(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】抗頻拍ペーシングのためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20240313BHJP
A61N 1/39 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61N1/362
A61N1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561230
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 IB2022053105
(87)【国際公開番号】W WO2022214934
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520490624
【氏名又は名称】インパルス ダイナミクス エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】IMPULSE DYNAMICS NV
【住所又は居所原語表記】Schottegatweg Oost 10, Unit A1K, Willemstad, Curacao, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン デイビッド タミール
(72)【発明者】
【氏名】プラッチ デビッド
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ03
4C053JJ05
4C053JJ23
4C053KK02
(57)【要約】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、植え込み式心臓デバイスの少なくとも1つの電極を心臓内の位置に配置することと、頻拍エピソードを検出することと、少なくとも1つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することであって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および7.5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、送達することと、を含む、方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓内組織に接触するように構成された少なくとも1つのリード電極と、
前記少なくとも1つのリード電極を制御し、活性化するための回路を含むハウジングと、
前記少なくとも1つのリード電極によって送達されることになる抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成されたパルス発生器であって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、パルス発生器と、
を備える、植え込み型心臓デバイス。
【請求項2】
前記心臓内組織は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも2つの異なる心臓内の位置に配置されるように構成された少なくとも2つのリード電極を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は右心室内にある、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は心室中隔に沿っている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は、右心室および左心室を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回路は、頻拍エピソードを検出するように構成されており、前記パルス発生器は、検出された頻拍エピソードが前記抗頻拍ペーシングパルスの送達後に継続する場合、除細動パルスを送達するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記回路は、前記少なくとも1つのリード電極を介してR-R間隔を測定することによって前記頻拍エピソードを検出するように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記回路は、180~250BPMの間の心拍数の測定時に、前記頻拍エピソードを検出するように構成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記抗頻拍ペーシングパルスが二相パルスである、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記パルス発生器は、前記少なくとも2つのリード電極を介して送達されることになる同期された抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項12】
前記パルス発生器は、前記抗頻拍ペーシングパルスを同時に生成するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記パルス発生器は、前記2つのリード電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、前記少なくとも2つのリード電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、前記同期された抗頻拍ペーシングパルスの間に時間遅延を伴って、それらのパルスを生成するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に前記少なくとも2つの異なる心臓位置で前記少なくとも2つの電極を介して測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記回路は、複数の抗頻拍ペーシングパルスシーケンスを記憶するメモリと、選択された抗頻拍ペーシングパルスシーケンスの送達を実行するように構成されたコントローラとを備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記心臓デバイスが、
正常洞調律中に、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅を有する心収縮性変調刺激を送達することと、
除細動ショックを送達することと、
のうちの1つまたは複数のためにさらに構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記パルス発生器は、5~10ミリ秒の間から選択された異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される、請求項1~16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
前記植え込み式心臓デバイスの少なくとも1つの電極を心臓内の位置に配置することと、
頻拍エピソードを検出することと、
前記少なくとも1つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することであって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項19】
前記心臓内の位置は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの異なる心臓内の位置に少なくとも2つの電極を配置することを含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの電極を右心室内の2つの異なる位置に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つの電極を心室中隔に沿った2つの異なる位置に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの電極を右心室に、少なくとも1つの電極を左心室に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記抗頻拍ペーシングパルスの送達後に前記頻拍エピソードが継続する場合、除細動パルスを送達することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記検出することは、前記植え込み式心臓デバイスの前記少なくとも1つの電極を介してR-R間隔を測定することによって行われる、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗頻拍パルスは二相パルスである、請求項18~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記送達することは、同期した抗頻拍ペーシングパルスを前記少なくとも2つの電極を介して送達することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記送達することは、前記抗頻拍ペーシングパルスを前記少なくとも2つの電極を介して同時に送達することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記送達することは、前記2つの電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、前記2つの電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、時間遅延を伴って前記抗頻拍ペーシングパルスを送達することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に前記少なくとも2つの異なる心臓位置で前記少なくとも2つの電極によって測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記検出することは、180~250BPMの間の心拍数を測定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを組み合わせたパルスシーケンスを送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項33】
パルス持続時間が0.1~10ミリ秒である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗頻拍ペーシングパルスは、広ペーシングパルスおよび狭ペーシングパルスを含み、広ペーシングパルスは2~10ミリ秒の間の持続時間を有し、狭ペーシングパルスは0.1~5ミリ秒の間の持続時間を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記送達することは、複数の狭ペーシングパルスと、その後に続く複数の前記広ペーシングパルスとを送達することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記送達することは、パルスの対を含むシーケンスを送達することを含み、各対では、狭ペーシングパルスの後に広ペーシングパルスが続き、前記狭ペーシングパルスと前記広ペーシングパルスとが同じ心周期内で送達される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記広ペーシングパルスは、前記狭パルスによって引き起こされる不応期中に送達される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記送達することは、持続時間が徐々に増加するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%長い、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記送達することは、持続時間が徐々に減少するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%短い、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
少なくとも2つの異なる心臓内の位置の組織に接触して配置された少なくとも2つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項43】
正常な心機能中に、前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置におけるR波発生の間の時間差を測定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記2つの異なる心臓内の位置に送達されるペーシングパルスの間の時間間隔は、前記測定された時間差に従って設定される、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年4月6日に出願された米国仮特許出願第63/171,097号の優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容を参照により全体として本明細書に完全に記載されているかのように援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、抗頻拍(ATP)ペーシングに関し、より詳細には、ただし排他的ではないが、不整脈を効果的に停止させるために選択された振幅および/または持続時間を有するATPパルスの送達に関する。
【0003】
特許第JP2016517771A号は、「心室頻拍(VT)及び心室細動(VF)などの悪性頻拍性不整脈を治療する胸骨下電気刺激療法を提供するための胸骨下植え込み型除細動器(ICD)システム及び方法が記載されている。一実施形態では、植え込み型除細動器(ICD)システムは、患者に植え込まれるICDと、植え込み型医用電気リードと、を備えている。リードは、近位端及び遠位部分を有する細長リード本体と、ICDへ連結するように構成されているリード本体の近位端のコネクタと、細長リード本体の遠位部分に沿った1つまたは複数の電極と、を含んでいる。リードの細長リード本体の遠位部分は実質的に患者の前縦隔内に植え込まれ、ICDは電気刺激を患者の心臓へ1つまたは複数の電極を使用して送達するように構成されている」と開示している。
【0004】
特許第US9031648B2号は、「一態様によれば、患者の心臓の状態を治療し、心臓の動きを監視するために、様々な方法および装置が使用される。これと一致する1つのアプローチでは、心臓の右心室に電極配置が取り付けられる。この電極配置は、それぞれの電極上に反対の極性を有する第1の信号成分および第2の信号成分を提供することにより、心筋を捕捉して左心室および右心室を再同期するために使用される。この電極配置は、心房のペーシング/感知、心室のペーシング/感知の機能を備え、心臓の右側から除細動療法を送達する植え込み型CRMデバイスに接続されている。CRMデバイスは心室収縮を捕捉して、1つまたは複数の心室の伝導異常を治療する」と開示している。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態の態様によれば、植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
植え込み式心臓デバイスの少なくとも1つの電極を心臓内の位置に配置することと、
頻拍エピソードを検出することと、
少なくとも1つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することであって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、送達することと、
を含む方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、心臓内の位置は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである。
【0007】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも2つの異なる心臓内の位置に少なくとも2つの電極を配置することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも2つの電極を右心室内の2つの異なる位置に配置することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも2つの電極を心室中隔に沿った2つの異なる位置に配置することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1つの電極を右心室に、少なくとも1つの電極を左心室に配置することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、抗頻拍ペーシングパルスの送達後に頻拍エピソードが継続する場合、除細動パルスを送達することをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、検出することは、植え込み式心臓デバイスの少なくとも1つの電極を介してR-R間隔を測定することによって行われる。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗頻拍パルスは二相パルスである。
【0014】
いくつかの実施形態では、送達することは、同期した抗頻拍ペーシングパルスを少なくとも2つの電極を介して送達することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、送達することは、抗頻拍ペーシングパルスを少なくとも2つの電極を介して同時に送達することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、送達することは、2つの電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、2つの電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、時間遅延を伴って抗頻拍ペーシングパルスを送達することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に少なくとも2つの異なる心臓位置で少なくとも2つの電極によって測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、検出することは、180~250BPMの間の心拍数を測定することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態の態様によれば、
心臓内組織に接触するように構成された少なくとも1つのリード電極と、
少なくとも1つのリード電極を制御し、活性化するための回路を含むハウジングと、
少なくとも1つのリード電極によって送達されることになる抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成されたパルス発生器であって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、パルス発生器と、
を備える植え込み型心臓デバイスが提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、回路は、複数の抗頻拍ペーシングパルスシーケンスを記憶するメモリと、選択された抗頻拍ペーシングパルスシーケンスの送達を実行するように構成されたコントローラとを備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、心臓デバイスは、
正常洞調律中に、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅を有する心収縮性変調刺激を送達することと、
除細動ショックを送達することと、
のうちの1つまたは複数のためにさらに構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、心臓デバイスは、心臓内組織に接触するように構成された少なくとも2つのリード電極を備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、心臓内組織は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである。
【0024】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、少なくとも2つの異なる心臓内の位置に配置されるように構成された少なくとも2つのリード電極を備える。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる心臓内の位置は右心室内にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる心臓内の位置は心室中隔に沿っている。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる心臓内の位置は、右心室および左心室を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、回路は、頻拍エピソードを検出するように構成されており、パルス発生器は、検出された頻拍エピソードが抗頻拍ペーシングパルスの送達後に継続する場合、除細動パルスを送達するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、回路は、少なくとも1つのリード電極を介してR-R間隔を測定することによって頻拍エピソードを検出するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、回路は、180~250BPMの間の心拍数の測定時に、頻拍エピソードを検出するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、抗頻拍ペーシングパルスは二相パルスである。
【0032】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、少なくとも2つのリード電極を介して送達されることになる同期された抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、抗頻拍ペーシングパルスを同時に生成するように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、2つのリード電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、少なくとも2つのリード電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、同期された抗頻拍ペーシングパルスの間に時間遅延を伴って、それらのパルスを生成するように構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に少なくとも2つの異なる心臓位置で少なくとも2つの電極を介して測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、5~10ミリ秒の間から選択された異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態の態様によれば、植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを組み合わせたパルスシーケンスを送達することと、
を含む方法が提供される。
【0038】
いくつかの実施形態では、パルス持続時間は0.1~10ミリ秒である。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗頻拍ペーシングパルスは、広ペーシングパルスおよび狭ペーシングパルスを含み、広ペーシングパルスは2~10ミリ秒の間の持続時間を有し、狭ペーシングパルスは0.1~5ミリ秒の間の持続時間を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、送達することは、複数の狭ペーシングパルスと、その後に続く複数の広ペーシングパルスとを送達することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、送達することは、パルスの対を含むシーケンスを送達することを含み、各対では、狭ペーシングパルスの後に広ペーシングパルスが続き、狭ペーシングパルスと広ペーシングパルスとが同じ心周期内で送達される。
【0042】
いくつかの実施形態では、広ペーシングパルスは、狭パルスによって引き起こされる不応期中に送達される。
【0043】
いくつかの実施形態では、送達することは、持続時間が徐々に増加するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%長い。
【0045】
いくつかの実施形態では、送達することは、持続時間が徐々に減少するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%短い。
【0047】
いくつかの実施形態の態様によれば、植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
少なくとも2つの異なる心臓内の位置の組織に接触して配置された少なくとも2つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することと、
を含む方法が提供される。
【0048】
いくつかの実施形態では、この方法は、正常な心機能中に、少なくとも2つの異なる心臓内の位置におけるR波発生の間の時間差を測定することをさらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、2つの異なる心臓内の位置に送達されるペーシングパルスの間の時間間隔は、測定された時間差に従って設定される。
【0050】
別段の定義の無い限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実践または試験には、本明細書に記載したものと類似または同等の方法及び材料を用いることができるが、例示的な方法及び/または材料を以下に記載する。矛盾する場合には、定義を含めて、特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。
【0051】
本発明の実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行または完了することを含み得る。さらに、本発明の方法及び/またはシステムの実施形態の実際の計装及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、またはそれらの組み合わせによって、オペレーティングシステムを使用して実施することができる。
【0052】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを格納するための揮発性メモリ、及び/または命令及び/またはデータを格納するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/またはリムーバブルメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も設けられる。ディスプレイ、及び/またはキーボードまたはマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。ここで図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本発明の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることを強調しておく。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】A~Cは、いくつかの実施形態による、植え込み型心臓デバイスの3つの例示的な構成を示す概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、植え込み型心臓デバイスの構成要素のブロック図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、心臓組織への抗頻拍ペーシングパルスの潜在的効果を概略的に示す。
【
図3C】いくつかの実施形態による、心室頻拍状態の2つの例における心臓組織へのATPパルスの効果範囲を概略的に示す。
【
図3D】いくつかの実施形態による、心室頻拍状態の2つの例における心臓組織へのATPパルスの効果範囲を概略的に示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、頻拍を治療するための強化されたペーシングパルスを1つまたは複数の心臓内電極を介して送達するための一般的な方法のフローチャートである。
【
図5】いくつかの実施形態による、少なくとも2つの異なる心臓位置に同期ペーシングパルスを送達することによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、少なくとも2つの異なる心臓位置に送達される抗頻拍ペーシングのタイミングを、その2つの位置におけるR波発生の測定された時間間隔に従って調節するための方法のフローチャートである。
【
図7】少なくとも2つの異なる心臓位置に、その2つの位置におけるR波発生の時間間隔に従ってタイミングが調節されたペーシングパルスを送達することによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、頻拍を治療するために広ペーシングパルスと狭ペーシングパルスとを組み合わせたパルスシーケンスを送達する方法のフローチャートである。
【
図9】いくつかの実施形態による、広ペーシングパルス及び狭ペーシングパルスの第1の例示的な組み合わせによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、広ペーシングパルス及び狭ペーシングパルスの第2の例示的な組み合わせによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、広ペーシングパルス及び狭ペーシングパルスの第3の例示的な組み合わせによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、広ペーシングパルス及び狭ペーシングパルスの第4の例示的な組み合わせによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、抗頻拍(ATP)ペーシングに関し、より詳細には、ただし排他的ではないが、不整脈を効果的に停止させるために選択された振幅および/または持続時間を有するATPパルスの送達に関する。
【0056】
いくつかの実施形態の広範な態様は、心臓内に送達されるペーシングパルスが比較的高出力および/または長期間である抗頻拍ペーシングに関する。いくつかの実施形態では、ATPパルスパラメータ(パルス振幅、パルス持続時間、印加頻度、印加タイミング、シーケンス内のパルス数および/または他のパラメータなど)は、頻拍性不整脈を中断し、自然的リズムを無効にするように選択される。いくつかの実施形態では、ATPパルスパラメータは、例えば、より弱いおよび/またはより短いパルスによって影響を受ける組織領域と比較して、心臓組織の比較的広い領域に影響を与えるように選択される。任意選択で、ATPパルスは、例えば、より弱いおよび/またはより短いパルスによって捕捉される心筋細胞の数と比較して、より多くの心筋細胞を捕捉するように設定される。
【0057】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、それぞれ、例えば、7~10V、5~10V、3~8Vの間の振幅、または中間の振幅、より高いもしくはより低い振幅、および/または5~10ミリ秒、2~10ミリ秒、7~12ミリ秒の間の持続時間、または中間の持続時間、より長いもしくはより短い持続時間を有する。いくつかの実施形態では、パルス振幅の上限閾値は、高すぎる電圧によって引き起こされる可能性のある組織への損傷の危険を冒すことなく、それでも心臓組織自体(心臓内組織)への信号の送達を可能にするように、十分に低く選択される。ATPパルス振幅の上限閾値の例としては、10V、9V、11V、または中間の電圧、より高いもしくはより低い電圧が含まれ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは二相パルスである。いくつかの実施形態では、複数のATPパルスが、例えば、後続のパルスの間に150ミリ秒~400ミリ秒の間の時間間隔で連続的に送達される。
【0059】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、心臓内組織に接触する複数のリード電極(例えば、1、2、3、4、5、6、8の電極数、または中間の電極数、より多いもしくはより少ない電極数)を介して送達される。任意選択で、電極は心臓の内壁に接触し、例えば心筋組織と導電的に接触して取り付けられる。
【0060】
例えば本明細書に記載されるようなパラメータを用いて心臓に送達される抗頻拍ペーシングの潜在的な利点には、(例えば、より弱いおよび/またはより短いパルスの使用と比較して)より速くおよび/またはより少ない数量のパルスで不整脈を中断することが含まれ得る。より強いおよび/またはより長いパルスの別の潜在的な利点には、例えば、より長いおよび/またはより強い信号は、信号の伝導が遅くなり得るか、または信号が別の伝導経路を通過することになる損傷組織領域に隣接する心筋細胞を捕捉するのに効果的である可能性があるため、興奮性信号の伝導の改善が含まれ得る。
【0061】
いくつかの実施形態の態様は、少なくとも2つの異なる心臓内の位置にATPパルスを送達することに関する。いくつかの実施形態では、ATPパルスは、植え込み型デバイスの2つ以上の電極を介して送達され、各電極は異なる心臓組織部位に接触する。電極は、例えば、右心室内の2つの位置に配置される、心室中隔に沿った2つの位置に配置される、1つの電極が中隔に配置され、1つの電極が右心室または左心室内に配置される、1つの電極が右心室に配置され、1つの電極が左心室に配置される、および/または他の位置に配置される。
【0062】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電極を介して送達されるATPパルスシーケンスは同期される。あるいは、ATPパルスシーケンスは、各位置に送達されるパルスの間に事前定義された遅延を伴って送達される。いくつかの実施形態では、遅延は、任意選択で2つの電極によって測定される、2つの位置でのR波の発生の間の時間差に従って調節される。
【0063】
いくつかの実施形態の態様は、異なる持続時間のパルスを組み合わせるATPパルスシーケンスに関する。
【0064】
いくつかの実施形態では、パルスシーケンスは、広ペーシングパルス(例えば、5~10ミリ秒の間の持続時間を有する)と狭ペーシングパルス(例えば、0.1~2ミリ秒の間の持続時間を有する)とを組み合わせる。いくつかの実施形態では、複数の狭パルスの後に複数の広パルスが続く。いくつかの実施形態では、広パルスおよび狭パルスの対が送達され、各対は、例えば、狭パルスとその後に続く広パルスとを含み、任意選択で狭パルスによって引き起こされる不応期中に送達される。
【0065】
いくつかの実施形態では、シーケンスのパルスの持続時間は徐々に増加し、例えば、各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、または中間のパーセンテージ、より大きいもしくはより小さいパーセンテージだけ長い。あるいは、いくつかの実施形態では、シーケンスのパルスの持続時間は徐々に減少し、例えば、各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、または中間のパーセンテージ、より大きいもしくはより小さいパーセンテージだけ短い。
【0066】
いくつかの実施形態の態様は、例えば本明細書に記載されるようなパラメータ(例えば、振幅、持続時間、周波数)を有するATPパルスを送達するように構成された植え込み型心臓デバイスに関する。いくつかの実施形態では、本デバイスには、比較的強いATPパルスを生成するのに適した電力供給手段(例えば、バッテリ)および回路が設けられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、例えばデバイスの1つまたは複数のリード電極(信号も送達する)および/またはデバイスの1つまたは複数のセンサを介して、心臓発作および/または心周期特性を検出するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、測定または推定された心拍数が180BPMを超える、200BPMを超える、230BPMを超える、または中間の閾値を超える、より高いもしくはより低い閾値を超える場合に、頻拍エピソードが(例えば、デバイスの電極によって)検出される。これに応答して、頻拍エピソードを治療するためにATPパルスが送達される。
【0069】
いくつかの実施形態では、デバイスは心臓の外側、例えば鎖骨下領域に植え込まれ、デバイスの1つまたは複数のリードが心臓内に延在し、そこでリードの電極(複数可)が心臓組織と接触して取り付けられる。加えて、または代わりに、いくつかの実施形態では、デバイスの1つまたは複数のリードが心臓の外側に配置され、例えば、電極が心膜空間内に設置される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、複数の信号タイプを送達するように構成された複合機能デバイスである。いくつかの実施形態では、本デバイスは、ATPパルス、両心室ペーシングパルス、心収縮性刺激、除細動ショックのうちの1つまたは複数を生成して送達するように構成される。異なる信号タイプは、振幅、持続時間、心周期に対する信号のタイミング、周波数、必要な刺激の数などにおいて互いに異なる場合がある。
【0071】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される、及び/または図面及び/または実施例に示される構成要素及び/または方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0072】
ここで図面を参照すると、
図1A~
図1Cは、いくつかの実施形態による、植え込み型心臓デバイスの3つの例示的な構成を示す概略図である。
【0073】
図1Aを参照すると、いくつかの実施形態では、植え込み型デバイス101はパルス発生器103を備える。いくつかの実施形態では、パルス発生器103は、例えば、電力供給手段(例えばバッテリ)、電気パルスをタイミング調節して生成するように構成された制御回路(例えばコントローラ)、感知回路、通信回路、メモリ手段、および/または他の動作モジュールを包み込むハウジング109を備える。
【0074】
いくつかの実施形態では、105、107などの1つまたは複数の刺激リードが、パルス発生器に動作可能に接続され、ハウジングから外部に延びる。いくつかの実施形態では、リードは、ハウジングの複数のポート(図示せず)を介してデバイスハウジングに接続される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリードの活性化の制御は、スイッチ回路、例えばデバイスコントローラのスイッチ回路を介して行われる。
【0075】
いくつかの実施形態では、リードは、外部絶縁層によって囲まれた1つまたは複数の電線を備える。いくつかの実施形態では、リードは、異なる極性を有する2本のワイヤで構成される。いくつかの実施形態では、リードのワイヤはコイル状に巻かれている。
【0076】
いくつかの実施形態では、パルス発生器103は、心臓の外側、例えば鎖骨下領域に植え込まれる。任意選択で、植え込みは低侵襲的処置によって行われる。
【0077】
いくつかの実施形態では、パルス発生器103のハウジングは、例えば左胸の近くの皮下に植え込まれる。
【0078】
いくつかの実施形態では、リード105および107がパルス発生器103から延在し、リードの少なくとも遠位セグメントが心臓111内に植え込まれる。いくつかの実施形態では、図のように、両方のリードが右心房113を通って右心室114に入り、それらの遠位端で心室中隔115に接触する。いくつかの実施形態では、各リードは異なる位置で隔壁に接触する。
【0079】
いくつかの実施形態では、各リードは先端電極(リード107の117、リード105の119を参照)で終わる。先端電極は、接触電極、ねじ込み電極、縫合電極、自由浮遊電極、および/または他のタイプとして構成され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、リードの一方または両方は、リードに沿って先端電極の近位に設置されるリング電極(リード107の121、リード105の123を参照)を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、リング電極および/または先端電極は、心臓の右心室または右心房に植え込まれる。
【0082】
いくつかの実施形態では、先端電極には、組織にねじ込まれるようにねじ山が形成されている。あるいは、先端電極は、組織と接触して単に置かれる。
【0083】
いくつかの実施形態では、リードの一方または両方が除細動コイル(リード107の125を参照)を含む。任意選択で、コイル125は、リードに沿って、先端電極の近位に、および/またはリング電極の近位に設置される。
【0084】
いくつかの実施形態では、コイルは、右心室、右心房、または大静脈に植え込まれる。
【0085】
いくつかの実施形態では、リードの先端電極は、心室中隔の組織に固定される。これにより、組織との接触が改善され、リードの望ましくない動きおよび/またはリードの外れが減少する場合がある。
【0086】
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態では、植え込み型デバイスは、複数の相隔たる電極152(例えば、2、3、4、5、6、8、または中間の数量、より多いもしくはより少ない数量の電極)を含む単一のリード151を備える。任意選択で、リード151は、例えば冠状静脈洞を通って左心室153に導入される。加えて、または代わりに、複数の電極を有する単一のリードが右心室に導入される。
【0087】
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、植え込み型デバイスは、例えば、右心室リード161、163、左心室リード165、および任意選択で、右心房に導入されるリード167を含む複数のリードを備える。
【0088】
1つまたは複数のリードが他の位置に配置され、その結果、異なる効果円および/または異なる組織を標的とすることが可能であることに留意されたい。
【0089】
いくつかの実施形態では、リードが心臓の外側に植え込まれ、1つまたは複数の追加のリードが心臓の内側に植え込まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリード電極が、例えば心周期のR波振幅および/またはRR間隔を測定するためのセンサとして使用される。
【0091】
図2は、いくつかの実施形態による、植え込み型心臓デバイスの構成要素のブロック図である。
【0092】
いくつかの実施形態では、デバイス200は、例えば1つまたは複数のそれぞれのコネクタ(図示せず)を介してデバイス200(デバイスハウジングなど)に任意選択で結合される1つまたは複数のリード216(任意選択で2つのリード)を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、パルス発生器204は、任意選択でコントローラ202からのコマンドに応じて、信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、例えば1つまたは複数のコンデンサを含む電力供給回路を含む。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、バッテリなどの電源を備えるか、またはバッテリなどの電源に動作可能に接続される。
【0094】
いくつかの実施形態では、心室検出器206が提供され、心室頻拍などの非定型心室興奮を検出するために使用される。
【0095】
いくつかの実施形態では、心房検出器208が提供され、心房細動、心房粗動などの非定型心房興奮を検出するために使用される。
【0096】
いくつかの実施形態では、センサ入力214は、1つまたは複数のセンサ、例えば電気センサ、または流量、圧力、および/または加速度センサなどの他のセンサからデータを受信することができる。任意選択で、信号を組織に送達することに加えて、またはその代わりに、1つまたは複数のデバイス電極がセンサとして使用される。いくつかの実施形態では、センサによって取得されたデータは(例えば、コントローラ202によっておよび/または検出器206、208によって)処理され、デバイス200における意思決定プロセスへの入力として任意に使用される。例えば、いくつかの実施形態では、ATPパルス信号パラメータ(例えば、振幅、幅、パルス間の間隔、パルス列の持続時間、および/または他のパラメータ)は、デバイスセンサ(任意選択でデバイス電極)によって取得されたデータに応じて選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、コントローラ202は、例えば、信号を印加するタイミング、信号の振幅、信号の持続時間などの信号パラメータを決定するために、1つまたは複数のロジックを実行するように構成される。
【0098】
いくつかの実施形態では、コントローラは、1つまたは複数のセンサから受信したデータに応答してパルスの印加を指令する。例えば、心拍数の上昇(任意選択で設定された閾値を超えること)を検出すると、コントローラはペーシングパルスの印加を指令する。
【0099】
いくつかの実施形態では、コントローラは、治療計画に従ってパルスの印加を指令する。任意選択で、コントローラは、例えば、治療計画からのリアルタイムの逸脱(例えば、刺激のスキップ)を補償するために、計画の変更をもたらす。いくつかの実施形態では、コントローラは、デバイスの1つまたは複数のリードに信号で通電するためのコマンドを生成する。任意選択で、コマンドが治療計画に従って生成される。いくつかの実施形態では、コントローラによって生成されるコマンドに応じて、電流が1つまたは複数のリードを介して、任意選択で1つまたは複数のリードが接触する組織に伝導される。
【0100】
いくつかの実施形態では、例えば、ロジック、過去の効果、治療計画、有害事象、および/またはパルスパラメータを保存するために、任意選択でメモリ218が提供される。
【0101】
いくつかの実施形態では、コントローラおよび/またはメモリには、1つまたは複数の治療計画(特定の患者に対して任意選択で設定される)および/または1つまたは複数のフォールバック治療計画がプログラムされる。
【0102】
いくつかの実施形態では、コントローラは、特定の心臓事象(例えば、感知された頻拍エピソード)とその事象を治療するための指示とを結び付けるルックアップテーブル、データベースなどを参照する。
【0103】
いくつかの実施形態では、デバイス200および/または患者の活動を保存するために、任意選択でロガー210が提供される。このようなログおよび/またはプログラミングは、通信モジュール212を使用して、デバイス200から、例えばプログラマ、医師、病院または診療所のデータベースにデータを送信することができる。いくつかの実施形態では、通信モジュールは、デバイスにプログラムされることになるデータ、例えば、パルスパラメータを受信するように構成されている。
【0104】
図3Aは、いくつかの実施形態による、抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【0105】
いくつかの実施形態では、例えば本明細書に記載される植え込み式心臓デバイスは、抗頻拍ペーシングパルス301を生成して送達するように構成される。いくつかの実施形態では、図のように、パルスは二相性波形として送達される。いくつかの実施形態では、パルス列が送達される。いくつかの実施形態では、パルス列は、矩形波形または方形波形を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、単一ペーシングパルス301の幅(または持続時間)303は、5~10ミリ秒、3~7ミリ秒、5~15ミリ秒、または中間の幅、より長いもしくはより短い幅である。任意選択で、パルス幅は、2ミリ秒、4ミリ秒、6ミリ秒、または中間の幅、より長いもしくはより短い幅、よりも大きい。
【0107】
いくつかの実施形態では、単一ペーシングパルス301の振幅305は、7~10ボルト、5~8ボルト、3~12V、または中間の振幅、より大きいもしくはより小さい振幅である。任意選択で、パルス振幅は、7ボルトより高い、8ボルトより高い、9ボルトより高い、または中間の振幅、より高いもしくはより低い振幅である。
【0108】
いくつかの実施形態では、連続パルス間(すなわち、連続したパルスの開始の間)の時間間隔307は、200~500ミリ秒の間、例えば250ミリ秒、300ミリ秒、400ミリ秒、または中間の間隔、より短いもしくはより長い間隔である。
【0109】
いくつかの実施形態では、パルス幅×パルス振幅の値は、15ボルト*ミリ秒、25ボルト*ミリ秒、50ボルト*ミリ秒、70ボルト*ミリ秒、または中間の値、より大きいもしくはより小さい値、よりも大きい。任意選択で、パルス幅×パルス振幅は、35~100ボルト*ミリ秒の間、50~75ボルト*ミリ秒の間、20~60ボルト*ミリ秒の間、または中間の値、より大きいもしくはより小さい値である。
【0110】
いくつかの実施形態では、例えば7.5V~10Vの間の振幅を有する抗頻拍ペーシングパルスを印加するように構成された心臓デバイスには、この比較的高い電圧のパルスを生成するのに適した電力供給手段および回路が設けられる。
【0111】
図3Bは、いくつかの実施形態による、心臓組織への抗頻拍ペーシングパルスの潜在的効果を概略的に示す。
【0112】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、心臓の内部に位置する組織と接触する少なくとも1つの電極355を介して送達される。この実施例では、電極355は、心室中隔と接触して設置されている。電極が配置され得る追加の心臓内の位置としては、右心室壁、左心室壁、心臓中隔が含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電極が、右心房および/または左心房に設置される。
【0113】
いくつかの実施形態では、不整脈を中断し、正常洞調律を回復するのに適したパラメータを有する刺激を提供することにより、心室頻拍を治療するためにペーシングパルスが送達される。いくつかの実施形態では、ペーシングパルスは、例えば、周期を「引き継ぐ」ように、頻拍性不整脈の心拍数よりも高いレートでペーシングすることによって、リエントリ回路を開くようにタイミング調節される。
【0114】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、既存の不整脈の加速のリスクを軽減しまたは防止するのに十分に短い期間にわたって送達される。
【0115】
いくつかの実施形態では、送達されるATPパルスは、当技術分野で知られている一般的なATPパルス、例えば、それぞれ0.5~2ミリ秒の間の幅を有するパルスよりも広く(長く)、および/または強い(振幅が大きい)。
【0116】
例えば、送達されるパルスは、一般に使用されるATPパルスの長さ(持続時間)よりも少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも120%、または中間のパーセンテージ、より大きいもしくはより小さいパーセンテージだけ長い。強化された(より広いおよび/またはより強力な)ATPパルスの潜在的な利点には、例えば、標準的な(当技術分野で知られている)ATPパルスによって影響を受ける組織領域(353によって概略的に示される)と比較して、心臓組織のより広い領域(351によって概略的に示される)に影響を与えることが含まれ得る。任意選択で、強化されたパルスは、例えば、心筋細胞の収縮の信号を送るなど、より多くの心筋細胞に影響を与える。これにより、例えば標準的なATPと比較して、より速く、および/またはより少ない量のATPパルスを送達して、不整脈を中断することが可能となり得る。
【0117】
より強いおよび/またはより長いパルスの別の潜在的な利点には、例えば、より長いおよび/またはより強い信号は、信号の伝導が遅くなり得るか、または信号が別の伝導経路を通過することになる損傷組織領域に隣接する心筋細胞を捕捉するのに効果的である可能性があるため、興奮性信号の伝導の改善が含まれ得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、組織に対するより強力なおよび/またはより長いATPパルスの効果範囲は、左心室壁および右心室壁に沿って延びるプルキンエ線維に影響を与える。ATPパルスによるプルキンエ線維の直接励起は、心室壁組織の伝導および活性化を改善する可能性がある。
【0119】
図3C~
図3Dは、いくつかの実施形態による、心室頻拍状態の2つの例における心臓組織へのATPパルスの効果範囲を概略的に示す。
【0120】
図3Cは、例えば2つの電極371、373を介して2つの心臓内の位置に送達されるATPパルスの効果を概略的に示す。いくつかの実施形態では、この実施例に示すように、電極は心室中隔375の組織と接触して設置される。
【0121】
場合によっては、心室頻拍は、伝導が損なわれている組織、例えば、損傷組織または瘢痕組織377によって発生するおよび/または引き起こされるリエントリサイクルを伴う。このような場合、活動電位は、損傷組織または瘢痕組織の周囲を伝わり、細胞の新たな(または再発した)活性化を引き起こして、潜在的に頻拍を招き得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、頻拍を治療するために、少なくとも2つの電極を介してATPパルスが印加される。図に示すように、心臓内のさらに2つの位置にATPパルスを印加することの潜在的な利点には、例えば、印加されたATPパルスによって生成された活動電位は、2つの電極位置から伝わり、任意選択で同時に、組織のより大きな部分に影響を及ぼし、それによってリエントリサイクルを「引き継ぐ」ので、任意選択で同期した方法で、リエントリサイクルをより効果的に抑制できることが含まれ得る。
【0123】
図3Dは、例えば2つの電極381、383を介して2つの心臓内の位置に送達されるATPパルスの効果を概略的に示す。いくつかの実施形態では、この実施例に示すように、電極は心室中隔385の組織と接触して設置される。場合によっては、心室頻拍は、収縮を高速で活性化するペースメーカとして機能する限局性不整脈惹起部位387に起因する。
【0124】
いくつかの実施形態では、頻拍を治療するために、少なくとも2つの電極を介してATPパルスが印加される。図に示すように、心臓内のさらに2つの位置にATPパルスを印加することの潜在的な利点には、任意選択で同期した方法で、限局性不整脈惹起部位を抑制すること、および心臓の他の部分の追加の組織領域を「捕捉」し、それによって限局性不整脈惹起部位の影響を潜在的に低減させることが含まれ得る。
【0125】
図4は、いくつかの実施形態による、頻拍を治療するための強化されたペーシングパルスを1つまたは複数の心臓内電極を介して送達するための一般的な方法のフローチャートである。
【0126】
いくつかの実施形態では、患者を治療する決定が(例えば医師によって)行われる(401)。いくつかの実施形態では、治療のために選ばれる患者は、心拍障害、例えば頻拍を患う患者である。いくつかの実施形態では、心不全、うっ血性心不全、および/または同様の症状などの心臓病を患う患者が治療のため選ばれる。
【0127】
いくつかの実施形態では、例えばATPによって心臓をペーシングするように構成された心臓デバイスが患者に植え込まれる(403)。いくつかの実施形態では、このデバイスは、任意選択で心臓の外側、例えば鎖骨下領域に植え込まれるパルス発生器と、心臓に信号を送達するための1つまたは複数のリードとを備える。
【0128】
いくつかの実施形態では、心室頻拍エピソードが検出される(405)。いくつかの実施形態では、心拍数が閾値、例えば、160BPMを超える、187BPMを超える、200BPMを超える、230BPMを超える、または中間の拍数を超える、より高いもしくはより低い拍数を超える場合に、心室頻拍が検出される。いくつかの実施形態では、187~250BPMの心拍数は頻拍を示す。いくつかの実施形態では、心室頻拍は、心周期長(心拍)が240~320ミリ秒、260~300ミリ秒、220~320ミリ秒、または中間の範囲、より高いもしくはより低い範囲である場合に検出される。
【0129】
いくつかの実施形態では、心拍数および/または心周期長は、植え込み式デバイスによって、例えばデバイスの電極によって測定される。いくつかの実施形態では、心拍数および/または心周期長は、電極によって測定されたR-R間隔に従って計算される。
【0130】
いくつかの実施形態では、デバイスは、頻拍エピソードの検出時に、心臓内の位置と接触する、例えば心筋組織と接触する、1つまたは複数のデバイス電極を介してATPパルスが送達されるようにプログラムされる(407)。
【0131】
いくつかの実施形態では、2つの異なる心臓内の位置に2つの電極が接触する。いくつかの実施形態では、電極は心室中隔に沿った少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、電極は、左心室壁の少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、電極は、右心室壁の少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、一方の電極が左心室壁に接触し、もう一方の電極が右心室壁に接触する。いくつかの実施形態では、電極は、心室中隔の右側の少なくとも2つの異なる位置に接触する。
【0132】
少なくとも2つの組織位置にATPパルスを送達することの潜在的な利点には、頻拍のリエントリを中断する可能性が高まることが含まれ得る。任意選択で、電極が接触する2つの位置の組織領域に同時に影響を与える結果として、頻拍が中断される。任意選択で、活動電位の自然な伝播方向および/または速度に従って決定される(例えば、時間間隔を伴う)順序で、少なくとも2つの位置にペーシングパルスが印加される結果として、頻拍が中断される。
【0133】
場合によっては、リエントリ焦点は、瘢痕化または損傷した心筋組織に、またはその近傍に位置する。任意選択で、心臓デバイスの1つまたは複数の電極は、リエントリの疑いのある焦点に隣接して、またはその焦点に配置してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、例えば
図3Aで上記に述べたようなパラメータを用いて送達される。
【0135】
いくつかの実施形態では、一部のパルスが他のパルスよりも高い振幅および/またはより長い持続時間を有するパルスの組み合わせが送達される。任意選択で、パルスは対で送達され、例えば各対は単一の心周期内で送達される。一例では、最初に短いパルスが提供され、次に、より長いパルスが、例えば最初のパルスによって引き起こされる不応期中に送達される。
【0136】
いくつかの実施形態では、パルスの持続時間および/または振幅が徐々に増加する。
【0137】
いくつかの実施形態では、ATPパルスが印加されたにもかかわらず頻拍が続く場合、より強力な除細動パルスが送達される(409)。いくつかの実施形態では、除細動パルス(複数可)は、ATPパルスが印加された設定された周期数の心周期の後に、例えば、2周期後、4周期後、6周期後、10周期後、または中間の周期、より大きいもしくはより小さい周期数の後に送達される。いくつかの実施形態では、除細動パルスエネルギーは、10~100ジュールの間、例えば、30ジュール、50ジュール、25ジュール、または中間のエネルギー、より高いもしくはより低いエネルギーである。
【0138】
除細動パルスを直接印加するのとは対照的に、心室頻拍を標的とするためにATPパルスを送達することの潜在的な利点には、除細動パルスによって送達される強い電気ショックの結果として発生する可能性のある心臓組織への損傷を軽減しまたは防止することが含まれ得る。
【0139】
例えば本明細書に記載される振幅(例えば7~10V)を有するATPパルスの潜在的な利点には、頻拍リズムを引き継ぐ刺激の能力を改善し、除細動パルスを送達する必要性を潜在的に低減することが含まれ得る。
【0140】
以下は、ペーシング信号(例えば、心室ペーシング信号)、除細動信号、心収縮性変調信号、及び/または抗頻拍ペーシング信号を含むが、これらに限定されない、複数の心臓刺激信号を送達するように構成された植え込み式心臓デバイスの動作スキームの実施例である。実施例では、植え込み型デバイスは、次の全ての種類の刺激、すなわち、両心室ペーシング、ATPパルス、心収縮性変調信号、除細動ショックといった刺激タイプを生成して送達するように構成されている。
【0141】
CRT、CCM、ICD、および/またはATP治療を組み合わせた治療用に構成された植え込み型デバイスの例示的な動作スキーム
いくつかの実施形態では、BPMが正常範囲内にある場合、デバイスは両心室ペーシング(CRT心臓再同期療法)を送達する。
【0142】
任意選択で、時間の一部の間および/または所定のタイミングで、デバイスは、非興奮性刺激などの心収縮性変調(CCM)刺激を送達する。いくつかの実施形態では、CCM刺激は、正常洞調律中に送達される。いくつかの実施形態では、CCM刺激は、7~10Vの間の振幅および4~6ミリ秒の間の持続時間を有する。心収縮性変調刺激は、心室不応期中、例えばCRTペーシング後の0.5~5ミリ秒の間に、任意選択で送達される。いくつかの実施形態では、CCM刺激は、心室中隔に接触する1つまたは複数のリードを介して送達される。
【0143】
いくつかの実施形態では、心収縮性変調刺激は、信号の電場が心室組織、例えば、左心室、右心室および/または心室中隔を刺激するときに、そのような心室の収縮性を増加させるように選択される。いくつかの実施形態では、収縮性変調は、信号によって引き起こされるホスホランバンのリン酸化によって提供される。本発明のいくつかの実施形態では、収縮性変調は、任意選択で胎児性遺伝子プログラムの逆転の形で、信号によって引き起こされるタンパク質転写および/またはmRNA生成の変化によって引き起こされる。
【0144】
いくつかの実施形態では、特定の閾値を超えるBPM、例えばBPM>180、BPM>200、BPM>160、または中間の閾値、より高いもしくはより低い閾値を超えるBPMがデバイスによって検出された場合、例えば本明細書に記載されるようなパラメータを有するATPパルス信号がデバイスによって送達される。
【0145】
いくつかの実施形態では、BPMが特定の期間にわたって(例えば、デバイスにプログラムされているように、事前に定められた期間にわたって)高くなり続ける場合、および/または最初に検出されたBPMが、別の閾値よりも高い、例えば、BPM>250、BPM>300、BPM>280、BPM>320、または中間の閾値、より高いもしくはより低い閾値よりも高い場合、デバイスによって除細動ショックが送達される。
【0146】
いくつかの実施形態では、どのタイプの信号を適用するか、どの信号パラメータを選択するか、および信号のタイミングをいつとるかの決定は、例えば、デバイスの1つまたは複数の電極、および/またはデバイスの1つまたは複数のセンサ、および/またはデバイスの外部の1つまたは複数のセンサ、によって取得される測定値に応じて、デバイスコントローラによって行われる。
【0147】
図5は、いくつかの実施形態による、少なくとも2つの異なる心臓位置に同期ペーシングパルスを送達することによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【0148】
いくつかの実施形態では、ATPパルスは、例えば少なくとも2つのデバイス電極を介して、少なくとも2つの相隔たる心臓位置に送達される。いくつかの実施形態では、電極は心室中隔に沿った少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、電極は、左心室壁の少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、電極は、右心室壁の少なくとも2つの異なる位置に接触する。いくつかの実施形態では、一方の電極が左心室壁に接触し、もう一方の電極が右心室壁に接触する。いくつかの実施形態では、複数の電極が右心室組織と接触し、複数の電極が左心室組織と接触する。
【0149】
いくつかの実施形態では、図中の2つの電極(「チャネル1」および「チャネル2」として示される)のそれぞれを介して送達される信号のパラメータは、例えば上記の
図3Aについて説明したとおりである。信号パラメータは記載のものに限定されないことを留意されたい。2つ以上の位置に送達されるペーシングパルスのための追加の信号パラメータには、例えば、1~20V、5~15V、8~13Vの間の振幅、または中間の振幅、より高いもしくはより低い振幅が含まれ得、例えば、0.1~20ミリ秒、1~10ミリ秒、5~15ミリ秒の間の幅、または中間の幅、より長いもしくはより短い幅が含まれ得る。
【0150】
図6は、いくつかの実施形態による、少なくとも2つの異なる心臓位置に送達される抗頻拍ペーシングのタイミングを、その2つの位置におけるR波発生の測定された時間間隔に従って調節するための方法のフローチャートである。
【0151】
いくつかの実施形態では、例えば本明細書に記載されるような心臓デバイスが植え込まれる(601)。
【0152】
いくつかの実施形態では、心臓の電気活動は、例えば正常洞調律中に測定されおよび/または推定される。いくつかの実施形態では、R波の発生は、任意選択で少なくとも2つの異なる心臓位置に配置されたデバイス電極を介してタイミング調節される(603)。いくつかの実施形態では、R波発生のタイミングを調節することにより、2つの異なる位置の間でのR波の発生の時間間隔を決定することによって、自然的電気信号の伝播が推定され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、例えば、測定された心拍数が、160BPMよりも高い、187BPMよりも高い、200BPMよりも高い、230BPMよりも高い、または中間の拍数、より高いもしくはより低い拍数よりも高い、など、閾値を上回る場合、心室頻拍エピソードが検出される(605)。
【0154】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電極を介して、少なくとも2つの異なる心臓位置に送達されるATPパルスは、測定されるR波発生間隔に従ってタイミングが調節される(607)。
【0155】
いくつかの実施形態では、ATPパルスが少なくとも2つの電極を介して少なくとも2つの心臓位置に送達される順序は、例えば正常心臓機能中に生じるような活動電位の自然的伝播方向に適合するように設定される。
【0156】
図7は、少なくとも2つの異なる心臓位置に、その2つの位置におけるR波発生の時間間隔に従ってタイミングが調節されたペーシングパルスを送達することによる抗頻拍ペーシングを説明する図である。
【0157】
図示されている例では、第2のチャネルを介して送達されるATP信号は、第1のチャネルを介して送達されるATP信号から、0.1~5ミリ秒、2~4ミリ秒、1~6ミリ秒の間の遅延、または中間の期間、より長いもしくはより短い期間の遅延の状態で提供される。
【0158】
いくつかの実施形態では、ATP信号(例えば、各チャネルを介して送達される信号)の周波数は、頻拍性不整脈エピソードを無効にして正常洞調律を回復するのに十分に高いように選択される。いくつかの実施形態では、ATPパルス繰り返し数は、150~300BPM、200~600BPM、180~240BPMの間の繰り返し数、または中間の繰り返し数、より高いもしくはより低い繰り返し数である。
【0159】
いくつかの実施形態では、パルスは、任意選択でデバイスコントローラに事前プログラムされる定められた順序に従って、複数の心臓部位(例えば、2、3、4、6の数の部位、または中間の数、より多いもしくはより少ない数の部位)に送達される。任意選択で、異なる部位に送達する順序は、心臓組織全体にわたる信号の解剖学的伝播に従って設定される。
【0160】
図8は、いくつかの実施形態による、頻拍を治療するために広ペーシングパルスと狭ペーシングパルスとを組み合わせたパルスシーケンスを送達する方法のフローチャートである。
【0161】
いくつかの実施形態では、例えば本明細書に記載されるような心臓デバイスが植え込まれる(801)。
【0162】
いくつかの実施形態では、心室頻拍エピソードが検出されると(803)、広ペーシングパルス(持続時間がより長いパルス)と狭パルス(持続時間がより短いパルス)との組み合わせを含むATPパルスシーケンスが、植え込み式デバイスによって送達される(805)。
【0163】
いくつかの実施形態では、広ペーシングパルスは、それぞれ、3ミリ秒、5ミリ秒、8ミリ秒などの2~10ミリ秒の間の長さ、または中間の持続時間、より長いもしくはより短い持続時間である。いくつかの実施形態では、狭ペーシングパルスは、それぞれ、0.5ミリ秒、1ミリ秒、1.5ミリ秒などの0.2~2ミリ秒の間の長さ、または中間のパルス持続時間、より長いもしくはより短いパルス持続時間である。
【0164】
いくつかの実施形態では、各ペーシングパルスの振幅は、7~10ボルト、5~8ボルト、3~12V、または中間の振幅、より大きいもしくはより小さい振幅である。任意選択で、パルス振幅は、7ボルトより高い、8ボルトより高い、9ボルトより高い、または中間の振幅、より高いもしくはより低い振幅である。
【0165】
持続時間が変化するパルスを組み合わせたATPパルスシーケンスの様々な実施例を、
図9~
図12に示す。
【0166】
図9の実施例では、ATPパルスシーケンスは、複数の二相狭パルス901(例えば、1、4、6、8、10、16、20パルス、または中間の数、より大きいもしくはより小さい数)と、その後に続く複数の広パルス903(例えば、1、4、6、8、10、16、20パルス、または中間の数、より大きいもしくはより小さい数)とを含む。
【0167】
図10の実施例では、ATPパルスシーケンスは、二相狭パルス1001の後に二相広パルス1003などが続く交互パターンを含む。
【0168】
図11の実施例では、ATPパルスシーケンスは、時間の経過とともに持続時間が増加する二相パルスを含む。任意選択で、パルス持続時間は、0.5ミリ秒、1ミリ秒、1.5ミリ秒、2ミリ秒、または中間の時間、より長いもしくはより短い時間などの一定の間隔で増加する。
【0169】
図12の実施例では、ATPパルスシーケンスは、連続した対を含み、各対は、狭パルス1201(例えば0.2~1ミリ秒の長さ)と広パルス1203(例えば5~10ミリ秒の長さ)とで構成される。いくつかの実施形態では、各対は単一の心周期中に送達される。いくつかの実施形態では、対の広パルスは、前の狭パルスによって引き起こされた不応期の間中に送達されるようにタイミング調節される。
【0170】
あるいは、いくつかの実施形態では、各対は、広パルスと、その後に続く狭パルスとを含む。
【0171】
任意選択で、各対の狭パルスの開始と広パルスの開始との間の時間間隔は、20~50ミリ秒の間、30~40ミリ秒の間、10~30ミリ秒の間、または中間の間隔、より長いもしくはより短い間隔である。任意選択で、連続する対の間の時間間隔(例えば、第1の対の開始と、連続する第2の対の開始との間など)は、200~400ミリ秒、100~300ミリ秒、250~350ミリ秒の間、または中間の間隔、より長いもしくはより短い間隔である。
【0172】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの同根語は、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0173】
「~からなる(consisting of)」という用語は、「を含み(備え)、~に限定される」ことを意味する。
【0174】
用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部品を含むことができることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部品が、特許請求された組成物、方法または構造物の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0175】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、「ある、1つの(a)」、「ある、1つの(an)」及び「この、その(the)」という単数形には、複数の指示対象が含まれる。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0176】
本願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記述は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のある全てのサブ範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1~6といった範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などといったサブ範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とが具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0177】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、それは、示された範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(ranging/ranges between)」という句、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「まで(to)」の「範囲(ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示番号及び第2の表示番号と、それらの間の分数及び整数の数字の全てを含むことを意味する。
【0178】
本明細書で使用される場合、用語「方法」は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者によって知られている、または既知のマナー、手段、技術及び手順から容易に開発される方法を含むが、これらに限定されない、所定のタスクを達成するためのマナー、手段、技術及び手順を指す。
【0179】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態の進行を無効にする、実質的に阻害する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0180】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設けることもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の説明された実施形態において好適なものとして設けることもできる。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0181】
本明細書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが示されているときに、これらが明確かつ個別に記されているのと同様に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが出願人(出願人ら)の意図である。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるということの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓内組織に接触するように構成された少なくとも1つのリード電極と、
前記少なくとも1つのリード電極を制御し、活性化するための回路を含むハウジングと、
前記少なくとも1つのリード電極によって送達されることになる抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成されたパルス発生器であって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、パルス発生器と、
を備える、植え込み型心臓デバイス。
【請求項2】
前記心臓内組織は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも2つの異なる心臓内の位置に配置されるように構成された少なくとも2つのリード電極を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は右心室内にある、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は心室中隔に沿っている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置は、右心室および左心室を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回路は、頻拍エピソードを検出するように構成されており、前記パルス発生器は、検出された頻拍エピソードが前記抗頻拍ペーシングパルスの送達後に継続する場合、除細動パルスを送達するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記回路は、前記少なくとも1つのリード電極を介してR-R間隔を測定することによって前記頻拍エピソードを検出するように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記回路は、180~250BPMの間の心拍数の測定時に、前記頻拍エピソードを検出するように構成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記抗頻拍ペーシングパルスが二相パルスである、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記パルス発生器は、前記少なくとも2つのリード電極を介して送達されることになる同期された抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項12】
前記パルス発生器は、前記抗頻拍ペーシングパルスを同時に生成するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記パルス発生器は、前記2つのリード電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、前記少なくとも2つのリード電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、前記同期された抗頻拍ペーシングパルスの間に時間遅延を伴って、それらのパルスを生成するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に前記少なくとも2つの異なる心臓位置で前記少なくとも2つの電極を介して測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記回路は、複数の抗頻拍ペーシングパルスシーケンスを記憶するメモリと、選択された抗頻拍ペーシングパルスシーケンスの送達を実行するように構成されたコントローラとを備える、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記心臓デバイスが、
正常洞調律中に、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅を有する心収縮性変調刺激を送達することと、
除細動ショックを送達することと、
のうちの1つまたは複数のためにさらに構成されている、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記パルス発生器は、5~10ミリ秒の間から選択された異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを生成するように構成される、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項18】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
前記植え込み式心臓デバイスの少なくとも1つの電極を心臓内の位置に配置することと、
頻拍エピソードを検出することと、
前記少なくとも1つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することであって、抗頻拍ペーシングパルスが、5~10ミリ秒の間の持続時間および5~10Vの間の振幅のうちの少なくとも1つを含む、送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項19】
前記心臓内の位置は、心室中隔、左心室壁、右心室壁のうちの1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの異なる心臓内の位置に少なくとも2つの電極を配置することを含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの電極を右心室内の2つの異なる位置に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つの電極を心室中隔に沿った2つの異なる位置に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの電極を右心室に、少なくとも1つの電極を左心室に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記抗頻拍ペーシングパルスの送達後に前記頻拍エピソードが継続する場合、除細動パルスを送達することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記検出することは、前記植え込み式心臓デバイスの前記少なくとも1つの電極を介してR-R間隔を測定することによって行われる、請求項
18に記載の方法。
【請求項26】
前記抗頻拍
ペーシングパルスは二相パルスである、請求項
18に記載の方法。
【請求項27】
前記送達することは、同期した抗頻拍ペーシングパルスを前記少なくとも2つの電極を介して送達することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記送達することは、前記抗頻拍ペーシングパルスを前記少なくとも2つの電極を介して同時に送達することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記送達することは、前記2つの電極のうちの1つを介して印加されるパルスが、前記2つの電極のうちのもう1つの電極を介して印加されるパルスから所定の時間遅延で送達されるように、時間遅延を伴って前記抗頻拍ペーシングパルスを送達することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記所定の時間遅延は、正常な心臓機能中に前記少なくとも2つの異なる心臓位置で前記少なくとも2つの電極によって測定されるR波発生の間の時間差に従って選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記検出することは、180~250BPMの間の心拍数を測定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
異なる持続時間を有する抗頻拍ペーシングパルスを組み合わせたパルスシーケンスを送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項33】
パルス持続時間が0.1~10ミリ秒である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗頻拍ペーシングパルスは、広ペーシングパルスおよび狭ペーシングパルスを含み、広ペーシングパルスは2~10ミリ秒の間の持続時間を有し、狭ペーシングパルスは0.1~5ミリ秒の間の持続時間を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記送達することは、複数の狭ペーシングパルスと、その後に続く複数の前記広ペーシングパルスとを送達することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記送達することは、パルスの対を含むシーケンスを送達することを含み、各対では、狭ペーシングパルスの後に広ペーシングパルスが続き、前記狭ペーシングパルスと前記広ペーシングパルスとが同じ心周期内で送達される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記広ペーシングパルスは、前記狭
ペーシングパルスによって引き起こされる不応期中に送達される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記送達することは、持続時間が徐々に増加するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%長い、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記送達することは、持続時間が徐々に減少するペーシングパルスのシーケンスを送達することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
各パルスは、その前のパルスよりも少なくとも10%短い、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
植え込み式心臓デバイスを介した抗頻拍ペーシングの方法であって、
頻拍エピソードを検出することと、
少なくとも2つの異なる心臓内の位置の組織に接触して配置された少なくとも2つの電極を介して、抗頻拍ペーシングパルスを送達することと、
を含む、前記方法。
【請求項43】
正常な心機能中に、前記少なくとも2つの異なる心臓内の位置におけるR波発生の間の時間差を測定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記2つの異なる心臓内の位置に送達されるペーシングパルスの間の時間間隔は、前記測定された時間差に従って設定される、請求項43に記載の方法。
【国際調査報告】