(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】リュードベリ原子の超高速検出器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/59 20060101AFI20240314BHJP
G06N 10/40 20220101ALI20240314BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20240314BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240314BHJP
B82Y 10/00 20110101ALI20240314BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G06N10/40
B82Y20/00
G01N21/64 Z
B82Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548224
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2022016173
(87)【国際公開番号】W WO2022174072
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ウェンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴュレティック,ヴラダン
(72)【発明者】
【氏名】カントゥ,セルジオ,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クルーセナー,ヴァレンティン
(72)【発明者】
【氏名】ベンカトラマニ,アディチャ,ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ルーキン,ミハイル,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】スマラック,タマラ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043EA01
2G043FA02
2G043NA01
2G059AA05
2G059BB09
2G059EE01
2G059EE07
2G059GG01
2G059JJ22
2G059KK02
(57)【要約】
第1の光学トラップを作製するように構成される少なくとも1つの単色光源;第1の光学トラップ中に配置される粒子の集合、ここで粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いのブロッケイド半径内および原子キュービットのブロッケイド半径内にあり、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;ならびに粒子の集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される第2の単色光源;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに原子キュービットの状態を決定するように構成される光センサーを含む、デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光学トラップを作製するように構成される少なくとも1つの単色光源;
第1の光学トラップ中に配置される粒子の集合、
ここで粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、
粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いのブロッケイド半径内および原子キュービットのブロッケイド半径内にあり、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、
粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、
原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;ならびに
粒子の集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される第2の単色光源;
第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに
原子キュービットの状態を決定するように構成される光センサー
を含む、デバイス。
【請求項2】
基底状態から中間状態へと粒子の集合のそれぞれの粒子を駆動するように構成される第3の単色光源をさらに含むデバイスであって、第2の単色光源が、中間状態から第1のリュードベリ状態へと粒子の集合のそれぞれの粒子を駆動するように構成される、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
光センサーが、粒子の集合によりプローブビームの透過を測定するように構成される、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
光センサーが、第1の波長で粒子の集合の蛍光を測定するように構成される、請求項2記載のデバイス。
【請求項5】
第1のリュードベリ状態と第2のリュードベリ状態の間で原子キュービットを駆動するように構成されるマイクロ波供給源をさらに含む、請求項1~4いずれか記載のデバイス。
【請求項6】
第1の光学トラップが、交差光学的双極子トラップである、請求項1~5いずれか記載のデバイス。
【請求項7】
粒子の集合のそれぞれの粒子が
87Rb原子である、請求項1~6いずれか記載のデバイス。
【請求項8】
第1のリュードベリ状態がブロッケイド半径を有し、粒子の集合の粒子のそれぞれの対の間の平均距離が第1のリュードベリ状態のブロッケイド半径未満である、請求項1~7いずれか記載のデバイス。
【請求項9】
粒子の集合が約1の総光学深さを有する、請求項1~8いずれか記載のデバイス。
【請求項10】
原子キュービットが第1の光学トラップ内に配置される、請求項1~9いずれか記載のデバイス。
【請求項11】
アレイを形成する複数の第1の光学トラップをさらに含む、請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
第1の光学トラップのアレイが長方形のグリッドを形成する、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
原子キュービットが、第1の光学トラップとは異なる第2の光学トラップ内に配置される、請求項1~9いずれか記載のデバイス。
【請求項14】
アレイを形成する複数の第2の光学トラップをさらに含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
第2の光学トラップのアレイが長方形のグリッドを形成する、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
第2の透過率が最大で0.5である、請求項1~15いずれか記載のデバイス。
【請求項17】
第1の透過率が少なくとも0.9である、請求項1~16いずれか記載のデバイス。
【請求項18】
光学トラップの第1のアレイを作製するように構成される少なくとも第1の単色光源、ここで光学トラップの第1のアレイのそれぞれの光学トラップは、その中に配置される粒子の集合を有する;
光学トラップの第2のアレイを作製するように構成される少なくとも第2の単色光源、ここで:
粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、
粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、その集合内のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内および光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップ内のブロッケイド半径内にあり、第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップは、その中に配置される原子キュービットを有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、
その粒子のいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、それぞれの粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、
光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップ内の1つの粒子が第2のリュードベリ状態にある場合、粒子のそれぞれの集合は第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低く、
粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子は、粒子の任意の他の集合のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径の外側にある;
粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される少なくとも第3の単色光源;
第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに
粒子の集合中の少なくとも1つの粒子の量子力学的状態を決定するように構成される光センサー
を含む、デバイス。
【請求項19】
光センサーが、粒子の集合のそれぞれによりプローブビームの透過を測定するように構成される、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
光センサーが、第1の波長で粒子の集合のそれぞれの蛍光を測定するように構成される、請求項18記載のデバイス。
【請求項21】
光学トラップの第1のアレイが第1の長方形のグリッドを形成し;
光学トラップの第2のアレイが第2の長方形のグリッドを形成する、請求項18~20いずれか記載のデバイス。
【請求項22】
第1および第2の長方形のグリッドが互いに対して一致し、
光学トラップの第2のアレイの正確に1つの光学トラップが、粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にある、請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
第1および第2の長方形のグリッドが、光学トラップの第2のアレイの正確に2つの光学トラップが粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にあるように構成される、請求項21記載のデバイス。
【請求項24】
第1および第2の長方形のグリッドが、光学トラップの第2のアレイの正確に4つの光学トラップが粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にあるように構成される、請求項21記載のデバイス。
【請求項25】
原子キュービットの最近位に粒子の集合を配置させる工程、ここで:
粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態は第2のブロッケイド半径を有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、
粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内および原子キュービットの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内にあり、
粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、
原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低く;
粒子の集合のいずれか1つの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動する工程;
第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づける工程;ならびに
原子キュービットの状態を決定する工程
を含む、原子キュービットの状態を決定する方法。
【請求項26】
原子キュービットの状態を決定する工程が、粒子の集合によりプローブビームの透過を測定することを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
原子キュービットの状態を決定する工程が、第1の波長で粒子の集合の蛍光を測定することを含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
粒子の集合のいずれか1つの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動する工程の前に原子キュービットを使用して、コンピューター計算を実行する工程をさらに含む、請求項25~27いずれか記載の方法。
【請求項29】
原子キュービットを移動して、それにより原子キュービットを粒子の集合の近位に配置する工程をさらに含む、請求項25~28いずれか記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、その全体において参照により本明細書に援用される2021年2月12日に出願された米国仮出願第63/148,995号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府に支援された研究または開発に関する陳述
本発明は、国防省/国防高等研究計画局により授与されたW911NF2010021およびD18AC00037;国立科学基金により授与された1125846および1506284;ならびに米国陸軍研究所により授与されたW911NF1520067の下政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
本開示の態様は、リュードベリ原子系量子コンピューター計算、より具体的にリュードベリ原子の超高速検出に関する。
【発明の概要】
【0004】
簡単な概要
例示的態様において、本発明は:第1の光学トラップを作製するように構成される少なくとも1つの単色光源;第1の光学トラップ中に配置される粒子の集合、ここで粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いのブロッケイド半径内および原子キュービットのブロッケイド半径内にあり、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;および粒子の集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される第2の単色光源;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに原子キュービットの状態を決定するように構成される光センサーを含むデバイスである。
【0005】
別の例示的態様において、本発明は:光学トラップの第1のアレイを作製するように構成される少なくとも第1の単色光源、ここで光学トラップの第1のアレイのそれぞれの光学トラップは、その中に配置される粒子の集合を有する;光学トラップの第2のアレイを作製するように構成される少なくとも第2の単色光源、ここで:粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、その集合内のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態および光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップのブロッケイド半径内にあり、第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップは、その中に配置される原子キュービットを有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、その粒子のいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子のそれぞれの集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップ内の1つの粒子が第2のリュードベリ状態にある場合、粒子のそれぞれの集合は第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低く、粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子は、任意の他の粒子の集合のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径の外側にある;粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される少なくとも第3の単色光源;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに粒子の集合中の少なくとも1つの粒子の量子力学的状態を決定するように構成される光センサーを含むデバイスである。
【0006】
さらに別の例示的態様において、本発明は、原子キュービットの状態を決定する方法である。該方法は:原子キュービットの最近位に粒子の集合を配置させる工程、ここで:粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態は第2のブロッケイド半径を有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内および原子キュービットの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内にあり、粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;粒子の集合のいずれか1つの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動する工程;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づける工程;ならびに原子キュービットの状態を決定する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面のいくつかの図の簡単な説明
【
図1A】
図1Aは、本開示の態様による状態初期化の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の態様による切り換え可能な透過率を有する原子の集合の概略図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示の態様による切り換え可能な透過率を有する原子の集合および蛍光検出の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の態様による状態検出のための透過したプローブ光子数のヒストグラムである。
【
図2B】
図2Bは、本開示の態様による状態検出のための透過したプローブ光子数のプロットである。
【
図2C】
図2Cは、本開示の態様による検出された光子数の相関プロットである。
【
図3】
図3は、本開示の態様による経時的な|r'>集合の一群のグラフである。
【
図4】
図4は、本開示の態様による経時的なコントラストのグラフである。
【
図5A】
図5Aは、本開示の態様によるマイクロ波周波数に対する透過のグラフである。
【
図5B】
図5Bは、本開示の態様による周波数による光子数のプロットである。
【
図6】
図6は、本開示の態様による経時的な光子検出のグラフである。
【
図7A】
図7A~7Dは、本開示の態様による光子数のヒストグラムである。
【
図7B】
図7A~7Dは、本開示の態様による光子数のヒストグラムである。
【
図7C】
図7A~7Dは、本開示の態様による光子数のヒストグラムである。
【
図7D】
図7A~7Dは、本開示の態様による光子数のヒストグラムである。
【
図8】
図8は、本開示の態様による光子割合に対する忠実度のグラフである。
【
図9A】
図9Aは、本開示の態様による分離に対する相互作用エネルギーのグラフである。
【
図9B】
図9Bは、本開示の態様によるブロッケイド体積のプロットである。
【
図10】
図10は、本開示の態様による分離に対する相互作用エネルギーのグラフである。
【
図11】
図11は、本開示の態様による検出器デバイスの例示的な構成の概略図である。
【
図12】
図12は、本開示の態様による検出器デバイスの例示的な構成の概略図である。
【
図13】
図13は、本開示の態様による検出器デバイスの例示的な構成の概略図である。
【
図14】
図14は、本開示の態様による検出器デバイスの例示的な構成の概略図である。
【
図15】
図15は、本開示の態様による検出器デバイスの例示的な構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本開示は、原子リュードベリ状態キュービットの速い調製、操作および集合的読出しのための新規のアプローチを提供する。小さな原子集合の内部のリュードベリブロッケイドを使用して、単一のキュービットを、Fp=0.93±0.0.2の成功確率を有して3μs以内に調製する。キュービットは操作され、その状態は、Fd=0.92±0.04の単一ショット忠実度を有して、6μs内に読み出される。集合に補助された集合的な光学的読出しは、単一原子の画像化と比較して、103倍だけ状態検出をスピードアップする。90nsのπ回転時間よりもかなり長い18μsのキュービットコヒーレンス時間が観察される。本明細書に提供されるアプローチは、原子アレイにおける有意により速い量子シミュレーションおよび量子誤り訂正を可能にし得る。
【0009】
速く、信頼性の高い状態の初期化およびキュービットの読出しは、大規模化可能な量子情報系を実行するための必須要件である。個々に制御される高度に励起したリュードベリ原子は、量子シミュレーションおよびコンピューター計算のための有望なプラットフォームである。これらは、数マイクロメートルを超える距離でリュードベリ原子の間の強力なコヒーレント相互作用により可能になる。個々の原子の大きなアレイを決定論的に集合する示される能力と組み合わせて、50より多くのキュービットを有する量子スピンモデルをシミュレートして、多キュービットゲート操作を実行するためまたは大きな最大にもつれた状態を作製するために、リュードベリ原子アレイが使用され得る。これらの量子シミュレーションおよびコンピューター計算系は、マイクロ秒時間スケールで作動し得、代替的な系におけるアレイ調製プロセスおよび光学状態読出しの両方は、数ミリ秒から多ミリ秒を必要とする場合に、それらは、より速いキュービット調製および検出から実質的に利益を受け得る。さらに、原子の消失を有さない、速く高い忠実度の単一ショットキュービット読出しは、量子誤り訂正およびフォールトトレラント量子プロセッシングなどの誤り軽減を有する実験の新規の作製を可能にし得た。
【0010】
個々のリュードベリキュービット検出のための代替的なアプローチは、中程度の忠実度のみを有する比較的速い(τ=約0.1ms)プロセスである状態依存的イオン化およびイオンの検出、ならびに原子の状態依存的除去、その後の
【数1】
の忠実度を有する残りの原子の比較的遅い(τ=約10ms)蛍光画像化を含む。単一原子分解能を有する20μs以内の速く高い強度の蛍光読出しが可能であるが、この方法は、必要な空間的分解能を有さず、大きな磁場も必要とするので、原子アレイとは適合性でない。イオン検出および蛍光画像化の両方は、破壊的な読み出しプロセスであり、その後調製される新規の原子アレイを必要とし、量子プロセッサーのサイクル時間をさらに制限する。
【0011】
本開示において、原子集合の内部の単一リュードベリ原子キュービット(集合的状態ではない)の高い忠実度の調製、操作および検出は、マイクロ秒時間スケールで提供される。N=約400のトラップされた極低温
87Rb原子を用いて開始して、キュービットは、リュードベリ状態
【数1-2】
の間に調製される。キュービット回転は、2πパルス当たりコントラストδC≦2×10
-3の消失を有して実行される。状態は光学的に読み出される。リュードベリブロッケイドの集合的効果を利用して、状態調製および検出は、F
p=0.93±0.02およびF
d=0.92±0.04それぞれの忠実度でT
p=3μsおよびT
d=6μs内に実行される。τ
c=(15±5)μsの測定されるキュービットコヒーレンス時間は、90nsのπ回転時間よりもかなり長い。
【0012】
本明細書に記載される方法およびデバイスはRb以外の原子を使用し得ることおよび1つより多くの原子の種が使用され得ることが理解されるべきである。リュードベリブロッケイドは、高められた検出の源であり、Rb原子に特有ではない。例示的態様において、種の全体にわたりリュードベリブロッケイド半径を生じる同様のエネルギー間隔を有する2つの異なるアルカリ土類原子の組み合わせが使用され得る。この例はCs-Rbリュードベリブロッケイドである(I. I. Beterov and M. Saffman Phys. Rev. A 92, 042710 (2015)参照)。かかる組み合わせの使用は、集合と標的キュービットの間の励起クロストークを防ぐ。異なる原子種は、リュードベリ状態へと励起するための異なるレーザー波長を必要とする。本明細書に記載される方法およびデバイスは、原子種の独立の操作を可能にする。
【0013】
本明細書において提供されるアプローチは、状態調製および検出の両方の速度を上げるための集合的現象を利用する。調製は、N原子の集合への適切なレーザーパルスの適用により達成され、任意の原子は、リュードベリ状態に励起されて、単一の原子についてよりもN倍速いリュードベリ状態への第1の原子の励起を生じ得るが、単一の励起の調製は、リュードベリブロッケイド機構により確実にされる。同様に、光学的検出における信号対雑音比は、約N倍だけ集合的に高められ、すなわち単一原子リュードベリキュービットの状態に応じて、集合内のNの原子の全てによるプローブ光の吸収は、オンまたはオフに同時に切り替えられる。
【0014】
図1A~1Bを参照すると、単一のリュードベリ原子の速い集合的な検出器が図示される。
図1Aは、状態初期化の概略図である。原子は、調製ビーム(Ω
p、101)、制御ビーム(Ω
c、102)およびマイクロ波場(Ω
MW、103)を含む3光子プロセスを通じてリュードベリ状態|r'>において調製される。2つの中間状態からの離調は、Δ
e=δ
r=2π×100MHZである。|r'>の単一原子の調製は、|r'>における2つの原子の間の強い相互作用により確実にされる。2つの中間状態からの離調の値は、互いに等しいことを必要とせず;この条件は、以下にさらに記載されるように、検出の間に制御ビームについて同じレーザー周波数を使用することを可能にする。
【0015】
いくつかの態様において、調製工程の間の離調およびラビ周波数の値は、以下の3つの条件が満足されることを確実にするように最適化され得る:
1. |r>および|e>の両方の状態からの離調の値が、Δ
e=δ
r>>0を有することによりこれら2つの状態からの分散を最小化することが可能なほどに高い。
2. 離調が増加する場合、全体的な遷移が低下する(narrows down)。これは、時間の調製ウィンドウ内のリュードベリ励起を生じるために、より大きなラビ周波数Ω
cを必要とする。
3. Ω
cが増加される場合、ブロッケイド半径が
【数2】
だけ減少し、そのためΩ
cは、全体的な集合を依然として遮断しながら可能な限り小さくなるように選択される。
【0016】
代替的に、別個のリュードベリ状態にカップリングするために2つの別個の光学的リュードベリ波長が使用される2光子プロセスが使用され得る。リュードベリ状態の例は、|r=92S>および|r'=91S>であり、これはΔE=9.5GHzのエネルギー差を有する。
【0017】
図1Bは、原子104の集合およびその透過率の概略図である。制御場(102、ウエストサイズW
c=12.5μm)と組み合わされたプローブ場(105、ウエストサイズW
p=4.5μm)は、原子を第1のリュードベリ状態|r>にカップリングする。制御ビーム102のウエストサイズは集合104を均一に照射するように構成される。プローブビーム105のウエストサイズは、集合104よりも小さくなり、その上で理想的に集中されるように構成される。電磁波誘起透明化(EIT)(Δ
e=δ
r=0)の条件下、原子媒体を通る高い透過は、多くの検出された光子を生じる(左の詳細)。一方、第2のリュードベリ状態|r'>が原子キュービット106により占有される場合(右の詳細)、|r>と|r'>の間の強力な相互作用によりEIT条件が除去され、集合による吸収のために、透過された光子数の有意な低減が生じる。相互作用V
rr'は、双極交換およびファンデルワールス成分の両方を含む。
【0018】
図1Aに示されるように、典型的にN=約400のレーザー冷却
87Rb原子を含む
【数3】
の二乗平均(rms)サイズを有する小さな集合は、ウエストサイズW
1=10μmおよびW
2=20μmを有する2ビーム光学双極子トラップの内部で調製される。原子は光学的に、超微細な磁性のサブレベル
【数4】
にポンプ流入され、このサブレベルは遷移
【数5】
(調製ビームΩp)および
【数6】
(制御ビームΩc)を含む2光子プロセスを介して、リュードベリ状態
【数6-2】
にカップリングされる。2光子遷移が中間状態と共鳴する場合(Δe=0、
図1A参照)、透過されたプローブ光は、電磁誘起透明化(EIT)の条件下でのリュードベリ状態検出に役立つ。上述のように、および
図1B(左の詳細)に示されるように、集合104の任意の粒子または原子キュービット106のいずれも第2のリュードベリ状態|r'>にない場合、集合104は、EIT共鳴上でプローブビーム105の高い(第1の)透過率を示し、
図1B(右の詳細)に示されるように、原子キュービット106が第2のリュードベリ状態|r'>にある場合、集合104は、第1の透過率よりも低い、プローブビーム105の低い(第2の)透過率を有する。光センサー107は、原子キュービット106の状態を決定する。一態様において、
図1Bに示されるように、光センサー107は、プローブビーム105の遷移を測定するように構成される。
【0019】
別の態様において、
図1Cに示されるように、光センサー107は、プローブ(第1の)波長105で粒子の集合104の蛍光を測定するように構成される。蛍光の検出のために、EMCCDカメラ107に対する顕微鏡対物レンズ108などの高い開口数レンズ(NA >0.5)を用いて粒子の集合104を画像化することにより、光の収集がなされる。分散された光の量は集合内の原子の数に比例するので、収集された蛍光は増幅された信号として働く。前記の全ての検出統計学にこの方法を適用する。
【0020】
集合の内部でリュードベリ状態
【数7】
内の単一の原子を調製するために、プローブレーザーおよびマイクロ波場を、それらのそれぞれの遷移からΔ
e/(2π)=δ
r/(2π)=100MHzだけ離調し、制御場と組み合わせて3光子遷移
【数8】
を駆動する(
図1A参照)。2つの光学場の動力を約2μs以内で変えることにより、刺激ラマン断熱経路(stimulated Raman adiabatic passage) (STIRAP)と同様のプロセスが実現される。このプロセスは、レーザー雑音および原子数揺らぎに対して感度がより低いので、直接励起に対して選択される。3光子遷移の観察された線幅Γ
3/(2π)=0.6MHzは、調製プロセスについてのR
r'r'=約15μmのブロッケイド半径に対応し、これは集合内の任意の2つの原子間のrms距離
【数9】
よりも大きい。これは、リュードベリ状態|r'>への2つ以上の原子の励起が抑制されることを確実にする。
【0021】
図2Aを参照すると、6μs内に実行される状態検出のための透過したプローブ光子数のヒストグラムが提供される。ヒストグラム201および202は、リュードベリ状態|r'>の原子の存在(状態|↑>)および非存在のそれぞれに対応する。
図2A~B内の実線は、|r'>の原子の存在(非存在)について、速度0.035μs
-1(0.015μs
-1)での|r'>におけるリュードベリ原子のランダムな突然のイオン化(リュードベリ状態への遅い光ポラリトンの突然の減衰)を推定する理論的モデルを示す。破線は、基礎となる2つの状態を誤って同定するために誤りを等しくする検出閾値を示す。制御ラビ周波数はΩ
c/(2π)=25MHzであり、透過したプローブ光子を収集および検出するための確率は、それぞれ0.95および0.43である。
図2Bは、検出の間の時間分解光子計数速度のグラフであり、ここで203および204は、リュードベリ状態|r'>の原子の存在(状態|↑>)および非存在のそれぞれに対応する。
図2Cは、実験の同じ試行における2回の連続の6μs測定における検出された光子計数の数の相関プロットである。左下(右上)の四分円に集中する灰色の点は、|↑>状態を調製する(調製しない)場合の透過データを示す。垂直および水平の線は、状態識別についての閾値計数を示す。
【0022】
|r'>における原子の集合的に高められた光学的検出は、原子集合についてのラダー系
【数10】
におけるリュードベリEITに基づき、これは|r'>における個々の原子の存在に対して感受性である。状態|r'>が占有されない場合、集合は、EIT共鳴上で高い透過T≒0.95を示し、|r'>における原子の存在下では、透過はT≒0.43まで低減され:|r'>におけるちょうど1つのリュードベリ原子の存在は、全体の原子集合の光学的吸収を劇的に変化させる(
図1Bおよび
図2A~B)。透過の変化は、EIT共鳴から離れて状態|r>を移動させる高度に励起したリュードベリ状態|r>および|r'>における原子の間の強い相互作用の結果である。距離dでのこの相互作用は、C
6/h=6310GHz・μm
6およびC
3/h=23.6GHz・μm
3を有するV
rr'=C
6/d
6±C
3/d
3により与えられ、これは集合内の原子の間のrms距離d=d
0で40MHzより大きいV
rr'/hによるEIT遷移の周波数シフトに対応する。このシフトは制御ラビ周波数Ω
c/(2π)=25MHzについてのΓ
EIT/(2π)=26MHzの観察される線幅と同等である。これらの相互作用はRb-Rb分子状態に特有ではない。例として、リュードベリ状態|90S>にカップリングされたRb87原子を有するリュードベリ状態|91S>にカップリングされたCs133原子を使用し得、それにより
【数11】
の相互作用強度を有し得る。Ω
cの値は、2つの競合する効果を交換することにより信号対雑音比(SNR)を最大化するように選択され:透過の変化は、集合サイズd
0に対するブロッケイド半径
【数12】
の比に依存し、これは小さいΩ
cを好む。一方で、速い検出は、原子媒体中の自己ブロッケイドに供されるEITポラリトンの群速度
【数13】
を増加するために大きいΩ
cを必要とする。この例においては0.95および0.43の透過が測定されるが、透過における代替的な違いは本明細書に記載されるキュービット検出に適切なままであることが理解される。例えば、そうでなければ0.5以下の透過を有するEIT共鳴に対する0.9以上の透過は、キュービット状態検出を可能にする。
【0023】
以下において、リュードベリ状態|r'>は、有効スピン-1/2系の|↑>状態に関連する。
図2Aは、|r'>の原子を有する(201)および有さない(202)6μs検出ウィンドウにおける透過した光の観察された光子計数ヒストグラムを示す。このような短い時間においてさえ、2つの分布201および202は、明確に識別され得る。時間分解平均計数速度(
図2B)は、|↑>についての透過203 T
|↑>が時間に伴って増加し、|r'>の原子を有さない高い透過204はほとんど一定であり、ゆっくりとのみ低下することを明らかにする。
図2Bにおける時間平均透過T
|↑>における線形の傾斜は、検出の間の|↑>におけるリュードベリ原子の光誘導消失プロセスにより説明され得、これは、無作為的な時間での透過の突然の増加をもたらす。かかる消失は、制御光による直接光イオン化および検出の間の遅い光のリュードベリポラリトン(リュードベリ構成要素|r>を有する)の1つとの衝突における自己イオン化プロセスについてのより小さい部分のためである可能性がある。|r'>の原子を有さないTの徐々の低減は、他のリュードベリ状態への遅い光の|r>ポラリトンの減衰のためであり得、いくつかのリュードベリ状態において無作為的に静止する原子を生じ、次いでEIT透過を遮断する。
【0024】
|r'>の原子のランダム消失を含むモデルは、異なる検出時間で観察される光子計数ヒストグラムとの優れた一致を生じる。このモデルを使用して、Fp=0.93±0.02の状態|↑>(|r'>の原子)について調製忠実度が推測され得る。次いで、状態調製誤りを除去した後の検出忠実度(基礎となる状態|↑>を正確に同定する確率)はFd=0.92±0.04である。
【0025】
図2Cは、反復された('非破壊的')測定が該系上で実施され得、第2の6μs測定が、第1の測定と良好な一致を生じることを示す:第1の測定と同じ結果を有する第2の測定についての平均条件的確率は、p=0.79±0.03である。検出系はまた、光についての単一原子トランジスタであるとみなされ得る。6μs内にG=17±1の獲得が達成される。
【0026】
|r>の単一の原子を有する状態を|↓>状態と定義することにより、かかる系においてキュービットを実行する。{|↑>,|↓>}マニホールドにおけるコヒーレント回転は、マイクロ波場により誘導され得る。キュービット回転の後、得られる状態は、プローブ光よりもカップリング光をわずかに(1μs)早くオンにすることにより検出されるので、状態|r>は、不安定な状態|e>に対する強力なカップリングレーザーにより迅速に脱励起され、これは30nsの光子放射により減衰する(
図1A~B参照)。したがって、検出プロセスが考慮される限りは、状態|↓>(|r>の原子)は、リュードベリ励起を全く有さないことと同等であり、状態|↑>(|r'>の原子)は検出光により影響を受けないままであり、プローブ透過のリュードベリブロッケイドを生じる。光子計数が選択される検出閾値の上または下にある場合(
図2A参照)、キュービット状態は、|↓>または|↑>のそれぞれとして同定される。
【0027】
図3は、関連のあるエネルギー準位図を有する経時的な|r'>集団の一連のグラフである。周波数f
0=4814.2MHzでのマイクロ波場を適用して、振動周波数Ω/(2π)=5.3MHzで、|r>と|r'>の間のラビ振動を駆動する。それぞれの点は約150の反復の平均である。エラーバーは、平均の標準偏差である。2πパルス当たりの適合されたコントラスト消失はδC=(1±1)×10
-3である。関連のあるエネルギー準位図を右に示す。
【0028】
図3は、状態調製、キュービット回転および検出の完全なシーケンスを有するラビ振動を示す。光をトラップすることによりリュードベリ状態についての反発ポテンシャルが生じるので、全体のシーケンスの間にトラップはオフにされ、これは操作時間に拘束を入れる。この制限は、ポンデローモティブ力を使用する光学トラッピングの現在開発された技術の使用により、将来緩和され得る。|↓>上の原子を、10Gの適用される磁場において17MHzだけ相殺される|91P
3/2>マニホールドにおいて磁性サブレベルm
j=1/2にカップリングし得るマイクロ波場のπ偏光構成要素を抑制するために、相対的な位相および振幅を調整した2マイクロ波アンテナが使用される。他の磁性サブレベルへの残りのカップリングは、
【数14】
遷移上の最大ラビ周波数を約5MHz未満に制限する。ラビ振動は、6μsタイムスケール上で観察可能なダンピングがないことを示し、これはδC=(1±1)×10
-3の2πパルス当たりのコントラスト消失に対応する。
【0029】
ラビ振動の観察されるコントラストは、|r'>の2つの励起が集合において同時に生じた確率を決定するために使用され得る。|r'>および|r>の2つの原子の間の大きな相互作用エネルギーVrr'(d)=C6/r6±C3/r3のために、2つの励起を有するラビ振動は、タイムスケールh/Vrr'(d0)=約40nsで非常に速く減弱される。ラビ振動の観察されるコントラストから、2つの励起を調製するための確率は1%未満であると結論付けられ得る。
【0030】
原子クラウド内部に埋め込まれるリュードベリキュービットのコヒーレンス時間を特徴づけるためにラムゼイ測定が使用される。2つのπ/2パルスにそれらの間の時間的分離Tを適用し、それらの相対的な位相をスキャンして、所定のTでのラムゼイフリンジを得る。
図4は、ラムゼイフリンジのコントラストをラムゼイ時間Tの関数として示す。コントラストをガウス減衰関数に適合することにより、e
-1脱位相時間(dephasing time)は(15±5)μsとして与えられる。可能な脱位相機構としては、高度に偏光可能なリュードベリ状態に作用する電場揺らぎ、磁場揺らぎおよびリュードベリ原子と周囲の基底状態原子の間の相互作用が挙げられる。
【0031】
図4は、時間τで分離された2つのπ/2パルスからなるラムゼイ測定を示す、経時的なコントラストのグラフである。第2のπ/2パルスの位相をスキャンして、ラムゼイフリンジを得る。ラムゼイフリンジのコントラストをτの関数としてプロットする。実線の曲線は、ガウス減衰関数
【数15】
に対する適合であり、脱位相時間
【数16】
およびA=0.88±0.04を生じる。挿入図はτ=1000nsでのラムゼイフリンジを示す。
【0032】
小さな原子集合における集合的効果を利用することにより、本開示は、リュードベリキュービットの速い調製および検出のための方法を示す。より小さな集合は、複数の励起についてさらに高いエネルギーコストを提供するので、単一の励起についての調製忠実度は、より小さな集合サイズを使用することにより向上され得る。しかしながら、同じ光学深さOD=約1を維持する必要があるより高い原子密度で、リュードベリ分子形成は消失を生じ得るので、集合のサイズは、任意に小さくは作製され得ない。<n>=2×1011cm-3の原子密度を仮定すると、2倍の集合サイズの低減は可能であるはずであり、これは1桁よりも大きく調製誤りを低減する可能性がある。一般的に、<n>=1×1013cm-3未満の原子密度が適切である。これよりも高い密度は、検出を阻害するリュードベリ分子を形成する可能性がある。本明細書で使用される場合、用語、光学深さは、物質を通過する透過した放射力に対する入射の割合の自然対数であるその一般的な意味を採る。いくつかの態様において、約1の光学深さが提供されるが、約1~1.5の光学深さが適切である。
【0033】
一方で、検出忠実度は、|r'>状態において調製されるリュードベリ原子の消失により制限される。この消失は主に、検出段階での制御光により引き起こされるので、2つの集合を使用することにより緩和され得、その1つはキュービットを集合させる(host)ためのものであり、もう1つは検出のためのものであり、互いからブロッケイド半径以内に位置する。この構成は、量子誤り訂正を実行するために必要な非常に重要なツールである99%を超える検出忠実度で非破壊的な速いキュービット読出しを可能にする。さらに、かかる読出しはまた、量子フィードバック、量子Zeno効果、量子ジャンプの検討を可能にし得、リュードベリ超原子力学の速いプローブとして作用し得る。検出スキームは、異なるリュードベリプラットフォームにおいて容易に実行され得、光学的読出しを数桁スピードアップし得る。ここで使用されるアプローチを小さな集合の大きなアレイまで大規模化することにより、強力なリュードベリ-リュードベリ相互作用は、多キュービット操作、多体系の検討のために、および一般的に高速の高忠実度量子情報処理のための多用途的プラットフォームとして使用され得る。
【0034】
リュードベリブロッケイド半径よりも大きい集合に適用される場合、本明細書で提供される技術は、集合の内部の個々のリュードベリ原子の直接画像化を可能にする。
【0035】
実験的設定
87Rb原子は、三次元磁気-光学トラップ(MOT)内で収集され、ウエストサイズw
1=10μmおよびw
2=20μmのそれぞれを有する波長852nm(zに沿って伝播する)および1064nm(yに沿って伝播する)で2つの直交する大きく離調されたレーザービームにより作製された交差する光学的双極子トラップに負荷され、典型的にU
852/h=2MHzおよびU
1064/h=20MHzの個々のトラップ深さを提供する。トラップ振動周波数は、ω
x/(2π)=5.7kHz、ω
y/(2π)=3.0kHzおよびω
z/(2π)=4.8kHzである。プローブは、y軸に対して16°の角度でxy面中に伝播する。クラウドは、偏光勾配冷却を使用して80μKまで冷却され、集合についてx
0=2.4μm、y
0=4.6μm、z
0=2.9μmの二乗平均(RMS)サイズを生じる。次いで、集合内の2つの原子の間のrms距離は、
【数17】
である。|5S
1/2,F=2,m
F=2>→|5P
3/2,F=3,m
F=3>遷移に対する総吸収は、種々の拡大機構により原子断面積がその最大値σ
0=3λ
2/(2π)から2倍だけ低減されると推定される場合に、N
0=440原子に対応し、ここでλ
0=780nmはプローブ遷移の波長である。量子化軸を画定し、リュードベリ状態の磁気サブレベルを分離するために、プローブビームの伝播の方向に沿って10Gの磁場が適用される。状態調製、回転および検出の間に光学双極子トラップはオフにされて、基底およびリュードベリ状態の同質でない光シフトのための遷移の拡大が防がれる。
【0036】
リュードベリ状態の原子の調製
図5A~Bを参照すると、リュードベリ調製の最適化が図示される。
図5Aは、|↑>状態に対する3光子共鳴吸収のスペクトル対f
P=4916.1MHzに対するマイクロ波周波数を示す。原子は、3光子STIRAP様プロセスによりリュードベリ状態|↑>で調製される。
図5Bは、Ω
Cの関数としての検出段階で10μsウィンドウにわたり一体化される光子の計数、調製段階の間の|e>→|↓>遷移のカップリングを示す。小さなΩ
Cについて、低いカップリング速度は、リュードベリ状態における小さな集合をもたらす。Ω
Cが増加するにつれて、|↑>までの平均調製も増加する。一旦全体の集合が遮断されると、光子計数は34%だけ低減する。複数の励起を回避するために、飽和遷移レベルの開始に対応するΩ
C=2π×2.4MHzを選択した。
【0037】
リュードベリ状態
【数18】
における原子の調製は、上述の3光子STIRAPプロセスを用いて実行する。プローブおよび制御レーザービームの周波数を固定し、状態開始段階を最適化するためにマイクロ波周波数をスキャンする。
図5Aは、状態調製に使用されるマイクロ波周波数の関数としての検出段階の間のプローブ光の透過を示す。調製確率を最大化するf
P=4916.1MHzが選択された。
【0038】
リュードベリブロッケイド効果は、リュードベリ励起を集合内部の1つの原子に制限するために必須である。ブロッケイド半径は
【数19】
に比例するので、集合の内部に1つより多くの励起を有する確率は、制御ラビ周波数Ω
Cが高すぎる場合に増加する。Ω
Cは、検出段階の間にプローブ光の透過をモニタリングすることにより最適化され(
図5B)、飽和の開始に対応する値Ω
C=2π×2.4MHzが選択される。
【0039】
検出の間のリュードベリ原子の消失およびリュードベリ不純物の生成
図2Bに示されるように、検出の間の透過した光子計数203の増加する傾斜は、集合の内部の|r'>原子についての0でない消失速度を示唆する。
図6を参照すると、消失機構の洞察を得るために、3つの異なる実験的シーケンス:プローブおよび制御光ビームの両方を約30μs間維持すること(曲線601);プローブ光よりも20μs早く制御光をオンにすること(曲線602);ならびに制御およびプローブ光の両方を同時であるが、場合601よりも20μ遅くオンにすること(曲線603)が比較される。曲線601上の点は、制御およびプローブ光の両方が35μsの間オンになるデータを示し、曲線602上の点は、制御光が全体の35μsの間オンであり、プローブ光が最後の15μsの間のみオンになる場合のデータを示す。曲線603上の点は、制御およびプローブ光の両方が最後の15μsの間のみオンになる場合のデータを示す。それぞれのシーケンスの光子速度レベルから、制御光が|r'>状態の消失の増加において最も大きな効果、およびそれにより経時的な透過を有することが結論付けられ得る。
【0040】
シーケンス(601)および(602)について、プローブがオンになる時間での光子透過レベルはほぼ同じである。これは、|r'>の消失が、検出段階の間の気体の膨張または他の環境雑音のためである可能性を排除する。一方で、シーケンス(602)と(603)についてのデータの間に有意差がある。状況(603)についてのより大きな消失は、制御光ビームが連続体への直接光イオン化のためである可能性がある|r'>の消失を誘導することを示す。しかしながら、シーケンス(601)および(602)についての透過の間にいくつかの残存する差があり、これは、光イオン化効果の他の検出の間のいくつかのさらなる消失を示唆する。過剰な消失機構は、|r>のリュードベリ励起構成要素を有するリュードベリポラリトンが|r'>のリュードベリ原子と衝突する際に起こり得る自己イオン化プロセスに関連し得る。
【0041】
制御ビームからの光イオン化速度は小さすぎる。これらの条件下での予想される光イオン化速度は、Γpi≒340s-1であり、これは透過曲線についての観察される速度定数Γtr≒3.5×104s-1よりも(that)二桁小さい。さらに、制御ビームの反発ポンデローモティブポテンシャルは、三桁小さいので、時間に伴う透過の増加を説明できない。一方で、20~40mV/cmのdc電場は、91P状態に対する92Sリュードベリ状態の十分な混合を提供し得たので、状態は、5P3/2まで制御レーザーとカップリングされ得、そこからそれは基底状態まで減衰する。
【0042】
検出の間の|r'>のリュードベリ原子の消失は、透過における突然の変化としてモデル化される。これは、一定の確率を伴ってランダムに起こることが推定される。このモデルは、種々の検出時間でのプローブ光子計数の予想されるヒストグラムを予測するためおよびこれと実験データを比較するために使用される(
図7A~D)。
【0043】
図7A~Dは、6μsの統合時間を有するプローブ(probing)ウィンドウの異なる開始時間での測定される分布を示すヒストグラムである。これらの分布は、消失速度および調製忠実度を得るために理論的モデルを使用した適合である。推測される調製忠実度はF
p=0.93±0.02である。
【0044】
該モデルは、4つの自由パラメーター:|r'>の原子の存在下および非存在下のそれぞれの光子速度、状態|r'>についての消失速度ならびに|r'>の原子を最初に調製する忠実度を有する。種々の検出時間の実験データは、
図7A~7Dに示されるように適合され、0.035μs
-1の消失速度およびF
p=0.93±0.02の調製忠実度が見られる。該モデルはまた、
図2Bに示されるように観察される透過203における平均上昇を捕捉する。
【0045】
リュードベリ状態で最初に調製された原子がないことに光子ヒストグラムを適合するために同様のモデルが使用され、ここでリュードベリ不純物は、検出の間にリュードベリポラリトンの減衰によりランダムな時間に生成されることが推定される。このプロセスは、プローブ透過における突然の増加としてそれ自体を明示する。ヒストグラムおよび平均透過は、0.015μs-1のリュードベリ不純物生成速度を見出すために適合される。
【0046】
自己ブロッケイド効果と組み合わされたリュードベリ不純物の生成は、最大プローブ光子速度を制限する。より速い検出のためにより高い光子速度が好ましいが、忠実度は最終的に、プローブ光子速度が増加するにつれて低減する。
図8は、種々の光子速度での検出忠実度をプロットする。上に示される測定について、8/μsの光子速度が選択された。
【0047】
図8は、それぞれのデータ点について最適化された読出し時間(3μs~8μs)を有する原子集合の非存在下の検出されたプローブ光子計数速度の関数としての検出の忠実度をプロットする。データは調製忠実度について訂正された。
【0048】
反復された(非破壊的)検出
上で、検出閾値として6μs読出しウィンドウにおいておよび30の計数についてF
d=0.92±0.04の読出し忠実度が提供される。同じ閾値を有する6μsで第2の測定を実行することは、0.81±0.04(
【数20】
)のこのウィンドウにおける検出忠実度を示す。
図2Cは、2つの測定の間の相関を示し;結果を以下の表に要約する。連続的な測定の間のこの相関は、量子非破壊測定(QND)のサインであり、理想的な条件下で該測定は、状態の何らかの変化を誘導することは予想されない。第2の測定が第1の測定と同じ結果を生じる平均条件的確率は、0.79±0.03である。
【0049】
反復された(非破壊的)測定についての結果を以下の表に与える。|↑>調製および検出は、リュードベリ状態|91P
3/2,m
J=1/2>=|r'>における原子の調製をいう。第1および第2の測定の両方は6μsの間続く。表中のそれぞれの因子についての誤り(標準偏差)は0.04である。
【表1】
【0050】
ラビ振動の測定
磁性サブレベル|r'>=|91P
3/2,m
J=3/2>および|r>=|92S
1/2,m
J=1/2>は、キュービットを画定するために使用される。しかしながら、特に高いラビ周波数での他の磁性サブレベルへの非共鳴カップリングの可能性もある。10Gの磁場を適用して、ゼーマン縮退を解除し、これは|91P
3/2>マニホールドについての約17MHzおよび|92S
1/2>マニホールドについての約25MHzの隣接する磁性サブレベルの間にゼーマン分離を生じる。マイクロ波駆動場による他の遷移へのカップリングを低減するために、その相対的な振幅および位相がπ偏光遷移
【数21】
を抑制するように調整される2無線周波数アンテナが使用される。単一のアンテナと比較して10倍の抑制が観察される。σ
-遷移を排除するために第3のマイクロ波アンテナも追加され得る。
【0051】
ラビ振動測定において示される|r'>の標準化された集合(
図3)は、調製非忠実度(1-F
p)および検出非忠実度(1-F
d)により訂正される。|r'>を検出する測定された確率
【数22】
は、調製および読出しの誤りを除去するために使用される以下の関係:
【数23】
により実際の確率p(r')に関連付けられる。さらに、ラビ振動の8時間の測定の間、整列においてドリフトがあり、これは平均された透過プローブ光子数に影響を及ぼした。かかる長時間のドリフトを説明するために、2つの過剰な参照測定を追加した:1つはマイクロ波駆動場なしで、もう1つは調製段階なし。これらの2つの測定は、F
pおよびF
dの任意の遅いドリフトのモニタリングならびに観察される状態確率の再スケール化を可能にする。
【0052】
リュードベリブロッケイド
図9A~Bを参照すると、調製の間のリュードベリブロッケイドが図示される。
図9Aにおいて、状態|r'>における2つの原子の間の相互作用エネルギーΔEは、相互作用ハミルトニアンの正確な対角化から計算されるθ=0で分離Rの関数としてプロットされる。適合されたファンデルワールス相互作用係数は、C
6(θ=0)=2π×1.94THz・μm
6であり、これはr
B(θ=0)=12μmのブロッケイド半径を生じる。
図9Bは、r
B(θ)対θのプロットである。含まれる原子波動関数の異方性のために、得られる相互作用は、1.6のアスペクト比を有し、量子化軸から90°で半長軸を有する楕円形と似る。この曲線は、C
6(θ)を摂動的に計算することにより得られた。
【0053】
調製ブロッケイド:調製段階の間に、原子を|91P
3/2,m
J=3/2>状態にカップリングする。この状態の一対の原子は、異方性ファンデルワールス相互作用V
r'r'=C
6(θ)/|R|
6を経験し、ここでRは一対の原子の間の距離であり、θは一対の原子と量子化軸の間の角度である(
図9A~B)。この相互作用から、有効ブロッケイド半径は、
【数24】
と推定され得、ここでΓ
3は、3光子共鳴の半値全幅(full width half maximum)であり、Γ
3=2π×0.6MHzである。量子化方向に沿った約12μmのブロッケイド半径(θ=0)が推定される。得られるブロッケイド体積は、
図9Bに示されるように1.6のアスペクト比を有する楕円形を有する。楕円形の平均ブロッケイド半径は、r
B=15μmである。
【0054】
検出ブロッケイド:検出段階の間、基底状態原子は、|92S
1/2,m
J=1/2>状態にカップリングされる。rおよびr'は異なるパリティを有するので、それらは双極子-双極子相互作用(約R
-3)により大きな距離で支配され、小さな距離ではそれらはファンデルワールス相互作用(約R
-6)により支配される。双極子-双極子相互作用は、対称および反対称分子状態の形成を誘導する(
【数25】
)。検出段階の間のブロッケイド半径は、
【数26】
として画定され、ここでΓ
EITはEIT線幅である。それぞれの分岐についての推定されるブロッケイド半径は、r
B+=12.7μmおよびr
B-=6.2μmのそれぞれである。そのため、推定されるブロッケイド(blockaded)半径は両方の分岐からの平均半径r
B=9.4μmである。
【0055】
図10は、|rr'>対状態相互作用エネルギーΔE対相互作用ハミルトニアンの正確な対角化から計算されるθ=0での分離Rをプロットし、これは調製の間の|rr'>についてのリュードベリブロッケイドを図示する。双極子-双極子相互作用は、対称(1001)および反対称(1002)分子状態の形成
【数27】
を誘導する。線は、適合されたモデルA/R
6±B/R
3に対応し、ここで適合は、A=C
6/h=6310GHz・μm
6およびB=C
3/h=23.6GHz・μm
6を与える。
【0056】
図11~14を参照すると、複数のキュービットの読出しを可能にする種々の例示的な幾何学構造が図示される。
【0057】
図11において、それぞれ実線内の大きな円で示される光学トラップのアレイは、長方形のグリッド内に配置される。それぞれの光学トラップ1101は、上記の原子の集合を含む。また、それぞれの光学トラップ1101は、それぞれ実線内の小さな円で示される原子キュービット1103を含む。破線の円で示されるそれぞれの集合の粒子のブロッケイド半径1102は、その中のそれぞれの光学トラップおよびキュービットを含む。
【0058】
図12において、それぞれ実線内の大きな円で示される光学トラップのアレイは、長方形のグリッド内に配置される。それぞれの光学トラップ1201は、上記の原子の集合を含む。光学トラップの第2のアレイが提供され、第2のアレイのそれぞれの光学トラップは、それぞれ実線内の小さな円で示される原子キュービット1203を含む。破線の円で示されるそれぞれの集合の粒子のブロッケイド半径1202は、それぞれの光学トラップおよび正確に1つの隣接するキュービットを含む。この例において、光学トラップの2つのアレイは互いに一致することが理解される。
【0059】
図13において、それぞれ実線内の大きな円で示される光学トラップのアレイは、長方形のグリッド内に配置される。それぞれの光学トラップ1301は、上記の原子の集合を含む。光学トラップの第2のアレイが提供され、第2のアレイのそれぞれの光学トラップは、それぞれ実線内の小さな円で示される原子キュービット1303を含む。破線の円で示されるそれぞれの集合の粒子のブロッケイド半径1302は、それぞれの光学トラップおよび正確に4つの隣接するキュービットを含む。この例において、光学トラップの2つのアレイは異なるサイズのものであり、キュービットを保持する光学トラップは、集合を保持する光学トラップよりも近い間隔を空けられることが理解される。
【0060】
図14において、それぞれ実線内の大きな円で示される光学トラップのアレイは、長方形のグリッド内に配置される。それぞれの光学トラップ1401は上記の原子の集合を含む。光学トラップの第2のアレイが提供され、第2のアレイのそれぞれの光学トラップは、それぞれ実線内の小さな円で示される原子キュービット1403を含む。破線の円で示されるそれぞれの集合の粒子のブロッケイド半径1402は、それぞれの光学トラップおよび正確に2つの隣接するキュービットを含む。この例において、光学トラップの2つのアレイは異なるサイズのものであり、キュービットを保持する光学トラップは、集合を保持する光学トラップよりも近い間隔を空けられることが理解される。
【0061】
図11~14の長方形の構成は、例示として示され、限定ではないことが理解される。種々の物理的構成は、単一のキュービットまたはキュービットのグループを読み出すために使用され得る。
【0062】
例として
図13を採用する
図11~14に示される構成の局面は、単一の原子アレイ内の全ての原子1303が、検出のための集合1301のブロッケイド半径1302内にある必要があるものである。最近の実験的開発を考慮すれば、単一の原子アレイ内に原子を移動させることが可能である。
図15に示されるこの改変された構成は、単一の原子アレイ領域1505(コンピューター計算領域)とは別に原子1501の集合のアレイが存在する検出領域1504を含む。コンピューター計算領域1505において、原子1503は、リュードベリをパルス成型(pulse shaping)することおよびレーザーの強度、周波数および位相を調べて状態調製を最適化することにより、2光子もつれゲートにより集合的状態にもつれ得る。もつれた状態を検出するために、個々の原子1503は、リアルタイムでトラップ位置を制御するために複数の音調を使用することにより、複数の回折順序の生成を可能にする音波-光学デフラクターを用いてトラップを生成することにより移動される。この能力により、原子1503をコンピューター計算領域1505から検出領域1504に移動させることが可能になり、移動された原子1503は、集合1501のいずれかのブロッケイド半径1502内にある。移動の後、集合1501に光が当たり、集合1501の透過は上述のように検出される。検出の後、個々の原子は、コンピューター計算領域1505へと戻って移動され得る。
【0063】
したがって、第1の例示的態様において、本発明は、リュードベリ状態の原子(または粒子)の速い検出のためのデバイスである。第1の例示的態様の第1の局面において、デバイスは、第1の光学トラップを作製するように構成される少なくとも1つの単色光源;第1の光学トラップ中に配置される粒子の集合、ここで粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いのブロッケイド半径内および原子キュービットのブロッケイド半径内にあり、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;および粒子の集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される第2の単色光源;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;および原子キュービットの状態を決定するように構成される光センサーを含む。
【0064】
第1の例示的態様の第2の局面において、デバイスはさらに、粒子の集合のそれぞれの粒子を基底状態から中間状態に駆動するように構成される第3の単色光源を含み、第2の単色光源は、粒子の集合のそれぞれの粒子を中間状態から第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1の局面に関して上記されるとおりである。
【0065】
第1の例示的態様の第3の局面において、光センサーは、粒子の集合によりプローブビームの透過を測定するように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1および第2の局面に関して上記されるとおりである。
【0066】
第1の例示的態様の第4の局面において、光センサーは、第1の波長で粒子の集合の蛍光を測定するように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第3の局面に関して上記されるとおりである。
【0067】
第1の例示的態様の第5の局面において、デバイスはさらに、原子キュービットを、第1のリュードベリ状態と第2のリュードベリ状態の間に駆動するように構成されるマイクロ波供給源を含む。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第4の局面に関して上記されるとおりである。
【0068】
第1の例示的態様の第6の局面において、第1の光学トラップは交差光学的双極子トラップである。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第5の局面に関して上記されるとおりである。
【0069】
第1の例示的態様の第7の局面において、粒子の集合のそれぞれの粒子は、87Rb原子である。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第6の局面に関して上記されるとおりである。
【0070】
第1の例示的態様の第8の局面において、第1のリュードベリ状態は、ブロッケイド半径を有し、粒子の集合の粒子のそれぞれの対の間の平均距離は、第1のリュードベリ状態のブロッケイド半径未満である。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第7の局面に関して上記されるとおりである。
【0071】
第1の例示的態様の第9の局面において、粒子の集合は、約1の総光学深さを有する。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第8の局面に関して上記されるとおりである。
【0072】
第1の例示的態様の第10の局面において、原子キュービットは、第1の光学トラップ内に配置される。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第9の局面に関して上記されるとおりである。
【0073】
第1の例示的態様の第11の局面において、デバイスはさらに、アレイを形成する複数の第1の光学トラップを含む。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第10の局面に関して上記されるとおりである。
【0074】
第1の例示的態様の第12の局面において、第1の光学トラップのアレイは長方形のグリッドを形成する。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第11の局面に関して上記されるとおりである。
【0075】
第1の例示的態様の第13の局面において、原子キュービットは、第1の光学トラップとは異なる第2の光学トラップ内に配置される。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第12の局面に関して上記されるとおりである。
【0076】
第1の例示的態様の第14の局面において、デバイスはさらに、アレイを形成する複数の第2の光学トラップを含む。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第13の局面に関して上記されるとおりである。
【0077】
第1の例示的態様の第15の局面において、第2の光学トラップのアレイは長方形のグリッドを形成する。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1~第14の局面に関して上記されるとおりである。
【0078】
第1の例示的態様の第16の局面において、第2の透過率は最大で0.5である。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1の局面~第15に関して上記されるとおりである。
【0079】
第1の例示的態様の第17の局面において、第1の透過率は少なくとも0.9である。残りの特徴および例示的特徴は、第1の例示的態様の第1の局面~第16に関して上記されるとおりである。
【0080】
第2の例示的態様において、本発明はデバイスである。第2の例示的態様の第1の局面において、デバイスは:光学トラップの第1のアレイを作製するように構成される少なくとも第1の単色光源、ここで光学トラップの第1のアレイのそれぞれの光学トラップは、その中に配置される粒子の集合を有する;光学トラップの第2のアレイを作製するように構成される少なくとも第2の単色光源、ここで:粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態はブロッケイド半径を有し、粒子の集合のそれぞれのそれぞれの粒子は、その集合内のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態および光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップのブロッケイド半径内にあり、第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップは、その中に配置される原子キュービットを有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、その粒子のいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子のそれぞれの集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、光学トラップの第2のアレイの少なくとも1つの光学トラップ内の1つの粒子が第2のリュードベリ状態にある場合、粒子のそれぞれの集合は第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低く、粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子は、任意の他の粒子の集合のそれぞれの粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径の外側にある;粒子のそれぞれの集合のそれぞれの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動するように構成される少なくとも第3の単色光源;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づけるように構成されるプローブ光源;ならびに粒子の集合中の少なくとも1つの粒子の量子力学的状態を決定するように構成される光センサーを含む。
【0081】
第2の例示的態様の第2の局面において、光センサーは、粒子の集合のそれぞれによりプローブビームの透過を測定するように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1の局面に関して上記されるとおりである。
【0082】
第2の例示的態様の第3の局面において、光センサーは、第1の波長で粒子の集合のそれぞれの蛍光を測定するように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1~第2の局面に関して上記されるとおりである。
【0083】
第2の例示的態様の第4の局面において、光学トラップの第1のアレイは第1の長方形のグリッドを形成し;光学トラップの第2のアレイは第2の長方形のグリッドを形成する。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1~第3の局面に関して上記されるとおりである。
【0084】
第2の例示的態様の第5の局面において、第1および第2の長方形のグリッドは、互いに対して一致し、光学トラップの第2のアレイの正確に1つの光学トラップは、粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にある。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1~第4の局面に関して上記されるとおりである。
【0085】
第2の例示的態様の第6の局面において、第1および第2の長方形のグリッドは、光学トラップの第2のアレイの正確に2つの光学トラップが、粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にあるように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1~第5の局面に関して上記されるとおりである。
【0086】
第2の例示的態様の第7の局面において、第1および第2の長方形のグリッドは、光学トラップの第2のアレイの正確に4つの光学トラップが、粒子のそれぞれの集合の粒子の第2のリュードベリ状態のブロッケイド半径内にあるように構成される。残りの特徴および例示的特徴は、第2の例示的態様の第1~第6の局面に関して上記されるとおりである。
【0087】
第3の例示的態様において、本発明は、原子キュービットの状態を決定する方法である。第3の例示的態様の第1の局面において、該方法は:原子キュービットの最近位に粒子の集合を配置させる工程、ここで:粒子の集合のそれぞれの粒子は、第1のリュードベリ状態および第2のリュードベリ状態に励起可能であり、第2のリュードベリ状態は第2のブロッケイド半径を有し、原子キュービットは、第2のリュードベリ状態に励起可能な粒子であり、粒子の集合のそれぞれの粒子は、互いの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内および原子キュービットの第2のリュードベリ状態ブロッケイド半径内にあり、粒子の集合の任意の粒子と原子キュービットのいずれも第2のリュードベリ状態にない場合、粒子の集合は、第1の波長で第1の透過率を有し、原子キュービットが第2のリュードベリ状態にある場合、粒子の集合は、第1の波長で第2の透過率を有し、第2の透過率は第1の透過率より低い;粒子の集合のいずれか1つの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動する工程;第1の波長を有するプローブビームを粒子の集合に方向づける工程;ならびに原子キュービットの状態を決定する工程を含む。
【0088】
第3の例示的態様の第2の局面において、原子キュービットの状態を決定する工程は、粒子の集合によりプローブビームの透過を測定することを含む。残りの特徴および例示的特徴は、第3の例示的態様の第1の局面に関して上記されるとおりである。
【0089】
第3の例示的態様の第3の局面において、原子キュービットの状態を決定する工程は、第1の波長で粒子の集合の蛍光を測定することを含む。残りの特徴および例示的特徴は、第3の例示的態様の第1~第2の局面に関して上記されるとおりである。
【0090】
第3の例示的態様の第4の局面において、該方法はさらに、粒子の集合のいずれか1つの粒子を第1のリュードベリ状態に駆動する工程の前に原子キュービットを使用してコンピューター計算を実行することを含む。残りの特徴および例示的特徴は、第3の例示的態様の第1~第3の局面に関して上記されるとおりである。
【0091】
第3の例示的態様の第5の局面において、該方法はさらに、原子キュービットを移動させ、それにより原子キュービットを粒子の集合の近位に配置することを含む。
【0092】
本開示は、システム、方法および/またはコンピュータープログラム物として具体化され得る。コンピュータープログラム物は、プロセッサーに本開示の局面を実施させるためのコンピューター読み取り可能記憶媒体上のコンピューター読み取り可能プログラム指示を有するコンピューター読み取り可能記憶媒体(1つまたは複数)を含み得る。
【0093】
コンピューター読み取り可能記憶媒体は、指示実行デバイスによる使用のための指示を保持および記憶し得る具体的なデバイスであり得る。コンピューター読み取り可能記憶媒体は、例えば限定されないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述のものの任意の適切な組み合わせであり得る。コンピューター読み取り可能記憶媒体のより具体的な例の網羅的でないリストは、以下:持ち運び可能コンピューターディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、持ち運び可能コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは溝上に記録された指示を有する溝中の持ち上がった構造などの機械的にエンコード(encode)されたデバイス、および前述のものの任意の適切な組み合わせを含む。本明細書で使用する場合、コンピューター読み取り可能記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の送信媒体を通って伝播する電磁波(例えば光ファイバーケーブルを通る光パルス)、またはワイヤを通って送信される電気信号などの一時的な信号自体であるとは解釈されない。
【0094】
本明細書に記載されるコンピューター読み取り可能プログラム指示は、コンピューター読み取り可能記憶媒体からそれぞれのコンピューター計算/処理デバイスへと、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワークおよび/またはワイヤレスネットワークを介して外部コンピューターもしくは外部記憶デバイスへとダウンロードされ得る。ネットワークは、銅送信ケーブル、光送信ファイバー、ワイヤレス送信、ルーター、ファイヤーウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピューターおよび/またはエッジサーバーを含み得る。それぞれのコンピューター計算/処理デバイス中のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピューター読み取り可能プログラム指示を受信し、それぞれのコンピューター計算/処理デバイス内のコンピューター読み取り可能記憶媒体における記憶のためのコンピューター読み取り可能プログラム指示を転送する。
【0095】
本開示の操作を実施するためのコンピューター読み取り可能プログラム指示は、アセンブラ指示、指示セットアーキテクチャー(ISA)指示、機械指示(machine instruction)、機械依存型指示(machine dependent instruction)、マイクロコード、ファームウェア指示、状態設定データ、または1つ以上のプログラミング言語、例えばSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語などの任意の組み合わせで記述されるソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかであり得る。コンピューター読み取り可能プログラム指示は、ユーザーのコンピューター上で全体的に、独立型ソフトウェアパッケージとしてユーザーのコンピューター上で部分的に、ユーザーのコンピューターで部分的にかつ遠隔コンピューター上で部分的にまたは遠隔コンピューターもしくはサーバー上で全体的に実行し得る。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピューターは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意の型のネットワークを通してユーザーのコンピューターと連結され得るか、または該連結は、(例えばインターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して)外部のコンピューターに対してなされ得る。いくつかの態様において、例えばプログラム可能ロジック回路、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)またはプログラム可能ロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本開示の局面を実施するために、電子回路を個人化するためのコンピューター読み取り可能プログラム指示の状態情報を使用して、コンピューター読み取り可能プログラム指示を実行し得る。
【0096】
本開示の局面は、本開示の態様による、方法、装置(システム)およびコンピュータープログラム物のフローチャート表示および/またはブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート表示および/またはブロック図のそれぞれのブロック、ならびにフローチャート表示および/またはブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピューター読み取り可能プログラム指示により実行され得ることが理解される。
【0097】
これらのコンピューター読み取り可能プログラム指示は、機械を製造するための一般的な目的のコンピューター、特殊な目的のコンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーに提供され得、コンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーを介して実行する該指示は、フローチャートおよび/またはブロック図ブロック(1つまたは複数)内で特定される機能/行為を実行するための手段を作成する。これらのコンピューター読み取り可能プログラム指示はまた、コンピューター、プログラム可能データ処理装置および/または他のデバイスを、特定の様式で機能に方向づけ得るコンピューター読み取り可能記憶媒体に記憶され得、コンピューター読み取り可能記憶媒体中に記憶された指示を有するコンピューター読み取り可能記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図ブロック(1つまたは複数)において特定された機能/行為の局面を実行する指示を含む製造物品を含む。
【0098】
コンピューター読み取り可能プログラム指示はまた、一連の操作工程を、コンピューター、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で実行させてコンピューター実行プロセスを作成するために、コンピューター、他のプログラム可能データ処理装置または他のデバイスにロードされ得、コンピューター、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で実行する該指示は、フローチャートおよび/またはブロック図ブロック(1つまたは複数)において特定された機能/行為を実行する。
【0099】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本開示の種々の態様によるシステム、方法およびコンピュータープログラム物のアーキテクチャー、機能および可能な実行の操作を図示する。これに関して、フローチャートまたはブロック図中のそれぞれのブロックは、特定の論理的機能(1つまたは複数)を実行するための1つ以上の実行可能な指示を含むモジュール、セグメントまたは指示の部分を表示し得る。いくつかの代替的な実行において、ブロックに記される機能は、図に記される順序から外れて起こり得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得るか、または該ブロックは、時々含まれる機能に応じて逆の順序で実行され得る。ブロック図および/またはフローチャート表示のそれぞれのブロックならびにブロック図および/またはフローチャート表示におけるブロックの組み合わせは、特定の機能もしくは行為を実施するかまたは特殊な目的のハードウェアおよびコンピューター指示の組み合わせを実施する特殊な目的のハードウェアに基づくシステムにより実行され得ることも注意される。
【0100】
本開示の種々の態様の記載は、例示の目的で示されているが、開示される態様に対して網羅的であるようにまたはそれに限定されるようには意図されない。多くの改変および変形は、記載される態様の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかである。本明細書で使用される用語は、態様の原理、実際の適用もしくは市場で見られる技術に対する技術的向上を最良に説明するか、または他の当業者が本明細書に開示される態様を理解することを可能にするように選択された。
【国際調査報告】