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▶ アロネア アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】骨盤底筋を鍛錬するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20240314BHJP
   A63B 21/04 20060101ALI20240314BHJP
   A63B 23/00 20060101ALI20240314BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A63B23/04
A63B21/04
A63B23/00 F
A63B23/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558351
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022057813
(87)【国際公開番号】W WO2022214329
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21167185.4
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523359146
【氏名又は名称】アロネア アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エグリ、ウェンデリン、キリアン
(72)【発明者】
【氏名】フックス、フリッツ
(57)【要約】
ユーザの身体部分、特に股関節筋、殿筋、若しくは骨盤筋、又は腕筋を鍛錬するために提供される鍛錬デバイス9が、筋力の衝撃下で変形可能であり、且つ、ゲル様、液体、又は気体の媒体が提供される圧力チャンバ10を具備する、圧縮力受器1と、一方では支持表面上で支持可能であり、他方では圧縮力受器1を保持するように機能する、ベース2と、媒体と接触し、それを用いて圧力チャンバ10内の媒体の圧力が測定可能である、圧力センサ又は力センサなどの少なくとも1つのセンサ51と、を備える。本発明によれば、
- 圧縮力受器1は、互いに形状嵌め的に、力嵌め的に、又は一体的に接続される弾性的に変形可能な第1の受器部品11及び第2の受器部品12を備え、
- 第1の受器部品11は、筋力を受け止めるように機能し且つ頂部においてまた少なくとも部分的に横方向に圧力チャンバ10を区切る壁システム15を備え、
- 第2の受器部品12は、圧力チャンバ10の下側を区切り且つ壁システム15に隣接する底部ユニット16を備え、
- 第2の受器部品12は、好ましくは筋力が作用する方向に対して平行に、第1の受器部品11よりも低い弾性を有し、
- 第2の受器部品12は、ベース2に解放可能に、形状嵌め的に、若しくは力嵌め的に、又は一体的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨盤底筋をまた場合によりユーザの他の身体部分を鍛錬するための鍛錬デバイス(9)であって、
筋力の衝撃下で変形可能であり、且つゲル様、液体、又は気体の媒体が内部に提供される圧力チャンバ(10)を具備する、圧縮力受器(1)と、
一方では支持表面上で支持可能であり他方では前記圧縮力受器(1)を保持するように機能する、ベース(2)と、
前記媒体と接触し、且つそれを用いて前記圧力チャンバ(10)内の前記媒体の圧力を測定することができる、圧力センサ又は力センサなどの少なくとも1つのセンサ(51)と
を備え、
前記圧縮力受器(1)が、互いに形状嵌め的に、力嵌め的に、又は一体的に接続される弾性的に変形可能な第1の受器部品(11)及び第2の受器部品(12)を備えること、
前記第1の受器部品(11)が、前記筋力を受けるように機能し、且つ頂部においてまた少なくとも部分的に横方向に前記圧力チャンバ(10)を区切る壁システム(15)を備えること、
前記第2の受器部品(12)が、前記圧力チャンバ(10)の下側を区切り且つ前記壁システム(15)に隣接する底部ユニット(16)を備えること、
前記第2の受器部品(12)が、好ましくは前記筋力が作用する方向に対して平行に、前記第1の受器部品(11)よりも低い弾性を有すること、並びに
前記第2の受器部品(12)が、解放可能に、形状嵌め的に、若しくは力嵌め的に、又は一体的に前記ベース(2)に接続されること
を特徴とする、鍛錬デバイス(9)。
【請求項2】
前記壁システム(15)が、前記筋力を受けるように機能する2つの側壁(152)を備え、前記側壁が(152)が、互いに向かって上方へ延在し、且つ上方端部において互いに一体的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項3】
a)前記2つの側壁(152)が、前側及び/又は後側において、互いに向かって延在し且つ互いに接続されること、又は
b)前記2つの側壁(152)が、前部において前壁(153)に接続され、且つ/又は後部において後壁(151)に接続されること
を特徴とする、請求項2に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項4】
前記2つの側壁(152)が、全領域にわたって、均一な又は不均一な、好ましくは連続的に又は漸進的に変化する厚さを有すること、及び/或いは前記壁システム(15)が、前記ユーザの要求に従って個別製作されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項5】
前記壁システム(15)又は前記底部ユニット(16)が、それを通じて前記媒体が前記圧力チャンバ(10)に導入可能である、好ましくはアクセス弁(6)が設けられた少なくとも1つの移送開口部(101)を有し、前記移送開口部(101)が、好ましくは前記センサ(51;51A、51B)のための接続開口部(102)としても機能することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項6】
a)前記センサ(51)、又は
b)関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュールを含む前記センサ(51)、又は
c)前記関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュール、並びに蓄電池を含む前記センサ(51)、又は
d)前記関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュール、並びに再充電式電池及び充電コイルを含む前記センサ(51)
が、前記圧力チャンバ(10)の外側又は内側に配置されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項7】
前記センサ(51)が、また場合により前記センサ(51)に関連するデバイス部品が、前記圧力チャンバ(10)の内側に配置され、且つ前記圧力チャンバ(10)の内側の前記媒体と直接に又は間接的に接触し、或いは
前記センサ(51)が、また場合により前記センサ(51)に関連するデバイス部品が、前記圧力チャンバ(10)の外側に配置され、且つ接続チャネルを通じて、又は接続ホース若しくは接続チューブ(50、50A、50B)を通じて前記圧力チャンバ(10)の外側の前記センサ(51;51A、51B)へ運ばれる前記媒体と前記圧力チャンバ(10)の外側で直接に又は間接的に接触し、
前記壁システム(15)又は前記底部ユニット(16)が、好ましくは少なくとも1つの接続開口部又は接続チャネル(102)を有し、前記接続開口部又は前記接続チャネル(102)を通じて、接続ワイヤが前記圧力チャンバ(10)の内側の前記センサ(51)又は前記関連する電子回路へ導かれることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項8】
前記壁システム(15)が、前記圧力チャンバ(10)をサブ・チャンバ(10A、10B)に分割する少なくとも1つの中間壁(154)を備え、前記サブ・チャンバ(10A、10B)が、前記媒体が通過することができる開口部によって相互接続され、且つ移送開口部(101;102)を通じて前記媒体で一緒に満たされることが可能であること、又は
前記壁システム(15)が、前記圧力チャンバ(10)をサブ・チャンバ(10A、10B)に分割する少なくとも1つの中間壁(154)を有し、前記サブ・チャンバ(10A、10B)が、互いに隔離され、且つ移送開口部(101;102)を通じてそれぞれ別々に前記媒体で満たされることが可能であること
を特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項9】
前記第1の受器部品(11)が、外側に向かって閉じられているポケットなどの少なくとも1つの受け開口部(110)、又は受入溝などの外側に向かって開かれている受け開口部(110)を有し、好ましくは金属又はプラスチックで作られた少なくとも1つの構造化要素(41)が、前記受け開口部(110)に挿入可能であり、前記構造化要素(41)により前記壁システム(15)が寸法決め及び/又は強度に関して修正可能であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項10】
前記第2の受器部品(12)が、外側に向かって閉じられているポケットなどの少なくとも1つの受け開口部(120)、又は受入溝などの外側に向かって開かれている受け開口部(120)を有し、前記第2の受器部品(12)を補強するために、又は前記圧縮力受器(1)の高さを調整するために、好ましくは金属又はプラスチックで作られた少なくとも1つの補強要素(4)が前記受け開口部(120)に挿入可能であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項11】
同じ圧縮率又は異なる圧縮率を有する少なくとも2つの圧縮力受器(1A、1B)が、好ましくは同軸に前後に配置され、且つ好ましくは共通のベース(2)により互いに接続される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項12】
前記ベース(2)が、座席として設計されていること、又は前記ベース(2)が、座席要素(3)に継ぎ目なしに接続されるか、若しくは形状嵌め的に分離可能に接続されること、及び前記座席、若しくは好ましくは対称的に設計された前記座席要素(3)が、好ましくは前記鞍の形状を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項13】
前記座席要素(3)が、その中心軸線に沿って受器チャネル(30)を有し、前記受器チャネル(30)が、真っ直ぐに又は斜めに延在し、前記受器チャネル(30)内に、前記圧縮力受器(1)を含む前記ベース(2)が挿入可能であること、及び前記ベース(2)が、前記受器チャネル(30)内に形状嵌め的に、変位可能に、且つロック可能に保持されることを特徴とする、請求項12に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項14】
前記第1の受器部品(11)及び前記第2の受器部品(12)が、同じ材料若しくは異なる材料で作られること、並びに/又は前記第2の受器部品(12)及び前記ベース(2)が、同じ材料若しくは異なる材料で作られることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【請求項15】
前記第1の受器部品(11)が、シリコーンなどの第1のエラストマ、若しくはゴムで作られること、及び/又は
前記第2の受器部品(12)が、シリコーンなどの第2のエラストマ、ゴム、若しくはポリカーボネートなどのプラスチックで作られること、及び/又は
前記ベース(2)が、シリコーンなどの第3のエラストマ、ゴム、若しくはポリカーボネートで作られること
を特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の鍛錬デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤底筋を、また場合により腕筋及び手筋などの身体の他の部分を鍛錬するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤底は、小骨盤の下部閉鎖部である。骨盤底は、腸、泌尿器、及び生殖器のための狭い開口部のみを有する3つの筋層で構成される。内側から外へ、最も強く最も大きな層としての骨盤隔膜、強力な結合組織により両側を覆われた台形の筋板である尿生殖隔膜、及び、外部骨盤底筋として様々な筋肉を含む外括約筋が存在する。3つの筋層は、扇の形状で上下に配置され、且つ、筋繊維及び筋膜を介していくつかの位置で互いに接続される。
【0003】
したがって、説明される筋肉系は、身体の状態及び多数の身体機能だけでなく、姿勢及びウェルビーイングにとって極めて重要なものであり、体操を通じて常に良好な状態に保たれるべきである。
【0004】
特許文献1は、骨盤底筋の筋肉系を作用させることにより人体の股内で変形可能である管状の圧縮力受器(compressive-force receiver)を備える、骨盤底筋を刺激するための骨盤底鍛錬デバイスを開示している。管状の圧力受器は、流体で満たされ且つ両側を密封される、弾性シリンダで構成される。
【0005】
管状の圧縮力受器に及ぼされる力は、現在の鍛錬及び鍛錬の進捗が監視され得るように、センサによって検出可能である。管状の圧縮力受器の一方の端面に圧力センサが設置され、その圧力センサにより、筋収縮が記録され得る。
【0006】
このデバイスの欠点は、座席に挿入される管状の圧縮力受器がユーザの体の関連部分の最適な鍛錬をほとんど可能にしないことである。鍛錬されるべき身体の部分は、比較的小さな領域においてのみ管状の圧縮力受器と接触するため、一方では、筋肉組織の小部分のみが圧縮力受器と接触して鍛錬され、他方では、望ましくない圧点が生じ得る。
【0007】
別の欠点は、鍛錬デバイスが、簡単にはクリーニングできず、ユーザの衛生上の要求を満たさない可能性があることである。場合により、液体及び汚れが、管状の圧縮力受器に沿って広がって、その後のひび又は割れ目に浸透する可能性があり、且つ、かなりの労力をかけて、また、管状の圧縮力受器を分解した後でのみ、再度除去され得る。
【0008】
特許文献2は、圧縮力受器に接続することができる座席を有する骨盤底鍛錬デバイスを開示しており、圧縮力受器は、内部を有する長手方向に延在する中空ボディを備える。中空ボディの内部に媒体が提供され、この媒体は、ユーザによって及ぼされる圧力を圧縮力受器に伝えるのに適している。中空ボディは、第1の固定された端部及び第2の固定された端部を備え、これらの端部は、スペーサ要素によって互いに離間されて保持されており、且つ、閉じた内部空間を画定する可撓性外側シースによって互いに接続されている。媒体、スペーサ要素、及び、外側ケーシングにより媒体に及ぼされる圧力を測定することができる圧力測定デバイス又は力測定デバイスが、内部空間内に配置されている。この鍛錬デバイスは、製造するのに手間のかかるものであり、また、ユーザのニーズにほとんど適応しない。2つの末端部は、相当の労力をかけて別々に製造され、その後で、相応に手間のかかる作業工程において外側シェルに接続されなければならない。次いで、スペーサ要素は、内部空間に挿入されなければならず、内部空間は、媒体で満たされてしっかりと密封されなければならない。
【0009】
特許文献3は、モジュール式圧縮力受器を含む骨盤底鍛錬デバイスを開示しており、このモジュール式圧縮力受器は、シェル形状のボディに挿入可能であり、且つ、円錐形末端部を有する圧縮力受器が一方向にのみ拡張し得るように、ボディ内に保持される。円錐形末端部は、圧力分散器及び圧力導体を介して圧力センサに作用し、圧力センサは、圧縮力受器に力が印加されたときに生じる圧力に依存する電気信号を発する。
【0010】
したがって、この骨盤底鍛錬デバイスは、いくつかの部品を備え、これらの部品は、相互に作用し、したがって、常に互いに正しく接触していなければならない。したがって、いくつかの部品は、相当の費用で別々に製造されて、互いに接続されなければならない。圧縮力受器がシェル形状のボディに挿入され、その後、シェル形状のボディがベース・プレートに挿入されることになっている。続いて、ハウジングがベース・プレートに接続され、その中に圧力センサが配置される。圧力センサは、圧力分散器及び圧力導体を介して圧縮力受器の円錐形末端部と正しく接触するように配置される。
【0011】
したがって、ユーザの身体から圧力センサへの力の伝達は、相互作用するいくつかの部品を介した漸進的且つ間接的なものである。圧力は、シェル形状のボディに伝達され、シェル形状のボディから圧縮力受器に伝達され、圧縮力受器は、円錐形末端部の変形及び偏向を通じて、圧力分散器及び圧力導体を介して圧力を圧力センサに伝達する。デバイスの1つの部品から他の部品への複数回の圧力の転位は、複雑なシステムのみならず、不正確な測定をももたらす。シェル形状のボディを変形させるために印加されなければならない力は、圧力センサによって記録されない。したがって、圧縮力受器の円錐形末端部の偏向は、ユーザによりシェル形状のボディに及ぼされる力には、すでに比例していない。可撓性の圧縮力受器は他の方向にも拡張する可能性があることが、留意されるべきである。
【0012】
力を伝達するために機能する説明されたデバイス部品はまた、典型的には摩耗にさらされるものであり、そのため、鍛錬デバイスは、修理を受けがちである。
【0013】
さらに、デバイスは、特にデバイスの部品の間から汚れが除去されるべき場合には、相当な規模のクリーニングを必要とする。この場合、鍛錬デバイスは分解されなければならず、その後で個々の部品がクリーニングされなければならない。汚れの粒子は、シェル形状のボディの内側に蓄積する場合があり、そのような汚れの粒子は、簡単には除去することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/262049号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/273270号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/142191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明は、骨盤底鍛錬のための改善された鍛錬デバイスを作り出す目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
鍛錬デバイスは、低費用で製造され得るように単純な設計であるべきであり、且つ、底摩耗性、したがってメンテナンス・フリーであるべきである。
【0017】
衛生的な鍛錬動作が常に保証されるように、最小限の労力でまた非常に短い時間内で鍛錬デバイスを完全にクリーニングすることが可能でなければならない。特に鍛錬施設では、短い間隔内で数人により鍛錬デバイスを使用し、鍛錬デバイスから離れている数秒間以内に誰かが鍛錬デバイスをクリーニングできることが、可能でなければならない。
【0018】
鍛錬デバイスは、鍛錬結果が厳密に且つ不変に記録され得るように、正確に動作するべきである。
【0019】
鍛錬デバイスは、筋肉系の全ての要素が効率的に鍛錬され得るように、鍛錬されるべき身体部分と圧力受器との間の改善された相互作用を可能にするであろう。したがって、鍛錬デバイスは、より良好な鍛錬結果を得ることを可能にするであろう。
【0020】
鍛錬デバイスは、好ましくは、各ユーザのニーズに個別に適応可能であろう。鍛錬デバイスは、身体的な寸法が著しく異なるユーザに単純な手段で適応可能であろう。
【0021】
鍛錬デバイスを用いた長時間の鍛錬後でも、痛みを伴う圧点は生じないであろう。したがって、鍛錬デバイスは、集中的に使用されるように、気持ちのいい鍛錬感覚を提供するであろう。
【0022】
さらに、鍛錬デバイスは、さらなる身体部分の鍛錬、特に腕筋及び手筋の鍛錬に適しているであろう。
【0023】
鍛錬デバイスはまた、身体の他の部分、特に腕及び手の筋肉の鍛錬に適しているべきである。
【0024】
この課題の解決策は、請求項1に記載の鍛錬デバイスによって得られる。本発明の有利な実施例が、さらなる請求項に記載される。
【0025】
女性或いは男性ユーザの身体部分、特に股関節筋、殿筋、若しくは骨盤筋、又は腕筋を鍛錬するために提供される鍛錬デバイスが、
- 筋力の衝撃下で変形可能であり、且つ、ゲル様、液体、又は気体の媒体が内部に提供される圧力チャンバを具備する、少なくとも1つの圧縮力受器と、
- 一方では支持表面上で支持可能であり他方では圧縮力受器を保持するように機能する、ベースと、
- 媒体と接触し、且つ、それを用いて圧力チャンバ内の媒体の圧力を測定することができる、圧力センサ又は力センサなどの少なくとも1つのセンサと、
を備える。
【0026】
本発明によれば、
- 圧縮力受器は、互いに形状嵌め的に(form-fittingly)、力嵌め的に(force-fittingly)、又は一体的に接続される弾性的に変形可能な第1の受器部品及び第2の受器部品を備え、
- 第1の受器部品は、筋力を受け止めるように機能し且つ頂部においてまた少なくとも部分的に横方向に圧力チャンバを区切る壁システムを備え、
- 第2の受器部品は、圧力チャンバの下側を閉鎖し且つ壁システムに隣接する底部ユニットを備え、
- 第2の受器部品は、好ましくは筋力が作用する方向に対して平行に、第1の受器部品よりも低い弾性を有し、
- 第2の受器部品は、解放可能に、形状嵌め的に、若しくは力嵌め的に、又は一体的にベースに接続される。
【0027】
圧縮力受器は、継ぎ目なしに作られ得るか、又は、第1及び第2の受器部品に相当するか若しくはそれらとは異なる2つ以上のデバイス部品で構成され得る。例えば、第1のデバイス部品が、第2のデバイス部品内に設けられ得る圧力チャンバのためのカバーとしてのみ設けられ得る。したがって、第2のデバイス部品は、第2の受器部品、及び第1の受器部品の少なくとも一部分を形成し得る。したがって、第1及び第2の受器部品の定義は、デバイス部品の組立て後の完成した圧縮力受器を参照し、デバイス部品は、例えばさねはぎ接続により形状嵌め的に継合されて互いに接合され、且つ、少なくともこの状態において実質的にユニットを形成することが、好ましい。
【0028】
第1の受器部品は、本質的に壁システムを備え、この壁システムは、筋力を受け止めるための2つの側壁を有し、2つの側壁は、互いに向かって上方へ延在し、且つ、上方端部において継ぎ目なしに互いに接続される。筋力にさらされる壁システムの対向する側壁は、前部及び/又は後部において互いに向かって延在することができ、また、好ましくは、継ぎ目なしに互いに接続される。或いは、2つの側壁は、好ましくは継ぎ目なしに、前側で前壁に接続され且つ/又は後側で後壁に接続され得る。このようにして、ユーザの解剖学的構造に好ましく適応される円形又は楕円形などの有利な形状が実現され得る。
【0029】
壁システムの寸法及び弾性は、ユーザの解剖学的構造又は鍛錬されるべき身体の部分に有利に適応して、筋肉組織と圧力変換器との間の改善された相互作用をもたらし、したがって改善された鍛錬結果をもたらし得る。本発明の鍛錬デバイスにより、ユーザの身体部分への圧力変換器の弾性的且つ大面積の結合が可能であり、そのため、出産後に骨盤底筋の領域に痛みを感じる母親でも、鍛錬デバイスを用いて骨盤底鍛錬を行うことができる。したがって、長時間の鍛錬後でも、痛みを伴う圧点が回避され得る。
【0030】
本発明の鍛錬デバイスは、個々の筋肉若しくは筋肉群の収縮又は弛緩(弛緩とも呼ばれる)をより正確にまた好ましくは選択的に検出することができ、その結果、本発明の鍛錬デバイスを活用してそれらの筋肉に対するバイオフィードバック鍛錬が可能であり、バイオフィードバック鍛錬では、筋肉の収縮挙動が測定され、そして鍛錬によりそれらの筋肉が強化され、それら筋肉の反応性が改善されるという利点を有する。
【0031】
本発明の鍛錬デバイスは、骨盤底筋に適しているだけでなく、体幹筋を鍛錬するのにも適している。体幹筋は、支持コルセットを形成するものであり、且つ、胴体の裏側の深部背筋(deep back muscles)及び表側の深部腹横筋(deep transverse abdominal muscles)を含む。言及される全ての筋肉群が鍛錬デバイスにより有利に影響され得るが、骨盤底筋への効果が最も強力である。
【0032】
鍛錬デバイスはまた、一度に片手だけで圧縮力変換器を圧縮することにより、又は、両手を使うことにより、腕筋及び手筋を強化するために使用され得る。
【0033】
好ましい実施例では、壁システムは、個々にユーザに適応されるか又はユーザのために製造若しくは個別製作される。この目的のために、例えば、ユーザの臀部の圧痕が取得されて測定され得る。次いで、測定された寸法は、壁システムの製造に寸分違わずに又は少なくとも近似的に応用され得る。さらに、側壁の弾性は均一ではなく、ユーザのニーズに適合され得る。この場合、湾曲部は、単一ユーザ又はユーザ群を考慮して画定され得る。
【0034】
或いは、又はさらに、第1の受器部品は、好ましくは金属又はプラスチックで作られた構造化要素を備えることができ、この構造化要素は、外側に向かって開かれているか又は外側に向かって閉じられている受器部品の受け開口部、ポケット、ループ、凹部、若しくは受入溝内に提供される。したがって、補強部品が、鍛錬デバイスに、特に圧縮力受器若しくはベースに組み込まれ得るか、又は、鍛錬デバイスの外側に取り付けられるか若しくは固定され得る。
【0035】
したがって、第1の受器部品又は壁システムの寸法の適応、及び、必要であれば、局所的な又は即座の補剛は、所望に応じてユーザによって行われ得る。さらに、媒体で満たされる補助チャンバが設けられ得る。
【0036】
好ましい実施例では、壁システムは少なくとも1つの中間壁を備え、この中間壁により、圧力チャンバは、長手軸線又は横軸線に沿って互いに隔離されたサブ・チャンバに分割される。サブ・チャンバは、移送開口部を通じて一緒に媒体で満たされ得るように、中間壁における開口部を通じて互いに接続され得る。或いは、2つ以上のサブ・チャンバが、互いに完全に隔離され、それぞれが別々の移送開口部を通じて別々に媒体で満たされ得る。長手軸線に垂直な中間壁によりサブ・チャンバが互いに隔離されている場合、ユーザは、座位を長手軸線に沿ってずらすことにより、好ましくは弾性が異なる第1のサブ・チャンバ又は第2のサブ・チャンバのどちらかに作用することができる。例えば、座位は、準備運動のために、又は、疲労した後、より弾性のあるチャンバ部分に作用するためにずらされる。
【0037】
好ましい実施例では、同じ圧縮性又は異なる圧縮性を有する2つ以上の圧縮力受器もまた、好ましくは同軸に前後に配置され、且つ、好ましくは共通のベースにより互いに接続され得る。すると、ユーザは、鍛錬のために適切な圧縮力受器を選択することができる。
【0038】
圧縮力受器、及び関連する又は接続可能なベースは、ひび及び割れ目のない連続的な表面を有する有利な設計で製造され得る。したがって、美学、鍛錬、及びメンテナンスの観点から非常に都合の良い有利な設計が提供され得る。
【0039】
したがって、適切に設計された鍛錬デバイスは、使用後にすぐにさらなる使用に利用できるように、最小限の労力で徹底的にクリーニングされ得る。汚れ及び液体が蓄積し得ないように、ひび及び割れ目又は凹凸は、有利に回避され得る。
【0040】
第2の受器部品は、一方では、壁システムの安定した保持のために機能し、他方では、ベースとの安定した接続のために機能する。第2の受器部品及び/又はベースは、圧縮力受器の高さを調整するためにも使用され得る。さらに、第2の受器部品及び/又はベースは、さらに補強され得る。
【0041】
例えば、第2の受器部品及び/又はベースには、第2の受器部品及び/若しくはベースを安定させるために又はその垂直方向の伸張を変化させるために、補強要素若しくはスペーサ要素が挿入され得る、受入溝などの外向きに閉じられた又は外向きに開かれた開口部若しくは凹部が設けられる。したがって、第2の受器部品及び/又はベースは、高さ調整が比較的広範囲にわたって可能であるように、また、鍛錬デバイスが様々な身体寸法を有するユーザに有利に適応され得るように、好ましくは垂直方向において弾性的に拡張可能である。
【0042】
圧縮力受器の圧力チャンバは、適切な媒体で選択的に満たされ得る。この目的のために、壁システム、又は第2の受器部品の底部ユニットは、好ましくはアクセス弁が設けられた移送開口部を有し、この移送開口部を通じて媒体が圧力チャンバに導入され得る。
【0043】
好ましい実施例では、
a)センサ、又は、
b)関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュールを含むセンサ、又は、
c)関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュール、並びに蓄電池を含むセンサ、又は、
d)関連する電子回路及び無線通信若しくは有線通信のための通信モジュール、並びに再充電式電池及び充電コイルを含むセンサ
が、圧力チャンバの内側又は外側に配置される。電子回路は、固定された又は可撓性のプリント回路板上に配置され得る。
【0044】
センサが、また場合により関連するデバイス部品が、圧力チャンバの内側に配置される場合、センサは、圧力チャンバの内側の媒体と直接に又は間接的に接触する。センサが、また場合により関連するデバイス部品が、圧力チャンバの外側に配置される場合、センサは、圧力チャンバの外側で媒体と直接に又は間接的に接触し、媒体は、任意の断面を有し得る接続チャネル、接続ライン、該当する場合には導管及び/又はホースを通じて、圧力チャンバの外へ導かれる。関連するデバイス部品は、例えば、関連する電子回路であり、例えば、増幅回路、及び/又は、無線通信若しくは有線通信のための通信モジュール、及び/又は、充電コイル、電池、蓄電池、電源装置などの給電モジュールである。
【0045】
壁システム、又は第2の受器部品の底部ユニットは、少なくとも1つの接続開口部を有することが好ましく、この接続開口部を通じて、接続ワイヤが圧力チャンバの内側若しくは縁部におけるセンサに導かれるか、又は、この接続開口部から、接続チャネル若しくは接続チューブ若しくは接続ホースが圧力チャンバの外側のセンサに導かれる。すでに媒体を圧力チャンバに導入した少なくとも1つの移送開口部もまた、接続開口部として使用され得る。或いは、圧力センサが組み込まれた弁が、移送開口部に挿入されてもよい。
【0046】
電子回路及び蓄電池を含むセンサが圧力チャンバの内側に配置される場合、蓄電池は、充電器に誘導的に結合され得る充電コイルを介して充電されることが好ましい。
【0047】
好ましい実施例では、少なくとも1つの温度センサがさらに設けられ、その温度センサにより、媒体の温度及び/又は壁システムの温度が測定される。その後、温度測定を考慮に入れて、筋力測定の測定結果が修正され得る。
【0048】
特に好ましい実施例では、ベースは、座席として設計されるか、又は、座席要素に継ぎ目なしに接続されるか、又は、形状嵌めの態様で分離可能に接続される。座席又は座席要素は、対称的であることが好ましく、また、鞍の形状を有することが好ましい。
【0049】
座席要素は、その中心軸線に沿って受器チャネルを有することが好ましく、この受器チャネルは、真っ直ぐに又は斜めに延在し、その中に圧縮力受器を含むベースが挿入され得る。ベースは、変位可能且つロック可能な形状嵌めの態様で受器チャネル内に保持されることが好ましい。
【0050】
鍛錬デバイスを製造するために使用される材料は、必要とされる強度又は弾性を鍛錬デバイスの個々の部品が有するように選択される。第1の受器部品及び第2の受器部品は、同じ材料又は異なる材料で作られる。同様に、第2の受器部品及びベースは、同じ材料又は異なる材料で作られる。異なる材料が使用される場合、壁システムの弾性、並びに第2の受器部品及びベースの強度は、材料の選択、寸法決め、及び/又は補強要素の挿入によって適合され得る。同じ材料が使用される場合、壁システムの弾性、並びに第2の受器部品及びベースの強度は、寸法決め、及び/又は補強要素の挿入によって決定される。
【0051】
第1の受器部品又は対応するデバイス部品は、シリコーンなどの第1のエラストマ、又はゴムで作られることが好ましい。第2の受器部品は、シリコーンなどの第2のエラストマ、ゴム、又は(ポリカーボネートなどの)プラスチックで作られることが好ましい。ベースは、シリコーンなどの第3のエラストマ、ゴム、又はポリカーボネートで作られることが好ましい。
【0052】
本発明の鍛錬デバイスは、女性又は男性によって使用可能であり、女性のユーザは鍛錬から特に恩恵を受ける。
【0053】
本発明は、図面を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1a】継ぎ目なしに製造されるか又は第1のデバイス部品111及び第2のデバイス部品121で構成され、且つ、圧力チャンバを包囲する第1の受器部品11及び第2の受器部品12を備える、圧縮力受器1と、下側が支持表面の上に載り上側が第2の受器部品12に接続される、ベース2と、を含む鍛錬デバイス9の図である。
図1b】さらなる好ましい実施例における図1aの鍛錬デバイス9の図である。
図1c】第2の受器部品12及び第1の受器部品11の一部を備える第2のデバイス部品121の断面を含む、図1aの鍛錬デバイス9の分解組立図である。
図1d図1aの鍛錬デバイス9の長手軸線に沿った垂直断面図である。
図2】第2の受器部品12の長手方向開口部120に挿入された補強要素4を含む図1dの鍛錬デバイス9の図である。
図3a】座席を形成するために延長されたベース2を含む、さらなる好ましい実施例における図1aの鍛錬デバイスの図である。
図3b図3aの鍛錬デバイス9の分解組立図である。
図4】接続チューブ50によりセンサ51、52に接続された第2の受器部品12における接続開口部102を目的とした4分の1の断面図を含む図1aの鍛錬デバイス9の図である。
図5a】この好ましい実施例では中間壁154により2つのサブ・チャンバ10A、10Bに分割された圧力チャンバを有する、図1aの鍛錬デバイス9の断面図である。
図5b】一方では関連するサブ・チャンバ10A、10に接続され他方では関連するセンサ51A、51Bに接続された接続ライン50A、50Bを含む第1のデバイス部品111の前側の長手方向断面と後側の断面を含む、図5aの鍛錬デバイス9の圧縮力受器1の図である。
図6a】互いに同軸に位置合わせされた例えば図2による2つの圧縮力受器1X、1Yを含む鍛錬デバイス9の図である。
図6b図5aの鍛錬デバイスの垂直長手方向断面図である。
図7a】座席要素3に形状嵌め的に係止され得る好ましく設計されたベース2を含む、図1aによる発明性のある鍛錬デバイス9の図である。
図7b図7aの座席要素3の垂直長手方向断面図である。
図7c図7aの座席要素3に挿入された発明性のある鍛錬デバイス9の図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1aは、ユーザの身体部分、特に股関節筋、殿筋、若しくは骨盤筋、又は腕筋を鍛錬するのに適した本発明による鍛錬デバイス9を示す。
【0056】
鍛錬デバイス9は、圧縮力受器1を備え、圧縮力受器1は、筋力の影響下で変形可能であり、且つ、継ぎ目なしに製造されるか、又は、第1のデバイス部品111及び第2のデバイス部品121で構成される。圧縮力受器1は、第1の受器部品11と、下側がベース2に接続される第2の受器部品12とを備える。
【0057】
図1aでは、圧縮力受器1の第1の受器部品11と第2の受器部品12とを分離する第1の点線s1が、圧縮力受器1に沿って描かれている。第2の点線s2は、圧縮力受器1が継ぎ目なしに作られていない場合に圧縮力受器1を形成する第1のデバイス部品111と第2のデバイス部品121との間の接続線を示す。したがって、第1の点線s1は、異なる機能及び特性を有する圧縮力受器1の部品の分離に関する。他方では、第2の点線s2は、場合により継ぎ目なしであるか又はいくつかのデバイス部品で構成される圧縮力受器1の組立て又は製造に関係する。好ましい実施例では、一点鎖線s1、s2は、一致する場合もある。その場合、受器部品11、12は、まさにデバイス部品111、121に対応する。
【0058】
例えば図4に示されるように、第1の受器部品11及び第2の受器部品12、場合により第1のデバイス部品111及び第2のデバイス部品112は、ゲル様、液体、又は気体の媒体が充填される圧力チャンバ10を包囲する。第1の受器部品11及び第2の受器部品12は第1の点線s1の領域において互いに一体的に接続されることが示されている。第2の線s2は、互いに形状嵌め的に接続され且つ接着剤により力嵌め的に接続された第1のデバイス部品111と第2のデバイス部品121との間の接続線を示す。
【0059】
媒体圧力を測定するために測定センサ51が設けられ、この測定センサ51は、圧力チャンバ10の下側に配置され、且つ、場合により測定ライン99により、タブレット・コンピュータ又は携帯電話などのコンピュータ・システム90に無線で又は有線で接続される。コンピュータ・システム90では、ユーザにフィードバックが提供され得るように、測定データが記録され且つ解析される。測定センサ51は、電子回路板55上に配置され、この電子回路板55上には、それを用いて媒体の温度が測定される温度センサ52も設けられ得る。
【0060】
ユーザの筋肉の衝撃下で弾性的に変形可能である圧縮力受器1の第1の受器部品11は、筋力を吸収するための壁システム15を備え、壁システム15は、頂部においてまた横方向に圧力チャンバ10を区切る。
【0061】
ベース2に形状嵌め的に且つ/又は力嵌め的に接続される第2の受器部品12は、圧力チャンバ10の下側を区切り且つ上向きに壁システム15に接続する、底部ユニット16を備える。第2の受器部品12は、第1の受器部品11と比べて、筋力が作用する方向に対して好ましくは平行に、より低い弾性を有する。
【0062】
図1aは、鍛錬デバイス9がコンパクトなものであり、且つ、しわ及び割れ目のない表面を有することを示す。したがって、圧縮力受器1は、外側から確認され得ない。したがって、鍛錬デバイス9は、有利な設計及びユーザの解剖学的構造に最適に適合された形状で製造され得る。さらに、鍛錬デバイス9は、数人のユーザによる集中的な使用の場合ですら衛生状態が保証されるように、数秒以内に徹底的にクリーニングされ得る。
【0063】
図1aは、壁システム15の長い方の対向する側壁152に力(矢印F)が印加されていることを示す。第1のデバイス部品111は、第1の受器部品11の上側又は壁システム15の上側がユーザの解剖学的構造に最適に適応するように、及び、全ての筋肉群との最適な接触が常に保証されるように、特に弾性を有する材料で作られ且つ/又は薄い壁を有することが、好ましい。
【0064】
図1bは、圧縮力受器1がベース2に向かって前部において曲線に沿って延在する、さらなる好ましい実施例における図1aの鍛錬デバイス9を示す。したがって、圧縮力受器1は、所望の美的効果若しくは機能的効果、又は所望のユーザの解剖学的構造への適応を実現するために、所望に応じて成形され得る。
【0065】
図1cは、第2のデバイス部品121を通る断面を含む分解組立図で図1aの鍛錬デバイス9を示しており、第2のデバイス部品121は、第2の受器部品12、及び、第1の受器部品11の一部を含み第1の受器部品11は、第1の受器部品11の残りの部分を形成する第1のデバイス部品111によって覆われる。相互接続される第1のデバイス部品111及び第2のデバイス部品121は、移送開口部101を通じてのみアクセス可能である圧力チャンバ10を包囲する。
【0066】
第2のデバイス部品121は、上側に円周溝1210を有することが示されており、この円周溝1210は、第1のデバイス部品111の下側に設けられた円周溝を受け入れるように機能する。したがって、形状嵌め的な接続部が生じ、この接続部は、接着剤によって密封され且つ固着されることが好ましい。当然ながら、好ましくは有利に成形された部品を含む、他のタイプの接続部も使用され得る。
【0067】
弁6が移送開口部101に挿入され、その移送開口部101を通じて、気体、液体、又はゲル様の媒体が圧力チャンバ10に導入される。媒体圧力を測定するのに適したセンサ又は圧力センサ51が組み込まれる弁6が使用されることが好ましい。さらに、圧力センサ51が象徴的に示されており、この圧力センサ51は、圧力チャンバ10の内側に設けられて媒体と直接接触するか、圧力チャンバ10の外側で媒体ラインによって接続されるか、又は、弁6に組み込まれる。
【0068】
好ましい実施例では、好ましくは少なくとも1つのプロセッサ及びブルートゥース(登録商標)・モジュールなどの通信モジュールを含む関連する電子装置を有する圧力センサ51が、圧力チャンバ10に組み込まれる。したがって、圧力チャンバ10内に提供された媒体、例えばオイル又は気体は、対応するモジュールにうまく適応する。しかし、媒体との相互作用が回避されるべき場合、電子モジュールは密閉され得る。
【0069】
第2のデバイス部品121は、圧力チャンバ10の安定した底部ユニット16を備え、したがって、運動中に筋力の影響下でほとんど変形しない第2の受器部品12を形成する。第2のデバイス部品121の第2の受器部品12又は底部ユニット16は、下側に成形要素128が設けられ、この成形要素128は、ベース2の上側上の成形要素28に形状嵌め的に接続され得る。ダブテールとして例示的に形成された形状要素128は、ベース2の相補的な形状要素28に挿入され得る。
【0070】
圧縮力受器1の第1の受器部品11又は壁システム15は、第2の受器部品12の底部ユニット16に取り付けられる。壁システム15は、第1のデバイス部品111、及び第2のデバイス部品121の部分を含み、具体的には、底部ユニット16上に一体的に形成された、筋力を吸収するために設けられた壁システム15の側壁152を含む。
【0071】
材料の性質、特に底部ユニット16の厚さと比較して相対的に薄い側壁152の肉厚により、壁システム15は、少なくとも側壁152に対して垂直に筋力が印加されたときに相対的に変形しやすく、そのため、壁システム15は本質的に、好ましくは継続的に測定される媒体の逆圧により形状を保持される。
【0072】
図1cは、壁システム15を補強、成形、又は寸法決めするための構造化要素41が挿入され得る1つ又は複数の受け開口部110を側壁152が備えることをさらに示す。概略的に示された構造化要素41は、対応する側壁152を安定させ且つ/又は広げるために使用され得る。
【0073】
したがって、ユーザは、ほとんど労力をかけることなしに鍛錬デバイス9を彼女の現在のニーズに適応させることができる。例えば、鍛錬期間の最初には、側壁152の高い可撓性が所望される場合がある。集中的な鍛錬により筋肉系を強化した後、ユーザは、可撓性が抑えられた壁システム15を求める場合があり、これは、構造化要素41を挿入することによって実現され得る。
【0074】
鍛錬の開始時に壁システム15が過度に狭い場合、構造化要素41は、側壁152の厚さ又は強度を増大させるために使用され得る。したがって、構造化要素41は、圧縮力受器1を寸法決めするために有利に使用され得る。
【0075】
好ましい実施例では、例えば圧力チャンバ10の媒体である媒体が導入され得るロック可能な受け開口部110が設けられる。受け開口部110は、例えば空気ポンプにより空気が吸入され得る補助チャンバとして設けられる。したがって、ユーザは、補助チャンバ110に空気を圧入し、次いで壁システム15が所望の寸法に達するまで空気が弁6から漏出することを可能にすることができる。1つの補助チャンバ110であっても、又は対称的に配置された2つの補助チャンバ110により、壁システム15の寸法は、実質的に変更され得る。特に有利には、補助チャンバ110は、第1のデバイス部品111内に設けられ得る。気体、液体、又はゲル様の媒体が、第1のデバイス部品111の寸法を変更するために、及び、圧縮力受器1の上部領域をユーザの解剖学的構造に適応させるために、好ましくは弁6とともに設けられた移送開口部1110を通じて補助チャンバ110に導入され得る。
【0076】
好ましい実施例では、補助チャンバ110のうちの少なくとも1つの圧力も測定され得る。一方では、これは、壁システム15の選択された寸法決めが検査されることを可能にする。他方では、壁システム15への様々な衝撃を個別に測定することが可能である。第1のデバイス部品111内に設けられる補助チャンバ110内では、特に壁システム15に上方から垂直に作用する力が測定され得る。これらの垂直に作用する力の測定は、ユーザが通常の姿勢を取ったかどうかを判定することを可能にする。さらに、側壁152に横から作用する力の測定及び評価が、垂直に作用する力を考慮して修正され得る。圧力受器に上方からより大きな力が及ぼされた場合、圧力チャンバ10内の圧力は、側壁152へ筋力が及ぼされることなしに、増大し得る。
【0077】
圧縮力受器1の設計を変えるための説明された選択肢は、本発明の本質的な利点を裏付ける。
【0078】
図1dは、弁6が移送開口部101から取り外された状態の図1aの鍛錬デバイス9をその長手軸線に沿った垂直断面図で示す。
【0079】
図2は、側壁152に接続された前壁151及び後壁153を有する壁システム15を含む図1dの鍛錬デバイス9を示す。前壁は側壁152よりも厚いことが示されており、側壁152は、後壁153よりもわずかに薄い。前壁151、後壁153、及び側壁152は一緒に、第2の受器部品12の底部ユニット16又は第2のデバイス部品121によって下側を閉じられたドームの態様で壁システム15を形成する。
【0080】
底部ユニット16では、補強要素4が、第2の受器部品12の長手方向開口部120に挿入される。棒形状の補強要素4を挿入することにより、第2の受器部品12又は底部ユニット16の安定性は、実質的に増大され得る。さらに、第2の受器部品12又は底部ユニット16に1つ又は複数の補強要素4を挿入することにより、圧縮力受器1は、相応に持ち上げられ得る。後側では、補強要素4には、後壁153を安定化し場合により後壁153を覆うヘッド・ピース41が設けられる。ヘッド・ピースは、場合により後壁153に接続するプレート41として点線で示されている。
【0081】
補強要素4が取り除かれた後、底部ユニット16及び後壁153は、補強要素4の分だけ収縮される。
【0082】
図2は、壁システム15が移送スロット1510を含み得ることをさらに示しており、場合により圧力チャンバ10を形成するために使用されるモールド要素100(点で示される)が、移送スロット1510を通じて、圧縮力受器1が製造された後で取り除かれ得る。例えば、切開されて移送スロット1510を通じて取り除かれ得る膨張した形成要素100が使用される。
【0083】
図3aは、座席を形成するために延長されたベース2を含むさらなる好ましい設計における図1aの鍛錬デバイス9を示す。第2の受器部品12は、圧縮力受器1とベース2との間の安定した接続を提供し、ベース2は、弾性座席ベースを形成するために、両側で遠く外向きに突出する翼25を有する。ベース・プレート20が、ベース2と支持表面との間の滑らない接続を確実にするために、ベース2の下に設けられる。ベース・プレート20は、例えば、ベース2にしっかりと又は分離可能に接続されるゴム又はプラスチックのプレートである。
【0084】
図3bは、図3aの鍛錬デバイス9の分解組立図を示す。
【0085】
すでに上記で言及された図4は、接続チューブ50によりセンサ51、52に接続された第2の受器部品12における接続開口部102を目的とした4分の1の断面図を含む図1aの鍛錬デバイス9を示す。接続チューブ50の代わりに、圧縮力受器1内に、例えば底部ユニット16内に成形される接続チャネルが設けられてもよい。
【0086】
センサ51、52は、回路板55上に配置されてよく、回路板55上には、さらなる電子構成要素が、また場合により蓄電池又は電池が設けられる。例えば、測定された値をコンピュータ・システム90に無線で送信する送信機モジュールが設けられる。例えば、ブルートゥース(登録商標)接続が、鍛錬デバイス9とコンピュータ・システム90との間で自動的に構築される。
【0087】
図4に示されるように、ベース2は、圧縮力受器1の下側と同一平面にされるか、又は圧縮力受器1の下側に部分的に重なることができる。任意選択の実施例では、ベース2は、リップ21により底部ユニット16及び壁システム15の一部を覆う。或いは、又はさらに、底部ユニット16もまた、壁要素22により圧縮力受器1の前側及び/又は後側を覆うことができる。これらの任意選択の要素により、圧縮力受器1は、形状嵌め的に保持され且つ/又は安定化され得る。したがって、圧縮力受器1は、このようにしてベース2に形状嵌め的にのみ接続され得る。
【0088】
断面図に示されたベース2、及び場合により追加される部品21、22は、同じハッチングで示されている。
【0089】
図5aは、図1aの鍛錬デバイス9の断面図を示し、この鍛錬デバイス9は、この好ましい実施例では中間壁154により2つのサブ・チャンバ10A、10Bに分割された圧力チャンバを有する。2つのサブ・チャンバ10A、10Bは、中間壁154における開口部を介して互いに接続され得るか、又は、互いに完全に隔離され得る。中間壁154は、横から作用する力に関して圧縮力受器1の弾性を低下させることなしに、上方から垂直に作用する力に関して圧縮力受器1を安定させる。
【0090】
図5bは、第1のデバイス部品111の後部セクションにおける長手方向断面及び前部セクションにおける断面を含む、図5aの鍛錬デバイス9の圧縮力受器1を示す。接続ライン50A、50Bが、一方では関連するサブ・チャンバ10A又は10Bに接続され、他方では関連するセンサ51A、51Bに接続されることが、示されている。センサ51A、51Bにより、圧縮力受器1への非対称の衝撃が測定可能であり、対応する修正手段が開始され得る。ユーザは、着座姿勢を修正するように、及び、筋肉を均等に動かすように助言され得る。
【0091】
図6aは、例えば図2による2つの圧縮力受器1X、1Yを含む鍛錬デバイス9を示しており、圧縮力受器1X、1Yは、互いに同軸に位置合わせされている。圧縮力受器1X、1Yは、必要に応じて第1の圧縮力受器1Xを用いて又は第2の圧縮力受器1Yを用いて鍛錬が行われ得るように、異なる特性を有することが好ましい。例えば、第1の圧縮力受器1Xは、第2の圧縮力受器1Yよりも弾性がある。2つの圧縮力受器1X、1Yはまた、異なる寸法を有することができ、又は、特定の筋肉群を働かせるように適応されてもよい。
【0092】
図6bは、それぞれに弁6及びセンサ51X、51Yが設けられた別々の圧力チャンバ10X、10Yを含む図5aの鍛錬デバイスを垂直長手方向断面図で示す。
【0093】
図7aは、座席要素3内に形状嵌め的に係止され得る好ましく設計されたベース2を含む、図1aに示されたような発明性のある鍛錬デバイス9を示す。座席要素3は、鞍の形状を有し、且つ、その長手軸線に沿って、鍛錬デバイス9が挿入されて適切に位置決めされる受器チャネル30を備える。圧縮力受器1のベース2は、両側に溝27が設けられ、この溝27内には、受器チャネル30内に設けられた正反対に向けられた翼要素37が係合することができる。任意選択の格子38が、受器チャネル30の下側に設けられ、この格子38は、ベース2の下側にある戻り止めに対応する。ユーザが圧縮力受器9に座るとすぐに、ラッチ機構28、38は、互いに係合し、圧縮力受器をそれぞれの位置にロックする。印加される重量を減少させることにより、圧縮力受器1はラッチ38から解放され、移動され、再度固定され得る。受器チャネル30は、鍛錬デバイス9の変位により鍛錬デバイス9の高さも変更されるように傾斜していることが、好ましい。
【0094】
図7bは、図7aの座席要素3を、格子38及び翼要素37を含む垂直長手方向断面図で示す。
【0095】
図7cは、図7aの座席要素3に挿入された発明性のある鍛錬デバイス9を示す。
【0096】
図7aは、手筋又は腕筋を鍛錬するのにも適した鍛錬デバイス9をさらに示す。圧縮力受器1は、手筋又は腕筋を強化するために片手で又は両手の間で圧縮され得る。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
【国際調査報告】