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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】官能化キトサンの調製
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/06 20060101AFI20240313BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240313BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240313BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240313BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240313BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240313BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B01J13/06 ZNM
B01J13/06 ZAB
C11D3/50 ZBP
A61K8/73
A61Q13/00 100
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560624
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022058047
(87)【国際公開番号】W WO2022207526
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21166239.0
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ ヴァルマッコ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ パレ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ローマー
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB222
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC742
4C083AC782
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD162
4C083AD282
4C083AD321
4C083AD322
4C083AD352
4C083AD432
4C083AD532
4C083CC17
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD14
4C083DD41
4C083KK01
4G005AA01
4G005BA05
4G005DB05Y
4G005DB05Z
4G005DB12Y
4G005DB12Z
4G005DC26Y
4G005DC42Y
4G005DD24Y
4G005DD24Z
4G005DD57Y
4G005DD57Z
4G005DD63Y
4G005DD63Z
4G005EA02
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB03
4H003AB17
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC01
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、疎水性材料を含むオイルベースのコア、ポリマー性シェルおよび官能化キトサン誘導体を含むコーティングを含む少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルを含む、コア-シェルマイクロカプセルスラリー、コア-シェルマイクロカプセルならびにそれを調製するための方法およびその用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
-疎水性材料、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、
-ポリマー性シェルおよび
-官能化キトサン誘導体を含むコーティング
を含む少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルを含む、コア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項2】
前記官能化キトサン誘導体が、キトサンの化学的または生物工学的官能化により得られ、好ましくは化学的官能化により得られる、請求項1記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項3】
前記官能化キトサン誘導体が、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは80%以上の脱アセチル化度を有する、請求項1または2記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項4】
前記官能化キトサン誘導体が、残留アミノ基の10%~100%の程度まで官能化されており、好ましくは、少なくとも40%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも80%の程度まで官能化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項5】
前記官能化キトサン誘導体が、少なくとも5kDa、好ましくは800kDa~5MDa、好ましくは1MDa~4MDaの分子量Mwを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項6】
前記官能化キトサン誘導体が、キトサン骨格に結合されたカチオン剤、疎水剤、カテコール基含有剤、アニオン剤および/またはチオール化剤で官能化されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項7】
前記官能化キトサン誘導体が、キトサン骨格に結合されたグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(2-オクテン-1-イル)コハク酸無水物、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロパン酸で官能化されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項8】
前記官能化キトサン誘導体が、前記ポリマー性シェルと架橋されていない、請求項1から7までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項9】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
a)請求項1から8までに定義された官能化キトサン誘導体を含む水性溶液を調製するステップ、
b)ステップa)から得られた前記水性溶液をコア-シェルマイクロカプセルスラリーに加えるステップ
を含む方法。
【請求項10】
-疎水性材料、好ましくは香油を含むコア、
-ポリマー性シェルおよび
-官能化キトサン誘導体を含むコーティング
を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載のコア-シェルマイクロカプセルまたは請求項9記載のプロセスにより得られるコア-シェルマイクロカプセル。
【請求項11】
付香組成物であって、
a)請求項1から8までに定義されたコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたは請求項10に定義されたコア-シェルマイクロカプセル、
b)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分、
c)任意選択で、少なくとも1種の香料アジュバント
を含む付香組成物。
【請求項12】
着香消費者製品であって、
a)パーソナルケア、ホームケア、またはファブリックケア活性ベースおよび
b)請求項1から8までに定義されたマイクロカプセルスラリー、請求項10に定義されたコア-シェルマイクロカプセルまたは請求項11に定義された付香組成物
を含む着香消費者製品。
【請求項13】
着香消費者製品が、好ましくは制汗剤、シャンプーまたはヘアコンディショナーなどのヘアケア製品、シャワージェルなどのボディケア製品、オーラルケア製品、ランドリーケア製品、好ましくは洗剤またはファブリック柔軟剤の形態の、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物からなる群において選ばれる、請求項12記載の着香消費者製品。
【請求項14】
基材上のコア-シェルマイクロカプセルの堆積を改変、増加、増強するためのコーティングとしての官能化キトサン誘導体の使用。
【請求項15】
基材上のコア-シェルマイクロカプセルの堆積を改変、増加、増強する方法であって、官能化キトサン誘導体をコーティングとして前記コア-シェルマイクロカプセルに適用するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、疎水性材料を含むオイルベースのコア、ポリマー性シェルおよび官能化キトサン誘導体を含むコーティングを含む少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルを含む、コア-シェルマイクロカプセルスラリー、コア-シェルマイクロカプセルならびにそれを調製するための方法およびその用途に関する。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する問題のうちの1つは、発香性化合物によりもたらされる嗅覚的利益が、それらの高い揮発性、特に「トップノート」の高い揮発性のために比較的急速に失われることにある。揮発性物質の放出速度を調整するためには、コアのペイロードを保護して、後にトリガーがかかったときに放出する、活性成分、例えば香料を含むマイクロカプセルなどの送達システムが必要とされる。これらのシステムに関する本産業からの重要な要求は、物理的に解離または分解することなく、制約があるベース中での懸濁に耐えることである。これは、送達システムの化学的安定性と呼ばれる。例えば、高いレベルの攻撃的な界面活性剤洗剤を含むフレグランスパーソナル用および家庭用クレンザーは、マイクロカプセルなどの送達システムの安定性にとって非常に制約が多い。高いレベルの界面活性剤はまた、マイクロカプセルなどの送達システムからの活性剤の拡散速度を増加させる。これは、貯蔵中の活性剤の漏れおよびマイクロカプセルが放出するようにトリガーされたときのインパクトの低減につながる。
【0003】
香料産業が直面する別の問題は、すすぎステップ後でも、テキスタイル、皮膚、毛髪または他の表面などの基材上に残ることができる最終製品の使用が意図されるものを処理するためのそれらの貯蔵安定性、香料コアを放出するシェル破壊、および標的基材上の堆積により制御されるカプセル性能を提供することにある。堆積は、アクリルアミドおよび誘導体の合成カチオン性コポリマーなどの従来の堆積助剤パートナーの導入により通常制御される。アルキル鎖および官能基などの他の官能基を有する堆積助剤パートナーの調製は、非常に制約が多い。
【0004】
本産業において、放出および安定性の点で機能しながら、基材上に堆積し、かつ基材上に付着する送達システムの能力を改善することが必要とされている。
【0005】
さらに、安定性、堆積および嗅覚的性能の点における性能に加えて、環境に優しい送達システムに対する消費者の需要は、ますます重要であり、かつ新しい送達システムの開発を促進している。
【0006】
したがって、マイクロカプセルの性能について妥協することなく、より環境に優しい材料を使用する新しいマイクロカプセルを提供することが依然として必要とされている。
【0007】
本発明は、本産業のこれらの、およびその他の必要を満たす。
【0008】
発明の詳細な説明
特に記載のない限り、百分率(%)は、組成物の重量パーセントを指すことが意図される。
【0009】
「疎水性材料」とは、水と混合されたときに2相の分散物を生成する材料を意味する。本発明によれば、疎水性材料は、溶媒または活性成分のような「不活性」材料であり得る。ある実施形態によれば、疎水性材料は疎水性活性成分である。
【0010】
「活性成分」とは、単一化合物または成分の組合せを意味する。
【0011】
「香油」とは、単一の付香化合物またはいくつかの付香化合物の混合物を意味する。
【0012】
「消費者製品」または「最終製品」とは、流通され、販売され、かつ消費者により使用される準備ができた工業製品を意味する。
【0013】
本発明において、「マイクロカプセル」、または類似のものは、コア-シェルからマトリックスタイプにまで変化し得る形態を有する。1つの実施形態によれば、それは、コア-シェルタイプのものである。この場合、マイクロカプセルは、疎水性材料、典型的には香料に基づくコア、およびオイルコアを取り囲むポリマー性シェルを含む。
【0014】
マイクロカプセルは、約1~3000ミクロンの間に含まれる、好ましくは1~1000ミクロンの間、より好ましくは1~500ミクロンの間、さらにより好ましくは5~50ミクロンの間に含まれるミクロン範囲のマイクロカプセルサイズ分布(例えば平均直径)を有する。
【0015】
「粒子サイズ」とは、粒子が水相中に分散しているときMalvern Instruments Ltd.(英国)製Zetasizer Nano ZS装置を使用して動的光散乱法(DLS)により測定されるサイズ分布に基づく粒子の平均直径を意味する。
【0016】
「マイクロカプセルサイズ」とは、Malvern Mastersizer 3000において希釈サンプルのレーザ光散乱により得られる、関連するカプセル、カプセル懸濁液の体積平均直径(D[4,3])を意味する。
【0017】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体に分散している(1種または複数種の)マイクロカプセルを意味する。ある実施形態によれば、スラリーは水性スラリーであり、すなわち(1種または複数種の)マイクロカプセルは、水性相に分散している。
【0018】
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
-疎水性材料、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、
-ポリマー性シェルおよび
-官能化キトサン誘導体を含むコーティング
を含む少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルを含む、コア-シェルマイクロカプセルスラリーに関する。
【0019】
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルであって、
-疎水性材料、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、
-ポリマー性シェルおよび
-官能化キトサン誘導体を含むコーティング
を含む、コア-シェルマイクロカプセルにも関する。
【0020】
明確化のために、コア-シェルマイクロカプセルという表現は、オイルベースのコア内の疎水性材料がマイクロカプセルのシェルに取り囲まれていることであると理解される。「シェル」および「壁」は、本発明において区別なく使用される。
【0021】
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルは、疎水性材料を含むオイルベースのコアを含む。
【0022】
「オイル」とは、コア-シェルマイクロカプセルのコアを形成する、約20℃で液体である有機相と理解される。
【0023】
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒または活性成分のような「不活性」材料であり得る。
【0024】
疎水性材料が活性成分であるとき、それらは、好ましくは、香味料、香味料成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤、殺生物剤活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0025】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤および殺生物剤活性剤からなる群から選択される別の成分と香料との混合物を含む。
【0026】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤からなる群から選択される別の成分と殺生物剤活性剤との混合物を含む。
【0027】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物剤活性剤からなる群から選択される別の成分と有害生物防除剤との混合物を含む。
【0028】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料を含む。
【0029】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料からなる。
【0030】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は殺生物剤活性剤からなる。
【0031】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は有害生物防除剤からなる。
【0032】
「香料」(またはさらに「香油」)とは、ここでは、約20℃で液体である成分または組成物を意味する。上記の実施形態のいずれか1つによれば、前記香油は、付香成分のみ、または付香組成物の形態の成分の混合物であり得る。ここで、「付香成分」として、匂いを付加または調節する主な目的のために使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるそのような成分は、単に匂いを有するものとしてではなく、組成物の匂いを肯定的に、または心地よいものへと、少なくとも付与または改変することができるものとして当業者に認識されるはずである。本発明において、香油は、香料前駆体、エマルションまたは分散物など、付香成分の送達を一緒に改善、増強または改変する物質と付香成分との組合せ、ならびに長期持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物安定性、有害生物防除など、匂いを改変または付与する利益を越える追加の利益を与える組合せも含む。
【0033】
ここで、油相中に存在する付香成分の性質およびタイプは、より詳細な説明を保証するものではなく(いずれにしても網羅的ではないであろう)、当業者は、その一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または用途および所望の感覚刺激効果にしたがってそれらを選択することができる。一般論では、これらの付香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような様々な化合物の分類に属し、前記付香共成分は、天然由来または合成由来のものであり得る。これらの共成分の多くは、いずれにしても、S. Arctanderによる著書、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAなどの参考テキスト、もしくはその最新版、または類似の性質の他の著作物、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に挙げられている。
【0034】
特に、以下のような、香料配合物において一般に使用される付香成分を挙げることができる:
-アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
-芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.0~2,7~]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはアルファ-ピネン;
-バルサム成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
-シトラス成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
-フローラル成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロオール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルケイ皮アルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、ベータイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、バージルアセテート、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高cisジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、バージルプロピオネート、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロオール、cis-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルケイ皮アルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、バージルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
-フルーティー成分:ガンマ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、ガンマ-ノナラクトン、アリルヘプタノエート、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
-グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
-ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート、;
-ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
-他の成分(例えばアンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニシックアルデヒド、オイゲノール、ケイ皮アルデヒド、クローブ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0035】
特定の実施形態によれば、香料または香料配合物は、フレグランス調節剤(疎水性溶媒が存在するときは疎水性溶媒に加えて、または疎水性溶媒が存在しないときは疎水性溶媒の代替として使用することができる)を含む。
【0036】
好ましくは、フレグランス調節剤は、以下を有するフレグランス材料と定義される
i.22℃で0.0008Torr未満の蒸気圧;
ii.3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP
iii.12~20の原子分散力、1~7の双極子モーメント、および2.5~11の水素結合からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ、
iv.22℃で0.0008~0.08Torrの蒸気圧範囲を有する化合物により溶解した場合に、14~20の原子分散力、1~8の双極子モーメント、および4~11の水素結合からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ。
【0037】
好ましくは例として以下の成分をフレグランス調節剤として挙げることができるが、リストは、以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ムグエトアルデヒド、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルケイ皮アルデヒド、ヘキシルケイ皮アルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン。
【0038】
前記成分は、プロ香料またはプロフレグランスとしても公知の様々なタイプの付香化合物を制御しながら放出することで知られている化合物でもよいことも理解される。適したプロ香料の非限定的な例には、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物が含まれ得る。
【0039】
付香成分は、香料産業において現在使用されている溶媒に溶解されてよい。溶媒は、好ましくは、アルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(Eastmanから入手可能なロジン樹脂)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性であり、かつ高度な立体障害構造を有している。好ましくは香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは香料は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、すべてのこれらの百分率は、香料の全重量に対する重量で定義されている。最も好ましくは、香料は、溶媒を本質的に含まない。
【0040】
特定の実施形態によれば、香料は、3を上回るlog Pを有する少なくとも35%の付香成分を含む。
【0041】
LogPは、推定されるオクタノール-水分配係数の常用対数であり、それは、親油性の尺度として公知である。
【0042】
多くの付香化合物のLogP値が、例えば、Daylight Chemical Information Systems, Inc.(Daylight CIS)、アーバイン、カリフォルニア州から入手可能なPomona92データベースに報告されており、それは、元の文献の引用も含む。LogP値は、同じくDaylight CISから入手可能な「CLOGP」プログラムにより最も好都合に計算される。このプログラムは、実験的なlogP値がPomona92データベースで利用可能である場合、それらも列挙する。「計算logP」(cLogP)は、HanschおよびLeo(A. Leo, in Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol. 4, C. Hansch, P. G. Sammens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p. 295, Pergamon Press, 1990参照)のフラグメントアプローチにより決定される。フラグメントアプローチは、各香油成分の化学構造に基づいており、かつ原子の数およびタイプ、原子結合性、ならびに化学結合を考慮している。この物理化学的特性の最も信頼性が高く、かつ広く使用されている推定値であるcLogP値は、好ましくは、本発明において有用である付香化合物の選択において実験的なLogP値の代わりに使用される。
【0043】
特定の実施形態において、香油は、3を上回る、好ましくは3.5を上回る、さらにより好ましくは3.75を上回るlogPを有する成分を、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%含む。
【0044】
好ましくは、香油は、それ自体の重量の10重量%未満の一級アルコール、それ自体の重量の15重量%未満の二級アルコールおよびそれ自体の重量の20%未満の三級アルコールを含む。有利に、本発明において使用される香料は、一級アルコールを全く含まず、かつ15重量%未満の二級および三級アルコールを含む。
【0045】
特定の実施形態によれば、香料は、群1~6、好ましくは3~6の嵩高材料を、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%含む。
【0046】
本明細書において、嵩高材料という用語は、高い立体障害を有する、すなわち高い立体障害を与える置換パターンを有する付香成分と理解され、したがって嵩高材料は、特に以下の群のうちの1つからのものである:
-群1:1~4個のノードを含む少なくとも1個の置換基、好ましくは少なくとも1個の線状もしくは分枝状のC~Cのアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香成分;
-群2:4個以上のノードを含む少なくとも1個の置換基、好ましくは少なくとも1個の線状もしくは分枝状のC以上の、好ましくはC~Cのアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む付香成分;
-群3:フェニル環を含む付香成分、あるいは5個以上のノードを含む少なくとも1個の置換基、好ましくは少なくとも1個の線状もしくは分枝状のC以上の、好ましくはC~Cのアルキルもしくはアルケニル置換基で、または少なくとも1個のフェニル置換基および任意選択で1~3個のノードを含む1個もしくは複数の置換基、好ましくは1個もしくは複数の線状もしくは分枝状のC~Cのアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香成分;
-群4:少なくとも2個の縮合もしくは結合された5員または6員環、好ましくは少なくとも2個の縮合もしくは結合されたCおよび/またはC環を含む付香成分;
-群5:カンファー様環構造、すなわち架橋タイプのように縮合されている2個の5または6員環を含む付香成分;
-群6:少なくとも1個の7~20員環、好ましくは少なくとも1個のC7またはC20環構造を含む付香成分。
【0047】
この文脈において理解されるノードという用語は、さらなる原子への少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは4個の結合を形成することができる任意の原子を意味する。本明細書において理解されるノードの特定の例は、炭素原子(さらなる原子への最大4個の結合)、窒素原子(さらなる原子への最大3個の結合)、酸素原子(さらなる原子への最大2個の結合)および硫黄(さらなる原子への最大2個の結合)である。この文脈において理解されるさらなる原子の特定の例は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子および水素原子であり得る。
【0048】
これらの群のそれぞれからの成分の例は以下の通りである:
-群1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルペニルアセテート、ジヒドロテルペニルアセテート、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、シクロヘキシルアセテート、シクラノールアセテート、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(3ARS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
-群2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(製造元、Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス);
-群3:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンおよび1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、trans-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、パラtert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、シクロヘキシルサリシレート、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート;
-群4:メチルセドリルケトン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.0~2,6~]デカ-3-エン-8-イル2-メチルプロパノエートおよび(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.0~2,6~]デカ-4-エン-8-イル2-メチルプロパノエートの混合物、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよびその(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールおよび3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、オクタリノール、(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン、製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルアセテートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルアセテートならびにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルプロパノエートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
-群5:カンファー、ボルネオール、イソボルニルアセテート、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンおよび10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス);
-群6:(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、Ambrettolide LG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド、製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ペンタデセノリド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ムセノン(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン、製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メチルシクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ペンタデカノリド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、シクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
-群7:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(製造元:Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0049】
好ましくは、香料は、上記で定義した群1~7から選択される成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは前記香料は、上記で定義した、群3~7からの成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは前記香料は、上記で定義した、群3、4、6または7からの成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0050】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、3を上回る、好ましくは3.5を上回る、さらにより好ましくは3.75を上回るlogPを有する成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0051】
好ましくは、本発明において使用される香料は、それ自体の重量の10%未満の一級アルコール、それ自体の重量の15%未満の二級アルコールおよびそれ自体の重量の20%未満の三級アルコールを含む。有利に、本発明において使用される香料は、一級アルコールを全く含まず、かつ15%未満の二級および三級アルコールを含む。
【0052】
ある実施形態によれば、油相(またはオイルベースのコア)は以下を含む:
-Log T<-4を有する少なくとも15重量%の高インパクト香料原料を含む25~100重量%の香油、および
-1.07g/cmよりも高い密度を有する0~75重量%の密度均衡化材料。
【0053】
「高インパクト香料原料」は、LogT<-4を有する香料原料と理解されるべきである。化合物の匂いの閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子質量により部分的に決定される。便宜上、閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、すなわち、Log[閾値](「LogT」)として示される。
【0054】
「密度均衡化材料」は、好ましくは1.07g/cmよりも高い密度を有し、かつ好ましくは匂いの少ない材料であるか、または匂いを有していない材料と理解されるべきである。
【0055】
構成成分の密度は、その質量とその体積(g/cm)との間の比と定義される。
【0056】
いくつかの方法が、構成成分の密度を決定するために利用可能である。
【0057】
例えば、精油のd20密度を測定するためのISO 298:1998法に言及することができる。
【0058】
付香化合物の匂いの閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(「GC」)を使用することにより決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、公知の濃度および鎖長分布の炭化水素標準を使用して、シリンジにより注入された香油成分の厳密な体積、正確なスプリット比、および炭化水素応答を決定するように校正される。空気流量が正確に測定され、12秒続くヒト吸入の期間を仮定して、サンプル体積が計算される。任意の時点における検出器での正確な濃度が分かるので、吸入される体積あたりの質量、したがって付香化合物の濃度が分かる。閾値濃度を決定するために、溶液が、逆算された濃度で嗅ぎ口まで送達される。パネリストは、GC排出物を嗅ぎ、匂いが認められたときの保持時間を確認する。すべてのパネリストの平均が、付香化合物の匂いの閾値濃度を決定する。匂いの閾値の決定は、C. Vuilleumier et al., Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September, 2008, pages 54-61により詳細に記載されている。
【0059】
ある実施形態によれば、Log T<-4を有する高インパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンおよび(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンを含む混合物、(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、3-メチルインドール、(+-)-ペルヒドロ-4アルファ,8aベータ-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチュロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(+-)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランおよびテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランを含む混合物、4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランおよび(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランを含む混合物、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニレンアルデヒド、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、4-メチルフェニルイソブチレート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、ベータ,2,2,3-テトラメチル-デルタ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、デルタダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、メチル2-アミノベンゾエート、エチルメチルフェニルグリシデート、オクタラクトンガンマ、エチル3-フェニル-2-プロペノエート、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、パラクレシルアセテート、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、ベータイオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール、(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-エチル2-メチルペンタノエート、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、アリル(シクロヘキシルオキシ)アセテート、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロプロピルメチル3-ヘキセノエート、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、メチル2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、N-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、4-ホルミル-2-メトキシフェニル2-メチルプロパノエート、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、4-メトキシベンジルアセテート、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、アリル(2/3-メチルブトキシ)アセテート、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
ある実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール類、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0061】
ある実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール類、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1種の化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の全重量に基づいて20~70重量%の間に含まれる量で含む。
【0062】
ある実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の全重量に基づいて20~70重量%の間のアルデヒド、ケトン、およびそれらの混合物を含む。
【0063】
したがって、オイルベースのコア内に含まれる残りの香料原料は、Log T>-4を有し得る。
【0064】
ある実施形態によれば、Log T>-4を有する香料原料は、エチル2-メチルブチレート、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、バージルプロピオネート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、メチル2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、アリル3-シクロヘキシルプロパノエート、(Z)-3-ヘキセニルアセテート、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、アリルヘプタノエート、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、エチル3-オキソブタノエート、(2Z)-エチル3-ヒドロキシ-2-ブテノエート、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、ブタン酸エチル、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサン酸エチル、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール)、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、バージルアセテート、(3R)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0065】
Log T<-4を有する高インパクト香料原料の性質および1.07g/cmよりも高い密度を有する密度均衡化材料が国際公開第2018115250号に記載されており、その内容は、これを参照することにより本明細書に含まれる。
【0066】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば微生物)を死滅させるか、またはそれらの成長および/もしくは蓄積を低減もしくは防止することができる化学物質を指す。殺生物剤は一般に、医学、農業、林業、ならびに殺生物剤が、汚損、例えば、水、種子を含む農産物、および送油管の汚損を防止する産業において使用される。殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む農薬;ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/もしくは抗寄生虫剤などの抗菌剤であり得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「有害生物防除剤」は、有害生物を忌避または誘引したり、それらの成長、発育またはそれらの活動を低下、阻害または促進したりするのに役立つ物質を示す。有害生物は、動物であるか、植物であるか、菌であるかを問わず、植物または動物にとって侵略的または面倒である任意の生物を指し、有害生物は、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、菌、雑草、細菌および他の微生物を含む。
【0068】
ある実施形態によれば、香料配合物は、
-0~60重量%の疎水性溶媒(香料配合物の全重量に基づいて)、
-40~100重量%の香油(香料配合物の全重量に基づいて)、ここで香油は、以下の特徴の少なくとも2つ、好ましくはすべてを有する:
・3を上回る、好ましくは3.5を上回るlog Pを有する少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の付香成分、
・先に定義した少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の群1~6、好ましくは3~6の嵩高材料および
・先に定義したLog T<-4を有する少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%の高インパクト香料材料、
任意選択で、さらなる疎水性活性成分
を含む。
【0069】
特定の実施形態によれば、香料は、0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0070】
特定の実施形態によれば、疎水性溶媒は、好ましくはサリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、シクロヘキシルサリシレート、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、メチルおよびエチルサリシレート、ケイ皮酸ベンジル、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる密度均衡化材料である。
【0071】
特定の実施形態において、疎水性溶媒は、封入された香油と適合性のハンセン溶解度パラメータを有する。
【0072】
「ハンセン溶解度パラメータ」という用語は、ポリマー溶解度を予測するために使用される、Charles Hansenにより提案された溶解度パラメータアプローチを指すと理解され、液体の全気化エネルギーがいくつかの個々の部分からなるという基礎の周辺で発展した。「重み付きハンセン溶解度パラメータ」を計算するために、(原子)分散力、(分子)永久双極子-永久双極子力、および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせなければならない。重み付きハンセン溶解度パラメータ」は、(δD+δΡ+δΗ0.5(式中、δDはハンセン分散値(以下で原子分散力とも呼ばれる)であり、δΡはハンセン分極率値(以下で双極子モーメントとも呼ばれる)であり、δΗはハンセン水素結合(「h結合」)値(以下で水素結合とも呼ばれる)である)と計算される。パラメータおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press (Copenhagen, 1967)を参照されたい。
【0073】
フレグランスと溶媒との間の溶解度パラメータのユークリッド差は、(4(δD溶媒-δDフレグランス+(δP溶媒-δPフレグランス+(δH溶媒-δHフレグランス0.5(式中、δD溶媒、δP溶媒、およびδH溶媒は、それぞれ溶媒のハンセン分散値、ハンセン分極率値、およびハンセンh結合値であり;δDフレグランス、δPフレグランス、およびδHフレグランスは、それぞれフレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極率値、およびハンセンh結合値である)と計算される。
【0074】
特定の実施形態において、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0075】
特定の実施形態において、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0076】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、活性成分(香料など)を全く含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、任意選択で1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において好ましくは選ばれる親水性溶媒と共に、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えばNeobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーンオイル、鉱油、およびそれらの混合物からなる群において選ばれる疎水性溶媒を含み、好ましくは疎水性溶媒からなる。
【0077】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、疎水性材料は、油相の全重量に対して重量で約10%~60% w/wの間、またはさらに15%~45% w/wの間となる。
【0078】
ポリマー性シェル
本発明によれば、コア-シェルマイクロカプセルはポリマー性シェルを含む。
【0079】
ポリマー性シェルという表現は、シェルが、コアの周囲構造を形成する少なくとも1種のポリマーを含むことであると理解される。
【0080】
本発明のマイクロカプセルのポリマー性シェルの性質は変化し得る。
【0081】
非限定的な例として、ポリマーシェルは、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミノエステル、ポリエポキシド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートまたは芳香族ポリオールと架橋されたメラミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアゴム、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0082】
疎水性材料組成物をカプセル化する材料は、先行技術に広く記載されているマイクロカプセルであり得る。
【0083】
コア-シェルマイクロカプセルの第1の特定の実施形態において、コア-シェルマイクロカプセルは、疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコアと、第1の材料および第2の材料を含む複合シェルとを含み、第1の材料および第2の材料は異なっており、第1の材料はコアセルベートであり、第2の材料はポリマー性材料である。
【0084】
特定の実施形態において、第1の材料と第2の材料との間の重量比は、50:50~99.9:0.1の間に含まれる。
【0085】
特定の実施形態において、コアセルベートは、好ましくはタンパク質(ゼラチンなど)、ポリペプチドまたは多糖(キトサンなど)、最も好ましくはゼラチンの中から選択される第1の高分子電解質と、第2の高分子電解質、好ましくはアルギン酸塩、セルロース誘導体、グアーガム、ペクチン酸塩、カラギーナン、ポリアクリルおよびメタクリル酸またはキサンタンガム、またはさらにアカシアガム(アラビアゴム)などの植物ガム、最も好ましくはアラビアゴムとを含む。
【0086】
コアセルベート第1材料は、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、タンニン酸またはゲニピンなどの適した架橋剤を使用して化学的に硬化することができ、またはトランスグルタミナーゼなどの酵素を使用して酵素的に硬化することができる。
【0087】
第2のポリマー性材料は、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素とホルムアルデヒド、メラミンとホルムアルデヒド、メラミンと尿素、またはメラミンとグリオキサールのポリマーおよびそれらの混合物、好ましくはポリ尿素および/またはポリウレタンからなる群から選択することができる。第2の材料は、好ましくは、マイクロカプセルスラリーの全重量に基づいて3重量%未満、好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0088】
非限定的な例として、シェルは、アミノプラストベース、ポリ尿素ベースまたはポリウレタンベースであり得る。シェルは、架橋されている少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成されるハイブリッドシェル、またはさらにポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応の結果生じるシェルなどのハイブリッド、すなわち有機-無機でもあり得る。
【0089】
ある態様によれば、シェルは、メラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒドまたは架橋メラミンホルムアルデヒドまたはメラミングリオキサールなどのアミノプラストコポリマーを含む。
【0090】
別の態様によればシェルは、例えば、これらに限定されないが、炭酸グアニジンおよび/またはグアナゾールなどのイソシアネートベースのモノマーおよびアミン含有架橋剤から作られるポリ尿素ベースである。ある種のポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2個のイソシアネート官能基を含む少なくとも1種のポリイソシアネートと、アミン(例えば水溶性グアニジン塩およびグアニジン);コロイド状安定剤または乳化剤;およびカプセル化香料からなる群から選択される少なくとも1種の反応物との間の重合の反応生成物であるポリ尿素壁を含む。しかし、アミンの使用は、省略することができる。
【0091】
特定の態様によれば、コロイド状安定剤は、0.1%~0.4%の間のポリビニルアルコール、ビニルピロリドンおよび四級化ビニルイミダゾールの0.6%~1%の間のカチオン性コポリマーの水性溶液を含む(すべての百分率は、コロイド状安定剤の全重量に対する重量で定義されている)。別の態様によれば、乳化剤は、アニオン性または両親媒性バイオポリマーであり、それは、1つの態様において、アラビアゴム、大豆タンパク質、ゼラチン、カゼイン酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選ばれてよい。
【0092】
別の態様によれば、シェルは、例えば、これらに限定されないが、ポリイソシアネートおよびポリオール、ポリアミド、ポリエステルなどから作られるポリウレタンベースである。
【0093】
1つの態様において、マイクロカプセル壁材料は、任意の適した樹脂、特に、メラミン、グリオキサール、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステルなどを含む樹脂を含んでよい。適した樹脂には、アルデヒドとアミンの反応生成物が含まれ、適したアルデヒドには、ホルムアルデヒドおよびグリオキサールが含まれる。適したアミンには、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、およびそれらの混合物が含まれる。適したメラミンには、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミンおよびそれらの混合物が含まれる。適した尿素類には、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノール、およびそれらの混合物が含まれる。調製に適した材料は、Solutia Inc.(セントルイス、米国ミズーリ州)、Cytec Industries(ウェストパターソン、米国ニュージャージー州)、Sigma-Aldrich(セントルイス、米国ミズーリ州)のうちの1社または複数社から入手することができる。
【0094】
1つの態様によれば、マイクロカプセルは、以下を含むプロセスにより得ることができる1シェルアミノプラストコア-シェルマイクロカプセルである:
1)油相を形成するために少なくとも2個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと香油を混和するステップ;
2)水相を形成するためにアミノプラスト樹脂および任意選択で安定剤を水に分散または溶解させるステップ;
3)油相と水相とを混和することにより水中油型分散物を調製するステップであって、平均液滴サイズが1~100ミクロンの間に含まれるステップ;
4)前記マイクロカプセルの壁を形成するためにキュアリングステップを実施するステップ;および
5)任意選択で、乾燥されたコア-シェルマイクロカプセルを得るために最終分散物を乾燥するステップ。
【0095】
1つの態様によれば、コア-シェルマイクロカプセルはホルムアルデヒドフリーカプセルである。アミノプラストホルムアルデヒドフリーマイクロカプセルスラリーの調製のための典型的なプロセスは、
1)
a.メラミンの形態か、またはメラミンと、2個のNH官能基を含む少なくとも1種のC~C化合物の混合物の形態のポリアミン構成成分;
b.グリオキサール、C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールおよび任意選択でグリオキサレートの混合物の形態のアルデヒド構成成分であって、前記混合物が、1/1~10/1の間に含まれるグリオキサール/C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールモル比を有する、アルデヒド構成成分;および
c.プロトン性酸触媒
の反応生成物を含むか、またはこれらの反応生成物を一緒に反応させることにより得ることができるオリゴマー性組成物を調製するステップ;
2)水中油型分散物を調製するステップであって、液滴サイズが1~600ミクロンの間に含まれ、かつ:
a.オイル;
b.水媒体:
c.ステップ1において得られた少なくとも1種のオリゴマー組成物;
d.
i.C~C12芳香族または脂肪族ジイソシアネートまたはトリイソシアネートおよびそれらのビウレット、トリウレット、トリマー、トリメチロールプロパン付加物ならびにそれらの混合物;および/または
ii.式:
A-(オキシラン-2-イルメチル)
(式中、は、2または3を表し、Aは、2~6個の窒素および/または酸素原子を任意選択で含むC~C基を表す)のジオキシラン化合物またはトリオキシラン化合物
のなかから選択される、少なくとも1種の架橋剤;
e.任意選択で、2個のNH官能基を含むC~C化合物
を含むステップ;
3)分散物を加熱するステップ;および
4)分散物を冷却するステップ
を含む。
【0096】
上記のプロセスは、国際公開第2013/068255号に、より詳細に記載されている。
【0097】
コア-シェルマイクロカプセルの特定の実施形態において、コア-シェルマイクロカプセルは、
-疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、
-任意選択で、重合多官能性モノマーで作られた内側シェル;
-タンパク質を含むバイオポリマーシェルであって、少なくとも1種のタンパク質が架橋されている、バイオポリマーシェル
を含む。
【0098】
特定の実施形態によれば、タンパク質は、乳タンパク質、カゼイン酸ナトリウムまたはカゼイン酸カルシウムなどのカゼイン酸塩、カゼイン、乳清タンパク質、加水分解タンパク質、ゼラチン、グルテン、エンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、絹タンパク質およびそれらの混合物、好ましくはカゼイン酸ナトリウム、最も好ましくはカゼイン酸ナトリウムからなる群において選ばれる。
【0099】
特定の実施形態によれば、タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムと、球状タンパク質、好ましくは乳清タンパク質、ベータ-ラクトグロブリン、オボアルブミン、ウシ血清アルブミン、植物性タンパク質、およびそれらの混合物からなる群において選ばれる球状タンパク質とを含む。
【0100】
タンパク質は、好ましくは、カゼイン酸ナトリウムと乳清タンパク質との混合物である。
【0101】
特定の実施形態によれば、バイオポリマーシェルは、カゼイン酸ナトリウムおよび/または乳清タンパク質からなる群において選ばれる架橋タンパク質を含む。
【0102】
特定の実施形態によれば、マイクロカプセルスラリーは、以下により作られた少なくとも1種のマイクロカプセルを含む:
-疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコア;
-重合多官能性モノマー;好ましくは少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートで作られた内側シェル
-タンパク質を含むバイオポリマーシェルであって、少なくとも1種のタンパク質が架橋されており;タンパク質が、好ましくは、カゼイン酸ナトリウムと、球状タンパク質、好ましくは乳清タンパク質とを含む混合物を含む、バイオポリマーシェル。
-任意選択で少なくとも外側鉱質層。
【0103】
ある実施形態によれば、カゼイン酸ナトリウムおよび/または乳清タンパク質は、(1種または複数種の)架橋タンパク質である。
【0104】
カゼイン酸ナトリウムと乳清タンパク質の間の重量比は、好ましくは、0.01~100の間、好ましくは0.1~10の間、より好ましくは0.2~5の間に含まれる。
【0105】
コア-シェルマイクロカプセルの特定の実施形態において、コア-シェルマイクロカプセルは、以下を含むポリアミドコア-シェルポリアミドマイクロカプセルである:
-疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、ならびに
-ポリアミドシェルであって、
・塩化アシル、
・第1のアミノ化合物、および
・第2のアミノ化合物
を含むか、またはそれらから得ることができるポリアミドシェル。
【0106】
特定の実施形態によれば、ポリアミドコア-シェルマイクロカプセルは以下を含む:
疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、および
・塩化アシル、好ましくは5~98%の間に含まれる量の、好ましくは20~98%の間の、より好ましくは30~85% w/wの間の塩化アシル
・第1のアミノ化合物、好ましくは1%~50% w/wの間に含まれる量の、好ましくは7~40% w/wの間の第1のアミノ化合物;
・第2のアミノ化合物、好ましくは1%~50% w/wの間に含まれる量の、好ましくは2~25% w/wの間の第2のアミノ化合物
・安定剤、好ましくはバイオポリマー、好ましくは0~90%の間に含まれる量の、好ましくは0.1~75%の間の、より好ましくは1~70%の間の安定剤
を含むか、またはそれらから得ることができるポリアミドシェル。
【0107】
特定の実施形態によれば、ポリアミドコア-シェルマイクロカプセルは以下を含む:
-疎水性活性剤、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、ならびに
-ポリアミドシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ酸、好ましくはL-リシン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選ばれるアミノ酸である第1のアミノ化合物、
・エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、シスタミンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選ばれる第2のアミノ化合物、ならびに
・カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ウシ血清アルブミン、乳清タンパク質、および/またはそれらの混合物からなる群において選ばれるバイオポリマー
を含むか、またはそれらから得ることができるポリアミドシェル。
【0108】
第1のアミノ化合物は、第2のアミノ化合物と異なり得る。
【0109】
別の態様によれば、マイクロカプセルのシェルは、ポリ尿素ベースまたはポリウレタンベースである。ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーの調製のためのプロセスの例は、例えば、国際公開第2007/004166号、欧州特許出願公開第2300146号明細書、および欧州特許出願公開第25799号明細書に記載されている。典型的には、ポリ尿素またはポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーの調製のためのプロセスは、以下のステップを含む:
a)油相を形成するために、少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートをオイルに溶解させるステップ;
b)水相を形成するために乳化剤またはコロイド状安定剤の水性溶液を調製するステップ;
c)水中油型分散物を生成するために油相を水相に加えるステップであって、平均液滴サイズが1~500μmの間、好ましくは5~50μmの間に含まれるステップ;および
d)界面重合を誘導し、かつスラリーの形態のマイクロカプセルを形成するのに十分な条件を適用するステップ。
【0110】
特定の実施形態において、シェル材料は生分解性材料である。
【0111】
特定の実施形態において、シェルは、OECD301Fにしたがって、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0112】
特定の実施形態において、コア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fにしたがって、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0113】
これにより、コア、シェルおよびコーティングなどのすべての構成成分を含むコア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fにしたがって、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有し得ることが理解される。
【0114】
特定の実施形態において、オイルベースのコア、好ましくは香油は、OECD301Fにしたがって、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0115】
OECD301Fは、Organization of Economic Co-operation and Developmentによる生分解性に関する標準試験法である。
【0116】
生分解性を測定するためのシェルの抽出に典型的な方法は、Molecules 2020, 25,718のGaspariniおよびすべてに開示されている。
【0117】
官能化キトサン誘導体を含むコーティング
本発明によれば、マイクロカプセルは、官能化キトサン誘導体を含むコーティングを含む。
【0118】
コーティングという表現は、本明細書において、官能化キトサンが、物理的吸着および/もしくは静電的相互作用などの非化学的相互作用、またはグラフト化によるなどのコーティングとポリマー性シェルとの間の化学結合により、好ましくは非化学的相互作用によりポリマーシェルを取り囲んでいるという点で理解される。
【0119】
特定の実施形態において、コーティングは、ポリマー性シェルの周りに第2のシェル様構造を形成する。
【0120】
キトサン誘導体という表現は、本明細書において、キトサンに基づいていると理解される。したがって、キトサンという用語は、D-グルコサミンモノマー(脱アセチル化単位)と、任意選択で、ランダムに分布したN-アセチル-D-グルコサミンモノマー(アセチル化単位)とから構成される多糖と理解される。
【0121】
特定の実施形態において、キトサン誘導体のキトサンは、50%以上の脱アセチル化度(DD%)を有する。特定の実施形態において、キトサン誘導体のキトサンは、60%以上の、好ましくは70%以上の、またはより好ましくは80%以上の脱アセチル化度を有する。脱アセチル化度は、NMR、特に固体13C NMR分光法により決定することができる。
【0122】
特定の実施形態において、キトサン誘導体のキトサンは、3kDa~5MDa、好ましくは900kDa~4MDa、さらにより好ましくは1MDa~3.5MDaの分子量を有する。
【0123】
本明細書において、官能化キトサン誘導体という表現は、キトサンが、官能基により修飾されていること、例えば、キトサン骨格に結合されたカチオン剤、疎水剤、カテコール基含有剤、アニオン剤および/またはチオール化剤により官能化されていることであると理解される。特に、キトサンは、天然キトサン中にまだ存在していない官能基により修飾されていることであると理解される。特に、官能化は、キトサンからの潜在的に残っているアセチル基の脱アセチル化および/またはキトサン骨格の転位/加水分解ではないことであると理解される。特に、キトサンの官能化は、アセチル基での官能化を含まず、すなわち官能化キトサン誘導体はキチンではないことであるとも理解される。特に、キトサンの官能化は、グルコサミン天然キトサンのアミノ官能基のプロトン化とは関係ないことも理解される。
【0124】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、キトサンの化学的または生物工学的官能化により得られ、好ましくは化学的官能化により得られる。
【0125】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、キトサンの化学的または生物工学的官能化により得られ、好ましくは、化学的官能化により、例えば、キトサン骨格に化学的または生物工学的に結合されたカチオン剤、疎水剤、カテコール基含有剤、アニオン剤および/またはチオール化剤での官能化により得られる。
【0126】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、天然キトサンのグルコサミンのアミノ官能基のプロトン化により得られるものではない。
【0127】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、50%以上の脱アセチル化度(DD%)を有する。特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の脱アセチル化度を有する。
【0128】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、アミノ基の10%~100%の程度まで官能化されている。特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、少なくとも40%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも80%の程度まで官能化されてよい。特定の実施形態において、官能化キトサンは、最大100%または最大99%まで官能化されてよい。官能化の程度は、NMR、特に固体13C NMR分光法により決定することができる。
【0129】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、少なくとも5kDa、好ましくは少なくとも1MDaの分子量Mwを有する。特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、800kDa~5MDa、好ましくは1MDa~4MDaの分子量を有する。
【0130】
特定の実施形態において、少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルは、正のゼータ電位を有する。特定の実施形態において、少なくとも1種のコア-シェルマイクロカプセルは、+35~+85mVのゼータ電位を有する。ゼータ電位は、例えばMalvern Zetasizerにより測定することができる。
【0131】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、キトサン骨格に結合されたカチオン剤、疎水剤、カテコール基含有剤、アニオン剤および/またはチオール化剤で官能化されている。
【0132】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、キトサン骨格に結合されたカチオン剤、疎水剤および/またはアニオン剤で官能化されている。
【0133】
特定の実施形態において、カチオン剤、疎水剤、カテコール基含有剤、アニオン剤および/またはチオール化剤は、キトサン骨格に直接結合されているか、またはリンカー基、好ましくは有機リンカー基により結合されている。当業者は、リンカー基を認識している。
【0134】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、キトサン骨格に結合されたグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(2-オクテン-1-イル)コハク酸無水物、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4-ジヒドロキシヒドロケイ皮酸、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロパン酸で官能化されている。
【0135】
特定の実施形態において、官能化キトサン誘導体は、ポリマー性シェルと架橋されていない。
【0136】
特定の実施形態によれば、コア-シェルマイクロカプセルのコーティングは、マイクロカプセルに外側コーティングを形成するための非イオン性多糖、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体(例えば国際公開第2021185724号に記載されているような)およびそれらの混合物からなる群から選択される追加のコーティング材料を含んでよい。
【0137】
非イオン性多糖ポリマーは当業者に周知である。好ましい非イオン性多糖は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0138】
カチオン性ポリマーも当業者に周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gのカチオン電荷密度を有するが、好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度も有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素決定のための化学試験の下、US Pharmacopoeiaに記載されているようなケルダール法により決定されてよい。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の部分を形成することができるか、またはそれに直接結合された側置換基が持つことができる一級、二級、三級および/または四級アミン基を含む単位を含むものから選ばれる。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000~3.5Mダルトンの間、より好ましくは50,000~2Mダルトンの間である。
【0139】
特定の実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドに基づくカチオン性ポリマーを使用することになる。好ましくはコポリマーは、ポリクアテルニウム-5、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、ポリクアテルニウム10、ポリクアテルニウム-11、ポリクアテルニウム-16、ポリクアテルニウム-22、ポリクアテルニウム-28、ポリクアテルニウム-43、ポリクアテルニウム-44、ポリクアテルニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるものとする。
【0140】
市販の製品の特定の例として、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドおよびアクリルアミドのカチオン性コポリマー、製造元:BASF)またはLuviquat(登録商標)(PQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクアテルニウム-11~68またはビニルピロリドンの四級化コポリマー 製造元:BASF)など)、またはさらにJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、製造元Rhodia)を挙げることができる。
【0141】
本発明の上記の実施形態のいずれか1つによれば、約0%~5% w/wの間、またはさらに約0.1%~2% w/wの間に含まれる量の上記のポリマーが加えられる(百分率は、マイクロカプセルスラリーの全重量に対してw/wベースで表されている)。前記加えられるポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに取り込まれる/マイクロカプセルシェル上に堆積されることになることが当業者により明瞭に理解される。
【0142】
任意選択の構成成分
マイクロカプセルがスラリーの形態であるとき、マイクロカプセルスラリーは、増粘剤/レオロジー調整剤、抗菌剤、不透過度増加剤、マイカ粒子、塩、pH安定剤/緩衝成分の群から選択される補助成分を、好ましくはスラリーの全重量に基づいて0~15重量%の間に含まれる量で含むことができる。
【0143】
別の実施形態によれば、本発明のマイクロカプセルスラリーは、追加の遊離(すなわち非カプセル化)香料を、好ましくはスラリーの全重量に基づいて5~50重量%の間に含まれる量で含む。
【0144】
本発明によるコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するためのプロセス
本発明は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
a)本明細書において上記のような官能化キトサン誘導体を含む水性溶液を調製するステップ、
b)ステップa)から得られた水性溶液をコア-シェルマイクロカプセルスラリーに加えるステップ
を含む方法にも関する。
【0145】
特定の実施形態によれば、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法は、
a)本明細書において上記のような官能化キトサン誘導体を含む水性溶液を調製するステップ、
b)官能化キトサン誘導体を含むコーティングを含むコア-シェルマイクロカプセルのスラリーを得るために、ステップa)から得られた水性溶液をコア-シェルマイクロカプセルスラリーに加えるステップ
を含む。
【0146】
本発明によれば、官能化キトサン誘導体は、水性溶液に加えられる。
【0147】
特定の実施形態において、官能化キトサンは、水に溶解される。
【0148】
特定の実施形態において、水性溶液は、ステップaの水性溶液の全重量に基づいて0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.25~2.5重量%の量の官能化キトサン誘導体を含む。
【0149】
本明細書において上記のような官能化キトサン誘導体の定義および実施形態は準用される。
【0150】
本発明によれば、官能化キトサン誘導体を含む水性溶液は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーに加えられる。
【0151】
市販されているか、またはコア-シェルマイクロカプセルの調製から得られる任意のコア-シェルマイクロカプセルスラリーを適用することができることが理解される。
【0152】
特定の実施形態において、ステップb)で生じる混合物は、ステップb)の混合物の全重量に基づいて0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.25~2.5重量%の量の官能化キトサン誘導体を含む。
【0153】
ある実施形態によれば、上記のプロセスのステップb)は、5℃~90℃の間に含まれる温度で行うことができる。
【0154】
別の態様によれば、本発明は、上記で定義したマイクロカプセルスラリーを調製するためのプロセスであって、
a)油相を形成するために疎水性材料を含む油相を調製するステップ;
b)水相を形成するために任意選択で乳化剤を含む水性溶液を調製するステップ;
c)水中油型分散物を生成するために油相を水相に加えるステップ;および
d)スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するためにキュアリングステップを実施するステップ
を含み、
多官能性モノマーが、油相および/または水相に加えられ、
官能化キトサン誘導体が、ステップd)中またはステップd)が完了した後に加えられるプロセスを開示する。
【0155】
キュアリングステップは、最終的にスラリーの形態のマイクロカプセルとなることを可能にする。
【0156】
好ましい実施形態によれば、前記ステップは、60~80℃の間に含まれる温度で、可能であれば加圧下で、1~4時間実施される。より好ましくはそれは、50~90℃の間で30分~4時間の間実施される。
【0157】
本発明は、
-疎水性材料、好ましくは香料を含むオイルベースのコア、
-ポリマー性シェルおよび
-官能化キトサン誘導体を含むコーティング
を含む、本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルにも関する。
【0158】
本明細書において上記のような疎水性材料を含むオイルベースのコア、ポリマー性シェルおよび官能化キトサン誘導体を含むコーティングの定義ならびに実施形態は、コア-シェルマイクロカプセルそれ自体に準用される。
【0159】
本発明によれば、本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルスラリー、または本明細書において上記のようなプロセスにより得られるコア-シェルマイクロカプセルスラリーが提供される。
【0160】
本明細書において上記のような疎水性材料を含むオイルベースのコア、ポリマー性シェルおよび官能化キトサン誘導体を含むコーティングならびにコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するためのプロセスの実施形態は準用される。
【0161】
マイクロカプセル粉末を調製するためのプロセス
本発明の別の目的は、上記で定義したステップ、およびそれ自体として、すなわち粉末の形態でマイクロカプセルを提供するために、ステップb)において得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥プロセスに供することからなる追加のステップを含む、マイクロカプセル粉末を調製するためのプロセスである。そのような乾燥を実施する当業者に公知の任意の標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーは、粉末形態のマイクロカプセルを提供するためにポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然もしくは加工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体などのポリマー性担体材料の存在下で好ましくは噴霧乾燥されてよい。
【0162】
しかし、押出、めっき、噴霧造粒、流動床などの他の乾燥方法、またはさらに国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を使用する室温での乾燥も挙げることができる。
【0163】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じものでも、異なっていてもよい遊離香油を含む。
【0164】
本発明は、基材上のコア-シェルマイクロカプセルの堆積を改変、増加、増強するためのコーティングとしての官能化キトサン誘導体の使用にも関する。
【0165】
本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルおよび官能化キトサン誘導体の実施形態は、コーティングとしての堆積を改変、増加、増強するための官能化キトサン誘導体の使用に準用される。
【0166】
官能化キトサン誘導体は、好ましくは、コーティングを含まないコア-シェルマイクロカプセルと比較してコア-シェルマイクロカプセルの堆積の130~1300%の増加をもたらす。
【0167】
本発明は、基材上のコア-シェルマイクロカプセルの堆積を改変、増加、増強する方法であって、官能化キトサン誘導体をコーティングとしてコア-シェルマイクロカプセルに適用するステップを含む方法にも関する。
【0168】
本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルおよび官能化キトサン誘導体の実施形態は、コーティングとしての官能化キトサン誘導体の堆積を改変、増加、増強する方法に準用される。
【0169】
官能化キトサン誘導体は、好ましくは、コーティングを含まないコア-シェルマイクロカプセルと比較してコア-シェルマイクロカプセルの堆積の130~1300%の増加をもたらす。
【0170】
多カプセルシステム
ある実施形態によれば、本発明のマイクロカプセル(第1のタイプのマイクロカプセル)は、第2のタイプのマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0171】
本発明の別の目的は、マイクロカプセル送達システムであって、
-第1のタイプのマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセル、ならびに
-第2のタイプのマイクロカプセルであって、第1のタイプのマイクロカプセルおよび第2のタイプのマイクロカプセルが、それらの疎水性材料および/もしくは担体材料(シェルまたはマトリックス)ならびに/またはそれらのコーティング材料において異なる、第2のタイプのマイクロカプセル
を含む、マイクロカプセル送達システムである。
【0172】
付香組成物/消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、活性成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の目的は、組成物であって、
(i)本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたは本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセル;
(ii)化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、香味料成分、悪臭中和成分、殺細菌剤成分、殺真菌剤成分、医薬品または農芸化学成分、消毒成分、防虫剤または誘引剤、およびそれらの混合物からなる群において好ましくは選ばれる活性成分
を含む組成物である。
【0173】
本発明は、付香組成物であって、
a)本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたは本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセル、
b)任意選択で活性成分、
c)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分、
d)任意選択で、少なくとも1種の香料アジュバント
を含む付香組成物にも関する。
【0174】
付香組成物は、付香組成物の全重量に基づいて0.1~30重量%の間のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルを含んでよい。
【0175】
付香組成物はさらに、活性成分を含んでよい。活性成分は、好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、香味料成分、悪臭中和成分、殺細菌剤成分、殺真菌剤成分、医薬品または農芸化学成分、消毒成分、防虫剤または誘引剤、およびそれらの混合物からなる群において選ばれてよい。
【0176】
特定の実施形態において、付香組成物は遊離香油を含む。
【0177】
「遊離香料」とは、本明細書において、付香組成物に含まれており、かつコア-シェルマイクロカプセルに封入されていない香料または香油であると理解される。
【0178】
付香組成物は、付香組成物の全重量に基づいて0.1~30重量%の間の活性成分、好ましくは遊離香料を含んでよい。
【0179】
特定の実施形態において、マイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルの総量は、付香組成物の全重量に基づいて0.05~5重量%であり、遊離香油の総量は、付香組成物の全重量に基づいて0.05~5重量%である。
【0180】
特定の実施形態において、コア-シェルマイクロカプセルに封入された香料配合物の総香油および総遊離香油は、1:20~20:1、好ましくは10:1~1:10の重量比で付香組成物中に存在する。
【0181】
付香組成物は、少なくとも1種の付香共成分と、任意選択で香料アジュバントとをさらに含むことができる。
【0182】
「付香共成分」により、本明細書において、快楽効果を付与するために付香製剤または組成物中で使用され、かつ上記で定義したマイクロカプセルではない化合物と理解される。言い換えれば、付香成分であると考えられるそのような共成分は、単に匂いを有するものとしてではなく、組成物の匂いを肯定的に、または心地よいものへと付与または改変することができるものとして当業者に認識されるはずである。ここで、付香組成物中に存在する付香共成分の性質およびタイプは、より詳細な説明を保証するものではなく(いずれにしても網羅的ではないであろう)、当業者は、その一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または用途および所望の感覚刺激効果にしたがってそれらを選択することができる。一般論では、これらの付香共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような様々な化合物の分類に属し、前記付香共成分は、天然由来または合成由来のものであり得る。これらの共成分の多くは、いずれにしても、S. Arctanderによる著書、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAなどの参考テキスト、もしくはその最新版、または類似の性質の他の著作物、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に挙げられている。前記共成分は、様々なタイプの付香化合物(プロ香料など)を制御しながら放出することが公知の化合物でもよいことも理解される。適したプロ香料の非限定的な例には、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物が含まれ得る。
【0183】
本明細書において、「香料アジュバント」とは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのような追加の付加的な利益を付与することができる成分と理解される。付香ベースにおいて一般に使用されるアジュバントの性質およびタイプの詳細な説明は網羅することができないが、前記成分は当業者に周知であることを述べなければならない。
【0184】
ある実施形態によれば、本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル(第1のタイプの送達システム)は、第2のタイプの送達システムと組み合わせて使用することができる。
【0185】
したがって、特定の実施形態によれば、付香組成物は、
-第1のタイプの送達システムとしての本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、ならびに
-第2のタイプの送達システムであって、第1のタイプの送達システムおよび第2のタイプの送達システムが、それらの付香配合物および/または担体材料(シェルまたはマトリックス)および/または外側コーティングにおいて異なる、第2のタイプの送達システム
を含む。
【0186】
本発明のコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセルは、多くの応用分野において有利に使用することができ、かつ着香消費者製品において使用することができる。
【0187】
本発明は、着香消費者製品であって、
a)パーソナルケア、ホームケア、またはファブリックケア活性ベースおよび
b)本明細書において上記のようなマイクロカプセルスラリー、本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルまたは本明細書において上記のような付香組成物
を含む着香消費者製品にも関する。
【0188】
送達システムは、液体消費者製品に適用可能な液体形態ならびに粉末消費者製品に適用可能な粉末形態で使用することができる。
【0189】
本発明の消費者製品は、ファインフレグランスまたは「機能性」香料に属する製品などの着香消費者製品において特に有用であり得る。機能性香料は、好ましくは制汗剤、シャンプーまたはヘアコンディショナーなどのヘアケア製品、シャワージェルなどのボディケア製品、オーラルケア製品、ランドリーケア製品、好ましくは洗剤またはファブリック柔軟剤の形態の、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物からなる群において選ばれる。
【0190】
特に、液体消費者製品であって、
-消費者製品の全重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤;
-水または水混和性親水性有機溶媒;および
-本明細書において上記のような付香組成物またはコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル
を含む、液体消費者製品。
【0191】
さらに、粉末消費者製品であって、
-消費者製品の全重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤;および
-本明細書において上記のような付香組成物またはコア-シェルマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル
を含む、粉末消費者製品。
【0192】
明確化のために、「着香消費者製品」により、様々な利益のなかで、それが適用される表面(例えば皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、または住宅表面)または空気中(エアフレッシュナー、脱臭剤など)に付香効果を送達すると予想される消費者製品を意味することを述べなければならない。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、有効量の本発明によるマイクロカプセルのうち、有益剤と一緒に、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を含む工業製品である。
【0193】
ここで、着香消費者製品の他の構成物の性質およびタイプは、より詳細な説明を保証するものではなく(いずれにしても網羅的ではないであろう)、当業者は、その一般的な知識に基づいて、かつ前記製品の性質および所望の効果にしたがってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを取り込むことができる消費者製品のベース配合物は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。ここで、これらの配合物は、詳細な説明を保証するものではない(いずれにしても網羅的ではないであろう)。そのような消費者製品を配合する当業者は、その一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適した構成成分を完全に選択することができる。
【0194】
適した着香消費者製品の非限定的な例は、ファイン香料、スプラッシュまたはオードパルファム、コロン、シェーブまたはアフターシェーブローション、液体洗剤または固体洗剤、モノチャンバーまたはマルチチャンバーユニドース洗剤、ファブリック柔軟剤、ファブリックリフレッシャー、液体または固体のセントブースター(PEG/尿素または塩)、ドライヤーシート、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品、シャンプー、カラーリング製剤、カラーケア製品、整髪製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、ヘアコンディショニング製品、バニシングクリーム、デオドラントまたは制汗剤、除毛剤、タンニングまたはサン製品、ネイル製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石けん、シャワーまたはバスムース、オイルまたはジェル、またはフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、ファーニッシャーケア、ワイプ、食器洗剤または硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品であり得る。
【0195】
特定の実施形態において、着香消費者製品は、液体または固体洗剤、ファブリック柔軟剤、液体または固体セントブースター(例えばPEG/尿素または塩を使用)、シャンプー、シャワージェル、ヘアコンディショニング製品(例えばリーブオンまたはリンスオフ)、デオドラントまたは制汗剤である。
【0196】
本発明の別の目的は、消費者製品であって、
-パーソナルケア活性ベース、および
-本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルまたは上記で定義した付香組成物
を含み、
パーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0197】
本発明の送達システムを取り込むことができるパーソナルケア活性ベースは、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。ここで、これらの配合物は、詳細な説明を保証するものではない(いずれにしても網羅的ではないであろう)。そのような消費者製品を配合する当業者は、その一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適した構成成分を完全に選択することができる。
【0198】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング製剤またはヘアスプレー)、化粧品製剤(例えばバニシングクリーム、ボディーローションまたはデオドラントまたは制汗剤)、スキンケア製品(例えば着香石けん、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルまたはジェル、バスソルト、または衛生製品)、オーラルケア製品(練り歯磨きまたはマウスウォッシュ組成物)またはファインフレグランス製品(例えばオードトワレ-EdT)からなる群において選ばれる。
【0199】
本発明の別の目的は、消費者製品であって、
-ホームケアまたはファブリックケア活性ベース、および
-上記で定義した本明細書において上記のようなコア-シェルマイクロカプセルスラリーもしくはコア-シェルマイクロカプセルまたは上記で定義した付香組成物
を含み、
ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0200】
本発明の送達システムを取り込むことができるホームケアまたはファブリックケアベースは、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。ここで、これらの配合物は、詳細な説明を保証するものではない(いずれにしても網羅的ではないであろう)。そのような消費者製品を配合する当業者は、その一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適した構成成分を完全に選択することができる。
【0201】
ホームケアまたはファブリックケア組成物は、好ましくは、ファブリック柔軟剤、液体洗剤、粉末洗剤、液体セントブースターおよび固体セントブースターからなる群において選ばれる。
【0202】
後述される液体消費者製品について、「活性ベース」とは、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および水を含むことが理解されるべきである。
【0203】
後述される固体消費者製品について、「活性ベース」とは、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および補助剤(漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚染防止ポリマーまたは汚染懸濁ポリマー;粒状酵素粒子、腐食抑制剤、消泡剤、泡抑制剤;染料、充填剤、およびそれらの混合物など)を含むことが理解されるべきである。
【0204】
ファブリック柔軟剤
本発明の目的は、
-ジアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル四級アンモニウム塩(エステルクワット)、ハンブルクエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1種の活性材料を好ましくは含み、組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量で好ましくは使用されるファブリック柔軟剤活性ベース、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含むファブリック柔軟剤組成物の形態の消費者製品である。
【0205】
液体洗剤
本発明の目的は、
-アルキルベンゼンスルホネート(ABS)、二級アルキルスルホネート(SAS)、一級アルコールサルフェート(PAS)、ラウリルエーテルサルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)などのアニオン性界面活性剤ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドなどの非イオン性界面活性剤からなる群において選ばれる少なくとも1種の活性材料を好ましくは含み、組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量で好ましくは使用される液体洗剤活性ベース、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含む液体洗剤組成物の形態の消費者製品である。
【0206】
固体洗剤
本発明の目的は、
-アルキルベンゼンスルホネート(ABS)、二級アルキルスルホネート(SAS)、一級アルコールサルフェート(PAS)、ラウリルエーテルサルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)などのアニオン性界面活性剤ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドなどの非イオン性界面活性剤からなる群において選ばれる少なくとも1種の活性材料を好ましくは含み、組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量で好ましくは使用される固体洗剤活性ベース、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含む固体洗剤組成物の形態の消費者製品である。
【0207】
シャンプー/シャワージェル
本発明の目的は、
-アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸ベースの界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1種の活性材料を好ましくは含み、組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量で好ましくは使用されるシャンプーまたはシャワージェル活性ベース、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品である。
【0208】
リンスオフコンディショナー
本発明の目的は、
-セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1種の活性材料を好ましくは含み、組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量で好ましくは使用されるリンスオフコンディショナー活性ベース、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含むリンスオフコンディショナー組成物の形態の消費者製品である。
【0209】
固体セントブースター
本発明の目的は、
-尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、粘土、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、デンプン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロースなどのスクロース、単糖、二糖、および多糖ならびに誘導体などのサッカライド、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、およびイソマルトなどのポリオール/糖アルコール、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸ならびにそれらの混合物からなる群において好ましくは選ばれる固体担体、
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の粉末状形態の上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含む固体セントブースター組成物の形態の消費者製品である。
【0210】
液体セントブースター
本発明の目的は、
-水性相、
-1種または1種を超える非イオン性界面活性剤から本質的になる界面活性剤系であって、10~14の間の平均HLBを有し、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミンオキシドならびにそれらの組合せからなる群において好ましくは選ばれる、界面活性剤系;
-アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれるリンカー、ならびに
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の、スラリーの形態の、上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはコア-シェルマイクロカプセル、
-任意選択で遊離香油
を含む液体セントブースター組成物の形態の消費者製品である。
【0211】
毛髪着色
本発明の目的は、
-酸化剤を含む酸化相ならびにアルキル化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相であって、前記染料前駆体および前記カップリング化合物が、酸化剤、好ましくは組成物の全重量に基づいて85~99.95重量%の間に含まれる量の酸化剤の存在下で酸化的ヘアダイを生成する、酸化相およびアルカリ相
-組成物の全重量に基づいて好ましくは0.05~15重量%の間に含まれる量の、より好ましくは0.1~5重量%の間の上記で定義したコア-シェルマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
-任意選択で遊離香油
を含む酸化的ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品である。
【0212】
付香組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、
-先に定義した0.1~30%、好ましくは0.1~20%のコア-シェルマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
-0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
-付香組成物の全重量に基づいて重量で20~90%、好ましくは40~90%のエタノール
を含む付香組成物の形態である。
【0213】
ここで、本発明を例によりさらに説明する。特許請求の範囲に記載される本発明は、これらの例によっていかなる意味においても限定されることを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0214】
実施例
実施例1:N-(2-ヒドロキシル)プロピル-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリドの調製
キトサン(5g、Mw=1.8MDa)を100mL丸底フラスコ内のイソプロパノール(30mL)に分散させて、懸濁液を得た。水(5mL)中のグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの溶液を室温で加えた。反応混合物を80℃で30時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。生じた懸濁液を冷アセトンに注ぎ、4℃で一晩保管した。固体を濾過により回収し、アセトンと共にイソプロパノールで2回洗浄し、濾過し、最後に真空下50℃で乾燥して、固体を得た。変換率を定量固体13C NMRにより決定した。
【0215】
【表1】
【0216】
実施例1Dのコポリマーを、コポリマー1Cのプロトコルにしたがって80℃の代わりに室温で調製した(変換率100%)。
【0217】
実施例1Eのコポリマーを、コポリマー1Cのプロトコルにしたがって1.25MDaの分子量を有するキトサンを用いて調製した(製造元:Glentham、変換率100%)
実施例1Fのコポリマーを、コポリマー1Cのプロトコルにしたがって水(50mL)およびイソプロパノール(50mL)の混合物中で調製した。1000Da(Spectra/Por 7膜)の透析により精製され、凍結乾燥によりコポリマーが回収された(変換率100%)。
【0218】
実施例1Gのコポリマーを、コポリマー1Fのプロトコルにしたがって室温で調製した(変換率100%)。
【0219】
実施例1Hのコポリマーを、コポリマー1Aのプロトコルにしたがって水(295+10mL)中70℃で20時間調製した。1000Da(Spectra/Por 7膜)の透析により精製され、凍結乾燥によりコポリマーが回収された(変換率20%)。
【0220】
実施例2:N-((2-オクテン-1-イル)スクシネートキトサンの調製
キトサン(2g、Mw=1.8MDa)を250mL丸底フラスコ内のメタノール(50mL)および酢酸の水性溶液(2重量%、50mL)の混合物に分散させて、溶液を得た。メタノール(5mL)中の(2-オクテン-1-イル)コハク酸無水物の溶液を室温で加えた。反応混合物を室温で4日間撹拌した。コポリマーを1000Da(Spectra/Por 6膜)の透析により精製し、凍結乾燥により回収した。変換率を定量固体13C NMRにより決定した。
【0221】
【表2】
【0222】
実施例3:官能化キトサンによるカプセル修飾
カプセルPの調製
アラビアゴム(2.05g)を水(115.60g)に溶解した。溶液を反応器に移した。丸底フラスコ内で、Uvinul A+(4.28g)およびTakenate(登録商標)D-110N(4.27g)を香油A(85.48g)に溶解した。Ultra-Turraxを利用して油相を水性溶液に24,000rpmで室温で2分間分散させた。生じたエマルションを80℃まで3時間昇温して、マイクロカプセルの白色分散物を得た。
【0223】
カプセルXの調製
10重量%ポークゼラチンの水性溶液(A)を別々に調製する。
【0224】
カプセル化されるフレグランス(香料B)をポリ-イソシアネート(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Takenate(登録商標)D-110N、Mitsui Chemical)(B)と混合する。
【0225】
アラビアゴムを脱塩水に溶解して、水性相を形成する。混合物が完全に可溶化するまで撹拌し、40℃で加温する。溶液(B)を水性相に分散させ、機械的剪断、スタティックミキサー、ローター-ステーターまたはローター-ローターにより乳化して、所望の粒子サイズを得る。次いで、溶液(A)を、継続する機械的剪断下で混合物に加え、HCl 1Mを使用してpHを4.45に調整し、そのまま10分間維持する。
【0226】
機械的剪断を同じ速度で維持し、次いで、溶液を50~90℃の熱処理に供する。30~240分の間の期間の後、混合物を、0.2~0.3℃.分-1の間の制御された速度で10℃まで冷却する。撹拌速度をわずかに低下させ、架橋剤(グルタルアルデヒド水溶液50重量%、Sigma-Aldrichにより供給される)を混合物に最後に加える。カプセル懸濁液を20~25℃で4~10時間混合して、完全に反応させる。
【0227】
マイクロカプセルの水性懸濁液またはスラリーが得られた。
【0228】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0229】
官能化キトサン誘導体1Hまたは1Cを水に溶解した(1.64重量%)。カチオン性ポリマー水性溶液をマイクロカプセルスラリーに加えて、1.5%のポリマーの最終添加量を得、混合物を磁気撹拌下60℃で1時間保った。マイクロカプセルにUVトレーサー(Uvinul A+)を負荷する。
【0230】
Ζ電位を測定して、キトサン吸着を評価する(負から正への電位の逆転)。ゼータ電位を、例えばMalvern Zetasizerにより測定する。
【0231】
【表4】
【0232】
実施例4:毛髪上の堆積:
修飾カプセルをリンスオフコンディショナー配合物に0.3%の等価油添加量で加える。
【0233】
リンスオフコンディショナー配合物(以下の組成物参照)から0.5g小型毛髪見本上に堆積されたカプセルの量を測定することにより堆積を試験する。
【0234】
【表5】
【0235】
1)対照:0.1mLのリンスオフ配合物を、事前に秤量した20mLシンチレーションバイアルに100μL容積式を使用してピペットで移し、配合物質量を記録する。操作を3回繰り返す。
【0236】
2)サンプル:大きいシリンジを用いて垂直に保持された毛髪マウントを狙って、500mgの白人の褐色小型毛髪見本を40mLの水道水(37~39℃)、各側に20mLで濡らす。過剰な水を下向きの方向に穏やかに1回絞り出す。100μL容積式ピペットを用いて0.1mLのROC配合物を毛髪見本の片側の長さに下に均一に適用する。上から下までマッサージしながら10回擦って配合物を広げ、続いて手袋をはめた手の親指および人差し指を使用して穏やかに滑らかに10回拭う。毛髪マウントを狙って見本の片側に50mL適用して、100mLの水道水(37~39℃)で見本をすすぐ。過剰な水を下向きの方向に穏やかに1回絞り出す。事前に秤量した20mLシンチレーションバイアル内に毛髪見本を細断する(およそ1cm長)。このプロセスを3回繰り返し、次いで、切断した毛髪が入った蓋を取ったバイアルを真空オーブン内で50~60℃(約80~100Torr)で少なくとも5時間(通常一晩)乾燥する。乾燥プロセスの後、再びバイアルの質量を記録して、毛髪の質量を決定する。
【0237】
3)抽出:4mLの200プルーフエタノールを各バイアル(3対照サンプルおよび3切断/乾燥毛髪サンプル)に加える。バイアルを室温で60分間超音波処理する。超音波処理の後、0.45μm、25mm PTFEシリンジフィルターに通してサンプルをきれいな4ドラムバイアル内に濾過する。対照サンプルを200プルーフエタノールおよびDI水(EtOH 650μL、DI水250μL、および対照サンプル濾液100μL)で2mlオートサンプラーバイアル内に10倍希釈する。毛髪サンプルをDI水のみ(DI水250μLおよび毛髪サンプル濾液750μL)で2mlオートサンプラーバイアル内に希釈する。希釈サンプルをよく振盪し、次いで、HPLCによりUV検出器を使用して分析する。
【0238】
【表6】
【0239】
実施例5:ファブリックコンディショナー組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を以下の表に記載されるファブリックコンディショナーベースに分散させて、0.22%のカプセル化香油の濃度を得る。
【0240】
【表7】
【0241】
実施例6:液体洗剤組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を表8に記載される液体洗剤ベースに分散させて、0.22%のカプセル化香油の濃度を得る。
【0242】
【表8】
【0243】
実施例7:リンスオフコンディショナー
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を表9に記載されるリンスオフコンディショナーベースに分散させて、0.5%のカプセル化香油の濃度を得る。
【0244】
【表9】
【0245】
実施例8:シャンプー組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%香料の等価物を加える。
【0246】
【表10】
【0247】
実施例9:制汗ロールオンエマルション組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を秤量し、制汗ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%香料の等価物を加える。
【0248】
【表11】
【0249】
部分AおよびBを75℃まで別々に加熱し;部分Aを撹拌下で部分Bに加え、混合物を10分間ホモジナイズする。次いで、混合物を撹拌下で冷却し;撹拌しながら混合物が45℃に達したとき部分Cを、混合物が35℃に達したとき部分Dをゆっくり加える。次いで、混合物を室温まで冷却する。
【0250】
実施例10:シャワージェル組成物
マイクロカプセルスラリー(実施例3参照)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%香料の等価物を加える。
【0251】
【表12】
【国際調査報告】