(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】サンプル収集デバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20240313BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G01N1/02 W
G01N1/02 D
G01N33/497 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561257
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 IB2022051252
(87)【国際公開番号】W WO2022214884
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,オードリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】シッター,ブレット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドンブロウスキー,アラン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ネレング,ローラ アール.
(72)【発明者】
【氏名】バーリガン,マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ステパノヴァ,ナリーナ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】トロネス,アダム エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB22
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045DA80
2G045FB02
2G045FB03
2G045FB07
2G045FB12
2G052AA34
2G052AD15
2G052AD22
2G052AD55
2G052BA17
2G052DA08
2G052DA09
2G052ED03
2G052GA29
2G052JA04
2G052JA08
(57)【要約】
本開示は、サンプル収集デバイス、並びにサンプル収集及び試験デバイスに関する。本明細書に記載されるデバイスは、第1の部分から第2の部分への流体チャネルを画定するハウジングを含む。デバイスは、ハウジング内に配置され、流体チャネルと流体連通する多孔性サンプル収集媒体を更に含む。デバイスは、多孔性サンプル収集媒体と流体連通して配置された流体入口ポートを更に含む。流体入口ポートは、多孔性サンプル収集媒体上に試験流体を導くように構成される。サンプル収集デバイスは、多孔性サンプル収集媒体(及び溶離液)上に入射した流体を受容し、病原体又はウイルスの存在(又は非存在)について溶離液を試験するように構成されたアッセイを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル収集デバイスであって、
第1の部分から第2の部分に延びるハウジングであって、前記ハウジングは、前記第1の部分から前記第2の部分への流体チャネルを画定し、前記第1の部分が呼気気流を受容するように構成され、前記第2の部分が空気出口部分であるように構成されている、ハウジングと、
円錐台形状を有し、前記流体チャネル内に配置された多孔性サンプル収集媒体と、
流体が前記多孔性サンプル収集媒体上に入射するように、前記流体が前記ハウジング内に導入され得る流体入口ポートと、を備える、サンプル収集デバイス。
【請求項2】
アッセイを含むサンプル試験デバイスであって、前記アッセイと前記多孔性サンプル収集媒体とが互いに隣接又は直接接触するように前記アッセイを前記サンプル収集デバイスに取り付けることができる、サンプル試験デバイス、
を更に備える、請求項1に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項3】
前記サンプル収集デバイスと前記サンプル試験デバイスとが、スナップ留め、摺動、螺合、クリッピング、又は回転のうちの少なくとも1つによって、互いに取り付けられ得、及び/又は取り外され得る、請求項2に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項4】
前記多孔性サンプル収集媒体から上流の前記流体チャネル内に配置されたスクリーンであって、空気がそれを通って流れることを可能にするが、粒子状物質を捕らえる又は捕捉する、スクリーン、
を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項5】
前記アッセイの少なくとも一部の目視検査を可能にするように構成された表示窓、
を更に備える、請求項2又は3に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項6】
前記多孔性サンプル収集媒体が、静荷電を有する不織布材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項7】
前記不織布材料が疎水性である、請求項6に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項8】
試験流体が、界面活性剤を含む水溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項9】
前記アッセイが、前記呼気気流及び/又は溶離液中のウイルス又は病原体の存在を検出する、請求項2~8のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項10】
前記アッセイが、側方流アッセイ又は垂直流アッセイである、請求項2~9のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項11】
前記第1の部分が呼気受容部分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項12】
前記第2の部分が、ポスト、及び/又は前記サンプル収集媒体と接触し、前記サンプル収集媒体を前記アッセイと接触させて保持する複数のフィンガ若しくは接触要素を含む、請求項2~11のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項13】
前記フィンガ又は接触要素は、非剛性であり、前記流体チャネルの長手方向軸に沿ってコンプライアンスを有する、請求項12に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項14】
ウイルス又は病原体の存在又は非存在について呼気気流を試験するための方法であって、
前記呼気気流が円錐台形状の多孔性サンプル媒体に入射し、装填された多孔性サンプル収集媒体を形成するように、前記呼気気流が流れる流体チャネルを有するハウジングを含むサンプル収集デバイス内に息を吐き出すことと、
液体が前記装填された多孔性サンプル媒体と接触して通過し、アッセイに入射する溶離液を形成するように、前記液体を前記装填された多孔性サンプル媒体と接触させて配置することと、
前記アッセイによって、前記溶離液中の前記ウイルス又は病原体の存在について前記溶離液を試験することと、を含む、方法。
【請求項15】
表示窓を通して、前記溶離液中の前記ウイルス又は病原体の存在の視覚的表示を読み取ること、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多孔性サンプル収集媒体が、静荷電を有する不織布材料を含む、請求項14~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記不織布材料が疎水性である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
試験流体が、水性流体、水性緩衝液、界面活性剤を含む水性流体、生理食塩水、又は界面活性剤を含む生理食塩水のうちの少なくとも1つである、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アッセイが、側方流アッセイ又は垂直流アッセイである、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
サンプル収集試験デバイスを形成する方法であって、
流体入口部分と、流体が流れ得る流体チャネルとを含む、サンプル収集デバイスの第1の部分を提供することと、
多孔性サンプル収集媒体に隣接するサンプル媒体ホルダを含む媒体レセプタクルを含む、サンプル収集デバイスの第2の部分を提供することと、
前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに取り付けて、前記多孔性サンプル収集媒体を二次元の平坦な形状又は構造から三次元の形状又は構造に変化させることと、を含む、方法。
【請求項21】
前記三次元の形状又は構造は、前記媒体レセプタクル、ポスト(単数又は複数)、及び/又はフィンガ若しくは接触要素のうちの少なくとも1つによって提供される前記形状又は構造を逆にしたものによって作成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記多孔性サンプル収集媒体の形状が円錐台形である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記多孔性サンプル収集媒体が、静荷電を有する不織布材料を含む、請求項20~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記不織布材料が疎水性である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
試験流体が、水性流体、水性緩衝液、界面活性剤を含む水性流体、生理食塩水、又は界面活性剤を含む生理食塩水のうちの少なくとも1つである、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
アッセイが、側方流アッセイ又は垂直流アッセイである、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記二次元多孔性サンプル収集媒体が、円形、卵形、楕円形、正方形、長方形、三角形、台形、五角形、六角形、七角形、又は八角形のうちの少なくとも1つの形状を有する、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
サンプル収集部分と、サンプル試験部分とを備えるサンプル収集及び試験デバイスであって、
前記サンプル収集部分は、
第1の部分及び第2の部分から延びる又はそれらによって形成されるハウジングであって、前記ハウジングは、前記第1の部分から前記第2の部分まで延びる流体チャネルを画定し、
前記第1の部分は、呼気気流を受容するように構成され、
前記第2の部分は、空気出口部分であるように、かつ、前記サンプル収集部分と前記サンプル試験部分とを係合状態に保持するために前記サンプル試験部分と協働して係合する1つ以上のポスト及びフィンガによって前記サンプル試験部分を前記サンプル収集部分に取り付けるように構成され、前記ポスト及びフィンガはまた、前記多孔性サンプル収集媒体を所定の位置に保持する及び/又はその形状を変更するように前記多孔性サンプル収集媒体と係合する、ハウジングと、
前記流体チャネル内に配置され、前記ポスト及び/又はフィンガと直接接触する多孔性サンプル収集媒体と、
流体が前記多孔性サンプル収集媒体に入射するように、前記流体が前記ハウジング内に導入され得る流体入口ポートと、を含み、
前記サンプル試験部分は、前記サンプル収集部分に取り付けることができ、
アッセイであって、前記アッセイと多孔性サンプル収集媒体とが互いに隣接又は直接接触するように前記サンプル収集デバイスに取り付けることができる、アッセイを含む、
サンプル収集及び試験デバイス。
【請求項29】
前記サンプル試験部分と前記サンプル収集部分との前記取り付けは、恒久的又は一時的のうちの1つである、サンプル収集及び試験デバイス。
【請求項30】
前記サンプル収集媒体がプリーツ加工されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項31】
プリーツ加工機構、
を更に備える、請求項1~13又は30のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項32】
前記サンプル収集媒体がプリーツ加工されている、請求項28又は29に記載のサンプル収集及び試験デバイス。
【請求項33】
プリーツ加工機構、
を更に備える、請求項28~29又は32のいずれか一項に記載のサンプル収集及び試験デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、サンプル収集デバイス及びシステム、サンプル収集デバイス及びシステムを使用するための方法、並びにサンプル収集及び試験デバイス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
Covid-19がパンデミック状態に達するにつれ、診断試験の利用可能性の増加は、重篤な疾患の特定及び制御を助けるために重要である。この疾患は、パンデミックが終了した後であっても、そのような診断試験が広く利用可能である必要性を浮き彫りにした。気道、咽喉、又は鼻咽頭におけるウイルス又は他の病原体の存在について試験するために使用される診断試験には、典型的に、サンプルを得るために、鼻腔の後部、鼻腔の中鼻甲介領域、前鼻孔、又は咽喉内へのスワブの挿入を伴う。次いで、スワブを容器内に挿入し、分析するか、又は処理のために実験室に送る。他の診断試験には、唾液サンプルを収集し、次いでそれを容器内に配置することを伴う。現在利用可能な家庭用ウイルス試験(例えば、COVID-19試験)には、鼻スワブ及び試験キット(例えば、Ellume(商標)試験、Abbot(商標)BinaxNOW(商標)試験、及びLucira(商標)オールインワン試験キット)を伴う。鼻スワブサンプル又は唾液を利用する試験は、種々の診断試験と干渉する可能性がある汚染物質と競合する。結果として、これらのサンプルタイプは、RT-PCR分子試験を使用する際に、精製ステップを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の発明者らは、上述のサンプル収集デバイス及び試験プロセスが様々な課題を有することを認識した。例えば、利用可能な試験のほとんどは、収集デバイスが実験室で処理されることを必要とし、コストを増加させ、結果の送達が遅れる。更に、試験方法の多くは、サンプル収集機構が鼻咽頭スワブ又は他のタイプの鼻スワブ若しくは口スワブであることを必要とし、これは使用者にとって不快である。この不快感は、ユーザが試験を受けない原因になり得る。更に、清潔な容器への移し替え、容器からの取り出し中などに、サンプルが汚染される可能性がある。複数のステップ及びデバイスが関与し、サンプルが汚染される可能性があるため、サンプル収集及び溶離液試験のためのこのような従来の方法及びデバイスは、訓練を受けた専門家(例えば、医療関係者)のみによって使用され得、訓練をほとんど又は全く受けていないユーザによる使用には複雑であり得る。
【0004】
したがって、本開示の発明者らは、収集されたサンプル中の標的ウイルス、標的病原体、又は他の標的検体の存在について試験するためのサンプルを得るために(素人でも)使用することができる、安価で、使用が簡単で、信頼性の高いサンプル収集システムが必要であることを認識した。本開示の発明者らは、サンプル収集及びサンプル試験が素人によって任意の場所で使用され得る単一の一体型デバイス内で行われる、使いやすく安価な一体型サンプル収集及び試験デバイスを作成しようとした。加えて、本発明者らは、ユーザが鼻咽頭スワブ又は他の鼻スワブ若しくは口スワブを受けることを必要としない、一体型サンプル収集及び試験デバイスを作成しようとした。
【0005】
したがって、本開示の発明者らは、本明細書に記載されるサンプル収集及び試験デバイス並びに方法を発明した。本明細書に記載されるサンプル収集及び試験デバイスは、エアロゾル(いくつかの事例では、バイオエアロゾル)サンプルを収集し、病原体又はウイルスの存在(又は非存在)についてエアロゾルを試験することができる。バイオエアロゾルは、例えば、鼻呼気又は口呼気からのものであり得る。したがって、本明細書に記載されるサンプル収集及び試験デバイスは、エアロゾル(いくつかの事例では、バイオエアロゾル)サンプルの迅速な試験を可能にし、効率を高め、コスト及び複雑さを低くする。更に、開示されるサンプル収集デバイスは、サンプル収集及び試験の両方を単一のユニットで行うことができるので、サンプルの汚染の可能性を最小限にし得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、本明細書に記載されるサンプル収集デバイスを使用して収集され、処理のために実験室に送られ得る。更に、開示されるサンプル収集デバイスは、いかなる事前の訓練又は専門家の助けなしに、ユーザ(例えば、潜在的な患者)によって容易に使用され得る。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、一体型サンプル収集及び試験デバイスを形成するためにサンプル試験部分又はデバイスに取り付けることができるサンプル収集部分又はデバイスを含む、サンプル収集及び試験デバイスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図と共に以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示する例示的実施形態を、より完全に理解することができる。図は、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかし、所与の図内における構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0008】
【
図1】本開示によるサンプル収集及び試験デバイスの1つの例示的実施形態の概略正面斜視図である。
【0009】
【
図2】
図1のサンプル収集及び試験デバイスの概略側面図である。
【0010】
【
図3A】
図1のサンプル収集デバイスの第2の部分の斜視概略側面図である。
【0011】
【
図3B】
図1のサンプル収集デバイスの第2の部分の斜視概略上面図である。
【0012】
【
図4A】
図1のサンプル収集デバイスの組み合わせを形成するために、サンプル収集デバイスの第1の部分との接続に接近する、
図3A及び3Bに示されるサンプル収集デバイスの第2の部分の斜視概略側面図である。
【0013】
【
図4B】
図1に示されるサンプル収集デバイスを形成するために、サンプル収集デバイスの第1の部分に接続している、
図3A及び
図3Bに示されるサンプル収集デバイスの第2の部分の斜視概略底面図である。
【0014】
【
図5】
図4Bに示される接続された第1の部分及び第2の部分の分解概略側面図である。
【0015】
【
図6】
図4B又は
図5の三次元多孔性サンプル収集デバイスの概略側面図である。
【0016】
【
図7A】任意選択のラッチシステムを含む、サンプル収集デバイスの斜視概略側面図である。
【0017】
【
図7B】
図7Aのサンプル収集システムの一部の拡大図である。
【0018】
【
図7C】
図7Aのサンプル収集デバイスの斜視概略底面図である。
【0019】
【
図7D】試験デバイスの長手方向軸に沿った、
図7Cのサンプル収集デバイスの拡大図である。
【0020】
【
図8】
図7A~
図7Dのラッチシステムを含む取り付け機構の例示的実施形態の斜視概略図である。
【0021】
【
図9A】それぞれ、本開示のサンプル収集デバイス内に任意選択的に含まれ得る、例示的なプリーツ加工機構の斜視概略図及び上面概略図である。
【
図9B】それぞれ、本開示のサンプル収集デバイス内に任意選択的に含まれ得る、例示的なプリーツ加工機構の斜視概略図及び上面概略図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【
図12】
図9A~
図11のプリーツ加工機構によって形成された、プリーツ加工されたサンプル収集媒体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示のいくつかの実施形態は、一体型サンプル収集及び試験デバイスを形成するためにサンプル試験部分又はデバイスに取り付けることができるサンプル収集部分又はデバイスを含む、サンプル収集及び試験デバイスに関する。
【0026】
図1及び
図2は、一体型サンプル収集及び試験デバイス100を一緒に形成する、例示的なサンプル試験デバイス150に接続された例示的なサンプル収集デバイス110の異なる図を示す。ユーザは、サンプル収集デバイス102内に呼気気流を導入するために、マウスピース若しくは呼気受容部分108又は第1の部分104内に息を吐き出す。ユーザの呼気は、鼻呼気又は口呼気であり得る。呼気気流は、ブローチューブ110内の流体チャネルを通って、サンプル収集媒体112上に流れる。ウイルス性物質又は病原体物質は、多孔性サンプル収集媒体112に入射して付着又は結合し、吐き出された物質が装填された多孔性サンプル収集媒体(装填されたサンプル収集媒体と呼ばれる)を形成する。
【0027】
次いで、ユーザは、例えば、2つの部品を一緒にスナップ留めすることによって、サンプル試験デバイス150をサンプル収集デバイス102に(恒久的又は一時的のいずれかで)取り付ける。いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイス102及びサンプル試験デバイス150は、ユーザがマウスピース又は呼気受容部分108あるいは第1の部分104内に息を吐き出す前に、一体型サンプル収集及び試験デバイス100を形成するために接続される。次いで、ユーザは、1つ以上の流体入口ポート118を通して、(例えば、ドロッパー又はボトルによって)流体をデバイスに導入する。この実施態様では、1つ以上の流体入口ポート118は、ブローチューブ110を形成する同じ穴又は開口部である。1つ以上の流体入口ポート118を通して導入される流体は、装填された多孔性収集媒体112に入射し、装填された多孔性収集媒体112から試験デバイス150内のアッセイ160に向かって移動する溶離液を形成する。より具体的には、流体は、装填された多孔性サンプル収集媒体112を通って移動し、溶離液中の装填された多孔性サンプル収集媒体112上に存在していたウイルス性及び病原体を、試験のためにアッセイ160(図示せず)に向かって運ぶ。任意選択的に、サンプル試験デバイス150は、ユーザがサンプル収集デバイス102内に提供した呼気気流中のウイルス性物質又は病原性物質の存在又は非存在をユーザに知らせる視覚インジケータ170を含む。
【0028】
サンプル収集及び試験デバイス100の2部品設計は、サンプル収集デバイス102及び/又はサンプル試験デバイス150のうちの1つ以上の廃棄可能性及び/又は再利用を促進することができる。2部品設計はまた、例えば、異なるウイルス又は病原体の存在について試験するための異なるアッセイを備えた種々のサンプル試験デバイスを、ユーザが使用することを可能にする。
【0029】
本明細書に記載されるサンプル収集及び試験デバイスの部分のそれぞれ、並びにサンプル収集及び試験デバイス100として示される一実施態様は、以下でより詳細に説明される。
サンプル収集デバイス
【0030】
図4Aに示されるように、サンプル収集デバイス102は、第1の部分104と第2の部分106とを含む。第1の部分104及び第2の部分106は、第1の部分104を通って入る空気及び/又は流体(例えば、ユーザの呼気によって提供され、例えば、呼気気流と呼ばれる)が、第2の部分106を通って出る前に流れる流体チャネルを含むハウジングを共同で形成する。本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、液体又は気体(すなわち、空気)を指し得る。第1の部分104及び第2の部分106は、ここでは別個であり取り付け可能なものとして示されているが、それらは一体(単一ユニット)であってもよい。第1の部分104及び第2の部分106が取り付け可能である場合、それらは恒久的に取り付け可能であってもよく、又は一時的に取り付け可能であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分104は、マウスピース又は呼気受容部分108(任意選択)を含む。ユーザは、サンプル収集デバイス102内に呼気気流110を導入するために、マウスピース若しくは呼気受容部分108又は第1の部分104内に息を吐き出す。マウスピース又は呼気受容部分は、口又は鼻のうちの1つ以上から呼気気流を受容するように構成される。例えば、マウスピース又は呼気受容部分は、口との接触若しくは口への隣接によって、又は鼻/鼻孔との接触によって、又はそれぞれ個々に若しくは集合的に接触することによって、呼吸することができる。マウスピース又は呼気受容部分によって受容される呼気気流は、口呼気又は鼻呼気の一方又は両方であり得る。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、エアロゾルの口又は鼻からの呼気を受容することができる呼気受容部分を指すように意味する。サンプル収集デバイス102は、プラスチックなどの剛性材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分104、第2の部分106、及び/又はマウスピース若しくは呼気受容部分108は、ハウジング102の一体部品であってもよく、又はそれらのうちの1つ以上は、取り外し、取り付け、若しくは再取り付けすることができる別個の部品であってもよい。
【0031】
第1の部分104は、呼気気流が流れ、流体入口ポート118を通して導入された流体が流れるブローチューブ109を形成する。ブローチューブ109は、第1の末端部に任意選択のマウスピース又は呼気受容部分108を含み、第2の末端部に取り付け機構134を含む。
【0032】
図4Aの取り付け機構134は単なる例示であり、他のものを使用することができる。例示的な取り付け機構134は、媒体ホルダ130の壁に当たる干渉バンプ114と、1つ以上のポスト136と、第2の部分106の媒体ホルダ又はレセプタクル130と係合する複数のフィンガ又は接触要素138とを含む。
図2に示されるように、フィンガ又は接触要素138は、それらがある程度の垂直屈曲及び/又は水平屈曲を有することを可能にする概ねL字形状を有し、それらがばねのように作用し、ある程度のコンプライアンスをシステムに提供することを可能にする。いくつかの実施形態では、フィンガ及び/又はポストは、アッセイ試験ストリップの平面に対して接線方向に屈曲する(言い換えれば、Z方向に/Z軸に沿って屈曲する)。いくつかの実施形態では、コンプライアンスは、ブローチューブ110又は流体チャネルの長手方向軸に沿っている。1つ以上のポスト136は、フィンガ又は接触要素138よりも剛性であり得る。ポスト(単数又は複数)136及びフィンガ要素138は、アッセイに隣接して又はアッセイと直接接触して多孔性サンプル収集媒体を保持し得る。示された特定の実施態様において、実施形態は、4つのフィンガ又は接触要素138を有するが、より多くの又はより少ない数が使用されてもよく、依然として本出願の範囲内にある。フィンガ又は接触要素138はまた、第1の部分104及び第2の部分150の取り付けが、ユーザによって容易に行われ、かつ多孔性サンプル収集媒体112を断裂させ、その結果場合によっては試験を無効にする可能性がある過剰な力を伴わずに行われ得るように、システム内の高さ変動を補償する。
【0033】
1つ以上の流体入口ポート118は、多孔性サンプル収集媒体112と流体連通して配置される。1つ以上の流体入口ポート118は、毛管作用を介して多孔性サンプル収集媒体112に試験流体を送達することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイス100は、中実物質又はデブリ(例えば、食物粒子など)が多孔性サンプル収集媒体112に入射しないように中実物質又はデブリを捕らえるために、ハウジング、ブローチューブ110、又はマウスピース若しくは呼気受容部分108内に、かつ多孔性サンプル収集媒体112の上流に配置されたスクリーン(図示せず)を更に含む。いくつかの実施形態では、スクリーンは、それを通る1つ以上の流れ開口部を含む。呼気気流は、スクリーンの厚さを通過する。スクリーンは、流体チャネルを少なくとも部分的に閉塞する。場合によっては、スクリーンは、スクリーンの厚さを通過する呼気気流(図示せず)の方向に直交する主平面(図示せず)を有してもよい。スクリーンは、スクリーンを通過する呼気気流から、より大きい粒子を濾過除去するように構成された不織布層であってもよい。場合によっては、スクリーンは、静荷電を有しない不織布層であってもよい。いくつかの実施形態では、スクリーンは、有意な量のウイルス性物質又は病原体物質を捕捉せず、代わりにそれらがスクリーンを透過することを可能にする。いくつかの実施形態では、スクリーンは、プラスチックメッシュ、織られたネット、ニードルタッキングされた繊維ウェブ、編まれたメッシュ、押出成形されたネット、及び/又はカードされた若しくはスパンボンドされたカバーストックのうちの少なくとも1つから作製されるか、あるいはそれを含む。いくつかの実施形態では、スクリーンは、100マイクロメートル、又は75マイクロメートル、又は50マイクロメートル、又は25マイクロメートル、又は10マイクロメートル、又は5マイクロメートル未満のサイズを有する粒子を、空気流から捕らえない又は除去しない。
【0035】
第2の部分106は、(1)多孔性サンプル収集媒体112が配置され保持されるサンプル媒体レセプタクル130と、(2)サンプル収集デバイス102をサンプル試験デバイス150に取り付ける取り付け機構140とを含む。
図1~
図7の例示的な実施態様では、取り付け機構140は、ユーザが、例えば、2つの部品を互いにスナップ留めすることによって、サンプル試験デバイス150をサンプル収集デバイス110に取り付けることを含む。当業者は、例えば、摺動、螺合、クリッピング、又は回転を含む、他の取り付け機構及びプロセスが使用され得ることを理解するであろう。サンプル媒体ホルダ又はレセプタクル130は、多孔性サンプル収集媒体112が流体チャネルと流体連通し、流体チャネルを少なくとも部分的に閉塞するように、サンプル収集デバイス102内に多孔性サンプル収集媒体112を保持する。
【0036】
図3A~
図4Bは、二次元多孔性サンプル収集媒体112がサンプル媒体レセプタクル130内に配置されて保持されるプロセスと、二次元多孔性サンプル収集媒体112がどのように三次元多孔性サンプル収集媒体112になるかとを示す。
図3Aに示されるように、多孔性サンプル収集媒体112の部品は、サンプル収集媒体112が載置されるサンプル媒体ホルダ132(図示せず)上に又はそれに隣接して、サンプル媒体レセプタクル130内に配置される。例示的なサンプル媒体ホルダ132(図示せず)は、サンプル媒体レセプタクル130の内面上のリップ若しくは縁部、又は多孔性サンプル収集媒体112が載置されるサンプル媒体レセプタクル130の底部上のスクリーンを含む。サンプル媒体ホルダ132は、好ましくは、空気がそれらを通過することを可能にする。
図3Bは、サンプル媒体レセプタクル130内のサンプル媒体ホルダ132(図示せず)上に載置されている多孔性サンプル収集媒体112を示す。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、接着剤(例えば、感圧接着剤、多孔性接着剤、構造化接着剤、熱活性化接着剤、及び/又は医療グレード接着剤)によって、サンプル媒体ホルダ132に取り付けられる。接着剤は、連続であってもよく、又は不連続であってもよい。接着剤は、パターン化されていてもよく、又は連続であってもよい。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、フックアンドループ、並びに/又は3M(商標)デュアルロック(商標)着脱可能ファスナーによってサンプル媒体ホルダ132に取り付けられる。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、ピン、ステープル留め、さねはぎ接続などの機械的な取り付けによってサンプル媒体ホルダ132に取り付けられる。
【0037】
図4A及び
図4Bは、サンプル収集デバイス102の第1の部分104が、サンプル収集デバイス102の第2の部分106にどのように取り付けられるか、又はどのように隣接して配置されるかを示す。第1の部分104及び第2の部分106の取り付けにより、多孔性サンプル収集媒体112を二次元の平坦な形状又は構造から三次元の形状又は構造に変化させる。
図4B及び
図6に示される特定の三次元の形状又は構造は、円錐台形の形状又は構造であるが、当業者は、この形状が、ポスト(単数又は複数)136及びフィンガ若しくは接触要素138の数、形状、及び配置、並びに/又は媒体レセプタクル130の形状に応じて変更され得ることを理解するであろう。更に、当業者は、二次元多孔性サンプル収集媒体112が円形として示されているが、例えば、円形、卵形、楕円形、正方形、長方形、三角形、台形、五角形、六角形、七角形、又は八角形のうちの少なくとも1つを含む、任意の所望の形状であり得ることを理解するであろう。
【0038】
図7A~
図7D及び
図8は、取り付け機構140に含まれ得る任意選択の例示的なラッチシステムを示す。ラッチシステムは2つの特徴部を含み、その一方又は両方が、任意選択的に存在してもよい。任意選択のラッチシステムの第1の特徴部は、サンプル試験デバイス150に付着する取り付け機構内/上の前面ラッチ又はクリップ710である。前面ラッチ又はクリップ710は、サンプル試験デバイス150がサンプル収集及び試験デバイス内で摺動又は移動することを防止する。
【0039】
第2の特徴部は、サンプル試験デバイス150を所定の位置にしっかりと保持するサイドラッチ又はクリップ720のセットである。図示の実施態様は、4つのサイドラッチ又はクリップ720と、2つの異なるタイプのラッチとを有する。ラッチ720aは、概ね45度の角度を有する面取りされたラッチである。ラッチ720bは、丸みを帯びたラッチである。クリップ720のラッチのタイプ、数、配置、又は配向は、単に例示的なものであり、クリップ720のラッチの任意の所望のタイプ、数、配置、又は配向を使用することができる。ラッチは全て同じであってもよく、又は互いに異なっていてもよい。サンプル試験デバイス150を所定の位置にしっかりと保持することに加えて、ラッチ又はクリップ720はまた、呼気捕捉チューブへのサンプル試験デバイス150の正確な位置決め、位置合わせ、及び/又は取り付けを確実にする。これらの取り付け特徴部は、一緒に、サンプル試験デバイス150を全ての平面及び方向において所定の位置にしっかりと保持する。
【0040】
いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、必要に応じて、交換可能であってもよく、かつユーザによって交換されてもよい。例えば、ユーザは、第1の部分104を介して、サンプル収集デバイス102内に息を吐き出し、多孔性サンプル収集媒体112に呼気気流のサンプルを装填して、装填された多孔性サンプル収集媒体を形成することができる。次いで、ユーザは、本明細書に記載されるように、装填された多孔性サンプル収集媒体112を試験することができる。試験を行った後、ユーザは、装填され試験された多孔性サンプル収集媒体112を処分してもよく、次いで、上述のプロセスを使用して、装填された多孔性サンプル収集媒体112を装填されていない多孔性サンプル収集媒体112と交換してもよい。
サンプル試験デバイス
【0041】
サンプル試験デバイス150は、例えば、2つの部品を一緒にスナップ留めすることによって、サンプル収集デバイス102に付着する。サンプル試験デバイス150は、ウイルス又は病原体の存在又は非存在について溶離液(したがって、代わりに呼気気流)を試験するアッセイ160(図示せず)を含む。アッセイ160は、多孔性サンプル収集媒体112から、例えば、毛管作用によって流れる溶離液がアッセイに入射し、溶離液中の装填された多孔性サンプル収集媒体112上に存在していたウイルス性及び病原体を、試験のためにアッセイ160(図示せず)に向かって運ぶように、多孔性サンプル収集媒体112に隣接しているか又は直接接触している。いくつかの実施形態では、アッセイは、多孔性サンプル収集媒体と直接物理的に接触して、多孔性サンプル収集媒体からの溶離液の受容を可能にする。いくつかの実施形態では、アッセイは、多孔性サンプル収集媒体に隣接しているが直接物理的に接触せず、多孔性サンプル収集媒体からの溶離液の受容を可能にする。
【0042】
アッセイ160は、多孔性サンプル収集媒体112から流体を受容するように構成される。具体的には、アッセイ160は、多孔性サンプル収集媒体112から試験流体を受容するように構成される。したがって、アッセイ160は、多孔性サンプル収集媒体112と流体連通して配置される。概して、溶離液は収集され、アッセイ150によって試験される。いくつかの実施形態では、アッセイ150は、呼気気流110及び/又は試験流体中のウイルス又は病原体の存在を検出する。言い換えれば、アッセイ150はまず溶離液を収集し、次いで溶離液中のウイルス又は病原体の存在を検出する。
【0043】
アッセイ160は、サンプル収集媒体112上の検体の存在、量、及び/又は機能的活性を定性的に評価又は定量的に測定する。検体は、薬物、生化学物質、化学元素若しくは化合物、又は微生物若しくは有機サンプル中の細胞であり得る。例示的な生物学的アッセイとしては、例えば、PCR-ELISA又は蛍光が挙げられる。アッセイ160は、ユーザ/患者から採取されたエアロゾル(いくつかの事例では、バイオエアロゾル)サンプル中の疾患又はリスクのマーカーである、しばしば低濃度の分子を検出することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイスとサンプル試験デバイスとを互いに隣接して保持する機構は、アッセイに対するサンプル収集デバイスの移動を制限する。いくつかの実施形態では、制限された移動は、アッセイ試験ストリップの平面に対して垂直である(言い換えれば、Z方向/Z軸に沿った移動がない)。いくつかの実施形態では、制限された移動は、アッセイ試験ストリップの平面に対して平行である(言い換えれば、X方向又はY方向/X軸又はY軸に沿った移動がない)。
【0045】
本開示のサンプル収集デバイスは、対象、群、又は領域から収集される物質のサンプルを作製するために、液滴、エアロゾル、又は微粒子を収集するために使用され得る。サンプルを収集するために、表面を湿潤させることによって表面電荷を減少させる。これは、界面活性剤、湿潤剤、表面エネルギー適合溶媒の添加、又は機械的手段によって達成することができる。サンプルが湿潤されると、収集された物質は、試験のために流体内で搬送され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、アッセイは、側方流アッセイ又は垂直流アッセイである。概して、側方流アッセイ又は垂直流アッセイは、複雑な混合物中の検体の検出及び定量化のための紙ベースのプラットフォームであり、サンプルが試験デバイス上に配置され、その結果が5~30分以内に表示される。側方流アッセイの低い開発コスト及び製造の容易さにより、迅速な試験が必要とされる複数の分野へのその適用の拡大をもたらした。側方流アッセイベースの試験は、特定の抗原及び抗体、並びに遺伝子増幅の産物の定性的及び定量的検出のために、病院、診療所、及び臨床検査室において広く使用されている。種々の生物学的サンプルが、アッセイを使用して試験され得る。
【0047】
任意選択的に、サンプル試験デバイス150はまた、ユーザがサンプル収集デバイス102内に提供した呼気気流中のウイルス性物質又は病原性物質の存在又は非存在をユーザに知らせる視覚インジケータ170を含む。視覚インジケータは、例えば、ウイルス性物質又は病原性物質の存在(又は非存在)を示す文字、色、単語、形状、又は線を含むことができる。サンプル試験デバイス150は、アッセイ160の少なくとも一部の目視検査を可能にするように構成された表示窓154を含んでもよい。具体的には、ユーザは、表示窓を介して、アッセイ160上の試験結果を見ることができ、溶離液及び/又は試験流体中の病原体の存在又は非存在の表示を得ることができる。
【0048】
任意選択的に、サンプル試験デバイス150は、流体チャネルとアッセイ160との間に配置される障壁(図示せず)を含んでもよい。障壁は、ユーザが呼気気流をサンプル収集デバイス102内に息を吐き出す又は導入する前にサンプル収集デバイス102及びサンプル試験デバイス150が取り付けられる場合に、呼気気流とアッセイ160との間の直接的な流体連通を防止するように構成され得る。障壁は、アッセイ160の面積全体を被覆又は封入し、流体チャネルとアッセイ160との間の層として機能することができる。
【0049】
試験流体 いくつかの実施形態では、試験流体は、界面活性剤を含む水溶液である。いくつかの実施形態では、試験流体は、水性緩衝液であってもよい。いくつかの実施形態では、試験流体は、生理食塩水であってもよい。いくつかの実施形態では、試験流体は、界面活性剤を含む生理食塩水であってもよい。いくつかの実施形態では、試験流体は、約0.5重量%~約2重量%の界面活性剤を含む生理食塩水であってもよい。
【0050】
媒体 いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、不織布材料を含む。いくつかの実施形態では、不織布材料(例えば、不織布濾過材料)は、静荷電を有する。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、呼気気流から病原体を濾過するように構成された静荷電を有する不織布濾過材料を含む。いくつかの実施形態では、不織布濾過材料は、疎水性である。したがって、疎水性不織布濾過材料は、呼気気流から病原体を濾過するように構成されてもよい。場合によっては、多孔性サンプル収集媒体112は、200マイクロメートル(mm)~1000mm、又は250mm~750mmの範囲の厚さ(主平面114に直交する)を有してもよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、90度以上、又は約90度~約170度、又は約100度~約150度の水接触角を有する材料を指す。水接触角は、自動接触角試験機を使用して、シート状材料の表面湿潤性及び吸収性についてのASTM D5727-1997標準試験法を使用して測定される。
【0052】
場合によっては、多孔性サンプル収集媒体112は、ポリマー材料から形成されてもよい。場合によっては、多孔性サンプル収集媒体112は、ポリオレフィンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、ポリプロピレンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、多孔性サンプル収集媒体112は、例えば、NatureWorks LLC15305 Minnetonka Blvd Minnetonka,MN 55345からの6100Dなどの、ポリラクチド(PLA)から形成されてもよい。多孔性サンプル収集媒体112において又は多孔性サンプル収集媒体112として使用するための例示的な不織布材料としては、例えば、これら全てが、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,947,142号、同第8,162,153号、同第9,139,940号、及び同第10,273,612号に記載されるものが挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、不織布媒体はプリーツ加工されている。サンプル収集媒体自体が、プリーツ加工されていてもよい。
【0054】
あるいは、サンプル収集デバイスは、最初は平坦又は比較的平坦なサンプル収集媒体112にプリーツ加工パターン又は形状を作り出すプリーツ加工機構を含んでもよい。1つの例示的なプリーツ加工機構が、
図9~
図12に示されている。プリーツ加工機構910は、複数のプリーツ加工特徴部を含み、プリーツ加工特徴部は、この実施態様では、隆起部914及び凹部916である。隆起部136は媒体ホルダ130内にあり、凹部916は取り付け機構140内にある(ただし、これは単なる例示であり、2つを逆にしてもよい)。
図10及び
図11に示されるように、サンプル収集媒体の比較的平坦な部品が媒体ホルダ130と取り付け機構140との間に配置され、2つの部品130及び140が一緒にしっかりと押し付けられると、サンプル収集媒体112に山及び谷(したがってプリーツ)が形成される。これは、ポスト136がサンプル収集媒体112を押し、サンプル収集媒体112にプリーツ加工特徴部(例えば、隆起部914及び凹部916)の形状を取らせるときに生じる。ポスト136はまた、試験デバイス150に隣接してサンプル収集媒体を保持し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、媒体ホルダ130は、取り付け機構がそれに隣接して取り付けられる又は押し込まれるまで、サンプル収集媒体112をプリーツ加工機構に近接して保持する事前準備領域を含む。これは
図10及び
図11に示されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、媒体ホルダ130及び取り付け機構140は、プリーツ加工された形式でサンプル収集媒体112を保持する所定の位置にロックする。
図9~
図12に示されるプリーツ加工特徴部の具体的なプリーツ加工パターン又は形状は、概ね円錐台形のプリーツ加工された形状及び/又はパターンであるが、任意の所望のパターン及び形状が使用されてもよい。更に、
図9A~
図11に示された隆起部914及び凹部916の具体的な数は例示的なものであり、必要に応じて変更することができる。例えば、プリーツ加工特徴部の数、サイズ、及び間隔は、サンプル収集媒体のサイズ、並びに/又は、円錐形状若しくは円筒形状の高さ及び形状に基づいて変化してもよい。
【0057】
図12は、プリーツ加工された形態のサンプル収集媒体112の写真である。
【0058】
図9A~
図11の特定の実施形態はまた、媒体ホルダ130と取り付け機構140とが互いに取り付けられるときに位置合わせされて嵌合する、任意選択の位置合わせスロット940及び嵌合可能な位置合わせタブ950を含む。位置合わせタブ950は、隆起部914と凹部916とが位置合わせされるように、媒体ホルダ130と取り付け機構とが嵌合される又は取り付けられることを確実にする。
【0059】
いくつかの実施形態では、プリーツの頻度は、媒体の0.6cm当たり約1プリーツ~媒体の2mm当たり約1プリーツである。いくつかの実施形態では、プリーツの高さは、約2mm~約4mmである。
【0060】
プリーツ加工されたサンプル収集媒体は、表面積の増加及びサンプル収集デバイス内でのサンプル収集媒体の位置合わせの改善を含む、特定の利点を提供する。プリーツ加工機構は、具体的には、プリーツ加工を形成することによってサンプル収集媒体内のいかなるスロップ(slop)も排除した。これにより、より良好なサンプル収集媒体の位置合わせ、したがって、サンプル収集デバイスのより良好な性能がもたらされる。
【0061】
押圧要素場合によっては、サンプル収集デバイス100は、装填された多孔性サンプル収集媒体112上に圧力を印加するように構成されている、押圧要素(図示せず)を含んでもよい。この押圧要素は、収集及び試験のために、装填された多孔性サンプル収集媒体112から残りの試験流体を押し出すことができる。
【0062】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0063】
以下の説明では、説明の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付の図面が参照される。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0064】
本明細書で使用される「実質的」という用語は、「著しく」と同じ意味を有し、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%によって後に続く用語を修飾すると理解することができる。
【0065】
「約」という用語は、本明細書では、当業者によって予想される測定値の通常の変動を含むために数値と共に使用され、「約」と同じ意味を有し、記載された値の±5%などの典型的な誤差のマージンをカバーすると理解することができる。
【0066】
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示するために用いることができる一般的な種類を含む。
【0067】
用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙が後に続く、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、及び列挙中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「又は」という用語は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0069】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含み、あるいは10以下は、10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3などを含む)。値の範囲が特定の値「まで」又は「少なくとも」特定の値である場合、その値は、その範囲内に含まれる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、組成物、生成物、方法などに関する場合、その組成物、生成物、方法などの構成要素が、列挙されている構成要素と、その組成物、生成物、方法などの基本的特性及び新規の特性(単数又は複数)に対して実質的に影響を及ぼさない任意の他の構成要素とに限定されることを意味する。
【0071】
本明細書において言及される任意の方向、例えば、「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上側」、「下側」、並びに他の方向及び向きは、本明細書では、図に関する明確性のために記載されるものであり、実際のデバイス若しくはシステム、又はデバイス若しくはシステムの使用を限定するものではない。本明細書に記載されるようなデバイス又はシステムは、いくつかの方向及び向きで使用することができる。
【0072】
「下流」及び「上流」という用語は、デバイスを通る呼気気流の方向に基づく相対位置を指す。
【0073】
特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】