(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】塗料組成物及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240313BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20240313BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20240313BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240313BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240313BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20240313BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240313BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240313BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D163/00
C09D133/14
C09D5/02
C09D7/63
B32B37/14 Z
B32B27/30 A
B32B27/40
B32B27/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560389
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2022084263
(87)【国際公開番号】W WO2022206875
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110362416.8
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522310502
【氏名又は名称】烟台正海磁性材料股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523371023
【氏名又は名称】烟台高氏新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李志強
(72)【発明者】
【氏名】高明亮
(72)【発明者】
【氏名】于永江
(72)【発明者】
【氏名】周洪玉
(72)【発明者】
【氏名】周彬
(72)【発明者】
【氏名】王鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】宿雲▲ティン▼
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AA03
4F100AA03B
4F100AA37
4F100AA37B
4F100AK25
4F100AK25B
4F100AK41
4F100AK41B
4F100AK46B
4F100AK51B
4F100AK52
4F100AK53
4F100AK53B
4F100AK54B
4F100AK55B
4F100AT00A
4F100BA02
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4F100JA02
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4F100JB16B
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4F100JM01
4F100JM01B
4F100YY00B
4J038CG141
4J038CH121
4J038DB001
4J038KA21
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA14
4J038PB07
(57)【要約】
本発明は、少なくとも60%の微小球の壁の厚さ≦5μmである熱膨張性微小球の組成物、水系熱可塑性樹脂、水系熱硬化性樹脂及び熱溶融性充填樹脂を含む塗料組成物の製造方法並びに応用を開示する。本発明の塗料組成物は、加熱膨張プロセスにおいて短時間で薄いシェルの球体を迅速に軟化・破壊し、有機溶媒が揮発するにつれて、コーティング層の表面及び内部でコーティング層中の樹脂基質と架橋し、互いに架橋する網状構造を形成することで、コーティング層の隙間支持を強化し、それにより、コーティング層の段階的な膨張が可能となり、且つ膨張後、一部の高分子材料がエアバッグを包み込んで硬化して安定した中空構造を形成する。それにより、膨張後のコーティング層は安定した構造、比較的高い熱収縮耐性、比較的高い機械的強度及び接着力を有し、耐高温部品の固定に適用することができ、且つ高温環境(140℃~180℃)で長時間置いても接着安定性を維持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物であって、前記塗料組成物は少なくとも60%の微小球の壁の厚さ≦5μmである熱膨張性微小球の組成物を含み、
好ましくは、前記組成物において、前記熱膨張性微小球の組成物の重量百分率は20%以下であり、
好ましくは、前記熱膨張性微小球の初期熱膨張温度T
1は100℃≦T
1≦200℃であり、
好ましくは、前記熱膨張性微小球の最高耐熱温度T
2は145℃≦T
2≦215℃であり、
好ましくは、粒径が8μm≦D≦20μmの熱膨張性微小球の重量比率は、前記熱膨張性微小球の総重量の60%以上であり、
好ましくは、粒径が10μm≦D≦15μmの熱膨張性微小球の重量比率は、前記熱膨張性微小球の総重量の50%以上であり、
好ましくは、前記熱膨張性微小球は、熱可塑性ポリマーシェル及び前記熱可塑性ポリマーシェルにより封入された液体アルカンを含み、
好ましくは、前記液体アルカンは、エタン、プロパン、イソブタン、n-ペンタン及びイソペンタンから選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよいことを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
前記熱膨張性微小球の組成物は、任意選択的に沸点が220℃以上の有機溶媒を少なくとも1つ含有する溶媒を更に含んでもよく、例えば前記沸点が220℃以上の有機溶媒はラウリルアルコールエステルから選ばれてもよく、
好ましくは、前記熱膨張性微小球と前記溶媒との重量比は(4~40):1であり、
好ましくは、前記熱膨張性微小球の組成物は、任意選択的に無機繊維を更に含んでもよく、好ましくは、前記無機繊維は、ナノケイ酸アルミニウム繊維、炭素繊維及びボロン繊維などから選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよく、
好ましくは、前記無機繊維と前記溶媒との重量比は(0~2):1であり、
好ましくは、前記熱膨張性微小球の組成物の膨張倍率は150%~300%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記塗料組成物には、水系熱可塑性樹脂が更に含まれ、好ましくは、前記組成物において、前記水系熱可塑性樹脂の重量百分率は10%~30%であってもよく、
好ましくは、前記水系熱可塑性樹脂は、水系アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記塗料組成物には、水系熱硬化性樹脂が更に含まれ、
好ましくは、前記組成物において、前記水系熱硬化性樹脂の重量百分率は10%~40%であってもよく、
好ましくは、前記水系熱硬化性樹脂は、水系エポキシ樹脂、ヒドロキシアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物には、熱溶融性充填樹脂が更に含まれ、
好ましくは、前記組成物において、前記熱溶融性充填樹脂の重量百分率は10%~35%であってもよく、
好ましくは、前記熱溶融性充填樹脂は、変性塩素化ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、エポキシ及びポリメチルメタクリレートから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記水系熱可塑性樹脂と前記水系熱硬化性樹脂との用量比は1:1~1:2であり、
好ましくは、前記熱可塑性樹脂及び前記熱硬化性樹脂の質量の和と前記熱溶融性充填樹脂との質量比は1.5:1~2.5:1であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記塗料組成物には、任意選択的に他の従来の塗料添加剤が更に含まれてもよく、
好ましくは、前記他の従来の塗料添加剤は、前記塗料組成物の総重量の0%~15%を占め、
好ましくは、前記他の従来の塗料添加剤は、例えば硬化剤、分散剤、消泡剤、充填剤、架橋剤、増粘剤、着色剤などから選ばれてもよく、
好ましくは、前記塗料組成物には、水が更に含まれ、
好ましくは、前記塗料組成物における各成分の重量百分率の和は100%であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
熱膨張性微小球の組成物、水系熱可塑性樹脂、水系熱硬化性樹脂、熱溶融性充填樹脂及び任意選択的に更に含まれ得る他の従来の塗料添加剤を、前記配合比で混合することを含むことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載の塗料組成物及び/又は請求項8に記載の製造方法により製造された塗料組成物を基体の本体に適用し、更に基体の本体を加熱することによって、熱膨張性コーティング層を得ることを含み、
好ましくは、前記基体の本体は磁性材料であり、
好ましくは、前記熱膨張性コーティング層のドライ膜厚は100μm~300μmである、熱膨張性コーティング層の安定性を向上させるための方法。
【請求項10】
コーティング層及び基体の本体を含む基体であって、
前記コーティング層は、請求項1~7の何れか1項に記載の塗料組成物及び/又は請求項8に記載の製造方法により製造された塗料組成物によって製造され、
好ましくは、前記コーティング層の厚さは100μm~300μm、例示的には100μm、150μm、200μm、300μmであり、
好ましくは、前記コーティング層は前記基体の本体の表面に位置する、基体。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2021年4月2日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110362416.8であり、発明名称が「塗料組成物及びその製造方法並びに応用」である先行出願の優先権を主張する。上記先行出願は全体として引用により本願に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、塗料組成物の技術分野に属し、特に塗料組成物及びその製造方法並びに応用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
自動車産業の発展に伴い、耐高温接着剤はエンジンの製造に広く適用されているが、エンジン部品を接着・固定するために、特別の溶媒型接着剤を使用し、接着剤を注入、ディスペンスすることにより施用することが多い。しかし、上記の方法は、材料コストが高く、且つ設備やプロセスに対する要求が高く、同時に加工精度が低く、接着剤のはみ出し、ワークの汚染及び接着剤の塗布ムラが発生しやすいなどの欠陥がある。
【0004】
近年、新エネルギー自動車産業の急速な発展に伴い、モーター用磁性シートの組み立てはエンジンを製造する主なプロセスの1つとなっており、各大手自動車メーカーは従来の接着剤注入法を使用し続けることに加え、新エネルギー自動車のエンジン組み立てにおいて磁性材料を固定するための効率的な解決案を求めている。
【0005】
現在、エポキシ樹脂粉体塗料は自動車部品に広く適用されている。例えば、公開番号がJP1993148429Aの特許文献では、フィルムの耐衝撃性を向上させるために、エポキシ樹脂に有機発泡剤の粉末組成物を添加することにより、その内部に気泡を含む硬化材料が得られ、それによりコーティング層は更に優れた機械的衝撃耐性と熱衝撃耐性を有する。
【0006】
また、例えば、公開番号がUS20090270533A1の特許文献では、成膜中に硬化材料と基材との接触面に大量の気泡を形成してコーティング層の耐チッピング性と耐食性が悪いという問題を解決するために、架橋性官能基を有する樹脂、熱膨張性樹脂粒子、硬化剤及び繊維状フィラーを使用することにより、優れた長期耐食性及び優れた耐チッピング性、可撓性及び接着性を有する塗膜が得られる熱硬化性粉末塗料組成物を開示した。
【0007】
熱膨張性樹脂粒子、即ち膨張微小球は、熱可塑性中空ポリマー微小球であり、熱可塑性シェル及び封入された液体アルカンガスで構成されている。加熱すると、微小球のシェル内のガス圧力が増加し、熱可塑性シェルが軟化し、微小球の膨張体積が顕著に増加する。上記の原理により製作された膨張微小球塗料は、プラスチック、壁紙、接着剤、インク、印刷などの分野に広く適用されている。そのうち、膨張微小球を含む熱硬化性粉末塗料は通常、走行中に自動車の底部に対する突然跳ね上がった石の影響を軽減するために、自動車の底部に適用されている。
【0008】
例えば、公開番号がDE102014214381A1の特許文献では、熱硬化性粉末塗料を自動車のモーター用磁性シートの組み立てプロセスに適用することによって、磁性シートのためにコーティング層を提供し、当該コーティング層は熱硬化性樹脂基体で構成され、基体に熱膨張性微小球が埋め込まれ、基質の軟化温度は熱膨張性微小球の反応温度よりも低く、微小球の反応温度よりも高い温度の影響で、微小球の体積は不可逆的に増加する。当該コーティング層が塗布された磁性シートが膨張微小球の反応温度よりも高くするまで加熱されると、樹脂基質が先に軟化し、次に微小球が膨張し、軟化した基質は膨張に対する抵抗力がなく、磁性シートのコーティング層の合計厚さが増加し、磁性シートと回転子溝内の隙間を埋め、磁性シートを回転子溝内に固定する。熱硬化性粉末をコーティング層として使用してモーターの組み立てプロセスにおける回転子を固定することにより、組み立て効率及び加工精度を向上させる。しかし、粉末塗料の粉体吹き付けプロセスは、実際の操作において安全操作や環境汚染の問題があり、且つモーターの作動環境が過酷であり、高温、高湿、高速回転の環境で磁性シートの安定性及び接着性を維持し、且つ比較的高い耐食性を有する必要がある。
【0009】
〔発明の概要〕
上記の技術問題を改善するために、本発明は、60%、70%、75%、80%など、少なくとも60%の微小球の壁の厚さ≦5μmである熱膨張性微小球の組成物を含む塗料組成物を提供しており、また、例えば上記微小球の壁の厚さ≦5μm、例えば上記微小球の壁の厚さが5μm、4.5μm、3μm、2μm、1μm、0.5μmである。
【0010】
本発明の実施形態によれば、上記組成物において、上記熱膨張性微小球の組成物の重量百分率は20%以下、例示的には15%、10%、8%、6%である。
【0011】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の初期熱膨張温度T1は100℃≦T1≦200℃、例えばT1は125℃≦T1≦180℃、例示的には120℃、130℃、150℃、160℃、170℃、190℃又は列挙された温度点の間の任意の値である。
【0012】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の最高耐熱温度T2は145℃≦T2≦215℃、例えばT2は150℃≦T2≦205℃、例示的には155℃、160℃、165℃、175℃、185℃、195℃、200℃又は列挙された温度点の間の任意の値である。
【0013】
当業者であれば、上記初期熱膨張温度T1≦最高耐熱温度T2であることを理解することができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、粒径が8μm≦D≦20μmの熱膨張性微小球の重量比率は、上記熱膨張性微小球の総重量の60%以上、例えば60%、65%、70%、80%、90%、100%であり、
好ましくは、粒径が10μm≦D≦15μmの熱膨張性微小球の重量比率は、上記熱膨張性微小球の総重量の50%以上、例えば55%、60%、70%である。
【0015】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球は、熱可塑性ポリマーシェル及び上記熱可塑性ポリマーシェルにより封入された液体アルカンを含む。
【0016】
例えば、上記熱可塑性ポリマーシェルの材質は、熱溶融性物質又は加熱膨張により亀裂が生じる物質により製造される。例えば、上記熱可塑性ポリマーシェルの材質は、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン、塩化ビニリデンホモポリマー、塩化ビニリデン・アクリロニトリル・ジビニルベンゼンのランダムターポリマー、ポリスチレン又はポリ塩化ビニルから選ばれる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、上記液体アルカンは、エタン、プロパン、イソブタン、n-ペンタン及びイソペンタンから選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよい。
【0018】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の組成物は、任意選択的に沸点が220℃以上の有機溶媒を少なくとも1つ含有する溶媒を更に含んでもよく、例えば上記沸点が220℃以上の有機溶媒はラウリルアルコールエステルから選ばれてもよい。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記溶媒は、沸点が220℃以上の有機溶媒を少なくとも1つ含むことに加えて、エチレングリコールブチルエーテル及びジプロピレングリコールブチルエーテルのうちの1つ又は2つを更に含んでもよい。
【0020】
本発明において、上記「初期粒径」とは、熱膨張性微小球の加熱膨張前の粒径中央値D50を指し、上記「厚さ」とは、熱膨張性微小球のシェル壁の加熱膨張前の厚さを指す。
【0021】
上記粒径は体積平均直径であり、未膨張の熱膨張性微小球の直径及び未膨張の熱膨張性微小球のシェル壁の厚さは、当該分野で既知の任意の方法により測定することができる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球と上記溶媒との重量比は(4~40):1、好ましくは(5~20):1、例示的には4:1、5:1、6:1、8:1.2、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、18:1である。
【0023】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の組成物は、任意選択的に無機繊維を更に含んでもよい。例えば、上記無機繊維は、繊維状又は片状(例えばシート状)を呈する。例えば、上記無機繊維は、ナノケイ酸アルミニウム繊維、炭素繊維及びボロン繊維などから選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよい。無機繊維は、上記熱膨張性微小球の組成物が膨張した後、下記のコーティング層において樹脂と互いに浸潤し、下記のコーティング層において骨格を支持し、強度を増加する役割を果たし、膨張コーティング層の強度と耐収縮性を向上させることができる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、上記無機繊維と上記溶媒との重量比は(0~2):1、例えば(0.5~1.5):1、例示的には0.5:1、3:5、0.7:1、0.85:1、0.9:1、1:1、1.2:1である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の組成物の膨張倍率は150%~300%、例えば180%~250%である。
【0026】
本発明の例示的な形態によれば、上記熱膨張性微小球の組成物は、熱膨張性微小球、溶媒及び無機繊維を含み、そのうち、
(1)粒径が8μm≦D≦20μmの熱膨張性微小球の重量比率は、上記熱膨張性微小球の総重量の60%以上であり、例えば60%、65%、70%、80%、90%、100%であり、
粒径が10μm≦D≦15μmである熱膨張性微小球の重量比率は、上記熱膨張性微小球の総重量の50%以上であり、例えば55%、60%、70%であり、
(2)上記熱膨張性微小球における少なくとも60%の微小球の壁の厚さ≦3μmであり、
(3)上記溶媒は、少なくともラウリルアルコールエステルを含み、
上記熱膨張性微小球と上記溶媒との重量比は(5~20):1であり、
(4)上記無機繊維はナノケイ酸アルミニウム繊維であり、上記無機繊維と上記溶媒との重量比は(0.5~1.5):1である。
【0027】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性微小球の組成物は、熱膨張性微小球と溶媒、及び任意選択的に添加又は非添加の無機繊維を含む原料を混合することにより製造される。
【0028】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物には、水系熱可塑性樹脂が更に含まれる。そのガラス転移温度は-20℃~60℃である。例えば、上記組成物において、上記水系熱可塑性樹脂の重量百分率は10%~30%であってもよく、例示的には15%、20%、25%、30%である。
【0029】
好ましくは、上記水系熱可塑性樹脂は、水系アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1つである。
【0030】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物には、水系熱硬化性樹脂が更に含まれる。例えば、上記組成物において、上記水系熱硬化性樹脂の重量百分率は10%~40%であってもよく、例示的には15%、20%、25%、30%である。
【0031】
好ましくは、上記水系熱硬化性樹脂は、水系エポキシ樹脂、ヒドロキシアクリル酸から選ばれる少なくとも1つである。
【0032】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物には、熱溶融性充填樹脂が更に含まれる。例えば、上記組成物において、上記熱溶融性充填樹脂の重量百分率は10%~35%であってもよく、例示的には10%、15%、20%、25%、30%である。
【0033】
好ましくは、上記熱溶融性充填樹脂は、変性塩素化ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、エポキシ及びポリメチルメタクリレートから選ばれる少なくとも1つである。
【0034】
本発明の塗料組成物において、上記水系熱可塑性樹脂の含有量は上記水系熱硬化性樹脂の含有量よりも低い必要があり、好ましくは上記水系熱可塑性樹脂と上記水系熱硬化性樹脂との用量比は1:1~1:2、例示的には1:1、1.5:1、1:2である。
【0035】
本発明において、上記熱可塑性樹脂の用量が低すぎると、塗料組成物の膨張倍率が不足して膨張効果に達することができないが、上記熱可塑性樹脂の用量が高すぎると、膨張コーティング層を硬化させた後、コーティング層が深刻に収縮する状況が発生し、モーター組み立ての適用要件を満たすことができない。上記熱溶融性充填樹脂のガラス転移温度は60℃以上、好ましくは130℃以上の高温に加熱されると、半透明又は透明の溶融状態の樹脂を形成することができ、そのため、塗料組成物を膨張接着剤として利用する場合、コーティング層を接触面と接着して支持力を提供することができる。
【0036】
好ましくは、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の質量の和と上記熱溶融性充填樹脂との質量比は1.5:1~2.5:1、例示的には1.5:1、2:1、2.5:1である。
【0037】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物には、任意選択的に他の従来の塗料添加剤が更に含まれてもよい。好ましくは、上記他の従来の塗料添加剤は、上記塗料組成物の総重量の0%~15%を占め、更に好ましくは上記塗料組成物の総重量の1%~10%を占め、例示的には1%、2%、2.5%、3%、4%、5%である。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、上記他の従来の塗料添加剤は、例えば硬化剤、分散剤、消泡剤、充填剤、架橋剤、増粘剤、着色剤などから選ばれてもよい。
【0039】
例えば、上記塗料組成物において、任意選択的に0.2~1.5%の分散剤を含んでもよい。例えば、上記分散剤は、塗料組成物が安定したエマルジョンを形成するように、非イオン性、アニオン性及びカチオン性の分散剤などから選ばれる1つであってもよい。好ましくは、上記分散剤は、アミン塩、第四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、エチレングリコール、アクリル酸エステル高分子分散剤から選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよい。
【0040】
例えば、上記塗料組成物において、膨張コーティング層のガラス転移温度及び硬度を向上させ、且つ膨張後のコーティング層の収縮率を低減させるように、塗料組成物の結晶化傾向及び溶解性を改善するために、任意選択的に1%~3%の充填剤を含んでもよい。好ましくは、上記充填剤は、絶縁カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク粉末から選ばれる1つ、2つ又はそれ以上であってもよい。
【0041】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物には、水が更に含まれる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、上記塗料組成物における各成分の重量百分率の和は100%である。
【0043】
本発明は、熱膨張性微小球の組成物、水系熱可塑性樹脂、水系熱硬化性樹脂、熱溶融性充填樹脂及び任意選択的に更に含まれ得る他の従来の塗料添加剤を、上記の配合比で混合することを含む上記塗料組成物の製造方法を更に提供する。
【0044】
本発明は、上記塗料組成物を基体の本体に適用し、更に基体の本体を加熱することによって、熱膨張性コーティング層を得ることを含む、熱膨張性コーティング層の安定性を向上させるための方法を更に提供する。
【0045】
本発明の実施形態によれば、上記基体の本体は磁性材料であり、例えばモーターの製造と生産に使用されるモーター用磁性シート、好ましくはネオジム鉄ボロン系磁石である。
【0046】
本発明の実施形態によれば、上記適用は、当該分野で既知の手段、例えばスプレー塗布、ローリング塗布、ブラッシング塗布、塗布、電気メッキ、浸漬、ローラー塗布などによって、上記塗料組成物を上記基体の本体の表面に適用する方法から選ばれてもよい。
【0047】
本発明の実施形態によれば、上記方法は、塗料組成物が適用された基体の本体に対して乾燥を行うか又は乾燥させるステップを更に含む。
【0048】
本発明の実施形態によれば、上記熱膨張性コーティング層のドライ膜厚は100μm~300μm、例示的には100μm、150μm、200μm、300μmである。
【0049】
本発明は、上記塗料組成物により製造されたコーティング層及び基体の本体を含む基体を更に提供する。
【0050】
本発明の実施形態によれば、上記コーティング層の厚さは100μm~300μm、例示的には100μm、150μm、200μm、300μmである。
【0051】
本発明の実施形態によれば、上記コーティング層は上記基体の本体の表面に位置する。
【0052】
好ましくは、上記基体の本体は、上記に記載される意味を有する。
【0053】
好ましくは、上記塗料組成物は、上記に記載される意味を有する。
【0054】
〔本発明の有益な効果〕
(1)本発明の塗料組成物は、加熱膨張プロセスにおいて短時間で薄いシェルの球体を迅速に軟化・破壊し、有機溶媒が揮発するにつれて、コーティング層の表面及び内部でコーティング層中の樹脂基質と架橋し、互いに架橋する網状構造を形成することで、コーティング層の隙間支持を強化し、コーティング層の段階的な膨張が可能となり、且つ膨張後、一部の高分子材料がエアバッグを包み込んで硬化して安定した中空構造を形成する。それにより、膨張後のコーティング層は安定した構造、比較的高い熱収縮耐性、比較的高い機械的強度及び接着力を有し、耐高温部品の固定に適用することができ、且つ高温環境(140℃~180℃)で長時間置いても接着安定性を維持することができる。
【0055】
(2)本発明の塗料組成物中の高沸点溶媒は、更に塗料組成物中の樹脂の軟化温度と成膜温度を低下させて、樹脂の相溶性を向上させることができる。且つ、それにより製造された熱膨張コーティング層は、熱膨張後に比較的高い熱収縮耐性、比較的高い機械的強度及び接着力を有し、耐高温部品の固定に適用することができ、且つ高温環境(140℃~180℃)に長時間置いても接着安定性を維持する。
【0056】
(3)本発明の水系耐高温熱膨張接着塗料は、溶剤型接着剤によって引き起こされるVOCの排出及び環境被害の問題を低減することができる。
【0057】
(4)本発明は、ガラス転移温度が-20℃~60℃の水系熱可塑性樹脂のエマルジョン又は分散体(流動性を有する液体)を使用することで、コーティング層の中低温での成膜性を向上させるのに役立ち、それにより、コーティング層は常温(15℃~35℃)で自己乾燥できるか、又は中低温(35℃~90℃)の焼成条件で、完全なコーティング層を形成することができる。且つ150℃で96h焼成した後に黄変しないか、又はわずかに黄変し、人工老化耐性は360hを超えコーティング層の粉末化は1グレード以上である。
【0058】
(5)本発明は、粒径が800メッシュ以上、ガラス転移温度が60℃以上、130℃以上の高温で加熱すると半透明又は透明の溶融状態を形成することができ、且つ一定の流動性と接着力を有する、高温で成分間の相溶性を向上可能な熱溶融性充填樹脂を少量添加することで、製造されたコーティング層が中低温で乾燥した後に、十分な繊度、均一な緻密性を有する。且つ150℃以上の高温で96h以上焼成しても、コーティング層の色が基本的に黄変しないため、コーティング層の耐高温性及び使用寿命を向上させることができる。
【0059】
(6)本発明は、繊維状若しくはシート状の構造を有する無機物(ナノケイ酸アルミニウム繊維、超微細焼成マイカ粉末)又は高硬度、耐高温性のシリコーン樹脂補強剤を使用することにより、塗膜が膨張した後に樹脂と互いに浸潤し、コーティング層において骨格を支持し、強度を増加する役割を果たし、それにより膨張コーティング層の強度及び耐収縮性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】実施例7のコーティング層の未膨張状態の写真(スケール100μm、500倍拡大)である。
【
図2】実施例7のコーティング層の膨張後状態の写真(スケール100μm、500倍拡大)である。
【
図3】膨張コーティング層を有する磁石をモーター回転子アセンブリに組み立てた状態である。図中:1、膨張コーティング層;2、焼結磁石;3、予備隙間;4、モーターアセンブリ。
【
図4】実施例7のコーティング層膨張コーティング層の発泡前、発泡後の赤外スペクトル結果の比較である。
【0061】
〔発明を実施するための形態〕
以下、具体的な実施例に合わせて、本発明の技術案を更に詳しく説明する。下記の実施例は、単に本発明を例示的に説明し解釈するものであり、本発明の請求範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、何れも本発明による請求範囲内に含まれる。
【0062】
特に説明のない限り、下記の実施例で使用される原料及び試薬は何れも市販品であり、又は既知の方法によって製造することができる。
【0063】
本発明に使用される熱膨張性微小球は、市場から購入することができ、例えば、AKZO-Nobel社のExpancelシリーズの920DU80、920DU20、909DU80、920DU40、461DU40から選ばれる2つ及びそれ以上の組成物である。
【0064】
下記の表は、AKZO-Nobel社のExpancelシリーズの5種類の熱膨張性微小球の主要パラメータを示している。
【表1】
【0065】
〔実施例1~5〕
熱膨張性微小球の組成物における膨張微小球、ラウリルアルコールエステル及び無機繊維の重量比は8:1.2:0.8であり、即ち各成分の重量百分率は、膨張微小球8wt%、ラウリルアルコールエステル1.2wt%、無機繊維0.8wt%である。
【0066】
表1に示される熱膨張性微小球の組成物は、熱膨張性微小球を含む:
【0067】
AKZO-Nobel社のExpancelシリーズに異なる熱膨張性微小球の組み合わせを使用し、型番920DU80と461DU40の微小球を重量比1:2で均一に混合し、ドイツのsympatec社のBFS-MAGIC試験により、熱膨張性微小球の初期粒径が15.50μm、平均壁厚が2μm、そのうち90%の微小球の壁の厚さ≦5μmである熱膨張性微小球の組成物が得られた(実施例1~5)。
【0068】
実施例1~5に記載される塗料組成物の製造方法は、下記のステップを含む:
【0069】
まず膨張微小球、ラウリルアルコールエステル及びナノケイ酸アルミニウム繊維を混合し、熱膨張性微小球の組成物を製造し、次に低せん断撹拌で熱膨張性微小球の組成物及び他の塗料添加剤(充填剤としての絶縁カーボンブラック、分散剤としてのエチレングリコール)を水系塗料樹脂に加える。
【0070】
下記の表1の比率に従って、上記塗料組成物の試料1~5を製造した。
【表2】
【0071】
〔実施例6~11〕
本発明において、熱膨張性微小球の組成物における膨張微小球の含有量、粒径、壁厚及び高沸点溶媒の成分、含有量は、膨張コーティング層の性能に影響を与え、且つ膨張微小球、溶媒、無機繊維は熱膨張性微小球の組成物として、その用量も塗料組成物の性能に影響を与え、当該塗料組成物により製造された膨張コーティング層の性能に更に影響を与えた。
【0072】
実施例6~11は、熱膨張性微小球の組成物の構成を調整することによって、塗料組成物の試料6~11を製造した。
【0073】
AKZO-Nobel社のExpancelシリーズに異なる熱膨張性微小球の組み合わせを使用し、型番920DU80と461DU40の微小球を重量比1:2で混合し、熱膨張性微小球の初期粒径が15.50μmである微小球の組み合わせが得られた(実施例6)。
【0074】
型番920DU80、920DU20及び920DU40の微小球を重量比1:1:1で混合し、熱膨張性微小球の初期粒径が13.10μmの微小球の組み合わせが得られた(実施例7、8、9、10)。
【0075】
型番920DU80、909DU80及び920DU40の微小球を重量比1:1:1で混合し、熱膨張性微小球の初期粒径が17.30μmである微小球の組み合わせが得られた(実施例11)。
【0076】
塗料組成物の試料6~11において、水系ポリウレタン樹脂が25wt%であり、水系エポキシ樹脂が35wt%であり、ポリウレタン樹脂が15wt%であり、ポリメタクリル酸メチルが10wt%であり、水系シリコーン樹脂が1wt%であり、分散剤としてのエチレングリコールの含有量が1wt%であり、充填剤としての絶縁カーボンブラックが2wt%であり、増粘剤としてのアクリル酸が0.5wt%であり、消泡剤としてのポリジメチルシロキサンが0.5wt%であり、熱膨張性微小球の組成物の構成が下記の表2に示される点で異なった。
【0077】
上記塗料組成物の製造方法は、下記のステップを含む:
【0078】
まず膨張微小球、ラウリルアルコールエステル及びナノケイ酸アルミニウム繊維を混合し、熱膨張性微小球の組成物を製造し、次に低せん断撹拌で熱膨張性微小球の組成物及び他の塗料添加剤(充填剤としての絶縁カーボンブラック、増粘剤としてのアクリル酸、消泡剤としてのポリジメチルシロキサン、分散剤としてのエチレングリコール)を水系塗料樹脂に加える。
【表3】
【0079】
ローラーブラッシングにより実施例1~11の塗料組成物の試料を磁性シートの表面にそれぞれ塗布し、常温の条件で表面のコーティング層を乾燥し、硬化させた。硬化後のコーティング層は一定の耐食性を有し、磁性シートの輸送及び保護を容易にする。磁性シートを作業場に輸送した、例えば、磁性シートをモーター回転子の組み立て現場に輸送した後、磁性シートをモーター回転子の係止溝に組み立てて挿入し、膨張性コーティング層が組み立てられたモーター回転子を高温オーブンに入れ、高温オーブン内の温度が180℃に達するようにし、10 min加熱し、磁石の表面に熱膨張性コーティング層が塗布されるため、加熱された後、コーティング層が軟化して膨張し、膨張微小球は先に受熱して膨張し、その後高沸点溶媒の作用により、膨張微小球のシェルが軟化して破裂し、コーティング層中の樹脂基質と架橋し、安定した支持を有するコーティング層構造を形成した。
【0080】
図1、
図2から分かるように、実施例7の塗料組成物を焼結ネオジム鉄ボロン系磁石の表面に塗布し、常温で硬化させた後、膨張コーティング層が塗布された磁石が得られ、結果は
図1に示された。更に、膨張コーティング層が塗布された磁石を190℃で高温で10min加熱し、コーティング層が膨張し、互いに架橋するコーティング層構造が得られた(
図2を参照)。
【0081】
図3に示されるように、1は膨張コーティング層、2は焼結磁石、3はモーターアセンブリの予備隙間、4はモーターアセンブリである。膨張コーティング層1を有する焼結磁石2(そのうち、焼結磁石のサイズは40mm*15mm*5mmである)をモーターアセンブリ4に組み立て、モーターアセンブリの予備隙間が250μmであり、膨張コーティング層の片面の厚さが110μmであり、膨張温度で組み立てを行った。コーティング層が受熱して膨張し、モーターの予備隙間を充填し、磁石をモーターアセンブリ内に緊密に固定した。当該状態で、常温及び170℃の高温でのモーターアセンブリにおける磁石の接着推力が検出された。
【0082】
図4は、実施例7のコーティング層が膨張発泡前、発泡後の赤外スペクトルを特徴付けた結果であり、図から分かるように、コーティング層が膨張した後、波長1016.36cm
-1及び波長725.74cm
-1での特徴ピークのピーク強度が顕著に増加し、これは、コーティング層の高温膨張中にコーティング層内の樹脂が再度反応し、架橋状のコーティング層構造を形成し、コーティング層構造が安定した支持を有するためである可能性がある。
【表4】
【0083】
表3の結果から分かるように、水系熱可塑性樹脂と水系熱硬化性樹脂との、及び/又は、水系熱可塑性樹脂及び水系熱硬化性樹脂の総質量と熱溶融性樹脂との用量比を変化させることで、コーティング層の硬化後の接着推力に影響を与えた。本発明は、上記樹脂の用量比を合理的に最適化することで、水系熱可塑性樹脂と水系熱硬化性樹脂との用量比が1:1~1:2、水系熱可塑性樹脂及び水系熱硬化性樹脂の総質量と熱溶融性樹脂との用量比が1.5:1~2.5:1の範囲内である場合、コーティング層の常温での接着推力、特に高温膨張後のコーティング層の接着推力を向上させるため、高温作業条件でのモーターの使用要件を満たすことができると予想外に見出した。
【0084】
試料6~11の性能試験の結果は、熱膨張性微小球の組成物における膨張微小球、溶媒及び無機繊維の用量比を変化させることで、高温膨張後のコーティング層の接着推力に影響を与えることが示された。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則を逸脱しない範囲で行われた修正、同等置換、改良などは、何れも本発明の請求範囲内に含まれる。
【国際調査報告】