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特表2024-513057複数の送受信点シナリオにおけるビーム障害の回復
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】複数の送受信点シナリオにおけるビーム障害の回復
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20240313BHJP
   H04W 74/0833 20240101ALI20240313BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240313BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240313BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W74/0833
H04W16/28
H04W72/0457 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560653
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058506
(87)【国際公開番号】W WO2022207103
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ティモ コスケラ
(72)【発明者】
【氏名】サムリ ヘイッキ トゥルティネン
(72)【発明者】
【氏名】ユク ヨンス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD41
5K067EE02
5K067EE08
5K067EE10
5K067EE24
5K067LL14
(57)【要約】
本開示は、概して無線通信の分野に関し、特に、マルチTRP(mTRP)シナリオにおいて送受信点(TRP)のビーム障害回復(BFR)を実行するための技術に関する。より具体的には、本技術は、UEが、mTRPシナリオにおいて、TRPが同時に障害が発生した、またはTRPが個別に障害が発生したと考えられると判断できる規則を定めることを含む。このような規則は、TRPの各々に対してUEが使用するビーム障害インスタンス(BFI)カウンタの現在のカウンタ値に基づいて定められる。いくつかの実施形態において、規則は、BFIカウンタを監視するタイマの現在のタイマ状態に基づいて追加的に定められてよい。このように定義された規則を使用することにより、UEは、TRPの少なくとも1つについて個別に、または1つまたは複数のセル内の全てのTRPについて同時に、BFRメカニズムを使用することがいつ必要となるかを明確に判断することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信部と、
プロセッサ実行可能命令を記憶するように構成された記憶部と、
前記記憶部に接続された、少なくとも1つのプロセッサであって、前記プロセッサ実行可能命令を実行すると、
前記送受信部に、少なくとも1つの第1サービングビームを使用して第1送受信点(TRP)と無線通信を実行させ、かつ、少なくとも1つの第2サービングビームを使用して第2TRPと無線通信を実行させ、
前記第1TRPに第1カウンタおよび第1タイマを割り当て、前記第1カウンタは、前記第1TRPについてのビーム障害インスタンス(BFI)が発生するたびに1だけ増分されるカウンタ値を有し、前記第1TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第1タイマは、前記第1TRPについての前記BFIに応答してトリガされ、前記第1カウンタは、前記第1タイマが満了したときにリセットされ、
前記第2TRPに第2カウンタおよび第2タイマを割り当て、前記第2カウンタは、前記第2TRPについての前記BFIが発生するたびに1だけ増分されるカウンタ値を有し、前記第2TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第2タイマは、前記第2TRPについての前記BFIに応答してトリガされ、前記第2カウンタは、前記第2タイマが満了したときにリセットされ、
前記第1TRPおよび前記第2TRPの少なくとも一方に対してビーム障害回復(BFR)メカニズムを開始するか否かを、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれの前記現在のカウンタ値、または、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの少なくとも一方の前記現在のカウンタ値、ならびに、前記第1タイマおよび前記第2タイマ、
に基づいて、決定する、
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備える、無線通信用のユーザ機器(UE)。
【請求項2】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの各々は最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値と等しく、前記所定のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項3】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が0に等しい場合に、前記第1TRPに対して前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項4】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に達する一方、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値未満であり、前記所定のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPに対して前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項5】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値の合計が、(i)前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値の最小値または最大値、または、(ii)前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値の合計、または、(iii)所定の閾値、に等しい場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項6】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)ある時点において前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に到達し、かつ、(ii)前記時点から所定の期間内に前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項7】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しくする場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項8】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が、前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に、前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIは、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を所定のカウンタ値と等しくし、前記所定のカウンタ値は、前記第2カウンタの前記最大カウンタ値未満またはそれより大きい、場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項9】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項10】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が、それぞれ前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第1TRPについての新たなBFIが発生した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項11】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了した場合に、前記第1TRPに対して前記BFRメカニズムを開始するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項12】
前記第1TRPおよび前記第2TRPは、単一のセル内または異なる2つのセル内に配置される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のUE。
【請求項13】
ユーザ機器(UE)に、少なくとも1つの第1サービングビームを使用して第1送受信点(TRP)と通信させ、かつ、少なくとも1つの第2サービングビームを使用して第2TRPと通信させることと、
前記第1TRPに第1カウンタおよび第1タイマを割り当てることであって、前記第1カウンタは、前記第1TRPについてのビーム障害インスタンス(BFI)が発生するたびに1だけ増分されるカウンタ値を有し、前記第1TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第1タイマは、前記第1TRPについての前記BFIに応答してトリガされ、前記第1カウンタは、前記第1タイマが満了したときにリセットされる、割り当てることと、
前記第2TRPに第2カウンタおよび第2タイマを割り当てることであって、前記第2カウンタは、前記第2TRPについてのBFIが発生するたびに1ずつ増分されるカウンタ値を有し、前記第2TRPの前記BFIは、前記少なくとも1つの第2サービングビームが前記所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第2タイマは、前記第2TRPについての前記BFIに応答してトリガされ、前記第2カウンタは、前記第2タイマの期限が切れたときにリセットされる、割り当てることと、
前記第1TRPおよび前記第2TRPの少なくとも一方についてビーム障害回復(BFR)メカニズムを開始するか否かを、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれの前記現在のカウンタ値、または、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの少なくとも一方の前記現在のカウンタ値、および、前記第1タイマおよび前記第2タイマの少なくとも一方、
とに基づいて、決定することと、
を含む無線通信方法。
【請求項14】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に等しく、かつ、(ii)前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値に等しく、前記所定のカウンタ値は前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に等しく、かつ、(ii)前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が0に等しい場合に、前記第1TRPの前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に達する一方、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値未満であり、前記所定のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPに対して前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値の合計が、(i)前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値の最小値または最大値、または、(ii)前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値の合計、または、(iii)所定の閾値、に等しい場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)ある時点において前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に到達し、かつ、(ii)前記時点から所定の期間内に前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しくする場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を所定のカウンタ値に等しくし、前記所定のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1および第2カウンタの前記現在のカウンタ値がそれぞれ前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了する前に前記第1TRPについての新たなBFIが発生した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記決定することは、(i)前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)前記第2タイマが満了した場合に、前記第1TRPに対して前記BFRメカニズムを開始することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記第1TRPおよび前記第2TRPが、単一のセル内または異なるセル内に配置される、請求項13乃至23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
コンピュータコードを記憶するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項13乃至24のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して無線通信の分野に関し、特に、無線通信ネットワークの1つまたは複数のセル内の複数の送受信点(TRP)に対して、ユーザ機器(UE)がビーム障害回復(BFR)を個別または同時に実行することを可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信では、BFRは、1つまたは複数のビーム障害インスタンス(BFI)を検出したときにUEが開始する場合があり、例えば、UEがTRPと通信するために使用するサービングビームが所望の通信品質を提供できなくなる(例えば、品質が、TRPによる制御および/またはデータ伝送用に構成されたダウンリンク(DL)基準信号(RS)に基づいて決定される閾値を下回る)ときに、BFIが発生する場合がある。現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))で議論されている様々なBFRオプションがある。
【0003】
より具体的には、1つの論点は、サービングセル内の複数/全てのTRPが障害状態にある場合、即ち、対応するサービングビームが所望の通信品質を提供しない場合に用いられるべきBFRメカニズムに関する。この点で未定義の態様の1つは、全てのTRPが障害状態にあることをUEがどのように判断するか、即ち、UEがサービングセル内のTRPに対して、個別にまたは同時にBFRメカニズムをトリガしなければならないか、または、トリガすることが要求される場合である。
【0004】
この問題を解決する最も簡単な方法は、TRPで使用されるBFIカウンタが同時に所定の最大値に達したときに同時障害(即ち、全てのTRPが障害状態にあると見なされるとき)を判定することである。しかしながら、この方法では、UEが上記の「同時」を明確に判断できない可能性があり、BFRメカニズムの使用効率が低下する可能性がある(例えば、UEは、TRPの1つに対してのみBFRメカニズムを使用すれば十分であるにも関わらず、サービングセル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することを誤って決定する可能性がある)。
【発明の概要】
【0005】
本要約は、詳細な説明において後述される概念の一部を簡略化して紹介するために提供される。本要約は、本開示の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定するために使用することを意図するものでもない。
【0006】
本開示の目的は、無線通信ネットワークの1つまたは複数のセル内の複数のTRPに対して、BFRメカニズムを個別にまたは同時に開始することが、いつ必要となるかをUEが明確に判断できるようにする技術的解決策を提供することである。
【0007】
上記の目的は、添付の特許請求の範囲における独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態および実施例は、従属請求項、詳細な説明、および添付図面から明らかである。特許請求の範囲に含まれない実施形態は、本開示の理解に役立つ例として解釈されるべきである。
【0008】
第1の態様によれば、無線通信用のUEが提供される。UEは、送受信部と、記憶部と、少なくとも1つのプロセッサとを備える。記憶部は、プロセッサ実行可能命令を記憶するように構成される。少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、プロセッサ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサを以下のように動作させる。まず、少なくとも1つのプロセッサは、送受信部に、少なくとも1つの第1サービングビームを用いて第1TRPと無線通信を実行させ、少なくとも1つの第2サービングビームを用いて第2TRPと無線通信を実行させる。次に、少なくとも1つのプロセッサは、第1TRPに第1カウンタおよび第1タイマを割り当てる。第1カウンタは、第1TRPについてのBFIが生じるたびに1だけ増分されるカウンタ値を有する。第1TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマは、第1TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第1タイマが満了すると第1カウンタがリセットされる。次に、少なくとも1つのプロセッサは、第2カウンタと第2タイマを第2TRPに割り当てる。第1カウンタと同様に、第2カウンタは、第2TRPについてのBFIが生じるたびにカウンタ値が1だけ増分される。第2TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマと同様に、第2タイマは第2TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第2タイマが満了すると第2カウンタはリセットされる。その後、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれの現在のカウンタ値、または、(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの少なくとも一方の現在のカウンタ値、ならびに第1タイマおよび第2タイマの少なくとも一方に基づいて、第1TRPおよび第2TRPの少なくとも一方に対してBFRメカニズムを開始するか否かを決定する。このような構成により、UEは、TRPの少なくとも1つに対して個別に、または1つ以上のセル内の全てのTRPに対して同時に、BFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に決定することができる。
【0009】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が所定のカウンタ値である場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方についてBFRメカニズムを開始するように構成される。所定のカウンタ値は、第2カウンタの最大カウンタ値以下である。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に決定することができる。
【0010】
第1の態様の例示的な一実施形態では、第1カウンタと第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が0に等しい場合に、第1TRPに対してBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることにより、UEは、セル(複数可)内のTRPの1つに対して、個別にBFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に決定することができる。
【0011】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値に達する一方、第2カウンタの現在のカウンタ値が所定のカウンタ値未満である場合に、第1TRPに対してBFRメカニズムを開始するように構成される。所定のカウンタ値は、第2カウンタの最大カウンタ値以下である。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内のTRPの1つに対して個別にBFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0012】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、第1カウンタおよび第2カウンタの現在のカウンタ値の合計が、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の最小値または最大値、または、(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の合計、または、(iii)所定の閾値、に等しい場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方についてBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0013】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値がある時点において第1カウンタの最大カウンタ値に達し、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が上記時点から所定の期間内に第2カウンタの最大カウンタ値に達した場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方についてBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に決定することができる。
【0014】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPの新たなBFIが発生し、新たなBFIによって第2カウンタの現在のカウンタ値が第2カウンタの最大カウンタ値と等しくなる場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方に対してBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0015】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPについての新たなBFIが発生し、新たなBFIが第2カウンタの現在のカウンタ値を所定のカウンタ値と等しくする場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方に対してBFRメカニズムを開始するように構成される。所定のカウンタ値は、第2カウンタの最大カウンタ値以下である。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0016】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPについての新たなBFIが発生した場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方に対してBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0017】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの現在のカウンタ値がそれぞれ、第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第1TRPについての新たなBFIが発生した場合に、第1TRPおよび第2TRPの両方に対してBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0018】
第1の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了した場合に、第1TRPに対してBFRメカニズムを開始するように構成される。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内のTRPの1つに対して個別にBFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0019】
第1の態様の1つの例示的な実施形態において、第1TRPおよび第2TRPは、単一のセル内または異なる2つのセル内に配置される。これにより、第1の態様によるUEは、セル内シナリオおよびセル間シナリオの両方において動作することができるため、より柔軟に使用することができる。
【0020】
第2の態様によれば、無線通信方法が提供される。この方法は、UEに、少なくとも1つの第1サービングビームを使用することによって第1TRPと通信させ、少なくとも1つの第2サービングビームを使用することによって第2TRPと通信させるステップで開始する。次に、本方法は、第1カウンタおよび第1タイマを第1TRPに割り当てるステップに進む。第1カウンタは、第1TRPについての新たなBFIが発生するたびに1だけ増分されるカウンタ値を有する。第1TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマは、第1TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第1カウンタは、第1タイマが満了したときにリセットされる。次に、本方法は、第2カウンタおよび第2タイマを第2TRPに割り当てるステップに進む。第1カウンタと同様に、第2カウンタは、第2TRPについての新たなBFIが発生するたびに、カウンタ値が1だけ増分される。第2TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマと同様に、第2タイマは第2TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第2カウンタは第2タイマが満了するとリセットされる。その後、本方法は、(i)第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれの現在のカウンタ値、または(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの少なくとも一方の現在のカウンタ値、ならびに第1タイマおよび第2タイマの少なくとも一方に基づいて、第1TRPおよび第2TRPの少なくとも一方に対してBFRメカニズムを開始するか否かを決定するステップに進む。このようにすることで、UEは、BFRメカニズムを1つまたは複数のセル内の少なくとも1つのTRPに対して個別に、または全てのTRPに対して同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0021】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が所定のカウンタ値と等しい場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。所定のカウンタ値は、第2カウンタの最大カウンタ値以下である。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0022】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が0に等しい場合に、BFRメカニズムが第1TRPに対して開始される。このようにすることによって、UEは、セル(複数可)内のTRPのうちの1つに対してBFRメカニズムを個別に使用することが、いつ必要となるかを明確に決定することができる。
【0023】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値に達する一方、第2カウンタの現在のカウンタ値が第2カウンタの最大カウンタ値未満である場合に、BFRメカニズムが第1TRPに対して開始される。このようにすることで、UEは、セル内のTRPの1つに対して個別にBFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0024】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、第1カウンタと第2カウンタの現在のカウンタ値の合計が、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の最小値または最大値、または(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の合計、または(iii)所定の閾値、に等しい場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0025】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値がある時点において第1カウンタの最大カウンタ値に達し、かつ、(ii)第2カウンタの現在のカウンタ値が上記時点から所定の期間内に第2カウンタの最大カウンタ値に達した場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0026】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPについての新たなBFIが発生し、その新たなBFIによって第2カウンタの現在のカウンタ値が第2カウンタの最大カウンタ値と等しくなる場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0027】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPについての新たなBFIが発生し、そのBFIが第2カウンタの現在のカウンタ値を所定のカウンタ値と等しくする場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。所定のカウンタ値は、第2カウンタの最大カウンタ値以下である。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することがいつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0028】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第2TRPについての新たなBFIが発生した場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0029】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの現在のカウンタ値がそれぞれ、第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了する前に第1TRPについての新たなBFIが発生した場合に、BFRメカニズムが第1TRPおよび第2TRPの両方に対して開始される。このようにすることで、UEは、セル内の全てのTRPに対してBFRメカニズムを同時に使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0030】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれは、最大カウンタ値を有する。この例示的な実施形態において、(i)第1カウンタの現在のカウンタ値が第1カウンタの最大カウンタ値と等しく、かつ、(ii)第2タイマが満了した場合に、BFRメカニズムが第1TRPに対して開始される。このようにすることで、UEは、セル(複数可)内のTRPの1つに対して個別にBFRメカニズムを使用することが、いつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0031】
第2の態様の例示的な一実施形態において、第1TRPおよび第2TRPは、単一のセル内または異なるセル内に配置される。これにより、セル内シナリオとセル間シナリオの両方で適用することができるため、第2の態様による方法をより柔軟に使用することができる。
【0032】
第3の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータプログラム製品は、その中に格納されたコンピュータコードを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備える。コンピュータコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、本開示の第2の態様による方法を実行させる。これにより、本開示の第1の態様によるUEなどの任意の無線通信装置における、本開示の第2の態様による方法の実装が簡素化され得る。
【0033】
第4の態様によれば、無線通信用のUEが提供される。UEは、送受信手段と、記憶手段と、処理手段と、を備える。記憶手段は、プロセッサ実行可能命令を記憶するように構成される。処理手段によって実行されることにより、プロセッサ実行可能命令は、処理手段を以下のように動作させる。まず、処理手段は、送受信手段に、少なくとも1つの第1サービングビームを用いて第1TRPと無線通信を実行させ、少なくとも1つの第2サービングビームを用いて第2TRPと無線通信を実行させる。次に、処理手段は、第1カウンタと第1タイマを第1TRPに割り当てる。第1カウンタは、第1TRPについてのBFIが発生するたびにカウンタ値が1だけ増分される。第1TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマは、第1TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第1カウンタは、第1タイマが満了したときにリセットされる。次に、処理手段は、第2TRPに第2カウンタと第2タイマを割り当てる。第2カウンタは、第1カウンタと同様に、第2TRPについてのBFIが発生するたびにカウンタ値が1だけ増分される。第2TRPについてのBFIは、少なくとも1つの第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味する。第1タイマと同様に、第2タイマは第2TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第2タイマが満了すると第2カウンタがリセットされる。その後、処理手段は、(i)第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれの現在のカウンタ値、または(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの少なくとも一方の現在のカウンタ値、ならびに第1タイマおよび第2タイマの少なくとも一方に基づいて、第1TRPおよび第2TRPの少なくとも一方に対してBFRメカニズムを開始するか否かを決定する。このような構成により、UEは、BFRメカニズムを少なくとも1つのTRPに対して個別に使用することがいつ必要となるか、またはセル(複数可)内の全てのTRPに対して同時に使用することがいつ必要となるかを明確に判断することができる。
【0034】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示は、添付の図面を参照して以下に説明される。
図1図1は、単一送受信点(TRP)シナリオにおいてビーム障害回復(BFR)メカニズムが開始される無線通信システムのブロック図を示す。
図2図2は、複数TRP(mTRP)シナリオにおいてBFRメカニズムが開始される無線通信システムのブロック図を示す。
図3図3は、セカンダリセル(Sセル)のBFRメカニズムで使用することができる媒体アクセス制御(MAC)制御要素(CE)(MAC CE)の一例を示す。
図4図4は、3GPP(登録商標)リリース17で提案されたmTRPビーム障害検出(BFD)アプローチを概略的に示す図である。
図5図5は、一例示的な実施形態による無線通信用UEのブロック図を示す。
図6図6は、一例示的な実施形態による無線通信方法のフローチャートを示す。
図7図7は、図1に示すUEがmTRPシナリオのTRPの1つに対してBFRメカニズムを開始することを規定する規則の1つを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の様々な実施形態について、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示は、他の多くの形態で具現化することができ、以下の説明で議論される特定の構造または機能に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示の説明を詳細かつ完全なものとするために提供されるものである。
【0037】
詳細な説明によれば、本開示の範囲は、本実施形態が独立して実施されるか、本開示の他の実施形態と協働して実施されるかにかかわらず、本明細書に開示されるいかなる実施形態も包含することが当業者には明らかであろう。例えば、本明細書で開示される装置および方法は、本明細書で提供される実施形態の任意の数を用いて実際に実施することができる。さらに、本開示の任意の実施形態は、添付の特許請求の範囲に提示された要素のうちの1つまたは複数を使用して実施することができることを理解されたい。
【0038】
別段の記載がない限り、本明細書において「例示的な実施形態」として記載される実施形態は、他の実施形態よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。
【0039】
本明細書では、様々な要素を説明するために、「第1」、「第2」などの数値用語を使用することがあるが、これらの要素はこの数値用語によって限定されるべきではないと理解すべきである。この数値用語は、本明細書において、ある要素を他の要素から区別するためにのみ使用される。したがって、後述する第1TRP、カウンタ、または、タイマは、本開示の教示から逸脱することなく、それぞれ、第2TRP、カウンタ、または、タイマと称することができる。
【0040】
本明細書に開示される例示的な実施形態によれば、ユーザ機器(または略してUE)は、移動装置、移動局、端末、加入者ユニット、携帯電話、セルラーフォン、スマートフォン、コードレス電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線通信装置、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、シングルボードコンピュータ(SBC)(例えば、ゲーム機器、ネットブック、スマートブック、ウルトラブック、医療機器、バイオメトリックセンサ、ウェアラブル機器(スマートウォッチ、スマートグラス、スマートリストバンドなど)、エンターテインメント機器(オーディオプレーヤ、ビデオプレーヤなど)、車載コンポーネントまたはセンサ(運転支援システムなど)、スマートメータ/センサ、無人車両(産業用ロボット、クアッドコプターなど)およびそのコンポーネント(自動運転車用コンピュータなど)、産業用製造装置、全地球測位システム(GPS)装置、モノのインターネット(IoT)装置、産業用IoT(IIoT)装置、機械型通信(MTC)装置、マッシブIoT(MIoT)またはマッシブMTC(mMTC)装置/センサのグループ、または無線通信をサポートするように構成された任意の他の適切な装置を指す場合がある。いくつかの実施形態において、UEは、このように定義された少なくとも2つの併置され相互接続されたUEを指す場合がある。
【0041】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、送受信点(または略してTRP)は、特定の無線通信ネットワークにおけるUEの固定通信点を指す場合がある。TRPは、2G通信技術に関しては基地トランシーバ局(BTS)、3G通信技術に関してはNodeB、4G通信技術に関しては進化型NodeB(eNodeB)、および5G新無線(NR)通信技術に関してはgNBと呼ばれる無線アクセスネットワーク(RAN)ノードとして実装することができる。RANノードは、マクロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセル、および/または他のタイプのセルなどの様々なセルにサービスを提供することができる。マクロセルは、比較的広い地理的領域(例えば、少なくとも半径数キロメートル)をカバーすることができる。マイクロセルは、例えば、半径2キロメートル未満の地理的領域をカバーすることができる。ピコセルは、例えば、オフィス、ショッピングモール、駅、証券取引所などの比較的小さな地理的領域をカバーすることができる。フェムトセルは、さらに小さな地理的領域(例えば、家庭)をカバーすることができる。これに対応して、マクロセルにサービスを提供するRANノードはマクロノードと呼ばれることがあり、マイクロセルにサービスを提供するRANノードはマイクロノードなどと呼ばれることがある。
【0042】
各TRPは、複数のビームをUEに送信することができる。複数のビームから、TRPとUEとの間の無線通信(即ち、無線通信チャネル)を提供するためのサービングビームが決定されてもよい。また、ビーム障害インスタンス(BFI)が発生した場合、例えば、サービングビームが所望の通信品質を提供できなくなった場合に、複数のビームから、無線通信を提供するための1つまたは複数の候補ビームが決定されてもよい。1つまたは複数の候補ビームは、UEによって、および/または、TRPによって、決定されてもよい。候補ビームを決定および設定することにより、UEおよびTRPは、サービングビームにBFIが発生した場合でも、無線通信を継続することができる。
【0043】
UEは、1つまたは複数の基準信号(RS)を使用して、サービングビーム(即ち、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)または物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)で使用されるビーム)の通信品質を測定することができる。サービングビームの通信品質を測定するためのRSとして、1つまたは複数の同期信号(SS)ブロック(SSB)、1つまたは複数のチャネル状態情報RS(CSI-RS)リソース、および/または物理ブロードキャストチャネル(PBCH)の1つまたは複数の復調RS(DM-RS)を使用することができる。サービングビームの通信品質は、RSリソース上で測定されるRS受信電力(RSRP)値、RS受信品質(RSRQ)値、およびCSI値のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。TRPは、例えば、専用の無線リソース制御(RRC)シグナリングを通じて、そのようなRSリソースをUEに提供することができる。
【0044】
図1は、単一TRPシナリオにおいて、ビーム障害回復(BFR)メカニズムが開始される無線通信システム100のブロック図を示す。図1に示すように、システム100は、単一のTRP102と、スマートフォンとして実装されたUE104と、を備える。一例として、TRP102は、第1ビーム106および第2ビーム108をUE104に送信する。BFIは、サービングビームとして選択された第2ビーム108が、建物110または他の障害物(例えば、移動する車両、樹木、景観要素、または任意の物体)によって遮断され、その結果、所望の通信品質を提供できなくなった場合に発生する可能性がある。BFIに応答して、UE104は、ビーム障害から回復するためのメカニズムをトリガすることができ、このメカニズムを以下では、BFRメカニズムと称する。
【0045】
図2は、複数TRP(mTRP)シナリオにおいて、BFRメカニズムが開始される無線通信システム200のブロック図を示す。図2に示すように、システム200は、TRP202と、TRP204と、スマートフォンとして実装されたUE206と、を備える。mTRPシナリオは、サービングセル内の全てのTRP、即ち、図2に示す例ではTRP202とTRP204の両方を使用して、UE206がサービングされる動作を意味することに留意されたい。このような動作を提供するために、TRP202はサービングビーム208をUE206に伝送し、TRP204はサービングビーム210をUE206に伝送する。システム100と同様に、システム200では、例えば、サービングビーム208が建物212または他の障害物(例えば、動いている車両、樹木、景観要素、または任意の物体)によって遮られた場合に、BFIが発生する可能性がある。この場合、このようなBFIが発生した場合に、UE206はBFRメカニズムをトリガすることができる。
【0046】
プライマリセル(Pセル)についてのBFRメカニズムは、3GPP(登録商標)リリース15で規定された(後に、3GPP(登録商標)リリース16で拡張された)。1つまたは複数のセカンダリセル(Sセル)についてのBFRメカニズムは、3GPP(登録商標)リリース16で規定された。SセルBFRメカニズムにおいて、UEは1つまたは複数の設定されたSセルに対してビーム障害検出(BFD)を実行する。SセルBFDの手順は、3GPP(登録商標)リリース15でPセルについて規定されたものと類似しており、設定された各Sセルに対して、UEは対応するBFDリソースのセット(いわゆる、BFD-RSのセットq0)を暗黙的に、または、明示的に決定する。暗黙的な設定では、UEはPDCCHのアクティブな伝送設定指示(TCI)状態によって示されるRSに基づいてBFD-RSを決定する。明示的な設定では、UEはTRP自身によって設定されたRSに従ってBFD手順を実行する。
【0047】
オープンシステム相互接続(OSI)モデルを考慮すると、物理レイヤまたはレイヤL1は、セットq0内のSSB/CSI-RSなどのダウンリンクRS(DL RS)に基づいて、BFIを上位レイヤ、即ち媒体アクセス制御(MAC)レイヤ(レイヤL2のサブレイヤである)に通知するか否かを決定する。セットq0内の全てのRSが障害状態にある場合、即ち、RS上で推定される仮想PDCCHブロック誤り率(BLER)が閾値以上(例えば、10%より大)である場合に、UEは上位レイヤにBFIを通知する。
【0048】
MACレイヤはBFIカウンタを使用して各セルについてBFI通知をカウントし、対応するセル(Pセル/Sセル)について下位レイヤから通知されたBFIインスタンスの所定の数をカウントすると、BFRメカニズムを開始/トリガする。BFIカウンタはBFDタイマによって監視される。UEが新たなBFI通知を受信するたびに、BFDタイマがトリガされ(開始され、または再開され)、BFIカウンタが増分される。BFDタイマが満了すると、BFIカウンタはリセットされる。BFIカウンタおよびBFDタイマは、TRPごと、BFD-RSセットごと、あるいはサービングビームまたはサービングビームセットごとに設定することができる。サービングビームはPDCCHまたはPDSCHビームを指す場合がある。BFDタイマの継続時間の値は、ビーム障害検出(BFD)基準信号(RS)のQout,LR報告期間に対応してもよい(例えば、ETSI TS 38.331 V16.3.1によれば、値pbfd1はBFD-RSの1Qout,LR報告期間に対応し、値pbfd2はBFD-RSの2Qout,LR報告期間などに対応する。)。物理レイヤは、無線リンク品質が、PセルまたはプライマリSセル(PSセル)上のSS/PBCHブロック、および/または、UEが無線リンク品質を評価するために使用するセット内の周期的なCSI-RS構成の中で最も短い周期と、2ミリ秒と間の最大値によって決定される周期性を有する閾値Qout,LRより悪い場合に、上位レイヤに通知する(BFI通知)。
【0049】
図3は、SセルBFRメカニズムにおいて使用され得るMAC制御要素(CE)(MAC CE)300の一例を示す。より具体的には、少なくとも1つのSセルでBFIが検出されると、UEはビーム障害を通知し、MAC CE300を使用して障害が生じているSセルを回復することができる。MAC CE300は、(ビットC1-C7を介して)障害が発生したSセルインデックス、(ビットACを介して)候補ビームが利用可能であるか否かの通知、および(ビットフィールド「候補RS ID」を介して)候補ビームインデックスをTRPに通信する。UEは、候補ビームリスト(即ち、SSBおよび/またはCSI-RSインデックスのいずれかである候補ビームインデックスのリスト)上にある候補ビームを通知することができる。Sセル障害/回復情報を通知することができる同じMAC CE 300は、障害を通知するためにPセルビット(SP)を設定することによって、SセルBFRメカニズムにも使用することができる。
【0050】
3GPP(登録商標)リリース17において、図2に示すようなmTRPシナリオをカバーするためにBFRメカニズムを強化することが提案されている。mTRPシナリオは、通常、シングルダウンリンク制御情報(S-DCI)またはマルチDCI(mDCI)に基づく動作を意味する。mDCI動作では、制御リソースセット(CORESET)インデックス値(例えば、CORESETプールインデックス値)を使用して、CORESETを別々のグループの下にグループ化する。即ち、CORESETが同じグループIDまたはCORESETプールインデックス値を共有する場合、それらは同じグループにあると見なされる。S-DCI動作では、異なるCORESETはグループ化されない。即ち、同じCORESETプールインデックス値が全てのCORESETに設定される。
【0051】
1つまたは複数のCORESETプールインデックス値で設定される場合(例えば、mDCI動作で2つのCORESETセットが設定される)、UEは、異なるプールインデックス値に関連付けられたCORESETからのDCI伝送を同時に監視することが期待される。現在、最大2つのCORESETプールインデックス値(k=0、1)を設定できる。S-DCIの場合(即ち、セットq0を決定するために使用できるプールインデックス値がない)、TRPは、対応するCORESETセットに対してBFD-RSを使用することにより、UEを明示的に設定することができる。
【0052】
図4は、3GPP(登録商標)リリース17において提案されたmTRP BFDアプローチを概略的に示す。このアプローチによれば、UEは、異なるセットq0で構成されるPDCCH TCI状態によって示されるDL RSの障害を判定するように構成することができる。一例として、UEは、特定のセットq0(例えば、k=0またはk=1のいずれか)が障害状態にあるときに判定するように構成されてもよい。これはTRP障害と呼ばれることもあり、例えば、セットq0、k=0は、あるTRPのBFD-RSを指し、セットq0、k=1は、別のTRPのBFD-RSを指す。MACレイヤでは、UEはセットq0に対してBFDを実行し、BFDはBFIインスタンスのカウントに依存する。より具体的には、図4は、2つのTRP、即ち、TRP0およびTRP1がUEにサービスを提供するために使用されるmTRPシナリオを指す。ここでは、TRP0が3つのビーム(例えば、PDCCH)をUEに送信し、TRP1が2つのビーム(例えば、PDCCH)をUEに送信すると仮定する。UEは、対応するRS、即ち、TRP0からのRS#1、RS#2、RS#3、および、TRP1からのRS#4、RS#5を測定することによって、TRP0およびTRP1からの各ビームの通信品質をチェックする。TRP0からのRSはセットq0_#0に含まれてもよく、TRP0からのRSはセットq0_#1に含まれてもよい。あるいは、TRP0とTRP1の両方からのRSを単一のセットq0_として提供してもよい。BFD-RSセット/セットq0においてマルチTRP通信におけるBFDを具体的な方法で実行するためには、TRP0およびTRP1のそれぞれについて、独立したBFD手順が構成されてもよく、PDCCHのTCI状態によって示されるDL RSは、CORESETプールインデックス(CPI)値k(k=0,1)を有するCORESET関連付けに基づいて、それぞれのセットq0(#0,#1)に含まれてもよい、ことを考慮する必要がある。同じCPI値の下にあるCORESETは、障害検出の目的でグループ化されていると考えることができる。CORESETは、CORESETに対してアクティブ化されたTCI状態(DL RSを示す)に基づいて、PDCCH送信について監視される。TCI状態によって示されるDL RSは、CORESETに対して設定されたCPI値に基づいて、それぞれのセットq0に含まれる場合がある。あるいは、CORESETまたはBFD-RSは、任意の上位レイヤパラメータまたは暗黙の決定に基づいて、それぞれグループまたはセットに分割することができる。更に、TRP0およびTRP1のそれぞれに対する独立したBFD手順は、セットq0_#0およびq0_#1(TRP0およびTRP1のそれぞれに対して)に従って、または単一のセットq0に対して設定され得る(TRP0とTRP1のそれぞれのBFIカウンタ)。一例として、異なる時点におけるBFIカウンタのカウンタ値が、図4の小さなボックス(TRP0は黒色、TRP1は灰色)内に示されている(小さなボックス内の「0」、「1」、「2」、「3」を参照)。このように、TRP1(または換言すれば、TRP1からの全てのBFD-RSビーム)については、対応するBFI-カウンタが3に達したとき(この例では、カウンタ値3は、ビーム障害が検出されたとみなされるときの最大カウンタ値である)に、ビーム障害が発生/検出され、これは、TRP1からの2つのビームのそれぞれが所望の通信品質を提供できなくなったことを意味する。したがって、このアプローチにより、UEは、あるTRPからの全てのビームが、いつ障害状態になるかを判断できるようになり、このため、mTRP BFDアプローチと呼ばれる。このような障害が発生したTRPが決定されると、UEはその障害が発生したTRPに対してBFRメカニズムを開始することができる。
【0053】
しかしながら、図4に示すmTRP BFDアプローチでは、サービングセル内の複数/全てのTRP(例えば、TRP0とTRP1の両方)がいつ障害状態(即ち、その全てのビームが所望の通信品質を提供できない)になるかをUEが把握することはできない。これは、TRPのBFIカウンタが互いに独立して使用されるため、UEは、TRPが同時にいつ障害状態となるかを判断できない。このため、UEは、サービングセル内の全てのTRPに対してBFRメカニズム(即ち、セルレベルのBFRメカニズム)をいつ開始することが必要となるかを知ることができない。換言すれば、図4に示すmTRP BFDアプローチでは、UEは、特定のTRPについてのBFRメカニズムとセルレベルのBFRメカニズムのいずれかを選択することができない。
【0054】
もちろん、同時障害(複数の/全てのTRPが障害状態にあるとみなされる場合)は、TRPのBFIカウンタが同時に最大値に達したときに判断することもできる。しかしながら、このように同時障害を定義したとしても、「同時」をどのように明確に定義するかについては解釈の余地がある。
【0055】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、従来技術に特有の上記のような欠点を緩和し、さらには解消することを可能にする技術的な解決策を提供する。特に、本明細書に開示される技術的解決策は、mTRPシナリオにおいて、TRPが同時に障害を発生させたこと、または、TRPが個別に障害を発生させたと見なされることをUEが判断するための規則を定めることを含む。このような規則は、TRPのそれぞれに対してUEによって使用されるBFIカウンタのカウンタ値に基づいて定められる。いくつかの実施形態において、規則は、BFIカウンタを監視するタイマの状態に基づいて追加的に定められてよい。このように定められた規則を用いることにより、UEは、TRPの少なくとも1つに対して個別に、または1つまたは複数のセル内の全てのTRPに対して同時に、BFRメカニズムを使用することがいつ必要となるのかを明確に判断することができる。
【0056】
図5は、例示的な一実施形態による無線通信用のUE500のブロック図を示す。図5に示すように、UE500は、以下の構成要素、即ち、プロセッサ502と、記憶部504と、送受信部506と、を備える。記憶部504は、プロセッサ502に接続され、プロセッサ502によって実行されると、後述するように、プロセッサ502に本開示の態様を実行させるプロセッサ実行可能命令508を記憶する。図5に示される、UE500を構成する構成要素の数、配置、および相互接続は、本開示を限定することを意図するものではなく、構成要素がUE500内でどのように実装され得るかの一般的な概念を提供するために単に利用されるものであることに留意されたい。他の例示的な一実施形態において、送受信部506は、一方が受信動作用であり、他方が送信動作用である、2つの個別のデバイスとして実装されてもよい。その実装に関わらず、送受信部506は、例えば、信号変調/復調など、様々な信号の受信および送信を実行するために必要な様々な動作を行うことができることが示唆される。
【0057】
プロセッサ502は、中央処理装置(CPU)、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複合プログラマブル論理デバイス等として実装することができる。プロセッサ502は、前述のうちの1つまたは複数の任意の組み合わせとして実装することができることにも留意されたい。一例として、プロセッサは、2つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせであってもよい。
【0058】
記憶部504は、現代の電子計算機で使用される不揮発性メモリまたは揮発性メモリとして実装することができる。一例として、不揮発性メモリとしては、読み出し専用メモリ(ROM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、磁気ディスク記憶装置(ハードドライブや磁気テープなど)、光ディスク記憶装置(CD、DVD、ブルーレイディスクなど)などが挙げられる。揮発性メモリとしては、ダイナミックRAM、SDRAM(シンクロナスDRAM)、DDR SDRAM(ダブルデータレートSDRAM)、スタティックRAMなどが挙げられる。
【0059】
記憶部504に記憶されたプロセッサ実行可能命令508は、プロセッサ502に本開示の態様を実行させるコンピュータ実行可能コードとして構成され得る。本開示の態様のための動作またはステップを実行するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、C++などの1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。いくつかの例では、コンピュータ実行可能コードは、ハイレベル言語の形式であってもよいし、プリコンパイルされた形式であってもよく、インタプリタ(記憶部504にも予め記憶されている)によってオンザフライで生成される。
【0060】
図6は、例示的な一実施形態による無線通信方法600のフローチャートを示す。方法600の各ステップは、UE500を構成する上述の構成要素のうちの対応する1つによって実行されることを意図している。方法600は、プロセッサ502が、送受信部506に、1つまたは複数の第1サービングビームを使用することによって第1TRPと通信させ、1つまたは複数の第2サービングビームを使用することによって第2TRPと通信させるステップS602から開始する。第1および第2TRPは、同じセル内または異なる2つのセル内のいずれかに配置されてよい。例えば、第1TRPはサービングセルに配置されてよく、第2TRPは非サービングセル、またはセル間mTRPのために構成されたセル、またはセル間通信のために構成されたセルに配置されてよい。次に、方法600はステップS604に進み、プロセッサ502は第1カウンタおよび第1タイマを第1TRPに割り当てる。第1カウンタは、第1TRPについてのBFIが発生するたびに1だけ増分するカウンタ値を有する。第1TRPについてのBFIは、第1サービングビーム(複数可)が所定の通信品質を提供できなくなったことを意味する(例えば、第1TRPについてのBFIは、ビーム障害検出のための第1セットのRSに含まれる全てのRSが所定の通信品質を提供できなくなったことを意味し得る)。第1タイマは、第1TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第1カウンタは、第1タイマが満了したときにリセットされる。次に、方法600はステップS606に進み、プロセッサ502は、第2カウンタおよび第2タイマを第2TRPに割り当てる。第1カウンタと同様に、第2カウンタは、第2TRPについてのBFIが発生するたびに1だけ増分するカウンタ値を有する。第2TRPについてのBFIは、第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなったことを意味する(例えば、第2TRPについてのBFIは、ビーム障害検出用の第2セットのRSに含まれる全てのRSが所定の通信品質を提供できなくなったことを意味する場合がある)。第1タイマと同様に、第2タイマは、第2TRPについてのBFIに応答してトリガされ、第2カウンタは、第2タイマが満了したときにリセットされる。ステップS604およびS606は、必要に応じて、また特定の用途に応じて、並行して実行され得る。BFI通知は、サービングビームを識別する一組のDL RSに基づいて決定され得ることに留意されたい。その後、方法600はステップS608に進み、プロセッサ502は、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの現在のカウンタ値、または(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの少なくとも一方の現在のカウンタ値、ならびに第1タイマおよび第2タイマの少なくとも一方(即ち、第1タイマおよび/または第2タイマが満了したか否かを示す現在のタイマ状態)に基づいて、第1TRPおよび第2TRPの少なくとも一方に対してBFRメカニズムを開始するか否かを決定する。したがって、現在のカウンタ値および現在のタイマ状態は、プロセッサ502に対する特定の選択規則を定義する。
【0061】
例えば、第1および第2TRPの両方についてのBFRメカニズム(即ち、セルレベルのBFRメカニズム)は、例えば、3GPP(登録商標)リリース15/リリース16で定義されているように、BFR MAC CEまたはコンテンションフリービーム障害回復要求(RACH)(CFRA)/コンテンションベースRACH(CBRA)回復を使用して、開始することができる。同時に、例えば、TRPがTRP固有の方法で個別に回復され得る3GPP(登録商標)リリース17で現在合意されているように、第1および第2TRPの1つについてのBFRが開始されてもよい。
【0062】
方法600は、2つのTRPシナリオに限定されず、いくつかの他の実施形態において、他のmTRPシナリオ(即ち、2つより多くのTRPが関与する)においても同様に適用され得ることに留意すべきである。本明細書では、簡単のために2つのTRPシナリオを選択する。これに対応して、カウンタの総数およびタイマの総数は、方法600に関与するTRPの総数に依存する。
【0063】
本明細書で開示される実施形態で使用される場合、「第1(第2)TRPについてのBFIが発生する」という表示は、第1(第2)TRPのサービングビームに関連するBFD-RSセットにおけるRSの障害を指す場合がある。換言すれば、TRP障害は、特定のCPI値(例えば、図4に示す#0または#1)の下でのCORESETに関連するBFD-RSセットの障害を指す場合がある。これを考慮すると、第1および第2カウンタのそれぞれは、それぞれのTRPに関連付けられたBFD-RSセットについてのBFI通知をカウントするように構成されたカウンタを指す。
【0064】
例示的な一実施形態において、第1および第2タイマの少なくとも一方は、それぞれのカウンタを監視するBFDタイマであってもよい。いくつかの例示的な実施形態において、第1および第2タイマ(例えば、BFDタイマ)は、第1および第2TRPについて個別に構成されてもよいし、第1および第2タイマは、第1および第2TRPについて共通のタイマ(例えば、別個の共通のBFDタイマ)として構成されてもよい。他の例示的な一実施形態において、第1および第2タイマの少なくとも一方は、第1および第2TRPが使用されるネットワークによって明示的に設定され、値が割り当てられるタイマであってもよい。
【0065】
上述のように、プロセッサ502は、ステップS608において、第1および第2カウンタの現在のカウンタ値と、第1および第2タイマのタイマ状態とに基づいて、第1TRPおよび第2TRPの少なくとも一方についてBFRメカニズムを開始するか否かを決定してよい。したがって、ステップS608においてプロセッサ502によって用いられる規則は、都合よく2つのグループに分けることができ、第1グループは、現在のカウンタ値のみに基づく規則を含み、第2グループは、現在のカウンタ値とタイマ状態の組み合わせに基づく規則を含む。2つのグループのそれぞれについて、以下に詳しく説明する。
【0066】
現在のカウンタ値のみに基づく規則
第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれが最大カウンタ値を有するものとすると、プロセッサ502は、ステップS608において、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値が第2(第1)カウンタの最大カウンタ値または所定のカウンタ値(所定のカウンタ値は、TRPのうちの1つによって提供されてもよく、第2(第1)カウンタの最大カウンタ値以下であってもよい)に等しい場合、または、
- 第1カウンタと第2カウンタの現在のカウンタ値の合計が、(i)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の最小値または最大値、または(ii)第1カウンタおよび第2カウンタの最大カウンタ値の合計、または(iii)所定の閾値、に等しい場合、または、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が、ある時点において、第1(第2)カウンタの最大カウンタ値に到達し、第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値が、その時点から所定の期間内に、第2(第1)カウンタの最大カウンタ値に到達する(期間は、TRPの1つによって、明示的な方法で、例えば、ミリ秒またはスロットで設定されてよい)場合、
において、第1TRPおよび第2TRPの両方についてBFRメカニズム(即ち、セルレベルBFRメカニズム)を開始することを決定しなければならない。
【0067】
同時に、プロセッサ502は、ステップS608において、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値が0に等しい(即ち、第2(第1)カウンタに対してBFI通知が受信されていない)場合、または、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値に達する一方、第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値が第2(第1)カウンタの最大カウンタ値または所定のカウンタ値未満である場合、
において、第1(第2)TRPに対してのみBFRメカニズムを開始することを決定しなければならない。
【0068】
第1および第2カウンタの最大カウンタ値は、共通に設定されてもよいし(即ち、第1および第2カウンタが同じ最大カウンタ値を有してもよい)、あるいは、独立して設定されてもよい(即ち、第1および第2カウンタが異なる最大カウンタ値を有してもよい)ことに留意されたい。
【0069】
現在のカウンタ値とタイマ状態との組み合わせに基づく規則
第1カウンタおよび第2カウンタのそれぞれが最大カウンタ値を有するものとした場合、プロセッサ502は、ステップS608において、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)タイマが満了する前に第2(第1)TRPについての新たなBFIが発生し、新たなBFIによって第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値が第2(第1)カウンタの最大カウンタ値と等しくなる場合、または、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)タイマが満了する前に第2(第1)TRPについての新たなBFIが発生し、新たなBFIが第2(第1)カウンタの現在のカウンタ値を所定のカウンタ値と等しくする(この場合も、所定のカウンタ値はTRPの1つによって提供されてもよく、第2(第1)カウンタの最大カウンタ値以下であってもよい)場合、または、
- 第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)タイマが満了する前に第2(第1)TRPについての新たなBFIが発生する場合、または、
- 第1および第2カウンタの現在のカウンタ値がそれぞれ第1および第2カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)タイマが満了する前に第1(第2)TRPについての新たなBFIが発生する場合、
において、第1TRPおよび第2TRPの両方に対してBFRメカニズム(即ち、セルレベルのBFRメカニズム)を開始することを決定しなければならない。
【0070】
同時に、プロセッサ502は、ステップS608において、第1(第2)カウンタの現在のカウンタ値が第1(第2)カウンタの最大カウンタ値と等しく、第2(第1)タイマが満了した場合(この規則は図7に模式的に示されており、第1TRPはTRP#0、第2TRPはTRP#1として示され、第1カウンタの最大カウンタ値は2に等しく、第2タイマの満了時に達成される(対応する矢印の端として模式的に示された「BFDタイマが満了」を参照))に、第1(第2)TRPに対してのみBFRメカニズムを開始することを決定しなければならない。
【0071】
第1および第2カウンタの最大カウンタ値は、共通に設定されてもよいし(即ち、第1および第2カウンタが同じ最大カウンタ値を有してもよい)、あるいは、独立して設定されてもよい(即ち、第1および第2カウンタが異なる最大カウンタ値を有してもよい)ことに再度留意されたい。
【0072】
本明細書で開示される実施形態のいずれもが、セル間mTRP通信に適用可能である。一例として、第1TRPはサービングセル(例えば、Pセル/Spセル)に関連付けられてよく、第2TRPは非サービングセルに関連付けられてよい。サービングセルおよび非サービングセルは両方とも、セル間mTRP通信においてUEにサービスを提供することができる。
【0073】
さらに、上記のように定められた規則において使用される所定のカウンタ値および所定の閾値のそれぞれは、UE500が第1および第2TRPと通信するネットワークによって設定される値を意味する場合がある。あるいは、標準規格(例えば、3GPP(登録商標) TS 38.331)で規定された値を意味する場合もある。
【0074】
方法600のステップS608において、所与の1つまたは複数のセルの第1および第2TRP(または、複数/全てのTRP)の同時または一斉の障害が判定されると、UEは、セルレベルBFRメカニズムを使用してTRPを回復させてもよいし、あるいはUEは、別個のBFRメカニズムを使用してTRPを個別に回復させてもよいし、あるいはUEは、単一のBFRメカニズムを使用してTRPを個別に回復させてもよい。UEは、セルレベルBFRメカニズムをトリガすることを決定した場合、MAC CE 300などのMAC CEにおいて障害通知(failure indication)を提供してもよい。MAC CEは、サービングセルの障害(および回復)を通知することができる。別個のBFRメカニズムの場合、UEは、少なくとも障害が発生したTRPに関する情報(候補ビームの利用可能性、候補ビームの識別(ID)および/または障害が発生したTRP ID/BFD-RSセットIDなど)を含む障害通知をMAC CEにおいて提供してもよい。単一のBFRメカニズムの場合、UEは、障害が発生したTRPの両方(または、全て)に関する情報(候補ビーム利用可能性、候補ビームID、および/または障害が発生したTRP ID/BFD-RSセットIDなど)を含むMAC CE内の障害通知を提供することができる。例示的な一実施形態において、UEが上記で定められた規則に従って第1および第2TRPの両方の障害を(同時に)判定した場合、UEは、TRPを回復するためにBFRメカニズムをトリガすることができる。TRP固有のBFRメカニズムは、第1および第2TRPの少なくとも一方についてのTRP障害を通知することと、TRP固有の候補ビーム情報(候補ビームの利用可能性の通知と、利用可能な場合は候補インデックス値を含んでもよい)をネットワークに提供することとを含んでもよい。
【0075】
例示的な一実施形態において、プロセッサ502は、方法600のステップS608において、第1および第2TRPのうちの少なくとも1つが特定TRPであるか否かを追加的にチェックしてもよい。本明細書で使用されるように、特定のTRPは、特定のCORESET(即ち、第1または第2TRPのいずれか)の監視を実行するようにUE500を構成するTRPを指す場合がある。第1および第2TRPのいずれも特定のTRPとして設定されておらず、第1(第2)カウンタがその最大カウンタ値に達した場合、UE500は、上述の規則のいずれか一方(第1グループまたは第2グループのいずれか)に従ってBFRメカニズムを開始することができる。しかしながら、第1(第2)TRPが特定TRPとして設定され、かつ、第1(第2)カウンタがその最大カウンタ値に達した場合、UE500は、第2(第1)TRPを考慮することなく、障害が発生した第1(第2)TRPに対してBFRメカニズムを開始してもよい(UE500がビーム障害回復要求(BFRQ)をトリガしたが、まだ送信していない間に、第2(第1)TRPも障害が発生した場合(例えば、MAC CE 300などのMAC CE)、UE500はセルレベルのBFRメカニズムに切り替えてもよい)。
【0076】
例示的な一実施形態において、方法600は、ステップS608の後に、UE500のプロセッサ502がBFR情報をBFRQ(例えば、MAC CE 300などのBFR MAC CE、または、短縮された(Truncated)BFR MAC CEなど)にエンコードするさらなるステップを含んでもよい。例示的な一実施形態において、プロセッサ502は、候補ビーム基準信号ID(RS ID)を使用することによって、特定のサービングセルに対して障害が発生したTRPを通知することができる。例えば、プロセッサ502は、ビーム障害がサービングセル上またはTRP上で検出されたことを通知し、RS IDに基づいてビーム障害が検出された特定のTRPを通知することができる。例示的な一実施形態において、候補ビームが利用可能でない場合、例えば、ビーム品質閾値(RSRP閾値など)に基づいて、プロセッサ502は、候補ビームが利用可能でないことを通知することができ、TRPに設定された候補RS IDのうちの1つに基づいて、候補ビームが利用可能でないTRPを通知することができる。例えば、そのような場合、候補ビームRS IDは、所与のTRPに設定されたRS IDの最小/最大のインデックスであってよい。
【0077】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、UE500は、方法600のステップS608において、まず、第1(第2)TRPについてビーム障害(即ち、BFI)が検出された場合に、第2(第1)TRPについて第2(第1)タイマが作動中であるか否かを判定してよい。第2(第1)TRPについて第2(第1)タイマ(例えば、BFDタイマ)が作動中である場合、UE500は、上記で定められた規則に従って、第1(第2)TRPを回復させるか、または第1および第2TRPの両方を回復させるかを決定することができる。第2(第1)TRPについて第2(第1)タイマ(例えば、BFDタイマ)が作動中ではない場合、UE500は、第1(第2)TRPを回復させることを決定してよい。
【0078】
方法600の各ブロックもしくはステップ、またはブロックもしくはステップの任意の組み合わせは、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアなどの様々な手段によって実施され得ることに留意されたい。一例として、上述したブロックまたはステップの1つまたは複数を、プロセッサ実行可能命令、データ構造、プログラムモジュール、および他の適切なデータ表現によって具現化することができる。さらに、上述したブロックまたはステップを具現化するプロセッサ実行可能命令は、対応するデータキャリア上に格納され、UE500の機能を実装する少なくとも1つのプロセッサによって実行することができる。このデータキャリアは、プロセッサ実行可能命令を実行するために上記の少なくとも1つのプロセッサによって読み取り可能に構成された任意のコンピュータ読み取り可能記憶媒体として実装することができる。このようなコンピュータ読み取り可能記憶媒体には、揮発性媒体と不揮発性媒体、取り外し可能媒体と取り外し不可能媒体の両方を含めることができる。限定ではなく一例として、コンピュータ読み取り可能媒体は、情報を記憶するのに適した任意の方法または技術で実装された媒体を含む。より詳細には、コンピュータ読取可能媒体の実例には、情報配信媒体、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ホログラフィック媒体または他の光ディスク記憶装置、磁気テープ、磁気カセット、磁気ディスク記憶装置、および他の磁気記憶装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、添付の特許請求の範囲によって規定される法的保護の範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態において任意の様々な変更および修正を行うことが可能であることに留意されたい。添付の特許請求の範囲において、「~を含む(comprising)」という語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」という不定冠詞は、複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信部と、
プロセッサ実行可能命令を記憶するように構成された記憶部と、
前記記憶部に接続された、少なくとも1つのプロセッサであって、前記プロセッサ実行可能命令を実行すると、
前記送受信部に、少なくとも1つの第1サービングビームを使用して第1送受信点(TRP)と無線通信を実行させ、かつ、少なくとも1つの第2サービングビームを使用して第2TRPと無線通信を実行させ、
前記第1TRPに第1カウンタおよび第1タイマを割り当て、前記第1TRPについてのビーム障害インスタンス(BFI)が発生するたびに前記第1カウンタのカウンタ値を1だけ増分し、前記第1TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第1TRPについての前記BFIに応答して前記第1タイマをトリガし、前記第1タイマが満了したときに前記第1カウンタをリセットし、
前記第2TRPに第2カウンタおよび第2タイマを割り当て、前記第2TRPについての前記BFIが発生するたびに前記第2カウンタのカウンタ値を1だけ増分し、前記第2TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第2サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第2TRPについての前記BFIに応答して前記第2タイマをトリガし、前記第2タイマが満了したときに前記第2カウンタをリセットする、
うに構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタの各々は最大カウンタ値を有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しい場合、および、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値と等しく、前記所定のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方についてビーム障害回復(BFR)メカニズムを開始するようにさらに構成され、
コンテンションベースのランダムアクセス(CBRA)手順をトリガすることにより、前記BFRメカニズムを開始し、
サービングプライマリセルの障害を通知する媒体アクセス制御エレメント(MAC CE)、ならびに、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方に対する候補ビームインデックスおよび利用可能性を提供する、
無線通信用のユーザ機器(UE)。
【請求項2】
前記MAC CEは、前記第1TRPの第1ビーム障害検出基準信号(BFD-RS)セットおよび前記第2TRPの第2BFD-RSセットの識別情報をさらに含む、請求項1に記載のUE。
【請求項3】
記少なくとも1つのプロセッサは、ある時点において前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合、および、前記時点から所定の期間内に前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するようにさらに構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項4】
記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しい場合、および、前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しくする場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するようにさらに構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項5】
記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が、前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しい場合、および、前記第2タイマが満了する前に、前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIは、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を所定のカウンタ値と等しくし、前記所定のカウンタ値は、前記第2カウンタの前記最大カウンタ値未満またはそれより大きい、場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始するようにさらに構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項6】
前記第1TRPおよび前記第2TRPは、単一のセル内に配置される、請求項1乃至のいずれか一項に記載のUE。
【請求項7】
無線通信のための方法であって、
ユーザ機器(UE)に、少なくとも1つの第1サービングビームを使用して第1送受信点(TRP)と通信させ、かつ、少なくとも1つの第2サービングビームを使用して第2TRPと通信させることと、
前記第1TRPに第1カウンタおよび第1タイマを割り当て、前記第1TRPについてのビーム障害インスタンス(BFI)が発生するたびに前記第1カウンタのカウンタ値を1だけ増分し、前記第1TRPについての前記BFIは、前記少なくとも1つの第1サービングビームが所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第1TRPについての前記BFIに応答して前記第1タイマをトリガし、前記第1タイマが満了したときに前記第1カウンタをリセットすることと、
前記第2TRPに第2カウンタおよび第2タイマを割り当てることであって、前記第2カウンタは、前記第2TRPについてのBFIが発生するたびに1ずつ増分されるカウンタ値を有し、前記第2TRPの前記BFIは、前記少なくとも1つの第2サービングビームが前記所定の通信品質を提供できなくなることを意味し、前記第2タイマは、前記第2TRPについての前記BFIに応答してトリガされ、前記第2カウンタは、前記第2タイマの期限が切れたときにリセットすることと
を含み、
前記第1カウンタおよび前記第2カウンタのそれぞれは最大カウンタ値を有し、前記方法は、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に等しい場合、および、前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が所定のカウンタ値に等しく、前記所定のカウンタ値は前記第2カウンタの前記最大カウンタ値以下である場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方についてビーム障害回復(BFR)メカニズムを開始することをさらに含み、
コンテンションベースのランダムアクセス(CBRA)手順をトリガすることにより、前記BFRメカニズムを開始することと、
サービングプライマリセルの障害を通知する媒体アクセス制御エレメント(MAC CE)、ならびに、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方についての候補ビームインデックスおよび利用可能性を提供することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記MAC CEは、前記第1TRPの第1ビーム障害検出-基準信号(BFD-RS)セットの識別情報と、前記第2TRPの第2BFD-RSセットの識別情報とをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
方法は、ある時点において前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合、および、前記時点から所定の期間内に前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第2カウンタの前記最大カウンタ値に到達した場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
方法、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値と等しい場合、および、前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を前記第2カウンタの前記最大カウンタ値と等しくする場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方についFR手順を開始することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
方法は、前記第1カウンタの前記現在のカウンタ値が前記第1カウンタの前記最大カウンタ値に等しい場合、および、前記第2タイマが満了する前に前記第2TRPについての新たなBFIが発生し、前記新たなBFIが前記第2カウンタの前記現在のカウンタ値を前記所定のカウンタ値に等しくした場合に、前記第1TRPおよび前記第2TRPの両方について前記BFRメカニズムを開始することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1TRPおよび前記第2TRPが、単一のセル内に配置される、請求項乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータコードを記憶するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項乃至12のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成される、コンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】