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特表2024-513112既定の障害物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する場所を決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】既定の障害物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する場所を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240313BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561602
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022059401
(87)【国際公開番号】W WO2022214648
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2103631
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521527163
【氏名又は名称】トタルエナジーズ エスイー
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES SE
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル ボルニュ,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】プーラン,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヌーヴィル,テオ
(72)【発明者】
【氏名】ベナイム,ダヴィド
(57)【要約】
【課題】太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを、事業者が識別するのを助けるための手段を提供する。
【解決手段】太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンの決定方法で、既定上空から見たテリトリーの画像内の既定の障害物を検出するステップ(110)と、画像を基本部分へとメッシュ化するステップ(120)と、障害物が位置設定されている各基本部分に対し第1の数字を割当て他の基本部分に対し第2の数字を割当てることによって、メッシュを主行列と呼ばれる行列に変換するステップ(130)と、第2の数字のみを含み、かつ太陽光発電パネルの設置のための適合性基準を満たしている、未加工部分行列と呼ばれる最大部分行列を識別するステップ(140)と、決定された未加工部分行列にしたがって太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンを決定するステップ(150)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の障害物(O)と区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーン(Z)と呼ばれる一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法において、コンピューターにより実施され、かつ、
a.上空から見たテリトリーの少なくとも一つの画像(IM)を受信するステップと、
b.画像(IM)上に画像化された既定の障害物(O)を検出するステップと、
c.画像(IM)を基本部分へとメッシュ化するステップと、
d.障害物(O)が位置設定されている各基本部分に対し第1の数字を割当て、他の基本部分に対し第2の数字を割当てることによって、メッシュを主行列と呼ばれる行列に変換するステップであって、第2の数字が第1の数字と異なるものであるステップと、
e.第2の数字のみを含み、かつ太陽光発電パネルの設置のための少なくとも一つの適合性基準を満たしている、未加工部分行列と呼ばれる最大部分行列を識別するステップと、
f.決定された未加工部分行列にしたがって太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記未加工部分行列の形状が、太陽光発電パネルの形状に適合するものとなるように予め決定されており、既定の形状が矩形であることを、少なくとも一つの適合性基準が規定している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンが閾値表面積以上であり、閾値表面積が太陽光発電パネルの寸法に適合するものとなるように選択されており、閾値表面積が1ヘクタール以上であることを、前記少なくとも一つの適合性基準が規定している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
候補ゾーンを決定する前記ステップが、
a.既定の段階で未加工部分行列を回転させるステップと、
b.存在する場合、未加工部分行列が専ら第2の数字によって取り囲まれている未加工部分行列の位置を決定するステップ、および、
c.中間部分行列を得るステップであって、中間部分行列が、未加工部分行列であるか、または、決定された位置での未加工部分行列の第2の数字および決定された位置での未加工部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列であるかのいずれかであり、候補ゾーンが、中間部分行列にしたがって決定されるステップと、
を含む、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記候補ゾーンを決定するステップが、
a.中間部分行列を取り囲む空間を基本下位部分へとメッシュ化するステップであって、基本下位部分が基本部分よりも厳密に小さい寸法を有し、障害物(O)が位置設定されている各々の基本下位部分に対して第1の数字が割当てられ、他の基本下位部分に対して第2の数字が割当てられるステップと、
b.最終部分行列を得るステップであって、最終部分行列が中間部分行列かまたは中間部分行列の第2の数字、かつ該当する場合、中間部分行列が専ら第2の数字により取り囲まれている場合には中間部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列のいずれかであり、候補ゾーンが最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンであるステップと、
を含む、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記候補ゾーンを決定する前記ステップの後、決定された候補ゾーンに対応する主行列の基本部分に対して第1の数字を割り当てるステップと、未加工部分行列が識別されているかぎり候補ゾーンを識別し決定するステップを反復するステップとを含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記画像(IM)上の障害物(O)の検出ステップが、上空から見た障害物(O)の画像を含むデータベース上で予めトレーニングされた少なくとも一つの検出モデルによって実施される、請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記障害物(O)が、建物、道路、屋外駐車場、線路、送電線および水域のうちの要素の少なくとも一つを含む、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの決定された候補ゾーン(Z)の放射照度を決定するステップを含む、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
コンピュータープログラムがコンピューターで実行される際に、請求項1から9のいずれか一つに記載の方法の各ステップを実施する、コンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既定の障害物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法に関する。
本発明は、さらにこのような方法と結び付けられたコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーからの発電は、我々の社会の一つの課題である。
この目的のために、太陽エネルギーから電気を生成するために使用される太陽光発電パネルを含めた専用の設備が開発されてきた。
太陽光発電パネルは、従来、回収エネルギーを最大化するために建物の屋根の上に設置されている。
【0003】
太陽光発電パネルの大規模展開のためには、一つのテリトリーで、このようなパネルの設置に適合するゾーンを他のゾーンと識別することが求められる。
しかしながら、このようなゾーンを、マッピング上で識別することは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを、事業者が識別するのを助けるための手段の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本明細書の主題は、既定の障害物と明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンと呼ばれるテリトリーのゾーンを決定するための方法において、コンピューターにより実施され、かつ:
a.上空から見たテリトリーの少なくとも一つの画像を受信するステップと、
b.画像上で既定の障害物の画像を検出するステップと、
c.画像を基本部分へとメッシュ化するステップと、
d.障害物が位置設定されている各基本部分に対し第1の数字を割当て、他の基本部分に対し第2の数字を割当てることによって、メッシュを主行列と呼ばれる行列に変換するステップであって、第2の数字が第1の数字と明確に異なるものであるステップと、
e.第2の数字のみを含み、かつ太陽光発電パネルの設置のための少なくとも一つの適合性基準を満たしている、未加工部分行列と呼ばれる最大部分行列を識別するステップと、
f.決定された未加工部分行列にしたがって太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンを決定するステップと、
を含む方法にある。
【0006】
他の詳細な実施形態によると、該方法は、個別にまたは技術的に考えられる全ての組合せにしたがって考慮される以下の特徴のうちの一つ以上を含む:
- 未加工部分行列の形状が、太陽光発電パネルの形状に適合するものとなるように予め決定されており、既定の形状が好適には矩形であることを、少なくとも一つの適合性基準が規定している;
- 未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンが閾値表面積以上であり、閾値表面積が太陽光発電パネルの寸法に適合するものとなるように選択されており、閾値表面積が好適には1ヘクタール以上であることを、少なくとも一つの適合性基準が規定している;
- 候補ゾーンを決定するステップは:
a.既定の段階で未加工部分行列を回転させるステップ、
b.存在する場合、未加工部分行列が専ら第2の数字によって取り囲まれている未加工部分行列の位置を決定するステップ、および、
c.中間部分行列を得るステップであって、中間部分行列が、未加工部分行列であるか、または、決定された位置での未加工部分行列の第2の数字および決定された位置での未加工部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列であるかのいずれかであり、候補ゾーンが、中間部分行列に応じて決定されるステップと、
を含む;
- 候補ゾーンを決定するステップは:
a.中間部分行列を取り囲む空間を基本下位部分へとメッシュ化するステップであって、基本下位部分が基本部分よりも厳密に小さい寸法を有し、障害物が位置設定されている各々の基本下位部分に対して第1の数字が割当てられ、他の基本下位部分に対して第2の数字が割当てられるステップと、
b.最終部分行列を得るステップであって、最終部分行列が、中間部分行列かまたは、中間部分行列の第2の数字、かつ該当する場合、中間部分行列が専ら第2の数字により取り囲まれている場合には中間部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列のいずれかであり、候補ゾーンが最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンであるステップと、
を含む;
- 候補ゾーンを決定するステップの後、該方法は、決定された候補ゾーンに対応する主行列の基本部分に対して第1の数字を割り当てるステップと、未加工部分行列が識別されるまで候補ゾーンを識別し決定するステップの反復とを含む;
- 画像上の障害物の検出ステップが、上空から見た障害物の画像を含むデータベース上で予めトレーニングされた少なくとも一つの検出モデルによって実施される;
- 障害物は、建物、道路、屋外駐車場、線路、送電線および水域のうちの少なくとも一つを含む;
- 該方法は、少なくとも一つの決定された候補ゾーンの放射照度を決定するステップを含む。
【0007】
本明細書はさらに、コンピュータープログラムがコンピューターで実行される際に上述の方法を実行するためのコンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品に関する。
【0008】
本明細書はさらに、以上で説明したようなコンピュータープログラム製品が記憶されている可読情報媒体に関する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下で、単なる一例として提供されている本発明の実施形態の説明を読み以下の図面を参照した時点で、明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】既定の障害物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施に使用されるコンピューターの一例の概略図である。
図2】既定の障害物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを決定するための方法の一実施例の流れ図である。
図3】未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンの一例の略図である。
図4】未加工部分行列の回転の後に得られる中間部分行列に対応するテリトリーのゾーンの一例の略図である。
図5】中間部分行列を取り囲む空間を基本下位部分へとメッシュ化した後に得られた最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンの一例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
計算機10およびコンピュータープログラム製品12が、図1に示されている。
【0012】
計算機10は、好適にはコンピューターである。
【0013】
より一般的には、計算機10は、計算機10のレジスタおよび/またはメモリ内の電子的または物理的数量として表現されたデータを、メモリ、レジスタまたは他のタイプのディスプレー、トランスミッションまたはストレージ内の物理的データに対応する他の類似のデータへと操作および/または変換するのに好適な電子式計算機である。
【0014】
計算機10は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする。
【0015】
図1に示されているように、計算機10は、データ処理ユニット16、メモリ18およびデータ記憶媒体20から成るプロセッサ14を含む。
図1に例示されている実施例において、計算機10は、キーボード22および表示ユニット24を含む。
【0016】
コンピュータープログラム製品12は、記憶媒体26を含む。
【0017】
記憶媒体26は、計算機10、通常はデータ処理ユニット16によって読取り可能な媒体である。
可読記憶媒体26は、電子命令を記憶するのに好適でかつコンピューターシステムのバスに結合可能な媒体である。
【0018】
一例として、記憶媒体26は、ディスケットまたはフロッピーディスク(登録商標)、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気カードまたは光カードである。
【0019】
プログラム命令を格納するコンピュータープログラム12は、記憶媒体26に記憶されている。
【0020】
コンピュータープログラム12は、データ処理ユニット16内にロードされ得、かつそれが計算機10の処理ユニット16で実装された時点で、障害物Oとは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施へと導くために好適である。
【0021】
ここで、既定の障害物Oとは明確に区別され、かつ太陽光発電パネル(ソーラーパネル)の設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施例を概略的に例示する図2、ならびに該方法の実施中に得られた異なる行列に対応するテリトリーのゾーンの例を例示する図3~5を参照しながら計算機10の動作について説明する。
【0022】
決定方法は、既定の障害物Oとは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する、候補ゾーンZと呼ばれる一つのテリトリーのゾーンを決定することを意図したものである。
換言すると、各々の候補ゾーンZは、典型的に、単数または複数の太陽光発電パネルの当該ゾーンへの設置を可能にする寸法および形状を有する。
【0023】
好適には、候補ゾーンZは、既定の障害物Oを有していないことを理由として自由空間に対応するテリトリーのゾーンである。
自由空間は、例えば、いかなる建造物もないゾーンである。
森林または原野が、自由空間の例である。
【0024】
好適には、候補ゾーンZは、野外テリトリーのゾーン、すなわち直達日射を受けるゾーンである。
典型的には、候補ゾーンZは、長さが複数メートル、幅が複数メートルである。
【0025】
既定の障害物Oは、例えば、少なくとも建物、道路、屋外駐車場、線路、送電線および水域のいずれかである。
屋外駐車場は、車両を駐車するように意図されたゾーンとして定義される。
屋外駐車場は、任意には車両の駐車スペースを境界画定するマーキングを地面の上に含んでいる。
より一般的には、既定の障害物Oは、典型的には建造物または水域である。
【0026】
決定方法は、上空から見たテリトリーの少なくとも一つの画像を受信するステップ100を含む。
テリトリーは、太陽光発電パネルの設置が望まれる空間である。
テリトリーは、例えば都市要素および植生を含む。
【0027】
「上空から見た」なる用語は、画像IMが、例えば建物の屋根を画像化することを可能にする高い視点から撮られたものであることを意味する。
【0028】
例えば、画像IMは、衛星システムによって取得されたものである。
一変形形態においては、画像IMは、航空機に搭載された取得システム(カメラ)によって収集されたものである。
【0029】
好適には、画像IMは2次元画像である。
有利には、画像IMはカラー画像である。
【0030】
ステップ100は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0031】
決定方法は、画像IM上の既定の障害物Oの画像を検出するステップ110を含む。
ステップ110は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0032】
一実施例において、画像IMは、地理的座標と結び付けられ、コンピューターは、各々地理的座標と結び付けられている障害物Oのデータベースにアクセスでき、これにより、画像IM上の障害物Oを識別することが可能になっている。
データベースは、例えば、障害物O(建物、道路、屋外駐車場、線路、送電線、水域)の存在を表示するユーザーを介して協働的に得られたものである。
【0033】
付加的に、または一変形形態として、画像IM上の障害物Oの検出は、上空から見た障害物Oの画像を含むデータベースについて予めトレーニングした少なくとも一つの検出モデルによって実施される。
例えば、このようなモデルは、協働情報が不十分である予め定義されたタイプの障害物Oを検出するためにトレーニングされてきた。
検出モデルは、例えばニューラルネットワークである。
【0034】
決定方法は、画像IMを基本部分へとメッシュ化するステップ120を含む。
ステップ120は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0035】
一実施例において、メッシュ化は、画像IMに適用されるグリッドであり、基本部分は正方形である。
【0036】
決定方法は、メッシュ化を主行列と呼ばれる行列へと変換するステップ130を含む。
ステップ130は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0037】
主行列は、障害物Oが存在する各基本部分に対し第1の数字(例えば0)を割当て、他の基本部分に対して第2の数字(例えば1)を割当てることによって得られ、第2の数字は第1の数字と明確に区別される。
【0038】
決定方法は、主行列内で、第2の数字のみを含み、かつ太陽光発電パネルの設置のための少なくとも一つの適合性基準を満たす、未加工部分行列と呼ばれる最大の部分行列を識別するステップ140を含む。
ステップ140は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0039】
例えば、識別ステップ140の間、以下の適合性基準のうちの単数または複数のものが考慮に入れられる。
【0040】
有利には、少なくとも一つの適合性基準は、未加工部分行列の形状が太陽光発電パネルの形状に適合するものとなるように予め決定されることを規定している。
太陽光発電パネルの設置は、こうして容易になる。
太陽光発電パネルは概して矩形形状を有することから、既定の形状は好適には矩形である。
【0041】
有利には、少なくとも一つの適合性基準は、未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンが閾値表面積以上であることを規定している。
閾値表面積は、太陽光発電パネルの寸法に適合するものとなるように選択される。
閾値表面積は、好適には、1ヘクタール以上である。
【0042】
有利には、少なくとも一つの適合性基準は、未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンが、既定の値の範囲内にある値の勾配を有し、かつ/または(例えば方位角で表現される)勾配に向けた法線の方向に対応するその配向が、既定の値の範囲内にある勾配を有することを規定している。
勾配および配向の値は、例えば、考慮中のテリトリーの数値地形モデルを用いて得られる。
【0043】
例えば、主行列は、下記である。
識別ステップ140は、1により形成された最大の矩形部分行列を識別することを目的としており、数字0は障害物Oを含む基本部分に割当てられる。
【0044】
第1行目について:1のみを伴う最も幅広の矩形は、(1,2)から(1,3)まで延在する((m,n)表記法、mは行列の行の番号であり、nは行列の列の番号である)。
こうして、2つの基本部分に対応する最大表面積が得られる。
【0045】
第2行目について:1のみを伴う最も幅広の矩形は、(1,2)から(2,3)まで延在する。
こうして、4つの基本部分に対応する最大表面積が得られる。
【0046】
第3行目について:1のみを伴う最も幅広の矩形は、(2,1)から(3,4)まで延在する。
こうして、8つの基本部分に対応する最大表面積が得られる。
【0047】
第4行目について:1のみを伴う最も幅広の矩形は、(2,1)から(4,2)まで延在する。
したがって、最大表面積は8つの基本部分のものにとどまる。
【0048】
こうして、当該実施例において、未加工部分行列は、主行列の行2および3のみを含む。
【0049】
図3に示されている実施例は、未加工部分行列に対応する未加工ゾーンZと呼ばれるテリトリーのゾーンを例示する。
図3を見れば分かるように、障害物Oは、未加工ゾーンZの外側に位置している。
【0050】
決定方法は、決定された未加工部分行列にしたがって太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンを決定するステップ150を含む。
ステップ150は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0051】
第1の実施例において、候補ゾーンは、未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンである。
【0052】
第2の実施例において、決定ステップ150は、既定の段階での未加工部分行列の回転(自転)、および未加工部分行列が専ら第2の数字によって取り囲まれている未加工部分行列の位置の考えられる決定を含む。
「専ら取り囲まれている」とは、第2の数字に対応する基本部分のみが、未加工部分行列に割当てられた基本部分に隣接していることを意味する。
回転は、未加工部分行列を回転させることによってそれを拡大することが可能であるか否かを決定することを目的としている。
既定の段階は、例えば5°であり、回転は例えば0°と180°の間で実施される。
【0053】
回転の終りで、中間部分行列が得られる。
中間部分行列は、未加工部分行列であるか、または、少なくとも一つの適合性基準が満たされている(詳細には中間部分行列の形状に関連する基準、例えば中間部分行列が矩形形状を保っている)ことを条件として、決定された位置での未加工部分行列の第2の数字ならびに決定された位置での未加工部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列であるかのいずれかである。
未加工部分行列に加えられる第2の数字は、詳細には未加工部分行列に隣接する基本部分に対応する。
【0054】
候補ゾーンは、中間部分行列に基づいて決定される。
例えば、候補ゾーンは、以下で説明するように、中間部分行列に対応するテリトリーのゾーン、または最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンである。
【0055】
図4は、図3との関係における未加工部分行列の回転に対応する、中間ゾーンと呼ばれるテリトリーのゾーンの一例を例示している。
図4を見れば分かるように、障害物Oは、この中間ゾーンZの外側に位置している。
【0056】
第2の実施例に対する任意の補完物として、決定ステップ150は、中間部分行列を取り囲む空間の基本下位部分へのメッシュ化を含む。
メッシュ化は、例えば、画像IMに適用されるグリッドであり、基本下位部分は正方形である。
【0057】
このとき、障害物Oが位置設定されている各々の基本下位部分に対して第1の数字が割当てられ、他の基本下位部分に対して第2の数字が割当てられる。
【0058】
このとき、最終部分行列が得られる。最終部分行列は、中間部分行列であるか、あるいは、少なくとも一つの適合性基準が満たされている(詳細には、最終部分行列の形状に関連する基準、例えば最終部分行列が矩形形状を保っている)ことを条件として、中間部分行列の第2の数字のみおよび中間部分行列が専ら第2の数字によって取り囲まれている場合には前記第2の数字のいくつかも含んでいる部分行列であるか、のいずれかである。
中間部分行列に加えられる第2の数字は、詳細には、中間部分行列に隣接する基本下位部分に対応する。
候補ゾーンは、最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンである。
【0059】
図5は、中間ゾーンを取り囲む空間のゾーンに対する細メッシュ化の適用の後に図4中に示された中間ゾーンを拡幅することによって得られる、候補ゾーンZと呼ばれるテリトリーのゾーンの一例を例示している。
図5を見れば分かるように、障害物Oは、候補ゾーンZの外側に位置設定されている。
【0060】
一変形形態において、最終部分行列は、中間部分行列からではなく未加工部分行列から直接得られる(未加工部分行列の回転ステップは無い)。
【0061】
好適には、決定方法は、決定された候補ゾーンに対応する主行列の基本部分に対して第1の数字を割当てるステップ160を含む。
テリトリーの他の候補ゾーンZの識別のための決定された候補ゾーンを、こうしてマスキングできる。
ステップ160は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0062】
次に、未加工部分行列が識別される(少なくとも一つの適合性基準が満たされる)かぎりにおいて、候補ゾーンを識別し決定するステップは反復される。
【0063】
任意には、決定方法は、少なくとも一つの決定された候補ゾーンZの放射照度を決定するステップ170を含む。
ステップ170は、例えばコンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0064】
平方メートルあたりのワット数(W/m)として表現される放射照度は、表面積単位あたりの表面が受取る入射放射束(出力)である。
放射照度は、例えば、考慮中のテリトリーの放射照度マッピングを用いて決定される。
【0065】
任意には、該決定方法は、太陽光発電パネルの製造および/または環境の候補ゾーンZへの太陽光発電パネルの設置を含む。
【0066】
こうして、該方法は、ゾーンが既定の障害物Oとは異なり、したがって自由空間に対応することから、ソーラーパネルの設置に適合する環境のゾーンを決定するために使用可能である。
【0067】
当業者であれば、技術的に適合することを条件として、新規の実施形態を形成するために上述の実施形態および変形形態を組合せることができるということを理解するものである。
【符号の説明】
【0068】
10 計算機
12 コンピュータープログラム製品
14 プロセッサ
16 データ処理ユニット
18 メモリ
20 データ記憶媒体
22 キーボード
24 表示ユニット
26 記憶媒体

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の障害物(O)と区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーン(Z)と呼ばれる一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法において、コンピューターにより実施され、かつ、
a.上空から見たテリトリーの少なくとも一つの画像(IM)を受信するステップと、
b.画像(IM)上に画像化された既定の障害物(O)を検出するステップと、
c.画像(IM)を基本部分へとメッシュ化するステップと、
d.障害物(O)が位置設定されている各基本部分に対し第1の数字を割当て、他の基本部分に対し第2の数字を割当てることによって、メッシュを主行列と呼ばれる行列に変換するステップであって、第2の数字が第1の数字と異なるものであるステップと、
e.第2の数字のみを含み、かつ太陽光発電パネルの設置のための少なくとも一つの適合性基準を満たしている、未加工部分行列と呼ばれる最大部分行列を識別するステップと、
f.決定された未加工部分行列にしたがって太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記未加工部分行列の形状が、太陽光発電パネルの形状に適合するものとなるように予め決定されてることを、少なくとも一つの適合性基準が規定している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
既定の形状が矩形である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記未加工部分行列に対応するテリトリーのゾーンが閾値表面積以上であり、閾値表面積が太陽光発電パネルの寸法に適合するものとなるように選択されてることを、前記少なくとも一つの適合性基準が規定している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値表面積が1ヘクタール以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記候補ゾーンを決定する前記ステップが、
a.既定の段階で未加工部分行列を回転させるステップと、
b.存在する場合、未加工部分行列が専ら第2の数字によって取り囲まれている未加工部分行列の位置を決定するステップ、および、
c.中間部分行列を得るステップであって、中間部分行列が、未加工部分行列であるか、または、決定された位置での未加工部分行列の第2の数字および決定された位置での未加工部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列であるかのいずれかであり、候補ゾーンが、中間部分行列にしたがって決定されるステップと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記候補ゾーンを決定するステップが、
a.中間部分行列を取り囲む空間を基本下位部分へとメッシュ化するステップであって、基本下位部分が基本部分よりも厳密に小さい寸法を有し、障害物(O)が位置設定されている各々の基本下位部分に対して第1の数字が割当てられ、他の基本下位部分に対して第2の数字が割当てられるステップと、
b.最終部分行列を得るステップであって、最終部分行列が中間部分行列かまたは中間部分行列の第2の数字、かつ該当する場合、中間部分行列が専ら第2の数字により取り囲まれている場合には中間部分行列を取り囲む第2の数字のみを含む部分行列のいずれかであり、候補ゾーンが最終部分行列に対応するテリトリーのゾーンであるステップと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記候補ゾーンを決定する前記ステップの後、決定された候補ゾーンに対応する主行列の基本部分に対して第1の数字を割り当てるステップと、未加工部分行列が識別されているかぎり候補ゾーンを識別し決定するステップを反復するステップとを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記画像(IM)上の障害物(O)の検出ステップが、上空から見た障害物(O)の画像を含むデータベース上で予めトレーニングされた少なくとも一つの検出モデルによって実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記障害物(O)が、建物、道路、屋外駐車場、線路、送電線および水域のうちの要素の少なくとも一つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの決定された候補ゾーン(Z)の放射照度を決定するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータープログラムがコンピューターで実行される際に、請求項1または2に記載の方法の各ステップを実施する、コンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品。
【国際調査報告】