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特表2024-513141雌型の端子位置保証(TPA)装置を備える、改良された雌および雄ハウジングを有する高電圧コネクタ組立体、ならびに高電圧コネクタ組立体における空間距離および沿面距離を改善するための改善された方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】雌型の端子位置保証(TPA)装置を備える、改良された雌および雄ハウジングを有する高電圧コネクタ組立体、ならびに高電圧コネクタ組立体における空間距離および沿面距離を改善するための改善された方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20240314BHJP
   H01R 13/44 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/44 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575332
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021045781
(87)【国際公開番号】W WO2023018417
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】17/399,578
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506351927
【氏名又は名称】ジェイエスティー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デマラトス、デビッド
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB20
5E021FC38
5E021KA06
5E087EE07
5E087LL11
5E087RR18
(57)【要約】
雌型の端子位置保証(TPA)装置を備える、改善された雌ハウジングおよび雄ハウジングを有する高電圧コネクタ組立体、および高電圧コネクタ組立体における電気経路の空間距離および沿面距離を改善するための方法が提供される。雌ハウジングは、雌型のTPA装置の前方伸長部材の前部下方伸長部材をそれぞれ受容して、高電圧電気端子を雌ハウジング内で最終的にロックし、雌型のTPA装置を雌ハウジング内のフルロック位置に配置するための開口を有する中間上部を含む。完全に組み付けられたときに、高電圧コネクタ組立体における電気経路の空間距離および沿面距離は、高電圧電気端子から略垂直な方向に伸長し、雄ハウジングの分離壁に沿って、雌ハウジングの中間上部を跨ぐ略水平な方向に雌ハウジングの後部に向かって、隣接する高電圧電気端子に伸長する。また、フルロック位置にあるときに、TPA装置は、端子が連続的な絶縁材料によって全方向において実質的に完全に封入されることを可能にするように組み付けられるか、またはプリロック位置で静止している間に、TPA装置のいかなる部分も端子を収容する空洞に入ることを必要としないように、下方伸長部材を除いて、その全体が、雌ハウジングの外側にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧コネクタ組立体であって、
前部および後部を有する雌型の端子位置保証(TPA)装置であって、前記前部が、前部下方伸長部材を備える複数の前方伸長部材を含む、雌型の端子位置保証(TPA)装置と、
前部上部、中間上部、および後部を有する雌ハウジングであって、前記雌ハウジングが、少なくとも高電圧電気端子をその中に実質的に封入し、前記中間上部が、前記雌型のTPA装置の前記前部下方伸長部材をその中に収容するように通過させる開口を含む、雌ハウジングと、
前記雌ハウジングの前記複数の前方伸長部材を分離するための分離壁を有する雄ハウジングであって、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記TPA装置の前記前部下方伸長部材のみが、前記高電圧電気端子を含む前記雌ハウジングの内部の空洞の中に収容される、雄ハウジングと
によって特徴付けられる、高電圧コネクタ組立体。
【請求項2】
前記雄ハウジングの前記分離壁はさらに、前記雌ハウジングの中に収容される複数の高電圧電気端子をそれぞれ分離する
ことによって特徴付けられる、請求項1記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項3】
前記雌ハウジングは、前記雌ハウジングの中の前記高電圧電気端子を予備的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項2記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項4】
前記雌型のTPA装置の前記前部下方伸長部材は、前記雌ハウジングの中の前記高電圧電気端子を最終的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項3記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項5】
前記雌型のTPA装置は、プリロック位置にある
ことによって特徴付けられる、請求項3記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項6】
前記雌型のTPA装置は、フルロック位置にある
ことによって特徴付けられる、請求項4記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項7】
前記高電圧電気端子は、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記雌ハウジングによって実質的に全方向において完全に封入される
ことによって特徴付けられる、請求項1記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項8】
前記雌ハウジングは、樹脂で形成される
ことによって特徴付けられる、請求項7記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項9】
高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法であって、
複数の高電圧電気端子を雌ハウジングの中にそれぞれ挿入するステップと、
前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジング内でそれぞれロックするステップと、
雌型のTPA装置の前方伸長部材の複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの中間上部を通過する開口にそれぞれ挿入するステップと、
前記雌ハウジングをその中に収容する雄ハウジングの分離壁によって、前記雌ハウジングの中にロックされる、隣接する複数の高電圧電気端子を分離するステップと
によって特徴付けられ、
前記TPA装置の前記複数の前部下方伸長部材のみが、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記複数の高電圧電気端子を含む前記雌ハウジングの内部の空洞の中に収容される、方法。
【請求項10】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材をそれぞれ挿入するステップは、前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中で最終的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項11】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材をそれぞれ挿入するステップは、前記雌型のTPA装置を前記雌ハウジングの中の最終ロック位置に配置する
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項12】
前記高電圧電気端子は、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記雌ハウジングによって実質的に全方向において完全に封入される
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項13】
前記雌ハウジングは、樹脂で形成される
ことによって特徴付けられる、請求項12記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項14】
高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型の端子位置保証(TPA)装置を使用して、改善するための方法であって、
複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中にそれぞれ挿入するステップと、
前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中でロックするステップと、
雌型のTPA装置の前方伸長部材の複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの中間上部の中にそれぞれ挿入するステップと、
前記雌ハウジングをその中に収容する改善された雄ハウジングの分離壁によって、前記雌ハウジングの中でロックされる、隣接する複数の高電圧電気端子を分離するステップと、
前記複数の高電圧電気端子から、前記雄ハウジングの前記分離壁に沿って、前記雌ハウジングの後部に向かって前記雌ハウジングの中間上部を跨いで、隣接する複数の高電圧電気端子に伸長する、電気経路のための空間距離または沿面距離を与えるステップと
によって特徴付けられる、方法。
【請求項15】
前記電気経路のための前記空間距離または沿面距離を与えるステップは、前記雌ハウジングの前記中間上部を通過するそれぞれの開口を通って、前記電気経路を前記複数の高電圧電気端子から略垂直に伸長させるステップであって、前記雌型のTPA装置がフルロック位置にあるときに、前記開口を通って、前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材がその中に収容される、前記電気経路を前記複数の高電圧電気端子から略垂直に伸長させるステップを含む
ことによって特徴付けられる、請求項14記載の高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型のTPA装置を使用して、改善するための方法。
【請求項16】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの前記中間上部の開口にそれぞれ挿入するステップは、前記雌型のTPA装置を前記雌ハウジングの中のフルロック位置でロックするステップを含む
ことによって特徴付けられる、請求項14記載の高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型のTPA装置を使用して、改善するための方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高電圧コネクタ組立体が満たす必要がある高電圧および従来のシールドされた自動車用コネクタの設計のために、少なくとも高電圧電気端子から別の高電圧電気端子、電気素子/回路への空間距離および沿面距離が改善または増加されることが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、雌型の端子位置保証(TPA)装置を備える、改良された雌および雄ハウジングを有するコネクタ組立体、ならびに本発明の高電圧コネクタ組立体における空間距離および沿面距離を改善するための改善された方法に関する。本発明の高電圧コネクタ組立体は、より大きな端子である高電圧電気端子に非常に適している。本発明の雌型のTPA装置は、前部および後部を有する改良された雌ハウジングを含み、その前部は、雌型のTPA装置の前方伸長部材の前部下方伸長部材のみをその中に入れることを可能にするための開口部を備える上部を有している。改善された雄ハウジングは、動作時にTPA装置の前部の前方伸長部材間に配置される内側分離壁を含む。本発明の上記の構造的配置では、「沿面距離(creepage)」(コネクタ内の任意の所与の回路から任意の(通常は隣接する)他の回路への表面に沿った最短経路の測定値)、および「空間距離(clearance)」(たとえば、コネクタの所与の回路内の露出された導電要素から同じコネクタにおける異なる回路内の任意の他の導電要素までの最短電気経路の測定値として定義される)は、利点を有して増加される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本発明の改善された雌型の高電圧コネクタ組立体での使用のための雌型の端子位置保証(TPA)装置の正面斜視図である。
図2】本発明の改善された雌型の高電圧コネクタ組立体での使用のための雌型のTPA装置の側面図である。
図3】本発明の改善された雌型の高電圧コネクタ組立体での使用のための雌型のTPA装置の上面図である。
図4】本発明の改善された雌型の高電圧コネクタ組立体での使用のための雌型のTPA装置の正面図である。
図5】プリロック位置での、雌型のTPA装置をその中に取り付けるか、または設置した、本発明の改善された雌ハウジングの斜視図である。
図6】フルロック位置での、雌型のTPA装置をその中に取り付けるか、または設置した、本発明の改善された雌ハウジングの斜視図である。
図7図5の断面線7-7に沿った断面図であり、本発明の改善された雌ハウジングでのプリロック位置にある雌型のTPA装置の対応する前方伸長部材の対応する前部下方伸長部材を備える、対応する高電圧端子を示し、垂直の矢印で示されるように、高電圧電気端子から伸びる電気経路に対する空間距離または沿面距離をさらに例示している。
図8図6の断面線8-8に沿った断面図であり、本発明の改善された雌ハウジングでのフルロック位置にある雌型のTPA装置の対応する前方伸長部材の対応する前部下方伸長部材を備える、対応する高電圧端子を示し、垂直の矢印で示されるように、高電圧電気端子から伸びる電気経路に対する空間距離または沿面距離をさらに例示している。
図9】プリロック位置での、改善された雌ハウジングの上部中間部分の対応する開口を通過する垂直の矢印で示されるような、高電圧電気端子から伸びる電気経路に対する空間距離または沿面距離を例示し、ここで、対応する前方伸長部材の前部下方伸長部材は、本発明の改善された雌ハウジングの上部中間部分の対応する開口に部分的に進入するか、または進入するところである。
図10】フルロック位置での、改善された雌ハウジングの上部中間部分の対応する開口を通過する垂直の矢印で示されるような、高電圧電気端子から伸びる電気経路に対する空間距離または沿面距離を例示し、ここで、対応する前方伸長部材の前部下方伸長部材は、本発明の改善された雌ハウジングの上部中間部分の対応する開口に完全に進入する。
図11A】雌ハウジングおよびTPA装置をその中に受容するための本発明の改善された雄ハウジングを例示し、改善された雄ハウジングがTPA装置および改善された雌ハウジングをその中に収容するときに、TPA装置の前部に位置する前方伸長部材の上部部材を分離するための雄ハウジング内の分離壁をさらに例示している。
図11B】互いに組み付けられた本発明のTPA装置および改善された雌ハウジングを例示し、雄ハウジング内の分離壁がTPA装置の前部の前方伸長部材間に配置されるために移動する方向を示す矢印をさらに例示し、本発明の改善された雌ハウジング内に収容された隣接する電気端子間の空間距離の増加をさらに例示している。
図12】互いに組み付けられた本発明のTPA装置および改善された雌ハウジングの上面図であり、本発明の改善された雄ハウジング内に収容された隣接する電気端子間の、破線で示される、電気経路に対する増加した空間距離の略水平な部分をさらに例示している。
図13A】本発明の改善された雄ハウジングに挿入される、完全に組み付けられた、本発明のTPA装置および改善された雌ハウジングの上面図である。
図13B】本発明の完全に組み付けられたTPA装置および改善された雌ハウジングをその中に収容した本発明の改善された雄ハウジングの上面図であり、本発明の改善された雄ハウジング内に収容された隣接する端子間の、破線で示される、電気経路に対する増加した空間距離の略水平な部分をさらに例示している。
【発明を実施するための形態】
【0004】
図1は、概して参照番号1として示される、雌型端子位置(TPA)装置の正面斜視図を例示している。雌型のTPA装置1は、中央部材3および丸みを帯びた部材5を含んでいる。中央部材3は、丸みを帯びた部材5の上部7から下部9まで伸長している。丸みを帯びた部材5は、その反対側に、そこから伸長する前方伸長部材10、12を有している。
【0005】
図2には、上部後方伸長部材13および下部後方伸長部材15が例示されている。前方伸長部材10、12のそれぞれの前端には、対応する前部下方伸長部材20、22がある。また、前方伸長部材10、12のそれぞれは、対応する上部部材25、27を有し、上部部材25、27のそれぞれは、対応するランプ状の前端29、30を有している。
【0006】
図3には、雌型のTPA装置1の上面図が示され、前方伸長部材10、12、そこからそれぞれ伸長する対応する上部部材25、27、およびそのランプ状の前端29、30がそれぞれ例示されている。また、上部後方伸長部材13および下部後方伸長部材15も示されている。上部後方伸長部材13は、そこから伸長する上部アゴ状部材35を有し、一方で、下部後方伸長部材15は、そこから伸長する下部アゴ状部材37を有している。中央部材3を間に挟んだ開口部40、42は、図4に示されるように、雌型のTPA装置1の両側を通過する。
【0007】
図5は、改善された雌ハウジング50に挿入され、取り付けられている、プリロック位置(pre-lock position)にある雌型のTPA装置1を例示している。改善された雌ハウジング50は、前部53および後部55を有している。図6は、改善された雌ハウジング50に挿入されて取り付けられる、フルロック位置(full-lock position)にある雌型のTPA装置1を例示している。
【0008】
以下でより詳細に説明されるように、本発明は、改善された雌ハウジング50を含み、図7では、改善された雌ハウジング50によって、TPA装置1の、それぞれ、前方伸長部材10、12の前部下方伸長部材20、22のみが、改善された雌ハウジング50に入ることを可能にする、プリロック位置にあるTPA装置1が示されている。図7にも示されるように(図5の線7-7に沿った断面)、改善された雌ハウジング50の前部上部61の厚さは、改善された雌ハウジング50の中間上部59よりも厚い。
【0009】
図8に例示されるように(図6の8-8線に沿った断面)、TPA装置1は、フルロック位置にあり、フルロック位置では、改善された雌ハウジング50によって、TPA装置1の前方伸長部材10、12の前部下方伸長部材20、22のそれぞれのみが、改善された雌ハウジング50の中間上部59の開口57、58に、それぞれ入ることを可能にする。上記の構造的配置により、本発明は、より大きな端子である高電圧電気端子60にも非常に適している。
【0010】
図7および図8のそれぞれにさらに例示されるように、それぞれの露出された高電圧電気端子60からの電気経路170、175(矢印を参照)に対する空間距離または沿面距離は、改善された雌ハウジング50の中間上部59の開口57、58をそれぞれ通って略垂直に伸長している。本発明の上記特徴により、上述され、図7および図8に示されるように、「沿面距離」(任意の所与の回路から任意の(通常は隣接する)他の回路までの表面に沿った最短の電気経路の測定値であり、ここでは、別の高電圧電気端子60までの最短の電気経路の測定値)、および「空間距離」(コネクタの所与の回路内の任意の露出された導電要素から同じコネクタにおける異なる回路内の任意の他の導電要素までの最短の電気経路の測定値であり、ここでは、高電圧電気端子60から別の高電圧電気端子60までの最短の電気経路の測定値)は、以下でさらに詳細に説明されるように、利点を有して増加される。
【0011】
また、図7に示されるように、突出部材62は、改善された雌ハウジング50の下部から伸長している。突出部材62は、ランプ状の先頭端65を含んでいる。端子60の先頭部分68は、次に、ノッチ70を有し、端子60が、改善された雌ハウジング50に完全に挿入されると、ノッチ70は、突出部材62のランプ状の先頭端65上を容易に通過する。端子60が改善された雌ハウジング50に完全に挿入されると、改善された雌ハウジング50の突出部材62は、端子60の先頭端の部分68のノッチ70にパチンと嵌め込まれ、それにより、改善された雌ハウジング50の内側に端子60をロックする(一次ロック)。
【0012】
さらに、図7において、雌型のTPA装置1は、プリロック位置にある。上述されるように、改善された雌ハウジング50内の突出部材62が端子60の先頭端部分68のノッチ70にパチンと嵌め込まれるか、または入ると、端子60はロックされる(一次ロック)。その結果、端子60は、改善された雌ハウジング50から引き抜くことができなくなり、その際に、端子60の上部ノッチ80は、改善された雌ハウジング50の中間上部59の頂部において、それぞれ、開口57、58に入って通過する、前部下方伸長部材20、22の対応する1つをその中にそれぞれ受容または収容するように利用可能になる。すなわち、端子60が改善された雌ハウジング50内の一次ロック位置になく、端子60の上部ノッチ80が前部下方伸長部材20、22の対応する1つをその中に受容するか、または収容するために利用可能でない限り、前部下方伸長部材20、22は、開口57、58を通って入ることができず、必要な二次ロックを改善された雌ハウジング50内の端子60に提供することができない。換言すれば、端子60が改善された雌ハウジング50内の一次ロックにない場合、雌型のTPA装置1は、端子60の先頭部分68の上部85によって、さらに下方に押されることが妨げられる。その結果、端子60の先頭部分68の上部85が雌型のTPA装置1をブロックする(より具体的には、雌型のTPA装置1の前部下方伸長部材20、22をブロックする)場合、雌型のTPA装置1は、端子60がそれらの適切な位置にないかまたは正しく設置された位置または場所にないことを検出することができ、すなわち、雌型のTPA装置1は、さらに下方に押されることはなく、したがって、改善された雌ハウジング50内の端子60に二次ロックを提供することができない(すなわち、雌型のTPA装置1をフルロック位置までさらに完全に下方に押すことができない)。
【0013】
図8は、改善された雌ハウジング50の内側のフルロック位置にある改善された雌型のTPA装置1を例示している。前部下方伸長部材20、22の形状は、開口57、58の縁または周縁に略類似しており、それぞれ、開口57、58内に適合する大きさとされ、これは、開口57、58内の前部下方伸長部材20、22の位置合わせおよび受容を助けるものである。ここで、一次ロックされる端子60の上部ノッチ80は、改善された雌型のTPA装置1の、それぞれ、前方伸長部材10、12の前部下方伸長部材20、22の対応する1つをその中に収容するのに利用可能になり、したがって、端子60の上部ノッチ80のそれぞれ1つ内に挿入されると、改善された雌型のTPA装置1の、それぞれ、前方伸長部材10、12の前部下方伸長部材20、22は、それぞれ、一次ロックされた端子60が突出部材62から引き離されて、改善された雌ハウジング50から取り外されることを防ぎ、それゆえ、TPA装置1は、改善された雌ハウジング50内の端子60に二次ロックを提供することができる。
【0014】
図7(雌型のTPA装置1のプリロック位置)および図8(雌型のTPA装置1のフルロック位置)のそれぞれにさらに示されるように、雌型のTPA装置1が、改善された雌ハウジング50上であるか、またはハウジング50の中に方向付けされたときの、高電圧電気端子60から改善された雌ハウジング50の上部中間部分59の開口57、58を通過して、略垂直に伸長する、電気経路の垂直部分170、175に対する沿面距離または空間距離(矢印を参照)が示されている。また、本明細書では、前部下方伸長部材20、22は、それぞれ、改善された雌ハウジング50内の高電圧電気端子60に二次ロックを提供するために、対応する高電圧電気端子60の一部の実質的に直後にあることにも留意されたい。
【0015】
図7および図8にさらに示されるように、雌型のTPA装置1は、高電圧端子60が雌ハウジング50に挿入される方向に垂直な方向に動作される(または雌ハウジング50に対して移動される)。
【0016】
また、本発明の雌型のTPA装置1は、(前述のように)そのような幾何学的形状または構造的配置を有し、それにより、雌型のTPA装置1は、雌型のTPA装置1が雌ハウジング50に組み付けられている間か、またはプリロック状態または位置で静止している間に、雌型のTPA装置1のいかなる部分も、高電圧電気端子60を含む空洞200を通過するか、またはそこに入ることを必要としないように、下方伸長部材20、22のみを除いて、その全体が、雌ハウジング50の外側にある(図5図7、および図9を参照)。前述のように、下方伸長部材20、22のみが、開口57、58を通って末端空洞200に入り、開口67、68を決して通過せず、雌型のTPA装置1がフルロック状態または位置にあるときにのみ通過する。上記の構造的配置は、高電圧電気端子60のそれぞれが、TPA装置1がフルロック位置または状態にあるときに、通過すべき下方伸長部材20、22に対して必要とされる、開口57、58のための小さな切れ目(discontinuity)が必要とされることを除いて、4つの壁(すなわち、連続する絶縁材料(すなわち、たとえば、樹脂で形成される雌ハウジング50)の上側、下側、および両側面)によって、全方向において、完全に封入されることを可能にする。
【0017】
さらに、雌型のTPA装置1は、コネクタ組立体の前部(すなわち、コネクタ組立体の嵌合端)からロックまたはロック解除される。これは、TPA装置1が、完全にシールドされるコネクタ組立体において使用されることを可能にし、そうでないと、コネクタの後部において必要とされるシールド、およびワイヤに対するシールドに接触させる(電気的に接地する)ために必要とされるシールドによる機能のために、コネクタ組立体の後部(すなわち、コネクタ組立体の端部ワイヤ)で作用するTPA装置の使用が妨げられる。
【0018】
図9に例示されるように、雌型のTPA装置1は、改善された雌ハウジング50内でプリロック位置にあり、一方で、図10に例示されるように、雌型のTPA装置は、改善された雌ハウジング50内でフルロック位置にある。図9には、改善された雌ハウジング50の中間上部59を通過させる開口57、58の上方にあるか、またはそこに部分的に挿入される、雌型のTPA装置1の前方伸長部材10、12の下方伸長部材20、22が示されている。図9および図10には、高電圧電気端子60から改善された雌ハウジング50の上部中間部分59の開口57、58を通って、略垂直に伸長する、電気経路の垂直部分170、175に対する沿面距離または空間距離が示されている(矢印を参照)。
【0019】
図11Aは、雌ハウジング50の前部53をその中に受容するための開口部150、153を有する改善された雄ハウジング130を例示している。図11Aにさらに例示されるように、開口部150、153は、雄ハウジング130の分離壁160によって分離される。分離壁160は、以下でさらに説明されるように、雌ハウジング50内に収容された隣接する高電圧電気端子60を分離する。雌ハウジング50および雄ハウジング130を互いに組み付ける場合、分割された雌ハウジング50の前部53は、図11Bに示されるように配置される分離壁160によって分割または分離される。分離壁160が位置付けられると、図11Bに示されるように、高電圧電気端子60をその中に収容する、前方伸長部材10、12の前部下方伸長部材20、22は、分離壁160によって同様に分割または分離される。図11Bにさらに示されるように、電気経路の垂直部分170、175は、(180、185の破線で示されるように、)高電圧電気端子60から開口57、58の外に出るように伸長し、沿面距離を有する電気経路は、上部中間部分59に沿って伸長し、その後に、雌ハウジング50の後部55に向かって伸長し、分離壁160に沿うか、また分離壁160の周囲で横切る。分離壁160が雌型のTPA装置1の丸みを帯びた部材5の前部近くまで伸長することで、電気経路に対する沿面距離の略水平な部分180、185は、分離壁160の周囲をさらに横断して伸長し、雌型のTPA装置1の丸みを帯びた部材5の一部の実質的に前を、またそれに沿って(190の破線で示されるように)横切る。図11Bおよび図12に示されるように伸長する、電気経路に対する沿面距離の垂直部分170、175および水平部分180、185、190により、本発明の端子60間の電気経路の空間距離は増加され、したがって著しく改善される。
【0020】
図12は、互いに組み付けられた雌型のTPA装置1および雌ハウジング50の上面図であり、破線として示される電気経路の略水平な部分180、185、190の沿面距離をさらに例示し、分離壁160の周囲、および雌ハウジング50内に収容された隣接する電気端子60間の空間距離を示す。電気経路が上部中間部分59および分離壁160の上部に沿って後方に横切る必要があるため、空間距離は増大され、上部中間部分59および分離壁160はともに、端子60間の空間距離を増加させるルートで沿面距離経路をさらに方向付ける端子60の開口57、58と露出部分との間に、より多くの表面積を導入する(すなわち、より長い距離が、表面に沿った最短の電気経路である沿面距離のために提供または導入されるか、または直接空気を介して、すなわち絶縁バリアを介さずに流れる空間距離のために導入される)。
【0021】
図13Aは、雄ハウジング130に挿入されて、完全に組み付けられた、TPA装置1および雌ハウジング50の上面図である。雄ハウジング130は、その中に分離壁160を有している(図11Aを参照)。図13Bは、完全にロックされたTPA装置1、および雌ハウジング50をその中に収容する雄ハウジング130の上面図であり、略水平な部分180、185、190の沿面距離をさらに例示し、雌ハウジング50内に収容される隣接する端子60間の、同じ破線で表された、増大した電気経路に対する結果として生じる空間距離を例示している。
【0022】
図11Aおよび図11Bに関して上述されるように、電気経路の沿面距離は、図12図13A図13Bにさらに例示される、略水平な部分180、185、190を含み、これらは、隣接する高電圧電気端子60をその中にそれぞれ収容する、分割された雌ハウジング50の前部53の間に配置される分離壁160の側面の一部を横切ることを可能にする。前述されるように、分離壁160は、一方の隣接する高電圧電気端子60から他方への高電圧コネクタ組立体内の電気経路のルートを増大させて、電気経路の沿面距離を増大させ、この増大に伴い、本発明の高電圧コネクタ組立体内の電気端子60の露出部分間の空間距離は、高電圧の用途および高電圧での使用のために著しく改善される。
【0023】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の範囲または同等のものから逸脱することなく、設計、構造配置などの様々な修正が使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧コネクタ組立体であって、
前部および後部を有する雌型の端子位置保証(TPA)装置であって、前記前部が、前部下方伸長部材を備える複数の前方伸長部材を含む、雌型の端子位置保証(TPA)装置と、
前部上部、中間上部、および後部を有する雌ハウジングであって、前記雌ハウジングが、少なくとも高電圧電気端子をその中に実質的に封入し、前記中間上部が、前記雌型のTPA装置の前記前部下方伸長部材をその中に収容するように通過させる開口を含む、雌ハウジングと、
前記雌ハウジングの前記複数の前方伸長部材を分離するための分離壁を有する雄ハウジングであって、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記TPA装置の前記前部下方伸長部材のみが、前記高電圧電気端子を含む前記雌ハウジングの内部の空洞の中に収容される、雄ハウジングと
によって特徴付けられる、高電圧コネクタ組立体。
【請求項2】
前記雄ハウジングの前記分離壁はさらに、前記雌ハウジングの中に収容される複数の高電圧電気端子をそれぞれ分離する
ことによって特徴付けられる、請求項1記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項3】
前記雌ハウジングは、前記雌ハウジングの中の前記高電圧電気端子を予備的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項2記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項4】
前記雌型のTPA装置の前記前部下方伸長部材は、前記雌ハウジングの中の前記高電圧電気端子を最終的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項3記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項5】
前記雌型のTPA装置は、プリロック位置にある
ことによって特徴付けられる、請求項3記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項6】
前記雌型のTPA装置は、フルロック位置にある
ことによって特徴付けられる、請求項4記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項7】
前記高電圧電気端子は、前記TPA装置が前記フルロック位置にあるときに、前記雌ハウジングによって実質的に全方向において完全に封入される
ことによって特徴付けられる、請求項1記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項8】
前記雌ハウジングは、樹脂で形成される
ことによって特徴付けられる、請求項7記載の高電圧コネクタ組立体。
【請求項9】
高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法であって、
複数の高電圧電気端子を雌ハウジングの中にそれぞれ挿入するステップと、
前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジング内でそれぞれロックするステップと、
雌型のTPA装置の前方伸長部材の複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの中間上部を通過する開口にそれぞれ挿入するステップと、
前記雌ハウジングをその中に収容する雄ハウジングの分離壁によって、前記雌ハウジングの中にロックされる、隣接する複数の高電圧電気端子を分離するステップと
によって特徴付けられ、
前記TPA装置の前記複数の前部下方伸長部材のみが、前記TPA装置がフルロック位置にあるときに、前記複数の高電圧電気端子を含む前記雌ハウジングの内部の空洞の中に収容される、方法。
【請求項10】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材をそれぞれ挿入するステップは、前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中で最終的にロックする
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項11】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材をそれぞれ挿入するステップは、前記雌型のTPA装置を前記雌ハウジングの中の最終ロック位置に配置する
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項12】
前記高電圧電気端子は、前記TPA装置が前記フルロック位置にあるときに、前記雌ハウジングによって実質的に全方向において完全に封入される
ことによって特徴付けられる、請求項9記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項13】
前記雌ハウジングは、樹脂で形成される
ことによって特徴付けられる、請求項12記載の高電圧コネクタ組立体を組み立てるための方法。
【請求項14】
高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型の端子位置保証(TPA)装置を使用して、改善するための方法であって、
複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中にそれぞれ挿入するステップと、
前記複数の高電圧電気端子を前記雌ハウジングの中でロックするステップと、
雌型のTPA装置の前方伸長部材の複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの中間上部の中にそれぞれ挿入するステップと、
前記雌ハウジングをその中に収容する改善された雄ハウジングの分離壁によって、前記雌ハウジングの中でロックされる、隣接する複数の高電圧電気端子を分離するステップと、
前記複数の高電圧電気端子から、前記雄ハウジングの前記分離壁に沿って前記雄ハウジングの前記分離壁の周囲で、前記雌ハウジングの後部に向かって前記雌ハウジングの中間上部を跨いで伸長し前記雌型のTPA装置の実質的に前面で前記雌型のTPA装置に沿って横切って、隣接する複数の高電圧電気端子に至る、電気経路のための空間距離または沿面距離を与えるステップと
によって特徴付けられる、方法。
【請求項15】
前記電気経路のための前記空間距離または沿面距離を与えるステップは、前記雌ハウジングの前記中間上部を通過するそれぞれの開口を通って、前記電気経路を前記複数の高電圧電気端子から略垂直に伸長させるステップであって、前記雌型のTPA装置がフルロック位置にあるときに、前記開口を通って、前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材がその中に収容される、前記電気経路を前記複数の高電圧電気端子から略垂直に伸長させるステップを含む
ことによって特徴付けられる、請求項14記載の高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型のTPA装置を使用して、改善するための方法。
【請求項16】
前記雌型のTPA装置の前記前方伸長部材の前記複数の前部下方伸長部材を前記雌ハウジングの前記中間上部の開口にそれぞれ挿入するステップは、前記雌型のTPA装置を前記雌ハウジングの中のフルロック位置でロックするステップを含む
ことによって特徴付けられる、請求項14記載の高電圧コネクタ組立体内の空間距離および沿面距離を、前記高電圧コネクタ組立体の雌ハウジングおよび雄ハウジングにおいて、雌型のTPA装置を使用して、改善するための方法。
【国際調査報告】