IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロリク・テクノロジーズ・アーゲーの特許一覧

特表2024-513148光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法
<>
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図1
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図2
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図3-1
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図3-2
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図4
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図5
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図6
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図7
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図8
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図9
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図10
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図11
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図12
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図13
  • 特表-光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/04 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240314BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240314BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240314BHJP
【FI】
G01J1/04 A
H01L27/146 D
G02B5/30
H01L31/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546458
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051668
(87)【国際公開番号】W WO2022167271
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21154779.9
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ピレシュ,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】フランツ,リチャード
【テーマコード(参考)】
2G065
2H149
4M118
5F149
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB10
2G065BA05
2G065BA06
2G065BB32
2G065BB33
2G065BE08
2G065CA05
2G065DA08
2H149AA22
2H149BA01
2H149BA02
2H149BA05
2H149BA12
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA12
2H149DB13
2H149EA02
2H149EA06
2H149EA17
2H149FA24W
2H149FA24Y
2H149FA27W
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA09
4M118CA14
4M118CA34
4M118GC07
4M118GC20
4M118HA30
5F149AA01
5F149AA11
5F149AA17
5F149AA20
5F149CB05
5F149CB06
5F149CB07
5F149CB14
5F149CB17
5F149EA02
5F149EA11
5F149GA04
5F149HA04
5F149HA07
5F149HA20
5F149JA08
5F149JA11
5F149KA20
5F149LA01
5F149LA02
5F149LA03
(57)【要約】
本発明は、光センサ素子を備える光センサ装置上に光学異方性薄膜を含む空間的に制限された薄膜積層体を製造する方法に関する。その結果、上記薄膜積層体は、上記光センサ素子を覆うが、上記光センサ装置の全表面領域を覆うわけではない。本発明の方法に従って製造された電子装置は、光の偏光状態を分析するために使用されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光学異方性薄膜(32、34、36)を含む空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)を光センサ装置(10、10a)の光センサ素子(11、11a、11b)上に製造するための方法であって、前記空間的に制限された薄膜積層体は、前記光センサ素子を覆うけれども、前記光センサ装置の全表面領域を覆うわけではなく、前記方法は、以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、前記光センサ素子は前記光センサ装置の全領域にわたり延在しているわけではない、
‐ 第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を前記光セン サ装置上に調製すること、
‐ ドライ又はウェットエッチングによって前記薄膜積層体から材料を選択的に除去 することによって、前記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a) を形成すること、
又は
‐ 基板(40)を提供すること、
‐ 前記基板上に、第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(41 )を調製すること、
‐ 前記基板から前記光センサ装置(10)への前記薄膜積層体の領域の選択的転写 によって、前記空間的に制限された薄膜積層体(41a)を形成すること、
を包含する、
前記方法。
【請求項2】
前記提供された光センサ装置(10、10a)は、電子回路を含み、前記電子回路は、信号処理を提供し且つ好ましくは集積回路(13)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の配向化重合液晶層(32、36)は、異方性吸収物質又はキラルドーパントを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の配向化重合液晶層(32、34、36)と第2の配向化重合液晶層(34)とを含む薄膜積層体(21、41)が前記光センサ装置上に調製され、前記第2の配向化重合液晶層(34)は、好ましくはリターダ層として形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記光センサ装置は、第1の光センサ素子(11a)及び第2の光センサ素子(11b)を含み、且つ1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含む薄膜積層体(21、41)が調製され、ここで、少なくとも1つの重合液晶層(34、36)において、配向パターンが生成され、前記第1の光センサ素子(11a)上の領域における前記液晶の前記配向は、前記第2の光センサ素子(11b)上の領域における前記配向とは異なっている、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、前記光センサ素子は前記光センサ装置の全領域にわたって延在しているわけではない、
‐ 前記光センサ装置上に第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を調製すること、
‐ 前記所望の空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)の領域を被覆する、パターン(23a、25a)を有するハードマスクを薄膜積層体の上部に調製すること、ここで、前記ハードマスクは、好ましくは窒化ケイ素又は無機酸化物、好ましくは酸化ケイ素、より好まれる二酸化ケイ素を含む、
‐ 前記ハードマスクによって被覆されていない領域内の前記薄膜積層体をドライ又はウェットエッチングすることにより前記薄膜積層体から材料を選択的に除去することによって、空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)を形成すること、
を包含する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、前記光センサ素子は前記光センサ装置の全領域にわたって延在しているわけではない、
‐ 前記光センサ装置上に第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を調製すること、
‐ ドライエッチング、好ましくは反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマRIE(ICP-RIE)、又はプラズマアッシング、好ましくはOプラズマを使用するもの、を用いて前記薄膜積層体から材料を選択的に除去することによって、前記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)を形成すること、
を包含する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
電子装置(20)であって、
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備えた光センサ装置(10、10a)、
‐ 配向化重合液晶層(32、34、36)を含む空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)であって、前記空間的に制限された薄膜積層体は、前記光センサ素子を被覆するが、前記光センサ装置の全領域を被覆するわけではないもの、
を備えている、
前記電子装置。
【請求項9】
前記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)は、第1の配向化重合液晶層、及び第2の配向化重合液晶層、及び好ましくは第3の配向化重合液晶層を備えている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記光センサ装置は、電子回路を含み、前記電子回路は、信号処理を提供し、且つ好ましくは集積回路である、請求項8又は9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第1の配向化重合液晶層(32、36)は、コレステリックLCP層であるか、又は直線偏光子として機能する、請求項8~10のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第2の配向化重合液晶層(34)は、好ましくは1/4波長又は半波長のリターダンスを有するリターダ層である、請求項9~11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
前記光センサ装置(10、10a)は、第1の光センサ素子(11a)及び第2の光センサ素子(11b)を備え、且つ両方の光センサ素子を被覆する空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)が、1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含んでいる、ここで、前記重合液晶層(34、36)の少なくとも1つは、配向パターンを備え、前記第1の光センサ素子(11a)上の領域における前記液晶の配向が、前記第2の光センサ素子(11b)上の領域における配向とは異なっている、請求項8~12のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
光の偏光状態を分析するための、請求項8~13のいずれか1項に記載の電子装置の使用方法。
【請求項15】
表示装置のセットアップにおける、観察者から見て前記表示装置の背後に置かれた、周囲光の強度を分析するための周囲光センサ装置としての、請求項8~13のいずれか1項に記載の電子装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合又は架橋された液晶を含む光学素子を空間的に制限する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の偏光状態の分析は、多くの用途について重要になっている。一部の用途において、異なる光源からの光は、光の偏光状態によって符号化される。表面に入射する光の偏光状態を検出することは、例えば2つの異なる型の光源から来る光量の決定を可能にする。
【0003】
米国特許第9612152 B2号明細書は、表示画面の観察者から見て背後に配置された光センサ装置を用いて、有機発光ダイオード(OLED)表示装置に当たる周囲光の量を決定する方法を開示している。センサに到達する光は周囲の光とOLED表示装置から発せられる光とが混合したものであるため、2つの異なる光源からの光を区別する必要がある。開示された実施形態の1つにおいて、直線偏光子と1/4波長リターダ板からなる円偏光子がOLED表示装置の前面に配置され、これにより、上記OLED構造によって引き起こされる反射が低減されるという追加の利点が得られる。円偏光子を通過した入射周囲光は円偏光であるが、OLED表示装置から発せられる光は非偏光である。表示装置の背面にある光センサ装置には2つのチャンネルがある。2つのチャンネルのうちの1番目は、周囲の光と表示装置から発せられる光との両方を検出する。2番目のチャンネルは、表示装置の前面の円偏光子と比較して反対の回転の向き(handedness)を持つ円偏光子を装備している。従って、円偏光の周囲光は2番目のチャネルで阻止され、表示装置から発せられた光のみが検出される。そして周囲光の強度は、2つのチャネルで検出された光の強度の差から決定されうる。従って、光センサ装置は周囲光センサとして使用される。しかし上記特許明細書は、どのように円偏光子が光センサ装置の2番目のチャネルに施与されるかについては開示していない。
【0004】
米国特許出願公開第2020191648 A1号明細書も、OLED表示装置用の周囲光センサ素子を開示している。米国特許第9612152 B2号明細書の解決策と同様に、円偏光子がOLED表示装置の前面に配置され、2つのチャネルを含む周囲光センサが表示装置の背面に配置されている。どちらのチャンネルにも円偏光子が装備されているが、偏光の回転の向きは反対である。従って、円偏光された周囲光は、一方のチャネルでは阻止されるが、もう一方のチャネルでは円偏光子を通過できる。OLED表示装置から発せられる非偏光は、両方のチャネルで同様に検出される。周囲光の強度は、2つのチャネルで検出された光強度の差から決定できる。しかし米国特許出願公開第2020191648 A1号明細書は、どのように逆の回転の向きを有する円偏光子を光センサ装置の2つのチャネルに施与するかを開示していない。
【0005】
例えば上で説明されたような周囲光センサとして用いられるような光センサ装置において、1又は複数の光センサ素子は、半導体チップ領域の部分を占有することがある。チップのこれらの部分は、光学薄膜(例えば、円偏光子薄膜)で覆われ、一方、チップの他の領域(例えば、ボンディングパッド)は光学薄膜で覆われないことが望ましい場合がある。更に、2以上の光センサ素子(例えば光センサ素子のアレイ)を備えている光センサ装置において、互いに異なる光学特性を有する光学薄膜が、個々の光センサ素子に対して必要となる場合がある。従って、光学薄膜又は層を基板又は装置の特定の領域に正確に制限する必要がある。
【0006】
更に、マイクロ光学用途に対して、光学薄膜によって被覆されるべき有効光学領域が、マイクロメートル範囲内の場合がありうる。従って、被覆されるべき有効光学領域の寸法よりもはるかに厚い厚みを有する標準的光学薄膜を使用することはほとんど不可能である。
【0007】
従って、異方性光学特性を有する薄い光学薄膜又は層を、非常に高い位置精度及び高い解像度で、マイクロメートル範囲内の領域に生成又は施与しうる方法が必要とされる。
【0008】
配向化液晶ポリマーは、高い複屈折を提供することが知られており、これにより、わずか数マイクロメートルの層厚のリターダ薄膜(例えば、1/4波長又は半波長リターダ板)の製作が可能になる。液晶ポリマー(liquid crystal polymers:LCP)の層は、通常、液晶を配向させることができる表面を有する基板上に液晶モノマーの層をコーティングすることによって作製することができる。液晶モノマーを配向させた後、材料を固化させるために重合又は架橋させる。二色性色素が液晶組成物に含まれている場合、LCP層は光を異方的に吸収するため、直線偏光子として機能する。
【0009】
基板上にLCP層の限られた領域を形成するために、原則として2つのアプローチがある。第1のアプローチにおいては、LCP層は、例えば印刷方法によって正しいサイズ及び位置に局所的に施与される。第2のアプローチにおいては、LCP層は、それぞれ作成されるべき、所望のより小さな領域又は領域のパターンを包含している、より大きな領域に生成される。これは、例えばコーティングによって行うことができる。後の工程において、所望のパターンの領域の外側のLCPが除去される。
【0010】
第1のアプローチの一例として、国際公開第02/061470号公報は、方法を記載しており、そこでは、LCP領域のパターンは、液晶モノマーを所望のパターンで基板にジェット印刷することによって作成され、液晶を配向させる能力がある。続いて、液晶モノマーは、紫外線への露光によって架橋される。この方法の大きな利点は、パターン生成が、コンピュータによって制御でき、個別のLCPパターンの生成を可能にすることである。しかし、サイズ、厚さ、形状の精度は、数マイクロメートルの範囲内で明確に規定されたLCP領域の作成に対して十分ではない場合がある。
【0011】
第2のアプローチの例として、国際公開第2008/077261号公報は、液晶モノマーの特別な配合を用いる方法を記載している。この材料の層を通常は配向層の上部に形成した後、液晶モノマーは、LCP薄膜を含むことを所望される、上記層のそれらの領域のみへの選択的なUV照射によって固化される。続いて、非架橋化液晶材料は、適切な溶媒で洗浄することによって除去される。達成可能な横方向解像度は、標準的な液晶モノマー材料と比較して特殊な材料配合を用いることにより向上するが、この方法で達成できる横方向解像度は、高解像度の用途には十分ではない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、光センサ装置の一部分として光センサ素子の頂部に空間的に制限された光学異方性薄膜又は層を生成するための改良された方法を提供することである。本発明の別の目的は、空間的に制限された異方性光学薄膜で覆われた1以上の光センサ素子を有する光センサ装置を備えた新規な電子装置を提供することである。本発明の更に別の目的は、本発明の電子装置を用いる用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、光センサ装置の光センサ素子上に少なくとも1つの光学異方性薄膜を含む空間的に制限された薄膜積層体を製造するための方法が提供され、ここで、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子を覆うが、上記光センサ装置の全表面領域を覆うわけではなく、上記方法は、以下の工程;
‐ 光センサ素子を備える光センサ装置を提供すること、ここで、上記光センサ素子は上記光センサ装置の全領域にわたり延在しているわけではない、
‐ 第1の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体を上記光センサ装置上に調製すること 、
‐ ドライ又はウェットエッチングによって上記薄膜積層体から材料を選択的に除去 することによって、上記空間的に制限された薄膜積層体を形成すること、
又は
‐ 基板を提供すること、
‐ 上記基板上に、第1の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体を調製すること、
‐ 上記基板から上記光センサ装置への上記薄膜積層体の領域の選択的転写によって 、上記空間的に制限された薄膜積層体を形成すること、
を包含する。
【0014】
好ましくは、上記光センサ装置は、2以上の光センサ素子を備え、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子の全てを覆うわけではないように形成される。
【0015】
好ましくは、本方法は、第1の配向化重合液晶層及び第2の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体を上記光センサ装置上に調製する工程を包含する。別の好ましい方法は、第1、第2、及び第3の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体を上記光センサ装置上に調製する工程を包含する。更に好ましい方法は、第1、第2、第3、及び第4の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体を上記光センサ装置上に調製する工程を包含する。
【0016】
「配向化重合液晶層」に関する用語「第1の」、「第2の」、「第3の」及び「第4の」は、個々の層を指すためにのみ使用される。しかし、それらは、層の特別な順序を意味するものではない。例えば、任意選択的な第3の重合液晶層が、第1の配向化重合液晶層と第2の配向化重合液晶層との間に存在していてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、電子装置であって、
‐ 光センサ素子を備えた光センサ装置、
‐ 配向化重合液晶層を含む空間的に制限された薄膜積層体、ここで、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子を覆うが、上記光センサ装置の全領域を覆うわけではない、
を備えている電子装置が提供される。
【0018】
好ましくは、上記光センサ装置は、2以上の光センサ素子を備え、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子の全てを覆うわけではない。
【0019】
好ましくは、上記空間的に制限された薄膜積層体は、第1の配向化重合液晶層と第2の配向化重合液晶層とを含む。別の好ましい薄膜積層体は、第1、第2、及び第3の配向化重合液晶層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、添付の図面によって更に説明される。様々な特徴は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを強調しておく。
図1】2つの光センサ素子と3つのボンディングパッドを有する光センサ装置の一例を示し、図1aはその上面図であり、図1bは側面から見たその断面図である。
図2】本発明による、上記ボンディングパッドではなく上記光センサ素子を被覆する少なくとも1つの光学異方性薄膜を含む薄膜積層体を備えた図1aの上記光センサ装置の上面図である。
図3-1】図3a~3fは、図2の上記空間的に制限された薄膜積層体を製造するための方法の第1の変形例の工程を示す断面図である。
図3-2】図3a~3fは、図2の上記空間的に制限された薄膜積層体を製造するための方法の第1の変形例の工程を示す断面図である。
図4】上記光センサ装置上の上記空間的に制限された薄膜積層体の変形例を示す断面図であり、上記薄膜積層体は上記光センサ素子の領域のみを覆っている。
図5】上記光センサ装置上の空間的に制限された薄膜積層体の別の変形例を示す断面図であり、異なる薄膜積層体が異なる光センサ素子に施与されている。
図6】光センサ装置上の薄膜積層体の第1の実施形態を示す断面図であり、上記薄膜積層体はコレステリックLCP層を含む。
図7】光センサ装置上の薄膜積層体の1実施形態を示す断面図であり、上記薄膜積層体はコレステリックLCP層及びLCPリターダ層を含む。
図8】光センサ装置上の薄膜積層体の1実施形態を示す断面図であり、上記薄膜積層体は直線偏光LCP層を含む。
図9】光センサ装置上の図8の上記薄膜積層体の上面図を示し、上記直線偏光LCP層は配向パターンを有する。
図10】光センサ装置上の薄膜積層体の1実施形態を示す断面図であり、上記薄膜積層体は直線偏光LCP層及びLCPリターダ層を含む。
図11図10の実施形態の変形例を示す透視図であり、上記LCPリターダ層は、光軸の配向パターンを有する。
図12図10の実施形態の変形例を示す透視図であり、上記直線偏光LCP層は、上記偏光方向の配向パターンを有する。
図13図13a~13fは、図2の上記空間的に制限された薄膜積層体を製造する上記方法の第2の変形例の工程を示す断面図である。
図14】表示装置の背面の周囲光センサとしての、本発明による電子装置の使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
光センサ素子は、光に感応し、光の強度を電気信号に変換するか、又は上記素子の導電率を変化させる電気光学素子である。本発明で使用される光センサ素子は、可視光、紫外(uv)光、及び/又は、赤外(IR)光に感応しうる。好ましくは、光センサ素子は可視光に感応する。
【0022】
本出願の文脈において、光センサ素子は、任意の既知の型(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ)であり得るが、撮像用デバイスとして使用される電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)などのセンサアレイの個々のピクセルを指す場合もある。好ましくは、光センサ素子は半導体である。
【0023】
本出願の文脈において、光センサ装置は、光センサ素子、並びに他の構造的及び/又は機能的素子を含む。好ましくは、上記光センサ装置は、2つの光センサ素子を備えている。より好ましいのは、上記光センサ装置が3以上の光センサ素子を備えることである。好ましくは、上記光センサ装置は、多数の光センサ素子を有するアレイを備えている。好ましくは、上記光センサ装置は、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)装置である。
【0024】
好ましくは、上記光センサ装置は、信号処理を提供する電子回路を含んでいる。好ましくは、上記電子回路は集積回路である。上記光センサ装置は、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)上に製造されうる。典型的には、複数の光センサ装置は、ウェハ上に製造され、それらはその後、個々の光センサ装置を得るためにダイシングされる。
【0025】
上記光センサ装置は、様々な電気的及び/又は非電気的機能を担う様々な材料の横方向の配置を有していてもよい。従って、上記装置の異なる領域は、表面の異なる高さレベルを有する場合がある。好ましくは、高さレベルの最大差である構造深さは、10μm未満、より好ましくは1μm未満、最も好ましくは0.5μm未満である。上記光センサ装置の表面は、局所的に変化する他の特性(例えば、異なる表面張力)を有していてもよい。
【0026】
好ましくは、光センサ装置は、電気接続のためのボンディングパッドを有する。
【0027】
「液晶ポリマー材料(LCP材料)」とは、本出願の文脈内で使用される場合、液晶モノマー、及び/又は、液晶オリゴマー、及び/又は、液晶ポリマー、及び/又は、架橋された液晶を含む液晶材料を意味するものとする。上記液晶材料が液晶モノマーを含む場合、そのようなモノマーは、通常は、例えば配向層との接触により配向された後に重合されうる。重合は、熱処理により、又は活性エネルギー光、好ましくは紫外線を含む光への露光によって開始されうる。LCP材料は、液晶化合物の単一タイプのみを含みうるが、追加の重合性及び/又は非重合性化合物を含むこともでき、全ての化合物が液晶特性を有する必要はない。更に、LCP材料は、添加剤、例えば光開始剤、阻害剤、光安定剤、接着促進剤、レベリング剤、IR吸収物質、UV吸収剤、カーボンナノチューブ、キラルドーパント(chiral dopants)、及び/又は等方性もしくは異方性蛍光剤、及び/又は無蛍光染料、を含んでいてもよい。好ましくは、LCP材料は、紫外線範囲、可視範囲、及び/又は赤外線波長範囲の光を異方的に吸収しうるカーボンナノチューブ又は二色性色素などの異方性吸収物質を含む。好ましくは、LCP材料は、光の可視波長範囲の光を異方的に吸収する二色性色素又はカーボンナノチューブを含む。この出願の文脈において、LCP層内の異方性吸収物質は、LCP層の局所的な配向に従って配向させられると仮定されている。また、キラルドーパントを含むLCP材料も好ましい。好ましくは、LCP材料はコレステリックである。適切な液晶モノマーは、例えば、国際公開第00/48985号公報に開示されている。好ましい液晶モノマーは、アクリレート又はジアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、アリル、ビニル又はアクリルアミドである重合性基を有する。適切な二色性色素は、例えば、国際公開第2015/177062号公報に開示されている。
【0028】
「重合性」及び「重合化」という用語は、それぞれ「架橋性」及び「架橋化」の意味を含むものとする。 同様に、「重合」には「架橋」の意味も含まれるものとする。
【0029】
本出願で使用されるLCP層は、LCP材料から、好ましくは適切な溶媒に溶解して、任意の既知のコーティング又は印刷方法によって形成されうる。
【0030】
LCP層における液晶分子の配向は、様々な方法、例えば、基板への施与中又は施与後に材料を分配すること、又は、配向能力を有する表面(例えば、ブラシをかけられた、光配向化された、又は異方性の表面構造を有する表面)を有する基板にLCP材料を施与すること、によって達成されうる。
【0031】
好ましくは、LCP層のLCP材料は、表面に配向能力を与えるために配向用光へ露光されていた光配向性材料を含む層によって配向される。光配向は、ロールツーロール製造においても、配向パターンを備えた配向面を簡単に生成することを可能にする。更に、光配向は、トポグラフィーを有する表面に適用されうるが、その理由は、光配向層に配向を生成する光が表面の変調に追従することができるためであり、このことは代替の配向方法のほとんどには当てはまらない。
【0032】
本出願の文脈において、「配向方向」という用語は、LCP材料又はLCP層内の液晶の長軸がそれに沿って配向する方向を指すものとする。「配向方向」という用語が、配向層(例えば、光配向層)内に生成される配向方向に関して使用される場合、それは、配向層と接触する液晶が取るであろう配向方向を指すものとする。
【0033】
「配向パターン」という用語は、配向方向が異なる少なくとも2つの領域を含むLCP層又は配向層内のパターンを意味するものとする。
【0034】
異方性吸収物質もキラルドーパントも含まないLCP材料から作られた配向化LCP層は、典型的には複屈折性であり、光学リターダ層として機能する。光学リターダンスはLCP層の厚さに依存し、従って数ナノメートルから数マイクロメートルまでの任意の値に調整されうる。好ましくは、この用途において使用されるLCPリターダ層は、1/4波長板又は半波長板として設計される。
【0035】
異方性吸収物質を含むLCP材料から作られた配向化LCP層は、光を異方的に吸収し、従ってそれぞれの異方性吸収の波長範囲において直線偏光子として機能する。従って、そのようなLCP材料は、コーティング可能な偏光子を提供する。異なる波長範囲で異方性を吸収するいくつかの物質(例えば、二色性色素)を含めることによって、異方性吸収の波長範囲を拡張することが可能であり、その結果、個々の異方性吸収物質の吸収曲線は重ね合わされる。このようにして、例えば、可視波長範囲全体をカバーすることが可能となる。
【0036】
キラルドーパントを含むLCP材料から作製された配向化LCP層は、ねじれた構成を採用し、ねじれたリターダとして機能しうる。好ましくは、キラルドーパントの濃度が十分に高いと、LCP層はコレステリック層として機能し、紫外、可視、又は赤外光の波長範囲での選択的反射を提供する。好ましくは、選択的反射帯域は光の可視波長範囲内にある。
【0037】
本出願の文脈において、「光性材料」とは、光反応機構とは独立して、配向用光に露光されると液晶材料の配向能力が誘発され得る材料である。適切な光配向性材料は、例えば、配向用光へ曝されると、光二量体化、光分解、トランス-シス異性化、又は光フリース転位によって、配向能力が誘発される材料である。光二量体化によって配向が誘導される光配向性材料が好ましい。適切な光配向性材料は、例えば、米国特許第6107427号明細書に開示されている。
【0038】
「光配向化材料」という用語は、配向用光への露光によって配向された光配向性材料を指すために使用される。
【0039】
「光配向(photo-alignment)」、「光配向性(photo-alignable)」、及び「光配向化(photo-aligned)」という用語は、それぞれ、「光配向(photo-orientation)」、「光配向性(photo-orientable)」、及び「光配向化(photo-oriented)」という用語と同義に使用される。
【0040】
「光配向層」という用語は、配向用光に既に露光されているか否かに関係なく、光配向性材料、及び/又は、光配向化材料を含む層に対して使用される。従って、本明細書で使用される光配向層は、配向用光に露光されていない限り配向能力がなくてもよく、配向用光に露光された後に配向能力を有する。光配向層は、通常、数ナノメートルから数百ナノメートルの範囲の厚さを有する薄い層として形成される。
【0041】
光配向層の全領域が配向用光に露光される場合、一軸配向が生じる。配向用光は、光配向層の一部分のみが、例えばフォトマスクによって特定の領域を覆うことにより又は所望の領域のみに光ビームを走査することにより配向用光に露光されるように、整形される場合がある。光配向層上に配向パターンを生成するために、配向用光の異なる偏光面を用いる後続の露光工程が追加されうる。空間的に変調された偏光面を有する配向用光への露光を含めて、光配向によって配向パターンを生成するための既知の他の任意の方法も同様に用いられうる。その結果、複数の配向方向が、光配向層の表面に生成されうる。
【0042】
「配向用光」という用語は、光配向性材料の異方性を誘起することができ、且つ、少なくとも部分的に直線偏光又は楕円偏光であり、及び/又は、光配向性材料の表面に斜め方向から入射する光を意味するものとする。好ましくは、配向用光は、5:1を超える偏光度で直線偏光されている。配向用光の波長、強度及びエネルギーは、光配向性材料の感光性に応じて選択される。通常、波長は、UV-A、UV-B、及び/又は、UV-Cの範囲、又は可視光の範囲にある。好ましくは、配向用光は、450nm未満の波長の光を含む。より好ましくは、配向用光は、420nm未満の波長の光を含むことである。
【0043】
配向用光が直線偏光である場合、配向用光の偏光面とは、上記配向用光の伝播方向及び偏光方向によって画定される面を意味するものとする。配向用光が楕円偏光である場合、偏光面とは、上記光の伝播方向と偏光楕円の長軸とによって画定される面を意味するものとする。
【0044】
層及び層の表面と組み合わせて用いられる「上側」及び「下側」、「上方の」及び「下方の」、並びに「~の上部に」という相対的な用語は、それぞれ、基板又は光センサ装置の位置に関して定義される。従って、層の下側部分は基板又は光センサ装置に面し、一方、上側は基板又は光センサ装置から離れる方向を向いている。同様に、層の上部とは、それぞれ基板又は光センサ装置と向き合う層の側とは反対側の層の側を意味する。
【0045】
図1aの図面は、光センサ装置10の1例の上面図を示す。これは、2つの光センサ素子11、ボンディングパッド12、及び信号処理を提供する集積回路13を含む。異なる部分の表面の材料は異なる場合がある。例えば、ボンディングパッドは通常、金属を含む。ボンディングパッドは単一の金属層である場合があるが、他の領域はより複雑な構造(例えば、光センサ素子)を持つ場合がある。従って、光センサ素子の領域、集積回路の領域、及びボンディングパッドの領域の表面は、異なる高さレベルにある可能性があり、図1bに示されるような表面トポグラフィー(それは図1aの光センサ装置の断面図である)が作成される。
【0046】
図2は、光センサ装置20を示し、それは、本発明の方法を用いて、光センサ装置10の光センサ素子11上に空間的に制限された薄膜積層体14を調製するときに得られる。空間的に制限された薄膜積層体14は、光センサ素子を覆うが、光センサ装置のボンディングパッドは覆わない。好ましくは、光センサ装置は2以上の光センサ素子を備え、空間的に制限された薄膜積層体14は光センサ素子の全てを覆うわけではない。これは、非被覆の光センサ素子が、空間的に制限された薄膜積層体14によって変えられていない光を検出でき、従って、例えば入射光の偏光状態に関わらず、入射光の強度の基準測定のために用いられうる、という利点を有している。
【0047】
本発明の第1の態様による方法の第1の変形例の工程が、図3a~3fに示されている、そこでは、空間的に制限された薄膜積層体が、光センサ装置(例えば図2に示されたもの)上に形成されている。この方法は、光センサ素子を備えた光センサ装置を提供することから始まる。以下の説明では、図1の光センサ装置10が例として用いられ、そこでは、光センサ装置は、2つの光センサ素子11、ボンディングパッド12、及び集積回路13を備える半導体チップであると仮定される。この説明は単一の光センサ装置に言及しているけれども、本方法は、例えば後で単一チップにダイシングされる半導体ウェハ上の複数の光センサ装置に同時に適用されうる。
【0048】
本方法によれば、図3aに示されるように、少なくとも1つの配向化重合液晶層を含む薄膜積層体21が、光センサ装置10上に調製される。薄膜積層体21は、追加の光学異方性層及び/又は等方性層、例えばカラーフィルタ、IRフィルタ、UVフィルタ、反射防止コーティング及びバリア層を含んでいてもよい。上記薄膜積層体の個々の層を施与するために用いられる方法は、個々の層の材料の性質に依存し、異なる印刷及びコーティング方法(好ましくはスピンコーティング)を含みうるが、また真空蒸着技術(例えば、蒸着又はスパッタリング)をも含みうる。これらの層は、光センサ装置の表面領域全体にわたり塗布されうるが、これは必須ではない。薄膜積層体の個々の層が同じ領域を覆わない可能性さえある。好ましくは、薄膜積層体21は、液晶の配向のための配向層を含んでいる。 薄膜積層体21は、光センサ装置と第1の重合液晶層との間に平坦化層を含むこともできる。平坦化層は、薄膜積層体内の他の層に対して、特に液晶層に対して、平坦な表面を提供するために必要な場合がある。平坦化層の表面粗さは、化学機械研磨(CMP)によってさらに減少させうる。一方、光センサ装置の表面トポグラフィーの構造深さが浅い場合、平坦化層は必要とされない可能性がある。 図3a~3fにおける薄膜積層体21の上面は平坦に示されているが、特に平坦化層が施与されていない場合には、それは光センサ装置からの表面トポグラフィーを反映する可能性がある。本方法の様々な工程で使用される材料に応じて、様々な方法の工程で用いられる溶媒やエッチング処理から光センサ装置を保護するために、保護層を含むことが必要である場合もある。
【0049】
次の工程において、図3bに示されるように、フォトレジスト層22が、例えばコーティングによって薄膜積層体21の上部に施与される。次に、所望の空間的に制限された薄膜積層体14の領域内のフォトレジストは、標準的なフォトリソグラフィプロセスを用いて除去される。ここで、フォトレジスト層22aは、図3cに示されるように、この領域の外側に残る。
【0050】
次に、図3dに示されるように、ハードマスク23が、薄膜積層体上に堆積される。続いて、フォトレジストは適切な溶媒に溶解され、図3eに示されるように、この溶媒は、フォトレジスト層22aをこの層22aの領域内のハードマスクと共に除去する。このようにして生成されたハードマスクパターン23aは、空間的に制限された所望の薄膜積層体14の領域を覆い、この領域の下の材料を次の方法の工程のエッチング反応から保護する。ハードマスクパターン23aを生成するための他の何らかの方法を、代わりに使用できる。適用されるドライ又はウェットエッチングプロセスに対して高い選択性を有する任意の材料が、ハードマスク23のために使用されうる。好ましくは、ハードマスクの材料は、無機酸化物(例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウム)、又は窒化シリコン又は金属(例えば、アルミニウム)を含む。より好ましいのは、ハードマスクの材料が二酸化シリコンを含むことである。好ましくは、ハードマスク層23は透明である。このことは、ハードマスク層23が入口から光センサ素子へ入る光を妨げないので、他のエッチング工程の終了後に除去される必要がないという利点を有する。このことは、光センサ装置上の薄膜積層体の製造が終了した後でも、マスクの下の有機材料に対する保護層として機能できるという更なる利点を有する場合がある。
【0051】
更なる工程において、ハードマスクパターン23aによって覆われていない領域の薄膜積層体21の材料は、ドライ又はウェットエッチングによって除去される。図3fに示されるように、図2の空間的に制限された薄膜積層体14に対応する空間的に制限された薄膜積層体21aは、所望の領域に形成される。好ましくは、薄膜積層体21から材料を除去するプロセスは、ドライエッチング、好ましくは反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマRIE(ICP-RIE)、又はプラズマアッシング(好ましくはOプラズマを用いる)を含む。いずれの場合も、材料や工程は、光センサ装置の表面に損傷を与えないように選択されるべきである。
【0052】
図3a~図3fに示され且つ上述されたプロセスにおいて、空間的に制限された単一の薄膜積層体21aが、2つの光センサ素子11を覆うと想定されている。用途に依存して、互いに接続されていない薄膜積層体21のアイランドが残るように、材料が除去されなければならない場合がある。例えば、薄膜積層体は、図4に示されるように、各光センサ素子の上部のみに残り、個々の光センサ間のギャップの領域には残らないことが望ましい場合がある。明らかに、これは図3の例よりも高い精度が必要である。しかし、薄膜積層体が同一である限り、プロセス工程の数は変わらない。異なるハードマスクパターン23aを生成する必要があるだけである。この出願の文脈において、同じ薄膜積層体(例えば、薄膜積層体21)から材料が除去された後に残る個々の接続されていない領域は、単一の空間的に制限された薄膜(例えば、図4の2つの光センサ素子の上の薄膜積層体21aの2つの領域)の一部分とみなされる。
【0053】
図5に示されるように、異なる空間的に制限された薄膜積層体が、異なる光センサ素子上に必要な場合、本発明の方法は、2回適用されねばならない場合がある。例えば、空間的に制限された薄膜積層体21aは、ハードマスクパターン23aを除去することなく、図3a~3fに関して上記の方法で説明されたように調製されうる。次に、空間的に制限された薄膜積層体24a及びハードマスクパターン25aに必要な薄膜が施与され、上述されたと同様に処理される。ハードマスク23aが除去されていないので、それは、空間的に制限された薄膜積層体24aの形状を形成するために実行されるエッチング反応から、空間的に制限された薄膜積層体21aを保護する。空間的に制限された薄膜積層体21a及び24aは、例えば、層の数、層の材料、層の厚さ、及び/又は、層の光学機能において異なってもよい。
【0054】
薄膜積層体21で用いられる層のタイプは、薄膜積層体の所望の光学特性に依存する。光学的機能を有さずに層構造を支持する追加の層(例えば、液晶の平坦化層、接着層、保護層、及び/又は、配向層)があってもよい。第1の実施形態において、薄膜積層体21は、図6に示されるように、本発明による第1の配向化重合液晶層としてコレステリックLCP層32を含んでいる。任意選択の平坦化層31(図6の薄膜積層体にも示されている)は、光センサ装置が構造深さの深い表面トポグラフィーを持つ場合に役立つ場合がある。コレステリックLCP層32は、その選択的反射帯域内で円偏光子として機能する。選択的反射帯域内の波長を有する円偏光は、コレステリックLCP層の透過に必要な適切な回転の向き(handedness)を有する場合、コレステリックLCP層32のみを通過することができ、光センサ素子11によって検出することができる。 従って、この装置は、或る波長の円偏光の分析器として機能する。
【0055】
図6の薄膜積層体21の調製は、光センサ装置の表面材料及びその上にコーティングされるコレステリックLCP材料と適合性のある適切な材料を用いて光センサ装置10上に平坦化層を施与することを含む。次に、コレステリックLCP層32は、好ましくはコーティング技術を用いて、キラルドーパントを含むLCP材料を平坦化層の上部に施与することによって形成される。次に、残留溶媒を除去し且つ液晶分子の配向を支援するために、LCP層の温度を上昇させる場合ががある。最後に、LCP材料は、好ましくは活性エネルギー光への露光によって架橋され、これにより、本発明による第1の配向化重合液晶層の調製が完了する。用途によっては、コレステリック液晶材料の配向をサポートする配向層(図6には示されていない)を薄膜積層体に含めると役立つ場合がある。
【0056】
図7の実施形態における薄膜積層体21は、図6のような第1の配向化重合液晶層としてコレステリックLCP層32を含み、更に、配向層33によって配向される第2の配向化重合液晶層34を含む。第2のLCP層はリターダ層として形成される。配向層33は、LCP層内の液晶に転写される配向パターンを示しており、従って、配向パターンを含むパターン化されたリターダを形成することができる。第2のLCP層は、1/4波長リターダ又は半波長リターダとして機能するように設計されることが好ましい。第2のLCP層が1/4波長リターダ板として機能するように設計されている場合、LCP層34の光軸に対して+45°又は‐45°の偏光面を有する、薄膜積層体の上から薄膜積層体に入射する直線偏光の光は、左又は右回転向きの円偏光のいずれかに変換される。選択的反射帯域内の波長を有する円偏光は、コレステリックLCP層32の透過に必要な適切な回転の向きを有する場合には、コレステリックLCP層32のみを通過することができ、従って、光センサ素子11によってのみ検出されることが可能である。従って、この装置は、特定の波長の直線偏光の分析器として機能する。
【0057】
図7の薄膜積層体21の調製は、図6に関して上で説明されたプロセス工程を含む。適切な材料をコーティングし、引き続きそれを所望の配向性能を生み出すように処理することによって、配向層33が、コレステリックLCP層の上部に形成される。この配向層は、配向用光への露光によって配向能力が生み出される光配向性材料を含むことが好ましい。この場合、任意選択の配向パターンは、例えば、対応するマスキングパターンを有するフォトマスクを用いて配向用光への多重露光によって、容易に生成されうる。続いて、好ましくはコーティング又は印刷によりLCP材料の層を形成することにより、任意選択的に、残留溶媒を除去し且つ液晶分子の配向の支援のために層の温度を上昇させることにより、好ましくは活性エネルギー光への露光によってLCP材料を架橋させることにより、配向層の上部に第2のLCP層が調製される。
【0058】
図8は、薄膜積層体21の別の実施形態を示しており、そこでは、第1の配向化重合液晶層36は異方性吸収物質を含み、そのことにより直線偏光子として機能する。従って、図8の装置は、直線偏光に対する検光子として機能する。図8に示された例において、光センサ装置10aは平坦化層が必要のないほど浅い構造深さを有すると仮定されるが、各実施形態におけるのと同様に平坦化層は依然として任意選択的である。図8に示された薄膜積層体21は、異方性吸収LCP層36を除くと、配向層35のみを示しており、その配向層35は異方性吸収LCP層36内の液晶に配向を与える。配向層は、異方性吸収LCP層36内に対応する配向パターンを誘起するために、配向パターンを示すことができ、こうして偏光の方向が互いに異なる領域を含むパターン化された偏光子を形成する。図9に上面図として示される実施形態の好ましい変形例において、光センサ装置10aは、第1の光センサ素子11aと第2の光センサ素子11bとを備え、そしてLCP偏光子36は、以下のような配向パターンを有する。即ち、第1の光センサ素子11aを覆う第1の領域36aにおいて、LCP偏光子は第1の偏光方向37aを示し、第2の光センサ素子11bを覆う第2の領域36bにおいては、LCP偏光子は第2の偏光方向37bを示しており、ここで、第1の偏光方向は第2の偏光方向とは異なっている。好ましくは、第1の偏光方向37aは、第2の偏光方向37bとは40°~50°の間の角度、より好ましくは43°~47°の間の角度、そして最適な場合には45°の角度だけ異なり、又は、第1の偏光方向37aは、第2の偏光方向37bとは80°~100°の間の角度、より好ましくは85°~95°の間の角度、最適な場合には90°の角度で異なる。図8の実施形態の別の好ましい変形例(図示されず)において、光センサ装置は、第1、第2、及び第3の光センサ素子を備え、そしてLCP偏光子36は、第1の光センサ素子を覆う第1の領域において配向パターンを有し、上記偏光子は、第1の偏向方向を示し、第2の光センサ素子を覆う第2の領域において、LCP偏光子は第2の偏光方向を示し、第3の光センサを覆う第3の領域において、LCP偏光子は第3の偏光方向を示しており、第1、第2、及び第3の偏光方向は相互に異なる。好ましくは、第1と第2の偏光方向は、40°~50°の間の角度、より好ましくは43°~47°の間の角度、最適な場合には45°だけ異なっており、そして第1と第3の偏光方向は、80°~100°の間の角度、より好ましくは85°~95°の間の角度、最適な場合には90°だけ異なっている。
【0059】
図8の実施形態の更に好ましい変形例(図示せず)において、光センサ装置は、第1、第2、第3、及び第4の光センサ素子を備え、LCP偏光子36は、第1、第2、第3、及び第4の光センサ素子の上の領域において、LCP偏光子がそれぞれ第1、第2、第3、及び第4の偏光方向を有するような、配向パターンを有する。第1、第2、第3、及び第4の偏光方向は相互に異なる。好ましくは、第1及び第2の偏光方向は45°の角度だけ異なり、第1及び第3の偏光方向は90°の角度だけ異なり、第1及び第4の偏光方向は135°の角度だけ異なる。上記の角度差は好ましいものであるが、上記の値からの偏差は許容される。好ましくは、偏差はそれぞれ、+10°又は10°以下、より好ましくは+5°又は5°以下、最も好ましくは+2°又は2°以下である。この変形例に従って作成された電子装置は、光の偏光状態を記述するストークス(Stokes)パラメータの簡易な測定に使用されることが好ましい。
【0060】
図8の薄膜積層体21の調製は、光センサ装置上に適切な材料の層を施与すること(例えばコーティングによる)によって配向層35を形成すること、及び、その後所望の配向能力を作り出すためにそれを処理すること、を包含している。配向層は、配向用光への露光によって配向能力が作り出される光配向性材料を含むことが好ましい。この場合、例えば上述されたような好ましい偏光子パターンに必要な任意選択的な配向パターンは、例えば対応するマスキングパターンを有するフォトマスクを用いて配向用光への多重露光によって容易に生成されうる。続いて、異方性吸収LCP層36が、好ましくはコーティング又は印刷によって異方性吸収物質を含むLCP材料の層を形成することによって、配向層の上部に調製される。残留溶媒を除去するために、且つ液晶分子と異方性吸収材料との両方の配向を支援するために、装置上の層の温度を上昇させることができる。最後に、LCP材料は、好ましくは活性エネルギー光への露光により架橋され、これによって、図8の実施形態の第1の配向化重合液晶層の調製が完了する。
【0061】
図10の実施形態における薄膜積層体21は、図8のような第1の配向化重合液晶層として配向層35及び異方性吸収LCP層36を含み、さらに配向層33によって配向させられた第2の配向化重合液晶層34を含む。第2のLCP層はリターダ層として形成され、好ましくは1/4波長リターダ又は半波長リターダとして機能するように設計されている。好ましくは、光センサ素子の領域を覆うLCPリターダ層34の領域が存在し、その領域において光軸方向は、同一の光センサ素子上の対応する領域における異方性吸収LCP層36の偏光方向に対して0°、+45°、-45°、又は90°の角度で配向される。上記の角度はいずれも最適な角度を表すが、当業者であれば、装置が上記の値から偏差した角度でもまた動作することを理解するであろう。好ましくは、偏差はそれぞれ+10°又は-10°以下、より好ましくは+5°又は-5°以下、最も好ましくは+2°又は-2°以下である。光軸方向が偏光方向に対して+45°又は-45°に配向され且つLCPリターダ層34が1/4波長リターダとして設計されている場合、上方から薄膜積層体に入射する円偏光の光は、1/4波長板によって、円偏光の回転の向きに応じて、LCP偏光子36の偏光方向に対して平行又は垂直のどちらかの偏光面を有する直線偏光に変換される。従って、特定の回転の向きの入射円偏光は、光センサによって検出できるが、一方、反対の回転の向きの円偏光は、薄膜積層体21を通過できないため、それぞれの光センサ素子において信号を生成しない。従って、図10の装置は円偏光の検光子として機能する。
【0062】
配向層33は、LCPリターダ層34内の液晶に転写される配向パターンを示す場合があり、そのことにより、光軸の方向が互いに異なる領域を含むパターン化リターダを形成する。図11に示されている実施形態の好ましい変形例において、光センサ装置10aは、第1の光センサ素子11a及び第2の光センサ素子11bを備え、LCP偏光子36は、均一な偏光方向37を有し、LCPリターダ層34は、第1の光センサ素子11aを覆う第1の領域34aにおいて、上記LCPリターダ層が第1の光軸方向38aを示し、且つ第2の光センサ素子11bを覆う第2の領域34bにおいて、上記LCPリターダ層が第2の光軸方向38bを示すような配向パターンを有している。ここで、第1の光軸方向は第2の光軸方向とは異なる。好ましくは、LCP層34は、1/4波長リターダとして設計され、第1の光軸方向38aは、第2の光軸方向38bと、80°~100°の間の角度、より好ましくは85°~95°の間の角度だけ異なり、最も好ましくは90°だけ異なり、そして第1の光軸方向38aとLCP偏光子36の偏光方向37との間の角度は、+40°~+50°の間、より好ましくは+43°~+47°の間、最適な場合は+45°である。次に、第1の光センサ素子11aは、第2の光センサ素子11bとは反対の回転の向きの入射円偏光を検出することができる。2つの光センサ素子で生成された信号の差は、入射光の円偏光の程度に対する尺度になる。2つの光センサ素子11a及び11bは、上部の薄膜積層体と共に、例えば、2つのチャネル内の左及び右回転の円偏光の量を分析できる検出システムの2つのチャネルとして使用されうる。
【0063】
図11の構成の修正された変形例(図示されていない)において、LCP層34は半波長リターダとして設計され、第1の光軸方向38aはLCP偏光子36の偏光方向37に対して平行又は垂直のいずれかであり、そして、第2の光軸方向38bと偏光方向37との間の角度は、40°~50°の間、より好ましくは43°~47°の間であり、最適な場合は45°である。平行及び垂直という用語は、好ましくは±10°、より好ましくは±5°、最も好ましくは±2°の偏差を含むものとする。次いで、薄膜積層体21は、パターン化された直線偏光子と同様に機能する。例えば、第1の光軸方向38aがLCP偏光子36の偏光方向37に平行である場合、主として偏光方向37に平行な偏光方向で上方から入射する直線偏光は、第1の光センサ素子11aが入射直線偏光を検出できるように、薄膜積層体の領域34A内を透過する。一方、領域34b内においては、直線偏光の光の偏光方向は90°だけ回転され、光は直線偏光子36を通過できず、従って光センサ素子11bに到達できない。2つの光センサ素子で生成された信号間の差を決定することによって、入射した偏光の光の偏光方向を決定できる。
【0064】
配向層33をパターン化する代わりに又はそれに加えて、配向層35は、異方性吸収LCP層36内の液晶に転写される配向パターンを示し、その結果、偏光方向が互いに異なる領域を含む、パターン化された偏光子を形成することができる。図12に示される好ましい実施形態において、光センサ装置10aは、第1の光センサ素子11a及び第2の光センサ素子11bを備え、LCP偏光子36は、第1の光センサ素子11aを覆う第1の領域において、第1の偏光方向37aを有し、且つ第2の光センサ素子11bを覆う第2の領域において、第2の偏光方向37bを有するように、パターン化される。ここで、第1の偏光方向は第2の方向とは異なり、LCPリターダ層34は、光軸の均一な配向38を有する。好ましくは、LCP層34は、1/4波長リターダとして設計され、第1の偏光方向37aと光軸方向38との間の角度は、+40°~+50°の間、より好ましくは+43°~+47°の間、最適の場合は+45°であり、第2の偏光方向37bと光軸方向38との間の角度は、-40°~-50°の間、より好ましくは-43°~-47°の間、最適の場合は-45°である。図11の実施形態と同様に、第1の光センサ素子11aは、第2の光センサ素子11bとは反対の回転の向きの入射円偏光を検出することができる。2つの光センサ素子において生成された信号間の差は、入射光の円偏光の程度の尺度になる。
【0065】
光センサ装置上の光センサ素子の数が2よりも多い、より複雑な実施形態において、LCPリターダ層34の光軸方向と異方性吸収LCP層36の偏光方向の両方がパターン化されてもよい。
【0066】
図11図13による薄膜積層体21の調製は、図8に関して上述されたようにプロセス工程を含む。異方性吸収LCP層36の上部に、適切な材料をコーティングすることによって配向層33が形成され、その後、それを処理して所望の配向能力を作り出す。配向層は、配向能力が配向用光への露光によって作り出される光配向性材料を含むことが好ましい。この場合、既に上述されたように、任意の配向パターンが容易に生成されうる。続いて、LCPリターダ層34は、好ましくはコーティング又は印刷によるLCP材料の層の形成によって、任意選択的に、残留溶媒を除去するため且つ液晶分子の配向を支援するために層の温度を上昇させることによって、及び好ましくは活性エネルギー光への露光によって、LCP材料を架橋することにより配向層の上部に調製される。
【0067】
好ましくは、薄膜積層体21は、好ましくは第2又は第3の配向化重合液晶層として、垂直型の(homeotropically)配向化重合液晶層を含む。垂直型の配向の故に、光軸は層平面に対して垂直であり、従って垂直型LCP層は、面外リターダ(c-プレートリターダとしても知られる)として機能する。好ましくは、図7~13に関して上述された薄膜積層体21の構成は、追加の垂直型の配向化重合液晶層を含む。垂直型のLCPリターダ内の液晶の垂直配向の故に、面内配向方向を提供する配向層を必要としない。しかし、垂直型のLCP層のためにLCP材料を施与する前に、適切な表面張力を有する材料の薄層が薄膜積層体上に施与されることは役立つ場合があり、液晶の垂直型の配向をサポートする場合がある。
【0068】
好ましくは、薄膜積層体21は配向化重合液晶層を含み、液晶分子は層平面に対して傾斜しており、その結果、それは斜めの光軸を有するリターダ層(o-プレートリターダとしても知られる)を形成する。
【0069】
好ましくは、薄膜積層体21は、配向化重合液晶層を含み、ここで、層の面に対して垂直な屈折率は、層の面内の平均屈折率より小さく、負のc-プレートリターダとしても知られている。
【0070】
本発明の方法の第2の変形によれば、第1の配向化重合液晶層を含む薄膜積層体が、基板上に調製され、その後、薄膜積層体の選択された領域は、空間的に制限された薄膜積層体が所望の領域のみを覆うように、基板から光センサ装置へ転写される。
【0071】
本発明の方法の上記第2の変形例は、図6a~図6fに示されており、基板40(図13a)を提供することから始まる。この方法において用いられうる基板は、任意の材料を含んでもよく又は任意の材料から構成されてもよい。好ましくは、基板は、プラスチック、ガラス、又は金属を含む。基板は、剛性又は可撓性であってもよく、任意の形態又は形状を有しうる。基板が可撓性である場合、それはプラスチック又は金属箔であることが好ましい。好ましくは、基板は、転写箔として調製され、それは薄膜積層体の光センサ装置への容易な転写を支える。好ましくは、基板は透明である。
【0072】
基板は、追加の層(例えば、有機層、誘電体層、又は金属層)を含んでもよい。この層は、様々な機能を有しうる。例えば、有機層は、基板にコーティングされるべき材料の適合性を高めるプライマー層としてコーティングされてもよい。好ましくは、基板は剥離層42を含み、剥離層42は、この剥離層の上に施与された層を基板から除去するのを支援する。好ましくは、剥離層は、基板の温度が上昇すると剥離する熱剥離層である。基板と薄膜積層体間の接着が弱い場合は、剥離層を省略してもよい。従って、剥離層42は任意選択である。
【0073】
この方法によれば、図13bに示すように、少なくとも1つの配向化重合液晶層を含む薄膜積層体41が、例えばコーティング又は印刷によって基板上に調製される。薄膜積層体41は、上記の薄膜積層体21について説明されたものと同様の、追加の光学異方性層及び/又は等方性層(例えば、配向層、偏光層、カラーフィルタ、IRフィルタ、UVフィルタ、反射防止コーティング及びバリア層)を含んでもよい。薄膜積層体の個々の層を施与するために用いられる方法は、個々の層の材料の性質に依存し、様々な印刷及びコーティング方法だけでなく、蒸着やスパッタリングなどの真空蒸着技術も含まれる場合がある。
【0074】
基板は、個々の層の堆積中に移動されてもよい。例えば、移動する可撓性フォイル(好ましくはプラスチック又は金属である)上にそれぞれの材料を堆積させることによって、ロールツーロールプロセスにおいて個々の層を製造することが可能である。
【0075】
好ましくは、薄膜積層体は、液晶の配向のための配向層を含む。
【0076】
基板上に調製された薄膜積層体の選択された領域のみを転写するために、転写されるべき領域の外側の材料が除去されることが好ましい。基板上の薄膜積層体から材料を選択的に除去するための方法、例えば、粒子及び/又は電磁放射を用いるアブレーション(ablation:除去)法などがある。粒子放射線は、原子、分子、イオン、及び/又は、電子で構成されている。電磁放射線は、赤外(IR)光、可視光、UV光、又は X線を用いる場合がある。好ましくは、材料は、レーザー除去によって選択的に除去される。薄膜積層体から材料を選択的に除去する別の方法は、ドライ又はウェットエッチングと組み合わされたフォトリソグラフィー法を含む。重合性液晶材料それ自体をフォトレジストとして用いることも可能である。次に、液晶モノマーは、例えばフォトマスクを用いる紫外光への選択的露光によって、光センサ装置に転写されることが望ましい領域内のみで架橋される。紫外線に露光されていない領域において、液晶材料は架橋されておらず、適切な溶媒で洗い流すことができる。材料を選択的に除去した結果、図13cに示されるように、光センサ装置へ転写されるべき所望の領域を有する薄膜積層体41aが形成される。任意選択の剥離層42が薄膜積層体41aの領域の外側で除去されるか否かは問題ではない。
【0077】
薄膜積層体41aを光センサ装置の光センサ素子に正確に転写するために、位置合わせマークが、光センサ装置と基板40の両方に必要となる場合がある。任意選択の接着層44は、図13dに示されるように、光センサ素子と転写された薄膜積層体との間に十分な接着を得るために、薄膜積層体41aの上部に施与されてもよい。必ずしも必要というわけではないが、接着層44の使用は好ましい。代替的に、接着層は光センサ装置に施与されてもよい。好ましくは、接着層は感圧接着剤を含む。図13e(位置合わせマークは図示されず)に示されるように、転写は、薄膜積層体41aを、好ましくは任意選択の位置合わせマークと位置合わせして、光センサ装置10に積層することによって実行される。基板が熱剥離層を含む場合、積層と同時に基板を剥離するために、積層プロセス中に熱が加えられてもよい。基板40を除去した後、図13fに示されるように、光センサ装置10の光センサ素子11は、薄膜積層体41aによって覆われる。
【0078】
光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を有する光センサ装置の機能は、光センサ素子上に空間的に制限された薄膜積層体を施与するために用いられる方法に関係なく、同じであるものとする。特に、本発明の方法の第1及び第2の変形例は、光センサ素子の上部の空間的に制限された薄膜積層体と同一の光学機能をもたらすことを目的としている。これには、方法の2つの変形例による処理から得られる、光センサ上の空間的に制限された薄膜積層体内の配向化重合液晶層の順序が同一であることが必要である。従って、光センサ素子11への転写後の空間的に制限された薄膜積層体41a内のLCP層と、空間的に制限された薄膜積層体21a内の対応するLCP層とは、同じ順序を有する。従って、薄膜積層体21及び関連する図6~12に関して上で説明された光学特性を達成するために、異なるタイプのLCP層は、光センサ素子11に転写された空間的に制限された薄膜積層体41a内のLCP層が、光センサ素子から見られる場合、空間的に制限された薄膜積層体21a内の(従ってまた薄膜積層体21内の)対応するLCP層と同じ順序を有するように、方法の第2の変形例に従って基板上に施与されなければならない。例えば、方法の第2の変形例によって図10の薄膜積層体21の光学機能を実現するために、LCPリターダ層34は、図13bの積層体41のために基板上に施与される最下層のLCP層である。次に、偏光用LCP層36は、LCPリターダ層34の上にコーティングされる。従って、LCP層の順序は薄膜積層体21における順序とは逆になる。図13c~図13fの方法による薄膜積層体の選択的転写の後、 光センサ素子の上部の空間的に制限された薄膜積層体41aにおけるLCP層の順序は、図10の薄膜積層体21のLCP層の順序と同一である。勿論、転写された空間的に制限された薄膜積層体41aにおいて、LCP層を配向させるために用いられた配向層は、それぞれのLCP層の上部にあるが、一方、薄膜積層体21においては、LCP層はそれぞれのLCP層の下にある。しかし、配向層が薄膜積層体の光学特性に寄与しないので、それらの位置は、薄膜積層体の光学機能を変化させない。
【0079】
薄膜積層体41aを光センサ装置10に直接転写する代わりに、図13e~図13fに示された方法に従って、薄膜積層体41又は空間的に制限された薄膜積層体41aは、最初に第2の基板に転写され、その後さらに、上述された方法と同様に処理され、そしてその後、空間的に制限された薄膜積層体41aとして光センサ装置10に転写されてもよい。LCP層の順序が薄膜積層体の各転写ごとに反転されうるので、LCP層が第1の基板に施与される順序は、同一の光学機能を実現するために、図6図12の積層体21のLCP層の順序と同一であってもよい。
【0080】
LCP材料中の液晶の配向を与えるための上記の方法のいずれにおいても、LCP材料の堆積後にLCP層の温度を上昇させることは、役立つ場合がある。
【0081】
上述されたように、薄膜積層体は、1以上の配向化重合液晶層を含みうる。好ましくは、薄膜積層体内の少なくとも1つの重合液晶層は、表面に配向能力を与えるために配向用光に曝された光配向性物質を含む層によって配向される。
【0082】
2以上の重合液晶層を含む薄膜積層体のいずれか(例えば、図8及び図11~13の薄膜積層体21に関して記載されたもの)については、複数の重合液晶層の間の配向層は、より下のLCP層のために用いられるLCP材料に適切な光配向性材料を追加することによって、回避されることが好ましい。このLCP層は、その光学的機能に加えて配向層の機能も有しており、従って光配向性LCP層である。光配向性LCP層に配向を生成するために使用できる方法は、光配向層に配向を生成する方法と同じである。光配向性LCP層及び適切な材料の調製方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開(WO2018/019691)に開示されている。
【0083】
本発明の好ましい方法においては、第1の光センサ素子と第2の光センサ素子とを含む光センサ装置が提供され、薄膜積層体が光センサ素子の上部に調製され、この薄膜積層体は1又は複数の配向化重合液晶層を含む。ここで、少なくとも1つの重合液晶層において、配向パターンが生成され、その結果、第1の光センサ素子上の領域における液晶の配向は、第2の光センサ素子上の領域における液晶の配向とは異なっている。
【0084】
上述された薄膜積層体の実施形態のいずれも、異なる目的のための追加の層を含んでもよい。
【0085】
本発明の第2の態様による電子装置は、光センサ素子と、配向化重合液晶層を含む空間的に制限された薄膜積層体とを有する光センサ装置を備えている。ここで、空間的に制限された薄膜積層体は光センサ素子を覆うが、光学センサ装置の全領域というわけではない。
【0086】
好ましい電子装置は、上述された本発明の第1の態様による方法の実施形態から得られる電子装置である。特に好ましい電子装置は、図3f、図4~12、及び図13fに示されたもの、及び更に上で説明されたもの、並びに図には示されていないが、上の記載で説明されている様々な変形例である。
【0087】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様による電子装置を利用する様々な用途が提供される。
【0088】
本発明の第2の態様に従って提供される電子装置のほとんどは、光の偏光状態を分析するために用いられうる。第1の好ましい使用方法において、本発明による電子装置は、かなり上で説明されたような、光の偏光状態を記述するストークスパラメータを測定するために用いられる。好ましくは、空間的に制限された薄膜積層体21aの少なくとも1つの配向化重合液晶層(34、36)が、異なる光センサ素子を覆う領域において2又は3又は4の異なる配向方向を有する配向パターンを含んでいる。
【0089】
第2の好ましい使用方法において、本発明による電子装置20は、図14に示されるように、観察者から見て電気光学表示装置50の背後の周囲光センサとして用いられる。好ましくは、上記表示装置はOLED表示装置である。好ましくは、直線シート偏光子52と1/4波長リターダ薄膜51とを含む円偏光子が、上記表示装置の前側(図14においては上側)に配置される。電子装置20は、2以上の光センサ素子を含み、空間的に制限された薄膜積層体21aは、第1及び第2の配向化重合液晶層(34、36)を含み、ここで、第1の配向化重合液晶層(36)は直線偏光子として機能し、第2の配向化重合液晶層(34)は、1/4波長リターダ板として機能する。ここで、第1の配向化重合液晶層(36)は、上記光センサ素子と第2の配向化重合液晶層(34)との間に置かれる。
【0090】

例で使用された材料
【0091】
化合物
光配向材料PA
【化1】

特許出願(WO 2012/085048 A1)に記載されているように合成された。
【0092】
架橋性液晶化合物LCC
【化2】

二色性色素 dDye
【化3】

国際公開(WO 2012/085048 A1)に従って調製された。
【0093】
組成物
重合性液晶材料 M-LCP
95.4 重量% LCC
4 重量% イルガキュア907 (BASF社)
0.5 重量% Tego Flow 300 (Evonik社)
0.1 重量% BHT(Aldrich社)
【0094】
二色性色素を含む重合性液晶材料 M-dLCP
87.8 重量% LCC
10 重量% dDye
2 重量% イルガキュア369 (BASF社)
0.2 重量% BHT(Aldrich社)
【0095】
溶液
S-LPP
溶液S-LPPは、3重量%の光配向材料PAを97重量%のメトキシプロピルアセテートに溶解し、溶液を室温で30分間撹拌することによって調製される。
【0096】
S-LCP
溶液S-LCPは、80重量%のメトキシプロピルケトン、10重量%のジオキサラン、及び10重量%のシクロヘキサノンの溶媒混合物90重量%に10重量%のM-LCPを溶解し、溶液を室温で30分間撹拌することによって調製される。
【0097】
S-dLCP
溶液S-dLCPは、80%MEK及び20%シクロヘキサノンの溶媒混合物60重量%に40重量%のM-dLCPを溶解し、溶液を室温で30分間撹拌することによって調製される。
【0098】
本発明の方法の第1の変形例
【0099】
本例は、光センサ装置の2つの光センサ素子の上に層の積層体を調製すること、その結果、装置のボンディングパッドは覆われず、層積層体は、第1及び第2の光センサ素子を覆う領域内において、反対の偏光回転の向きを有するパターン化された円偏光子として機能することを説明する。それぞれが2つの光センサ素子とボンディングパッドを備える多数の光センサ装置が、半導体ウェハ上に設けられた。光センサ素子の上部面、ボンディングパッド、及び各光センサ装置のその他の領域は、表面粗さ計による分析によって異なる高さレベルにあることが判明した。従って、ウェハは特定の表面トポグラフィーを示した。
【0100】
半導体ウェハの表面は、次のパラメータ:電力80%(200W、40kHz)、O流量5sccm(standard cubic centimeter per minute:標準立法cm/分)、時間5分間、を用いたOプラズマで活性化された。
【0101】
次に、平坦化層が、セルフレベリング材料であるLevel(商標)M10-44(Brewer Science社)をスピンコーティング(2,500rpmで60秒間、続いて3,000rpmで4秒間)することによってウェハ上に調製された。次に、それはホットプレート上で100℃で1分間アニールされ、続いて室温でN雰囲気下で1500mJ/cmUVA光に露光され、ホットプレート上で140℃で2分間ベークされた。結果として生じた平坦化層は、表面形状計による分析によって判明したように、表面トポグラフィーの構造深さが減少させられたという効果があった。
【0102】
次に、光配向材料溶液S-LPPは、1700rpmで30秒間のスピンコーティングによって平坦化層上にコーティングされた。生成された薄膜は、ホットプレート上で100℃で10分間アニールされた。次に、薄膜は、室温で225mJ/cmUVB光に露光された。この光はウェハ上の基準軸に平行に直線偏光したものであった。
【0103】
続いて、溶液S-dLCPは、スピンコーティング(300rpmで40秒間、続いて3000rpmで4秒間)によってLPP層上にコーティングされた。得られた薄膜は、ホットプレート上で90℃で90秒間アニールされた。次に薄膜は、架橋により層を固化させるために、室温でN雰囲気下で2000mJ/cmUVA光に露光された。S-dLCPで作られた層を直線偏光子で観察すると、ウェハ上の層は直線偏光子として機能することが分った。
【0104】
次に、Dymax 4021の溶液(MPA内の20重量%固形分)は、スピンコーティング(1700rpmで30秒間)によってdLCP層上に直接コーティングされ、バリア層を形成するためにホットプレート上で80℃で60秒間ベークされた。次に薄膜は、室温、N雰囲気下で1500mJ/cmUVA光に露光された。バリア層は任意選択であるが、別の層の調製に用いられた溶媒からdLCP層を保護するのに役立つ場合がある。
【0105】
第2のLPP層が、1700rpmで30秒間スピンコーティングにより溶液S-LPPをコーティングすることによって、且つホットプレート上で100℃で10分間アニーリングすることによって、バリア層の上部に調製された。適切な設計のフォトマスクが、多数の光センサ装置の最初の2つの光センサ素子のそれぞれの上の領域のみが透明であり、一方フォトマスクの他の領域は不透明であるように、ウェハのコーティング面上に配置された。次に、薄膜は、室温でフォトマスクを通して、ウェハ上の上記の基準軸に対して135°の方向に沿って直線偏光された444mJ/cmUVB光に露光された。次に、フォトマスクを除去した後、薄膜は、室温でウェハ上の上記基準軸に対して45°の方向に直線偏光した223mJ/cmUVB光に再度露光された。
【0106】
LPP層の二重露光によって生成された配向パターンに従う光軸の局所的変化を有する1/4波長リターダ層が、スピンコーティング(1800rpmで120秒)により第2のLPP層上に溶液S-LCPをコーティングすることによって、且つホットプレート上で80℃で75秒アニーリングすることのよって、調製された。次に、薄膜は、室温、N雰囲気下で 1500mJ/cmUVA光に露光された。
【0107】
フォトレジスト層は、スピンコーティング(150rpmで15秒間、続いて2000rpmで60秒間)によって、ネガ型フォトレジストAZ nLOF 2035(MicroChemicals GmbH)をLCPリターダ層上にコーティングすること、更にホットプレート上で110℃で60秒間ベーキングすることによって、調製された。
【0108】
適切な設計のフォトマスクが、各光センサ装置についてフォトマスクの不透明領域が2つの光センサ素子を取り囲む一方、各光センサ装置のボンディングパッドを含む残りの領域について、フォトマスクは透明であるように、ウェハの上部のフォトレジスト層の上に配置された。次に、フォトレジスト層は、フォトマスクを通して室温で44mJ/cmUVB光に露光され、次いでホットプレート上で110℃で120秒間ベークされた。更に、コーティングされた半導体ウェハは、脱イオン水で希釈(1:2.5)されたAZ 400K(MicroChemicals GmbH)で2分間リンスされ、次いで脱イオン水でリンスされ、乾燥Nを吹き込まれ、その後、ホットプレート上で110℃で120秒間ベークされた。このプロセスの後、LCP層の表面は、部分的に露出された。
【0109】
厚さ100nmのSiOの薄層が、残りのフォトレジスト層とLCP層の露出部分とを覆うように、物理蒸着(PVD)によって層構造の上部に堆積された。
【0110】
次に、ウェハは、60℃の温度で40分間、TechniStrip NI555(MicroChemicals GmbH)に浸漬された。このプロセス工程は、フォトレジスト層とこのフォトレジスト層を覆っているSiO層とを共に除去した。LCP層の露出された領域を覆ったSiO層の部分は、そのまま残された。次に、ウェハは脱イオン水でリンスされ、乾燥Nで乾燥された。
【0111】
次に、ウェハは、O反応性イオンエッチング(RIE)によって以下の条件下のチャンバ内でドライエッチングされた。条件:ベース圧力2.5×10-5mbar、O流量48sccm、圧力200mTorr、RIE電力200W、反射電力4W, 直流電圧228V、温度45℃、時間40分間。
【0112】
本発明及び様々な実施形態は、以下の項目によって要約できる。
1.少なくとも1つの光学異方性薄膜(32、34、36)を含む空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)を光センサ装置(10、10a)の光センサ素子(11、11a、11b)上に製造するための方法であって、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子を覆うけれども、上記光センサ装置の全表面領域を覆うわけではなく、上記方法は以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、上記光センサ素子は上記光センサ装置の全領域にわたり延在しているわけではない、
‐ 第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を上記光セン サ装置上に調製すること、
‐ ドライ又はウェットエッチングによって上記薄膜積層体から材料を選択的に除去 することによって、上記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、2 4a)を形成すること、
又は
‐ 基板(40)を提供すること、
‐ 第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(41)を上記基板上 に調製すること、
‐ 上記基板から上記光センサ装置(10)への上記薄膜積層体の領域の選択的転写 によって、上記空間的に制限された薄膜積層体(41a)を形成すること、
を包含する。
【0113】
2.提供される光センサ装置(10、10a)は、電子回路を含んでおり、上記電子回路は、信号処理を提供し且つ好ましくは集積回路(13)である、項目1に記載の方法。
【0114】
3.上記光センサ装置は、2以上の光センサ素子(11、11a、11b)を備え、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子の全てを覆うわけではないように形成される、項目1又は2のいずれかに記載の方法。
【0115】
4.上記第1の配向化重合液晶層(36)は、異方性吸収物質を含んでいる、項目1~3のいずれかに記載の方法。
【0116】
5.上記第1の配向化重合液晶層(32)は、キラルドーパントを含むLCP材料を施与することによって形成される、項目1~4のいずれかに記載の方法。
【0117】
6.第1の配向化重合液晶層(32、34、36)及び第2の配向化重合液晶層(34)を含む薄膜積層体(21、41)が、上記光学センサ装置の上に調製される、項目1~5のいずれかに記載の方法。
【0118】
7.上記第2の配向化重合液晶層(34)は、リターダ層として形成される、項目6に記載の方法。
【0119】
8.1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含む薄膜積層体が調製され、少なくとも1つの重合液晶層が、表面に配向能力を付与するために配向用光に露光された光配向性物質(33、35)を含む層によって配向される、項目1~7のいずれかに記載の方法。
【0120】
9.上記光センサ装置は、第1の光センサ素子(11a)及び第2の光センサ素子(11b)を含み、1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含む薄膜積層体(21、41)が調製され、ここで、少なくとも1つの重合液晶層(34、36)において、配向パターンが生成され、上記第1の光センサ素子(11a)上の領域における上記液晶の上記配向は、上記第2の光センサ素子(11b)上の領域における上記配向とは異なっている、項目1~8のいずれかに記載の方法。
【0121】
10.以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、上記光センサ素子は上記光センサ装置の全領域にわたって延在しているわけではない、
‐ 上記光センサ装置上に第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を調製すること、
‐ 上記所望の空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)の領域を被覆する、パターン(23a、25a)を有するハードマスクを薄膜積層体の上部に調製すること、
‐ 上記ハードマスクによって被覆されていない領域内の上記薄膜積層体をドライ又はウェットエッチングすることにより上記薄膜積層体から材料を選択的に除去することによって、空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)を形成すること、
を包含する、項目1~9のいずれかに記載の方法。
【0122】
11.上記ハードマスクは、窒化ケイ素又は無機酸化物、好ましくは酸化ケイ素、より好ましくは二酸化ケイ素を含む、項目10に記載の方法。
【0123】
12.以下の工程;
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備える光センサ装置(10、10a)を提供すること、ここで、上記光センサ素子は上記光センサ装置の全領域にわたって延在しているわけではない、
‐ 上記光センサ装置上に第1の配向化重合液晶層(32、36)を含む薄膜積層体(21)を調製すること、
‐ ドライエッチング、好ましくは反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマRIE(ICP-RIE)、又はプラズマアッシング、好ましくはOプラズマを使用するもの、を用いて上記薄膜積層体から材料を選択的に除去することによって、上記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a)を形成すること、
を包含する、項目1~11のいずれかに記載の方法。
【0124】
13.電子装置(20)であって、
‐ 光センサ素子(11、11a、11b)を備えた光センサ装置(10、10a)、
‐ 配向化重合液晶層(32、34、36)を含む空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)であって、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子を被覆するが、上記光センサ装置の全領域を被覆するわけではないもの、
を備えている、上記電子装置。
【0125】
14.上記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)は、第1の配向化重合液晶層、及び第2の配向化重合液晶層、及び好ましくは第3の配向化重合液晶層を備えている、項目13に記載の電子装置。
【0126】
15.上記光センサ装置は、電子回路を含み、上記電子回路は、信号処理を提供し、且つ好ましくは集積回路である、項目13~14のいずれかに記載の電子装置。
【0127】
16.上記光センサ装置は、2以上の光センサ素子を備え、上記空間的に制限された薄膜積層体は、上記光センサ素子の全てを覆うわけではない、項目13~15のいずれかに記載の電子装置。
【0128】
17.上記第1の配向化重合液晶層(32、36)は、コレステリックLCP層であるか、又は直線偏光子として機能する、項目13~16のいずれかに記載の電子デバイス。
【0129】
18.上記第2の配向化重合液晶層(34)は、好ましくは1/4波長又は半波長のリターダンスを有するリターダ層である、項目14~17のいずれかに記載の電子装置。
【0130】
19.上記空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)は、1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含み、そのうちの少なくとも1つが、光配向化物質を含む層(33、35)によって配向される、項目13~18のいずれかに記載の電子装置。
【0131】
20.上記第1の配向化重合液晶層(36)は、直線偏光子として機能し、上記第2の配向化重合液晶層(34)は、1/4波長リターダとして機能する、項目14~19のいずれかに記載の電子装置。
【0132】
21. 上記光センサ装置(10、10a)は、第1の光センサ素子(11a)及び第2の光センサ素子(11b)を備え、且つ両方の光センサ素子を被覆する空間的に制限された薄膜積層体(14、21a、24a、41a)が、1以上の配向化重合液晶層(32、34、36)を含んでいる、ここで、上記重合液晶層(34、36)の少なくとも1つは、配向パターンを備え、上記第1の光センサ素子(11a)上の領域における上記液晶の配向が、上記第2の光センサ素子(11b)上の領域における配向とは異なっている、項目13~20のいずれかに記載の電子装置。
【0133】
22.上記第1の配向化重合液晶層(36)は、直線偏光子として機能し、上記第2の配向化重合液晶層(34)は、1/4波長リターダとして機能し、そして、上記第1の配向化重合液晶層(36)は、上記光センサ素子と上記第2の配向化重合液晶層(34)との間に置かれている、項目21に記載の電子装置。
【0134】
23.光の偏光状態を分析するための、項目13~22のいずれかの電子装置の使用方法。
【0135】
24. 表示装置セットアップにおける、観察者から見て上記表示装置の背後に置かれた、周囲光の強度を分析するための周囲光センサ装置としての、項目13~22のいずれかに記載の電子装置の使用方法。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】