(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置における熱分配
(51)【国際特許分類】
A24F 42/60 20200101AFI20240313BHJP
【FI】
A24F42/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561870
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022059484
(87)【国際公開番号】W WO2022214675
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ベッソ クレメント
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホウシュエ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA24
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB33
4B162AC12
4B162AC23
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(3)は、軸方向に延在する加熱空間(21)を含む。加熱空間(21)は、エアロゾル発生物品(5)を少なくとも部分的に収容するように構成される。エアロゾル発生装置(3)は、加熱空間(21)の外側に設けられる受熱面(25)を備える。エアロゾル発生装置(3)は、蓄熱体(31)および内側熱伝導体(33)を備える。蓄熱体(31)は、受熱面(25)と加熱空間(21)との間に設けられる。内側熱伝導体(33)は、蓄熱体(31)と加熱空間(21)との間に設けられる。蓄熱体(31)の材料は、内側熱伝導体(33)の材料よりも高い比熱を有する。内側熱伝導体(33)の材料は、蓄熱体(31)の材料よりも高い熱伝導率を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される軸方向に延在する加熱空間と、
前記加熱空間の外側に設けられる受熱面と、
前記受熱面と前記加熱空間との間に設けられる蓄熱体と、
前記蓄熱体と前記加熱空間との間に設けられる内側熱伝導体と、を備え、
前記蓄熱体の材料は、前記内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有し、
前記内側熱伝導体の前記材料は、前記蓄熱体の前記材料よりも高い熱伝導率を有する、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記蓄熱体の前記材料が、1キログラム当たり300ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1500ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり500ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1200ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1000ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり800ジュール/ケルビンの比熱を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記内側熱伝導体が、前記加熱空間内に延在し、かつ前記エアロゾル発生物品を前記加熱空間に挿入すると、前記エアロゾル発生物品の中に埋め込まれるように構成される突起部を備える、請求項1および2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記受熱面と前記蓄熱体との間に設けられる外側熱伝導体をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗が、前記外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記外側熱伝導体の厚さが、前記外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、請求項4または5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
一つまたは複数のチャネルが、前記外側熱伝導体に設けられる、請求項4~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、前記受熱面で最も高い、請求項4~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記外側熱伝導体が、異なる熱伝導率を有する少なくとも二つの異なる材料を含む、請求項4~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記受熱面を加熱するために一つまたは複数の火炎を生成するように構成されるヒーターをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、
前記エアロゾル発生物品と、を備え、
前記エアロゾル発生物品が、加熱されるとエアロゾルを発生させるように構成される材料を含むエアロゾル発生部を備え、
前記エアロゾル発生物品が前記加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、前記エアロゾル発生部が前記加熱空間に少なくとも部分的に収容される、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
エアロゾルを発生させるための方法であって、
エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することであって、
前記エアロゾル発生装置が少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を収容する、加熱することと、
前記受熱面と前記エアロゾル発生物品との間に設けられる蓄熱体に、前記受熱面を加熱することによる熱を蓄えることと、
前記蓄熱体と前記エアロゾル発生物品との間に設けられる内側熱伝導体を介して、前記エアロゾル発生物品に熱を分配することと、を含み、
前記蓄熱体の材料が、前記内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する、方法。
【請求項13】
前記受熱面が、同時に二つ以上の火炎で加熱される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品が前記エアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に収容される場合、前記エアロゾル発生物品が軸方向に沿って延在し、前記火炎の少なくとも二つが、前記軸方向に平行な方向に沿って離間される、および、前記軸方向の周りの異なる周方向位置で発生する、のうちの少なくとも一つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱を達成するために、前記エアロゾル発生物質を周方向に取り囲み、軸方向に延びる管の使用であって、前記管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、前記管の前記軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って、前記管を通る径方向に沿う熱輸送の前記熱抵抗の最小値の少なくとも10パーセント変化する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル発生物品の加熱に関する。本開示は、エアロゾル発生装置における熱の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許公開第0858744A1号には、ユーザーが吸入するフレーバーなどを発生させるための固体材料の成形体が設けられる熱伝導管を有するフレーバー発生部品が記載されている。フレーバー発生部品は、火炎を供給するガスノズルの上に熱伝導管が設けられるように、フレーバー発生ヒーター内に挿入されてもよい。熱伝導管の内面は、蓄熱材料層で覆われる。蓄熱材料層は、熱伝導管で形成された本体の温度を、より長い時間、フレーバー発生温度に維持することを可能にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によれば、軸方向に延在する加熱空間を備えるエアロゾル発生装置が提供される。加熱空間は、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される。エアロゾル発生装置は、加熱空間の外側に設けられる受熱面を備える。エアロゾル発生装置は、蓄熱体および内側熱伝導体を備える。蓄熱体は、受熱面と加熱空間との間に設けられる。内側熱伝導体は、蓄熱体と加熱空間との間に設けられる。蓄熱体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する。内側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有する。
【0004】
蓄熱体は、熱緩衝材として機能することができる。蓄熱体は、受熱面が加熱されると、受熱面から熱を吸収することができる。蓄熱体によって吸収された熱は、経時的に加熱空間に提供され、その中に設けられるエアロゾル発生物品を加熱することができる。蓄熱体は、第一の時間にわたって一定量の熱を吸収し、より長い第二の時間にわたって熱量を放出することができる。例えば、第二の時間は、第一の時間の少なくとも二十倍、または第一の時間の少なくとも十五倍、または第一の時間の少なくとも十倍、または第一の時間の少なくとも五倍、または第一の時間の少なくとも二倍であってもよい。蓄熱体の緩衝機能により、受熱面が高温に加熱された場合、加熱空間の過熱を防止することができる。また、蓄熱体により、受熱面の加熱を停止した後も、加熱空間はエアロゾル発生温度をより長時間維持することができる。
【0005】
内側熱伝導体は、蓄熱体に蓄えられた熱を加熱空間に向かって、したがって、加熱空間に少なくとも部分的に収容されるエアロゾル発生物品へ伝達させるのを促進することができる。内側熱伝導体は、エアロゾル発生物品の所望の領域に効率的に熱を分配することができる。内側熱伝導体は、蓄熱体からの熱の流れを誘導することができる。
【0006】
蓄熱体の材料は、1キログラム当たり300ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1500ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり500ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1200ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1000ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり800ジュール/ケルビンの比熱を有することができる。
【0007】
蓄熱体の材料は、例えば、ガラスまたは金属であってもよい。蓄熱体の材料は、例えば、ガラスまたは金属を含んでもよい。
【0008】
蓄熱体の材料および内側熱伝導体の材料のうちの一方または両方は、800℃を超える、または900℃を超える、または1000℃を超える、または1100℃を超える、または1300℃を超える、または1500℃を超える溶融温度を有してもよい。このような溶融温度を考慮すると、受熱面を加熱した際の蓄熱体および内側熱伝導体が溶融することを防止することができる。特に、受熱面が一つまたは複数の火炎、例えば一般的なシガレットライターによって発生する火炎によって加熱される場合、蓄熱体および内側熱伝導体が溶融することを防止することができる。
【0009】
蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一方または両方が加熱空間を周方向に取り囲んでもよい。蓄熱体が加熱空間を周方向に取り囲む場合には、蓄熱体は加熱空間の周りに周方向に蓄熱することができる。内側熱伝導体が加熱空間の周囲を取り囲む場合、熱は内側熱伝導体によって加熱空間の全体にわたって分配されることができる。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一方または両方が加熱空間の全周にわたって加熱空間を取り囲んでもよい。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは複数は、加熱空間の全周の少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも90パーセントにわたって加熱空間を取り囲むことができる。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは複数は、加熱空間の全周の90パーセント以下、または80パーセント以下、または70パーセント以下、または60パーセント以下、または50パーセント以下にわたって加熱空間を取り囲むことができる。
【0010】
内側熱伝導体は、加熱空間内に延在する突起部を備えることができる。突起部は、エアロゾル発生物品が加熱空間内に挿入されると、エアロゾル発生物品内に埋め込まれるように構成されることができる。特に、突起部は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部内に埋め込まれるように構成されることができる。突起部は、エアロゾル発生物品内に熱を伝導して、エアロゾル発生物品を内側から加熱することができる。突起部は、エアロゾル発生物品の均質な加熱を促進することができる。突起部は、例えば、ピンまたはブレードの形態を有してもよい。突起部は、内側熱伝導体の一体部分であってもよい。突起部は、軸方向に沿って加熱空間内に延在してもよい。突起部は、5~50ミリメートル、または5~40ミリメートル、または5~30ミリメートル、または5~25ミリメートル、または5~20ミリメートル、または5~15ミリメートル、または5~10ミリメートル、または2~5ミリメートル、または10~15ミリメートル、または10~20ミリメートルの軸方向の長さを有することができる。
【0011】
内側熱伝導体は、加熱空間を画成する壁の少なくとも一部を形成することができる。内側熱伝導体の表面は、加熱空間を少なくとも部分的に画成することができる。内側熱伝導体と加熱空間内に収容されるエアロゾル発生物品との間にエアロゾル発生装置の要素が存在しない場合、内側熱伝導体は加熱空間に効率的に熱を供給することができる。
【0012】
内側熱伝導体は蓄熱体と接触していてもよい。内側熱伝導体と蓄熱体との接触により、蓄熱体と内側熱伝導体との間の効率的な熱伝達を促進することができる。内側熱伝導体は、加熱空間の周りに周方向に蓄熱体と接触していてもよい。
【0013】
エアロゾル発生装置は、外側熱伝導体を備えてもよい。外側熱伝導体は、受熱面と蓄熱体との間に設けられてもよい。外側熱伝導体は、受熱面から蓄熱体への熱伝達を促進することができる。
【0014】
外側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも熱伝導率が高くてもよい。
【0015】
蓄熱体の材料は、外側熱伝導体の材料よりも比熱が高くてもよい。
【0016】
外側熱伝導体は、内側熱伝導体と同じ材料で形成されてもよい。
【0017】
蓄熱体の材料の比熱は、内側熱伝導体の材料の比熱および外側熱伝導体の材料の比熱のうちの少なくとも一つの少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。
【0018】
内側熱伝導体の材料の熱伝導率および外側熱伝導体の材料の熱伝導率のうちの少なくとも一つは、蓄熱体の材料の熱伝導率の少なくとも500倍、または少なくとも400倍、または少なくとも300倍、または少なくとも200倍、または少なくとも100倍、または少なくとも50倍、または少なくとも30倍、または少なくとも10倍、または少なくとも5倍であってもよい。内側熱伝導体の材料の熱伝導率および外側熱伝導体の材料の熱伝導率のうちの少なくとも一つは、蓄熱体の材料の熱伝導率の少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。
【0019】
外側熱伝導体と蓄熱体との間の熱伝達を促進するために、外側熱伝導体は蓄熱体と接触していてもよい。
【0020】
受熱面は、外側熱伝導体の表面であってもよい。受熱面は、加熱空間に対して外側熱伝導体の外面であってもよい。受熱面は、外側熱伝導体の径方向外面であってもよい。受熱面は、軸方向に関して加熱空間から離間した外側熱伝導体の表面であってもよい。
【0021】
外側熱伝導体は、加熱空間を周方向に取り囲んでもよい。外側熱伝導体は、蓄熱体を周方向に取り囲んでもよい。外側熱伝導体は、少なくとも部分的に、蓄熱体の径方向外側に設けられてもよい。外側熱伝導体は、少なくとも部分的に、加熱空間とは軸方向に反対側の蓄熱体の面に設けられてもよい。
【0022】
外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗は、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なってもよい。例えば、外側熱伝導体の第一の位置における外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗は、外側熱伝導体の第二の位置における外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗の少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗は、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の不均質な熱抵抗により、外側熱伝導体を通る指向性熱輸送を可能にすることができる。
【0023】
外側熱伝導体の厚さは、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なっていてもよい。例えば、外側熱伝導体の第一の位置における外側熱伝導体の厚さは、外側熱伝導体の第二の位置における外側熱伝導体の厚さの少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。外側熱伝導体の厚さが変化すると、外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗が異なる場合がある。外側熱伝導体の厚さは、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。外側熱伝導体の厚さは、受熱面において最も厚くてもよい。外側熱伝導体の厚さは、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って、受熱面からの距離に応じて減少してもよい。
【0024】
外側熱伝導体には、一つまたは複数のチャネルが設けられてもよい。一つまたは複数のチャネルは、外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗に影響を与えることができる。加熱された空気は、一つまたは複数のチャネルを通って流れることができる。一つまたは複数のチャネルは、一つまたは複数の開口部を備えてもよい。一つまたは複数の開口部は、受熱面に設けられてもよい。
【0025】
外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、受熱面で最高であることができる。これにより、受熱面の位置に対応する位置の、加熱室および加熱室に設けられるエアロゾル発生物品が過剰に加熱されることを防止することができる。受熱面において外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の高い熱抵抗が、受熱面からの熱を加熱空間全体にわたってより均一に分配する可能性がある。外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、受熱面ヘの距離に応じて、特に軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って増加してもよい。
【0026】
外側熱伝導体は、異なる熱伝導率を有する二つ以上の異なる材料を含んでもよい。二つ以上の異なる材料は、所望の熱伝導プロファイルが得られるように配置されることができる。二つ以上の異なる材料は、外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗の所望の分布が得られるように配置されることができる。外側熱伝導体は、例えば、二つ以上の層を備えてもよく、各層は異なる材料で形成される。層は、例えば、軸方向もしくは半径方向(または軸方向および径方向の両方)に関して前後に配置されてもよい。
【0027】
エアロゾル発生装置は、受熱面を加熱するように構成されるヒーターをさらに備えることができる。ヒーターは、例えば、電気抵抗ヒーターまたは誘導ヒーターを備えることができる。ヒーターは、受熱面を加熱するために一つまたは複数の火炎を発生させるように構成されることができる。ヒーターは、ガスを燃焼させて一つまたは複数の火炎を発生させるように構成されることができる。一つまたは複数の火炎は、少なくとも二つの火炎を含んでもよい。ヒーターは、エアロゾル発生装置の本体と一体に形成されてもよい。あるいは、ヒーターは、完全にまたは部分的に、別個の構成要素として設けられてもよい。ヒーターは、例えば、従来のシガレットライターであってもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生部を有することができる。エアロゾル発生部は、加熱されるとエアロゾルを発生させるように構成される材料を含むことができる。エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生部は加熱空間に少なくとも部分的に収容されることができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを含む。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を収容する。受熱面の加熱による熱は、受熱面とエアロゾル発生物品との間に設けられる蓄熱体に蓄えられる。熱は、蓄熱体とエアロゾル発生物品との間に設けられる内側熱伝導体によってエアロゾル発生物品に分配される。蓄熱体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する。
【0030】
内側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有することができる。
【0031】
受熱面は、同時に二つ以上の火炎で加熱されてもよい。例えば、受熱面は、二つ以上の火炎で同時に加熱されてもよい。二つ以上の火炎で同時に受熱面を加熱することにより、一つの火炎のみを使用することに比べて、より小さな火炎を用いて、特定の熱量を受熱面に伝達することができる。さらに、二つ以上の火炎を同時に使用すると、熱を効率的に空間的に分布させることができる。
【0032】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置に少なくとも部分的に収容される場合、軸方向に沿って延在することができる。軸方向は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に挿入される方向に対応することができる。
【0033】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生することができる。したがって、熱は、軸方向の周りの異なる円周角から供給されることができる。
【0034】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間されることができる。したがって、軸方向に沿った異なる位置に熱を供給することができる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを含む。エアロゾル発生装置は、軸方向に沿って延在するエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容する。受熱面は、同時に二つ以上の火炎で加熱される。
【0036】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生することができる。
【0037】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間されることができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱を達成するために、エアロゾル発生物質を周方向に取り囲む軸方向に延在する管の使用であって、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化する、管の使用が提供される。
【0039】
例えば、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗の最小値の少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも100パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも50パーセント、または少なくとも30パーセント、または少なくとも20パーセント、または少なくとも10パーセントだけ、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。
【0040】
管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、エアロゾル発生物質への熱輸送の影響が実質的に均一となるように、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化することができる。例えば、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、熱源に最も近い位置で最高であることができる。熱抵抗は、その位置から管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って減少することができる。
【0041】
加熱中にエアロゾル発生物質の二つの部分の温度差が100℃以下、75℃以下、または50℃以下、または25℃以下、または10℃以下である場合、エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱が達成されることができる。
【0042】
本明細書で言及されるエアロゾル発生物品は、少なくとも実質的にロッド状であることができる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に挿入される場合、軸方向に平行に延在することができる。
【0043】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生部を備えることができる。エアロゾル発生部は、エアロゾル発生材料を備えることができる。エアロゾル発生材料は、加熱されるとエアロゾルを放出するように構成されることができる。エアロゾル発生材料は、例えば、草本材料を含んでもよい。エアロゾル発生材料は、例えば、たばこ材料を含んでもよい。
【0044】
エアロゾル発生物品はフィルター部を備えてもよい。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に挿入される場合、フィルター部は、ユーザーが利用できるように、エアロゾル発生装置から少なくとも部分的に突出してもよい。
【0045】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の実施形態、態様、または実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生材料であってもよいエアロゾル形成基体を含むことができる。本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱された時に、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。
【0046】
エアロゾル形成基体は、たばこのプラグを備えてもよい。たばこプラグは、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つまたは複数を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つまたは複数を含んでもよい。随意に、たばこプラグは、たばこプラグの加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含有してもよい。随意に、たばこプラグはまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含むカプセルを包含してもよい。こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱中に溶融してもよい。別の方法として、または追加的に、こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱前、加熱中、または加熱後に押しつぶされてもよい。
【0047】
たばこプラグが均質化したたばこ材料を含む場合、均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。均質化したたばこ材料はシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5パーセントより大きいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つまたは複数を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つまたは複数の固有の結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、または一つまたは複数の外来性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび一つまたは複数の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングすることと、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成することと、均質化したたばこ材料シートを支持表面から取り外すこととを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスによって形成されていることが好ましい。
【0048】
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ13ミリメートルの外径を有してもよい。
【0049】
エアロゾル発生物品は、たばこプラグの下流に位置付けられたマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。マウスピースは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。マウスピースは、およそ7ミリメートルの長さであることが好ましいが、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの長さを有することができる。
【0050】
たばこプラグは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。たばこプラグは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0051】
たばこプラグの直径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。
【0052】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ40ミリメートル~およそ50ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有することが好ましい。
【0053】
本開示は、様々な態様、実施形態、および実施例を含む。これらの態様、実施形態、および実施例のうちのいずれか一つに関して開示された特徴、利点、および説明は、残りの態様、実施形態、および実施例のうちのいずれか一つと組み合わせるか、またはそれらに移すことができる。本明細書に記載のエアロゾル発生装置またはシステムは、本明細書に記載のエアロゾルを発生させる方法を実行するように、好適で、適合され、構成されることができる。
【0054】
本開示が特定の比熱を有する物品の材料に言及し、その物品が異なる個別の材料(例えば、異なる材料層)で構成される場合、物品の材料の比熱は、その物品を構成する個々の材料の比熱の加重平均に対応すると理解されるべきである。重み付けは、物品を構成する個々の材料の質量パーセントに従って実行されるものと理解される。
【0055】
本開示が特定の熱伝導率を有する物品の材料に言及し、その物品が異なる個別の材料(例えば、異なる材料層)で構成される場合、物品の材料の熱伝導率は、物品を構成する個々の材料の熱伝導率の加重平均に対応すると理解されるべきである。重み付けは、物品を構成する個々の材料の質量パーセントに従って実行されるものと理解される。
【0056】
本明細書で使用する場合、表現「ロッド状」は、円形断面を有するロッド状を含むが、これに限定されない。本明細書で使用する場合、「ロッド状」は、他の断面、例えば、長方形断面、または楕円形断面、または三角形断面、または不規則な断面、または任意の他の断面を有するロッド状も含むことができる。表現「ロッド状」は、円筒形の形状を含んでもよく、その場合、円筒の底面は、円形の面、または、他の任意の形状の面、例えば長方形の面、または楕円形の面、または三角形の面、または不規則な面、または任意の他の面であってもよい。
【0057】
第一の物品が第二の物品内に埋め込まれる場合、第一の物品は少なくとも部分的に第二の物品の体積に入ることができる。第二の物品内に埋め込まれた後、第一の物品の少なくとも一部は第二の物品によって取り囲まれることができる。例えば、第二の物品内に押し込まれることによって、第一の物品を第二の物品内に埋め込むことができる。
【0058】
ここで、以下の図を参照しながら実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、受熱面が、軸方向に延在する加熱空間の径方向外側に設けられた実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図2】
図2は、受熱面が、軸方向に延在する加熱空間と軸方向に位置合わせされて設けられた実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図3】
図3は、一実施形態によるエアロゾル発生システムのエアロゾル発生物品を示す。
【
図4】
図4は、従来のシガレットライターを使用する一実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図6】
図6は、別の実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図7】
図7は、別の実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図8】
図8は、軸方向に延在する加熱空間と軸方向に位置合わせされた受熱面を有する一実施形態によるエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【
図9】
図9は、複数の火炎を発生させるヒーターを有するエアロゾル発生システムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0061】
実施例1:
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される軸方向に延在する加熱空間と、
加熱空間の外側に設けられる受熱面と、
受熱面と加熱空間との間に設けられる蓄熱体と、
蓄熱体と加熱空間との間に設けられる内側熱伝導体と、を備え、
蓄熱体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有し、
内側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有する、エアロゾル発生装置。
実施例2:
蓄熱体の材料が、1キログラム当たり300ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1500ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり500ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1200ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1000ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり800ジュール/ケルビンの比熱を有する、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
蓄熱体の材料および内側熱伝導体の材料のうちの一方または両方が、800℃を超える、または900℃を超える、または1000℃を超える、または1100℃を超える、または1300℃を超える、または1500℃を超える溶融温度を有する、実施例1または2に記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは両方が、加熱空間を周方向に取り囲む、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
内側熱伝導体が、加熱空間内に延在し、かつエアロゾル発生物品を加熱空間に挿入すると、エアロゾル発生物品の中に埋め込まれるように構成される突起部を備える、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
内側熱伝導体が、加熱空間を画成する壁の少なくとも一部を形成する、実施例1~5のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
内側熱伝導体が蓄熱体と接触する、実施例1~6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
受熱面と蓄熱体との間に設けられる外側熱伝導体をさらに備える、実施例1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
外側熱伝導体の材料が、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有する、実施例8に記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
蓄熱体の材料が、外側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する、実施例8または9に記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗が、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、実施例8~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
外側熱伝導体の厚さが、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、実施例8~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
一つまたは複数のチャネルが、外側熱伝導体に設けられる、実施例8~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、受熱面で最も高い、実施例8~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
外側熱伝導体は、異なる熱伝導率を有する少なくとも二つの異なる材料を含む、実施例8~14のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例16:
受熱面を加熱するために一つまたは複数の火炎を生成するように構成されるヒーターをさらに備える、実施例1~15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例17:
エアロゾル発生システムであって、
実施例1~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル発生物品と、を備え、
エアロゾル発生物品が、加熱されるとエアロゾルを発生させるように構成される材料を含むエアロゾル発生部を備え、
エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生部が加熱空間に少なくとも部分的に収容される、エアロゾル発生システム。
実施例18:
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生装置から突出するように構成されるマウスピースを備える、実施例17に記載のエアロゾル発生システム。
実施例19:
受熱面を加熱するように構成されるヒーターをさらに備える、実施例17または18に記載のエアロゾル発生システム。
実施例20:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することであって、
エアロゾル発生装置が少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を収容する、加熱することと、
受熱面とエアロゾル発生物品との間に設けられる蓄熱体に、受熱面を加熱することによる熱を蓄えることと、
蓄熱体とエアロゾル発生物品との間に設けられる内側熱伝導体を介して、エアロゾル発生物品に熱を分配することと、を含み、
蓄熱体の材料が、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する、方法。
実施例21:
受熱面が、同時に二つ以上の火炎で加熱される、実施例20に記載の方法。
実施例22:
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生物品は軸方向に沿って延在し、少なくとも二つの火炎は軸方向の周りの異なる周方向位置で発生する、実施例21に記載の方法。
実施例23:
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生物品は軸方向に沿って延在し、火炎の少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間している、実施例21に記載の方法。
実施例24:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを含み、
エアロゾル発生装置が、軸方向に沿って延在するエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容し、
受熱面が、同時に二つ以上の火炎で加熱される、方法。
実施例25:
火炎の少なくとも二つが、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生する、実施例24に記載の方法。
実施例26:
少なくとも二つの火炎が、軸方向に平行な方向に沿って離間している、実施例24または25に記載の方法。
実施例27:
エアロゾル発生装置が、実施例1~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置、または実施例17~19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置である、実施例20~26のいずれか一つに記載の方法。
実施例28:
エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱を達成するために、エアロゾル発生物質を周方向に取り囲み、軸方向に延びる管の使用であって、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化する、管の使用。
【0062】
図1は、一実施形態によるエアロゾル発生システム1を示す。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生装置3、エアロゾル発生物品5、およびヒーター7を備える。
【0063】
図3は、エアロゾル発生装置3とともに使用されることができるエアロゾル発生物品5の例示的な実施形態を示す。エアロゾル発生物品5は、軸方向に沿って前後に配置される部分を備える。部分は、部分のうちの一つまたは複数にまたがる一つまたは複数のラッパーによって相互に連結される。これらの部分は、エアロゾル発生部9、スペーサー部11、およびフィルター部13を備える。エアロゾル発生部9は、加熱されるとエアロゾルを発生するように構成されるエアロゾル発生材料を備える。エアロゾル発生材料は草本材料、具体的にはタバコ材料を含んでもよい。フィルター部13は、エアロゾルがユーザーの口に到達する前に通過するフィルターを備えていてもよい。スペーサー部11は、エアロゾル発生部9とフィルター部13との間に配置されてもよい。エアロゾル発生部9で発生したエアロゾルは、スペーサー部11を通過する間に冷却され、摂取前にエアロゾルの温度を低下させることができる。
【0064】
図1に示すように、エアロゾル発生装置3は、軸方向に延在する加熱室15と、加熱室15と同軸配置で設けられる収納室17とを備える。エアロゾル発生物品5は、エアロゾル発生装置3内で挿入方向19に挿入されてもよい。
図1では、エアロゾル発生物品5は、エアロゾル発生装置3の摂取位置に収容される。摂取位置では、エアロゾル発生部9は、加熱室15によって画成される加熱空間21に収容される。
【0065】
図1の実施形態では、ヒーター7は従来のシガレットライターである。エアロゾル発生装置3は、ヒーター7を収容するように構成されるヒーター収容部23を備えてもよい。あるいは、ヒーター7はエアロゾル発生装置3の一体部分であってもよく、またはヒーター7はエアロゾル発生装置3と組み合わされなくても、エアロゾル発生装置3内に収容されなくてもよく、別個のヒーター7であってもよい。好ましくは、ヒーター7は、一つまたは複数の火炎8を発生するように構成される。
【0066】
ヒーター7は、加熱室15の受熱面25を加熱するように構成されている。受熱面25を加熱することにより、加熱室15内の加熱空間21が加熱され、それによりエアロゾル発生物品3のエアロゾル発生部9を加熱する。エアロゾル発生部9は、加熱されるとエアロゾルを発生する。ユーザーがフィルター部13を通して空気を吸引すると、エアロゾル発生物品5を通る空気流(
図1の矢印を参照)が生成されることができる。空気流は、加熱空間21内で発生したエアロゾルをユーザーに向けて運ぶことができる。
【0067】
図1の実施形態では、受熱面25は加熱空間21の径方向外側に設けられている。ヒーター7が火炎8を出して受熱面25を加熱する方向は、本質的に軸方向(加熱室15および収納室17の延在方向)と直交する方向を向いている。
【0068】
図2は、受熱面25が加熱空間21と軸方向に一直線上に配置されている、別の実施形態を示している。ヒーター7は、本質的に軸方向に沿った方向に火炎8を出す。
【0069】
図4は、エアロゾル発生システム1の別の実施形態を例示する。各エアロゾル発生装置3は、軸方向に沿って延在し、内部に加熱空間21を有する加熱室15を画成する管を備える。エアロゾル発生物品5は、軸方向に平行な挿入方向19に沿って加熱空間21内に挿入されることができる。例示の実施形態では、エアロゾル発生物品5は、本質的にエアロゾル発生部9のみを備える。しかし、エアロゾル発生物品5は、追加の部分、例えば、スペーサー部11およびフィルター部13を備えることができる。エアロゾル発生装置3は、エアロゾル発生装置3の高温によるけがや不便さの危険を冒すことなく、ユーザーがエアロゾル発生装置3を保持できるようにする熱保護スリーブ27を備える。
図4の下部の両方向矢印によって示されるように、熱保護スリーブ27は、加熱室15を画成する管に対してスライドすることができる。ヒーター7、例えば従来のシガレットヒーターを使用して、受熱面25を加熱してもよい。
図4の実施形態による受熱面25は、エアロゾル発生部9を収容する加熱空間21の径方向外側に設けられている。
図4では、ヒーター7はエアロゾル発生装置3に挿入されても、取り付けられてもいない。
【0070】
図5、6、および7は、加熱室15の様々な実施形態の断面図を示す。
図5、
図6および
図7の左側部分は、断面が軸方向に平行な加熱室15の断面図を示す。
図5、
図6および
図7の右側部分は、断面が軸方向に垂直なそれぞれの加熱室15の断面図を示す。
図5、6、および7の加熱室は、例えば、
図1および
図4のエアロゾル発生装置3の一部であってもよい。
【0071】
図5、6、および7において、加熱室15は、加熱空間21を周方向に取り囲む複数の層を備える。外側熱伝導体29は、加熱室15の外層を形成する。受熱面25は、外側熱伝導体29の径方向外面の一部である。外側熱伝導体29の径方向内側には、加熱空間21を周方向に取り囲む層を形成する蓄熱体31が設けられている。蓄熱体31の径方向内側には、加熱空間21を周方向に取り囲む内側熱伝導体33が設けられている。
【0072】
蓄熱体31の材料は、内側熱伝導体33の材料および外側熱伝導体29の材料よりも比熱が大きい。外側熱伝導体29の材料および内側熱伝導体33の材料は、蓄熱体31の材料よりも高い熱伝導率を有する。蓄熱体31の材料は、例えば、ガラスまたは金属であってもよい。内側熱伝導体33の材料および外側熱伝導体29の材料の一方または両方は、金属、例えば、銅、真ちゅう、アルミニウムであってもよい。
【0073】
受熱面25が加熱されると、その熱は外側熱伝導体29によって蓄熱体31に向けて径方向内側に効率的に誘導される。蓄熱体31は、その比熱が大きいため、比較的多くの熱を吸収し、かつ時間の経過と共にその熱を放出して、加熱空間21およびその内部に設けられるエアロゾル発生部9を加熱する緩衝材として機能することができる。内側熱伝導体33は、加熱空間21を画成する加熱室15の内面を形成する。内側熱伝導体33は、蓄熱体31からの熱を加熱空間21およびその内部に設けられるエアロゾル発生部9に向けて効率よく伝導する。
【0074】
図5では、外側熱伝導体29、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、軸方向に関して対称である。外側熱伝導体29、蓄熱体31、および内側熱伝導体33は、加熱空間21を周方向に取り囲む同心のスリーブを形成している。
【0075】
図6では、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、
図5の蓄熱体31および内側熱伝導体33に相当する。しかし、外側熱伝導体29は、軸方向に対して対称ではない。外側熱伝導体29の厚さは、周方向および軸方向の両方に沿って変化している。外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25で最も厚い。特に、外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25の中央部で最も厚くなる。外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25の中心から離れるに従って、軸方向および周方向の両方に沿って薄くなる。
【0076】
異なる位置での外側熱伝導体29の厚さが異なるため、外側熱伝導体29を通り、したがって加熱室15の壁を通り、半径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、位置が異なると異なる。受熱面25、特に受熱面25の中心における外側熱伝導体29の厚さが最も厚いため、外側熱伝導層29を通り径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、受熱面25において最も高い。これにより、受熱面25からより遠く離れ、したがって通常は受ける熱がより少ないであろう位置での熱輸送の熱抵抗を低減することによって、加熱空間21内の不均一な温度分布を防止することができる。
【0077】
図7では、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、
図5および6の蓄熱体31および内側熱伝導体33に相当する。外側熱伝導体29は、外側熱伝導体29内に形成されるチャネル35を備える。チャネル35は、加熱された空気の流路を形成することができる。チャネル35の流れ断面積は、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。チャネル35の流れ断面積は、受熱面25の中心からより遠く離れた領域ではより大きくなり、これらの領域への熱風の流れを促進することができる。
【0078】
図8は、
図2の実施形態と実質的に一致して、受熱面25が加熱空間21と軸方向に整列しているエアロゾル発生システム1の断面図を示す。
図8の実施形態では、蓄熱体31は加熱空間21と軸方向に整列している。蓄熱体31は、挿入方向19に対して加熱空間21の下流に設けられている。蓄熱体31の外面は受熱面25を形成する。
図8の実施形態では、外側熱伝導体29は設けられていない。しかし、代わりとして、外側熱伝導体29は、挿入方向19に対して蓄熱体25の下流に設けられることができる。
【0079】
蓄熱体31と加熱空間21との間には、内側熱伝導体33が設けられている。内側熱伝導体33は、蓄熱体31と加熱空間21との間に、軸方向に対して実質的に垂直に延在する板を備える。さらに、内側熱伝導体33は、加熱空間21を周方向に取り囲む円筒形のスリーブ部37を備える。さらに、内側熱伝導体33は、加熱空間21内に延びる突起部39を備える。突起部39は、エアロゾル発生物品5のエアロゾル発生部9に埋め込まれるように構成される。
【0080】
図8の実施形態では、ヒーター7はエアロゾル発生装置3に組み込まれている。ヒーター7は、受熱面25を加熱する火炎8用のガスを供給するガスタンク41を備える。
【0081】
図9は、エアロゾル発生システム1の別の実施形態を示す。
図9の左側は、システム1の軸方向に平行な断面の断面図を示す。
図9の右側は、システム1の軸方向に垂直な断面の断面図を示す。
【0082】
図9のシステム1のヒーター7は、受熱面25を加熱するための複数の火炎8を発生するように構成されている。
図9の左側部分に示すように、火炎8の一部は軸方向に沿って離間されており、軸方向に沿った熱分布を改善している。
図9の右図に示すように、火炎8の一部は周方向に沿って離間した位置で発生し、周方向に沿って加熱が分配される。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3の一体部分であってもよい。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3と組み合わされてもよい。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3のヒーター収容部23に収容されてもよい。
【0083】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセントとして理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】