(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ブラケットの形態のつま先セグメントを有する足の位置異常を矯正するための足装具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/02 20060101AFI20240314BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20240314BHJP
A61F 13/06 20060101ALI20240314BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A61F5/01 N
A61F13/06 A
A41D13/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558710
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057523
(87)【国際公開番号】W WO2022200368
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107082.1
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523362906
【氏名又は名称】エルサ ベルモーゲンス-ウント ベタイリグングス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラス、マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】オステンリーダー、ヨルク
【テーマコード(参考)】
3B211
4C098
【Fターム(参考)】
3B211AA14
3B211AB09
3B211AC22
4C098AA02
4C098BB12
4C098BC03
4C098BC17
4C098BC46
(57)【要約】
【解決手段】足指の位置異常、特に外反母趾を矯正するための足装具(10)であって、足指(12)に固定されるように構成されたつま先セグメント(16)と、ジョイントユニット(20)によって互いに対して枢動可能に接続された中足骨趾骨間の関節(14)の領域に配置されるように構成されたボールセグメント(18)とを備え、足装具(10)が足に適切に締結された締結状態において、足装具(10)は、つま先セグメント(16)を介してつま先(12)に第1矯正力(F1)を作用させると共に、第1矯正力(F1)とは反対方向にボールセグメント(18)を介して中足骨趾骨間の関節(14)に第2矯正力(F2)を作用させるように構成される。つま先セグメント(16)は、締結状態において、つま先(12)の周りに少なくとも部分的に係合するブラケットの形態において提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の位置異常を矯正する、特に外反母趾を治療するための足装具(10)であって、
つま先(12)に固定されるように構成されたつま先セグメント(16)、およびジョイントユニット(20)により互いに対して枢動可能に接続された中足骨趾骨間の関節(14)の領域に配置されるように構成されたボールセグメント(18)を備え、
前記足装具(10)が適切に前記足に固定される締結状態において、前記足装具(10)は、前記つま先セグメント(16)を介して第1矯正力(F1)を前記つま先(12)に作用させると共に、前記ボールセグメント(18)を介して前記中足骨趾骨間の関節(14)に前記第1矯正力(F1)と反対向きに第2矯正力(F2)を作用させる、ように構成され、
前記つま先セクション(16)は、前記締結状態において、前記つま先(12)辺りに少なくとも部分的に係合するブラケットの形態で設けられる、
ことを特徴とする足装具。
【請求項2】
前記締結状態において、前記つま先セクション(10)は、前記つま先(12)の上側または下側に沿って部分部分に延在する、ように設計される、
請求項1に記載された足装具。
【請求項3】
前記締結状態において、前記つま先セグメント(16)は、前記第1矯正力(F1)を生成するために、治療されるべき前記つま先(12)と前記ジョイントユニット(20)との間に剪断力および/または曲げ力を前記第1矯正力(F1)の方向に伝達するように構成される、
請求項1または請求項2に記載された足装具。
【請求項4】
前記第1矯正力(F1)は、前記つま先セグメント(16)の弾性的変形によって誘起された曲げ力またはクランプ力の形態において提供される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項5】
前記締結状態において、前記つま先セグメント(16)は、前記足装具(10)が前記足から取り外された取り外し状態において前記つま先セグメント(16)が配置される前記つま先セグメント(16)の休止位置に対して、前記第1矯正力(F1)と反対側の方向に前記つま先セグメント(16)が弾性的に偏向されるクランプ位置に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項6】
前記足装具(10)の前記締結状態において、中足指節のボールの横方向へ突出する部分は、前記ボールセグメント(18)の凹部または貫通孔(32)に受け入れられる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項7】
前記第2矯正力(F2)は、前記ボールセグメント(18)の弾性的な変形によって誘起されるクランプ力の形態において設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項8】
治療されるべき前記足の中足骨に取り付けられると共に、前記締結状態において、前記中足骨に保持力を作用させる、ように構成された中足骨セグメント(22)を更に備え、
および/または、
治療されるべき前記足のかかとに取り付けられると共に、前記締結状態において、前記足の後ろ部分に保持力を作用させる、ように構成されたヒールセグメントを備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項9】
前記つま先セグメント(16)および/または前記ボールセグメント(18)および/または前記中足骨セグメント(22)は、矯正力または保持力を前記足に導入するサポートセクション(26、36、40)およびベースセクション(28、38、42)を備え、前記ベースセクション(28、38、42)に比較して、前記サポートセクション(26、36、40)は、前記第1矯正力(F1)または前記第2矯正力(F2)の方向において剪断力および/または曲げ力に対する低い剛性を有する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項10】
前記サポートセクション(26、36、40)は、前記ベースセクション(28、38、42)より低い弾性係数または低い強度または低い硬度を有する材料からなる、
請求項9に記載された足装具。
【請求項11】
前記ジョイントユニット(20)は、前記つま先セグメント(16)または前記ボールセグメント(18)が枢動軸(S)の回りに互いに対して枢動可能であり、前記枢動軸(S)は、前記第1矯正力(F1)または前記第2矯正力(F2)に実質的に平行な、および/または前記中足骨趾骨間の関節(14)の関節軸に実質的に平行である、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項12】
前記締結状態において、前記ジョイントユニット(20)は、前記足のところにおいて横方向に配置される、または前記足の背側に沿ってまたは前記足の足底に沿って延在し、
前記ジョイントユニット(20)は、スイベルジョイントまたは曲げジョイントの形態において設けられる、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項13】
前記ジョイントユニット(20)は、その枢動軸(S)に沿って凹部または貫通孔(32)が設けられたハブ無しスイベルジョイントの形態で設けられる、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項14】
前記凹部または前記貫通孔(32)は、少なくとも2.0cmまたは少なくとも2.5cmの直径を有する、
請求項6から請求項13のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項15】
前記ボールセグメント(18)および前記中足骨セグメント(22)は、前記ボールセグメント(18)および前記中足骨セグメント(22)が、互いに対して、特に前記足装具(10)の長手方向軸(X)および/または横軸(Y)に沿って、並進的に変位可能であり、また圧力ばめおよび/またははめ合わせの方式において互いに対して所望の位置に固定可能である、ように互いに結合される、
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載された足装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置異常を矯正するための、特に外反母趾を治療するための足装具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の中足骨および前足の領域(エリア)における病的な位置異常は、遺伝的素因、不適当な(間違った)履物を着用すること、特にきつすぎる靴若しくはヒールの高い靴(ハイヒール)、または中足骨領域における結合組織の不安定性の結果として足の縦及び横アーチを扁平化することといった、様々な原因を有することがある。特に、中足趾節関節における足の親指(母趾)の位置異常は、外反母趾としても知られおり、変わることなく増加する症例数に起因して重要になっていく。
【0003】
外反母趾は、筋肉の牽引によって足の内側の方向に足の親指(母趾)の中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)が引かれていることから出現する。これは、中足趾節関節におけるボール状の突起として第1中足骨を母趾の内側から突起させて、これは偽外骨腫症と呼ばれる。また、しばしば、外反母趾を、腱の牽引の長さおよび方向における変化が伴っており、これは時間の経過とともに変形をさらに悪化させることがある。結果として、親指(母趾)の中足趾節関節の関節症が発症し、これは、進行した段階において外科的に処置されなければならない。
【0004】
疾病過程を止める、または疾病過程に対抗するために、外科的処置に加えて、保存療法の使用が知られている。例えば、テープ帯具または装具の使用が、静止位置(安静位)において足を治療することで知られている。治療期間中に足の安静位が必要となることに起因して、これらは主に夜間に使用される。
【0005】
さらにまた、添え木付きの足親指がその屈曲-伸展方向に沿って動くことを、足に固定された状態で、可能にする装具が知られている。例えば、DE 10240121 B4は、矯正されるべきつま先の屈曲-伸展運動軸の周りに関節でつながれるヒンジ付き副木(スプリント)の形態の整形外科装置を開示する。この目的のために、ヒンジ式屈曲副木には、足の内側によりかかるジョイントと、足の内側に沿ってジョイントから延びる2つの屈曲脚とが設けられる。ヒンジ付き屈曲副木を足に固定するために、第1屈曲脚が第1包帯を介してつま先(足指)に固定されると共に、第2屈曲脚が第2包帯を介して中足骨に固定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
先行技術から出発して、本発明の目的は、位置異常を矯正すること、特に外反母趾を治療すること、のための改良された足装具を提供することであり、これは、特に効果的な治療処置を確実にし、同時に容易に製造することができ、またコンパクトな設計を有する。
【0007】
この目的は、独立請求項の特徴を持つ足装具によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項、本明細書、および図面において明らかにされる。
【0008】
これに従って、足装具は、足の位置異常を矯正すること、特に外反母趾を治療しまたは予防すること、のために提供される。足装具は、治療されるべき足のつま先に固定されるように構成されたつま先セグメントと、ジョイントユニットによって互いに対して枢動可能に接続された、治療されるべき足の中足骨趾骨間の関節の領域に配置されるために構成されたボールセグメントとを備える。足装具は、足装具が足に適切に固定される締結状態において、つま先セグメントを介してつま先に第1矯正力を加えると共に、第1矯正とは反対方向にボールセグメントを介して中足骨趾骨間の関節に第2矯正力を加えるように設計されおよび構成される。つま先セグメントは、締結状態において、つま先の周りに少なくとも部分的に係合するブラケットまたはクランプの形成で提供される。
【0009】
治療されるべき足のつま先と相互作用するために、つまり、つま先に第1矯正力を加えるために、足装具には、つま先の周りに係合するブラケットまたはクランプとして設計されるつま先セグメントが装備される。本発明の文脈において、つま先の辺りに少なくとも部分的に係合するブラケットまたはクランプの形態につま先セグメントを設計することによって、足装具の意図された適用のために、力の流れおよび荷重の最適化された構造設計が提供され得ることが見出された。この理由は、ブラケット状またはクランプ状のつま先セグメントは、つま先の周りに少なくとも部分的に係合するものであって、こうして得られる構造には、第1矯正力を誘発するためにつま先セグメントにおいて伝達された曲げ力に関して増大した剛性、具体的には増大した幾何学的慣性モーメント(断面二次モーメント)が設けられ得る、ことを可能にすることである。このようにして、つま先セグメントは、少なくとも部分部分において、より狭くおよび/またはより薄く、設計されることができ、これに従って、足装具のコンパクトな設計に寄与することができる。これ故に、従来の履物において足装具を装着することは、足の内側においてつま先に沿って延在する屈曲脚を有する既知のデバイスと比較して、患者にとって著しくより快適であり得る。この構成を用いると、提案された解決策は、足装具を足に固定するための帯具(包帯、バンデイジ、bandage)を省くことをさらに可能にする。これに従って、提案される足装具は、より少ない構成要素を含むことができ、したがって、より低いコストで製造されることができる。
【0010】
提案された足装具は、病的な足の位置異常、特につま先(足趾)および/またはその中足骨趾骨間の関節の位置異常を治療すること、対抗すること、および/または予防することのために意図されまた構成される。特に、足装具は、外反母趾を予防することまたは治療することのために使用されることができ、しかし、この適用に限定されない。これに従って、足装具は、患者の足に固定されように、および足に固定された状態で、足に、特につま先(足指)および/または足骨趾骨間の関節に、治療的に作用するように意図されると共に構成される。
【0011】
本開示では、「足に適切に固定された状態」という用語は、本明細書では「締結(固定)状態」として参照されるものあって、足装具が患者の足に適切に固定されると共にこれに従って位置異常を矯正することまたは防止することのための所望の治療効果をもたらす状態を指し示す。足装具は、患者の左足または右足のために足を対象にして設計されることがある。言い換えれば、足装具は、患者の左足または右足のいずれかに使用するよう意図されると共に設計されることができる。左足用に意図された足装具は、患者の右足用に意図された足装具に対してミラー対称的であることができる。
【0012】
提案された足装具は、締結状態において、足に矯正力を加えるように設計される。本開示において、「矯正力」という用語は、治療されるべき足に対する治療効果を有する力を指す。特に、矯正力は、所望の治療効果を達成するために、位置異常によって影響を受けた足の部分を、解剖学的に正しい位置または意図された位置内にまたはその位置に向けて位置させることを引き起こす。
【0013】
提案される足装具は、患者の足に固定された状態で、つま先セグメントおよびボールセグメントによって、治療されるべき足に少なくとも第1矯正力および第2矯正力を作用させ、特に直接に作用させる、ように構成される。この設計によって、本足装具は、既知の装置から実質的に異なり、既知の装置は、意図してまたは意図せずに、外力から、特に装置を通して足に作用する力から、位置異常によって引き起こされる病的な偽外骨腫症(偽エキソスタシス、偽骨形成)、または、中足骨趾骨間の関節およびそれに関連付けられた母趾球(足指球、ボール)を遮蔽する。本発明の文脈において、つま先に作用する第1矯正力に加えて、ボールセグメントによって中足骨趾骨間の関節に作用する第2矯正力も足装具が及ぼす場合、特に有効な治療効果が達成され得ることが見出された。足に加えられる矯正力の結果としての相互作用は、外反母趾の治療において特に有益であり得る。この理由は、足装具の提案された実施形態が、足指(つま先)の外反位置および中足骨趾骨間の関節の内反位置に対して同時の治療効果を有することができることである。そうすることによって、足の位置異常の症状と原因を同時に治療されることができる。足に作用する矯正力および関連付けられる治療効果は、足装具の関連する構成要素に関連して以下においてより詳細に説明される。
【0014】
以下では、つま先セグメントに関連して、単純化のために、一般に足のつま先に参照されるものは、好ましくは、治療される足の親指を意味する。しかしながら、足装具は、この用途に限定されず、「つま先」という用語は、例えば、小指にも関連し得る。ボールセグメントに関連して、これに従って、一般的には、中足骨趾骨間の関節に参照されるものは、好ましくは、親指の中足骨趾骨間の関節を意味する。しかし、足装具はこの用途に限定されない。あるいは、中足骨趾骨間の関節という用語は、例えば小指の中足骨趾骨間の関節を指すこともある。
【0015】
本開示では、足装具を指定するために、特に治療対象の足に関しては、解剖学において一般的であるように、患者の身体の正中線または正中線に近い面(内側面)に向けられる基準系が用いられる。これ故に、締結状態における提案された足装具の各構成要素の位置および向き(方向)は、足装具に受容された足に対して示され得る。これに従って、用語「正中線に近い、又は内側の」(medial)は、装着者の身体の内側面に向けて指す(point)足装具の方向または側を参照する。解剖学において、「内側面」という用語は、「正中矢状面」としても知られており、一般に、身体を2つの対称部分に分割する解剖学的平面を指す。これに従って、足装具を記載する場合、「内側方向に」という用語は、治療されるべき患者の足から患者の他の足に向けて指す方向を意味する。この意味において、用語「横の」は、装着者の身体の内側面から離れるように指し示す足装具の側および方向を指す。これに従って、装着者の一方の足に固定される足装具を説明するとき、「横の」という用語は、着用者の他方の足から離れて向く方向を意味する。
【0016】
足装具は、治療されるべき足のつま先に固定されるように構成されたつま先セグメントを含む。言い換えれば、つま先セグメントは、締結状態においてつま先セグメントとつま先との間に力伝達結合を提供するために、所定の位置において足のつま先との係合に至るように意図されると共に構成される。これに従って、締結状態では、つま先セグメントは、所望の位置に保持され、また、つま先に、特に圧力ばめおよび/または形状に合わせたはめ合わせにより締結される。
【0017】
締結状態では、つま先セグメントは、つま先に第1矯正力を加えるように意図されると共に構成される。第1矯正力は、つま先に内側(正中線に近い)方向に作用することができる。
【0018】
上述のように、つま先セグメントは、ブラケット又はクランプの形成で提供される。本開示の文脈において、また一般に、「ブラケット」または「クランプ」という用語は、長手方向の力、横方向の力、せん断力、曲げ力、曲げモーメント、ねじりモーメント,等といった様々な異なる荷重を受けると共に伝達するように設計されると共に提供される構成要素を指す。このようなものとして、ブラケットまたはクランプは、引張力だけでなく、その長手方向軸に沿った圧縮力、およびその延在の軸を横切る横方向の力、特にその長手方向軸を横切る横断方向の横断力も受けると共に伝達するように構成される。この構造的構成は、実質的に、ブラケットまたはクランプを帯具から区別しており、これは、引張力の伝達のために提供され、しかし、圧縮力および/または横方向の力の伝達のためには提供されない。
【0019】
これに従って、クランプの形状において提供されるつま先セグメントは、締結状態で、足先に第1矯正力を及ぼすために、剪断力および/または曲げ力を、特に足先への第1矯正力の方向におよび/または治療されるべきつま先とジョイントユニットとの間に受けると共に伝達するように構成され得る。
【0020】
ブラケットの形状において提供されるつま先セグメントは、締結状態において、つま先の辺りに少なくとも部分的に係合する、つまりつま先の辺りに位置する、ように設計される。本開示の文脈において、「つま先の辺りに係合する」という用語は、締結状態において、つま先セグメントがその円周方向に沿ってつま先の辺りに延在することを意味する。好ましくは、つま先セグメントは、つま先の長手方向の軸の周りにおいて少なくとも1/2×πラジアン(rad)の弧度にわたってつま先に沿って延びる。すなわち、つま先セグメントは、つま先の周の少なくとも4分の1に沿って周方向に延在する。例えば、つま先セグメントは、つま先セグメントがつま先または中足骨趾骨間の関節の一方の側からつま先の反対側まで延在するように、つま先の長手方向軸の周りに実質的に1πラジアンの弧度にわたって延在してもよい。
【0021】
幾何学的設計に関して、つま先セグメントは、ブラケットの形状において提供されるものであって、プレート形状(プレート状に形付けられて)および/またはシェル形状(シェル状に形付けられて)でもよい。例えば、その幾何学的設計に関して、つま先セグメントは、ベルト形状(ベルト状に形付けられて)またはバンド形状(バンド状に形付けられて)でもよく、特に、耐屈曲性であってもよい。これに従って、つま先セグメントには、つま先のための接触面と、反対側の支持面とを設けることができる。足装具の固定状態では、つま先セグメントの接触面は、つま先にぶつかって位置していてもよく、特に、つま先に接触してもよい。接触面は、旋回面の形状において提供されてもよく、その向き、つまり、その表面法線が、つま先の長手方向軸(縦軸)に沿って変化し、また好ましくはつま先の縦軸を指し示す。この構成によって、接触面、及びこのようなつま先セグメントも、つま先の縦軸の周りの螺旋線に沿って延在してもよい。
【0022】
第1矯正力をつま先にまたはつま先上に適用しまたは作用させるために、つま先セグメントは、つま先サポートセクションを備えてもよく、つま先サポートセクションは、足装具の締結状態において、つま先に接して位置し、特につま先の側面に接して位置し、つまり、横方向に向き付けられた側面に接して位置している。言い換えれば、つま先サポートセクションは、第1矯正力をつま先にまたはつま先上に加えまたは作用させ、ここで、第1矯正力が、内側方向を指している、又は内側方向に一致する、特に実質的に一致する、ように構成されてもよい。つま先サポートセクションは、つま先セグメントの端部セクションによって提供され得ることができ、特に遠位に設けられることができる。
【0023】
つま先セグメントは、つま先ベースセクションをさらに備えてもよく、つま先ベースセクションは、治療されるべきつま先の上側に沿ってまたは下側に沿って延びるつま先セグメントのセクション(部分)を形成してもよい。言い換えれば、つま先ベースセクションは、足底および/または背側に配置されてもよい。これに従って、足装具の締結状態では、つま先ベースセクションは、足の本来のささえ面(支承面)と平行または実質的に平行であってもよい。一実施形態によれば、締結状態において、つま先は、つま先ベースセクション上に、少なくとも部分的に位置することができる。あるいは、つま先ベースセクションは、少なくとも部分部分に、つま先の上に位置してもよい。つま先ベースセクションは、好ましくは、力を伝達するおよび/またはトルクを伝達する方式においてつま先サポートセクションに接続され、例えば、一体的に接続される、または接着によって接合される。
【0024】
つま先サポートセクションは、肢部(limb、リム部、突き出し部)の形状において提供されてもよく、または肢部(limb)を含んでもよく、特に、曲げばねまたはスプリング要素を形成してもよい。特に、つま先サポートセクションは薄壁を形造ってもよい。さらに、つま先サポートセクションは、つま先ベースセクションに対して垂直にまたは実質的に垂直に配置されていてもよい。代替的に又は追加的に、つま先ベースセクションは、垂直に又は実質的に垂直に配置されてもよい。
【0025】
つま先サポートセクションは、つま先に対して横方向に配置されてもよい。これに従って、つま先サポートセクションは、つま先を内側(正中線に近い)方向に押すことによって、つま先に第1矯正力を直接に作用させることができる。あるいは、つま先サポートセクションは、サポートバンドを、特にストラップ、ループ、帯(バンド)、ベルトなどの形状において備えることができ、又は、構成することができる。サポートバンドは、つま先の側面に接触し得て、その上に第1矯正力を及ぼし得る。ここで、サポートバンドには、その端部において、対応する引張力を提供することができ、または負荷することができる。そうするために、サポートバンドは、つま先の内側に配置され得るつま先サポートセクションの肢部(limb)に固定され得、および/または、サポートバンドは、つま先ベースセクションに力伝達方式において接続され得る。換言すれば、締結状態において、つま先は、サポートバンドが周方向においてつま先に少なくとも部分的に接触(当接、lie against)するように、サポートバンドに配置されてもよい。サポートバンドは、特にその周方向に沿って、引っ張り剛性または弾性的であってもよい。
【0026】
つま先サポートセクション、特につま先ベースセクションおよび/またはつま先サポートセクションは、仕切るような薄壁であって(薄壁で仕切って)もよく、それによって足装具のコンパクトな設計に寄与する。特に、つま先セグメント、特につま先ベースセクションおよび/またはつま先サポートセクションは、3mm未満、または2mm未満、または1mm未満の最大壁厚を有し得る。言い換えれば、つま先セグメント、特につま先ベースセクションおよび/またはつま先サポートセクションは、少なくとも1つの板状に形付けられた構成要素から構成されてもよい。さらにまた、つま先セグメント、特につま先ベースセクションおよび/またはつま先サポートセクションは、シェル(殻)状にまたはカップ(椀)状に形造られていてもよく、特に、その形状において、治療されるべきつま先の形状に適合されてもよい。このようにして、つま先のための特に大きな接触面が提供されることができ、それにより、患者が履物装具を着用することをより快適にする。さらに、足装具のコンパクトな設計が保証され得る。
【0027】
一実施形態によれば、つま先セグメントは、クランプブラケットの形状において提供されることができる。この構成によって、第1矯正力は、つま先セグメントの弾性変形によって誘起されるクランプ力の形態で提供されことができる。
【0028】
足装具は、足から分離された状態、つまり、足装具が治療対象の足と係合しておらずこれ故に足から取り外された状態において、足装具、特に、つま先セグメントが、足装具が弾性的に変形されない休止位置に配置されるように構成されてもよい。しかしながら、締結状態では、足装具、特につま先セグメントは、クランプ位置に配置されてもよく、この位置では、足装具、特につま先セグメントが弾性的に変形される。つま先セグメント、特につま先サポートセクションは、第1矯正力と反対の方向に、休止位置を基準にクランプ位置において弾性的に屈折され得る。例えば、クランプ位置において、つま先サポートセクション、特につま先サポートセクションの端部セクションは、少なくとも0.2cm、例えば少なくとも0.3cm又は少なくとも0.5cm又は少なくとも1.0cmだけ、休止位置を基準にして、特に第1矯正力と反対の方向に沿って偏向され又は並進的に変位させられてもよい。
【0029】
クランプ位置において、つま先セグメントは、その弾性変形によって、第1矯正力の方向に負荷をかけられ、または予め負荷をかけられる。つま先セグメント、特につま先サポートセクションに加えられるクランプ力または曲げ力は、第1矯正力に対応することができる。具体的には、つま先セグメント、特につま先サポートセクションに加えられるクランプ力または曲げ力の絶対値は、第1矯正力の絶対値に実質的に等しくてもよい。
【0030】
足装具は、足装具が足に固定されるとき、中足骨趾骨間の関節の領域に配置されるように構成されたボールセグメントをさらに備える。特に、ボールセグメントは、中足骨趾骨間の関節の領域において足に接触するように構成されてもよい。言い換えれば、ボールセグメントは、中足骨趾骨間の関節の領域における足と係合されるように提供されて、固定された状態において、中足趾節関節の領域における足とボールセグメントとの間の力伝達結合を提供する。これに従って、固定された状態においては、ボールセグメントは、足に固定され、特に足に圧力ばめによりおよび/または形状を合わせて固定され、これ故に、足上の所望の位置に保持される。
【0031】
特に、ボールセグメントは、締結状態において、ボールセグメントが中足骨趾骨間の関節の領域において足の側面に対して、特に中足骨趾骨間の関節のボール(膨らんだ部分)の側面に対して接するように設計されおよび構成されていてもよい。例えば、締結状態において、ボールセグメントは、足の、特に第1中足骨の、横方向のボール形状の突出部の領域に配置されることができ、またはその領域に対して接触することができ、横方向のボール形状の突出部の領域は、偽外骨腫(エキソスタシス)として参照される。一実施形態では、ボールセグメントは、ボールセグメントが締結状態において中足骨のボール(膨らんだ部分)の領域において足に対して接し、しかし中足骨のボール(膨らんだ部分)または偽外骨腫(エキソスタシス)自体には接しない、ように構成されることができる。そうするために、ボールセグメントには、足に固定された状態で、少なくとも中足骨のボール(膨らんだ部分)、特に足上のボール形状の突起、例えば偽骨形成部を受容する凹部(リセス)または貫通孔を設けてもよい。凹部または貫通孔の範囲を定めるボールセグメントのセクションは、中足骨趾骨間の関節のボールに隣接する領域、特に足上のボール形状の突起に隣接する領域、例えば偽外骨腫(エキソスタシス)に隣接する領域において、足に対して接して位置してもよい。言い換えれば、足装具は、中足指節骨球の横方向に突出する部分が、締結状態において、ボールセグメントの凹部または貫通孔に受容されるように構成され得る。例えば、足上において、ボールセグメントは、中足骨趾骨間の関節のボール(膨らんだ部分)の周囲、特に足上のボール状突起の周囲、例えば偽外骨腫(エキソスタシス)の周囲に、配置されてもよい。ボールセグメントの凹部又は貫通孔は、特に少なくとも実質的に1.5cm又は少なくとも実質的に2.0cm又は少なくとも実質的に2.5cmの断面直径、特に最小又は最大の直径を有することができる。この実施形態は、提案された足装具がボールセグメントによって中足骨趾骨間の関節に第2矯正力を、痛みに敏感な、足の領域に直接に作用させ、力を加え、または接触させる必要なしに、加えることを可能にする。
【0032】
本開示の文脈において、「第2矯正力が中足骨趾骨間の関節に及ぼされる」を規定する特徴は、中足骨趾骨間の関節に治療的に作用するそのような矯正力に関する。そのような矯正力は、足装具によって中足骨趾骨間の関節に直接に導入されてもよい。あるいは、そのような矯正力は、中足骨趾骨間の関節に、足装具によって、例えば、ボールセグメントが中足骨、特に第1中足骨に矯正力を及ぼすことによって、間接的に作用し得る。第2矯正力が、中足骨の内反位、特に第1中足骨の内反位、に治療的に作用するように特に意図されている。
【0033】
外反母趾を治療するために、足装具は、固定状態において、ボールセグメントが足の内側上において中足骨趾骨間の関節に対して接して位置するように、提供されることができる。これに従って、第2矯正力は、中足骨趾骨間の関節に横方向に作用し得る。
【0034】
ボールセグメントは、締結状態において、剪断力および/または曲げ力を、特に第2矯正力の方向、および/または治療されるべき中足骨趾骨間の関節とジョイントユニットとの間において受けてまた伝達して、中足骨趾骨間の関節に第2矯正力を加える、ように構成されてもよい。特に、ボールセグメントは、ブラケットまたはクランプの形状で提供されることができ、またはブラケットまたはクランプのセクション(部分)を構成することができる。一実施形態によれば、ボールセグメントは、中足骨趾骨間の関節のボールの周りにおいて少なくとも部分的に係合することができる。そうするために、ボールセグメントは、足のソール(裏)の方向に、中足骨趾骨間の関節の領域において足の側面から延在してもよく、また特に、その形状において足の土踏まずの形状に適合されてもよい。あるいは、ボールセグメントは、足の外側から足の背の方向に延びてもよい。例えば、ボールセグメントは、つま先の長手方向軸の周りにおいて少なくともπ/2radの弧度にわたって、中足骨趾骨間の関節のボールの回りに延在してもよい。
【0035】
幾何学的設計に関して、ボールセグメントは、好ましくは、プレート状またはシェル状に形造られるように構成される。例えば、その幾何学的設計に関して、ボールセグメントは、ベルト状またはバンド状に形造られてもよい。ボールセグメントは、好ましくは、耐屈曲性である。これに従って、ボールセグメントには、足のための接触面と、反対側の接触面とを設けることができる。締結状態では、ボールセグメントの接触面は、足に接して位置することができ、特に、足に接触することができる。接触面は、旋回面の形状において提供されてもよく、その向き、つまり、その表面法線が、つま先の長手方向軸に実質的に平行な縦軸に沿って変化し、また好ましくは縦軸を指し示す。この構成によって、接触面およびこのようなボールセグメントも、縦軸の周りの螺旋線に沿って延在してもよい。
【0036】
第2矯正力を足上に作用させまたは足に加えるために、ボールセグメントは、ボールサポートセクションを備えることができ、ボールサポートセクションは、固定状態において、中足骨趾骨間の関節のボール部(盛り上がり部)に対して、特に足の内側に対して接して横たわることができる。言い換えれば、ボールサポートセクションは、中足骨趾骨間の関節に第2矯正力を作用させるように構成されてもよく、ここで、第2矯正力は、横方向の方向を指す、または横方向に合致する、特に実質的に横方向に合致する。ボールサポートセクションは、ボールセグメントの端部セクションによって提供されてもよい。
【0037】
ボールセグメントは、ボールベースセクションをさらに備えてもよく、ボールベースセクションは、治療されるべき足の足底(ソール)に沿って、または治療されるべき足の背面に沿って延びるボールセグメントのセクション(部分)を形成してもよい。言い換えれば、ボールベースセクションは、足底および/または足背側に配置されてもよい。一実施形態によれば、締結状態において、ボールベースセクションは、足の自然なささえ面(支承面)に平行または実質的に平行であってもよい。一実施形態によれば、締結状態において、中足骨趾骨間の関節のボールは、ボールベースセクション上に少なくとも部分的に位置し得る。ボールベースセクションは、好ましくは、力伝達および/またはトルク伝達の方式においてボールサポートセクションに接続され、例えば、一体的に接続され、または接着剤で接合されている。
【0038】
ボールサポートセクションは、肢部(リム、リム部、突起部)の形態で提供されることができ、または肢部を含むことができ、特に、曲げバネを形成することができる。特に、ボールサポートセクションは、薄壁を形造ってもよい。またさらに、ボールサポートセクションは、垂直に配置することができる。一実施形態によれば、ボールサポートセクションは、ボールベースセクションに、垂直または実質的に垂直に配置されることができる。代替的に又は追加的に、ボールサポートセクションは、垂直に又は実質的に垂直に配置されてもよい。
【0039】
ボールセグメント、特に、ボールベースセクションおよび/またはボールサポートセクションは、仕切るような薄壁であって(薄壁で仕切って)もよく、それにより、足装具のコンパクトな設計に寄与する。特に、ボールセグメント、特にボールベースセクションおよび/またはボールサポートセクションは、3mm未満又は2mm未満又は実質的に1mmの最大の壁厚を有することができる。言い換えれば、ボールセグメント、特にボールベースセクションおよび/またはボールサポートセクションは、少なくとも1つの板状に形付けられた構成要素から構成されてもよい。さらにまた、ボールセグメント、特にボールベースセクションおよび/またはボールサポートセクションは、シェル状またはカップ状に形造られていてもよく、特に、その形状において治療されるべき足の形状に適合されてもよい。
【0040】
一実施形態によれば、ボールセグメントは、クランプブラケットの形状において提供されることができる。この形態によって、第2矯正力は、ボールセグメントの弾性変形により誘起されるクランプ力の形態において提供されることができる。
【0041】
足装具は、足から分離された足装具の状態において、ボールセグメントが弾性変形しない休止位置にボールセグメントが配置されるように構成されてもよい。足装具の締結状態においては、しかしながら、ボールセグメントは、ボールセグメントが弾性変形するクランプ位置に配置されてもよい。ボールセグメント、特にボールサポートセクションは、第2矯正力と反対の方向に、その静止位置に対して、そのクランプ位置において弾性的に偏向される(偏らせる、ゆがめる)ことができる。例えば、クランプ位置においては、ボールサポートセクション、特にボールサポートセクションの端部セクションは、休止位置に対して、少なくとも0.1cm、または少なくとも0.2cm、または少なくとも0.5cmだけ、特に第2矯正力と反対の方向に沿って、偏向されまたは並進的に変位され得る。
【0042】
クランプ位置においては、ボールセグメントには、その弾性変形によって、第2矯正力の方向に負荷がかけられ、または予め負荷がかけられる。ボールセグメント、特にボールサポートセクションに加えられるクランプ力は、第2矯正力に対応し得る。
【0043】
足装具は、中足骨セグメントをさらに備えてもよく、中足骨セグメントは、力伝達およびトルク伝達の様式においてボールセグメントに接続されてもよい。中足骨セグメントは、中足骨の領域において足装具を足に固定するように構成されてもよい。中足骨セグメントは、ブラケットまたはクランプの形態で提供されてもよく、この形態は、固定状態において、中足骨側領域、特に側面の中足骨横領域の周りにおいて少なくとも部分的に係合する。
【0044】
中足骨セグメントは、締結状態において、中足骨に保持力を及ぼすように構成されおよび設計されてもよい。保持力は、第1矯正力に平行な方向に作用することができ、第1矯正力と一緒に、第2矯正力に対向力を提供する。これらの力の相互作用によって、足装具は、治療処置のための位置において、処置されるべき足に安定して保持され得る。この実施形態によって、足装具は、締め金(かすがい、クランプ)または締め付け具(クランプ)の方式によって、治療されるべき足に固定されることができる。
【0045】
一実施形態では、中足骨セグメントによって及ぼされる保持力は、治療されるべき足に治療効果を有することができ、特に、第1矯正力および第2矯正力の治療効果に寄与し、および/またはそれとは異なるさらなる治療効果を提供する。例えば、中足骨セグメントによって及ぼされるさらなる矯正力は、足の土踏まずを真っ直ぐにさせることができる。この効果を支持するために、足装具は、パッドとも呼ばれる足クッションをさらに備えてもよく、これは、中足骨領域において足の足底(ソール)の下に、特に足の土踏まずの下に配置される。そのような足クッションは、中足骨セグメントおよび/またはボールセグメントに取り外し可能に接続され得る。
【0046】
中足骨セグメントは、特にブラケットまたはクランプの形状で提供され得るものであって、保持力を及ぼすために、固定状態において、剪断力および/または曲げ力を、特に保持力の方向におよび/または治療されるべき中足骨とボールセグメントとの間に、受けおよび伝達するように構成され得る。
【0047】
ブラケットの形状で提供される中足骨セグメントは、中足骨セグメントが、足に固定された状態で、周方向において中足骨領域の周りに部分的に係合するように設計される。換言すれば、固定状態では、中足骨セグメントは、中足骨に沿って中足骨の周方向に、好ましくは中足骨の長手方向軸の周りに少なくともπ/2radの弧度にわたって延在する。そのような配置は、ボールセグメント、特にボールサポートセクションが、締結状態において、中足骨セグメントの反対側に、特に中足骨セグメントの端部セクションの反対側に配置されることを可能にして、治療されるべき足上において足装具を安全に保持することを確実にする。
【0048】
幾何学的設計に関して、ブラケットの形状において提供される中足骨セグメントは、好ましくは板状に形造られる。例えば、その幾何学的デザインに関して、中足骨セグメントは、ベルト状またはバンド状に形造られてよく、また耐屈曲性であってよい。これ故に、中足骨セグメントには、中足骨のための接触面と、反対側の支持面とが設けられることができる。締結状態では、中足骨は、中足骨セグメントの接触面に接して位置してもよく、特に直接に接触してもよい。
【0049】
保持力を中足骨に加えるまたは中足骨上に作用させるために、中足骨セグメントは、中足骨ベースセクションを備えてもよく、中足骨ベースセクションは、固定状態において、中足骨に対して接して位置し、特にその側面に対して接して位置する。言い換えれば、中足骨セグメントは、保持力を中足骨に印加しまたは中足骨上に作用させるように構成され得、ここで、保持力は、内側方向に指しまたは内側方向に一致しており、特に実質的に一致する。中足骨ベースセクションは、中足骨セグメントの端部セクションによって提供されてもよい。
【0050】
中足骨セグメントは、中足骨ベースセクションをさらに備えてもよく、中足骨ベースセクションは、治療されるべき足の足底または背面に沿って延在し得る。言い換えれば、中足骨ベースセクションは、足底および/または背側に配列されることができる。一実施形態によれば、中足骨ベースセクションは、治療されるべき足の土踏まず(arch)の形状に適合された形状を有してもよい。中足骨基部セクションは、好ましくは、力伝達および/またはトルク伝達の方式において中足骨サポートセクションに接続され、例えば、一体的に接続され、または接着により接合される。
【0051】
中足骨ベースセクションは、肢部(limb、リム部、突出部)の形態において設けられてもよく、または肢部(limb)を含んでもよく、また、特に曲げばねを形成してもよい。特に、中足骨サポートセクションは、薄壁を形造ってもよい。さらにまた、中足骨サポートセクションは、実質的に垂直に配置されてもよい。
【0052】
中足骨サポートセクションは、中足骨に対して横方向に配置されてもよい。これ故に、中足骨サポートセクションは、内側方向に中足骨に圧迫を加えることによって、中足骨に保持力を直接に作用させることができる。あるいは、中足骨サポートセクションは、特にストラップ、ループ、バンド、ベルトなどの形態において、サポートバンドを含むまたは、中足骨サポートセクションには、特にストラップ、ループ、バンド、ベルトなどの形態において、サポートバンドを提供することができる。サポートバンドは、中足骨の側面に接触を為し得て、その上に保持力を及ぼすことができ、ここで、サポートバンドは、これに従って、その端部セクションにおいて引張力を受け、またその端部セクションを介して中足骨セグメントに接続されることができる。そうするために、サポートバンドは、中足骨に対して内側に配置された中足骨サポートセクションの肢部(limb)に固定されてもよく、および/またはサポートバンドは、力を伝達する様式において中足骨ベースセクションに接続されてもよい。足装具の固定状態では、サポートバンドは、少なくとも部分的に、中足骨領域の周りに周方向に配置されてもよい。換言すれば、締結状態においては、中足骨は、サポートバンドが周方向に少なくとも部分的に中足骨に接して位置するように、サポートバンドに配置されてもよい。サポートバンドは、特にその円周方向に沿って、引っ張り剛性または弾性的であってもよい。
【0053】
中足骨セグメント、特に中足骨ベースセクションおよび/または中足骨サポートセクションは、薄壁により区分け(仕切り)されていてもよく、それによって、足装具のコンパクトな設計に寄与する。特に、中足骨セグメント、特に中足骨ベースセクションおよび/または中足骨サポートセクションは、3mm未満または2mm未満または実質的に1mmの最大の壁厚を有し得る。言い換えれば、中足骨セグメント、特に中足骨サポートセクションおよび/または中足骨ベースセクションは、プレート状またはシェル状に形造られた少なくとも1つの構成要素から構築されることができる。さらにまた、中足骨セグメント、特に中足骨サポートセクションおよび/または中足骨ベースセクションは、シェル状またはカップ状に形造られてもよく、また特にその形状において、治療されるべき中足骨の形状に適合されてもよい。
【0054】
一実施形態によれば、中足骨セグメントは、クランプブラケットの形状に提供されてもよい。この形態によって、保持力は、中足骨セグメントの弾性変形によって誘発されるクランプ力または曲げ力の形態において提供されることができる。
【0055】
足装具は、足から分離された足装具の状態においては、中足骨セグメントが弾性変形しない休止位置に配置されるように構成されてもよい。しかしながら、足に固定された足装具の状態においては、中足骨セグメントは、中足骨セグメントが弾性的に変形されるクランプ位置に配置されてもよい。そのクランプ位置において、中足骨セグメント、特に中足骨サポートセクションは、保持力の方向と反対の方向に、その休止位置に対して弾性的に偏向させられる(屈曲させられる、撓ませられる)ことができる。例えば、クランプ位置において、中足骨サポートセクション、特に中足骨サポートセクションの端部セクションは、少なくとも0.3cmで、例えば少なくとも0.5cmまたは少なくとも1.0cmだけ、特に保持力と反対の方向に沿って、その休止位置に対して偏向されまたは並進的に変位させられることができる。
【0056】
クランプ位置では、中足骨セグメントには、その弾性変形によって、保持力の方向に荷重がかけられまたは予め荷重がかけられることができる。中足骨セグメント、特に中足骨サポートセグメントに加えられるクランプ力は、保持力に対応し得る。代替的に、中足骨セグメント、特に中足骨ベースセクションに加えられるクランプ力の絶対値は、保持力の絶対値に実質的に等しくてもよい。
【0057】
つま先セグメントおよび/またはボールセグメントおよび/または中足骨セグメントは、プラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックまたは熱可塑性エラストマーなどから作製されてもよい。つま先セグメントおよび/またはボールセグメントおよび/または中足骨セグメントは、付加製造プロセスまたは射出成形プロセスによって製造されることができる。さらに、個々のセグメントは、異なる材料、特に異なるプラスチック材料を含むことができ、これらは、好ましくは異なる材料特性を提供する。付加製造プロセスまたは射出成形プロセスの使用は、個々のセグメントが一体的に提供されることを可能にし、それでも異なる材料から作製することができ、異なる材料特性を有することができる。言い換えれば、異なる材料からなる個々のセグメントのセクションは、互いに一体的に又は接着して接合されることができる。
【0058】
さらなる発展形態によれば、個々のセグメントの異なるセクションには、異なる剛性を提供することができる。例えば、異なるセグメントのそれぞれのサポートセクションには、関連付けられるベースセクションと比較してより低い剛性を提供することができる。言い換えれば、つま先セグメントおよび/またはボールセグメントおよび/または中足骨セグメントは、締結状態において足に、第1矯正力または第2矯正力または保持力を加えるサポートセクションおよびベースセクションを備えてもよく、ここで、サポートセクションは、特に第1矯正力または第2矯正力の方向におけるせん断力および/または曲げ力の観点において、ベースセクションに比較してより低い剛性を有してもよい。特に、つま先サポートセクションは、つま先ベースセクションと比較してより低い剛性を有することができ、および/またはボールサポートセクションは、ボールベースセクションと比較してより低い剛性を有することができ、および/または中足骨サポートセクションは、中足骨ベースセクションと比較してより低い剛性を有することができる。この目的のために、個々のセグメントの構造設計は、例えば、対応するベースセクションに比較してより小さい材料厚さをサポートセクションに提供することによって、相応して適合されてもよい。代替的に又は追加的に、異なる材料が個々のセグメント内で使用されてもよい。例えば、サポートセクションは、対応するベースセクションが作製される材料よりも低い弾性率および/または低い強度および/または低い硬度を有する材料から作製されることができる。
【0059】
さらなる発展形態によれば、つま先サポートセクションおよびつま先ベースセクションは、一体的に形成されてもよい。代替的に又は追加的に、ボールサポートセクション及びボールベースセクションは、一体的に形成されてもよい。代替的に又は追加的に、中足骨サポートセクション及び中足骨ベースセクションは、一体的に形成されてもよい。
【0060】
代替的にまたは追加的に、足装具は、ヒールセグメント(かかとセグメント)を備えていてもよく、ヒールセグメントは、治療されるべき足の後ろ部分又はかかと(ヒール)に固定され得て、また固定状態において、足の後ろ部分に保持力を及ぼし得る。ヒールセグメントは、中足骨セグメントに代替的に又は追加的に設けられてもよく、また対応する特徴と共に構成されてもよい。言い換えれば、中足骨セグメントに関連して本明細書に記載される特徴は、ヒールセグメントについても開示されているとみなされ得る。
【0061】
上述のように、つま先セグメントおよびボールセグメントは、ジョイントユニットによって互いに対して枢動可能に連結される。提案された足装具に、つま先セグメントとボールセグメントとを枢動可能に接続するジョイントユニットを設けることによって、提案された足装具によって治療されるつま先は、その屈曲-伸展運動方向に沿って動かされることができる。言い換えれば、ジョイントユニットは、治療されるべきつま先が、固定状態において、中足骨趾骨間の関節に対して屈曲-伸展方向に移動可能であるように構成してもよい。これに従って、ジョイントユニットは、つま先セグメントおよびボールセグメントが、枢動軸(ピボット軸)の回りにおいて互いに対して枢動可能であり、枢動軸は、第1矯正力および第2矯正力に平行または実質的に平行であり、および/または屈曲および伸展の方向に中足骨趾骨間の関節のジョイント軸に平行または実質的に平行であるように構成され得る。さらに、枢動軸は、ジョイント軸と一致してもよく、または実質的に一致してもよい。
【0062】
さらにまた、ジョイントユニットは、足に第1矯正力および/または第2矯正力を加えるために、つま先セグメントとボールセグメントとの間においてせん断力および/または曲げ力を伝達するように構成されてもよい。言い換えれば、足装具のジョイントユニットは、締結状態において、第1矯正力および/または第2矯正力を生成するために、矯正力、特にせん断力または曲げ力に平行な力を伝達するように構成され得る。言い換えれば、足装具の全体は、その長手方向軸に沿って、矯正力の方向に内力または応力を伝達するために適している。これに従って、ジョイントユニットは、足装具の締結状態において、つま先セグメントとボールセグメントとの間の相対枢動運動が、枢動軸に対して直交して配置された軸の周りに限られる(制限される)ように設けられ得る。
【0063】
このように、提案された足装具は、足装具がその自然な歩行運動において足を支持すると同時に足装具が足に治療効果を有するように、十分な運動の自由度を添え木当てつま先に提供する。これは、提案された足装具が患者の日常生活で使用されることを可能とし、このことは、患者の足装具着用意欲を高め、またこれ故に治療的治療の受容と成功をも高める。
【0064】
さらなる発展形態では、ジョイントユニットは、つま先セグメントおよびボールセグメントの構造的に係合された領域、特に端部セクションによって提供されることができる。特に、ジョイントユニットは、つま先ベースセクションおよびボールベースセクションの係合領域、特に係合された端セクションによって提供されてもよい。ジョイントユニットは、つま先セグメント及びボールセグメントの係合された領域(係合領域)によって少なくとも部分的に提供されてもよく、またはつま先セグメントおよびボールセグメントの係合された領域(係合領域)によって全体的に構成されてもよい。ジョイントユニットを形成するつま先セグメントおよび/またはボールセグメントのセクション(部分)は、ボールセグメント、特にボールベースセクション、および/またはつま先セグメント、特につま先ベースセクションの一体部分であってもよい。このようにして、足装具の単純な設計が、少ない数の構成要素を用いることによって保証されることができる。
【0065】
一実施形態によれば、ジョイントユニットは、締結状態において足のところに横方向に配置されてもよい。特に、ジョイントユニットは、締結状態において足の内側に配置されてもよい。この構成では、ジョイントユニットのジョイント軸は、枢動軸(ピボット軸)と一致しており、中足骨趾骨間の関節の関節軸と一致しまたは実質的に一致し得る。この実施形態によれば、ジョイントユニットを形成するつま先セグメントのセクション(部分)および/またはジョイントユニットをさらに形成するボールセグメントの対応して設計された更なるセクション(部分)は、治療されるべき中足骨趾骨間の関節の領域に配置されることができ、中足骨趾骨間の関節に第2矯正力を及ぼし得る。
【0066】
代替的に又は追加的に、締結状態において、ジョイントユニットは、足の足底(ソール)および/または足背の領域に配置されてもよい。これに従って、ジョイントユニットは、足の足底に沿っておよび/または足の背に沿って、特に、第1矯正力および第2矯正力に平行な、または実質的に平行な方向に沿って延在してもよい。
【0067】
さらなる発展では、ジョイントユニットは、少なくとも1つのスイベルジョイントおよび/または1つの曲げジョイントを備えることができる。本開示の文脈において、スイベルジョイントは、ジョイントの2つの相対的に枢動可能かつ係合されたセクション(部分)が、互いに対して枢動可能または回転可能に取り付けられるジョイントユニットを指す。対照的に、屈曲ジョイントは、ジョイントの2つの係合された構成要素が、弾性変形または塑性変形によって互いに対して枢動され得るジョイントユニットを記載する。
【0068】
スイベルジョイントは、リングジョイントの形状において提供されてもよく、リングジョイントでは、互いに対して枢動可能なスイベルジョイントのセクション間の接触面または摺動面が、スイベルジョイントの枢動軸またはジョイント軸の回りに環状に配置される。この形態によって、ジョイントユニットは、曲げ力および曲げトルクに対して特に堅牢であることができ、それによってジョイントユニットが、治療されるべき足に高い力およびトルクを誘起すると共に伝達することができる一方で、足装具のコンパクトな設計を提供することができる。
【0069】
更なる発展においては、スイベルジョイントは、特にリングジョイントの形状において設けられる場合、中空トラニオン・スイベルジョイントの形状において設けられてもよい。本開示の文脈において、「中空トラニオン・スイベルジョイント」という用語は、ハブ無しスイベルジョイントとしても参照され、またその枢動軸に沿ってまたは周りに、凹部(リセス)を提供する少なくとも部分的に中空であるジョイントユニットを指す。換言すれば、スイベルジョイントを形成する構成要素は、スイベルジョイントには枢動軸に沿ったまた周りの凹部または貫通孔が設けられるように、ピボット軸に沿って中空に設けられる。
【0070】
スイベルジョイントは、枢動軸の回りに互いに枢動可能であると共にスイベルジョイントにおいて互いに対して案内される構成要素を備えることができる。この構成要素を案内するように構成される領域は、ベアリング点および/またはベアリング面、特に接触面および/または摺動面によって形成され得るものであり、好ましくは、枢動軸の回りに周方向に配置されると共に、そこから離間される。
【0071】
スイベルジョイントの構成要素を案内するように構成された領域は、案内半径だけスイベル軸から間隔をおいて離されて配置され得る。特に、案内半径は、枢動軸の周りにスイベルジョイントの構成要素を案内するために構成された領域の平均半径を示してもよい。案内半径は、スイベルジョイントの外半径の範囲内に実質的に存在してもよく、半径方向おけるスイベルジョイントの伸長を言い表している。案内半径は、スイベルジョイントの外半径の少なくとも70%であってもよい。特に、案内半径は、外側半径の少なくとも80%または少なくとも90%であることができる。
【0072】
スイベルジョイントは、足装具の締結状態において、スイベルジョイントが、中足骨趾骨間の関節の横方向へ突出する部分(セクション)の回り、例えば偽外骨腫の回りにおいて周方向に配置されるような方法で、スイベルジョイントが足および中足指節関節上に配置されるように、設けられる。ここで、中足骨趾骨間の関節の横方向へ突出する部分(セクション)が、スイベルジョイントの凹部(リセス)に少なくとも部分的に受容される。
【0073】
凹部(リセス)は、少なくとも1つの側において開いている凹部の形状において提供され得る。締結状態では、凹部は、足の方向に開くことができる。あるいは、凹部は、貫通孔の形状、特に枢動軸に沿って延在する貫通孔の形態において設けられてもよい。言い換えれば、凹部は、スイベルジョイントの幅または厚さの全体に沿って延在してもよい。本開示の文脈において、スイベルジョイントの用語「幅」および「厚さ」は、枢動軸に沿ったスイベルジョイントの延在部を示す。スイベルジョイントは、1.0cm又は0.6cmの幅、特に最大幅を有することができる。
【0074】
足装具は、締結状態において、中足骨趾骨間の関節の横方向に突出する部分(セクション)が、スイベルジョイントの最大幅の少なくとも50%、または少なくとも70%、または少なくとも80%に沿って延びるように構成されてもよい。さらにまた、足装具は、固定状態において、中足骨趾骨間の関節の横方向に突出する部分(セクション)が、枢動軸に沿って、凹部(リセス)を通って、特に貫通孔を通って突出しまたは実質的に突出するように構成されてもよい。このようにして、足装具は、足に特に近接して保たれることができる。
【0075】
スイベルジョイントは、凹部(リセス)を制限すると共に枢動軸の周りに周方向に配置された側壁を備えることができる。側壁は、1mm又は2mm又は5mmの最小曲率半径を有することができる。言い換えれば、スイベルジョイントは、いずれの点における側壁が、最小曲率半径の未満である曲率半径を有することがないように設計されてもよい。曲率半径の逆数は側壁の曲率に、特に凹部に面する側壁の内面の曲率に対応する。このように、足装具を装着するときに患者の足への圧力ピークを防ぐために、中足骨趾骨間の関節の外側に突出する部分(セクション)に隣接するスイベルジョイントの領域には鋭利なエッジが設けられていないことを確保してもよい。
【0076】
凹部は、最小の直径、少なくとも1.5cm、少なくとも2.0cm、または少なくとも2.5cmの最小の直径を、特に枢動軸に横断する方向に沿ってまたは枢動軸の周りにおいて有することができる。例えば、凹部は、少なくとも1.5cmまたは少なくとも2.0cmまたは少なくとも2.5cmの最小直径を持つ円形または楕円形をピボット軸に沿った断面において有してもよい。例えば、直径は、3.0cmまたは実質的に3.0cmであってもよい。
【0077】
凹部の形状、特にその断面形状および直径は、治療されるべき足に、特に中足骨趾骨間の関節の横方向に突出する部分(セクション)の形状に適合されてもよい。これは、使用者群に特有の整形外科的分類または生理学的分類に基づいて行われることができる。例えば、足装具は、このように、異なるサイズの足を持つ使用者群、および/または異なるサイズの中足骨趾骨間の関節の側方に突出する部分(セクション)、特に偽外骨腫(エキソスタシス)を持つ使用者群のために提供されることができる。
【0078】
スイベルジョイントの枢動軸は、中足骨趾骨間の関節のベース関節軸、特に屈曲-伸展運動軸と一致し、つまり該軸に整列されていてもよく、または実質的に一致してもよい。代替的に又は追加的に、枢動ジョイントの枢動軸は、第1矯正力および/または第2矯正力に平行に又は実質的に平行に配置されてもよい。
【0079】
スイベルジョイントは、足装具の締結状態において、つま先セグメントとボールセグメントとの間の相対的な枢動(ピボット)運動が、枢動軸に対して斜めまたは直角に配置された軸の回りに動けなくされるように設計されてもよい。スイベルジョイントは、相対的な枢動運動が枢動軸の回りのみで許されるように設計されることができる。言い換えると、スイベルジョイントは、枢動軸の回りの枢動運動が解除され、一方で、枢動軸に対して斜めまたは垂直な軸を中心とする枢動運動が遮断される、ように構造的に設けられてもよい。このように、スイベルジョイントの簡単かつコンパクトな設計が提供され得る。
【0080】
ジョイントユニット、特にスイベルジョイントは、つま先セグメントに結合され、特にそれに一体的に結合されまたは接着により接合される第1ジョイント要素と、第1ジョイント要素に係合されると共に、ボールセグメントに結合され、特に一体的に結合されまたは接着により接合される、対応して設計された第2ジョイント要素と、を含むことができる。第1ジョイント要素および第2ジョイント要素は、枢動軸に沿って、特に枢動軸に沿った第1方向および反対の第2方向に、および/またはスイベルジョイントの枢動軸に対して横方向に、形状を合わせたはめ合わせにより係合され得る。
【0081】
スイベルジョイントは、締結状態で、第2ジョイント要素が足と第1ジョイント要素との間に配置されるように設計されてもよい。このように、添え木付きつま先の屈曲運動中に、足に接して当たるスイベルジョイントのセクション(部分)が、中足骨趾骨間の関節の横方向に突出する部分(セクション)に対して枢動されることを防止することができる。これは、足装具の装着の心地よさを増加させ得る。
【0082】
第2ジョイント要素は、第1ジョイント要素によって形成されたジョイントリングの枢動軸の回りの移動を案内するスイベルジョイントのジョイントピンを形造ることができる。あるいは、第1ジョイント要素がジョイントピンを形成し、第2ジョイント要素がジョイントリングを形成してもよい。ジョイントピンは、好ましくは、中空ピンの形状において設けられ、中空ピンの中空セクションが凹部(リセス)を構成する。ジョイントリングおよびジョイントピンは、それらが、枢動軸に沿って、特に第1方向におよび騒動軸に沿った反対の第2方向に、形を合わせはめ合わせられるような形態で設計されおよび係合されてもよい。
【0083】
ジョイントピンは、幾何学的設計に見なされるものとして、ジョイントリングの形状に適合させてもよい。ジョイントリングは、第1案内面を備えてもよく、第1案内面は、ジョイントピンの第2案内面に対応して形成され得る。第1案内面および第2案内面は、特に摺動面および軸受面を構成するものであり、また互いに、特に実質的にクリアランスなしでまたは所定のクリアランスを伴って、係合され得る。枢動運動中に、第1案内面及び第2案内面を、互いに相対的に移動させることができる。
【0084】
ジョイントリングの第1案内面は、径方向内向き付けられた面、すなわちピボット軸に面する面であってもよく、またはそれを含んでもよい。第1案内面は、枢動軸の回りに周方向に延びていてよく、枢動軸の回りに環状に配置されていてよい。
【0085】
ジョイントピンの第2案内面は、径方向に外側に向けられた面であってもよく、または備えてもよく、この面は、特にジョイントピンの側面を構成し得る。第2案内面は、ピボット軸の回りに周方向に延びていてよく、枢動軸の回りに環状に配置されてもよい。
【0086】
さらに、ジョイントピンは、遠位端および/または近位端において周方向の放射状の肩(ショルダー、肩部)を備えてもよく、肩は、特にスナップホックによって、枢動軸の方向にジョイントリングとジョイントピンとの間を固定する形を合わせてはめ合った接続部またはアンダーカットの固定部を提供する。足装具の内側(正中線に近い)の外側面に実質的に平坦な外側輪郭または外面を提供するために、この肩部は、ジョイントリング上において、対応して設計されたレセプタクルまたは凹部に受容されてもよい。代替的に又は追加的に、別個のロックリングが設けられることができ、ロックリングは、ジョイントリング又はジョイントピンのところの対応して設計された溝に挿入されることができる。この放射状の肩部は、スイベルジョイントの軸方向においてジョイントリングに重なると共に特にジョイントリングの回りに係合するような様式で、枢動軸に沿って延びていてもよい。これの配置によって、被施術の足が受容溝またはジョイントリングに接触することを防止することができ、それによって患者の快適性を増加させる。
【0087】
第1案内面および第2案内面は、少なくとも1つの軸方向に区切る側面、例えば2つの対向する側面を備えて、ピボット軸に沿って形を合わせはめ合わせ接続を提供することができる。この配置によって、スイベルジョイントのピボット軸の方向の力、特に曲げ力を構成部品間で伝達されることができる。
【0088】
一構成によれば、ジョイントピン、特に第2ジョイント要素、またはジョイントリングには、受容溝が設けられることができ、受容溝は、枢動軸の周りに周方向に配置されると共に径方向に延在する。受容溝は、枢動軸に沿った軸方向において、区切られてもよく、特に横方向に区切られてもよい。受容溝の内面は、接触および摺動の面、すなわち第1案内面または第2案内面を構成することができる。言い換えると、受容溝は、枢動軸に沿った縦断面において、実質的にU字形の接触または摺動の面を形成することができる。対応して設計された案内面は、受容溝に対応して設計された接続リングのところに設けられることができる。接続リングは、受容溝内において案内されるようにしてもよく、また枢動軸の回りに周方向に受容溝に対して回動されるようにしてもよい。接続リングと受容溝との係合状態においては、接続リングは、枢動軸の軸方向において第1ジョイント要素と第2ジョイント要素とが互いに嵌め合わせで接続されるように、受容溝に配置されている。
【0089】
換言すれば、ジョイントピンには、ジョイントリングの対応して設計された接続リングが案内される受容溝が設けられてもよい。あるいは、ジョイントリングには、受容溝が設けられてもよく、受容溝では、ジョイントピンの対応して設計された接続リングが案内される。このジョイントユニットは、足装具の締結状態において、第2ジョイント要素が、足と第1ジョイント要素との間に配置されるように設計されてもよく、ここで、第2ジョイント要素の接続スタッドは、受容溝を形成するものであって、またスイベルジョイントの凹部(リセス)又は貫通孔の境界を周方向に定め、特に径方向に境界を定める。接続スタッドは、接続スタッドがジョイントユニットの軸方向に、第1ジョイント要素、特に接続リングに重なると共に、特にその周りに係合するまたは包含するように、枢動軸に沿って伸びていてもよい。この形態によって、被施術の足が受容溝または接続リングに接触することを防止することができ、それによって患者の装着の心地よさを増加させることができる。
【0090】
さらなる発展形態によれば、ジョイントユニットは、運動の自由度を保証するものであって、また固定状態において、足背および/または足裏(ソール)の面に沿って配置されてもよい。言い換えれば、ジョイントユニットは、足底面に、つまり足の足底上にまたは足の底面の領域内に、および/または、足の背側に、つまり足の背側上にまたは足の背面の領域に配置され得る。これは、足装具の構造的に単純なおよび省スペースの設計を可能にする。
【0091】
より具体的には、ジョイントユニットは、背側および/または足底に配置され得るものであって、また足幅方向に沿って、または第1矯正力および第2矯正力に平行に、特につま先ベースセグメントおよび/またはボールベースセグメントの全幅に沿って延在し得る。このような構成によって、つま先ベースセグメントおよび/またはボールベースセグメントの薄く平坦な形状を達成することができる。これ故に、つま先ベースセグメントおよび/またはボールベースセグメントは、矯正力の方向に加えられる応力に対して高い幾何学的慣性モーメントを有することができ、一方で、同時に小さい断面表面を提供して、それによって、特に足装具のコンパクトな設計に寄与する。
【0092】
ジョイントユニットは、背側および/または足底に配置され得るものであって、曲げジョイントまたは屈曲ジョイントの形状において、特に単一ジョイントヒンジの形状において、例えばフィルムヒンジの形状において提供され得る。フィルムヒンジには、横方向の力、特にせん断力に対するその堅牢性が高まるように、補強された端部が設けられることができる。さらに、接続セクションは、複数の軸平行または実質的に軸平行な単一ジョイントヒンジを、例えば直列に配置された複数のフィルムヒンジの形状において備えてもよい。直列に配置された複数のフィルムヒンジは、それらのヒンジ端部において、適切な手段によって互いに連結され、また横方向の力に関して補強され得る。このように、足装具の枢動運動性をさらに高め、着用快適性を向上させることができる。
【0093】
代替的または追加的に、ジョイントユニットは、背側および/または足底に配置され得るものであって、また曲げジョイントを備えてもよい。足装具は、曲げジョイントに隣接して配置されるつま先セグメントおよびボールセグメントの領域と比較して、曲げジョイントが、枢動軸の周りの枢動運動に対してより少ない曲げ剛性を提供する、ように設計され得る。
【0094】
この目的のために、曲げジョイントには、その曲げ剛性、特にその幾何学的慣性モーメントを枢動軸の回りの曲げ応力に関して低減する幾何学的設計が設けられることができる。例えば、曲げジョイントの領域における足装具は、つま先トウセグメントおよびそれに隣接するボールセグメントの領域と比較して、より小さい厚さを有し得る。
【0095】
代替的に又は追加的に、曲げジョイントは、その曲げ剛性を低減する材料組成を有してもよい。例えば、足装具は、それが曲げジョイントの領域の材料から作製されるように設計されることができ、曲げジョイントの領域は、それに隣接して配置された領域の材料と比較して、より低い弾性率および/またはより低い強度および/またはより低い硬度を有する。
【0096】
代替的に又は追加的に、足装具は、枢動軸に対して横方向に又は足装具の長手方向軸に対して平行に延在する繊維、特に引張剛性の繊維を有するジョイントユニットの領域における複合材料から作製されてもよい。この構成によって、足装具の荷重指向性および耐久性のある設計が保証され得る。
【0097】
一実施形態によれば、ボールセグメント、特にボールベースセクションは、力伝達および/またはトルク伝達の様式において、中足骨セグメント、特に中足骨ベースセクションに結合され得る。一実施形態によれば、ボールセグメント、特にボールベースセクション、および中足骨セグメント、特に中足骨ベースセクションは、ボールセグメントおよび中足骨セグメントが、互いに対して、特に足装具の長手方向軸および/または横軸に沿って、並進的に変位可能であるように、互いに結合されることができる。さらに、ボールセグメントおよび中足骨セグメントは、これらが互いに対して所望の位置に固定され得るように、特に、圧力ばめおよび/または形を合わせてはめ合わせの様式で固定され得るように設計されることができる。この構成によって、足装具は、治療されるべき足のサイズに適合させることができる。そうするために、ボールセグメントと中足骨セグメントとの間の結合は、選択的に動けなく(ロック)されまたは解除されることができる。ボールセグメントと中足骨セグメントとの間の結合の解除状態においては、ボールセグメントおよび中足骨セグメントは、所望の相対位置を調整するために、互いに対して並進的に変位され得る。その際、その結合は、ボールセグメントと中足骨セグメントとの間の相対的な並進運動が動けなくされるように、力によって動けなくされ、および/または閉鎖(closure)を形成することができる。
【0098】
代替的に又は追加的に、ボールセグメントは、更なるジョイントユニットを介して中足骨セグメントに結合されてもよく、更なるジョイントユニットは、上述のように足の背側および/または底側のジョイントユニットに対応する様式で提供され得る。
【0099】
さらなる発展形態では、足装具、特につま先セグメントおよび/またはボールセグメントおよび/または中足骨セグメントには、その/それらの内側において、サポート層またはコーティング、特に緩和(クッションニング)コーティング、例えばクッション性ポリ塩化ビニル(PVC)コーティングまたはポリウレタン(PU)コーティングが設けられることができ、ここで、特にコーティングは、コーティングを担持する(carry)足装具のセクションと比較して、より柔らかい、つまりより低い硬度を有する。コーティングは、足装具のセクションまたはセグメントのうちの少なくとも1つの内側に適用されることができる。用語「内側」は、固定状態において足に面する足装具の領域を指す。緩和(クッションニング)コーティングは、足装具または肢部(limb)の内側表面に、固体またはゲルの形態の添加処理において適用されることができる。例えば、緩和(クッションニング)コーティングは、積層物(ラミネーション)を形成することまたはラミネート加工によって適用されてもよい。さらに、適切なPVC材料またはPU材料が溶融されると共に副え木(スプリント)上に押し付けられて、コーティングを生成することができる。追加的にまたは代替的に、コーティングは、液体状態で、特に浸漬、手を加えること(ドクターリング)、ローラー塗布、噴霧、発泡または任意の他の適切な方法によって適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
本発明のさらなる実施形態は、図を参照して以下においてより詳細に説明され、それらの図面は以下に示される:
【0101】
【
図1】
図1は、患者の足に固定された状態における一実施形態による足装具の斜視図である;
【
図2】
図2は、
図1に描かれている足装具を示す図面であって、概観の理由で足が示されていない図面である;
【
図3】
図3は、
図1に描かれている足装具を示す図面であって、概観の理由で足が示されていない図面である;
【
図4】
図4は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図5】
図5は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図6】
図6は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図7】
図7は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図8】
図8は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図9】
図9は、
図1および
図2に示される足装具を、足から離された状態で示す図面である;
【
図10】
図10は、さらなる実施形態による足装具の斜視図である;
【
図11】
図11は、さらなる実施形態による足装具の斜視図である;
【
図12】
図12は、さらなる実施形態による足装具の斜視図である;
【
図13】
図13は、さらなる実施形態による足装具を示す図面である。
【
図14】
図14は、さらなる実施形態による足装具を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下において、図面に基づいて好ましい実施形態を説明する。図中において、同一の、類似の又は類似作用の要素には同一の参照番号を付し、重複を避けるためにその繰り返しの説明を省略することができる。
【0103】
図1は、足の位置異常を矯正するための足装具10の実施形態を示す。特に、
図1に示される足装具10は、外反母趾、すなわち、親指(母趾)12の病的な位置異常、これは足の親指(母趾)の中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)14の外反位とも呼ばれるもの、および中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)14の病的な位置異常、これは足の親指(母趾)の内反位とも呼ばれるもの、を治療するために意図されると共に提供される。さらに、図示の足装具10は、外反母趾を防止するために使用されることができる。簡便の理由から、以下においては、「親指(母趾)」という用語は「つま先(足指)」の用語によって略記され、「親指(母趾)の中足骨趾骨間の関節」という用語は「つま先の中足骨趾骨間の関節」の用語によって略記される。
【0104】
図1から分かるように、足装具10は、クランプ(締め具)、特にテンションクランプの様式において、および所定の位置において、治療されるべき足に固定されるように構成される。足装具10は、締結状態において、足に、特につま先12(足指)および中足骨趾骨間の関節14の領域に選択的に矯正力を適用することによって、治療的に足に作用させるように設計されると共に構成され、以下でさらに明記される。
【0105】
図示した足装具10は、患者の右足に使用されるように設計されている。患者の左足の治療のために、
図1に示される実施形態に対して鏡面対称である足装具が使用されてもよい。
【0106】
足装具10は、つま先12に固定されるように構成されたつま先セグメント16、および中足骨趾骨間の関節14の領域に配置されるように構成されると共に中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)14に締めつけされるボールセグメント18(母指球セグメント)を備える。つま先セグメント16およびボールセグメント18は、ジョイントユニット20によって互いに対して旋回可能に接続される。足装具10は、さらに、足の中足骨の領域へまたは足の中足骨の領域において留められるように構成された中足骨セグメント22を備える。中足骨セグメント22は、力及びトルクを伝達する様式でボールセグメント18に結合される。
【0107】
足に留められた状態では、
図2に示されるように、足装具10は、つま先セグメント16を介してつま先12に第1矯正力F1を作用させ、ボールセグメント18を介して中足骨趾骨間の関節14に第2矯正力F2を作用させ、中足骨セグメント22を介して中足骨に保持力F3を加えるように構成される。第2矯正力は、第1矯正力F1に対して反対であり、特に第1矯正力F1に対して平行であり、また第1矯正力F1から間隔をあけて離れている。保持力F3は、第3矯正力であってもよいものであって、第1矯正力F1の方向を指し、第1矯正力F1と平行でありまた離間している。
【0108】
力F1、F2、F3は、足装具10の使用中に治療される足に作用するものであって、
図2に例示されており、この図では、より良好な視覚化のために足が示されていない。簡単にするために、対応する力F1、F2、F3は、個々のベクトルの形式において示されており、ここで、当然のことながら、これらの力の各々は、使用中に足装具と足との間の対応する接触面を介して分散的に(纏まってではなく別々に)作用される。
【0109】
以下に特定されるように、足装具10の個々のセグメント16、18、22は、弾性的に変形可能であり、ここで、足装具10によって足に加えられる異なる力F1、F2、F3は、足装具10の弾性変形によって誘起される曲げ力および/またはクランプ力(締め力、締め付け力、つかみ力)の形態において提供される。この構成によって、足装具10によって加えられる力F1、F2、F3は、足が動いているときでもおよびその形状が使用中に変化させられているときでも、足に持続的に加えられることが保証され得る。
【0110】
第1矯正力F1、第2矯正力F2及び保持力F3は、平行又は実質的に平行に配置されると共に、互いに対して離されている。第1矯正力F1および保持力F3は、内側方向を向いており、足装具10の横軸Yに平行または実質的に平行である。第2矯正力F2は、横方向を向いている。第1矯正力F1、第2矯正力F2、及び保持力F3は、さらに、足装具10の縦軸X及び垂直軸Zに直交するまたは実質的に直交するように配置されている。
【0111】
つま先セグメント16は、ブラケット(取り(据え)付け具、例えばL字型)またはクランプ(締め具)の形態、特に張力クランプまたは曲げクランプの形態において提供され、このクランプは、締結状態においてつま先12の周囲に係合する、すなわち、つま先を取り囲む。図示の構成では、つま先セグメント16は、足の内側から延在しており、ボールセグメント18から始まるものであって、つま先12の下側に沿ってつま先12の横側(外側)に延びる。これ故に、つま先セグメント16は、部分部分に、すなわち部分的につま先12の下側に沿って延在する。あるいは、つま先セグメント16は、つま先12の上側に沿って延在してもよい。図示の構成では、つま先セグメント16は、
図1に示されるように、つま先セグメント16がつま先12および中足骨趾骨間の関節14の一方の側からつま先12の反対側まで延在するように、長手方向軸Lの回りに1πラジアンの弧度にわたってつま先に沿って延在する。
【0112】
つま先セグメント16は、つま先12のための接触面24を含む。接触面24は、旋回面(turning surface)の形態において提供され、その向き、すなわち、その表面法線は長手のつま先軸Lに沿って変化し、好ましくは長手のつま先軸を指し示す。この構成により、接触面24、またこれ故につま先セグメント16も、つま先12の周りの螺旋線に沿って延びる。
【0113】
つま先セグメント16は、締結状態において、治療されるべきつま先12とジョイントユニット20との間の第1矯正力F1の方向にせん断力および/または曲げ力を伝達するように構成され、それによって、第1矯正力F1を生成することに寄与する。
【0114】
第1矯正力F1をつま先12に作用させるために、つま先セグメント16は、足装具10の締結状態において、つま先12の横側面、すなわち、つま先12の横方向を指す側面、に接触するつま先サポートセクション26を備える。つま先サポートセクション26は、つま先セグメント16の遠位端セクションによって形成される。つま先セグメント16は、さらに、つま先ベースセクション28を備え、つま先ベースセクション28は、
図2に点線で示されるように、つま先サポートセクション26に一体的に結合されると共に接着接合され、かつそれに隣接して配置される。
【0115】
つま先セグメント16、特につま先サポートセクション26は、曲げバネまたはバネの要素の形状で設けられる。これ故に、第1矯正力F1は、つま先セグメント16の弾性変形によって誘起されるクランプ力または曲げ力の形態において提供される。換言すれば、つま先セグメントは、締結状態において、足装具10が足から外されている状態においてつま先セグメント16が配置される休止位置(つま先セグメント16の休止位置)に対して第1矯正力F1とは反対方向につま先セグメント16が弾性的に偏向されるクランプ位置につま先セグメント16が配置されるように構成される。
【0116】
つま先セグメント16のこの構造的構成を図示するために、
図4は、足から取り外されると共に係合解除された状態において足装具10を示しており、その状態では、つま先セグメント16がその休止位置に配置されている。さらに、破線30によって、つま先セグメント16の状態が示されており、その状態では、クランプ位置、すなわち締結状態に配置されている。クランプ位置では、つま先サポートセクション26の端セクションは、休止位置に関して、第1矯正力F1と反対の方向に沿って、少なくとも0.3cm又は0.5cm、例えば少なくとも1.0cm、偏向されると共に並進的に変位される。
【0117】
足装具10の固定状態では、ボールセグメント18は、中足骨趾骨間の関節14の領域に配置されると共に、中足骨趾骨間の関節14の領域における足に接して横たわる。言い換えると、ボールセグメント18は、中足骨趾骨間の関節14の領域において足と係合されて、中足骨趾骨間の関節14における足とボールセグメント18との間に力伝達結合を足装具10の固定状態において提供するように構成されている。特に、固定状態では、ボールセグメント18は、足のボール状の横向き突出の領域において足に接触しており、この領域は偽外骨腫(エキソスタシス)と呼ばれる。図示の構成では、ボールセグメント18は、ジョイントユニット20の枢動軸Sに沿って延びる貫通孔32を備える。貫通孔32を半径方向に区切るボールセグメント18の縁部34、特に丸みを帯びた縁部34は、ボール形状の突出部の周りにおいて周方向に足に接触する。言い換えれば、中足骨趾骨間の関節14の一部分(あるセクション)、特にボール状の突起は、貫通孔32内に受容されると共に配置される。ボールセグメント18の貫通孔32は、その断面に沿って少なくとも2cmまたは2.5cmの直径、特に最小直径を有してもよい。
【0118】
第2矯正力F2を足に作用させるために、ボールセグメント18は、ボールサポートセクション36を含み、ボールサポートセクション36は、足装具10の固定状態において、中足骨趾骨間の関節のボール(丸くふくらんだ部分)に接触し、より具体的には、内側および足底の部分のところで中足骨趾骨間の関節の(丸くふくらんだ部分)ボールに接触する。ボールセグメント18は、ボールベースセクション38をさらに備えてもよく、ボールベースセクション38は、足の足底面に沿って延在するボールセグメント18の部分(セクション)を構成する。ボールベースセクション38は、
図3に破線で示すように、ボールサポートセクション36に一体的に結合されると共に接着接合され、また隣接して配置される。
【0119】
ボールセグメント18、特にボールサポートセクション36は、曲げバネの形態で設けられる。これ故に、第2矯正力F2は、ボールセグメント18の弾性変形によって誘起されるクランプ力または曲げ力の形態において提供される。換言すれば、ボールセグメント18は、締結状態では、足から取り外された足装具10の状態においてボールセグメントが配置される休止位置に対して、第2矯正力F2と反対方向にボールセグメントが弾性的に偏向されるクランプ位置にボールセグメント18が配置されるように構成される。クランプ位置におけるボールサポートセクション36の端部セクションは、第2矯正力F2と反対の方向に沿って休止位置に対して少なくとも0.3cm又は0.5cmだけ偏向されると共に並進的に変位させられることができる。ボールセグメント18の相対的な偏向は、つま先セグメント16の相対的な偏向より小さくてもよい。
【0120】
ボールセグメント18は、中足骨セグメント22に力およびトルク伝達方式において接続される。中足骨セグメント22は、治療されるべき足の中足骨に固定されるように構成される。さらに、中足骨セグメント22は、ボールセグメント18に対向して(反対側に)、特にボールサポートセクション36に対向して、部分的に配置される。中足骨セグメント22は、ブラケットまたはクランプ、特にクランプイング(締め付け)ブラケットの形態で提供され、ブラケットまたはクランプは、足装具10の固定状態において、横側中足骨領域、特につま先とかかとの間の横側領域の辺りに部分的に係合する。中足骨セグメント22は、ブラケットの形態で提供されるものであって、締結状態において、せん断力および/または曲げ力を特に保持力の方向に受けると共に、治療されるべき足の中足骨とボールセグメント18との間でこれらの力を伝達する、ように構成されてもよい。
【0121】
中足骨に保持力を加えるために、中足骨セグメント22は、中足骨サポートセクション40を備え、中足骨サポートセクション40は、足装具10の固定状態において中足骨の横側に接して配置される。中足骨サポートセクション40は、中足骨セグメント22の端部セクションによって形成されることができる。中足骨セグメント22は、中足骨ベースセクション42をさらに含む。中足骨ベースセクション42は、
図2に点線によって示されるように、中足骨サポートセクション40に一体的に結合されると共に接着接合され、またそれに隣接して配置される。
【0122】
中足骨セグメント22、特に中足骨サポートセクション40および中足骨ベースセクション42は、曲げばねまたはばね要素の形態において提供される。これ故に、保持力F3は、中足骨セグメント22の弾性変形によって誘発される曲げ力またはクランプ力の形態において提供される。言い換えれば、中足骨セグメント22は、締結状態において、足から足装具10が取り外された状態に中足骨セグメント22が配置される休止位置(中足骨セグメント22の休止位置)に関して、保持力F3に反対の方向に中足骨セグメント22が弾性的に偏向されるクランプ位置に中足骨セグメント22が配置されるように構成される。この構造的構成は、中足骨セグメント22がクランプ位置に、すなわち締結状態に、配置される中足骨セグメント22の状態を示す更なる破線44によって
図4に示されている。クランプ位置における中足骨サポートセクション40の端部セクションは、その休止位置に関して、保持力F3と反対の方向に沿って、少なくとも0.5cmまたは1.0cm、例えば2cmで偏向されると共に並進的に変位される。
【0123】
足装具を足に固定するために、中足骨セグメント22および/またはつま先セグメント16には、任意選択に、帯具(包帯)を設けることができる。例えば、つま先セグメント16は、つま先セグメント16に対して、つま先セグメント16において留められた(クランプされた)つま先12を圧力ばめ(圧入)および/または形状的にぴったり合わされて(嵌め合わされて)固定する帯具またはサポートバンドを使用してもよい。そうするために、帯具またはサポートバンドは、少なくとも部分的にその周方向につま先12に当接していてもよく、またつま先セグメント16に接続され得る。さらにまた、中足骨セグメント22には、第2帯具(包帯)またはサポートバンドを設けることができ、第2帯具またはサポートバンドは、中足骨セグメント22内の中足骨を圧力ばめ(圧入)方式および/または形状的にめ合わせる方式で固定するために、中足骨の周りにその周方向に延びると共に中足骨セグメント22にその端部において連結される。
【0124】
つま先セグメント16および/またはボールセグメント18および/または中足骨セグメント22は、薄壁で形成されて(仕切られて)いてもよい。特に、つま先セグメント16および/またはボールセグメント18および/または中足骨セグメント22は、3mm未満または2mm未満または1mm未満の最大厚さを有するプレート状および/またはシェル状の要素によって形成されてもよく、またはそれらからなってもよい。
【0125】
つま先セグメント16、ボールセグメント18、および中足骨セグメント22は、好ましくは、プラスチック材料で作られる。特に、プラスチック材料が使用されることができ、高い力、すなわち矯正力F1、F2および保持力F3より高い力、または熱に晒されたときに塑性変形可能である。この構成によって、足装具は、その幾何学的設計において、治療されるべき足に容易に適合され得る。このように、弾性変形によって誘起される矯正力及び保持力F1、F2、F3も適合されることができる。
【0126】
さらなる発展形態によれば、サポートセクション26、36、40のうちの少なくとも1つは、それに隣接して配置されたベースセクション28、38、42に比較して、より低い剛性を、特に第1または第2矯正力F1、F2の方向における剪断力および/または曲げ力に対して有することができる。具体的には、少なくとも1つのサポートセクション26、36、40は、隣接するベースセクション28、38、42の材料に比較して、より低い弾性率またはより低い硬度、例えばより低いショア硬度を有する材料から作製されてもよい。
【0127】
上述のように、つま先セグメント16およびボールセグメント18は、ジョイントユニット20によって、枢動軸Sを中心として互いに枢動可能に結合される。図示の構成では、ジョイントユニット20の枢動軸Sは、中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)14の屈曲-伸展関節軸に整列して、または実質的に整列して配置される。屈曲-伸展関節軸は、屈曲および伸展の運動中に中足骨に対してつま先12がその周りを枢動回転させられる関節軸であると理解される。これは、締結状態において、ジョイントユニット20を足の内側に配置することによって達成される。
【0128】
図1から
図9に示される構成では、ジョイントユニット20は、スイベルジョイントの形態において、より具体的には貫通孔32の周囲に配置されるハブ無しリングジョイントの形態において設けられる。言い換えれば、ジョイントユニット20には、貫通孔32、または代替的に、凹部(リセス)が設けられ、そこでは、中足骨趾骨間の関節(中足指節関節)14の内向きの突出部、特に偽外骨腫(エキソスタシス)が、貫通孔32に関連して前述されたように、締結状態で部分的に受容される。
【0129】
図7は、枢動軸Sに沿ったジョイントユニット20の長手方向断面を示す。ジョイントユニット20は、少なくとも2つの構成要素によって構成され、しかしこれに限定されることなく、代替的な実施形態では、2つより多い構成要素によって構成されてもよい。
【0130】
特に、ジョイントユニット20は、つま先セグメント16に結合され、特にそれに一体的に結合されまたは接着接合される第1ジョイント要素46と、第1ジョイント要素46に係合されると共にボールセグメント18に結合され、特にそれに一体的に結合されまたは接着結合される、対応して設計された第2ジョイント要素48とを備える。特に、第1ジョイント要素46は、つま先ベースセクション28の端部セクションによって形成されることができ、第2ジョイント要素48は、ボールサポートセクション36の端部セクションによって形成されることができる。第2ジョイント要素48には、受容溝50が設けられており、受容溝50は、枢動軸Sの周囲に周方向に延びると共に第1ジョイント要素46の相補的に設計された接続リング52に係合される。受容溝50は、さらに、受容溝50が枢動軸Sに沿った両方の軸方向に区切られると共に径外向き方向の開口を備えるように、枢動軸Sに対して径方向に延びる。開口を介して、接続リング52が受容溝50内に突出する。言い換えれば、枢動軸Sに沿った縦断面において、受容溝50は、接続リング52のための実質的にU字状の接触またはスライドの面を有する。これ故に、受容溝50および接続リング52が、枢動軸Sに沿って両方向に形状に合わせてはめ合わされる。この構成によって、第1及び第2ジョイント要素46、48間の連結が意図せずに解除されることを効果的に防止でき、同時に、ジョイントユニット20のシンプルで堅牢な設計が確保され得る。
【0131】
ジョイントユニット20は、足装具10の締結状態において、第2ジョイント要素48が、足と第1ジョイント要素46との間に配置され、ここで、第2ジョイント要素48の接続スタッド54は、受容溝50を形成するものであって、また動径方向に貫通孔32を周方向に区切るように設計されるように構成される。接続スタッド54は、ジョイントユニット20の軸方向に、すなわち枢動軸Sに沿って接続スタッド54が第1ジョイント要素46に重なるように、枢動軸Sに沿って延びている。具体的には、接続スタッド54は、接続リング52の周りにおいて係合する。
【0132】
図8に示されるように、ボールベースセクション38および中足骨ベースセクション42は、ボールベースセクション38および中足骨ベースセクション42が軸に沿って互いに対して並進的に変位可能であるように互いに結合されており、その軸は、ある平面内にあり、しかし
図8において矢印Aによって示されるように足装具10の長手方向軸Xおよび横方向軸Yに直角である。言い換えると、2つのセクション38、42は、足装具10の長手方向軸Xおよび横方向軸Yに沿って互いに対して並進的に変位可能である。足装具10は、2つのセクション38、42が、圧力ばめおよび/または嵌め合わせの方式で互いに対して所望の位置に固定され得るように構成される。
【0133】
任意的に、足装具10は、足クッション56をさらに備えることができ、足クッション56は、
図9において矢印Bによって示されるように、患者固有の方式に足クッション56を配置するために、ボールベースセクション38および/または中足骨ベースセクション42に解放可能に結合されると共にそれに対して変位可能であるように構成される。
【0134】
図10は、
図1~
図9に示される実施形態と、特につま先セグメント16、ボールセグメント18、およびジョイントユニット20の構成および配置において異なる足装具10の第2実施形態を示す。
【0135】
図10に示す実施形態では、ジョイントユニット20は、足に固定された状態において足裏に沿って配置される。言い換えれば、使用中に、ジョイントユニット20は足底に、すなわち足の底側上に、または足の裏(ソール)の領域内に配置される。ジョイントユニット20は、板状または殻状のつま先ベースセクション28とボールベースセクション38との端部セクションによって形成される曲げジョイントの形態において設けられる。好ましくは、ジョイントユニット20は、少なくとも1cmの長さにわたって横軸Yに沿って延在する。図示の実施例では、ジョイントユニット20は、つま先ベースセクション28およびボールベースセクション38の係合された端部セクションの全幅に実質的にわたって横軸Yに沿って延びる。
【0136】
つま先ベースセクション28およびボールベースセクション38は、矯正力F1、F2に平行な平面に沿って板状または殻状の様式において延在する。この面に沿って、ジョイントユニット20も延在すると共にそこに配置される。この構成によって、提案される足装具10、特にジョイントユニット20は、特に、矯正力F1、F2の方向において曲げ力および剪断力に対して強固であり得る。
【0137】
ジョイントユニット20は、屈曲ジョイントの形状において設けられるものであって、互いに対して隣接して配置されているつま先セグメント16およびボールセグメント18の領域と比較して、枢動軸Sの回りの軸回転運動に関して、より低い屈曲剛性を有する。具体的には、足装具10は、互いに対して隣接して配置されたそれらの領域に比較して、ジョイントユニット20の領域においてより薄い材料で作製されてもよく、および/または、より容易に曲げ可能な材料から作製されてもよい。さらにまた、足装具は、ジョイントユニット20の領域において、足装具の長手方向軸Xに対して平行にまたは枢動軸Sに対して横方向に延びる繊維、特に引張剛性の繊維を有する複合材料から作製されてもよい。例えば、ジョイントユニット20は、フィルムヒンジの形態において設けられてもよい。これに代えて、ジョイントユニット20は、スイベルジョイント、特に単一ジョイントヒンジとしての形態で設けられることもできる。
【0138】
図示の足装具10は、中足骨セグメントなしで機能する。しかしながら、治療されるべき足上において、矯正力の適切な印加を可能にする安定した位置にそれを維持するために、示された構成は、治療的処置に寄与すると共に足装具10を足に保持する保持力を提供するように、靴下または履物と組み合わせて着用されるように意図されると共に構成され得る。
【0139】
図11は、足装具10のさらなる実施形態を示しており、足装具10には、
図10に示される構成と比較して、つま先サポートセクション26に対向して配置される内側部分58を有するつま先セグメント16が設けられる。
【0140】
図12は、足装具10のさらなる実施形態を示しており、足装具10には、
図10および
図11に示される構成と比較して、中足骨セグメント22が設けられる。中足骨セグメント22は、サポートバンド(図示せず)のための連結要素60が設けられた中足骨サポートセクション40を備える。図示の構成では、連結要素60は、スリット開口の形態で提供され、中足骨の周りに巻かれるときに、スリット開口を通してサポートバンドが案内され、それによって、治療されるべき足に足装具10を固定すると共にサポートバンドを介して足に保持力を加える。中足骨セグメント22は、別の枢動軸(ピボット軸)S2を中心に枢動可能であるように、別のジョイントユニット62を介してボールセグメント18に結合されており、別の枢動軸(ピボット軸)S2は、つま先セグメント16とボールセグメント18との間においてジョイントユニット20の枢動軸Sに平行に設けられる。更なるジョイントユニット62は、ジョイントユニット20に対応する方式で設計される。
【0141】
図13および
図14は、足装具10のさらなる実施形態を示し、ここで、中足骨セグメント22は、2つの対向する中足骨サポートセクション40を備え、各々は連結要素60を有しており、連結要素60を介して、サポートバンド64が、中足骨の周りに巻き付けられるように通される。
【0142】
適用可能な場合、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に示される個々の特徴のすべては、組み合わされ、および/または交換されることができる。
【符号の説明】
【0143】
10 足装具
12 つま先
14 中足骨趾骨間の関節
16 つま先セグメント
18 ボールセグメント
20 ジョイントユニット
22 中足骨セグメント
24 接触面
26 つま先サポートセクション
28 つま先ベースセクション
30 つま先セグメントのクランプ位置
32 凹部(リセス)または貫通孔
34 貫通穴のエッジ
36 ボールサポートセクション
38 ボールベースセクション
40 中足骨サポートセクション
42 中足骨ベースセクション
44 中足骨セグメントのクランプ位置
46 第1ジョイント要素
48 第2ジョイント要素
50 受容溝
52 接続リング
54 接続スタッド
56 足クッション
58 側部分(サイドセクション)
60 結合要素
62 更なるジョイントユニット
64 サポートバンド
F1 第1矯正力
F2 第2矯正力
F3 保持力
L つま先長手方向軸
S1 枢動軸(ピボット軸)
S2 別の枢動軸(ピボット軸)
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の位置異常を矯正する、特に外反母趾を治療するための足装具(10)であって、
つま先(12)に固定されるように構成されたつま先セグメント(16)、およびジョイントユニット(20)により互いに対して枢動可能に接続された中足骨趾骨間の関節(14)の領域に配置されるように構成されたボールセグメント(18)を備え、
前記足装具(10)が適切に前記足に固定される締結状態において、前記足装具(10)は、前記つま先セグメント(16)を介して第1矯正力(F1)を前記つま先(12)に作用させると共に、前記ボールセグメント(18)を介して前記中足骨趾骨間の関節(14)に前記第1矯正力(F1)と反対向きに第2矯正力(F2)を作用させる、ように構成され、
前記ジョイントユニット(20)は、前記つま先セグメント(16)および前記ボールセグメント(18)が、前記中足骨趾骨間の関節(14)の屈曲-伸展関節軸に実質的に平行であるピボット軸(S)の回りに互いに対して枢動可能であるように構成され、
前記つま先セクション(16)は、前記締結状態において、前記つま先(12)辺りに少なくとも部分的に係合するブラケットの形態で設けられ
、前記つま先セクション(16)は、前記締結状態において、前記つま先の横側面に接して位置するつま先サポートセクション(26)を備える、
足装具。
【請求項2】
前記締結状態において、前記つま先セクション(10)は、前記つま先(12)の上側または下側に沿って部分部分に延在する、ように設計される、
請求項1に記載された足装具。
【請求項3】
前記締結状態において、前記つま先セグメント(16)は、前記第1矯正力(F1)を生成するために、治療されるべき前記つま先(12)および前記ジョイントユニット(20)との間に剪断力および/または曲げ力を前記第1矯正力(F1)の方向に伝達するように構成される、
請求項1または請求項2に記載された足装具。
【請求項4】
前記第1矯正力(F1)は、前記つま先セグメント(16)の弾性的変形によって誘起された曲げ力またはクランプ力の形態において提供される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項5】
前記締結状態において、前記つま先セグメント(16)は、前記足装具(10)が前記足から取り外された取り外し状態において前記つま先セグメント(16)が配置される前記つま先セグメント(16)の休止位置に対して、前記第1矯正力(F1)と反対側の方向に前記つま先セグメント(16)が弾性的に偏向するクランプ位置に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項6】
前記足装具(10)の前記締結状態において、中足指節のボールの横方向へ突出する部分は、前記ボールセグメント(18)の凹部または貫通孔(32)に受け入れられる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項7】
前記第2矯正力(F2)は、前記ボールセグメント(18)の弾性的な変形によって誘起されるクランプ力の形態において設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項8】
治療されるべき前記足の中足骨に取り付けられると共に、前記締結状態において、前記中足骨に保持力を作用させるように構成された中足骨セグメント(22)を更に備え、
および/または、
治療されるべき前記足のかかとに取り付けられると共に、前記締結状態において、前記足の後ろ部分に保持力を作用させる、ように構成されたヒールセグメントを備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項9】
前記つま先セグメント(16)および/または前記ボールセグメント(18)および/または前記中足骨セグメント(22)は、矯正力または保持力を前記足に導入するサポートセクション(26、36、40)およびベースセクション(28、38、42)を備え、前記ベースセクション(28、38、42)に比較して、前記サポートセクション(26、36、40)は、前記第1矯正力(F1)または前記第2矯正力(F2)の方向において剪断力および/または曲げ力に対する低い剛性を有する、
請求項8に記載された足装具。
【請求項10】
前記サポートセクション(26、36、40)は、前記ベースセクション(28、38、42)より低い弾性係数または低い強度または低い硬度を有する材料からなる、
請求項9に記載された足装具。
【請求項11】
前記締結状態において、前記ジョイントユニット(20)は、前記足のところに横方向に配置される、または前記足の背側に沿ってまたは前記足の足底に沿って延在し、
前記ジョイントユニット(20)は、スイベルジョイントまたは曲げジョイントの形態において設けられる、
請求項1から
請求項10のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項12】
前記ジョイントユニット(20)は、前記ピボット軸(S)に沿って凹部または貫通孔(32)が設けられたハブ無しスイベルジョイントの形態で設けられる、
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載された足装具。
【請求項13】
前記凹部または前記貫通孔(32)は、少なくとも2.0cmまたは少なくとも2.5cmの直径を有する、
請求項6または請求項12に記載された足装具。
【請求項14】
前記ボールセグメント(18)および前記中足骨セグメント(22)は、前記ボールセグメント(18)および前記中足骨セグメント(22)が、互いに対して、特に前記足装具(10)の長手方向軸(X)および/または横軸(Y)に沿って、並進的に変位可能であり、また圧力ばめおよび/またははめ合わせの方式において互いに対して所望の位置に固定可能である、ように互いに結合される、
請求項8から
請求項10のいずれか一項に記載された足装具。
【国際調査報告】