(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】アセトアセチルポリマーをベースとするマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/16 20060101AFI20240313BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560652
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022058079
(87)【国際公開番号】W WO2022207542
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/083980
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨンタオ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
(72)【発明者】
【氏名】シャオフェン スイ
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005AB14
4G005BA02
4G005DB06Z
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4G005DD58Z
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB03
4H003AB28
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、疎水性材料をベースとするコア、好ましくは香料と、アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルとを有する、コア-シェルマイクロカプセルに関する。前述のマイクロカプセルを調製するための方法も本発明の目的である。前述のマイクロカプセルを含む付香性組成物および消費者製品、特にホームケア製品またはパーソナルケア製品の形態の着香消費者製品も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルマイクロカプセルであって、
a)疎水性材料、好ましくは香油を含む油性コアと、
b)アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルと
を含む、コア-シェルマイクロカプセル。
【請求項2】
前記ポリマーシェルが、ポリアミン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマー材料で作られている、請求項1記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
前記アセトアセチルポリマーが、セルロースアセトアセテート、デンプンアセトアセテート、2~6個のアセトアセテート官能基を有する多官能性アセトアセテート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記ポリマーシェルが、前記マイクロカプセルの総重量を基準として20重量%未満のポリマー材料を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記疎水性材料が香油を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項において定義されるコア-シェルマイクロカプセルを調製するための方法であって、前記方法が、
1)水相を調製するステップと、
2)疎水性材料、好ましくは香油を含む油相を調製するステップと、
3)界面重合および/または界面反応によるコア-シェルマイクロカプセルの形成を可能にする条件下で、前記油相を前記水相に添加し、それらを混合して水中油型エマルションを形成するステップと
を含み、
多官能性モノマーが、ステップ1)で前記水相中および/またはステップ2)で前記油相中および/またはステップ3)で前記エマルション中に添加され、
アセトアセチルポリマーが、前記水相中および/または前記油相中および/または前記エマルション中に添加される、
方法。
【請求項7】
前記多官能性モノマーが、少なくともポリアミン、ポリイソシアネート、ポリ無水物、ポリ無水マレイン酸、ポリ酸クロリド、ポリエポキシド、アクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートモノマー、ポリアルコキシシランまたはアルコキシシラン、メラミン系樹脂、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記アセトアセチルポリマーが、
(i)ヒドロキシル基を有するポリマーを溶媒に溶解して均質な溶液を形成するステップと、
(ii)前記ヒドロキシル基との反応を介して前記ポリマーのアセトアセチル化を誘導するステップと、
(iii)ステップ(ii)で得られた溶液から前記ポリマーの沈殿を誘導するステップと、
(iv)任意選択的に、前記沈殿したポリマーを、好ましくは洗浄プロセスにより精製してアセトアセチルポリマーを得るステップと
によって得られる、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
反応物を、ステップ1)および/またはステップ3)で添加する、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記アセトアセチルポリマーの総量が、前記エマルションの総重量を基準として0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%で構成される、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記油相が、前記エマルションの5~60重量%、好ましくは20~40重量%を占めることを特徴とする、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
消費者製品であって、
- パーソナルケア活性基剤と、
- 請求項1から5において定義されるマイクロカプセルと
を含み、
前記消費者製品がパーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品。
【請求項13】
消費者製品であって、
- ホームケア活性基剤またはファブリックケア活性基剤と、
- 請求項1から5において定義されるマイクロカプセルと
を含み、
前記消費者製品がホームケア組成物またはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性材料をベースとするコア、好ましくは香料と、アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルとを有する、コア-シェルマイクロカプセルに関する。前述のマイクロカプセルを調製するための方法も本発明の目的である。前述のマイクロカプセルを含む付香性組成物および消費者製品、特にホームケア製品またはパーソナルケア製品の形態の着香消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する問題の1つは、発香性化合物によって提供される嗅覚的利益が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性のために比較的急速に失われることにある。揮発性物質の放出速度を調整するためには、コアとなるペイロードを保護して、トリガーがかかったときに後で放出すべく、香料を含有するマイクロカプセルなどの送達システムが必要とされる。これらのシステムに関する産業界からの重要な要求は、物理的に解離または分解することなく、制約がある基剤中での懸濁に耐えることである。例えば、攻撃性の高い界面活性剤を多量に含有するフレグランス付きの個人用および家庭用クレンザーは、マイクロカプセルの安定性にとって非常に制約が多い。
【0003】
メラミン-ホルムアルデヒド樹脂で形成されたアミノプラスチックマイクロカプセルは、主に疎水性活性剤をカプセル化するために使用されており、したがって、前述の活性剤を保護し、それらの制御された放出を提供する。しかしながら、アミノプラスチックなどのカプセルは、界面活性剤を含む消費者製品、例えば香料消費者製品において使用される場合、特に高温での長期保存後に、安定性の問題を抱える。そのような製品では、カプセル壁が無傷のままであっても、カプセル化された活性剤は、製品基剤中に、カプセル化された活性剤を可溶化することができる界面活性剤が存在することにより、壁を介した拡散によってカプセルから漏出する傾向がある。この漏出現象は、カプセルが活性剤を保護し、その放出を制御する効率を低下させる。
【0004】
油性コアをベースとするマイクロカプセルの安定性を改善するために、様々な戦略が記載されている。マイクロカプセルの安定性を改善する方法として、ポリ(アミン)およびポリ(イソシアネート)などの化学物質群によるカプセル壁の架橋が記載されている。国際公開第2011/154893号は、例えば、芳香族および脂肪族ポリイソシアネートを特定の相対濃度で組み合わせて使用するポリ尿素マイクロカプセルの調製方法を開示している。
【0005】
無機粒子による油/水-界面の安定化は、いわゆるピッカリングエマルションで説明されてきた。これに関連して、架橋を可能にする無機粒子の官能化が知られている。例えば、静電相互作用を提供するポリマー電解質で外側の水相から架橋されたピッカリングエマルションは、先行開示の対象であった(Li Jian et al. in Langmuir (2010), 26(19), 15554-15560)。しかしながら、そのようなシステムは、静電相互作用が安定性を促進するには不十分であるため、界面活性剤基剤中またはエタノール中で時間の経過とともに解離する可能性が非常に高い。共有結合による架橋もまた、コロイドソームの調製におけるピッカリングエマルションとの関連で記載されている。特に、架橋剤としてのジイソシアネートの使用が科学出版物に開示されている。国際公開第2009/063257号はまた、紫外線から内容物を保護するレベルを高めたマイクロカプセルを調製するために、表面修飾無機粒子の可能な架橋剤としてポリイソシアネートを使用することが記載されている。これらの製品は、典型的には、農薬用途を意図したものである。このタイプのシステムは、香料のカプセル化には適さない。実際、マイクロカプセルの良好な形態および透過性を維持するためには、過剰な表面修飾無機粒子が必要である。別の問題は、これらのマイクロカプセルにサイズ調整の余地がほとんどないことである。さらに、油/水-界面での吸着粒子の量は限られており、カプセル膜の特性に影響を与える。
【0006】
さらに、安定性および嗅覚性能の面での性能に加えて、環境に優しい送達システムに対する消費者の要求はますます重要になっており、新しい送達システムの開発を推進している。
【0007】
したがって、マイクロカプセルの性能、特に、消費者製品基剤などの制約がある媒体中での安定性の点、ならびに有効成分の送達に関して良好な性能、例えば、付香性成分の場合の嗅覚性能を提供する点で妥協することなく、より環境に優しい材料を使用した新しいマイクロカプセルを提供する必要性が依然として存在する。
【0008】
発明の概要
したがって、本発明の第1の態様は、コア-シェルマイクロカプセルであって、
a)疎水性材料、好ましくは香油を含む油性コアと、
b)アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルと
を含む、コア-シェルマイクロカプセルである。
【0009】
本発明の第2の態様では、コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
a)疎水性材料、好ましくは香油を含む油性コアと、
b)アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルと
で作られた少なくともマイクロカプセルを含む、コア-シェルマイクロカプセルスラリーである。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記で定義したコア-シェルマイクロカプセルまたはコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するための方法であって、該方法は、
1)水相を調製するステップと、
2)疎水性材料、好ましくは香油を含む油相を調製するステップと、
3)界面重合および/または界面反応によるコア-シェルマイクロカプセルの形成を可能にする条件下で、油相を水相に添加し、それらを混合して水中油型エマルションを形成するステップと
を含み、
多官能性モノマーが、ステップ1)で水相中および/またはステップ2)で油相中および/またはステップ3)でエマルション中に添加され、
アセトアセチルポリマーが、水相中および/または油相中および/またはエマルション中に添加される、
方法である。
【0011】
第4の態様では、本発明は、そのような方法によって得られるマイクロカプセル、ならびにそれを含有する付香組成物および消費者製品に関する。
【0012】
最後の態様では、本発明は、エマルションの安定化のための、かつ/または界面重合および/または界面反応にさらに供される、アセトアセチルポリマーの使用に関する。
【0013】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセントを示す。
【0014】
「疎水性材料」とは、水と混合したときに二相分散体を形成する材料を意味する。本発明によれば、疎水性材料は、溶媒または有効成分のような「不活性」材料であり得る。一実施形態によれば、疎水性材料は、疎水性有効成分である。
【0015】
「有効成分」とは、単一の化合物または成分の組み合わせを意味する。
【0016】
「香油」とは、単一の付香性化合物または複数の付香性化合物の混合物を意味する。
【0017】
「消費者製品」または「最終製品」とは、消費者によって流通、販売および使用される準備が整った製造品を意味する。
【0018】
本発明における「マイクロカプセル」またはそれに類するものは、コア-シェル型からマトリックス型まで様々であり得る形態を有する。一実施形態によれば、それはコア-シェル型である。この場合、マイクロカプセルは、疎水性材料、典型的には香料をベースとするコアと、アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルとを含む。
【0019】
典型的には、マイクロカプセルは、約1~3000ミクロンで構成される、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは1~500ミクロン、さらに好ましくは5~50ミクロンで構成されるミクロン範囲(例えば平均直径)のマイクロカプセルサイズ分布を有する。本発明によるマイクロカプセルのポリマーシェルは、アセトアセチルポリマーの存在下で、界面重合および/または界面反応によって形成される。より詳細には、ポリマーシェルは、アセトアセチルポリマーの存在下で、多官能性モノマーと、任意選択的に反応物との反応によって形成される。アセトアセチルポリマーは、ポリマーシェルの形成に関与し得、かつ/またはポリマーシェルと相互作用し得る。
【0020】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体に分散されたマイクロカプセルを意味する。一実施形態によれば、マイクロカプセルは水に分散される。
【0021】
「粒子サイズ」とは、粒子が水相に分散されたときに、Malvern Instruments Ltd.(英国)のZetasizer Nano ZS機器を使用して動的光散乱(DLS)によって測定されたサイズ分布に基づく粒子の平均直径を意味する。
【0022】
「マイクロカプセルサイズ」とは、Malvern Mastersizer 3000における希釈サンプルのレーザー光散乱によって得られた、関連するマイクロカプセル、マイクロカプセル懸濁液の体積平均直径(D[4,3])を意味する。
【0023】
「アセトアセチルポリマー」とは、少なくとも2つのアセトアセテート官能基を有するポリマーを意味する。アセトアセチルポリマーは、単一のアセトアセチルポリマーとして、またはアセトアセチルポリマーの混合物として使用され得る。
【0024】
本発明で使用されるアセトアセチルポリマーは、ヒドロキシル基を含有するポリマー基材(またはポリマー)をアセトアセチル化することによって得ることができる。本発明において、「ヒドロキシル基を含有するポリマー基材」または「ヒドロキシル基を含有するポリマー」は、区別なく使用される。
【0025】
ポリマー基材の非限定的な例として、多糖類(例えばセルロース、デンプン、アラビアガム、キトサン)、合成ポリマー(例えばPEG(ポリエチレングリコール)、PVOH(ポリビニルアルコール))またはポリオールを挙げることができる。この場合、アセトアセチル化は、
(1)対応するヒドロキシ化合物とジケテンまたはジケテン誘導体との反応;または
(2)対応するヒドロキシ化合物とアセトアセテートとのトランスエステル化
によって得ることができる。
【0026】
本発明によれば、「アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェル」とは、ポリマーシェルがアセトアセチルポリマーおよび/またはアセトアセチルポリマーから誘導される材料を含むことを理解されたい。
【0027】
「多官能性モノマー」とは、単位として化学的に反応または結合してポリマーまたは超分子ポリマーを形成する分子を意味する。多官能性モノマーは、油溶性または水溶性である。本発明の多官能性モノマーは、別の成分(例えば、アセトアセチルポリマー)の官能基と反応または結合することができ、かつ/または重合してポリマーシェルを形成することができる、少なくとも2つの官能基を有する。「シェル」および「壁」という表現は、本発明では区別なく使用される。
【0028】
「ポリ尿素」壁またはシェルとは、ポリマーシェルが、アミノ官能性架橋剤またはイソシアネート基の加水分解のいずれかによって生成されて界面重合中にイソシアネート基とさらに反応することができるアミノ基を生成する尿素結合を含むことを意味する。特定の実施形態によれば、ポリ尿素をベースとするカプセルは、添加されたアミン反応物の非存在下で形成される。
【0029】
ここで驚くべきことに、アセトアセチルポリマーがシェル内に含まれる場合、疎水性材料、例えば香油をカプセル化するコア-シェルマイクロカプセルが得られることが見出された。したがって、本発明のマイクロカプセルは、シェル内のポリマー材料の濃度が低くても、制約がある基剤中での保存安定性を向上させるので、上述の問題に対する解決手段を提供する。
【0030】
コア-シェルマイクロカプセル
本発明の第1の対象は、コア-シェルマイクロカプセルであって、
a)疎水性材料、好ましくは香油を含む油性コアと、
b)アセトアセチルポリマーを含むポリマーシェルと
を含む、コア-シェルマイクロカプセルである。
【0031】
一実施形態によれば、ポリマーシェルは、アセトアセチルポリマーの存在下で、界面反応/重合によって形成される。
【0032】
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒または有効成分のような「不活性」材料であり得る。
【0033】
疎水性材料が有効成分である場合、それらは、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤、悪臭中和成分、殺生物活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0034】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、相変化材料(PCM)ではない。
【0035】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料と、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤および殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0036】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物活性剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0037】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、害虫駆除剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0038】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料を含む。
【0039】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料からなる。
【0040】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は殺生物活性剤からなる。
【0041】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は害虫駆除剤からなる。
【0042】
「香料」(または「香油」とも)とは、ここで意味されるのは、約20℃で液体である成分または組成物である。上記の実施形態のいずれか1つによれば、前述の香油は、付香性成分単独または付香性組成物の形態での成分の混合物であり得る。「付香性成分」として、ここでは、匂いを付与または調節することを主目的として使用される化合物を意味する。言い換えれば、そのような成分は、付香性成分であるとみなされるためには、単に匂いを有するだけでなく、少なくとも組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。本発明の目的のために、香油はまた、付香性成分と、香料前駆体、調節剤、エマルションまたは分散体などの付香性成分の送達をともに改善、強化または改変する物質との組み合わせ、ならびに持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物安定性、害虫駆除など、匂いを改変または付与することを凌駕する追加の利益を付与する組み合わせも含む。
【0043】
油相中に存在する付香性成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的ではなく、当業者はその一般的な知識に基づいて、意図した用途または適用および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの付香性成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環式化合物および精油(例えばタイム油)などの様々な化学クラスに属し、前述の付香性共成分は天然由来または合成由来であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。
【0044】
特に、香料配合物において一般的に使用される付香性成分を以下に挙げることができ、例えば、
- アルデヒド系成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香-ハーブ系成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム系成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス系成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル系成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパン酸プロピル、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー系成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチルペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチルブタン酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル;
- グリーン系成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク系成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッデイ系成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリー油、パチュリー油のテルペン画分、Clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナールである。
【0045】
また、前述の成分は、プロ香料(properfume)またはプロフレグランス(profragrance)としても知られる様々なタイプの付香性化合物を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0046】
付香性成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させることができる。溶媒は、好ましくはアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastman社から入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、クエン酸トリエチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性で高度に立体障害である。好ましくは、香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージはすべて香料の総重量に対する重量で定義される。最も好ましくは、香料は、本質的に溶媒を含まない。
【0047】
好ましい付香性成分は、高い立体障害を有するもの(すなわちバルキーな材料)であり、特に以下の群のうちの1つからのものである:
- 第1群:少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC1~C4アルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香性成分;
- 第2群:少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC4~C8アルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む付香性成分;
- 第3群:フェニル環を含む付香性成分、または少なくとも1つの直鎖状もしくは分岐状のC5~C8アルキルもしくはアルケニル置換基もしくは少なくとも1つのフェニル置換基と任意選択的に1つ以上の直鎖状もしくは分岐状のC1~C3アルキルもしくはアルケニル置換基とで置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む付香性成分;
- 第4群:少なくとも2つの縮合もしくは連結したC5および/またはC6環を含む付香性成分;
- 第5群:カンファー様の環構造を含む付香性成分;
- 第6群:少なくとも1つのC7~C20環構造を含む付香性成分;
- 第7群:3.5超のlogP値を有し、少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む付香性成分。
【0048】
これらの各群からの成分の例は以下のものである:
- 第1群:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボン酸メチル(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、酢酸テルペニル、酢酸ジヒドロテルペニル、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクラノール、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、((6R)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 第2群:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在);
- 第3群:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イソ酪酸テルペニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、p-tert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、サリチル酸シクロヘキシル、炭酸2-メトキシ-4-メチルフェニルメチル、炭酸エチル2-メトキシ-4-メチルフェニル、炭酸4-エチル-2-メトキシフェニルメチル;
- 第4群:メチルセドリルケトン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8-イルと、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8-イルとの混合物、ベチベロール(vetyverol)、ベチベロン(vetyverone)、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、パーヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、オクタリノール(octalynol)、ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよび酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルならびにプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよびプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イル、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 第5群:カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在);
- 第6群:トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、9-ヘキサデセン-16-オリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデセノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチルシクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデカノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、シクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 第7群:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0049】
好ましくは、香料は、上記で定義した第1群~第7群から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群~第7群の成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群、第4群、第6群または第7群からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0050】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、3を超えるlogP、好ましくは3.5を超えるlogP、さらにより好ましくは3.75を超えるlogPを有する成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0051】
特定の実施形態によれば、本発明で使用される香料は、その自重の10%未満の第一級アルコールと、その自重の15%未満の第二級アルコールと、その自重の20%未満の第三級アルコールとを含む。有利には、本発明で使用される香料は、いかなる第一級アルコールも含まず、15%未満の第二級アルコールおよび第三級アルコールを含む。
【0052】
一実施形態によれば、油相(または油性コア)は、
- Log T<-4を有するハイインパクト香料原料を少なくとも15重量%含む香油25~100重量%と、
- 1.07g/cm3より大きい密度を有する密度平衡材料0~75重量%と
を含む。
【0053】
「ハイインパクト香料原料」は、LogT<-4を有する香料原料として理解されたい。化学化合物の嗅覚閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子量によって部分的に決定される。便宜上、嗅覚閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、すなわちLog[閾値](「LogT」)として提示される。
【0054】
「密度平衡材料」は、1.07g/cm3より大きい密度を有し、好ましくは低臭気を有するか、または無臭である材料として理解されたい。
【0055】
付香性化合物の嗅覚閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(以下「GC」)を用いて決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、シリンジによって注入される香油成分の正確な量、正確な分割比、ならびに濃度および鎖長分布が既知の炭化水素標準を使用した炭化水素応答を決定するように校正される。空気の流量を正確に測定し、人間の吸入時間が12秒間続くと仮定して、サンプリングされた量を計算する。任意の時点での検出器の正確な濃度が分かるため、吸入量あたりの質量が分かり、ひいては付香性化合物の濃度が分かる。閾値濃度を決定するために、逆算された濃度の溶液がスニフポートに送られる。パネリストはGC流出液の匂いを嗅ぎ、匂いに気付いた保持時間を特定する。パネリスト全員の平均が、付香性化合物の嗅覚閾値濃度を決定する。嗅覚閾値の決定については、C. Vuilleumier et al., Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September, 2008, pages 54-61により詳しく説明されている。
【0056】
LogT<-4を有するハイインパクト香料原料の性質および1.07g/cm3より大きい密度を有する密度平衡材料は、国際公開第2018115250号に記載されており、その内容は参照により含められる。
【0057】
一実施形態によれば、Log T<-4を有するハイインパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンと(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンとを含む混合物、(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル、3-メチルインドール、(+-)-パーヒドロ-4α,8β-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチョロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(+-)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランとテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランとを含む混合物、4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランと(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランとを含む混合物、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニルアルデヒド(nonylenic aldehyde)、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、4-メチルフェニルイソブチレート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、β,2,2,3-テトラメチル-Δ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、δ-ダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-アミノ安息香酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、オクタラクトンγ、3-フェニル-2-プロペン酸エチル、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、酢酸パラクレジル、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、β-イオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール、(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-2-メチルペンタン酸エチル、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、酢酸アリル(シクロヘキシルオキシ)、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-ヘキセン酸シクロプロピルメチル、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、2-メチルプロパン酸4-ホルミル-2-メトキシフェニル、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-シアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、酢酸4-メトキシベンジル、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、酢酸アリル(2/3-メチルブトキシ)、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0058】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0059】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%で構成される量で含む。
【0060】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%のアルデヒド、ケトン、およびそれらの混合物を含む。
【0061】
したがって、油性コアに含まれる残りの香料原料は、Log T>-4を有することができる。
【0062】
一実施形態によれば、Log T>-4を有する香料原料は、2-メチル酪酸エチル、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、プロピオン酸ベルジル、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、3-シクロヘキシルプロパン酸アリル、(Z)-3ヘキセニルアセテート、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、ヘプタン酸アリル、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、3-オキソブタン酸エチル、(2Z)-3-ヒドロキシ-2-ブテン酸エチル、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、ブタン酸エチル、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサン酸エチル、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、酢酸ベルジル、(3R)-1-〔(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル〕-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0063】
一実施形態によれば、香料配合物は、
- 0~60重量%の疎水性溶媒(香料配合物の総重量を基準とする)と、
- 40~100重量%の香油(香料配合物の総重量を基準とする)と、
任意選択的に更なる疎水性有効成分と
を含み、
香油は、以下の特性のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてを有する:
・ 少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、3超のlog P、好ましくは3.5超のlog Pを有する付香性成分、
・ 少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の、先に定義した第1群~第6群、好ましくは第3群~第6群のバルキーな材料および
・ 少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%の、先に定義したLog T<-4を有するハイインパクト香料材料。
【0064】
特定の実施形態によれば、香料は、0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0065】
特定の実施形態によれば、疎水性溶媒は、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチル、ケイ皮酸ベンジル、およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される密度平衡材料である。
【0066】
特定の実施形態では、疎水性溶媒は、閉じ込められた香油と適合するハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0067】
「ハンセン溶解度パラメーター」という用語は、ポリマーの溶解度を予測するために使用されるチャールズ・ハンセンによって提案された溶解度パラメーターアプローチを指し、液体の気化の全エネルギーがいくつかの個々の部分からなるという基礎に基づいて開発されたと理解される。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」を計算するには、(原子)分散力、(分子)永久双極子-永久双極子力、および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせなければならない。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」は、(δD2+δΡ2+δH2)0.5で計算され、式中、δDはハンセン分散値(以下では原子分散力とも呼ばれる)、δΡはハンセン分極率値(以下では双極子モーメントとも呼ばれる)、δΗはハンセン水素結合(「h結合」)値(以下では水素結合とも呼ばれる)である。パラメーターおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press (Copenhagen, 1967)を参照されたい。
【0068】
香料と溶媒との間の溶解度パラメーターのユークリッド差は、(4*(δD溶媒-δDフレグランス)2+(δP溶媒-δPフレグランス)2+(δH溶媒-δHフレグランス)2)0.5で計算され、式中、δD溶媒、δP溶媒、およびδH溶媒は、それぞれ、溶媒のハンセン分散値、ハンセン偏光度値、およびハンセンh結合値であり、δDフレグランス、δPフレグランス、およびδHフレグランスは、それぞれ、フレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極率値、およびハンセンh結合値である。
【0069】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0070】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0071】
特定の実施形態では、香油の少なくとも90%、好ましくは香油の少なくとも95%、最も好ましくは香油の少なくとも98%が、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0072】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0073】
一実施形態によれば、付香性配合物は、(疎水性溶媒が存在する場合には疎水性溶媒に加えて使用することができるか、または疎水性溶媒が存在しない場合には疎水性溶媒の代わりとして使用することができる)フレグランス調節剤を含む。
【0074】
好ましくは、フレグランス調節剤は、以下のものを有するフレグランス材料として定義される:
i.22℃で0.0008トル未満の蒸気圧;
ii.3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP;
iii.12~20の原子分散力、1~7の双極子モーメント、および2.5~11の水素結合からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター;
iv.22℃で0.0008~0.08トルの蒸気圧範囲を有する化合物と溶解状態にある場合の、14~20の原子分散力、1~8の双極子モーメント、および4~11の水素結合からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター。
【0075】
好ましくは、例として、以下の成分を調節剤としてリストアップすることができるが、リストは以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ミュゲアルデヒド、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン。
【0076】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、任意の有効成分(例えば香料)を含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、好ましくは、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱物油、およびそれらの混合物からなる群において選択されるものと、任意選択的に親水性溶媒、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択されるものとを含み、好ましくはそれからなる。
【0077】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば、微生物)を死滅させたり、その増殖および/または蓄積を低減もしくは防止したりすることができる化学物質を指す。殺生物剤は、医療、農業、林業、ならびに例えば、水、種子を含む農産物、および石油パイプラインの汚れを防止する産業において、一般的に使用される。殺生物剤は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む殺虫剤;ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/または抗寄生虫剤などの抗菌物質であり得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「害虫駆除剤」は、害虫を忌避または誘引し、その成長、発達またはその活動を減少、抑制または促進するのに役立つ物質を示す。害虫とは、動物、植物または菌類を問わず、植物または動物に侵入するか、または厄介な任意の生物を指し、害虫には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌およびその他の微生物が含まれる。
【0079】
一実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~95重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~約80重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~約60重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約15重量%~45重量%を占める。
【0080】
特定の実施形態によれば、油相は、本質的に多官能性モノマーと香油またはフレーバー油とからなる。
【0081】
一実施形態によれば、第1のタイプの触媒を方法中に添加して、多官能性モノマー(特に(メタ)アクリレートモノマーが官能性モノマーとして使用される場合)の重合を開始させることができ、かつ/または第2のタイプの触媒を方法中に添加して、アセトアセテートポリマーのアセトアセテート基と多官能性モノマー(例えば、アミン、(メタ)アクリレートモノマーなど)との反応を高めることができる。
【0082】
触媒は、油相中(ステップ2)および/またはエマルション中(ステップ3)に添加することができる。
【0083】
第1のタイプの触媒は、例えば、有機過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、tert-ブチルペルアセテート、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンを含むフリーラジカル開始剤;またはアゾ化合物、例えば2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル)バレロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩の群より選択されるものを含むフリーラジカル開始剤;または/ならびに無機過酸化物、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸モノナトリウム塩、過酸化水素、およびそれらの混合物を含むフリーラジカル開始剤である。特定の実施形態では、フリーラジカル開始剤は、温和な条件下でラジカル種を生成することができる酸化還元系である。酸化還元系の例としては、過酸化水素と金属塩(例えば第1鉄イオン、第1銅イオン、コバルトイオン)、有機過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド)と金属塩(例えば第1銅イオン、コバルトイオン)、有機過酸化物と第三級アミン、無機過酸化物(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)と第1鉄イオン、無機過酸化物と亜硫酸塩、無機過酸化物とチオ硫酸塩が挙げられる。
【0084】
第2のタイプの触媒は、塩基触媒、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、金属炭酸塩、アルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物系触媒;または/およびルイス塩基の群より選択される求核性触媒、例えば第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ピリジン系触媒(例えば、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリドナフチリジン、4-ピロリジノピリジン(4-PPY))、アミジン系触媒(例えば、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン(DBN))、イミダゾール、ホスフィン系触媒(例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン)およびそれらの混合物である。
【0085】
ポリマーシェル
一実施形態によれば、ポリマーシェルは、ポリマー材料を含む。
【0086】
一実施形態によれば、ポリマーシェルは、ポリアミン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素とホルムアルデヒド、メラミンとホルムアルデヒド、メラミンと尿素、メラミンとグリオキサールのポリマー、ゼラチン/アラビアゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含む(またはそれらの材料で作られている)。
【0087】
特定の実施形態によれば、ポリマー材料は、ポリアミンである。
【0088】
特定の実施形態によれば、ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリレートである。
【0089】
特定の実施形態によれば、ポリマー材料は、ポリ尿素および/またはポリウレタンである。
【0090】
特定の実施形態によれば、ポリマー材料は、ポリアミドである。
【0091】
一実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルの総重量を基準として30重量%未満の量で存在する。
【0092】
別の実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルの総重量を基準として20重量%未満の量で存在する。
【0093】
別の実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルの総重量を基準として10重量%未満の量で存在する。
【0094】
一実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルスラリーの総重量を基準として12重量%未満の量で存在する。
【0095】
別の実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルスラリーの総重量を基準として8重量%未満の量で存在する。
【0096】
別の実施形態によれば、ポリマー材料は、マイクロカプセルスラリーの総重量を基準として5重量%未満の量で存在する。
【0097】
実際、シェルを形成するポリマー材料の量が減少しても、マイクロカプセルは依然として消費者製品において良好な安定性を示すことが強調されている。
【0098】
アセトアセチルポリマー
一実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは、固体粒子の形態である。
【0099】
一実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは安定剤として使用され、シェル内に埋め込まれ得る。
【0100】
特定の実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは反応性安定剤として作用し、シェル内に埋め込まれる。
【0101】
反応性安定剤とは、安定剤が水中油型エマルションを安定化させる安定剤としても、多官能性モノマーと反応する反応物としても作用することを意味する。
【0102】
実際、多官能性モノマーの性質に応じて、アセトアセチルポリマーは、前述の多官能性モノマーと反応して重合シェルを形成することもできる。
【0103】
特定の実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは、多官能性モノマーと反応して重合シェルを形成する。
【0104】
好ましいアセトアセチルポリマー懸濁液(水中)は、懸濁液の総重量を基準として0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.01重量%~5.0重量%のポリマー含有量を有するものである。
【0105】
アセトアセチルポリマーはポリマーシェル内に含まれ、これは、アセトアセチルポリマーが好ましくはポリマーシェル形成に関与すること、ポリマーシェルと共有結合相互作用を有すること、もしくはポリマーシェル内に組み込まれること、または/および非共有結合相互作用下でポリマーシェルに付着することを意味する。
【0106】
特定の実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは、セルロースアセトアセテート、デンプンアセトアセテート、2~6個のアセトアセテート官能基を有する多官能性アセトアセテートおよびそれらの混合物より選択される。アセトアセテート官能基を2~6個有する多官能性アセトアセテートは、エチルジアセトアセテート、1,3-ブタンジオールジアセトアセテート、エチレンジアセトアセテート、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、2,2’-(4-メトキシベンザル)ビスエチルアセトアセテート、ネオペンチルグリコリコールビスアセトアセテート、エチレングリコールジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、ペンタエリスリトールテトラアセトアセテートおよびそれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0107】
一実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは、アセトアセチルポリビニルアルコール(PVOH)またはアセトアセチル変性ポリビニルアルコール(PVOH)ではない。
【0108】
アセトアセチルポリマーは、当業者に周知の異なる方法を用いて調製することができる。
【0109】
一実施形態によれば、アセトアセチルポリマーは、以下のステップによって得られる:
(i)ヒドロキシル基を有するポリマーを溶媒に溶解して均質な溶液を形成するステップ、
(ii)ヒドロキシル基との反応を介して前述のポリマーのアセトアセチル化を誘導するステップ、
(iii)ステップ(ii)で得られた溶液からポリマーの沈殿を誘導するステップ、
(iv)任意選択的に、沈殿したポリマーを、好ましくは洗浄プロセスにより精製してアセトアセチルポリマーを得るステップ。
【0110】
一例として、ステップ(i)で溶媒としてイオン液体を使用してセルロースを溶解する
か、または溶媒としてジメチルスルホキシドを使用してデンプンを溶解してもよい。
【0111】
ステップii)は、
(1)対応するヒドロキシ化合物とジケテンもしくはジケテン誘導体との反応;または
(2)対応するヒドロキシ化合物とアセトアセテート(例えばアセト酢酸tert-ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸2-メトキシエチル、(4-メチルベンゾイル)酢酸エチル、3-オキソヘキサン酸エチル)とのトランスエステル化
を含み得る。
【0112】
ステップii)では、ポリマーに抗溶媒を添加すること、または/および均質な溶液中の溶媒を除去することによって、ステップi)の均質な溶液からポリマーを沈殿させることができる。
【0113】
ステップ(i)で使用される溶媒は、ポリマーを溶解して均質な溶液を形成することができる溶媒または混合物である。当業者であれば、適切な溶媒を選択することができるであろう。例えば、それは1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体の一種)、またはセルロースの場合はジメチルホルムアミド(DMF)、デンプンの場合はジメチルスルホキシドであり得る。
【0114】
ステップ(i)では加熱ステップを行うことができる。
【0115】
当業者であれば、適切な抗溶媒を選択することができるであろう。抗溶媒として、例えばエタノール、アセトン、酢酸エチル、水、酸溶液、塩溶液およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0116】
特定の実施形態では、シェル材料は、生分解性材料を含む。
【0117】
特定の実施形態では、シェルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0118】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0119】
それにより、コア、シェルおよび任意選択的にコーティングなどのすべての構成要素を含むコア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有することができることが理解される。
【0120】
特定の実施形態では、油性コア、好ましくは香油は、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0121】
OECD301Fは、経済協力開発機構による生分解性に関する標準試験法である。
【0122】
生分解性を測定するための典型的なシェルの抽出方法は、Gasparini and all in Molecules 2020, 25,718に開示されている。
【0123】
任意選択の成分
マイクロカプセルがスラリーの形態である場合、マイクロカプセルスラリーは、増粘剤/レオロジー調整剤、抗菌剤、不透明化剤(opacity-building agents)、マイカ粒子、塩、pH安定剤/緩衝成分からなる群より選択される補助成分を、好ましくはスラリーの総重量を基準として0~15重量%で構成される量で含むことができる。
【0124】
別の実施形態によれば、本発明のマイクロカプセルスラリーは、追加の遊離(すなわち、非カプセル化)香料を、好ましくはスラリーの総重量を基準として5~50重量%で構成される量で含む。
【0125】
任意選択の外側コーティング
本発明の特定の実施形態によれば、本発明によるマイクロカプセルは、多糖類、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体(例えば国際公開第2021185724号に記載されている)およびそれらの混合物からなる群より選択される外側コーティング材料を含み、マイクロカプセルに外側コーティングを形成する。
【0126】
多糖類ポリマーは当業者に周知である。好ましい非イオン性多糖類は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0127】
特定の実施形態によれば、コーティングは、カチオン性コーティングからなる。
【0128】
カチオン性ポリマーも当業者に周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、また好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方の窒素測定の化学試験の下に記載されているケルダール法によって決定することができる。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の一部を形成することができるか、またはそれに直接接続された側部置換基が持つことのできる第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を含有するものから選択される。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000~3.5Mダルトン、より好ましくは50,000~2Mダルトンである。
【0129】
特定の実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドに基づくカチオン性ポリマーを用いることになる。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、およびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群より選択されることになる。
【0130】
市販品の具体例としては、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、製造元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550もしくはStyle(ポリクオタニウム-11~68もしくはビニルピロリドンの四級化コポリマー、製造元:BASF)、またはJaguar(登録商標)(C13SもしくはC17、製造元:Rhodia)も挙げることができる。
【0131】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、約0%~5%w/w、さらには約0.1%~2%w/wで構成される上述のポリマーの量が添加され、パーセンテージは、マイクロカプセルまたはスラリーの総重量に対するw/w基準で表される。当業者であれば、前述の添加されたポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに組み込まれ/沈着することが明確に理解される。
【0132】
コア-シェルマイクロカプセルを調製するための方法
本発明のコア-シェルマイクロカプセルは、とりわけポリマー壁の性質に依存して異なるプロセスに従って調製することができる。
【0133】
本発明の別の対象は、上記で定義したコア-シェルマイクロカプセルを調製するための方法であって、該方法は、
1)水相を調製するステップと、
2)疎水性材料、好ましくは香油を含む油相を調製するステップと、
3)界面重合および/または界面反応によるコア-シェルマイクロカプセルの形成を可能にする条件下で、油相を水相に添加し、それらを混合して水中油型エマルションを形成するステップと
を含み、
多官能性モノマーが、ステップ1)で水相中および/またはステップ2)で油相中および/またはステップ3)でエマルション中に添加され、
アセトアセチルポリマーが、水相中および/または油相中または/およびエマルション中に添加される、
方法である。
【0134】
一実施形態によれば、多官能性モノマーが、ステップ1)で水相中および/またはステップ2)で油相中に添加される。
【0135】
一実施形態によれば、本方法は、
1)アセトアセチルポリマーを含む水相を調製するステップと、
2)疎水性材料、好ましくは香油を含む油相を調製するステップと、
3)界面重合および/または界面反応によるコア-シェルマイクロカプセルの形成を可能にする条件下で、油相を水相に添加し、それらを混合して水中油型エマルションを形成するステップと
を含み、
多官能性モノマーは、ステップ1)で水相中および/またはステップ2)で油相中に添加される。
【0136】
一実施形態によれば、ステップ3)は、
- ステップ3a)油相を水相中に添加して水中油型エマルションを形成することと、続いて
- ステップ3b)(界面重合および/または界面反応による)多官能性モノマーの反応を可能にする条件を適用して、アセトアセチルポリマーの存在下で油/水-界面でポリマーシェルを形成することと
を含む。
【0137】
一実施形態によれば、ステップ1)におけるアセトアセチルポリマーは、溶液または懸濁液の形態である。
【0138】
特定の実施形態によれば、界面重合および/または界面反応は、多官能性モノマーとアセトアセチルポリマーとの間で起こる。この実施形態によれば、シェルは、多官能性モノマー(例えば油中)と、アセトアセチルポリマー、水および/または水中油型界面における水相中の追加の反応物との間の反応を介して形成される。
【0139】
一実施形態によれば、多官能性モノマーは、ステップ2)で油相中に添加される。
【0140】
先の実施形態は、多官能性モノマーが油に可溶性である場合(例えば、多官能性モノマーとしてポリイソシアネートまたは油溶性ポリアミンが使用される場合)に特に適している。
【0141】
一実施形態によれば、多官能性モノマーは、ステップ1)で水相中に添加される。
【0142】
先の実施形態は、多官能性モノマーが水に可溶性である場合(例えば、多官能性モノマーとしてメラミン系樹脂または水溶性ポリアミンが使用される場合)に特に適している。
【0143】
一実施形態によれば、多官能性モノマーはステップ3)でエマルション中に添加される。
【0144】
一実施形態によれば、第1の多官能性モノマーは、ステップ1)で水相中に添加され(例えばメラミン系樹脂または水溶性ポリアミン)、第2の多官能性モノマー(例えば、ポリイソシアネートまたは油溶性ポリアミン)は、ステップ2)で油相中に添加される。
【0145】
一実施形態によれば、第1の多官能性モノマーは、ステップ1)で油相中に添加され、第2の多官能性モノマーは、ステップ3)でエマルション中に添加される。
【0146】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、ステップ1)で水相中に(アセトアセチルポリマーを凌駕する)追加のポリマー乳化剤を添加するステップを含む。
【0147】
「ポリマー乳化剤」とは、水に親和性のある極性基(親水性)と油に親和性のある非極性基(親油性)との両方を有する乳化剤を意味する。親水性部分は水相に溶解し、疎水性部分は油相に溶解して液滴の周りに皮膜を提供する。
【0148】
この任意選択のポリマー乳化剤により、アセトアセチルポリマーの存在下で油滴の安定化を助けることができる。この実施形態は、アセトアセチルポリマー濃度が低い場合に特に適している。ポリマー乳化剤は、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤であり得る。非限定的な例として、非イオン性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレンまたはポリプロピレンオキシドとのコポリマー、アルキルアクリレートとN-ビニルピロリドンとのコポリマー、および非イオン性多糖類が挙げられる。イオン性ポリマーとしては、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、酸アニオン性界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、スルホネート基を有するアクリル系コポリマー、およびビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、ならびにイオン性多糖類が挙げられる。
【0149】
一実施形態によれば、方法中、ポリマー乳化剤は、方法のいずれの段階でも添加されない。
【0150】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、ステップ1)で水相中に(アセトアセチルポリマーに加えて)コロイド安定剤またはコロイド粒子安定剤を添加するステップを含む。
【0151】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、ステップ1)および/またはステップ3)で反応物を添加するステップを含む。この任意選択の反応物は、マイクロカプセルのシェル形成に関与し得る。反応物は、水溶性または水懸濁性であり得る。適切な反応物の例としては、アミン、アルコール、フェノール、チオール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0152】
反応物は、通常、水相の総重量を基準として0.01%~10%、好ましくは0.01%~5%で構成される量で添加される。
【0153】
反応物が添加される場合、反応物は、ポリマーシェル形成のために多官能性モノマーと反応することもできる。この実施形態によれば、反応物に加えて、アセトアセチルポリマーもポリマーシェル形成に関与し得る。
【0154】
一実施形態によれば、方法中、反応物は、方法のいずれの段階でも添加されない。
【0155】
方法の第1のステップでは、アセトアセチルポリマーは、水相に分散される。典型的には、これは高い機械的撹拌を用いて行われる。
【0156】
前述のアセトアセチルポリマー懸濁液は、先に記載した方法によって得ることができる。
【0157】
一実施形態によれば、水相中に存在するアセトアセチルポリマーの総量は、水相の総重量を基準として0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%で構成される。
【0158】
一実施形態によれば、水相中に存在するアセトアセチルポリマーの総量は、エマルションの総重量を基準として0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%で構成される。
【0159】
一実施形態によれば、第2のステップでは、少なくとも1つの油溶性多官能性モノマーは、疎水性材料(例えば、香油またはフレーバー油)に溶解されて油相を形成し、次いでこれを水相に添加してエマルションを形成し、その平均液滴サイズは1~3000ミクロン、好ましくは1~500ミクロン、より好ましくは5~50ミクロンで構成される。水中油型エマルションは、例えば、室温で高速機械分散機または超音波分散機を用いて作製される。
【0160】
一実施形態によれば、エマルション形成は室温で行われる。「室温」とは、典型的には20~25℃で構成される温度を意味する。別の実施形態によれば、エマルション形成は、室温を下回る温度で行われる。
【0161】
エマルションが形成されると、pH値は、好ましくは4~9に維持されるか、または6.5を超える値に調整されるか、または8.5を超える値に調整され、好ましくは11を超えない。しかしながら、このステップは省略することができる。
【0162】
一実施形態によれば、油相は、エマルションの5~60重量%、好ましくは20~40重量%を占める。
【0163】
次いで、界面重合および/または界面反応を、典型的には25℃~90℃の温度、好ましくは40℃~80℃の温度で、撹拌下で2~40時間行って反応を完了させ、スラリーの形態のマイクロカプセルを形成することができる。しかしながら、加熱ステップは省略することができる。
【0164】
一実施形態によれば、界面重合/反応は、特に(メタ)アクリレートが多官能性モノマーとして使用される場合、不活性ガス(例えば窒素)の保護下で行われた。
【0165】
一実施形態によれば、多官能性モノマーは、少なくとも1つのポリアミン、ポリイソシアネート、ポリ無水物、ポリ無水マレイン酸、ポリ酸クロリド(アシルクロリド)、ポリエポキシド、アクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートモノマー、ポリアルコキシシランまたはアルコキシシラン(例えばビニルトリエトキシシランもしくは(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン)、メラミン系樹脂、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0166】
「ポリ酸クロリド」と「アシルクロリド」とは、本発明では区別なく使用される。
【0167】
適切なポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基からなる群より選択される。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4-アミノベンジルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、スペルミジン、スペルミン、アグマチン、トリス(2-アミノエチル)アミン、炭酸グアニジン、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、重炭酸アミノグアニジン、ビグアニド、シスタミン、1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、アミノ酸(例えば、リジン、シスチン、グルタミン、アルギニン)、キトサン、タンパク質(例えば、乳清タンパク質、カゼイネート、絹フィブロイン)を挙げることができる。
【0168】
適切なアクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能性からなる群より選択され得る。アクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG200ジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDA-2)、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、((2,4,6-トリオキソシクロヘキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ))トリス(エタン-2,1-ジイル)トリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0169】
本発明に従って使用される適切なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの混合物が挙げられる。前述のポリイソシアネートは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のイソシアネート官能基を含むが、最大6個、さらには4個だけのイソシアネート官能基を含んでいてもよい。特定の実施形態によれば、ジイソシアネート(2個のイソシアネート官能基)もしくはトリイソシアネート(3個のイソシアネート官能基)またはそれらの混合物が使用される。
【0170】
一実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0171】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、ここでは、芳香族部分を含む任意のポリイソシアネートを包含するものとして意味される。好ましくは、それはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分を含み、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアネートのビウレット、ポリイソシアヌレートおよびトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、上記の特定の芳香族部分のうちの1つを含む。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Desmodur(登録商標)RCの商品名でBayerから市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Desmodur(登録商標)L75の商品名でBayerから市販されている)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Takenate(登録商標)D-110Nの商品名で三井化学から市販されている)である。
【0172】
別の実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、任意の芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学から市販されている)、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Desmodur(登録商標)N 100の商品名でBayerから市販されている)である。
【0173】
別の実施形態によれば、ポリイソシアネートは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態(両方とも少なくとも2個または3個のイソシアネート官能基を含む)、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、それはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、90:10~10:90の範囲である。
【0174】
一実施形態によれば、本発明の方法で使用される多官能性モノマーは、油相の総量を基準として0.1~30重量%、好ましくは0.2~20重量%、より好ましくは0.2~10重量%を占める量で存在する。
【0175】
一実施形態によれば、本発明の方法で使用される多官能性モノマーは、マイクロカプセルスラリーの総量を基準として0.1~30重量%、好ましくは0.2~20重量%、より好ましくは0.2~10重量%を占める量で存在する。
【0176】
任意選択のステップ:任意の外側コーティング
本発明の特定の実施形態によれば、ステップ3)の最後またはステップ3)の間に、マイクロカプセルに外側コーティングを形成するために、先に定義したように、非イオン性多糖類、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体およびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを本発明のスラリーに添加してもよい。非イオン性多糖類およびカチオン性ポリマーは前述のように定義される。
【0177】
マイクロカプセル粉末を調製するための方法
本発明の別の対象は、上記で定義したステップと、ステップ3)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥プロセスに供して、マイクロカプセルをそのまま、すなわち粉末状で提供することからなる追加のステップとを含む、マイクロカプセル粉末を調製するための方法である。そのような乾燥を行うために当業者に知られている任意の標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーは、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または変性デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルジネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体などのポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥して粉末形態のマイクロカプセルを提供することができる。
【0178】
しかしながら、国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を用いた押出、メッキ、噴霧造粒、流動床、さらには室温での乾燥などの他の乾燥方法を挙げることもできる。
【0179】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じであっても異なっていてもよい遊離香油を含む。
【0180】
コア-シェルマイクロカプセル
本発明の別の対象は、上記のような方法によって得られるマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーである。
【0181】
多重カプセルシステム
一実施形態によれば、本発明のマイクロカプセル(第1のタイプのマイクロカプセル)は、第2のタイプのマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0182】
本発明の別の対象は、マイクロカプセル送達システムであって、
- 第1のタイプのマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセルと、
- 第2のタイプのマイクロカプセルと
を含み、
第1のタイプのマイクロカプセルと第2のタイプのマイクロカプセルとは、それらの疎水性材料および/またはそれらの壁材料および/またはそれらのコーティング材料の点で異なる、
マイクロカプセル送達システムである。
【0183】
付香性組成物および消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、有効成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、組成物であって、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
(ii)化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌成分、真菌成分、医薬または農薬成分、除菌成分、防虫剤または昆虫誘引剤、およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される有効成分と
を含む、組成物である。
【0184】
本発明のマイクロカプセルは、制約がある媒体中での安定性の点で良好な性能を示す。
【0185】
本発明の別の対象は、付香性組成物であって、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、油が香料を含むマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
(ii)香料担体、香料共成分およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、
(iii)任意選択的に少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、付香性組成物である。
【0186】
液体香料担体として、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒と界面活性剤との系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明を網羅することはできない。しかしながら、非限定的な例として、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができ、これらは最も一般的に使用されている。香料担体と香料共成分との両方を含む組成物について、先に特定したもの以外の他の適切な香料担体はまた、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、商品名Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)で知られているようなイソパラフィンまたは商品名Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)で知られているようなグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルであり得る。「香料共成分」とは、ここでは、快楽的効果を付与するために付香性の調製物または組成物において使用され、上記で定義したマイクロカプセルではない化合物を意味する。言い換えれば、そのような成分は、付香性成分であるとみなされるためには、単に匂いを有するだけでなく、少なくとも組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。
【0187】
付香性組成物中に存在する付香性共成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、意図する使用または応用および所望の有機的な効果に従ってそれらを選択することが可能である。一般論として、これらの付香性共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環化合物および精油などの多様な化学クラスに属し、前述の付香性共成分は天然由来または合成由来であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。また、前述の共成分は、プロ香料またはプロフレグランスとしても知られる様々なタイプの付香性化合物を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0188】
「香料アジュバント」とは、ここでは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのような追加された付加的な利益を付与することができる成分を意味する。付香性基剤に一般的に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な説明を網羅することはできないが、前述の成分が当業者に周知であることは言及する必要がある。
【0189】
好ましくは、本発明による付香性組成物は、上記で定義したマイクロカプセルを0.01~30重量%含む。
【0190】
本発明のマイクロカプセルは、有利には多くの適用分野で使用することができ、消費者製品に使用することができる。マイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体形態で使用することができるだけでなく、粉末消費者製品に適用可能な粉末形態でも使用することもできる。
【0191】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は液体であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義したマイクロカプセルスラリーと、
d)任意選択的に非カプセル化香料と
を含む。
【0192】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は、粉末の形態であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)上記で定義したマイクロカプセル粉末と、
c)任意選択的に、上記で定義したマイクロカプセルとは異なる香料粉末と
を含む。
【0193】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能的」香料に属する製品などの着香消費者製品に使用することができる。機能的な香料には、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびにランドリーケア、サーフェスケアおよびエアケアを含むホームケア製品が含まれる。したがって、本発明の別の対象は、付香性成分として、上記で定義したマイクロカプセルまたは上記で定義した付香性組成物を含む着香消費者製品からなる。前述の消費者製品の香料エレメントは、上記で定義した香料マイクロカプセルと遊離または非カプセル化香料との組み合わせ、ならびにここで開示したもの以外の香料マイクロカプセルの種類であってもよい。
【0194】
特に、液体消費者製品であって、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義した付香性組成物と
を含む液体消費者製品が、本発明の別の対象である。
【0195】
また、粉末消費者製品であって、
(a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
(b)上記で定義した付香性組成物と
を含む粉末消費者製品も、本発明の一部である。
【0196】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、それ自体を、または着香消費者製品中の本発明の付香性組成物の一部として添加することができる。
【0197】
明確にするために、「着香消費者製品」とは、それが適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、もしくは家庭用表面)または空気中(芳香剤、消臭剤など)に、様々な利益の中でも付香性効果をもたらすことが期待される消費者製品を意味していることに言及する必要がある。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、「基剤」とも呼ばれる機能性配合物を、利益剤、中でも本発明による有効量のマイクロカプセルとともに含む製造製品である。
【0198】
着香消費者製品の他の成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、前述の製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品の基剤配合物は、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0199】
適切な着香消費者製品の非限定的な例は、香料、例えばファイン香料、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;ファブリックケア製品、例えば液体もしくは固形洗剤、タブレットおよびユニットドーズ(シングルチャンバーもしくはマルチチャンバー)、ファブリックソフトナー、ドライヤーシート、ファブリックリフレッシャー、アイロンウォーター、またはブリーチ;パーソナルケア製品、例えばヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、調製着色料もしくはヘアスプレー)、化粧料(例えば、バニシングクリーム、ボディローションもしくはデオドラントもしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、もしくは衛生製品);エアケア製品、例えば芳香剤または「すぐに使える」粉末状芳香剤;またはホームケア製品、例えば万能クリーナー、液体もしくは粉末もしくはタブレット食器用洗剤、トイレ用クリーナーまたは各種表面を洗浄するための製品、例えば、テキスタイルもしくは硬質表面(床、タイル、石床など)の処理/回復を目的とするスプレー&ワイプ;衛生用品、例えば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0200】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- パーソナルケア活性基剤と、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した付香性組成物と
を含み、
消費者製品はパーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0201】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるパーソナルケア活性基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0202】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、調製着色料もしくはヘアスプレー)、化粧料(例えば、バニシングクリーム、ボディローションもしくはデオドラントもしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、もしくは衛生製品)からなる群において選択される。
【0203】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- ホームケアまたはファブリックケア活性基剤と、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した付香性組成物とを含み、
消費者製品は、ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0204】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア活性基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0205】
好ましくは、消費者製品は、0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%の本発明のマイクロカプセルを含み、これらのパーセンテージは、消費者製品の総重量に対する重量で定義される。もちろん、上記の濃度は、各製品に望まれる利益効果に従って適合させることができる。
【0206】
後述の液体消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および水を含むものと理解されたい。
【0207】
後述の固形消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および補助剤(例えば漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚れ放出または汚れ懸濁ポリマー、粒状酵素粒子、腐食防止剤、消泡剤、抑制剤(sud suppressing agents)、染料、フィラー、およびそれらの混合物)を含むものと理解されたい。
【0208】
ファブリックソフトナー
本発明の対象は、以下のものを含むファブリックソフトナー組成物の形態の消費者製品である:
- ファブリックソフトナー活性基剤であって、好ましくは、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクワット)、Hamburgエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましくは使用される、ファブリックソフトナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0209】
液体洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む液体洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 液体洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、液体洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0210】
固形洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む固形洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 固形洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、固形洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0211】
シャンプー/シャワージェル
本発明の対象は、以下のものを含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品である:
- シャンプーまたはシャワージェル活性基剤であって、好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホ酢酸塩、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸ベースの界面活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、シャンプーまたはシャワージェル活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0212】
リンスオフ・コンディショナー
本発明の対象は、以下のものを含むリンスオフ・コンディショナー組成物の形態の消費者製品である:
- リンスオフ・コンディショナー活性基剤であって、好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、リンスオフ・コンディショナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0213】
固形セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む固形セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 好ましくは尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、糖類、例えばスクロース、単糖類、二糖類、多糖類およびデンプンなどの誘導体、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、およびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物からなる群より選択される固体担体、
- 粉末形態の、上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0214】
液体セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む液体セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 水性相、
- 本質的に1つまたは2つ以上の非イオン性界面活性剤からなる界面活性剤系であって、界面活性剤系は10~14の平均HLBを有し、好ましくは、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミン酸化物およびそれらの組み合わせからなる群において選択される、界面活性剤系、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤およびそれらの混合物からなる群において選択されるリンカー、ならびに
- スラリーの形態の、上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0215】
ヘアカラーリング
本発明の対象は、以下のものを含む酸化性ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品である:
- 酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相であって、前述の染料前駆体および前述のカップリング化合物が、酸化剤の存在下で、好ましくは組成物の総重量を基準にして85~99.95重量%で構成される量で酸化性染毛剤を形成する、酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0216】
付香性組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、以下のものを含む付香性組成物の形態である:
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%のマイクロカプセルであって、好ましくは先に定義したようにスラリーの形態のマイクロカプセル、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 付香性組成物の総重量を基準として20~90%、好ましくは40~90%のエタノール。
【0217】
次に、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求されるような本発明は、これらの実施例によって決して限定されることを意図していないことを理解されたい。
【0218】
実施例
実施例1
セルロースアセトアセテート懸濁液の調製
1/セルロース粉末(1.0g)をイオン液体(1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(AMIMCl)(19g))に分散させた。次いで、混合系を90℃でセルロースが完全に溶解するまで撹拌した。
【0219】
2/ジメチルホルムアミド(DMF)(20.0mL)をセルロース溶液に添加し、110℃に加熱した。アセト酢酸tert-ブチル(t-BAA、6g,37.9mmol)を窒素下で磁気撹拌しながら1時間かけて反応混合物に滴加した。水溶性が良好になった時点で反応を終了した。
【0220】
3/反応終了後、反応系を30℃に冷却し、フラスコ内の液体に大量のエタノールをゆっくり添加し、淡黄色の沈殿物を大量に得た。
【0221】
4/沈殿物をエタノールで洗浄し、精製セルロースアセトアセテートが得られるまで濾過した。次いで粉末を60℃で24時間真空乾燥した。
【0222】
実施例2
デンプンアセトアセテート懸濁液の調製
1/トウモロコシデンプン(10.0g)を140mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に分散させ、混合系を90℃でデンプンが完全に溶解するまで撹拌した。
【0223】
2/溶液を110℃に加熱し、アセト酢酸tert-ブチル(t-BAA、41.1g)を窒素保護下で磁気撹拌しながら反応混合物に4時間かけて滴加した。
【0224】
3/反応後、生成物をエタノールで沈殿させ、次いでエタノールで洗浄し、60℃で24時間真空乾燥した。
【0225】
実施例3
セルロースアセトアセテートを用いたマイクロカプセルの調製
実施例1で得られたセルロースアセトアセテート(CAA)を水相として脱イオン水に溶解した。水相は、任意選択的に多官能性モノマーを含むことができる。油相を形成するために、少なくとも1つの多官能性モノマーを含有する香油配合物を調製した。油/水の重量比は3/7に制御した。
【0226】
i)油相と水相とをホモジナイザーで混合することによって、安定なエマルションを形成した。
【0227】
ii)エマルションを反応器に移し、界面反応を80℃で3時間行った。
【0228】
任意選択的に、油相中またはエマルション中に触媒を添加した。
【0229】
マイクロカプセルサンプルの組成を第1表に示す。
【0230】
【0231】
実施例4
デンプンアセトアセテートによるマイクロカプセルの調製
安定剤を脱イオン水に溶解して水相とした。油相を形成するために、少なくとも1つの多官能性モノマーを含有する香油配合物を調製した。油/水の重量比は3/7に制御した。
【0232】
i)油相と水相とをホモジナイザーで混合し、安定なエマルションを形成した。
【0233】
ii)デンプンアセトアセテートをエマルションに添加し、界面反応を80℃で3時間行った。
【0234】
任意選択的に、油相中またはエマルション中に触媒を添加した。
【0235】
マイクロカプセルサンプルの組成を第2表に示す。
【0236】
【0237】
【0238】
実施例5
マイクロカプセルの特性評価
サイズ測定:マイクロカプセルスラリーの平均サイズ(D[4,3])は、Malvern Instruments Ltd.(英国)のMastersizer 3000機器を使用して測定した。
【0239】
ゼータ電位測定:マイクロカプセルのゼータ電位は、Malvern Instruments Ltd.(英国)のZetasizer Nano ZSを使用して調べた。
【0240】
油透過性:マイクロカプセル中のカプセル化されたフレグランスオイルの透過性は、1μgの精度を有する微量天秤を備えた熱重量分析装置(TGA/DSC 1、Mettler-Toledo)で監視した。カプセル化されたフレグランスオイルの重量損失は、50℃で4時間監視した。
【0241】
【0242】
実施例6
ファブリックソフトナー組成物
本発明のマイクロカプセルA-Iを、第5表に記載のファブリックソフトナー組成物に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.22%を得た。
【0243】
【0244】
実施例7
液体洗剤組成物
本発明のマイクロカプセルA-Iを、第6表に記載の液体洗剤基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.22%を得た。
【0245】
【0246】
実施例8
リンスオフ・コンディショナー
本発明のマイクロカプセルA-Iを、第7表に記載のリンスオフ・コンディショナー基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.5%を得た。
【0247】
【0248】
実施例9
シャンプー組成物
本発明のマイクロカプセルA-Iを秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0249】
【0250】
実施例10
制汗剤ロールオンエマルション組成物
本発明のマイクロカプセルA-Iを秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0251】
【0252】
A部とB部とを別々に75℃に加熱し、撹拌下でA部をB部に添加し、混合物を10分間均質化する。次いで、混合物を撹拌下で冷却し、混合物が45℃に達したら撹拌しながらC部をゆっくりと添加し、混合物が35℃に達したら撹拌しながらD部をゆっくりと添加する。次いで、混合物を室温に冷却する。
【0253】
実施例11
シャワージェル組成物
本発明のマイクロカプセルA-Iを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0254】
【国際調査報告】