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特表2024-512974デュアルビーム機能を備えたセンターフィード型とエッジフィード型のハイブリッドメタサーフェスアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】デュアルビーム機能を備えたセンターフィード型とエッジフィード型のハイブリッドメタサーフェスアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20240313BHJP
   H01Q 13/22 20060101ALI20240313BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q13/22
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558994
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022022766
(87)【国際公開番号】W WO2022212661
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/168,923
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/707,020
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】チャラビー ハミドレザ
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA10
5J021AA11
5J021AB05
5J021CA02
5J021DB03
5J021FA13
5J021FA26
5J021FA29
5J021FA32
5J021GA02
5J021HA10
5J021JA05
5J045AA12
5J045CA02
5J045CA03
5J045DA05
5J045EA06
5J045FA02
5J045GA07
5J045HA01
5J045JA03
5J045NA01
(57)【要約】
ハイブリッド給電方式を有するアンテナ及びこのアンテナを使用する方法。一部の実施形態において、デュアルビーム機能を備えたメタサーフェスアンテナは、センターフィード導波構造及びエッジフィード導波構造からの給電波によって給電される。一部の実施形態において、アンテナは、2つの伝播波と同時に相互作用することに応答して2つのビームを同時に生成できる無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、2つの伝播波をRF放射アンテナ素子のアレイに給電するように結合された給電構造部とを備え、給電構造部は、2つの伝播波が反対方向に伝播するRF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの伝播波と同時に相互作用することに応答して2つのビームを同時に生成することができる無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、
前記2つの伝播波を前記RF放射アンテナ素子のアレイに給電するために結合され、前記2つの伝播波が反対方向に伝播する前記RF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する給電構造部と、
を備えるアンテナ。
【請求項2】
前記アレイは、メタサーフェスの一部である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アレイは、前記2つのビーム上で同時に受信及び送信することができる、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記給電構造部は、
前記2つの伝播波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構と、
前記2つの伝播波を前記センターフィード及びエッジフィード給電機構に導入するよう構成されたポートのペアと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1の導波路は、前記アンテナ素子のアレイと前記第2の導波路の間にある、ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1の導波路と前記第2の導波路の間に結合された方向性カプラを更に備える、ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記給電構造部は、
第1及び第2の導波路が第3の導波路の真下にあり且つガイドプレートによって分離され、前記第2及び第3の導波路が方向性カプラによって分離されてスタックを形成する3つの導波路と、
第1及び第2の伝播波を含む前記2つの伝播波をそれぞれ前記第1及び前記第2の導波路に導入するよう構成され、前記第1の伝播波が、前記第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、前記第1及び第2の導波路の外縁にて前記第2の導波路に入り、前記第2の導波路の中心位置に向けて進み、前記第2の伝播波が、前記第1の伝播波の反対方向に第2のガイドの中心位置から外向きに伝播し、前記第1及び第2の伝播波が、前記方向性カプラを通って前記第3の導波路に入り、前記第3の導波路で反対方向に伝播する、ように構成された第1及び第2のポートと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記RF放射アンテナ素子のアレイを制御して前記RF放射アンテナ素子を同調させ互いに関係なく前記2つのビームを制御するように結合されたコントローラを更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記コントローラは、異なる指向方向、異なる偏波及び異なる周波数の1又は2以上を有するように前記2つのビームを制御することができる、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えることができる、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
アンテナであって、
無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイを有し且つ2つの伝播波と同時に相互作用することによって2つのビームを同時に生成することができるメタサーフェスと、
前記2つの伝播波を前記RF放射アンテナ素子のアレイに給電するために結合され、前記2つの伝播波が反対方向に伝播し且つ互いに直交する前記RF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する給電構造部と、
前記メタサーフェスを制御して前記RF放射アンテナ素子を同調させて互いに関係なく前記2つのビームを制御するように結合されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、異なる指向方向、異なる偏波及び異なる周波数の1又は2以上を有するように前記2つのビームを制御することができる、ことを特徴とするアンテナ。
【請求項12】
前記コントローラは、前記2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えることができる、ことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記アレイは、前記2つのビーム上で同時に受信及び送信することができる、ことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記給電構造部は、
前記2つの伝播波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構と、
前記センターフィード及びエッジフィード給電機構に前記2つの伝播波を導入するよう構成されたポートのペアと、
を含む、ことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記第1の導波路は、前記アンテナ素子のアレイと前記第2の導波路の間にある、ことを特徴とする請求項14に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記第1の導波路と前記第2の導波路の間に結合された方向性カプラを更に備える、ことを特徴とする請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記エッジフィード給電機構は、前記2つの伝播波の第1の伝播波の一部分が前記方向性カプラの上方の前記第1の導波路に入り、前記第1の給電波の別の部分が前記第2の導波路に入るように構成される、ことを特徴とする請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記センターフィード給電機構は、前記2つの伝播波の第2の伝播波の一部分が前記方向性カプラの上方の前記第1の導波路に入り、第2の給電波の別の部分が前記第2の導波路に入るよう構成される、ことを特徴とする請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記給電構造部は、
第1及び第2の導波路が第3の導波路の真下にあり且つガイドプレートによって分離され、前記第2及び第3の導波路が方向性カプラによって分離されてスタックを形成する3つの導波路と、
第1及び第2の伝播波を含む前記2つの伝播波をそれぞれ前記第1及び前記第2の導波路に導入するよう構成され、前記第1の伝播波が、前記第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、前記第1及び第2の導波路の外縁にて前記第2の導波路に入り、前記第2の導波路の中心位置に向けて進み、前記第2の伝播波が、前記第1の伝播波の反対方向に第2のガイドの中心位置から外向きに伝播し、前記第1及び第2の伝播波が、前記方向性カプラを通って前記第3の導波路に入り、前記第3の導波路で反対方向に伝播する、ように構成された第1及び第2のポートと、
を含む、ことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項20】
ポートのペアを介して、2つの給電波を給電構造部に導入するステップと、
前記給電構造部において前記2つの給電波を導波路を用いて伝播させるステップと、
前記給電波が反対方向に伝播し且つ互いに直交するときに前記2つの給電波と同時に相互作用することによって、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイを有するメタサーフェスを使用して2つのビームを同時に生成するステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記給電構造部は、前記2つの給電波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構を含み、
前記ポートのペアを介して、前記2つの給電波を前記給電構造部に導入するステップが、前記第1及び第2の給電波をそれぞれ前記第1及び第2の導波路に導入するステップを含み、
前記給電構造部において前記2つの給電波を前記導波路を用いて伝播させるステップが、
前記第1の給電波を前記第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、前記第1及び第2の導波路の外縁にて前記第2の導波路に入り、前記第2の導波路の中心位置に向けて進むステップと、
前記第2の給電波を前記第1の給電波の反対方向に前記第2のガイドの中心位置から外向きに伝播させるステップと、
前記第1及び第2の給電波を方向性カプラを用いて前記第2の導波路から前記第3の導波路に伝播させるステップと、
前記第1及び第2の給電波を前記第3の導波路において反対方向に伝播させるステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えるステップを更に含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる、「デュアルビーム機能を備えたセンターフィード型とエッジフィード型のハイブリッドメタサーフェスアンテナ」という名称の2021年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/168,923号明細書及び2022年3月29日に出願された米国非仮特許出願第17/707,020号明細書の非仮出願であり、これらの利益を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明の実施形態は、無線通信に関し、より詳細には、本発明の実施形態は、マルチ給電構造部のハイブリッドを用いて無線周波数(RF)放射アンテナ素子と相互作用する給電波を提供する無線通信用のアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
メタサーフェスアンテナは、軽量で低コストの平面物理プラットフォームから誘導される指向性ビームを生成する新しい技術として近年現れてきた。このようなメタサーフェスアンテナは、例えば衛星通信などの幾つかの応用に近年使用されてきている。
【0004】
メタサーフェスアンテナは、通信に用いるために制御することができるビームを生成するために給電波から選択的にエネルギーを結合することができるメタマテリアルアンテナ素子を含むことができる。これらのアンテナは、安価で製造が容易なハードウェアプラットフォームからのフェーズドアレイアンテナに匹敵する性能を達成することができる。
【0005】
一部の以前に実証されたアンテナ構造は、複数のビームを同時に生成することを示してきた。しかしながら、異なる衛星との同時接続のために類似の帯域幅及び指向性を持つビームの数を増やすことは、要求される追加のエリアフットプリントを犠牲にして成り立つ。換言すると、ビームの数は、アンテナのフットプリントのサイズを同様に大きくする限り増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/168,923号明細書
【特許文献2】米国非仮特許出願第1の7/707,020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッドの給電方法を有するアンテナ及びこのアンテナを用いる方法。一部の実施形態において、デュアルビーム機能を備えたメタサーフェスアンテナは、センターフィード導波構造及びエッジフィード導波構造からの給電波によって給電される。一部の実施形態では、アンテナは、2つの伝播波と同時に相互作用することに応答して2つのビームを同時に生成することができる無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、2つの伝播波をRF放射アンテナ素子のアレイに給電するように結合され、2つの伝播波が反対方向に伝播するRF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する給電構造部とを含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
記述する実施形態及びこの利点は、添付の図面に関して取り入れられる以下の説明を参照することによって良く理解することができる。これらの図面は、記述する実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって記述する実施形態に行い得る形態及び詳細における何れの変更も決して制限することはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】任意の方向又は偏波を有する2つの同時ビームの生成のための提案されるアンテナ設計を示す図である。
図2】アンテナ制御ユニット(ACU)の一部の実施形態を示す図である。
図3】1つのアンテナアパーチャによって2つのビームを同時に生成する処理の一部の実施形態を示す流れ図である。
図4】11GHzの選択された波長のアンテナ素子間のセルピッチ距離を有する指向性のバリエーションを示す図である。
図5】センターフィード型とエッジフィード型のハイブリッド給電構造部を用いて電波を誘導する3つの追加のアンテナ実施形態を示す図である。
図6】センターフィード型とエッジフィード型のハイブリッド給電構造部を用いて電波を誘導する3つの追加のアンテナ実施形態を示す図である。
図7】センターフィード型とエッジフィード型のハイブリッド給電構造部を用いて電波を誘導する3つの追加のアンテナ実施形態を示す図である。
図8】円筒状給電ホログラフィック半径アパーチャアンテナの1つの実施形態を示す略図である。
図9A】グランドプレーン及び再構成可能共振層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
図9B】円筒状給電アンテナ構造部の1つの実施形態を示す側面図である。
図10】外向き波を有するアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
図11】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
図12】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
図13】同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本発明の完全な解説を提供するために多数の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないために、公知の構造及びデバイスを詳細にではなくブロック図の形式で示す。
【0011】
ハイブリッド給電を有するアンテナ及びこのアンテナを用いる方法を開示する。一部の実施形態において、アンテナは、センターフィード導波構造とエッジフィード導波構造を組み合わせた給電構造部から給電波を給電される。一部の実施形態において、給電波は半径給電波である。一部の実施形態において、アンテナアパーチャは、漏洩電波アンテナの一部であり且つ副波長放射スロットを有する。一部の実施形態において、アンテナは、無線周波数(RF)エネルギーを放射する複数のメタマテリアルアンテナ素子を有するメタサーフェスを含む。このようなアンテナ素子は、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子とすることができる。このようなアンテナ素子の例は、液晶(LC)同調表面散乱メタマテリアルアンテナ素子、1又は2以上のバラクターダイオードが放射スロットアンテナ素子の同調に用いられるバラクターベースのメタマテリアルアンテナ素子などを含む。
【0012】
本明細書で開示する実施形態は、2つの異なる同時ビーム上で同時に受信及び送信する機能を含むデュアルビーム機能を備えたメタサーフェスアンテナを含む。2つのビームは、2つの異なる衛星に通信可能に結合することができる。
【0013】
一部の実施形態において、アンテナは、放射メタサーフェスと、反対方向に進行する2つの電波でメタサーフェスを同時に給電することができる給電デバイスを含む。メタマテリアルアンテナ素子(例えば、表面散乱無線周波数(RF)放射メタマテリアルアンテナ素子など)を備えたこのようなメタサーフェスデバイスの例を以下に詳しく論じる。これらの2つの電波は、半径導波路の上部に位置付けられるアンテナ素子を励起する。入射及び射出半径電波の正規性のために、各電波が、異なる目標を向いている異なるビームを持つビームを生成するように、アンテナ素子を同調することができる。この設計の1つの利点は、各ビームに対する指向性及び帯域幅のレベルを保持すると同時に2つのチャネル間に最良の分離レベルを与えられるということである。
【0014】
一部の実施形態において、デュアルビームを同時に生成する機能を備えたメタサーフェスアンテナは、センターフィード型導波構造及びエッジフィード型導波構造からの給電波を給電される。従って、給電は、「センターフィード」及び「エッジフィード」給電機構の両方を統合したハイブリッドアーキテクチャである。一部の実施形態において、2つを統合した給電機構は、給電の1つの導波路の中心に向けて及び他の給電の導波路の端に向けて移動する放射状電波を伝播する。2つの電波は、給電構造部の上部に配置されたメタサーフェスと相互作用し、これらは選択可能な方向及び偏波を持つ2つのビームを生成する。
【0015】
一部の実施形態において、2つのビームは、これらの指向角度で互いから独立しており、これによって2つのビームは、各々から独立し、アンテナの実施形態は、指向性又は帯域幅を失うことなく同時に2つの衛星にデータを送信及び受信するよう構成することができる。一部の実施形態において、2つのビームの生成は、ビームが何れの任意の偏波の組み合わせも有することができる及び/又は2つのビームが作動の帯域内で何れの任意の周波数の組み合わせも有することができるように制御される。これは、2つの入力給電によって励起される制御可能な方向及び偏波を持つ2つのビームの生成に同じアパーチャ及びアンテナ素子を用いることを結果として生じる。一部の実施形態において、アンテナは、2つのビームを同時に受信し、互いとの最小の干渉によってアンテナの背部の2つの別々のポートに2つのビームを誘導する。
【0016】
更にまた、一部の実施形態において、アンテナは、追加のビームの生成に何れの追加のエリアフットプリント又はアンテナ素子も必要とせず、これによって縮小サイズと2つの同時ビームを生成するのに必要なハードウェアを結果として生じる。すなわち、本明細書に記述するアンテナ設計は、アパーチャサイズを大きくする必要又はアパーチャ効率又は帯域幅を犠牲にすることなく任意の方向の2つの衛星との同時双方向接続を達成する。
【0017】
図1は、アンテナの一部の実施形態の側面断面図を示す。アンテナは、構成可能なビーム方向及び/又は偏波を持つ2つの同時ビームを生成することができ、これによって何れの要求される方向及び偏波も有するビームを生成することができる。2つのビームは、アンテナのRF放射アンテナ素子と相互作用するアンテナの給電構造部に導入される2つの給電波を用いてアンテナによって生成される。2つの導入される給電波は、アンテナ素子の下にあり(給電構造部の上部に位置付けられる)調節可能な方向及び偏波を有する2つのビームを生成するためにアンテナ素子と相互作用する給電構造部の少なくとも1つのガイドで反対方向に伝播する。
【0018】
図1を参照すると、アンテナ素子120を備えたメタサーフェス101は、給電構造部100の上部に結合される。本明細書で論じるように、一部の実施形態において、アンテナ素子120は、例えば、サブ波長放射スロット、RFエネルギー放射アンテナ素子(例えば、表面散乱メタマテリアル(例えば、液晶(LC)ベースのアンテナ素子、バラクターベースのメタマテリアルアンテナ素子など))などを含むことができる。
【0019】
一部の実施形態において、給電構造部100は、3つの層の導波路を含む。本明細書でガイド1-3と示す3つの層は、導波路102及び103の一部である。給電構造部100はまた、アンテナの背部にある方向性カプラ104とポート105及び106を含む。導波路102は、メタサーフェス101に接してメタサーフェス101の下に結合される。導波路102はまた、導波路103の上部にあり導波路103に結合される。導波路103の2つの下部ガイド1及び2は、中間ガイドプレート140によって分離されている。一部の実施形態において、中間ガイドプレート140は、金属シートを含む。
【0020】
方向性カプラ104は、導波路102と103のガイド3と2にそれぞれ結合され、ガイド3と2を分離する。方向性カプラ104は、アンテナ素子120に(方向性カプラ104が存在しない場合よりも)より均一にガイド3に伝播する電波を提供するよう作動する。この方式での方向性カプラ104の使用は、当技術では周知である。一部の実施形態において、方向性カプラ104は、プリント回路基板(PCB)基板又は1つの側に銅性特徴を有する他のタイプの基板を含み、更により均一な方式で給電波110及び111をアンテナ素子120に提供するよう動作する。一部の実施形態において、銅性特徴は、PCBにある穴である。
【0021】
ポート105は、導波路103のガイド1に接続され給電波110を導波路103のガイド1に提供し、一方でポート106は、導波路103のガイド2に接続され導波路103のガイド2に給電波111を提供する。一部の実施形態において、給電波110及び111は、放射状電波であり、メタサーフェス101及び給電構造部100は、円筒形である(上部から見た時)点に留意されたい。給電波110及び111と相互作用することによって、アンテナ素子120はビーム1及びビーム2を生成する。一部の実施形態において、ガイド1からのポート105の距離、又はポート105の高さは、給電波110をガイド1に導入することから生じる可能性がある反射を低減、及び場合によっては最小にするよう選択される。
【0022】
給電構造部100のエッジフィード作動。一部の実施形態において、給電波110がポート105に挿入された時に、給電波110はガイド1に結合し、TEMモードの形態で外縁に向けて外向きに放射状に進行する。給電波110が端に到達したら、給電波はガイド2に移り更に中心に向けて進行し、進行する間に電波は方向性カプラ104を介して出力をガイド3に結合する。これは、中心に向けて進行するガイド3の電波を生成し、メタサーフェス101のアンテナ素子120と相互作用して本明細書ではビーム1と呼ばれる第1のビームを形成する。
【0023】
給電構造部100のセンターフィード作動。一部の実施形態において、第2の給電波111が、第2のポート、ポート106に挿入されたとき、給電波111は、アンテナの中心で直接ガイド2に結合する。給電波111は、ガイド2で外向きに進行し、進行する間は方向性カプラ104を介してガイド3に出力を結合し、給電波110とは反対方向に進行する。給電波110と同様、給電波111は、メタサーフェス101のアンテナ素子120と相互作用して、本明細書ではビーム2と呼ばれる第2のビームを生成する。
【0024】
エッジフィード及びセンターフィード作動について上記に示した説明は、送信モードを示す。受信モードは、類似の方式で作動する。電波の反対進行方向のために、2つのビームの間の最大分離を獲得することができる。
【0025】
図1に示すように、アンテナは、2つのビームを同時に生成する。一部の実施形態において、2つのビームの生成は、変調をアンテナ素子に加えることによって起こる。一部の実施形態において、アンテナ素子に加えられる変調は、ビームの各々の変調の組み合わせである。一部の実施形態において、アンテナ素子に加えられる変調は、各ビームの生成に必要な変調の平均値であり、このことは、選択された方向及び/又は偏波によって2つの同時ビームが生成されることを結果として生じる。
【0026】
図2は、アンテナ素子のアレイの変調を生成するアンテナ制御ユニット(ACU)の一部の実施形態を示す。一部の実施形態において、ACUは、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ソフトウェア(例えば、チップ又はプロセッサで実行されるソフトウェアなど)、ファームウェア、又は3つの組み合わせを含む。
【0027】
図2を参照すると、ACU200のビーム方向及び偏波生成器201は、2つのビームのビーム方向及び偏波(210)を生成し、これらをビーム変調決定モジュール202に提供する。これに応じて、ビーム変調決定モジュール202は、アンテナ素子の変調を生成する。一部の実施形態において、ビーム変調決定モジュール202は、各ビームの変調を決定し、次にこれらの2つの変調を1つの変調、例えば、2つの変調を平均化することによって組み合わせることにより変調を生成する。
【0028】
ACU200のアンテナアレイコントローラ(例えば、マトリクス駆動パターン生成器)203は、アレイ220のアンテナ素子(例えば、図1のメタサーフェス101のアンテナ素子120)に送られる同調(駆動)電圧及び制御信号(230)を生成する。同調電圧及び制御信号(230)に基づいて、アンテナ素子は、同時に2つのビームを生成する。
【0029】
図3は、アンテナ素子を有する1つのアンテナアパーチャによって2つのビームを同時に生成する処理の一部の実施形態を示す流れ図である。処理は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ソフトウェア(例えば、チップ又はプロセッサで実行されるソフトウェアなど)、ファームウェア、又は3つの組み合わせを含む処理論理によって実行される。
【0030】
図3を参照すると、処理は、ビーム1及びビーム2の各々の方向及び偏波を決定する処理論理によって開始する(処理ブロック301)。ビーム1及び2のビーム方向及び偏波に基づいて、処理論理は、ビーム1の変調及びビーム2の変調を決定する(処理ブロック302)。2つの変調によって、処理論理は、例えば、2つの変調を共に平均化してアンテナ素子のアレイに加えられる1つの変調を生成することによってこれらを組み合わせる(処理ブロック303)。代替として、処理論理は、幾何学的平均化を用いてこれらを組み合わせることができる。
【0031】
組み合わせ変調が生成されたら、処理論理は、組み合わせ変調に基づいてアンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子のアレイを有するメタサーフェス)に加えられる同調電圧を決定する(処理ブロック304)。一部の実施形態において、組み合わせ変調から同調電圧を生成する処理は、ユークリッド変調処理の一部として達成可能な変調状態に変調をマップするユークリッドマッピングを適用して、これらの達成可能な状態に基づいて対応する同調電圧を印加するステップを含む。ユークリッド変調について更に情報を得るには、2020年6月16日に発表された「制限付きユークリッド変調」という名称の米国特許第10,686,636号を参照されたい。アンテナ素子の同調電圧が選択されたら、処理論理は、同調電圧をアンテナ素子に印加する(処理ブロック305)。
【0032】
また、処理の一部として、処理論理は、2つの給電波を制御して、ポートのペアを介してアンテナ素子の給電構造部に2つの給電波を導入させる(処理ブロック306)。給電波は、導波路を用いて給電構造部を通って伝播して、アンテナ素子に到達する(307)。同調電圧及び2つの給電波に基づいて、アンテナ素子は、(給電波が反対方向に伝播するので)2つの給電波と同時に相互作用することによって2つのビームを同時に生成する(308)。
【0033】
一部の実施形態において、ガイド(例えば、図1のガイド2及び2)の反対方向に伝播する2つの給電波は、互いに直交する(表面消失を超える関数の積の積分の点で)。これは、2つのチャネルが分離され2つのビームの生成に同じアパーチャを使用する確率を提供するという事実に至る。このアンテナ設計技術は、第2のビームの生成に同じアパーチャフットプリントを再使用できるようにし更に帯域幅又はアパーチャ効率を犠牲にすることなく2つのビームの生成を可能にする点に注目されたい。
【0034】
一部の実施形態において、アンテナ素子のインピーダンスは、第1のビーム及び第2のビームの生成に必要な平均値に同調することができる。給電構造部の円筒状導波路の中心及び端に向かって反対方向に進行する生成された波形の正規直交性及びアンテナ素子のインピーダンスの割り当てられた値のために、アンテナは、帯域幅及びアパーチャ効率を犠牲にすることなく2つのビームを生成する。
【0035】
一部の実施形態において、数値モデリングを用いて、2つのチャネル間の分離は無視して良くなり、アパーチャ効率のレベルは、互いからサブ波長距離に位置付けられるアンテナ素子を用いることによって理論的に達成可能な値に達する。図4は、アンテナ素子の類似の数を用いるモノビームアンテナの1つに関する指向性の類似の量が、この報告されたデュアル給電デュアルビーム設計によって達成可能であることを示している。11GHzの選択された波長のアンテナ素子間のセルピッチ距離を持つ指向性のバリエーションを図4に示している。図4に示すように、指向性は、0.15インチ又はこれより小さいセルピッチ距離を用いることによって理論的な制限値に近くなり、これは、アパーチャ効率の同じレベルとの近さが、一部のシングルビームアンテナに用いられるものと類似の数のアンテナ素子を用いる本明細書に記述するデュアル給電アンテナの実施形態に対しても到達できることを意味する。
【0036】
2つの給電に対応する電波が少なくとも1つの導波路の反対方向に移動する、図1に示したアンテナ構造に加えて、2つの給電を用いてアンテナ素子に2つの給電波を供給する追加の実施形態が図5-7に示されている。詳細には、図5-7は、センターフィード及びエッジフィード給電構造部に対応する電波を誘導する3つの追加のアンテナ実施形態を示している。これらのアンテナ実施形態は、各ビームのアパーチャ分布を調整して高アパーチャ効率を獲得する能力を提供する。
【0037】
図5を参照すると、給電構造部500は、給電波を給電するエッジフィード給電構造部502、給電波を給電するセンターフィード給電構造部501、及びエッジフィード電波502が、給電波501が伝播するガイドに入ることなく上部導波路に直接入る方向性カプラ510を含む。図6又は図7では、中間又は上部層に向けて移動するエッジフィード又はセンターフィード電波の出力の比を制御することができる。一部の実施形態において、この比は、幾何学パラメータの制御を介して分割器を用いることによって制御される。これらの実施形態は、各ビームのアンテナのアパーチャ分布を調整する更なる融通性を提供し、これらをより均一にしてアパーチャ効率における最大理論的制限値に達することを可能にする。
【0038】
詳細には、図6は、給電波を給電するエッジフィード給電構造部602、給電波を給電するセンターフィード給電構造部601、及びエッジフィード電波602の一部(1-p)が方向性カプラ610の上の上部導波路に入りエッジフィード電波602の別の部分(p)が方向性カプラ610(センターフィード電波601が伝播する)の下のガイドに直接入る方向性カプラ610を含む給電構造部600を示す。
【0039】
図7は、給電波を給電するエッジフィード給電構造部702、給電波を給電するセンターフィード給電構造部701、及び方向性カプラ710を含む給電構造部700を示す。この場合、エッジフィード電波702の一部(1-p)は、方向性カプラ710の上の上部導波路に入り、エッジフィード電波702の別の部分(p)は、給電波701が伝播するガイドに入る。同様に、センターフィード電波701の一部(1-q)は、方向性カプラ710の上の上部導波路に入り、センターフィード電波701の別の部分(q)は、方向性カプラ710の下のガイドに直接入る。
【0040】
本明細書で開示する実施形態は、2つの衛星との同時接続の目的に用いることができる。一部の実施形態において、2つの円筒状導波路は、入力給電を誘導しこれらを上部に位置付けられたアンテナ素子に結合するために用いられる。アンテナ素子のインピーダンスを制御することによって、ビームの方向及び偏波を独立させて制御することができる。
【0041】
本明細書で開示するアンテナ実施形態の1つの実施形態の利点は、導入される給電の伝播のために2つの導波路を含み、次に2つのビームを異なる方向に向けることによる選択可能な偏波によって2つのビームを生成することである。更にまた、本明細書に記述するアンテナの実施形態は、アパーチャ効率又は帯域幅の減少をもたらさない。
【0042】
アンテナ実施形態の実施例
上述の技術は、平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。一部の実施形態では、アンテナアパーチャは、例えば、以下に記述するアンテナアパーチャなどのメタサーフェスアンテナアパーチャである。一部の実施形態において、アンテナ素子は、例えば、2021年2月18日に公表された「マス転送技術によって製造されるメタサーフェスアンテナ」という名称の上述及び米国特許出願公表第20210050671号などのダイオード及びバラクターを含む。他の実施形態において、アンテナ素子は、2018年2月6日に発行された「誘導可能円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国特許第19,887,456号に開示されるものなどのLCベースのアンテナ素子、又は他のRF放射アンテナ素子を含む。一部の実施形態において、平面アンテナは、行及び列に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動するためのマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。一部の実施形態において、素子は、リング状に配置される。
【0043】
一部の実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、互に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。一部の実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0044】
図8は、円筒状給電ホログラフィック放射状アパーチャアンテナの1つの実施形態の略図を示す。図8を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部802の周りの同心円リングに配置されたアンテナ素子803の1又は2以上のアレイ801を有する。一部の実施形態において、アンテナ素子803は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。一部の実施形態において、アンテナ素子803は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブ及び分散されるRx及びTxアイリス両方を含む。このようなRx及びTxアイリス、又はスロットは、3又は4以上のセットのグループとすることができ、ここで各セットは、別々に及び同時に制御される帯域のためである。アイリスを備えたこのようなアンテナ素子の実施例を以下に詳しく記述する。本明細書に記述するRF共振器は、円筒状給電を含まないアンテナに用いることができる点に留意されたい。
【0045】
一部の実施形態において、アンテナは、入力給電部802を介した円筒状電波給電を提供するために用いられる同軸給電部を含む。一部の実施形態において、円筒状電波給電アーキテクチャは、給電ポイントから円筒状方式で外向きに拡大する励起によって中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進行する同心円給電波を生成する。だとしても、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、四角、又は何れの形状にもすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進行する給電波を生成する。このような場合、給電波の多くが、当然ながら円形構造から発生する。
【0046】
一部の実施形態において、アンテナ素子803は、アイリス(アイリス開口部)を含み、図8のアパーチャアンテナは、同調型ダイオード及び/又はバラクターを介してアイリス開口部に放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形作られるメインビームを生成するために用いられる。一部の実施形態において、アンテナは、所望の走査角度の水平又は垂直偏波電界を放射するために励起することができる。
【0047】
一部の実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、上述のように単位セルの一部である。一部の実施形態において、単位セルは、上述の直接駆動実施形態によって駆動される。一部の実施形態において、各単位セルのダイオード/バラクターは、同調電極(例えばアイリス金属)に関連付けられる上部コンダクタからアイリススロットに関連付けられる下部コンダクタを有する。ダイオード/バラクターを制御して、アイリス開口部とパッチ電極の間のバイアス電圧を調節することができる。この特性を用いて、一部の実施形態において、ダイオード/バラクターは、導波から単位セルへのエネルギーの伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチオンされた時に、ユニットは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を発する。本明細書の技術は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する単位セルを有することに制限されない点に留意されたい。
【0048】
一部の実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。一部の実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1つの波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0049】
一部の実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0050】
各単位セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してパッチ電極に電圧を印加することによって制御される。各パッチ電極へのトレースは、パッチ電極に電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用されるダイオード/バラクターに依存する。
【0051】
一部の実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチ電極に電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0052】
一部の実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用の駆動電子機器を含むアンテナアレイコントローラは、本明細書に記述するような表面散乱アンテナ素子の波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。一部の実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整し、商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0053】
一部の実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステム及び/又はアンテナシステムの一部でなくてもよい他のシステムによってプロセッサに提供することができる。
【0054】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0055】
送信については、コントローラが、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。一部の実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。一部の実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する、可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0056】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔をあけて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0057】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0058】
一部の実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームとを生成する。一部の実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。一部の実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。一部の実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0059】
図9Aは、グランドプレーン945及び再構成可能な共振器層930を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層930は、同調型スロット910のアレイ912を含む。同調型スロット910のアレイ912は、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。同調型スロット910の各々は、バラクターダイオードの静電容量を変化させ、放射アンテナ素子の振幅及び位相を変化させる周波数シフトを生じることによって同調/調整することができる。アレイ状のアンテナ素子の適正な位相及び振幅の調整は、ビーム形成及びビーム誘導性を結果として生じることになる。
【0060】
制御モジュール980、又はコントローラは、再構成可能共振器層930に結合され、ダイオード/バラクターへの電圧を変化させることによって同調型スロット910のアレイ912を変調する。制御モジュール980は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。一部の実施形態において、制御モジュール980は、同調型スロット910のアレイ912を駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。一部の実施形態において、制御モジュール980は、同調型スロット910のアレイ912上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール980と同様の制御モジュールは、本開示の様々な実施形態に記載された同調型スロットの各アレイを駆動することができる。
【0061】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波905などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、同調型スロット910のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのwin及び外向き波に関する波動方程式としてのwoutを用いて、
によって計算される。
【0062】
パッチ電極とアイリス開口部との間の電圧は、アンテナ素子(例えば、同調型共振器/スロット)を同調するように変調することができる。電圧を調整すると、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、スロットの共振周波数は、式
に従って変化し、ここで、fは、スロットの共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロットのインダクタンス及び静電容量である。スロットの共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波905から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波905が20GHzである場合には、スロット910の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、スロット910が、給電波905からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット910の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット910が、給電波905からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいてはスロット910の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット910から放射されるエネルギーを精密に制御して、同調型スロットのアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0063】
一部の実施形態において、行における同調型スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。一部の実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された同調型スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0064】
図9Bは、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造部(すなわち、2つの層の給電構造部)を使用して内向き進行波を生成する。一部の実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。一部の実施形態において、図9Bのアンテナ構造は、例えば、2018年2月6日に発行された「誘導可能円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国特許第9,887,456号、又は2021年2月18日に公表された「マス転送技術によって製造されるメタサーフェスアンテナ」という名称の米国特許出願公表第20210050671に記載されるような同軸給電部を含む。
【0065】
図9Bを参照すると、同軸ピン901は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。一部の実施形態において、同軸ピン901は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン901は、導電性グランドプレーン902であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0066】
内部導体である間隙導体903は、導電性グランドプレーン902から離隔される。一部の実施形態において、導電性グランドプレーン902及び間隙導体903は互いに平行である。一部の実施形態において、グランドプレーン902と間隙導体903との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0067】
グランドプレーン902は、スペーサ904を介して間隙導体903から離隔される。一部の実施形態において、スペーサ904は、発泡体又は空気状スペーサである。一部の実施形態において、スペーサ904は、プラスチックスペーサを含む。
【0068】
間隙導体903の上部には、誘電体層905がある。一部の実施形態において、誘電体層905はプラスチックである。誘電体層905の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。一部の実施形態において、誘電体層905は、自由空間に対して30%進行波を減速する。一部の実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体層905として使用することができる。
【0069】
RFアレイ906は誘電体層905の上部にある。一部の実施形態において、間隙導体903とRFアレイ906との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0070】
アンテナは、側面907及び908を含む。側面907及び908は、同軸ピン901からの進行波給電が反射によって間隙導体903の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体903の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。一部の実施形態において、側面907及び908の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面907及び908は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。図9Bは、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何れかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0071】
動作中、給電波が同軸ピン901から供給されると、この給電波は、グランドプレーン902と間隙導体903との間の領域で同軸ピン901から同心円状に外向きに進む。同心円状外向き波は、側部907及び908により反射され、間隙導体903とRFアレイ906との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層905によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ906の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0072】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部909がアンテナに含まれる。一部の実施形態において、終端部909は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部909は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造部を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ906の上部で使用することができる。
【0073】
図10は、アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示している。図10を参照すると、2つのグランドプレーン1010、1011は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーン1010、1011の間に誘電体層1012(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1019(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1010及び1011を共に結合する。同軸ピン1015(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1016は、誘電体層1012及びグランドプレーン1011の上部に存在する。
【0074】
動作中、給電波は、同軸ピン1015を介して供給され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1016の素子と相互作用をする。
【0075】
図9B及び図10の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。一部の実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45° Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25° EI)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何れかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0076】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造部を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0077】
波散乱素子のアレイ
図9BのRFアレイ906及び図10のRFアレイ1016は、放射体として機能する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0078】
一部の実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、単位セル素子を、給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決め可能にする。この素子の位置により、素子から生成され又は素子によって受け取られる自由空間波の偏波の制御が可能になる。一部の実施形態において、単位セルは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0079】
セル配置
一部の実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。図11は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。図11を参照すると、行コントローラ1101は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1111及び1112に結合され、列コントローラ1102は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1111及び1112に結合される。また、トランジスタ1111は、ダイオードへの接続1131を介してアンテナ素子1121に結合され、トランジスタ1112は、ダイオードへの接続1132を介してアンテナ素子1122に結合される。
【0080】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0081】
一部の実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。これにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0082】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0083】
幾つかの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。図12は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。図12を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1203が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1201に接続された2つの入力ポートと、トレース1202に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。幾つかの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。幾つかの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0084】
全二重通信システムの例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。図13は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つより多い受信経路を含むことができる。
【0085】
図13を参照すると、アンテナ1301は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。幾つかの実施形態において、アンテナ1301は、ダイプレクサ1345に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。幾つかの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1345は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1301とダイプレクサ1345の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0086】
ダイプレクサ1345は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1327に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。幾つかの実施形態において、LNB1327は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1327は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1327は、コンピューティングシステム1340(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1360に結合される。
【0087】
モデム1360は、アナログデジタル変換器(ADC)1322を含み、このADCは、LNB1327に結合されて、ダイプレクサ1345から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1323によって復調されて、復号器1324によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1325に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1340に送る。
【0088】
モデム1360は更に、コンピューティングシステム1340から送信されたデータを符号化するエンコーダ1330を含む。符号化されたデータは、変調器1331によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1332によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1333によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1345の1つのポートに供給される。幾つかの実施形態において、BUC1333は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0089】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1345は、伝送のため送信信号をアンテナ1301に供給する。
【0090】
コントローラ1350は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1301を制御する。
【0091】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正される。このような場合、コンバイナ/アービターはモデムの後であるがBUC及びLNBの前である。
【0092】
図13に示した全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェアアップデートを含む)などを含む幾つかの応用を有する点に留意されたい。
【0093】
図1-13に関して、他の同調型コンデンサ、同調型静電容量ダイ、パッケージ化ダイ、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、又は他の同調型静電容量デバイスは、本明細書に記載する実施形態、他の実施形態のバリエーションでアパーチャ又はその他に配置できることを理解されたい。物質移動技術は、電子的走査アレイ、及び、様々な他の電気、電子及び電気機械デバイスのための様々な基板への様々なダイ、パッケージ化ダイ又はMEMSデバイスの配置を含めて、他の実施形態にも応用できる。
【0094】
本明細書に記載される幾つかの例示的実施形態が存在する。
【0095】
実施例1は、2つの伝播波と同時に相互作用することに応答して2つのビームを同時に生成することができる無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、2つの伝播波をRF放射アンテナ素子のアレイに給電するために結合され、2つの伝播波が反対方向に伝播するRF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する給電構造部と、を備えるアンテナである。
【0096】
実施例2は、アレイがメタサーフェスの一部である、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0097】
実施例3は、アレイが2つのビーム上で同時に受信及び送信することができる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0098】
実施例4は、給電構造部は、2つの伝播波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構と、2つの伝播波をセンターフィード及びエッジフィード給電機構に導入するよう構成されたポートのペアと、を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0099】
実施例5は、第1の導波路が、アンテナ素子のアレイと第2の導波路の間にある、ことを任意選択的に含むことができる実施例4のアンテナである。
【0100】
実施例6は、第1の導波路と第2の導波路の間に結合された方向性カプラを任意選択的に含むことができる実施例5のアンテナである。
【0101】
実施例7は、給電構造部は、第1及び第2の導波路が第3の導波路の真下にあり且つガイドプレートによって分離され、第2及び第3の導波路が方向性カプラによって分離されてスタックを形成する3つの導波路と、第1及び第2の伝播波を含む2つの伝播波をそれぞれ第1及び第2の導波路に導入するよう構成され、第1の伝播波が、第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、第1及び第2の導波路の外縁にて第2の導波路に入り、第2の導波路の中心位置に向けて進み、第2の伝播波が、第1の伝播波の反対方向に第2のガイドの中心位置から外向きに伝播し、第1及び第2の伝播波が、方向性カプラを通って第3の導波路に入り、第3の導波路で反対方向に伝播する、ように構成された第1及び第2のポートと、を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0102】
実施例8は、RF放射アンテナ素子のアレイを制御してRF放射アンテナ素子を同調させ互いに関係なく2つのビームを制御するように結合されたコントローラを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0103】
実施例9は、コントローラが、異なる指向方向、異なる偏波及び異なる周波数の1又は2以上を有するように2つのビームを制御することができる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0104】
実施例10は、コントローラが、2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えることができる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0105】
実施例11は、アンテナであって、
無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイを有し且つ2つの伝播波と同時に相互作用することによって2つのビームを同時に生成することができるメタサーフェスと、2つの伝播波をRF放射アンテナ素子のアレイに給電するために結合され、2つの伝播波が反対方向に伝播し且つ互いに直交するRF放射アンテナ素子の真下に第1の導波路を有する給電構造部と、メタサーフェスを制御してRF放射アンテナ素子を同調させて互いに関係なく2つのビームを制御するように結合されたコントローラと、を備え、コントローラは、異なる指向方向、異なる偏波及び異なる周波数の1又は2以上を有するように2つのビームを制御することができる、アンテナである。
【0106】
実施例12は、コントローラが、2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えることができる、ことを任意選択的に含むことができる実施例11のアンテナである。
【0107】
実施例13は、アレイが、2つのビーム上で同時に受信及び送信することができる、ことを任意選択的に含むことができる実施例11のアンテナである。
【0108】
実施例14は、給電構造部が、2つの電波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構と、センターフィード及びエッジフィード給電機構に2つの電波を導入するよう構成されたポートのペアを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例11のアンテナである。
【0109】
実施例15は、第1の導波路がアンテナ素子のアレイと第2の導波路の間にある、ことを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0110】
実施例16は、方向性カプラが第1の導波路と第2の導波路の間に結合される、ことを任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0111】
実施例17は、エッジフィード給電機構が、2つの伝播波の第1の伝播波の一部分が方向性カプラの上方の第1の導波路に入り、第1の給電波の別の部分が第2の導波路に入るように構成される、ことを任意選択的に含むことができる実施例16のアンテナである。
【0112】
実施例18は、センターフィード給電機構が、2つの伝播波の第2の伝播波の一部分が方向性カプラの上方の第1の導波路に入り、第2の給電波の別の部分が第2の導波路に入るよう構成される、ことを任意選択的に含むことができる実施例17のアンテナである。
【0113】
実施例19は、給電構造部は、第1及び第2の導波路が第3の導波路の真下にあり且つガイドプレートによって分離され、第2及び第3の導波路が方向性カプラによって分離されてスタックを形成する3つの導波路と、第1及び第2の伝播波を含む2つの伝播波をそれぞれ第1及び第2の導波路に導入するよう構成され、第1の伝播波が、第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、第1及び第2の導波路の外縁にて第2の導波路に入り、第2の導波路の中心位置に向けて進み、第2の伝播波が、第1の伝播波の反対方向に第2のガイドの中心位置から外向きに伝播し、第1及び第2の伝播波が、方向性カプラを通って第3の導波路に入り、第3の導波路で反対方向に伝播する、ように構成された第1及び第2のポートと、を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例11のアンテナである。
【0114】
実施例20は、ポートのペアを介して、2つの給電波を給電構造部に導入するステップと、給電構造部において2つの給電波を導波路を用いて伝播させるステップと、給電波が反対方向に伝播し且つ互いに直交するときに2つの給電波と同時に相互作用することによって、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイを有するメタサーフェスを使用して2つのビームを同時に生成するステップと、を含む方法である。
【0115】
実施例21は、給電構造部は、2つの給電波が反対方向に伝播する第2の導波路を共有するセンターフィード及びエッジフィード給電機構を含み、ポートのペアを介して、2つの給電波を給電構造部に導入するステップが、第1及び第2の給電波をそれぞれ第1及び第2の導波路に導入するステップを含み、給電構造部において2つの給電波を導波路を用いて伝播させるステップが、第1の給電波を第1の導波路を通って外向きに伝播して上昇し、第1及び第2の導波路の外縁にて第2の導波路に入り、第2の導波路の中心位置に向けて進むステップと、第2の給電波を第1の給電波の反対方向に第2のガイドの中心位置から外向きに伝播させるステップと、第1及び第2の給電波を方向性カプラを用いて第2の導波路から第3の導波路に伝播させるステップと、第1及び第2の給電波を第3の導波路において反対方向に伝播させるステップと、を含む、実施例20の方法である。
【0116】
実施例22は、2つのビームの各ビームの生成に必要な変調の平均値である変調を加えるステップを任意選択的に含むことができる実施例20の方法である。
【0117】
本明細書に記載される方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムによって実行し且つ完全に自動化することができる。コンピュータシステムは、場合によっては、ネットワークを通じて通信し相互運用する複数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティング資源など)を含み、記述した機能を実行することができる。各々のこのようなコンピューティングデバイスは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体又はデバイス(例えば、固体ストレージデバイス、ディスクドライブなど)に格納されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本明細書で開示する様々な機能は、このようなプログラム命令で実施することができるか、又はコンピュータシステムの特定用途向け集積回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実施することができる。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一場所に位置付けることができるが、必須ではない。開示する方法及びタスクの結果は、固体メモリチップ又は磁気ディスクなどの物理的ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって持続的に格納することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、処理資源が複数の別個のビジネスエンティティ又は他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムとすることができる。
【0118】
実施形態に応じて、本明細書に記載される処理又はアルゴリズムの何れかの一定の動作、事象、又は機能を、異なるシーケンスで実行し、追加、統合、又は共に除外することができる(例えば、記述した動作又は事象の全てがアルゴリズムの実施に必要であることはない)。更にまた、特定の実施形態において、動作又は事象は、同時に、例えば、連続ではなく、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコア又は他の並行アーキテクチャによって実行することができる。
【0119】
本明細書に開示する実施形態に関して記述した様々な例証の論理的ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGAデバイス)、コンピュータハードウェアで実行されるコンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実施することができる。更にまた、本明細書で開示する実施形態に関して記述した様々な例証の論理的ブロック及びモジュールは、プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するよう設計されたこれらの何れかの組み合わせなどの機械によって実施又は実行することができる。プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替では、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、同様の組み合わせなどとすることができる。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するよう構成された電子回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理動作を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスは、コンピュータデバイスの組み合わせとして、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1又は2以上のマイクロプロセッサ、又は何れかの他のこのような構成として実施することもできる。本明細書ではデジタル技術に関して主に説明してきたが、プロセッサデバイスは、主としてアナログの構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載される表示される技術の一部又は全部を、アナログ回路又はアナログとデジタルを混合した回路で実施することができる。コンピューティング環境は、限定ではないが、例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯式コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内のコンピュータエンジンに基づくコンピュータシステムを含むコンピュータシステムの何れのタイプも含むことができる。
【0120】
本明細書で開示する実施形態に関して記述した方法、処理、ルーチン、又はアルゴリズムの要素は、ハードウェアで直接、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールで、又は両方の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD-ROM、又は非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の何れかの他の形態に常駐させることができる。例示的ストレージ媒体は、プロセッサデバイスが、ストレージ媒体から情報を読み取り且つストレージ媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサデバイスに結合することができる。代替では、ストレージ媒体は、プロセッサデバイスに一体化させることができる。プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ASICに常駐させることができる。ASICは、ユーザ端末に常駐させることができる。代替では、プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ユーザ端末の離散的な構成要素として常駐させることができる。
【0121】
とりわけ、「can(できる)」、「could(できた)」、「might(可能性があった)」、「may(可能性がある)」、「e.g.,(例えば)」などの本明細書で用いる条件的表現は、他に明示的に示されない限り、又は使用される文脈内でこれ以外に理解されない限り、一般的には、特定の実施形態が、一定の特徴、要素又はステップを含み、他の実施形態は含まないことを伝えるものとする。従って、このような条件的表現は、一般的には、特徴、要素又はステップが、1又は2以上の実施形態に多少なりとも必要である、或いは、これらの特徴、要素又はステップが、何れかの特定の実施形態に含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきであるかどうかを、他の入力又は指示のあり又はなしで決定する論理を必ず含むことを意味するものではない。「comprising(含む)」、「including(内包する)」、「having(有する)」などの語は、同義であり、包含的に、制約のない方式で用いられ、追加の要素、特徴、動作、作動などを除外するものではない。また、「or」という語は、例えば使用された時に、要素のリストを繋げるためであり、「or(又は)」という語は、リストにある要素の1つ、一部、又は全部を意味するような包含的な意味で(排他的な意味でなく)用いられる。
【0122】
「X、Y、又はZの少なくとも1つ」という表現などの離接的表現は、他に明示的に示されない限り、通常であれば、項目、項などが、X、Y、又はZの何れか、又はこの何れかの組み合わせ(例えば、X、Y、又はZ)とすることができることを示すために一般的に用いられる文脈で理解される。従って、このような離接的表現は、一般的には、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つが各々存在することを必要とすることを意図しておらず、意図すべきでない。
【0123】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に加えられる新しい特徴を示し、記述し、指摘しており、例証するデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更が、本開示の精神から逸脱することなく行い得ることは理解できる。認識できるように、一部の特徴が、他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書に記載される特定の実施形態は、本明細書に示された特徴及び利点の全てを提供しない形態内で実施することができる。本明細書で開示される特定の実施形態の範囲は、上述の明細書によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の均等物の意味及び範囲内で生じる全ての変更は、これらの範囲内に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0124】
100 給電構造部
101 メタサーフェス
102 導波路
103 導波路
104 方向性カプラ
105 ポート1(ビーム1)
106 ポート2(ビーム2)
110 電波
111 電波
120 アンテナ素子
140 中間ガイドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】