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特表2024-513137土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法及びシステム
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  • 特表-土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20240313BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240313BHJP
   B09C 1/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G01N33/24 D ZAB
G01N27/62 V
B09C1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576245
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2022127186
(87)【国際公開番号】W WO2023072011
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111265253.8
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523329378
【氏名又は名称】中国科学院地球化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】夏 亜飛
(72)【発明者】
【氏名】劉 承帥
(72)【発明者】
【氏名】高 庭
(72)【発明者】
【氏名】劉 宇暉
【テーマコード(参考)】
2G041
4D004
【Fターム(参考)】
2G041AA09
2G041CA01
2G041DA14
2G041EA01
2G041FA16
2G041FA21
2G041JA13
2G041LA08
4D004AA41
4D004DA01
4D004DA10
4D004DA17
(57)【要約】
本発明は、農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法を開示する。前記方法は、試料採取装置により土壌試料とリスク源試料とを別々に採取するステップと、土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率をそれぞれ測定するステップと、土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップと、同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップと、汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップとを含む。本発明はCd-Pb二種類の金属同位体の相互制約、相互証明を利用して、試料同位体値の類似又は重複及び同位体分留による解析精度の低下の問題を解決し、農地土壤Cd/Pb重金属汚染源に対する正確な識別と定量的解析を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法であって、
試料採取装置を通じて土壌試料とリスク源試料をそれぞれ採取し、土壌試料とリスク源試料をそれぞれ取得するステップと、
土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率をそれぞれ測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するステップと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップと、
同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項2】
前記土壤試料を採取するステップは、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる距離の土壤試料を取得するステップを含み、
前記リスク源試料を採取するステップは、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、
前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項3】
前記土壤試料を採取するステップは、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる方位の土壌試料を取得するステップを含み、
前記リスク源試料を採取するステップは、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、
前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項4】
前記Cd同位体比率はδ114/110Cdで表され、前記Pb同位体比率は208Pb/206Pb及び206Pb/207Pbである、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項5】
前記土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定するステップは、Cd安定同位体比率測定を行うステップと、Pb安定同位体比率測定を行うステップとを含み、
前記Cd安定同位体比率測定において、分離カラムに2.8mLのAG MP-1M樹脂を入れ、まず樹脂を10mLの3.5N HNO3、2N HCl+8N HF及び6N HClで洗浄し、樹脂が中性になるように超純水を加えてから試料を10mLの2N HClで除去し、Moを10mLの1N HClで除去し、Pbを20mLの0.3N HClで除去し、Znを20mLの0.06N HClで除去し、Snを10mLの0.012N HClで除去し、最後に20mLの0.0012N HClでCdを溶出して収集し、収集した純Cdは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計を用いてテストを完了し、二重希釈法で品質差別を補正し、測定したCd安定同位体比率結果の結果は以下の通りであり、
δ114/110Cd=[(114Cd/110Cd)sample/(114Cd/110Cd)NIST 3108-1]×1000、
ここで、(114Cd/110Cd)sampleは測定試料の114Cd/110Cd値であり、(114Cd/110Cd)NIST 3108は標準NIST3108の114Cd/110Cd値であり、
前記Pb安定同位体比率測定において、1.5mLのAG1-X8樹脂を分離カラムに入れ、まず6N HCl及びMQで樹脂を3回交互に洗浄し、その後、試料中の不純物元素をそれぞれ1.5mLの1N HBr、1.5mLの2N HClで除去し、最後にPbを1.5mLの6N HClで溶出して収集し、収集した純Pbは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計を用いてテストを完了し、205Tl/203Tl=2.3871にマークされた標準Tl 997を内標準として機器品質差別補正する、
ことを特徴とする請求項4に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項6】
前記土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップは、土壤試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、土壤試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、リスク源試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、リスク源試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、1つの同位体比率投影図を得るステップを含み、前記横軸と前記縦軸が一致し、前記横軸はCd同位体であり、前記縦軸はPb同位体である、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項7】
前記同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップは、汚染農地土壤の同位体比率投影点が各汚染端成分同位体比率投影点で囲まれる範囲内にあることから、汚染農地土壤の同位体比率投影点に近接し、かつ汚染農地土壤の同位体比率投影点で囲まれる各リスク源を汚染端成分として認定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項8】
前記汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップは、源解析計算式で汚染農地土壤中のCd、Pbに対する異なる汚染端成分の相対寄与率を算出するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項9】
前記源解析計算式は、以下とおりであり、
【数1】
ここで、A、B、C、Dはそれぞれ4つの汚染端成分を表し、δ114/110Cdは、Cd同位体比率を表し、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110CdはそれぞれA、B、C、Dの4つの汚染端成分のCd同位体比率を表し、
【数2】
は、汚染土壤のPb同位体比率を表し、
【数3】
は、それぞれA、B、C、D4つの汚染端成分のPb同位体比率を表し、m=208の場合はn=206又はm=206の場合はn=207、X、X、X、XはそれぞれA、B、C、D4つの汚染端成分の寄与率を表す、
ことを特徴とする請求項8に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【請求項10】
土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムであって、
土壤試料及びリスク源試料を採取するように構成される試料採取モジュールと、
土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するように構成される試料測定モジュールと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るように構成されるプロットモジュールと、
同位体比率投影図農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するように構成される識別及び確認モジュールと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るように構成される相対寄与率計算モジュールと、
最終同位体源解析結果を出力するように構成される結果出力モジュールと、を含む、
ことを特徴とする土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土壤重金属汚染防止制御の研究分野に関し、特に土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
重金属CdとPbは世界的に認められている毒性金属元素である。土壌中のCdとPbは比較的移動しにくく、毒性が大きく、分解しにくく、食物連鎖と食物網を通じて生物増幅できるなどの特徴があり、人類の健康に大きな脅威がある。そのため、土壌Cd/Pb複合汚染は一定の特殊性を有し、土壌重金属汚染管理の難点であり、同時に国内外で注目されてきたホットスポットと難点研究課題である。農地土壌Cd/Pb汚染の程度がますます深刻化するにつれて、土壌重金属汚染物質の形態、種類及び空間分布を単純に研究することは既に現存する農地土壌管理需要を満足させることができない。しかし、農地土壌媒体環境は非常に複雑であるため、汚染源の正確な識別が困難であり、汚染貢献の定量が困難であるため、農地土壌重金属汚染を標的に管理することが難しく、管理効果は不十分である。そのため、農地土壌中のCd/Pb汚染源を有効に決定し、各汚染源の寄与率を定量できる方法を開発することは、土壌Cd/Pb汚染管理行動において非常に切実かつ必要である。
【0003】
現在、ほとんどの土壌中のCd、Pbの汚染源解析作業は通常大量のデータベースと数学統計分析に依存する。例えば因子分析法、主成分分析法、クラスタリング分析法、リッチファクター法などの方法があるが、これらの方法は土壌中の重金属の源型を定性的に解析することしかできない。また、化学質量バランス法や正定行列因子分解法などの方法は定性定量レベルでの源解析を実現できるが、これらは大量かつ包括的な試料採取や煩雑な数学的解析に基づいており、作業量が多く多元系を弁別することは困難である。
【0004】
ここ数年来、化学分析技術の発展に伴い、金属同位体指紋特徴トレーサビリティを応用することは土壌重金属源解析方法に新しい考え方をもたらす。自然界ではそれぞれの物質が独自の同位体で構成された「ラベル」を持っているため、物質別同位体組成という特定の「ラベル」を通じて混合物の出所を区分することができる。Cdは106Cd、108Cd、110Cd、111Cd、112Cd、113Cd、114Cd及び116Cdの8種類の同位体を有し、Pbは自然界において204Pb、206Pb、207Pb及び208Pbの4種類の同位体を有する。ここで、204Pbは大爆発中に唯一形成された原始安定同位体であり、206Pb、207Pb及び208Pbはそれぞれ238U、235U及び232Thの放射性崩壊生成物である。現在、Cd又はPb同位体の1つを利用した単一金属同位体土壌汚染トレーサビリティの報告が少量ある。通常、金属濃度又はその逆数と金属安定同位体の比率を用いて汚染源を分析する。Cloquetらはある製錬所周辺の土壌、粉塵粒子、ボイラ中の残留スラグなどの汚染源を採取し、Cd同位体を測定し、Cd同位体値とCd濃度の逆数プロットにより汚染源を暫定的に判断し、線形分析により粉塵粒子及び廃棄スラグがこの地域土壌のCd汚染の主要な原因であることが判明した。Liuらは土壌-水稲システムにおいて圃場モニタリング、Pb同位体比分析などを用いて土壌Pb源を解析し、その結果として、水田土壌中のPb源は背景土壌、肥料、大気沈降と灌漑水であった。
【0005】
しかし土壌中の吸着、溶解、酸化還元反応や生物学的過程などの地球化学的過程によりCd同位体が分留され、汚染源であるCd同位体信号がぼやけてCd単一同位体源解析結果の正確性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、従来技術の欠点と不足を克服し、土壌Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法及びシステムを提供することである。
【0007】
本発明の第1の目的は、土壌Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、土壌Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の目的は、以下の態様によって達成されるものである。
土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法は、
試料採取装置を通じて土壌試料とリスク源試料をそれぞれ採取し、土壌試料とリスク源試料をそれぞれ取得するステップと、
土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率をそれぞれ測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するステップと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップと、
同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップとを含む。
【0010】
さらに、前記土壤試料を採取するステップは、具体的には、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる距離の土壤試料を取得するステップを含み、前記リスク源試料を採取するステップは、具体的には、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む。
【0011】
さらに、前記異なる距離の土壤試料は、異なる距離の農地における0~20cmの表層土壤である。
【0012】
さらに、前記土壤試料を採取するステップは、具体的には、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる方位の土壌試料を取得するステップを含み、前記リスク源試料を採取するステップは、具体的には、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む。
【0013】
さらに、前記Cd同位体比率はδ114/110Cdで表され、前記Pb同位体比率は、208Pb/206Pb及び206Pb/207Pbである。
【0014】
さらに、前記土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定し、具体的には、
Cd安定同位体比率測定:分離カラムに2.8mLのAGMP-1M(100~200メッシュ)樹脂を入れ、まず樹脂を10mLの3.5N HNO3、2N HCl+8N HF及び6N HClで洗浄し、樹脂が中性になるように超純水を加えてから試料を10mLの2N HClで除去し、Mo(モリブデン)を10mLの 1N HClで除去し、Pb(鉛)を20mLの0.3N HClで除去し、Zn(亜鉛)を20mLの0.06N HClで除去し、Sn(錫)を10mLの0.012N HClで除去し、最後に20mLの0.0012N HClでCdを溶出して収集する。収集した純Cdは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計(Neptune Plus MC-ICP-MS)を用いてテストを完了し、二重希釈法で品質差別を補正し、測定したCd安定同位体比率結果の結果は以下の通りである。
δ114/110Cd=[(114Cd/110Cd)sample/(114Cd/110Cd)NIST 3108-1]×1000、
ここで、(114Cd/110Cd)sampleは測定試料の114Cd/110Cd値であり、(114Cd/110Cd)NIST 3108は標準NIST3108の114Cd/110Cd値であり、
Pb安定同位体比率測定:1.5mLのAG1-X8(100~200メッシュ)樹脂を分離カラムに入れ、まず6N HCl及びMQで樹脂を3回交互に洗浄し、その後、試料中の不純物元素をそれぞれ1.5mLの1N HBr、1.5mLの2N HClで除去し、最後にPbを1.5mLの6N HClで溶出して収集し、収集した純Pbは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計(Neptune Plus MC-ICP-MS)を用いてテストを完了し、205Tl/203Tl=2.3871にマークされた標準Tl 997を内標準として機器品質差別補正する。
【0015】
さらに、前記土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップは、具体的には、土壤試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、土壤試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、リスク源試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、リスク源試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、同位体比率投影図を得る。
【0016】
さらに、前記同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップは、具体的には、土汚染農地土壤の同位体比率投影点が各汚染端成分同位体比率投影点で囲まれる範囲内にあることから、汚染農地土壤の同位体比率投影点に近接し、かつ汚染農地土壤の同位体比率投影点で囲まれる各リスク源を汚染端成分として認定する。
【0017】
さらに、前記汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得ることは、具体的には、汚染農地土壤中のCd、Pbに対する異なる汚染端成分の相対寄与率を源解析計算式により算出する。
【0018】
さらに、前記源解析計算式は、具体的には次のとおりである。
【数1】
ここで、A、B、C、Dはそれぞれ4つの汚染端成分を表し、δ114/110Cdは、Cd同位体比率を表し、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110CdはそれぞれA、B、C、Dの4つの汚染端成分のCd同位体比率を表し、
【数2】
は、汚染土壤のPb同位体比率を表し、
【数3】
は、それぞれA、B、C、D4つの汚染端成分のPb同位体比率を表し、m=208の場合はn=206又はm=206の場合はn=207、X、X、X、XはそれぞれA、B、C、D4つの汚染端成分の寄与率を表す。
【0019】
本発明の第2の目的は、以下の技術的な解決策によって達成されるものである。
農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムは、
土壤試料及びリスク源試料を採取するように構成される試料採取モジュールと、
土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するように構成される試料測定モジュールと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るように構成されるプロットモジュールと、
同位体比率投影図農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するように構成される識別及び確認モジュールと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るように構成される相対寄与率計算モジュールと、
最終同位体源解析結果を出力するように構成される結果出力モジュールと、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、従来技術と比較して、以下の利点及び有益な効果を有する。
(1)本発明は農地土壌及び汚染源試料中のCdとPb元素の同位体比率図に基づき、農地土壌中のCd/Pb汚染端成分を正確に識別することが可能である。
(2)本発明は農地土壌及び汚染源試料中のCdとPb元素の同位体特徴に基づき、農地土壌中のCd/Pb汚染源に対して定量的な解析を正確に行い、異なる汚染源による土壌Cd/Pb汚染への定量寄与率を確定する。
(3)本発明は土壌及び汚染源中のCd/Pb同位体を測定することにより、二重同位体指紋技術による土壌重金属汚染源の遡及方法を開発し、二種類の金属同位体を利用して相互制約、相互証明が可能である。従来の多元統計、単一同位体指紋などの方法と比較して、異なる汚染源の寄与率を正確に確定することができ、解析結果はより客観的かつ正確で、汚染源に対する遡及効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法のフローチャートである。
図2】本発明に係る実施例1中の農地土壤汚染端成分の識別図である。
図3】本発明に係る実施例2中の農地土壤汚染端成分の識別図である。
図4】本発明に係る農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施例及び図面に関連してさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されないものである。
【0023】
(実施例1)
農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法は、図1に示すように、
試料採取装置を通じて土壌試料とリスク源試料をそれぞれ採取し、土壌試料とリスク源試料をそれぞれ取得するステップと、
土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率をそれぞれ測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するステップと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップと、
同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップと、を含む。
【0024】
Cd/Pbバイメタル同位体を用いて農地土壤Cd/Pb複合汚染に対して源解析を行い、具体的には以下の通りである。
【0025】
貴州カルスト地区のある大型鉛亜鉛鉱場の影響を受けた農地土壌を実施区域として選択し、実施区域汚染特徴に基づき、鉱山から200メートル、1000メートル、2000メートルの位置にある水田で0~20センチメートルの表層土壌を採取し、それぞれR1、R2、R3を番号付けするとともに潜在リスク源試料(尾鉱、鉱山粉塵、母質、化学肥料、背景土壌)を採取する。すなわち、第1の距離土壌試料と、第2の距離土壌試料と、第3の距離土壌試料とが含まれる。前記第1の距離土壌試料は200メートル離れた農地における0~20センチメートルの表層土壌である。前記第2の距離土壌試料は、1000メートル離れた農地における0~20センチメートルの表層土壌である。前記第3の距離土壌試料は、2000メートル離れた農地における0~20センチメートルの表層土壌である。前記第1のタイプリスク源試料は尾鉱であり、前記第2のタイプリスク源試料は鉱山粉塵であり、前記第3のタイプリスク源試料は母質であり、前記第4のタイプリスク源試料は化学肥料であり、前記第5のタイプリスク源試料は、背景土壤である。
【0026】
汚染農地土壌と汚染リスク源試料をそれぞれCd、Pb元素の分離精製処理した後、好ましくは多受信誘導結合プラズマ質量分析計を用いてCd、Pb同位体比率を測定し、テスト結果を表1に示す。
【0027】
[表1]実施例1における汚染土壌と潜在リスク源試料Cd、Pbの同位体率
【表1】
【0028】
本実施例は農地土壌試料及び潜在リスク源試料のうち、図2に示すように、δ114/110Cdを横軸とし、208Pb/206Pbは、縦軸プロットを縦軸としてプロットしたものである。図から明らかなように、農地土壤の重金属汚染源は、鉱山粉塵、背景土壤、尾鉱であり、これら3つの汚染端成分のうち鉱山からの汚染源は、尾鉱と鉱山粉塵を含む汚染の影響が比較的顕著であり、化学肥料及び母質への貢献は排除可能である。この目標研究区域における農地土壌は鉱山採掘の影響が顕著であり、農業活動汚染源の影響はほとんど隠蔽されていることが示唆された。
【0029】
これらの汚染端成分識別結果によると、農地土壌の汚染端成分は鉱山粉塵(A)、尾鉱(B)、背景土壌(C)の3つであった。汚染農地土壤(Rn、n=1、2、3)及び汚染端成分中のδ114/110Cdと208Pb/206Pbを汚染寄与計算式に導入する。
【数4】
【0030】
得られた計算結果を表2に示すように、土壌R1とR2は鉱山から近く、鉱山粉塵による汚染寄与はそれぞれ79.06%と54.69%であった。土壌R3は鉱山から比較的遠く、主に背景土壌からの汚染であり、寄与率は53.36%であった。
【0031】
(実施例2)
本実施例は、以下の特徴を除き、他の構造が実施例1と同様である。
華南地区のある大型多金属鉱場の影響を受けた農地土壌を実施区域として選択し、実施区域の汚染特徴に基づき、鉱場を中心に周辺4つの水田中0~20センチメートルの表層土壌を無作為に採取し、それぞれ番号P1、P2、P3、P4を番号付けするとともに潜在リスク源試料(鉱山廃水沈殿、大気沈降、母質、化学肥料、背景土壌)を採取する。すなわち、周辺の4つの水田は、第1方位、第2方位、第3位、第4方位を含む。前記第1のタイプリスク源試料は鉱山廃水沈殿であり、前記第2のタイプリスク源試料は大気沈降であり、前記第3のタイプリスク源試料は母質であり、前記第4のタイプリスク源試料は化学肥料であり、前記第5のタイプリスク源試料は背景土壤である。
【0032】
汚染農地土壤と汚染リスク源試料をそれぞれCd、Pb元素の分離精製処理した後、好ましくは多受信誘導結合プラズマ質量分析計を用いてCd、Pb同位体比率を測定し、テスト結果を表3に示す。
【0033】
[表3]実施例2における汚染土壌と潜在リスク源試料Cd、Pb同位体比率
【表3】
【0034】
本実施例は農地土壌試料及び潜在リスク源試料のうち、図3に示すように、δ114/110Cdを横軸とし、206Pb/207Pbを縦軸としてプロットしたものである。図から明らかなように、汚染農地土壤の重金属汚染源は、鉱山廃水沈殿、大気沈降、母質、背景土壤の4つの端成分である。農業活動における化学肥料の汚染寄与は鉱冶活動からの影響と比較して排除可能である。
【0035】
上記の汚染端成分識別結果によると、農地土壌の汚染端成分は鉱山廃水沈殿(A)、大気沈降(B)、母質(C)、背景土壤(D)の4つであった。汚染農地土壤(Pn、n=1、2、3、4)と汚染端成分中のδ114/110Cdと206Pb/207Pbを汚染寄与計算式に導入する。
【数5】
【0036】
得られた計算結果は表4に示すように、重金属の活動性が強い華南紅地地区では人為的な活動重金属汚染への寄与が支配的であり、鉱山廃水沈殿と大気沈降への寄与は4つの農地土壌とも97%以上の汚染寄与率であったのに対し、自然源は母質と背景土壌を含む寄与が低かった。
【0037】
[表4]実施例2の汚染端成分寄与量(%)
【表4】
【0038】
以上のように、本発明の技術的な解決策によれば、Cd/Pb同位体を用いて土壌Cd/Pb複合汚染源解析を並列化することで、異なる地域の農地土壌の汚染端成分を正確に識別し、相対寄与率を算出することが可能となる。本発明の2つの具体的な実施例は、それぞれ2つの地質背景、重金属活動性の差が大きい南西カルスト地域と華南紅地地域で実施する。Cd-Pb同位体投影図により農地土壌の汚染端成分を識別し、各汚染端成分の相対寄与率を算出した。上記実施例は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に限定されないものである。
【0039】
(実施例3)
農地土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムは、図4に示すように、
土壤試料及びリスク源試料を採取するように構成される試料採取モジュールと、
土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するように構成される試料測定モジュールと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るように構成されるプロットモジュールと、
同位体比率投影図農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するように構成される識別及び確認モジュールと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るように構成される相対寄与率計算モジュールと、
最終同位体源解析結果を出力するように構成される結果出力モジュールと、を含む。
【0040】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その他本発明の精神的実質及び原理から逸脱しないいかなる変更、修飾、代替、組合せ、簡略化も等価な置換方式であることが本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0041】
(付記)
(付記1)
土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法であって、
試料採取装置を通じて土壌試料とリスク源試料をそれぞれ採取し、土壌試料とリスク源試料をそれぞれ取得するステップと、
土壌試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率をそれぞれ測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するステップと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップと、
同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0042】
(付記2)
前記土壤試料を採取するステップは、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる距離の土壤試料を取得するステップを含み、
前記リスク源試料を採取するステップは、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、
前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0043】
(付記3)
前記土壤試料を採取するステップは、試料採取装置を通じて土壤試料を採取し、異なる方位の土壌試料を取得するステップを含み、
前記リスク源試料を採取するステップは、異なるタイプのリスク源試料を採取するステップを含み、
前記異なるタイプのリスク源試料は、第1のタイプリスク源試料、第2のタイプリスク源試料、第3のタイプリスク源試料、第4のタイプリスク源試料及び第5のタイプリスク源試料を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0044】
(付記4)
前記Cd同位体比率はδ114/110Cdで表され、前記Pb同位体比率は208Pb/206Pb及び206Pb/207Pbである、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0045】
(付記5)
前記土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定するステップは、Cd安定同位体比率測定を行うステップと、Pb安定同位体比率測定を行うステップとを含み、
前記Cd安定同位体比率測定において、分離カラムに2.8mLのAG MP-1M樹脂を入れ、まず樹脂を10mLの3.5N HNO3、2N HCl+8N HF及び6N HClで洗浄し、樹脂が中性になるように超純水を加えてから試料を10mLの2N HClで除去し、Moを10mLの1N HClで除去し、Pbを20mLの0.3N HClで除去し、Znを20mLの0.06N HClで除去し、Snを10mLの0.012N HClで除去し、最後に20mLの0.0012N HClでCdを溶出して収集し、収集した純Cdは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計を用いてテストを完了し、二重希釈法で品質差別を補正し、測定したCd安定同位体比率結果の結果は以下の通りであり、
δ114/110Cd=[(114Cd/110Cd)sample/(114Cd/110Cd)NIST 3108-1]×1000、
ここで、(114Cd/110Cd)sampleは測定試料の114Cd/110Cd値であり、(114Cd/110Cd)NIST 3108は標準NIST3108の114Cd/110Cd値であり、
前記Pb安定同位体比率測定において、1.5mLのAG1-X8樹脂を分離カラムに入れ、まず6N HCl及びMQで樹脂を3回交互に洗浄し、その後、試料中の不純物元素をそれぞれ1.5mLの1N HBr、1.5mLの2N HClで除去し、最後にPbを1.5mLの6N HClで溶出して収集し、収集した純Pbは、多受信プラズマ質量分析計で蒸乾後に3% HNO3に溶解して測定を待って、多受信プラズマ質量分析計を用いてテストを完了し、205Tl/203Tl=2.3871にマークされた標準Tl 997を内標準として機器品質差別補正する、
ことを特徴とする付記4に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0046】
(付記6)
前記土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るステップは、土壤試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、土壤試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、リスク源試料のCd同位体比率を横軸としてプロットし、リスク源試料のPb同位体比率を縦軸としてプロットし、1つの同位体比率投影図を得るステップを含み、前記横軸と前記縦軸が一致し、前記横軸はCd同位体であり、前記縦軸はPb同位体である、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0047】
(付記7)
前記同位体比率投影図により農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するステップは、汚染農地土壤の同位体比率投影点が各汚染端成分同位体比率投影点で囲まれる範囲内にあることから、汚染農地土壤の同位体比率投影点に近接し、かつ汚染農地土壤の同位体比率投影点で囲まれる各リスク源を汚染端成分として認定するステップを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0048】
(付記8)
前記汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るステップは、源解析計算式で汚染農地土壤中のCd、Pbに対する異なる汚染端成分の相対寄与率を算出するステップを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0049】
(付記9)
前記源解析計算式は、以下とおりであり、
【数6】
ここで、A、B、C、Dはそれぞれ4つの汚染端成分を表し、δ114/110Cdは、Cd同位体比率を表し、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110Cd、δ114/110CdはそれぞれA、B、C、Dの4つの汚染端成分のCd同位体比率を表し、
【数7】
は、汚染土壤のPb同位体比率を表し、
【数8】
は、それぞれA、B、C、D4つの汚染端成分のPb同位体比率を表し、m=208の場合はn=206又はm=206の場合はn=207、X、X、X、XはそれぞれA、B、C、D4つの汚染端成分の寄与率を表す、
ことを特徴とする付記8に記載の土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源の解析方法。
【0050】
(付記10)
土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システムであって、
土壤試料及びリスク源試料を採取するように構成される試料採取モジュールと、
土壤試料とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を測定し、土壤試料のCd、Pb同位体比率とリスク源試料のCd、Pb同位体比率を取得するように構成される試料測定モジュールと、
土壌試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、リスク源試料のCd、Pb同位体比率を座標としてプロットし、同位体比率投影図を得るように構成されるプロットモジュールと、
同位体比率投影図農地土壤を汚染する汚染端成分を識別し、汚染端成分の識別結果を得、汚染端成分をさらに確認するように構成される識別及び確認モジュールと、
汚染端成分の相対寄与率を計算し、同位体源解析結果を得るように構成される相対寄与率計算モジュールと、
最終同位体源解析結果を出力するように構成される結果出力モジュールと、を含む、
ことを特徴とする土壤Cd/Pb複合汚染バイメタル同位体源解析システム。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】