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特表2024-513054リンパ腫の治療のためのCAR T細胞療法および免疫調節化合物の組合せ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】リンパ腫の治療のためのCAR T細胞療法および免疫調節化合物の組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20240313BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240313BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240313BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240313BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240313BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240313BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240313BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240313BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240313BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K31/5377
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K47/68
A61K47/65
A61K47/64
C07K16/28 ZNA
C07K14/705
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560638
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022022358
(87)【国際公開番号】W WO2022212384
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,599
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/277,134
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】トリード,ニコラウス セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】プルハム,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ファン
(72)【発明者】
【氏名】プーダーナッド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デステファノ,ジョセフ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カランシオ アントン,マリア ソラジャ
(72)【発明者】
【氏名】バックホルツ,トニア ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ポーツ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チン,ジム
(72)【発明者】
【氏名】デュボーイ,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブランド,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA04
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
(57)【要約】
ある特定のB細胞悪性病変等の疾患および状態に罹っている対象を治療するための、養子細胞療法、例えば、T細胞療法等の免疫療法、および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンまたはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体の使用を伴う併用療法の方法、組成物、使用および製造品、ならびに関連する方法、組成物、使用および製造品が提供される。細胞は、一般に、キメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、疾患または状態は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、再発したもしくは不応性のNHLまたは特定のNHLサブタイプである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD19を発現するがんを治療する方法であって、CD19を発現するがんに罹っている対象に、
(i)前記がんに対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法であって、併用療法の1日目に投与されるT細胞療法;および
(ii)(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩
を含む併用療法を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、
(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法であって、併用療法の1日目に投与されるT細胞療法;および
(ii)(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩
を含む併用療法を投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
化合物の投与が、T細胞療法の投与後に開始される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
CD19を発現するがんを治療する方法であって、CD19を発現するがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、前記がんに対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され、前記化合物の投与が、前記T細胞療法の投与後に開始される、方法。
【請求項5】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され、前記化合物の投与が、前記T細胞療法の投与後に開始される、方法。
【請求項6】
化合物の投与が、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
化合物が、複数の用量として投与され、各用量が、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
化合物が、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、
(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法であって、併用療法の1日目に投与されるT細胞療法;および
(ii)(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩
を含む併用療法を投与する工程を含み、前記化合物が、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量が、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、前記化合物の投与が、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、方法。
【請求項10】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、前記化合物の投与が、前記併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、方法。
【請求項11】
化合物の投与が、1日目~22日目の間(上限下限値を含む)に開始される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物の投与が、1日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
化合物の投与が、8日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化合物の投与が、1日目または約1日目に開始される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
化合物の投与が、8日目または約8日目に開始される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
化合物の投与が、15日目または約15日目に開始される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
複数の間欠的用量の各用量が同一である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
化合物が、週1回投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
化合物が、2週間毎に1回投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
化合物が、14日毎に1回(Q14D)投与される、請求項1~17および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化合物が、T細胞療法の投与の後に少なくとも12週間にわたり投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化合物が、T細胞療法の投与の後に最大12週間にわたり投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
化合物が、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、請求項1~12、14、17~19、22および23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
化合物が、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、請求項1~13、15、17~19、22および23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
化合物が、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、請求項1~13、16~19、22および23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
化合物が、8、22、36、50、64および78日目に投与される、請求項1~13、15、17および20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
化合物の用量が、0.3mgまたは約0.3mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
化合物の用量が、0.6mgまたは約0.6mgである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
化合物の用量が、0.2mgまたは約0.2mg~0.4mgまたは約0.4mg(上限下限値を含む)である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
化合物の用量が、0.4mgまたは約0.4mgである、請求項1~28および30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
化合物の用量が、0.4mg未満である、請求項1~28および30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
化合物の用量が、0.3mgまたは約0.3mgである、請求項1~28、30および32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
化合物の用量が、0.2mgまたは約0.2mgである、請求項1~28、30および32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量が、0.3mgである、方法。
【請求項36】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法。
【請求項37】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量が、0.3mgである、方法。
【請求項38】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量が、0.4mgである、方法。
【請求項39】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、14日毎に1回(Q14D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、22、36、50、64および78日目に投与され、各用量が、0.3mgである、方法。
【請求項40】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量が、0.2mgである、方法。
【請求項41】
リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含み、
前記化合物が、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、前記T細胞療法が、前記併用療法の1日目に投与され;
前記化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量が、0.6mgである、方法。
【請求項42】
化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩であるかまたはそれを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンであるかまたはそれを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
化合物の投与の開始時に、対象が、T細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
重度の毒性が、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)、適宜、グレード3以上のCRS、長期のグレード3以上のCRS、グレード4のCRSもしくはグレード5のCRSであり;および/または
重度の毒性が、重度の神経毒性、適宜、グレード3以上の神経毒性、長期のグレード3以上の神経毒性、グレード4の神経毒性もしくはグレード5の神経毒性である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
対象が、化合物の投与後に毒性、適宜、血液学的毒性を示す場合、化合物の投与が保留される、および/または化合物の用量が改変、適宜低下される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
毒性が、重度の血小板減少症、適宜、グレード4の血小板減少症または長期のグレード4の血小板減少症である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
毒性が、重度の好中球減少症、適宜、グレード4の好中球減少症、長期のグレード4の好中球減少症または発熱性好中球減少症、適宜、グレード3以上の発熱性好中球減少症もしくは長期のグレード3以上の発熱性好中球減少症である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
対象がもはや毒性を示さなくなった後に、化合物の投与が再開される、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
がんが、B細胞悪性病変である、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
がんが、非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、適宜、NHLが、侵襲性NHL;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);DLBCL-NOS、適宜、形質転換した低悪性度;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、適宜、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/もしくはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(二重/三重ヒット)を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
CD19が、ヒトCD19である、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
キメラ抗原受容体(CAR)が、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖、適宜ヒトCD3-ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、適宜ヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
共刺激シグナル伝達領域が、ヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
CARが、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BB、適宜ヒト4-1BBであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み;適宜、CARが、膜貫通ドメインおよびscFvの間のスペーサーをさらに含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
CARが、順番に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BBシグナル伝達ドメイン、適宜ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み;適宜、CARが、膜貫通ドメインおよびscFvの間のスペーサーをさらに含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
CARが、順番に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと、適宜、4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
スペーサーが、免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなるか、または約15アミノ酸以下を含むポリペプチドスペーサーである、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
スペーサーが、免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4ヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなり、および/または約15アミノ酸以下を含む、請求項58~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
スペーサーが、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであり、および/または免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4もしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなる、請求項58~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
スペーサーが、配列番号1の配列;配列番号2、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34によってコードされる配列;またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを有するかまたはそれからなる、請求項58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、配列番号12に記載される配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む、請求項58~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、配列番号13~15のいずれかの配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む、請求項58~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
scFvが、
RASQDISKYLN(配列番号35)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号36)のCDRL2配列および/もしくはGNTLPYTFG(配列番号37)のCDRL3配列;ならびに/または
DYGVS(配列番号38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(配列番号39)のCDRH2配列および/もしくはYAMDYWG(配列番号40)のCDRH3配列
を含む、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
scFvが、
FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域;ならびに/または
FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列およびFMC63のCDRH3配列
を含み;
適宜、scFvが、配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号42に記載されるアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項58~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
scFvが、配列番号43に記載されるアミノ酸の配列を有する、請求項58~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
操作された細胞の用量が、1×10個もしくは約1×10個~5×10個もしくは約5×10個の総CAR発現T細胞、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞または5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞(それぞれ上限下限値を含む)を含む、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
操作された細胞の用量が、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞または少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
操作された細胞の用量が、1×10個または約1×10個のCAR発現T細胞を含む、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
操作された細胞の用量が、非経口、適宜、静脈内投与される、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
T細胞が、対象から得られる初代T細胞である、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
T細胞が、対象にとって自家である、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
T細胞が、対象にとって同種異系である、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
操作された細胞の用量が、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与が、複数の別々の組成物を投与する工程を含み、前記複数の別々の組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物およびCD4+T細胞およびCD8+T細胞の他方を含む第2の組成物を含む、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
第1の組成物および第2の組成物が、0~12時間間隔、0~6時間間隔もしくは0~2時間間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与および第2の組成物の投与が、同一の日に行われ、約0~約12時間間隔、約0~約6時間間隔もしくは約0~2時間間隔で行われ;ならびに/あるいは
第1の組成物の投与の開始および第2の組成物の投与の開始が、約1分~約1時間間隔または約5分~約30分間隔で行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
第1の組成物および第2の組成物が、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下または5分以下の間隔で投与される、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項80】
第1の組成物が、CD4+T細胞を含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
第1の組成物が、CD8+T細胞を含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
第1の組成物が、第2の組成物の前に投与される、請求項77~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
T細胞療法の投与の前に、対象が、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
T細胞療法の投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含む、リンパ球枯渇療法を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
リンパ球枯渇療法が、2~4日間、適宜、3日間にわたり毎日の、約200~400mg/m(上限下限値を含む)、適宜、300mg/mもしくは約300mg/mのシクロホスファミドおよび/または約20~40mg/m、適宜、30mg/mのフルダラビンの投与を含むか、またはリンパ球枯渇療法が、約500mg/mのシクロホスファミドの投与を含む、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項86】
リンパ球枯渇療法が、3日間にわたり毎日の、300mg/mもしくは約300mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含み;ならびに/または
リンパ球枯渇療法が、3日間にわたり毎日の、500mg/mもしくは約500mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含む、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
対象がヒトである、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
方法に従って治療された対象の少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%が、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、持続的である完全奏効(CR)、またはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的であるCRを達成する;ならびに/あるいは
6ヶ月目までにCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%が、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保ち、CRを保ち、および/または生存するまたは進行せずに生存し;ならびに/あるいは
方法に従って治療された対象の少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%が、客観的奏効(OR)を達成し、適宜、ORが、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、持続的であるか、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的であり;ならびに/あるいは
6ヶ月目までにORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%が、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保ち、または生存する、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象が、リンパ腫のための1つまたはそれ以上の以前の療法、適宜、CARを発現する操作された細胞の別の用量以外の1、2または3つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
操作された細胞の用量の投与時にまたはその前に、
対象が、二重/三重ヒットリンパ腫であるか、もしくはそれに罹っていることが同定され;
対象が、化学療法抵抗性リンパ腫、適宜、化学療法抵抗性DLBCLであるか、もしくはそれに罹っていることが同定され;および/または
対象が、以前の療法に応答した完全寛解(CR)を達成していない、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
化合物の投与が、
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型を反転し;
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させ;
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型のレベルもしくは程度を低減させ;または
疲弊表現型を有する対象におけるCAR発現T細胞のパーセンテージもしくは総数を低減させる、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
化合物の投与の開始が、T細胞療法の投与後に行われ、化合物の投与またはその開始に続いて、対象が、前記対象におけるCAR発現T細胞の抗原または腫瘍特異的活性または機能の回復またはレスキューを示し、適宜、前記回復、レスキュー、および/または前記化合物の投与の開始が、対象または対象の血液におけるCAR発現T細胞が、疲弊した表現型を示した後の時点においてなされる、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
化合物の投与が、
(a)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露後に、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞の抗原特異的もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらし;または
(b)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露後に、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させ;または
(c)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、対象における前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい疲弊したT細胞における疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
化合物の投与が、(i)活性の前記増加をもたらし、(ii)前記疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させ、および/または前記疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
対象におけるT細胞が、前記CARを発現するT細胞を含み、および/または曝露が、CD19抗原への曝露である、請求項93または請求項94に記載の方法。
【請求項96】
疲弊表現型が、T細胞またはT細胞の集団に関連して、
同一条件下の参照T細胞集団と比較した、1つまたはそれ以上の疲弊マーカー、適宜、2、3、4、5または6つの疲弊マーカーの、T細胞における表面発現のレベルもしくは程度または表面発現を示す前記T細胞の集団のパーセンテージの増加;あるいは
同一条件下の参照T細胞集団と比較した、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤への曝露後の、前記T細胞もしくはT細胞の集団によって示される活性のレベルもしくは程度の減少
を含む、請求項91~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
レベル、程度またはパーセンテージの増加が、1.2倍または約1.2倍、1.5倍または約1.5倍、2.0倍または約2.0倍、3倍または約3倍、4倍または約4倍、5倍または約5倍、6倍または約6倍、7倍または約7倍、8倍または約8倍、9倍または約9倍、10倍または約10倍以上を超える、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
レベル、程度またはパーセンテージの減少が、1.2分の1または約1.2分の1、1.5分の1または約1.5分の1、2.0分の1または約2.0分の1、3分の1または約3分の1、4分の1または約4分の1、5分の1または約5分の1、6分の1または約6分の1、7分の1または約7分の1、8分の1または約8分の1、9分の1または約9分の1、10分の1または約10分の1以下を下回る、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
参照T細胞集団が、適宜、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象と同一対象に由来するか、またはそれと同一種の、疲弊していない表現型を有することが知られているT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、またはステムセントラルメモリーT細胞の集団である、請求項96~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
参照T細胞集団が、(a)疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、適宜、バルクT細胞が、CARを発現せず、および/または(b)CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象から得られる、請求項96~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
参照T細胞集団が、対象へのその投与の前に、CARを発現するT細胞の試料を含む組成物またはCARを発現するT細胞を含む医薬組成物であり、適宜、組成物が、凍結保存された試料である、請求項96~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
1つまたはそれ以上の疲弊マーカーが、阻害受容体である、請求項96~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
1つまたはそれ以上の疲弊マーカーが、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTAおよびTIGITの中から選択される、請求項96~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
活性が、増殖、細胞傷害性、または炎症性サイトカインのうち1つもしくは組合せの産生のうち1つまたはそれ以上であり、適宜、サイトカインのうち1つまたは組合せが、IL-2、IFN-ガンマおよびTNF-アルファからなる群から選択される、請求項96~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露が、CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤、適宜、CARの抗原結合性ドメインに結合する薬剤とのインキュベーションを含む、請求項96~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露が、T細胞を、CD19抗原発現標的細胞、適宜、B細胞悪性病変の細胞に曝露する工程を含む、請求項105に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月29日に出願された米国仮特許出願第63/167,599号および2021年11月8日に出願された米国仮特許出願第63/277,134号に基づく優先権を主張し、これらそれぞれの内容全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組込み
本出願は、電子書式の配列表とともに出願中である。配列表は、36キロバイトのサイズである、2022年3月27日に作成された735042024540SeqList.txtという表題のファイルとして提供される。電子書式の配列表内の情報は、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は、一部の態様では、ある特定のB細胞悪性病変等の疾患および状態に罹っている対象を治療するための、養子細胞療法、例えば、T細胞療法等の免疫療法、および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンまたはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体の使用を伴う併用療法の方法、組成物、使用および製造品、ならびに関連する方法、組成物、使用および製造品に関する。T細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、疾患または状態は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、再発したもしくは不応性のNHLまたは特定のNHLサブタイプである。
【背景技術】
【0004】
例えば、養子療法のために操作されたT細胞を投与する免疫療法のために、様々な戦略が利用できる。例えば、CAR等の遺伝子操作された抗原受容体を発現させ、そのような細胞を含有する組成物を対象に投与する、T細胞を操作するための戦略が利用できる。細胞の有効性を向上させるための、例えば、対象への投与の際に細胞の持続、活性および/または増殖を向上させる、改善された戦略が必要とされる。そのような必要を満たす方法、組成物、キットおよびシステムが提供される。
【発明の概要】
【0005】
一部の実施形態では、CD19を発現するがんを治療する方法であって、CD19を発現するがんに罹っている対象に、(i)がんに対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法;および(ii)(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法を投与する工程を含む方法が本明細書に提供される。
【0006】
提供される方法のいずれかの一部では、CD19を発現するがんは、リンパ腫である。
【0007】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法;および(ii)(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法を投与する工程を含む方法も本明細書に提供される。
【0008】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、T細胞療法の投与の前に開始される。
【0009】
一部の実施形態では、CD19を発現するがんを治療する方法であって、CD19を発現するがんに罹っている対象に、がんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程を含み、T細胞療法は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体との併用療法において投与され、化合物の投与は、T細胞療法の投与の前に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0010】
提供される方法のいずれかの一部では、CD19を発現するがんは、リンパ腫である。
【0011】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法を投与する工程を含み、T細胞療法は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体との併用療法において投与され、化合物の投与は、T細胞療法の投与の前に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0012】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、T細胞療法の投与後に開始される。
【0013】
一部の実施形態では、CD19を発現するがんを治療する方法であって、CD19を発現するがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、がんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、化合物の投与は、T細胞療法の投与後に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0014】
提供される方法のいずれかの一部では、CD19を発現するがんは、リンパ腫である。
【0015】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫であるがんに罹っている対象に、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、化合物の投与は、T細胞療法の投与後に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0016】
提供される方法のいずれかの一部では、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与される。
【0017】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される。
【0018】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、複数の用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)である。
【0019】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与される。
【0020】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法であって、併用療法の1日目に投与されるT細胞療法;および(ii)下記構造:
【化1】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物であって、間欠的(すなわち、毎日ではない)投薬レジメンにおいて投与される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法を投与する工程を含む方法も本明細書に提供される。
【0021】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化2】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され、化合物は、間欠的(すなわち、毎日ではない)投薬レジメンにおいて投与される、方法も本明細書に提供される。
【0022】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、複数の間欠的用量として投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、週1回以下で投与される。
【0023】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)である。
【0024】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される。
【0025】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法であって、併用療法の1日目に投与されるT細胞療法;および(ii)下記構造:
【化3】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法を投与する工程を含み、化合物は、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1m~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0026】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化4】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、方法も本明細書に提供される。
【0027】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、1日目~22日目の間(上限下限値を含む)に開始される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、1日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、8日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。
【0028】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、1日目または約1日目に開始される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、8日目または約8日目に開始される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、15日目または約15日目に開始される。
【0029】
提供される方法のいずれかの一部では、複数の間欠的用量の各用量は、同一である。
【0030】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、週1回投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、2週間毎に1回投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、14日毎に1回(Q14D)投与される。
【0031】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、T細胞療法の投与の後に少なくとも12週間にわたり投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、T細胞療法の投与の後に最大12週間にわたり投与される。
【0032】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、8、22、36、50、64および78日目に投与される。
【0033】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.3mgまたは約0.3mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)である。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.6mgまたは約0.6mgである。
【0034】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.2mgまたは約0.2mg~0.4mgまたは約0.4mg(上限下限値を含む)である。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.4mgまたは約0.4mgである。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.4mg未満である。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.3mgまたは約0.3mgである。提供される方法のいずれかの一部では、化合物の用量は、0.2mgまたは約0.2mgである。
【0035】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化5】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法も本明細書に提供される。
【0036】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化6】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法も本明細書に提供される。
【0037】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化7】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法も本明細書に提供される。
【0038】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化8】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.4mgである、方法も本明細書に提供される。
【0039】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化9】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、14日毎に1回(Q14D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、22、36、50、64および78日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法も本明細書に提供される。
【0040】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化10】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.2mgである、方法も本明細書に提供される。
【0041】
一部の実施形態では、リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化11】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.6mgである、方法も本明細書に提供される。
【0042】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオン、またはその薬学的に許容される塩である。
【0043】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩であるかまたはそれを含む。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの水和物であるかまたはそれを含む。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの溶媒和物であるかまたはそれを含む。提供される方法のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンであるかまたはそれを含む。
【0044】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与の開始時に、対象は、T細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない。提供される方法のいずれかの一部では、重度の毒性は、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)、適宜、グレード3以上のCRS、長期のグレード3以上のCRS、グレード4のCRSもしくはグレード5のCRSである;および/または重度の毒性は、重度の神経毒性、適宜、グレード3以上の神経毒性、長期のグレード3以上の神経毒性、グレード4の神経毒性もしくはグレード5の神経毒性である。一部の実施形態では、重度の毒性は、重度のCRSである。一部の実施形態では、重度の毒性は、重度の神経毒性である。
【0045】
提供される方法のいずれかの一部では、対象が、化合物の投与後に毒性、適宜、血液学的毒性を示す場合、化合物の投与は、保留される、および/または化合物の用量は、改変、適宜低下される。提供される方法のいずれかの一部では、対象が、化合物の投与後に毒性を示す場合、化合物の投与は、保留される。提供される方法のいずれかの一部では、対象が、化合物の投与後に毒性を示す場合、化合物の用量は、低下される。提供される方法のいずれかの一部では、毒性は、血液学的な毒性である。提供される方法のいずれかの一部では、毒性は、重度の血小板減少症、適宜、グレード4の血小板減少症または長期のグレード4の血小板減少症である。提供される方法のいずれかの一部では、毒性は、重度の好中球減少症、適宜、グレード4の好中球減少症、長期のグレード4の好中球減少症、または発熱性好中球減少症、適宜、グレード3以上の発熱性好中球減少症もしくは長期のグレード3以上の発熱性好中球減少症である。
【0046】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、対象がもはや毒性を示さなくなった後に再開される。
【0047】
提供される方法のいずれかの一部では、リンパ腫は、CD19を発現する。
【0048】
提供される方法のいずれかの一部では、リンパ腫は、B細胞悪性病変である。提供される方法のいずれかの一部では、リンパ腫は、再発した/不応性のリンパ腫である。提供される方法のいずれかの一部では、リンパ腫は、侵襲性リンパ腫である。提供される方法のいずれかの一部では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、適宜、NHLは、侵襲性NHL;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);DLBCL-NOS、適宜、形質転換した低悪性度;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、適宜、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/もしくはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(二重/三重ヒット)を含む。
【0049】
提供される方法のいずれかの一部では、CD19は、ヒトCD19である。
【0050】
提供される方法のいずれかの一部では、キメラ抗原受容体(CAR)は、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。提供される方法のいずれかの一部では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖、適宜ヒトCD3-ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。提供される方法のいずれかの一部では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のシグナル伝達ドメインを含む。提供される方法のいずれかの一部では、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。提供される方法のいずれかの一部では、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、適宜ヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。提供される方法のいずれかの一部では、共刺激シグナル伝達領域は、ヒトCD28のシグナル伝達ドメインを含む。提供される方法のいずれかの一部では、共刺激シグナル伝達領域は、ヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む。
【0051】
提供される方法のいずれかの一部では、CARは、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BB、適宜ヒト4-1BBであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み;適宜、CARは、膜貫通ドメインおよびscFvの間のスペーサーをさらに含む。提供される方法のいずれかの一部では、CARは、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;ヒト4-1BBに由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、細胞質シグナル伝達ドメインと;膜貫通ドメインおよびscFvの間のスペーサーとを含む。
【0052】
提供される方法のいずれかの一部では、CARは、順番に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BBシグナル伝達ドメイン、適宜ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。提供される方法のいずれかの一部では、CARは、順番に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、細胞質シグナル伝達ドメインと;ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。
【0053】
提供される方法のいずれかの一部では、CARは、順番に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと、適宜、4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。提供される方法のいずれかの一部では、CARは、順番に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと、4-1BBシグナル伝達ドメインである、細胞質シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。
【0054】
提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなるか、または約15アミノ酸以下を含むポリペプチドスペーサーである。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4ヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなる、および/または約15アミノ酸以下を含む。一部の実施形態では、スペーサーは、IgG4等の免疫グロブリンヒンジまたはその改変バージョンの全てまたは部分を含むかまたはそれからなる。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、IgG4ヒンジまたはその改変バージョンの全てまたは部分を含むかまたはそれからなる。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、約15アミノ酸以下を含む。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、12アミノ酸または約12アミノ酸の長さである。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、12アミノ酸または約12アミノ酸の長さである。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、配列番号1の配列;配列番号2、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34によってコードされる配列;またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを有するかまたはそれからなる。提供される方法のいずれかの一部では、スペーサーは、配列番号1の配列を有するかまたはそれからなる。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号2によってコードされる配列を有する。
【0055】
提供される方法のいずれかの一部では、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、配列番号12に記載される配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む。提供される方法のいずれかの一部では、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインは、配列番号13~15のいずれかの配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0056】
提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、RASQDISKYLN(配列番号35)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号36)のCDRL2配列および/もしくはGNTLPYTFG(配列番号37)のCDRL3配列;ならびに/またはDYGVS(配列番号38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(配列番号39)のCDRH2配列および/もしくはYAMDYWG(配列番号40)のCDRH3配列を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、RASQDISKYLN(配列番号35)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号36)のCDRL2配列およびGNTLPYTFG(配列番号37)のCDRL3配列;ならびに/またはDYGVS(配列番号38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(配列番号39)のCDRH2配列およびYAMDYWG(配列番号40)のCDRH3配列を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、RASQDISKYLN(配列番号35)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号36)のCDRL2配列およびGNTLPYTFG(配列番号37)のCDRL3配列;ならびにDYGVS(配列番号38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(配列番号39)のCDRH2配列およびYAMDYWG(配列番号40)のCDRH3配列を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列を含む可変軽鎖領域、ならびにFMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列およびFMC63のCDRH3配列を含む可変重鎖領域を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むVH、および配列番号42に記載されるアミノ酸配列を含むVLを含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列およびFMC63のCDRH3配列を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域を含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、配列番号41を含むVH、および配列番号42として記載されるアミノ酸配列を含むVLを含む。提供される方法のいずれかの一部では、scFvは、配列番号43に記載されるアミノ酸の配列を有する。
【0057】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、1×10個もしくは約1×10個~5×10個もしくは約5×10個の総CAR発現T細胞、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞、1×10もしくは約1×10~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞または5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞(それぞれ上限下限値を含む)を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、1×10~5×10個またはその概数の総CAR発現T細胞を含む(上限下限値を含む)。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞(上限下限値を含む)を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞(上限下限値を含む)を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞(上限下限値を含む)を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞(上限下限値を含む)を含む。
【0058】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、または少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む。
【0059】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも1×10個または少なくとも約1×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも2.5×10個または少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも5×10個または少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも1×10個または少なくとも約1×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも2.5×10個または少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも5×10個または少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも1×10個または少なくとも約1×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも2.5×10個または少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも5×10個または少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも1×10個または少なくとも約1×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも2.5×10個または少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、少なくとも5×10個または少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む。
【0060】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、1×10個または約1×10個のCAR発現T細胞を含む。
【0061】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、非経口、適宜、静脈内投与される。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、静脈内投与される。
【0062】
提供される方法のいずれかの一部では、T細胞は、対象から得られる初代T細胞である。提供される方法のいずれかの一部では、T細胞は、対象にとって自家である。提供される方法のいずれかの一部では、T細胞は、対象にとって同種異系である。
【0063】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量は、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与は、複数の別々の組成物を投与する工程を含み、前記複数の別々の組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物、ならびにCD4+T細胞およびCD8+T細胞の他方を含む第2の組成物を含む。
【0064】
提供される方法のいずれかの一部では、第1の組成物および第2の組成物は、0~12時間間隔、0~6時間間隔もしくは0~2時間間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与および第2の組成物の投与は、同一の日に行われ、約0~約12時間間隔、約0~約6時間間隔もしくは約0~2時間間隔で行われ;および/または第1の組成物の投与の開始および第2の組成物の投与の開始は、約1分~約1時間間隔もしくは約5分~約30分間隔で行われる。提供される方法のいずれかの一部では、第1の組成物および第2の組成物は、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下または5分以下の間隔で投与される。
【0065】
提供される方法のいずれかの一部では、第1の組成物は、CD4+T細胞を含む。提供される方法のいずれかの一部では、第1の組成物は、CD8+T細胞を含む。
【0066】
提供される方法のいずれかの一部では、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0067】
提供される方法のいずれかの一部では、T細胞療法の投与の前に、対象は、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている。提供される方法のいずれかの一部では、方法は、T細胞療法の投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含む、リンパ球枯渇療法を対象に投与する工程をさらに含む。
【0068】
提供される方法のいずれかの一部では、リンパ球枯渇療法は、2~4日間、適宜、3日間にわたり毎日の、約200~400mg/m(上限下限値を含む)、適宜、300mg/mもしくは約300mg/mのシクロホスファミドおよび/または約20~40mg/m、適宜、30mg/mのフルダラビンの投与を含む、またはリンパ球枯渇療法は、約500mg/mのシクロホスファミドの投与を含む。提供される方法のいずれかの一部では、リンパ球枯渇療法は、3日間にわたり毎日の、300mg/mもしくは約300mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含む;ならびに/またはリンパ球枯渇療法は、3日間にわたり毎日の、500mg/mもしくは約500mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含む。
【0069】
提供される方法のいずれかの一部では、対象は、ヒトである。
【0070】
提供される方法のいずれかの一部では、方法に従って治療された対象の少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%は、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、持続的である完全奏効(CR)、またはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的であるCRを達成する;ならびに/あるいは6ヶ月目までにCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%は、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保つ、CRを保つ、および/または生存するまたは進行せずに生存する;ならびに/あるいは方法に従って治療された対象の少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%は、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、客観的奏効(OR)を達成し、適宜、ORは、持続的であるか、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的であり;ならびに/あるいは6ヶ月目までにORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%は、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保つまたは生存する。
【0071】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象は、NHLのための1つまたはそれ以上の以前の療法、適宜、CARを発現する操作された細胞の別の用量以外の1、2または3つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象は、NHLのための1つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象は、NHLのための2つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる。提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象は、NHLのための3つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる。提供される方法のいずれかの一部では、1つまたはそれ以上の以前の療法は、CARを発現する操作された細胞の別の用量を含まない。
【0072】
提供される方法のいずれかの一部では、操作された細胞の用量の投与時にまたはその前に、対象は、二重/三重ヒットリンパ腫であるか、もしくはそれに罹っていることが同定されている;対象は、化学療法抵抗性リンパ腫、適宜、化学療法抵抗性DLBCLであるか、もしくはそれに罹っていることが同定されている;および/または対象は、以前の療法に応答した完全寛解(CR)を達成していない。提供される実施形態のいずれかの一部では、対象は、以前の療法に応答した完全寛解(CR)を達成していない。
【0073】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型を反転する;対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させる;対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型のレベルもしくは程度を低減させる;または疲弊表現型を有する対象におけるCAR発現T細胞のパーセンテージもしくは総数を低減させる。
【0074】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与の開始は、T細胞療法の投与後に行われ、化合物の投与またはその開始後に、対象は、前記対象におけるCAR発現T細胞の抗原または腫瘍特異的活性または機能の回復またはレスキューを示し、適宜、前記回復、レスキュー、および/または前記化合物の投与の開始は、対象または対象の血液におけるCAR発現T細胞が、疲弊した表現型を示した後の時点においてなされる。
【0075】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、(a)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露に続く、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞の抗原特異的もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらす;または(b)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露後、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させる;または(c)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、対象における前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい疲弊したT細胞における疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む。
【0076】
提供される方法のいずれかの一部では、化合物の投与は、(i)活性の前記増加をもたらし、(ii)前記疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させる、および/または前記疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む。
【0077】
提供される方法のいずれかの一部では、対象におけるT細胞は、前記CARを発現するT細胞を含む、および/または前記抗原は、CD19である、例えば、曝露は、CD19抗原への曝露である。
【0078】
提供される方法のいずれかの一部では、疲弊表現型は、T細胞またはT細胞の集団に関連して、同一条件下の参照T細胞集団と比較した、1つまたはそれ以上の疲弊マーカー、適宜、2、3、4、5または6つの疲弊マーカーの、T細胞における表面発現のレベルもしくは程度または表面発現を示す前記T細胞の集団のパーセンテージの増加;あるいは同一条件下の参照T細胞集団と比較した、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤への曝露後の、前記T細胞もしくはT細胞の集団によって示される活性のレベルもしくは程度の減少を含む。
【0079】
提供される方法のいずれかの一部では、レベル、程度またはパーセンテージの増加は、1.2倍または約1.2倍、1.5倍または約1.5倍、2.0倍または約2.0倍、3倍または約3倍、4倍または約4倍、5倍または約5倍、6倍または約6倍、7倍または約7倍、8倍または約8倍、9倍または約9倍、10倍または約10倍以上を超える。提供される方法のいずれかの一部では、レベル、程度またはパーセンテージの減少は、1.2分の1または約1.2分の1、1.5分の1または約1.5分の1、2.0分の1または約2.0分の1、3分の1または約3分の1、4分の1または約4分の1、5分の1または約5分の1、6分の1または約6分の1、7分の1または約7分の1、8分の1または約8分の1、9分の1または約9分の1、10分の1または約10分の1以下を下回る。
【0080】
提供される方法のいずれかの一部では、参照T細胞集団は、適宜、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象と同一対象に由来するまたはそれと同一種の、疲弊していない表現型を有することが知られているT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、またはステムセントラルメモリーT細胞の集団である。提供される方法のいずれかの一部では、参照T細胞集団は、(a)疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、適宜、バルクT細胞は、CARを発現しない、および/または(b)CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象から得られる。提供される方法のいずれかの一部では、参照T細胞集団は、対象へのその投与の前に、T細胞療法の試料、例えば、CARを発現するT細胞の試料を含む組成物、またはCARを発現するT細胞を含む医薬組成物であり、適宜、組成物は、凍結保存された試料である。
【0081】
提供される方法のいずれかの一部では、1つまたはそれ以上の疲弊マーカーは、阻害受容体である。提供される方法のいずれかの一部では、1つまたはそれ以上の疲弊マーカーは、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTAおよびTIGITの中から選択される。
【0082】
提供される方法のいずれかの一部では、活性は、増殖、細胞傷害性、または炎症性サイトカインのうち1つもしくは組合せの産生のうち1つまたはそれ以上であり、適宜、サイトカインのうち1つまたは組合せは、IL-2、IFN-ガンマおよびTNF-アルファからなる群から選択される。
【0083】
提供される方法のいずれかの一部では、前記CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露は、CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤、適宜、CARの抗原結合性ドメインに結合する薬剤とのインキュベーションを含む。提供される方法のいずれかの一部では、CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露は、T細胞を、CD19抗原発現標的細胞、適宜、B細胞悪性病変の細胞に曝露する工程を含む。
【0084】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療する方法における使用のための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法、および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法も提供される。
【0085】
提供される方法のいずれかに従って、CD19を発現するがんを治療する方法における使用のための、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体も提供される。
【0086】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療する方法における使用のための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法も提供される。
【0087】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療するための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法、および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法の使用も提供される。
【0088】
提供される方法のいずれかに従って、CD19を発現するがんを治療するための、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体の使用も提供される。
【0089】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療するための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法の使用も提供される。
【0090】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療するための医薬の製造のための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法、および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を含む併用療法の使用も提供される。
【0091】
提供される方法のいずれかに従って、CD19を発現するがんを治療するための医薬の製造のための、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体の使用も提供される。
【0092】
提供される方法のいずれかに従って、がんを治療するための医薬の製造のための、CD19を発現するがんを標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法の使用も提供される。
【0093】
提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、分化抗原群19(CD19)に結合する。一部の実施形態では、CD19を発現するがんは、リンパ腫である。
【0094】
提供される実施形態のいずれかの一部では、化合物は、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオン、またはその薬学的に許容される塩である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1図1は、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、抗CD19 CAR T細胞におけるAiolosおよびIkaros転写因子の発現レベルを示す。
図2A図2Aは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、生きている抗CD19 CAR T細胞のパーセンテージを示す。
図2B図2Bは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、抗CD19 CAR T細胞の細胞倍加の数を示す。
図2C図2Cは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、抗CD19 CAR T細胞の細胞倍加の数を示す。
図2D図2Dは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、細胞周期のG1期である抗CD19 CAR T細胞のパーセンテージを示す。
図2E図2Eは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、細胞周期のG1期である抗CD19 CAR T細胞のパーセンテージを示す。
図2F図2Fは、様々な免疫調節化合物の存在下におけるCAR特異的抗イディオタイプ抗体による刺激後の、抗CD19 CAR T細胞のサイトカインレベルを示す。ゼロを超えるLog倍の変化値は、「+」で指し示される。
図2G図2Gは、抗CD19 CAR T細胞および化合物Cで治療されたRL腫瘍細胞の細胞数を示す。
図2H図2Hは、抗CD19 CAR T細胞および化合物2で処理されたRL腫瘍細胞の細胞数を示す。
図3A図3Aは、慢性刺激後の抗CD19 CAR T細胞のサイトカイン産生を示す。
図3B図3Bは、慢性刺激後の抗CD19 CAR T細胞の細胞溶解機能を示す。
図3C図3Cは、化合物Cの存在下で刺激された抗CD19 CAR T細胞との共培養の9日目のCD19発現腫瘍スフェロイドの代表的な画像を示す(同時的治療)。
図3D図3Dは、慢性刺激後に化合物Cの存在下で刺激された抗CD19 CAR T細胞と共培養されたCD19発現腫瘍スフェロイドの体積を示す(同時的治療)。
図3E図3Eは、慢性刺激後に化合物Cの存在下で刺激された抗CD19 CAR T細胞と共培養されたCD19発現腫瘍スフェロイドの体積を示す(同時的治療)。
図3F図3Fは、共培養された細胞の上清におけるIFNγ濃度を示す。
図3G図3Gは、化合物Cまたは化合物2の存在下における6日間の慢性刺激後の抗CD19 CAR T細胞におけるIkaros発現を示す。
図3H図3Hは、化合物Cで同時的に治療された慢性的に刺激された抗CD19 CAR T細胞における差次的に発現された遺伝子を示すボルケーノプロットを描写する。
図3I図3Iは、慢性的に刺激されてきた抗CD19 CAR T細胞における、化合物C同時的治療によって誘導される遺伝子発現プロファイル(log倍の変化)における効果の比較を示す。
図3J図3Jは、化合物Cによる同時的治療後の慢性的に刺激された抗CD19 CAR T細胞における差次的に発現された遺伝子のKEGG経路富化解析を示す。
図4A図4Aは、化合物Cの存在下における抗CD19 CAR T細胞との共培養の9日目のCD19発現腫瘍スフェロイドの代表的な画像を示す(レスキュー治療)。
図4B図4Bは、化合物Cの存在下で抗CD19 CAR T細胞と共培養されたCD19発現腫瘍スフェロイドの体積を示す(レスキュー治療)。
図4C図4Cは、化合物Cの存在下で抗CD19 CAR T細胞と共培養されたCD19発現腫瘍スフェロイドの体積を示す(レスキュー治療)。
図4D図4Dは、共培養された細胞の上清におけるIFNγ濃度を示す。
図4E図4Eは、化合物Cによるレスキュー治療後の、慢性的に刺激された抗CD19 CAR T細胞における差次的に発現された遺伝子を示すボルケーノプロットを示す。
図4F図4Fは、慢性的に刺激されてきた抗CD19 CAR T細胞における、化合物Cレスキュー治療によって誘導された遺伝子発現プロファイル(log倍の変化)における効果の比較を示す。
図4G図4Gは、化合物Cによるレスキュー治療後の、慢性的に刺激された抗CD19 CAR T細胞における差次的に発現された遺伝子のKEGG経路富化解析を示す。
図5A図5Aは、化合物Cの存在下における慢性的に刺激されたCAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す(同時的治療)。
図5B図5Bは、化合物Cの存在下におけるCAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す(レスキュー治療)。
図6A図6Aは、7日毎に1回(Q7D)投薬レジメンに基づく化合物Cの予想される血漿濃度レベルを示す。
図6B図6Bおよび図6Cは、化合物Cへの24時間(図6B)または6日間曝露(図6C)後の、抗CD19 CAR T細胞におけるIkarosレベルを示す。
図6C図6Bおよび図6Cは、化合物Cへの24時間(図6B)または6日間曝露(図6C)後の、抗CD19 CAR T細胞におけるIkarosレベルを示す。
図6D図6Dは、4つの異なる薬力学モデルを使用して生成された、化合物CのQ7D投薬レジメンに基づく予測される好中球絶対数(ANC)プロファイルを示す。
図7A図7Aは、高濃度の化合物Cで1日間、次いで低濃度の化合物Cで5日間、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞に関するものを含む、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す。
図7B図7Bは、高濃度の化合物Cで1日間、次いで低濃度の化合物Cで6日間、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞に関するものを含む、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞のそれぞれ細胞溶解活性およびCD27/CCR7発現を示す。
図7C図7Cは、高濃度の化合物Cで1日間、次いで低濃度の化合物Cで6日間、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞に関するものを含む、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞のそれぞれ細胞溶解活性およびCD27/CCR7発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
がんまたは増殖性疾患に罹っている対象の治療のための、操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)を含有する細胞療法等の細胞療法、および下記構造:
【化12】
(式I)
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはラセミ混合物(化合物C)、ならびにそれらの組成物の方法および使用が本明細書に提供される。一部の態様では、細胞療法は、T細胞療法である。一部の態様では、細胞療法は、B細胞悪性病変、例えば、リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)またはそのサブタイプに関連する抗原等、がんまたは増殖性疾患に関連する抗原を特異的に認識および/または標的化するT細胞を含む養子T細胞療法である。一部の態様では、細胞療法は、抗原に結合する、例えば、特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)により操作されたT細胞を含む。一部の事例では、細胞療法によって標的化された抗原は、CD19である。一部の態様では、がん、例えば、リンパ腫は、CD19を発現する。細胞療法を含む組成物および/または化合物Cを含む組成物を含有する組合せおよび製造品、例えば、キット、ならびにリンパ腫等のがんを含む疾患、状態および障害を治療または予防するためのそのような組成物および組合せの使用も本明細書に提供される。
【0097】
(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオン(化合物C)は、経口セレブロンモジュレート剤(CELMoD)である。セレブロンは、CRL4ユビキチンE3リガーゼの基質受容体として機能し、セレブロンモジュレート化合物の結合は、Ikarosファミリージンクフィンガータンパク質1および3(IKZF1およびIKZF3、これらはそれぞれIkarosおよびAiolosとしても知られている)等の重要な標的基質のリクルートメント、ユビキチン化および破壊を誘導して、細胞効果を媒介する。本明細書で示されるように、化合物Cの投与は、そのクラスにおける他のCELMoD(例えば、レナリドミド、アバドミド(avadomide)およびイベルドミド(iberdomide))を用いた場合よりもさらに、IkarosおよびAiolosの顕著な分解をもたらす。しかし、IkarosおよびAiolos分解の潜在的な副作用は、好中球成熟停止に続発する好中球減少症の発症である。好中球減少症は、造血発生を制御する重大な意味を持つ転写因子であるIkarosの枯渇の結果として発症する場合があり、好中球前駆体の後期成熟停止が原因である。
【0098】
細胞療法、例えば、T細胞に基づく療法、例えば、養子T細胞療法(キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体等、目的の疾患または障害に特異的なキメラ受容体を発現する細胞の投与を伴う療法、ならびに他の養子免疫細胞および養子T細胞療法を含む)は、B細胞悪性病変等の疾患および障害の治療において有効となり得る。T細胞の表面におけるキメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体の操作された発現は、T細胞特異性の方向性を変えること(redirection)を可能にする。臨床研究において、CAR-T細胞、例えば、抗CD19 CAR-T細胞は、白血病およびリンパ腫患者の両方において耐久性のある完全奏効を生じた(Porter et al. (2015) Sci Transl Med., 7:303ra139;Kochenderfer (2015) J. Clin. Oncol., 33: 540-9;Lee et al. (2015) Lancet, 385:517-28;Maude et al. (2014) N Engl J Med, 371:1507-17)。
【0099】
ある特定の状況では、養子細胞療法に利用できるアプローチは、必ずしも完全に満足のいくものとは限らない場合がある。例えば、CAR T細胞持続は、リンパ腫に罹っている多くの対象において検出され得るが、より少ない完全奏効(CR)が、ALLに罹っている対象と比較して、NHLに罹っている対象において観察された。より具体的には、最大80%のより高い全奏効率(CR率47%~60%)がCAR T細胞注入後に報告されたが、一部における応答は一過性であり、対象は、持続性CAR T細胞の存在下で再発することが示された(Neelapu, 58th Annual Meeting of the American Society of Hematology (ASH): 2016; San Diego, CA, USA. Abstract No. LBA-6.2016; Abramson, Blood. 2016 Dec 01;128(22):4192)。別の研究は、40%の長期CR率を報告した(Schuster, Ann Hematol. 2016 Oct;95(11):1805-10)。
【0100】
一部の態様では、これに関する説明は、循環CAR発現T細胞の免疫学的疲弊、および/またはTリンパ球集団の変化である。その理由として、一部の状況では、最適な有効性が、活性化されるようになる、増大化する、細胞傷害性死滅およびサイトカイン等の様々な因子の分泌を含む様々なエフェクター機能を発揮する、長期を含む持続する、ある特定の表現型状態(長期記憶、低分化およびエフェクター状態等)に分化する、それに移行するまたはそれへのリプログラミングに関連する、疾患の局所的微小環境における免疫抑制状態を回避または低減する、クリアランスおよび標的リガンドまたは抗原への再曝露後に有効かつ頑強なリコール応答を提供する、ならびに疲弊、アネルギー、末梢性寛容、終末分化および/または抑制状態への分化を回避または低減する性能を有する投与された細胞の能力に依存し得ることが挙げられる。
【0101】
一部の態様では、操作された細胞の曝露、持続性および機能は、対象への投与後に低減されるまたは減退する。一部の態様では、長期刺激または抗原への曝露および/または腫瘍微小環境における条件下での曝露後に、T細胞は、経時的に、機能低下になることができるおよび/または疲弊した状態に関連する特色を示すことができる。一部の態様では、これは、抗原に対するT細胞の持続性および有効性を低減させ、有効となるその能力を限定する。これにもかかわらず、観察において、一部の事例では、組換え受容体を発現する投与された細胞が、インビボで再増大化しておよび/または再活性化されて(例えば、経時的に増加した数の細胞または持続時間を示す)、養子細胞療法における有効性および治療転帰を改善することができることが指し示されている。CAR T細胞の有効性および機能を改善する、特に、機能低下または疲弊した状態を最小化、低減、予防または反転する方法の必要がある。
【0102】
提供される方法は、化合物Cによる治療が、T細胞の1つまたはそれ以上のサイトカインを産生する能力、細胞傷害性、増大化、増殖および持続性に関する機能を含むT細胞機能を改善することができるという観察に基づく。一部の態様では、提供される方法は、細胞療法の投与に関連するT細胞(例えば、CAR発現T細胞)の増殖および/または活性を増強またはモジュレートする。そのような方法および使用が、改善されたまたはより優れたT細胞機能性およびこれにより改善された抗腫瘍有効性を提供し、または達成することが見出される。
【0103】
本明細書において、T細胞機能の強化に加えて、化合物Cによる治療は、T細胞シグナル伝達を増加させ、および/または慢性刺激後に差次的に調節される1つまたはそれ以上の遺伝子を変更することによるものを含む、T細胞疲弊を反転、遅延または予防することができることも見出される。一部の事例では、T細胞活性を増加または強化する薬剤は、細胞を疲弊した状態に駆動することができるが、本明細書において、T細胞活性において強化の効果を発揮する化合物Cの活性が、T細胞疲弊から切り離されることが見出される。さらに、本明細書における観察は、化合物Cが、細胞が疲弊の特色を示した後に1つまたはそれ以上のT細胞活性を回復または部分的に回復すること等により、T細胞疲弊からT細胞をレスキューする活性を示すことを示す。注目すべきことに、本明細書における結果は、慢性的に刺激されており、疲弊したT細胞の特徴を示すT細胞が、化合物Cへの曝露後に、活性を回復することができる、またはその活性を回復もしくは部分的に回復させることを示す。本明細書における観察は、提供される方法が、治療される対象の特定の群における等、ある特定の代替方法と比較して、改善されたまたはより耐久性のある応答を達成することもできることを支持する。
【0104】
本明細書において、低用量化合物C治療(例えば、1nM)が、慢性的に刺激されたCAR T細胞におけるIkarosおよびAiolos発現の両方を顕著に分解することができることも示される。しかし、本明細書において、より高用量の化合物C(例えば、10および100nM)が、IkarosおよびAiolosの持続した標的分解を生じ、低減した細胞溶解機能をもたらすことができることも示される。そのような結果は、IkarosおよびAiolosの過剰な持続した標的分解が、逆効果となる効果を有し、CAR T細胞機能障害をもたらし得ることを示唆する。これらの結果に基づき、また、化合物Cは、IkarosおよびAiolosを、IkarosおよびAiolosを標的化する他のCELMoD化合物よりも顕著に分解することができるため、本明細書において、単一の毎週用量が、IkarosおよびAiolosの深いが一過性の分解をもたらすのに十分であり、よって、用量の間でIkarosおよび/またはAiolos発現の復旧を潜在的に可能にすることが仮定された。本明細書で示される通り、0.3mgの毎週用量(Q7D)における化合物Cの薬物動態モデル化は、およそ1nMの7日目のCminで、化合物Cの急速Cmax(およそ20nM)および二相性排出を実証した。モデル化は、0.3mgの毎週用量が、好中球数に実質的に影響しないであろうことも示した。また、本明細書で示される通り、前臨床モデルにおいて、CD19+標的細胞に対する抗CD19 CAR T細胞溶解活性は、一過性(1日間)高濃度の化合物C(20~100nM)への曝露と、それに続く洗い流しおよび慢性低濃度の化合物C(1nMで5日間)の後に最も顕著であり、この高濃度から低濃度の曝露は、0.3mgを7日毎に1回(Q7D)における化合物Cの薬物動態プロファイルをモデル化するために選択された。逆に、より高い慢性濃度の化合物Cは、細胞溶解機能に有害な効果を有した。
【0105】
よって、本明細書に示される結果に基づき、化合物Cの間欠的な(例えば、7日毎に1回)投薬と組み合わせた細胞療法、例えば、CAR T細胞療法は、好中球成熟停止に続発する好中球減少症の患者発症のリスクも低減しながら、CAR T細胞の早期の疲弊を予防し、T細胞機能性を増強および延長し、リンパ腫等のがんにおけるより顕著なかつ持続的な応答を生じるための有用な治療アプローチを提供することができる。
【0106】
一部の実施形態では、提供される方法に従って投与される操作されたT細胞療法のT細胞機能(T細胞の増大化、増殖および持続性に関する機能を含む)は、化合物Cによって改善される。一部の実施形態では、方法は、化合物Cと組み合わせた、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の養子細胞療法のための細胞を含む組成物等のT細胞療法の投与に基づいて有益である。一部の態様では、提供される方法および使用は、ある特定の代替方法と比較して、改善され、またはより持続的な応答または有効性を提供し、または達成する。一部の態様では、提供される方法は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)の投与に関連するT細胞の増殖および/または活性を増強し、またはモジュレートする。特定の実施形態では、化合物Cとの併用療法は、CAR T細胞の持続性抗腫瘍機能を改善することにより、腫瘍微小環境をモジュレートすることによりB細胞悪性病変にわたってCAR T細胞の活性を増強および延長するための有用な治療アプローチを提供することができる。
【0107】
一部の実施形態では、化合物Cおよびリンパ球枯渇療法の骨髄抑制性効果が最小化されるように、化合物Cは、リンパ球枯渇療法を受けてから十分な時間の後に対象に投与される。
【0108】
一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法(例えば、CAR T細胞)が、疲弊の特色を示すことができるか、またはそれを示す可能性がある時点で使用される。一部の実施形態では、疲弊表現型は、ピーク増大化に達したT細胞が、対象の血液中の数を減退し始めた後に明らかである。一部の実施形態では、化合物CにT細胞療法のT細胞(CAR T細胞)を曝露または接触させる方法は、抗原へのT細胞の曝露の直前の時点(ベースライン)と比較して、または細胞が抗原に曝露されたが増殖し続けておりピーク増大化に未だ達していない時点と比較して、T細胞が、機能低下または疲弊した状態の増加を示す時点で行われる。一部の実施形態では、機能低下または疲弊した状態の増加は、以前のより初期の時点と比較した、疲弊マーカーの発現増加によって決定することができる。一部の実施形態では、疲弊マーカーの発現の増加等、機能低下または疲弊した状態の増加は、T細胞療法によって標的化される抗原に関連する疾患または状態に罹っている対象へのT細胞療法(例えば、CAR T細胞)の投与後の時点で起こる。対象への投与後の末梢血中のT細胞等のT細胞は、PD-1、TIM-3およびLAG-3等のT細胞活性化または疲弊のマーカーについてモニターすることができる。
【0109】
一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法、例えば、CAR T細胞の投与、およびCAR T細胞が、疲弊表現型を示すか、またはそれを示す可能性があるよりも前の時点における化合物Cの投与の開始が必要である。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、CAR T細胞が依然として増大化しているか、または依然として増大化することができる時点で開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、対象の血液中のピークCAR T細胞数の存在の前またはその前の疑われる時点で開始される。一部の態様では、この時点における化合物C投与の開始は、CAR T細胞機能を強化する。一部の態様では、この時点における化合物C投与の開始はまた、CAR T細胞疲弊を遅延させ、または予防する。
【0110】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、ピークCAR-T細胞が対象の血液中に存在する前またはほぼその時点、例えば、T細胞の投与の開始後21日以内であるかまたはそうであることが疑われるか、またはそうである可能性がある時点で開始される。一部の事例では、ピークCAR-T細胞は、CAR T細胞の投与後11~15日以内に存在する。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の開始から1~15日、例えば、1日もしくは8日もしくは15日またはそれらの概数後の時点で開始される。一部の実施形態では、化合物Cは、対象が、細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない時点で投与される。
【0111】
一部の実施形態では、提供される方法は、毒性もしくは毒性転帰の高い割合もしくは可能性をもたらさないか、またはある特定の他の細胞療法もしくは免疫調節薬レジメン等と比較して、毒性もしくは毒性転帰、例えば、神経毒性(NT)、サイトカイン放出症候群(CRS)もしくは血液学的な毒性、例えば、好中球減少症の割合もしくは可能性を低減させる。
【0112】
一部の実施形態では、方法は、ある特定の血液学的な毒性、例えば、好中球減少症または血小板減少症をもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。一部の実施形態では、対象の50%以下は、グレード3よりも高い好中球減少症、例えば、長期のグレード3の好中球減少症もしくはグレード4の好中球減少症、および/またはグレード3よりも高い血小板減少症、例えば、グレード3もしくはグレード4の血小板減少症を示す。一部の実施形態では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)は、グレード3またはグレード3よりも高い重度の好中球減少症または重度の血小板減少症を示さない。
【0113】
一部の実施形態では、方法は、重度のNT(sNT)、重度のCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日間以上にわたる少なくともまたはセ氏約38度の発熱、および少なくともまたは約20mg/dLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。一部の実施形態では、提供される方法に従って治療された対象の30%、35%、40%、50%、55%、60%以上を超えるか、またはその概数を超えるものは、いかなるグレードのCRSもいかなるグレードの神経毒性も示さない。一部の実施形態では、治療された対象の50%以下(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)は、グレード2よりも高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2よりも高い神経毒性を示す。一部の実施形態では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)は、重度の毒性の転帰(例えば、重度のCRSまたは重度の神経毒性)を示さず、例えば、グレード3以上の神経毒性を示さず、および/または重度のCRSを示さず、または細胞の投与の1週間、2週間もしくは1ヶ月間以内等、治療後のある特定の期間内にそれを行わない。
【0114】
一部の態様では、用量、用量のタイミングまたは用量の数は、グレード4の好中球減少症またはグレード4の血小板減少症等の重度の毒性を引き起こすと予想されない。一部の態様では、提供される方法は、例えば、化合物Cの間欠的投薬全体を通して、対象へのT細胞療法および/または化合物Cの投与後の毒性を最小化または回避する。一部の態様では、本明細書に提供される方法は、単独療法アプローチにおける化合物Cのために使用され得る用量よりも実質的に低く、低減された頻度で与えられる用量を投与する工程を伴う。一部の態様では、本明細書に提供される方法は、単独療法アプローチにおける化合物Cのために使用され得るものよりも少ない用量を投与する工程を伴う。一部の態様では、本明細書に提供される方法は、単独療法アプローチにおける化合物Cのために使用され得るものよりも長く、化合物Cの用量間の期間で、化合物Cの間欠的用量を投与する工程を伴う。
【0115】
一部の事例では、化合物Cは、それが細胞を効率的に/有効に増強し、または準備することができる時点で投与される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の細胞のピークまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能となる時点でまたはその前に開始される。一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法、例えば、CAR-T細胞療法を強化することができ、これは、一部の態様では、治療のための転帰を改善することができる。一部の実施形態では、方法は、T細胞療法の細胞が対象において弱い増大化を示す、疲弊状態になった、低減もしくは減少した持続性を示す対象において、ならびに/あるいは他の療法に対して抵抗性もしくは不応性であるおよび/または侵襲性もしくは高リスクがんであるがんに罹っている対象において、特に有利である。
【0116】
一部の実施形態では、T細胞療法、例えば、CAR-T細胞の投与を受けた対象は、対象の生体試料中、例えば、対象の血液中等、対象における療法のT細胞の存在、非存在またはレベルについてモニターされる。一部の実施形態では、提供される方法は、それが投与された対象において、増加した持続性および/またはより優れた効力を有する遺伝子操作された細胞をもたらす。一部の実施形態では、対象におけるCAR発現T細胞等の遺伝子操作された細胞の持続性は、T細胞療法の投与を伴うが化合物Cの投与の非存在下である方法等の代替方法によって達成されるであろう持続性と比較してより優れている。一部の実施形態では、持続性は、少なくともまたは約少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍以上増加される。
【0117】
一部の実施形態では、投与された細胞の持続性の程度または程度は、対象への投与後に検出または定量化することができる。例えば、一部の態様では、定量的PCR(qPCR)を使用して、対象の血液または血清または臓器または組織(例えば、疾患部位)における組換え受容体を発現する細胞(例えば、CAR発現細胞)の含量を評価する。一部の態様では、持続性は、1マイクログラムのDNA当たりの受容体、例えば、CARをコードするDNAまたはプラスミドのコピーとして、あるいは1マイクロリットルの試料、例えば、血液もしくは血清当たりの、または1マイクロリットルの試料当たりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球細胞もしくはT細胞の総数当たりの受容体発現、例えば、CAR発現細胞の数として定量化される。一部の実施形態では、受容体に特異的な抗体を一般に使用した、受容体を発現する細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイを行うこともできる。細胞に基づくアッセイを使用して、疾患もしくは状態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現する細胞に結合するおよび/またはそれを中和するおよび/またはそれに対する応答、例えば、細胞傷害性応答を誘導することができる細胞等の機能的な細胞の数またはパーセンテージを検出することもできる。そのような実施形態のいずれかでは、組換え受容体(例えば、CAR発現細胞)に関連する別のマーカーの発現の程度またはレベルを使用して、対象における内因性細胞から、投与された細胞を区別することができる。
【0118】
一部の実施形態では、化合物Cは、ある期間にわたって投与されて、応答の持続性を増強、増加または最適化する。一部の態様では、提供される方法は、3ヶ月目に完全寛解(CR)を達成するまたはそれにある対象が、治療を終えた後または併用療法の投与後に完全奏効(CR)を最初に達成した後の3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間または12ヶ月間を超えてまたはその概数を超えて、生存するまたは進行せずに生存する等、より長い期間応答を持続する可能性がより高いという観察に基づく。一部の態様では、方法が行われて、T細胞療法の投与の開始後の少なくとも3ヶ月間または約3ヶ月間である期間にわたり、記載されている特定の間欠的投薬レジメン等において化合物Cを投与する。
【0119】
一部の態様では、提供される方法および使用は、治療された対象の特定の群等における、ある特定の代替方法、例えば、単独療法としてのT細胞療法もしくは化合物Cの投与を含む方法、または本明細書に記載されている通り一緒にした併用療法としての投与を含まない方法と比較して、改善されたまたはより持続的な応答または有効性を提供するまたは達成する。一部の実施形態では、方法は、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の養子細胞療法のための細胞および化合物Cを含む組成物等、T細胞療法の投与に基づいて有利である。一部の実施形態では、そのような応答は、高リスク疾患、例えば、高リスクNHLに罹っている患者等、予後不良を有する高リスク患者において観察される。一部の態様では、方法は、標準療法に対して再発したもしくは不応性である(R/R)または予後不良を有するNHL等、侵襲性および/または予後不良B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の形態を有する対象を治療する。一部の実施形態では、提供される方法に従って治療された対象は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または濾胞性リンパ腫に罹っている。
【0120】
一部の実施形態では、提供される方法に従っておよび/または提供される製造品、キットもしくは組成物を用いて治療された対象の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%または少なくとも75%以上は、完全奏効(CR)を達成する。一部の実施形態では、対象は、CRにあり、最小残存疾患(MRD)を示す。一部の実施形態では、対象は、CRにあり、MRD-である。一部の実施形態では、提供される方法に従っておよび/または提供される製造品、キットもしくは組成物を用いて治療された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%は、部分奏効(PR)の客観的奏効を達成する。一部の実施形態では、提供される方法に従っておよび/または提供される製造品、キットもしくは組成物を用いて治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上は、細胞療法の投与の開始後6ヶ月目、7ヶ月目、8ヶ月目、9ヶ月目、10ヶ月目、11ヶ月目または1年目に、CRまたはPRを達成する。
【0121】
一部の実施形態では、細胞療法の投与の開始後3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月目以上までに、提供される方法に従っておよび/または提供される製造品、キットもしくは組成物を用いて治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上は、CRまたは客観的奏効(OR)を保つ等、奏効を保つ。一部の実施形態では、CRまたはOR等のそのような応答は、提供される方法に従って治療された対象の少なくとももしくは約少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上において、または3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月もしくは6ヶ月目までにCRを達成するそのような対象において等、少なくとも3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間以上にわたり持続性がある。一部の実施形態では、提供される方法に従っておよび/または提供される製造品、キットもしくは組成物を用いて治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月もしくは6ヶ月目までにCRを達成するそのような対象は、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間以上を超えてまたはその概数を超えて、生存するまたは進行せずに生存する。
【0122】
本出願で参照されている特許文書、科学論文およびデータベースを含むあらゆる刊行物は、あたかも個々の刊行物のそれぞれが個々に参照により本明細書に組み込まれるのと同一程度まで、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に示される定義に反するかさもなければ不一致である場合、本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0123】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、単に体系化を目的とするものであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0124】
I.併用療法
がんに罹っている対象の治療のための、操作された細胞、例えば、T細胞(例えば、CAR-T細胞)および(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオン、または式I
【化13】
(式I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体もしくはラセミ混合物(化合物C)(これらの組成物を含む)の方法および使用が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、リンパ腫に罹っている対象を治療するためのものである。一部の実施形態では、リンパ腫は、B細胞悪性病変である。一部の態様では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。一部の実施形態では、がん、例えば、リンパ腫は、CD19を発現する。一部の態様では、方法および使用は、ある特定の代替方法と比較して、例えば、治療された対象の特定の群において、改善された応答および/またはより持続的な応答もしくは有効性を提供するまたは達成する。
【0125】
化合物Cを調製する方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2019/0322647に記載されている。
【0126】
一部の実施形態では、方法および使用は、1)リンパ腫(例えば、NHL等のB細胞悪性病変)および/またはリンパ腫が由来する細胞型によって発現される、それに関連するおよび/またはそれに特異的な抗原を認識する、遺伝子操作された細胞表面受容体(例えば、組換え抗原受容体)、例えば、キメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む細胞療法を対象に投与する工程と、2)化合物Cを対象に投与する工程とを含む。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の後に(それに後続して)、または細胞療法の投与の開始の後に(それに後続して)開始される。一部の事例では、化合物Cは、細胞療法の投与を受けた対象に投与される。方法は、操作された細胞の1またはそれ以上の用量および化合物Cの2以上の用量を対象に投与する工程を伴うことができる。
【0127】
例えば、キメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する操作された細胞および化合物C、または本明細書に記載されている操作された細胞および/もしくは化合物Cを含む組成物を含む、併用療法は、種々の治療、診断および予防的適応症において有用である。例えば、組合せは、対象における種々の疾患および障害の治療において有用である。そのような方法および使用は、例えば、腫瘍またはがん等の疾患、状態または障害に罹っている対象への操作された細胞、化合物C、および/または一方もしくは両方を含有する組成物の投与を伴う、治療方法および使用を含む。一部の実施形態では、操作された細胞、化合物C、および/または一方もしくは両方を含有する組成物は、疾患または障害の治療をもたらすための有効量で投与される。使用は、そのような方法および治療における、ならびにそのような治療方法を行うための医薬の調製における、操作された細胞、化合物C、および/または一方もしくは両方を含有する組成物の使用を含む。一部の実施形態では、方法は、疾患または状態に罹っているまたは有することが疑われる対象に、操作された細胞、化合物C、および/または一方もしくは両方を含有する組成物を投与することにより行われる。一部の実施形態では、方法はこれにより、対象における疾患または状態または障害を治療する。一部の実施形態では、操作された細胞は、セクションIIに記載されているもののうちいずれかである。
【0128】
一部の実施形態では、併用療法は、リンパ腫に罹っている対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、特定のB細胞悪性病変に罹っている対象に投与される。治療されるB細胞悪性病変は、抗原の発現が、B細胞悪性病変の病因学に関連するおよび/またはそれに関与する、例えば、B細胞悪性病変を引き起こす、それを増悪するまたは他の仕方でそれに関与する、いずれかとなることができる。例示的なB細胞悪性病変は、細胞の悪性病変または形質転換に関連する疾患または状態(例えば、がん)を含むことができる。治療され得る様々なB細胞悪性病変に関連する抗原を含む例示的な抗原は、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、キメラ抗原受容体は、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、受容体によって標的化される抗原は、多数の知られているB細胞マーカーのいずれか等、B細胞悪性病変に関連する抗原を含む。一部の実施形態では、抗原は、ヒトB細胞を含むB細胞によって発現されるかまたはその表面に存在する。一部の実施形態では、受容体によって標的化される抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパー、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30である。一部の実施形態では、抗原は、CD19であり、キメラ抗原受容体は、CD19に特異的に結合する。一部の実施形態では、CD19抗原は、ヒトCD19である。一部の実施形態では、リンパ腫は、CD19を発現するB細胞を含む。CAR発現T細胞がCD19に特異的である本明細書に提供される方法のいずれかの記載が、上に記載されているいずれか等、別のB細胞抗原またはT細胞悪性病変に関連するもしくはその細胞表面に発現される抗原の標的化により行うこともできることが理解される。
【0129】
一部の実施形態では、治療されるべきB細胞悪性病変は、白血病およびリンパ腫、例えば、急性骨髄球性(または骨髄性)白血病(AML)、慢性骨髄球性(または骨髄性)白血病(CML)、急性リンパ球性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、不応性濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む。一部の実施形態では、疾患または状態は、急性リンパ性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の中から選択されるB細胞悪性病変である。一部の実施形態では、疾患または状態は、NHLであり、NHLは、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(de novoかつ低悪性度から形質転換)、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球(histocyte)リッチ大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)および/または濾胞性リンパ腫(FL)、適宜、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群から選択される。
【0130】
一部の実施形態では、方法は、抗原受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)および化合物Cを投与することにより、非ホジキンリンパ腫(NHL)等のリンパ腫に罹っている対象を治療する工程を伴う。一部の実施形態では、化合物Cは、組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)の投与の開始の後にまたはその後続で等、組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)の投与の後にまたはその後続で投与される。
【0131】
一部の実施形態では、NHLは、Lugano分類に基づきステージ分類することができる(例えば、Cheson et al., (2014) JCO 32(27):3059-3067;Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5を参照)。一部の事例では、ステージは、ローマ数字I~IV(1~4)によって記載され、リンパ系以外の臓器(節外性臓器)に罹患する限定されたステージ(IまたはII)のリンパ腫は、Eによって指し示される。ステージIは、1個の結節もしくは隣接する結節の群への関与、または結節性関与を伴わない単一の節外性病変を表す(IE)。ステージ2は、横隔膜の同側における2個以上の結節性の群への関与、または限定された近接節外性関与を伴う結節性度合によるステージIもしくはIIを表す(IIE)。ステージIIIは、横隔膜の両方の側における結節への関与、または脾臓関与を伴う横隔膜の上の結節を表す。ステージIVは、追加の非近接リンパ節外関与への関与を表す。加えて、「巨大腫瘤病変(bulky disease)」を使用して、特に、ステージIIのために、胸部における大型の腫瘍を表すことができる。疾患の程度は、集積のあるリンパ腫については陽電子放射断層撮影(PET)・コンピュータ断層撮影(CT)によって、また、集積のない組織像についてはCTによって決定される。
【0132】
一部の実施形態では、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス指標を使用して、治療のための対象、例えば、以前の療法から不十分なパフォーマンスを有していた対象を評価または選択することができる(例えば、Oken et al. (1982) Am J Clin Oncol. 5:649-655を参照)。一部の実施形態では、対象は、1以下のECOG状態を有する。パフォーマンスステータスのECOG尺度は、自分自身をケアするその能力、日常の活動および身体能力(例えば、歩行、作業、等)の観点から患者の機能レベルを表す。一部の実施形態では、0のECOGパフォーマンスステータスは、対象が、通常の活動を行うことができることを指し示す。一部の態様では、1のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、身体活動にある程度の制限を示すが、対象は、完全に歩行可能である。一部の態様では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する患者は、50%を超えて歩行可能である。一部の事例では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、セルフケアが可能となることもできる;例えば、Sorensen et al., (1993) Br J Cancer 67(4) 773-775を参照されたい。ECOGパフォーマンスステータスを反映した基準は、下の表1に記載されている:
【表1】
【0133】
一部の実施形態では、対象は、二重/三重ヒットリンパ腫または二重/三重ヒット分子サブタイプのリンパ腫に罹っているかまたはそれに罹っていると同定された。一部の実施形態では、リンパ腫は、MYC(骨髄細胞腫症癌遺伝子)、BCL2(B細胞リンパ腫2)および/またはBCL6(B細胞リンパ腫6)遺伝子再編成(例えば、転座)の存在によって特徴付けされる二重ヒットリンパ腫である。一部の実施形態では、リンパ腫は、MYC、BCL2およびBCL6遺伝子再編成の存在によって特徴付けされる三重ヒットリンパ腫である;例えば、Aukema et al., (2011) Blood 117:2319-2331を参照されたい。そのような実施形態の一部の態様では、対象は、ECOG 0~1である。態様では、そのような対象のために療法が指し示される、および/または使用説明書は、そのような集団内の対象への投与を指し示す。一部の実施形態では、2016 WHO基準(Swerdlow et al., (2016) Blood 127(20):2375-2390)に基づき、二重/三重ヒットリンパ腫は、DLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/またはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(二重/三重ヒット)と考慮することができる。
【0134】
一部の実施形態では、併用療法は、細胞療法(例えば、CAR+T細胞)による治療に対して不十分な応答者であるかもしくはそうである可能性があるかもしくはそうであることが予測される、ならびに/または応答しない、そうしない可能性があるおよび/もしくはそうしないことが予測される、もしくはある特定の時間内におよび/もしくはある特定の程度まで応答しない対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、細胞療法の投与の開始後1ヶ月以内、2ヶ月以内または3ヶ月以内等に、完全奏効または全奏効を示さないかまたはそうする可能性が低いかまたはそうすることが予測されない対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、細胞療法の投与後の1ヶ月、2ヶ月または3ヶ月間以内等に、進行性疾患(PD)を示すかまたはそれを示す可能性があるかまたはそれを示すことが予測される対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、細胞療法でそのように治療されたまたは以前に治療された複数の同様の状態にある対象に基づき、応答またはある特定の応答を示さない可能性があるかまたはそう予測される。
【0135】
一部の実施形態では、提供される方法は、特定の群またはサブセットの対象、例えば、高リスク疾患、例えば、高リスクNHLを有すると同定された対象を治療する工程を伴う。一部の態様では、方法は、標準療法に対して再発したもしくは不応性である(R/R)または予後不良であるNHL等、侵襲性および/または予後不良B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の形態を有する対象を治療する。一部の事例では、療法が指し示される疾患および/または患者集団に関する、利用できる療法、標準治療または参照療法に対する全奏効率(ORR)は、40%未満である、および/または完全奏効(CR)は、20%未満である。一部の実施形態では、化学療法抵抗性DLBCLにおいて、参照もしくは利用できる治療または標準治療の療法によるORRは、約26%であり、CRは、約8%である(Crump et al. Outomes in refractory aggressive diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL): Results from the international SCHOLAR study. ASCO 2016 [Abstract 7516])。一部の態様では、提供される方法、組成物、使用および製造品は、利用できる療法に対する改善されたかつ優れた応答を達成する。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている対象の治療のための方法および使用は、例えば、疾患の特定の型、診断基準、前の治療および/または前の治療に対する応答に基づき、特定の群またはサブセットの対象を選択または同定する工程を伴う。一部の実施形態では、方法は、1つまたはそれ以上の以前の療法による治療後の寛解後に再発したもしくはそれに対して不応性になった対象;または本明細書に記載されている療法を含む、1つもしくはそれ以上の以前の療法、例えば、一次もしくはより高次選択の標準療法に対して再発したもしくは不応性である(R/R)対象を治療する工程を伴う。
【0137】
一部の実施形態では、対象は、1、2、3、4、5または6つを超える以前の療法に付されている。一部の実施形態では、対象は、1つの以前の療法に付されている。一部の実施形態では、対象は、約2~4つの以前の療法に付されている。一部の実施形態では、対象は、約5~6つの以前の療法に付されている。一部の実施形態では、対象は、6つを超える以前の療法に付されている。
【0138】
一部の実施形態では、対象は、組換え受容体を発現する細胞の投与の前に、リンパ腫、例えば、NHLを標的化する療法または治療剤で以前に治療されている。一部の実施形態では、対象は、細胞療法(例えば、CAR+T細胞)で以前に治療されている。一部の実施形態では、対象は、造血幹細胞移植(HSCT)、例えば、同種異系HSCTまたは自源性HSCTで以前に治療されている。一部の実施形態では、対象は、標準療法による治療後に予後不良になった、および/または一次もしくはより高次選択の以前の療法に失敗した。一部の実施形態では、対象は、リンパ球枯渇療法以外の、NHLを治療するための少なくともまたは約少なくともまたは約1、2、3、4、5、6または7つの他の療法で治療されたかまたはそれを以前に受けたことがある。一部の実施形態では、対象は、化学療法または放射線療法で以前に治療されている。一部の態様では、対象は、他の療法または治療剤に対して不応性または非応答性である。一部の実施形態では、対象は、例えば、化学療法または放射線照射を含む別の療法または治療介入による治療の後に、持続性のまたは再発した疾患に罹っている。
【0139】
一部の実施形態では、併用療法は、前の治療で進行した対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、以前の療法に対する応答を中止した対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、前の治療後の寛解に続いて再発した対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、前の治療に対して不応性である対象に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、以前の療法に対して最適な応答(例えば、完全奏効、部分奏効または安定疾患)に満たない対象に投与される。
【0140】
一部の実施形態では、対象は、最後に行われた以前の療法に対して不応性である。一部の実施形態では、対象は、最後に行われた以前の療法に対して再発した。対象が、最後に行われた以前の療法に対して部分奏効未満を達成した場合、状態は不応性である。一部の実施形態では、対象は、前の化学療法を有する。一部の実施形態では、対象は、前の化学療法に対して化学療法抵抗性である。一部の実施形態では、対象は、以前の療法に対して化学感受性である。状態は、化学療法抵抗性であり、対象は、最後の化学療法含有レジメンに対して安定疾患(SD)もしくは進行性疾患(PD)を達成した、または自家幹細胞移植後12ヶ月間未満に再発した。さもなければ、状態は、化学感受性である。
【0141】
一部の実施形態では、前の治療または療法は、CD20標的化剤を含む。一部の実施形態では、前の治療または療法は、アントラサイクリンを含む。一部の実施形態では、前の治療または療法は、細胞療法(例えば、T細胞療法、例えば、CAR T細胞療法)を含む。
【0142】
一部の実施形態では、方法、使用および製造品は、例えば、記載されているいずれかの群の対象等、疾患の特定の型、診断基準、前の治療および/または前の治療に対する応答に基づき、特定の群またはサブセットの対象を選択または同定する工程を伴う対象の治療を伴うかまたはそのために使用される。一部の実施形態では、方法は、1つもしくはそれ以上の以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したかもしくはそれに対して不応性になった対象;または1つもしくはそれ以上の以前の療法、例えば、一次もしくはより高次選択の標準療法、例えば、細胞療法(例えば、CAR+T細胞)に対して再発したもしくは不応性である(R/R)対象を治療する工程を伴う。一部の実施形態では、方法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特定不能(NOS;de novoかつ低悪性度から形質転換)、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)または濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)、EBV陽性DLBCLまたはEBV陽性NOSに罹っている対象を治療する工程を伴う。一部の実施形態では、方法は、0~1等、1未満の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG)に罹っている対象を治療する工程を伴う。一部の実施形態では、方法は、1つまたはそれ以上の、例えば、2または3個の染色体転座を有する者(DLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/またはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫である、いわゆる「二重ヒット」または「三重ヒット」リンパ腫等;これは、t(14;18)(q32;q21)bcl-2遺伝子または/およびBCL6/3q27染色体転座と通常組み合わせた、転座MYC/8q24遺伝子座を有する;例えば、Xu et al. (2013) Int J Clin Exp Pathol. 6(4): 788-794を参照されたい)、および/または12ヶ月以内に再発した、適宜、再発した者、および/または化学療法抵抗性と疑われた者等、一般に、療法または特定の参照療法に対して不十分に応答する、DLBCL患者の予後不良集団またはその対象を治療する。
【0143】
一部の実施形態では、対象は、胚中心様(GCB)DLBCLであるDLBCLを有する。一部の実施形態では、対象は、非胚中心様(非GCB)DLBCLを有する。一部の実施形態では、対象は、二重ヒットリンパ腫(DHL)に罹っている。一部の実施形態では、対象は、三重ヒットリンパ腫(THL)に罹っている。一部の実施形態では、対象は、化合物Cによる治療の応答性を指し示す遺伝子の発現が陽性である。一部の実施形態では、対象は、遺伝子の発現が陰性である。Blood 2017 130:4118を参照されたい。
【0144】
一部の実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)は、NHLに関連する等、疾患または状態に関連する標的抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、疾患または障害に関連する抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパー、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30から選択される。一部の実施形態では、抗原は、CD19である。一部の実施形態では、CD19抗原は、ヒトCD19である。
【0145】
一部の実施形態では、方法は、B細胞悪性病変のリスクがあるかまたはそれに罹っていると疑われる対象への細胞療法および化合物Cの投与を含む。
【0146】
一部の実施形態では、方法は、NHLのある特定の予後またはリスクを有すると選択または同定された対象への細胞の投与を含む。非ホジキンリンパ腫(NHL)は、可変的な疾患となることができる。NHLに罹っている一部の対象は、治療なしで生存することができるが、他の対象は、即時介入を必要とし得る。一部の事例では、NHLに罹っている対象は、疾患予後および/または推奨される治療戦略を知らせることができる群に分類することができる。一部の事例では、そのような群は、「低リスク」、「中等リスク」、「高リスク」および/または「超高リスク」となることができ、患者は、遺伝的異常性および/または形態的もしくは身体的特徴を含むがこれらに限定されない多数の因子に応じて、そのようなものとして分類することができる。一部の実施形態では、方法に合わせておよび/または製造品もしくは組成物を用いて治療される対象は、NHLのリスクに基づき分類または同定される。一部の実施形態では、対象は、高リスクNHLに罹っている対象である。
【0147】
一部の実施形態では、治療されるべき対象は、侵襲性NHL、特に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特定不能(NOS;de novoかつ低悪性度から形質転換)、T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)、EBV陽性DLBCL、EBV陽性NOS、またはDLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/もしくはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(「二重ヒット」または「三重ヒット」リンパ腫)に罹っている対象の群を含む。一部の実施形態では、対象の疾患は、少なくとも2つの前の選択の療法に対して再発したかまたは不応性である。一部の実施形態では、以前の療法は、CD20標的化剤および/またはアントラサイクリンを含む。一部の実施形態では、対象は、スクリーニング時に0~1のECOGスコアを有する。一部の実施形態では、対象は、Lugano分類(Cheson, 2014)に従った陽電子放射断層撮影(PET)陽性疾患に罹っている。一部の実施形態では、対象は、同種異系幹細胞移植(SCT)で以前に治療されていてよい。
【0148】
一部の実施形態では、対象は、成体である。一部の実施形態では、対象は、雄である。一部の実施形態では、対象は、雌である。一部の実施形態では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば、細胞療法を投与される時点で)少なくとも40歳である。一部の実施形態では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば、細胞療法を投与される時点で)40歳未満である。一部の実施形態では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば、細胞療法を投与される時点で)約40~65歳である。一部の実施形態では、対象は、併用療法を投与される時点で(例えば、細胞療法を投与される時点で)少なくとも65歳である。
【0149】
A.細胞療法の投与
養子細胞療法のための細胞の投与のための方法は、知られており、提供される方法、組成物および製造品およびキットに関連して使用することができる。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0150】
一部の実施形態では、提供される方法における使用のためのまたはそれと関連して投与される細胞は、操作された受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含有するかまたはそれを含有するように操作される。組成物の中でも、養子細胞療法のため等、投与のための医薬組成物および製剤が特に挙げられる。提供される方法に合わせておよび/または提供される製造品もしくは組成物を用いて、対象、例えば、患者に細胞および組成物を投与するための治療の方法も提供される。
【0151】
細胞は一般に、機能的な非TCR抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、およびトランスジェニックT細胞受容体(TCR)等の他の抗原結合性受容体を含む抗原受容体等の組換え受容体を発現する。また、受容体の中でも、他のキメラ受容体が特に挙げられる。提供される方法において細胞療法として投与するための例示的な操作された細胞は、セクションIIに記載されている。
【0152】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、自家移入によって行われ、それによると、細胞は、細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。よって、一部の態様では、細胞は、治療を必要とする対象、例えば、患者に由来し、細胞は、単離および加工処理の後に、同一対象に投与される。
【0153】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、同種異系移入によって行われ、それによると、細胞は、細胞療法を受けることになっているまたは最終的に受ける対象以外の対象、例えば、第1の対象から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。そのような実施形態では、細胞は次いで、同一種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同一である。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同様である。一部の実施形態では、第2の対象は、第1の対象と同一のHLAクラスまたはスーパータイプ(supertype)を発現する。
【0154】
T細胞療法の細胞は、投与のために製剤化された組成物において、またはその代わりに、別々の投与のために製剤化された2つ以上の組成物(例えば、2つの組成物)において投与することができる。細胞の用量は、特定の数もしくは相対数の細胞もしくは操作された細胞、および/またはCD4 vs CD8 T細胞等の組成物内の定義された比もしくは組成の2つ以上のサブタイプを含むことができる。
【0155】
細胞は、いずれか適した手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下(sub-Tenon)注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後側(posterior juxtascleral)デリバリーによって投与することができる。一部の実施形態では、細胞は、非経口、肺内および鼻腔内、また、局所的治療に望まれる場合は、病巣内投与によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。一部の実施形態では、所与の用量は、細胞の単一ボーラス投与によって投与される。一部の実施形態では、所与の用量は、例えば3日間以下の期間にわたる細胞の複数ボーラス投与によって、または細胞の継続注入投与によって投与される。一部の実施形態では、細胞用量またはいずれか追加の療法、例えば、リンパ球枯渇療法、介入療法および/または併用療法の投与は、外来デリバリーにより行われる。
【0156】
疾患の治療のため、適切な投薬量は、治療されるべき疾患の型、細胞または組換え受容体の型、疾患の重症度および経過、以前の療法、対象の臨床歴および細胞に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、一部の実施形態では、一度にまたは一連の治療にわたり、対象に適切に投与される。
【0157】
免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法による対象のプレコンディショニングは、一部の態様では、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0158】
よって、一部の実施形態では、方法は、シクロホスファミド、フルダラビンまたはこれらの組合せ等のリンパ球枯渇または化学療法剤等のプレコンディショニング剤を、細胞療法の開始の前に対象に投与する工程を含む。例えば、対象は、細胞療法の開始の少なくとも3、4、5、6または7日前等、少なくとも2日前にプレコンディショニング剤を投与することができる。一部の実施形態では、対象は、細胞療法の開始の6、5、4、3または2日前以下等、7日前以下にプレコンディショニング剤を投与される。
【0159】
一部の実施形態では、対象は、40mg/kg~80mg/kgの間またはその概数の間等、20mg/kg~100mg/kgの間またはその概数の間の用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の態様では、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の実施形態では、シクロホスファミドは、単一の用量において投与することができる、または毎日、1日置きにもしくは3日毎に与える等、複数の用量において投与することができる。一部の実施形態では、シクロホスファミドは、1または2日間にわたり1日1回投与される。一部の実施形態では、リンパ球枯渇剤が、シクロホスファミドを含む場合、対象は、200mg/m~400mg/mもしくは250mg/m~350mg/mの間またはその概数の間等、100mg/m~500mg/mの間またはその概数の間(上限下限値を含む)の用量のシクロホスファミドを投与される。一部の実例では、対象は、約300mg/mのシクロホスファミドを投与される。一部の実例では、対象は、約500mg/mのシクロホスファミドを投与される。一部の実施形態では、シクロホスファミドは、単一の用量において投与することができる、または毎日、1日置きにもしくは3日毎に与える等、複数の用量において投与することができる。一部の実施形態では、シクロホスファミドは、1~5日間、例えば、3~5日間等にわたり、毎日投与される。一部の実例では、対象は、細胞療法の開始の前に、3日間にわたり毎日、約300mg/mのシクロホスファミドを投与される。一部の実例では、対象は、細胞療法の開始の前に、3日間にわたり毎日、約500mg/mのシクロホスファミドを投与される。
【0160】
一部の実施形態では、リンパ球枯渇剤が、フルダラビンを含む場合、対象は、10mg/m~75mg/m、15mg/m~50mg/m、20mg/m~40mg/mまたは24mg/m~35mg/mの間またはその概数の間等、1mg/m~100mg/mの間またはその概数の間(上限下限値を含む)の用量のフルダラビンを投与される。一部の実例では、対象は、約30mg/mのフルダラビンを投与される。一部の実施形態では、フルダラビンは、単一の用量において投与することができる、または毎日、1日置きにもしくは3日毎に与える等、複数の用量において投与することができる。一部の実施形態では、フルダラビンは、1~5日間、例えば、3~5日間等にわたり、毎日投与される。一部の実例では、対象は、細胞療法の開始の前に、3日間にわたり毎日、約30mg/mのフルダラビンを投与される。
【0161】
一部の実施形態では、リンパ球枯渇剤は、シクロホスファミドおよびフルダラビンの組合せ等、薬剤の組合せを含む。よって、薬剤の組合せは、上に記載されているもの等、いずれかの用量または投与スケジュールのシクロホスファミドと、上に記載されているもの等、いずれかの用量または投与スケジュールのフルダラビンとを含むことができる。例えば、一部の態様では、対象は、第1のまたは後続の用量の前に、60mg/kg(ほぼ2g/m)のシクロホスファミドおよび3~5用量の25mg/mフルダラビンを投与される。一部の実施形態では、対象は、細胞療法の開始の前に、いずれも3日間にわたり毎日の、300mg/mのシクロホスファミドおよび30mg/mのフルダラビンを投与される。一部の実施形態では、対象は、細胞療法の開始の前に、いずれも3日間にわたり毎日の、500mg/mのシクロホスファミドおよび30mg/mのフルダラビンを投与される。
【0162】
細胞の投与後に、操作された細胞集団の生物活性は、一部の実施形態では、例えば、多数の公知方法のいずれかによって測定される。評価するためのパラメーターは、インビボにおける、例えば、イメージングによる、またはエクスビボにおける、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、抗原への操作されたまたは天然のT細胞または他の免疫細胞の特異的結合を含む。ある特定の実施形態では、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイ等、いずれか適した公知方法を使用して測定することができる。ある特定の実施形態では、細胞の生物活性は、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNF等の1つまたはそれ以上のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることにより測定される。一部の態様では、生物活性は、腫瘍負荷または負荷量の低減等の臨床の転帰を評価することにより測定される。
【0163】
1.組成物および製剤
一部の実施形態では、組換え抗原受容体、例えば、CARまたはTCRにより操作された細胞を含むT細胞療法等の細胞療法の細胞の用量は、医薬組成物または製剤等の組成物または製剤として提供される。そのような組成物は、B細胞悪性病変の治療において等、提供される方法に合わせておよび/または提供される製造品もしくは組成物を用いて使用することができる。
【0164】
用語「医薬製剤」は、その中に含有される活性成分の生物活性が有効となることを可能にするような形態であり、また、製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性がある追加の構成成分を含有しない、調製物を指す。
【0165】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒性である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、バッファー、賦形剤、安定剤または保存料を含むがこれらに限定されない。
【0166】
一部の実施形態では、操作されたT細胞(例えば、CAR T細胞)等の細胞療法は、薬学的に許容される担体とともに製剤化される。一部の態様では、担体の選択は、一部には、特定の細胞もしくは薬剤によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、種々の適した製剤が存在する。例えば、医薬組成物は、保存料を含有することができる。適した保存料は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを含むことができる。一部の態様では、2つ以上の保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は典型的に、総組成物の重量で約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投薬量および濃度ではレシピエントにとって無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性物質を含むがこれらに限定されない。
【0167】
緩衝剤が、一部の態様では、組成物中に含まれる。適した緩衝剤は、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩を含む。一部の態様では、2つ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は典型的に、総組成物の重量で約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な(administrable)医薬組成物を調製するための方法が知られている。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)により詳細に記載されている。
【0168】
製剤は、水溶液を含むことができる。製剤または組成物は、細胞または薬剤により治療されている特定の適応症、疾患または状態に有用な2つ以上の活性成分を含有することもでき、この場合、それぞれの活性は、互いに有害に影響しない。そのような活性成分は、組合せにおいて、意図される目的に有効な量で適切に存在する。よって、一部の実施形態では、医薬組成物は、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等、他の薬学的に活性な薬剤または薬物をさらに含む。
【0169】
医薬組成物は、一部の実施形態では、治療有効または予防有効量等、疾患または状態を治療するのに有効な量で細胞を含有する。治療有効性は、一部の実施形態では、治療された対象の定期的評価によってモニターされる。数日間またはそれよりも長い期間にわたる反復投与のために、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が起こるまで、治療は反復される。しかし、他の投薬量レジメンが有用となる場合があり、これを決定することができる。所望の投薬量は、組成物の単一ボーラス投与によって、組成物の複数ボーラス投与によってまたは組成物の継続注入投与によって送達することができる。
【0170】
細胞は、標準投与技法、製剤および/またはデバイスを使用して投与することができる。組成物の貯蔵および投与のために、シリンジおよびバイアル等の製剤およびデバイスが提供される。細胞に関して、投与は、自家または異種であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、ある対象から得ることができ、同一対象または異なる適合性対象に投与される。末梢血由来免疫応答性細胞またはその後代(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、カテーテル投与を含む局在化注射、全身性注射、局在化注射、静脈内注射または非経口投与により投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞を含有する医薬組成物)を投与する場合、これは一般に、単位投薬量注射可能形態(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化されるであろう。
【0171】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下または坐薬投与のための製剤を含む。一部の実施形態では、薬剤または細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟および腹腔内投与を含む。一部の実施形態では、薬剤または細胞集団は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身性デリバリーを使用して対象に投与される。
【0172】
組成物は、一部の実施形態では、一部の態様では、選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散または粘稠性組成物として提供される。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘稠性組成物および固体組成物よりも調製が容易である。その上、液体組成物は若干、特に注射による投与がより簡便である。粘稠性組成物は、他方では、適切な粘性範囲内で製剤化して、特異的な組織とのより長い接触期間を提供することができる。液体または粘稠性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびこれらの適した混合物を含有する溶媒または分散媒となり得る担体を含むことができる。
【0173】
滅菌注射可能溶液は、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースその他等の適した担体、希釈剤または賦形剤との混合物等の溶媒中に細胞を取り込むことにより調製することができる。
【0174】
インビボ投与のために使用されるべき製剤は一般に、滅菌されている。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成することができる。
2.投薬
【0175】
一部の実施形態では、細胞の用量は、提供される方法に合わせておよび/または提供される製造品もしくは組成物を用いて対象に投与される。一部の実施形態では、用量のサイズまたはタイミングは、対象における特定の疾患または状態(例えば、がん、例えば、B細胞悪性病変)の関数として決定される。一部の事例では、提供される記載を考慮した特定の疾患のための用量のサイズまたはタイミングは、経験的に決定することができる。
【0176】
一部の実施形態では、細胞の用量は、4×10個もしくは約4×10個の細胞/kg~1×10個もしくは約1×10個の細胞/kgの間または6×10個もしくは約6×10個の細胞/kg~8×10個もしくは約8×10個の細胞/kgの間等、2×10個または約2×10個の細胞/kg~2×10個または約2×10個の細胞/kgの間を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、3×10細胞/kg以下もしくは約3×10細胞/kg以下、4×10細胞/kg以下もしくは約4×10細胞/kg以下、5×10細胞/kg以下もしくは約5×10細胞/kg以下、6×10細胞/kg以下もしくは約6×10細胞/kg以下、7×10細胞/kg以下もしくは約7×10細胞/kg以下、8×10細胞/kg以下もしくは約8×10細胞/kg以下、9×10細胞/kg以下もしくは約9×10細胞/kg以下、1×10細胞/kg以下もしくは約1×10細胞/kg以下または2×10細胞/kg以下もしくは約2×10細胞/kg以下等、対象の体重1キログラム当たり2×10個以下の細胞(例えば、抗原発現、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、少なくとも3×10細胞/kgもしくは少なくとも約3×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも4×10細胞/kgもしくは少なくとも約4×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも5×10細胞/kgもしくは少なくとも約5×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも6×10細胞/kgもしくは少なくとも約6×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも7×10細胞/kgもしくは少なくとも約7×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも8×10細胞/kgもしくは少なくとも約8×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも9×10細胞/kgもしくは少なくとも約9×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、少なくとも1×10細胞/kgもしくは少なくとも約1×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数、または少なくとも2×10細胞/kgもしくは少なくとも約2×10細胞/kgもしくはその値もしくはその概数等、対象の体重1キログラム当たり少なくとも2×10個もしくは少なくとも約2×10個もしくはその値もしくはその概数の細胞(例えば、抗原発現、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)を含む。
【0177】
ある特定の実施形態では、細胞、または細胞の個々の集団もしくは(of)サブタイプは、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または体重1キログラム当たりの当該量の細胞で、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、また、一部の事例では、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間にあるいずれかの値、および/または体重1キログラム当たりで、対象に投与される。投薬量は、疾患または障害および/または患者および/または他の治療に特定の特質に応じて変動し得る。
【0178】
一部の実施形態では、細胞の用量が、対象の体表面積または体重に関連付けられないかまたはそれに基づかないように、細胞の用量は、細胞の平坦用量または細胞の固定用量である。
【0179】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約5×10個よりも少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、約1×10~5×10個の範囲内のそのような細胞、例えば、2×10、5×10、1×10、5×10、1×10、2×10、3×10もしくは4×10個のそのような細胞の全て、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、対象がヒトである場合、用量は、約1×10~3×10個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、例えば、約1×10~2×10個のそのような細胞の範囲内、例えば、1×10、5×10、1×10もしくは1.5×10個のそのような細胞の総計、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は、前述の値のいずれかの内となることができる。一部の実施形態では、細胞の用量は、1×10個もしくは約1×10個~5×10個もしくは約5×10個の総組換え受容体(例えば、CAR)発現T細胞もしくは総T細胞、1×10~1×10個の総組換え受容体(例えば、CAR)発現T細胞もしくは総T細胞、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総組換え受容体(例えば、CAR)発現T細胞もしくは総T細胞、または1×10個もしくは約1×10個~1×10個もしくは約1×10個の総組換え受容体(例えば、CAR)発現T細胞もしくは総T細胞(それぞれ上限下限値を含む)の投与を含む。
【0180】
一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0181】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量中を含む、用量のCD8+T細胞は、約1×10~1×10個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5×10~1×10個の範囲内のそのような細胞、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10もしくは1×10個のそのような細胞の全て、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、患者は、複数の用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は、前述の値のいずれかの内に収まることができる。一部の実施形態では、細胞の用量は、1×10~0.75×10個またはその概数の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×10~2.5×10個の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×10~0.75×10個またはその概数の総組換え受容体発現CD8+T細胞(それぞれ上限下限値を含む)の投与を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10もしくは1×10個またはその概数の総組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。
【0182】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量中を含む用量のCD4+T細胞は、約1×10~1×10個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD4+細胞、例えば、約5×10~1×10個のそのような細胞、そのような細胞の範囲内、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10もしくは1×10個のそのような細胞の総計、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は、前述の値のいずれかの内となることができる。一部の実施形態では、細胞の用量は、1×10個または約1×10個~0.75×10個または約0.75×10個の総組換え受容体発現CD4+T細胞、1×10~2.5×10個の総組換え受容体発現CD4+T細胞、1×10個または約1×10個~0.75×10個または約0.75×10個の総組換え受容体発現CD4+T細胞(それぞれ上限下限値を含む)の投与を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10もしくは1×10個またはその概数の総組換え受容体発現CD4+T細胞の投与を含む。
【0183】
一部の実施形態では、細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞の用量は、単一の用量として対象に投与される、または2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間以上の期間内に1回のみ投与される。
【0184】
養子細胞療法の文脈において、所与の「用量」の投与は、単一の組成物および/または単一の中断されない投与としての、例えば、単一の注射または継続注入としての、所与の量または数の細胞の投与を包含し、また、3日間以下等の指定の期間にわたる、分割用量としてのまたは複数の個々の組成物もしくは注入に提供される複数の組成物としての、所与の量または数の細胞の投与も包含する。よって、一部の状況では、用量は、単一の時点で与えられるまたは開始される指定の数の細胞の単一のまたは継続的な投与である。しかし、一部の状況では、用量は、1日1回を3日間もしくは2日間、または1日間の期間にわたる複数の注入による等、3日間以下の期間にわたる複数の注射もしくは注入において投与される。
【0185】
よって、一部の態様では、用量の細胞は、単一の医薬組成物において投与される。一部の実施形態では、用量の細胞は、用量の細胞を合計して含有する複数の組成物において投与される。
【0186】
一部の実施形態では、用語「分割用量」は、1日間を超えて投与されるように分割された用量を指す。この型の投薬は、本方法によって包含され、単一の用量であると考慮される。
【0187】
よって、細胞の用量は、分割用量、例えば、経時的に投与される分割用量として投与することができる。例えば、一部の実施形態では、用量は、2日間または3日間にわたり対象に投与することができる。分割投薬のための例示的な方法は、1日目に用量の25%を投与し、2日目に用量の残っている75%を投与する工程を含む。他の実施形態では、用量の33%を1日目に投与し、残っている67%を2日目に投与することができる。一部の態様では、用量の10%は1日目に投与され、用量の30%は2日目に投与され、用量の60%は3日目に投与される。一部の実施形態では、分割用量は、3日間を超えて広がらない。
【0188】
一部の実施形態では、用量の細胞は、用量の一部の細胞をそれぞれ含有する、第1および第2の、適宜、さらに多くの等、複数の組成物または溶液の投与によって投与することができる。一部の態様では、細胞の異なる集団および/またはサブタイプをそれぞれ含有する複数の組成物は、適宜、ある特定の期間内に、別々にまたは独立して投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれCD8およびCD4T細胞、および/またはそれぞれCD8+およびCD4+富化集団、例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞を含むことができ、これらはそれぞれ、組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を個々に含む。一部の実施形態では、用量の投与は、CD8+T細胞の用量またはCD4+T細胞の用量を含む第1の組成物の投与、ならびにCD4+T細胞およびCD8+T細胞の用量の他方を含む第2の組成物の投与を含む。
【0189】
一部の実施形態では、組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、別々の細胞組成物の投与を伴う。一部の態様では、別々の投与は、同時にまたは逐次に、いずれかの順序で行われる。一部の実施形態では、用量は、第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物および第2の組成物は、0~12時間間隔、0~6時間間隔または0~2時間間隔で投与される。一部の実施形態では、第1の組成物の投与の開始および第2の組成物の投与の開始は、2時間以下、1時間以下または30分以下の間隔で、15分以下、10分以下または5分以下の間隔で行われる。一部の実施形態では、第1の組成物の投与の開始および/または完了ならびに第2の組成物の投与の完了および/または開始は、2時間以下、1時間以下または30分以下の間隔で、15分以下、10分以下または5分以下の間隔で行われる。
【0190】
一部の実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、対象への投与の前に混合される。一部の実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、投与の少し(例えば、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1.5時間、1時間または0.5時間以内)前に混合される。一部の実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、投与の直前に混合される。
【0191】
一部の組成物では、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD4+T細胞を含む。一部の組成物では、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0192】
一部の実施形態では、細胞の用量または組成物は、組換え受容体を発現するCD4+細胞、対、組換え受容体を発現するCD8+細胞の、および/またはCD4+細胞、対、CD8+細胞の定義されるまたは標的比を含み、この比は適宜、およそ1:1であるかまたはおよそ1:3~およそ3:1の間、例えば、およそ1:1である。一部の態様では、異なる細胞集団の標的または所望の比(CD4+:CD8+比またはCAR+CD4+:CAR+CD8+比、例えば、1:1等)での組成物または用量の投与は、集団の一方を含有する細胞組成物の投与と、次いで、集団の他方を含む別々の細胞組成物の投与を伴い、投与は、ちょうどまたはおよそ標的または所望の比である。一部の態様では、定義された比での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の改善された増大化、持続性および/または抗腫瘍活性を生じる。
【0193】
一部の実施形態では、対象は、細胞の複数の用量、例えば、2以上の用量または複数の連続用量を受ける。一部の実施形態では、2用量が対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、連続用量、例えば、第2の用量を、第1の用量のおよそ4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日後に受ける。一部の実施形態では、追加の用量が連続用量の投与の後に投与されるように、複数の連続用量が第1の用量の後に投与される。一部の態様では、追加の用量において対象に投与される細胞の数は、第1の用量および/または連続用量と同一または同様である。一部の実施形態では、追加の用量は、前の用量よりも大きい。
【0194】
一部の態様では、第1のおよび/または連続用量のサイズは、前の治療、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、バルク、サイズもしくは程度、転移の程度もしくは型、ステージ、ならびに/または毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与されている細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答等、1つまたはそれ以上の判断基準に基づき決定される。
【0195】
一部の態様では、第1の用量の投与および連続用量の投与の間の時間は、約9~約35日間、約14~約28日間または15~27日間である。一部の実施形態では、連続用量の投与は、第1の用量の投与から約14日後超かつ約28日後未満の時点においてなされる。一部の態様では、第1のおよび連続用量の間の時間は、約21日間である。一部の実施形態では、追加の用量、例えば、連続用量は、連続用量の投与の後に投与される。一部の態様では、追加の連続用量は、前の用量の投与から少なくとも約14日後にかつ約28日後未満に投与される。一部の実施形態では、追加の用量は、前の用量から約14日後未満に、例えば、前の用量から4、5、6、7、8、9、10、11、12または13日後に投与される。一部の実施形態では、用量は、前の用量から約14日後未満に投与されない、および/または用量は、前の用量から約28日後超に投与されない。
【0196】
一部の実施形態では、細胞、例えば、組換え受容体発現細胞の用量は、T細胞の第1の用量およびT細胞の連続用量を含む2用量(例えば、ダブル用量)を含み、第1の用量および第2の用量の一方または両方は、T細胞の分割用量の投与を含む。
【0197】
一部の実施形態では、細胞の用量は一般に、疾患負荷の低減において有効となるために十分なほど大きい。
【0198】
一部の実施形態では、細胞は、一部の態様では、細胞もしくは細胞型の所望の用量もしくは数および/または細胞型の所望の比を含む、所望の投薬量で投与される。よって、細胞の投薬量は、一部の実施形態では、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)および個々の集団またはサブタイプの所望の比、例えば、CD4+対CD8+の比に基づく。一部の実施形態では、細胞の投薬量は、個々の集団における細胞のまたは個々の細胞型の所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。一部の実施形態では、投薬量は、総細胞の所望の数、所望の比、および個々の集団における細胞の所望の総数等、そのような特色の組合せに基づく。
【0199】
一部の実施形態では、CD8およびCD4T細胞等、細胞の集団またはサブタイプは、T細胞の所望の用量等の総細胞の所望の用量でまたはその許容される差の内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりの細胞の所望の数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、細胞の最小数または体重の単位当たりの細胞の最小数であるかまたはそれを上回る。一部の態様では、所望の用量で投与される総細胞の中で、個々の集団またはサブタイプは、所望の出力比(CD4対CD8の比等)でまたはその付近で、例えば、そのような比のある特定の許容される差または誤差の内で存在する。
【0200】
一部の実施形態では、細胞は、CD4+細胞の所望の用量および/またはCD8+細胞の所望の用量等、細胞の個々の集団またはサブタイプのうち1つまたはそれ以上の所望の用量でまたはその許容される差の内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、サブタイプもしくは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりのそのような細胞の所望の数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数、または体重の単位当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるかまたはそれを上回る。
【0201】
よって、一部の実施形態では、投薬量は、総細胞の所望の固定用量および所望の比に基づく、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1つまたはそれ以上の、例えば、それぞれの所望の固定用量に基づく。よって、一部の実施形態では、投薬量は、T細胞の所望の固定もしくは最小用量およびCD4対CD8細胞の所望の比に基づく、ならびに/またはCD4および/もしくはCD8細胞の所望の固定もしくは最小用量に基づく。
【0202】
一部の実施形態では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプ等、複数の細胞集団またはサブタイプの所望の出力比でまたはその許容される範囲内で投与される。一部の態様では、所望の比は、具体的な比であり得るか、または比の範囲であり得る。例えば、一部の実施形態では、所望の比(例えば、CD4対CD8細胞の比)は、5:1もしくはその概数~5:1もしくはその概数(または約1:5超~約5:1未満)の間、または1:3もしくはその概数~3:1もしくはその概数(または約1:3超~約3:1未満)の間、例えば、2:1もしくはその概数~1:5もしくはその概数(または約1:5超~約2:1未満)の間、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5もしくは1:5またはその概数である。一部の態様では、許容される差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間にあるいずれかの値を含む。
【0203】
特定の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、投与された全細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0204】
一部の態様では、用量のサイズは、前の治療、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍負荷量、容積、サイズもしくは程度、転移の程度もしくは型、ステージ、ならびに/または対象が、投与されている細胞および/もしくは組換え受容体に対して毒性の転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性および/もしくは宿主免疫応答を発症する可能性もしくは発生率等の1つまたはそれ以上の判断基準に基づき決定される。
【0205】
一部の実施形態では、方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞の1もしくは複数の追加の用量、および/もしくはリンパ球枯渇療法を投与する工程も含む、ならびに/または方法の1つもしくはそれ以上の工程が反復される。一部の実施形態では、1または複数の追加の用量は、初期用量と同一である。一部の実施形態では、1またはそれ以上の追加の用量は、初期用量とは異なる、例えば、初期用量よりも高い、例えば、それよりも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍もしくは10倍以上高い、または初期用量よりも低い、例えば、その2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1もしくは10分の1以下である。一部の実施形態では、1またそれ以上の数の追加の用量の投与は、初期治療もしくはいずれかの前の治療に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、バルク、サイズもしくは程度、転移の程度もしくは型、ステージ、ならびに/または毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与されている細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づき決定される。
【0206】
B.化合物Cの投与
本明細書に提供される方法、組成物、組合せ、キットまたは製造品の一部の実施形態では、併用療法は、化学名(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンを有するおよび/または式I:
【化14】
(式I)
の構造を有する化合物C、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含む。
【0207】
一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体である。一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの溶媒和物である。一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの水和物である。一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである。一部の実施形態では、化合物Cは、式Iの構造を有する。
【0208】
ある特定の実施形態では、化合物Cは、固体である。ある特定の実施形態では、化合物Cは、水和されている。ある特定の実施形態では、化合物Cは、溶媒和されている。ある特定の実施形態では、化合物Cは、無水物である。ある特定の実施形態では、化合物Cは、非吸湿性である。
【0209】
ある特定の実施形態では、化合物Cは、アモルファスである。ある特定の実施形態では、化合物Cは、結晶性である。
【0210】
一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩である。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸および塩基ならびに有機酸および塩基を含む薬学的に許容される無毒性の酸または塩基から調製された塩を指す。化合物Cの適した薬学的に許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作製された金属塩、またはリシン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチル-グルカミン)およびプロカインから作製された有機塩を含む。適した無毒性の酸は、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸(ethenesulfonic)、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸(pamoic)、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸およびp-トルエンスルホン酸等の無機および有機酸を含む。その他は、当技術分野でよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990)またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th eds., Mack Publishing, Easton PA (1995)を参照されたい。
【0211】
ある特定の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの塩酸塩、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;またはその薬学的に許容される溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体である。ある特定の実施形態では、塩酸塩は、固体である。ある特定の実施形態では、塩酸塩は、無水物である。ある特定の実施形態では、塩酸塩は、非吸湿性である。ある特定の実施形態では、塩酸塩は、アモルファスである。ある特定の実施形態では、塩酸塩は、結晶性である。
【0212】
本明細書で使用される場合、また、他に指示がなければ、用語「立体異性体」または「立体化学的に(stereomerically)純粋な」は、当該化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、化合物の1つの立体異性体を意味する。例えば、1個のキラル中心を有する立体化学的に純粋な化合物は、化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まないであろう。2個のキラル中心を有する立体化学的に純粋な化合物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないであろう。典型的な立体化学的に純粋な化合物は、約80重量%超の化合物の1つの立体異性体と約20重量%未満の化合物の他の立体異性体、約90重量%超の化合物の1つの立体異性体と約10重量%未満の化合物の他の立体異性体、約95重量%超の化合物の1つの立体異性体と約5重量%未満の化合物の他の立体異性体、または約97重量%超の化合物の1つの立体異性体と約3重量%未満の化合物の他の立体異性体を含む。化合物は、キラル中心を有することができ、ラセミ体、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー、およびこれらの混合物として生じることができる。化合物Cのいずれかのそのような異性体形態の投与を伴う方法は、その混合物の投与を含む、本明細書に提供される実施形態内に含まれる。
【0213】
一部の実施形態では、本明細書に提供される化合物Cは、1個のキラル中心を含有し、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ混合物として存在することができる。本開示は、そのような化合物の立体化学的に純粋な形態の使用とともに、それらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、等しいまたは等しくない量の本明細書に提供される化合物Cのエナンチオマーを含む混合物は、本明細書に開示されている方法および組成物において使用することができる。これらの異性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤等の標準的な方法を用いて非対称的に合成または分割することができる。例えば、Jacques, J., et al, Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York, 1981);Wilen, S. H., et al, Tetrahedron 33 :2725 (1977);Eliel, E. L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);およびWilen, S. H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0214】
化合物Cのキラル中心が、インビボでエピマー化を受けることができることを理解されたい。そのようなものとして、当業者は、インビボでのエピマー化の場合、その(R)形態での化合物Cの投与が、その(S)形態での化合物Cの投与と等価となり得ることを認識するであろう。
【0215】
光学的に活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製することができる、またはキラル固定相におけるクロマトグラフィー等の従来技術を用いて分割することができる。
【0216】
一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの溶媒和物である。用語「溶媒和物」は、有機であれ無機であれ、1つまたはそれ以上の溶媒分子と化合物との物理的結合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む。ある特定の実例では、例えば、1つまたはそれ以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子に取り込まれる場合、溶媒和物は、単離が可能となるであろう。「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物および不溶性溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物として、水和物、エタノール付加物、メタノール付加物、イソプロパノール付加物、アセトニトリル溶媒和物、および酢酸エチル溶媒和物が挙げられる。一部の実施形態では、化合物Cは、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの水和物である。溶媒和の方法は、当技術分野で知られている。
【0217】
「互変異性体」は、互いに平衡状態にある化合物の異性体形態を指す。異性体形態の濃度は、化合物が見出される環境に依存し、例えば、化合物が固体であるか、または有機溶液もしくは水溶液中にあるかに応じて異なる場合がある。例えば、水溶液中で、ピラゾールは、互いの互変異性体と称される次の異性体形態を示すことができる:
【化15】
【0218】
当業者によって容易に理解される通り、多種多様な官能基および他の構造は、互変異性を示すことができ、化合物Cのいずれかの互変異性体の投与は、本明細書に提供される方法の範囲内にある。
【0219】
提供される方法において使用される化合物Cが、原子のうち1つまたはそれ以上に非天然の割合の原子同位体を含有することができることにも留意されたい。例えば、化合物Cは、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、硫黄-35(35S)もしくは炭素-14(14C)等の放射性同位体で放射標識することができる、または重水素(H)、炭素-13(13C)もしくは窒素-15(15N)等により同位体的に富化することができる。本明細書で使用される場合、「同位体分子種」は、同位体的に富化された化合物である。用語「同位体的に富化された」は、当該原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体的に富化された」は、当該原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1個の原子を含有する化合物を指すこともできる。用語「同位体組成」は、所与の原子に見られる各同位体の量を指す。放射標識および同位体的に富化された化合物は、治療剤、例えば、がん治療剤、研究試薬、例えば、結合アッセイ試薬および診断剤、例えば、インビボ造影剤として有用である。放射性であるか否かにかかわらず、化合物Cのいずれかの同位体変種の投与を伴う方法は、本明細書に提供される方法の範囲内に包含されることが意図される。一部の実施形態では、化合物Cの同位体分子種、例えば、重水素、炭素-13(13C)および/または窒素-15(15N)富化化合物の投与を伴う方法が本明細書に提供される。本明細書で使用される場合、「重水素化された」は、少なくとも1個の水素(H)が重水素(DまたはHによって指し示される)によって置き換えられた化合物を意味し、すなわち、化合物は、少なくとも1個の位置において重水素が富化されている。
【0220】
立体化学または同位体組成とは無関係に、化合物Cは、本明細書に記載されている薬学的に許容される塩のいずれかの形態で投与することができることが理解される。それと同時に、同位体組成は、化合物Cの立体化学組成から独立して変動し得ることが理解される。さらに、同位体組成は、化合物Cまたはその塩に存在する元素に制限されているが、化合物Cの薬学的に許容される塩の選択から独立して、他の面では変動し得る。
【0221】
描写されている構造と当該構造を与えられた名称との間に矛盾がある場合、描写されている構造に、より多くの重みを与えられるべきであることに留意されたい。加えて、構造または構造の部分の立体化学が、例えば、太字または破線で指し示されていない場合、構造または構造の部分は、構造のあらゆる立体異性体を包含するものとして解釈されるべきである。
【0222】
1.組成物および製剤
本明細書に提供される併用療法の方法、組成物、組合せ、キットおよび使用の一部の実施形態では、併用療法は、化合物Cを含有する1つまたはそれ以上の組成物、例えば、医薬組成物において投与することができる。
【0223】
一部の実施形態では、化合物Cを含有する組成物、例えば、医薬組成物は、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクル等の担体を含むことができ、それとともに、化合物Cおよび/または細胞が投与される。適した医薬品担体の例は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E. W. Martinに記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供できるように、適した量の担体と一緒に、一般に精製された形態で、治療有効量の化合物Cを含有するであろう。そのような医薬品担体は、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油およびゴマ油等、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油等、滅菌された液体となることができる。食塩水溶液およびデキストロース水およびグリセロール溶液も、特に、注射可能な溶液のための、液体担体として用いることができる。医薬組成物は、希釈剤、アジュバント、接着阻害薬(antiadherent)、結合剤、コーティング、フィラー、香料、着色料、潤滑剤、流動促進剤、保存料、洗剤、吸着剤、乳化剤、医薬品賦形剤、pH緩衝剤)または甘味料およびこれらの組合せのうちいずれか1つまたはそれ以上を含有することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、液体、固体、凍結乾燥された粉末、ゲル形態および/またはこれらの組合せとなることができる。一部の態様では、担体の選択は、特定の阻害剤および/または投与の方法によって部分的に決定される。
【0224】
薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投薬量および濃度においてレシピエントにとって無毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウム塩化物;ベンザルコニウム塩化物;ベンゼトニウム塩化物;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性物質、安定剤、ならびに/または保存料を含むがこれらに限定されない。化合物Cを含有する組成物は、凍結乾燥されていてもよい。
【0225】
一部の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、経鼻、経口、腟、直腸、外用、局所的、耳、吸入、頬側(例えば、舌下)および経皮投与またはいずれかの経路を含む、当業者に知られているいずれかの経路による投与のために製剤化することができる。一部の実施形態では、他の投与機序も考慮される。一部の実施形態では、投与は、ボーラス注入によって、注射によって、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下(subscleral)注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下(sub-Tenon)注射、眼球後注射、眼球周囲注射または強膜近傍後側(posterior juxtascleral)デリバリーによってなされる。一部の実施形態では、投与は、非経口、肺内および鼻腔内によって、局所的治療に所望される場合は、病巣内投与によってなされる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。一部の実施形態では、所与の用量は、単一のボーラス投与によって投与される。一部の実施形態では、それは、例えば、3日間以下の期間にわたり、複数のボーラス投与によって、または継続注入投与によって投与される。
【0226】
一部の実施形態では、投与は、治療の位置に応じて局所的、外用または全身的となることができる。一部の実施形態では、治療を必要とする領域への局所的投与は、例えばであって限定するものではないが、外科手術の際の局所的注入、例えば、外科手術後の創傷被覆と併せた外用適用、カテーテルを用いた、坐薬を用いたまたはインプラントを用いた注射によって達成することができる。一部の実施形態では、組成物は、逐次に、間欠的に、または同一組成物中のいずれかで、他の生物活性剤とともに投与することもできる。一部の実施形態では、投与は、ポンプ等を用いた、制御された放出製剤およびデバイス制御された放出を含む、制御された放出系を含むこともできる。一部の実施形態では、投与は、経口である。
【0227】
一部の実施形態では、化合物Cは、典型的に、単位剤形または複数剤形において製剤化および投与される。各単位用量は、要求される医薬品担体、ビヒクルまたは希釈剤に関連して、所望の治療効果を生じるのに十分な所定の含量の治療活性がある化合物Cを含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、適した含量の化合物Cを含有する、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液または懸濁液、および経口溶液または懸濁液、および油・水エマルションを含むがこれらに限定されない。単位用量形態は、アンプルおよびシリンジまたは個々に包装された錠剤もしくはカプセル中に含有され得る。単位用量形態は、その分数または倍数で投与され得る。一部の実施形態では、複数用量形態は、隔離された単位用量形態で投与されるべき単一容器内に包装された複数の同一単位剤形である。複数用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセルのボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルを含む。
【0228】
2.投薬
一部の実施形態では、提供される併用療法の方法は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の細胞療法の開始の前に、その後に、その間に、その経過中に、それと同時に、それとほとんど同時に、それと逐次に、それと同時的におよび/またはそれと間欠的に、化合物Cの投与を開始する工程を伴う。一部の実施形態では、提供される併用療法の方法における化合物Cの投与の開始は、T細胞療法の投与の開始の後にまたはその後続でなされる。
【0229】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の細胞療法の開始の後に(その後続で)開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、T細胞療法の細胞のピークまたは最大レベルが、対象の血液中で検出可能となった時点でまたはその前に開始される。
【0230】
一部の事例では、化合物Cの投与の開始は、(i)T細胞療法の細胞のピークもしくは最大レベルが、対象の血液中で検出可能となる時点の;(ii)血液中で検出可能となった後で、血液中で検出可能なT細胞療法の細胞の数が、検出不能となるかもしくは低減される、適宜、T細胞療法の投与後の先行する時点と比較して低減される;(iii)血液中で検出可能なT細胞療法の細胞の数が、T細胞療法の投与の開始後に対象の血液中で検出可能なT細胞療法のピークもしくは最大数細胞の1.5分の1、2.0分の1、3.0分の1、4.0分の1、5.0分の1、10分の1以下にもしくはそれを下回って減少される;(iv)T細胞療法の細胞のピークもしくは最大レベルが、対象の血液中で検出可能となった後の時点において、対象由来の血液中で検出可能な細胞のもしくはそれに由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満もしくは0.1%未満となる;(v)対象が、T細胞療法による治療後の寛解に続いて疾患進行を示す、および/もしくは再発した;ならびに/または(iv)対象が、細胞の投与前もしくはその後のかつ化合物Cの投与の開始前の時点の腫瘍負荷と比較して増加した腫瘍負荷を示す、1、2または3日前以内等、その時点でまたはその1週間前以内に行われる。ある特定の態様では、提供される方法は、T細胞療法に対する応答、例えば、T細胞の存在および/または腫瘍負荷の低減を改善するために、対象におけるT細胞療法を増強、増加または強化するために行われる。
【0231】
一部の実施形態では、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の細胞療法は、併用療法の1日目に投与される。
【0232】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の開始の後に(その後続で)開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、T細胞療法の開始の後に(その後続で)、かつ、T細胞療法の開始と同一の日に(すなわち、併用療法の1日目に)開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の1日目~22日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の1日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の2日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の3日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の4日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の5日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の6日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の7日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の8日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される。
【0233】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28もしくは29日目またはその概数に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の1日目または約1日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の2日目または約2日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の3日目または約3日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の4日目または約4日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の5日目または約5日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の5日目または約5日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の7日目または約7日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の8日目または約8日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の9日目または約9日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の10日目または約10日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の11日目または約11日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の12日目または約12日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の13日目または約13日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の14日目または約14日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の15日目または約15日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の16日目または約16日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の17日目または約17日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の18日目または約18日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の19日目または約19日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の20日目または約20日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の21日目または約21日目に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、併用療法の22日目または約22日目に開始される。
【0234】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法、例えば、T細胞療法の投与前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1ヶ月前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の4週間前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の3週間前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の2週間前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1週間前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の6日前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の5日前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の4日前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の3日前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の2日前以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1日前以内に開始される。
【0235】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1ヶ月前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の4週間前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の3週間前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の2週間前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1週間前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の6日前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の5日前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の4日前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の3日前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の2日前に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、細胞療法の投与の1日前に開始される。
【0236】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与後かつ細胞療法の投与前に開始される。一部の実施形態では、細胞療法は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから2~7日後に投与される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の最終日に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから7日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから6日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから5日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから4日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから3日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから2日後以内に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから1日後以内に開始される。
【0237】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから7日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから6日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから5日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから4日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから3日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから2日後に開始される。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、リンパ球枯渇療法の投与の終わりから1日後に開始される。
【0238】
一部の実施形態では、対象が化合物Cを最初に投与された時点で、および/または投与の開始後のいずれかの後続時点で、対象は、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)または重度の毒性等の重度の毒性の徴候または症状を示さない。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、対象が、重度のCRSの徴候または症状を示さない、および/あるいは長期のグレード3のCRSまたはグレード4もしくは5のCRS等のグレード3以上のCRSを示さない時点でなされる。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、対象が、重度の神経毒性の徴候または症状を示さない、および/あるいは長期のグレード3の神経毒性またはグレード4もしくはグレード5の神経毒性等のグレード3以上の神経毒性を示さない時点でなされる。一部の態様では、T細胞療法の投与の開始時点および化合物Cの投与時点の間に、対象は、重度のCRSを示していない、および/あるいは長期のグレード3のCRSまたはグレード4もしくは5のCRS等のグレード3以上のCRSを示していない。一部の実例では、T細胞療法の投与の開始時点および化合物Cの投与時点の間に、対象は、重度の神経毒性を示していない、および/あるいは長期のグレード3の神経毒性またはグレード4もしくは5の神経毒性等のグレード3以上の神経毒性を示さない。
【0239】
一部の実施形態では、化合物Cは、間欠的(すなわち、毎日ではない)投薬レジメンにおいて投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、複数の間欠的用量として投与される。一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、同一である。他の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量は、異なる量のものとなることができる。
【0240】
一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgもしくは約0.1mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、例えば、0.1mgもしくは約0.1mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.5mgもしくは約0.5mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.4mgもしくは約0.4mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.3mgもしくは約0.3mgの間、0.1mgもしくは約0.1mg~0.2mgもしくは約0.2mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.5mgもしくは約0.5mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.4mgもしくは約0.4mgの間、0.2mgもしくは約0.2mg~0.3mgもしくは約0.3mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.5mgもしくは約0.5mgの間、0.3mgもしくは約0.3mg~0.4mgもしくは約0.4mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間、0.4mgもしくは約0.4mg~0.5mgもしくは約0.5mgの間、0.5mgもしくは約0.5mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.5mgもしくは約0.5mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.5mgもしくは約0.5mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.5mgもしくは約0.5mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.5mgもしくは約0.5mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間、0.6mgもしくは約0.6mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.6mgもしくは約0.6mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.6mgもしくは約0.6mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.6mgもしくは約0.6mg~0.7mgもしくは約0.7mgの間、0.7mgもしくは約0.7mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.7mgもしくは約0.7mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間、0.7mgもしくは約0.7mg~0.8mgもしくは約0.8mgの間、0.8mgもしくは約0.8mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間、0.8mgもしくは約0.8mg~0.9mgもしくは約0.9mgの間または0.8mgもしくは約0.8mg~1.0mgもしくは約1.0mgの間(それぞれ上限下限値を含む)である。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgもしくは約0.1mg~0.6mgもしくは約0.6mgの間である。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgもしくは約0.1mg~0.5mgもしくは約0.5mgの間である。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgもしくは約0.1mg~0.4mgもしくは約0.4mgの間である。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgもしくは約0.1mg~0.3mgもしくは約0.3mgの間である。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.1mgまたは約0.1mgである。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.2mgまたは約0.2mgである。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.3mgまたは約0.3mgである。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.4mgまたは約0.4mgである。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.5mgまたは約0.5mgである。一部の実施形態では、化合物Cの用量は、0.6mgまたは約0.6mgである。先行する実施形態のいずれかでは、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、同一である。
【0241】
一部の実施形態では、間欠的投薬レジメンの一部としての化合物Cは、5日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、6日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、7日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、8日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、9日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、10日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、11日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、12日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、13日毎に1回以下で投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、14日毎に1回以下で投与される。
【0242】
一部の実施形態では、間欠的投薬レジメンの一部としての化合物Cは、5日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、6日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、週1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、7日毎に1回(Q7D)投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、8日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、9日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、10日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、11日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、12日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、13日毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、14日毎に1回(Q14D)投与される。
【0243】
一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始の後続の期間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも1週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも2週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも3週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも4週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも5週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも6週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも7週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも8週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも9週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも10週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも11週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後少なくとも12週間にわたり投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後最大12週間にわたり投与される。先行する実施形態のいずれかでは、化合物Cは、細胞療法の投与の開始後最大12週間にわたり投与される。よって、併用療法の1日目に細胞療法が投与される併用療法を参照すると、一部の実施形態では、化合物Cは、併用療法の85日目よりも遅くに投与されない。
【0244】
一部の実施形態では、化合物Cは、併用療法の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、併用療法の8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、併用療法の15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。一部の実施形態では、化合物Cは、併用療法の8、22、36、50、64および78日目に投与される。
【0245】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.3mgであり、化合物Cは、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0246】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.3mgであり、化合物Cは、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0247】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.3mgであり、化合物Cは、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0248】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.4mgであり、化合物Cは、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0249】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.3mgであり、化合物Cは、8、22、36、50、64および78日目に投与される。
【0250】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.2mgであり、化合物Cは、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0251】
一部の実施形態では、化合物Cの複数の間欠的用量の各用量は、0.6mgであり、化合物Cは、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される。
【0252】
一部の事例では、サイクリングレジメンは、いずれかの時点でおよび/または1つもしくはそれ以上の時間にわたり、中断され得る。一部の事例では、対象が、セクションIVに記載されているもの等、1つまたはそれ以上の有害事象、用量規制毒性(DLT)、好中球減少症もしくは発熱性好中球減少症、血小板減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)および/または神経毒性(NT)を発症する場合、サイクリングレジメンは、中断または修飾される。一部の実施形態では、対象が、セクションIVに記載されているもの等、1つまたはそれ以上の有害事象、用量規制毒性(DLT)、好中球減少症もしくは発熱性好中球減少症、血小板減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)および/または神経毒性(NT)を発症した後に、投与毎のまたは1週間のある特定の日における1日当たりの化合物Cの量は、変更される。
【0253】
II.細胞療法および細胞の操作
一部の実施形態では、提供される併用療法の方法に合わせた使用のための細胞療法(例えば、T細胞療法)は、がん、例えば、B細胞悪性病変等の疾患または状態に関連する抗原を認識するおよび/またはそれに特異的に結合するように設計された組換え受容体を発現する操作された細胞を投与する工程を含む。一部の実施形態では、抗原への結合は、そのような抗原に対する免疫応答等の応答をもたらす。一部の実施形態では、細胞は、操作された受容体または組換え受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を含有するかまたはそれを含有するように操作されている。CAR等の組換え受容体は一般に、一部の態様では、リンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達構成成分に連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合性ドメインを含む。一部の態様では、操作された細胞は、養子細胞療法のため等、対象への投与に適した医薬組成物および製剤として提供される。対象、例えば、患者に細胞および組成物を投与するための治療方法も提供される。一部の実施形態では、方法は、セクションIに記載されているいずれかである。
【0254】
よって、一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作により導入された1つまたはそれ以上の核酸を含み、これにより、そのような核酸の組換えまたは遺伝子操作された産物を発現する。一部の実施形態では、遺伝子移入は、先ず、細胞を刺激することにより、例えば、これを、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される、増殖、生存および/または活性化等の応答を誘導する刺激と組み合わせ、続いて、活性化された細胞を形質導入し、培養において、臨床適用に十分な数まで増大させることにより達成される。
【0255】
1.キメラ抗原受容体
提供される方法および使用、例えば、セクションIに記載されているいずれかの一部の実施形態では、T細胞等の操作された細胞は、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合性ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)を細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせる1つまたはそれ以上のドメインを含有する、キメラ抗原受容体(CAR)等のキメラ受容体を発現する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを提供するT細胞活性化ドメイン等の活性化細胞内ドメイン部分である。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を容易にするための共刺激シグナル伝達ドメインを含有するかまたはさらに含有する。分子、例えば、抗原への特異的結合時に、受容体は一般に、ITAM伝達シグナル等の免疫刺激シグナルを細胞内に送達し、これにより、疾患または状態に標的化された免疫応答を促進する。一部の実施形態では、キメラ受容体は、免疫細胞において遺伝子操作された場合、T細胞活性をモジュレートすることができ、一部の事例では、T細胞分化または恒常性をモジュレートし、これにより、養子細胞療法の方法における使用のため等、インビボで改善された長寿、生存および/または持続性を有する遺伝子操作された細胞をもたらすことができる。
【0256】
CARを含む例示的な抗原受容体、ならびにそのような受容体を細胞内に操作および導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号および同第8,479,118号ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338;Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39;Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって記載されているものを含む。一部の態様では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668A1に記載されているものを含む。CARの例は、これらそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)等、上述の刊行物のいずれかに開示されているCARを含む。WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0257】
CD19を標的化する例示的なCAR T細胞療法は、FDA承認された製品BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲン(lisocabtagene)・マラルユーセル)、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタゲン・オートルユーセル(brexucabtagene autoleucel))、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)およびYESCARTA(商標)(アキシカブタゲン・シロルユーセル)を含む、臨床試験NCT02644655、NCT03744676、NCT01087294、NCT03366350、NCT03790891、NCT03497533、NCT04007029、NCT03960840、NCT04049383、NCT04094766、NCT03366324、NCT02546739、NCT03448393、NCT03467256、NCT03488160、NCT04012879、NCT03016377、NCT03468153、NCT03483688、NCT03398967、NCT03229876、NCT03455972、NCT03423706、NCT03497533およびNCT04002401において調査されたまたは調査中の療法を含む。例示的な操作された細胞は、BREYANZI(登録商標)、TECARTUS(商標)、KYMRIAH(商標)、YESCARTA(商標)、UCART19およびALLO-501を含む。一部の態様では、操作された細胞は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるMarofi et al., Front. Immunol. (2021) 12:681984に記載されている細胞のいずれかを含む。
【0258】
一部の実施形態では、T細胞等の操作された細胞は、特定の細胞型の表面に発現される抗原等の特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)に対する特異性を有するキメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、受容体によって標的化される抗原は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、これは、炭水化物または他の分子である。一部の実施形態では、抗原は、正常なまたは標的化されない細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞において選択的に発現または過剰発現される。他の実施形態では、抗原は、正常な細胞において発現される、および/または操作された細胞において発現される。
【0259】
受容体によって標的化される抗原は、一部の実施形態では、多数の知られているB細胞マーカーのいずれか等、B細胞悪性病変に関連する抗原を含む。一部の実施形態では、受容体によって標的化される抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパー、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30である。特定の態様では、抗原は、CD19である。一部の実施形態では、そのような抗原のいずれかは、ヒトB細胞において発現される抗原である。
【0260】
CAR等のキメラ受容体は一般に、抗体分子の抗原結合性部分である細胞外抗原結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、抗体分子の部分、一般に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片である。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)、例えば、sdFv、ナノボディ、VHおよびVNARである。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、可動性リンカーによって連接された抗体可変領域を含む。
【0261】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片(例えば、scFvまたはVドメイン)は、CD19等の抗原を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、CD19に特異的に結合する抗体または抗原結合性断片に由来するか、またはそのバリアントである。
【0262】
一部の実施形態では、抗原は、CD19である。一部の実施形態では、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVおよびVを含有する。一部の実施形態では、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1等のマウス由来抗体である。一部の実施形態では、抗体または抗体断片は、例えば、米国特許公開番号US2016/0152723に記載されているヒト抗体である。
【0263】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、一部の態様ではscFvとなり得る、FMC63に由来するVおよび/またはVを含む。FMC63は一般に、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して産生されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。一部の実施形態では、FMC63抗体は、それぞれ配列番号38および39に記載されるCDR-H1およびCDR-H2、ならびに配列番号40または54に記載されるCDR-H3、ならびに配列番号35に記載されるCDR-L1、ならびに配列番号36または55に記載されるCDR-L2、ならびに配列番号37または56に記載されるCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、FMC63抗体は、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(V)、および配列番号42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(V)を含む。
【0264】
一部の実施形態では、scFvは、配列番号35のCDR-L1配列、配列番号36のCDR-L2配列および配列番号37のCDR-L3配列を含有する可変軽鎖ならびに/もしくは配列番号38のCDR-H1配列、配列番号39のCDR-H2配列および配列番号40のCDR-H3配列を含有する可変重鎖、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号41に記載されるFMC63の可変重鎖領域および配列番号42に記載されるFMC63の可変軽鎖領域、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを含む。一部の実施形態では、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号59に記載される。一部の実施形態では、scFvは、順番に、V、リンカーおよびVを含む。一部の実施形態では、scFvは、順番に、V、リンカーおよびVを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号57に記載されるヌクレオチドの配列、または配列番号57に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%配列同一性を示す配列によってコードされる。一部の実施形態では、scFvは、配列番号43に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%配列同一性を示す配列を含む。一部の実施形態では、抗CD19 CARは、BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲン・マラルユーセル)のCARである。一部の実施形態では、T細胞療法は、BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲン・マラルユーセル)である。
【0265】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、一部の態様ではscFvとなり得る、SJ25C1に由来するVおよび/またはVを含む。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して産生されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。一部の実施形態では、SJ25C1抗体は、それぞれ配列番号47~49に記載されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3、ならびにそれぞれ配列番号44~46に記載されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、SJ25C1抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(V)、および配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(V)を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号44のCDR-L1配列、配列番号45のCDR-L2配列および配列番号46のCDR-L3配列を含有する可変軽鎖ならびに/もしくは配列番号47のCDR-H1配列、配列番号48のCDR-H2配列および配列番号49のCDR-H3配列を含有する可変重鎖、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号50に記載されるSJ25C1の可変重鎖領域および配列番号51に記載されるSJ25C1の可変軽鎖領域、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを含む。一部の実施形態では、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号52に示される。一部の実施形態では、scFvは、順番に、V、リンカーおよびVを含む。一部の実施形態では、scFvは、順番に、V、リンカーおよびVを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号53に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号53に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%配列同一性を示す配列を含む。
【0266】
一部の実施形態では、抗CD19 CARは、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタゲン・オートルユーセル)のCARである。一部の実施形態では、T細胞療法は、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタゲン・オートルユーセル)である。
【0267】
一部の実施形態では、抗CD19 CARは、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)のCARである。一部の実施形態では、T細胞療法は、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)である。
【0268】
一部の実施形態では、抗CD19 CARは、YESCARTA(商標)(アキシカブタゲン・シロルユーセル)のCARである。一部の実施形態では、T細胞療法は、YESCARTA(商標)(アキシカブタゲン・シロルユーセル)である。
【0269】
本明細書における用語「抗体」は、最も広義で使用されており、無傷抗体および機能的な(抗原結合性)抗体断片を含むポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含み、該断片は、抗原結合性フラグメント(Fab)断片、F(ab’)断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(V)領域、単鎖可変断片(scFv)を含む単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ、VHまたはVNAR)または断片を含む。この用語は、遺伝子操作されたおよび/または他の仕方で修飾された形態の免疫グロブリン、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全にヒト抗体、ヒト化抗体およびヘテロコンジュゲート抗体、多特異性、例えば、二特異性の抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)、タンデム型ジscFv、タンデム型トリscFvを包含する。他に記述がなければ、用語「抗体」は、その機能的な抗体断片を包含するものと理解されるべきである。この用語は、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgAならびにIgDを含む、いずれかのクラスまたはサブクラスの抗体を含む無傷または全長抗体も包含する。一部の態様では、CARは、例えば、異なる特異性を有する2個の抗原結合性ドメインを含有する、二特異性CARである。
【0270】
一部の実施形態では、抗原結合性タンパク質、抗体およびそれらの抗原結合性断片は、全長抗体の抗原を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗体の重鎖および軽鎖は、全長となることができるか、または抗原結合性部分(Fab、F(ab’)2、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv))となることができる。他の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、より具体的には、IgG1(例えば、ヒトIgG1)から選択される。別の実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパーまたはラムダ、特に、カッパーから選択される。
【0271】
「高頻度可変領域」または「HVR」と同義である用語「相補性決定領域」および「CDR」は、一部の事例では、抗原特異性および/または結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の非近接配列を指すことが知られている。一般に、各重鎖可変領域における3個のCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)および各軽鎖可変領域における3個のCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)が存在する。「フレームワーク領域」および「FR」は、一部の事例では、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが知られている。一般に、各全長重鎖可変領域における4個のFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4)および各全長軽鎖可変領域における4個のFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4)が存在する。
【0272】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745.”(「接触(Contact)」ナンバリングスキーム);Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);Honegger A and Pluckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)によって記載されたスキームを含む多数のよく知られているスキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。
【0273】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定のために使用されるスキームに応じて変動し得る。例えば、Kabatスキームは、構造配列に基づき、一方、Chothiaスキームは、構造情報に基づく。KabatおよびChothiaスキームの両方のためのナンバリングは、最も一般的な抗体領域配列の長さに基づき、挿入は、挿入文字、例えば、「30a」によって対応され、欠失は、一部の抗体において出現する。この2つのスキームは、ある特定の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に配置し、差次的ナンバリングをもたらす。接触スキームは、複雑な結晶構造の解析に基づき、多くの点でChothiaナンバリングスキームと同様である。AbMスキームは、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェアによって使用されるものに基づく、KabatおよびChothia定義の間の妥協である。
【0274】
下の表2は、それぞれKabat、Chothia、AbMおよび接触スキームによって同定される、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を収載する。CDR-H1について、残基ナンバリングは、KabatおよびChothiaナンバリングスキームの両方を使用して収載されている。FRは、CDRの間に位置付けられ、例えば、FR-L1は、CDR-L1の前に位置付けられ、FR-L2は、CDR-L1およびCDR-L2の間に位置付けられ、FR-L3は、CDR-L2およびCDR-L3の間に位置付けられる、等々。示されているKabatナンバリングスキームは、挿入をH35AおよびH35Bに配置するため、Chothia CDR-H1ループの終わりは、示されているKabatナンバリング慣例を使用してナンバリングされた場合、ループの長さに応じて、H32およびH34の間で変動することが留意される。
【表2】
【0275】
よって、他に指定がなければ、所与の抗体またはその領域、例えば、その可変領域の「CDR」または「相補性(complementary)決定領域」または個々の指定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、上述のスキームまたは他の知られているスキームのいずれかによって定義されるある(または特異的な)相補性(complementary)決定領域を包含するものと理解されたい。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が、所与のVまたはV領域アミノ酸配列における対応するCDRのアミノ酸配列を含有することが記述される場合、そのようなCDRが、上述のスキームまたは他の知られているスキームのいずれかによって定義される可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有することが理解される。一部の実施形態では、特異的CDR配列は、指定されている。提供される抗体の例示的なCDR配列は、様々なナンバリングスキームを使用して記載されるが、提供される抗体が、当業者に知られている他の上述のナンバリングスキームまたは他のナンバリングスキームのいずれかに従って記載されるCDRを含むことができることが理解される。
【0276】
同様に、他に指定がなければ、所与の抗体またはその領域、例えば、その可変領域のFRまたは個々の指定されたFR(例えば、FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、知られているスキームのいずれかによって定義されるある(または特異的な)フレームワーク領域を包含するものと理解されたい。一部の実例では、Kabat、Chothia、AbMもしくは接触方法または他の知られているスキームによって定義されるCDR等、特定のCDR、FRまたはCDRの同定のためのスキームは、指定されている。他の事例では、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列は、与えられている。
【0277】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗原への抗体の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVおよびV)は一般に、同様の構造を有し、各ドメインは、4個の保存されたフレームワーク領域(FR)および3個のCDRを含む(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照)。単一のVまたはVドメインは、抗原結合特異性の付与に十分となり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、それぞれ相補的VまたはVドメインのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に結合する抗体由来のVまたはVドメインを使用して単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0278】
提供される抗体の中でも、抗体断片が特に挙げられる。「抗体断片」は、無傷抗体が結合する抗原に結合する、無傷抗体の部分を含む、無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;線形抗体;可変重鎖(V)領域、単鎖抗体分子、例えば、scFvおよび単一ドメインV単一抗体;ならびに抗体断片から形成された多特異性抗体を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態では、抗体は、scFv等、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む単鎖抗体断片である。
【0279】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗原への抗体の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVおよびV)は一般に、同様の構造を有し、各ドメインは、4個の保存されたフレームワーク領域(FR)および3個のCDRを含む(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照)。単一のVまたはVドメインは、抗原結合特異性の付与に十分となり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、それぞれ相補的VまたはVドメインのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に結合する抗体由来のVまたはVドメインを使用して単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0280】
単一ドメイン抗体(sdAb)は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは部分または軽鎖可変ドメインの全てもしくは部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、CARは、本明細書に記載されているまたは知られている標的抗原のいずれか等、腫瘍細胞またはがん細胞等の標的化されるべき細胞または疾患のがんマーカーまたは細胞表面抗原等の抗原に特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。例示的な単一ドメイン抗体は、sdFv、ナノボディ、VHまたはVNARを含む。
【0281】
抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解による消化や、組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限定されない、様々な技法によって作製することができる。一部の実施形態では、抗体は、合成リンカー、例えば、ペプチドリンカーによって連接された2個以上の抗体領域もしくは鎖を有する断片および/または天然に存在する無傷抗体の酵素消化によって産生され得ない断片等、天然では起こらない配置を含む断片等、組換えにより産生された断片である。一部の実施形態では、抗体断片は、scFvである。
【0282】
「ヒト化」抗体は、全てのまたは実質的に全てのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、全てのまたは実質的に全てのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する、抗体である。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでいてもよい。非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しつつ、典型的にヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化を受けた非ヒト抗体のバリアントを指す。一部の実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が得られた抗体)由来の対応する残基で置換されている。
【0283】
一部の態様では、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体は、抗体またはその断片等の1つまたはそれ以上のリガンド(例えば、抗原)結合性ドメインを含有する細胞外部分と、1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達領域またはドメイン(互換的に、細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域とも呼ばれる)とを含む。一部の態様では、組換え受容体、例えば、CARは、スペーサーおよび/または膜貫通ドメインまたは部分をさらに含む。一部の態様では、スペーサーおよび/または膜貫通ドメインは、リガンド(例えば、抗原)結合性ドメインを含有する細胞外部分と、細胞内シグナル伝達領域またはドメインとを連結することができる。
【0284】
一部の実施形態では、CAR等の組換え受容体は、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョン、例えば、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域ならびに/またはC1/Cおよび/もしくはFc領域の少なくとも一部分となり得るかまたはそれを含み得るスペーサーをさらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または部分である。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識構成成分、例えば、scFvおよび膜貫通ドメインの間のスペーサー領域として機能する。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性増加をもたらす長さのものであり得る。一部の例では、スペーサーは、12アミノ酸の長さであるまたは約12アミノ酸の長さであるまたは12以下のアミノ酸の長さである。例示的なスペーサーは、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸または約10~15アミノ酸を有し、収載されている範囲のいずれかの終点の間のいずれかの整数を含むスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、C2およびC3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはC3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135、国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものを含むがこれらに限定されない。
【0285】
一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1に記載され、配列番号2に記載される配列によってコードされるヒンジのみスペーサー等、IgG4またはIgG1のヒンジのみ等、IgGのヒンジ領域のみを含有する。一部の実施形態では、スペーサーは、C2および/またはC3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載される等、C2およびC3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載される等、C3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の可動性リンカー、例えば、知られている可動性リンカーであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDのそれである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号5に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1、3、4および5のいずれかに対して少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0286】
一部の態様では、スペーサーは、(a)免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなるか、または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、(b)免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4ヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなる、および/または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、あるいは(c)12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さである、および/または免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4もしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかまたはそれからなる;あるいは(d)配列番号1、3~5、27~34もしくは58に記載されるアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントからなるかまたはそれを含む、あるいは(e)式XPPXP(式中、Xは、グリシン、システインまたはアルギニンであり、Xは、システインまたはスレオニンである)を含むかまたはそれからなる、ポリペプチドスペーサーである。
【0287】
一部の実施形態では、抗原受容体は、細胞外ドメインに直接的にまたは間接的に連結された細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMを含む。例えば、一部の態様では、抗原認識ドメイン(例えば、細胞外ドメイン)は一般に、CARの場合はTCR複合体等の抗原受容体複合体を介した活性化をおよび/または別の細胞表面受容体を経由したシグナルを模倣するシグナル伝達構成成分等の1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達構成成分に連結される。一部の実施形態では、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えば、scFv)および細胞内シグナル伝達ドメインの間に連結または融合された膜貫通ドメインを含む。よって、一部の実施形態では、抗原結合性構成成分(例えば、抗体)は、1つまたはそれ以上の膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。
【0288】
一実施形態では、受容体、例えば、CARにおけるドメインの1つと天然で会合する膜貫通ドメインが使用される。一部の実例では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、同一または異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択されるか、またはそうなるようにアミノ酸置換によって修飾される。
【0289】
膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、天然または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、一部の態様では、いずれかの膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137(4-1BB)またはCD154のアルファ、ベータまたはゼータ鎖に由来する膜貫通領域を含む(即ち、その少なくとも膜貫通領域を含む)。その代わりに、膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、合成である。一部の態様では、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリン等の疎水性残基を優勢に含む。一部の態様では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの各末端に見出されるであろう。一部の実施形態では、連結は、リンカー、スペーサーおよび/または膜貫通ドメインによる。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28またはそのバリアントの膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインおよび膜貫通は、直接的にまたは間接的に連結することができる。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、本明細書に記載されているいずれか等のスペーサーによって連結される。
【0290】
一部の実施形態では、受容体、例えば、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28またはそのバリアントの膜貫通ドメイン、例えば、ヒトCD28の27アミノ酸膜貫通ドメイン(受託番号P10747.1)であるか、あるいは配列番号8に記載されるアミノ酸の配列または配列番号8に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、組換え受容体の部分を含有する膜貫通ドメインは、配列番号9に記載されるアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0291】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARは、少なくとも1個の細胞内シグナル伝達構成成分、例えば、細胞内シグナル伝達領域またはドメインを含む。T細胞活性化は、一部の態様では、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されるものとして記載される:TCRを介して抗原依存性一次活性化を開始するクラス(一次細胞質シグナル伝達配列)および抗原非依存性様式で作用して、二次または共刺激シグナルを提供するクラス(二次細胞質シグナル伝達配列)。一部の態様では、CARは、そのようなシグナル伝達構成成分の一方または両方を含む。細胞内シグナル伝達領域の中でも、天然の抗原受容体を介したシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介したシグナルおよび/または共刺激受容体単独を介したシグナルを模倣するまたはそれに近似する細胞内シグナル伝達領域が特に挙げられる。一部の実施形態では、短いオリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10の間のアミノ酸の長さのリンカー、例えば、グリシンおよびセリン、例えば、グリシン-セリンダブレットを含有するリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインおよび細胞質シグナル伝達ドメインの間に連結を形成する。
【0292】
一部の実施形態では、CARのライゲーションにより、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達領域は、CARを発現するように操作された免疫細胞、例えば、T細胞の正常なエフェクター機能または応答のうち少なくとも1つを活性化する。例えば、一部の状況では、CARは、サイトカインまたは他の因子の分泌等、細胞溶解活性またはT-ヘルパー活性等、T細胞の機能を誘導する。一部の実施形態では、抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の切断された部分は、例えば、エフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷免疫刺激鎖の代わりに使用される。一部の実施形態では、例えば細胞内ドメインを含む、細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、また、一部の態様では、天然の状況において、そのような受容体と協調して作用して、抗原受容体係合後にシグナル伝達を開始する共受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子のいずれかの誘導体もしくはバリアント、および/または同一の機能的性能を有するいずれかの合成配列も含む。一部の実施形態では、例えば細胞内ドメインを含む、細胞内シグナル伝達領域は、共刺激シグナルの提供に関与する領域またはドメインの細胞質配列を含む。
【0293】
一部の態様では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフまたはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有することができる。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例は、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタおよびCD3イプシロンに由来するITAMを含む。一部の実施形態では、CARにおける細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その部分または配列を含有する。
【0294】
一部の実施形態では、受容体は、T細胞活性化ならびに細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖等、TCR複合体の細胞内構成成分を含む。よって、一部の態様では、抗原結合性部分は、1つまたはそれ以上の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、受容体、例えば、CARは、Fc受容体γ、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、CD25またはCD16等の1つまたはそれ以上の追加の分子の部分をさらに含む。例えば、一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0295】
一部の実施形態では、細胞内(または細胞質)シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、適宜、CD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性バリアント、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112AA細胞質ドメイン(受託番号P20963.2)または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、配列番号13、14もしくは15に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号13、14もしくは15に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0296】
天然のTCRの状況において、完全活性化は一般に、TCRを介したシグナル伝達のみならず、共刺激シグナルも要求する。よって、一部の実施形態では、完全活性化を促進するために、二次または共刺激シグナルを生成するための構成成分もまた、CARに含まれる。他の実施形態では、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。一部の態様では、追加のCARが同一細胞において発現され、二次または共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。
【0297】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。一部の実施形態では、CARは、CD28、4-1BB、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、ICOSおよび/または他の共刺激受容体等の共刺激受容体のシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、CARは、ヒトCD28またはヒト4-1BB等のCD28または4-1BBの共刺激領域またはドメインを含む。
【0298】
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域またはドメインは、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性バリアントもしくは部分、例えば、その41アミノ酸ドメインおよび/またはネイティブCD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10もしくは11に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号10もしくは11に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含むことができる。一部の実施形態では、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性バリアントもしくは部分、例えば、ヒト4-1BBの42アミノ酸細胞質ドメイン(受託番号Q07011.1)またはその機能性バリアントもしくは部分、例えば、配列番号12に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号12に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0299】
一部の態様では、同一CARが、一次(または活性化)細胞質シグナル伝達領域および共刺激シグナル伝達構成成分の両方を含む。
【0300】
一部の実施形態では、ある1つのCAR内に活性化ドメインが含まれ、一方、別の抗原を認識する別のCARによって共刺激構成成分が提供される。一部の実施形態では、CARは、活性化または刺激CARと、共刺激CARとを含み、両者は同一細胞の表面に発現される(WO2014/055668を参照)。一部の態様では、細胞は、1つまたはそれ以上の刺激もしくは活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。一部の実施形態では、細胞は、阻害CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)を参照)、例えば、疾患または状態に関連するおよび/またはそれに特異的である抗原以外の抗原を認識するCARをさらに含み、それによって、疾患標的化CARを介して送達される活性化シグナルは、そのリガンドへの阻害CARの結合によって減少または阻害され、例えば、オフターゲット効果を低減させる。
【0301】
一部の事例では、CARは、第一、第二および/または第三世代CARと称される。一部の態様では、第一世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘導性シグナルを単に提供するCARである;一部の態様では、第二世代CARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するCAR、例えば、CD28またはCD137等の共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである;一部の態様では、第三世代CARは、一部の態様では、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むCARである。
【0302】
一部の実施形態では、CARは、1つまたはそれ以上の、例えば、2個以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを細胞質部分に包含する。例示的なCARは、CD3-ゼータ、CD28および4-1BBの細胞内構成成分を含む。
【0303】
一部の実施形態では、抗原受容体は、マーカーをさらに含む、および/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、受容体を発現させるための細胞の形質導入もしくは操作の確認に使用され得る細胞表面マーカー等のサロゲートマーカーをさらに含む。一部の態様では、マーカーは、CD34、NGFRまたは上皮増殖因子受容体の全てまたは一部(例えば、切断形態)、例えば、そのような細胞表面受容体の切断バージョン(例えば、tEGFR)を含む。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、切断可能リンカー配列、例えば、T2A等のリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。例えば、マーカーおよび適宜、リンカー配列は、公開特許出願番号WO2014031687に開示されているいずれかとなることができる。例えば、マーカーは、T2A切断可能リンカー配列等のリンカー配列に連結されていてよい、切断型EGFR(tEGFR)となることができる。
【0304】
切断型EGFR(例えば、tEGFR)のための例示的なポリペプチドは、配列番号7もしくは16に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、配列番号6もしくは17に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号6もしくは17に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0305】
一部の実施形態では、マーカーは、T細胞において天然に見出されないかもしくはT細胞の表面において天然に見出されない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその部分である。一部の実施形態では、分子は、非自己分子、非自己タンパク質、即ち、細胞が養子移入されるであろう宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0306】
一部の実施形態では、マーカーは、治療機能を果たさない、および/または遺伝子操作のための、例えば、操作に成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用されるもの以外の効果を生じない。他の実施形態では、マーカーは、治療的分子または他の場合ではいくつかの所望の効果を発揮する分子、例えば、インビボで細胞が遭遇されるリガンド、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強し、および/または弱める共刺激性または免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0307】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載されている抗体または断片を含有する細胞外部分を含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載されている抗体または断片を含有する細胞外部分と、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvまたは単一ドメインV抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CD3-ゼータ鎖は、ヒトCD3-ゼータ鎖である。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、CD28は、ヒトCD28である。一部の実施形態では、4-1BBは、ヒト4-1BBである。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に設置された膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインおよび膜貫通は、直接的にまたは間接的に連結され得る。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、本明細書に記載されているいずれか等のスペーサーによって連結される。
【0308】
一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分またはその機能性バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメインと、CD28のシグナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインとを含有する。例えば、一部の実施形態では、CARは、上に記載されているいずれか等、例えば、CD19に特異的なscFvを含む抗体断片等の抗体と、Igヒンジ含有スペーサー等、重鎖分子のヒンジ領域および/または1つもしくはそれ以上の定常領域等の免疫グロブリン分子の部分を含有するスペーサー等のスペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインの全てまたは部分を含有する膜貫通ドメインと、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含む。
【0309】
一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分またはその機能性バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメインと、4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインとを含有する。一部のそのような実施形態では、受容体は、ヒンジのみのスペーサー等、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジ等、ヒトIg分子等のIg分子の部分を含有するスペーサーをさらに含む。一部の実施形態では、CARは、上に記載されているいずれか等、例えば、CD19に特異的なscFv等の抗体または断片と、Igヒンジ含有スペーサーのいずれか等のスペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータ由来シグナル伝達ドメインとを含む。
【0310】
B.核酸、ベクターおよび遺伝子操作に関する方法
ある実施形態では、細胞、例えば、T細胞は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作されている。一部の実施形態では、操作は、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを導入することにより行われる。組換え受容体をコードするポリヌクレオチド、ならびにそのような核酸および/またはポリヌクレオチドを含有するベクターまたは構築物も提供される。
【0311】
一部の事例では、組換え受容体をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。一部の態様では、シグナル配列は、天然ポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードすることができる。他の態様では、シグナル配列は、配列番号25に記載され、配列番号24に記載されるヌクレオチド配列によってコードされる、GMCSFRアルファ鎖の例示的なシグナルペプチド等の異種または非天然シグナルペプチドをコードすることができる。一部の事例では、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。シグナルペプチドの非限定的で例示的な例は、例えば、配列番号25に記載され、配列番号24に記載されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRアルファ鎖シグナルペプチド、または配列番号26に記載されるCD8アルファシグナルペプチドを含む。
【0312】
一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するために、操作可能に連結された少なくとも1つのプロモーターを含有する。一部の例では、ポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するために、操作可能に連結された2、3つ以上のプロモーターを含有する。
【0313】
核酸分子が2つ以上の異なるポリペプチド鎖、例えば、組換え受容体およびマーカーをコードする、ある特定の事例では、ポリペプチド鎖のそれぞれは、別々の核酸分子によってコードされ得る。例えば、2つの別々の核酸が提供され、それぞれは、細胞における発現のために、細胞に個々に移入または導入され得る。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸およびマーカーをコードする核酸は、同一プロモーターに作動可能に連結されており、これは、配列内リボソーム進入部位(IRES)、または適宜、T2A、P2A、E2AもしくはF2Aである、自己切断性ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分離されていてよい。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる位置に存在するまたは挿入される。一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、レトロウイルス形質導入、トランスフェクションまたは形質転換等により、培養細胞を含有する組成物に導入される。
【0314】
ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含有する実施形態等、一部の実施形態では、異なるポリペプチド鎖のそれぞれをコードするコード配列は、同一であっても異なっていてもよいプロモーターに操作可能に連結され得る。一部の実施形態では、核酸分子は、2つ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモーターを含有することができる。一部の実施形態では、そのような核酸分子は、マルチシストロニック(バイシストロニックまたはトリシストロニック、例えば、米国特許第6,060,273号を参照されたい)となることができる。一部の実施形態では、転写単位は、単一プロモーターからのメッセージによる遺伝子産物((例えば、マーカーをコードするおよび組換え受容体をコードする)の同時発現を可能にするIRES(配列内リボソーム進入部位)を含有するバイシストロニック単位として操作され得る。代わりに、一部の事例では、単一プロモーターは、単一オープンリーディングフレーム(ORF)において、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フューリン)をコードする配列によって互いに分離される2つまたは3つの遺伝子(例えば、マーカーをコードするおよび組換え受容体をコードする)を含有するRNAの発現を誘導し得る。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかで、個々のタンパク質にプロセシングされる単一ポリペプチドをコードする。一部の事例では、T2A等のペプチドは、リボソームに、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と、下流にある次のペプチドとの間に分離を引き起こす(例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照)。様々な2Aエレメントが知られている。本明細書に開示される方法およびシステムにおいて使用することができる2A配列の例は、米国特許出願公開第20070116690号に記載されている、口蹄疫ウイルス(F2A、例えば、配列番号21)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えば、配列番号20)、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えば、配列番号6または17)およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えば、配列番号18または19)由来の2A配列を限定することなく含む。
【0315】
本明細書に記載されている組換え受容体のいずれかが、いずれかの組合せまたは配置で、組換え受容体をコードする1つまたはそれ以上の核酸配列を含有するポリヌクレオチドによってコードされてもよい。例えば、1、2、3つ以上のポリヌクレオチドが、1、2、3つ以上の異なるポリペプチド、例えば、組換え受容体をコードすることができる。一部の実施形態では、ある1つのベクターまたは構築物は、マーカーをコードする核酸配列を含有し、別々のベクターまたは構築物は、組換え受容体、例えば、CARをコードする核酸配列を含有する。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸は、マーカーをコードする核酸の下流に存在する。
【0316】
一部の実施形態では、ベクター骨格は、1つまたはそれ以上のマーカーをコードする核酸配列を含有する。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のマーカーは、形質導入マーカー、サロゲートマーカーおよび/または選択マーカーである。
【0317】
一部の実施形態では、マーカーは、形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーである。形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーを使用して、ポリヌクレオチド、例えば、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドにより導入された細胞を検出することができる。一部の実施形態では、形質導入マーカーは、細胞の改変を示し得るか、またはそれを確認し得る。一部の実施形態では、サロゲートマーカーは、組換え受容体、例えばCARとともに細胞表面上で共発現されるよう作製されたタンパク質である。特定の実施形態では、そのようなサロゲートマーカーは、活性をほとんどまたは全く持たなくなるように修飾された表面タンパク質である。ある特定の実施形態では、サロゲートマーカーは、組換え受容体をコードする同一ポリヌクレオチドにコードされる。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸配列は、配列内リボソーム進入部位(IRES)、またはT2A、P2A、E2AもしくはF2A等の2A配列等の自己切断性ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分離されていてよい、マーカーをコードする核酸配列に作動可能に連結される。外因性マーカー遺伝子は、一部の事例では、細胞の検出または選択を可能にするよう、また一部の事例では細胞自殺を促進するよう操作された細胞と関連して利用され得る。
【0318】
例示的なサロゲートマーカーは、非機能的であり、シグナルもしくは細胞表面ポリペプチドの全長形態によって通常伝達されるシグナルを伝達しないかもしくは伝達することができない、および/または内部移行しないかもしくは内部移行することができない切断形態等、細胞表面ポリペプチドの切断形態を含むことができる。例示的な切断型細胞表面ポリペプチドは、切断型ヒト上皮増殖因子受容体2(tHER2)、切断型上皮増殖因子受容体(tEGFR、例示的なtEGFR配列を配列番号7または16に記載される)もしくは前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはこれらの改変形態等、増殖因子または他の受容体の切断形態を含む。tEGFRは、tEGFR構築物およびコードされた外因性タンパク質により操作された細胞の同定もしくは選択にならびに/またはコードされた外因性タンパク質を発現する細胞の排出もしくは分離に使用することができる、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含有することができる。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434)を参照されたい。一部の態様では、マーカー、例えば、サロゲートマーカーは、CD34、NGFR、CD19もしくは切断型CD19、例えば、切断型非ヒトCD19、または上皮増殖因子受容体(例えば、tEGFR)の全てまたは一部(例えば、切断形態)を含む。
【0319】
一部の実施形態では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えば、スーパーフォールド(super-fold)GFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えば、tdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色(blue green)蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに蛍光タンパク質の種バリアント、単量体バリアントならびにコドン最適化および/または増強されたバリアントを含むそれらのバリアントであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、マーカーは、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、イー・コリ(E. coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるかまたはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントを含む。
【0320】
一部の実施形態では、マーカーは、選択マーカーである。一部の実施形態では、選択マーカーは、外因性薬剤もしくは薬物に対して耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネテシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはそれらの改変形態であるか、またはそれらを含む。
【0321】
一部の実施形態では、分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入されることになる宿主の免疫系によって「自己」として認識されないそれである。
【0322】
一部の態様では、マーカーは、治療的機能を果たさず、および/または例えば首尾よく操作された細胞を選択するために、遺伝子操作用のマーカーとして使用される以外の効果を生じない。他の実施形態では、マーカーは、治療用分子、またはある所望の効果を他の仕方で発揮する分子、例えば、インビボで遭遇することになる細胞のリガンド、例えば、養子移入およびリガンドとの遭遇後に細胞の応答を増強および/または減衰するための共刺激または免疫チェックポイント分子となることができる。
【0323】
一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、切断可能リンカー配列、例えば、T2A等のリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。例えば、マーカー、および適宜リンカー配列は、PCT国際公開WO2014031687号において開示されるいずれかであり得る。例えば、マーカーは、リンカー配列、例えばT2A切断可能リンカー配列に連結されてもよい切断型EGFR(tEGFR)であり得る。切断型EGFR(例えば、tEGFR)の例示的なポリペプチドは、配列番号7もしくは16に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0324】
一部の実施形態では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えば、スーパーフォールドGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えば、tdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに蛍光タンパク質の種バリアント、単量体バリアントならびにコドン最適化および/または増強されたバリアントを含むそれらのバリアントであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、マーカーは、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、イー・コリ由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるかまたはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントを含む。
【0325】
一部の実施形態では、マーカーは、選択マーカーである。一部の実施形態では、選択マーカーは、外因性薬剤もしくは薬物に対して耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネテシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはそれらの改変形態であるか、またはそれらを含む。
【0326】
一部の実施形態では、組換え核酸は、例えばサルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクター等の組換え感染性ウイルス粒子を使用して、細胞へ移入される。一部の実施形態では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えば、ガンマ-レトロウイルスベクターを使用してT細胞に移入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy, 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp. Hematol., 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al. (2013) Mol. Ther. Nucl. Acids., 2, e93;Park et al., Trends Biotechnol., 2011 November 29(11): 550-557を参照)。
【0327】
一部の実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0328】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクターは、末端反復配列の配列(LTR)、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターを有する。大部分のレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。一部の実施形態では、レトロウイルスは、任意の鳥類または哺乳動物細胞供給源に由来するものを含む。レトロウイルスは通常、アンホトロピックであり、それらがヒトを含む数種の宿主細胞を感染することが可能であることを意味する。一実施形態では、発現されるべき遺伝子は、レトロウイルスgag、polおよび/またはenv配列を置き換える。多数の説明的なレトロウイルス系が記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A.D.(1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al.(1991) Virology 180:849-852;Burns et al.(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0329】
レンチウイルス形質導入の方法は、知られている。例示的な方法は、例えば、Wang et al.(2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;Cooper et al.(2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al.(2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0330】
一部の実施形態では、組換え核酸は、電気穿孔を介してT細胞に移入される(例えば、Chicaybam et al,(2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al.(2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照)。一部の実施形態では、組換え核酸は、転位を介してT細胞に移入される(例えば、Manuri et al.(2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437;Sharma et al.(2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al.(2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照)。免疫細胞において遺伝子材料を導入および発現する他の方法として、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されるような)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子促進微粒子衝撃(Johnston, Nature, 346: 776-777(1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034(1987))が挙げられる。
【0331】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開WO2014055668号、および米国特許第7,446,190号に記載されるものである。
【0332】
一部の実施形態では、細胞、例えばT細胞は、増大中または後のいずれかに、例えばT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)でトランスフェクトされ得る。所望の受容体の遺伝子の導入のためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行われ得る。次に、遺伝子改変された細胞集団は、初期刺激(例えば、抗CD3/抗CD28刺激)から解放することができ、それに後続して、例えば、de novo導入された受容体を介して、第2の型の刺激で刺激することができる。この第2の型の刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)または新たな受容体のフレームワーク内で直接結合する(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)任意のリガンド(例えば、抗体)の形態の抗原刺激を含み得る。例えば、Cheadle et al, "Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy" Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0333】
一部の事例では、細胞、例えば、T細胞が活性化されることを要求しないベクターを使用することができる。一部のそのような場合では、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、細胞は、細胞の培養の前に、またはその後に、一部の事例では、培養と同時に、または培養の少なくとも一部中に操作され得る。
【0334】
さらなる核酸、例えば、導入用の遺伝子の中には、例えば移入された細胞の生存度および/または機能を促進することによって、療法の有効性を改善するもの;例えばインビボでの生存または局在化を評価するための細胞の選択および/または評価用の遺伝子マーカーを提供する遺伝子;例えば、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338(1992)によって記載されるように細胞をネガティブ選択を受けやすくさせることによって安全性を改善する遺伝子がある;同様に、ドミナントポジティブ選択可能マーカーとネガティブ選択可能マーカーとの融合に由来する二官能性選択可能融合遺伝子の使用について記載するLuptonらによるPCT/US91/08442号およびPCT/US94/05601号の刊行物も参照されたい。例えば、Riddellら、米国特許第6,040,177号の欄14~17を参照されたい。
【0335】
C.遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
一部の実施形態では、核酸は、異種であり、即ち、例えば、操作されている細胞では通常見出されない別の生物または細胞、および/またはそのような細胞が由来されない生物から得られたもの等の細胞または細胞から得られた試料中には通常存在しない。一部の実施形態では、核酸は、天然に存在せず、例えば、多種多様な細胞型由来の各種ドメインをコードする核酸のキメラ組合せを含むものを含む、天然に存在しない核酸である。
【0336】
細胞は概して、哺乳動物細胞等の真核細胞であり、通常、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官に由来し、リンパ球、通常はT細胞および/またはNK細胞を含む、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば骨髄系またはリンパ系細胞等の免疫系の細胞である。他の例示的な細胞として、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性および多能性幹細胞等の幹細胞が挙げられる。細胞は通常、対象から直接単離され、および/対象から単離されて凍結されたもの等の初代細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたはそれ以上のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4細胞、CD8細胞、およびそれらの亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能、抗原特異性、抗原受容体の型、特定の臓器もしくはコンパートメントにおける存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって規定されるものを含む。治療されるべき対象に関して、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。方法の中には、市販の方法が含まれる。一部の態様では、例えば市販の技術に関して、細胞は、多能性および/または多分化能性の、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、細胞を対象から単離すること、それらを調製すること、加工処理すること、培養すること、および/または操作すること、ならびに凍結保存前もしくは後にそれらを同一対象に再度導入することを含む。
【0337】
T細胞および/またはCD4および/またはCD8T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(T)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高分化型エフェクターメモリーT細胞、細胞浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在する適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞が存在する。
【0338】
一部の実施形態では、細胞は、ナチュナルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒細胞、例えば骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0339】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたはそれ以上の核酸を含み、それにより、そのような核酸の組換えまたは遺伝子操作された産物を発現する。一部の実施形態では、核酸は、異種であり、即ち、例えば、操作されている細胞では通常見出されない別の生物または細胞、および/またはそのような細胞が由来されない生物から得られたもの等の細胞または細胞から得られた試料中には通常存在しない。一部の実施形態では、核酸は、天然に存在せず、例えば、多種多様な細胞型由来の各種ドメインをコードする核酸のキメラ組合せを含むものを含む、天然に存在しない核酸である。
【0340】
一部の実施形態では、操作された細胞の調製は、1つまたはそれ以上の培養および/または調製工程を含む。CAR等のトランスジェニック受容体をコードする核酸の導入のための細胞は、試料、例えば、生体試料、例えば、対象から得られるかまたはそれに由来する試料から単離することができる。一部の実施形態では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態に罹っているもの、または細胞療法を必要とするもの、または細胞療法が投与されるであろうものである。対象は、一部の実施形態では、細胞が単離、加工処理、および/または操作される養子細胞療法等の特定の治療介入を必要とするヒトである。
【0341】
したがって、細胞は、一部の実施形態では、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料として、組織、液体、および対象から直接採取した他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーション等の1つまたはそれ以上の加工処理工程から生じる試料が挙げられる。生体試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または加工処理された試料であり得る。生体試料として、体液、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料(それらに由来する加工処理された試料を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0342】
一部の態様では、細胞が由来するか、または単離される試料は、血液または血液由来試料であるか、あるいはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれに由来する。例示的な試料として、全血、末梢血単球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織バイオプシー、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ系組織、粘膜関連リンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、胸部、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の臓器、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。試料は、細胞療法、例えば養子細胞療法の状況では、自家および同種供給源由来の試料を含む。
【0343】
一部の実施形態では、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来される。細胞は、一部の実施形態では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0344】
一部の実施形態では、細胞の単離は、1つまたはそれ以上の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。一部の例では、細胞は、洗浄され、遠心分離され、および/または1つまたはそれ以上の試薬の存在下でインキュベートされ、例えば、望ましくない構成成分を除去し、所望の構成成分を富化して、特定の試薬に対して感度が高い細胞を溶解または除去する。一部の例では、細胞は、1つまたはそれ以上の特性、例えば、密度、接着特性、サイズ、特定の構成成分に対する感度および/または耐性に基づいて単離される。
【0345】
一部の例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、一部の態様では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒細胞、B細胞、他の有核白血球細胞、赤血球細胞、および/または血小板を含有し、一部の態様では、赤血球細胞および血小板以外の細胞を含有する。
【0346】
一部の実施形態では、対象から収集された血液細胞は洗浄されて、例えば血漿分画を除去し、続く加工処理工程用に適切なバッファーまたは培地中に細胞を配置する。一部の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくは全ての二価カチオンを欠如している。一部の態様では、洗浄工程は、製造業者の使用説明書に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー、Baxter)で遂行される。一部の態様では、洗浄工程は、製造業者の使用説明書に従ってタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって遂行される。一部の態様では、細胞は、例えばCa++/Mg++を含まないPBS等の洗浄後の様々な生物適合性バッファー中に再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の構成成分が除去され、細胞は、培養培地中に直接的に再懸濁される。
【0347】
一部の実施形態では、方法は、赤血球細胞を溶解することと、PercollまたはFicoll勾配による遠心分離とによる、末梢血からの白血球細胞の調製等の密度ベースの細胞分離方法を含む。
【0348】
一部の実施形態では、単離方法は、1つまたはそれ以上の特異的分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、もしくは核酸の細胞における発現または存在に基づく異なる細胞型の分離を含む。一部の実施形態では、そのようなマーカーに基づく分離に関する任意の公知の方法が使用され得る。一部の実施形態では、分離は、親和性または免疫親和性ベースの分離である。例えば、単離は、一部の態様では、例えばそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続く一般的に洗浄工程および抗体または結合パートナーが結合された細胞の分離による、1つまたはそれ以上のマーカー、通常は細胞表面マーカーの細胞の発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の、抗体または結合パートナーに結合されていない細胞との分離を含む。
【0349】
そのような分離工程は、試薬が結合された細胞がさらなる使用のために保持されるポジティブ選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合されていない細胞が保持されるネガティブ選択に基づき得る。一部の例では、両方の分画がさらなる使用のために保持される。一部の態様では、ネガティブ選択は、分離が所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最良に行われるように、異種集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能でない場合に特に有用である。
【0350】
分離は、特定の細胞集団もしくは特定のマーカーを発現する細胞の100%富化または除去をもたらす必要はない。例えば、特定の型の細胞、例えばマーカーを発現するものに関するもののポジティブ選択またはそれらに関する富化は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加することを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、特定の型の細胞、例えばマーカーを発現するもののネガティブ選択、除去または欠失は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少することを指すが、全てのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0351】
一部の例では、多重の一連の分離工程が行われ、ここで、1つの工程由来のポジティブまたはネガティブ選択された分画は、続くポジティブまたはネガティブ選択等の別の分離工程に付される。一部の例では、単一の分離工程が、例えば、細胞を、それぞれがネガティブ選択に関して標的化されるマーカーに特異的である複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって、多重マーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、多重細胞型は、細胞を、各種細胞型上で発現される複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって同時にポジティブ選択され得る。
【0352】
例えば、一部の態様では、T細胞、1つまたはそれ以上の表面マーカーにポジティブであるか、または高レベルのそれらを発現する細胞等のT細胞の特異的亜集団、例えば、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROT細胞は、ポジティブまたはネガティブ選択技法によって単離される。
【0353】
例えば、CD3、CD28Tは、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用してポジティブ選択され得る。
【0354】
一部の実施形態では、単離は、ポジティブ選択による特定の細胞集団に関する富化、またはネガティブ選択による特定の細胞集団の枯渇によって行われる。一部の実施形態では、ポジティブまたはネガティブ選択は、細胞を、それぞれ、ポジティブもしくはネガティブ選択された細胞上で発現される(マーカー)か、または比較的高レベルで発現される(マーカー)1つまたはそれ以上の表面マーカーに特異的に結合する1つまたはそれ以上の抗体または他の結合剤とともにインキュベートすることによって行われる。
【0355】
一部の実施形態では、T細胞は、非T細胞、例えばB細胞、単球、または他の白血球細胞上で発現されるマーカー、例えばCD14のネガティブ選択によってPBMC試料から分離される。一部の態様では、CD4またはCD8選択工程は、CD4ヘルパーおよびCD8細胞傷害性T細胞を分離するのに使用される。そのようなCD4およびCD8集団は、1つまたはそれ以上のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団上で発現されるか、もしくは比較的高度に発現されるマーカーに関するポジティブまたはネガティブ選択によって、亜集団にさらに選別され得る。
【0356】
一部の実施形態では、CD8細胞は、例えば各々の亜集団と関連付けられる表面抗原に基づくポジティブまたはネガティブ選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞に関してさらに富化または枯渇される。一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞に関する富化は、有効性を高めるために、例えば、投与後に長期生存、増大、および/または生着を改善するために行われ、それは、一部の態様では、そのような亜集団において特に頑強である。Terakura et al. (2012) Blood,1:72-82;Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の実施形態では、TCMが富化されたCD8T細胞およびCD4T細胞を組み合わせることで、有効性をさらに増強させる。
【0357】
ある実施形態では、メモリーT細胞は、CD8末梢血リンパ球のCD62LおよびCD62サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8および/またはCD62LCD8分画に関して富化され得るか、または枯渇され得る。
【0358】
一部の実施形態では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127のポジティブまたは高表面発現に基づき、一部の態様では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するか、または高度に発現する細胞に関するネガティブ選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞に関して富化されたCD8集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞に関するポジティブ選択または富化によって行われる。一態様では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD4発現に基づいて選択される細胞のネガティブ分画に始まって行われ、これは、CD14およびCD45RAの発現に基づくネガティブ選択、およびCD62Lに基づくポジティブ選択に付される。そのような選択は、一部の態様では、同時に行われ、他の態様では、いずれかの順序で順次行われる。一部の態様では、CD4ベースの分離からのポジティブおよびネガティブ分画の両方が保持され、当該方法の続く工程、適宜続く1つまたはそれ以上のさらなるポジティブまたはネガティブ選択工程で使用されるように、CD8細胞集団または亜集団を調製する際に使用される同一CD4発現ベースの選択工程が、同様にCD4細胞集団または亜集団を生成するのにも使用される。
【0359】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球細胞試料は、CD4細胞の選択に付され、そこで、ネガティブおよびポジティブ分画が保持される。次に、ネガティブ分画は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づくネガティブ選択、およびセントラルメモリーT細胞の特徴的なマーカー、例えばCD62LまたはCCR7に基づくポジティブ選択に付され、ここで、ポジティブおよびネガティブ選択は、いずれかの順序で行われる。
【0360】
CD4Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に分類される。CD4リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4Tリンパ球は、CD45RO、CD45RA、CD62L、CD4T細胞である。一部の実施形態では、セントラルメモリーCD4細胞は、CD62LおよびCD45ROである。一部の実施形態では、エフェクターCD4細胞は、CD62LおよびCD45ROである。
【0361】
一例では、ネガティブ選択によってCD4細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは通常、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、固体支持体またはマトリックス、例えば磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合されて、ポジティブおよび/またはネガティブ選択に関する細胞の分離を可能にする。例えば、一部の実施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使用して分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc.、トトワ、ニュージャージー州に概説されている)。
【0362】
一部の態様では、分離されるべき細胞の試料または組成物は、小さな磁化可能な、または磁気的応答性の材料、例えば磁気的応答性の粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズ等)とともにインキュベートされる。磁気的応答性の材料、例えば、粒子は概して、分離するのが所望の、例えばネガティブもしくはポジティブ選択するのが所望の細胞または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接的にまたは間接的に結合される。
【0363】
一部の態様では、磁気粒子またはビーズは、特異的な結合パートナー、例えば抗体または他の結合パートナーに結合された磁気的応答性の材料を含む。磁気的分離方法で使用される周知の磁気的応答性の材料が多く存在している。適切な磁気粒子として、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP452342B号に記載されているものが挙げられ、それらは、これにより参照により本明細書に組み込まれる。例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるもの等のコロイドサイズの粒子は他の例である。
【0364】
インキュベーションは概して、磁気粒子もしくはビーズに結合されている、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体または他の試薬が、試料内の細胞上に存在する場合に、細胞表面分子特異的に結合する条件下で行われる。
【0365】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、結合された磁気的応答性の、または磁化可能な粒子を有する細胞は、磁石に結合され、非標識細胞と分離される。ポジティブ選択に関して、磁石に結合されている細胞が保持され、ネガティブ選択に関して、結合されていない細胞(非標識細胞)が保持される。一部の態様では、ポジティブおよびネガティブ選択の組合せは、同一選択工程中に実施され、ここで、ポジティブおよびネガティブ分画は、保持されて、さらに加工処理されて、さらなる分離工程に付される。
【0366】
ある特定の実施形態では、磁気的応答性の粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の実施形態では、磁気粒子は、1つまたはそれ以上のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に結合される。ある特定の実施形態では、ビーズではなく細胞が、一次抗体または結合パートナーで標識され、次に、細胞型特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁気粒子が付加される。ある特定の実施形態では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気粒子は、ビオチン化された一次または二次抗体と併せて使用される。
【0367】
一部の実施形態では、磁気的応答性の粒子は、続いてインキュベートされ、培養され、および/または操作されるべき細胞に結合されたまままであり、一部の態様では、粒子は、患者への投与用の細胞に結合されまままである。一部の実施形態では、磁化可能な、または磁気的応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能な粒子を細胞から除去する方法は公知であり、例えば、非標識抗体、および切断可能なリンカーにコンジュケートされた磁化可能な粒子または抗体の競合の使用を含む。一部の実施形態では、磁化可能な粒子は、生分解性である。
【0368】
一部の実施形態では、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec、オーバーン、カリフォルニア州)を介する。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化可能な粒子が結合された細胞の高純度選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、非標的および標的種が順次、外部磁場の印加後に溶出される様式で作動する。即ち、磁化された粒子に結合された細胞は、所定の位置に維持される一方で、結合されていない種は溶出される。次に、この第1の溶出工程が完了した後、磁場に捕捉され、溶出するのを妨害された種は、それらが溶出されて、回収され得るように一部の様式で遊離される。ある特定の実施形態では、非標的細胞は、標識されて、細胞の異種集団から枯渇される。
【0369】
一部の実施形態では、単離または分離は、当該方法の単離、細胞調製、分離、加工処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程の1つまたはそれ以上を実行するシステム、デバイス、または装置を使用して行われる。一部の態様では、システムは、閉鎖または滅菌環境でこれらの工程それぞれを行うのに、例えば、誤差、使用者の取扱いおよび/または混入を最小限に抑えるのに使用される。一例では、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載されているシステムである。
【0370】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、統合型もしくは自己完結型のシステムにおいて、および/または自動もしくはブログラム可能様式で、1つまたはそれ以上、例えば全ての単離、加工処理、操作、および製剤化工程を行う。一部の態様では、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信したコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより使用者は、加工処理、単離、操作、および製剤化工程の転帰をプログラミングし、制御し、評価し、および/またはそれらの各種態様を調整することが可能になる。
【0371】
一部の実施形態では、分離および/または他の工程は、例えば閉鎖および滅菌系における臨床スケールレベルでの細胞の自動分離のためにCliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。構成成分は、統合マイクロコンピューター、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および各種ピンチ弁を含み得る。統合コンピュータは、一部の態様では、機器の全ての構成成分を制御し、システムが、標準化された順序において反復手順を実施するよう誘導する。磁気分離ユニットは、一部の態様では、選択カラム用の可動永続マグネットおよびホルダーを含む。蠕動ポンプは、チューブセット全体にわたって流速を制御し、ピンチ弁とともに、システムから流れるバッファーの制御された流れおよび細胞の断続的な懸濁を保証する。
【0372】
CliniMACSシステムは、一部の態様では、滅菌性の非発熱性溶液中に供給される抗体とカップリングされた磁化可能な粒子を使用する。一部の実施形態では、磁気粒子による細胞の標識後に、細胞は洗浄されて、過剰な粒子を除去する。次に、細胞調製バッグは、チューブセットに接続され、それは続いて、バッファーを含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含むアセンブル済みの滅菌チューブからなり、単回の使用のみ用である。分離プログラムの開始後に、システムは自動で細胞試料を分離カラム上に適用する。標識された細胞は、カラム内に保持される一方で、非標識細胞は、一連の洗浄工程によって除去される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、非標識であり、カラム中に保持されない。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、標識されており、カラム中に保持される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0373】
ある特定の実施形態では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。CliniMACS Prodigyシステムは、一部の態様では、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞加工処理ユニティが装備されている。CliniMACS Prodigyシステムはまた、供給源細胞産物の巨視的な層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する内蔵カメラおよび画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は、赤血球、白血球細胞および血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば細胞分化および増大、抗原負荷、および長期細胞培養等の細胞培養プロトコールを遂行する統合細胞培養チャンバーを含み得る。入力ポートは、培地の滅菌除去および補充を可能にすることができ、細胞は、統合顕微鏡を使用してモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0374】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、フローサイトメトリーを介して収集および富化(または枯渇)され、そこで、多重細胞表面マーカーに関して染色された細胞が流動ストリームで運搬される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、分取スケール(FACS)選別を介して収集および富化(または枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書中記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを用いて収集および富化(または枯渇)される(例えば、WO2010/033140号、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照)。両方の場合で、細胞は、多重マーカーで標識することができ、高純度での明確に定められたT細胞サブセットの単離を可能にする。
【0375】
一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、ポジティブおよび/またはネガティブ選択に関して分離を促進するために、1つまたはそれ以上の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識された抗体への結合に基づき得る。一部の例では、1つまたはそれ以上の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、フローサイトメトリー検出システムと組み合わせて、例えば、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む蛍光活性化細胞選別(FACS)によって流動ストリーム中で運搬される。そのような方法は、同時に多重マーカーに基づくポジティブおよびネガティブ選択を可能にする。
【0376】
一部の実施形態では、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作前または後のいずれかに、細胞を凍結すること、例えば凍結保存することに関する工程を含む。一部の実施形態では、凍結、続く解凍工程は、細胞集団における顆粒細胞、およびある程度は単球を除去する。一部の実施形態では、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれかは、一部の態様では使用され得る。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を伴う。次に、これは培地で1:1に希釈され、その結果、DMSOおよびHSAの最終濃度は、それぞれ10%および4%である。次に、細胞は一般的に、1分当たり1℃の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの気相中に保管される。
【0377】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前に、もしくは遺伝子操作と関連してインキュベートされ、および/または培養される。インキュベーション工程は、培養、栽培、刺激、活性化、および/または伝播を含み得る。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、管、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養もしくは栽培するための他の容器等の培養容器中で行われ得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団において細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、および/または遺伝子操作のために、例えば組換え抗原受容体の導入のために細胞をプライミングするように設計されたものを含む。
【0378】
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するよう設計された任意の他の薬剤の1つまたはそれ以上を含み得る。
【0379】
一部の実施形態では、刺激条件または薬剤は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化または刺激することができる1つまたはそれ以上の薬剤、例えば、リガンドを含む。一部の態様では、薬剤は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるか、またはそれを開始させる。そのような薬剤は、抗体、例えばTCRに特異的なもの、例えば抗CD3を含み得る。一部の実施形態では、刺激条件は、共刺激受容体を刺激することが可能な1つまたはそれ以上の薬剤、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。一部の実施形態では、そのような薬剤および/またはリガンドは、ビーズ等の固体支持体、および/または1つまたはそれ以上のサイトカインに結合されてもよい。適宜、増大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に添加する(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)工程をさらに含み得る。一部の実施形態では、刺激剤として、IL-2、IL-15および/またはIL-7が挙げられる。一部の態様では、IL-2濃度は、少なくとも約10ユニット/mLである。
【0380】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されるもの等の技法に従って行われる。
【0381】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば非分裂性末梢血単核細胞(PBMC)を添加すること(例えば、得られた細胞集団が、増大されるべき初期集団における各Tリンパ球に関して少なくとも約5、10、20、もしくは40個以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)と;培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞の数を増大するのに十分な時間)とによって増大される。一部の態様では、非分裂性フィーダー細胞は、ガンマ線を照射したPBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCは、細胞分裂を予防するように約3000~3600radの範囲のガンマ線で照射される。一部の態様では、フィーダー細胞は、T細胞の集団の添加の前に培養培地に添加される。
【0382】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば少なくともセ氏約25度、一般的には少なくともセ氏約30度、および一般的にはセ氏37度またはセ氏約37度を含む。適宜、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂性EBVで形質転換したリンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る。LCLは、約6000~10,000radの範囲のガンマ線で照射され得る。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の適切な量で、例えば、LCLフィーダー細胞対初期Tリンパ球の比が少なくとも約10:1で提供される。
【0383】
ある実施形態では、抗原特異的なT細胞、例えば抗原特異的なCD4および/またはCD8T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的なTリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的なT細胞株またはクローンは、T細胞を感染対象から単離することと、細胞をインビトロで同一抗原で刺激することとによってサイトメガロウイルス抗原に対して生成され得る。
【0384】
III.例示的な治療の転帰およびそれらを評価する方法
本明細書に提供される方法、組成物、組合せ、使用、キットおよび製造品の一部の実施形態では、提供される併用療法は、1つまたはそれ以上の治療の転帰、例えば、以下で記載するような、療法または治療と関連付けられるパラメーターのいずれか1つまたはそれ以上と関連付けられる特徴をもたらす。一部の実施形態では、当該方法は、セクションIに記載されるようないずれかである。一部の実施形態では、当該方法は、T細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の曝露、持続および増殖の評価をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法における細胞、例えば免疫療法、例えばT細胞療法のために投与される細胞の、細胞の曝露、もしくは長期の増大および/または持続、および/または細胞表現型の変化もしくは細胞の機能的活性は、インビボまたはエクスビボでT細胞の特性を評価することによって測定することができる。一部の実施形態では、そのようなアッセイを使用して、本明細書に提供される併用療法を投与する前、投与している間、または投与した後にT細胞、例えばT細胞療法の機能を決定または確認することができる。
【0385】
一部の実施形態では、併用療法は、併用療法を用いた治療に関して対象を同定するための、および/または併用療法を継続する1つまたはそれ以上のスクリーニング工程、および/または治療の転帰の評価のための、および/または治療の転帰をモニタリングする工程をさらに含み得る。一部の実施形態では、治療の評価のための工程は、治療を評価するための、および/またはモニタリングするための、および/または療法のさらなるもしくは残りの工程の投与に関しておよび/または反復療法に関して対象を同定するための工程を含み得る。一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価を使用して、本明細書に提供される併用療法の用量、頻度、持続時間、タイミングおよび/または順序を決定することができる。
【0386】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価のいずれかは、提供される併用療法の1つまたはそれ以上の工程の投与、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)の投与、および/または化合物Cの前に、その間に、その過程中に、またはその後に使用することができる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法のいずれかの実施の前に、その間に、その過程中に、またはその後に行われる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法の実施の前に行われる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法の1つまたはそれ以上の工程の実施後に行われる。一部の実施形態では、評価は、例えば併用療法を受けるのに適しており、および/または併用療法を受けやすい患者をスクリーニングおよび同定するために、提供される併用療法の1つまたはそれ以上の工程の投与の前に実施される。一部の実施形態では、評価は、例えば、中間のもしくは最終的な治療の転帰を評価するため、例えば治療の有効性を決定するために、および/または治療を継続もしくは反復するかどうかを決定するため、および/または併用療法の残りの工程を投与するかどうかを決定するために、提供される併用療法の1つまたはそれ以上の工程の投与の間に、その過程中に、またはその後に実施される。
【0387】
一部の実施形態では、治療の転帰は、免疫機能、例えば細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の、および/または身体における内因性T細胞の免疫機能の改善を含む。一部の実施形態では、例示的な治療の転帰として、T細胞増殖の増強、T細胞機能的活性の増強、免疫細胞表現型マーカー発現の変化が挙げられるが、これらに限定されず、例えば、そのような特徴は、対象に投与された操作されたT細胞、例えばCAR-T細胞と関連付けられる。一部の実施形態では、例示的な治療の転帰として、疾患負荷、例えば腫瘍負荷の減少、臨床転帰の改善および/または療法の有効性の増強が挙げられる。
【0388】
一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価は、細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の生存および/または機能を評価することを含む。一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価は、サイトカインまたは増殖因子のレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価は、疾患負荷および/または改善を評価すること、例えば腫瘍負荷および/または臨床転帰を評価することを含む。一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価のいずれかは、本明細書に記載され、および/または公知の評価方法および/またはアッセイのいずれかを含んでもよく、1回またはそれ以上、例えば、併用療法の1つまたはそれ以上の工程の投与の前に、その間に、その過程中に、またはその後に続いて実施され得る。本明細書に提供される方法の一部の実施形態で評価することができる治療の転帰と関連付けられる例示的なパラメーターセットとして、末梢血免疫細胞集団プロファイルおよび/または腫瘍負荷が挙げられる。
【0389】
一部の実施形態では、当該方法は、対象における細胞療法の有効性に影響を及ぼす。一部の実施形態では、化合物Cを用いた当該方法における細胞の用量の投与後の対象における組換え受容体発現、例えば、CAR発現細胞の持続、増大、および/または存在は、化合物Cの投与を用いない方法を介して達成されるものと比較した場合により大きい。一部の実施形態では、投与されたT細胞療法、例えばCAR発現T細胞の対象における増大および/または持続は、T細胞療法が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較した場合に評価される。一部の実施形態では、当該方法は、T細胞療法が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較した場合に、対象において増大および/または持続の増加あるいは延長を示す、投与されたT細胞をもたらす。
【0390】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較した場合に、対象において疾患負荷、例えば腫瘍負荷を減少する。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較した場合に、対象において骨髄芽球を減少する。一部の実施形態では、化合物Cの投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較して、臨床転帰、例えば客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存期間(OS)の改善をもたらす。
【0391】
一部の実施形態では、対象は、併用療法の1つまたはそれ以上の工程の投与の前にスクリーニングされ得る。例えば、対象は、併用療法の投与に対する適合性、応答性および/または感受性を決定するために、併用療法の投与の前に、疾患および/または疾患負荷、例えば腫瘍負荷の特性に関してスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価を使用して、本明細書に提供される併用療法の用量、頻度、持続時間、タイミングおよび/または順序を決定することができる。
【0392】
一部の実施形態では、対象は、併用療法の残りの工程を受けるために対象を決定および同定するため、および/または療法の有効性をモニタリングするために、併用療法の工程の1つの投与後にスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、投与されたT細胞の数、レベルもしくは量および/または投与されたT細胞の増殖および/または活性は、化合物Cの投与の前、および/または投与後に評価される。
【0393】
一部の実施形態では、評価の異なる時点、異なる条件、参照時点および/または異なる対象における同一パラメーターもしくは転帰のレベル、値または測定値と比較した、パラメーターもしくは転帰のレベル、値または測定値における変化および/または変更、例えば増加、上昇、減少または低減が、決定または評価される。例えば、一部の実施形態では、例えば化合物Cの投与前の、異なる条件における同一パラメーターと比較して、特定のパラメーター、例えば試料中の操作されたT細胞の数における倍の変化、例えば増加または減少が決定され得る。一部の実施形態では、2つ以上のパラメーターのレベル、値または測定値が決定され、相対レベルが比較される。一部の実施形態では、パラメーターの決定されたレベル、値または測定値は、対照試料または未治療の試料由来のレベル、値または測定値と比較される。一部の実施形態では、パラメーターの決定されたレベル、値または測定値は、同一対象由来であるが、異なる時点の試料のレベルと比較される。個々のパラメーターの定量化で得られた値は、例えばマルチパラメトリック解析を使用することによってパラメーターのレベル、値または測定値に関して算術または論理演算を成すことによって、疾患評価の目的で組み合わせることができる。一部の実施形態では、2つ以上の特定パラメーターの比が算出され得る。
【0394】
A.細胞曝露、持続および増殖
一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価および/または治療の転帰をモニタリングすることに関して評価され得るパラメーターを含む、療法または治療の転帰と関連付けられるパラメーターは、T細胞、例えばT細胞に基づく療法に関して投与されたT細胞の曝露、持続および増殖の評価であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法における、細胞の曝露の増加、増大および/または持続の延長、および/または細胞、例えば、免疫療法、例えばT細胞療法のために投与された細胞の細胞表現型もしくは機能的活性の変化は、インビボまたはエクスビボでT細胞の特性を評価することによって測定され得る。一部の実施形態では、そのようなアッセイを使用して、本明細書に提供される併用療法の1つまたはそれ以上の工程を投与する前に、または投与した後に、免疫療法、例えばT細胞療法に使用されるT細胞の機能を決定または確認することができる。
【0395】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、例えば経時的に細胞の増大および/または持続を促進することによって、細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されたT細胞への、対象の曝露を促進するよう設計されている。一部の実施形態では、T細胞療法は、T細胞療法が化合物Cの非存在下で対象に投与される方法と比較した場合に、対象において増大および/または持続の増加あるいは延長を示す。
【0396】
一部の実施形態では、提供される方法は、投与された細胞への、対象の曝露を増加し(例えば、経時的な細胞数または持続時間の増加)、および/または免疫療法、例えばT細胞療法の有効性および/または治療転帰を改善する。一部の態様では、当該方法は、組換え受容体を発現する細胞、例えばCAR発現細胞へのより高い、および/またはより長い程度の曝露が、他の方法と比較した場合に治療の転帰を改善するという点で好適である。そのような転帰は、重篤な腫瘍負荷を伴う個体でさえも、患者の生存および寛解を含み得る。
【0397】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、化合物Cの非存在下でT細胞単独の投与と比較した場合に、対象における細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されたT細胞への、曝露の最大値、総計および/または持続時間を増加し得る。一部の態様では、化合物Cの投与は、高い疾患負荷(よって、より多い量の抗原)および/またはより侵襲性もしくは耐性のB細胞悪性病変の状況において、細胞の増大化および/または持続性を予防し得る、免疫抑制、アネルギーおよび/または疲弊をもたらし得る、同一の文脈における化合物Cの非存在下でのT細胞単独の投与と比較して、有効性を増強する。
【0398】
一部の実施形態では、T細胞の投与に続く、および化合物Cの投与前、投与中および/または投与後の対象における組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞に基づく療法のために投与されたCAR発現細胞)の存在および/または量が検出される。一部の態様では、定量的PCR(qPCR)を使用して、対象の血液または血清または臓器または組織試料(例えば、疾患部位、例えば腫瘍試料)中の組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞に基づく療法のために投与されたCAR発現細胞)の量を評価する。一部の態様では、持続は、DNA1マイクログラム当たりの受容体、例えばCARをコードするDNAまたはプラスミドのコピー、例えば試料から得られた総DNAとして、あるいは試料、例えば血液もしくは血清1マイクロリットル当たりの、または試料1マイクロリットルについての末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球細胞もしくはT細胞の総数当たりの、受容体発現、例えばCAR発現細胞の数として定量化される。
【0399】
一部の実施形態では、細胞は、対象において、T細胞、例えば、CAR発現T細胞の投与後の4、7、10、14、18、21、24、27、もしくは28日目に、または少なくとも4、7、10、14、18、21、24、27、もしくは28日目に検出される。一部の態様では、細胞は、T細胞の投与後の2、4、もしくは6週目に、またはその後の3、6、もしくは12、18、もしくは24、もしくは30もしくは36ヶ月、または1、2、3、4、5以上の年数で、あるいはその概数で検出される。
【0400】
一部の実施形態では、T細胞、例えば、CAR発現細胞および/または化合物Cの投与後に、当該方法による対象における受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)の持続は、免疫療法単独の投与、例えば化合物Cの非存在下でのT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与を伴う方法等の代替的方法によって達成されるであろう持続と比較した場合より長い。
【0401】
増大および/または持続を示す細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の曝露、例えば数は、対象が曝露される細胞の最大数、検出可能な細胞またはある特定数もしくはパーセンテージを超える細胞の持続時間、経時的な細胞数に関する曲線下面積、および/またはそれらの組合せおよびそれらの指標に関して提示され得る。そのような転帰は、特定の試料、例えば血液、血清、血漿または組織、例えば腫瘍試料中の核酸またはDNAの総量と比較して、組換え受容体をコードする核酸のコピー数を検出するためのqPCR、および/または一般的に受容体に特異的な抗体を使用して受容体を発現する細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイ等の公知の方法を使用して評価され得る。細胞に基づくアッセイもまた、疾患もしくは状態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現する細胞に結合すること、および/またはそれらの細胞に対する応答、例えば細胞傷害性応答を中和することおよび/または誘導することが可能な細胞等の機能性細胞の数あるいはパーセンテージを検出するのに使用され得る。
【0402】
一部の実施形態では、対象の、細胞への曝露の増加は、細胞の増大の増加を含む。一部の実施形態では、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後に、および/または化合物Cの投与後に対象において増大する。一部の実施形態では、当該方法は、化合物Cの投与の非存在下で、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与を伴う方法等の他の方法と比較して、細胞のより高い増大をもたらす。
【0403】
一部の態様では、当該方法は、例えば、フローサイトメトリーによって測定される場合に、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。一部の態様では、高いピーク比率の細胞が検出される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液もしくは疾患部位またはその白血液細胞分画、例えばPBMC分画またはT細胞分画におけるT細胞、例えばCAR発現細胞および/または化合物Cの投与後にピークまたは最大レベルで、細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が、組換え受容体、例えばCARを発現する。
【0404】
一部の実施形態では、当該方法は、対象の血液または血清または他の体液または臓器または組織において、DNA1マイクログラム当たり、受容体、例えばCARをコードする核酸の少なくとも100、500、1000、1500、2000、5000、10,000または15,000個のコピー、あるいは末梢血単核細胞(PBMC)の総数、単核細胞の総数、T細胞の総数、またはマイクロリットルの総数当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9個の受容体発現、例えばCAR発現細胞の最大濃度をもたらす。一部の実施形態では、受容体を発現する細胞は、対象の血液中で総PBMCの少なくとも10、20、30、40、50、または60%として、および/またはT細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Cに続いて少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、または52週間にわたり、あるいはそのような投与に続いて1、2、3、4、もしくは5年以上の年数にわたりそのようなレベルで検出される。
【0405】
一部の態様では、当該方法は、例えば対象の血清、血漿、血液または組織、例えば腫瘍試料において、DNA1マイクログラム当たりの組換え受容体、例えばCARをコードする核酸のコピーの少なくとも4倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍の増加をもたらす。
【0406】
一部の実施形態では、受容体を発現する細胞は、指定した方法、例えばqPCRまたはフローサイトメトリーベースの検出方法によって、対象の血清、血漿、血液または組織、例えば腫瘍試料において、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後に、または化合物Cの投与後に少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60日以上の日数にわたり、T細胞、例えば、CAR発現T細胞、および/または化合物Cの投与後に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24週以上の週数にわたり、あるいは少なくともその概数にわたり検出可能である。
【0407】
一部の態様では、1マイクロリットル当たり少なくとも約1×10、少なくとも約1×10、少なくとも約1×10、少なくとも約1×10、または少なくとも約1×10もしくは少なくとも約5×10または少なくとも約1×10もしくは少なくとも約5×10または少なくとも約1×10個の組換え受容体発現、例えばCAR発現細胞、および/または少なくとも10、25、50、100、200、300、400、または500個、または1000個の受容体発現細胞、例えば1マイクロリットル当たり少なくとも10個が、対象または体液、血漿、血清、組織、もしくはそれらのコンパートメントにおいて、例えば、対象の血液、例えば末梢血、または疾患部位、例えば腫瘍において、検出可能であるか、または存在する。一部の実施形態では、そのような細胞数または濃度は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後に、および/または化合物Cの投与後に、少なくとも約20日、少なくとも約40日、もしくは少なくとも約60日、または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月、または少なくとも2年もしくは3年間、対象において検出可能である。そのような細胞数は、フローサイトメトリーベースのまたは定量的PCRベースの方法および公知の方法を使用した総細胞数の外挿によって検出され得る。例えば、Brentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)、Park et al, Molecular Therapy 15(4):825-833(2007)、Savoldo et al., JCI 121(5):1822-1826(2011)、Davila et al.,(2013) PLoS ONE 8(4):e61338、Davila et al., Oncoimmunology 1(9):1577-1583(2012)、Lamers, Blood 2011 117:72-82、Jensen et al., Biol Blood Marrow Transplant 2010 September; 16(9): 1245-1256、Brentjens et al., Blood 2011 118(18):4817-4828を参照されたい。
【0408】
一部の態様では、例えば、末梢血または骨髄または他のコンパートメントにおける細胞100個当たりの組換え受容体をコードする核酸のコピー数、例えばベクターコピー数は、免疫組織化学、PCR、および/またはフローサイトメトリーによって測定される場合、細胞、例えばCAR発現T細胞、および/または化合物Cの投与後約1週、約2週、約3週、約4週、約5週、もしくは約6週、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月または少なくとも2もしくは3年で、少なくとも0.01、少なくとも0.1、少なくとも1、もしくは少なくとも10個である。一部の実施形態では、ゲノムDNA1マイクログラム当たりの受容体、例えばCARを発現するベクターのコピー数は、T細胞、例えばCAR発現T細胞、または化合物Cの投与に続いて約1週、約2週、約3週、もしくは約4週、またはそのような投与後少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月、または少なくとも2もしくは3年の時点で、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10,000、または少なくとも15,000または少なくとも20,000個である。
【0409】
一部の態様では、細胞によって発現される受容体、CARは、定量的PCR(qPCR)によって、またはフローサイトメトリーによって、対象、血漿、血清、血液、組織および/または対象の疾患部位、例えば腫瘍部位において、細胞の投与後に、例えばT細胞、例えばCAR発現T細胞、および化合物Cの投与の開始後に、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、または3年より長い時点で検出可能である。
【0410】
一部の実施形態では、T細胞、例えばTCRまたはCAR発現T細胞および/または化合物Cの投与後に経時的な対象の体液、血漿、血清、血液、組織、臓器および/または疾患部位、例えば腫瘍部位における受容体(例えば、CAR)発現細胞の濃度に関する曲線下面積(AUC)は、化合物Cの投与の非存在下で対象にT細胞、例えばCAR発現T細胞が投与される場合の代替投薬レジメンを介して達成されるものと比較した場合により大きい。
【0411】
一部の態様では、当該方法は、例えばフローサイトメトリーによって測定される場合に、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。一部の態様では、高いピーク比率の細胞が検出される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、血清、組織もしくは疾患部位または対象の白血球細胞分画、例えばPBMC分画またはT細胞分画において、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/または化合物Cに続くピークあるいは最大レベルで、細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が、組換え受容体、例えばCARを発現する。
【0412】
一部の態様では、化合物Cが投与された対象における細胞の投薬の増大および/または持続の増加あるいは延長は、対象における腫瘍関連の転帰における有益性と関連付けられる。一部の実施形態では、腫瘍関連の転帰として、対象における腫瘍負荷の減少または骨髄芽球の減少が挙げられる。一部の実施形態では、腫瘍負荷は、当該方法の投与後に、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、またはその概数分、あるいは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、またはその概数分減少する。一部の実施形態では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍質量、および/または腫瘍量またはバルクは、化合物Cの投与を伴わない方法で治療した対象と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%分以上、または少なくともその概数分、細胞の投薬後に低減する。
【0413】
B.T細胞機能的活性
一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価および/または治療の転帰のモニタリングに関して評価され得るパラメーターを含む、療法または治療の転帰と関連付けられるパラメーターは、T細胞の活性、表現型、増殖または機能の1つまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価するための当技術分野における公知のアッセイのいずれかを使用することができる。細胞および/または化合物Cの投与の前に、および/またはその後に、操作された細胞集団の生物活性は、一部の実施形態では、例えば多数の公知の方法のいずれかによって測定される。評価するためのパラメーターとして、インビボで、例えばイメージングによる、またはエクスビボで、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたか、もしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の、抗原への特異的結合が挙げられる。ある特定の実施形態では、操作された細胞の、標的細胞を破壊する能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702(2009)、およびHerman et al., J. Immunological Methods, 285(1): 25-40(2004)に記載される細胞傷害性アッセイ等の任意の適切な方法を使用して測定することができる。
【0414】
一部の実施形態では、組換え発現(例えば、CAR)T細胞等のT細胞は、T細胞が疲弊の特徴を示すかどうかを評価または決定するために、細胞および/または化合物Cの投与の前に、および/またはその後に評価され得る。一部の事例では、疲弊は、T細胞機能の損失、例えば、抗原特異的もしくは抗原受容体駆動活性の低減または減少、例えば標的抗原に対してサイトカインを産生するか、もしくは細胞溶解性活性を駆動する能力の低減または減少をモニタリングすることによって評価され得る。一部の事例では、疲弊はまた、疲弊の表現型と関連付けられるT細胞(例えば、CD4細胞および/またはCD4 T細胞)上の表面マーカーの発現をモニタリングすることによって評価され得る。疲弊マーカーの中には、PD-1、CTLA-4、LAG-3およびTIM-3等の阻害性受容体が存在する。
【0415】
一部の実施形態では、活性のそのような低減または減少は、対象への投与後に、および/または抗原への長期曝露後に経時的に観察される。
【0416】
特定の実施形態では、(i)抗原特異的または抗原受容体駆動活性の前記増加を達成するため、および(ii)疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、または遅延させるため、および/または前記疲弊表現型を反転するための提供される方法である。一部の実施形態では、量、持続時間および/または頻度は、(i)抗原特異的または抗原受容体駆動活性の前記増加を達成し、(ii)疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、または遅延させるのに有効である。他の実施形態では、量、持続時間および/または頻度は、(i)抗原特異的または抗原受容体駆動活性の前記増加を達成し、(ii)疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、または遅延させ、前記疲弊表現型を反転するのに有効である。
【0417】
一部の実施形態では、疲弊表現型は、T細胞またはT細胞の集団に関連して、同一条件下の参照T細胞集団と比較した、1つまたはそれ以上の疲弊マーカー、適宜、2、3、4、5または6つの疲弊マーカーの、T細胞における表面発現のレベルもしくは程度の増加または表面発現を示す前記T細胞の集団のパーセンテージの増加;または同一条件下の参照T細胞集団と比較した、抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露後の、前記T細胞もしくはT細胞の集団によって示される活性のレベルもしくは程度の減少、同一条件下の参照T細胞集団と比較した、1つまたはそれ以上の疲弊マーカー、適宜、2、3、4、5または6つの疲弊マーカーの、T細胞における表面発現のレベルもしくは程度の増加または表面発現を示す前記T細胞の集団のパーセンテージの増加;または同一条件下の参照T細胞集団と比較した、抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露後の、前記T細胞もしくはT細胞の集団によって示される活性のレベルもしくは程度の減少を含む。
【0418】
ある特定の実施形態では、細胞の生物活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、GM-CSFおよびTNFα等の1つまたはそれ以上のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって、および/または細胞溶解性活性を評価することによって測定される。
【0419】
一部の実施形態では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能に関するアッセイとして、ELISPOT、ELISA、細胞増殖、細胞傷害性リンパ球(CTL)アッセイ、T細胞エピトープ、抗原もしくはリガンドへの結合、または細胞内サイトカイン染色、増殖アッセイ、リンホカイン分泌アッセイ、直接的な細胞傷害性アッセイ、および限界希釈アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、T細胞の増殖性応答は、例えば、H-チミジン、BrdU(5-ブロモ-2’-デオキシウリジン)もしくは2’-デオキシ-5-エチニルウリジン(EdU)の、それらのDNAへの取込み、またはカルボキシフルオレセイン二酢酸スクシンイミジルエステル(CFSE)、CellTrace Violet、もしくは膜色素PKH26等の色素を使用した色素希釈アッセイによって測定することができる。
【0420】
一部の実施形態では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、T細胞からのサイトカイン産生を測定すること、および/または対象由来の生体試料、例えば血漿、血清、血液、および/または組織試料、例えば腫瘍試料におけるサイトカイン産生を測定することを含む。一部の事例では、そのような測定されるサイトカインとして、限定されないが、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)、インターロイキン-4(IL-4)、TNF-アルファ(TNFα)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-12(IL-12)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、CD107a、および/またはTGF-ベータ(TGFβ)が挙げられ得る。サイトカインを測定するためのアッセイは周知されており、ELISA、細胞内サイトカイン染色、サイトメトリービーズアレイ、RT-PCR、ELISPOT、フローサイトメトリーおよび関連するサイトカインに応答性の細胞が試験試料の存在下で応答性(例えば、増殖)に関して試験されるバイオアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0421】
一部の実施形態では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、細胞表現型、特定の細胞表面マーカーの発現を評価することを含む。一部の実施形態では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されたT細胞は、T細胞活性化マーカー、T細胞疲弊マーカー、および/またはT細胞分化マーカーの発現に関して評価される。一部の実施形態では、細胞表現型は、投与前に評価される。一部の実施形態では、細胞表現型は、細胞療法および/または化合物Cの投与中、または投与後に評価される。評価のためのT細胞活性化マーカー、T細胞疲弊マーカー、および/またはT細胞分化マーカーとして、T細胞の特定のサブセットに関して公知の任意のマーカー、例えば、CD25、CD38、ヒト白血球抗原-DR(HLA-DR)、CD69、CD44、CD137、KLRG1、CD62、CCR7、CD71、CD2、CD54、CD58、CD244、CD160、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(LAG-3)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメインタンパク質3(TIM-3)、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、BおよびTリンパ球減衰因子(BTLA)および/またはT細胞免疫グロブリンおよび免疫受容体チロシンベースの阻害性モチーフドメイン(TIGIT)が挙げられる(例えば、Liu et al., Cell Death and Disease(2015) 6, e1792を参照)。一部の実施形態では、疲弊マーカーは、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTA、およびTIGITのいずれか1つまたはそれ以上である。一部の実施形態では、評価される細胞表面マーカーは、CD25、PD-1および/またはTIM-3である。一部の実施形態では、評価される細胞表面マーカーは、CD25である。
【0422】
一部の態様では、発現レベルを検出することは、インビトロアッセイを実施することを含む。一部の実施形態では、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の因子、エフェクター、酵素および/または表面マーカーのそれぞれの1つまたはそれ以上に関するパラメーターは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、ケミルミネッセンスアッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイまたはアビディティーアッセイによって検出される。一部の実施形態では、サイトカインおよび/または表面マーカーの検出は、少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する結合試薬を使用して決定される。一部の事例では、結合試薬は、抗体またはその抗原結合性断片、アプタマーまたは核酸プローブである。
【0423】
一部の実施形態では、化合物Cの投与は、循環性CAR T細胞のレベルを増加させる。
【0424】
C.応答、有効性および生存
一部の実施形態では、治療の転帰のスクリーニング工程および/または評価のため、および/または治療の転帰をモニタリングするために評価され得るパラメーターを含む、療法または治療の転帰と関連付けられるパラメーターとして、腫瘍または疾患負荷が挙げられる。T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)および化合物C等の免疫療法の投与は、対象における疾患もしくは状態の増大または負荷を低減あるいは予防することができる。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、当該方法は概して、腫瘍サイズ、バルク、転移、骨髄における芽球のパーセンテージまたは分子的に検出可能なB細胞悪性病変を低減し、および/または腫瘍負荷と関連付けられる予後もしくは生存もしくは他の症状を改善する。
【0425】
一部の態様では、提供される方法による、および/または提供される製造品もしくは組成物による投与は概して、対象における疾患もしくは状態の増大または負荷を低減あるいは予防する。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、当該方法は概して、腫瘍サイズ、バルク、転移、骨髄における芽球のパーセンテージまたは分子的に検出可能なB細胞悪性病変を低減し、および/または腫瘍負荷と関連付けられる予後もしくは生存もしくは他の症状を改善する。
【0426】
一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の免疫療法が化合物Cの投与なしで付与される代替起点方法と比較して、治療された対象において腫瘍負荷の減少をもたらす。腫瘍負荷は実際には、併用療法を受ける対象全てを低減させる必要はなく、例えば臨床データに基づいて、治療された対象において平均して低減される必要はなく、ここで、腫瘍負荷は、そのような併用療法で治療された対象の大部分が腫瘍負荷の低減を示し、例えば併用療法で治療された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%以上の対象が腫瘍負荷の低減を示す。
【0427】
一部の実施形態では、疾患負荷は、対象における、または対象の臓器、組織もしくは体液、例えば、腫瘍もしくは例えば転移を示す別の位置の臓器または組織における疾患の総細胞数を包含し得る。例えば、腫瘍細胞は、ある特定の血液学的悪性病変の状況で、血液、リンパもしくは骨髄において検出および/または定量化され得る。疾患負荷は、一部の実施形態では、腫瘍量、転移の数もしくは程度および/または骨髄中に存在する芽球のパーセンテージを含み得る。
【0428】
一部の実施形態では、対象は、リンパ腫または白血病に罹っている。疾患負荷の程度は、血液または骨髄における残留白血病の評価によって決定することができる。一部の実施形態では、対象は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に罹っている。一部の実施形態では、対象は、MMまたはDBCBLに罹っている。
【0429】
一部の態様では、対象、例えばNHLを患う対象における奏効率は、Luganoの判断基準に基づいている(Cheson et al.,(2014) JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al.,(2015) Radiology 2:323-338;Cheson, B.D.(2015) Chin. Clin. Oncol. 4(1):5)。一部の態様では、奏効評価は、臨床的、血液学的、および/または分子的方法のいずれかを利用する。一部の態様では、必要に応じてLugano判断基準を使用して評価される奏効は、陽電子放出断層撮影(PET)-コンピュータ断層撮影(CT)および/またはCTの使用を伴う。PET-CT評価は、FDG高集積(FDG-avid)リンパ腫に関してフルオロデオキシグルコース(FDG)の使用をさらに含み得る。一部の態様では、PET-CTがFDG高集積組織学における奏効を評価するのに使用される場合、5段階評価が使用され得る。一部の観点では、5段階評価は、下記の判断基準を含む:1、バックグラウンドを上回る取込みなし;2、縦隔以下の取込み:3、縦隔を超えるが、肝臓以下の取込み;4、肝臓を上回る中程度の取込み;5、肝臓より顕著に高い取込みおよび/または新たな病変;X、リンパ腫に関連される可能性が低い取込みの新たな領域。
【0430】
一部の態様では、Lugano判断基準を使用して記載される完全奏効は、様々な測定可能な部位での完全代謝奏効および完全放射線奏効を伴う。一部の態様では、これらの部位は、リンパ節およびリンパ節外部位を含み、ここで、CRは、PET-CTが使用される場合、5段階評価で残留腫瘤を伴って、または伴わずに、1、2、または3のスコアとして記載されている。一部の態様では、生理学的取込みを伴うか、または脾臓もしくは骨髄内での活性化を伴う(例えば、化学療法または骨髄性コロニー刺激因子を用いて)ワルダイエル咽頭輪または節外において、取込みは、正常な縦隔および/または肝臓より高い可能性がある。この状況において、初期関与の部位での取込みが、組織が高い生理学的取込みを有する場合でさえ周囲の正常組織以下である場合には、完全代謝奏効は推測され得る。一部の態様では、奏効は、CTを使用してリンパ節中で評価され、ここで、CRは、疾患の非リンパ節外部位として記載され、標的節/結節性腫瘤が、病変の最長の横径(LDi)において1.5cm以下にまで退行しなくてはならない。評価のさらなる部位として、骨髄が挙げられ、ここで、PET-CTベースの評価は、骨髄におけるFDG高集積疾患のエビデンスの欠如を示すべきであり、CTベースの評価は、正常な形態を示すべきであり、これは、未定である場合にはIHC陰性であるべきである。さらなる部位は、臓器の拡張の評価を含んでもよく、これは、正常にまで退行すべきである。一部の態様では、非測定病変および新たな病変が評価され、これは、CRの場合には非存在であるべきである(Cheson et al.,(2014) JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al.,(2015) Radiology 2:323-338;Cheson, B.D. (2015) Chin. Clin. Oncol. 4(1):5)。
【0431】
一部の態様では、Lugano判断基準を使用して記載される場合の部分的奏効(PR)は、様々な測定可能な部位での部分的代謝および/または放射線奏効を伴う。一部の態様では、これらの部位は、リンパ節およびリンパ節外部位を含み、ここで、PRは、PETが使用される場合、ベースラインと比較して低減された取込みおよび任意のサイズの残留腫瘤を伴って、4または5のスコアとして記載される。一時的に、そのような見解は、応答性疾患を示し得る。治療の最後には、そのような見解は、残留疾患を示し得る。一部の態様では、奏効は、CTを使用してリンパ節で評価され、ここで、PRは、最大6つの測定可能な標的節および節外部位のSPDの50%以上の減少として記載される。病変が小さすぎてCTでは測定することができない場合、5mm×5mmがデフォルト値として割り当てされ;病変がもはや目に見えない場合、値は、0mm×0mmであり;5mm×5mmを超えるが、正常より小さい節に関しては、実際の測定値が算出に使用される。評価のさらなる部位として、骨髄が挙げられ、ここで、PET-CTベースの評価は、正常な骨髄における取込みより高い残留取込みを示すが、ベースラインと比較して低減されるべきである(認められている化学療法からの反応性変化に適合する散在性の取込み)。一部の態様では、結節奏効の状況で骨髄中で持続的な病巣変化がみられる場合、MRIもしくは生検査、またはインターバルスキャンを用いたさらなる評価が検討されるべきである。一部の態様では、さらなる部位は、臓器拡張の評価を含んでもよく、ここで、脾臓は、正常を超える長さの50%を上回って退行されていなくてはならない。一部の態様では、非測定病変および新たな病変が評価され、これは、PRの場合、非存在/正常であり、退行され、増加すべきではない。非応答/安定疾患(SD)または進行性疾患(PD)もまた、PET-CTおよび/またはCTベースの評価を使用して評価され得る(Cheson et al.,(2014) JCO., 32(27):3059-3067;Johnson et al.,(2015) Radiology 2:323-338;Cheson, B.D. (2015) Chin. Clin. Oncol., 4(1):5)。
【0432】
一部の態様では、無進行生存(PFS)は、対象が疾患を伴って生存するが、悪化しないB細胞悪性病変等の疾患の治療中および治療後の期間として記載される。一部の態様では、客観的奏効(OR)は、測定可能な奏効として記載される。一部の奏効では、客観的奏効率(ORR)は、CRまたはPRを達成した患者の比率として記載されている。一部の態様では、全生存(OS)は、疾患と診断された患者が依然として生きている、B細胞悪性病変等の疾患に関する診断日または治療の開始のいずれかからの期間として記載されている。一部の態様では、無イベント生存(EFS)は、対象が、治療が予防または遅延させると意図されたある特定の合併症またはイベントないままである、B細胞悪性病変に対する治療が終了した後の期間として記載されている。これらのイベントは、B細胞悪性病変の再発またはある特定の症状の開始、例えば、骨に伝播したB細胞悪性病変由来の骨痛、あるいは死亡を含み得る。
【0433】
一部の実施形態では、奏効の持続時間(DOR)の測定は、疾患進行に対する腫瘍奏効の文書化からの時間を含む。一部の実施形態では、奏効を評価するためのパラメーターは、持続的な奏効、例えば、療法の開始からのある期間後に持続する奏効を含み得る。一部の実施形態では、持続的な奏効は、療法の開始のおよそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18または24ヶ月後の奏効率によって示される。一部の実施形態では、奏効は、3ヶ月より長く、または6ヶ月より長く永続的である。
【0434】
一部の態様では、RECIST判断基準が、客観的腫瘍奏効を決定するのに使用される(Eisenhauer et al., European Journal of Cancer 45(2009) 228-247)。一部の態様では、RECIST判断基準は、標的病変の客観的腫瘍奏効を決定するのに使用される。一部の観点では、RECIST判断基準を使用して決定される場合の完全奏効は、全ての標的病変の消失として記載され、いかなる病理学的リンパ節(標的であろうと、非標的であろうと)も、短軸において10mm未満の低減を有さなくてはならない。他の態様では、RECIST判断基準を使用して決定される場合の部分奏効は、ベースラインの合計直径を参照として取って、標的病変の直径の合計の少なくとも30%減少として記載されている。他の態様では、進行性疾患(PD)は、研究の最小合計(これは、それが研究の最小である場合のベースライン合計を含む)を参照として取って、標的病変の直径の合計の少なくとも20%減少として記載されている。20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対的増加を示さなくてはならない(一部の態様では、1つまたはそれ以上の新たな病変の出現もまた、進行とみなされる)。他の態様では、安定疾患(SD)は、研究中の最小合計直径を参照として取って、PRに関して認定するのに十分な収縮も、PDに関して認定するのに十分な増加もないと記載されている。
【0435】
MMの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターとして、クローン形質細胞の数(例えば、骨髄生検査で10%を超える、または他の組織由来の生検で任意の量で;形質細胞腫)、血清または尿のいずれかにおけるモノクローナルタンパク質(パラプロテイン)の存在、形質細胞障害に関連すると感じられる末端臓器損傷のエビデンス(例えば、高カルシウム血症(2.75mmol/lを超える補正カルシウム);骨髄腫に起因する腎不全;貧血(10g/dl未満のヘモグロビン);および/または骨病変(圧迫骨折を伴う溶解性病変または骨粗鬆症))等のパラメーターを含む。
【0436】
DLBCLの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターとして、細胞形態(例えば、中心芽球、免疫芽球、および未分化芽球細胞)、遺伝子発現、miRNA発現およびタンパク質発現(例えば、BCL2、BCL6、MUM1、LMO2、MYC、およびp21の発現)等のパラメーターが挙げられる。
【0437】
一部の態様では、対象、例えばCLLを患う対象における奏効率は、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(IWCLL)奏効判断基準に基づいている(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15;111(12): 5446-5456)。一部の態様では、これらの判断基準は下記のように記載されている:一部の態様では、免疫表現型検査による末梢血クローンリンパ球の非存在、リンパ節腫大の非存在、肝腫大または脾腫大の非存在、全身症状の非存在および十分な血球数を要する完全寛解(CR);一部の態様では、上記CRとして記載されるが、正常な血球数のない不完全な骨髄回復を伴う完全寛解(CRi);一部の態様では、末梢血球数の改善とともにリンパ球数の50%以上の低下、リンパ節腫大の50%以上の低減、または肝臓もしくは脾臓の50%以上の低減として記載される部分寛解(PR);一部の態様では、5×10個/Lを超えるリンパ球数の50%以上の上昇、リンパ節腫大の50%以上の増加、肝臓もしくは脾臓サイズの50%以上の増加、リヒタートランスフォーメーション、またはCLLに起因した新たな血球減少として記載される進行性疾患(PD);および一部の態様では、CR、CRi、PRまたはPDに関する判断基準を満たさないと記載される安定疾患。
【0438】
一部の実施形態では、対象は、細胞の用量の投薬の1ヶ月以内に、対象におけるリンパ節のサイズが20mmもしくは約20mm未満、またはサイズが10mmもしくは約10mm未満である場合にCRまたはORを示す。
【0439】
一部の実施形態では、CLLの指標クローンは、対象の骨髄中で(または、当該方法に従って治療された対象の50%、60%、70%、80%、90%以上の対象の骨髄中で)検出されない。一部の実施形態では、CLLの指標クローンは、IgHディープシーケーシングによって評価される。一部の実施形態では、指標クローンは、細胞の投与後の1、2、3、4、5、6、12、18もしくは24ヶ月目、またはその概数の時点で、あるいは少なくとも1、2、3、4、5、6、12、18もしくは24ヶ月目、またはその概数の時点で検出されない。
【0440】
一部の実施形態では、対象は、例えば光学顕微鏡によって検出される場合、骨髄中の5%より多いか、またはそれに等しい芽球、例えば骨髄中の10%より多いか、またはそれに等しい芽球、骨髄中の20%より多いか、またはそれに等しい芽球、骨髄中の30%より多いか、またはそれに等しい芽球、骨髄中の40%より多いか、またはそれに等しい芽球あるいは骨髄中の50%より多いか、またはそれに等しい芽球が存在する場合に形態学的疾患を示す。一部の態様では、対象は、骨髄中の5%未満の芽球が存在する場合に、完全または臨床的寛解を示す。
【0441】
一部の実施形態では、対象は、完全寛解を示し得るが、少比率の形態学的に検出不可能な(光学顕微鏡技法による)残留白血病細胞が存在する。対象が骨髄中の5%未満の芽球を示し、かつ分子的に検出可能なB細胞悪性病変を示す場合に、対象は、微小残存病変(MRD)を示すとされる。一部の実施形態では、分子的に検出可能なB細胞悪性病変は、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な分子技法のいずれかを使用して評価され得る。一部の態様では、そのような技法として、特有のIg/T細胞受容体遺伝子再編成および染色体転座によって生じる融合転写物を決定することができるPCRアッセイが挙げられる。一部の実施形態では、フローサイトメトリーは、白血病特異的免疫表現型に基づいてB細胞悪性病変を同定するのに使用され得る。一部の実施形態では、B細胞悪性病変の分子検出は、100,000個の正常細胞中わずか1個の白血病細胞を検出し得る。一部の実施形態では、例えばPCRまたはフローサイトメトリーによって、100,000個の細胞中少なくとも1個または1個より多い白血病細胞が検出される場合、対象は、分子的に検出可能であるMRDを示す。一部の実施形態では、対象の疾患負荷は、一部の事例では、白血病細胞がPCRまたはフローサイトメトリー技法を使用して対象において検出されることが不可能であるように、分子的に検出不可能またはMRDである。
【0442】
白血病の場合、疾患負荷の程度は、血液または骨髄における残留白血病の評価によって決定することができる。一部の実施形態では、対象は、例えば光学顕微鏡によって検出される場合、骨髄中の5%より多いか、またはそれに等しい芽球が存在する場合に形態学的疾患を示す。一部の実施形態では、対象は、骨髄中の5%未満の芽球が存在する場合に完全または臨床的寛解を示す。
【0443】
一部の実施形態では、白血病に関して、対象は、完全寛解を示し得るが、小比率の形態学的に検出不可能な(光学顕微鏡技法によって)残留白血病細胞が存在する。対象が骨髄中の5%未満の芽球を示し、分子学的に検出可能なB細胞悪性病変を示す場合に、対象は、微小残存病変(MRD)を示すとされる。一部の実施形態では、分子学的に検出可能なB細胞悪性病変は、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な分子学的技法のいずれかを使用して評価され得る。一部の態様では、そのような技法として、特有のIg/T細胞受容体遺伝子再編成および染色体転座によって生じる融合転写物を決定することができるPCRアッセイが挙げられる。一部の実施形態では、フローサイトメトリーは、白血病特異的免疫表現型に基づいてB細胞悪性病変を同定するのに使用され得る。一部の実施形態では、B細胞悪性病変の分子検出は、100,000個の正常細胞中わずか1個の白血病細胞を検出し得る。一部の実施形態では、例えばPCRまたはフローサイトメトリーによって、100,000個の細胞中少なくとも1個または1個より多い白血病細胞が検出される場合、対象は、分子的に検出可能であるMRDを示す。一部の実施形態では、対象の疾患負荷は、一部の事例では、白血病細胞がPCRまたはフローサイトメトリー技法を使用して対象において検出されることが不可能であるように、分子的に検出不可能またはMRDである。
【0444】
一部の実施形態では、細胞療法、例えばT細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)および/または化合物Cの方法および/または投与は、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Cの投与の直前の時点での疾患負荷と比較した場合に、疾患負荷を減少させる。
【0445】
一部の態様では、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Cの投与は、疾患負荷の増加を予防する可能性があり、これは、疾患負荷の変化がないことによって明らかである。
【0446】
一部の実施形態では、当該方法は、代替的療法、例えば、対象が、化合物Cの投与の非存在下で、免疫療法、例えばT細胞療法単独を受けるもの使用した匹敵する方法で観察されるであろう低減と比較した場合に、より大きな程度でおよび/またはより長い期間、疾患または症状の負荷、例えば、腫瘍細胞の数、腫瘍のサイズ、患者の生存または無イベント生存の持続時間を低減する。一部の実施形態では、疾患負荷は、薬剤単独それぞれを投与すること、例えば免疫療法、例えばT細胞療法を受けていなかった対象に化合物Cを投与すること、または化合物Cを受けていなかった対象に、免疫療法、例えばT細胞療法を投与することによって達成されるであろう低減と比較して、免疫療法、例えばT細胞療法、および化合物Cの投与の併用療法後に、より大きな程度で、またはより長い持続時間、低減する。
【0447】
一部の実施形態では、対象における疾患または状態の負荷は、検出、評価または測定される。疾患負荷は、一部の態様では、対象における、または対象の臓器、組織、もしくは体液、例えば血液または血清における疾患または疾患関連細胞、例えば腫瘍細胞の総数を検出することによって検出され得る。一部の実施形態では、疾患負荷、例えば、腫瘍負荷は、転移の数または程度を測定することによって評価される。一部の態様では、対象の生存、ある特定の期間内の生存、生存の程度、無イベントもしくは無症状生存、もしくは無再発生存の存在または持続時間が評価される。一部の実施形態では、疾患または状態の任意の症状が評価される。一部の実施形態では、疾患または状態負荷の尺度が明示される。一部の実施形態では、決定のための例示的なパラメーターとして、疾患もしくは状態、例えば腫瘍の回復または改善を示す特定の臨床転帰が挙げられる。そのようなパラメーターとして、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)または安定疾患(SD)(例えば、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)ガイドラインを参照)、客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存(OS)を含む疾患制御の持続時間が挙げられる。パラメーターに関する具体的な閾値は、本明細書に提供される併用療法の方法の有効性を決定するよう設定され得る。
【0448】
一部の態様では、疾患負荷は、免疫療法、例えばT細胞療法の投与の前に、免疫療法、例えば、T細胞療法の投与後に、但し化合物Cの投与の前に、および/または免疫療法、例えば、T細胞療法および化合物Cの両方の投与後に測定または検出される。併用療法の1つまたはそれ以上の工程の多重投与の状況で、疾患負荷は、一部の実施形態では、投与の工程、用量および/またはサイクルのいずれかの投与の前に、または投与後に、あるいは投与の工程、用量および/またはサイクルのいずれかの投与間の時点で測定され得る。
【0449】
一部の実施形態では、負荷は、化合物Cおよび免疫療法、例えばT細胞療法を施すことの直前と比較して、提供される方法によって、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、またはその概数分、あるいは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、または少なくともその概数分減少される。一部の実施形態では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍質量、腫瘍量またはバルクは、免疫療法、例えばT細胞療法および/または化合物Cの投与の直後のものと比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90%分以上、または少なくともその概数分、免疫療法、例えばT細胞療法および化合物Cの投与後に低減される。
【0450】
一部の実施形態では、当該方法による疾患負荷の低減は、例えば、併用療法の投与、例えば開始後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、または6ヶ月以上で評価した場合に形態学的完全寛解の誘導を含む。
【0451】
一部の態様では、微小残存病変に関するアッセイは、例えばマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって測定される場合に陰性であるか、または微小残存病変のレベルは、約0.3%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、または0.05%未満である。
【0452】
一部の実施形態では、対象の無イベント生存率または全生存率は、他の方法と比較した場合に、当該方法によって改善される。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される併用療法の当該方法後6ヶ月で当該方法によって治療された対象に関する無イベント生存率または確率は、約40%より高いか、約50%より高いか、約60%より高いか、約70%より高いか、約80%より高いか、約90%より高いか、または約95%より高い。一部の態様では、全生存率は、約40%より高いか、約50%より高いか、約60%より高いか、約70%より高いか、約80%より高いか、約90%より高いか、または約95%より高い。一部の実施形態では、当該方法で治療された対象は、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年に至る無イベント生存、無再発生存、または生存を示す。一部の実施形態では、進行までの時間、例えば6ヶ月もしくは、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年より長い、あるいはその概数より長い進行までの時間が改善される。
【0453】
一部の実施形態では、当該方法による治療後に、再発率は、他の方法と比較した場合に低減される。例えば、一部の実施形態では、併用療法の当該方法の6ヶ月後の再発率は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0454】
一部の事例では、投与された細胞、例えば養子移入された細胞の薬物動態は、投与された細胞の利用可能性、例えばバイオアベイラビリティを評価するために決定される。養子移入された細胞の薬物動態を決定する方法は、操作された細胞が投与された対象由来の末梢血を採取することと、末梢血中の操作された細胞の数または比を決定することをと含み得る。細胞を選択および/または単離するためのアプローチは、キメラ抗原受容体(CAR)特異的抗体(例えば、Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 2013 Mar; 5(177): 177ra38)、プロテインL(Zheng et al., J. Transl. Med. 2012 Feb; 10:29)、エピトープタグ、例えばCARにおける特異的部位へ直接導入され、それによりStrep-Tagに対する結合試薬を使用して、CARを直接評価するStrep-Tag配列(Liu et al.(2016) Nature Biotechnology, 34:430;国際特許出願公開WO2015095895号)およびCARポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体(国際特許出願公開WO2014190273号を参照)の使用を包含し得る。外因性マーカー遺伝子は一部の事例では、細胞の検出または選択を可能にするために、また一部の事例では細胞自殺を促進するために、操作細胞療法と関連して利用され得る。切断型増殖因子受容体(EGFRt)は、一部の事例では、形質導入された細胞において目的の導入遺伝子と共発現させることができる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照)。EGFRtは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合性分子によって認識されるエピトープを含有してもよく、それは、EGFRt構築物および別の組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)で操作された細胞を同定もしくは選択するのに、および/または受容体を発現する細胞を排除もしくは分離するのに使用することができる。例えば、米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。
【0455】
一部の実施形態では、患者から得られる生体試料、例えば、血液におけるCAR+T細胞の数は、例えば細胞の薬物動態を決定するために、細胞療法の投与後のある期間で決定することができる。一部の実施形態では、対象の血液中で、または当該方法によってそのように治療された対象の大部分において検出可能なCAR+T細胞、適宜CAR+CD8+T細胞および/またはCAR+CD4+T細胞の数は、1μL当たり1個より多い細胞、1μL当たり5個より多い細胞または1μL当たり10個より多い細胞である。
【0456】
IV.毒性および有害な転帰
提供される方法の実施形態では、対象は、細胞療法(例えば、T細胞療法)および化合物Cを含む提供される併用療法を投与された対象における、治療関連転帰、例えば、好中球減少症、サイトカイン放出症候群(CRS)または神経毒性(NT)の発症を含む、毒性または他の有害転帰についてモニターされる。一部の実施形態では、提供される方法は、重度の好中球減少症、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)または重度の神経毒性に関連するかまたはそれを指し示す症状または転帰等、毒性転帰または症状、毒性促進プロファイル、因子または特性のリスクを低減させるために行われる。
【0457】
一部の実施形態では、提供される方法は、毒性もしくは毒性の転帰の高い割合または可能性をもたらさず、あるいは例えばある特定の他の細胞療法と比較して、毒性もしくは毒性の転帰、例えば重篤な神経毒性(NT)または重篤なサイトカイン放出症候群(CRS)の割合または可能性を低減する。一部の実施形態では、当該方法は、重篤なNT(sNT)、重篤なCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日以上の日数の間の少なくともセ氏38度または少なくともセ氏約38度の発熱および少なくとも20mg/mLまたは少なくとも約20mg/mLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、あるいはそれらのリスクを増加させない。一部の実施形態では、提供される方法に従って治療された対象の約30%、35%、40%、50%、55%、60%以上対象より多く、あるいはその概数以上対象より多く、CRSの任意のグレードまたは神経毒性の任意のグレードを示されない。一部の実施形態では、治療された対象の50%以下(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上の)が、グレード2より高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2より高い神経毒性を示さない。一部の実施形態では、当該方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)が、重篤な毒性の転帰(例えば、重篤なCRSまたは重篤な神経毒性)を示さず、例えば、グレード3もしくはそれより高い神経毒性を示さず、および/または重篤なCRSを示さず、あるいは治療後のある特定の期間内で、例えば、細胞の投与の1週、2週、または1ヶ月以内でそのように示さない。
【0458】
一部の実施形態では、提供される方法は、ある特定の他の細胞療法等と比較して、重度の神経毒性(NT)もしくは重度のサイトカイン放出症候群(CRS)等の毒性もしくは毒性転帰の高い割合もしくは可能性をもたらさないか、または毒性もしくは毒性転帰の割合もしくは可能性を低減させる。一部の実施形態では、方法は、重度のNT(sNT)、重度のCRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、3日間以上にわたる少なくともまたはセ氏約38度の発熱、および少なくとも20mg/dLまたは約20mg/dLのCRPの血漿レベルをもたらさないか、またはそのリスクを増加させない。一部の実施形態では、提供される方法に従って治療された対象の30%、35%、40%、50%、55%、60%以上を超えるまたはその概数を超えるものは、いかなるグレードのCRSもいかなるグレードの神経毒性も示さない。一部の実施形態では、治療された対象の50%以下(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)は、グレード2よりも高いサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2よりも高い神経毒性を示さない。一部の実施形態では、方法に従って治療された対象の少なくとも50%(例えば、治療された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上)は、重度の毒性転帰(例えば、重度のCRSまたは重度の神経毒性)を示さない、例えば、グレード3以上の神経毒性を示さない、および/または重度のCRSを示さない、または細胞の投与の1週間、2週間もしくは1ヶ月間以内等、治療に続くある特定の期間内にそれを行わない。
【0459】
A.サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性
一部の態様では、毒性転帰は、サイトカイン放出症候群(CRS)または重度のCRS(sCRS)であるかまたはそれに関連するかまたはそれを指し示す。CRS、例えば、sCRSは、一部の事例では、養子T細胞療法および他の生物学的産物の対象への投与に続いて起き得る。Davila et al., Sci Transl Med 6, 224ra25(2014);Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 5, 177ra38(2013);Grupp et al., N. Engl. J. Med. 368, 1509-1518(2013);およびKochenderfer et al., Blood 119, 2709-2720(2012);Xu et al., Cancer Letters 343(2014) 172-78を参照されたい。
【0460】
通常、CRSは、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、単球、および/またはマクロファージによって媒介される全身免疫応答の悪化によって引き起こされる。そのような細胞は、大量のサイトカインおよびケモカイン等の炎症性メディエーターを放出し得る。サイトカインは、急性炎症性応答を誘発する可能性があり、および/または内皮臓器損傷を誘導する可能性があり、それらは、微小血管漏出、心不全、または死亡をもたらし得る。重篤な生命を脅かすCRSは、肺浸潤および肺損傷、腎不全、または播種性血管内凝固を招き得る。他の重篤な生命を脅かす毒性は、心毒性、呼吸困難、神経毒性および/または肝不全を含み得る。CRSは、抗炎症性療法、例えば抗IL-6療法、例えば、抗IL-6抗体、例えば、トシリズマブ、もしくは抗生物質、または記載されるような他の薬剤を使用して治療され得る。
【0461】
CRSの転帰、徴候および症状は公知であり、本明細書に記載されているものを含む。一部の実施形態では、特定の投薬レジメンまたは投与が、所与のCRS関連の転帰、徴候、もしくは症状をもたらすか、またはもたらさない場合、特定の転帰、徴候、および症状および/またはそれらの量もしくは程度が特定され得る。
【0462】
CAR発現細胞を投与する状況で、CRSは通常、CARを発現する細胞の注入の6日~20日後に起きる。Xu et al., Cancer Letters 343(2014) 172-78を参照されたい。一部の事例では、CRSは、CAR T細胞注入後の6日未満または20日より長い日数で起きる。CRSの発生率およびタイミングは、注入時のベースラインのサイトカインレベルまたは腫瘍負荷に関連し得る。通常、CRSは、インターフェロン(IFN)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、および/またはインターロイキン(IL)-2の血清レベルの上昇を伴う。CRSにおいて迅速に誘導され得る他のサイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIL-10である。
【0463】
CRSと関連付けられる例示的な転帰として、発熱、苦しさ、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、脳障害、ALT/AST上昇、腎不全、心障害、低酸素、神経障害、および死亡が挙げられる。神経学的合併症として、せん妄、発作様活動、錯乱、喚語困難、失語症、および/または昏迷状態になることが挙げられる。他のCRS関連の転帰として、疲労、吐気、頭痛、発作、頻脈、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能障害、および腎不全が挙げられる。一部の態様では、CRSは、血清-フェリチン、d-二量体、アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素およびトリグリセリド等の1つまたはそれ以上の因子の増加と、あるいは低フィブリノゲン血症または肝脾腫大と関連付けられる。
【0464】
一部の実施形態では、CRSと関連付けられる転帰は、例えば、2日以上の日数、例えば3日以上の日数、例えば4日以上の日数、または少なくとも3日連続した日数の間の、持続性発熱、例えば、特定の温度の、例えばセ氏38度またはセ氏約38度を超える発熱;サイトカインの上昇、例えば少なくとも2つのサイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)からなる群の少なくとも2つ)の治療前のレベルと比較して、少なくとも75または約75の最大の倍の変化、あるいは例えばそのようなサイトカインの少なくとも1つの少なくとも250または約250の最大の倍の変化;および/または毒性の少なくとも1つの臨床的徴候、例えば、低血圧(少なくとも1つの静脈内血管作用性昇圧薬によって測定される場合);低酸素(例えば、90%または約90%未満の血漿酸素(PO)レベル);および/または1つまたはそれ以上の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)が挙げられる。
【0465】
例示的なCRS関連の転帰として、サイトカインおよびケモカインならびにCRSと関係付けられる他の因子を含む、1つまたはそれ以上の因子の増加または高い血清レベルが挙げられる。例示的な転帰はさらに、そのような因子の1つまたはそれ以上の合成または分泌の増加を含む。そのような合成または分泌は、T細胞またはT細胞と相互作用する細胞、例えば、自然免疫細胞またはB細胞によるものであり得る。
【0466】
一部の実施形態では、CRS関連血清因子またはCRS関連の転帰として、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、TNF-α、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Ra、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-6、およびIL-10、IL-1β、IL-8、IL-2、MIP-1、Flt-3L、フラクタルカイン、および/またはIL-5を含む、炎症性サイトカインおよび/またはケモカインが挙げられる。一部の実施形態では、因子または転帰は、C反応性タンパク質(CRP)を含む。CRSに関する初期の、かつ容易に測定可能なリスク因子であるほかに、CRPはまた、細胞増大に関するマーカーである。一部の実施形態では、高レベルのCRP、例えば15mg/dL以上を有すると測定される対象は、CRSを有する。一部の実施形態では、高レベルのCRPを有すると測定される対象は、CRSを有さない。一部の実施形態では、CRSの尺度は、CRPおよびCRSを示す別の因子の尺度を含む。
【0467】
1つまたはそれ以上の炎症性サイトカインまたはケモカインは、CAR治療および/または化合物C治療前、治療中、または治療後にモニタリングされる。一部の態様では、1つまたはそれ以上のサイトカインまたはケモカインとして、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)が挙げられる。一部の態様では、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6がモニタリングされる。
【0468】
どの患者がsCRSを発症するリスクのある可能性がより高いかを予測するためのCRSの発生と相関するようであるCRS判断基準が開発されている(Davilla et al. Science translational medicine. 2014;6(224):224ra25)。因子として、発熱、低酸素、低血圧、神経性変化、炎症性サイトカイン、例えば治療誘導性上昇が治療前の腫瘍負荷およびsCRS症状の両方と十分に相関し得る7つのサイトカイン(IFNγ、IL-5、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびGM-CSF)のセットの血清レベルの上昇が挙げられる。CRSの診断および管理に関する他のガイドラインが公知である(例えば、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95を参照)、一部の実施形態では、CRSグレードを反映する判断基準は、以下の表3で詳述されるものである。
【表3】
【0469】
一部の実施形態では、投与後に、対象が、少なくとも3日間の少なくともセ氏38度の発熱;(2)(a)投与直後のレベルと比較して、下記の7つのサイトカインの群:インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のうちの少なくとも2つに関して少なくとも75の最大の倍の変化および/または(b)投与直後のレベルと比較して下記の7つのサイトカインの群:インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のうちの少なくとも1つに関して少なくとも250の最大の倍の変化;および(c)低血圧(少なくとも1つの静脈内血管作用性昇圧薬を要する)または低酸素(PO<90%)あるいは1つまたはそれ以上の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および/または発作を含む)等の毒性の少なくとも1つの臨床的徴候を示す場合に、対象は、細胞療法もしくはそれらの細胞の用量の投与に応答して、またはそれに続発して、「重篤なCRS」(「sCRS」)を発症するとみなされる。一部の実施形態では、重篤なCRSは、表4に記載されるように3またそれを超えるグレードを有するCRSを含む。
【0470】
一部の実施形態では、重篤なCRSあるいはグレード3以上の、例えばクレード4以上のCRSと関連付けられる転帰は、持続性発熱、例えば、2日以上の、例えば3日以上の、例えば4日以上の日数、あるいは少なくとも3日連続した日数の間の、例えば、特定の温度の、例えばセ氏38度またはセ氏約38度を超える発熱;サイトカインの上昇、例えば少なくとも2つのサイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)からなる群の少なくとも2つ)の治療前のレベルと比較して、少なくとも75または少なくとも約75の最大の倍の変化、あるいは例えばそのようなサイトカインの少なくとも1つの少なくとも250または少なくとも約250の最大の倍の変化;および/または少なくとも1つの臨床的徴候、例えば、低血圧(少なくとも1つの静脈内血管作用性昇圧薬によって測定される場合);低酸素(例えば、90%または約90%未満の血漿酸素(PO)レベル);および/または1つまたはそれ以上の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)の1つまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、重篤なCRSは、集中治療室(ICU)での管理または治療を要するCRSを含む。
【0471】
一部の実施形態では、CRS、例えば重篤なCRSは、(1)持続性発熱(少なくとも3日間の少なくともセ氏38度の発熱)および(2)少なくとも20mg/dLまたは少なくとも約20mg/dLのCRPの血清レベルの組合せを包含する。一部の実施形態では、CRSは、2つ以上の昇圧薬の使用を要する低血圧あるいは人工呼吸器を要する呼吸不全を包含する。一部の実施形態では、昇圧薬の投薬は、第2のまたは続発する投与において増加される。
【0472】
一部の実施形態では、重篤なCRSまたはグレード3のCRSは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、寒気、発熱性好中球減少症、頭痛、左心室機能障害、脳障害、水頭症、および/または振戦を包含する。
【0473】
各種転帰を測定または検出する方法は特定され得る。
【0474】
一部の態様では、療法、例えば細胞療法の毒性の転帰は、神経毒性もしくは重篤な神経毒性であるか、またはそれらと関連付けられるか、またはそれらを示す。一部の実施形態では、神経毒性の臨床的リスクと関連付けられる症状として、錯乱、せん妄、表出性失語症、鈍麻、ミオクローヌス、嗜眠、精神状態の変化、痙攣、発作様活動、発作(脳波[EEG]によって確認されてもよい)、ベータアミロイド(Aβ)のレベルの上昇、グルタミン酸のレベルの上昇、および酸素ラジカルのレベルの上昇が挙げられる。一部の実施形態では、神経毒性は、重症度に基づいて(例えば、グレード1~5スケールを使用して)等級分けされる(例えば、Guido Cavaletti & Paola Marmiroli Nature Reviews Neurology 6, 657-666(December 2010);National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria version 4.03(NCI-CTCAE v4.03)を参照)。
【0475】
一部の事例では、神経症状は、sCRSの最初期の症状であってもよい。一部の実施形態では、神経症状は、細胞療法注入の5日~7日後に開始するようである。一部の実施形態では、神経性変化の持続時間は、3日~19日の範囲であり得る。一部の事例では、神経性変化の回復は、sCRSの他の症状が消散した後に起きる。一部の実施形態では、神経性変化の消散の時間または程度は、抗IL-6および/またはステロイドによる治療によって促進されない。
【0476】
一部の実施形態では、対象が、1)末梢運動神経の炎症または変性を含む末梢性運動ニューロパチーの症状;2)末梢感覚神経の炎症または変性、知覚異常および不快感をもたらす知覚の歪み等の異常感覚、神経もしくは神経群に沿った激しい痛みの感覚等の神経痛、および/または刺激に非存在下での刺痛、圧感、冷感および温感の異常な皮膚感覚をもたらす感覚ニューロンの機能不全等の感覚異常を含む末梢性感覚ニューロパチーの症状の中からセルフケア(例えば、入浴、着衣および脱衣、摂食、トイレの使用、服薬)を制限する症状を示す場合に、対象は、細胞療法もしくはそれらの細胞の用量の投与に応答して、またはそれに続発して、「重篤な神経毒性」を発症するとみなされる。一部の実施形態では、重篤な神経毒性は、例えば、表4に記載されるように3以上のグレードを有する神経毒性を含む。一部の実施形態では、症状またはグレード3の神経毒性が10日以上続く場合に、重篤な神経毒性は、長期のグレード3であるとみなされる。
【表4】
【0477】
一部の実施形態では、当該方法は、他の方法と比較して、CRSまたは神経毒性と関連付けられる症状を低減させる。一部の態様では、提供される方法は、他の方法と比較して、重篤なCRSあるいはグレード3以上のCRSと関連付けられる症状、転帰または因子を含む、CRSと関連付けられる症状、転帰または因子を低減させる。例えば、本方法に従って治療された対象は、検出可能な、CRS、例えば重篤なCRSあるいはグレード3以上のCRSの症状、転帰または因子、例えば記載される、例えば表3で明記されるいずれかを欠如する可能性があり、および/またはCRS、例えば重篤なCRSあるいはグレード3以上のCRSの症状、転帰または因子、例えば記載される、例えば表2で明記されるいずれかを低減させた可能性がある。一部の実施形態では、本方法に従って治療された対象は、他の方法によって治療された対象と比較して、神経毒性の症状、例えば脚弱またはしびれ、記憶、視力、および/または知力の喪失、制御不能な強迫および/または強制行動、妄想、頭痛、運動制御の喪失、認知衰退および自律神経系機能障害を含む認知的ならびに行動的問題、および性機能障害を低減させた可能性がある。一部の実施形態では、本方法に従って治療された対象は、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、異常感覚、神経痛または感覚異常と関連付けられる症状を減少させた可能性がある。
【0478】
一部の実施形態では、当該方法は、神経系および/または脳の損傷、例えばニューロン死を含む神経毒性と関連付けられる転帰を低減させる。一部の態様では、当該方法は、ベータアミロイド(Aβ)、グルタミン酸、および酸素ラジカル等の神経毒性と関連付けられる因子のレベルを低減させる。
【0479】
一部の実施形態では、毒性の転帰は、用量制限毒性(DLT)である。一部の実施形態では、毒性転帰は、用量制限毒性の非存在である。一部の実施形態では、用量制限毒性(DLT)は、特定の毒性を評価するための任意の公知のもしくは公開されているガイドライン、例えば上記で記載され、National Cancer Institute(NCI)のCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)バージョン4.0を含むいずれかによって記載または評価されるように、任意のグレード3以上の毒性として定義される。一部の実施形態では、用量規制毒性(DLT)は、細胞療法(例えば、T細胞療法)および/または化合物Cの投与後に、下記に記載される事象のいずれかが生じるときと定義され、事象は、a)発熱性好中球減少症;b)約7日間または約7日間超続くグレード4の好中球減少症;c)臨床的に重大な出血を伴うグレード3または4の血小板減少症;およびd)24時間超続くグレード4の血小板減少症を含む。
【0480】
一部の実施形態では、提供される実施形態は、例えば提供される併用療法を踏まえて、および/または提供される製造品もしくは組成物を用いてT細胞の用量を投与した場合に観察される、毒性、例えばCRSもしくは神経毒性または重篤なCRSまたは神経毒性、例えばグレード3以上のCRSあるいは神経毒性の低い割合またはそれを発症する低いリスクをもたらす。一部の事例では、このことは、外来患者としての細胞療法の投与を可能にする。一部の実施形態では、提供される方法を踏まえて、および/または提供される製造品もしくは組成物を用いた細胞療法、例えばT細胞(例えば、CAR+T細胞)の用量の投与は、外来患者として実施されるか、または対象に入院を、例えば一泊の滞在を要する入院を求めない。
【0481】
一部の態様では、外来患者として治療された対象を含む、提供される方法を踏まえて、および/または提供される製造品もしくは組成物を用いて、細胞療法、例えばT細胞(例えば、CAR+T細胞)の用量を投与した対象は、対象が例えば神経毒性もしくはCRSの毒性の徴候または症状を示さない限りはあるいは示すまで、細胞用量の投与の前に、または投与とともに任意の特性を治療するための介入は投与されない。
【0482】
一部の実施形態では、外来患者として治療された対象を含む、細胞療法、例えばT細胞(例えば、CAR+T細胞)の用量を投与した対象が発熱を示す場合、対象は、発熱を下げるように治療を受けるようもしくは投与するように付与されるか、または指示される。一部の実施形態では、対象における熱は、ある特定の閾値温度もしくはレベルで、あるいはある特定の閾値温度またはレベルを上回る(あるいはある特定の閾値温度またはレベルで測定される)対象の体温として特徴付けられる。一部の態様では、閾値温度は、少なくとも低度の発熱と、少なくとも中程度の発熱と、および/または少なくとも高度の発熱と関連付けられる温度である。一部の実施形態では、閾値温度は、特定の温度または範囲である。例えば、閾値温度は、セ氏38度、39度、40度、41度、もしくは42度で、またはその概数で、あるいは少なくともセ氏約38度、39度、40度、41度、もしくは42度で、またはその概数であってもよく、および/またはセ氏38度もしくはセ氏約38度~セ氏39度もしくはセ氏約39度の範囲、セ氏39度もしくはセ氏約39度~セ氏40度もしくはセ氏約40度の範囲、セ氏40度もしくはセ氏約40度~セ氏41度もしくはセ氏約41度の範囲、またはセ氏41度もしくはセ氏約41度~セ氏42度もしくはセ氏約42度の範囲であり得る。
【0483】
一部の実施形態では、発熱を下げるよう設計された治療として、解熱剤を用いた治療が挙げられる。解熱剤として、発熱を下げる任意の薬剤、組成物、または成分、例えば解熱作用を有することが知られている多数の薬剤のうちの1つ、例えばNSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、およびニメスリド)、アスピリン、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、およびサリチル酸ナトリウム等のサリチル酸塩、パラセタモール、アセトアミノフェン、メタミゾール、ナブメトン、フェナキソン(Phenaxone)、アンチピリン、熱さまし(febrifuge)が挙げられ得る。一部の実施形態では、解熱剤は、アセトアミノフェンである。一部の実施形態では、アセトアミノフェンは、12.5mg/kgの用量で、経口でまたは静脈内に、最大4時間毎に投与することができる。一部の実施形態では、解熱剤は、イブプロフェンもしくはアスピリンであるか、またはイブプロフェンもしくはアスピリンを含む。
【0484】
一部の実施形態では、発熱が稽留熱である場合、対象は、毒性を治療するための代替治療が投与される。外来患者として治療された対処に関して、対象が稽留熱を有し、および/または稽留熱を有すると決定される場合、対象は病院へ戻るよう指示される。一部の実施形態では、対象(男性または女性)が、特定治療、例えば解熱剤、例えばNSAIDまたはサリチル酸塩、例えばイブプロフェン、アセトアミノフェンまたはアスピリンによる治療等の発熱を下げるよう設計された治療後に、関連する閾値温度でまたは関連する閾値温度を上回って発熱を示す場合、かつ対象の発熱もしくは体温が下がらないか、または特定量分または特定量を上回って下がらない(例えば、1℃を上回って、一般に、約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃分、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃を上回って変動しない)場合に、対象は、稽留熱を有し、および/または稽留熱を有すると決定されるか、または稽留熱を有するとみなされる。例えば、対象(男性または女性)が、少なくともセ氏38度もしくは少なくともセ氏約38度または少なくとも39度もしくは少なくともセ氏約39度の発熱を示すか、あるいはそれを示すと決定され、発熱が、アセトアミノフェン等の解熱剤による治療後でさえ、6時間にわたって、8時間にわたって、または12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃分、またはその概数分下がらないか、あるいは0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃を上回って、またはその概数を上回って下がらないか、あるいは1%、2%、3%、4%、もしくは5%分またはその概数分下がらない場合に、対象は、稽留熱を有するとみなされる。一部の実施形態では、解熱剤の投薬量は、例えば発熱または特定のタイプの発熱、例えば細菌またはウイルス感染、例えば対象において限局性または全身性感染と関連付けられる発熱を下げるのに通常有効な投薬量である。
【0485】
一部の実施形態では、対象(男性または女性)が、関連する閾値温度でまたは関連する閾値温度を上回って発熱を示す場合、かつ対象の発熱または体温が、約1℃分または約1℃を上回って変動せず、一般に、約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃分、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃を上回って変動しない場合に、対象は、稽留熱を有し、および/または稽留熱を有すると決定されるか、または稽留熱を有するとみなされる。ある特定量を上回るか、またはある特定量での変動のそのような非存在は概して、所与の期間にわたって測定される(例えば、24時間、12時間、8時間、6時間、3時間、または1時間の期間にわたって、これらは、発熱の第1の徴候または表示される閾値を上回る第1の温度から測定され得る)。例えば、一部の実施形態では、対象(男性または女性)が、少なくともセ氏38度もしくはセ氏約38度または少なくとも39度もしくはセ氏約39度の発熱を示し、発熱が、6時間にわたって、8時間にわたって、または12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃分、またはその概数分より多く温度が変動しない場合に、対象は、稽留熱を示すとみなされるか、または決定される。
【0486】
一部の実施形態では、発熱は稽留熱であり、一部の態様では、対象は、対象が稽留熱を有すると決定された時点で、例えば、毒性を誘導する可能性を有する初期療法、例えば細胞療法、例えば、T細胞、例えばCAR+T細胞の用量に続くそのような決定または第1のそのような決定の1、2、3、4、5時間または数時間以内に治療される。
【0487】
一部の実施形態では、毒性を治療するための1つまたはそれ以上の介入または薬剤、例えば毒性を標的化する療法は、例えば上述の実施形態のいずれかに従って測定される場合、対象が稽留熱を示すと決定もしくは確認された(例えば、示すと最初に決定または確認される)時点でまたは直後に投与される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の毒性を標的化する療法は、そのような確認または決定のある一定期間内に、例えば、その30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、または8時間以内に投与される。
【0488】
B.血液学的毒性
一部の態様では、毒性転帰は、血小板減少症および/または好中球減少症等の血液学的毒性であるかまたはそれに関連するかまたはそれを指し示す。一部の事例では、血小板減少症および好中球減少症を含む血液学的な毒性は、有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(バージョン4.03;米国国立がん研究所(US National Cancer Institute)、Bethesda、MD、USA)に従って等級分けされる。一部の事例では、血小板減少症および/または好中球減少症等の血液学的な毒性は、化合物Cの投与の前に、その間におよびその後にモニターされる。一部の事例では、血小板減少症および/または好中球減少症等の血液学的な毒性は、化合物Cの各投与の前にモニターされる。一部の事例では、血小板減少症および/または好中球減少症等の血液学的な毒性は、化合物Cの投与後に少なくとも1、2、3、4、5、6または7日毎にモニターされる。
【0489】
一部の実施形態では、全血球の計数が行われて、好中球および血小板を含む、対象における白血球(白血球細胞)のレベルをモニターする。種々の方法を使用して、全血液細胞(CBC)計数および/または白血球百分率計数を行うことができる。一部の実施形態では、血液学分析計が使用される。
【0490】
好中球減少症は、細菌および真菌感染症に対する罹患率増加を生じることが多い、血中好中球数の低減によって特徴付けされる。患者における好中球減少症の共通症状は、例えば、発熱、口内の痛み(mouth sore)および耳感染症を含む。顕著な好中球減少症に罹っている患者は、化膿性感染症、例えば、敗血症、皮膚蜂巣炎、肝臓膿瘍、フルンケル症、肺炎、口内炎、歯肉炎、直腸周囲炎症、結腸炎、副鼻腔炎および中耳炎を患うことが多い。
【0491】
一部の実施形態では、好中球絶対数(ANC)が使用されて、好中球減少症のレベルを定義する。ANCは、全血球数の構成成分から計算することができる。一部の実施形態では、好中球減少症の重症度は、血液1マイクロリットル当たりの細胞で測定された好中球絶対数(ANC)に基づき分類される:a)軽度の好中球減少症(1000~1500細胞/mL);b)中等度の好中球減少症(グレード3;500~1000細胞/mL);c)重度の好中球減少症(グレード4;<500細胞/mL)。一部の実施形態では、好中球減少症は、表5に示す基準に従って等級分けすることができる。重度の好中球減少症に罹っている対象は、感染症の重度のリスクを有することが多い。
【表5】
【0492】
一部の事例では、好中球減少症は、発熱性好中球減少症(好中球減少性発熱または好中球減少性敗血症とも呼ばれる)である。発熱性好中球減少症は、患者が38℃を超える体温および低レベルの好中球または好中球減少症を有するときに生じる。一部の実施形態では、発熱性好中球減少症は、表6に示す基準に従って等級分けすることができる。
【表6】
【0493】
一部の実施形態では、対象は、血小板減少症についてモニターされる。血小板減少症は、1マイクロリットル(μL)当たり150,000個未満の細胞の血小板数によって特徴付けされる。特に、より重度のグレードを有する患者の間での、血小板減少症の提示は、出血、出血斑、点状出血、紫斑および脾機能亢進を含むことができる。血小板減少症は、グレード1の血小板減少症(すなわち、75,000~150,000/μLの血小板数)、グレード2(すなわち、50,000~<75,000/μLの血小板数)、グレード3(25,000~<50,000/μLの血小板数)またはグレード4(すなわち、25,000/μL未満の血小板数)として特徴付けることができる。
【0494】
提供される方法の一部の実施形態では、対象が、血液学的な毒性、例えば、血小板減少症および/もしくは好中球減少症またはそれらの特定のグレードを示すと決定される場合、化合物Cとの併用療法を変更することができる。一部の態様では、化合物Cの投与後に、対象が、グレード3以上の血小板減少症;グレード3の好中球減少症;持続する(少なくとも3、5または7日間を超える等)グレード3の好中球減少症;グレード4の好中球減少症;グレード3以上の発熱性好中球減少症に罹っている場合、併用療法は変更される。一部の実施形態では、毒性の徴候または症状が消散、低下または低減されるまで、化合物Cの投与は、永久に停止されるかまたは保留される。CBCまたは白血球百分率解析等により、対象の継続的なモニタリングを行って、毒性の1つまたはそれ以上の徴候または症状を評価することができる。一部の事例では、毒性が消散するかまたは低減される場合、化合物Cの投与は、併用療法を保留する前と同一用量もしくは投薬レジメンで、より低いもしくは低減された用量で、および/またはより低頻度の投薬を伴う投薬レジメンにおいて再開することができる。一部の実施形態では、併用療法を再開する実例において、用量は、少なくともまたは少なくとも約または約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%または60%低下または低減される。一部の実施形態では、細胞療法を保留する前の用量が0.3mgである場合、用量は、0.2mgに低減される。一部の態様では、血液学的な毒性が、併用療法の保留が4週間を超えるほどの重症度のものである場合、併用療法は、永久に中断することができる。
【0495】
一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の薬剤を対象に投与して、血液学的な毒性に関連する1つまたはそれ以上の症状を治療、緩解または低下することができる。一部の事例では、血液学的な毒性が改善するまで、骨髄球性増殖因子、例えば、G-CSFまたはGM-CSFが対象に投与される。そのような療法の例は、フィルグラスチムまたはペグフィルグラスチムを含む。一部の態様では、そのような薬剤は、いずれかの持続時間のいずれかのグレード3以上の好中球減少症を含む重度の好中球減少症または発熱性好中球減少症を経験している対象に投与される。
【0496】
C.非血液学的毒性
一部の態様では、毒性転帰は、化合物Cの投与後の1つまたはそれ以上の非血液学的毒性であるかまたはそれに関連するかまたはそれを指し示す。非血液学的毒性の例は、腫瘍フレア反応、感染症、腫瘍溶解症候群、心臓検査室異常、血栓塞栓性事象(深部静脈血栓症および肺塞栓症等)および/または肺臓炎を含むがこれらに限定されない。
【0497】
一部の態様では、非血液学的毒性は、腫瘍フレア反応(TFR)(偽性進行(pseudoprogression)と称される場合もある)である。TFRは、低グレード発熱、圧痛および腫脹、びまん性発疹、ならびに一部の事例では、末梢血リンパ球数の増加を伴うことが多い、リンパ節、脾臓および/または肝臓を含む、疾患に罹っている部位のサイズの突発性増加である。一部の実施形態では、TFRは、有害事象共通用語規準(バージョン3.0;米国国立がん研究所、Bethesda、MD、USA)に従って等級分けされる。一部の実施形態では、TFRは、次の通りに等級分けされる:グレード1、機能に干渉しない軽度の疼痛;グレード2、中等度の疼痛、機能に干渉するが日常生活動作(ADL)に干渉しない疼痛または鎮痛薬;グレード3、重度の疼痛、機能に干渉しADLに干渉する疼痛または鎮痛薬;グレード4、身体障害性;グレード5、死亡。一部の実施形態では、コルチコステロイド、NSAIDおよび/または麻薬性鎮痛薬等、1つまたはそれ以上の薬剤を対象に投与して、TFRに関連する1つまたはそれ以上の症状を治療、緩解または低下することができる。
【0498】
一部の態様では、非血液学的毒性は、腫瘍溶解症候群(TLS)である。一部の実施形態では、TLSは、Cairo-Bishop等級分け方式(Cairo and Bishop (2004) Br J Haematol, 127:3-11)によって指定される基準に従って等級分けすることができる。一部の実施形態では、対象に静脈内水分補給を与えて、高尿酸血症を低減させることができる。
【0499】
一部の実施形態では、対象は、ECG、LVEFのモニタリングならびにトロポニン-TおよびBNPのレベルのモニタリング等により、心臓毒性についてモニターすることができる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の心臓症状を伴うトロポニン-Tおよび/またはBNPのレベル上昇が観察される場合、化合物Cの保持または保留を必要とし得る可能性がある心臓毒性が生じ得る。
【0500】
提供される方法の一部の実施形態では、対象が、TFRもしくは他の非血液学的な毒性またはそれらの特定のグレード等の非血液学的な毒性を示すと決定される場合、化合物Cとの併用療法を変更することができる。一部の態様では、化合物Cの投与後に、対象が、グレード3以上の非血液学的な毒性、例えば、グレード3以上のTFRに罹っている場合、併用療法は変更される。一部の実施形態では、毒性の徴候または症状が消散、低下または低減されるまで、化合物Cの投与は、永久に停止されるかまたは保留される。対象の継続的なモニタリングを行って、毒性の1つまたはそれ以上の徴候または症状を評価することができる。一部の事例では、毒性が消散するかまたは低減される場合、化合物Cの投与は、併用療法を保留する前と同一用量もしくは投薬レジメンで、より低いもしくは低減された用量で、および/またはより低頻度の投薬を伴う投薬レジメンにおいて再開することができる。一部の実施形態では、併用療法を再開する実例において、用量は、少なくともまたは少なくとも約または約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%または60%低下または低減される。一部の実施形態では、細胞療法を保留する前の用量が0.3mgである場合、用量は、0.2mgに低減される。一部の実施形態では、用量低減後であってもグレード3の毒性が再発する場合、用量をさらに低減させることができる。一部の実施形態では、用量低減後であってもグレード4の毒性が再発する場合、併用療法を永久に中断することができる。一部の態様では、血液学的な毒性が、併用療法の保留が4週間を超えるほどの重症度のものである場合、併用療法は、永久に中断することができる。
【0501】
V.製造品およびキット
化合物C、および免疫療法の構成成分、例えば、抗体もしくはその抗原結合性断片またはT細胞療法、例えば、操作された細胞を含有する製造品、ならびに/またはその組成物も提供される。製造品は、容器および容器上もしくは容器と関連付けられるラベルまたは添付文書を含み得る。適切な容器として、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、一部の実施形態では、それ単独で存在するか、あるいは状態を治療、予防および/または診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられる組成物を保持する。一部の実施形態では、容器は、滅菌アクセスポートを有する。例示的な容器として、静脈内溶液バッグ、バイアル、注射用の針によって突き刺すことが可能な栓を含むバイアル、または経口投与される薬剤用の瓶もしくはバイアルが挙げられる。ラベルまたは添付文書は、組成物が疾患または状態を治療するのに使用されることを示し得る。
【0502】
製造品は、(a)その中に含有される組成物を有する第1の容器であって、組成物が、免疫療法、例えば、T細胞療法に使用される操作された細胞を含む、第1の容器;および(b)その中に含有される組成物を有する第2の容器であって、組成物が、化合物Cを含む、第2の容器を含むことができる。
【0503】
一部の実施形態では、第1の容器は、第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物は、免疫療法、例えば、CD4+T細胞療法に使用される操作された細胞の第1の集団を含み、第2の組成物は、操作された細胞の第2の集団を含み、第2の集団は、第1の集団とは別々に操作され得る、例えば、CD8+T細胞療法に使用される。一部の実施形態では、第1および第2の細胞組成物は、定義された比の操作された細胞、例えば、CD4+およびCD8+細胞(例えば、1:1比のCD4+:CD8+CAR+T細胞)を含有する。
【0504】
製造品は、組成物が特定の状態を治療するのに使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは、またはさらには、製造品は、薬学的に許容されるバッファーを含む別のまたは同一容器をさらに含み得る。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、および/またはシリンジ等の他の材料をさらに含み得る。
【0505】
VI.定義
別記されない限り、本明細書で使用される技術分野の用語、表記法ならびに他の技術および化学用語または用語法は全て、特許請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有すると意図される。一部の事例では、一般に理解される意味を有する用語は、明瞭のために、および/またはすぐに参照するために本明細書で定義されており、本明細書中にそのような定義を包含することは、当技術分野で一般に理解されるものと実質的な差を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0506】
本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的には、ヒトである。一部の実施形態では、化合物C、操作された細胞または組成物が投与される対象、例えば、患者は、哺乳動物、典型的には霊長類、例えば、ヒトである。一部の実施形態では、霊長類は、サルまたは類人猿である。対象は、雄または雌となることができ、乳児、若年期、青年期、成体および老齢期対象を含むいずれか適した年齢となることができる。一部の実施形態では、対象は、非霊長類哺乳動物、例えば、齧歯類である。
【0507】
本明細書で使用される場合、「治療」(および、「治療する」または「治療すること」等のそれらの文法的変形)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれらに関係づけられる症状、有害効果もしくは転帰、もしくは表現型の完全または部分的な緩解または低減を指す。治療の望ましい効果として、疾患の発生もしくは再発の予防、症状の軽減、任意の直接的もしくは間接的な病理学的帰結の減少、転移の予防、疾患進行の割合の減少、疾患状態の寛解または緩和、および軽減または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、疾患の完全な治癒、または任意の症状の完全な排除、または全ての症状もしくは転帰に対する効果を意味しない。
【0508】
本明細書で使用される場合、「疾患の発症の遅延」は、疾患(例えば、B細胞悪性病変)の発症を先送り、妨害し、遅らせ、減速し、安定化し、抑制し、および/または先延ばしすることを意味する。この遅延は、治療される疾患および/または個体の病歴に応じて、様々な長さの時間であり得る。明らかな通り、十分なまたは著しい遅延は、実際には、個体が疾患を発症しないという点において、予防を包含することができる。例えば、後期のB細胞リンパ腫、例えば、転移の発症は、遅延され得る。
【0509】
「予防すること」は、本明細書で使用される場合、疾患にかかりやすい素因があり得るが、いまだ疾患とは診断されていない対象における疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。一部の実施形態では、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を遅らせるのに使用される。
【0510】
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑制する」ことは、目的の条件もしくはパラメーターを除いて他の状況では同一条件比較した場合に、あるいは別の条件と比較した場合に、機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低減させる。
【0511】
薬剤、例えば、操作された細胞または抗PD-L1もしくは抗原結合性断片、またはその医薬製剤もしくは組成物の「有効量」は、投与の状況では、所望の結果、例えば、治療的または予防的結果を達成するのに必要な投薬量/量で、また必要な期間で有効な量を指す。
【0512】
薬剤、例えば、操作された細胞または抗PD-L1もしくは抗原結合性断片、またはその医薬製剤もしくは組成物の「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するのに、疾患、状態もしくは障害の治療および/または治療の薬物動態もしくは薬力学的効果のために、必要な投薬量でかつ必要な期間で有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞等の因子に応じて多様であり得る。一部の実施形態では、提供される方法は、有効量、例えば、治療有効量で、化合物C、操作された細胞(例えば、細胞療法)または組成物を投与することを伴う。
【0513】
「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するのに必要な投薬量でかつ必要な期間で有効な量を指す。予防的用量は、疾患のより初期段階の前に、またはより初期段階で対象において使用されるため、通常、予防有効量は、治療有効量未満であるが、必ずしもそうとは限らない。
【0514】
「医薬製剤」という用語は、中に含有される有効成分の生物活性が有効になることを可能にするような形態で存在し、また、製剤が投与される対象にとって許容されないほど毒性であるさらなる構成成分を含有しない調製物を指す。
【0515】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒性である有効成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体として、バッファー、賦形剤、安定剤、または防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0516】
本明細書に記載されている場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指示しない限り、複数形を含む。例えば、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたはそれ以上」を意味する。本明細書中に記載される態様および変形は、態様および変形「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むと理解されよう。
【0517】
本開示全体にわたって、特許請求される主題の各種態様は、範囲形式で提示される。範囲形式での説明は、単に利便性および簡潔さのためであると理解されるべきであり、特許請求される主題の範囲に対する融通の利かない限定と解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、考え得る部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値全てを具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間に介在する値それぞれ、およびその記載範囲における任意の他の記載値または介在値が特許請求される主題内に包含されることが理解されよう。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、より小さな範囲に含まれてもよく、また記載範囲において任意の具体的に排除される限界を受けて、特許請求される主題内に包含される。記載範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を排除する範囲もまた、特許請求される主題に含まれる。このことは、範囲の幅に関わらず適用される。
【0518】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、この技術分野の当業者であれば容易に分かる各々値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の「約」の値またはパラメーターについての言及は、それ自体がその値またはパラメーターを対象とする実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0519】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸が、配列表において記述されるような開示される配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸位置「に相当する」という記述は、GAPアルゴリズム等の標準的なアラインメントアルゴリズムを使用して同一性を最大にするための、開示される配列とのアラインメント時に同定されるヌクレオチドまたはアミノ酸位置を指す。配列をアラインすることにより、当業者は、例えば、ガイドの通りに、保存されたおよび同一のアミノ酸残基を使用して、対応する残基を同定することができる。概して、相当する位置を同定するためには、アミノ酸の配列は、最高次数のマッチが得られるようにアラインされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New.Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991;Carrillo et al.(1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照)。
【0520】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、ベクターが連結される別の核酸を伝播することが可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターならびにベクターが導入された宿主細胞のゲノムに取り込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結した核酸の発現を誘導することが可能である。そのようなベクターは、「発現ベクター」として本明細書で言及される。ベクターの中には、ウイルスベクター、例えばレトロウイルス、例えばガンマレトロウイルスおよびレンチウイルスベクターが存在する。
【0521】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は、言い換え可能に使用され、そのような細胞の子孫を含む外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、それらは、継代数に関係なく、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞に対して、核酸内容が完全に一致していなくてもよく、突然変異を含有してもよい。元の形質転換細胞に関してスクリーニングもしくは選択される場合に同一機能または生物活性を有する突然変異子孫は、本発明に含まれる。
【0522】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が、特定のマーカーに関して「陽性である」という記載は、特定のマーカー、通常は表面マーカーの細胞上または細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーに言及する場合、当該用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体を染色することと、前記抗体を検出することとによって検出される場合の表面発現マーカーの存在を指し、ここで、染色は、他の状況では同一条件下でアイソタイプ適合制御を用いて同一手順を行う、検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーに関して陽性であることが公知の細胞に関するレベルと実質的に同様のレベルで、および/またはマーカーに関して陰性であることが公知の細胞に関するレベルより実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0523】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーに関して「陰性である」という記載は、特定のマーカー、通常表面マーカーの細胞上または細胞中での実質的に検出可能な存在の非存在を指す。表面マーカーに言及する場合、当該用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色することと、前記抗体を検出することとによって、検出される場合の表面発現の非存在を指し、ここで、染色は、他の状況では同一条件下でアイソタイプ適合性制御を用いて同一手順を行う、検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーに関して陽性であることが公知の細胞に関するレベルより実質的に低いレベルで、および/またはマーカーに関して陰性であることが公知の細胞に関するレベルと比較した場合に実質的に同様のレベルで、フローサイトメトリーによって、検出されない。
【0524】
本明細書で使用される場合、「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」および「パーセント同一性」は、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用される場合、配列をアラインして、必要であればギャップを導入して、最大パーセント配列同一性を達成した後の、また配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば、対象抗体または断片)におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的でのアラインメントは、当技術分野の技能範囲内の様々な方法で、例えば、公開されているコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大アラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0525】
本アミノ酸置換は、ポリペプチド中の1つのアミノ酸を、別のアミノ酸で置き換えることを含み得る。置換は、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であり得る。アミノ酸置換は、目的の結合性分子、例えば抗体に導入されてもよく、産物は、所望の活性、例えば抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、またはADCCもしくはCDCの改善に関してスクリーニングされ得る。
【0526】
アミノ酸は一般に、次の共通側鎖特性に従ってグループ化することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0527】
一部の実施形態では、保存的置換は、これらのクラスの1つのあるメンバーの、同一クラスの別のメンバーに代えた交換を伴うことができる。一部の実施形態では、非保存的アミノ酸置換は、これらのクラスの1つのあるメンバーの、別のクラスに代えた交換を伴うことができる。
【0528】
本明細書で使用される場合、組成物は、細胞を含む、セレブロンを標的化する2つ以上の製品、物質または化合物のいずれかの混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0529】
本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的には、ヒトである。
【0530】
VII.例示的な実施形態
提供される実施形態の中でも、次のものを特に挙げる:
1.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、
(i)分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含む細胞療法であって、併用療法の1日目に投与される細胞療法;および
(ii)下記構造:
【化16】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体であって、化合物は、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)に開始される、方法。
2.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化17】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、週1回以下で投与される複数の間欠的用量として投与され、各用量は、0.1mgまたは約0.1mg~0.6mgまたは約0.6mg(上限下限値を含む)であり、化合物の投与は、併用療法の1日目~29日目の間(上限下限値を含む)開始される、方法。
3.化合物の投与が、1日目~22日目の間(上限下限値を含む)に開始される、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
4.化合物の投与が、1日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
5.化合物の投与が、8日目~15日目の間(上限下限値を含む)に開始される、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
6.化合物の投与が、1日目または約1日目に開始される、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
7.化合物の投与が、8日目または約8日目に開始される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
8.化合物の投与が、15日目または約15日目に開始される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
9.複数の間欠的用量の各用量が同一である、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
10.化合物が、週1回投与される、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
11.化合物が、7日毎に1回(Q7D)投与される、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
12.化合物が、2週間毎に1回投与される、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
13.化合物が、14日毎に1回(Q14D)投与される、実施形態1~9および12のいずれかに記載の方法。
14.化合物が、細胞療法の投与の後に少なくとも12週間にわたり投与される、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
15.化合物が、細胞療法の投与の後に最大12週間にわたり投与される、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
16.化合物が、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、実施形態1~4、6、9~11、14および15のいずれかに記載の方法。
17.化合物が、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、実施形態1~5、7、9~11、14および15のいずれかに記載の方法。
18.化合物が、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与される、実施形態1~5、8~11、14および15のいずれかに記載の方法。
19.化合物が、8、22、36、50、64および78日目に投与される、実施形態1~5、7、9および12~15のいずれかに記載の方法。
20.化合物の用量が、0.2mgまたは約0.2mg~0.4mgまたは約0.4mg(上限下限値を含む)である、実施形態1~19のいずれかに記載の方法。
21.化合物の用量が、0.4mgまたは約0.4mgである、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
22.化合物の用量が、0.4mg未満である、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
23.化合物の用量が、0.3mgまたは約0.3mgである、実施形態1~20および22のいずれかに記載の方法。
24.化合物の用量が、0.2mgまたは約0.2mgである、実施形態1~20および22のいずれかに記載の方法。
25.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化18】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法。
26.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化19】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法。
27.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化20】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法。
28.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化21】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.4mgである、方法。
29.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化22】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、14日毎に1回(Q14D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、22、36、50、64および78日目に投与され、各用量は、0.3mgである、方法。
30.リンパ腫を治療する方法であって、リンパ腫に罹っている対象に、下記構造:
【化23】
を有する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンである化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレートもしくは多形体を投与する工程を含み、
化合物は、分化抗原群19(CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む操作された細胞の用量を含むT細胞療法との併用療法において投与され、T細胞療法は、併用療法の1日目に投与され;
化合物は、7日毎に1回(Q7D)投与される複数の間欠的用量として投与され、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78および85日目に投与され、各用量は、0.2mgである、方法。
31.化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの薬学的に許容される塩であるかまたはそれを含む、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
32.化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの水和物であるかまたはそれを含む、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
33.化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンの溶媒和物であるかまたはそれを含む、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
34.化合物が、(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンであるかまたはそれを含む、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
35.化合物の投与の開始時に、対象が、細胞療法の投与後に重度の毒性を示さない、実施形態1~34のいずれかに記載の方法。
36.重度の毒性が、重度のサイトカイン放出症候群(CRS)、適宜、グレード3以上のCRS、長期のグレード3以上のCRS、グレード4のCRSもしくはグレード5のCRSである;および/または
重度の毒性が、重度の神経毒性、適宜、グレード3以上の神経毒性、長期のグレード3の以上の神経毒性、グレード4の神経毒性もしくはグレード5の神経毒性である、
実施形態35に記載の方法。
37.対象が、化合物の投与後に毒性、適宜、血液学的毒性を示す場合、化合物の投与が保留される、および/または化合物の用量が改変、適宜低下される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.毒性が、重度の血小板減少症、適宜、グレード4の血小板減少症または長期のグレード4の血小板減少症である、実施形態37に記載の方法。
39.毒性が、重度の好中球減少症、適宜、グレード4の好中球減少症、長期のグレード4の好中球減少症、または発熱性好中球減少症、適宜、グレード3以上の発熱性好中球減少症もしくは長期のグレード3以上の発熱性好中球減少症である、実施形態37に記載の方法。
40.対象がもはや毒性を示さなくなった後に、化合物の投与が再開される、実施形態37~39のいずれかに記載の方法。
41.リンパ腫が、B細胞悪性病変である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
42.リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、適宜、NHLが、侵襲性NHL;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);DLBCL-NOS、適宜、形質転換した低悪性度;EBV陽性DLBCL-NOS;T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL);濾胞性リンパ腫(FL)、適宜、濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B);ならびに/またはDLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/もしくはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(二重/三重ヒット)を含む、実施形態1~41のいずれかに記載の方法。
43.CD19が、ヒトCD19である、実施形態1~42のいずれかに記載の方法。
44.キメラ抗原受容体(CAR)が、CD19に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、実施形態1~43のいずれかに記載の方法。
45.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖、適宜ヒトCD3-ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む、実施形態44に記載の方法。
46.キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、実施形態44または実施形態45に記載の方法。
47.共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、適宜ヒトCD28またはヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、実施形態46に記載の方法。
48.共刺激シグナル伝達領域が、ヒト4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む、実施形態46または実施形態47に記載の方法。
49.CARが、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BB、適宜ヒト4-1BBであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み;適宜、CARが、膜貫通ドメインおよびscFvの間のスペーサーをさらに含む、実施形態1~48のいずれかに記載の方法。
50.CARが、順番に、CD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;適宜、4-1BBシグナル伝達ドメイン、適宜ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン、適宜ヒトCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、実施形態1~48のいずれかに記載の方法。
51.CARが、順番に、CD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと、適宜、4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、適宜、CD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、実施形態1~48のいずれかに記載の方法。
52.スペーサーが、免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなるか、または約15アミノ酸以下を含むポリペプチドスペーサーである、実施形態49~51のいずれかに記載の方法。
53.スペーサーが、免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4ヒンジもしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなる、および/または約15アミノ酸以下を含む、実施形態49~52のいずれかに記載の方法。
54.スペーサーが、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さである、および/または免疫グロブリンヒンジ、適宜IgG4もしくはその改変バージョンの全てもしくは部分を含むかもしくはそれからなる、実施形態52または実施形態53に記載の方法。
55.スペーサーが、配列番号1の配列、配列番号2、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34によってコードされる配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントを有するかまたはそれからなる、実施形態49~54のいずれかに記載の方法。
56.共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、配列番号12、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む、実施形態49~55のいずれかに記載の方法。
57.一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、配列番号13もしくは14もしくは15またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するそのバリアントを含む、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
58.scFvが、RASQDISKYLN(配列番号35)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号36)のCDRL2配列および/もしくはGNTLPYTFG(配列番号37)のCDRL3配列ならびに/またはDYGVS(配列番号38)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(配列番号39)のCDRH2配列および/もしくはYAMDYWG(配列番号40)のCDRH3配列を含む、実施形態49~57のいずれかに記載の方法。
59.scFvが、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/またはFMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列およびFMC63のCDRH3配列を含み、適宜、scFvが、配列番号41を含むVHおよび配列番号42として記載されるアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態49~58のいずれかに記載の方法。
60.scFvが、配列番号43に記載されるアミノ酸の配列を有する、実施形態49~58のいずれかに記載の方法。
61.操作された細胞の用量が、1×10個もしくは約1×10個~5×10個もしくは約5×10個の総CAR発現T細胞、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞、5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞、1×10個もしくは約1×10個~2.5×10個もしくは約2.5×10個の総CAR発現T細胞または5×10個もしくは約5×10個~1×10個もしくは約1×10個の総CAR発現T細胞(それぞれ上限下限値を含む)を含む、実施形態1~60のいずれかに記載の方法。
62.操作された細胞の用量が、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞、少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞、少なくとも1×10個もしくは少なくとも約1×10個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×10個もしくは少なくとも約2.5×10個のCAR発現細胞または少なくとも5×10個もしくは少なくとも約5×10個のCAR発現細胞を含む、実施形態1~61のいずれかに記載の方法。
63.操作された細胞の用量が、1×10個または約1×10個のCAR発現T細胞を含む、実施形態1~62のいずれかに記載の方法。
64.操作された細胞の用量が、非経口、適宜、静脈内投与される、実施形態1~63のいずれかに記載の方法。
65.T細胞が、対象から得られる初代T細胞である、実施形態1~64のいずれかに記載の方法。
66.T細胞が、対象にとって自家である、実施形態1~65のいずれかに記載の方法。
67.T細胞が、対象にとって同種異系である、実施形態1~64のいずれかに記載の方法。
68.操作された細胞の用量が、CARを発現するCD4+T細胞およびCARを発現するCD8+T細胞を含み、用量の投与が、複数の別々の組成物を投与する工程を含み、前記複数の別々の組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の一方を含む第1の組成物およびCD4+T細胞またはCD8+T細胞の他方を含む第2の組成物を含む、実施形態1~67のいずれかに記載の方法。
69.第1の組成物および第2の組成物が、0~12時間間隔、0~6時間間隔もしくは0~2時間間隔で投与されるか、または第1の組成物の投与および第2の組成物の投与が、同一の日に行われ、約0~約12時間間隔、約0~約6時間間隔もしくは約0~2時間間隔で行われる;ならびに/あるいは
第1の組成物の投与の開始および第2の組成物の投与の開始が、約1分~約1時間間隔または約5分~約30分間隔で行われる、
実施形態68に記載の方法。
70.第1の組成物および第2の組成物が、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下または5分以下の間隔で投与される、実施形態68または実施形態69に記載の方法。
71.第1の組成物が、CD4+T細胞を含む、実施形態68~70のいずれかに記載の方法。
72.第1の組成物が、CD8+T細胞を含む、実施形態68~70のいずれかに記載の方法。
73.第1の組成物が、第2の組成物の前に投与される、実施形態68~72のいずれかに記載の方法。
74.細胞療法の投与の前に、対象が、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、実施形態1~73のいずれか1つに記載の方法。
75.細胞療法の投与の直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含む、リンパ球枯渇療法を対象に投与する工程をさらに含む、実施形態1~73のいずれか1つに記載の方法。
76.リンパ球枯渇療法が、2~4日間、適宜、3日間にわたり毎日の、約200~400mg/m、適宜、300mg/mまたは約300mg/m(上限下限値を含む)のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m、適宜、30mg/mのフルダラビンの投与を含む、またはリンパ球枯渇療法が、約500mg/mのシクロホスファミドの投与を含む、実施形態74または実施形態75に記載の方法。
77.リンパ球枯渇療法が、3日間にわたり毎日の、300mg/mもしくは約300mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含む;ならびに/または
リンパ球枯渇療法が、3日間にわたり毎日の、500mg/mもしくは約500mg/mのシクロホスファミドおよび約30mg/mのフルダラビンの投与を含む、
実施形態74~76のいずれか1つに記載の方法。
78.対象がヒトである、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法。
79.方法に従って治療された対象の少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%が、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、持続的である完全奏効(CR)、またはCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的であるCRを達成する;ならびに/あるいは
6ヶ月目までにCRを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%が、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保つ、CRを保つ、および/または生存するまたは進行せずに生存する;ならびに/あるいは
方法に従って治療された対象の少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%が、6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えてまたは9ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、客観的奏効(OR)を達成し、適宜、ORが、持続的か、またはORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90もしくは95%において持続的である;ならびに/あるいは
6ヶ月目までにORを達成する対象の少なくとも60、70、80、90または95%が、3ヶ月間にわたりもしくはそれを超えておよび/または6ヶ月間にわたりもしくはそれを超えて、奏効を保つまたは生存する、実施形態1~78のいずれかに記載の方法。
80.操作された細胞の用量の投与時にまたはその直前に、対象が、NHLのための1つまたはそれ以上の以前の療法、適宜、CARを発現する操作された細胞の別の用量以外の1、2または3つの以前の療法による治療後の寛解に続いて再発したか、またはそれに対して不応性になる、実施形態42~79のいずれかに記載の方法。
81.操作された細胞の用量の投与時にまたはその前に、
対象が、二重/三重ヒットリンパ腫であるか、もしくはそれに罹っていることが同定されている;
対象が、化学療法抵抗性リンパ腫、適宜、化学療法抵抗性DLBCLであるか、もしくはそれに罹っていることが同定されている;および/または
対象が、以前の療法に応答した完全寛解(CR)を達成していない、実施形態42~80のいずれかに記載の方法。
82.化合物の投与が、
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型を反転し;
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させ;
対象におけるCAR発現T細胞における疲弊表現型のレベルもしくは程度を低減させ;または
疲弊表現型を有する対象におけるCAR発現T細胞のパーセンテージもしくは総数を低減させる、実施形態1~81のいずれかに記載の方法。
83.化合物の投与の開始が、細胞療法の投与後に行われ、化合物の投与またはその開始に続いて、対象が、前記対象におけるCAR発現T細胞の抗原または腫瘍特異的活性または機能の回復またはレスキューを示し、適宜、前記回復、レスキュー、および/または前記化合物の投与の開始が、対象または対象の血液におけるCAR発現T細胞が、疲弊した表現型を示した後の時点においてなされる、実施形態1~82のいずれかに記載の方法。
84.化合物の投与が、
(a)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露後に、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞の抗原特異的もしくは抗原受容体駆動活性の増加をもたらすか;または
(b)前記化合物の前記投与の非存在と比較して、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤へのT細胞の曝露後に、前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい、対象におけるナイーブもしくは疲弊していないT細胞における疲弊表現型の発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させるか;または
(c)前記対象の前記投与の非存在と比較して、対象における前記CARを発現するT細胞を含んでいてもよい疲弊したT細胞における疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む、実施形態1~83のいずれかに記載の方法。
85.化合物の投与が、(i)活性の前記増加をもたらし、(ii)前記疲弊表現型の前記発生を予防し、阻害し、もしくは遅延させ、および/または前記疲弊表現型を反転するのに有効な量、頻度および/または持続時間での投与を含む、実施形態84に記載の方法。
86.対象におけるT細胞が、前記CARを発現するT細胞を含むか、および/または前記抗原が、CD19である、実施形態84または実施形態85に記載の方法。
87.疲弊表現型が、T細胞またはT細胞の集団に関連して、
同一条件下の参照T細胞集団と比較した、1つまたはそれ以上の疲弊マーカー、適宜、2、3、4、5または6つの疲弊マーカーの、T細胞における表面発現のレベルもしくは程度または表面発現を示す前記T細胞の集団のパーセンテージの増加;あるいは
同一条件下の参照T細胞集団と比較した、CD19抗原もしくは抗原受容体特異的薬剤への曝露後の、前記T細胞もしくはT細胞の集団によって示される活性のレベルもしくは程度の減少
を含む、実施形態82~86のいずれかに記載の方法。
88.レベル、程度またはパーセンテージの増加が、1.2倍または約1.2倍、1.5倍または約1.5倍、2.0倍または約2.0倍、3倍または約3倍、4倍または約4倍、5倍または約5倍、6倍または約6倍、7倍または約7倍、8倍または約8倍、9倍または約9倍、10倍または約10倍以上を超える、実施形態87に記載の方法。
89.レベル、程度またはパーセンテージの減少が、6分の5または約6分の5、3分の2または約3分の2、2.0分の1または約2.0分の1、3分の1または約3分の1、4分の1または約4分の1、5分の1または約5分の1、6分の1または約6分の1、7分の1または約7分の1、8分の1または約8分の1、9分の1または約9分の1、10分の1または約10分の1以下を下回る、実施形態87に記載の方法。
90.参照T細胞集団が、適宜、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象と同一対象に由来するまたはそれと同一種の、疲弊していない表現型を有することが知られているT細胞の集団であるか、ナイーブT細胞の集団であるか、セントラルメモリーT細胞の集団であるか、またはステムセントラルメモリーT細胞の集団である、実施形態87~89のいずれかに記載の方法。
91.参照T細胞集団が、(a)疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象の血液から単離されたバルクT細胞を含む対象適合集団であり、適宜、バルクT細胞がCARを発現しない、および/または(b)CARを発現するT細胞の用量の投与を受ける前に、疲弊表現型を有するT細胞が由来する対象から得られる、実施形態87~90のいずれかに記載の方法。
92.参照T細胞集団が、対象へのその投与の前に、T細胞療法の試料を含む組成物またはCARを発現するT細胞を含む医薬組成物であり、適宜、組成物が、凍結保存された試料である、実施形態87~91のいずれかに記載の方法。
93.1つまたはそれ以上の疲弊マーカーが、阻害受容体である、実施形態87~92のいずれかに記載の方法。
94.1つまたはそれ以上の疲弊マーカーが、PD-1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、BTLA、2B4、CD160、CD39、VISTAおよびTIGITの中から選択される、実施形態87~93のいずれかに記載の方法。
95.活性が、増殖、細胞傷害性、または炎症性サイトカインのうち1つもしくは組合せの産生のうち1つまたはそれ以上であり、適宜、サイトカインのうち1つまたは組合せが、IL-2、IFN-ガンマおよびTNF-アルファからなる群から選択される、実施形態87~94のいずれかに記載の方法。
96.前記CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露が、CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤、適宜、CARの抗原結合性ドメインに結合する薬剤とのインキュベーションを含む、実施形態87~95のいずれかに記載の方法。
97.CD19抗原または抗原受容体特異的薬剤への曝露が、T細胞を、CD19抗原発現標的細胞、適宜、B細胞悪性病変の細胞に曝露する工程を含む、実施形態96に記載の方法。
【実施例
【0531】
VIII.実施例
下記実施例は、単に例示的な目的で含まれており、本発明の範囲を限定するものと意図されない。
【0532】
実施例1:化合物Cによる抗CD19 CAR-T細胞におけるAiolosおよびIkaros転写因子の分解
刺激された抗CD19 CAR T細胞においてAiolosおよびIkaros転写因子を分解する(S)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオン(化合物C)の能力を評価した。
【0533】
試料からCD4+およびCD8+細胞を別々に選択することによるT細胞の免疫親和性に基づく選択を含むプロセスによって、5名の健康なヒト成体ドナー由来の白血球アフェレーシス試料から抗CD19 CAR発現T細胞を含有するT細胞組成物を生成し、ドナー毎にそれぞれCD4+およびCD8+細胞が富化された2つの組成物をもたらした。富化されたCD4+およびCD8+組成物の細胞を、抗CD3/抗CD28ビーズを用いて別個に活性化し、抗CD19 CARをコードするベクターによるレンチウイルス形質導入に付した。抗CD19 CARは、マウス抗体に由来する抗CD19単鎖可変断片(scFv)(FMC63に由来する可変領域)、免疫グロブリン由来のスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含有していた。ウイルスベクターにおける発現構築物は、T2Aリボソームスキップ配列によってCARコード配列から分離されたCAR発現用のサロゲート表面マーカーをコードする配列をさらに含有していた。続いて、形質導入された集団を、細胞増大用の刺激試薬の存在下で別個にインキュベートした。増大されたCD4+およびCD8+細胞を配合して、別個に凍結保存し、保管した。
【0534】
使用の前に、凍結保存したCD4+およびCD8+操作細胞組成物を解凍し、各ドナーに関しておよそ1:1のCD4:CD8の比で合わせた。次に、組み合わせた組成物の細胞を、37℃にて5%COで24時間、30μg/mLのCAR特異的抗イディオタイプ抗体により刺激した(例えば、WO2018/023100を参照)。この刺激は、ビヒクル対照の存在下で、またはおよそ10-1~10nMの範囲に及ぶ濃度の化合物C;(S)-3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物2);もしくは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の存在下で行われた。
【0535】
インキュベーション後に、刺激された細胞を抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析して、蛍光強度中央値(MFI)によって測定されるCAR+T細胞におけるIkarosおよびAiolosの細胞内レベルを評価した。IkarosおよびAiolosのMFI値を、ビヒクル対照と比べたパーセンテージとして標準化および計算した。
【0536】
化合物C、化合物2および化合物1とのインキュベーション後に、CARを発現する刺激されたT細胞において細胞内IkarosおよびAiolos発現の濃度依存性減少が観察された(図1)。検査した全ての化合物濃度レベルにおいて、IkarosおよびAiolos発現は、化合物Cで治療された細胞において、化合物2または化合物1よりも低かった。加えて、化合物C、化合物2および化合物1に関するAiolosおよびIkaros発現の低減のEC50値は、化合物の非存在下でのそれらのMFIの50%までAiolosおよびIkaros MFIを低減させた化合物濃度として計算した。これらのEC50値を、平均として表E1に示す(5名のドナーにわたる95%信頼区間を括弧内に示す)。結果は、化合物Cが、抗CD19 CAR T細胞における、化合物2または化合物1よりも強力なIkarosおよびAiolos分解因子であることを示す。
【表7】
【0537】
実施例2:CAR-T細胞機能における化合物Cの効果
化合物Cで治療された抗CD19 CAR T細胞のT細胞機能を評価した。
【0538】
実施例1に記載されている通りに、3名の異なる健康なドナーから抗CD19 CAR発現T細胞組成物を生成した。使用前に、凍結保存されたCD4+およびCD8+操作された細胞組成物を解凍し、およそ1:1のCD4:CD8比で組み合わせた。
【0539】
A.抗イディオタイプ抗体および化合物Cとのインキュベーション
生存率、増殖、細胞周期の期およびサイトカイン産生を評価するために、組み合わせたCD4+およびCD8+CAR発現T細胞組成物を、プレートに結合されたCAR特異的抗イディオタイプ抗体(例えば、WO2018/023100を参照)とともにインキュベートし、化合物C、化合物2または化合物1の存在下で37℃にてインキュベートした。インキュベーション後に、刺激されたCAR T細胞を収集し、培地中で2回洗浄し、評価した。
【0540】
生/死細胞色素を使用したフローサイトメトリーによって、培養3日目に生存率を評価した。3名のドナー(平均±SEM)について図2Aに示す通り、3μg/mLの抗イディオタイプ抗体(左パネル)または30μg/mLの抗イディオタイプ抗体(右パネル)のいずれかにより刺激が実行された場合、化合物は、細胞生存率に効果がなかった。
【0541】
プレートに結合された抗イディオタイプ抗体との培養中のT細胞の増殖を、IncuCyte(登録商標)生細胞解析システム(Essen BioScience Inc.)を使用して7日間モニターし、30μg/mLの抗イディオタイプ抗体で刺激された細胞の細胞倍加の数を、3名のドナー(平均±SEM)について図2Bおよび図2Cに示す。図2Bに示す通り、抗イディオタイプ抗体によるCAR特異的刺激の際の化合物の存在は、CAR T細胞増殖の量を減少させた。化合物Cで治療された細胞は、検査した全ての用量で、倍加の最も大幅な減少を得た。図2Cに示す通り、増殖は、1nMの化合物Cの存在下で減少し(***P<0.001)、10nMの化合物Cの存在下でさらに減少した(****P<0.0001)。
【0542】
プレートに結合された抗イディオタイプ抗体によるCAR特異的刺激の際に化合物で治療されたCAR T細胞の細胞周期の期を、3日間の刺激後の2時間にわたるEDU取込みを使用して決定した。EDU取込みのため、Click-iT(商標)EdU細胞増殖キット(Thermo Fisher Scientific)を使用してCAR T細胞を標識し、その後、調製された細胞をフローサイトメトリーによって解析した。図2D(左パネル:3μg/mLの抗イディオタイプ抗体による刺激;右パネル:30μg/mLの抗イディオタイプ抗体による刺激)における結果は、より高用量の化合物による治療が、細胞周期G1期のCAR T細胞のパーセンテージを増加させたことを示す。化合物Cは、検査した全ての用量でG1期の細胞のパーセンテージに最も大きい効果を有し、検査した他の化合物と比較して10分の1または100分の1の用量で、細胞周期G1期の細胞のパーセンテージに同様の効果を有した。図2Eに示す通り、G1期の細胞のパーセンテージは、1nMおよび10nMの両方の化合物Cの存在下で増加した(***P<0.001)。理論に制約されることを望むものではないが、G1期のCAR T細胞の蓄積は、下の実施例3に示す通り、化合物が慢性刺激の際の疲弊の発生を限定することができる機構の1つを説明することができる。
【0543】
30μg/mLの抗イディオタイプ抗体で72時間刺激されたCAR T細胞における細胞内サイトカインレベルを決定した。これを行うために、刺激されたCAR T細胞から上清を採取し、マルチプレックスエレクトロケミルミネッセンスアッセイを使用して、インターフェロン-γ(IFN-γ)およびインターロイキン-2(IL-2)含有量について解析した。パーフォリンおよびグランザイムBを含む細胞内サイトカインを染色するために、Foxp3/転写因子染色バッファーセット(Thermo Fisher Scientific)を使用して、細胞を固定および透過処理した。次に、IFNγ、パーフォリン、グランザイムBおよびIL-2の細胞内サイトカインレベルをフローサイトメトリーによって決定した。図2Fに示す通り、化合物による細胞の治療は、ビヒクル対照の存在下における抗イディオタイプ抗体による刺激と比較したMFIの倍の変化によって決定される通り、エフェクターサイトカイン(IFNγ、パーフォリン、グランザイムB)の細胞内発現を増加させたが、IL-2産生に有意な効果はなかった。ゼロよりも大きいLog倍の変化値は、図2Fにおいて「+」により指し示される。サイトカインが陽性の細胞のパーセンテージを測定した場合に、同様の結果が観察された。
【0544】
B.CD19+腫瘍細胞および化合物Cとのインキュベーション
CAR T細胞の細胞溶解機能における化合物Cの効果を評価するために、抗CD19 CAR T細胞を、1:1のエフェクター対標的(E:T)比で、かつ変動する濃度の化合物Cまたは化合物2の存在下で、CAR T細胞耐性、CELMoD感受性RL CD19+腫瘍細胞と共培養した。これを行うために、CAR T細胞をポリD-リシンプレート上にプレーティングした。次に、化合物Cまたはビヒクル対照に加えて、IncuCyte(登録商標)NucLight Red(Essen BioScience Inc.)を形質導入されたCD19+腫瘍細胞をCAR T細胞に添加した。複数日にわたり腫瘍細胞数を測定した。
【0545】
図2Gおよび図2Hは、抗CD19 CAR T細胞およびそれぞれ化合物Cまたは化合物2(左パネル:0.001μMの化合物;中央パネル:0.01μMの化合物;右パネル:0.1μMの化合物)で治療されたRL腫瘍細胞の細胞数を示す。いずれかの免疫調節化合物と組み合わせたCAR T細胞による治療は、CAR T細胞単独または化合物単独よりも少ない腫瘍細胞数を生じた。図2Gに示す通り、0.001μM(P<0.0001)および0.01μM(P<0.0001)を含む化合物Cが提供された全ての濃度レベルについて、腫瘍細胞数はより少なかった。図2Hに示す通り、0.01μMおよび0.1μMの濃度レベルの化合物2で、腫瘍細胞数はより少なかったが、0.001μMではそうではなかった。
【0546】
C.概要
まとめると、これらの結果は、CAR T細胞生存率に影響を与えることなく、化合物Cによる治療が、CAR T細胞増殖を低減させ、G1期の細胞の数を増加させ、ある特定のサイトカインの産生を増加させたことを示す。さらに、CAR T細胞増殖および細胞周期における効果は、化合物Cについて、化合物2または化合物1と比べてより顕著であり、細胞溶解は、化合物2と比べて、より低い用量の化合物Cによって改善された。
【0547】
実施例3:化合物Cで同時的に治療された慢性的に刺激されたCAR-T細胞の評価
慢性的に刺激されたCAR T細胞における疲弊を遮断または低減させる化合物Cの能力を評価した。
【0548】
慢性刺激の条件をシミュレートするために、実施例1に記載されている通りに産生された抗CD19 CAR発現T細胞を、プレートに結合されたCAR特異的抗イディオタイプ抗体(例えば、WO2018/023100を参照)とともにインキュベートし、6日間の期間にわたり37℃でインキュベートした。この6日間の刺激は、刺激されたCAR T細胞において機能低下状態を誘導することが示された。例えば、6日間の刺激後にCD19+腫瘍細胞で再負荷されたCAR T細胞は、6日間の刺激に付されていない新鮮解凍CAR T細胞と比較して、低減されたIFNγおよびIL-2サイトカイン産生(図3A)ならびに低減された細胞溶解機能(図3B)を有した。
【0549】
慢性刺激後のこのようなCAR T細胞機能低下を遮断または低減させる化合物Cの能力を評価した。これを行うために、操作されたCAR T細胞を、6日間の刺激の際に、化合物C、化合物2またはビヒクル対照で同時的に治療した。次に、刺激されたCAR T細胞を収集し、培地中で2回洗浄し、化合物Cの非存在下でGranta-519リンパ腫腫瘍スフェロイド(IncuCyte NucLight Redで形質導入されている)で再負荷し、その後、経時的な赤色蛍光の喪失およびCAR-T細胞との共培養後の様々な時点における腫瘍スフェロイドサイズの平均した測定値により細胞溶解活性を評価した。CAR T細胞のサイトカイン産生、Ikaros発現および遺伝子発現も評価した。
【0550】
図3Cは、化合物Cの存在下で刺激されたCAR T細胞との共培養9日目のGranta-519腫瘍スフェロイドの代表的な画像を示す。図3Dおよび図3Eは、慢性刺激後に化合物Cの存在下で刺激されたCAR T細胞と共培養された腫瘍スフェロイドの体積を示す。図3Dおよび図3Eに示す通り、再負荷の際の細胞溶解活性は、刺激の際の1nM濃度の化合物Cによる治療によって改善された(****P<0.0001)。図3Eに示す通り、刺激の際の10nMの化合物Cによる治療も、1nMの化合物C(****P<0.0001)よりも少ない程度であるが、共培養9日目に低減された腫瘍サイズを生じた(*P<0.05)。共培養された細胞の上清におけるIFNγのサイトカイン産生も、腫瘍細胞による再負荷の5日後に評価し、慢性刺激の際に同時的に存在する1nM濃度の化合物Cも、再負荷後に、治療されたCAR T細胞におけるIFNγ産生を改善した(図3F、****P<0.0001)。刺激の際の10nMの化合物Cによる治療も、1nMの化合物Cよりも少ない程度であるが、IFNγ産生を増加させた(***P<0.001)。
【0551】
図3Gは、MFIによって決定された、化合物Cまたは化合物2の存在下における6日間の慢性刺激の後のCAR T細胞におけるIkaros発現を示す。図示される通り、Ikaros発現は、より高い濃度(例えば、0.01μMおよび0.1μM)の化合物Cで治療されたCAR T細胞について、最低であった。
【0552】
再負荷5日後に、腫瘍スフェロイドからCAR T細胞を選別し、RNA配列決定(RNA-seq)によって遺伝子発現を解析した。RNA-seqのためのライブラリーを配列決定し、リードをGenome Reference Consortium Human Build 38(GRCh38)ヒト参照ゲノムにマッピングした。遺伝子発現レベルを定量化し、DESeq2を使用して差次的発現を行った。刺激の際に化合物Cで治療された慢性的に刺激されたCAR T細胞と治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞との間とともに、治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞と刺激されていないCAR T細胞との間で、遺伝子発現を比較した。1nMおよび10nMの化合物による治療効果に基づき差次的発現を計算した。差次的遺伝子座選択カットオフは、q≦0.05および絶対的log倍の変化≧0.5であった。
【0553】
図3Hに示す通り、慢性刺激の際の化合物Cによる治療は、治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞と比較して、慢性的に刺激されたCAR T細胞において変更された遺伝子発現を生じた。同一セットの遺伝子について、図3Iは、治療されたおよび治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞の間(y軸)ならびに治療されていない慢性的に刺激されたおよび刺激されていないCAR T細胞の間(x軸)で、どのように発現レベルが異なっていたかについて示す。図示される通り、刺激の際の化合物Cによる治療によって上方調節された遺伝子は、慢性刺激によって下方調節された遺伝子であり(左上四分円)、刺激の際の化合物Cによる治療によって下方調節された遺伝子は、慢性刺激によって上方調節された遺伝子であった(右下四分円)。
【0554】
Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)を使用したCAR T RNA-seqデータの経路解析も、clusterProfilerを使用して行った。慢性刺激によるその上方調節が化合物Cによる治療によって予防または低減された経路は、図3Jに示され、特異的細胞増殖経路を含む。図3Jに示す遺伝子比は、所与の経路における総遺伝子にわたる重大な遺伝子のパーセンテージとして計算された。
【0555】
まとめると、これらの結果は、慢性刺激の条件における、相対的に低濃度であっても、化合物Cの存在が、慢性的に刺激されたCAR T細胞における疲弊を限定または低減させることができることを指し示す。これらの結果は、CAR T細胞におけるIkaros発現が、より高い濃度の化合物Cによる治療によって低減され、T細胞機能に関与する経路が、慢性刺激後に富化され、慢性刺激の際の同時的治療による化合物Cによって反転され得ることも示した。
【0556】
これらの結果は、慢性刺激の際のより高い濃度(10nM)の化合物Cによる治療が、1nMの化合物Cによる治療と比較して、CAR T細胞の細胞溶解活性およびサイトカイン産生において少ない改善を生じたことも示した。理論に制約されることを望むものではないが、より高い濃度の化合物Cによる治療は、IkarosおよびAiolosの持続したまたは過剰な分解を生じ、慢性刺激の際の化合物C治療の利益を限定するCAR T細胞機能障害をもたらす可能性がある。対照的に、より低い濃度の化合物Cは、持続したまたは過剰なAiolosおよびIkaros分解の有害な効果を伴わずに、CAR T細胞機能を改善する可能性がある。
【0557】
実施例4:化合物Cによるレスキュー治療に続く慢性的に刺激されたCAR-T細胞の評価
化合物Cの、疲弊から慢性的に刺激されたCAR T細胞をレスキューする能力を評価した。
【0558】
実施例1に記載されるように産生された抗CD19 CAR発現T細胞を、実施例3に記載される通りであるが、刺激中の化合物Cの非存在下で刺激した。その代わりに、慢性的に刺激されたCAR T細胞を、Granta-519リンパ腫(lyphoma)腫瘍スフェロイドまたはA549腫瘍スフェロイドによる再負荷の際に化合物Cで治療し、その後、CAR T細胞の細胞溶解活性、サイトカイン産生および遺伝子発現を評価した。
【0559】
図4Aは、化合物Cの存在下におけるCAR T細胞との共培養9日目のGranta-519およびA549腫瘍スフェロイドの代表的な画像を示す。図4Bおよび図4Cは、化合物Cの存在下で抗CD19 CAR T細胞と共培養された腫瘍スフェロイドの体積を示す。図4Bに示す通り、腫瘍体積は、CAR T細胞および化合物C(1nMまたは10nm)による同時治療によって、慢性的に刺激されたCAR T細胞単独または化合物C単独による治療よりも低減された(両方の濃度についてP<0.0001)。図4Cは、共培養9日目の腫瘍サイズに基づく同様の結果を示す(1nMについて***P<0.001;10nMについて**P<0.01)。腫瘍細胞による再負荷の5日後にサイトカイン産生も評価し、再負荷の際の化合物Cの存在はまた、慢性的に刺激されたCAR T細胞単独と比較して、慢性的に刺激されたCAR T細胞におけるIFNγ産生を改善した(対照;図4D)。サイトカイン産生は、1nMの化合物Cの存在下で再負荷されたCAR T細胞について最高であり(P<0.0001)、また、10nMの化合物の存在下で再負荷されたCAR T細胞について増加された(P<0.05)。
【0560】
慢性的に刺激されたCAR T細胞の遺伝子発現も、実施例3の通りにRNA配列決定によって解析した。再負荷の際に化合物Cで治療された慢性的に刺激されたCAR T細胞と治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞との間とともに、治療されていない慢性的に刺激されたCAR T細胞と刺激されていないCAR T細胞との間で、遺伝子発現を比較した。図4Eに示す通り、再負荷の際の化合物Cによる治療は、治療されていない慢性的に刺激されたCAR細胞と比較して、慢性的に刺激されたCAR T細胞において変更された遺伝子発現を生じた。図4Fに示す通り、再負荷の際に化合物Cによる治療によって上方調節された遺伝子は、慢性刺激によって下方調節された遺伝子であり(左上四分円)、再負荷の際に化合物Cによる治療によって下方調節された遺伝子は、慢性刺激によって上方調節された遺伝子であった(右下四分円)。慢性刺激によるその上方調節が再負荷の際の化合物Cによる治療によって反転される経路を図4Gに示す。
【0561】
まとめると、これらの結果は、相対的に低濃度であっても、化合物Cの存在が、既に慢性的に刺激されたCAR T細胞を、疲弊した表現型からレスキューまたは回復することができることを指し示す。実施例3に記載されている同時的刺激による結果と同様に、この結果は、T細胞機能に関与する経路が、慢性刺激後に富化され、レスキュー治療による化合物Cによって反転され得ることを明らかにする。
【0562】
実施例5:異なる濃度レベルの化合物Cで治療された慢性的に刺激されたCAR-T細胞の評価
異なる濃度の化合物Cを、慢性刺激後のCAR T細胞の細胞溶解機能におけるそれらの効果について検査した。CAR T細胞を、慢性刺激の際またはその後のいずれかで、様々な濃度の化合物Cで治療した。
【0563】
実施例1に記載されている通りに産生された抗CD19 CAR発現T細胞を、実施例3に記載されている通りに慢性的に刺激し(化合物Cは、慢性刺激の際に存在する)、次いで、化合物Cの非存在下でGranta-519リンパ腫腫瘍スフェロイドにより再負荷した(同時的治療群)。加えて、抗CD19 CAR発現T細胞を、実施例4に記載されている通りに慢性的に刺激し(化合物Cは、慢性刺激の際に存在しない)、次いで、化合物Cの存在下でGranta-519リンパ腫腫瘍スフェロイドにより再負荷した(レスキュー治療群)。再負荷の際に、CAR-T細胞との共培養中の様々な時点で、腫瘍細胞数によって細胞溶解活性を評価した。
【0564】
図5Aは、化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す(同時的治療)。図5Bは、化合物Cの存在下におけるCAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す(レスキュー治療)。両方の治療条件において、腫瘍細胞数は、0.001μM濃度の化合物Cで治療されたCAR T細胞のための対照条件と比較して低減された。また、両方の治療群において、腫瘍細胞数は、0.01μMおよび0.1μM濃度の化合物Cで治療されたCAR T細胞のための対照条件と比較してより高かった。
【0565】
これらの結果は、より高い濃度の化合物Cによる治療が、慢性的に刺激されたCAR T細胞の細胞溶解活性を損なう可能性があることを示唆する。理論に制約されることを望むものではないが、このような障害は、例えば、実施例3に示す通り、より高い濃度の化合物CによるIkarosの持続したまたは過剰な分解が原因である可能性がある。
実施例6:化合物Cの間欠的投薬スケジュールの評価
【0566】
過剰なまたは持続した治療が、マイナスにCAR T細胞機能に影響し得る、および/または好中球成熟停止に続発する好中球減少症を引き起こし得る、IkarosおよびAiolosの分解における化合物Cの頑強な影響が原因で、化合物Cによる治療のための間欠的投薬スケジュールを、Ikarosの深いが一過性の分解をもたらすその能力について評価した。これを行うために、毎週(Q7D)0.3mg用量の化合物Cの薬物動態をモデル化した。これらの結果に基づき、化合物Cへの短い(24時間)および慢性(6日間)曝露後のCAR T細胞におけるIkaros分解を決定した。好中球発生における毎週0.3mg用量の化合物Cの効果もモデル化した。
【0567】
図6Aは、Q7D投薬レジメンに基づく化合物Cの予想される血漿濃度レベルを示す。図示される通り、薬物動態モデル化は、化合物Cの二相性排出を明らかにし、20nMのCmaxまでの高い一過性初期ピークに続いて、拡張された末端排出およびおよそ1nMの7日目におけるCminが見られた。
【0568】
図6Bおよび図6Cは、化合物Cへの24時間(図6B)または6日間の曝露(図6C)後の、実施例1に記載されている通りに生成された抗CD19 CAR T細胞におけるIkarosレベルを示す。図6Bに示す通り、化合物Cの0.01μMもの低さの用量レベルは、Ikaros分解を生じ、0.3mg用量の化合物C(20nMのCmaxを有する)が、24時間後に実質的なIkaros分解を生じるであろうことを示唆する。図6Cに示す通り、0.001μMの化合物Cへの6日間の曝露は、Ikarosレベルに影響せず、化合物Cの血漿濃度が用量間で経時的に減少するにつれて、Ikarosレベルが、初期分解後にベースラインレベルに戻る機会を有し得ることを示唆する。
【0569】
図6Dは、4つの異なる薬力学モデルを使用して生成された予測好中球絶対数(ANC)プロファイルを示す。毎週0.3mg用量が、少ない好中球数(例えば、好中球減少症)をもたらすか否か評価することを含む、好中球発生における毎週0.3mg用量の化合物Cの効果を評価するために、これらのプロファイルが生成された。全てのモデルについて、平均ナディアANCレベルは、毎週0.3mg用量を与えた場合、およそ2.2×10細胞/Lを上回ることが予測された。
【0570】
まとめると、これらの結果は、CAR T細胞療法と組み合わせた化合物Cの間欠的投薬スケジュールが、好中球発生に実質的に影響することも、CAR T細胞機能にマイナスに影響することもなく、CAR T細胞における深いが一過性のIkaros分解を可能にするであろうことを示唆する。理論に制約されることを望むものではないが、毎週用量による化合物Cの薬物動態排出は、Ikarosレベルが、用量間でベースライン値に戻ることを可能にし、これにより、持続したIkaros分解が原因のCAR T細胞機能障害または好中球成熟停止を予防することができる。
【0571】
実施例7:慢性的に刺激されたCAR T細胞における化合物Cの間欠的投薬スケジュールの評価
CAR T細胞における間欠的化合物C投薬スケジュールの効果を評価した。実施例6に示す毎週用量による化合物Cの二相性排出をシミュレートするために、化合物Cの存在下でCAR T細胞を慢性的に刺激し、1日間は高濃度の化合物Cで、次いで、5日間は低濃度の化合物Cで行った。
【0572】
実施例1に記載されている通りに産生された抗CD19 CAR発現T細胞を、化合物Cの存在下で実施例3に記載されている通りに慢性的に刺激した。慢性刺激の際に、化合物Cは、(i)50nMで1日間および1nMで残っている5日間、(ii)25nMで1日間および0.5nMで残っている5日間、(iii)10nMで1日間および非存在で残っている5日間、または(iv)1nMで全6日間存在した。次に、刺激されたCAR T細胞を、化合物Cの非存在下、Rajiリンパ腫腫瘍スフェロイドで再負荷し、その後、細胞溶解活性を評価した。
【0573】
図7Aは、記載される通りに化合物Cの存在下で慢性的に刺激されたCAR T細胞とともに、新鮮な(慢性的に刺激されていない)CAR T細胞の再負荷の際の腫瘍細胞数を示す。図示される通り、慢性刺激の際の1日間の高濃度と、それに続く5日間の低濃度の化合物Cの存在(1日間の50nMおよび残っている5日間の1nM、または1日間の25nMおよび残っている5日間の0.5nM)は、慢性的に刺激されたCAR T細胞の細胞溶解活性の最大の増加を生じた。
【0574】
CAR T細胞が化合物Cの存在または非存在下で7日間にわたり慢性的に刺激された別々の実験について、図7Bに同様の結果を示す。本実験において、化合物Cは、(i)50nMで1日間および1nMで残っている刺激の6日間、(ii)25nMで1日間および0.5nMで残っている刺激の6日間、(iii)10nMで刺激の全7日間、または(iv)1nMで刺激の全7日間存在した。次に、刺激されたCAR T細胞を、化合物Cの非存在下、Rajiリンパ腫腫瘍スフェロイドで再負荷し、その後、4日間の期間にわたり細胞溶解活性を評価した。図7Bに示す通り、1日間の50nMおよび残っている刺激の6日間の1nMの化合物Cの存在は、慢性的に刺激されたCAR T細胞の細胞溶解活性を改善した(****P<0.0001)。1日間の25nMおよび残っている刺激の6日間の0.5nMの化合物Cの存在も、細胞溶解活性を改善した(****P<0.0001)。化合物Cの存在または非存在下で7日間刺激されたCAR T細胞も、慢性刺激後にフローサイトメトリーを使用して、表現型T細胞メモリーマーカーについて解析した。図7Cに示す通り、化合物Cの存在下で刺激されたCAR発現CD8 T細胞は、化合物Cの非存在下で刺激された細胞よりも高いパーセンテージのCD27+/CCR7+細胞を有した。低分化ナイーブ様T細胞のマーカーであるCD27/CCR7発現は、1日間の50nMおよび残っている刺激の6日間の1nMの化合物Cの存在下で刺激されたCAR発現CD8 T細胞において最高であった(*P<0.05)。
【0575】
これらの結果は、例えば、化合物Cの間欠的投薬レジメンの一部としての、化合物Cの毎週用量が、化合物Cと組み合わせて投与されたCAR T細胞の細胞溶解活性を改善するであろうことを示唆する。これらの結果は、化合物Cの間欠的投薬レジメンが、CAR T細胞における低分化メモリー表現型の保存を生じるであろうことも指し示す。
【0576】
実施例8:抗CD19 CAR T細胞および化合物Cによる再発した/不応性のB細胞悪性病変の治療
化合物Cと、CD19に特異的なCARを発現する自家T細胞を含有する治療用CAR T細胞組成物とを含む併用療法を、再発した/不応性の侵襲性B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に罹っている対象に投与した。
【0577】
具体的には、形質転換した低悪性度NHLを含むDLBCL NOS;濾胞性リンパ腫グレード3B;T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫;EBV陽性DLBCL、NOS;原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫;またはDLBCL組織像を有するMYCならびにBCL2および/もしくはBCL6の再編成を有する高悪性度B細胞リンパ腫(二重/三重ヒットリンパ腫)として定義される侵襲性B細胞NHLに罹っている成体ヒト対象由来の白血球アフェレーシス試料から、自家抗CD19指向性治療用T細胞組成物を実施例1に記載されている通りに生成した。侵襲性B細胞NHLは、最後の再発時に組織学的に確認されたか、さもなければ、新たな腫瘍生検が要求された。
【0578】
適格な対象は、CD20標的化剤およびアントラサイクリンを含む少なくとも2つの前の選択の全身療法に対して再発したかまたは不応性である。形質転換した疾患に罹っている対象のため、対象は、適格となるために、形質転換した疾患(すなわち、DLBCL)のための少なくとも2つの選択の全身療法を受けているべきである。前の選択の療法は、以前に低悪性度の状態(例えば、濾胞性リンパ腫またはCLL)のために与えられた療法を含まなかった。対象は、低悪性度の疾患のためにアントラサイクリンを受けた場合、自身のDLBCLのためにアントラサイクリンを受けている必要はなかった。対象は、化合物Cによる前の治療を有さなかった。
【0579】
適格な対象は、Lugano分類による陽電子放射断層撮影(PET)陽性(すなわち、Deauvilleスコア4または5)およびコンピュータ断層撮影(CT)測定可能な疾患を有した。適格な対象は、CTスキャンによる25cm以上の最大6個の指標病変の垂直直径の積の和(SPD)を有した。
【0580】
自家抗CD19 CAR T細胞組成物の産生のため、予定されるCAR T細胞投与のおよそ4週間前に、対象から白血球アフェレーシス試料を得た。次いで、対象は、3日間にわたりフルダラビン(Flu、30mg/m)およびシクロホスファミド(Cy、300mg/m)によるリンパ球枯渇化学療法を受けた。リンパ球枯渇化学療法の完了から2~7日後に、対象は、併用療法の1日目にCAR発現T細胞の用量(例えば、1×10個の総T細胞)を受けた。
【0581】
対象を、化合物C投与のための7つの投薬サブコホートの1つに割り当てた。サブコホートAに割り当てられた患者は、8日目に始める週1回の0.3mgの化合物Cの投薬レジメンを受けた。化合物C投与の予定された開始時にグレード3以上のCRSまたはNTを有する対象のため、化合物C投与の開始を最大3日間遅延させることができる。サブコホートAのための投薬レジメンの安全性および忍容性に応じて、他の投薬レジメンを評価することができる。サブコホートBは、1日目に始める週1回の0.3mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。サブコホートCは、15日目に始める週1回の0.3mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。サブコホートDは、8日目に始める週1回の0.4mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。サブコホートEは、8日目に始める2週間毎に1回の0.3mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。サブコホートFは、8日目に始める週1回の0.2mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。サブコホートGは、8日目に始める週1回の0.6mgの化合物Cの投薬レジメンを受ける。全てのサブコホートについて、化合物C投与は、併用療法の85日目まで続けられる。
【0582】
安全性、薬物動態および薬力学および臨床応答について対象をモニターした。治療に対する臨床応答の決定は、対象が、進行性疾患(PD)、部分奏効(PR)、完全奏効(CR)および/または安定疾患を示したか否かについての評価を含んだ。
【0583】
本発明は、例えば本発明の各種態様を説明するために提供される特定の開示される実施形態に範囲が限定されると意図されない。記載される組成物および方法に対する各種変更は、本明細書中の説明および教示から明らかとなる。そのような変形は、本開示の真の範囲および主旨を逸脱することなく実施されてよく、本開示の範囲内に収まると意図される。
【表8】
【表8】
【表8】
【表8】
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
【配列表】
2024513054000001.app
【国際調査報告】