(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】血管のコンプライアンスを測定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61B5/02 A
A61B5/02 310A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553315
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 FI2022050116
(87)【国際公開番号】W WO2022184973
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513323128
【氏名又は名称】トゥルン イリオピスト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100202740
【氏名又は名称】増山 樹
(72)【発明者】
【氏名】マッティ カイスティ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーッカ パヌラ
(72)【発明者】
【氏名】ユッカ-ペッカ シルキア
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA07
4C017AB03
4C017AC03
4C017AC28
4C017BC11
(57)【要約】
血管のコンプライアンスを測定する装置は、電磁放射線を血管に放出して、血管で反射される電磁放射線を受信して、受信された電磁放射線を示す測定信号を生成する、光電式容積脈波記録法センサ(101)を備える。装置は、血管に印加される機械的圧力を生成する圧力機器(102)と、圧力機器を制御して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管からの反射電磁放射線の受信中に、時間に対して直線的に機械的圧力を変更する制御システム(103)と、を更に備える。制御システムは、測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけて、指数関数的変化中の時間の指数係数(α)についての推定値を生成する。係数は、血管のコンプライアンス及び硬度を示す。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管のコンプライアンスを測定する装置であって、前記装置は、
-電磁放射線を前記血管に放出して、前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信して、前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号(122)を生成するように構成された光電式容積脈波記録法センサ(101、201)と、
-前記血管に印加される機械的圧力を生成するように構成された圧力機器(102、202)と、
-前記圧力機器を制御して、前記血管に対する前記電磁放射線の放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に前記機械的圧力を変更するように構成された制御システム(103、203)と、を備え、
前記制御システムは、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけて、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成するように構成されており、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示すことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記光電式容積脈波記録法センサ(101)は、前記電磁放射線が以下の範囲、すなわち、625nmから1000nmまで、565nmから590nmまで、500nmから565nmまで、及び450nmから485nmまでのうちの少なくとも1つから選択される波長を有するように、前記電磁放射線を前記血管に放出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光電式容積脈波記録法センサ(101)は、前記電磁放射線が様々な波長を有するように前記電磁放射線を前記血管に放出して、前記測定信号(122)を生成して、前記血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号(117~121)を備えるように構成されており、前記制御システムは、前記様々な波長に対応する前記波長固有の構成要素信号の各々について時間の前記係数を生成するように構成されており、前記波長のうちのより短い波長は、前記波長のうちのより長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御システム(103)は、前記光電式容積脈波記録法センサ(101)を制御して前記電磁放射線の波長を変え、前記波長の各値について時間の前記係数を生成するように構成されており、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記制御システム(103)は、様々な波長に対応する時間の前記係数の少なくとも1つのペアの比を計算するように構成されており、各比は、様々なサイズを有する前記血管のうちの血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御システム(103)は、前記測定信号を対数スケールに変換して、前記変換された測定信号から、包絡線が時間に対する直線的変化を有する部分を見つけて、前記直線的変化に関する前記変換された測定信号の前記包絡線の傾き(α
IR、α
R、α
Y、α
G、α
B)についての推定値を生成するように構成されており、前記傾きは、前記指数関数的変化に関する時間の前記係数である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記圧力機器(102)は、力生成器(104)と、前記制御システム(103)によって生成される制御信号に従って前記機械的圧力を指先又はつま先に向けるように構成された加圧要素(105)と、を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力機器(202)は、カフと、前記カフ内側のガス圧力を制御して、前記機械的圧力を腕に向け、前記光電式容積脈波記録法センサ(201)が前記電磁放射線を前記腕に放出して前記電磁放射線を前記腕から受信しているときに前記機械的圧力を変更するように構成された、ポンプシステム(242)と、を備え、前記光電式容積脈波記録法センサは、前記カフの内面に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
血管のコンプライアンスを測定する方法であって、前記方法は、
-電磁放射線を前記血管に放出すること(301)と、
-前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信すること(302)と、
-前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号を生成すること(303)と、
-前記血管に印加される機械的圧力を生成して、前記血管に対する前記電磁放射線の前記放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に変更すること(304)と、を含み、
前記方法は、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけること(305)と、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成することであって、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示す、ということ(306)と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記電磁放射線は、以下の範囲、すなわち、625nmから1000nmまで、565nmから590nmまで、500nmから565nmまで、及び450nmから485nmまでのうちの少なくとも1つから選択される波長を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電磁放射線は、様々な波長を有し、前記測定信号は、前記血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号を備え、時間の前記係数は、前記様々な波長に対応する前記波長固有の構成要素信号の各々について生成され、前記波長のうちのより短い波長は、前記波長のうちのより長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記電磁放射線の波長は変更され、時間の前記係数は前記波長の各値について生成され、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、様々な波長に対応する時間の前記係数の少なくとも1つのペアの比を計算することを含み、各比は、様々なサイズを有する前記血管のうちの血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
血管のコンプライアンスを測定するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、
-光電式容積脈波記録法センサを制御して、電磁放射線を前記血管に放出して、前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信して、前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号を生成して、
-圧力機器を制御して、前記血管に印加される機械的圧力を生成して、前記血管に対する前記電磁放射線の放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に前記機械的圧力を変更するように、プログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけることと、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成することであって、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示す、ということと、を行うように前記プログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備えることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムで符号化される非一時的なコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管のコンプライアンスを測定する装置及び方法に関し、測定されるコンプライアンスは、血管の硬度を示す。更に、本開示は、血管のコンプライアンスを測定するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、血管硬度、特に動脈硬度の増加は、生物学的老化及び動脈硬化が原因で生じる。動脈硬度の増加は、先進国世界において2大死因である心筋梗塞及び脳卒中などの心血管事象のリスクの増加に関連付けられている。心臓は、必要とされる1回拍出量を維持するためにより多くの仕事を行う必要があるため、動脈硬度の増加は、心臓の負荷も増加させる。時間の経過と共に、この仕事量の増加は、心不全につながり得る左室肥大及び左室リモデリングをもたらす。仕事量の増加は、より高い心拍数、比例的に長い収縮期間、及び拡張期間の減少にも関連付けられ得る。これは、主に拡張期に生じる心組織の灌流に利用可能な時間量を減少させる。したがって、より多くの酸素需要がある肥大心は、酸素及び栄養の供給を低下させ得る。動脈硬度の増加は、脈波反射が心臓に戻る時間にも影響を与え得る。脈波が循環により進むと、脈波は、動脈樹の伝達特性が変化する部位で、すなわち、フローインピーダンス不整合の部位で、反射を受ける。当該反射波は、心臓に向けて後方に伝播する。伝播の速度は、より硬い動脈において増加し、結果として反射波は、収縮期により早く心臓に到達する。これは、収縮期の心臓の負荷を増加させる。
【0003】
上述した種類の理由により、血管の硬度を推定するためのいくつかの技術が開発されている。動脈硬度を測定するために通常使用される方法は、脈波伝播速度「PWV」、すなわち、動脈拍動が動脈に沿って伝播する速度に基づいている。より高い動脈硬度は、ブラムウェル・ヒルの式に従って、より高いPWVに対応しているため、PWVは動脈硬度を示す。PWVは、2つの選択部位間での脈波伝播時間及び進む距離を測定することによって計算され得る。PWVに基づく方法のより詳細な説明は、例えば、Patrick Segersら:人間の動脈硬度を測定する方法、Arteriosclerosis,Thrombosis,and Vascular Biology、Vol.40、No.5、pp.1034-1043、2019年12月26日の文献において見られ得る。
【0004】
Jukka-Pekka Sirkiaら:皮膚微小血管系における脈波伝播時間を測定するための複数波長の光電式容積脈波記録法デバイス、Computing in Cardiology、2020年09月16日の文献は、皮膚微小血管系を研究するための複数波長の光電式容積脈波記録法「NWPPG」デバイスを記載している。当該デバイスは、皮膚内への光の侵入深度が光波長に依存しているということを利用する。したがって、当該デバイスにより、様々な深度の血管を研究することが可能になる。
【0005】
米国特許出願公開第2017172430号明細書の公報は、カフレス血圧測定の方法を記載している。当該方法は、所定の身体部分からの生理的信号及び複数波長の光電式容積脈波記録法「PPG」信号を記録することと、生理的信号を参照して動脈血液量を反映した深度固有のPPG信号を導出することと、生理的信号及び導出された動脈血液PPG信号から脈波伝播時間「PTT」を計算することと、計算されたPTT及び血圧の関係から血圧を計算することと、を含む。
【0006】
米国特許出願公開第2019336016号明細書の公報は、非侵襲的な毛細管血圧測定のデバイスを記載している。当該デバイスは、身体に接触して組織内の毛細管を加圧及び減圧する前端と、前端と組織との間の接触圧を調節する圧力制御モジュールと、接触圧を測定するために前端に接続された圧力トランスデューサと、接触圧調整下で毛細管拍動を検出する毛細管検知モジュールと、毛細管拍動及び接触圧調整に基づいて毛細管圧力を決定するためのアルゴリズムを実行する計算システムと、を備える。
【0007】
しかしながら、血管の硬度を示すデータを迅速に且つ費用効果的に測定する技術に対する必要性が依然存在している。
【発明の概要】
【0008】
以下は、様々な発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した概要を提示する。概要は、本発明の広範囲にわたる概略ではない。当該概要は、本発明の主要な要素又は重要な要素を識別することも意図しておらず、本発明の範囲を描写することも意図していない。以下の概要は単に、本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明に対する前置きとして、簡略化した形態で本発明のいくつかの概念を提示する。
【0009】
本発明によると、血管のコンプライアンスを測定する新しい装置が提供される。コンプライアンスは、より低いコンプライアンスがより高い硬度に対応するように、血管の硬度を示す。本発明に係る装置は、
-電磁放射線を血管に放出して、血管で反射される電磁放射線の一部を受信して、電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成するように構成された光電式容積脈波記録法「PPG」センサと、
-血管に印加される機械的圧力を生成するように構成された圧力機器と、
-圧力機器を制御して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に機械的圧力を変更する、すなわち、減少又は増加させるように構成された制御システムと、を備える。
【0010】
制御システムは、測定信号から、包絡線、すなわち、測定信号の極値の輪郭を描いた曲線が時間に対する指数関数的変化、すなわち、指数関数的成長~eαt又は指数関数的減少~e-αtを有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成するように構成されている。時間の係数は、血管のコンプライアンスを示し、それによって、血管の硬度も示す。
【0011】
上述の圧力機器は、例えば、機械的圧力を指先若しくはつま先に向けるデバイス、又はカフと、カフ内側のガス圧力を制御して機械的圧力を腕に向けるポンプシステムと、を備えるデバイスであり得る。したがって、本発明に係る装置の使用は、脈波伝播速度「PWV」に基づく方法とは異なり、例えば、身体の異なる部位からの測定値を必要としない。
【0012】
光電式容積脈波記録法「PPG」センサは、皮下組織に位置する動脈のコンプライアンスを測定するために、例えば、625nmから1000nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線、すなわち、赤色若しくは赤外光を放出し、及び/又は皮下組織の上方部分に位置する血管のコンプライアンスを測定するために、例えば、565nmから590nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線、すなわち、黄色光を放出し、及び/又は真皮に位置する小動脈のコンプライアンスを測定するために、例えば、500nmから565nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線、すなわち、緑色光を放出し、及び/又は真皮の上方部分に位置する毛細管のコンプライアンスを測定するために、例えば、450nmから485nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線、すなわち、青色光を放出するように構成され得る。
【0013】
上述の波長は単なる例であって、血管のコンプライアンスの測定は、多くの様々な好適な波長で実行され得ることに留意されたい。PPGセンサの放射線エミッタは、例えば、1つ以上の発光ダイオード「LED」及び/又はレーザ源を備え得る。更に、連続的なコンプライアンス値は、例えば、調整可能な波長を有する放射線エミッタを使用して測定され得る。
【0014】
様々な波形が使用される例示的な場合では、様々な血管のコンプライアンスを測定し、その後、様々な波長に対応する測定されたコンプライアンスの少なくとも1つのペアの比を計算することが可能であって、各比は、より小さい血管とより大きい血管との間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より小さい血管に関し、より長い波長は、より大きい血管に関する。
【0015】
本発明によると、血管のコンプライアンスを測定する新しい方法も提供される。本発明に係る方法は、
-電磁放射線を血管に放出することと、
-血管で反射される電磁放射線の一部を受信することと、
-電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に変更することと、
-測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~eαt又は~e-αtを有する部分を見つけることと、
-指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することとであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示す、ということと、を含む。
【0016】
本発明によると、血管のコンプライアンスを測定する新しいコンピュータプログラムも提供される。本発明に係るコンピュータプログラムは、
-光電式容積脈波記録法センサを制御して、電磁放射線を血管に放出して、血管で反射される電磁放射線の一部を受信して、電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-圧力機器を制御して、血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に機械的圧力を変更することと、
-測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~eαt又は~e-αtを有する部分を見つけることと、
-指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することとであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示す、ということと、を行うようにプログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備える。
【0017】
本発明によると、新しいコンピュータプログラム製品も提供される。本発明に係るコンピュータプログラム製品は、本発明に係るコンピュータプログラムで符号化される不揮発性コンピュータ可読媒体、例えば、コンパクトディスク「CD」を備える。
【0018】
例示的且つ非限定的な実施形態は、添付の従属請求項に記載されている。
【0019】
構造及び動作方法の両方に関する様々な例示的且つ非限定的な実施形態はその追加の目的及び利点と共に、特定の例示的な実施形態の以下の説明から、添付の図面と関連して読むと最もよく理解されるであろう。
【0020】
「備える」及び「含む」という動詞は、列挙もされていない特徴の存在を除外せず当該存在を必要ともしないオープンな限定として本明細書で使用される。
【0021】
添付の従属請求項で列挙される特徴は相互に、特に明示的に述べない限り自由に組合せ可能である。
【0022】
更に、本明細書全体を通して、「a」又は「an」、すなわち単数形態の使用は複数を除外しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
例示的且つ非限定的な実施形態及びその利点は、以下で、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【
図1a】血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置を示す。
【
図1b】様々な波長を有し指先の血管で反射される電磁放射線を時間の関数として示す例示的なグラフを示す。
【
図1c】
図1bを対数縦スケールに変換した例示的なグラフを示す。
【
図2】血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置を示す。
【
図3】血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明で提供される特定の例は、添付の請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈されるべきではない。説明で提供される例のリスト及びグループは、特に明示的に述べない限り網羅的ではない。
【0025】
図1aは、血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置の概略図を示す。装置は、人の指先108に電磁放射線を放出して、指先108の血管で反射される電磁放射線の一部を受信する、光電式容積脈波記録法「PPG」センサ101を備える。PPGセンサ101は、放射線エミッタ106及び光検出器107を備える。放射線エミッタ106は、例えば、1つ以上の発光ダイオード「LED」を備えてもよく、光検出器107は、例えば、1つ以上のフォトダイオード又はフォトトランジスタを備えてもよい。
図1aは、指先の拡大概略断面
図110も示す。断面は、座標系199のyz平面に平行である。
【0026】
図1aに示された例示的な装置において、PPGセンサ101は、電磁放射線が5つの異なる波長を有する放射線構成要素を含むように、電磁放射線を放出するように構成されている。断面
図110において、放射線構成要素は、ポリライン矢印127、128、129、130、及び131で描写されている。第1の放射線構成要素127は、例えば、700nmから1000nmまでの範囲の波長を有する赤外放射線であってもよく、第2の放射線構成要素128は、例えば、625nmから700nmまでの範囲の波長を有する赤色放射線であってもよく、第3の放射線構成要素129は、例えば、565nmから590nmまでの範囲の波長を有する黄色放射線であってもよく、第4の放射線構成要素130は、例えば、500nmから565nmまでの範囲の波長を有する緑色放射線であってもよく、第5の放射線構成要素131は、例えば、450nmから485nmまでの範囲の波長を有する青色放射線であってもよい。別の例について、第1の放射線構成要素127は、800nmから900nmまでの範囲の波長を有する赤外放射線であってもよく、第2の放射線構成要素128は、650nmから675nmまでの範囲の波長を有する赤色放射線であってもよく、第3の放射線構成要素129は、575nmから580nmまでの範囲の波長を有する黄色放射線であってもよく、第4の放射線構成要素130は、530nmから545nmまでの範囲の波長を有する緑色放射線であってもよく、第5の放射線構成要素131は、460nmから475nmまでの範囲の波長を有する青色放射線であってもよい。
【0027】
断面
図130で示されるように、赤色及び赤外放射線構成要素127及び128は、皮下組織114に位置する動脈111に達し、黄色放射線構成要素129は、真皮115に隣接する皮下組織114の一部に位置する血管に達し、緑色放射線構成要素130は、真皮115に位置する小動脈112に達し、青色放射線構成要素131は、表皮116に隣接する真皮115の一部に位置する毛細管112に達する。したがって、より短い波長は、より長い波長に比べて、より小さい血管、すなわち、皮膚面により近い血管に関する。
図1aに示された例示的な装置において、PPGセンサ101の光検出器107は、測定信号を生成するように構成されており、当該測定信号は、血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号を備える。
図1bは、例示的な測定信号122の例示的な波長固有の構成要素信号117、118、119、120、及び121を示すグラフを示している。波長固有の構成要素信号117は、赤外放射線に対応し、波長固有の構成要素信号118は、赤色放射線に対応し、波長固有の構成要素信号119は、黄色放射線に対応し、波長固有の構成要素信号120は、緑色放射線に対応し、波長固有の構成要素信号121は、青色放射線に対応する。光検出器107は、例えば、様々な波長に反応する多くのフォトダイオード若しくはフォトトランジスタを備え得るか、又は光検出器107は、波長分離を実施するためのフィルタを備え得る。
【0028】
装置は、血管に印加される機械的圧力Pを生成するように構成された圧力機器102を備える。装置は、制御システム103を備え、制御システム103は、圧力機器102を制御して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管からの反射電磁放射線の受信中に、時間tに対して直線的に機械的圧力を変更する、すなわち、減少又は増加させるように構成されている。
図1bは、線132を示し、線132は、機械的圧力が直線的に減少しており上述の波長固有の構成要素信号117~121が測定されている例示的な場合における、機械的圧力の時間依存性を示す。圧力値P1、P2、及びP3はそれぞれ、例えば、127mmHg(約16.9kPa)、100mmHg(約13.3kPa)、及び81mmHg(約10.8kPa)であり得る。
【0029】
図1aに示された例示的な装置において、圧力機器102は、指先108によって圧力センサ108に向けられる機械的圧力Pを測定する圧力センサ109と、PPGセンサ101及び圧力センサ109に対して指先108を制御可能に加圧する加圧手段と、を備える。この例示的な装置において、加圧手段は、加圧要素105と、加圧要素105に力を向ける力生成器104と、を備える。力生成器104は、例えば、電気ステッピングモータ及びねじ付きロッド又は力を生成するのに好適な何らかの他の要素を備え得る。
【0030】
制御システム103は、測定信号の各波長固有の構成要素から、包絡線が時間に対する指数関数的変化、すなわち、指数関数的成長又は指数関数的減少を有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数についての推定値を生成するように構成されている。時間の係数は、血管のコンプライアンスを示し、それによって、血管の硬度も示す。
【0031】
上述のように、
図1bに示された例示的な場合では、機械的圧力は直線的に減少し、したがって、波長固有の構成要素信号117~121の各々は、包絡線が指数関数的成長を有する部分を有する。
図1bは、波長固有の構成要素信号119の一部の拡大図を示す。
図1bでは、波長固有の構成要素信号117~121の包絡線は、太線で描写されている。波長固有の構成要素信号119の包絡線の一部における指数関数的成長~e
αYtは、破線で描写されている。この場合、指数関数的成長に関する時間の係数は、α
Yである。したがって、時間の係数α
Yは、血管のコンプライアンスを示し、それによって、黄色光が反射される血管の硬度も示す。
【0032】
包絡線が指数関数的変化を有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数について推定値を生成する、多くの方法が存在する。例えば、最小平均2乗「LMS」法に基づいた、例えば、カーブフィッティングが使用され得る。したがって、本発明の実施形態に係る装置は、包絡線が指数関数的変化を有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数についての推定値を生成する、任意の特定の方法に限定されない。
【0033】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置において、制御システム103は、測定信号の波長固有の構成要素117~121を対数スケールに変換するように構成されている。
図1cは、
図1bに示された波長固有の構成要素信号117、118、119、120、及び121にそれぞれ対応する、変換された波長固有の構成要素信号117’、118’、119’、120’、及び121’を示すグラフを示している。対数変換により、指数関数的成長は、
図1cに示された線117’’、118’’、119’’、120’’、及び121’’で描写された直線的成長に変換される。直線的成長に関して、制御システム103は、変換された各波長固有の構成要素信号の包絡線の傾きについて推定値を生成するように構成されている。傾きは、指数関数的成長に関する時間の係数である。
図1b及び
図1cに示された例示的な場合では、赤外光に関する傾き、すなわち、時間の係数はα
IRであって、赤色光に関する時間の係数はα
Rであって、黄色光に関する時間の係数はα
Yであって、緑色光に関する時間の係数はα
Gであって、青色光に関する時間の係数はα
Bである。したがって、例えば、α
Rは、動脈のコンプライアンスを示し、それによって、動脈の硬度も示し、α
Gは、小動脈のコンプライアンスを示し、それによって、小動脈の硬度も示し、α
Bは、毛細管のコンプライアンスを示し、それによって、毛細管の硬度も示す。
【0034】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置において、制御システム103は、様々な波長に対応する時間の係数の少なくとも1つのペアの比を計算するように構成されている。各比は、様々なサイズを有する血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より小さい血管に関し、より長い波長は、より大きい血管に関する。例えば、比αR/αGは、動脈と小動脈との間の硬度不整合を示す。
【0035】
図1aに示された例示的な装置において、PPGセンサ101は、様々な波長を同時に放出及び受信するように構成されている。しかしながら、例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置の制御システムは、PPGセンサを制御して電磁放射線の波長を変え、様々な波長についての時間の係数を連続的に生成するように構成されることも可能である。
【0036】
図2は、血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る装置の概略図を示す。装置は、電磁放射線を放出して、腕の血管で反射される電磁放射線の一部を受信する、光電式容積脈波記録法「PPG」センサ201を備える。PPGセンサ201は、電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成するように構成されている。装置は、血管に印加される機械的圧力を生成するように構成された圧力機器202を備える。装置は、制御システム203を備え、制御システム203は、圧力機器202を制御して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管からの反射電磁放射線の受信中に、時間に対して直線的に機械的圧力を変更するように構成されている。制御システム203は、上述の測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~e
αt又は~e
-αtを有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成するように構成されている。時間の係数αは、血管のコンプライアンスを示し、それによって、血管の硬度を示す。
【0037】
図2に示された例示的な装置において、圧力機器202は、カフと、カフ内側のガス圧力を制御して、機械的圧力を腕に向け、PPGセンサ201が電磁放射線を腕に放出して電磁放射線を腕から受信しているときに機械的圧力を変更するように構成された、ポンプシステム242と、を備える。PPGセンサは、カフの内面に配置されている。
【0038】
図1a及び
図2に示された制御システム103及び203の各々は、例えば、1つ以上のプロセッサ回路で実装されてもよく、その各々は、プログラム可能なプロセッサ回路であってもよく、当該プログラム可能なプロセッサ回路には、適切なソフトウェア、専用ハードウェアプロセッサ、例えば特定用途向け集積回路「ASIC」など、又は構成可能なハードウェアプロセッサ、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」などが設けられる。制御システム103及び203の各々は、例えば、1つ以上のメモリ回路で実装されたメモリを更に備えてもよく、当該メモリ回路の各々は、例えばランダムアクセスメモリ「RAM」デバイスであってもよい。
【0039】
図3は、血管のコンプライアンスを測定する例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法のフローチャートを示す。当該方法は、以下の動作、すなわち、
-動作301:電磁放射線を血管に放出することと、
-動作302:血管で反射される電磁放射線の一部を受信することと、
-動作303:電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-動作304:血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に変更することと、
-動作305:測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~e
αt又は~e
-αtを有する部分を見つけることと、
-動作306:指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示す、ということと、
を含む。
【0040】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法において、電磁放射線は、以下の範囲、すなわち、625nmから1000nmまで、565nmから590nmまで、500nmから565nmまで、及び450nmから485nmまでのうちの少なくとも2つから選択される波長を有する。
【0041】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法において、電磁放射線は、様々な波長を有し、測定信号は、血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号を備え、時間の係数は、様々な波長に対応する波長固有の構成要素信号の各々について生成され、波長のうちのより短い波長は、波長のうちのより長い波長に比べて、血管のうちのより小さい血管に関する。
【0042】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法において、電磁放射線の波長は変更され、時間の係数は波長の各値について生成され、より短い波長は、より長い波長に比べて、血管のうちのより小さい血管に関する。
【0043】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法は、様々な波長に対応する時間の係数の少なくとも1つのペアの比を計算することを含み、各比は、様々なサイズを有する血管のうちの血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より長い波長に比べて、血管のうちのより小さい血管に関する。
【0044】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法は、測定信号を対数スケールに変換することと、変換された測定信号から、包絡線が時間に対する直線的変化を有する部分を見つけることと、直線的変化に関する変換された測定信号の包絡線の傾きについての推定値を生成することと、を含む。直線的変化の傾きは、指数関数的変化に関する時間の係数である。
【0045】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法において、機械的圧力は、人の指先又はつま先に向けられる。
【0046】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る方法において、機械的圧力は、カフ、及びカフ内側のガス圧力を制御するように構成されたポンプシステムを用いて、人の腕に向けられる。この例示的な場合では、光電式容積脈波記録法センサは、カフの内面に配置されている。
【0047】
例示的且つ非限定的な実施形態に係るコンピュータプログラムは、上述の例示的且つ非限定的な実施形態のうちのいずれかに係る方法に関する動作を実行するようにプログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備える。
【0048】
例示的且つ非限定的な実施形態に係るコンピュータプログラムは、血管のコンプライアンスを測定するソフトウェアモジュールを備える。ソフトウェアモジュールは、
-光電式容積脈波記録法「PPG」センサを制御して、電磁放射線を血管に放出して、血管で反射される電磁放射線の一部を受信して、電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-圧力機器を制御して、血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に機械的圧力を変更することと、
-測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~eαt又は~e-αtを有する部分を見つけることと、
-指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することとであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示す、ということと、
を行うようにプログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備える。
【0049】
ソフトウェアモジュールは、例えば、プログラム可能な処理機器に好適なプログラミングツールで実装されるサブルーチン又は機能であり得る。
【0050】
例示的且つ非限定的な実施形態に係るコンピュータプログラム製品は、例示的な実施形態に係るコンピュータプログラムで符号化されるコンピュータ可読媒体、例えば、コンパクトディスク「CD」を備える。
【0051】
例示的且つ非限定的な実施形態に係る信号は、例示的な実施形態に係るコンピュータプログラムを定める情報を搬送するように符号化される。
【0052】
例示的且つ非限定的な実施形態に係るコンピュータプログラムは、例えば、モバイルデバイス、例えば、スマートフォン又はウェアラブルデバイスのソフトウェアの一部を構成し得る。
【0053】
上記で与えられた説明で提供される特定の例は、添付の請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈されるべきではない。上記で与えられた説明で提供される例のリスト及びグループは、特に明示的に述べない限り網羅的ではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
制御システムは、測定信号から、包絡線、すなわち、測定信号の極値の輪郭を描いた曲線が時間に対する指数関数的変化、すなわち、指数関数的成長~eαt又は指数関数的減少~e-αtを有する部分を見つけて、指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成するように構成されている。時間の係数は、血管のコンプライアンスを示し、それによって、血管の硬度も示し、指数関数的変化は、機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明によると、血管のコンプライアンスを測定する新しい方法も提供される。本発明に係る方法は、
-電磁放射線を血管に放出することと、
-血管で反射される電磁放射線の一部を受信することと、
-電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に変更することと、
-測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~eαt又は~e-αtを有する部分を見つけることと、
-指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することとであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示し、指数関数的変化は、機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少する、ということと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明によると、血管のコンプライアンスを測定する新しいコンピュータプログラムも提供される。本発明に係るコンピュータプログラムは、
-光電式容積脈波記録法センサを制御して、電磁放射線を血管に放出して、血管で反射される電磁放射線の一部を受信して、電磁放射線の受信された一部を示す測定信号を生成することと、
-圧力機器を制御して、血管に印加される機械的圧力を生成して、血管に対する電磁放射線の放出及び血管で反射される電磁放射線の一部の受信中に、時間tに対して直線的に機械的圧力を変更することと、
-測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化~eαt又は~e-αtを有する部分を見つけることと、
-指数関数的変化に関する時間の係数αについての推定値を生成することとであって、時間の係数は、血管のコンプライアンスを示し、指数関数的変化は、機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少する、ということと、を行うようにプログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管のコンプライアンスを測定する装置であって、前記装置は、
-電磁放射線を前記血管に放出して、前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信して、前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号(122)を生成するように構成された光電式容積脈波記録法センサ(101、201)と、
-前記血管に印加される機械的圧力を生成するように構成された圧力機器(102、202)と、
-前記圧力機器を制御して、前記血管に対する前記電磁放射線の放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に前記機械的圧力を変更するように構成された制御システム(103、203)と、を備え、
前記制御システムは、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけて、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成するように構成されており、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示
し、前記指数関数的変化は、前記機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、前記機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記光電式容積脈波記録法センサ(101)は、前記電磁放射線が以下の範囲、すなわち、625nmから1000nmまで、565nmから590nmまで、500nmから565nmまで、及び450nmから485nmまでのうちの少なくとも1つから選択される波長を有するように、前記電磁放射線を前記血管に放出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光電式容積脈波記録法センサ(101)は、前記電磁放射線が様々な波長を有するように前記電磁放射線を前記血管に放出して、前記測定信号(122)を生成して、前記血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号(117~121)を備えるように構成されており、前記制御システムは、前記様々な波長に対応する前記波長固有の構成要素信号の各々について時間の前記係数を生成するように構成されており、前記波長のうちのより短い波長は、前記波長のうちのより長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御システム(103)は、前記光電式容積脈波記録法センサ(101)を制御して前記電磁放射線の波長を変え、前記波長の各値について時間の前記係数を生成するように構成されており、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記制御システム(103)は、様々な波長に対応する時間の前記係数の少なくとも1つのペアの比を計算するように構成されており、各比は、様々なサイズを有する前記血管のうちの血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御システム(103)は、前記測定信号を対数スケールに変換して、前記変換された測定信号から、包絡線が時間に対する直線的変化を有する部分を見つけて、前記直線的変化に関する前記変換された測定信号の前記包絡線の傾き(α
IR、α
R、α
Y、α
G、α
B)についての推定値を生成するように構成されており、前記傾きは、前記指数関数的変化に関する時間の前記係数である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記圧力機器(102)は、力生成器(104)と、前記制御システム(103)によって生成される制御信号に従って前記機械的圧力を指先又はつま先に向けるように構成された加圧要素(105)と、を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力機器(202)は、カフと、前記カフ内側のガス圧力を制御して、前記機械的圧力を腕に向け、前記光電式容積脈波記録法センサ(201)が前記電磁放射線を前記腕に放出して前記電磁放射線を前記腕から受信しているときに前記機械的圧力を変更するように構成された、ポンプシステム(242)と、を備え、前記光電式容積脈波記録法センサは、前記カフの内面に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
血管のコンプライアンスを測定する方法であって、前記方法は、
-電磁放射線を前記血管に放出すること(301)と、
-前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信すること(302)と、
-前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号を生成すること(303)と、
-前記血管に印加される機械的圧力を生成して、前記血管に対する前記電磁放射線の前記放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に変更すること(304)と、を含み、
前記方法は、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけること(305)と、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成することであって、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示
し、前記指数関数的変化は、前記機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、前記機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少する、ということ(306)と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記電磁放射線は、以下の範囲、すなわち、625nmから1000nmまで、565nmから590nmまで、500nmから565nmまで、及び450nmから485nmまでのうちの少なくとも1つから選択される波長を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電磁放射線は、様々な波長を有し、前記測定信号は、前記血管で反射されて受信される波長を示す波長固有の構成要素信号を備え、時間の前記係数は、前記様々な波長に対応する前記波長固有の構成要素信号の各々について生成され、前記波長のうちのより短い波長は、前記波長のうちのより長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記電磁放射線の波長は変更され、時間の前記係数は前記波長の各値について生成され、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、様々な波長に対応する時間の前記係数の少なくとも1つのペアの比を計算することを含み、各比は、様々なサイズを有する前記血管のうちの血管間の硬度不整合を表し、より短い波長は、より長い波長に比べて、前記血管のうちのより小さい血管に関する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
血管のコンプライアンスを測定するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、
-光電式容積脈波記録法センサを制御して、電磁放射線を前記血管に放出して、前記血管で反射される前記電磁放射線の一部を受信して、前記電磁放射線の前記受信された一部を示す測定信号を生成して、
-圧力機器を制御して、前記血管に印加される機械的圧力を生成して、前記血管に対する前記電磁放射線の放出及び前記血管で反射される前記電磁放射線の前記一部の受信中に、時間(t)に対して直線的に前記機械的圧力を変更するように、プログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記測定信号から、包絡線が時間に対する指数関数的変化(~e
αt又は~e
-αt)を有する部分を見つけることと、前記指数関数的変化に関する時間の係数(α)についての推定値を生成することであって、時間の前記係数は、前記血管の前記コンプライアンスを示
し、前記指数関数的変化は、前記機械的圧力が時間に対して直線的に減少したときに指数関数的に増加し、前記機械的圧力が時間に対して直線的に増加したときに指数関数的に減少する、ということと、を行うように前記プログラム可能な処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を備えることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムで符号化される非一時的なコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】