(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】サイロシビン組成物、製造方法及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/661 20060101AFI20240313BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240313BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240313BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240313BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240313BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240313BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240313BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240313BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61K31/661
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/02
A61K47/44
A61K9/48
A61K47/38
A61P25/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559739
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022058483
(87)【国際公開番号】W WO2022207746
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520124291
【氏名又は名称】コンパス パスファインダー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エルダー, デイビッド フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン, ナイジェル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD28C
4C076DD29
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD47
4C076DD47C
4C076EE31
4C076EE38
4C076EE53C
4C076FF36
4C086AA01
4C086DA38
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA12
(57)【要約】
本開示は、治療有効量のサイロシビン及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。そのような組成物の製造方法及び鬱病性障害の治療におけるその使用も開示される。一態様では、本開示は、治療有効量のサイロシビン;及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物中のサイロシビンの効力並びに組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスが、工業的及び薬学的に許容される貯蔵条件下(例えば、欧州薬局方、USP)で工業的及び薬学的に許容されるレベル(例えば、欧州薬局方、USP)のままであり、サイロシビンが、薬学的に許容される含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される場合)で提供される、医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
治療有効量のサイロシビン;及び
1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、
前記組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、前記組成物中の前記サイロシビンの効力が5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスが97%を超える、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が希釈剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が滑沢剤を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が、
a)約85~99重量%の希釈剤;及び
b)約0.5~2.0重量%の滑沢剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が約1重量%~約10重量%のサイロシビンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が約1重量%~約15重量%のサイロシビンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記希釈剤がアルファ化デンプンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記希釈剤のCarr指数が約12%~約21%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記希釈剤のCarr指数が約21%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記希釈剤の平均の平均粒径が約60ミクロン~約120ミクロンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記希釈剤の平均の平均粒径が約90ミクロンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記希釈剤の流量が、Sotax FT300流動性試験機(振動設定1.7g)を使用して測定して、約2g/秒~約10g/秒である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルモステアリン酸グリセリル、ラウリルステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及び硬化ヒマシ油からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%を超える、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%を超え、2%超の単一不純物を含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%を超え、1%超の単一不純物を含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記組成物が1mg~40mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物が1mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が5mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が10mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が25mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物が40mgのサイロシビンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記サイロシビンが結晶性サイロシビンを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体Aである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記結晶性サイロシビンが結晶性水和物Aである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体A’である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体Bである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記サイロシビンが非晶質サイロシビンを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記組成物がカプセルである、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記カプセル材料が、メチルセルロース、ゲランガム、カラギーナン、ペクチン、グリセリン、ヒドロキシプロピル(HP)デンプン、可塑剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤)、非晶質デンプン(例えば、アミロペクチン)、軟化剤またはその組合せを含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記カプセル材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記カプセル材料がデンプン(例えば、ヒドロキシプロピルデンプンまたはアミロペクチン)を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記カプセル材料が、約1%~約7%の含水量を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記カプセル材料が約6%未満の含水量を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記組成物が錠剤である、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が液剤である、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物の含量均一性が、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
医薬組成物を製造する方法であって:
a)サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを直接混合して混合物を提供すること、及び
b)前記混合物をカプセルに充填して前記医薬組成物を提供することを含み、
前記組成物の含量均一性が、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する、前記方法。
【請求項40】
前記組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスが、前記組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、3%未満減少する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物が約1重量%~約10重量%のサイロシビンを含む、請求項39~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記カプセルが、1mg、5mg、10mgまたは25mgのサイロシビンを含有する、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が希釈剤を含む、請求項39~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記混合物が滑沢剤をさらに含む、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記混合物が流動促進剤を含まない、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記カプセル材料が、メチルセルロース、ゲランガム、カラギーナン、ペクチン、グリセリン、ヒドロキシプロピル(HP)デンプン、可塑剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤)、非晶質デンプン(例えば、アミロペクチン)、軟化剤またはその組合せを含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記カプセル材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記カプセル材料がデンプン(例えば、ヒドロキシプロピルデンプンまたはアミロペクチン)を含む、請求項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記カプセル材料が、約1%~約7%の含水量を含む、請求項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記カプセル材料が約6%未満の含水量を含む、請求項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
請求項39~51のいずれか一項に記載の方法によって調製された医薬組成物。
【請求項52】
気分障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~38及び51のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月30日に出願された米国仮出願第63/168,055号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
サイロシビンは、サイケデリック(「マインドマニフェスト」薬物)と称される薬物のクラスに属する。具体的には、サイロシビンは、ジメチルトリプタミン(DMT)などの他のトリプタミン、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)などのエルゴリン、及びメスカリンなどのフェネチルアミンと区別されて、5-ヒドロキシトリプタミン作動性(セロトニン作動性)サイケデリックとみなされる。サイロシビンは、最初にシビレタケ属キノコ(psilocybe mushrooms)から単離され、後に実験室で合成された。
【0003】
潜在的な治療用途を考慮すると、当技術分野では、承認された薬物製品(例えば、製品保管中の安定性及び許容される含量均一性)の規制基準を満たすサイロシビンの医薬組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
サイロシビンは、その物理的特性及び潜在的な化学的不安定性(例えば、サイロシンへの容易な加水分解)のために、製剤化するのが困難な活性医薬成分(API)である。結晶性サイロシビンは、高いアスペクト比を有する針状の棒状結晶であり、したがって流動特性が悪く(特に水和物形態)、これは直接混合配合物のスケールアップ及び商業的製造にとって望ましくない。また、医薬品開発中に(実施例1参照)、出願人は、特定の一般的に使用されるシリカ含有賦形剤を含有する固体剤形が、ICH安定性試験条件下での製剤の貯蔵時に非理想的な結果を提供することを発見した(例えば、製剤の変色及びそれに応じたサイロシビン関連物質不純物の増加を伴わない効力の喪失)。最後に、サイロシビンの精神医学的特性を考慮すると、それは低用量薬物(例えば、1mgのサイロシビンはいくつかの適応症に使用され得る)として投与されるべきである。したがって、適切な製剤は、低いAPI負荷の適応を可能にしなければならないが、薬学的に許容される含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される場合)を提供しなければならない。
【0005】
本開示は、サイロシビンを含有する医薬組成物及びその調製方法に関する。
【0006】
一態様では、本開示は、治療有効量のサイロシビン;及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物中のサイロシビンの効力並びに組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスが、工業的及び薬学的に許容される貯蔵条件下(例えば、欧州薬局方、USP)で工業的及び薬学的に許容されるレベル(例えば、欧州薬局方、USP)のままであり、サイロシビンが、薬学的に許容される含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される場合)で提供される、医薬組成物を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、治療有効量のサイロシビン;及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスは97%を超える、医薬組成物を提供する。
【0008】
一態様では、本開示は、(a)サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを直接混合して混合物を提供すること、及び(b)カプセルに混合物を充填して医薬組成物を提供することを含む、医薬組成物の製造方法を提供し、ここで、組成物の含量均一性は、欧州薬局方2.96またはUSP<905>に準拠する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、サイロシビンの番号付けされた構造式である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【
図2E】
図2Eは、エタノール溶媒和物のXRPD回折図である。
【0015】
【
図2F】
図2Fは、多形体A’(中央)及び多形体B(下)の回折図と比較した、プロセスの開発中に得られた生成物のXRPD回折図(上)である。
【0016】
【
図3A】
図3Aは、多形体AのDSC及びTGAサーモグラフである。
【0017】
【
図3B】
図3Bは、多形体A’のDSC及びTGAサーモグラフである。
【0018】
【0019】
【
図3D】
図3Dは、水和物AのDSC及びTGAサーモグラフである。
【0020】
【
図3E】
図3Eは、エタノール溶媒和物のDSC及びTGAサーモグラフである。
【0021】
【
図4】
図4は、水をベースとする系中の形態の相互関係を示す形態相図である。
【0022】
【
図5】
図5は、サイロシビンの
1H NMRスペクトルである。
【0023】
【
図6】
図6は、サイロシビンの
13C NMRスペクトルである。
【0024】
【
図7】
図7は、サイロシビンのFT-IRスペクトルである。
【0025】
【
図8】
図8は、サイロシビンの質量スペクトルである。
【0026】
【
図9】
図9は、本開示のサイロシビンカプセルを調製するためのプロセスフロー図の非限定的な例を示す。
【0027】
【
図10】
図10は、実施例4の安定性試験からの対照組成物の平均アッセイプロットを示す。
【0028】
【
図11】
図11は、実施例4の安定性試験からの低レベルSMCC組成物についての平均アッセイプロットを示す。
【0029】
【
図12】
図12は、実施例4の安定性試験からの1mgカプセル組成物の平均アッセイプロットを示す。
【0030】
【
図13】
図13は、実施例4の安定性試験からの5mgカプセル組成物の平均アッセイプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
定義
本開示全体にわたって、種々の特許、特許出願、及び刊行物(非特許刊行物を含めて)が参照される。これらの特許、特許出願、及び刊行物のそれら全体の開示は、本開示の日付現在、当業者に知られているような最高水準をより完全に説明するためにあらゆる目的で参照によって本開示に組み込まれる。引用される特許、特許出願、及び刊行物と本開示との間に何らかの不一致がある場合は、本開示が優先する。
【0032】
便宜上、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられる、ある特定の用語がここに集められる。特に定義されない限り、本開示で使用される専門用語及び科学用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0033】
数値の直前の「約」という用語は、範囲(例えば、その値の±10%)を意味する。例えば、開示の文脈で別途指示のない限り、または、そのような解釈と矛盾しない限り、「約50」は、45~55を意味し得、「約25,000」は、22,500~27,500などを意味し得る。例えば、「約49、約50、約55、…」などの数値のリストでは、「約50」は、前値及び後値間の間隔(複数可)の半分未満、例えば、49.5超~52.5未満、に及ぶ範囲を意味する。さらに、「約」値「未満」または「約」値「超」という語句は、本明細書で提供される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。同様に、一連の数値または値の範囲(例えば、「約10、20、30」または「約10~30」)の前の「約」という用語は、それぞれ、一連の全ての値、または範囲の端点を指す。
【0034】
本明細書で使用されるとき「サイロシビン及び関連物質のマスバランス」という用語は、HPLC分析によって決定される場合、サイロシビン及びその関連物質(すなわち、相対保持時間(RRT)によって決定されるサイロシン及びその未同定不純物)の合計を意味する。いくつかの実施形態では、マスバランスは重量%ベースで決定される。いくつかの実施形態では、その相対保持時間によって決定される未同定不純物は、関連物質HPLC法を用いて決定される場合、約RRT0.85、約RRT1.25、約RRT1.38、約RRT1.44及び約RRT1.51からなる群から選択される。以下のHPLC条件(「関連物質HPLC方法」)を使用して、本開示の組成物のサイロシビン及び関連物質のマスバランスを決定することができる。
【表1-1】
【0035】
「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本開示において相互交換可能に使用され、患者に投与された場合、意図される成績を実行することができる化合物またはその塩、溶媒和物もしくはエステルの量を指す。例えば、サイロシビンの有効量は、患者の鬱病の少なくとも1つの症状を軽減するのに必要な量である。「有効量」または「治療有効量」を含む実際の量は、障害の重症度、患者の体格及び健康、ならびに投与経路を含むが、これらに限定されない多くの条件に応じて異なるであろう。熟練した医師であれば、当該医療分野で既知の方法を用いて適量を容易に決定することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、XRPD回折図ピークに関して「実質的に存在しない」とは、回折図に存在する参照ピークと比較して、ピークが参照ピークの強度の約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の相対強度を有するか、またはピークが検出可能ではないことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、同義的に用いられる。
【0038】
患者に関して本明細書で使用されるとき「治療すること」という用語は患者の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療は、障害を改善すること、または少なくとも部分的に改善することであることができる。
【0039】
本明細書で使用されるとき「治療効果」という用語は、方法及び/または組成物によって提供される所望のまたは有益な効果を指す。例えば、鬱病を治療する方法は、方法が患者の鬱病の少なくとも1つの症状を軽減する場合に治療効果をもたらす。
【0040】
XRPD回折図及びXRPDピーク位置は、Cu Kα放射線を使用して取得され得る。
【0041】
DSCサーモグラム及びTGAサーモグラムは、20℃/分の加熱速度を使用して取得され得る。
【0042】
本明細書に列挙される全ての疾患及び障害は、米国精神医学会によって公開された精神障害の診断及び統計の手引(DSM-5)、または世界保健機関によって公開された疾患の国際疾病分類(ICD)に記載されているように定義される。
【0043】
本明細書で使用される場合、以下の国際医薬用語集(MedDRA)用語は、本質的に精神異常発現性である有害事象であるとみなされる:気分の変化、意識の変化した状態、自己像幻視、妄想知覚、抑制、解離、解離性同一性障害、夢幻状態、感情障害、多幸気分、異常な感覚、幻覚、聴覚過敏、知覚過敏、感覚鈍麻、錯覚、パラノイア、嗅覚錯誤、光恐怖症、知覚障害、時間知覚の変化、思考障害、共感覚、物質誘発性精神病性苦痛、及び身体的幻覚。
【0044】
以下の略語が本明細書で使用されている:
DSC-示差走査熱量測定
RT-室温
TBME-メチルtert-ブチルエーテル
TGA-熱重量分析
THF-テトラヒドロフラン
RRT-相対保持時間
wrt-に関して
XRPD-X線粉末回折
サイロシビンの結晶形態
【0045】
本開示の医薬組成物は、米国特許第10,519,175号(これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている結晶性サイロシビンのうちの1つまたは1つより多くを含むことができる。
【0046】
多形体A
いくつかの実施形態では、本開示は、サイロシビンが結晶性多形体A(または「多形体A」)である医薬組成物を提供する。
【0047】
本開示によれば、使用されるサイロシビンは、薬学的に許容される化学純度のものである。いくつかの実施形態では、使用されるサイロシビンは、薬学的に許容される化学純度のものであり、非晶質である。いくつかの実施形態では、使用されるサイロシビンは、薬学的に許容される化学純度のものであり、結晶性である。いくつかの実施形態では、使用されるサイロシビンは、薬学的に許容される化学純度のものであり、結晶性多形体Aである。
【0048】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、以下の1つまたは1つより多くを特徴とする:
(a)XRPD回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピーク、及び/または
(b)145℃~165℃の第1の開始温度及び205℃~220℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0049】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、19.7、20.4、22.2、24.3または25.7°2θ±0.1°2θにおける少なくとも1つのさらなるピークをさらに特徴とする。
【0050】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、(a)0.5%w/w未満の水分含有量;または(b)25℃~200℃のTGAサーモグラムにおける0.5%w/w未満の損失のどちらかを有することを特徴とする。
【0051】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、HPLC分析によって決定される場合、97%を超える化学純度を有し、1%を超える単一不純物は有さない。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、HPLCにより97%を超える化学純度を有し、31P NMRにより測定されるリン酸及びHPLCにより決定されるサイロシンを含む1%を超える単一不純物は有さない。
【0052】
いくつかの実施形態では、リン酸不純物、及び存在し得る任意の他の不純物は、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満~0.2%またはそれ未満の量で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは多形体Aであり、XRPD回折図における17.5、°2θ±0.1°2θの少なくとも1つのさらなるピークを特徴とし、このピークは、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比較して少なくとも5%の相対強度を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは多形体Aであり、XRPD回折図における17.5°2θ±0.1°2θの少なくとも1つのさらなるピークを特徴とし、このピークは、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、8%及び9%~少なくとも10%の相対強度を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは多形体Aであり、11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1及び19.7±0.1°2θのXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、サイロシビンは多形体Aであり、11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1、及び19.7±0.1°2θのXRPDピークを特徴とし、サイロシビンは、HPLC分析によって決定される場合、97%を超える化学純度を有し、1%を超える単一不純物は有さない。
【0056】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは多形体Aであり:(a)実質的に
図2Aに示すXRPD回折図、及び/または(b)実質的に
図3Aに示すDSCサーモグラムを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、サイロシビン多形体Aは、50~200ミクロンのサイズ範囲を有する比較的大きく均一な棒状結晶を有する。
【0058】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、サイロシビン多形体Aは、表1に要約された回折図を特徴とするXRPD回折図を示す。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも3つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも4つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも6つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも8つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも10のピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、表1の(±0.1°2θ)の少なくとも15のピークを含む。約17.5、°2θ±0.1°2θのピークによって、サイロシビン多形体Aは、ピークが存在しないか、または実質的に存在しない(すなわち、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比較して2%未満、または1%未満の相対強度を有する)多形体A’と区別される。
【表1-2】
【0059】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも1つの追加のピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも2つの追加のピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも3つの追加のピークをさらに特徴とする。さらに別の実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、
図2Aに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0060】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPD回折図ピークを特徴とし、17.5°2θのピークは、14.5°2θのピークの強度の少なくとも5%、または少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%~少なくとも10%の強度を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、10.1におけるXRPD回折図ピークが存在しないかまたは実質的に存在しない。「実質的に存在しない」とは、10.1の任意のXRPD回折図ピークが14.5°2θのピークの強度の2%未満、例えば1%未満であるか、またはXRPD回折図で検出できないことを意味する。
【0062】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、145℃~165℃、例えば145℃~160℃、または例えば145℃~155℃の第1の開始温度と、205℃~220℃、例えば210℃~220℃、例えば210℃~218℃、または例えば210℃~216℃の第2の開始温度とを有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。
【0063】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、
図3AのDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、または例えば0.1%w/w未満の水分含有量を有することを特徴とする。化合物の水分含有量を決定する方法、例えばカールフィッシャー滴定は当業者には公知であろう。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、周囲温度、例えば約25℃~200℃のTGAサーモグラムにおいて、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の損失を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、乾燥試験での損失が2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満である。乾燥減量試験は70℃で行う。
【0065】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、白色から灰白色の固体である。
【0066】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、薬学的に許容される化学純度のものであり、例えば、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、97%超、例えば98%超、または例えば99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、31P NMRによって測定されるリン酸、及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%~0.2%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25面積%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって測定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、31P NMRによって決定される場合、1重量%超、0.5重量%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、または例えば少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、31P NMRによって決定されるリン酸及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超または0.2%超の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって決定される場合、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、31P NMRによって決定される場合、2重量%超、1.75重量%超、1.5重量%超、1.25重量%超、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%超、0.2重量%超またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。
【0068】
多形体A’
あるいは、結晶性サイロシビンは、以下の1つまたは1つより多くを特徴とする多形体A’の形態であり得る:
(a)XRPD回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピークであるが、17.5°2θ±0.1°2θのピークは存在しないか、または実質的に存在しない、ピーク;
(b)145℃~165℃の第1の開始温度、及び205℃~220℃の第2の開始温度を有する。
【0069】
17.5°2θ±0.1°2θにピークが実質的に存在しないとは、17.5°2θ±0.1°2θ(存在する場合)のピークが、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比較して、5%未満、いくつかの実施形態では、4%未満、3%未満~2%、1%またはそれ未満の相対強度を有することを意味する。
【0070】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2に要約された回折図を特徴とするXRPD回折図を示す。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも3つのピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも4つのピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも5つのピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも6つのピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも8つのピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも10のピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも15のピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも20のピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表2の(±0.1°2θ)の少なくとも25のピークを含むが、17.5°2θ±0.1°2θにおけるピークは存在しないか、または実質的に存在しない。
【表2】
【0071】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θにおけるXRPD回折図ピークを特徴とするが、17.5°2θ±0.1°2θにはピークが実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも1つの追加のピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも2つの追加のピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、10.1°2θ±0.1°2θに現れるピークの存在をさらに特徴とし、これによって多形体Aと区別される。さらに別の実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図2Bに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0072】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とし、17.5°2θのピークの強度は、14.5°2θのピークの強度の5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、または例えば約1%である。
【0073】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、10.1及び14.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とし、10.1°2θのピークの強度は、14.5°2θのピークの強度の少なくとも1%、例えば少なくとも2%、例えば少なくとも3%、または例えば約4%である。
【0074】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、145℃~165℃、例えば145℃~160℃、または例えば145℃~155℃の第1の開始温度と、205℃~220℃、例えば210℃~220℃、例えば210℃~218℃、または例えば210℃~216℃の第2の開始温度とを有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図3BのDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、または例えば0.1%w/w未満の水分含有量を有することを特徴とする。化合物の水分含有量を決定する方法、例えばカールフィッシャー滴定は当業者には公知であろう。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、周囲温度、例えば25℃~200℃のTGAサーモグラムにおいて、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の損失を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、乾燥試験での損失が2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満である。乾燥減量試験は70℃で行う。
【0076】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、白色から灰白色の固体である。
【0077】
XRPD回折図及びXRPDピーク位置は、Cu Kα放射線を使用して取得される。
【0078】
DSC及びTGAサーモグラムは、20℃/分の加熱速度を使用して取得される。
【0079】
いくつかの実施形態では、
図2Aまたは
図2Bに実質的に示すようなXRPD回折図、及び
図3Aまたは
図3Bに実質的に示すようなDSCサーモグラフを示す、高純度結晶性サイロシビン、多形体Aまたは多形体A’、またはその混合物が提供される。
【0080】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、
図2Aに示すXRPD回折図及び
図3Aに示すDSCサーモグラフを示す。
【0081】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図2Bに実質的に示されるXRPD回折図、及び
図3Bに実質的に示されるDSCサーモグラフを示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、高純度結晶性サイロシビン多形体Aは、
図2Aに実質的に示されるXRPD回折図、及び
図3Aに実質的に示されるDSCサーモグラフを特徴とする。
【0083】
いくつかの実施形態では、高純度結晶性サイロシビン多形体A’は、
図2Bに示すXRPD回折図、及び
図3Bに示すDSCサーモグラフを特徴とする。
【0084】
多形体A(その等構造バリアント多形体A’を含む)(
図2A及び2B)は、多形体B(
図2C)、水和物A(
図2D)及びエタノール溶媒和物(
図2E:溶媒和物A)とは異なり、異なる形態のいくつかの間の関係を
図4に示す。
【0085】
結晶性サイロシビン多形体A’は、白色から灰白色の固体であり、及び/またはHPLCにより97%超、いくつかの実施形態では98%超、及びいくつかの実施形態では99%超の化学純度を有し、31P NMRにより決定されるリン酸及びHPLCにより決定されるサイロシンを含む、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.75%超、0.5%超、0.4%超、0.3%~0.2%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、または例えば少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、薬学的に許容される化学純度のものであり、例えば、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって測定される場合、97%超、例えば98%超、または例えば99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、31P NMRによって決定されるリン酸及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって決定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25面積%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって決定される場合、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって決定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、31P NMRによって測定される場合、2重量%超、1.75重量%超、1.5重量%超、1.25重量%超、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%超、0.2重量%超またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。
【0087】
多形体AまたはA’の加熱は、多形体Aまたは多形体A’の多形体Bへの固体-固体遷移に対応する約150℃の開始温度を有する吸熱事象をもたらす。得られた固体、すなわち、多形体Bの継続的な加熱は、205~220℃の開始温度を有する融点に対応する第2の吸熱事象をもたらす(
図3A及び3Bを参照されたい)。
【0088】
水和物A
いくつかの実施形態では、以下の1つまたは1つより多くを特徴とする、サイロシビンの結晶形態、水和物Aが提供される:
(a)XRPD回折図における8.9、12.6及び13.8°2θ±0.1°2θのピーク;及び/または
(b)90℃~100℃の第1の開始温度、100℃~120℃の第2の開始温度、及び210℃~220℃の第3の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0089】
XPRD回折図は、6.5、12.2、19.4、20.4または20.8°2θ±0.1°2θに少なくとも1つのさらなるピークを示し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、サイロシビン水和物Aは、表3に要約された回折図を特徴とするXRPD回折図を示す。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、表3の(±0.1°2θ)の少なくとも3つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、表3の(±0.1°2θ)の少なくとも4つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、表3の(±0.1°2θ)の少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、表3の(±0.1°2θ)の少なくとも8つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、表3の(±0.1°2θ)の少なくとも10のピークを含む。
【表3】
【0091】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、8.9、12.6及び13.8°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4または20.8°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも1つのピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4または20.8°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも2つのピークをさらに特徴とする。さらに別の実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、
図2Dに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0092】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、85℃~105℃、例えば90℃~100℃、例えば約96℃の第1の開始温度;100℃~120℃、例えば105℃~115℃、例えば約109℃の第2の開始温度;及び205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、または例えば210~216℃、例えば約216℃の第3の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、
図3DのDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0093】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、10%~18%、例えば12%~16%、または例えば約13%の水分含有量を有することを特徴とする。化合物の水分含有量を決定する方法、例えばカールフィッシャー滴定は当業者には公知であろう。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、周囲温度、例えば約25℃~120℃で、10%~18%、例えば12%~16%、または例えば約13%のTGAサーモグラムにおける重量損失を有することを特徴とする。
【0094】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、薬学的に許容される化学純度のものであり、例えば、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、97%超、例えば98%超、または例えば99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、31P NMRによって測定されるリン酸、及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%~0.2%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25面積%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって測定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、31P NMRによって決定される場合、1重量%超、0.5重量%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、または例えば少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、31P NMRによって決定されるリン酸及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超または0.2%超の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって決定される場合、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、31P NMRによって決定される場合、2重量%超、1.75重量%超、1.5重量%超、1.25重量%超、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%超、0.2重量%超またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。
【0096】
多形体B
いくつかの実施形態では、以下の1つまたは1つより多くを特徴とする、サイロシビンの結晶形態、多形体Bが提供される:
(a)XRPD回折図における11.1、11.8、及び14.3°2θ±0.1°2θのピーク;及び/または
(b)205~220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける単一の吸熱事象。
【0097】
XPRD回折図は、14.9、15.4、19.3、20.0または20.6°2θ±0.1°2θに少なくとも1つのさらなるピークを示し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、XRPD回折図は、
図2Cに実質的に示されている通りである。
【0099】
いくつかの実施形態では、DSCサーモグラムは、実質的に
図3Cに示す通りである。
【0100】
いくつかの実施形態では、サイロシビン多形体Bは、表4に要約された回折図を特徴とするXRPD回折図を示す。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、表4の(±0.1°2θ)の少なくとも3つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、表4の(±0.1°2θ)の少なくとも4つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、表4の(±0.1°2θ)の少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、表4の(±0.1°2θ)の少なくとも8つのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、表4の(±0.1°2θ)の少なくとも10のピークを含む。
【表4】
【0101】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、11.1、11.8及び14.3°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、14.9、15.4、19.3、20.0または20.6°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも1つのピークをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、14.9、15.4、19.3、20.0または20.6°2θ±0.1°2θに現れる少なくとも2つのピークをさらに特徴とする。さらに別の実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、
図2Cに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0102】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、205~220℃、例えば210~220℃、例えば210~218℃、または例えば210~216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける単一の吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、
図3CのDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0103】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、または例えば0.1%w/w未満の水分含有量を有することを特徴とする。化合物の水分含有量を決定する方法、例えばカールフィッシャー滴定は当業者には公知であろう。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、周囲温度、例えば約25℃~200℃のTGAサーモグラムにおいて、0.5%w/w未満、例えば0.4%w/w未満、例えば0.3%w/w未満、例えば0.2%w/w未満、例えば0.1%w/w未満の損失を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、乾燥試験での損失が2重量%未満、例えば1重量%未満、例えば0.5重量%未満である。乾燥減量試験は70℃で行う。
【0104】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、薬学的に許容される化学純度のものであり、例えば、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、97%超、例えば98%超、または例えば99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、31P NMRによって測定されるリン酸、及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%~0.2%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25面積%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって測定される場合、2面積%超、1.75面積%超、1.5面積%超、1.25%超、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%超、0.2面積%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、1面積%超、0.5面積%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、31P NMRによって決定される場合、1重量%超、0.5重量%超、0.4面積%超、0.3面積%~0.2面積%またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、または例えば少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、31P NMRによって決定されるリン酸及びHPLCによって決定されるサイロシンを含む、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超または0.2%超の単一不純物を有さない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって決定される場合、2%超、1.75%超、1.5%超、1.25%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超またはそれ未満のレベルのサイロシンを含まない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、31P NMRによって決定される場合、2重量%超、1.75重量%超、1.5重量%超、1.25重量%超、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%超、0.2重量%超またはそれ未満のレベルのリン酸を含まない。
【0106】
多形体AまたはA’の形態のサイロシビンは、以下の表5に示す一般的特性を有する:
【表5】
【0107】
サイロシビンは、以下の表6に示され、
図5~8のスペクトルに示されるスペクトルに適合する。
【表6】
【0108】
高純度は、潜在的な有機不純物が著しく低減されることを確実にするための反応条件の慎重な制御によって達成される。
【0109】
サイロシビン中の公知及び潜在的な不純物を以下の表7に示す:
【表7-1】
【表7-2】
【0110】
本開示の医薬組成物
本開示は、長期間保存した場合に安定である、サイロシビンを含有する医薬組成物を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量のサイロシビン;及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物中のサイロシビンの効力並びに組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスが、工業的及び薬学的に許容される貯蔵条件下(例えば、欧州薬局方、USP)で工業的及び薬学的に許容されるレベル(例えば、欧州薬局方、USP)のままであり、サイロシビンが、薬学的に許容される含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される場合)で提供される、医薬組成物を提供する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量のサイロシビン;及び1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスは97%を超える、医薬組成物を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、組成物を40℃及び相対湿度75%で2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間または6ヶ月間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスは97%を超える。いくつかの実施形態では、組成物を40℃及び相対湿度75%で2ヶ月間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスは97%を超える。いくつかの実施形態では、組成物を40℃及び相対湿度75%で開示されている期間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は、5%未満、4%未満、2%未満、または1%未満低下し、組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスは、97%を超える。いくつかの実施形態では、組成物を40℃及び相対湿度75%で開示されている期間貯蔵した後、組成物中のサイロシビンの効力は、5%未満、4%未満、2%未満、または1%未満低下し、組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスは、98%または99%を超える。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量%~約10重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量%~約15重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%または約15%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1mg~40mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、22mg、24mg、26mg、28mg、30mg、32mg、34mg、36mg、38mg、または40mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1mg~25mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、22mg、24mg、または25mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1mg~10mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1mg~5mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、または5mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1mgのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5mgのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10mgのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、15mgのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約20mgのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約25mgのサイロシビンを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%以上、98%以上、または99%以上である。いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%以上である。
【0116】
いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%超、98%超、または99%超である。いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%超である。いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%を超え、2%を超える単一不純物はない。いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%を超え、1%を超える単一不純物はない。
【0117】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、結晶性サイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、米国特許第10,519,175号に開示されている結晶性サイロシビンであり、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは結晶性サイロシビン多形体Aである。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは結晶性サイロシビン水和物Aである。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは結晶性サイロシビン多形体A’である。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、結晶性サイロシビン多形体Bである。
【0118】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、非晶質サイロシビンを含む。
【0119】
薬学的に許容される賦形剤:
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンの官能基と実質的に化学的または物理的に相互作用しない少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンのホスホネートエステルと実質的に化学的または物理的に相互作用しない少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンのホスホネートエステルと共有結合及び/または水素結合を形成しない少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンの官能基と実質的に化学的または物理的に相互作用する薬学的に許容される賦形剤を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンのホスホネートエステルと実質的に化学的または物理的に相互作用する薬学的に許容される賦形剤を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビンのホスホネートエステルと共有結合及び/または水素結合を実質的に形成する薬学的に許容される賦形剤を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、無機ケイ酸塩、二酸化ケイ素、またはケイ化賦形剤を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、パーライト、ケイ酸カリウム、シリカエアロゲル、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カルシウムナトリウム、ケイ酸ナトリウム、タルク(塩基性ケイ酸マグネシウム)またはケイ酸三カルシウムを含有しない。いくつかの実施形態では、組成物はケイ化微結晶セルロースを含有しない。
【0122】
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリヒドロキシル化賦形剤、例えば糖アルコールまたは糖類を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリオール、マンニトール、キシリトール、スクロース、ソルビトールまたはフルクトースを含有しない。
【0123】
いくつかの実施形態では、組成物はカルシウム塩基を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムを含有しない。
【0124】
上記のように、本開示の組成物は、1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0125】
希釈剤:
いくつかの実施形態では、組成物は、希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤はデンプン系材料である。
【0126】
いくつかの実施形態では、希釈剤はアルファ化デンプンである。本明細書で言及される場合、「アルファ化デンプン」という用語は、完全にアルファ化または部分的にアルファ化されたデンプンを指す。いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、部分的にアルファ化されている。
【0127】
いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、天然デンプン及び予め圧縮されたデンプン粉末を含む。いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、天然デンプン及び予め圧縮されたデンプン粉末を含む混合物を流動化する工程;及び予め圧縮されたデンプン粉末を含むスラリーを流動化混合物に噴霧する工程を含む方法によって製造される。予め圧縮されたデンプン粉末は、部分的にアルファ化されたデンプンとしても特徴付けられる。しかしながら、これは、かなりの量のインタクトの天然デンプンが予め圧縮されたデンプン粉末中に残っているために、完全にまたは完璧にアルファ化されたデンプンとは区別される。
【0128】
「天然デンプン」という用語は、多数の植物源のいずれか1つに直接由来するデンプンを指す。天然デンプンは、植物源(例えば、トウモロコシ)から抽出され、その顆粒構造は実質的にインタクトのままである。「予め圧縮されたデンプン粉末」という用語は、非アルファ化顆粒状天然デンプンを熱エネルギーの可能な投入による物理的圧縮に供することによって得られる生成物を指す。圧縮後、デンプンを粉砕し、ふるい分けして、自由流動性粉末を得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプンまたはその組合せに由来する。いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、トウモロコシデンプンに由来する。いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、ジャガイモデンプンに由来する。いくつかの実施形態では、アルファ化デンプンは、小麦デンプンに由来する。
【0130】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、Colorcon Starcap(登録商標)、Roquette Lycatab(登録商標)C、Roquette Lycatab(登録商標)PGS、Grain Processing Corporation(GPC)Spress(登録商標)B820、Cargil C☆PharmGel(商標)、Insta-デンプン、Seppic Sepistab(商標)ST 200またはDFE Pharma Prejel PAH P5である。Starcap(登録商標)は、操作された物理的特性を有する部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプンである。Starcap(登録商標)は、その物理的特性、例えば約21のCarr指数、約5.6g/秒の流量、及び約90ミクロンの平均の平均粒径に基づいて記載され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、Starcap(登録商標)を含む。Starcap(登録商標)は、米国特許第7,186,293号及び欧州特許第1,861,427号に記載されており、これらは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、その平均の平均粒径を特徴とする希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約40~約200ミクロン、例えば、約40ミクロン、約45ミクロン、約50ミクロン、約55ミクロン、約60ミクロン、約65ミクロン、約70ミクロン、約75ミクロン、約80ミクロン、約85ミクロン、約90ミクロン、約95ミクロン、約100ミクロン、約105ミクロン、約110ミクロン、約115ミクロン、約120ミクロン、約125ミクロン、約130ミクロン、約135ミクロン、約140ミクロン、約145ミクロン、約150ミクロン、約155ミクロン、約160ミクロン、約165ミクロン、約170ミクロン、約175ミクロン、約180ミクロン、約185ミクロン、約190ミクロン、約195ミクロン、または約200ミクロンであり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約50~約120ミクロンである。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約60~約120ミクロンである。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約90ミクロンである。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約100ミクロンである。いくつかの実施形態では、希釈剤の平均の平均粒径は、約150ミクロンである。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、Carr指数、Hausner比または流量等の流動特性を特徴とする希釈剤を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約12~約25、例えば、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、または約24であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は約11未満である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約12~約16である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約18~約21である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は約24未満である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約16である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約17である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約20である。いくつかの実施形態では、希釈剤のCarr指数は、約21である。
【0134】
いくつかの実施形態では、希釈剤のHausner比は、約1.0~約1.6、例えば、約1.0、約1.05、約1.10、約1.15、約1.20、約1.25、約1.30、約1.35、約1.40、約1.45、約1.50、約1.55または約1.60であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤のHausner比は、約1.6未満である。いくつかの実施形態では、希釈剤のHausner比は、約1.2未満である。いくつかの実施形態では、希釈剤のHausner比は、1.29である。
【0135】
いくつかの実施形態では、希釈剤の流量は、Sotax FT300流動性試験機(振動設定1.7g)を使用して測定した場合、約2g/秒~約10g/秒、例えば約2.00g/秒、約2.25g/秒、約2.50g/秒、約2.75g/秒、約3.00g/秒、約3.25g/秒、約3.50g/秒、約3.75g/秒、約4.00g/秒、約4.25g/秒、約4.50g/秒、約4.75g/秒、約5.00g/秒、約5.25g/秒、約5.50g/秒、約5.75g/秒、約6.00g/秒、約6.25g/秒、約6.50g/秒、約6.75g/秒、約7.00g/秒、約7.25g/秒、約7.50g/秒、約7.75g/秒、約8.00g/秒、約8.25g/秒、約8.50g/秒、約8.75g/秒、約9.00g/秒、約9.25g/秒、約9.50g/秒、約9.75g/秒、または約10.00g/秒であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤の流量は約3.6g/秒である。いくつかの実施形態では、希釈剤の流量は約5.6g/秒である。いくつかの実施形態では、希釈剤の流量は約8.5g/秒である。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、そのかさ密度によって特徴付けられる希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤のかさ密度は、約0.40g/mL~約0.70g/mL、例えば約0.40g/mL、約0.41g/mL、約0.42g/mL、約0.43g/mL、約0.44g/mL、約0.45g/mL、約0.46g/mL、約0.47g/mL、約0.48g/mL、約0.49g/mL、約0.50g/mL、約0.51g/mL、約0.52g/mL、約0.53g/mL、約0.54g/mL、約0.55g/mL、約0.56g/mL、約0.57g/mL、約0.58g/mL、約0.59g/mL、約0.60g/mL、約0.61g/mL、約0.62g/mL、約0.63g/mL、約0.64g/mL、約0.65g/mL、約0.66g/mL、約0.67g/mL、約0.68g/mL、約0.69g/mLまたは約0.70g/mLであり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤のかさ密度は約0.47g/mLである。いくつかの実施形態では、希釈剤のかさ密度は約0.63g/mLである。
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、その含水量を特徴とする希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤の含水量は、約1%~約20%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤の含水量は約6%である。いくつかの実施形態では、希釈剤の含水量は約15%未満である。
【0138】
いくつかの実施形態では、組成物は、約85~99重量%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)の希釈剤を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、希釈剤はアルファ化デンプンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約85%~約99%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)のアルファ化デンプンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約98%のアルファ化デンプンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約94%のアルファ化デンプンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約89%のアルファ化デンプンを含む。
【0140】
滑沢剤:
いくつかの実施形態では、組成物は滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルモステアリン酸グリセリル、ラウリルステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及び硬化ヒマシ油からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0141】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5~2.0重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)の滑沢剤を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%~約2.0%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5~2重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(その間の全ての範囲及び値を含む)の滑沢剤を含む。
【0144】
流動促進剤:
いくつかの実施形態では、組成物は流動促進剤を含む。いくつかの実施形態では、流動促進剤は、リン酸カルシウム三水和物、ケイ酸カルシウム、セルロース、粉末状、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、デンプン、タルク、及びその組合せからなる群から選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、流動促進剤はケイ酸カルシウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%~約2%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のケイ酸カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1%のケイ酸カルシウムを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、流動促進剤は二酸化ケイ素である。いくつかの実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%~約0.5%、例えば、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%(その間の全ての範囲及び値を含む)の二酸化ケイ素を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、流動促進剤はケイ酸マグネシウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%~約2%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のケイ酸マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1%のケイ酸マグネシウムを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、流動促進剤はタルクである。いくつかの実施形態では、組成物は、約1%~約10%、例えば、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、または約10.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のタルクを含む。
【0149】
崩壊剤:
いくつかの実施形態では、組成物は、崩壊剤を含む。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、デンプン(例えば、アルファ化デンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ポラリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、セルロース、キトサン、コロイド状二酸化ケイ素(SiO2)、ドキュセートナトリウム、グアーガム、及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%~約98%、例えば、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.2%、約2.4%、約2.6%、約2.8%、約3.0%、約3.2%、約3.4%、約3.6%、約3.8%、約4.0%、約4.2%、約4.4%、約4.6%、約4.8%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、約10.0%、約11.0%、約12.0%、約13.0%、約14.0%、約15.0%、約16.0%、約17.0%、約18.0%、約19.0%、約20.0%、約22.0%、約24.0%、約26.0%、約28.0%、約30.0%、約33.0%、約36.0%、約39.0%、約42.0%、約46.0%、約50.0%、約54.0%、約58.0%、約62.0%、約68.0%、約74.0%、約80.0%、約86.0%、約92.0%、または約98.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)の崩壊剤を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はデンプンである。いくつかの実施形態では、デンプンはアルファ化デンプンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約50%~約98%、例えば、約50%、約52%、約54%、約56%、約58%、約60%、約62%、約64%、約66%、約68%、約70%、約72%、約74%、約76%、約78%、約80%、約82%、約84%、約86%、約88%、約90%、約92%、約94%、約96%、または約98%(その間の全ての範囲及び値を含む)のデンプンを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約8%、例えば、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、または約8.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のデンプングリコール酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約4%のデンプングリコール酸ナトリウムを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はポビドンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%~約5%、約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、または約5.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のポビドンを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約5%、例えば、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、または約5.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のクロスポビドンを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約10%~約25%、例えば、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、または約25%(その間の全ての範囲及び値を含む)のクロスカルメロースナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約17.5%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、ポルカリンカリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約10%、例えば、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、または約10.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のポリカリンカリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約3%のポリカリンカリウムを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約10%、例えば、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、または約10.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5%のメチルセルロースを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はヒドロキシプロピルセルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約5%、例えば、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、または約5.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のヒドロキシプロピルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約3%のヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5%~約15%、例えば、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(その間の全ての範囲及び値を含む)の微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約10%の微結晶性セルロースを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はカルボキシメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、約1%~約6%、例えば、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、または約6.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のカルボキシメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約2%~約3%のカルボキシメチルセルロースを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はアルギン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2.5%~約10%、例えば、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、または約10.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のアルギン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約4%~約5%のアルギン酸ナトリウムを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はアルギン酸カルシウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約2.5%~約10%、例えば、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、または約10.0%(その間の全ての範囲及び値を含む)のアルギン酸カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約4%~約5%のアルギン酸カルシウムを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はケイ酸マグネシウムアルミニウムである。
【0163】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はキトサンである。
【0164】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はコロイド状二酸化ケイ素である。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%~約0.55%、例えば、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、または約0.55%(その間の全ての範囲及び値を含む)のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、崩壊剤はセルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5%~約15%、例えば、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%(その間の全ての範囲及び値を含む)のセルロースを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、ドキュセートナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%~約1.0%、例えば、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1.0%のドキュセートナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%のドキュセートナトリウムを含む。
【0167】
剤形:
本開示によれば、医薬組成物は、その中に含まれるサイロシビンの完全性及び効力を維持し、薬学的に許容されるサイロシビン含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される)を提供する任意の薬学的に許容される形態であり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は固体形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口剤形である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は液剤(例えば、水性液剤)である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は錠剤である。いくつかの実施形態では、医薬組成物はカプセル剤である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は粉末である。
【0168】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、サイロシビン;約85~99重量%の希釈剤及び約0.5~2重量%の滑沢剤を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビン;約85~99重量%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)の希釈剤;及び約0.5~2重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(その間の全ての範囲及び値を含む)の滑沢剤を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、組成物は、サイロシビン;約85~99重量%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)のアルファ化デンプン(Starcap);及び約0.5~2重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(その間の全ての範囲及び値を含む)のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量%のサイロシビン、約98重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量%のサイロシビン、約98重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5重量%のサイロシビン、約94重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5重量%のサイロシビン、約94重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10重量%のサイロシビン、約89重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約10重量%のサイロシビン、約89重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はカプセル剤である。いくつかの実施形態では、カプセル材料は、メチルセルロース、ゲランガム、カラギーナン、ペクチン、グリセリン、ヒドロキシプロピル(HP)デンプン、可塑剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤)、非晶質デンプン(例えば、アミロペクチン)、軟化剤またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料はデンプン(例えば、ヒドロキシプロピルデンプンまたはアミロペクチン)を含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料は、VcapsPlus(登録商標)、Vcaps(登録商標)、Quali-V(登録商標)、EMBROCaps(登録商標)-VG、VegiCaps(登録商標)、SeaGel(商標)、またはVegaGels(登録商標)である。
【0175】
いくつかの実施形態では、カプセル材料は、約1%~約7%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%または約7%(その間の全ての範囲及び値を含む)の含水量を含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料は、約6%未満の含水量を含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料は、約3%~約7%の含水量を含む。いくつかの実施形態では、カプセル材料は、約4%~約6%の含水量を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物の含量均一性は、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する。
【0177】
粉末混合物:
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、カプセルでの使用に適した粉末混合物(すなわち、サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤との混合物)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、錠剤を提供するための直接圧縮に適した粉末混合物を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示の粉末混合物は、Carr指数またはHausner比等の流動特性を特徴とする。
【0179】
いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は、約12~約25、例えば、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、または約24であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約11未満である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約12~約16である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約18~約21である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約24未満である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約16である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約17である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約20である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のCarr指数は約21である。
【0180】
いくつかの実施形態では、粉末混合物のHausner比は、約1.0~約1.6、例えば、約1.00、約1.05、約1.10、約1.15、約1.20、約1.25、約1.30、約1.35、約1.40、約1.45、約1.50、約1.55または約1.6であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物のHausner比は、約1.6未満である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のHausner比は、約1.2未満である。いくつかの実施形態では、粉末混合物のHausner比は、1.29である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示の粉末混合物は、そのかさ密度によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、粉末混合物のかさ密度は、約0.40g/mL~約0.70g/mL、例えば約0.40g/mL、約0.41g/mL、約0.42g/mL、約0.43g/mL、約0.44g/mL、約0.45g/mL、約0.46g/mL、約0.47g/mL、約0.48g/mL、約0.49g/mL、約0.50g/mL、約0.51g/mL、約0.52g/mL、約0.53g/mL、約0.54g/mL、約0.55g/mL、約0.56g/mL、約0.57g/mL、約0.58g/mL、約0.59g/mL、約0.60g/mL、約0.61g/mL、約0.62g/mL、約0.63g/mL、約0.64g/mL、約0.65g/mL、約0.66g/mL、約0.67g/mL、約0.68g/mL、約0.69g/mLまたは約0.70g/mLであり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物のかさ密度は、約0.44g/mL~0.52g/mLである。いくつかの実施形態では、粉末混合物のかさ密度は、約0.45g/mL~0.55g/mLである。いくつかの実施形態では、粉末混合物のかさ密度は、約0.47g/mLである。いくつかの実施形態では、組成物のかさ密度は約0.63g/mLである。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の粉末混合物は、天然デンプンと予め圧縮されたデンプンとの比によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、天然デンプンと予め圧縮されたデンプンとの比は、約70:30~約99:1、例えば約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2または約99:1であり、その間の全ての範囲及び値を含む。いくつかの実施形態では、天然デンプンと予め圧縮されたデンプンとの比は、約85:15~約95:5である。
【0183】
いくつかの実施形態では、粉末混合物は、サイロシビン;約85~99重量%の希釈剤及び約0.5~2重量%の滑沢剤を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、粉末混合物は、サイロシビン;約85~99重量%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)の希釈剤;及び約0.5~2重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(その間の全ての範囲及び値を含む)の滑沢剤を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、粉末混合物は、サイロシビン;約85~99重量%、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(その間の全ての範囲及び値を含む)のアルファ化デンプン(Starcap);及び約0.5~2重量%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2%(その間の全ての範囲及び値を含む)のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0186】
本方法のいくつかの実施形態では、粉末混合物は、約1重量%~約10重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約1重量%~約15重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%または約15%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約1重量%のサイロシビン、約98重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約1重量%のサイロシビン、約98重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約5重量%のサイロシビン、約94重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約5重量%のサイロシビン、約94重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10重量%のサイロシビン、約89重量%の希釈剤、及び約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、粉末混合物は、約10重量%のサイロシビン、約89重量%のアルファ化デンプン(Starcap)、及び約1重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示の粉末混合物の含量均一性は、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する。
【0191】
本開示の医薬組成物を製造する方法
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを直接混合して混合物を提供すること、及び(b)カプセルに混合物を充填して医薬組成物を提供することを含む、医薬組成物の製造方法を提供し、ここで、組成物の含量均一性は、欧州薬局方2.96またはUSP<905>に準拠する。
【0192】
いくつかの実施形態では、混合物は、約15~約60分間、例えば約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間または約60分間、サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを混合することによって調製される。いくつかの実施形態では、混合は1つまたは1つより多くのステージで行われる。いくつかの実施形態では、混合は2つのステージで行われる。いくつかの実施形態では、混合は3つのステージで行われる。
【0193】
本方法のいくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスは、組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、3%未満減少する。いくつかの実施形態では、組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスは、組成物を40℃及び相対湿度75%で2ヶ月間貯蔵した後、3%未満減少する。
【0194】
本方法のいくつかの実施形態では、混合物は、約1重量%~約10重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、混合物は、約1重量%~約15重量%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%または約15%(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、カプセルは、約1mg~40mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、22mg、24mg、26mg、28mg、30mg、32mg、34mg、36mg、38mg、または40mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは、約1mg~25mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、22mg、24mg、または25mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、カプセルは、約1mg~10mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、カプセルは、約1mg~5mg、例えば、1mg、2mg、3mg、4mg、または5mg(その間の全ての範囲及び値を含む)のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、カプセルは1mg、5mg、10mgまたは25mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは1mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは5mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは10mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは15mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは20mgのサイロシビンを含有する。いくつかの実施形態では、カプセルは25mgのサイロシビンを含有する。
【0195】
本方法のいくつかの実施形態では、混合物は、1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤は希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤はアルファ化デンプンである。
【0196】
本方法のいくつかの実施形態では、混合物は滑沢剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルモステアリン酸グリセリル、ラウリルステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及び硬化ヒマシ油からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0197】
いくつかの実施形態では、混合物は流動促進剤を含有しない。
【0198】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物を製造する方法は、
図9に記載の方法である。
【0199】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、驚くべきことに、サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを直接混合することによって医薬組成物を製造する開示された方法は、低レベルの薬物負荷でさえ、薬学的に許容される含量均一性(欧州薬局方2.96またはUSP<905>によって測定される)を有する組成物を提供することが見出された。
【0200】
鬱病性障害を治療する方法
いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される方法は、本明細書中に開示される組成物の治療効果を投与することを含む、鬱病性障害を有する対象を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される方法は、本明細書中に開示される組成物の治療効果を投与することを含む、気分障害を有する対象を治療するために使用される。本開示の組成物は、サイロシビンの投与によって治療可能な任意の状態または障害を治療するために使用され得る。本開示の方法は、国際公開第2020/212951号、国際公開第2020/212948号及び国際公開第2020/212952号に記載されている障害を治療するために使用することができ、これらはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
いくつかの実施形態では、鬱病性障害は、大鬱病性障害、非定型鬱病、双極性障害、緊張病性鬱病、医学的状態に起因する鬱病性障害、分娩後鬱病、月経前不快気分障害、または季節性情動障害である。
【0202】
いくつかの実施形態では、鬱病性障害は、Diagnostic and Statistical Manual of Medical Disorders(精神疾患の分類と診断のマニュアル)第5版の基準及び分類に基づく医学的診断を含む。いくつかの実施形態では、鬱病性障害は、独立した医学的評価に基づく医学的診断を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、治療に対して抵抗性である鬱病を有する対象に提供される。いくつかの実施形態では、対象は、「治療抵抗性鬱病」と診断されている。「治療抵抗性鬱病」という用語は、適切な用量及び持続時間の少なくとも1つまたは1つより多くの治療の試みに対して応答しないか、または抵抗性である一種の鬱病を指す。いくつかの実施形態では、治療抵抗性鬱病を有する対象は、1回の治療の試み、2回の治療の試み、3回の治療の試み、4回の治療の試み、または5回の治療の試みに応答できていない。いくつかの実施形態では、治療抵抗性鬱病を有する対象は、大鬱病性障害と診断され、3回または3回より多くの治療の試みに応答することができていない。いくつかの実施形態では、治療抵抗性鬱病を有する対象は、双極性障害と診断され、1回の治療の試みに応答することができていない。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、鬱病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、鬱病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%、またはそれより多く低減する。
【0205】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与後、鬱病の兆候または症状を低減するための他の治療は、対象に施されない。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象に、鬱病の兆候または症状を低減するための少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の療法剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環式抗鬱剤、四環式抗鬱剤、ドーパミン再取込み阻害剤、5-HT1A受容体アンタゴニスト、5-HT2受容体アンタゴニスト、5-HT3受容体アンタゴニスト、モノアミン酸化酵素阻害剤、またはノルアドレナリン受容体アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の療法剤は、サイロシビンの投与前、サイロシビンの投与と同じ日に、またはサイロシビンの投与後に投与される。
【0207】
いくつかの実施形態では、鬱病性障害を有する対象は、追加の併存疾患または障害を有する。いくつかの実施形態では、追加の併存疾患または障害は、不安障害、強迫性障害、アルコール依存症、人格障害、心血管疾患、神経疾患、またはがんである。いくつかの実施形態では、対象は、認知症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を有する。いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、対象における鬱病の少なくとも1つの兆候または症状を低減することにより、対象における1つまたは1つより多くの併存疾患または障害を予防する。
【実施例】
【0208】
以下の実施例は、例示説明目的のみのために本明細書において含まれ、限定することは意図されない。
【0209】
実施例1:ケイ化微結晶デンプンを含有するサイロシビン錠剤の組成及び安定性
製剤最適化後、表8に示す1mg及び5mgのサイロシビン含有錠剤を調製し、6ヶ月の製剤安定性試験に供した。
【表8】
【0210】
結果:安定性試験の保存条件及び結果を以下の表9及び表10に示す。貯蔵すると、錠剤は変色し、API効力を失った。しかし、サイロシビン関連不純物、例えばサイロシンの明らかな相応の増加はなかった(すなわち、マスバランスの明らかな喪失があった)。そのため、錠剤を乾燥剤の存在下で保存した場合であっても、製剤安定性は医薬品に適さないと判定された。
【表9】
【表10】
【0211】
考察:水がマスバランスの損失に果たし得る役割を決定するために、水分透過を減少させるために水分バリア水性フィルムコーティングを錠剤に適用した。しかし、コーティング錠の安定性はさらに低かった。別の可能性は、錠剤の圧縮中に非晶質形態が形成された可能性があることである。非晶質形態は、その結晶性対応物よりも安定性が低く、特定の状況では、異なる機構を介して分解し、これにより明らかなAPI分解の欠如を潜在的に説明し得る。混合物を他の方法によって製造した場合、やはり分解を伴わずに、低い回収率が見られることが明らかになった後、これも除外された。さらに、錠剤製剤混合物(すなわち、表8の賦形剤混合物)で空のカプセルを充填することによって調製されたカプセルにおいて同様の不安定性が観察された。
【0212】
実施例2:二酸化ケイ素系賦形剤の非存在化のサイロシビンカプセルの組成及び安定性
生成物貯蔵時に観察されたマスバランスの喪失が、シラン化微結晶セルロース及び/またはコロイド状シリカ(共にAPIの流れを増強するために添加される)とサイロシビン(例えば、賦形剤表面へのサイロシビンの不可逆的結合)との相互作用に起因するかどうかを調べるための実験を行った。
【0213】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、サイロシビンは(そのホスホネートエステル基を介して)シラン化表面と強い相互作用(例えば、H結合)を形成し、サイロシビン関連不純物の相応の増加なしに効力の喪失をもたらし得ると仮定された。
【0214】
デンプン系賦形剤デンプン1500及びStarcapを使用した2つのカプセル製剤を評価した。1%(1mg)及び10%(25mg)のサイロシビンを含有する混合物を各賦形剤と共に調製した。表11は、各混合物の物理的特性を示す。Starcapは、以下に示すように、優れた充填及び含量均一性を示した。
【表11】
【0215】
さらなる開発のためにStarcap製剤を選択した。表12はカプセル組成物を示し、
図9は直接混合法を用いて組成物を調製する方法を示す。これらのカプセルを以下のように安定性について試験した。
【表12】
【0216】
表13は、1mgカプセル(乾燥剤を含む)を25℃/60%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【表13】
【0217】
表14は、1mgカプセル(乾燥剤を含む)を40℃/75%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【表14】
【0218】
表15は、5mgカプセル(乾燥剤を含む)を25℃/60%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【表15】
【0219】
表16は、5mgカプセル(乾燥剤を含む)を40℃/75%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【表16】
【0220】
表17は、25mgカプセル(乾燥剤を含む)を25℃/60%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【表17】
【0221】
表18は、25mgカプセル(乾燥剤を含む)を40℃/75%RHで1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵した結果を示す。データは、カプセルが仕様の範囲内であり、両方の時点で全ての測定パラメータに従ったことを示している。
【0222】
本実施例で言及されるHPLCデータは、本明細書に記載される関連物質HPLC法を使用して得られた。
【表18】
【0223】
実施例3:二酸化ケイ素系及び他の賦形剤と共に製剤化されたサイロシビンカプセルの組成及び安定性
表19の二酸化ケイ素含有賦形剤を含むサイロシビンの組成物を、実施例2で使用したものと同様の安定性条件下で試験し、各サイロシビン組成物について記録した安定性パラメータを検討する。
【表19】
【0224】
表20の水素結合形成糖またはポリオールを含むサイロシビンの組成物を、実施例2で使用したものと同様の安定性条件下で試験し、各サイロシビン組成物について記録した安定性パラメータを検討する。
【表20】
【0225】
表21の塩基性賦形剤を含むサイロシビンの組成物を、実施例2で使用したものと同様の安定性条件下で試験し、各サイロシビン組成物について記録した安定性パラメータを検討する。
【表21】
【0226】
実施例4:二酸化ケイ素系賦形剤、アルファ化デンプンまたはその組合せを用いて製剤化したサイロシビンカプセルの組成及び安定性
実施例1及び2に記載されるように、同じ混合組成物から調製された錠剤及びカプセルにおいて効力の喪失が観察された。混合物は、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)及びコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil)を含有していた。
【0227】
表22の二酸化ケイ素含有賦形剤及びアルファ化デンプンを含むサイロシビンの組成を、実施例2で使用したものと同様の安定性条件下で試験した。各サイロシビン組成物について安定性結果を記録した。
【0228】
表22は、10重量%のケイ化微結晶セルロース(SMCC)、1重量%のコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil)及び1重量%のサイロシビンを含有する調製された組成物を示す。
【表22】
【0229】
二酸化ケイ素を含有せず、1重量%のサイロシビンを含有する対照組成物として、表23に記載の組成物を使用した。
【表23】
【0230】
表24に記載の組成物を使用して、以前の1重量%のサイロシビン錠剤で使用された開発製剤を複製した。
【表24】
【0231】
表25の組成物を使用して、以前の5重量%のサイロシビン錠剤で使用された開発製剤を複製した。
【表25】
【0232】
方法:上記の組成物の各々を6つの別々のHDPE試料ボトルに等しく分割した。これらのボトルのうち3つは、1gの乾燥剤サシェを含んでいた。全てのボトルを蓋及びパラフィルムで密封した。ボトルを表26に記載の条件に供した。
【表26】
【0233】
組成物をカールフィッシャーKF分析によって含水量について試験し、表27に記載の条件を使用して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。分析は、試験開始時(初期)、2週間、1ヶ月、2ヶ月及び6ヶ月に行った。
【表27】
【0234】
表28及び
図10は、25℃/60%相対湿度(RH)、40℃/75%RH、及び60℃で乾燥剤あり及びなしのStarcap対照組成物を2週間、1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月間貯蔵した結果を示す。カールフィッシャー分析によって決定される、組成物のT=0での含水量は7.11%であった。
【表28-1】
【表28-2】
【0235】
表29及び
図11は、25℃/60%RH、40℃/75%RH及び60℃で2週間、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間、乾燥剤あり及びなしの1mgのサイロシビン低レベルSMCC組成物の貯蔵からの結果を示す。カールフィッシャー分析によって決定された場合、組成物のT=0での含水量は6.77%であった。
【表29-1】
【表29-2】
【0236】
表30及び
図12は、25℃/60%RH、40℃/75%RH及び60℃で2週間、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間、乾燥剤あり及びなしの1mgのサイロシビン錠剤組成物の貯蔵からの結果を示す。カールフィッシャー分析によって決定された場合、組成物のT=0での含水量は3.05%であった。
【表30-1】
【表30-2】
【0237】
表31及び
図13は、25℃/60%RH、40℃/75%RH及び60℃で2週間、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間、乾燥剤あり及びなしの5%のサイロシビン錠剤組成物の貯蔵からの結果を示す。カールフィッシャー分析によって決定された場合、組成物のT=0での含水量は2.72%であった。
【表31-1】
【表31-2】
【0238】
表32は、1mgのサイロシビンカプセル対照試料安定性試験のアッセイ結果を示す。
【表32】
【0239】
結果:全ての試験について、サイロシン不純物のレベルは試験期間を通して変化しないままであった。
【0240】
二酸化ケイ素賦形剤を含有する組成物は、対照組成物と比較した場合、アッセイにおいて減少傾向の増加を示した(表33参照)。さらに、表33は、乾燥剤の使用が組成物安定性に対して限定的な効果を有することを示している。
【表33】
【0241】
本明細書において例証及び考察される実施形態は、本発明を作製し、使用するために本発明者らに既知の最善の方法を当業者に教示することのみを意図する。本発明の上記実施形態は、本発明から逸脱することなく、上記教示に照らして当業者によって理解されるように修正または変更され得る。したがって、特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されるものとは別の方法で実施され得ることが理解される。
実施形態
1. 医薬組成物であって:
治療有効量のサイロシビン;及び
1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤を含み、
前記組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、前記組成物中のサイロシビンの効力が5%未満低下し、サイロシビン及び関連物質のマスバランスが97%を超える、前記医薬組成物。
2. 前記組成物が、サイロシビンのホスホネートエステルと実質的に化学的または物理的に相互作用しない少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態1に記載の医薬組成物。
3. 前記組成物が、サイロシビンのホスホネートエステルと実質的に化学的または物理的に相互作用する薬学的に許容される賦形剤を含まない、実施形態1~2のいずれか1つに記載の医薬組成物。
4. 前記組成物が、無機ケイ酸塩、二酸化ケイ素またはケイ化賦形剤を含有しない、実施形態1~3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
5. 前記組成物が、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、パーライト、ケイ酸カリウム、シリカエアロゲル、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カルシウムナトリウム、ケイ酸ナトリウム、タルク(塩基性ケイ酸マグネシウム)またはケイ酸三カルシウムを含有しない、実施形態1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
6. 前記組成物が、ケイ化微結晶セルロースを含有しない、実施形態1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
7. 前記組成物が、ポリオール、マンニトール、キシリトール、スクロース、ソルビトールまたはフルクトースを含有しない、実施形態1~6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
8. 前記組成物が、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムを含有しない、実施形態1~7のいずれか1つに記載の医薬組成物。
9. 前記組成物が、流動促進剤を含有しない、実施形態1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
10. 前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が希釈剤を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
11. 前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が滑沢剤を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の医薬組成物。
12. 前記組成物が、
a)約85~99重量%の希釈剤;及び
b)約0.5~2.0重量%の滑沢剤を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
13. 前記組成物が、約1重量%~約10重量%のサイロシビンを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の医薬組成物。
14. 前記希釈剤がアルファ化デンプンである、実施形態10~13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
15. 前記滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルモステアリン酸グリセリル、ラウリルステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及び硬化ヒマシ油からなる群から選択される、実施形態11~14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
16. 前記滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、実施形態15に記載の医薬組成物。
17. 前記組成物中のサイロシビンの化学純度は、HPLC分析によって決定される場合、97%以上である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の医薬組成物。
18. 前記組成物が1mg~40mgのサイロシビンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
19. 前記組成物が1mgのサイロシビンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
20. 前記組成物が5mgのサイロシビンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
21. 前記組成物が10mgのサイロシビンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
22. 前記組成物が25mgのサイロシビンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
23. 前記サイロシビンが結晶性サイロシビンを含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
24. 前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体Aである、実施形態23に記載の医薬組成物。
25. 前記結晶性サイロシビンが結晶性水和物Aである、実施形態23に記載の医薬組成物。
26. 前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体A’である、実施形態23に記載の医薬組成物。
27. 前記結晶性サイロシビンが結晶性多形体Bである、実施形態23に記載の医薬組成物。
28. 前記サイロシビンが非晶質である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
29. 前記組成物がカプセルである、実施形態1~28のいずれか1つに記載の医薬組成物。
30. 前記組成物が錠剤である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の医薬組成物。
31. 前記組成物が液剤である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
32. 前記組成物の含量均一性が、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
33. 医薬組成物を製造する方法であって:
a)サイロシビンと1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤とを直接混合して混合物を提供すること、及び
b)前記混合物をカプセルに充填して前記医薬組成物を提供することを含み、
前記組成物の含量均一性が、欧州薬局方2.96.またはUSP<905>に準拠する、前記方法。
34. 前記組成物中のサイロシビン及び関連物質のマスバランスが、前記組成物を40℃及び相対湿度75%で1ヶ月間貯蔵した後、3%未満減少する、実施形態33に記載の方法。
35. 前記混合物が約1重量%~約10重量%のサイロシビンを含む、実施形態33~34のいずれか1つに記載の方法。
36. 前記カプセルが、1mg、5mg、10mgまたは25mgのサイロシビンを含有する、実施形態33~35のいずれか1つに記載の方法。
37. 前記1つまたは1つより多くの薬学的に許容される賦形剤が希釈剤を含む、実施形態33~36のいずれか1つに記載の方法。
38. 前記混合物が滑沢剤をさらに含む、実施形態33~37のいずれか1つに記載の方法。
39. 前記混合物が流動促進剤を含まない、実施形態33~38のいずれか1つに記載の方法。
40. 実施形態33~39のいずれか1つに記載の方法によって調製された医薬組成物。
41. 気分障害を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~32及び40のいずれか1つに記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【国際調査報告】