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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】照明回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20240314BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240314BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20240314BHJP
   H05B 45/335 20200101ALI20240314BHJP
   H05B 45/33 20200101ALI20240314BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B47/105
H05B45/325
H05B45/335
H05B45/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558727
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2022056637
(87)【国際公開番号】W WO2022200116
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21164340.8
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】エルフェリッヒ ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴドヴィン オレクサンデル ヴァレンティノヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブルルス ドミニク マリア
(72)【発明者】
【氏名】デ モル ユージェン ジャコブ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン ヒューゴ ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】アルランドゥ カルネクマール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボムメル ティース
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA07
3K273BA25
3K273CA00
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA13
3K273CA27
3K273DA02
3K273DA03
3K273DA08
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA22
3K273FA24
3K273FA26
3K273GA14
3K273GA15
(57)【要約】
照明回路は、異なるタイプの第1光源装置及び第2光源装置を、直列に有する。ドライバは、調節可能なDC成分と、調節可能な変調成分、例えば、調節可能なデューティサイクルの重畳パルス幅変調成分とを備える制御可能な電流を前記光源回路に供給する。このことは、異なるタイプの光源からの光出力束全体への寄与の制御を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源装置、及び前記第1光源装置とは異なるタイプの第2光源装置を、直列に含む光源回路と、
前記光源回路に制御可能な電流を供給するためのドライバであって、前記ドライバが、前記制御可能な電流のDC成分を設定し、前記制御可能な電流の重畳変調成分の変調を設定するよう構成され、前記光源回路に供給される前記制御可能な電流が、前記第1光源装置と前記第2光源装置との間の光出力分布を供給するドライバとを有する照明回路。
【請求項2】
前記第1光源装置が、LED装置であり、前記第2光源装置が、レーザダイオード装置及び/又はスーパールミネッセントダイオード装置である請求項1に記載の照明回路。
【請求項3】
前記ドライバが、DC電流成分を、前記レーザダイオード装置及び/又は前記スーパールミネッセントダイオード装置の閾値電流未満に設定するよう構成される請求項2に記載の照明回路。
【請求項4】
前記ドライバが、前記制御可能な電流の重畳パルス幅変調成分のデューティサイクルを設定することによって変調を設定するよう構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項5】
前記重畳パルス幅変調成分の振幅又は最大振幅が、最大で、前記DC成分の最大振幅の5倍である請求項4に記載の照明回路。
【請求項6】
前記ドライバが、前記重畳変調成分の周波数を設定するよう構成される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項7】
前記ドライバが、前記重畳変調成分の振幅を設定するよう構成される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項8】
前記重畳変調成分の振幅又は最大振幅が、最大で20Aである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項9】
前記DC成分の最大振幅が、最大で20Aである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項10】
前記第1光源装置と並列にコンデンサ回路を更に有し、前記第1光源装置がLED装置である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項11】
前記ドライバが、前記重畳変調成分の周波数を、選択的に、前記LED装置と前記コンデンサ回路との組み合わせの時定数に対応する周波数よりも高く又は低く設定するよう構成される請求項10に記載の照明回路。
【請求項12】
前記LED装置が、直列にLEDの少なくとも2つのセットを有し、前記コンデンサ回路が、LEDの各セットと並列にそれぞれのコンデンサ回路を有する請求項10に記載の照明回路。
【請求項13】
前記LED装置が、直列にLEDの少なくとも2つのセットを有し、前記コンデンサ回路が、LEDの前記セットのサブセットのみと並列にコンデンサ回路を有する請求項10乃至12のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項14】
前記ドライバが、前記DC成分を供給するための第1部分と、前記変調成分を供給するための第2部分とを有する請求項1乃至13のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の照明回路を有するランプ又は照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明回路に関し、とりわけ、異なるタイプの光源を組み合わせる照明回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ほぼ全ての照明アプリケーションにおいて、LED照明が、従来の照明形態に取って代わりつつある。LED照明は、エネルギ効率が良く、光出力色の簡単な制御、方向制御、並びに静的な及び動的な照明効果を提供する。
【0003】
しかしながら、それでも、レーザダイオード(LD)が、高輝度照明システムのための非常に小さなビーム広がりを持つ増加した光出力光束(light output flux)を提供する。
【0004】
LED及びレーザダイオードに加えて、別のタイプの固体半導体光源は、スーパールミネッセントダイオード(SLED)である。これらは、レーザダイオードの特徴と発光ダイオードの特徴とを組み合わせている。SLEDは、レーザダイオードと同様に、小さなビーム広がりを持つ高輝度光源であるが、より広いスペクトル組成及びより低い時間的コヒーレンスを示し、このことは、レーザに比べてはるかに目立たないスペックルとして現れる。
【0005】
スーパールミネッセントダイオードは、レーザダイオードとは対照的に、活性領域内に共振器ミラーを持たず、SLEDの場合、自然放出光(spontaneous emission light)が、活性層を通る伝搬中の誘導放出によって増幅される。この光は、スーパールミネッセンス(superluminescence)と呼ばれ、自然放出光は、ランダムな位相及び広いスペクトルを持つシード光(seed light)であることから、スーパールミネッセンスも、広帯域スペクトルを備える低コヒーレンス光になる。SLEDは、レーザダイオードと同様に、光・電流・電圧(LIV)特性の閾値のような挙動を示す。
【0006】
高輝度で色の調整可能な照明システムを可能にする、レーザダイオード及びLEDなどの異なるタイプの光源の利点を組み合わせるハイブリッド照明システムもある。
【0007】
異なるタイプの光源が組み合わされる必要がある場合、標準的な手法は、個別に制御可能な電流ドライバでそれらの電流を個別に制御するものである。異なるタイプの光源は、異なる光束対駆動電流特性を持つことから、これが一般的な手法である。
【0008】
図1は、LED(プロット10)及びレーザダイオード(プロット12)の光出力光束(y軸)対駆動電流(x軸)のグラフを示している。光束値(Φ_LED_rel及びΦ_LD_rel)は、2つの光源の正規化された(従って、等しい)最大光束値に基づいた相対値として示されている。
【0009】
レーザダイオードは、閾値電流i_th_LD、即ち、電流であって、前記電流未満ではレーザダイオードがほとんど全く光を生成しない電流を示し、この閾値は、LED特性には存在しない。レーザダイオードの特性は、より顕著でないドループも有し、即ち、LEDの光束対電流図は、レーザダイオードの特性に比べて、増加された駆動レベルにおいてより平らになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
異なるタイプの光源からの光出力束全体への寄与を制御することができること、例えば、光出力の組み合わせから生じる出力色を制御することができることが望ましい。しかしながら、単一ストリング構成のための、従って、ストリングの端部にコネクタを2つしか備えない、複合ドライバ(combined driver)でこれを達成することができることが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0012】
本発明の或る態様による例によれば、
第1光源装置、及び前記第1光源装置とは異なるタイプの第2光源装置を、直列に含む光源回路と、
前記光源回路に制御可能な電流を供給するためのドライバであって、前記制御可能な電流のDC成分を設定し、前記制御可能な電流の重畳変調成分の変調を設定するよう構成可能であるドライバとを有する照明回路が提供される。
【0013】
この照明回路は、第1及び第2光源タイプの直列接続(ストリング)を使用し、従って、コネクタを2つしか備えない。使用される駆動電流は、DCオフセットを持つ変調駆動電流である。前記DCオフセット及び前記変調は調節可能である。
【0014】
好ましくは、前記光源回路に供給される前記制御可能な電流は、前記第1光源装置と前記第2光源装置との間の光出力分布を供給する。
【0015】
例の或るセットにおいては、前記第1光源装置は、LED装置であり、前記第2光源装置は、レーザダイオード装置及び/又はスーパールミネッセントダイオード装置である。
【0016】
この照明回路は、例えば、LED及びレーザダイオードの直列接続(ストリング)を使用し、従って、コネクタを2つしか備えない。
【0017】
前記ドライバは、例えば、前記制御可能な電流の重畳パルス幅変調成分のデューティサイクルを設定することによって変調を設定する。前記ドライバは、随意に、前記パルス幅変調の周波数を設定する場合もある。前記ドライバは、随意に、前記パルス幅変調成分の振幅を設定する場合もある。従って、広くは、前記ドライバは、前記重畳変調成分の周波数及び/又は振幅を設定するよう構成可能であり得る。
【0018】
前記照明回路は、2つの光源タイプの間の違い、とりわけ、異なる光源技術の間の違いを活用する。第1の違いは、閾値電流特性であり、第2の違いは、光束・電流特性である。
【0019】
前記DC成分は、例えば、前記LEDと、前記レーザダイオード又は前記スーパールミネッセントダイオードとの間の光出力光束の比を変えるために、前記レーザダイオード装置又は前記スーパールミネッセントダイオード装置の、前記LED装置と比べて異なる閾値電流を活用する。前記DC成分が(変調振幅と比べて)大きければ大きいほど、LEDには閾値電流がないことから、前記LEDの光出力がより顕著になる。
【0020】
前記ドライバによって適用される、結果として生じる変調パターンは、2つの異なるタイプの光源からのそれぞれの放射の独立した制御を或る程度まで可能にする。
【0021】
前記ドライバは、例えば、DC電流成分を、前記レーザダイオード装置又は前記スーパールミネッセントダイオード装置の閾値電流未満に設定するよう構成可能である。従って、前記LED装置は、前記LED装置を、前記レーザダイオード装置又は前記スーパールミネッセントダイオード装置とは別に効果的に制御するために、レーザ閾値電流未満で動作され得る。このことは、前記LED装置のみが光を発する、回路の第1動作点をもたらす。
【0022】
前記変調成分及び前記DC成分は、異なる相対的サイズを有し得る。例えば、前記重畳パルス幅変調成分の最大振幅(又は振幅が調節可能ではない場合には単一の振幅)は、例えば、最大で、前記DC成分の最大振幅の5倍である。前記重畳変調成分の振幅は、例えば、LED発光のみが望まれる場合にはゼロに設定され得る。
【0023】
異なるタイプ及び色の光源は、異なる閾値電流(例えば、レーザダイオードは、0.1A乃至1Aの範囲内の閾値電流を有し得る)、及び(例えば、1A乃至4Aの範囲内の)異なる(連続)最大電流を有する。高出力青色レーザダイオードは、連続波5A電流で利用可能であるが、最大電流値は、時がたつにつれて、新しく開発されるダイオードチップのワット数が増加するに従って、増加している。短いパルス動作の場合、これらの最大値は数倍の倍率で克服され得る。nsパルスの場合、駆動するのは、10A以上であり得る。
【0024】
レーザダイオードのレーザレーザ発振電流閾値は、温度依存性のものであり、一般的に、定格DC電流の0.1乃至0.3倍である。
【0025】
LEDの研究によれば、前記定格DC電流の約0.5倍のDC電流からドループが見えるようになる。振幅の上限は、前記LEDの寿命を著しく損うことを避けるために、又は非効率な動作条件で駆動することを避けるために、例えば、前記定格DC電流の約2倍である。
【0026】
一般的構成要素は、約4Aまでの電流で動作し得るのに対して、内部並列構成を利用する構成要素は、例えば20Aまでのより高い電流で動作し得る。
【0027】
前記DC成分の最大振幅は、例えば、20A以下であり、前記DC成分の振幅は、例えば、0Aから最大振幅までの範囲内で制御され得る。同様に、前記重畳パルス幅変調成分の最大振幅(又は振幅が調節可能ではない場合には単一の振幅)は、例えば、20A以下である。前記ドライバは、更に、前記重畳パルス幅変調成分の振幅を設定するよう構成可能であり得る。このような場合には、前記重畳パルス幅変調成分の振幅は、例えば、0Aから最大振幅までの範囲内で制御され得る。
【0028】
振幅制御及びデューティサイクル制御は、LED光束とレーザダイオード光束との可能な組み合わせの範囲の増大を可能にする。
【0029】
前記照明回路は、前記LED装置と並列にコンデンサ回路を更に有してもよい。
【0030】
前記コンデンサ回路は、前記LED装置及び前記レーザダイオード装置から異なる応答をもたらすために、又は異なるLED装置の間でさえ異なる応答をもたらすために、周波数制御が使用され得るように、回路全体の特性を周波数依存性にする。後者の場合には、特定のLEDタイプの電気的特性を変化させ、それによって、追加の光束変調を提供するために、並列コンデンサが使用され得る。
【0031】
とりわけ、前記LEDの非線形の光束・電流特性は、(高い周波数で動作するときの)平均電流は、より低い周波数のゆっくりと循環する電流に対して異なる光出力を与えることを意味する。前記コンデンサ回路はまた、短い間隔を持つ高いピークを、より長い間隔を持つより低いピークに平滑化し、このことは、前記LEDの寿命にとって有益であり得る。
【0032】
従って、前記ドライバは、その場合、好ましくは、前記重畳パルス幅変調成分の周波数を設定するよう構成可能である。
【0033】
前記ドライバは、前記重畳パルス幅変調成分の周波数を、選択的に、前記LED装置と前記コンデンサ回路との組み合わせの時定数に対応する周波数よりも高く又は低く設定するよう構成可能であり得る。
【0034】
並列コンデンサ構成では、結果として生じる前記時定数に対応する周波数よりも低くPWM周波数を低下させることは、それによって、相対的な光出力を前記レーザダイオード装置の方へシフトさせ得る。なぜなら、前記レーザダイオード装置ではドループ現象がより顕著でないからである。
【0035】
この現象は、高い光レベルにおいて発生するのに対して、低い光レベルにおいては、(DC電流成分を利用する)上記で説明した閾値関連の現象が優位を占める(dominate)。
【0036】
前記LED装置は、直列にLEDの少なくとも2つのセットを有してもよく、前記コンデンサ回路は、LEDの各セットと並列にそれぞれのコンデンサ回路を有してもよい。その場合、このことは、異なる周波数挙動を持つ異なるLEDを規定し得る。
【0037】
他の例においては、前記LED装置は、この場合も先と同様に、直列にLEDの少なくとも2つのセットを有してもよく、前記コンデンサ回路は、LEDの前記セットのサブセットのみと並列にコンデンサ回路を有する。
【0038】
特定の例の場合、前記ドライバは、合計された、個々の出力、即ち、DC出力及び変調(例えばパルス)出力から成る出力を生成する。前記個々の出力は、個々の電力変換器又は複合電力変換器によって得られ得る。
【0039】
前記ドライバは、例えば、前記DC成分を供給するための第1部分と、前記変調成分を供給するための第2部分とを有する。
【0040】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】LED及びレーザダイオードの光出力光束(y軸)対駆動電流(x軸)のグラフを示す。
図2】照明回路を示す。
図3】出力光束に対するLED装置及びレーザダイオード装置の相対的な寄与がどのように調節され得るかを示す。
図4図3において示されている一連の動作点において動作する変調電流波形を示す。
図5図3において示されている更なる動作点において動作する変調電流波形を示すことによって、コンデンサ回路の効果を示す。
図6】ドライバの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図を参照して本発明について説明する。
【0043】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0044】
本発明は、異なるタイプの第1光源装置及び第2光源装置を、直列に有する照明回路を提供する。ドライバは、調節可能なDC成分と、調節可能な変調成分、例えば、調節可能なデューティサイクルの重畳パルス幅変調成分とを備える制御可能な電流を光源回路に供給する。このことは、異なるタイプの光源からの光出力束全体への寄与の制御を可能にする。
【0045】
本発明は、異なるタイプの技術(例えば、レーザダイオード、LED及びSLED)に適用される。従って、「異なるタイプ」という用語は、技術タイプの固有の電気的特性(例えば、閾値挙動)による異なる電気的応答を示している。
【0046】
ほんの一例として、LEDとレーザダイオードとを組み合わせる光源回路を参照して、本発明について説明する。レーザダイオードは、スーパールミネッセントダイオード、又はレーザダイオードとスーパールミネッセントダイオードとの組み合わせに置き換えられてもよい。
【0047】
図2は、(LEDの直列ストリングを含む)LED装置22及び(レーザダイオードの直列ストリングを含む)レーザダイオード装置24を直列に有する光源回路20を含む照明回路を示している。光源回路は、第1の、アノードの、端子26と、第2の、カソードの、端子28との間に接続される。
【0048】
LED装置及び/又はレーザダイオード装置は、例えば複数の並列ブランチ(parallel branch)を備える、より複雑な回路構成を含み得る。
【0049】
ドライバ30は、光源回路20に供給するための電流i_strを生成する。
【0050】
電流は、DC成分と、パルス幅変調成分などの、重畳変調成分とを有する。しかしながら、ドライバは、(DC成分のない電流を生成することを含む)DC成分の調節をすることができ、例えば、(ゼロデューティサイクルを含む可能性がある、即ち、パルス幅変調成分を含まない可能性がある)重畳パルス幅変調成分のデューティサイクルの調節をすることによって、変調成分調節することができる。
【0051】
それによって、ドライバ30により、ストリング電流i_strが変調される。
【0052】
示されている好ましい例においては、単一のコンデンサCpとして表されているコンデンサ回路が、LED装置22のLEDと並列に接続されている。
【0053】
図3は、y軸においてLED光束(Φ_LED_rel)を示しており、x軸においてレーザダイオード光束(Φ_LD_rel)を示している。この場合も先と同様に、相対的な光束値が、(点Bにおいて)同じ最大光束を持つように示されている。
【0054】
図3は、主な範囲であって、出力光束に対するLED装置及びレーザダイオード装置の相対的な寄与が、前記主な範囲にわたって調節され得る主な範囲を、領域40として表すために使用されている。この調節は、制御可能な電流のDC成分のレベルを設定することによるもの、及び制御可能な電流の重畳変調成分の変調を設定することによるものである。従って、x=yの線上の点は、2つのタイプの光源からの光束が同じである動作点を表す。その線より上では、LED光出力が相対的により優勢であり、その線より下では、レーザダイオード光出力が相対的により優勢である。従って、x=yの線から離れた動作を可能にすることによって、光出力混合が制御される。
【0055】
点線領域については、以下で更に述べる。
【0056】
図3は、回路の動作を説明するために、様々な動作点を示している。
【0057】
点A
電流は、DC成分のみを有し、レーザダイオード装置の閾値電流(図1におけるi_th_LD)未満である。従って、点AにおけるDC動作は、DC電流がレーザダイオード閾値電流(i_th_LD)未満のままである間、LED放射線のみをもたらす。LED光束は、Φ_thである。
【0058】
点B
ここでは、所与の(例えば、固定)振幅と可変デューティサイクルとを備えるパルス幅変調電流が、DC電流に重畳されている。点Bは、最大デューティサイクルdmaxのところにある。
【0059】
領域40では、パルス幅変調成分の周波数は、コンデンサ回路CpとLED装置の動的抵抗Rdynとによって形成される時定数に対応する周波数よりもはるかに高く保たれる(時定数はCp*Rdynである)。
【0060】
従って、レーザダイオード装置がパルス幅変調されている間、LED装置のLEDは依然としてDC電流を受ける。点Bでは、前記振幅及び最大デューティサイクルによって定格最大電流が生じる。
【0061】
最大DC電流i_th_LDを保ちながら、デューティサイクルをゼロから点Bの最大デューティサイクル(dmax)に変えることは、動作を、点Aから点Bに移す。
【0062】
点C
点Cは、最大デューティサイクルdmaxを保ちながらのDC電流成分の除去を表している。DCオフセットを除去することは、レーザダイオードの光出力よりもLED装置の光出力に影響を及ぼす。
【0063】
点D
点Cと点O(原点)との間では、デューティサイクルは、その最大値dmaxからゼロまで低減される。この軌道沿いでは、レーザダイオード装置からの光が、LED装置の光出力より顕著である。
【0064】
従って、領域40は、DC電流の最大レベル及びゼロレベル、並びに最大デューティサイクル比及びゼロデューティサイクル比によって境界をつけられる動作ウィンドウ(operating window)を表している。これらの2つのパラメータを制御することによって、動作ウィンドウ40内の任意の点が選択され得る。
【0065】
点B'及び点C':
パルス幅変調成分の周波数が低減される場合、LED装置の光出力は、レーザダイオード装置の光出力に対して更に幾らか減光されることができる。とりわけ、周波数は、LED回路及びその並列コンデンサの時定数に対応する周波数(即ち、周波数1/Cp*Rdyn)未満まで低減されることができる。並列コンデンサはまた、全体が、又は一部が、LEDの寄生容量によって形成されてもよい。
【0066】
ドループ現象は、線形の光束・電流特性からの逸脱をほとんど全く示さないレーザダイオードと比べてLEDにおいてより顕著である。以下で更に説明するように、この結果、周波数制御は、レーザダイオードの輝度に対してLEDの輝度を調節することができる。
【0067】
従って、前記ドライバは、重畳パルス幅変調成分の周波数を調節することができる場合もある。この効果は、レーザダイオード装置の最大光束を保ちながら、最大LED光束を減少させるものである。従って、領域40は、示されているように歪んでいる。
【0068】
LED装置を通る電流は、もはや本質的に一定ではなく、それどころか、高光束状態と低光束状態との間を振動する。非線形の光束・電流特性は、上述のドループが平均光束を変化させることを意味する。
【0069】
図4は、点A乃至点Dの変調電流波形を示している。
【0070】
点Aでは、レーザダイオード装置の閾値i_th_LDにあるDC電流しかない。
【0071】
点Bでは、最大デューティサイクルにある高周波重畳パルス幅変調成分がある。
【0072】
点Cでは、DC成分は取り除かれているが、最大デューティサイクルは保たれている。
【0073】
点Dでは、DC成分は依然として取り除かれており、デューティサイクルは低減されている。
【0074】
図5は、コンデンサ回路の効果を示しており、点B及びB'を示している。
【0075】
点Bでは、最大デューティサイクルにある(1/Cp*Rdynを超える)高い周波数の重畳パルス幅変調成分は、LED電流i_LEDにおいて小さな周期的な振動しか生じさせず、それらの充電サイクルの時定数は、パルス幅変調振動の周期よりもはるかに大きいことから、電流は、本質的にDCのままである。
【0076】
点B'では、重畳パルス幅変調成分の周波数が、(1/Cp*Rdyn未満に)低減されている。ここでは、LED装置電流i_LEDの充電サイクルの時定数は、前記振動の周期よりも短い。それによって、電流i_LEDは、小さな周期的変動のみを有するのではなく、最小値と最大値との間で上下する。その結果、電流が最も高いときの高い光出力の期間が、光束・電流特性におけるドループの影響を受けることから、平均光束は減少する。
【0077】
換言すれば、一定の平均電流から生じる光出力は、最小値と最大値との間で時間的に変化する電流からの平均光出力と同じではない。
【0078】
高い周波数及び低い周波数は、例えば、10kHz及び1kHz、又は100kHz及び10kHzである。
【0079】
従って、高い周波数は、低い周波数の5倍と100倍との間であり得る。
【0080】
点Bにおける光出力が両方の光源の最大レベルとみなされる場合には、一方の光源からの放射が、他方の光源からの放射をそのままにしながら、例えば、その最大値の10%乃至20%の範囲内の最大量だけ変更され得る。
【0081】
従って、LED装置22とレーザダイオード装置24の直列構成に供給される単一の電流信号によっても、かなりの範囲の調節が達成可能である。
【0082】
上記の例は、LED装置において、並列に単一のコンデンサ回路(示されている例においては単一のコンデンサ)を備える、一連のLEDを示している。LED装置は、その代わりに、(例えば異なる色の)LEDの少なくとも2つのセットを直列に有してもよい。その場合、コンデンサ回路は、LEDの各セットと並列にそれぞれのコンデンサ回路を有してもよく、あるいは、LEDのセットのサブセットのみと並列にコンデンサ回路があってもよい。
【0083】
従って、LEDの一部のみにわたって並列コンデンサが接続されてもよく、又はLEDのサブセクションのために様々な異なるコンデンサが使用されてもよい。このやり方においては、LEDの異なるセットからの光束が、互いに対して幾らか調節され得る。
【0084】
レーザダイオードは、LEDとは異なり、一般的には、高電流デバイスである。従って、レーザダイオード装置は、異なるデバイスタイプに適切な電流レベルを供給するために、LEDの幾つかの並列ブランチと直列にあり得る。
【0085】
パルス幅変調成分によって達成されるパルス動作は、符号化光又はLiFiのような変調光アプリケーションのために使用され得る。
【0086】
例として、重畳パルス幅変調成分の振幅は、例えば、DC成分の振幅の0乃至5倍の範囲内であり得る。
【0087】
DC成分の最大振幅は、例えば、20A以下であり、又は一般的構成要素の場合は4A以下である。同様に、重畳パルス幅変調成分の最大振幅は、例えば、20A以下であり、又は一般的構成要素の場合は4A以下である。
【0088】
重畳パルス幅変調成分の振幅は、例えば、0A乃至最大値の範囲内で制御可能である(0Aは、一方のタイプが作動されていないことを意味する)。同様に、DC成分の振幅は、例えば、0A乃至最大値の範囲内で制御可能である(0Aは、一方のタイプが作動されていないことを意味する)。
【0089】
使用され得るドライバは、例えば、2つの電源が直列に接続され、一方の電源がDC電流を供給し、他方の電源がパルス電流を供給する単純な構造を有する。
【0090】
図6は、制御可能な電流のDC成分を供給するための第1部分60と、制御可能な電流の変調成分を供給するための第2部分70とを有するドライバを、簡略化した形態で示している。この例においては、2つの部分が、加算ノードにおいて合計される電流を供給する。各々が、スイッチモード電力変換器82の出力における絶縁変圧器80のそれぞれの二次巻線62、72を有する。
【0091】
第1部分60は、蓄積コンデンサ64を有し、第2部分70のグランド端子として機能するノードN1にDC成分を供給する。第1部分の出力N1は、第2部分のグランドを形成する。第2部分70は、蓄積コンデンサ74を有し、光源回路20に接続するノードN2に変調成分を供給する。ノードN2は、DC電流と変調電流との電流加算ノードである。
【0092】
ノードN1とノードN2との間には、ダイオード84が接続される。従って、ダイオード84は、第2部分70と並列にあり、第2部分が電流パルスを印加していないときに、第1部分60からの電流のための伝導経路を供給する。ダイオード84の結果として、第2部分からの出力は、第1部分に逆流することはできない。
【0093】
上記の例は、制御可能な電流の変調成分に対するパルス幅変調に基づいている。PWM信号の代わりに、振幅及びDCオフセットが、PWM信号と同様の結果を達成するよう調節される、DCオフセット電流を備える正弦波形が適用されてもよく、これは、ENC(電磁両立性)を改善し得る。レーザダイオード装置及びLED装置の放射出力を変化させるために、DCオフセットと振幅変調部との組み合わせを利用する限り、如何なる他の波形も使用され得る。
【0094】
上記の照明回路は、例えば、2000K乃至6000Kの範囲内の色温度、少なくとも80の演色評価数、及び/又は黒体軌跡から8ステップの標準偏差カラーマッチング以内のカラーポイントを有する白色光を発する照明デバイス内で使用される。
【0095】
光源は、上記の例のように、異なるスペクトル範囲において放射する、(随意に、蛍光体変換層を有する)レーザダイオードと、LEDとを有してもよい。ドライバの重畳パルス変調電流のDC成分、周波数及びデューティサイクルは、例えば、80乃至95の範囲内の演色評価数を備える2700K乃至7000Kの範囲内の或る特定のカラーポイントに光源の出力を調整するよう調節される。
【0096】
照明デバイスは、例えば、(例えば、電気コネクタ口金と、光源装置を少なくとも部分的に囲むためのエンベロープとを備える)ランプ、又は照明器具を壁若しくは天井に固定するための器具(fixing)を備えるハウジングを有する照明器具に組み込まれる。
【0097】
本発明は、例えば、演色評価数を高めるための赤色LED、及び緑色・黄色蛍光体と組み合わせた青色レーザを使用することで、調整可能なカラーポイントを備える照明システムにとってとりわけ興味深い。本発明は、例えばシアンLEDを使用する調節可能なMDER(melanopic daylight efficacy ratio)を備えるレーザベースの光源のために使用され得る。
【0098】
示されている例においては、光源回路は、ドライバ30からの電流のみを受け取り得る。このことは、光源装置のいずれにも他の電流源は電流を供給しないことをもたらし得る。その場合、光源回路は、ドライバ30からの単一の電流のみを受け取ることができ、その場合、前記単一の電流は、DC成分と重畳変調成分とを有する制御可能な電流である。
【0099】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0100】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0101】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0102】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】