側リング5によって外部の影響から保護されている。外側リング5は、好ましくは、深絞りされたシート金属スリーブとして設計され、
図5によれば、周方向10に規則的に分散されたスロット12を備えている。これらのスロット12は、シート金属スリーブに容易に打ち抜かれ得、管状ベース部7のためのツールのアクセス可能性のために設けられる。
【0041】
図6は、管状ベース部7が装着された、
図5による外側リング5を示す。例えば、
図4による管状ベース部7は、
図5による外側リング5に挿入される。管状ベース部7の軸方向長さは、外側リング5の軸方向長さに対応し、その後、ベース部7は、両方の軸方向端部において外側リング5と同一平面になる。有利には、その代替形態として、外側リング5の軸方向長さがベース部7の軸方向長さよりも大きいという意味で、わずかなオーバーハングが設けられ、その結果、有利には、フォイル2、3、及び4の縁部が衝突点からより良好に保護されている。
【0042】
スロット12は、ベース部7を外側リング5に堅固に接続、好ましくは溶接し得るツールのアクセス可能性を確実にし、ベース部フォイル4の外周面は、外側リング5の内周面に対して位置する。
【0043】
図7は、
図6の実施形態の軸方向8の断面を示す。この例示的な実施形態では、ベース部7の軸方向長さ、したがって湾曲セグメント6a、6b、6c及びベース部フォイル4の軸方向長さも、外側リング5の軸方向長さに対応する。ここで、径方向9において、フォイル2a、2b、3a、及び3bが互いの上に積み重ねられていることが分かる。これは、湾曲セグメント6a及び6bが周方向10にわずかに覆う又は重なり合うという事実による。この重なりは、溶接部17の領域で生じ、ベース部フォイル4を有する湾曲セグメント6aの固定(溶接)端部は、湾曲セグメント6aに続く湾曲セグメント6bの自由端部を覆い、その結果、断面図では、フォイル2a、2b、3a、及び3bは、径方向に積み重ねられて見える。
【0044】
図8は、
図7による外側リング5断面の一方の軸方向端部を示す。一方の軸方向端部は、外側リング5の径方向内側に丸み部13を有しており、この丸み部13は、外側リング5内へのベース部7の挿入を容易にするために設けられている。
【0045】
図9は、
図7による外側リング5断面の他方の軸方向端部を示す。この軸方向端部は、外側リング5の径方向内側に面取り部14を有しており、この面取り部14は、ラジアルフォイル軸受1を取り扱うときに、又はラジアルフォイル軸受1を運搬するときに、フォイル2、3、及び4への損傷を防止するために設けられている。
【0046】
図10は、管状ベース部7が装着された状態の外側リング5の第2の変形形態を示す。この外側リング5は、もはやスロット12を有さず、その代わりに、
図11により良く例解されているいくつかの材料変位部15を有する。
【0047】
図11は、
図10による管状ベース部7を受容するための外側リング5を示す。外側リング5は、その軸方向端部において、軸方向8に互いに向かい合って位置し、外側リング5の材料から形成された材料変位部15を有する。径方向内向きに突設されているこれらの材料変位部15は、位置決め手段として設計された、ベース部フォイル4又は管状ベース部7のノッチ11に嵌合する。
【0048】
図12は、
図10の実施形態の軸方向8の断面を示す。
図7による外側リング5の丸み部13及び面取り部14に加えて、外側リング5は、これらの局所的かつ離散的な材料変位部15を有し得る。2つの湾曲セグメント6a及び6b又はそのフォイル2a、2b、3a、及び3bの重なりは、
図12で既に適切に記載されており、
図12で明確に視認可能である。
【0049】
図13は、
図12による外側リング5断面の一方の軸方向端部の詳細図を示す。径方向内側に向けられた材料変位部15は、周方向10及び軸方向8に管状ベース部7の位置を固定するために、ベース部フォイル4のノッチ11に係合する特定の位置で軸方向に外側リング5の材料を変位させることによって形成される。ここで、外側リング5に対する管状ベース部7の少なくとも1つの自由度が阻止される。
【0050】
図14は、
図12による外側リング5断面の他方の軸方向端部の詳細図を示す。
図13による外側リング5の軸方向8の一方の軸方向端部に向かい合う外側リング5の(他方の)端部において、外側リング5の材料は、径方向内向きに変位され、かつ外側リング5のこの軸方向側で径方向内向きに向けられた材料変位部15を形成し、この材料変位部15はまた、ベース部フォイル4のノッチ11に係合して、周方向10及び軸方向8における管状ベース部7の位置を更に固定し、外側リング5に対する管状ベース部7の更なる自由度を阻止する。
【0051】
図12による実施形態の代替形態として、
図13による材料変位部15の実施形態又は
図14による材料変位部15の実施形態のいずれかが、外側リング5の両方の軸方向端部に配設されることも考えられる。
【0052】
材料変位部15は、理想的には、変位プロセス中に湾曲セグメント6a、6b、6cのフォイルパッケージを損傷しないように、外側リング5を管状ベース部7に組み付ける前に既に導入されていてもよい。管状ベース部7は、その形状が非常に可撓性であるので、問題なく外側リング5に挿入され得る。
【0053】
図15は、装着された管状ベース部7を有する外側リング5の第3の変形形態を示す。
図5及び
図10の外側リング5とは対照的に、この外側リング5は、その一方の軸方向端部に材料変位部15を有すると同時に、外側リング5によって形成される環状カラー16は、その他方の軸方向端部に配設されている。
【0054】
図16は、
図15によるラジアルフォイル軸受1の詳細図を示す。矩形の材料変位部15が明確に視認可能であり、材料変位部15は、径方向内方に向けられた材料変位部15が作り出されるようにツールを外側リング5の材料に軸方向に押し込むことによって形成される。
【0055】
図17は、
図15による実施形態の軸方向8の断面を示す。
図17には、2つの湾曲セグメント6a及び6b又はそのフォイル2a、2b、3a及び3bの重なりが明確に視認可能であり、これらは、
図12において既に適切に記載されている。周方向10に延在する環状カラー16は、管状ベース部7が外側リング5内に設置されるときに、ここで停止部を形成するための局所的な材料変位部15の離散的な形成の代替形態としても明確に視認可能である。少なくともベース部フォイル4の厚さにおける環状カラー16と管状ベース部7のフォイルとの径方向の重なりは、湾曲セグメント6a~6cがベース部フォイル4に溶接され、ベース部フォイル4によって巻き付けられるので、管状ベース部7の軸方向の自由度を阻止するのに既に十分である。
【0056】
図18は、
図15による外側リング5断面の一方の軸方向端部の詳細図を示す。材料変位部15は、ノッチ11に係合し、周方向10及び軸方向8において管状ベース部7を固定している。材料変位部15は、径方向9においてノッチ11内に突設されている。
【0057】
図19は、
図15による外側リング5断面の他方の軸方向端部の詳細図を示す。環状カラー16は、管状ベース部7を軸方向8にのみ固定している。周方向10の固定は設けられていない。
【符号の説明】
【0058】
1 ラジアルフォイル軸受
2 トップフォイル
2a 第1のトップフォイル
2b 第2のトップフォイル
2c 第3のトップフォイル
3 波形フォイル
3a 第1の波形フォイル
3b 第2の波形フォイル
3c 第3の波形フォイル
4 ベース部フォイル
5 外側リング
6 湾曲セグメント
6a 第1の湾曲セグメント
6b 第2の湾曲セグメント
6c 第3の湾曲セグメント
7 管状ベース部
8 軸方向
9 径方向
10 周方向
11 ノッチ
12 スロット
13 丸み部
14 面取り部
15 材料変位部
16 環状カラー
17 溶接部
【国際調査報告】