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特表2024-513077少なくとも2つのフォトニックチップが設けられたフォトニックデバイスを製造するための方法及びフォトニックデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】少なくとも2つのフォトニックチップが設けられたフォトニックデバイスを製造するための方法及びフォトニックデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/13 20060101AFI20240313BHJP
   G02B 6/124 20060101ALI20240313BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240313BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20240313BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G02B6/13
G02B6/124
G02B6/12 301
G02B6/34
G02B6/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561131
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 FR2022050538
(87)【国際公開番号】W WO2022214748
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2103538
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522392508
【氏名又は名称】シンティル フォトニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ メネゾ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB12
2H137BA34
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB25
2H137EA02
2H137EA04
2H137EA05
2H147AB04
2H147AB05
2H147BC01
2H147BC05
2H147BG04
2H147CA13
2H147DA08
2H147DA09
2H147EA09C
2H147EA12C
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147FA03
2H147FA05
2H147FA06
2H147FC01
2H147FC08
2H147FD15
2H147GA19
(57)【要約】
本発明は、デバイス(100)を製造するための方法に関し、本方法は、a)最終基板(200)上に層(300)を備える構造体を提供するステップであって、層(300)は、第1のガイド(330)及び第2のガイド(340)と、格子(341)とを備え、第1の導波路及び第2の導波路は、それぞれ、第1の距離D1及びD1より大きい第2の距離D2だけ結合面から離間されている、ステップと、b)結合面(320)に、それぞれ第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックから形成された少なくとも1つの第1のブロック(510)及び少なくとも1つの第2のブロック(520)を転写するステップと、c)第1のブロック(510)及び第2のブロック(520)から、それぞれ、第1のコンポーネント(610)及び第2のコンポーネント(620)を形成するステップであって、第1のコンポーネント(610)及び第2のコンポーネント(620)は、それぞれ、エバネッセント的又は断熱的に第1の導波路と、及び格子を介して第2の導波路と、結合される、ステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニックデバイス(100)を製造するための方法であって、製造方法は、以下の連続するステップ、すなわち、
a)結合面(320)と、前記結合面(320)の反対側の組立面(310)とが設けられた結合層(300)を備える支持構造体を提供するステップであって、前記結合層(300)は、それの組立面(310)によって最終基板(200)の主面(210)上に載置され、前記結合層(300)は、少なくとも1つの第1の導波路(330)及び少なくとも1つの第2の導波路(340)を備え、前記少なくとも1つの第2の導波路(340)は、それの端部のうちの一方で第1の格子カプラ(341)によって終端されており、前記第1の導波路は単結晶材料を含み、前記第1の導波路(330)及び前記第2の導波路(340)は、それぞれ、第1の距離D1及び前記第1の距離D1より大きい第2の距離D2だけ前記結合面(320)から離れており、有利には、前記第1の距離D1は150nm未満であり、前記第2の距離D2は200nmより大きく、前記支持構造体の提供は、半導体オンインシュレータ(400)基板から前記結合層を形成し、次いで、前記最終基板(200)の前記主面上に前記結合層を転写することを含む、ステップと、
b)前記結合面(320)上に、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ作られた少なくとも第1のブロック(510)及び少なくとも第2のブロック(520)を転写するステップと、
c)前記第1のブロック(510)から及び前記第2のブロック(520)から、それぞれ、第1のフォトニックコンポーネント(610)及び第2のフォトニックコンポーネント(620)を形成するステップであって、前記第1のフォトニックコンポーネント(610)及び前記第2のフォトニックコンポーネント(620)は、それぞれ、エバネッセント的に又は断熱的に前記少なくとも1つの第1の導波路(330)と、及び前記格子カプラ(341)を介して前記少なくとも1つの第2の導波路(340)と、光学的に結合される、ステップと、
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記半導体オンインシュレータ基板(400)は、後面(410)から前面(420)に向かって、初期基板(430)、埋め込み酸化物層(440)、及び半導体層(450)を備え、前記埋め込み酸化物層(440)は、前記結合層(300)の一部を形成し、有利には、前記第1の距離D1に等しい厚さを有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記結合層(300)の形成は、前記少なくとも1つの第1の導波路(330)を形成するように前記半導体層(450)を部分的にエッチングするサブステップa1)を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記結合層(300)の前記形成は、前記半導体オンインシュレータ基板の前記前面に重なり、かつ前記第1の導波路(330)を封入するように意図された、有利には二酸化シリコンで作られた第1のシース層(360)を形成するサブステップa2)を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記結合層(300)の前記形成は、前記第2の導波路(340)及び前記第1の格子カプラ(341)を前記第1のシース層(360)上に形成するサブステップa3)を含み、有利には、前記第2の導波路(340)及び前記第1の格子カプラ(341)が、前記初期基板(430)と前記埋め込み酸化物層(440)との間に形成される界面から前記第2の距離D2に等しい距離にあるように、前記第1のシース層(360)の厚さが調整される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記結合層(300)の前記形成は、有利には二酸化シリコンで作られ、前記第1のシース層(360)に重なり、前記第2の導波路(340)及び前記第1の格子カプラ(341)を封入するように意図された第2のシース層(370)を形成するサブステップa4)を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1のフォトニックスタック及び前記第2のフォトニックスタックは、前記結合面(320)に転写される前にエピタキシによって形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第1のフォトニックコンポーネントは、レーザを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを含み、有利には、前記第2のフォトニックスタックと前記結合層(300)との間に形成された界面は、反射防止層を欠いている、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
反射素子(910)は、前記結合層(300)内に形成され、前記第1の格子カプラ(341)が前記反射素子(910)と少なくとも1つの前記第2のフォトニックコンポーネントとの間に挟持されるように配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第2の導波路(340)はまた、それの他方の端部で第2の格子カプラによって終端され、前記第2の格子カプラは、前記結合面から前記第2の導波路(340)への光放射の注入を可能にするように配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
フォトニックデバイス(100)であって、
-主面(210)が設けられた最終基板(200)と、
-結合面(320)と、前記結合面(320)の反対側の組立面(310)が設けられた結合層(300)であって、前記結合層(300)は、それの組立面(310)によって、前記最終基板(200)の前記主面(210)上に載置されており、前記結合層(300)は、少なくとも1つの第1の導波路(330)及び少なくとも1つの第2の導波路(340)を備え、前記少なくとも1つの第2の導波路(340)はそれの端部のうちの一方で第1の格子カプラ(341)によって終端されており、前記第1の導波路は半導体単結晶材料を含み、前記第1の導波路(330)及び前記第2の導波路(340)は、それぞれ、第1の距離D1及び前記第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ前記結合面(320)から離れており、有利には、前記第1の距離D1は150nm未満であり、前記第2の距離D2は200nmよりも大きい、結合層(300)と、
-第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ形成された第1のフォトニックコンポーネント(610)及び第2のフォトニックコンポーネント(620)であって、前記第1のフォトニックコンポーネント(610)及び前記第2のフォトニックコンポーネント(620)は、それぞれ、エバネッセント的に又は断熱的に前記少なくとも1つの第1の導波路(330)と、及び前記第1の格子カプラ(341)を介して前記少なくとも1つの第2の導波路(340)と、光学的に結合されている、第1のフォトニックコンポーネント(610)及び第2のフォトニックコンポーネント(620)と、
を備える、フォトニックデバイス(100)。
【請求項13】
前記第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを含み、有利には、前記第2のフォトニックスタックと前記結合層(300)との間に形成された界面は、反射防止層を欠いている、請求項12に記載のフォトニックデバイス。
【請求項14】
前記第2の導波路(340)はまた、それの他方の端部で第2の結合ネットワーク(342)によって終端され、前記第2の結合ネットワーク(342)は、前記結合面から前記第2の導波路(340)への光放射の注入を可能にするように配置されている、請求項12又は13に記載のフォトニックデバイス。
【請求項15】
前記第2の導波路(340)はまた、それの他方の端部で縁面によってカプラによって終端され、前記縁面は、前記結合面と前記組立面とを接続する前記結合層の輪郭である、請求項12又は13に記載のフォトニックデバイス。
【請求項16】
前記フォトニックデバイスは、前記結合層(300)内に形成された反射素子(910)を更に備え、前記第1の格子カプラ(341)が前記反射素子(910)と少なくとも1つの前記第2のフォトニックコンポーネント(620)との間に挟持されるように配置されている、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、集積フォトニックコンポーネントの分野のものである。より詳細には、本発明は、フォトニックデバイス内のフォトニックコンポーネントの光結合の問題に関する。特に、本発明は、デバイス上に複数のフォトニックコンポーネントを共集積し、光学的に結合する方法を提案する。特に、本発明は、2つの異なる結合モードに従って、2つのフォトニックコンポーネントをデバイスに集積することを可能にする方法を提案する。
【背景技術】
【0002】
フォトニックコンポーネントとマイクロエレクトロニクスデバイスとの共集積は、特に通信及び量子光学の分野の新たなニーズを満たすために、過去20年間にわたってかなり成長してきた。
【0003】
実際、これらのフォトニックコンポーネントは、一般にIII-V族半導体材料で作られており、その性能はもはや実証する必要がなく、シリコン基板又はマイクロ電子デバイスを支持する支持体上に直接集積してモノリシックデバイスを形成することができる。特に、それらの集積は、ボンディング、研磨、更にはエッチングのステップなどのマイクロエレクトロニクス産業の実績のある技術を実装する。
【0004】
しかしながら、同じデバイスのフォトニックコンポーネントとマイクロエレクトロニクスコンポーネントとの間の通信は、フォトニックコンポーネントによって放射又は受信され得る光放射のための光結合手段及び/又は誘導手段の形成を必要とする。
【0005】
これに関して、対象とする用途又はフォトニックコンポーネントの性質に応じて、異なるタイプの光結合を考慮することができる。後者の中で、表面結合、エバネッセント波又は断熱波による結合、及び最後に突合せ結合を挙げることができる。
【0006】
そのため、図1は、本明細書の非特許文献1の図2を示すが、シリコン導波路GO1とIII-V族半導体材料で作られた光検出器PD1との間の表面結合(「底部」結合と呼ばれる)の図である。
【0007】
特に、この図1では、封入層CE1(「BCB」樹脂で作られた)内に封入された導波路GO1は、それの端部のうちの一方に従って、格子カプラRC1によって終端されている。
【0008】
光検出器PD1は、感光面によって、封入層上に、格子カプラRC1と整列して載置されている。そのような配置は、導波路GO1によって誘導される放射は、格子カプラRC1に到達するときに、その感光面(又はより一般的には「その結合面」)によって光検出器PD1に伝送されることを可能にする。そのような結合モードは、異なる屈折率を有する媒体を考慮することを可能にする。より具体的には、格子カプラRC1及び光検出器PD1の結合面は、異なる屈折率の材料から作られてもよい。
【0009】
本明細書の非特許文献2は、シリコンで作られた導波路とエバネッセント波又は断熱波によって光学的に結合されたアバランシェフォトダイオード(「avalanche photodiode、APD」)が設けられたフォトニックデバイスを提案している(非特許文献2の図2(a)を再現した図2)。この目的のために、アバランシェフォトダイオードは、効果的な結合を可能にするように、導波路に対して垂直にかつ導波路の近くに配置されている。
【0010】
最後に、本明細書の非特許文献3に記載されているように、突合せ結合は、問題のフォトニックコンポーネントPD3の一方の側部又は外側表面SL3上での結合を実装する。特に、図3(非特許文献3の図2(a))に示されるように、フォトニックコンポーネントDP3は、導波路G03によって誘導される光放射を受け取るように構成されている。
【0011】
本明細書の特許文献1は、2つの導波路間の断熱変換器を設計するための方法を開示している。
【0012】
本明細書の特許文献2は、導波路とセンサとの間の格子カプラによる光結合の実装を提案している。
【0013】
そのため、上述の結合の各々は、フォトニックコンポーネントの特定の特徴、より具体的には、その形状及び/又は機能に関する特異性を満たすように実装される。これにより、異なるタイプのフォトニックコンポーネントの集積の考慮は、1つのコンポーネントから別のコンポーネントへの異なる光結合モードを伴い得る。
【0014】
しかしながら、各結合モードは、非常に正確な基準を満たす。特に、表面結合は、一般に、エバネッセント波又は断熱波による結合を回避するために、格子カプラとフォトニックコンポーネントとの間に少なくとも200nmの最小距離を必要とする。更に、結合面は、一般に、導波路とフォトニックコンポーネントとの間の結合の効率を制限する可能性が高い非ゼロ反射係数を有する。実際、導波路からの、格子カプラを介してフォトニックコンポーネントに結合された放射は、結合面によって少なくとも部分的に反射され、導波路に再注入される可能性が高い。
【0015】
一方、エバネッセント波又は断熱波による結合は、フォトニックコンポーネントと、それが光学的に結合される導波路との間の近接、特に150nm以下の距離を必要とする。更に、この結合は、導波路及びフォトニックコンポーネントを形成する材料の屈折率が近いことも意味する。
【0016】
言い換えれば、2つの異なるフォトニックコンポーネントのためのフォトニックデバイス内の表面結合及びエバネッセント波結合又は断熱波結合を考慮すると、当該デバイスを製造する方法がより複雑になる。特に、この追加された複雑さは、コンポーネントを形成及び/又は転写するステップ数の増加によって特徴付けられる。
【0017】
したがって、本発明の1つの目的は、それぞれ第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントとのエバネッセント波結合又は断熱波結合及び表面結合を実装するフォトニックデバイスを製造するための方法を提案することである。
【0018】
本発明の別の目的はまた、表面結合を改善するための方法を提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3764136号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/081399号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】G.Roelkens、J.Brouckaert、D.Taillaert、P.Dumon、W.Bogaerts、D.Van Thourhout、R.Baets、R.Notzel、and M.Smit、“Integration of InP/InGaAsP photodetectors onto silicon-on-insulator waveguide circuits”、Opt.Express 13、10102-10108(2005)
【非特許文献2】Zhihong Huang、Cheng Li、Di Liang、Kunzhi Yu、Charles Santori、Marco Fiorentino、Wayne Sorin、Samuel Palermo、and Raymond G.Beausoleil、“25 Gbps low-voltage waveguide Si-Ge avalanche photodiode”、Optica 3、793-798 (2016)
【非特許文献3】L.Vivien、et al.、“Zero-bias 40Gbit/s germanium waveguide photodetector on Silicon”、Optics Express、vol.20.(2)、Nov.2011
【非特許文献4】Liu、J.-J.、et al.、“The Fabrication and Characterization of InAlAs/InGaAs APDs Based on Mesa-Structure with Polyimide Passivation”、Sensors 2019、19、3399
【発明の概要】
【0021】
本発明の目的は、少なくとも部分的に、フォトニックデバイスを製造するための方法によって達成され、製造方法は、以下の連続するステップ、すなわち、
a)結合面と、結合面の反対側の組立面とが設けられた結合層を備える支持構造体を提供するステップであって、結合層は、それの組立面によって最終基板の主面上に載置され、結合層は、少なくとも1つの第1の導波路及び少なくとも1つの第2の導波路を備え、少なくとも1つの第2の導波路は、それの端部のうちの一方で第1の格子カプラによって終端されており、第1の導波路は単結晶材料を含み、第1の導波路及び第2の導波路は、それぞれ、第1の距離D1及び第1の距離D1より大きい第2の距離D2だけ結合面から離れており、有利には、第1の距離D1は150nm未満であり、第2の距離D2は200nmより大きく、支持構造体の提供は、半導体オンインシュレータ基板から結合層を形成し、次いで、最終基板の主面上に結合層を転写することを含む、ステップと、
b)結合面上に、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ作られた少なくとも第1のブロック及び少なくとも1つの第2のブロックを転写するステップと、
c)第1のブロック及び第2のブロックから、それぞれ、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントを形成するステップであって、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントは、それぞれ、エバネッセント的又は断熱的に少なくとも1つの第1の導波路と、及び第1の格子カプラを介して少なくとも1つの第2の導波路と、光学的に結合される、ステップと、を含む。
【0022】
一実施形態によれば、半導体オンインシュレータ基板は、裏面から表面に向かって、初期基板、埋め込み酸化物層、及び半導体層を備え、埋め込み酸化物層は、結合層の一部を形成し、有利には、第1の距離D1に等しい厚さを有する。
【0023】
一実施形態によれば、結合層の形成は、少なくとも1つの第1の導波路を形成するように半導体層を部分的にエッチングするサブステップa1)を含む。
【0024】
一実施形態によれば、結合層の形成は、半導体オンインシュレータ基板の前面に重なり、かつ第1の導波路を封入するように意図された、有利には二酸化シリコンで作られた、第1のシース層を形成するサブステップa2)を含む。
【0025】
一実施形態によれば、結合層の形成は、第2の導波路及び第1の格子カプラを第1のシース層上に形成するサブステップa3)を含み、有利には、第2の導波路及び第1の格子カプラが、初期基板と埋め込み酸化物層との間に形成される界面から第2の距離D2に等しい距離にあるように、第1のシース層の厚さが調整される。
【0026】
一実施形態によれば、結合層の形成は、有利には二酸化シリコンで作られ、第1のシース層に重なり、第2の導波路及び第1の格子カプラを封入するように意図された第2のシース層を形成するサブステップa4)を含む。
【0027】
一実施形態によれば、結合層の転写は、組立面と最終基板の主面との組み立てと、次いで、結合層を主面上に転写するための初期基板の除去とを含み、初期基板の除去は、有利には、機械的薄化を含む。
【0028】
一実施形態によれば、ステップb)は、以下のサブステップ、すなわち、
b11)エピタキシによって、第1のシード基板のシード面と呼ばれる一方の面上に第1のフォトニックスタックを形成するステップと
b12)第1の区域を形成するための切断ステップであって、第1の区域の各々は、第1のフォトニックスタックから形成された第1のピースが載置される第1のシード基板の第1の部分を備える、ステップと、
b13)第1のピースを結合面上に組み立てるステップと、
b14)第1のピースを結合面上に転写するように、ステップc13)の終了時に第1の部分を除去するステップと、を含む。
【0029】
同様に、結合面上の第2のスタックの形成は、以下のステップ、すなわち、
c21)エピタキシによって、第2のシード基板のシード面と呼ばれる一方の面上に第2のフォトニックスタックを形成するステップと、
c22)第2の区域を形成する切断ステップであって、第2の区域の各々は、第2のフォトニックスタックから形成される第2のピースが載置される第2のシード基板の第2の部分を備える、ステップと、
c23)第2のピースを結合面上に組み立てるステップと、
c24)第2のピースを結合面上に転写するように、ステップc23)の終了時に第2の部分を除去するステップと、を含み得る。
【0030】
一実施形態によれば、ステップb)は、以下のサブステップ、すなわち、
b21)エピタキシによって、第2のシード基板のシード面と呼ばれる一方の面上に第2のフォトニックスタックを形成するステップと
b22)第2の区域を形成する切断ステップであって、第2の区域の各々は、第2のフォトニックスタックから形成される第2のピースが載置される第2のシード基板の第2の部分を備える、ステップと、
b23)第2のピースを結合面に組み立てるステップと、
b24)第2のピースを結合面上に転写するように、ステップc23)の終了時に第2の部分を除去するステップと、を含む。
【0031】
一実施形態によれば、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックはそれぞれ、下部層と上部層との間に挟持された量子井戸のスタックを備え、下部層は結合層上に載置されている。
【0032】
一実施形態によれば、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックは、結合面に転写される前にエピタキシによって形成される。
【0033】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第1のフォトニックコンポーネントは、レーザを含む。
【0034】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを含み、有利には、第2のフォトニックスタックと結合層との間に形成された界面は、反射防止層を欠いている。
【0035】
一実施形態によれば、反射素子は、結合層内に形成され、第1の格子カプラが当該反射素子と少なくとも1つの第2のフォトニックコンポーネントとの間に挟持されるように配置されている。
【0036】
一実施形態によれば、第2の導波路はまた、その他方の端部で第2の格子カプラによって終端され、第2の格子カプラは、結合面から第2の導波路への光放射の注入を可能にするように配置されている。
【0037】
一実施形態によれば、別の反射素子が結合層内に形成され、第2の格子カプラが当該反射素子と結合面との間に挟持されるように配置されている。
【0038】
本発明はまた、フォトニックデバイスに関し、本フォトニックデバイスは、
-主面が設けられた最終基板と、
-結合面と、結合面の反対側の組立面とを備える結合層であって、結合層は、それの組立面によって、最終基板の主面上に載置され、結合層は、少なくとも1つの第1の導波路及び少なくとも1つの第2の導波路を備え、少なくとも1つの第2の導波路はそれの端部のうちの一方で第1の格子カプラによって終端されており、第1の導波路は単結晶材料を含み、第1の導波路及び第2の導波路は、それぞれ、第1の距離D1及び第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ結合面から離れており、有利には、第1の距離D1は150nm未満であり、第2の距離D2は200nmよりも大きい、結合層と、
第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ形成された第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントであって、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントは、それぞれ、エバネッセント的又は断熱的に少なくとも1つの第1の導波路と、及び第1の格子カプラを介して少なくとも1つの第2の導波路と、光学的に結合されている、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントと、を備える。
【0039】
一実施形態によれば、第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを含み、有利には、第2のフォトニックスタックと結合層との間に形成される界面は、反射防止層を欠いている。
【0040】
一実施形態によれば、第2の導波路はまた、それの他方の端部で第2の格子カプラによって終端され、第2の格子カプラは、結合面から第2の導波路への光放射の注入を可能にするように配置されている。
【0041】
一実施形態によれば、当該デバイスは、結合層内に形成される反射素子を更に備え、第1の格子カプラが当該反射素子と少なくとも1つの第2のフォトニックコンポーネントとの間に挟持されるように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本明細書の非特許文献1から引き出された、第1の格子カプラによって終端された導波路と光検出器との表面結合の斜視図である。
図2】本明細書の非特許文献2から引き出された、アバランシェフォトダイオードと導波路とのエバネッセント波結合又は断熱波結合の斜視図である。
図3】本明細書の非特許文献3の図2(a)の繰り返しであり、この図は、特に、従来技術から知られている、フォトニックデバイスと導波路との間の突合せ結合を斜視図で表す。
図4】本発明による方法のステップa)の間に提供される支持構造体の、主面に垂直な断面に沿った概略図である。
図5】主面に垂直であり、第2の導波路の伸長軸を含む別の断面による、図4の支持構造体の概略図である。図5は、特に、第2の導波路をその端部の各々に依って終端させる格子カプラを示すことを可能にする。
図6】結合層の形成のために実装することができる半導体オンインシュレータ基板の概略図である。
図7図6の半導体オンインシュレータ基板上に第1の導波路を形成するサブステップa1)の概略図である。
図8】半導体オンインシュレータ基板の前面に重なり、第1の導波路330を封入するように意図された第1の層を形成するサブステップa2)の概略図である。
図9】第1シース層上に第2の導波路及び第1の格子カプラを形成するサブステップa3)の概略図である。
図10a】第1のシース層に重なり、第2の導波路及び第1の格子カプラを封入するように意図された第2の層を形成するサブステップa4)の概略図である。
図10b】第1のシース層に重なり、第2の導波路及び第1の格子カプラを封入するように意図された第2の層を形成するサブステップa4)の概略図であり、この図の文脈におけるステップa4)は、2つの反射素子の形成も含む。
図11】結合層の組立面を最終基板の主面と組み立てるステップを示す概略図である。
図12】最終基板の主面上に結合層を転写するように、図11に示される組み立ての実行後に初期基板を除去するステップの概略図である。
図13】第1のブロック及び第2のブロックを結合面上に転写するステップの概略図である。
図14】結合面に転写された第1のブロック及び第2のブロックの、当該結合面からの写真である。
図15】ステップc)の実行の終了時に第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントが形成されている支持構造体の、主面に垂直な断面に沿った概略図である。
図16】第1のフォトニックコンポーネント及び第2のコンポーネントが形成されている支持構造体の、主面に垂直な断面に沿った概略図であり、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントは、封入層によって封入されている。
図17】主面に垂直な断面に沿った概略図であり、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントの電気的制御を可能にする電気接点が示されている。
図18】第2のフォトニックコンポーネントと第1の格子カプラとの間の結合を示す概略図である。
図19】平面(0,y,z)に平行な断面に沿った断熱/エバネッセント結合における、第1のフォトニックコンポーネントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、フォトニックデバイスを製造するための方法に関する。特に、本発明による方法は、同じフォトニックデバイス内で、異なる方法で当該デバイスに結合された複数のフォトニックコンポーネントを集積することを考慮することを可能にする。
【0044】
特に、本発明は、フォトニックデバイス内で、当該デバイスにエバネッセント的又は断熱的に結合された第1のフォトニックコンポーネントと、格子カプラによって当該デバイスに結合された第2のフォトニックコンポーネントとを集積することを可能にする。
【0045】
この目的のために、本発明による方法は、以下の連続するステップ、すなわち、
a)結合面と、結合面の反対側の組立面とが設けられた結合層を備える支持構造体を提供するステップであって、結合層は、それの組立面によって最終基板の主面上に載置され、結合層は、少なくとも1つの第1の導波路及び少なくとも1つの第2の導波路を備え、少なくとも1つの第2の導波路は、それの端部のうちの一方で第1の格子カプラによって終端されており、第1の導波路及び格子カプラは単結晶材料を含み、第1の導波路及び第2の導波路は、それぞれ、第1の距離D1及び第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ結合面から離れており、支持構造体の提供は、半導体オンインシュレータ基板から結合層を形成し、次いで、最終基板の主面上に結合層を転写することを含む、ステップと、
b)結合面上に、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ作られた少なくとも第1のブロック及び少なくとも第2のブロックを転写するステップと、
c)第1のブロック及び第2のブロックから、それぞれ、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントを形成するステップであって、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントは、それぞれ、エバネッセント的又は断熱的に少なくとも1つの第1の導波路と、及び格子カプラを介して少なくとも1つの第2の導波路と、それぞれ光学的に結合される、ステップと、を含む。
【0046】
これにより、図4は、正規直交基準座標系(x,y,z)において、ステップa)の実行中に提供される支持構造体を示す。
【0047】
特に、支持構造体は、主面210が設けられた最終基板200を備え、それの主面上に、その組立面310を介して結合層300が載置されている。結合層300はまた、組立面310の反対側に結合面320を備える。
【0048】
記載において、特に明記しない限り、面及び層は、平面(x,y)に平行に延在し、したがって方向zに垂直である。
【0049】
最終基板200は、任意のタイプの材料を含み得る。特に、最終基板200は、半導体材料を含み得る。この点において、半導体材料は、シリコン、窒化アルミニウム、ゲルマニウム、又はシリコンゲルマニウム合金を含み得る。
【0050】
代替的に、最終基板200は、断熱材料を含んでもよい。例えば、絶縁材料は、ガラスを含み得る。
【0051】
結合層300は、少なくとも第1の導波路330及び少なくとも第2の導波路340を備える。特に、第1の導波路330は、結合面320から第1の距離D1だけ離れている。同様に、第2の導波路340は、第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ結合面320から離れている(図4及び図5)。
【0052】
第1の導波路330及び第2の導波路340はそれぞれ、平面(x,y)に平行な平面内に延在し、したがって、結合面320から一定の距離のままであることが理解される。
【0053】
第1の導波路330及び第2の導波路340は、必ずしも同じ方向に延在しないことも理解される。
【0054】
第2の導波路340は、それの端部340aの1つで第1の光格子カプラ341によって終端されている(図5)。第1の光格子カプラ341は、第1の導波路340と同じ材料で作ることができる。第1の格子カプラ340も結合面320から第2の距離D2だけ離れていることも理解されるが、これを特定する必要はない。
【0055】
同様に、第2の導波路340は、それの端部340bのうちの別の端部で第2の光格子カプラ342によって終端され得る(図5)。第2の光格子カプラ342は、第2の導波路340と同じ材料で作ることができる。第2の格子カプラ342も結合面320から第2の距離D2だけ離れていることも理解されるが、これを特定する必要はない。代替的に、第2の導波路は、それの他方の端部で縁面によってカプラのために終端される。本発明の文脈において、縁面は、組立面と結合面とを接続する外郭として画定されている。
【0056】
また、本発明の開示全体を通して、第2の導波路340の単なる言及は、当該第2の導波路を指すだけでなく、第1の格子カプラも指し、後者が考慮される場合には第2の格子カプラも指す。
【0057】
第1の導波路330は、単結晶材料、より具体的には単結晶シリコンを含む。
【0058】
有利なことに、第2の導波路340は、窒化シリコンを含み得る。しかしながら、本発明は、この材料のみの実装に限定されない。
【0059】
支持構造体を提供するステップa)は、
-セミコンダクタ・オンインシュレータ基板400から結合層300を形成するステップと、
-結合層300を最終基板200の主面210上に転写するステップと、を含む。
【0060】
図6に示すように、半導体オンインシュレータ基板400は、後面410から前面420に向かって、初期基板430、埋め込み酸化物層440、及び半導体層450を備える。半導体層は、単結晶材料を含む。
【0061】
埋め込み酸化物層440は、少なくとも部分的に、結合層300を形成するように意図されていることが、以下で明らかになるであろう。
【0062】
更に、埋め込み酸化物層440は、有利には、第1の距離D1に等しい厚さを有し得る。
【0063】
初期基板430は、半導体材料、絶縁材料、又は導電材料を含み得る。
【0064】
特に、初期基板430は、シリコンを含み得る。
【0065】
埋め込み酸化物層440は、二酸化シリコンを含み得る。
【0066】
半導体層450は、シリコンを含み得る。
【0067】
しかしながら、本発明は、これらの材料のみに限定されてはならず、当業者は、意図された用途に応じて、好適であり得る任意の他の材料を実装し得る。
【0068】
半導体オンインシュレータ基板400からの結合層300の形成は、以下のサブステップ、すなわち、
-少なくとも1つの第1の導波路330(図7)を形成するように、半導体層450を部分的にエッチングするサブステップa1)と、
-半導体オンインシュレータ基板400の前面420に重なることによって第1のシース層360を形成し、第1の導波路330を封入するように意図されるサブステップa2)(図8)であって、第1のシース層は、例えば、SiOを含み得る、サブステップa2)と、
-第1のシース層360上に第2の導波路340及び第1の格子カプラ341(及び考慮される場合には第2の格子カプラ342)を形成するサブステップa3)(図9)と、
-第1のシース層360に重なる第2のシース層370を形成し、第2の導波路330及び第1の格子カプラ340を封入するように意図されるサブステップa4)(図10a)と、を含み得る。第2のシース層370は、例えば、SiOを含み得る。
【0069】
サブステップa1)は、フォトリソグラフィ及びエッチングのステップの組み合わせを実装することができる。特に、フォトリソグラフィステップは、パターン、より具体的には、半導体層450上の第1の導波路330に関連付けられたパターンを画定することを可能にし、エッチングステップは、フォトリソグラフィステップ中に画定されるパターンから当該第1の導波路330を形成することを可能にする。これらの態様は、当業者に周知であり、本発明では詳述されない。
【0070】
サブステップa2)の実行中の第1のシース層360の形成は、層を堆積させるための技術を実装することができる。特に、第1のシース層360は、化学蒸着(chemical vapor deposition、「CVD」)技術、より具体的には低圧化学蒸着(low-pressure chemical vapor deposition、「LPVCD」)技術、又はプラズマ強化化学蒸着(plasma-enhanced chemical vapor deposition、「PEVCD」)技術によって堆積させることができる。代替的に、第1のシース層360は、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)技術によって堆積させることができる。
【0071】
最後に、このサブステップa2)はまた、第1のシース層360の厚さを調整することを目的とした研磨(特に、化学機械研磨)を実装することができる。
【0072】
第1のシース層360は、二酸化シリコンを含み得る。
【0073】
サブステップa3)の実行中の第2の導波路340の形成は、層堆積、フォトリソグラフィ及びエッチングのステップの組み合わせを実装することができる。
【0074】
特に、第2の導波路340の形成は、最初に、第1のシース層360に重なるガイド層の形成を含み得る。ガイド層は、蒸着技術、より具体的には低圧蒸着技術、又はプラズマ活性化気相蒸着技術によって堆積され得る。代替的に、ガイド層は、物理蒸着技術によって堆積されてもよい。ガイド層は、有利には、窒化シリコンを含む。
【0075】
次いで、パターン、より具体的にはガイド層上の第2の導波路340のパターンを画定するために、フォトリソグラフィステップが実行される。最後に、エッチングステップの実装により、フォトリソグラフィステップ中に画定されるパターンから第2の導波路340を形成することが可能になる。これらの態様は、当業者に周知であり、本発明では詳述されない。
【0076】
サブステップa3)の実行はまた、ガイド層からの第1の格子カプラ341、及び第2の格子カプラ342の形成をたらすことも理解される。言い換えれば、第2の導波路340、第1の格子カプラ341、及び第2の格子カプラ342は、第1のシース層360上に載置され、同じ材料で作られている。
【0077】
最後に、サブステップa4)の実行中の第2のシース層370の形成は、層を堆積させるための技術を実装することができる。特に、第2のシース層は、蒸着技術、より具体的には低圧蒸着技術、又はプラズマ活性化気相蒸着技術によって堆積されてもよい。代替的に、第2のシース層370は、物理蒸着技術によって堆積されてもよい。
【0078】
最後に、このサブステップa4)はまた、第2のシース層370の厚さを調整することを意図される研磨(特に化学機械研磨)を実装することができる。
【0079】
第2のシース層370は、二酸化シリコンを含み得る。
【0080】
これにより、サブステップa1)~a4)の実行の終了時に、結合層300が得られる。結合層300は、特に、それの結合面からそれの組立面まで、埋め込み酸化物層440、第1のシース層360、及び第2のシース層370を備える。結合層300はまた、第1の導波路330及び第2の導波路340を備える。特に、第1の導波路330は、埋め込み酸化物層440と第1のシース層360との間に挟持され、一方、第2の導波路340は、第1のシース層360と第2のシース層370との間に挟持される。
【0081】
埋め込み酸化層440及び第1のシース層360の厚さは、第1の距離D1及び第2の距離D2を調整することを可能にする。
【0082】
これにより、初期基板上にある結合層300を、最終基板200の主面210上に転写することができる。
【0083】
この転写は、特に、結合層300の組立面と最終基板200の主面210との組み立てを含む(図11)。組み立ては、特に、本発明をこの態様のみに限定することなく、分子結合を含むことができる。
【0084】
組み立ての後に、結合層300を主面210上に転写するように、初期基板430を除去するステップが続くことができる(図12)。初期基板430の除去は、機械的薄化、化学的攻撃、又は両方の組み合わせを含み得る。
【0085】
本発明による方法はまた、結合面上に、第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ作られた少なくとも1つの第1のブロック510及び少なくとも1つの第2のブロック520を(組み立てによって、より具体的には、ボンディングによって)転写するステップb)を含む(図13)。
【0086】
「フォトニックスタック」は、材料の層、特に半導体材料の層のスタックであって、電気信号を受けると光放射を放出することができるか、又は光放射を吸収すると電気信号を放出するスタックを意味するものと理解される。
【0087】
Pはまた、本発明の用語によれば、フォトニックスタックが結合面に転写されるとすぐに、それを形成する材料の層がz方向に積み重ねられることと理解される。
【0088】
本発明によれば、第1のブロック510及び第2のブロック520はそれぞれ、ピックアンドプレース法及びボンディングによって転写され得るピースを形成する。ピース(第1のブロック又は第2のブロック)を示す図14は、その図解である。
【0089】
第1のブロック510及び第2のブロック520の形成は、エピタキシステップ、特にシード基板と呼ばれる基板上のエピタキシステップを伴い得る。
【0090】
特に、結合面上の第1のスタック510の形成は、以下のステップ、すなわち、
b11)エピタキシによって、第1のシード基板のシード面と呼ばれる一方の面上に第1のフォトニックスタックを形成するステップと、
b12)第1の区域を形成するための切断ステップであって、第1の区域の各々は、第1のフォトニックスタックから形成された第1のピースが載置される第1のシード基板の第1の部分を備える、ステップと、
b13)第1のピースを結合面上に組み立てるステップと、
b14)第1のピースを結合面上に転写するように、ステップb13)の終了時に第1の部分を除去するステップと、を含み得る。
【0091】
同様に、結合面上の第2のスタックの形成は、以下のステップ、すなわち、
b21)エピタキシによって、第2のシード基板のシード面と呼ばれる一方の面上に第2のフォトニックスタックを形成するステップと、
b22)第2のセクションを形成する切断ステップであって、第2のセクションの各々は、第2のフォトニックスタックから形成される第2のピースが載置される第2のシード基板の第2の部分を備える、ステップと、
b23)第2のピースを結合面に組み立てるステップと、
b24)第2のピースを結合面上に転写するように、ステップc23)の終了時に第2の部分を除去するステップと、を含み得る。
【0092】
本発明による方法はまた、第1のブロック510及び第2のブロック520から、それぞれ、第1のフォトニックコンポーネント610及び第2のフォトニックコンポーネント620を形成するステップc)を含む。ステップc)は、特に、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントを形成することを意図される一連のフォトリソグラフィ及びエッチングステップを含み得る。
【0093】
これにより、ステップc)の終了時に、第1のフォトニックコンポーネント610は、エバネッセント波結合モード又は断熱波結合モードに従って、第1の導波路330と光学的に結合される(図15図19)。言い換えれば、第1の導波路によって誘導される光放射は、第1のフォトニックコンポーネント610に転写することが可能である。エバネッセント波又は断熱波によるそのような光結合は、第1のフォトニックコンポーネントが第1の導波路330の近接D1にあるとすぐに得られ、導波路は、近い屈折率を有することが理解される。言い換えれば、第1のブロックを転写するステップb)及びステップc)は、第1の光学コンポーネント610が第1の導波路330の区域に垂直に配置されるように実行される。
【0094】
同様に、ステップc)の終了時に、第2のフォトニックコンポーネント620は、第1の格子カプラ341を介して第2の導波路340と光学的に結合される(図15及び図18)。言い換えれば、第2の導波路340によって誘導される光放射は、第1の格子カプラを介して第2のフォトニックコンポーネント620に転写されることが可能である。これにより、第2のブロックを転写するステップb)及びステップc)は、第2の光学コンポーネント620が第1の格子カプラ330と垂直に配置されるように実行される。
【0095】
これにより、図18に示すように、前面から入射し、第2の格子カプラ342に垂直な光放射RIは、当該第2の格子カプラ342に伝送され、次いで、第2の導波路によって端部340bから端部340aに誘導され、第1の格子カプラ341に到達する。放射は、第1の格子カプラ341に到達するとすぐに、結合面320と接触している第2の光学コンポーネントの、下部面と呼ばれる面に向けられる。
【0096】
それにもかかわらず、下部面は、ゼロでない反射率係数を有し得、その結果、当該面に向けられた放射は、下部面によって部分的に反射される。
【0097】
また、光放射RIは、第2の格子カプラ342との相互作用中に、部分的に、第2の導波路340の方向に誘導されることなく第2の格子カプラを通過し得る。
【0098】
これらの望ましくない効果は、光結合の効率に直接影響を及ぼす。
【0099】
しかしながら、これらの望ましくない効果を克服するために反射防止層を考慮することは、望ましくもなく、実装するのが容易でもない。
【0100】
そのため、図18に示すように、デバイスの光学効率を改善するために、2つの反射素子910及び920の形成を提供することが可能である。
【0101】
特に、反射素子910は、結合層300内に形成され、第1の格子カプラが当該反射素子910と少なくとも1つの第2のフォトニックコンポーネント620との間に挟持されるように配置されている。
【0102】
同様に、反射素子920は結合層300内に形成され、第2の格子カプラが当該反射素子920と結合面との間に挟持されるように配置されている。
【0103】
反射素子910及び920は各々、ブラッグミラーを備え得、サブステップa2)の実行中に形成され得る。
【0104】
この配置は、第2のフォトニックコンポーネントの光学活性面(下部面)に重なる反射防止層を実装する必要がないので、特に有利である。実際、図18に示される例では、反射器素子910は、第2のフォトニックコンポーネント620の下部面に、当該面によって反射された放射部分を戻すことを可能にする。
【0105】
同様に、第2の格子カプラ342を部分的に通過する光放射は、反射素子920上で反射されることによって当該格子内に再注入することができ。
【0106】
図10bに示すように、反射器要素910及び920は、第2のシース層370を形成するステップa4)中に形成することができる。特に、ステップa4)は
第1のシース層及び第1の導波路に重なる第2のシース層の第1の区域を形成するステップと、
-第2のシース層の第1の区域上に2つの反射器910及び920を形成するステップと、
2つの反射器と第2のシース層の第1の区域とに重なる第2のシース層の第2の区域を形成するステップと、を含むことができる。
【0107】
実施例として、第1のフォトニックコンポーネントは、レーザ、特にInPベースのレーザを含み得る。InPベースのレーザを形成することを可能にするフォトニックスタックは、特に、PドープInP層及びNドープInP層を含み、これらの層の間に量子井戸のセットが挟持される。
【0108】
第1のフォトニックコンポーネントの近傍における、例えば、単結晶シリコンで作られた第1の導波路のエバネッセント波結合又は断熱波結合は、比較的効果的である。第1の導波路を形成する単結晶シリコンと第1のフォトニックコンポーネントを形成するInPとの、1310nm~1550nmの波長範囲における屈折率の近接、並びにこれら2つの素子の近接(距離D1が150nm以下)は、エバネッセント波又は断熱波による結合を特に効果的にする。
【0109】
第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを備え得る。特に、アバランシェフォトダイオードは、本明細書の非特許文献4に提示されているフォトダイオードと同じ用語を取り入れることができる。
【0110】
第1のフォトニックコンポーネント610及び第2のフォトニックコンポーネント620に重なる封入層700を形成することができる(図16)。封入層700は、絶縁材料、特に二酸化シリコンを含み得る。封入層700の形成は、当業者の範囲内であり、したがって、本明細書では記載しない。
【0111】
封入層700の形成に続いて、第1のフォトニックコンポーネント610に関連付けられた第1の接点810と、第2のフォトニックコンポーネント620に関連付けられた第2の接点820とを形成することができる(図17)。第1の接点810及び第2の接点820は、特に、それぞれ第1のフォトニックコンポーネント610及び第2のフォトニックコンポーネント620の電気的制御を可能にするように意図されている。
【0112】
接点810及び820の形成は、当業者の範囲内であるので、本明細書では記載しない。
【0113】
特に、本方法は、上述したように、異なる導波路を異なる深さに埋め込むことを可能にする。この構成は、異なる光結合を必要とする光学コンポーネントを同じデバイスに集積しなければならない場合に特に有利である。
【0114】
特に有利には、結合層300は、第1の距離D1が150nm以下(ゼロではない)となるように形成されている。そのような距離は、第1の導波路と第1の光学コンポーネントとの間にエバネッセント波結合又は断熱波結合を確立することを可能にする。
【0115】
また、特に有利には、結合層300は、第2の距離D2が200nmよりも大きくなるように形成されている。そのような距離は、エバネッセント波又は断熱波の結合を制限(又は防止さえ)しながら、格子カプラを介して第2の導波路と第2のフォトニックコンポーネントとの間の結合を確立することを可能にする。
【0116】
反射素子910及び920の実装は、特に、第2のフォトニックコンポーネントの下部面に反射防止層を使用する必要なく、第2の導波路と第2のフォトニックコンポーネントとの間の光結合の効率を改善することを可能にする。
【0117】
最後に、本発明による方法は、第2の導波路が位置する距離D2よりも小さい結合面からの距離D1に単結晶半導体材料で作られた第1の導波路を考慮することを可能にする。
【0118】
本発明はまた、上述した特徴を主に含むフォトニックデバイスに関する。
【0119】
特に、フォトニックデバイスは、
-主面が設けられた最終基板と、
-結合面と、結合面の反対側の組立面とを備える結合層であって、結合層は、それの組立面によって、最終基板の主面上に載置され、結合層は、少なくとも1つの第1の導波路と、少なくとも1つの第2の導波路とを備え、少なくとも1つの第2の導波路は、それの端部のうちの一方で第1の格子カプラによって終端されており、第1の導波路及び第2の導波路は、それぞれ、第1の距離D1及び第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ結合面から離れており、第1の導波路及び第1の格子カプラは単結晶材料を含み、有利には、第1の距離D1は150nm未満であり、第2の距離D2は200nmよりも大きい、結合層と、
第1のフォトニックスタック及び第2のフォトニックスタックからそれぞれ形成された第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントであって、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントは、それぞれ、エバネッセント的又は断熱的に少なくとも1つの第1の導波路と、及び第1の格子カプラを介して少なくとも1つの第2の導波路と、光学的に結合されている、第1のフォトニックコンポーネント及び第2のフォトニックコンポーネントと、を備える。
【0120】
有利には、第2のフォトニックコンポーネントは、アバランシェフォトダイオードを含み、有利には、第2のフォトニックスタックと結合層との間に形成される界面は、反射防止層を欠いている。
【0121】
また有利には、第2の導波路はまた、それの他方の端部で縁面によって第2の格子カプラ又はカプラによって終端され、第2の格子カプラは、結合面から第2の導波路への光放射の注入を可能にするように配置されている。
【0122】
また有利には、当該デバイスは、結合層に形成され、第1の格子カプラが当該反射素子と少なくとも1つの第2のフォトニックコンポーネントとの間に挟持されるように配置された反射素子を更に備える。
【0123】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。
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【国際調査報告】