(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ケラチン物質をケアするための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240313BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240313BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/365
A61K8/67
A61Q19/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560145
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021084017
(87)【国際公開番号】W WO2022204951
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ディ・ウ
(72)【発明者】
【氏名】リンリン・スン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC03
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD35
4C083EE01
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、a)水及び/又は酸素に感受性のある少なくとも1種の美容活性成分、b)25℃の温度において13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル、及びエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びにc)ジプロピレングリコールを含む、ケラチン物質をケアするための無水組成物であって、一切のカチオン性界面活性剤を含まない、組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質をケアするための非治療的方法であって、無水組成物と、水又は含水系とを混合して、マイクロエマルションを形成する工程、及びマイクロエマルションをケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水及び/又は酸素に感受性のある少なくとも1種の美容活性成分、
b)25℃の温度において13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル、及びエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに
c)ジプロピレングリコール
を含む、ケラチン物質をケアするための無水組成物であって、
一切のカチオン性界面活性剤を含まない、組成物。
【請求項2】
水及び/又は酸素に感受性のある美容活性成分が、フェルラ酸、アスコルビン酸及びトコフェロールから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、グリセリンと、8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸とのモノ、ジ及びトリエステルから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するカプリル酸ポリグリセリルから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールが、エトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールが、1~40個のEO単位及び1~40個のPO単位を有するエトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、組成物の総質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールが、組成物の総質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは2質量%~8質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ジプロピレングリコールが、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%、好ましくは5質量%~20質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びヘキシレングリコールから選択される、ジプロピレングリコール以外のC3~C6ポリオールを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ジプロピレングリコール以外のC3~C6ポリオールが、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは10質量%~40質量%の範囲内の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に対して、
a)フェルラ酸、アスコルビン酸及びトコフェロールから選択される、少なくとも1種の美容活性成分、
b)1質量%~4質量%の、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するカプリル酸ポリグリセリル、並びに1~40個のEO単位及び1~40個のPO単位を有するエトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに
c)5質量%~20質量%のジプロピレングリコール
を含み、
一切のカチオン性界面活性剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質をケアするための非治療的方法であって、
i)請求項1~12のいずれか一項に記載の無水組成物と、水又は含水系とを混合して、マイクロエマルションを形成する工程、及び
ii)マイクロエマルションをケラチン物質に塗布する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケアするための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質をケアするための非治療的方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸(ビタミンC)は、強力な抗酸化物質活性成分であり、結合組織の、特にコラーゲンの合成を刺激し、紫外線照射及び汚染等の環境的要因による損傷に対する皮膚組織の防御を増強し、皮膚の一切のビタミンE欠乏を補い、皮膚の色素を除去し、抗フリーラジカル機能を有する。最後の2つの特性のため、アスコルビン酸は、皮膚の加齢と戦う及び/又は加齢を防止するための化粧用又は皮膚科学的活性剤として、優れた候補である。
【0003】
フェルラ酸は抗酸化物質活性剤であり、白色化/美白、抗炎症及びUV保護の利点をもたらすことができる。
【0004】
アスコルビン酸又はフェルラ酸を含む製品を配合することが、化粧品及び皮膚科学分野において所望されている。
【0005】
しかしながら、このような製品を配合するには、大きな課題に直面する。
【0006】
その化学構造(アルファ-ケトラクトン)のため、アスコルビン酸は、ある特定の環境因子、例えば酸素及び水に対して、非常に感受性がある。酸素及び水の存在下ではアスコルビン酸の急速な劣化が起こり、これは、効能の減少及び色の変化の発生の原因となる。
【0007】
フェルラ酸は、水と接触すると数日後には、例えば、フェルラ酸を含有する組成物に対して、フェルラ酸の含有量が1.9質量%以上である場合には7日、フェルラ酸の含有量が1.5質量%以上である場合には15日、フェルラ酸の含有量が1質量%以上である場合には30日後には脱炭酸反応を受け、フェルラ酸の安定性が損なわれ、不快な臭いが生じる。
【0008】
いくつかの製品は、水との接触を回避するために、水不含化粧品ベースに焦点を当てている。例えば、いくつかの二剤型製品があり、これらでは、美容活性成分、例えばアスコルビン酸及びフェルラ酸が無水粉末の形態で存在する。しかしながら、いくつかの製品については、活性成分の生体利用効率が課題である。
【0009】
安定であり、美容活性成分の生体利用効率を与える活性成分、例えばアスコルビン酸又はフェルラ酸を含む化粧料が、依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Ploughshare. Cosm. Chem. 1954 (第5巻)、249~256頁
【非特許文献2】Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、第37巻、No.11(1988年)、48~53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の1つの目的は、したがって、酸素及び/又は水に感受性のある美容活性成分を含む、安定な、すなわち、その中の美容活性成分が実質的に分解しない、ケラチン物質をケアするための組成物を提供することである。
【0012】
したがって、本発明の別の目的は、酸素及び/又は水に感受性のある美容活性成分を含み、美容活性成分の生体利用効率を与える、ケラチン物質をケアするための組成物を提供することである。
【0013】
本発明のなおも別の目的は、ケラチン物質をケアするための非治療的方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、一態様によれば、本発明は、
a)水及び/又は酸素に感受性のある少なくとも1種の美容活性成分、
b)25℃の温度において13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル、及びエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに
c)ジプロピレングリコール
を含む、ケラチン物質をケアするための無水組成物であって、
一切のカチオン性界面活性剤を含まない、組成物を提供する。
【0015】
本発明による無水組成物は、少なくとも2ヶ月にわたって安定である。
【0016】
本出願において、安定性は、美容活性成分の劣化を試験することによって評価される。
【0017】
驚くべきことに、本発明者らは、穏やかに混合することによって、無水組成物を水又は含水系と混合すると、マイクロエマルションを形成することができ、美容活性成分の生体利用効率が増強することを見出した。
【0018】
含水系は、系の総質量に対して40質量%以上の水を含む、任意の系であってよい。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケアするための非治療的方法であって、
i)本発明による無水組成物と、水又は含水系とを混合して、マイクロエマルションを形成する工程、及び
ii)マイクロエマルションをケラチン物質に塗布する工程
を含む、方法を提供する。
【0020】
本発明の他の主題及び特徴、態様及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことによって、よりいっそう明解となる。
【0021】
本発明の実施を、例としての説明にすぎないが、添付図面を参照してここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】フェルラ酸についての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す図である。
【
図2】トコフェロールについての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す図である。
【
図3】得られた混合物の総質量に対して48質量%の水と混合後の、本発明実施例5の組成物についての、フェルラ酸及びトコフェロールの浸透プロファイルを示す図である(FAはフェルラ酸を意味し、VEはトコフェロールを意味する)。
【
図4】比較例4の組成物についての、フェルラ酸及びトコフェロールの浸透プロファイルを示す図である(FAはフェルラ酸を意味し、VEはトコフェロールを意味する)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
別段の定義がない限り、ここで使用される技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する分野における当業者が通例理解するものと同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する分野における当業者が通例理解する意味と競合する場合、ここに記載する定義を適用するものとする。
【0024】
以下において、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「…から…の間」及び「…から…」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0025】
更に、本記載において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0026】
本出願全体にわたって、「含む(comprising)」という用語は、すべての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されるべきである。ここで使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0027】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用される、成分等の量を表現する数値はすべて、「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、ここに記載される数値及びパラメータはおよその値であり、必要な場合、所望の目的に応じて変更することができる。
【0028】
本発明における百分率はすべて、別段の指定がない限り、質量百分率を指す。
【0029】
本発明の目的上、「ケラチン物質」という用語は、ヒトの皮膚、粘膜、例えば唇を含むことが意図される。顔面の皮膚は、本発明によって最も特段に考慮される。
【0030】
「無水」は、水を意図的には加えず、組成物の油含有量が、組成物の総質量に対して0.5質量%未満であることを意味する。特に、組成物中に水が存在しない。
【0031】
本発明による無水組成物は、
a)水及び/又は酸素に感受性のある少なくとも1種の美容活性成分、
b)25℃の温度において13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル、及びエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに
c)ジプロピレングリコール
を含み、
一切のカチオン性界面活性剤を含まない。
【0032】
美容活性成分
第1の態様によれば、本発明による無水組成物は、水及び/又は酸素に感受性のある少なくとも1種の美容活性成分を含む。
【0033】
水及び/又は酸素に感受性のある美容活性成分の例として、フェルラ酸、ビタミン、例えばアスコルビン酸及びトコフェロールを挙げることができる。
【0034】
フェルラ酸
フェルラ酸は、CAS番号が1135-24-6であり、4-ヒドロキシ-3-メトキシケイ皮酸とも呼ばれ、次式を有する。
【0035】
【0036】
フェルラ酸は、オオウイキョウに、コーヒー、リンゴ、チョウセンアザミ、ピーナッツ及びオレンジの種子に、並びにツユクサ類植物(例えば、イネ、コムギ、エンバク及びパイナップル)の種子と細胞壁との両方に、広く見出すことができる。多くの天然フェノール類と同様に、フェルラ酸は、フリーラジカルに対して非常に反応性の強力な抗酸化物質であり、酸化ストレスを低減する。多くの研究で、フェルラ酸が抗腫瘍活性を有しうることを示唆している。
【0037】
このような製品、例えば、ORYZA OIL & FAT CHEMICAL社製のORYZA FERULIXを挙げることができる。
【0038】
存在する場合、フェルラ酸は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~1.9質量%の範囲内の量で存在する。
【0039】
アスコルビン酸
アスコルビン酸は、次の構造式を有する。
【0040】
【0041】
アスコルビン酸は、その中でアスコルビン酸が天然に発生する様々な植物供給源、例えば、ローズヒップ、クロスグリ、柑橘類果実の汁、及びカプシクム・アンヌウム(Capsicum annuum L)の成熟果実から抽出することができる。
【0042】
一般的な合成手順には、D-グルコースをD-ソルビトールへ水素化し、続いてアセトバクター・サブオキシダンス(Acetobacter suboxydans)を使用して酸化させ、L-ソルボースを形成することを伴う。次いで、Lソルボースのジアセトン誘導体の空気酸化によって、カルボキシル基をC1に付加させ、得られたジアセトン-2-ケト-L-グルコン酸を、塩酸とともに加熱することによってL-アスコルビン酸に変換する。
【0043】
アスコルビン酸の市販製品として、NOVACYL社製のYSA-SALICYLIC ACID PHARMACEUTICAL GRADEという商標名で販売されている製品を挙げることができる。
【0044】
存在する場合、アスコルビン酸は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは8質量%~12質量%の範囲内の量で存在する。
【0045】
トコフェロール
トコフェロールは、ビタミンEとも呼ばれ、次の式(I):
【0046】
【0047】
(式中、
R1は、水素及びメチルから選択され、
R2は、水素及びメチル基から選択され、
R3は、メチルである)
の構造を有する。
【0048】
4種のトコフェロールがある(α、β、γ及びδ-トコトリエノール)。
【0049】
α-トコトリエノールは、次の構造を有する。
【0050】
【0051】
すなわち、式(I)における、R1がメチルであり、R2がメチルであり、R3がメチルである。
【0052】
β-トコトリエノールは、次の構造を有する。
【0053】
【0054】
すなわち、式(I)における、R1がメチルであり、R2が水素であり、R3がメチルである。
【0055】
γ-トコトリエノールは、次の構造を有する。
【0056】
【0057】
すなわち、式(I)における、R1が水素であり、R2がメチルであり、R3がメチルである。
【0058】
δ-トコトリエノールは、次の構造を有する。
【0059】
【0060】
すなわち、式(I)における、R1が水素であり、R2が水素であり、R3がメチルである。
【0061】
α-トコフェロールは、人体内で活性に維持されるビタミンEの唯一の形態であり、したがって、血液及び組織において最大量で見出されるビタミンEの形態である。
【0062】
トコフェロールの市販製品として、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社製のDL ALPHA TOCOPHEROL (0410276)という商標名で販売されている製品を挙げることができる。
【0063】
存在する場合、トコフェロールは、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲内の量で存在する。
【0064】
美容活性成分としてトコフェロールが存在する場合、好ましくは、無水組成物は、ウンデカン、トリデカン、C15~19アルカン、イソヘキサデカン、ジカプリリルエーテル、水素化ポリイソブテン、スクアランから選択される油を、組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%、好ましくは0.5質量%~2質量%の範囲内の量で更に含む。
【0065】
非イオン性界面活性剤
第1の態様によれば、本発明による組成物は、25℃の温度において13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル、及びエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0066】
13以上のHLB値を有するポリグリセリル脂肪酸エステル
HLB(親水性親油性バランス)値は、J. Ploughshare. Cosm. Chem. 1954 (第5巻)、249~256頁におけるGriffinの方法に従って定義される。特に、「HLB」値は、界面活性剤中の親水性基と親油性基との比に関係し、界面活性剤の溶解性にも関係する。より高いHLBの界面活性剤は、親水性の系により可溶性である。
【0067】
好ましくは、ポリグリセリル脂肪酸エステルは、グリセリンと、8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸、例えば、ラウリン酸、カプリン酸及びカプリル酸とのモノ、ジ及びトリエステルから選択される。
【0068】
好ましくは、ポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、カプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、ラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、カプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、カプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、ラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、カプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、カプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、ラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、カプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、カプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、ラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、カプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、カプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、ラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、カプリン酸PG7、ジカプリン酸PG7、トリカプリン酸PG7、カプリル酸PG7、ジカプリル酸PG7、トリカプリル酸PG7、ラウリン酸PG7、ジラウリン酸PG7、トリラウリン酸PG7、カプリン酸PG8、ジカプリン酸PG8、トリカプリン酸PG8、カプリル酸PG8、ジカプリル酸PG8、トリカプリル酸PG8、ラウリン酸PG8、ジラウリン酸PG8、トリラウリン酸PG8、カプリン酸PG9、ジカプリン酸PG9、トリカプリン酸PG9、カプリル酸PG9、ジカプリル酸PG9、トリカプリル酸PG9、ラウリン酸PG9、ジラウリン酸PG9、トリラウリン酸PG9、カプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、カプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、ラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10及びトリラウリン酸PG10からなる群から選択される。
【0069】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するカプリル酸ポリグリセリルから選択されることがより好ましい。
【0070】
2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するカプリル酸ポリグリセリルの例として、カプリル酸ポリグリセリル-6、例えば、太陽化学株式会社によりSUNSOFT Q-8H-Cの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0071】
存在する場合、ポリグリセリル脂肪酸エステルは、組成物の総質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲内の量で存在する。
【0072】
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコール
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールとは、脂肪族アルコールと、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドとの反応から形成されるエーテルである。
【0073】
有利には、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状のC8~C30脂肪族アルコール、好ましくはC14~C22脂肪族アルコールから選択される。
【0074】
好ましくは、エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールは、エトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される。
【0075】
好ましくは、エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールは、1~40個のEO(エチレンオキシド)単位及び1~40個のPO(プロピレンオキシド)単位を有するエトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される。
【0076】
エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールの例としては、PPG-1 ベヘネス-15、PPG-12カプリレス(Capryleth)-18、PPG-2-セテアレス-9、PPG-4-セテアレス-12、PPG-10-セテアレス-20、PPG-1-セテス-1、PPG-1-セテス-5、PPG-1-セテス-10、PPG-1-セテス-20、PPG-2-セテス-1、PPG-2-セテス-5、PPG-2-セテス-10、PPG-2-セテス-20、PPG-4-セテス-1、PPG-4-セテス-5、PPG-4-セテス-10、PPG-4-セテス-20、PPG-5-セテス-20、PPG-8-セテス-1、PPG-8-セテス-2、PPG-8-セテス-5、PPG-8-セテス-10、PPG-8-セテス-20、PPG-2 C12-13パレス-8、PPG-2 C12-15パレス-6、PPG-4 C13-15パレス-15、PPG-5 C9-15パレス-6、PPG-6 C9-11パレス-5、PPG-6 C12-15パレス-12、PPG-6 C12-18パレス-11、PPG-3 C12-14Sec-パレス-7、PPG-4 C12-14Sec-パレス-5、PPG-5 C12-14Sec-パレス-7、PPG-5 C12-14Sec-パレス-9、PPG-1-デセス-6、PPG-2-デセス-3、PPG-2-デセス-5、PPG-2-デセス-7、PPG-2-デセス-10、PPG-2-デセス-12、PPG-2-デセス-15、PPG-2-デセス-20、PPG-2-デセス-30、PPG-2-デセス-40、PPG-2-デセス-50、PPG-2-デセス-60、PPG-4-デセス-4、PPG-4-デセス-6、PPG-6-デセス-4、PPG-6-デセス-9、PPG-8-デセス-6、PPG-14-デセス-6、PPG-6-デシルテトラデセス-12、PPG-6-デシルテトラデセス-20、PPG-6-デシルテトラデセス-30、PPG-13-デシルテトラデセス-24、PPG-20-デシルテトラデセス-10、PPG-2-イソデセス-4、PPG-2-イソデセス-6、PPG-2-イソデセス-8、PPG-2-イソデセス-9、PPG-2-イソデセス-10、PPG-2-イソデセス-12、PPG-2-イソデセス-18、PPG-2-イソデセス-25、PPG-4-イソデセス-10、PPG-12-ラネス-50、PPG-2-ラウレス-5、PPG-2-ラウレス-8、PPG-2-ラウレス-12、PPG-3-ラウレス-8、PPG-3-ラウレス-9、PPG-3-ラウレス-10、PPG-3-ラウレス-12、PPG-4ラウレス-2、PPG-4ラウレス-5、PPG-4ラウレス-7、PPG-4-ラウレス-15、PPG-5-ラウレス-5、PPG-6-ラウレス-3、PPG-25-ラウレス-25、PPG-3-ミレス-3、PPG-3-ミレス-11、PPG-23-ステアレス-34、PPG-30ステアレス-4、PPG-34-ステアレス-3、PPG-38ステアレス-6、PPG-1トリデセス-6、PPG-4トリデセス-6及びPPG-6トリデセス-8が挙げられる。
【0077】
存在する場合、エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールは、組成物の総質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは2質量%~8質量%の範囲内の量で存在する。
【0078】
ジプロピレングリコール
第1の態様によれば、本発明による組成物は、ジプロピレングリコールを含む。
【0079】
本発明による組成物において、ジプロピレングリコールは、共界面活性剤及び溶媒として使用される。
【0080】
有利には、ジプロピレングリコールは、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%、好ましくは5質量%~20質量%の範囲内の量で存在する。
【0081】
C3~C6ポリオール
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、ジプロピレングリコール以外のC3~C6ポリオールを更に含む。好ましくは、C3~C6ポリオールは、C3~C6グリコール及びグリセリンから選択される。
【0082】
ジプロピレングリコール以外のC3~C6グリコールの例として、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、PEG-6及びPEG-8を挙げることができる。
【0083】
本発明において、グリコールの定義には、すべての可能な異性体を含む。例えば、プロピレングリコールには、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,1-プロピレングリコールを含む。ブチレングリコールには、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール等を含む。
【0084】
好ましくは、本発明による無水組成物は、プロピレングリコールを含む。
【0085】
存在する場合、ジプロピレングリコール以外のC3~C6ポリオールは、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは10質量%~40質量%の範囲内の量で存在する。
【0086】
追加の美容活性剤
最終的な目的に応じて、組成物は、追加の美容活性剤を含むことができる。
【0087】
本発明の組成物に使用することができる追加の美容活性剤として、挙げることができる例には、酵素、フラボノイド、保湿剤、抗炎症剤、色素除去剤、白色化剤(例えばフェニルエチルレゾルシノール)、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸(例えばカプリロイルサリチル酸)、レチノイド、抗菌活性剤、テンショニング剤、セラミド、精油、UV遮蔽剤(すなわちサンスクリーン)及びこれらの混合物が含まれる。
【0088】
当業者にとって、本発明による組成物の最終的な使用に基づいて、追加の美容活性剤の量を調整することは容易である。
【0089】
追加のアジュバント又は添加剤
本発明による組成物はまた、従来の化粧品用アジュバント又は添加剤、例えば、香料、保存剤及び殺菌剤、乳白剤、染料、軟化剤、緩衝剤、電解質、例えば塩化ナトリウム、又はpH調整剤(例えば、クエン酸若しくは水酸化カリウム)、並びにこれらの混合物を含有してもよい。
【0090】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない又は実質的に受けないように、本発明による組成物に添加される任意選択のアジュバントを注意深く選択することになる。
【0091】
好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン物質をケアするための無水組成物であって、組成物の総質量に対して、
a)フェルラ酸、アスコルビン酸及びトコフェロールから選択される、少なくとも1種の美容活性成分、
b)1質量%~4質量%の、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するカプリル酸ポリグリセリル、並びに1~40個のEO単位及び1~40個のPO単位を有するエトキシル化/プロポキシル化C14~C22脂肪族アルコールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに
c)5質量%~20質量%のジプロピレングリコール
を含み、
一切のカチオン性界面活性剤を含まない、組成物を提供する。
【0092】
ガレヌス形態及び使用
本発明による組成物は、無水製品とすることができる。消費者は、これを水又は含水系と混合して、マイクロエマルションを得ることができる。
【0093】
或いは、本発明による組成物は、本発明による組成物が一方のチャンバ内にあり、均一な含水配合物が他方のチャンバ内にある、デュアルチャンバ製品の一部とすることもできる。消費者は、一方のチャンバ内の組成物を、他方のチャンバ内の均一な含水配合物と混合して、マイクロエマルションを得ることができる。
【0094】
「マイクロエマルション」は、2通りに、すなわち広義と狭義とで定義されうる。つまり、一方の場合(「狭義のマイクロエマルション」)とは、マイクロエマルションは、油性成分、水性成分及び界面活性剤の3つの成分を有する三成分系を含有する、熱力学的に安定な等方性単一液相を指し、他方の場合(「広義のマイクロエマルション」)とは、マイクロエマルションは、熱力学的に不安定な典型的なエマルション系の中で、より小さい粒径に起因して透明な又は半透明な外観を呈するようなエマルションを付加的に含んでいる(Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、第37巻、No.11(1988年)、48~53頁)。ここで使用される「マイクロエマルション」は、「広義のマイクロエマルション」を指す。
【0095】
有利には、本発明による組成物によって形成されるマイクロエマルションにおいて、液滴は、120nm以下、好ましくは20nm~80nm、より好ましくは20nm~50nmの数平均サイズを有する。
【0096】
液滴の体積平均サイズは、特に、動的光散乱(DLS)という公知の方法によって決定されうる。この決定のために使用することができる機器として、4mWの出力を有する633nmの波長の標準レーザを装備した、Malvernブランドの粒径分析装置、モデルZetasizer Nano ZSを挙げることができる。この装置はまた、相関器を装備している(25ns~8000s、最大4000チャネル)。
【0097】
無水組成物と水又は含水系とによって得られるマイクロエマルションを使用して、ケラチン物質をケアすることができる。
【0098】
したがって、第2の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケアするための非治療的方法であって、
i)本発明による無水組成物と、水又は含水系とを混合して、マイクロエマルションを形成する工程、及び
ii)マイクロエマルションをケラチン物質に塗布する工程
を含む、方法を提供する。
【0099】
含水系は、系の総質量に対して40質量%以上の水を含む、任意の系であってよい。
【0100】
以下の実施例は、本発明による組成物を例示することを目的としているが、本発明の範囲をいかようにも限定するものではない。
【実施例】
【0101】
使用した主な原材料、その商標名及び供給業者を、Table 1(表1)に列挙する。
【0102】
【0103】
(本発明実施例1~5及び比較例1~3)
本発明実施例(IE)1~5及び比較例(CE)1~3による組成物を、Table 2(表2)に与える含有量に従って調製した(含有量は、別段の指示がない限り、各組成物の総質量に対する活性材料の質量百分率として表す)。
【0104】
【0105】
調製手順
本発明実施例1の組成物を例に取ると、組成物を以下のように調製した。
1).フェルラ酸をジプロピレングリコールに導入し、目に見える粒子がなくなるまで穏やかに撹拌し、混合物を得る。
2).カプリル酸ポリグリセリル-6を混合物に導入し、撹拌を続ける。
3).1,3-プロピレングリコール及び1,2-プロピレングリコールを導入し、撹拌することによって、組成物を得る。
【0106】
評価
1.安定性
本発明実施例1~5及び比較例1~3において得られる各組成物の安定性を、次のように評価した。
【0107】
調製後、各組成物を2ヶ月間室温(20℃)に置いた後、臭気の発生の有無を感じ取ること、及び色の変化の有無を観察することによって、各組成物の安定性を決定した。
【0108】
組成物を2ヶ月間室温(20℃)に置いた後、組成物に臭気の発生がなく、且つ色の変化がない場合、組成物は安定性試験に合格である。組成物を2ヶ月間室温(20℃)に置いた後、組成物に臭気の発生がある、及び/又は色の変化がある場合、組成物は安定性試験に不合格である。
【0109】
結果をTable 3(表3)に列挙した。
【0110】
2.粒径
本発明実施例1~5及び比較例1~3において調製した各組成物を、穏やかに混合することによって水と混合し、次いで、得られた混合物中の液滴の粒径を、Brookhaven DLSを通して、90の散乱角(°)及び355.1kcpsの計数率で決定した。次の基準を使用して、安定性を評価した。
【0111】
粒径(体積による平均直径)が120nm以上である場合、マイクロエマルションは形成されていない。
【0112】
粒径(体積による平均直径)が10nm超且つ120nm未満である場合、マイクロエマルションが形成されている。
【0113】
マイクロエマルションが形成されたか否かをTable 3(表3)に列挙する。
【0114】
【0115】
本発明実施例1~5の各組成物におけるすべての液滴の粒径は、40nm以内であることが見出された。
【0116】
3.生体利用効率
実施例1において調製した各組成物における美容活性成分の浸透を、次のように特徴付けた。
【0117】
i)皮膚組織試料の調製
6μlの試験する各組成物を、0.8cm×0.8cmのブタの皮膚(食品産業からのブタの耳の皮膚)に一様に塗布した(9mg/cm2に相当する)。次いで、ブタの皮膚試料を、下にPBSがある挿入膜上に配置し、続いて、95%RHにおいて37℃で2時間、インキュベートした。処理した試料を、OCT組織凍結媒体内に包埋し、次いで凍結させ、20μmの厚さに低温切断した。これを更に、ラマン共焦点スキャニングのために、CaF2基材上に載置した。各組成物につき、3つのブタ試料を調製した。処理した各試料のラマン共焦点マッピングを得た。
【0118】
ii)ラマン分光法
LabRam HR Evolution(Horiba Jobin-Yvon社, Villeneuve-d'Ascq, France)ラマン共焦点顕微鏡を使用した。試料に対して、×50 LM Plan対物レンズ(オリンパス社、NA 0.75, Rungis, France)を連結した8mWの出力を有する532nm DPSSレーザを使用して、ラマンスペクトルを得た。すべての測定について、共焦点ホールを直径100μmに設定した。試験の前に、ケイ素の520.7cm-1のスペクトル線に対して、システムをスペクトル的に較正した。600ライン/mmの回折格子を使用して、電荷結合素子(CCD)検出器へラマンシフト放射線を分光することによって、検出を促進した。
【0119】
純粋な美容活性成分について、25%のレーザ強度及び10秒の取得時間を用いて、400~2000cm-1のスペクトル範囲にわたって、単一点スペクトルを取得した。
【0120】
試料評価におけるマッピングについて、ステップサイズは、X方向及びY方向の両方において、3μmであった。取得面積は、18×150μmであった。各スポットについて、スペクトル当たり50%のレーザ強度及び5秒の取得時間を使用した。スペクトル範囲は400~2000cm-1であった。
【0121】
iii)データ分析
Matlabを使用して、非負制約付き最小二乗(NCLS)分析を実行した。統計的分析の前に、ラマンスペクトルを線形ベースライン補正に供した。分析のために、美容活性成分の400~2000cm-1フィンガープリントのスペクトルを使用した。
【0122】
図1は、フェルラ酸についての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す。
【0123】
図2は、トコフェロールについての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す。
【0124】
NCLSの結果である単純化された記載は、以下のように定義することができる。
Ss= (SR1*C1)+(SR2*C2)+……+(SRi*Ci)+R*CR
Ss:処理したブタ皮膚試料に関する、取得された1つのピクセルのラマン信号
SRi:非処理ブタにおける各仮定成分(PCA成分)のラマン信号
R:純粋な美容活性成分のラマン信号
Ci:正確なピクセルにおける各仮定成分(PCA成分)の係数
CR:正確なピクセルにおける美容活性成分の係数
【0125】
活性成分の計算による係数指標を使用して、外皮の角質層からより深い真皮部分までの活性成分の分布プロファイルを生成することができる。
【0126】
図3は、得られた混合物の総質量に対して48質量%の水と混合後の、本発明実施例5の組成物についての、フェルラ酸及びトコフェロールの浸透プロファイルを示す(FAはフェルラ酸を意味し、VEはトコフェロールを意味する)。
【0127】
図4は、比較例4の組成物についての、フェルラ酸及びトコフェロールの浸透プロファイルを示す(FAはフェルラ酸を意味し、VEはトコフェロールを意味する)。
【0128】
図3と
図4との比較から、本発明実施例5による組成物の場合、比較例4の組成物と比較して、トコフェロール及びフェルラ酸がより深く浸透していることがわかる。
【国際調査報告】