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特表2024-513078患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓
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  • 特表-患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓 図1
  • 特表-患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓 図2
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  • 特表-患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓 図9
  • 特表-患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】患者の血管系に植え込み型人工心臓を接続するための装置、および当該接続装置を具備した人工心臓
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/02 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
A61F2/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561134
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 FR2022050413
(87)【国際公開番号】W WO2022214744
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2103482
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520014659
【氏名又は名称】カーマット
【氏名又は名称原語表記】CARMAT
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パラ ダンデルト,フルキ
(72)【発明者】
【氏名】グリメ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】グモー,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】デュブイ,パスカル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA26
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD09
4C097DD10
(57)【要約】
植え込み型人工心臓を患者の血管系に接続するための装置、およびこのような接続装置が設けられた人工心臓。患者の囲心腔に植え込み可能な人工心臓(2)を患者の血管系に接続するように意図される接続装置(1)は、患者の左心房、右心房、大動脈、および肺動脈にそれぞれ接続するように意図された、僧帽弁インターフェース要素(5)、三尖弁インターフェース要素(6)、大動脈インターフェース要素(7)、および肺インターフェース要素(8)を備えたインターフェース構成要素(4)を有する。インターフェース要素(5~8)の各々にはオリフィス(9~12)が設けられ、インターフェース要素(5~8)のうちの少なくとも幾つかは、人工心臓(2)の配向に対応し且つ患者の解剖学的構造を尊重するのに適した異なる配向を有する。この接続装置(1)は、特に人工心臓(2)をより容易かつより迅速に適所にフィットさせることを可能にする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の囲心腔に植え込み可能な人工心臓(2)を患者の血管系に接続するように意図された接続装置(1)であり、前記人工心臓(2)は、患者の生来の左心室および右心室のアブレーション後に前記患者の左心室および右心室に置き換え可能なものである、接続装置(1)において、
当該接続装置(1)は、前記人工心臓(2)に取り付けることができるように構成された単一のインターフェース部品(4)を備え、前記インターフェース部品(4)は、前記患者の左心房、右心房、大動脈、および肺動脈に接続するようにそれぞれ意図された、僧帽弁インターフェース要素(5)と呼ばれるインターフェース要素と、三尖弁インターフェース要素(6)と呼ばれるインターフェース要素と、大動脈インターフェース要素(7)と呼ばれるインターフェース要素と、肺インターフェース要素(8)と呼ばれるインターフェース要素と、を備え、
前記インターフェース要素(5~8)の各々にはオリフィス(9~12)が設けられ、
前記インターフェース要素(5~8)は所定の配向(5A~8A)を有することを特徴とする、接続装置。
【請求項2】
前記僧帽弁インターフェース要素(5)の配向および前記三尖弁インターフェース要素(6)の配向は、その間に0°~32°の角度を有することを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記僧帽弁インターフェース要素(5)および前記三尖弁インターフェース要素(6)は、前記インターフェース部品(4)の平板(13)上に配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記インターフェース部品(4)は、以下の配向関係のうちの少なくとも幾つかを有する、すなわち、
- 前記大動脈インターフェース要素(7)の配向(7A)および前記僧帽弁インターフェース要素(5)の配向(5A)は、その間に0°~90°の間の角度を有すること、
- 前記大動脈インターフェース要素(7)の配向(7A)および前記三尖弁インターフェース要素(6)の配向(6A)は、その間に0°~92°の間の角度を有すること、
- 前記肺インターフェース要素(8)の配向(8A)および前記僧帽弁インターフェース要素(5)の配向(5A)は、その間に26°~64°の間の角度を有すること、
- 前記肺インターフェース要素(8)の配向(8A)および前記三尖弁インターフェース要素(6)の配向(6A)は、その間に31°~73°の間の角度を有すること、
- 前記大動脈インターフェース要素(7)の配向(7A)および前記肺インターフェース要素(8)の配向(8A)は、その間に39°~79°の間の角度を有すること、
のうちの少なくとも幾つかを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記インターフェース部品(4)は、以下の距離関係のうちの少なくとも幾つかを有する、すなわち、
- 前記僧帽弁インターフェース要素(5)のオリフィス(9)の中心(5B)と前記三尖弁インターフェース要素(6)のオリフィス(10)の中心(6B)との間の距離が42mm~76mmの間であること、
- 前記僧帽弁インターフェース要素(5)のオリフィス(9)の中心(5B)と前記大動脈インターフェース要素(7)のオリフィス(11)の中心(7B)との間の距離が37mm~65mmの間であること、
- 前記僧帽弁インターフェース要素(5)のオリフィス(9)の中心(5B)と前記肺インターフェース要素(8)のオリフィス(12)の中心(8B)との間の距離が50mm~80mmの間であること、
- 前記三尖弁インターフェース要素(6)のオリフィス(10)の中心(6B)と前記大動脈インターフェース要素(7)のオリフィス(11)の中心(7B)との間の距離が34mm~64mmの間であること、
- 前記三尖弁インターフェース要素(6)のオリフィス(10)の中心(6B)と前記肺インターフェース要素(8)のオリフィス(12)の中心(8B)との間の距離が59mm~91mmの間であること、
- 前記大動脈インターフェース要素(7)のオリフィス(11)の中心(7B)と前記肺インターフェース要素(8)のオリフィス(12)の中心(8B)との間の距離が22mm~46mmの間であること、
のうちの少なくとも幾つかを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記大動脈インターフェース要素(7)および前記肺インターフェース要素(8)の各々がネジ山(20A、20B)を備えることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記インターフェース部品(4)は、以下の材料、すなわちチタン、ステンレス鋼のうちの1つでできていることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第1の血管導管(14A)であって、その第1の端部(16A)が患者の大動脈に縫合されるように意図され、その第2の端部(17A)が、自由に回転するように実装されると共に前記大動脈インターフェース要素(7)上にネジ留め可能なリング(18A)を備えた、第1の血管導管(14A)と、
第2の血管導管(14B)であって、その第1の端部(16B)が患者の肺動脈に縫合されるように意図され、その第2の端部(17B)が、自由に回転するように実装されると共に前記肺インターフェース要素(8)上にネジ留め可能なリング(18B)を備えた、第2の血管導管(14B)と、
を更に備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
患者の左心房に縫合されるように意図されると共に、前記僧帽弁インターフェース要素(5)上に実装することができるように構成されたコア(23A)を備えた、第1の縫合カラー(22A)と、
患者の右心房に縫合されるように意図されると共に、前記三尖弁インターフェース要素(6)上に実装することができるように構成されたコア(23B)を備えた、第2の縫合カラー(22B)と、
を更に備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
患者の囲心腔に植え込み可能な人工心臓(2)であり、患者の生来の左心室および右心室のアブレーション後に前記患者の左心室および右心室に置き換え可能な人工心臓において、
少なくとも左右の人工心室が配置される少なくとも1つの剛性な人工補綴体(3)と、
前記人工補綴体(3)に設けられたハウジング(26)内に取り付けることができるように構成された、請求項1から9のいずれか一項に記載の接続装置(1)と、
を備えることを特徴とする、人工心臓。
【請求項11】
前記接続装置(1)のインターフェース部品(4)は、前記人工補綴体(3)の外壁(30)に設けられた喉部(29)と協働するセンタリング舌部(27)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の人工心臓。
【請求項12】
前記インターフェース部品(4)を前記人工補綴体(3)に取り外し可能に取り付けるためのネジ取り付け手段(31)を備えることを特徴とする、
請求項10および11のいずれか一項に記載の人工心臓。
【請求項13】
前記インターフェース部品(4)を前記人工補綴体(3)に取り外し可能に取り付けるためのクリップ取り付け手段(39)を備えることを特徴とする、
請求項10および11のいずれか一項に記載の人工心臓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血管系に人工心臓を接続するための接続装置に関し、この人工心臓は、患者の囲心腔(心膜腔、pericardial cavity)に植え込み可能であり、アブレーション(焼灼)後に当該患者の自然な左心室および右心室に置き換わることができる。本発明はまた、このような接続装置を備えた人工心臓にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(FR-2784585)および特許文献2(FR-2902345)に記載されるような完全植え込み型人工心臓は、心房を保持しながら患者の心室を置き換える機能を有する。これを達成するために、完全植え込み型人工心臓は人工心室が配置される剛性人工補綴体を備える。
【0003】
したがって、患者の囲心腔にこの人工心臓を植え込むために、患者の解剖学的構造を考慮しながら、患者の血管系(心房および動脈)と人工心臓との間にインターフェースを作り出す必要がある。これを達成するために、以下の点を考慮する必要がある。
- 多少の一定の間隔を有する心房(左および右)の定義された配向、および
- かなり変動し得る動脈(大動脈および肺動脈)の配向および配置。
【0004】
現在使用されている1つの解決策は、一方では、人工心臓の挿入のためのインターフェース部品(ベゼルシステムに対応)と、他方では、人工心臓の取り出しのための2つの可撓性導管(または血管導管)を備える。
【0005】
特許文献3(FR-2902343)および特許文献4(FR-2902344)は、人工心臓の挿入のための、挿入インターフェースとしての協働ベゼルのシステムを記載している。このベゼルシステムは、人工心臓の剛性人工補綴体の一体部分を形成し、人工心臓の人工左心室および人工右心室とそれぞれ連通する第1および第2のオリフィスを備える第1のベゼルと、心房に縫合されるカラーを介して患者の自然左心房および自然右心房にそれぞれ接続することができる第3および第4のオリフィスを備える第2のベゼルとを備える。これらの第1および第2のベゼルは、第1および第3のオリフィスが互いに対向し、第2および第4のオリフィスが互いに対向した状態で互いに対して取り外し可能に接続できるように構成されている。このベゼルシステムは、(第1のベゼルが取り付けられた)人工心臓を(自然左心房に予め接続された)第2のベゼルに接続することをより容易にする。
【0006】
この挿入インターフェース内のベゼルの各々は、人工心臓が配置される前に実行される。対照的に、血管導管は、患者の動脈に縫合される前に、ステープルを使用して人工心臓に最初に取り付けられる。人工心臓の存在は、外科医が手術する余地が少なく、したがって縫合を行うためのアクセスがより困難であることを意味する。人工心臓の最終的な配置は、人工心臓を挿入インターフェースにクリップ留めすることによって行われる。
【0007】
血管導管が動脈に縫合されるときの人工心臓の存在は、人間工学的な問題を引き起こす。人工心臓は、縫合を行う外科医以外の者によって適所に保持されなければならず、動脈へのアクセスは制限される。これは、人工心臓を配置するために2人必要であることを意味する。
【0008】
加えて、血管導管を取り付けるためのシステムは、いくつかの移植補助具の使用を必要とし、封止要求のために組み立てが困難である(締まり嵌め)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許第2784585号明細書
【特許文献2】仏国特許第2902345号明細書
【特許文献3】仏国特許第2902343号明細書
【特許文献4】仏国特許第2902344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、外科医が配置および縫合についてあまり制約されていない環境で作業できるようにすることによって、人工心臓の移植手術を簡略化および改善できるようにする解決策を見出すことである。この目的のために、本発明は、患者の囲心腔(心膜腔、pericardial cavity)に植え込み可能な人工心臓を患者の血管系に接続するように意図された接続装置に関し、この人工心臓は、患者の自然な(生来の)左心室および右心室のアブレーション後に患者の自然左心室および右心室に置き換え可能なものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、接続装置は、人工心臓に取り付けることができるように構成された単一のインターフェース部品を備え、インターフェース部品は、患者の左心房、右心房、大動脈、および肺動脈に接続するようにそれぞれ意図される、僧帽弁インターフェース要素と呼ばれるインターフェース要素と、三尖弁インターフェース要素と呼ばれるインターフェース要素と、大動脈インターフェース要素と呼ばれるインターフェース要素と、肺インターフェース要素と呼ばれるインターフェース要素とを備え、インターフェース要素の各々にはオリフィスが設けられ、これらのインターフェース要素は所定の(適切な)配向を有する。
【0012】
したがって、本発明により、さらには以下で指定されるようにこれらのインターフェース要素の適切な配向を有してインターフェース要素のアセンブリを備えるインターフェース部品が設けられた接続装置は、外科医が配置および縫合手術のためにあまり制約されていない環境で作業できるようにすることによって、人工心臓を配置する手術を簡略化および改善できるようにする。
【0013】
以下でも説明されるように、当該接続装置は、以下の点を含む多くの他の利点を提供する。
- 外科医のための人間工学の改良、
- 埋め込まれる部品の数および移植に必要な部品の数の削減、
- 移植時間の短縮。
【0014】
本発明の文脈において、インターフェース部品のインターフェース要素の相対的な配向は、人工心臓の特徴、および人工心臓を受容するのに適した患者の所与の解剖学的構造、特に平均的な解剖学的構造の両方に適合され、人工心臓はこの解剖学的構造を尊重するように設計される。
【0015】
加えて、インターフェース部品のインターフェース要素の相対的な位置(および距離)もまた、人工心臓の特徴、および人工心臓を受容するのに適した患者の所与の解剖学的構造、特に平均的な解剖学的構造の両方に適合される。
【0016】
したがって、有利には、僧帽弁インターフェース要素の配向および三尖弁インターフェース要素の配向は、その間に0°から32°の角度、好ましくは0°から20°の角度を有する。さらに、特定の実施形態では、僧帽弁インターフェース要素および三尖弁インターフェース要素は、インターフェース部品の平板上に配置され、これにより、特に実現を容易にすることを可能にする。
【0017】
加えて、有利には、インターフェース部品は、以下の配向のうちの少なくともいくつかを有する。即ち、
- 大動脈インターフェース要素の配向および僧帽弁インターフェース要素の配向は、その間に0°~90°の間、好ましくは20°~45°の間の角度を有し、
- 大動脈インターフェース要素の配向および三尖弁インターフェース要素の配向は、その間に0°~90°の間、好ましくは20°~45°の間の角度を有し、
- 肺インターフェース要素の配向および僧帽弁インターフェース要素の配向は、その間に26°~64°の間、好ましくは40°~60°の間の角度を有し、
- 肺インターフェース要素の配向および三尖弁インターフェース要素の配向は、その間に31°~73°の間、好ましくは40°~60°の間の角度を有し、
- 大動脈インターフェース要素の配向および肺インターフェース要素の配向は、その間に39°~79°の間、好ましくは55°~70°の間の角度を有する。
【0018】
加えて、有利には、インターフェース部品は、以下の距離のうちの少なくともいくつかを有する。即ち、
- 僧帽弁インターフェース要素のオリフィスの中心と三尖弁インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、42mm~76mmの間、好ましくは45mm~60mmの間であり、
- 僧帽弁インターフェース要素のオリフィスの中心と大動脈インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、37mm~65mmの間、好ましくは40mm~55mmの間であり、
- 僧帽弁インターフェース要素のオリフィスの中心と肺インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、50mm~80mmの間、好ましくは60mm~70mmの間であり、
- 三尖弁インターフェース要素のオリフィスの中心と大動脈インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、34mm~64mmの間、好ましくは35mm~50mmの間であり、
- 三尖弁インターフェース要素のオリフィスの中心と肺インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、59mm~91mmの間、好ましくは70mm~80mmの間であり、
- 大動脈インターフェース要素のオリフィスの中心と肺インターフェース要素のオリフィスの中心との間の距離は、22mm~46mmの間、好ましくは30mm~40mmの間である。
【0019】
好適な実施形態では、インターフェース部品は、以下の材料、すなわちチタンまたはステンレス鋼のうちの1つから作製される。
【0020】
加えて、有利には、大動脈インターフェース要素および肺インターフェース要素は、以下で指定されるように、ネジ留めを可能にするためのネジ山を各々備える。
【0021】
好適な実施形態では、接続装置はまた(以下のものを備える)、
その第1の端部が大動脈に縫合されるように意図され、その第2の端部が、自由に回転するように実装されたリングを備え、大動脈インターフェース要素上にネジ留めされることが可能な、第1の血管導管、および/または
その第1の端部が肺動脈に縫合されるように意図され、その第2の端部が、自由に回転するように実装されたリングを備え、肺インターフェース要素上にネジ留めされることが可能な、第2の血管導管、および/または
左心房に縫合されるように意図され、僧帽弁インターフェース要素上に実装することができるように構成されたコアを備える、第1の縫合カラー、および/または
患者の右心房に縫合されるように意図され、三尖弁インターフェース要素上に実装することができるように構成されたコアを備える、第2の縫合カラー、
も備える。
【0022】
本発明はまた、患者の囲心腔に植え込み可能な人工心臓に関し、当該人工心臓は、患者の自然左心室および右心室のアブレーション後に患者の自然左心室および右心室に置き換わることができる。
【0023】
本発明によれば、人工心臓は、少なくとも左右の人工心室が配置される少なくとも1つの人工補綴体と、人工補綴体に設けられたハウジング内に取り付けることができるように構成された、上述のような接続装置とを備える。
【0024】
有利には、接続装置のインターフェース部品は、人工補綴を接続装置上により配置しやすくするために、人工補綴体の外壁に嵌合されたのど部と協働するセンタリング舌部を備える。
【0025】
ハウジングの適所に配置されると、接続装置は人工補綴体に取り付けられる。本発明の範囲内で、インターフェース部品を人工補綴体に取り外し可能に取り付けるための様々な取り付け手段が考えられる。
【0026】
第1の実施形態では、人工心臓はネジ取り付け手段を備え、第2の実施形態では、人工心臓はクリップ取り付け手段を備える。
【0027】
添付の図面は、本発明がどのように実行され得るかをより明確にする。これらの図では、同一の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】接続装置のインターフェース部品の外面の斜視図である。
図2】接続装置が設けられた人工心臓の一部の概略斜視図である。
図3】インターフェース部品のインターフェース要素の異なる配向および距離の特徴を示す、図1と同様の図である。
図4】部分的に表されている血管導管が設けられた、接続装置のインターフェース部品の内面の斜視図である。
図5】異なる支持平面を示す、図1のインターフェース部品の内面の斜視図である。
図6】接続装置を受容するように意図されるハウジングが設けられた、人工心臓の人工補綴体の一部の概略斜視図である。
図7】接続装置の血管導管の斜視図である。
図8】接続装置の縫合カラーの斜視図である。
図9】ネジ取り付け手段の概略斜視図である。
図10】クリップ取り付け手段の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を示し且つ図1の特定の実施形態に概略的に示される接続装置1は、人工心臓2を患者の血管系(図示せず)に接続するように設計されている。
【0030】
図2に部分的に示されるこの人工心臓2は、患者の胸腔および囲心腔(心膜腔、pericardial cavity)に植え込むことができ、アブレーション後に患者の自然左心室および右心室に置き換わることができる。
【0031】
これを達成するために、人工心臓2は、人工左心室および右心室(図示せず)が患者の自然左心室および右心室に置き換わるように意図される、剛性人工補綴体3を備える。
【0032】
人工心臓2は、その動作に必要な全ての手段を備える。具体的には、これは前述の仏国特許第2784585号明細書および仏国特許第2902345号明細書に示されている特徴の少なくともいくつかを備えてもよい。人工心臓2、および特に、人工補綴体3内に配置された要素は、以下の説明ではさらに記載されない。
【0033】
接続装置1は、人工心臓2を患者の左(自然)心房、右(自然)心房、大動脈(自然)、および肺動脈(自然)に接続するように意図されている。
【0034】
これを行うために、この接続装置1は、本発明によれば、図1に示されるように、人工心臓2の人工補綴体3に取り付けることができるように構成された(単一の)インターフェース部品4を備える。
【0035】
このインターフェース部品4は、剛性のくぼんだ部品である。これは、以下に記載されるように、人工心臓2の配向(性)に追従し、患者の解剖学的構造を尊重する。
【0036】
この目的のために、インターフェース部品4には、(インターフェース部品4の外面28Bを示す)図1に示されるように、4つのインターフェース要素が設けられている。すなわち、
- 人工心臓を患者の左(自然)心房に接続するように意図された、僧帽弁インターフェース要素5と呼ばれるインターフェース要素、
- 人工心臓を患者の右(自然)心房に接続するように意図された、三尖弁インターフェース要素6と呼ばれるインターフェース要素、
- 人工心臓を患者の(自然)大動脈に接続するように意図された、大動脈インターフェース要素7と呼ばれるインターフェース要素、および
- 人工心臓を患者の肺動脈(自然)に接続するように意図された、肺インターフェース要素8と呼ばれるインターフェース要素。
【0037】
結果として、単一のインターフェース部品4は、人工心臓2の人工左心室および右心室にアクセスするために、図6の開口部9Aから12Aによって示されるその4つのアクセス(取り入れ用2つと取り出し用2つ)のアセンブリのために人工心臓2との接続を実行することを可能にする。
【0038】
さらに、本発明によれば、インターフェース要素5から8の各々にはオリフィス9から12が設けられ、インターフェース要素5から8のうちの少なくともいくつかは、以下で指定されるように、異なる配向を有する。
【0039】
「配向」(orientation)とは、それぞれインターフェース要素5、6、7、および8のオリフィス9、10、11、および12について軸5A、6A、7A、および8Aによって図3に表されるように、インターフェース要素のオリフィスの軸の方向を意味する。
【0040】
配向はまた、軸5A、6A、7A、および8Aに直交する、以下で指定されるインターフェース平面または支持平面P1、P2、P3、およびP4によって定義することもできる。
【0041】
インターフェース要素5から8の配向は、特に人工心臓2の配置を簡略化するために、人工心臓2の技術的特徴、および潜在的な患者の平均的な解剖学的構造の両方に適合される。
【0042】
特に図3に示される特定の実施形態では、僧帽弁インターフェース要素5および三尖弁インターフェース要素6は同じ配向を有する。軸5Aおよび6Aは平行である。加えて、僧帽弁インターフェース要素5および三尖弁インターフェース要素6は、患者の心耳平面内に配置されるところの、インターフェース部品4の単一且つ同一の平板13内に形成される。
【0043】
しかしながら、本発明の文脈では、僧帽弁インターフェース要素5の配向5Aおよび三尖弁インターフェース要素6の配向6Aは、その間に非ゼロ角度を有し得る。より一般的には、これらはその間に0°~32°の間、好ましくは0°~20°の間の角度を有することができる。
【0044】
加えて、大動脈インターフェース要素7の配向7Aおよび僧帽弁インターフェース要素5の配向5Aは、その間に0°~90°の間、好ましくは20°~45°の間の角度を有する。
【0045】
同様に、大動脈インターフェース要素7の配向7Aおよび三尖弁インターフェース要素6の配向6Aは、その間に0°~90°の間、好ましくは20°~45°の間の角度を有する。
【0046】
加えて、肺インターフェース要素8の配向8Aおよび僧帽弁インターフェース要素5の配向5Aは、その間に26°~64°の間、好ましくは40°~60°の間の角度を有する。
【0047】
同様に、肺インターフェース要素8の配向8Aおよび三尖弁インターフェース要素6の配向6Aは、その間に31°~73°の間、好ましくは40°~60°の間の角度を有する。
【0048】
さらに、大動脈インターフェース要素7の配向7Aおよび肺インターフェース要素8の配向8Aは、その間に39°~79°の間、好ましくは55°~70°の間の角度を有する。
【0049】
オリフィス(またはインターフェース平面)の配向は、人工心臓2の設計によって定められ、患者の生体情報から導出される。
【0050】
さらに、実例として、図3に示される特定の例において、インターフェース部品4の様々なオリフィス9から12の中心5Bから8Bの間には、以下の距離を提供することができる。すなわち、
- 僧帽弁インターフェース要素5のオリフィス9の中心5Bと三尖弁インターフェース要素6のオリフィス10の中心6Bとの間の距離について、42mm~76mmの間、好ましくは45mm~60mmの間、
- 僧帽弁インターフェース要素5のオリフィス9の中心5Bと大動脈インターフェース要素7のオリフィス11の中心7Bとの間の距離について、37mm~65mmの間、好ましくは40mm~55mmの間、
- 僧帽弁インターフェース要素5のオリフィス9の中心5Bと肺インターフェース要素8のオリフィス12の中心8Bとの間の距離について、50mm~80mmの間、好ましくは60mm~70mmの間、
- 三尖弁インターフェース要素6のオリフィス10の中心6Bと大動脈インターフェース要素7のオリフィス11の中心7Bとの間の距離について、34mm~64mmの間、好ましくは35mm~50mmの間、
- 三尖弁インターフェース要素6のオリフィス10の中心6Bと肺インターフェース要素8のオリフィス12の中心8Bとの間の距離について、59mm~91mmの間、好ましくは70mm~80mmの間、および
- 大動脈インターフェース要素7のオリフィス11の中心7Bと肺インターフェース要素8のオリフィス12の中心8Bとの間の距離について、22mm~46mmの間、好ましくは30mm~40mmの間。
【0051】
好適な実施形態では、インターフェース部品4のインターフェース要素5から8の間の距離および角度は、患者のスキャンに基づいて定義される。各患者は特定の生理学的および解剖学的特性を有するため、任意の間隔は、患者の血管系と接続装置1との間を接続する、以下に記載される可撓性部品(縫合カラーおよび血管導管)によって補償される。
【0052】
特定の実施形態では、インターフェース部品4のサイズは、平面図において、長さ12センチメートル、幅9センチメートルの長方形に内接することができるようになっている。
【0053】
インターフェース部品4を製造するために使用される材料は、取り付け力に耐えられるほど十分に剛性でなければならない。具体的には、ステンレス鋼316Lなどの金属材料を使用することができる。
【0054】
好適な実施形態では、インターフェース部品4はチタンでできている。チタンは、質量および機械的強度に関して有利な特性を有する生体適合性材料である。このようにして、軽量でありながら、血管導管(以下に特定)および人工心臓2の取り付けの力に耐えられるほど十分に強いインターフェース部品4を製造することが可能である。人工心臓2が適所に配置されると、結果的な応力(ストレス)は制限される。
【0055】
良好な機械的特性および優れた生体適合性を有し、ステンレス鋼よりも低い密度を有する純粋なチタンT40が優先される(接続装置1の質量は、患者のために制限される必要がある)。
【0056】
好適な実施形態では、接続装置1は、図4に示されるように、インターフェース部品4の大動脈インターフェース要素7と協働する血管導管14Aと、インターフェース部品4の肺インターフェース要素8と協働する血管導管14Bとを備える。
【0057】
好ましくは、血管導管14Aおよび14Bは同様に作製される。
【0058】
図7に示される好適な実施形態では、血管導管14Aは、長手方向軸X-Xの布製の管状要素15Aを備え、大動脈(図示せず)に縫合されるように意図された第1の端部16Aと、緩みリング18Aと呼ばれるリングを備えた、すなわち自由に回転するように実装された第2の端部17Aとを有する。血管導管14Aは、この緩みリング18Aによって、大動脈インターフェース要素7上にネジ留めされるように意図されている。この緩みリング18Aにより、ネジ留め作業中にその(正確な)位置を維持しながら、血管導管14Aを大動脈インターフェース要素7上にネジ留めすることができる。大動脈インターフェース要素7は、(雄ネジ19Aが設けられた)リング18Aをネジ留めして血管導管14Aの端部17Aをインターフェース部品4に接続することを可能にするために、図1に示されるように雌ネジ20Aを備える。
【0059】
同様に、血管導管14Bは、長手方向軸X-Xの布製の管状要素15Bを備え、図7に示されるように、肺動脈(図示せず)に縫合されるように意図された第1の端部16Bと、緩みリング18Bと呼ばれるリングを備えた、すなわち自由に回転できるように実装された第2の端部17Bとを有する。血管導管14Bは、この緩みリング18Bによって、肺インターフェース要素8上にネジ留めされるように意図されている。この緩みリング18Bにより、ネジ留め作業中にその(正確な)位置を維持しながら、血管導管14Bを肺インターフェース要素8上にネジ留めすることができる。肺インターフェース要素8は、(雄ネジ19Bが設けられた)リング18Bをネジ留めして血管導管14Bの端部17Bをインターフェース部品4に接続することを可能にするために、図1に示されるように雌ネジ20Bを備える。
【0060】
好適な実施形態では、リング18A、18Bはチタンでできている。これは、図7に概略的に示される縫合糸21A、21Bを介して、血管導管14A、14Bの管状要素15A、15Bに縫合される。したがって、好ましくは、血管導管14Aおよび14Bのために、接続装置1に適合されたネジ取り付けシステムが設けられる。しかしながら、本発明の範囲内で、ネジ取り付け以外の取り付けシステムもまた想定され得る。
【0061】
移植の際、血管導管14A、14Bの管状布要素15A、15Bは、接続装置1を患者の大動脈または肺動脈に接続することができるように、(長手方向軸X-Xに沿って)適切な長さに切断される。組織が柔軟なときには、外科医は、その配向に適合して「引きつり」現象(“kink” phenomenon)を回避するための縫合技術を使用することもできる。
【0062】
接続装置1はまた、患者の左心房に縫合されるように意図された縫合カラー22Aと、患者の右心房に縫合されるように意図された縫合カラー22Bとを備える。
【0063】
好ましくは、縫合カラー22A、22Bは同様に作製される。
【0064】
縫合カラー22A、22Bの各々は、図8に示されるように、好ましくはシリコーン製のコア23A、23Bを備え、これは僧帽弁インターフェース要素または三尖弁インターフェース要素上に収まるように構成されている。より具体的には、縫合カラー22A、22Bが配置されると、コア23A、23Bは、人工心臓2とインターフェース部品4との間にクランプされる。この目的のために、コア23Aは、オリフィス9の周りで、インターフェース部品4の内面28A上に設けられた、図5に示される支持平面P1上に支持される。同様に、コア23Bは、オリフィス10の周りで、やはりインターフェース部品4の内面28A上に設けられた支持平面P2上に支持される。
【0065】
縫合カラー22A、22Bの各々は、シリコーンコア23A、23Bに加えて、患者(心房)の組織に縫合されるように意図された接合面24A、24Bを備える。
【0066】
したがって、縫合カラー22A、22Bは、僧帽弁インターフェース要素および三尖弁インターフェース要素を介して、患者の心房(左および右)を人工心臓2の入力要素に接続するために使用される。
【0067】
上述のように、接続装置1は、図6に示されるように人工心臓2の人工補綴体3に設けられたハウジング26に設置することができるように構成されている。ハウジング26の形状は、インターフェース部品4の内面28A(図5)の形状に適合され、これと相補的である。特に、僧帽弁インターフェース要素5および三尖弁インターフェース要素6の支承面P3およびP4は、それぞれハウジング26の対応する領域と接触する。図6に示されるように、人工補綴体3は、インターフェース部品4が人工補綴体3上の適所に配置されたときに、インターフェース部品4のオリフィス9、10、11、および12にそれぞれ対向して配置されるように意図される開口部9A、10A、11A、および12Aを備える。
【0068】
嵌合および保持をより容易にするために接続装置1のインターフェース部品4は、長手方向のセンタリング舌部27を備える。図4および図5に示されるように、このセンタリング舌部27は、平板13の一端で、インターフェース部品4の平板13の内部表面28Aから突出する。このセンタリング舌部27は、ハウジング26のレベル(高さ)で、人工心臓2の人工補綴体3の外壁30にフィットした長尺な喉部29(elongated gorge)(図6)に挿入されるように設計されている。
【0069】
本発明の文脈において、接続装置1は、図2に示されるように、ハウジング26に配置された後、様々な方法で人工心臓2に取り付けることができる。
【0070】
第1の実施形態では、人工心臓2は、インターフェース部品4を人工補綴体3に(ネジ留めによって)取り外し可能に取り付けるためのネジ取り付け手段31を備える。
これらの取り付け手段31は、図9に示されるように、以下のものを備える。
- ピン33が設けられた、インターフェース部品4に固定される脚部32、
(このピン33は、その端部の一方に、脚部32に設けられた座部に移動可能に実装されるヘッド34を備え、他方の(自由)端部に、ナット36を受容するように意図されるネジ山35が設けられている。)および、
- ピン33の自由端と協働するように意図される、人工補綴体3に固定された支持板37。
【0071】
接続装置1が人工補綴体3上に配置されると、ピン33は人工補綴体3上に折り返され、一体型ナット36は、接続装置1を係止するために、支持板37に対してこれを保持するためにネジ留めされる。安全アンカー38は、望ましくないネジの緩みを防止するために配置することができる。人工心臓2が植え込まれると、ネジ留めされるように意図された領域が見え、外科医によって容易にアクセス可能である。
【0072】
加えて、第2の実施形態では、人工心臓2は、インターフェース部品4を人工補綴体3に(クリップ留めによって)取り外し可能に取り付けるためのクリップ取り付け手段39を備える。これらの取り付け手段39は、図10に示されるように、人工心臓2に一体化されたピン40(または人工補綴体3上のゆとり)と、インターフェース部品4に固定された取り付け脚部41とを備える。この取り付け脚部41は、その自由端にフック42が設けられ、フック42を介してわずかな力でピン40に引っかかることができ、力が解放されると係止され得るように、わずかに変形可能である。
【0073】
上述のような、インターフェース部品4は、以下の有利な特徴を有する。即ち、
- 生体適合性であり、
- 長期間にわたって植え込むこと(インプラント)ができ、
- 洗浄することができ、滅菌に適しており、
- 人工心臓2との封止を保証し、および
- 人間工学的な高速取り付けモード(体外循環の持続時間を短縮することができる)が設けられている。
【0074】
したがって、インターフェース部品4は、
- 一方では、(縫合カラー22Aおよび22Bの縫合を用いて)予め準備された心房(右および左)に、ならびに動脈(大動脈および肺動脈)に縫合された血管導管14Aおよび14Bに、
- 反対側では、組織と接触している表面を完成させるために、接続装置1が嵌合するハウジング26が設けられた人工心臓2に直接的に、
接続されるように意図されている。
【0075】
接続装置1および人工心臓2の配置に関連する主なステップは、以下に記載される。
【0076】
患者の左心室および右心室のアブレーション後、縫合カラー22Aおよび22Bが、患者の左心房および右心房に縫合される。次いで、インターフェース部品4が心房に配置される。心耳平面は、(そのインターフェース要素が上記で指定された適切な距離および配向を有する)インターフェース部品4を動脈に対して正確に配置することを可能にする、比較的剛性の基準平面を形成する。
【0077】
インターフェース部品4が心房に配置されると、血管導管14Aおよび14Bの配向、ならびにこれらの血管導管14Aおよび14Bを適切な長さに切断するための距離が自然に定義される。インターフェース部品4が迅速な取り付けのために人工心臓2に適合されているので、人工心臓2の配向はすでに尊重されており、縫合糸は、人工心臓2が配置されるときに応力を受けない。
【0078】
次いで、血管導管14Aおよび14Bの各々が、適切な長さに切断される。
【0079】
血管導管14Aおよび14Bの各々は、血管導管14A、14Bに一体化されたリング18A、18Bの助けを借りて、その端部17A、17Bを介してインターフェース部品4の対応するインターフェース要素7、8にネジ留めされ、その他方の端部16A、16Bを介して対応する動脈(大動脈、肺動脈)に縫合される。
【0080】
したがって、血管導管14Aおよび14Bは、人工補綴体3の不在下で配置され、これにより、外科医の作業を容易にする。さらに、1人の外科医のみでこれらの手術を行うことができる。
【0081】
縫合が行われて接続装置1が配置されると、人工心臓2は接続装置1に実装され、接続装置1に取り付けられる。実装のために、インターフェース部品4は、人工補綴体の外壁30にこの目的のために設けられたハウジング26に配置される。取り付けのために、上述のように、取り付け手段のために選択された実施形態に応じて、ネジ留めまたはクリップ留めが行われる。
【0082】
これにより、人工心臓2を、以下(に列挙すること)を介して患者の解剖学的構造を尊重するインターフェース部品4(剛性)に取り付けることが可能になる。即ち、
- 心房間の平均間隔を尊重すること、
- 血管導管を適切な長さに切断すること、
- 血管導管の平均配向を尊重すること、および
- 優先すべき補強領域に応じて縫合を実行すること(「引きつり」現象を制限できるようにすること)。
【0083】
したがって、インターフェース部品4は、人工心臓2が配置される前に患者が人間工学的に準備されることを可能にする。時間を節約することに加えて、この解決策は、接続装置1がこの必要性をすでに満たしているので、血管導管14Aおよび14Bを配置するために移植補助具を使用する必要性を排除する。結果として、より少ない部品を供給すればよく、したがって手術室内でより少ない部品が使用され、これもまたコスト削減をもたらす。したがって、インターフェース部品4は、移植補助具、および植え込まれた人工心臓2の要素の両方の役割を果たす。
【0084】
したがって、上述のような接続装置1および人工心臓2は、多くの利点を有する。とりわけ、これらは以下の事項を得ることを可能にする。即ち、
- 外科医のための人間工学の改良、
- 植え込まれる部品の数の削減(特にステープルが不要)、
- 移植に必要な部品(または補助具)の数の削減、および
- 移植時間の短縮。
【符号の説明】
【0085】
1 接続装置
2 人工心臓
3 人工補綴体
4 インターフェース部品
5 僧帽弁インターフェース要素
6 三尖弁インターフェース要素
7 大動脈インターフェース要素
8 肺インターフェース要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】