(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】連結された標的捕捉の強化
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240313BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561239
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2022000180
(87)【国際公開番号】W WO2022214868
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518344597
【氏名又は名称】エヌキャン ジェノミクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ペル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア マルツィアーリ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、一般に、連結された標的捕捉プローブを用いて、対象の適応免疫系をプロファイリングし、病原体を検出し、空間配列決定を実施し、変異配列を単離することに関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応免疫系をプロファイリングする方法であって、以下の:
一又は複数のリンパ球由来の複数の核酸断片にユニバーサルプライミング部位を付着すること;
核酸断片を、T細胞受容体鎖、免疫グロブリン重鎖又は免疫グロブリン軽鎖の可変(V)、結合(J)、定常(C)領域又は多様性(D)遺伝子領域の少なくとも一部に親和性を有する標的プローブを含む複数の連結された捕捉プローブに曝露することであって、標的プローブはユニバーサルプライマーに連結されており、前記曝露する工程は、ユニバーサルプライミング部位にユニバーサルプライマーの結合することを可能にするために、標的領域への標的プローブの結合を必要とする条件下において起こること;
ユニバーサルプライマーを伸長して、T細胞受容体鎖、免疫グロブリン重鎖又は免疫グロブリン軽鎖の捕捉された部分のコピーを製作すること;及び
対象の適応免疫系をプロファイリングするために、コピーをシークエンシングすること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記連結された複数の捕捉プローブは、全てのV遺伝子領域を標的とする捕捉プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連結された複数の捕捉プローブは、全てのJ遺伝子領域を標的とする捕捉プローブをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記連結された複数の捕捉プローブは、全てのC遺伝子領域を標的とする捕捉プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記連結された複数の捕捉プローブは、全てのD遺伝子領域を標的とする捕捉プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記連結された複数の捕捉プローブは、一又は複数のV、J、C又はD遺伝子領域内の複数のサブ領域を標的とする捕捉プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のサブ領域のそれぞれは、複数のサブ領域の別のものと重複する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のサブ領域のそれぞれは、複数のサブ領域の別のものと5塩基以上重複する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記一又は複数のリンパ球は、T細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記一又は複数のリンパ球は、B細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記一又は複数のリンパ球は、B細胞及びT細胞の両方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
対象の適応免疫系プロファイルに基づいて、病原体への対象の曝露を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
対象の適応免疫系プロファイルに基づいて、対象のワクチン接種状況を確定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記付着する工程は、ライゲーション、PCR増幅、テンプレートスイッチング又はトランスポザーゼによる転移を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記核酸断片は、一又は複数のDNA、RNA又はcDNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
病原体の検出方法であって、以下の:
一又は複数の病原体を含む試料から得られた複数の核酸断片にユニバーサルプライミング部位を付着すること;
核酸断片を複数の病原体配列の少なくとも一部と親和性を有する標的プローブを含む複数の連結捕捉プローブに曝露することであって、標的プローブはユニバーサルプライマーに連結されており、前記曝露する工程は、ユニバーサルプライマーをユニバーサルプライミング部位に結合することを可能にするために、標的病原体配列への標的プローブの結合を必要とする条件下において起こること;
ユニバーサルプライマーを伸長して、捕捉された可変領域の捕捉された部分のコピーを製作すること;及び
コピーをシークエンシングして、一又は複数の病原体を同定すること、
を含む、方法。
【請求項17】
前記標的プローブは、複数の病原体の可変領域と可変ホモロジーを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的プローブは、16S、18S及びITS遺伝子からなる群より選択される保存領域に親和性を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記付着する工程は、ライゲーション、PCR増幅、テンプレートスイッチング又はトランスポザーゼによる転移を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
核酸の標的化捕捉方法であって、以下の:
標的核酸及びユニバーサルプライミング部位を含む環状核酸鋳型を、標的核酸配列の少なくとも一部に親和性を有する標的プローブを含む複数の連結捕捉プローブに曝露することであって、標的プローブはユニバーサルプライマーに連結されており、前記曝露する工程は、ユニバーサルプライミング部位にユニバーサルプライマーを結合することを可能にするために、標的核酸配列への標的プローブの結合を必要とする条件下において起こること;
ローリングサークル増幅を用いてユニバーサルプライマーを伸長すること、
を含む、方法。
【請求項21】
前記環状核酸鋳型は、細胞内の原位置に存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
空間配列決定を用いて細胞内の核酸配列及び位置を同定することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
核酸の標的化捕捉方法であって、以下の:
野生型及び突然変異対立遺伝子の両方を含む試料から得られた複数の核酸断片にユニバーサルプライミング部位を付加すること;
核酸断片を突然変異対立遺伝子配列の少なくとも一部に親和性を有する標的プローブを含む複数の連結捕捉プローブに曝露することであって、標的プローブはユニバーサルプライマーに連結されており、前記曝露する工程は、ユニバーサルプライミング部位にユニバーサルプライマーを結合することを可能にするために、標的病原体配列への標的プローブの結合を必要とする条件下で実施されること;
ユニバーサルプライマーを伸長して、野生型対立遺伝子を増幅することなく、捕捉された突然変異対立遺伝子を選択的に増幅すること、
を含む、方法。
【請求項24】
前記試料は、対象からの生物試料であり、前記突然変異対立遺伝子は腫瘍と関連している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記標的プローブは、ロックされた核酸を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記標的プローブは、点突然変異を含む突然変異配列に相補的であり、ロックされた核酸は点突然変異に対応する標的プローブの位置にある、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年4月5日に出願された米国仮出願シリアル番号63/170,694の利益及び優先権を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、一般に、核酸の捕捉、増幅及びシークエンシングに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
オフターゲットの相互作用を回避しながら、十分な感度で標的核酸及び領域を捕捉し、シークエンシングすることは、正確で費用対効果の高い研究及び診断に関して、依然として極めて重要なままである。しかしながら、感度及び特異性のバランスを保つことは困難であり、望ましいバランスは、用途によって変化する可能性がある。
【0004】
適応免疫系は、病原体に対抗する上で重要な役割を果たしている。適応免疫系の基盤は、T及びB細胞であり、それらの発生過程でV(D)J組み換えを使用し、膨大な数のT及びB細胞レセプター(T細胞はT細胞レセプター及びB細胞は抗体/免疫グロビン)を産生する。これらのレセプターは、新しい病原体に適応して中和することができるため、単一細胞における組換え又は多数の細胞にわたる全ての組換えのレパートリーをシークエンシングすることは非常に興味深い。適応免疫系のシークエンシングは、免疫応答を解明し、現在の疾患の診断、過去の疾患(例えば、SARS-CoV-2への曝露)に対する免疫応答の検出、ワクチン接種状況の決定、ワクチン開発への情報提供及び支援、疾患治療の決定、新規病原体の検出、疾患の予防及び疾患再発の検出を含む、健康転帰を改善するために使用され得る。しかしながら、費用対効果が高く、正確で、高感度な組換えのレパートリー全体を把握する手段はまだ不足している。
【0005】
感度が重要である別のケースは病原体の検出で、保存領域が制限されていたり、可変領域があったりして普遍的な検出が困難な様々なウイルス、細菌、真菌、原虫又はウイロイドの存在を同定するのに、広域スペクトル検出は有用である。
【0006】
シークエンシングのもう一つの発展途上のアプリケーションは空間配列決定である。空間配列決定は、一般に、特定の細胞又は細胞内位置に関するRNA配列の決定を可能にする方法の幅広いコレクションである。これらの方法は、広範なもの(トランスクリプトーム全体)又は標的化されたものであるが、一般にRNAシーケンシングに限定されるのは、RNAの存在量が多く、捕捉が比較的容易なためである(例えば、polyAテール)。高分解能の空間的なDNAシーケンシング方法が出現しつつあるが、特定の領域を標的にするには限界がある。
【0007】
例えば、Payneらは、“In situ genome sequencing resolves DNA sequence and structure in intact biological samples”Science,Vol 371,Issue 6532,2021, doi:10.1126/science.aay3446において、利用可能な全てのDNA配列を増幅するために、ユニバーサルプライマーを用いたローリングサークル増幅を使用する。参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0008】
要約
本発明のシステム及び方法は、様々なシークエンシングアプリケーションに適用可能な、プログラムされた感度及び特異性を有する連結された標的捕捉技術を提供する。特定の実施形態において、連結された標的捕捉プローブは、連結された標的捕捉プローブの組み合わせが単一の反応において、T及びB細胞からの可能な全てのV及びJの組み合わせを標的とし得るように、可変(V)、結合(J)、定常(C)領域、又は多様性(D)遺伝子領域における様々な配列を標的とするように設計されることができる。その結果、本発明のシステム及び方法は、適応免疫系のロバストプロファイルを提供し得る。
【0009】
特定の実施形態において、本発明のシステム及び方法は、病原体配列を標的とする連結された標的捕捉プローブを設計することによって、病原体検出に適用され得る。プローブは、単一又は少量のプローブのセットが広範な病原体を検出し得るように、細菌の16S又は18S遺伝子、真菌のITS遺伝子などの保存領域に対して設計することができる。連結された標的捕捉において用いられるプローブはPCRプライミングを開始するために必要ではないため、捕捉プローブは、標的配列に対して様々な相同性を有し得る。広範な病原体は、可変領域を標的とする捕捉プローブを設計することによって検出し得るが、標的の捕捉に成功するためには部分的な一致しか必要としない。
【0010】
本発明の連結された標的捕捉技術はまた、円形テンプレート(circular template)にも使用され得る。特定の実施形態において、連結された標的捕捉は、空間配列決定(spatial sequencing)のためにDNAを標的とする円形テンプレートに適用され得る。連結標的捕捉プローブは、ローリングサークルベースの空間DNA解析中で特異性の向上を提供し得る。
【0011】
特定の実施形態において、本発明の連結標的捕捉技術は、突然変異特異的な濃縮に適用され得る。標的特異的なプローブは、野生型及びオフターゲット配列が捕捉、増幅、及びシークエンスされないように、突然変異特異的であり得る。その結果、従来の増幅を回避し、全DNAを標的遺伝子座でシークエンシングし、それから配列分析を介して突然変異を決定することによって、時間及びコストが削減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、適応免疫系のシークエンシングで用いる連結された標的捕捉の典型的な方法を説明する。
【0013】
【
図2】
図2は、病原体の検出で用いる連結された標的捕捉の典型的な方法を説明する。
【0014】
【
図3】
図3A及び3Bは、ローリングサークル増幅で用いる連結された標的捕捉の典型的な方法を説明する。
【0015】
【
図4】
図4A及び4Bは、標準的な連結された標的捕捉及び突然変異特異的な連結された標的捕捉を用いる突然変異DNA濃縮の典型的な方法を説明する。
【0016】
【
図5】
図5は、突然変異特異的な連結された標的捕捉プローブを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明は、一般に、DNAの標的化捕捉及びシークエンシングのための方法に関する。連結された標的捕捉(LTC)技術は使用され、ユニバーサルプライマー及びターゲット特異的プローブを含む前記連結された標的捕捉プローブが採用され、反応はユニバーサルプライマーの結合を可能にするために、標的特異的なプローブが結合することを必要とする条件下において起こる。ユニバーサルプライマー部位は、DNAの末端に結合し得る。その後、連結された標的捕捉プローブの標的特異的な部分は、目的の標的に特異的であるように設計されることができ、標的DNAはシークエンスされ得る。本発明のシステム及び方法に適用可能な連結標的捕捉技術は、U.S.App.Ser.No.16/239,100;16/467,870;及び17/269,515並びにPCT Pub.WO2020/141464号及びWO2020/251968号において記述されており、それらのそれぞれの内容は参照により本明細書に援用される。
【0018】
連結された標的捕捉技術は、適応免疫系におけるT及びB細胞の成長で起こるようなV(D)J組み換えによって形成される領域のシークエンシングを含む、免疫系をシークエンスするために使用され得る。
【0019】
連結された標的捕捉は、DNA、RNA又はcDNAをインプットとして用いて適応免疫系をシークエンスするために使用され得る。連結された標的捕捉プローブは、免疫レパートリーを決定するような方法で設計され得る。例えば、
図1において、フ連結された標的捕捉プローブの組み合わせが単一の反応において、T又はB細胞からの可能な全てのV及びJの組み合わせを標的とし得るように、フォワード捕捉プローブは、全ての可変(V)遺伝子領域に対して設計されることができ、リバース捕捉プローブは全ての結合(J)遺伝子領域に対して設計されることができる。V領域に対するリバース捕捉プローブ及びJ領域に対するフォワード捕捉プローブの設計もまた、可能である。
【0020】
V及びJ遺伝子に関して、連結された標的捕捉プローブが設計され得る。各V及びJ領域に関して、同じ配向で複数の捕捉プローブを設計することができ、回収効率を向上させることができる。例えば、各V及び/又はJ領域に関して、1つ、2つ、3つ又は4つの捕捉プローブは設計され得る。これらの領域におけるプローブは、0,5,10,15又はそれ以上の塩基によって互いに重複してもよい。
【0021】
連結された標的捕捉プローブはまた、定常(C)領域又は多様性(D)領域など、他の任意の望ましい領域に対しても設計され得る。
【0022】
連結された標的捕捉ライブラリーのシークエンシングにより、VとJ配列の間にある、D配列などの任意の配列を含む適応免疫配列の決定を可能にする。
【0023】
ユニバーサルプライミング部位の結合は、PCR、ライゲーション、テンプレートスイッチング又はトランスポザーゼなどの既知の方法を用いて達成され得る。
【0024】
連結された標的捕捉技術は、病原体の配列を標的とする捕捉プローブを用いることによって、病原体を検出するために使用され得る。シークエンシングを受けた連結された標的捕捉は、病原体の変異体を含む病原体の配列を決定するために使用され得る。病原体には、ウイルス、細菌、真菌、原虫又はウイロイドなどが含まれる。
【0025】
連結された標的捕捉プローブは、病原体の配列に対して設計され得る。プローブは、単一又は少量のプローブのセットが広範囲の病原体を検出し得るように、細菌の16S又は18S遺伝子及び真菌のITS遺伝子などの保存領域に対して設計され得る。連結された標的捕捉において用いられるプローブはPCRのプライミングを開始するために必要ではないため、捕捉プローブは、
図2のような標的配列に対して様々な相同性を有し得る。例えば、捕捉プローブは、プローブとの不完全な一致にもかかわらず捕捉をもたらすであろう可変領域において設計され得る。
【0026】
連結された標的捕捉技術は、空間配列決定のために、DNAを標的とするために使用され得る。例えば、連結された標的捕捉は、
図3において示されているように、ローリングサークル増幅で、目的の円形テンプレートのみが標的となるように、円形テンプレートと連携する(それからPayne,2021において記述されているような空間配列決定に適用される)ように設計され得る。その結果、向上した特異性は、ローリングサークルベースの空間DNA解析に組み込まれ得る。ユニバーサルプライマーは、全ての円形テンプレート中に存在するユニバーサルプライミング部位に対して設計され得る。標的プローブに連結すると、ユニバーサルプライマーは、標的配列が円形テンプレート中に存在する場合にのみ増幅を提供することになるが(
図3A)、標的配列が存在しない場合には増幅を提供しない(
図3B)。このようにして、望ましい標的を有する円形DNAテンプレート(circular DNA templates)のみが、空間配列決定のために増幅されるであろう。
【0027】
連結された標的捕捉技術は、
図4において示されるように、突然変異のエンリッチメントのために使用され得る。特定の用途において、既知の腫瘍配列から微小残存病変を検出する場合など、突然変異体又は特定の対立遺伝子配列のみを捕捉することが望ましい。切除された腫瘍からの突然変異は、Gydushらによって、“MAESTRO affords‘breadth and depth’for mutation testing”、bioRxiv、2021年1月24日、doi:https://doi.org/10.1101/2021.01.22.427323において記述されているようなあらゆる疾患の再発の存在を追跡するために使用されることができ、参照により本明細書に援用される。特定の突然変異体又は対立遺伝子のみを標的とすることによって、豊富な野生型DNAは、シークエンシングのために拒絶され、アッセイコストを著しく削減する。
【0028】
連結された標的捕捉プローブは、プローブを望ましい標的配列と完全に一致させることによって、特定の突然変異体又は対立遺伝子のみを標的とするように設計され得る(
図5)。同じ反応で、多くの突然変異を同時に標的にすることもできる。さらに、所定の突然変異体又は対立遺伝子対する特異性を高めるために、プローブを改変することができる。例えば、変異体に対する特異性を高めるために、突然変異体又は他の位置に、ロックされた核酸(LNA)を使用することができる。突然変異体特異的なプローブを設計することによって、連結された標的捕捉を利用して突然変異DNAのみを濃縮し、オフターゲットDNA及び野生型DNAの両方を拒絶し、シークエンシングコストを劇的に削減し得る(
図4)。
【0029】
連結された標的捕捉プローブは、それらの性能を向上させるための変更を含有し得る。例えば、特定の突然変異体を標的にするためにLNAを使ったり、所定のプローブの融解温度を上昇させたりすることができる。また、所定の配列の融解温度を下げたり、望ましくない配列の捕捉率を下げたりするために、プローブに意図的な不一致を導入することもできる。例えば、標的配列の特定の位置で起こり得る突然変異の影響を最小化するために、ユニバーサル塩基を含有することができる。
【0030】
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書への参照及び引用は、本開示全体を通して行われている。そのような全ての文書は、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0031】
同等物
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化されることができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書中に記述されている本発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示的であるとみなされる。
【国際調査報告】