(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】破壊システムのためのロック構成体
(51)【国際特許分類】
F16J 12/00 20060101AFI20240313BHJP
F42D 5/04 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F16J12/00 G
F42D5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561880
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022057076
(87)【国際公開番号】W WO2022218642
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522118333
【氏名又は名称】ダイナセーフ デミル システムズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク オルソン
【テーマコード(参考)】
3J046
【Fターム(参考)】
3J046AA09
3J046BA04
3J046BA08
3J046BC03
3J046BC04
3J046BC10
3J046BC16
3J046BD01
3J046CA01
3J046DA10
(57)【要約】
本開示は、破壊システムと、特に、その破壊システムの第1容器部分と第2容器部分の間の相互接続を改良するように配置されるロック構成体と、に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質の破壊に適合された耐爆性の破壊システムのためのロック構成体であって、破壊システムは、第1容器部分及び第2容器部分を備え、前記ロック構成体は、前記第1容器部分と前記第2容器部分が互いに向かい合っているときに、前記第1容器部分を前記第2容器部分に相互接続するために設けられる、ロック構成体であって、前記ロック構成体は、
第1端及び第2端を有する複数の細長い接続要素を備え、前記複数の細長い接続要素の各々は、前記第1端に係合部分を設けられ、前記係合部分は、前記第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように適合され、さらに、前記ロック構成体は、
少なくとも1つの機械的アクチュエータを備え、前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、前記第2容器部分と前記複数の細長い接続要素の前記第2端の間に配置され、前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、前記第2容器部分と前記複数の細長い接続要素の前記第2端の間に圧力を加え、前記第1容器部分を前記第2容器部分に対して締付けるように適合される、ロック構成体。
【請求項2】
前記ロック構成体は、
前記第2容器に対して移動可能に配置された支持機構をさらに備え、前記複数の細長い接続要素の各々は、前記第2端で前記支持機構と係合している、請求項1に記載のロック構成体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、固定部分及び可動部分を備え、
前記可動部分は、前記複数の細長い接続要素の前記第2端と向かい合っている、請求項1及び2のいずれか一項に記載のロック構成体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機械的アクチュエータの前記固定部分は、前記第2容器部分と係合している、請求項3に記載のロック構成体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、油圧シリンダを含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のロック構成体。
【請求項6】
前記ロック構成体は、複数の機械的アクチュエータを備え、前記複数の機械的アクチュエータは、前記第2容器部分の円周に沿って、かつ、前記第2容器部分と前記複数の細長い接続要素の前記第2端の間に、均等に配置される、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロック構成体。
【請求項7】
前記複数の細長い接続要素の各々は、前記第2端に、前記支持機構と係合したヒンジを設けられる、請求項2ないし6のいずれか一項に記載のロック構成体。
【請求項8】
前記複数の細長い接続要素は、前記第1容器部分の前記ロックフランジと係合するように均等に位置させられる、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のロック構成体。
【請求項9】
有害物質の破壊に適合された耐爆性の破壊システムであって、前記破壊システムは、
第1容器部分と、
第2容器部分と、
ロック構成体であって、運転中に、前記第1容器部分を前記第2容器部分に対して締付けるように配置される、ロック構成体と、を備え、
前記第1容器部分及び前記第2容器部分は、前記第1容器部分及び前記第2容器部分の円周に沿って設けられた相互接続領域で、それらの間に空隙を形成するように適合され、
前記破壊システムは、流体の通過を減少させるために前記相互接続領域に設けられたシール構成体をさらに備え、前記シール構成体は、減圧デバイスを備え、前記減圧デバイスは、前記空隙に流体連通され、かつ、運転中に前記空隙内で負圧を形成するように配置される、破壊システム。
【請求項10】
前記シール構成体は、第1シール部材及び第2シール部材をさらに備え、前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、前記空隙のそれぞれの側で半径方向に隔てられる、請求項9に記載の破壊システム。
【請求項11】
前記第1容器部分は、加熱要素をさらに備える、請求項9及び10のいずれか一項に記載の破壊システム。
【請求項12】
前記ロック構成体は、
第1端及び第2端を有する複数の細長い接続要素を備え、前記複数の細長い接続要素の各々は、前記第1端に係合部分を設けられ、前記係合部分は、前記第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように適合され、さらに、前記ロック構成体は、
少なくとも1つの機械的アクチュエータを備え、前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、前記第2容器部分と前記複数の細長い接続要素の前記第2端の間に配置され、前記少なくとも1つの機械的アクチュエータは、前記第2容器部分と前記複数の細長い接続要素の前記第2端の間に圧力を加え、前記第1容器部分を前記第2容器部分に対して締付けるように適合される、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の破壊システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、破壊システムと、特に、その破壊システムの第1容器部分と第2容器部分の間の相互接続を改良するように配置されるロック構成体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
破壊システムは、例えば古くて使用不能であるか又は望まれない弾薬を含む、弾薬、推進燃料又は爆薬等の爆発物を破壊するために使用できる。そのようなシステムは、爆発の可能性のある爆薬の高負荷に耐えるために丈夫でなければならない。
【0003】
爆発危険物の取扱いに適合されたそのような破壊システムの一例は、特許文献1において開示される。この例において、コンテナを形成する2つのパーツの間に配置されたロックリングを開閉することによって、コンテナに軍用品が装填される。破壊システムの破壊室への軍用品の装填は、破壊プロセスの重要な部分であり、従って、使用者が楽かつ安全にこれを実施できることが望ましい。上述の先行技術は、コンテナのパーツを接続/分離するための非常に有用な解決方法を示すが、例えば全体的な製造コストを削減できるように、その構成をさらに最適化することが望ましい。
【0004】
さらに、引揚げコンテナ及び引揚げ方法を示す特許文献2に注意されたい。それらは、単純な構成を用いつつ、一方では軍用品からの化学薬剤の漏出をより信頼性高く抑制して、海中に沈められた軍用品を引揚げることができる。
【0005】
さらに、特許文献3では、一般的に用いられているような締結ボルトを使用しなければならないという必要性を排するような方法で、高圧スチル又はそれに類する閉鎖板を緊締するためのデバイスが示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1809929号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0340662号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第1563865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した必要性を見ると、本開示の一般的な目的は、少なくともある程度の範囲では先行技術に対してさらに進歩しているような、改良されたロック構成体を提供することである。加えて、そのような破壊システムの製造及び運転のプロセスを単純化することもまた望ましい。破壊システムは、耐爆性であり、好ましくは気密性であり、かつ、爆発危険物の破壊に有用であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本開示の第1の態様によれば、有害物質の破壊に適合された耐爆性の破壊システムのためのロック構成体が提供される。このロック構成体は、破壊システムは、第1容器部分及び第2容器部分を備え、ロック構成体は、第1容器部分と第2容器部分が互いに向かい合っているときに、第1容器部分を第2容器部分に相互接続するために設けられる、ロック構成体であって、ロック構成体は、第1端及び第2端を有する複数の細長い接続要素を備え、複数の細長い接続要素の各々は、第1端に係合部分を設けられ、係合部分は、第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように適合され、さらに、ロック構成体は、少なくとも1つの機械的アクチュエータを備え、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に配置され、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に圧力を加え、第1容器部分を第2容器部分に対して締付けるように適合される。
【0009】
本開示によれば、ロック構成体は、容器部分を互いに向かって付勢するために少なくとも1つの機械的アクチュエータを利用し、それによって、好ましくは爆発に耐性がありかつ密閉された容器を形成する。ここで、密閉容器は、破壊システム全体の一部を形成する。特に、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、複数の細長い接続要素の1つの端と係合するように設けられ、ここで、複数の細長い接続要素は、他方の端で第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように配置される。従って、機械的アクチュエータがアクティブ化されたとき、例えば機械的アクチュエータの長さを増加させることが可能である場合があり、その結果としては、機械的アクチュエータは、細長い接続要素の1つの端を「押し進(push)」め、それによって第1容器部分を第2容器部分に向かって「引っ張る(pull)」ことになる。従って、細長い接続要素の各々の係合部分は、第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように適合された「フック」の形態として機能する。このように、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、細長い接続要素の反対端に対して圧力を加える。
【0010】
本開示のロック構成体に続く有利な点は、容器部分の相互接続は、先行技術のロックリングを必要とせずに行われ得る点である。ロックリングの一般的な使用は、高い信頼性を示し、破壊システムの技術分野において積極的に受容されている。もっとも、所望の信頼性を達成するためには、ロックリングは、密閉容器内で発生し得る爆発に耐えられるように、耐久性の高い金属材料から製造される必要があり、それによって、創出される破壊システムは、製造が複雑かつコストも高く、一方運転も容易ではない。
【0011】
ロックリングを本開示のロック構成体に置き換えることにより、破壊システム全体の製造コストを減少させることが可能である。というのも、細長い接続要素は密閉容器の完全に外側に位置させることができるという事実により、複数の細長い接続要素を少なくとも1つの機械的アクチュエータと組み合わせて使用することで、よりコストの低い材料を使用することが可能になるからである。
【0012】
細長い接続要素を第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと組み合わせて使用することにより、ロックリングを使用する際に要求されるのと同等に高い製造精度を有する必要性も小さくなり、従って、機械加工されたロックリングと比べて、製造(機械加工及び手作業を含む)コストが節約できる。ロックリングを用いて達成されるような緊密な相互接続は、複数の細長い接続要素のある程度均等な分布が、容器部分の円周まわりにおいてある程度均等である場合においても、新規のロック構成体によって達成され得る。即ち、複数の細長い接続要素が容器部分の円周まわりに分布させられているとき、第1容器部分及び第2容器部分の円周に沿って設けられた相互接続領域に、均等な締付力を達成することができる。ここで、第1容器部分は、第2容器部分と嵌合して密閉容器を形成し、このようにして密閉容器内からの漏出のリスクが低減されることが確実になる。
【0013】
本開示による解決方法のさらなる有利な点は、固有の熱膨張に関する。この有利な点は、破壊システムが代わりに先行技術のロックリングを備えさせられた場合に明らかになる。破壊システムは摂氏800度以上の温度に晒される可能性があるので、ロックリングは、幾つかの温度範囲内において、容器部分内で「スタックする(get stuck)」可能性があり、それは密閉容器を開くにあたって問題となり得ることを意味している。本開示による解決方法は、むしろ、上記した締付力を適用するので、従って、先行技術のロックリングを用いる場合と同様の容器部分との相互作用はしない。
【0014】
本開示の文脈内では、第1容器部分が第2容器部分に向かって軸方向に移動させられて密閉容器が形成されたときに、密閉容器が破壊される爆発危険物を受入れるための密閉空間として機能するということは、理解されるべきである。従って、少なくとも1つの容器部分は、「開放容器部分」として形成されなければならず、従って、湾曲内部表面を有する。他の容器部分は、開放容器部分であってもよいし、又は、開放容器部分と嵌合する「蓋」として形成されてもよい。第1容器部分及び第2容器部分のいずれか(又は両方)が開放容器部分であり得るということが、さらに理解されるべきである。もっとも、以下でなされる記述においては、第1容器部分は、破壊される爆発危険物を受入れるための開放容器部分として設けられる。さらに、好ましい実施形態では、第1開放容器部分及び第2開放容器部分は、少なくとも20mmの厚さを有する板金要素から構成される。
【0015】
本開示によれば、ロック構成体は、第2容器に対して移動可能に配置された支持機構をさらに含むことができ、複数の細長い接続要素の各々は、第2端で支持機構と係合している。支持機構を含むことは、第1容器部分が第2容器部分と嵌合している相互接続領域に締付力を均等に分布させることをさらに確実にするように、用いられる。本開示によれば、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、支持機構を「押し進」め、そして、支持機構は、複数の細長い接続要素を押し進める。
【0016】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、固定部分及び可動部分を備え、可動部分は、複数の細長い接続要素の第2端と向かい合っている。少なくとも1つの機械的アクチュエータの固定部分は、ここでは、好ましくは、第2容器部分と係合している。そのような実施によって、第1容器と第2容器の間の締付力の制御能力を向上させることができる可能性がある。しかしながら、他の幾つかの実施形態では、少なくとも1つの機械的アクチュエータを「上下逆」になるようにひっくり返し、固定部分が複数の細長い接続要素の第2端と向かい合うようにすることが望ましい場合がある。
【0017】
本開示の好ましい実施形態では、少なくとも1つの機械的アクチュエータを、少なくとも1つの油圧シリンダを含むように構成することが望ましい場合がある。それにより、油圧シリンダを運転するためのエネルギー源は、例えば、作動油圧又は空気圧を含み得る。油圧シリンダの使用は、多くの実施において有用であり、というのも、油圧シリンダは容易に制御可能であり、安く製造でき、かつ、機械的アクチュエータに対して用いられている他の技術と比べて、より高いレベルの圧力を加える可能性を提供するからである。しかしながら、本開示の概念は、第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に圧力を加え、第1容器部分を第2容器部分に対して締付ける、という所望の効果を達成する任意の形態の機械的アクチュエータとともに用いられることができるということは、理解されるべきである。例えば、手動で運転される機械的アクチュエータと同様に自動で運転される機械的アクチュエータを利用することも可能であり得るのであって、かつ、本開示の範囲内でもあり得る。さらに、機械的アクチュエータは、電流等による他の形態のエネルギーを用いて制御されてもよい。
【0018】
1つより多くの機械的アクチュエータを、例えば複数の機械的アクチュエータを、備えるようにロック構成体を適合させることは、一般的に有利である。複数の機械的アクチュエータが第2容器部分の円周に沿って均等に配置されることを確実にすることは、さらに望ましく、かつ好適である。複数の機械的アクチュエータを用いることにより、圧力の均等な分布を達成する可能性は、さらに高められる。ここでいう圧力は、圧力第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に加えられ、第1容器部分を第2容器部分に対して締付ける、圧力である。さらに、複数の機械的アクチュエータを含む場合の一般的な有利な点としては、単一の機械的アクチュエータを用いる場合と比べて、より力の弱い機械的アクチュエータを導入することが可能になる点がある。さらに、複数のより力の弱い機械的アクチュエータは、単一のより強力な機械的アクチュエータを用いる時と比べて、一般的にコストがより低い。
【0019】
さらに、本開示の幾つかの実施形態では、細長い接続要素の各々は、第2端に、支持機構と係合したヒンジを設けられるように、ロック構成体を適合させることは、有用であり得る。ヒンジの導入により、細長い接続要素はロックフランジから容易に「引き離(move away)」されることができる。これにより、第1容器部分の第2容器部分からの分離は容易化される。
【0020】
さらに加えて、複数の細長い接続要素を、それらが第1容器部分のロックフランジと係合するように均等に位置させられるように、配置することは、一般的に有利であり得るのであって、かつ、上記の議論に従い得る。再び、そのような実施は、第1容器部分と第2容器部分の間の締付力が、第1容器部分と第2容器部分の間の相互接続部分全体にわたって可能な限り均等に保たれる、ことを確実にするように、用いられ得る。
【0021】
上述されたロック構成体は、好ましくは、破壊システムの構成要素として設けられるのであって、この破壊システムは、第1容器部分及び第2容器部分をさらに備えている。特定の種類の破壊システムに対して設けられるさらなる特徴は、以下で与えられる。しかしながら、本開示に係るロック構成体は、異なる種類の破壊システムとともに用いられてもよく、即ち、単に以下で示されるような種類の破壊システムとともに用いられるばかりではないということは、理解されるべきである。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、有害物質の破壊に適合された耐爆性の破壊システムが提供される。この破壊システムは、第1容器部分と、第2容器部分と、ロック構成体であって、運転中に、第1容器部分を第2容器部分に対して締付けるように配置される、ロック構成体と、を備え、第1容器部分及び第2容器部分は、第1容器部分及び第2容器部分の円周に沿って設けられた相互接続領域で、それらの間に空隙を形成するように適合され、破壊システムは、流体の通過を減少させるために相互接続領域に設けられたシール構成体をさらに備え、シール構成体は、減圧デバイスを備え、減圧デバイスは、空隙に流体連通され、かつ、運転中に空隙内で負圧を形成するように配置される、破壊システムである。
【0023】
本開示の第2の態様に係る破壊システムを用いることで、爆発危険物を含む危険物が破壊される破壊システムの運転に関連する、破壊システムからの望まれない漏出のリスクを減らすことができるようになる。従って、本開示の第2の態様に係る破壊システムは、その物質が破壊される際に危険な排出ガスを生成できる、かつ/又は生成する、危険物の破壊に関して特に有用である。例えば、破壊されるそのような有害物質又は危険物は、ガス成分であって、神経ガス成分を含むがそれに限定されるわけではない、ガス成分を備える軍用品を含み得る。
【0024】
本開示の第2の態様によれば、これは、新規のシール構成体の導入によって達成される。ここでは、シール構成体は、密閉容器から破壊システムの周囲の環境へと漏出しようとする任意の物質/ガスのための「障壁」として機能する。上記されたように、相互接続領域に関連して形成された空隙は、負圧ポンプ等の減圧デバイスに流体連通されており、負圧ポンプ等は、空隙内に存在する任意のガスを「排出させる」ように配置される。その後、ガスは、最も適した方法で取扱われるのであって、例えば、負圧ポンプに接続された濾過デバイスが用いられる。このようにすると、ガスは、大気中に排出される前に、濾過デバイスを通過しなければならない。即ち、本開示に関連して設けられたシール構成体は、任意のガスであって、密閉容器内で形成され、かつ、密閉容器内で完全には破壊されていない任意のガスが、高度に制御された方法で処理されることを確実にするという有利な点を有する。ここで、高度に制御された方法は、そのような任意のガスが(例えば、第1容器部分が第2容器部分と会合する場所で)望まれない形で漏出するリスクが低減された、方法である。
【0025】
望まれない漏出ガス(又は微小な粒子)のリスクをさらに減らすために、幾つかの実施形態では、シール構成体を、シール構成体は第1シール部材及び第2シール部材をさらに備え、第1シール部材及び第2シール部材は空隙のそれぞれの側で半径方向に隔てられる、ように配置することが適している場合がある。従って、第1シール部材及び第2シール部材は、一般的には、容器部分の円周まわりに延在する。それにより、一般的には、(密閉容器の内側から)空隙内へと漏出しようとする任意のガス(又はそれに類するもの)、及び、密閉容器から(周囲の大気へと)漏出しようとする任意のガス(又はそれに類するもの)から、空隙をシールする。
【0026】
本開示によれば、第1シール部材及び第2シール部材を、密閉容器の内側に最も近い領域からは「離れて」位置させることが可能である。即ち、第1シール部材を、密閉容器の内側から見て第1容器部分と第2容器部分が会合する位置に直接配置しようとするよりもむしろ、第1シール部材は密閉容器の外側に向かって少し離れた位置にあるようにできることが、より望ましい。このように隔てて配置することにより、第1シール部材が密閉容器内部で形成される熱と直接接触することはより少なくなる。このことにより、第1シール部材が密閉容器内の熱から受ける影響をより小さくすることができ、その結果、第1シール部材の寿命はより長いものになる。
【0027】
幾つかの実施形態では、第1シール部材及び場合によっては第2シール部材は、例えばグラファイト又はカーボンから作製されるように選択される場合があり、その際には、そのような材料は、例えば幾つかの危険ガスを安全に破壊するのに必要とされる比較的高い温度を取扱うように適合されている。しかしながら、そのような材料は、漏出を生じがちである場合がある。もっとも、これは、本開示に即して、シール部材を用いて取扱われる。幾つかの実施形態では、第1シール部材及び第2シール部材を、グラファイト又はカーボンのリングとして形成することができる。
【0028】
本開示のシール構成体を用いた以下の他の有利な点は、先行技術の破壊システムに一般的であるエラストマシールに依拠する必要がないという可能性である。そのようなエラストマシールは、典型的には、摂氏250度という、破壊システムの通常運転温度よりも十分低い温度を超える温度に耐えることはできない。実際上、「破損した」エラストマシールにより、破壊システムの運転の停止がもたらされる。
【0029】
空隙が、場合によっては第1シール部材及び第2シール部材と組合わせられて十分にシールされるような、適した締付力を、第1容器部分と第2容器部分の間に与えることを確実にするためには、上記のロック構成体を利用することが望ましく、かつ適しているということは、理解されるべきである。もっとも、第1容器部分と第2容器部分の間に類似した締付力を達成する他の方法もあり、例えば、複数の手動運転圧力容器クランプ又はマンウェイクランプ(manway clamp)を導入することによる方法がある。そのようなクランプは、所望の締付圧力を達成することができるが、しかしながら、特に危険物が破壊される場合には、運転の容易さが小さくなる。即ち、本開示の第1の態様に関連して上記されたロック構成体は、運転がより容易であり、好ましくは、非手動の方法における、破壊システムの運転に伴うリスクを減らすことにつながる。
【0030】
同様に、本開示の第2の態様に関連してすぐ上で論じたように、シール構成体は、有利なことには、本開示の第1の態様に係るロック構成体と組み合わせることができる。しかしながら、これは必須ではなく、かつ、本開示の第2の態様に関連してすぐ上で論じたように、シール構成体は、他の種類の密閉容器に対して用いることができ、必ずしも上記のように形成される必要はない。
【0031】
上記されたような破壊システムの各々について、加熱要素であって、好ましくは第1容器部分に対して配置された加熱要素を含むことが望ましい。加熱要素は、ひとたび運転させられると、危険物を破壊するための密閉容器内に配置された危険物を加熱するように機能する。密閉容器内の温度は、好ましくは摂氏200度から摂氏800度の間である。
【0032】
本開示のさらなる特徴及び有利な点は、添付の請求項及び続く説明を検討したときに明らかになるだろう。当業者の受け手(skilled addressee)は、本開示の異なる特徴を組み合わせ、本開示の範囲から逸脱することなく、以下で記述される以外の実施形態を創出できることを、認識する。
【0033】
その特定の特徴及び有利な点を含む、本開示の各種態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面から容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、破壊システムに対して提供される現在好ましい実施形態に係るロック構成体を、概念的に図示している。
【
図2A】
図2Aは、運転の間の、本開示に係る破壊システムの詳細な図を示している。
【
図2B】
図2Bは、運転の間の、本開示に係る破壊システムの詳細な図を示している。
【
図2C】
図2Cは、運転の間の、本開示に係る破壊システムの詳細な図を示している。
【
図2D】
図2Dは、運転の間の、本開示に係る破壊システムの詳細な図を示している。
【
図3】
図3は、破壊システムの密閉容器の詳細な断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、添付の図面を参照しつつ、以下でより完全に記述される。添付の図面には、本開示の現在好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化され得るのであって、本明細書で論じられる実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために与えられ、当業者の受け手に本開示の範囲を完全に伝えるものである。全体を通じて、同様の参照符号は同様の要素を指している。
【0036】
ここで、図面を参照すると、
図1は、現在好ましい実施形態に係るロック構成体100を、概念的に示している。このロック構成体100は、図中では破壊システム150の構成要素として設けられている。ロック構成体100は、複数の細長い接続要素102を備え、
図1では2つの細長い接続要素102を含むように示されているが、もちろん、2つより多くの細長い接続要素102を含むことは、可能であり得、かつ、本開示の範囲内でもあり得る。
【0037】
細長い接続要素102の各々は、第1端104及び第2端106を有するように定められる。
図1で示されているように、第1端104は、第1容器部分112の円周上に設けられたロックフランジ110と係合するように適合されたフック部分108を備える。
【0038】
ロック構成体100は、機械的アクチュエータ114をさらに備え、機械的アクチュエータ114は、1つの端上で第2容器部分116と係合するように配置されている。
図1で示されているように、機械的アクチュエータ114は、特に第2容器部分116の外側表面と支持機構118の間に配置されるよう図示されている。続いて、支持機構118は、細長い接続要素102の第2端106と係合するように配置されている。
【0039】
かくして、機械的アクチュエータ114の作動中、機械的アクチュエータ114の可動部分120は、支持機構118に向かって「押し進」むようになっている。それにより、支持機構118は、続いて細長い接続要素102の第2端106を押し進めるのである。その後続いて、細長い接続要素102の第1端104のフック部分108は、第1容器部分112のロックフランジ110と係合し、それによって、第1容器部分112を第2容器部分116に向かって「引っ張る」のである。第1容器部分112を第2容器部分116に向かって引っ張ることにより、第1容器部分112及び第2容器部分116の円周に沿って設けられた相互接続領域122で、第1容器部分112が第2容器部分116に対して「締付け」られることが確実化され、これにより、密閉コンテナが形成される。
【0040】
好ましくは、細長い接続要素102は、ヒンジ122を備え、ヒンジ122は、フック部分108がロックフランジ110から「引き離」されることができるようにする。それにより、第1容器部分112を第2容器部分116から引き離すことが可能になる。第1容器部分112を第2容器部分116から引き離すことにより、第1容器部分112を危険物で充填すること、及び、危険物が破壊された後に第1容器部分112を空にすること、が可能になる。
【0041】
さらに、好ましい実施形態では、第1容器部分112は加熱要素124をさらに備え、この加熱要素124は、好ましくは密閉コンテナ内の危険物を加熱するよう電気的に運転され、それによって危険物を破壊する。
【0042】
図1では、単一の機械的アクチュエータ114及び2つのみの細長い接続要素102のみが示されている。しかしながら、以下で明らかになるように、ロック構成体は、幾つかの好ましい実施形態では、複数の機械的アクチュエータ114、及び、一様な複数の細長い接続要素102、を備える。
【0043】
ここで、
図2A-2Dを見ると、これらの図は、
図2Aのロックされた状態にはじまり、
図2Dに示されたような空の状態へと移行していく、運転の間の破壊システム150の詳細な図を示している。
【0044】
図2Aは、破壊システム150の現在好ましい実施形態を示している。看取されるように、ロック構成体100は、この実施形態では、複数の細長い接続要素102を備え、それらは第2容器部分116の円周に沿って均等に配置される。
図2Aにおいて、細長い接続要素102の各々は、第1容器部分112のロックフランジ110と係合するように示されている。従って、複数の機械的アクチュエータ114の各々は、
図2では、伸ばされた状態にあり、それによって第1容器部分112は第2容器部分116に対して締付けられている。
【0045】
図2Bでは、機械的アクチュエータ114は縮められており、それによって締付力は取除かれている。かくして、細長い接続要素102をロックフランジ110から離れるよう位置変更することができる。位置変更は、電気制御又は油圧制御されたヒンジ122によって実行され得る。ヒンジ122の位置変更は、例えば、細長い接続要素102に、第2容器部分116の外側表面でスライドする延長部を備えさせることによって、密閉容器をロック構成体100に対して位置変更させることによっても実行され得る。
【0046】
細長い接続要素102が位置変更させられると、例えば、第1容器部分112を下に動かすことによって(又は第2容器部分116を持ち上げることによって)、第1容器部分112は第2容器部分116から引き離され得る。容器部分112、116が、事前決定された距離を有して互いに引き離されたとき、
図2Cで示されているように、(好ましくは、第2容器部分を静止させつつ)軸130を中心として、第1容器112を回転させることができる。第1容器部分112が、所定の角度だけ、例えば45度-90度の間の角度だけ、回転させられたときには、破壊される危険物を第1容器部分112に装填するために、第1容器部分112の内側に容易にアクセスすることができる。
【0047】
しかしながら、破壊が完了されたときには、全ての残存するデブリ(例えば、金属くず)を取除くことが望ましい。従って、第1容器部分112は、
図2Dで示されているように、第1容器部分112の開口が完全に下を向くように、118度回転させられる。
【0048】
最後に、
図3を見ると、
図3は、破壊システム150の密閉容器の断面図を示している。
図3で提供される図は、特に、第1容器部分112と第2容器部分116の間に形成された界面に向けられている。特に、図示されているように、第1容器部分112及び第2容器部分116は、第1容器部分112及び第2容器部分116の円周に沿って設けられた相互接続領域304で、それらの間に空隙302が形成されるように、構成されている。従って、第1容器部分112及び第2容器部分116は、一般的な先行技術の実施と比べて拡張されている相互接続領域304を有している。ここで、一般的な先行技術の実施では、容器部分は、示された相互接続領域304と比べてより小さい「接続点」を有するのみである。
【0049】
破壊システム150は、流体の通過を減少させるために相互接続領域304に設けられたシール構成体をさらに備え、シール構成体は、減圧デバイス(例えば、ポンプ。図示されてはいない)を備え、減圧デバイスは、導管306を用いて空隙302に流体連通され、かつ、運転中に、空隙302内で負圧を形成するように配置される、
図3で提供される図では、単一の空隙302のみが相互接続領域304内に形成されている。あるいは、実施の観点から所望である場合には、1つよりも多くの空隙が含まれてもよい。
【0050】
シール構成体は、第1シール部材308及び第2シール部材310も備え、第1シール部材308及び第2シール部材310は、空隙302のそれぞれの側で半径方向に隔てられている。シール部材308及び310は、好ましくは、破壊システム150内に備えられる有害物質又は任意の形態の軍用品を破壊するために必要な温度に耐えることができる材料から選ばれている。一実施形態では、シール部材308及び310は、グラファイト又はカーボンの材料から選択される。
図3に示されているように、シール部材308/310として、例えば複数のグラファイト又はカーボンのリングを含むことが可能であり得る。一実施形態では、3つのリングが、空隙302の各側に設けられる。
【0051】
要約すると、本開示は、破壊システムのためのロック構成体に関する。このロック構成体は、破壊システムは、第1容器部分及び第2容器部分を有し、ロック構成体は、第1容器部分と第2容器部分が互いに向かい合っているときに、第1容器部分を第2容器部分に相互接続するために設けられる、ロック構成体であって、ロック構成体は、第1端及び第2端を有する複数の細長い接続要素を備え、複数の細長い接続要素の各々は、第1端に係合部分を設けられ、係合部分は、第1容器部分の円周上に設けられたロックフランジと係合するように適合され、さらに、ロック構成体は、少なくとも1つの機械的アクチュエータを備え、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に配置され、少なくとも1つの機械的アクチュエータは、第2容器部分と複数の細長い接続要素の第2端の間に圧力を加え、第1容器部分を第2容器部分に対して締付けるように適合される、ロック構成体である。
【0052】
本開示のロック構成体に続く有利な点は、容器部分の相互接続は、先行技術のロックリングを必要とせずに行われ得る点である。ロックリングの一般的な使用は、高い信頼性を示し、破壊システムの技術分野において積極的に受容されている。もっとも、所望の信頼性を達成するためには、ロックリングは、密閉容器内で発生し得る爆発に耐えられるように、耐久性の高い金属材料から製造される必要がある。このことにより、創出される破壊システムは、製造が複雑かつコストも高く、一方運転も容易ではない。
【0053】
図は、方法のステップの特定の順番を示しているものの、ステップの順番は図示されたものから異なっていてもよい。加えて、2つ以上のステップが、同時又は部分的に同時に実行されてもよい。そのような変型は、設計者の選択に依存する。そのような変型のすべては、本開示の範囲内である。さらに、本開示は、特定の例示的実施形態を参照しつつ記述されてきたが、当業者にとっては、多くの様々な変更、修正、及びそれらに類するものが明らかになるだろう。開示された実施形態に対する変型は、図面、本開示、及び添付の請求項の検討から、請求された本開示を実践しようとする当業者の受け手によって理解され、結果創出される。さらに、請求項においては、「含み(comprising)」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、かつ、不定冠詞「1つの(a又はan)」は、複数性を排除するものではない。
【国際調査報告】