(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】集積回路製造の間に基板を取付および取外するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560569
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 US2021025184
(87)【国際公開番号】W WO2022211805
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511009710
【氏名又は名称】エヌシーシー ナノ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー, カート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ターカニ, ヴィクラム シュリーシャイル
(72)【発明者】
【氏名】アッタール, ヴァヒド アカヴァン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジィー-ミン
(57)【要約】
基板を接合されたスタックに取付およびそれから取外するための方法が、開示される。広帯域光吸収材料が、接着材料と組み合わせられ、広帯域光吸収接着剤を形成する。広帯域光吸収接着剤の層が、次いで、透過性キャリアの片側上に適用される。基板が、広帯域光吸収接着剤および透過性キャリア上に設置され、接合されたスタックを形成する。基板は、ウエハまたはポリマーフィルムであることができる。本時点において、処理ステップは、基板上で実施され得る。処理ステップが完了された後、基板を接合されたスタックから引き離すために、閃光ランプからの光パルスが、広帯域光吸収接着剤を加熱するために利用され、それにより、基板が、接合されたスタックから容易に取外されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
接着材料と光吸収材料とを組み合わせ、広帯域光吸収接着剤を形成することと、
前記広帯域光吸収接着剤の層を透過性キャリアの片側上に適用することと、
前記広帯域光吸収接着剤および前記透過性キャリア上にウエハを設置し、ウエハスタックを形成することと、
前記ウエハを処理することと、
前記ウエハを前記ウエハスタックから解放するために、閃光ランプからの光パルスを印加し、前記広帯域光吸収接着剤層を加熱することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光吸収材料は、染料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光吸収材料は、着色材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記着色材料は、カーボンブラックである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリアは、石英から作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャリアは、ガラスから作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組み合わせることはさらに、接着材料と、光吸収材料と、ガス発生材料とを組み合わせ、広帯域光吸収接着剤を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス発生材料は、前記接着材料の沸騰温度よりも低い温度において、昇華または沸騰する材料である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス発生材料は、昇華性染料である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記広帯域光吸収接着剤は、前記閃光ランプからの前記光パルスの80%を上回って吸収し、前記閃光ランプからの前記光パルスの1~10%を透過させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
方法であって、
接着材料と光吸収材料とを組み合わせ、広帯域光吸収接着剤を形成することと、
前記広帯域光吸収接着剤の層を透過性キャリアの片側上に適用することと、
前記広帯域光吸収接着剤および前記透過性キャリア上にポリマーフィルムを設置し、ポリマーフィルムのスタックを形成することと、
前記ポリマーフィルムを処理することと、
前記ポリマーフィルムを前記ポリマーフィルムのスタックから解放するために、閃光ランプからの光パルスを印加し、前記広帯域光吸収接着剤層を加熱することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記光吸収材料は、染料である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光吸収材料は、着色材料である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記着色材料は、カーボンブラックである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリアは、石英から作製される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記キャリアは、ガラスから作製される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記組み合わせることはさらに、接着材料と、光吸収材料と、ガス発生材料とを組み合わせ、広帯域光吸収接着剤を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス発生材料は、前記接着材料の沸騰温度よりも低い温度において、昇華または沸騰する材料である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ガス発生材料は、昇華性染料である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記広帯域光吸収接着剤は、前記閃光ランプからの前記光パルスの80%を上回って吸収し、前記閃光ランプからの前記光パルスの1~10%を透過させる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本願は、概して、集積回路を処理するための方法に関し、特に、集積回路製造の間に基板を取付および取外するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
3次元(3D)チップ技術は、より短い回路経路、より高い性能、より少ない電力消費、およびより速い熱消散等のそれらの利点のため、マイクロエレクトロニクス業界において高い評判を獲得している。3Dチップ技術を用いる場合、複数の異種シリコンウエハが、垂直に積み重ねられ、3D集積回路を形成することができる。シリコンウエハは、比較的薄く(50~100μm)、したがって、シリコン貫通ビア(TSV)を利用することによって相互接続されることができる。
【0003】
本開示は、3D集積回路の製造の間に基板を取付および取外するための方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要約)
一実施形態によると、広帯域光吸収材料が、接着材料と組み合わせられ、広帯域光吸収接着剤を形成する。広帯域光吸収接着剤の層は、次いで、透過性キャリアの片側上に適用される。基板が、広帯域光吸収接着剤および透過性キャリア上に設置され、接合されたスタックを形成する。基板は、ウエハまたはポリマーフィルムであることができる。本時点において、処理ステップは、基板上で実施され得る。例えば、ウエハの厚さは、薄化ステップを介して低減されることができ、または電子構成要素が、ポリマーフィルム上に構築されることができる。処理ステップが完了された後、基板を接合されたスタックから引き離すために、閃光ランプからの光パルスが、広帯域光吸収接着剤を加熱するために利用され、それにより、基板が、接合されたスタックから容易に取外されることができる。基板は、続いて、さらなる処理のために別のステーションに輸送される。
【0005】
本発明の全ての特徴および利点は、以下の詳細に文書化された説明において、明白な状態になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明自体、ならびに好ましい使用モード、さらなる目的、およびそれらの利点は、付随の図面と併せて熟読すると、例証的実施形態の以下の詳細な説明の参照によって、最適に理解されるであろう。
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態による、ウエハをキャリアに取付およびそれから取外するための方法のフロー図である。
【0008】
【
図1A】
図1Aは、
図1に描写される方法によって作製される、ウエハスタックの略図である。
【0009】
【0010】
【
図2】
図2は、一実施形態による、ポリマーフィルムをキャリアに取付およびそれから取外するための方法のフロー図である。
【0011】
【
図2A】
図2Aは、
図2に描写される方法によって作製される、スタックの略図である。
【0012】
【0013】
【
図3】
図3は、一実施形態による、ウエハをキャリアに取付およびそれから取外するための装置のブロック図である。
【0014】
【
図4】
図4は、一実施形態による、ウエハアセンブリを下方に押さえつける、真空テーブルを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
三次元(3D)集積回路の製造の間、シリコンウエハの厚さを低減させるために、薄化ステップが、3D集積回路の各シリコンウエハ上で実施されることが要求される。シリコンウエハは、薄化プロセスに先立って、シリコンウエハと剛性キャリアとの間に直接設置される接着剤を介して、剛性キャリアに取付されることができる。背面研削することおよび全ての要求される全ての背面側処理が、シリコンウエハ上で実施された後、薄化されたシリコンウエハは、剛性キャリアから取外される必要があり、したがって、薄化されたシリコンウエハは、他の処理ステップに進捗し得る。
【0016】
シリコンウエハを剛体キャリアから取外するための現在の技法は、(a)化学溶媒を使用し、シリコンウエハとキャリアとの間の接着剤を溶解することと、(b)機械的手段を使用し、シリコンウエハをキャリアから取外することと、(c)シリコンウエハが剪断によってキャリアから容易に分離され得る点まで、シリコンウエハとキャリアとの間の接着剤を加熱することとを含む。しかしながら、強烈な化学物質の使用は、あまり望ましくはない。また、機械的手段または高温は、シリコンウエハの表面構造に損傷を与え得る。
【0017】
ここで図面、特に、
図1を参照すると、一実施形態による、ウエハをキャリアに取付およびそれから取外するための方法のフロー図が、描写されている。ブロック100から始まり、ブロック110に示されるように、広帯域光吸収接着剤が、最初に、広帯域光吸収材料と組み合わせられる接着材料を組み合わせることによって形成される。
【0018】
接着材料は、極性または非極性であってもよい。これは、熱可塑性または熱硬化性であってもよい。これは、熱的に、紫外線光を介して、化学反応を介して硬化されてもよい、または溶媒蒸発を介して、形成されてもよい。
【0019】
広帯域光吸収材料は、閃光ランプの発光スペクトル全体(すなわち、200nm~1,100nm)にわたって吸収可能である、カーボンブラック等の着色材料であってもよい。広帯域光吸収材料が、上記で述べられた発光範囲にわたって、より多く吸収可能であるほど、閃光ランプからの発光の比率が、より高く広帯域光吸収接着剤内の熱に変換されるであろう。光吸収材料はまた、閃光ランプの発光スペクトルの選択的部分を吸収する、染料または複数の染料の組み合わせであってもよい。
【0020】
代替として、広帯域光吸収接着剤は、接着材料を広帯域光吸収材料およびガス発生材料と組み合わせることによって形成されることができる。接着材料および広帯域光吸収材料は、上記のものと同一である。ガス発生材料は、接着材料の沸騰温度よりも低い温度において、昇華または沸騰する材料である。いくつかのガス発生材料はまた、光吸収材料としての役割も果たすことができる。例えば、昇華性染料は、閃光ランプからの光パルスを光学的に吸収可能であるとともに、それが、特定の温度まで加熱されると、昇華し、ガスを発生する。
【0021】
広帯域光吸収接着剤は、次いで、ブロック120に描写されるように、
図1Aにおける透過性キャリア160等の透過性剛性キャリアの片側に、
図1Aにおける広帯域光吸収接着剤層170等の広帯域光吸収接着剤層として適用される。キャリア160は、石英、ガラス、または閃光ランプによって発光される光(200nm~1,100nm)を透過させる、任意の剛性材料から作製されてもよい。例示的実施例は、ディスプレイ業界において使用される、一般的なタイプのガラスである、Corning Eagle XGガラスを含む。
【0022】
次に、ウエハ180が、ブロック130に示されるように、広帯域光吸収接着剤層170上に設置される。ウエハ180は、ウエハ180の一方の表面上に先に構築される、電子デバイスおよび/または電気構成要素を含む。圧力が、ウエハ180上に印加され、ウエハ180を広帯域光吸収接着剤層170およびキャリア160に接着することができる。ウエハ180は、ウエハ180とキャリア160との間の接着接合を増加させるために、ウエハ180の上への圧力の印加の間、加熱されてもよい。本時点において、透過性キャリア160と、広帯域光吸収接着剤層170と、ウエハ180とを含む、
図1Aに示されるような接合されたウエハスタック190等の接合されたウエハスタックが、形成される。
【0023】
ウエハスタック190のウエハ180は、次いで、ブロック140に描写されるように、ウエハ180の厚さを低減させるために、背面薄化プロセスを受ける。その後、ウエハ180は、広帯域光吸収接着剤層170を加熱するために、ブロック150に示されるように、透過性キャリア160の非ウエハ側を
図1Bにおける閃光ランプ350等の閃光ランプからの光の強力なパルスに露光させることによって、接合されたウエハスタック190から取外される(接合解除される)。結果として、広帯域光吸収接着剤層170は、ブロック150に示されるように、ウエハ180が、接合されたウエハスタック190から解放されるであろう点まで加熱される。
【0024】
ガス発生材料が、接着剤層170に添加される場合、ガス発生材料は、接着剤層170が、特定の温度に到達すると、キャリア160から接着剤層170の剥離を助長するために、キャリア160と接着剤層170との間の界面において、ガスを発生し得る。ガス発生材料は、接着材料のポリマー系よりも低い温度において、ガス状となる。ガス発生材料の存在を伴う場合、これが、微量の添加物にすぎないため、ガスが発生される温度は、接着材料の他の熱的および機械的性質から分断されることができる。
【0025】
(実施例1)
アクアゾル(グレード5)から入手可能な水溶性熱可塑性ポリマーである、10gのポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)が、10gの5重量%カーボンブラック(Cabot Monarch(登録商標) 700)水中溶液の中に添加され、組成物を形成した。組成物は、2,000rpmにおいて、20分間にわたって、自転公転撹拌機を使用して混合された。その結果として生じる混合物は、広帯域光吸収接着剤として利用され得る、均質、黒色、かつ粘性な液体分散液であった。分散液(すなわち、広帯域光吸収接着剤)は、#0 Mayerロッドおよび100ミクロン厚のテープシムを使用し、75mm×75mmの0.5mm厚のCorning Eagle XGガラスの上にコーティングされ、約100ミクロンの厚さの湿潤フィルムをコーティングした。分散液は、次いで、140℃において、30分間にわたって乾燥され、約50ミクロン厚であるCorning Eagle XGガラス上に接着される、黒色光吸収フィルムを取得した。フィルムの透過率は、X-Rite(登録商標)比重計を介して、1%未満であるように測定された。次に、Corning Eagle XGガラスの第2の一片が、スタック上に2.5Kgの加重をかけることによって、その中間の乾燥された分散液とともに、第1の一片であるCorning Eagle XGガラスに圧縮接合された一方、スタックは、220℃において、40分間にわたって加熱され、ポリマーを溶融し、2片のガラスをともに接合した。次に、スタックは、閃光ランプ(NovaCentrix(登録商標)によって製造される、PulseForge(登録商標) Invent モデル IX2-951)を使用して、コーティングされたガラス側から照明された。2片のガラスを取外するための閾値は、80マイクロ秒のパルス持続時間を伴う、950Vの充電電圧におけるものであった。本条件は、接合されたスタックの上に、1.86J/cm2のエネルギーを堆積させた。照射後、剥離が、ガラスおよび接着剤に面している閃光ランプの界面において生じた。
【0026】
ウエハは、薄いほど、ウエハが、キャリアプレートからより容易に取外されることに留意されたい。これは、ウエハが、非常に熱伝導性であるためである。シリコンは、例えば、約140W/cm-Kの熱伝導率を有し、これは、ガラス等のキャリアプレートよりも100倍を上回って高い。したがって、光吸収層からのエネルギーの大部分は、吸収体が光のパルスによって照射されている50~150マイクロ秒時間の間、接着剤層を通してウエハに伝導される。接着剤層が、取外温度に到達すると、これは、キャリアから取外された状態になる。ウエハは、薄いほど、接着剤が、より迅速に取外温度に到達する。したがって、より薄いウエハは、同一の強度において、光のより短いパルスを用いて取外され得る。ある利点は、より少ないエネルギーが、取外プロセスを実施するために必要とされることである。加えて、より短い持続時間は、閃光ランプの寿命時間を増加させる。閃光ランプからの発光の強度は、所与のパルス長に関して減少されることができ、これはまた、ウエハの中に堆積されるエネルギーの総量も低減させる。
【0027】
ガラスキャリアからの接着剤の最小取外閾値は、光パルスからの熱エネルギーの一部を吸収する、ガラスの第2の一片を省略することによって判定されることができる。測定された接着剤取外の閾値は、70マイクロ秒のパルス持続時間を伴う、950Vの充電電圧におけるものであり、本条件は、閃光ランプによって発光される1.53J/cm2の放射露光に対応する。
【0028】
ガラスキャリアからの接着剤の取外閾値は、接着剤に2%エチレングリコールを添加することによって、再度測定される。測定された接着剤取外の閾値は、65マイクロ秒のパルス持続時間を伴う、950Vの充電電圧におけるものであり、本条件は、閃光ランプから発光される1.40J/cm2の放射露光に対応する。剥離に関して、上記で述べられた結果を上回って低減された閾値は、ガス発生材料として作用する、エチレングリコールの添加であったと考えられる。エチレングリコールは、197℃において沸騰する一方、より高温のアクアゾルは、300℃を超えても熱的に安定している。
【0029】
広帯域光吸収接着剤層170は、閃光ランプからの光パルスの良好な吸収を有する一方、十分な透過率を有し、キャリア160上のウエハ180の整合を可能にする。接着剤層170を通した0.1%の透過率であっても、整合のために十分であるが、好ましくは、1%を上回る透過率、または10%よりも高い透過率でさえ、取外プロセスの間、閃光ランプからの光パルスがウエハ180に害を及ぼすことのない、容易な整合のために十分である。例えば、接着剤層170は、ウエハの整合のために、閃光ランプからの光パルス発光の80%を上回って吸収する一方、光パルス発光の1%~10%を通過させる。
【0030】
ウエハに加えて、本発明はまた、その上で電子デバイスが加工され得る、ポリマーフィルムにも適用可能である。
【0031】
ここで
図2を参照すると、一実施形態による、ポリマーフィルムをキャリアに取付およびそれから取外するための方法のフロー図が、描写されている。ブロック200から始まり、ブロック210に示されるように、広帯域光吸収接着剤は、最初に、広帯域光吸収材料と組み合わせられる接着材料を組み合わせることによって形成される。
【0032】
接着材料は、極性または非極性であってもよい。これは、熱可塑性または熱硬化性であってもよい。これは、熱的に、紫外線光を介して、化学反応を介して硬化されてもよい、または溶媒蒸発を介して、形成されてもよい。
【0033】
広帯域光吸収材料は、カーボンブラック等の着色材料である。代替として、光吸収材料は、染料または複数の染料の組み合わせであってもよい。
【0034】
代替として、広帯域光吸収接着剤は、接着材料を広帯域光吸収材料およびガス発生材料と組み合わせることによって形成されることができる。接着材料および広帯域光吸収材料は、上記のものと同一である。ガス発生材料は、接着材料の沸騰温度よりも低い温度において、昇華または沸騰する材料である。いくつかのガス発生材料はまた、光吸収材料としての役割も果たすことができる。例えば、昇華性染料は、閃光ランプからのビームを光学的に吸収可能であるとともに、それが、特定の温度まで加熱されると、昇華し、ガスを発生する。
【0035】
広帯域光吸収接着剤は、次いで、ブロック220に描写されるように、
図2Aにおける透過性キャリア260等の透過性剛性キャリアの片側に、
図2Aにおける広帯域光吸収接着剤層270等の広帯域光吸収接着剤層として適用される。キャリア260は、石英、ガラス、または閃光ランプによって発光される光を透過させる、任意の剛性材料から作製されてもよい。例示的実施例は、ディスプレイ業界において使用される、一般的なタイプのガラスである、Corning Eagle XGガラスを含む。
【0036】
次に、ポリマーフィルム280が、ブロック230に示されるように、広帯域光吸収接着剤層270上に設置される。圧力が、ポリマーフィルム280上に印加され、ポリマーフィルム280を広帯域光吸収接着剤層270およびキャリア260に接着することができる。ポリマーフィルム280は、ポリマーフィルム280とキャリア260との間の接着接合を増加させるために、ポリマーフィルム280の上への圧力の印加の間、加熱されてもよい。本時点において、
図2Aに示されるポリマーフィルムスタック290等のポリマーフィルムスタックが、形成され、これは、透過性キャリア260と、広帯域光吸収接着剤層270と、ポリマーフィルム280とを含む。
【0037】
電子デバイスおよび/または電気構成要素は、次いで、ブロック240に描写されるように、ポリマーフィルム280の一方の表面上に構築される。その後、ポリマーフィルム280は、広帯域光吸収接着剤層270を加熱するために、ブロック250に示されるように、透過性キャリア260の非ウエハ側を
図2Bにおける閃光ランプ350等の閃光ランプからの光の強力なパルスに露光させることによって、ポリマーフィルムスタック290から取外される(接合解除される)。結果として、広帯域光吸収接着剤層270は、ブロック250に示されるように、ポリマーフィルム280が、ポリマーフィルムスタック290から解放されるであろう点まで加熱される。
【0038】
残留する接着剤層270はいずれも、溶媒を用いて洗浄され、電子構造を伴うポリマーフィルムスタック290のみを残すことができる。例えば、ポリアミド酸が、接着剤の上に堆積され、熱的に硬化され、接着剤の上にポリイミドの薄層を生成することができる。電子材料は、次いで、ポリイミド上に堆積および硬化され得、構成要素は、最終的な構造を生成するために、設置され、はんだ付けされ得る。本技法は、3~30ミクロンの範囲にある厚さを伴う、ポリマーの超薄フィルム上で、電子構成要素を加工するための能力を可能にする。
【0039】
ここで
図3を参照すると、一実施形態による、キャリアからの基板の取外を実施するための装置のブロック図が、描写されている。示されるように、装置300は、閃光ランプ制御ユニット301と、取外ユニット302とを含む。閃光ランプ制御ユニット301は、コンデンサバンク充電電力供給源310と、コンデンサバンク320と、絶縁ゲート障壁トランジスタ(IGBT)ベースの切替デバイス330と、周波数コントローラ340と、フォトダイオード360と、ボロメータ370と、積分器380と、コンピュータ390とを含む。コンピュータ390は、プロセッサと、当業者に周知である種々の記憶デバイスとを含む。コンデンサバンク320内のコンデンサは、例えば、電解式コンデンサである。コンデンサバンク320内のコンデンサはまた、パルス放電コンデンサであってもよい。コンデンサバンク320は、代替として、シリコン制御型整流器(SCR)切替デバイスを用いて切り替えられてもよい。
【0040】
コンデンサバンク320は、コンデンサバンク充電電力供給源310によって充電されることができる。コンデンサバンク320からの電流は、次いで、IGBTベースの切替デバイス330を介して、閃光ランプ350の中に放電される一方、IGBTベースの切替デバイス330は、放電の間、周波数コントローラ340によって、オンおよびオフに繰り返し切り替えられている。周波数コントローラ340は、IGBTベースの切替デバイス330のゲーティングを制御し、これは、ひいては、放電の切替周波数を制御する。IGBTベースの切替デバイス330の繰り返されるオンおよびオフの切替は、コンデンサバンク320から閃光ランプ350への電流の流動を変調させることが意図され、これは、ひいては、閃光ランプ350をオンおよびオフに切り替える。換言すると、閃光ランプ350によって発光される光パルスの周波数またはパルス長は、周波数コントローラ340によって決定付けられる。
【0041】
閃光ランプ制御ユニット301内のフォトダイオード360は、動作前に較正される必要がある。フォトダイオード360は、米国標準技術局(NIST)がトレース可能である、ボロメータ370を使用することによって較正されることができる。較正の間、フォトダイオード360およびボロメータ370は両方とも、閃光ランプ350から発光される単一の光パルスに露光される。ボロメータ370は、単一の光パルスの面積あたりの放射露光またはエネルギー(単位J/cm
2)を測定し、フォトダイオード360は、同一の光パルスの瞬時電力密度(単位W/cm
2)を測定する。フォトダイオード360からの瞬時電力密度信号は、次いで、積分器380によって積分され、同一の単一の光パルスの放射露光値をもたらし、ボロメータ370からの放射露光測定値は、積分器380からの本放射露光値によって除算され、以下のような較正係数を生成する。
【数1】
【0042】
較正後、フォトダイオード360/積分器380の組み合わせは、閃光ランプ350から発光される各光パルスの放射露光情報を提供するために利用されることができる。基本的に、閃光ランプ350から発光される光パルスの放射露光情報は、較正の間に取得される較正係数に積分器380の出力値(これは、フォトダイオード360によって測定される、閃光ランプ350から発光される光パルスの瞬時電力信号を積分することによって形成される、閃光ランプ350から発光される光パルスの放射露光値である)を乗算することによって計算されることができる。
【0043】
取外ユニット302は、送給ロボット352と、取外真空テーブル354と、真空把持器356とを含む。
【0044】
取外することに先立って、ダイシングテープ410が、
図4に示されるように、保定環420を介して、ウエハスタック190に機械的に圧着され、接合されたウエハアセンブリを形成する。ウエハ送給ロボット352は、接合されたウエハアセンブリを取外真空テーブル354に搬送する。真空が、次いで、取外真空テーブル354からダイシングテープ410上に印加される。次いで、閃光ランプ350からの光パルスが、キャリア160の透明側から、接合されたウエハアセンブリを照明し、処理されたウエハ180をキャリア160から取外するために利用される。閃光ランプ350のビーム面積が、ウエハ180の面積よりも小さい場合、ウエハ180は、真空テーブル354を取外し、別の光パルスを用いてウエハ180の残りの部分を露光することによって、閃光ランプ350に対して搬送される。次に、取外テーブル354とともに接合されたウエハアセンブリは、分離ステーションに搬送される。
【0045】
分離ステーションにおいて、真空把持器356が、キャリア160を接合されたウエハアセンブリから分離させる一方、ダイシングテープ410上に搭載されるウエハ180は、真空テーブル354を取外することによって下方に押さえつけられている。ダイシングテープ410上のキャリア160およびウエハ180は両方とも、清浄ステーションに搬送され、任意の残留接着剤(すなわち、
図1Aからの接着剤層170)を除去する。残留接着剤は、溶媒を介した湿式プロセスまたはプラズマを用いた乾式プロセスを用いて除去されてもよい。
【0046】
本時点において、ウエハ180が、非常に脆弱であるため、ウエハ180に印加されている真空は、除去の間、ウエハ180を破壊しないように、それを横断して分散されるべきである。これは、
図4に描写されるように、ウエハ180の表面を横断して分散される複数の吸引カップ430を用いて遂行されてもよい。代替として、真空は、穿孔された孔を伴う真空テーブル等の分散された真空によって印加されてもよい。真空テーブル354は、その表面上にポリマーを有してもよく、したがって、ウエハ180は、取扱の間に損傷されない。
【0047】
取外プロセスの間、装置300は、ランプあたり150mm×75mmの露光面積を伴う、直径24mmおよび長さ150mmのランプを使用する、閃光ランプあたり5個のランプドライバを有し得る。閃光ランプは、相互に平行に設置され、75mmの増分において、露光面積を増加させ得る。例えば、2つの閃光ランプは、150mm×150mmの露光面積を提供し、3つの閃光ランプは、150mm×225mmの露光面積を提供し、4つの閃光ランプは、150mm×300mmの露光面積を提供する等である。閃光ランプは、共通の光共振器内に設置され、露光は、3%以内まで均一である。閃光ランプドライバは、コンデンサと、IGBTとを含有する。コンデンサからの電流は、IGBTによって閃光ランプに切り替えられる。ランプドライバは、閃光ランプに供給されるピーク電流を増加させるために、相互に並列に設置されてもよい。閃光ランプシステムの変数は、コンデンサの充電電圧、閃光ランプドライバの数によって判定される総静電容量、およびIGBTによってオンおよびオフに切り替えられる、光のパルスの長さである。全てのパラメータは、コンピュータによって制御される。シリコンウエハは、900~950Vにおいて、50~150マイクロ秒のパルス持続時間において、ガラスキャリアプレートから接合解除され、これは、各パルスを用いて発光される、1~6J/cm2に対応し得る。閃光ランプ350のピーク放射電力は、20KW/cm2を上回り、より好ましくは、30KW/cm2を上回り、さらにより好ましくは、40KW/cm2を上回る。
【0048】
説明されているように、本発明は、キャリアから基板を取外するための改良された方法を提供する。本方法の1つの利点は、キャリア210が、光吸収層でスパッタリングされる必要がないことであり、これは、プロセスのサプライチェーン管理を簡素化させるだけではなく、潜在的に資金を節約する。本方法の別の利点は、接着剤の吸収率が、典型的なスパッタリングされた金属のものよりも高くされ得ることである。例えば、タングステンは、閃光ランプ発光の約45%のみ吸収可能である。これは、光吸収体内で同一の温度に到達するために要求される、閃光ランプ発光における低減されたエネルギーを可能にする。これは、ひいては、閃光ランプの寿命時間を増加させる。加えて、本方法は、閃光ランプ発光のパルス長が、減少されることを可能にする。これは、取外プロセスの間、基板およびキャリアへの熱拡散を低減させ、したがって、基板に対する熱衝撃および総熱予算の両方を低減させる。
【0049】
本発明は、特に、好ましい実施形態を参照して示され、説明されているが、形態および詳細における種々の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その中で行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【国際調査報告】