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特表2024-513176より良好な健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための食物ならびにそれらの生産方法
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  • 特表-より良好な健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための食物ならびにそれらの生産方法 図1
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  • 特表-より良好な健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための食物ならびにそれらの生産方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】より良好な健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための食物ならびにそれらの生産方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/16 20160101AFI20240314BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240314BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240314BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20240314BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240314BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20240314BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20240314BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20240314BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20240314BHJP
   C05D 9/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A23L33/16
A23L19/00 A
A23L13/00 A
A23L17/00 A
A23L5/00 Z
A01G31/00 601A
A01G7/06 A
A23K20/20
A23K20/142
C05D9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558864
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2021024433
(87)【国際公開番号】W WO2022203684
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522201026
【氏名又は名称】ベクター・ビターレ・アイピー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Vector Vitale IP LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ノバク,ピーター ワイ
(72)【発明者】
【氏名】テムニコフ,マキシム ブイ
【テーマコード(参考)】
2B022
2B150
2B314
4B016
4B018
4B035
4B042
4H061
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB15
2B022BA15
2B022BB10
2B022EA10
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA05
2B150AA08
2B150AB10
2B150DA46
2B150DH03
2B150DH04
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2B150DH18
2B314MA18
2B314PA17
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2B314PB38
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4H061EE16
4H061EE17
4H061FF02
4H061JJ02
4H061KK02
(57)【要約】
対象における健康を促進し、恒常性を維持するための操作された食物および当該食物を生産する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の食品を生産する方法であって、
必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む肥料またはコンポスト中で前記植物を生育させること;あるいは
前記植物に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を葉面供給することによって、前記植物を生育させること;あるいは
必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液中で、前記植物を水耕栽培で生育させること
を含む方法。
【請求項2】
家畜または家畜製品を生産する方法であって、前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む食物またはそれらの最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を供給することによって、あるいは前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を静脈内注射することによって、前記家畜を生育させることを含む方法。
【請求項3】
水産養殖製品または海洋牧場製品を生産する方法であって、前記水産養殖製品または海洋牧場製品に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む食物または溶液を供給することによって、前記水産養殖製品または海洋牧場製品を生育させることを含む方法。
【請求項4】
前記肥料、コンポスト、食物または溶液が、前記必須化学元素の、1つまたは複数の塩、1つまたは複数の金属酸化物、あるいは1つまたは複数の、アミノ酸を有する金属キレーターを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記家畜、水産養殖製品または海洋牧場製品が、前記必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)を含有する食物を毎日給餌される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記家畜が、前記必須化学元素の既知の1日消費量に相当する量を含む前記溶液を、静脈内注射される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
必須化学元素の富化された前記安定同位体(単数または複数)が、39K、24Mg、64Zn、85Rb、28Si、54Fe、40Ca、74Seからなる群から選択される1つまたは複数である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記必須化学元素が、85%、90%、95%または99%よりも高くそれらの最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化されている、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記肥料、コンポスト、食物または溶液が、64Zn硫酸塩、64Zn酸化物または64Znアスパラギン酸塩を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む、植物の製品、家畜、家畜製品、水産養殖製品、または海洋牧場製品。
【請求項11】
請求項1、請求項4、請求項7、請求項8、または請求項9のいずれか一項に記載の方法によって作製された食物の製品。
【請求項12】
請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、または請求項9のいずれか一項に記載の方法によって作製された家畜または家畜製品。
【請求項13】
請求項3、請求項4、請求項7、請求項8、または請求項9のいずれか一項に記載の方法によって作製された水産養殖製品または海洋牧場製品。
【請求項14】
必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む肥料またはコンポスト。
【請求項15】
前記必須化学元素が、85%、90%、95%または99%よりも高くそれらの最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化されている、請求項14に記載の肥料またはコンポスト。
【請求項16】
必須化学元素の富化された前記安定同位体(単数または複数)が、39K、24Mg、64Zn、85Rb、28Si、54Fe、40Ca、74Seからなる群から選択される1つまたは複数である、請求項14または15に記載の肥料またはコンポスト。
【請求項17】
対象における健康を、前記対象に請求項10または11に記載の植物の製品、請求項10または12に記載の家畜または家畜製品、あるいは請求項10または13に記載の水産養殖製品または海洋牧場製品の1つまたは複数から作製された食品を供給することによって促進する方法。
【請求項18】
前記食物が、前記対象に供給される前に調理される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象における恒常性を、前記対象に請求項10または11に記載の植物の製品、請求項10または12に記載の家畜または家畜製品、あるいは請求項10または13に記載の水産養殖製品または海洋牧場製品の1つまたは複数から作製された食品を供給することによって維持する方法。
【請求項20】
前記食物が、前記対象に供給される前に調理される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象においてより良好な健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための操作された食物(food)に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは、ウイルスまたは細菌特異的であり、したがって、新たな感染から、またさらには改変された古いものからヒトを防御する力を備えていない。人類は、新たな、またおそらくより危険な感染性病原体に継続的に対処しなくてはならない。パーキンソン病、アルツハイマー病などの変性疾患は、ヒトにとって重要な健康問題であり、治癒はない。対象において恒常性を維持することおよび/または健康を促進することは、優先事項でなくてはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本開示は、植物から食品(food product)を生産する(produce)方法であって、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された(enriched)必須化学元素を含む肥料またはコンポスト中で前記植物を生育させる(grow)こと;あるいは前記植物に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を葉面供給すること(foliar feeding);あるいは必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液中で、前記植物を水耕栽培で生育させることを含む方法を提供する。
【0004】
別の態様では、本開示は、家畜または家畜製品(livestock product)を生産する方法であって、前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された食物または必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を供給する(feed)ことによって、前記家畜を飼育すること、あるいは前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を静脈内注射することによって、前記家畜を飼育することを含む方法を提供する。
【0005】
さらに別の態様では、本開示は、水産養殖(aquaculture)製品または海洋牧場(mariculture)製品を生産する方法であって、前記水産養殖製品または海洋牧場製品に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む食物または溶液を供給することによって、前記水産養殖製品または海洋牧場製品を飼育することを含む方法を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む、植物の製品、家畜、家畜製品、水産養殖製品、または海洋牧場製品を提供する。
【0007】
別の態様では、本開示はまた、開示される方法によって作製された植物の製品、家畜または家畜製品、水産養殖製品または海洋牧場製品を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む肥料またはコンポストを提供する。
【0009】
本開示はまた、対象に、開示される植物の製品から作製された1つまたは複数の食料品(food item)、開示される家畜から作製された食物、開示される家畜製品から作製された食物、あるいは水産養殖製品または海洋牧場製品から作製された食物を供給することによって、対象において健康を促進する方法または恒常性を維持する方法を提供する。
【0010】
多数の他の態様が、本発明のこれらおよび他の態様に従って提供される。本発明の他の特徴および態様は、下記の詳細な説明および併記の特許請求の範囲からより十分に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、HL-60細胞に対する天然亜鉛およびZn-64化合物の細胞傷害性/細胞増殖抑制性作用を示すグラフである。
【0012】
図2図2は、ルイス肺癌細胞に対する天然亜鉛およびZn-64化合物の細胞傷害性/細胞増殖抑制性作用を示すグラフである。
【0013】
図3図3は、Zn-64(富化99.2%)による処置がマウスにおいてL1210白血病の成長を阻害することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で使用する場合、名詞の前の「単数(a)」または「複数(plurality)」という単語は、その特定の名詞の1つまたは複数を表す。
【0015】
「例えば」および「など」という用語、ならびにそれらの文法上の等価体について、明らかに別記されない限り、「限定されずに」という語句が後に続くと理解される。本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、実験誤差に起因する変動を考慮すると意図される。本明細書中で報告される測定値は全て、「約」という用語が明らかに使用されるかどうかに関わりなく、明らかに別記されない限り、「約」という用語に修飾されていると理解される。本明細書中で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指示しない限り、複数形の指示対象を含む。
【0016】
本明細書中で開示される範囲は全て、そこに組み込まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0から10.0」の規定範囲は、1.0またはそれを超える最小値に始まり、10.0またはそれ未満の最大値で終わるあらゆる部分範囲、例えば1.0から5.3、または4.7から10.0、または3.6から7.9を含むとみなされるべきである。
【0017】
また、本明細書中に開示される範囲は全て、明らかに別記されない限り、その範囲の端点を含むとみなされるべきである。例えば、「5~10の間」または「5から10」または「5~10」の範囲は、端点5および10を含むとみなされるべきである。
【0018】
さらに、一実施形態の特徴(単数または複数)は、他の実施形態に具体的に記載または説明されていなくても、本開示または関連する実施形態の性質によって明らかに禁止されない限り、一般にかかる他の実施形態に適用され得ることが理解されよう。同様に、本明細書中に記載される組成物および方法は、本開示の目的と矛盾しない、本明細書中に記載される特徴および/または工程の任意の組み合わせを含み得る。本明細書中に記載される組成物および方法の多数の変更および/または適応は、本主題から逸脱することなく当業者には容易に明らかであろう。
【0019】
別記されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明における使用のための方法および材料が、本明細書中に記載されており、当該技術分野で既知の他の適切な方法および材料もまた使用することができる。材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定するものと意図されない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、および他の参照文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先される。
【0020】
「本来の設計」によれば、人体(human body)は軽い同位体のみで作製されるべきであると想定することは合理的である。食物が、大部分が化学元素の天然存在度に比例した安定同位体の混合物である化学元素からなることが問題である。それは、健康問題の主な原因が、実際に毒と解毒剤との混合物である栄養であることを意味する。それは、人々が慢性および/または急性の全身ならびに局所変性になる運命にある理由である。
【0021】
タンパク質は、細胞の総重量のおよそ20%を占める。Molecular Cell Biology. 4th edition. Section 1.2 New York: W. H. Freeman; 2000。食物とともに体内に入ってくる全ての化学元素は、それらのよく知られている天然存在度に従う同位体比を有する。この正確な比は、細胞の細胞質内に存在すると予想されるはずである。軽い同位体がタンパク質の産生(production)に使用される場合、細胞質における同位体比は、重い同位体が有利になるようにシフトされるはずであり、細胞1つ当たりの合計平均値は、細胞に入ってくるものに等しくなる。
【0022】
一部の細胞は、ホルモン、サイトカインまたはシグナル伝達分子または母乳成分のような「輸送用」のタンパク質/ポリペプチドを産生する(produce)。まさに細胞機構が「輸送用」の生体分子を産生する能力は、細胞へデリバリーされる材料に依存する。軽い同位体の適時供給の不足により、重い同位体による細胞質の富化が引き起こされる。また、タンパク質産生におけるこれらの同位体の使用および製品の品質の不可避な分解:らせんの歪み、タンパク質におけるアミノ酸のラセミ化の傾向、それらのコンホメーションの損傷、アンフォールディングおよび場合によっては凝集および機能損失。したがって、まさにこれらの種類の細胞は、原発性がんおよび転移性がんを含む組織ならびに臓器の病理学的変化の発生にとって最適な場所となる。
【0023】
健常な生細胞におけるタンパク質は、水素、酸素、窒素、炭素必須化学元素の最も軽い同位体のみを含有すべきである。
【0024】
カリウムおよびルビジウムは、それらがタンパク質に結合するか、または細胞の生命において他の役割を果たすかどうかに関係なく、K-39およびRb-85同位体の形態で存在するよう求められている。
【0025】
変性および感染性疾患を処置ならびに防止する方法は、例えば、Zn-64、K-39、Mg-24、K-39、またはFe-54などの軽い同位体の十分な供給を要する。変性および感染性疾患の予防薬用の1日消費用量を2~4倍超える軽い同位体組成物を用いた静脈内注射または経口丸剤の使用は、極めて有益であり得る。かかるアプローチの有効性は、用量および薬物デリバリー時間に依存する。このアプローチが、食物とともに入ってくる重い同位体を防止することができないことが問題である。本明細書中で開示されるように、この問題の最良の解決法は、必須化学元素の軽い同位体で肥沃にした土壌で生育させた同位体選択的食物/農産物を消費することである。媒体として各種塩およびアミノ酸または生体分子を有する治療用および予防用化合物における必須化学元素の最も軽い安定同位体が使用されるべきである。最良の媒体は、植物性食物における化学化合物である。
【0026】
任意の現在既知の医薬:ワクチン、抗生物質、阻害剤、活性化因子、およびさらにはCAR-T細胞などの最も洗練された生成物(product)を有する農産物用の土壌中で植物を生育させることは、それらが地面で簡単に分解するため理にかなっていない。
【0027】
対比して、必須化学元素の最も軽い同位体が富化された塩およびアミノ酸ベースの化合物は、様々な作物、果物、および野菜の農業生産(production)の過程で新たなタイプの栄養分または「肥料」として使用することができる。それらは、スプラウトもしくは野菜を生産するための水耕栄養培地の一部として、または成長の早い植物を使用して、必須化学元素の最も軽い安定同位体が富化されたコンポストへ続く変換のために機能し得る。次に、このコンポストは、植物が生育するための土壌の主成分として使用され得る。軽い同位体の抗ウイルスおよび抗菌作用は、この土壌で生育する植物に対する、細菌およびウイルスからのさらなる防御を提供する。この様式で生育させた製品は、特有の予防的および治療的特性を有する。これらの植物または木は、生命の木と同じ特性を有するであろう。したがって、有名なヒポクラテスの表現に従って、本発明者らの医薬となっている。
【0028】
同位体選択的食物の毎日の消費は、健康を促進し、および/または若々しい恒常性、即ち、変性疾患および感染性疾患からの同時の防止を伴う人体(humn organism)の安定性を維持するための最良の方法である。食物とともに摂取される必須化学元素に関する1日消費用量は、転移性固形腫瘍、自己免疫疾患、1型および2型糖尿病、肥満、失語症、およびパーキンソン病の患者における第1~2相臨床研究中に決定された治療的用量に等しい。
【0029】
健康を促進するための、および/または恒常性を維持するための食物ならびに当該食物を生産する方法
【0030】
一態様では、本開示は、植物の食品を生産する方法であって、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む肥料またはコンポスト中で前記植物を生育させること;あるいは前記植物に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を葉面供給すること;あるいは必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液中で、前記植物を水耕栽培で生育させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、植物の食品は、野菜または果物である。一部の実施形態では、植物に供給された肥料、コンポスト、または溶液(そこで、植物が生育される)は、64Znを含む。一部の実施形態では、植物に供給された肥料、コンポスト、または溶液(そこで、植物が生育される)は、64Zn硫酸塩、64Zn酸化物または64Znアスパラギン酸塩を含む。
【0031】
64Zn」という用語は、64Znが富化された亜鉛を指すのに本明細書中で使用される。即ち、64Znが自然界における亜鉛のその通常のパーセンテージよりも多く富化されるように64Znに関して富化されている亜鉛である。
【0032】
別の態様では、本開示は、家畜または家畜製品を生産する方法であって、前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む食物または必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を供給することによって、あるいは前記家畜に、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む溶液を静脈内注射することによって、前記家畜を生育させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、家畜は、前記必須化学元素の既知の1日消費量に相当する量を含む溶液を、静脈内注射される。一部の実施形態では、家畜に供給される食物または溶液は、64Znを含む。一部の実施形態では、家畜に供給される食物または溶液は、64Zn硫酸塩、64Zn酸化物または64Znアスパラギン酸塩を含む。一部の実施形態では、家畜に供給される食物または溶液は、64Zn硫酸塩、64Zn酸化物または64Znアスパラギン酸塩を含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、水産養殖製品または海洋牧場製品を生産する方法であって、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む食物または溶液を供給することによって、前記水産養殖製品または海洋牧場製品を生育させることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、水産養殖製品または海洋牧場製品に供給される食物あるいは溶液は、64Znを含む。一部の実施形態では、水産養殖製品または海洋牧場製品に供給される食物あるいは溶液は、64Zn硫酸塩、64Zn酸化物または64Znアスパラギン酸塩を含む。一部の実施形態では、水産養殖製品または海洋牧場製品に供給される食物あるいは溶液は、前記必須化学元素の、1つまたは複数の塩、1つまたは複数の金属酸化物、あるいは1つまたは複数の、アミノ酸を有する金属キレーターを含む。
【0034】
一部の実施形態では、家畜、水産養殖製品または海洋牧場製品は、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)を含有する食物を毎日供給される。
【0035】
別の態様では、本開示は、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む植物の製品、家畜、家畜製品、水産養殖製品、または海洋牧場製品を提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、開示される方法によって作製された植物の製品を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、開示される方法によって作製された家畜または家畜製品を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、開示される方法によって作製された水産養殖製品または海洋牧場製品を提供する。
【0039】
別の態様では、本開示は、必須化学元素の最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化された必須化学元素を含む肥料またはコンポストを提供する。
【0040】
一部の実施形態では、必須化学元素は、85%、90%、95%または99%よりも高くそれらの最も軽い安定同位体(単数または複数)に関して富化されている。
【0041】
一部の実施形態では、必須化学元素(複数可)は、H、C、N、O、Zn、Fe、Mg、Si、Se、Rb、K、およびCaの1つまたは複数である。
【0042】
一部の実施形態では、必須化学元素の富化された安定同位体(単数または複数)は、39K、24Mg、64Zn、85Rb、28Si、54Fe、40Ca、74Seの1つまたは複数である。
【0043】
一部の実施形態では、必須化学元素の富化された安定同位体(単数または複数)は、H、12C、16O、14N、39K、24Mg、64Zn、85Rb、28Si、54Fe、92Mo、74Se、58Ni、70Ge、52Cr、63Cu、および50Vの1つまたは複数である。
【0044】
「富化された」という用語は、同位体が、自然界において一般に見出されるその存在度よりも多く、組成物、配合物、化合物等に存在するように富化されている必須化学元素の同位体を指す。
【0045】
ある特定の実施形態では、亜鉛は、64Zn少なくとも80%、64Zn少なくとも90%、64Zn少なくとも95%、または64Zn少なくとも99%であるように富化されており、例えば、64Zn80%、64Zn85%、64Zn90%、64Zn95%、64Zn99%、または64Zn99.9%である亜鉛である。
【0046】
一部の実施形態では、64Znは、アスパラギン酸塩、硫酸塩、およびクエン酸塩からなる群から選択される塩の形態で存在する。一部の実施形態では、64Znは、アスパラギン酸分子2つを有するС64Znの化学式を有する64Znアスパラギン酸塩の形態で存在する。
【0047】
一部の実施形態では、アスパラギン酸亜鉛は、アスパラギン酸分子2つを有する-С64Znの化学式を有する。一部の実施形態では、亜鉛アスパラギン酸塩の構造は以下である:
【化1】
【0048】
別の態様では、本開示は、開示される植物の製品から作製された食物、開示される家畜から作製された食物、開示される家畜製品から作製された食物、あるいは水産養殖製品または海洋牧場製品から作製された食物を提供する。
【0049】
別の態様では、本開示は、対象に、開示される植物の製品から作製された食物、開示される家畜から作製された食物、開示される家畜製品から作製された食物、あるいは水産養殖製品または海洋牧場製品から作製された食物の1つまたは複数を供給することによって、対象において健康を促進する方法を提供する。一部の実施形態では、食物は、対象へ供給する前に調理される。
【0050】
別の態様では、本開示は、対象に、開示される植物の製品から作製された食物、開示される家畜から作製された食物、開示される家畜製品から作製された食物、あるいは水産養殖製品または海洋牧場製品から作製された食物の1つまたは複数を供給することによって、対象において恒常性を維持する方法を提供する。一部の実施形態では、食物は、対象へ供給する前に調理される。
【0051】
開示される食物は、食物が消費されるいかなる方法で対象によって消費されてもよく、また消費用の食物が加工されるいかなる方法で加工されてもよい。
【0052】
本明細書中で使用される場合、農産物は、農作物、果物、野菜、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、家禽、毛皮動物、母乳、および卵を含む作物、家畜および家畜製品であるが、これらに限定されない。農産物として、植物および家畜および家畜製品が挙げられる。
【0053】
本明細書中で使用される場合、家畜製品として、母乳および卵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書中で使用される場合、家畜製品から作製された食物として、母乳、卵、クリーム、ヨーグルト、およびチーズが挙げられるが、これらに限定されない。家畜製品から作製された食物は、全ての乳製品を含む。
【0055】
本明細書中で使用される場合、家畜から作製された食物として、食肉(例えば、ステーキ、ローストなど)、パテ、ソーセージ、保存肉、およびデリミートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書中で使用される場合、植物の製品として、農作物、果物、および野菜が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書中で使用される場合、植物由来の製品から作製された食物として、果物、野菜、植物油、コーヒー、茶、穀類、穀物、米、パスタ、ジャガイモ、果物または植物の汁、ビール、ワイン、小麦、オート麦、ライ麦、大麦、トウモロコシ、ライ小麦、キビ、ウイスキーおよび他のアルコール飲料、果物または植物を含有する他の飲料等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「水産養殖」という用語は広範に、任意の商業、娯楽または公共の目的で管理された水域環境における淡水水生生物の養殖を指す。植物および動物の繁殖、飼育および収穫は、池、川、湖、および陸地上の人工「閉鎖」系を含む水生環境の全てのタイプで行われる。上記の養殖された淡水水生生物は、「水産養殖製品」である。
【0059】
本明細書中で使用される場合、水産養殖製品から作製された食物として、魚、二枚貝、水ダニ、巻き貝、ウナギなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「海洋牧場」または「海洋水産養殖」という用語は広範に、任意の商業、娯楽または公共の目的で管理された海洋水域環境における海洋水生生物の養殖を指す。植物および動物の繁殖、飼育および収穫は、海および陸地上の人工「閉鎖」系を含む水生環境の全てのタイプで行われる。上記の養殖された海洋水生生物は、「海洋牧場製品」または「海洋水産養殖製品」である。
【0061】
本明細書中で使用される場合、海洋牧場製品から作製された食物として、魚、エビ、カニ、ロブスター、二枚貝、イガイ、クラゲ、イカなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
「水耕栽培」という用語は、栄養分を含む溶液を使用することによって、土壌なしで植物、通常作物を生育させる方法を指す。
【0063】
「葉面供給」という用語は、液体肥料を含む溶液を植物の葉に直接塗布することによって植物に供給する技法を指す。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、動物対象または植物対象であり得る。動物対象は、ヒト対象または非ヒト動物対象を含む。
【0065】
開示される食物は、任意の適切な形態で存在し得る。開示される食物は、食物または消費される原材料(raw)をまず調理することによって消費され得る。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「軽い同位体」という用語は、少なくとも下記の同位体を指す:H、12C、40Ca、16O、14N、39K、24Mg、64Zn、85Rb、28Si、54Fe、92Mo、74Se、58Ni、70Ge、52Cr、63Cu、および50V。
【0067】
恒常性および健康
【0068】
感染性疾患および変性疾患にはともに、健康問題が残る。どんな理由であっても恒常性の崩壊は対処される必要がある。
【0069】
恒常性は、生体系によって維持される定常の体内の物理的および化学的状態である。恒常性は、すでに最適な状態である場合には、変化に対する自然抵抗力によってもたらされ、平衡は、多くの調節メカニズムによって維持される。恒常性は、生物系が、生存にとって最適である状態に調節しながら安定性を維持する傾向にある任意の自己調節プロセスである。到達される安定性は、実際には動的平衡であり、ここで、連続的変化は起きるが、比較的一様な状態が優勢である。
【0070】
細菌およびウイルスの何百万もの種の中で、ヒトに有害であるものはほんのわずかである。疾病管理予防センターは、ヒトに真の脅威を提示し得るほんの219種類のウイルスおよび18種類の抗生物質耐性(resistance)細菌を示している。
【0071】
ワクチン接種および新たな抗生物質はともに、人体がこれらの有害な細菌およびウイルスが隠れて増殖するための好都合な場所ではないことを保証するのに役立つ。
【0072】
しかしながら、ワクチンおよび抗生物質が、ウイルスまたは細菌特異的であり、したがって、ヒトを新たな感染から、さらには改変された古いものから防御する力を備えていないことが問題である。人類は、新たな、場合によってはより危険な病原体に連続的に対処する必要がある。メカニズムがそれを行うために存在する場合に、それは理想的である。
【0073】
正常細胞では、抗体を含むタンパク質は、左旋性アミノ酸から作製され、右巻きらせんを有する構造を有する。しかしながら、侵入細菌またはウイルスの表面上のタンパク質が、B細胞によって産生されるいかなる抗体も認識されない場合はどうなるのか?右旋性アミノ酸で作製されたタンパク質を提示する細菌またはウイルスは、免疫系にとって無敵である。抗体の可変領域遺伝子においてどれほど多くのランダムな突然変異が生じても、最も重要な変化、即ち、抗体のキラリティーの変化は達成することができない。右巻きアミノ酸の存在に起因した誤ったコンホメーションを有する病原体のタンパク質は、著しく歪んだらせんを有する。その中のD-アミノ酸の数に比例する歪みの度合いは、病原体が抗体やワクチンに対抗するための有用な特徴であり得る。
【0074】
例えば、SARS-CoV-2のタンパク質が、誤ったコンホメーションを有し、および/または部分的にアンフォールディングされている場合、抗体は、同じ品質を保有する必要があり、したがって、少なくとも1つまたは複数のD-アミノ酸を含有する必要がある。かかるタンパク質は、アンフォールディングされたタンパク質の応答を引き起こし、重篤な局所的および全身的な炎症をもたらす可能性がある。それらの構造中または残骸中のD-アミノ酸の存在に起因して、2007年7月27日にオンラインで公開されたKenso Soai and Tsuneomi Kawasaki, Asymmetric autocatalysis with amplification of chirality, Springer-Verlag Berlin Heidelbergに記載される反応に類似して、抗体は、ウイルス自体のように触媒として作用し、キラリティーの自己触媒的増幅のプロセスにおいて誤ったコンホメーションを有するD-アミノ酸およびタンパク質の産生収率の非線形増加を引き起こす可能性がある。様々なD-アミノ酸のレベルの上昇、タンパク質の誤ったコンホメーション、アンフォールディングされて凝集したタンパク質は、それらの全部ではなくても少なくとも60種類の変性疾患と関連付けられるため、それは非常に危険であり得る。R.W. Carrell, B. Gooptu Curr. Opin. Struct. Biol., 8(1998), pp. 799-809;Jacco J.A.J. Bastings, D-amino Acids in Health and Disease: A Focus on Cancer Nutrients 2019 Sep; 11(9): 2205。
【0075】
「健常な」老化中の軽度の変性では、タンパク質中のD-アミノ酸濃度の増加が報告されている。この特徴は、正確な年齢判定のために法医学で広く使用されている。Ritz-Timme S, Collins MJ. Ageing Res Rev. 2002 Feb; 1(1): 43-59;Noriko Fujii et al., Biochim Biophys Acta Proteins Proteom. 2018 Jul;1866(7):840-847。
【0076】
一般的な、および急性局所的な老化/併存疾患ならびにSARS-CoV-2のような危険な病原体は、互いを必要とし、相互補完する。これは、年齢に対して、年齢順に若い生物で起こり得る急性局所的な老化プロセスと考えられ得る変性疾患の出来事および死亡率について記載するグラフが、Covid-19のグラフと事実上同一である理由を説明している。
【0077】
右巻きアミノ酸およびミスフォールドされたタンパク質(負のフィードバックの損失および恒常性の崩壊を意味する)の存在は、病原性ウイルスが生体に首尾よく侵入し、そのさらなる増殖のための必要な条件であり得る。しかしながら、ウイルスは、D-アミノ酸との自己触媒反応の触媒として作用して、考え得る致命的な結末を伴って、既存の併存疾患の急性期への移行をもたらす可能性があるか、またはこれまで存在しなかった新たな病状を引き起こす可能性がある。それは、自己触媒反応が、収率の急激な増加を伴っていつどこで非線形になるかに依存し、既存の疾患または新たな疾患の症状の明確な発現をもたらす。そのようにして、肥満または2型糖尿病の患者の、SARS-CoV-2による感染は、心血管系に関連する合併症が生じ得る。
【0078】
他の症例と似ていないCovid-19パンデミックは、特定ウイルスの生死の問題だけでなく、変性の病理学+老化関連問題の全てのタイプに対処することが可能な戦略の必要性を示している。実際に、年齢に対するCovid-19変性疾患の出来事/死亡率のチャートがそれを物語っている。最良の解決法は、人体の時間を戻して、20~25歳の人の特徴的な状態に移行させることにある。
【0079】
Covid-19の防止および処置のための理想的な材料は、いくつかの特徴を組み合わせて、以下が可能でなくてはならない:
・コロナウイルスの存在/生存と不適合の生細胞の環境を創出すること;
・気道/肺、腎臓、および心血管系における合併症に対処するために最も困難な細菌感染を防止および治癒すること;
・サイトカインストームを防止/排除するために強力な抗炎症性効果を生じること;
・免疫および内分泌系を再活性化/若返りさせること;
・迅速で完全な回復を提供するために健常な/若々しい恒常性を回復させること。
【0080】
現代医療の方法は、病変細胞において、または病原体において過剰発現されるある特定の分子シグネチャーを対象としている。一部の場合では、現代医療の方法は、症状を低減するか、または一時的に排除して、急性型の疾患を慢性型に変換することを可能にする。同時に、過剰発現されていないタンパク質標的は、依然として正常細胞に存在する。これが、高い副作用が最終的に恒常性の破壊につながる理由である。いわゆる「標的療法」は、症状を排除し得るが、病原体の真の原因は、そのまま残されている。
【0081】
変性疾患の起源は、DNAにおける明白な突然変異と関係のあるいくつかの遺伝性障害を除いて未知である。したがって、病因の理解は、変性および感染性疾患の両方の防止ならびに処置にとって重要な鍵となる。WHOのリストには、200種類を超える変性障害が存在する。もしかしてそれらは全て、同じルーツを持っているのか?Georg W.F.Hegelによれば、現象は本質であり、本質は現象の中に現れる。病因への応用では、全く同じメカニズムが病理学的変化の原因となり得るが、200個の生細胞それぞれに特異的な症状として現れる。続いて、これらの症状は、様々な病理学の説明に使用される。
【0082】
分子シグネチャーがタンパク質であることは偶然ではない。生命は、150年以上にわたりタンパク質の存在と定義されていた。2002年に、Stuart Kauffmanは、己触媒反応に関与するタンパク質の存在を通じて生命を定義した。Stuart Kauffman, Investigations. Oxford University Press, 19 September 2002, 308p。タンパク質は、生細胞の安定性、細胞間の相互作用、および生物の生命系間の相互接続において重要な役割を果たしている。タンパク質は、トランスミッター、レシーバー、およびシグナルとして作用し、したがって、タンパク質の適切な組成およびコンホメーションは、任意の安定系の最も重要な成分の機能、つまり生きた物体における負のフィードバックまたは恒常性に極めて重要である。誤ったコンホメーション、ましてやその後の凝集を伴うタンパク質のアンフォールディングは、必然的に負のフィードバックの雪崩のような破綻を、したがって、細胞、組織、臓器の安定性、および生物体の破壊を引き起こす。恒常性の崩壊が続く。
【0083】
原子の量子力学では、エネルギー準位が量子系の2つまたはそれ以上の異なる状態に相当する場合、エネルギー準位は縮退(degenerate)と呼ばれる。全く同じタンパク質中に存在する反対のキラリティーを有するアミノ酸は、生体分子の縮重(degenerate)状態の優れた類似体である。L-アミノ酸およびD-アミノ酸の混合物がらせんを全く形成することができないことが問題である。タンパク質中にD-アミノ酸が1つでも存在することにより、常にらせんの歪みが生じる。
【0084】
重要な課題は、らせんの歪みおよびその結果としてのアミノ酸キラリティーの変化、またはらせんおよびタンパク質のコンホメーションの歪みにつながる翻訳プロセス中のD-アミノ酸の取り込みのどちらが先かということである。両方の場合で、タンパク質のかかる縮重状態は、人体の変性または徐々の劣化を引き起こす。変性のタイミング/速度は、生細胞における生体分子合成に関与する関連自己触媒反応のパラメーターによって規定される。長く生存するタンパク質中のD-アミノ酸の濃度と年齢との間の十分確立された正比例に基づいて、タンパク質らせんの歪みが最初に起きることを示唆するのは合理的である。その一方で、少なくとも1つのアミノ酸のキラリティー変化よりも、上記歪みのより優れた安定剤であり得るものは何であろうか。
【0085】
いかなる構造的欠陥もDNA突然変異に起因するものではない野生型タンパク質を考えてみる。野生型タンパク質のアミノ酸は、タンパク質およびポリペプチドの最も簡素な「不可分」粒子である。タンパク質の構造においてアミノ酸よりも基礎的なものは何か?化学元素のみである。化学元素は、生体分子の変性に寄与し得るか?実際、周期系には、モノアイソトピック元素が26個のみ存在する。残りは、1つまたは複数の安定同位体を有し、この意味で、安定化学元素は縮重している、物理学および化学の教科書によれば、比較的簡素な無機および有機化合物において観察される同位体効果は無視できるものであり、したがって、ある同位体の、同じ化学元素の別の同位体での置換は、いかなる状況であっても分子の構造に影響を及ぼす可能性はない。
【0086】
しかしながら、過去10年で、水素(H/D)(Kawasaki T et al., Chem. Commun. 2009, 4396-4398)、炭素(12C/13C)(Kawasaki T. et al., Science 2009, 324, 492-95)、酸素(16O/18O)(Kawasaki T. et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 8131-8133;Angew. Chem. 2011, 123, 8281-8283)および窒素(14N/15N)(Dr. Arimasa Matsumoto et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2016 Dec 5; 55(49): 15246-15249)の同位体置換は、不斉自己触媒にとってキラルイニシエーターとして作用し、鏡像キラリティーを有する化合物の生産につながることが発見された。同位体誘導性のキラリティーは、対称の制動の観点で議論され、確率過程であると考えられた。Avalos M et al., Chem. Commun. 2000, 887-892。
【0087】
タンパク質は全て、L-アミノ酸を含有し、これはランダムではあり得ず、このことは、タンパク質およびDNAの構造におけるキラル生体分子およびソレノイド/らせんの形成における原子核の考え得る役割を再考する必要性を指摘している。
【0088】
これに関して、国際宇宙ステーションでの微小重力状態下でのコンプレックスダストプラズマの研究の結果は、極めて興味深い。V N Tsytovich et al., New Journal of Physics 9(2007) 263;H M Thomas et al., New Journal of Physics, Volume 10, March 2008。彼らは、「…らせんダスト構造の形成は、それらが形成された後、DNAの特徴と似た特徴をしている。それらは、情報を、1つのらせん構造から、らせん構造の任意の二分岐を取り囲むダスト対流細胞を介して、別のらせん構造に移行させることができる」ことに気づいた。V N Tsytovich et al., New Journal of Physics 9 (2007) 263。
【0089】
これらのDNA様構造は、2つの相互接続された発生器によって生じた場で形成されるプラスチックまたはCeO粒子で作製されている。プラズマ生成(production)に関するもの、および電場の調節に関する別のもの。同時に、ソレノイド/らせん構造の形成のまさにその事実により、電場はこのプロセスに関与せず、電磁場はモードレジームと競合して、関与することが示される。タンパク質およびDNAの化学結合ならびにらせん構造の形成における原子の電子サブシステムおよび核によって生じるモードの競合の役割を考慮することは理解される。
【0090】
実用的観点から:
・変性障害は、タンパク質の誤ったコンホメーションと関連付けられ得る。
・タンパク質の誤ったコンホメーションは、1つまたは複数のD-アミノ酸の形成によって適応され得る。
・らせんおよび鏡像アミノ酸の歪みはともに、同じ化学元素の最も軽い同位体の、重い同位体による置換の結果における同位体誘導性であり得る。
・生体分子の対称性における同位体誘導性変化は、水素、炭素、酸素、および窒素のような基本元素によってのみでなく、必須化学元素によっても引き起こされ得る。
・不斉自己触媒における同位体誘導性キラリティーおよびその増幅は、両方向に進み得る。それは、逆同位体選択的自己触媒反応が生細胞における同位体分離を引き起こし得ることを意味する。
・そうであれば、同位体分離効果は、生細胞の運命を決め、正常細胞および組織と、病変細胞および組織との間、若い細胞と老化細胞との間、最終的には生と死の間の差を全てに作り出す最も重要な特徴となり得る。
・生体分子の同位体組成は、健常な/若い生物および効率的な病原体(それが細菌であろうとウイルスであろうと)の両方における安定性/恒常性の決定的要因であるはずである。
・人体の我々のエネルギーおよびコントラスト材料の供給源は、阻害剤および活性化剤、抗体、およびCAR-T細胞ではなく、実際には各種安定同位体の混合物である縮重した化学元素である。
・ヒポクラテスの言葉「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」は、予言のようであり得る。
【0091】
非生物について言えば、全ての化学元素に関する同位体比は、事実上全く同じであり、我々の惑星だけでなく、宇宙の至る所でもそうである。同じ化学元素における天然存在度からの逸脱は存在するが、ほんの100万分の1のレベルにすぎない。その一方で、無機材料は、生体分子とは全く異なる。無機材料は、最上位にらせん/ソレノイド成分を有する階層構造を有さない。それらの結晶構造は、クーロン力の相互作用に基づいて十分に説明することができ、その結果、対称性の同位体誘導性変化を含む核組成に関連したいかなる重大な影響も予想する理由はない。
【0092】
そうであれば、その結果、生物では、反対の状況が見出されるはずである。自己触媒によって果たされる増幅機能を考慮して、一側面では健常で最も重要な細胞および組織の、別の側面では病変細胞および組織、ならびにおそらく同様に病原体の同位体組成において劇的な差が見出されるはずである。それには、ヒト細胞または臓器が、同位体分離能力を有する必要がある。人体には遠心分離機、プラズマまたは電磁分離機構のための場所が存在しないため、かかるプロセスにおける不斉触媒の関与に関する仮説は真実味があると思われる。
【0093】
最も侵襲性の変性疾患はがんである。続いて、がん細胞および組織、特に転移は、全ての関連元素の重い同位体で富化されている可能性が高い。炭素、水素、窒素、および酸素の重い同位体比が非常に小さく、相応して1.10;0.02;0.4;および0.24%に等しいことが問題である。したがって、同位体比が2~3倍増加した場合でさえ、差を検出するのは困難である。これが、主に必須化学元素が注目される理由である。さらなる直感的議論は、原発腫瘍および転移の位置は、内分泌腺およびホルモン産生細胞のマップと密接に一致することである。「内分泌」という単語は、ギリシャ語から翻訳され、「内側のふるい」を意味する。ふるいは、最も軽い同位体の、同位体の残りとの分離の本質を説明するための完璧な言葉である。
【0094】
【表1】
【0095】
同位体が分離され、軽い同位体が、身体において非常に重要なポリペプチドおよびタンパク質であるホルモンの産生で使用されると、かかる産生プロセスの副生成物、つまり重い同位体は、産生部位の近くで蓄積され、緩い単一がん細胞およびそれらの供給場所である他の病原体を引き寄せるはずである。これは、Covidー19感染および死亡率における共存疾患の役割を伴って良好に関わっている。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
様々な健常なおよびがん細胞ならびに組織を使用して得られた質量分析データ(表1~3)は、このモデルを支持するだけでなく、さらに全ての必須化学元素の重い同位体比が、病理学的変化の度合いと比例している(原発腫瘍よりも転移においてはるかに高い)ことを実証している。健常なおよび白血病のリンパ球に見出される同じ化学元素の軽い同位体と重い同位体との間に表出性の差がみられる。リンパ球は、免疫系細胞である。データにより、T細胞、B細胞およびナチュラルキラー細胞の有効性が病因のこのモデルと完全に一致する必須化学元素の同位体比によって規定されることが示唆される。正常細胞の同位体比と、がん細胞の同位体比との間の差は、非常に劇的であるため、それに対処せずに首尾よいがんの処置または治癒の可能性を信じることを困難にさせる。
【0099】
各種細胞およびホルモンにおける必須化学元素ならびにそれらの同位体比の研究は、シグナル伝達分子およびホルモンを産生する赤色骨髄、臓器、および細胞が同位体を分離し得ることを強力に示している。このデータにより、ポリペプチドおよびタンパク質が完璧なコンホメーションを有することを確実にするための軽い同位体を有する重要な細胞および分子の富化が正当化される。
【0100】
このモデルによれば、病理学は、重い同位体がないと進行することができない。疾患と闘うためには、等しい数のプロトンおよび中性子、またはプロトンを超える最小過剰の中性子を有する原子が有利になるように、必須化学元素の「同位体比」を変更することができる。理想的な治療用組成物は、相当する1日消費用量に比例する量で、必須化学元素の最も軽い同位体の混合物を含むべきである。このアプローチは、金属タンパク質の構造を補正するのに十分であるはずであるが、全てのタンパク質の構造を補正するのに十分ではないはずである。全てのタンパク質が、間違いなく産生されることを確かめるために、それらの合成およびアセンブリーの全ての段階が対処されなくてはならない;これらは、転写、翻訳、および翻訳後修飾である。
【0101】
生細胞は、損傷されたDNAを修復し、突然変異の、およびミスフォールドされたタンパク質に関連した問題を軽減するためにいくつかのメカニズムを使用する。他のタンパク質に関与するいくつかの修復メカニズムが存在し、それらはまた、機能的であり、かつ人体内で恒常性を維持する各タンパク質に関する正しいコンホメーションアセンブリーおよび触媒活性を促進することに関与しなくてはならない。
【0102】
概して、転写因子を含むタンパク質は全て、リボソームで産生される。リボソームは、メッセンジャーRNAからの指示に従ってアミノ酸からペプチドを合成し、生細胞における最も重要な分子装置の1つである。リボソームの品質は、タンパク質の品質を規定する。リボソームは、一緒に3~4個のリボソーマルRNA(rRNA)および数十個のリボソームタンパク質(r-タンパク質)からなる大きなサブユニットおよび小さなサブユニットで構成されている。リボソームタンパク質の一般的な特徴は、ジンクフィンガーモチーフであり、それは、リボソームの両方のサブユニットのタンパク質と関連付けられている。リボソームタンパク質は、RNA結合タンパク質として主要な役割を果たしている。転写プロセスの成功は、ジンクフィンガータンパク質の適切な結合に、したがって、それらのコンホメーションに依存する。リボソームの平均寿命は4~6分である。リボソームは、自己触媒反応で迅速に産生される。自己触媒反応は、重い同位体の同位体置換によって誘導される誤ったコンホメーションを有するタンパク質の収量を増幅し得る。これらの事象の蓋然性は、それらの原子として軽い同位体比が100%に近いため、非金属タンパク質に関しては非常に低い。
【0103】
ジンクフィンガーの場合は、状況は完全に異なっている。プロトンを超える最小過剰の中性子を有する安定な同位体-Zn-64-に関する同位体比は、ちょうど48.60%である。したがって、より重い同位体による置換の蓋然性は、極めて高い。状況は、不斉自己触媒によって負に影響され得る。それは、全ての産生されたタンパク質において生じる誤翻訳の蓋然性を高くさせる。
【0104】
亜鉛は、人体におけるたいていの必須化学元素の1つとして認識されている。多数の科学論文は、ヒトの健康に対する亜鉛の過剰または欠如の効果について記録している。亜鉛の影響は、少なくとも60種類の疾患に関連して言及されている。しかしながら、最も重要な問題は、5つの安定な同位体の正確などの亜鉛が、科学文献で取り組まれていないかである。この問題は、リボソームの適切な操作に、したがって、正確なコンホメーションを有する全てのタンパク質の合成にとって基本的である。
【0105】
赤色骨髄によって産生される免疫系細胞では、ならびに内分泌系によって産生されるシグナル伝達分子では、軽い同位体Zn-64の同位体比は、天然存在度を著しく超える。逆に、はるかに高い濃度の重い亜鉛同位体が、病変組織の細胞において観察される。細胞の細胞質における軽い亜鉛同位体の濃度の短期または長期増加は、リボソームへのそれらの接近を保証する。これは、リボソームによって産生される正確なコンホメーションを有するタンパク質の比率の急激な増加をもたらす。目標は、全ての受容体およびシグナル伝達分子を含む全ての損傷された/古い生体分子を、主に軽い同位体から作製された新たな/若いもので置き換えることである。
【0106】
生細胞の細胞質におけるZn-64の同位体比を増加させる治療用組成物は、一般的な効果を有する薬物の完全に新しいファミリーである。かかる薬物は、例えばがんなどの最も重篤な病理学によって罹患された細胞の命と不適合な状態を創出する。
【0107】
かかる薬物の重要な特徴は、それらの有効性が、ステージIVのがんなどの疾患の侵襲性の増加を伴って大きくなることである。
【0108】
薬物の使用に関する正確なプロトコールの適用により、変性疾患からの復活および若くて健常な生物に典型的な恒常性の回復は保証されると予想される。予想される結末は、免疫および内分泌系の再生ならびに生細胞の若返りを含むべきである。
【0109】
生物系の恒常性に対する化学元素の同位体組成の影響に関する結論は、病因の性質の理解におけるパライダムシフトを示唆する。
【0110】
治療剤として64Znを含む調製物の使用
【0111】
亜鉛の最も軽い同位体である64Znは、このセクションで詳述するように、多数の疾患および状態を処置ならびに防止する有用であると見出されている。例えば、米国特許第10,799,530号および米国特許第10,933,091号を参照のこと。このセクションで概要する研究は、例えば注射によって動物研究に投与される64Znまたは64Znベースの組成物を使用するが、但し、動物対象への食物としては使用しない。
【0112】
このセクションで記載される研究の一部では、薬物デリバリーは、1~1.5時間の期間をかけて静脈内注入を通じて行われる。全てのタンパク質がアセンブルされるリボソームの寿命は6分である。リボソームのジンクフィンガーが、亜鉛の最も軽い同位体であるZn-64の存在に起因して完璧であることを確かめるために、24時間体制で対象に注射することははるかに優れている。食物が昼夜消化される場合、必須化学元素の最も軽い同位体の、食物によるデリバリーは非常により実用的である。
【0113】
64Znアスパラギン酸塩の抗がん作用機序、アポトーシス、エクスビボ(ex vivo)/インビトロ(in vitro)
【0114】
がん細胞の増殖に対する天然亜鉛および安定同位体Zn-64の反対の効果の実例を以下に概要する。
【0115】
バーキットリンパ腫細胞(ナマルバ細胞系)およびヒト急性骨髄性白血病(HL-60細胞系)、ラットにおける腎癌(株RA)、ヒト乳がん細胞(MCF-7細胞系)、ヒト非小細胞肺がん(A-549細胞系)、およびヒト結腸癌(COLO 205細胞系)におけるEMP関連細胞接着分子の発現に対する64Znの効果を、免疫細胞化学分析を使用して研究した。
【0116】
20μg/mlの濃度の64Znは、A-549およびMCF-7細胞においてE-カドヘリン、N-カドヘリンおよびCD44の発現に対して何も効果がないことが見出された。64Zn(20μg/ml)の存在下で培養したCOLO 205細胞は、対照と比較して62.1%分、E-カドヘリン発現の統計学的に有意な増加を示した。しかしながら、検査物質は、COLO 205細胞におけるN-カドヘリンおよびCD44に対しては何の効果もなかった。64Znは、支配的な間葉特性を伴ってCOLO 205細胞においてE-カドヘリン(上皮細胞マーカー)の発現に対して最大の効果を有していたことに留意すべきである。得られた結果は、より悪性の間葉表現型を有する細胞が、検査物質の効果に対してより高感度であり、文献データによれば、腫瘍細胞におけるE-カドヘリン発現の増加は、細胞の悪性特性の阻害と関連付けられることを示唆している。
【0117】
20μg/mlの濃度の64Znの存在下で培養した腫瘍細胞におけるSlug転写因子発現の分析により、1)上皮表現型を有するMCF-17細胞におけるSLUG発現の任意の変化の非存在;2)混合表現型を有するA-549細胞における対照に対する、それぞれ、29.4%および46.7%分の核Slug発現における統計学的に有意な増加および細胞質Slug発現における減少(再局在化);3)間葉表現型を有するCOLO2050細胞における対照に対する、それぞれ、11倍および2.7倍の核および細胞質Slug発現における統計学的に有意な増加が示された。
【0118】
A-549細胞における細胞質Slug発現の低減は、それらの悪性病変の阻害を示し得る。Slug(ジンクフィンガータンパク質)は、直接的なE-カドヘリンレプレッサーであり、この転写因子の発現の増加がE-カドヘリン発現の減少を引き起こすことが知られている。しかしながら、64Znに曝露されたCOLO 205細胞は、増加されるE-カドヘリン発現のバックグラウンドに対してSlug発現レベルの増加を示した。さらに、Slugの安定な過剰発現には、細胞骨格およびチューブリンの微小管を標的とする抗がん薬に対するがん細胞の感度の増加が付随することが知られている。したがって、間葉表現型を有するCOLO 205細胞におけるSlug発現の増加は、それらの悪性病変の増加をもたらさず、細胞増殖抑制剤の作用に対するそれらの感度を増加させると想定され得る。
【0119】
第2の研究は、リンパ性白血病のマウスモデル、L1210白血病細胞の株、マウス黒色腫モデル(株B16のマウス黒色腫細胞に由来するMM-4細胞系)で行われた。典型的な結果は以下である。
【0120】
MM-4マウス黒色腫細胞Zn64をアスパラギン酸塩の存在下で培養した後のそれらの生存度のインビトロ(in vitro)分析により、16.69μg/mlの濃度の検査物質が、対照と比較して22.2%分(IC20)、MM-4細胞の増殖を抑制することが示された。Zn64アスパラギン酸塩用量を25.03μg/mlまで増加させると、対照と比較して、49.2%分(IC50)、生黒色腫細胞の数の低減をもたらした。
【0121】
抗アポトーシスタンパク質Bcl-2ならびにアポトーシス促進タンパク質Baxおよびp53[p53(Y-5クローン)に対するモノクローナル抗体は突然変異p53タンパク質のみに結合し、p53(DO-7クローン)に対するモノクローナル抗体は突然変異p53および野生型の両方に結合する]の発現に対するZn64アスパラギン酸塩の効果を、免疫細胞化学を使用して分析した。16.69μg/mlの用量のZn64アスパラギン酸塩の存在下でのMM-4細胞の培養は、Bcl-2の発現の統計学的に有意な低減(対照に対して69.5%分)を引き起こすが、アポトーシス促進Baxおよびp53の発現に対して何も効果がないことが示された。培地中のZn64アスパラギン酸塩の濃度を25.03μg/mlまで増加すると、対照と比較して、それぞれ、8.9倍および9.5倍、Baxおよびp53(DO-7クローン)の発現レベルを統計学的に有意に増加した。この濃度で使用されるZn64アスパラギン酸塩は、MM-4細胞においてp53(DO-7クローン)の発現の有意な増加を引き起こすが、p53(Y-5クローン)の発現レベルに影響を与えないことは留意すべきである。
【0122】
結果により、Zn64アスパラギン酸塩が、MM-4細胞において野生型p53タンパク質の発現を活性化することが示唆される。同時に、検査物質は、抗アポトーシスタンパク質Bcl-2の発現に対して何も効果がない。したがって、アポトーシス促進Baxおよびp53の発現の有意な増加は、IC50以上であるべきである濃度のZn64アスパラギン酸塩による処置の結果として、MM-4マウス黒色腫細胞におけるアポトーシスの活性化を示し得る。
【0123】
文献データによれば、メタロプロテイナーゼ2および9(MMP)は、それらが腫瘍細胞において代謝および細胞周期の調節における活性部分を担うため、腫瘍微小環境の特に重要なエレメントである。また、腫瘍組織におけるMMP-9およびMMP-2の活性の減少には、腫瘍原性および腫瘍侵襲性の抑制が付随されることが知られている。Zn64アスパラギン酸塩による処置後のMM-4細胞における潜在性形態(プロMMP-2およびプロMMP-9)および活性形態(MMP-2およびMMP-9)のメタロプロテイナーゼの活性の分析により、これらのゼラチナーゼの活性の有意でかつ用量依存的な抑制が示された。
【0124】
したがって、16.69μg/mlの濃度の検査物質(Zn64アスパラギン酸塩)によるMM-4細胞の処置は、潜在性プロMMP-2およびMMP-9形態のメタロプロテイナーゼの活性の統計学的に有意な減少(対照と比較して、それぞれ、76.5%および61.2%分)、ならびに活性MMP-2およびMMP-9形態のメタロプロテイナーゼの活性の統計学的に有意な減少(対照と比較して、それぞれ、66.8%および23.8%分)を引き起こした。25.03μg/mlの濃度のZn64アスパラギン酸塩の存在下での黒色腫細胞の培養には、対照と比較して、それぞれ76%および18.8%分、MMP-2およびMMP-9の活性の統計学的に有意な抑制が付随した。その見解により、検査物質はMM-4細胞の増殖を抑制するだけでなく、検査物質はそれらの悪性病変も低減し得ることが示唆される。
【0125】
現代の医学の方法は、罹患細胞において、ある特定の受容体およびシグナル伝達経路を阻害することを対象としている。このことは、必然的に健常な細胞および病変細胞の両方において、全てがその後の結末を伴って、破壊的な正のフィードバックループの活性化を引き起こす。
【0126】
開示される技術は、補正が求められない限りは若い生物に影響がなく、成体および老齢生物において健常で若々しい恒常性を回復させることを目標とする。この標的は、免疫系および内分泌系の若返り、ならびにGeno防御能を生細胞に付加することによって達成される。
【0127】
インビボでの肥満および1型&2型糖尿病に対するZn64アスパラギン酸塩の効果
【0128】
高脂肪食での動物へのZn-64 Aspの投与は、以下をもたらす:
・それらの肥満度指数の減少
・未処置の動物と比較して、体重および消費される食物量の低減
・高脂肪食での動物の身体における脂質代謝の改善。
・肥満群と比較して、43%分のランゲルハンス島の断面表面積の増加、ここで、ランゲルハンス島の断面表面積は有意に低減された(60%分)
・DIO(DIO-食餌誘導性糖尿病)群における脂肪変性の消失、標準食を給餌された(fed)ラットでは外分泌細胞に対する顕著な効果がなく、これは、膵臓の外分泌部の状態の改善の明らかな兆候である
・Zn-64 Aspは、高脂肪食を給餌した動物において、膵臓の形態学的および機能的特性対してプラスの効果を有する
・肝細胞の面積は、肥満を有する群と比較して41%減少し、これは、肝細胞における脂質含有物の沈着の減少を示す
・肥満を有する群に対して、31%分の核細胞質比の増加
・肥満の発症下での肝臓の状態に対するZn-64 Aspのプラスの効果は、NASHの処置に対して見込み効率を実証している
・高脂肪食で動物に投与されたZn-64 Aspは、セロトニン代謝に関与する重要な酵素の活性に対して正常化効果を有する、これは、肥満の未処置動物モデルにおける値と比較して、中枢および末梢セロトニンレベルの回復をもたらす:
・トリプトファンレベルの増加、したがって、セロトニン合成の活性化に起因する脳におけるセロトニンレベルの増加
・その変換の代替的方法の阻害およびモノアミンオキシダーゼによるセロトニン分解の速度の低減
・Zn-64 Aspは、単独療法で、または肥満の発症下での代謝状態全体の改善および肥満関連障害の防止のための他の薬物と組み合わせて使用することができる。
【0129】
Zn-64 Aspは、下記に起因して高脂肪食での動物における酸化促進物質-抗酸化剤の恒常性を回復する:
・フリーラジカルプロセス強度の低減(脂質過酸化産物およびタンパク質酸化的修飾のレベルの減少)
・抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼおよびカタラーゼ)の活性の増加による抗酸化防御の活性化。
・正常な生理学的レベルの回復をもたらす、肥満の動物モデルにおける筋肉と、腎臓と、肝臓との間での二価金属イオン(亜鉛、銅、マンガン)の再分布の結果。
【0130】
食餌誘導性肥満モデルにおける肥満の発症および進行における重要な病原的関連に関するZn-64 Aspの効果の予備研究は、体重過多および肥満患者の処置における治療剤としてのZn-64 Aspの効率的な使用のための強力な基盤となる。
【0131】
Zn-64 Aspは、高脂肪食での動物における血清および脂肪組織のサイトカインプロファイルを正常化する:
・炎症促進性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-12、IFN-γ)レベルの低減
・全身的な炎症の強度の減少をもたらす抗炎症性サイトカイン(IL-4、IL-10、TGF)レベルの増加。
・Zn-64 Aspの投与は、対照群と比較してグルコース濃度の低下をもたらす。
・Zn-64 Aspは、血流のインスリンレベルを調節する
・Zn-64 Aspは、組織におけるその受容体に対するインスリンの活性の増加または血流におけるこのホルモンの量の増加のいずれかを引き起こす
・Zn-64は、血流におけるインスリンレベルに対するより長期的な効果を有するか、またはZn天然物と比較して、沈着部位からよりゆっくり放出される
・Zn-64 Aspの投与は、インスリン産生膵島面積の100%を超える増加をもたらす
・Zn-64 Aspの投与は、1型糖尿病の発症を特徴付けるパラメーター全て、つまりグルコースの濃度、グリコシル化されたヘモグロビンおよびインスリン含有量の改善をもたらす:
○26%分のグルコース濃度の減少
○30%分のグリコシル化されたヘモグロビンの減少
○13%分の血清インスリン濃度の増加
・サイトカインプロファイルに対するZn-64 Aspの効果は、それを1型糖尿病の発症下で身体に起きる炎症性プロセスの正常化のためのモジュレーターとしてみなすことが可能である
・Zn-64 Aspの投与は、1型糖尿病の発症中に血流におけるグルコース濃度の増加によって引き起こされる毒性効果の低減をもたらし、この代謝病理学を有する患者を処置するのに使用することができる。
【0132】
予備データにより、
1.高血糖症のレベルを低減するため
2.・肥満
・1型および2型糖尿病
・メタボリックシンドローム
・各種病因の身体の高血糖状態
の病的状態の膵臓の構造的完全性を回復するため
に炭水化物代謝の病理学を有する患者を処置するためにZn-64 Aspを使用することが可能であることが確認される。
【0133】
LPS誘導性パーキンソン病のラットにおけるZn-64アスパラギン酸塩の恒常性効果の概要
・局所的および全身的な炎症の阻害
・齧歯類におけるドーパミン作動性ニューロン損失および疾患の発現:体重減少、アポモルフィン検査における進行性の回転動作および認知低下の減少
・ラットの黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの数の事実上完全な回復
・これらの細胞における小膠細胞の代謝的消耗の防止および抗炎症性代謝シフト
・循環食細胞における全身的な炎症の阻害/防止およびその抗炎症性代謝シフト
・低悪性度MALT(粘膜関連リンパ組織)炎症の回復の促進
・ニューロン幹細胞および前駆細胞の活性化
・腸微生物叢および腸バリアの完全性に対するプラスの効果
・恒常性の回復-有害な副作用の非存在。
【0134】
Aβ1-40の注入によって誘導されるアルツハイマー病のラットモデルにおける認知活動ならびに局所的および全身的な免疫反応性に対するZn-64アスパラギン酸塩の恒常性効果の概要
・Aβ1-40誘導性ADのラットモデルにおける体重の減少ならびに水および食餌摂取の減少は、疾患を模倣した3週後に観察された。これらのパラメーターは、64Zn-aspで10日間処置したADラットにおいて回復された。
・海馬ドーパミン作動性ニューロンの数の減少および海馬ドーパミン作動性ニューロンにおけるチロシンヒドロキシラーゼの発現の減少が、Aβ1-40誘導性ADのラットモデルで記録された。64Zn-aspの、Aβ1-40ADラットへの投与により、TH免疫陽性細胞の数ではなくその染色強度が増加した。
・Aβ1-40誘導性ADの進行は、ADラットでは認知の柔軟性の障害と関連付けられ、それは、前頭皮質の機能障害を示す。Aβ1-40誘導性アルツハイマー病のラットモデルは、空間学習または短期/長期の記憶(海馬機能)のそれらの能力のいかなる変化も示さなかった。64Zn-aspの投与は、ADモデルにおいて認知機能を有意に改善し、それを無傷の動物および偽手術された動物における値に事実上戻した。
・Aβ1-40誘導性ADの進行は、長期にわたる急性局所的な(小膠細胞における)炎症プロセスおよびその自発的消散の兆候を伴う中程度に発現された全身的な炎症を特徴とする。ADの臨床発現が顕著な全身的な炎症を特徴とするため、このADモデルにおける全身的な炎症のわずかな発現はその弱点となる。
・亜鉛ベースの検査物質による療法は、神経炎症のほぼ完全な消散および全身的な免疫反応性の恒常性調節をもたらし、それは、その治療効果の病原性を示している。
【0135】
Covid-19の処置におけるKLS-1の使用に関する理論的根拠およびデータ
【0136】
KLS-1(64Znアスパラギン酸塩)の作用機序は、新たな細胞への、受容体、つまり亜鉛金属酵素ACE2を通じたウイルス侵入の防止およびすでに罹患された細胞におけるコロナウイルス繁殖の阻害に基づく。恒常性回復効果は、リボソームにおける細胞タンパク質産生の補正によって達成される。
【0137】
KLS-の合成およびCovid-19患者に関する第1~2相研究は開始する準備が整っている。多数の患者の処置に十分な量のKLS-1を短期で産生することができる。
【0138】
KLS-1は、Covid-19コロナウイルスではなく、その考え得る任意の今後の突然変異誘導体も打ち倒すのに重要な新たなプラットフォームとなる。
【0139】
インフルエンザ、ヘルペスおよびHCV(BVDV)ウイルスの代替モデルの繁殖に対する種々のアミノ酸および溶液との複合体亜鉛およびその軽い同位体の効果に対するインビトロ研究の過程で得られた結果は、亜鉛およびその軽い同位体の溶液がインフルエンザ、ヘルペスおよびHCV(BVDV)ウイルスの代替モデルの繁殖を効果的に阻害することを示している。
【0140】
クエン酸中のZn-64およびZn-天然溶液、グルタミン酸中のZn-64およびZn、ならびにグリシン-メチオニン溶液中のZn-64およびZnは、最も有望であった。それは、以下によって確認されている:
【0141】
インフルエンザおよびヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス、および代替C型肝炎ウイルス(BVDV-ウシウイルス性下痢症ウイルス)の阻害。
【0142】
細胞の有糸分裂レジームに対する影響の欠如。
【0143】
亜鉛-64およびZn-64グリシン-メチオニンの安定な軽い同位体のクエン酸塩およびグルタミン酸塩によるRNAおよびDNAの合成の阻害。
【0144】
重水素枯渇水における亜鉛グルタミン酸塩および亜鉛-64の軽い同位体のグルタミン酸塩複合体は、インフルエンザ、ヘルペスおよび代替C型肝炎ウイルスの繁殖を効果的に阻害したが、重水素枯渇水中のZnの軽い同位体のCC50がはるかに高いため、全てのウイルス繁殖系における軽い同位体の有効性指数は、天然亜鉛の有効性指数の数分の1であった。
【0145】
研究下での調製物の細胞傷害性および抗ウイルス活性の評価の結果により、Zn64クエン酸塩、Zn64EDDA、Zn64アスパラギン酸塩、Zn64グルタミン酸塩およびグリシン-メチオニン中のZn64は、抗EBV感染にとって最も有望な物質であることが示される。
【0146】
軽い同位体64Znの殺菌作用
【0147】
軽い同位体64Znに基づく抗菌組成物の殺菌作用を評価するために、Mueller-Hinton培地に殺菌組成物を含有する各チューブの内容物0.1mlをプレートアウトすることによって最小殺菌濃度(MBC)を決定した。インキュベーションは、37℃で24時間であった。
【0148】
検査試料のMBCは、Mueller-Hinton寒天培地上で成長がみられない最も低い濃度として決定した。確立したMBC値を表4に挙げる。
【0149】
【表4】
【0150】
さらなるデータにより、抗菌組成物が顕著な静菌および殺菌活性を有することが実証された。組成物の全ての試料が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)および大腸菌(E.coli)に対して静菌活性の良好な指標を有した。緑膿菌(P.aeruginosa)に関しては、EDDA、アスパラギン酸、およびグルタミン酸との塩の形態の64Znを含む抗菌組成物に関して、最良の結果が記録された。黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する抗菌組成物の殺菌活性は、全ての試料において十分高かった。
【0151】
【表5】
【0152】
【表6】
【0153】
上記データにより、64Zn富化亜鉛を含有する抗菌組成物は、天然同位体分布を用いた天然亜鉛ベースの調製物の静菌活性よりも有意に高い(最大約15~約2000倍)静菌活性を示したことが示される。組成物の殺菌活性は、全ての場合において、類似した塩の形態で天然亜鉛を含有する調製物の殺菌活性よりも有意に高かった。したがって、抗菌組成物の静菌活性および殺菌活性は、有機または無機酸の塩の形態の軽い同位体64Zn富化亜鉛の存在に直接起因することが確認された。
【0154】
抗菌組成物の有効性を確認するために、既知の抗菌剤とのその比較のために、並列実験を実行した。下記の市販の抗菌医薬を研究に使用した:アジスロマイシンおよびセフトリアキソンおよびノルフロキサシン。3000mcg/mlの初期濃度を、上記化合物全ての試料に使用した。実験の条件は、Zn-64化合物に関する条件と同様であった。また、上記抗菌化合物の段階希釈物を、本発明の抗菌組成物に関するのと同じ方法で調製した。黄色ブドウ球菌ATCC 25923、大腸菌ATCC 25922、緑膿菌ATCC 27853の同じ病原株を研究に使用した。抗菌剤に関して確立されたMICおよびMBCを、それぞれ、表7および表8に示す。
【0155】
【表7】
【0156】
空白
【0157】
【表8】
【0158】
上記データからわかるように、市販の抗菌剤のMICおよびMBCは、Zn-64抗菌組成物のMICおよびMBCよりもはるかに劣り、これにより、病原微生物の制御のための用途のその効率および便宜が確認される。したがって、この疾患の最も危険な相が、各種細菌が定着する呼吸解剖腔を有するウイルス-細菌肺炎を特徴とするため、防止および治療様式の両方におけるKLS-1の使用は、Covid-19に対する勝利の決定的要因であり得る。
【0159】
抗炎症性効果および恒常性効果
【0160】
Zn-64ベースのKLS-1の別の貴重な特徴は、強力な全身抗炎症性効果および恒常性効果である。データは、肥満(これはまた、Covid-19に関する重要な複雑化因子でもある)、1型&2型糖尿病、パーキンソン病、およびアルツハイマー病の処置におけるKLS-1有効性の予備研究中に得られた。
【0161】
KLS-1の抗炎症性および恒常性作用はともに、サイトカインストームの強度を防止または低減して、免疫系の効率を損ねることなく恒常性様式で炎症を低減するためにCovid-19患者の処置にとって極めて重要である。
【0162】
脂肪組織は、身体の貯蔵所であるだけでなく、視床下部、下垂体、膵臓、肝臓、骨格筋、腎臓、内皮、免疫系などを含む多くの組織および臓器の応答を調節する内分泌、傍分泌および自己分泌シグナルの複合体を通じて代謝の調節に能動的に関与する臓器であることは疑う余地はない。したがって、脂肪組織は、サイトカインを含む50種類を超えるタンパク質因子、ホルモン、および増殖因子を分泌する。IL-1、IL-6、IL-8、IL-12、TNF-α、IFN-γおよび抗炎症性サイトカイン、例えばIL-4、IL-10、IL-13、TGFなどの炎症促進性サイトカインが存在する。
【0163】
脂肪細胞における反応性酸素種の過剰な産生の結末の1つは、シグナル伝達カスケードの開始であり、脂肪組織の中に浸潤してその塊を増加するマクロファージによって、炎症促進性サイトカインの産生の増加をもたらす。かかる障害の結果は、肥満を発症する人の身体における全身的な慢性炎症の形成である。積極的に議論される現代の概念によれば、かかる障害の結果は、肥満および肥満関連疾患の病因における重要な関連性の1つであると考えられる脂肪組織における無症状慢性炎症である。脂肪組織の慢性炎症は、細胞浸潤、線維症、微小循環の変化、アディポカイン分泌障害および脂肪組織代謝障害、ならびにC反応性タンパク質、フィブリノゲン、および白血球のような非特異的炎症性マーカーの血中レベルの増加を特徴とする。
【0164】
脂肪組織だけでなく、血中血清における炎症促進性サイトカインのレベルの増加は、脂肪組織における炎症性プロセスの結果として起きる。
【0165】
サイトカインは、細胞間および系間の相互作用を調節する内因性の生物学的に活性なメディエーターとして、細胞の成長、分化、機能的活性、およびアポトーシスを調節することによって細胞の生存に影響を与える。サイトカインは、生理学的条件下で、病理学的影響に応答して、免疫、内分泌および神経系の作用の協調を保証する。サイトカインは、リンパ球、単球、および組織マクロファージによって産生されるとこれまで考えられていた。しかしながら、近年の研究の結果により、肥満では、任意の炎症性プロセスでみられるように、好中球、T-リンパ球、続いて常在性マクロファージの、脂肪組織への浸潤が初期段階で起こり、それが、炎症の初期メカニズムを決定することが示されている。マクロファージは、脂肪細胞の肥大に寄与し、これに、それらの機能的活性の増加およびサイトカインの合成の増加が付随し、炎症性応答のさらなる強化につながることが示されている。肥大した脂肪細胞は、ケモカインおよびそれらの受容体を強烈に分泌して、新たな好中球、マクロファージおよびリンパ球の流入を刺激し、したがって、脂肪細胞の肥大、炎症性応答の保存および強化のさらなる増加に寄与する。脂肪細胞は、マクロファージによるサイトカインの分泌を増加し、それは続いて、脂肪細胞に作用して、脂肪組織細胞の肥大および活性化を引き起こす。肥大した脂肪細胞は、リンパ球およびマクロファージのように、サイトカインを産生し、補体を活性化して、炎症性プロセスの鎖を誘発することが見出された。結果として、炎症は、定常かつ全身性となる。さらに、トランス-4-オキシ-2-ノネナールおよびマロン酸ジアルデヒドなどの脂質過酸化産物は、単球およびマクロファージの走化性因子である。蓄積された脂肪組織における脂質過酸化のプロセスの強化は、肥満におけるマクロファージの、脂肪組織への誘因および浸潤に寄与し、したがって、炎症反応の開始に能動的に寄与する。
【0166】
したがって、脂肪組織塊の増加は、脂肪組織に取り込まれた脂肪細胞およびマクロファージの両方によって合成される炎症促進性サイトカインの一定の供給源であり、それが、身体における慢性炎症性プロセスの形成および炎症の維持につながる。その低い強度は、直接的な臨床症状を提示せず、同時に、このプロセスは事実上全身性であり、それが広範囲の臓器および組織を罹患して、それらの代謝の変化を引き起こし、それらの機能および免疫系反応の障害を引き起こすことを意味する。
【0167】
上記を踏まえて、次の段階は、アスパラギン酸塩形態のZn-64安定同位体の投与が、肥満動物においてサイトカインプロファイルに影響を与えるかどうかを見出すことであった。この目的で、実験動物の脂肪組織および血清中の主要な炎症促進性(IL-1、IL-6、IL-12、IFN-γ)および抗炎症性(IL-4、IL-10、TGF)サイトカインの濃度を決定し、これにより、本発明者らは、脂肪組織における炎症性プロセスの強度について結論を下し、かかる炎症性プロセスが全身性であるかどうかを評価することが可能となった。
【0168】
得られた結果に従って、肥満の発症には、高脂肪食を給餌された動物の脂肪組織における全ての分析された炎症促進性サイトカイン(表9)のレベルの増加が付随し、これは、炎症性プロセスの活性化を示している。
【0169】
続いて、長期にわたる炎症性プロセスは、各種合併症の発症を引き起こし得る。炎症性プロセスの強化および炎症性中間体の蓄積の増加は、組織損傷および臓器機能不全を引き起こし得る。
【0170】
【表9】
【0171】
高レベルの上述のものを含む炎症促進性サイトカインは、β-細胞のアポトーシスを誘発し得ることが証明されている。その発現がIFN-γによって活性化される高濃度のIL-12は、膵臓におけるCD8+リンパ球の浸潤および急性膵炎の発症を引き起こす。IL-1βは、これらの細胞の表面上の特異的受容体への結合を概して、NF-κB媒介性アポトーシスの活性化を引き起こし、これが、DNAフラグメンテーションおよび細胞の機能的活性の損失を引き起こす。さらに、IL-1βはまた、インスリンに対する末梢組織の抵抗性(resistance)の発症に寄与する因子の1つとみなされ得る。IL-1βは、インスリン受容体基質(IRS)-1においてセリン残基をリン酸化することによって、インスリンシグナル伝達に影響を与えるIκBキナーゼ-βを活性化することが示されている。さらに、IL-1βは、肝臓において脂肪生成を活性化することと、脂肪細胞においてトリグリセリドおよび遊離脂肪酸のレベルの増加に寄与することとによって、インスリンの作用に対する抵抗性を間接的に増加し得る。
【0172】
IL-6は、末梢血における脂肪組織塊の増加に正比例して蓄積されることが示されている。脂肪細胞は、免疫系:循環IL-6の35%が脂肪細胞によって合成された後のIL-6の2番目に大きい供給源である。血中のその濃度は、肥満度指数に正比例しており、肥満において増加される。同時に、体重の減少には、IL-6の血中レベルの減少が付随する。過剰の場合、IL-6は、インスリン受容体サブユニットの1つの合成を抑制することによって、インスリン抵抗性を悪化させる。内臓脂肪組織において脂肪分解を活性化すことによって、IL-6は、脂肪肝臓症および全身性アテローム性動脈硬化症の進行性発症に寄与する。さらに、IL-6は、肥満と関連付けられる別の因子であるC反応性タンパク質(CRP)の産生の増加を誘導する。
【0173】
炎症促進性サイトカインのレベル、したがって、生物学的効果に関する制御メカニズムの1つは、抗炎症性サイトカインの群によって遂行される。これらのサイトカインは、特異的遺伝子の転写に影響を及ぼすことによって、炎症促進性サイトカインの合成を阻害し、インターロイキンRAILの受容体アンタゴニストの合成を誘導し、可溶性受容体の産生を増強し、細胞上の炎症促進性受容体の密度を低減することができる。したがって、炎症促進性サイトカインのプロファイルに対するアスパラギン酸形態のZn-64安定同位体の効果の考え得るメカニズムを明白にするために、IL-4、IL-10、およびTGFのレベルを決定した。
【0174】
炎症促進性サイトカインのレベルの検出された変化は、肥満動物における抗炎症性サイトカインのレベルのわずかな減少のバックグラウンドに対してみられた。同時に、アスパラギン酸形態のZn-64安定同位体で処置した動物において、抗炎症性サイトカインのレベルは、肥満の未処置動物モデルよりも高かっただけでなく、対照群由来の動物よりも高かった。
【0175】
検査物質で処置した対照群由来の動物における変化の非存在は、アスパラギン酸形態のZn-64安定同位体の長期の使用が安全であり、それが病理学的状態の発症のみを伴って治療効果を示すことが可能であることを示唆していることが重視されるべきである。
【0176】
上述するように、肥満の病因には、全身的な慢性炎症プロセスが付随され、その強度は、炎症促進性および抗炎症性サイトカインの血清レベルによって評価することができる。
【0177】
肥満を有する動物の血清中のサイトカインプロファイル(表10)の分析により、脂肪組織から得られたデータと比較してより顕著な、炎症促進性サイトカインのレベルの増加が示された。抗炎症性サイトカインIL-4のレベルの統計学的に有意な変化はみられなかった。肥満動物におけるIL-10の血清レベルのわずかな増加は、代謝障害に対する身体のある特定の代償性応答とみなすことができる。
【0178】
Zn-64ベースのKLS-1で処置した動物では、抗炎症性サイトカインのレベルの増加のバックグラウンドに対して炎症促進性サイトカインのレベルの減少がみられ、それらは、対照群由来の動物よりもさらに高かった。
【表10】
【0179】
サイトカインプロファイルに対する亜鉛の効果の基本メカニズムの1つは、酸化的ストレスに高感度である転写因子のその阻害であり得る。亜鉛-64はまた、IL-6およびIL-8などの炎症促進性サイトカインをコードする遺伝子を部分的に阻止し得る。
【0180】
アスパラギン酸Zn-64(KLS-1)の抗炎症性効果は、炎症の病因に依存しない。それは、健常な恒常性の回復の結果である。
【0181】
インビボ研究からの概要は以下である:
【0182】
LPS誘導性実験的パーキンソニズムを有するラットにおける局所的および全身的な免疫反応性、行動および運動機能に対する64Zn-KLS-1の効果
1.LPS誘導性パーキンソン病には、長期にわたる局所的な炎症プロセスによって引き起こされる小膠細胞の食作用の機能的枯渇が付随する。プラスの治療効果が付随するKLS-1の使用は、KLS-1の回復性恒常性効果を示す修復プロセスに関与するそれらの食細胞機能の著しい活性化を伴って小膠細胞の代謝活性と関連付けられた。
2.LPS誘導性パーキンソニズムの進行には、好中球-リンパ球比の増加と組み合わせて単球増加症からも明らかなように、顕著な末梢炎症が付随する。KLS-1の治療的投与は、全身的な炎症性応答を低減する。
3.循環性食作用の表現型および代謝特性は、それらの機能的活性における炎症促進性シフトと同時に、長期にわたる全身的な炎症プロセスによって引き起こされるそれらの機能的枯渇を示す。KLS-1の投与には、それらの代謝における抗炎症性シフトを伴って、循環性食細胞の機能的回復が付随する。
4.LPS誘導性パーキンソニズムの進行には、それらの炎症促進性活性化とともに、全身性炎症プロセスにおけるMALT免疫細胞の関与が付随する。KLS-1の投与は、それらの炎症促進性代謝シフトを伴って、これらの細胞における代謝の恒常性変化を誘導する。
【0183】
恒常性抗炎症性効果のさらなる証拠は、この研究で得られた:
【0184】
ベータ-アミロイドペプチドのミックスの注入によって誘導されるアルツハイマー病の種々のモデルを用いた、ラットにおける認知症候学に対する64Zn-aspの効果
【0185】
炎症および恒常性関連の見解の概要は下記の通りである:
1.Aβ1-40注入によって誘導されるADの発症は、長期にわたる急性局所的な(小膠細胞における)炎症プロセスおよびその自発的消散の兆候を伴う炎症の中程度に発現された全身発現を特徴とした。ADの臨床発現が顕著な全身的な炎症を特徴とするため、このモデルにおける全身的な炎症のわずかな発現はその弱点となる。
2.神経炎症のほぼ完全な消散および全身的な免疫反応性の恒常性調節のアクチュエータの亜鉛製剤の治療的投与、これはその治療効果の病原性を示す。
3.慢性炎症は、ADを含むシヌクレイン症およびタウオパチーの最も重要な病態生理学的成分の1つであることが、文献データにより確信的に示されている。ADを有する患者のロイコグラム(leukogram)は、単球および好中球の数の増加を明らかにしている。同時に、リンパ球の数は、標準と比較して低減されている。単球および好中球の数の増加は、慢性炎症の兆候であり、ともにADに先行し、その結末となり得る。少数のリンパ球は、感染との闘いに対する身体の耐性が著しく低減されていることを示している。ADにおけるBBB浸透性の増加は、末梢への神経炎症メディエーターの遊走を促進する。ならびに、脳への循環性白血球の漸加、これはメタ炎症プロセスの持続のための必須条件を創出する。血液学的パラメーターの研究は、実験の完了の時点で実行した。
4.ADのAβ1-40モデルの動物のヘモグラムの分析により、急激な白血球増加症が示された:無傷の動物と比較した循環性白血球の数は、2.5倍増加した。表出性白血病増加書症は、プラセボ群でも観察され、これが、老齢動物における免疫細胞の低い修復能に明らかに起因していることは留意されるべきである。微量元素調製物の治療的投与には、ADの動物における循環性白血病の絶対数の完全な正常化が付随する。循環性白血球の集団組成の特徴は、リンパ球の数のわずかな減少および単球の数の著しい減少(中程度の単球減少症)を示した。AD誘導にはまた、好中球リンパ球係数(好中球の絶対数対末梢血リンパ球の絶対数の比、NLS)の著しい増加(4倍を超える)を伴って表出性好中球増加症も付随した。NLCは、AD発症の初期マーカーの1つであり、認知障害にとって重要な予後判定基準である。亜鉛調製物の治療的投与は、リンパ球の数(それは、調節性細胞を包含する炎症の消散に関する判定基準である)の増加、および分割型好中球の数の著しい減少の両方に起因して、NLCの完全な正常化と関連付けられた。
【0186】
同位体選択療法の有効性は、この療法が既存の処置とは異なり、病理学の根本的原因:タンパク質構造におけるらせんの同位体置換誘導性の歪み、タンパク質におけるD-アミノ酸の出現、それらのコンホメーションの変化、アンフォールディングおよび凝集に作用するためである。リボソームにおけるジンクフィンガーは、病因の発生において重要な役割を果たす。リボソームは、全てのタンパク質を産生する。この技術の本質は、これらの生体分子において亜鉛の同位体比を変化させて、野生型タンパク質産生の必須条件を創出することである。全てのタンパク質。それが機能するかどうかをどのように見分けることができるか?結局のところ、ヒトにおける20,000個のタンパク質のコンホメーションを検査することは非常に難しい。同時に、病変生細胞は、重い同位体で富化されており、正常なタンパク質を有する健常な細胞は、軽い同位体が富化されているに違いない。この場合、リボソーム中の重い亜鉛同位体の、Zn-64による置き換えは、軽い同位体で富化された野生型タンパク質の合成を保証するはずである。これはまた、金属タンパク質にも適用される。したがって、Zn-64注入後の動物の任意の臓器における必須化学元素の同位体比の検証による、この技術の基本を確認するための最も容易な方法。また、それが血流中のZn-64の濃度を増加すると意図されるとしても、同位体比のシフトは、亜鉛においてだけでなく、他の金属においても同様に、最も軽いものが有利になるように検出されるはずである。そうであるならば、それは未知のことである。検査小分子が血液脳関門を通って浸透するかどうかを同時に確認するために、同位体比を、処置なしの健常なマウスの対照群およびZn-64アスパラギン酸塩の10回の毎日の静脈内注入後の治療のマウスの2群において研究した。以下の表の結果は、予想と完全に一致している。
【0187】
【表11】
【0188】
上記で詳述したセクションの研究は、医薬組成物として、富化された亜鉛64組成物を投与することによって行われたが、食物としては行われなかった。
【0189】
同位体比の分析および同位体分離の提唱されるメカニズムに基づいて、健常な生細胞におけるタンパク質は、水素、酸素、窒素、炭素必須化学元素の最も軽い同位体のみを含有すべきである。カリウムおよびルビジウムは、それらがタンパク質に結合しようと細胞の生命において他の役割を果たしていようと、K-39およびRb-85の同位体形態で存在するよう求められている。食物とともに身体に入ってくる化学元素は全て、それらの周知の天然存在比に従う同位体比を有する。正確には、この比は、細胞の細胞質中に存在すると予想されるべきである。タンパク質は、細胞の総重量のおよそ20パーセントを占める。Lodish H, Berk A, Zipursky SL, et al. Molecular Cell Biology. 4th edition. Section 1.2 New York: W. H. Freeman; 2000。軽い同位体がタンパク質産生で使用される場合、細胞質中の同位体比は、重い同位体が有利になるようにシフトされるはずであり、細胞1つ当たりの総平均値は、細胞に入ってくるものの1つに等しくなる。一部の細胞は、例えばホルモン、サイトカインまたはシグナル伝達分子または母乳成分などの「輸送用の」タンパク質/ポリペプチドを産生しなくてはならない。続いて、細胞機構の、まさに「輸送用の」生体分子を産生する能力は、細胞にデリバリーされる材料に依存する。軽い同位体の適時の供給の不足は、重い同位体による細胞質の富化、タンパク質産生におけるこれらの同位体の使用および製品の品質の不可避の低下:らせんの歪み、タンパク質中のアミノ酸のラセミ化の傾向、それらの損傷されたコンホメーション、アンフォールディングおよび考え得る凝集および機能損失をもたらす。したがって、正確には、これらの種類の細胞は、原発性または転移がんを含む組織および臓器における病理学的変化の発生にとって最良の場所となる。「本来の設計」に従って、人体が軽い同位体のみで作製されるべきであることを想定することは合理的である。食物が、主に天然存在度に比例して安定な同位体の混合物である化学元素からなることが問題である。それは、健康問題の主な源が栄養であり、それは実際に、毒と解熱剤の混合物であることを意味している。それは、人々が慢性および急性の全身ならびに局所変性に向かうことになる理由である。変性および感染性疾患の処置ならびに防止は、例えばZn-64、K-39、Mg-24、またはFe-54などの軽い同位体の十分な供給を要する。変性および感染性疾患の予防薬用の1日消費用量を2~4倍超える軽い同位体組成物を用いた静脈内注射または経口丸剤の使用は、極めて有益であり得る。かかるアプローチの有効性は、用量および薬物デリバリー時間に依存する。このアプローチが、食物とともに入ってくる重い同位体を防止することができないことが問題である。この問題の最良の解決法は、必須化学元素の軽い同位体で肥沃にした土壌中で生育させた同位体選択的食物/農産物を消費することである。媒体として各種酸およびアミノ酸または生体分子を有する治療用および防止用化合物における必須化学元素の最も軽い安定同位体が使用されるべきである。同時に、最良の媒体は、植物性食物における化学化合物であることは周知されている。
【0190】
任意の現在既知の医薬:ワクチン、抗生物質、阻害剤、活性化剤、およびさらにはCAR-T細胞のなどの最も洗練された生成物を有する農産物用の土壌中で植物を生育させることは、それらが地面で簡単に分解するため理にかなっていない。
【0191】
対比して、必須化学元素の最も軽い同位体が富化された塩およびアミノ酸ベースの治療用化合物は、各種作物、果物、および野菜の農業生産の過程で新たなタイプの栄養分または「肥料」として使用することができる。それらは、スプラウトもしくは野菜を生産するための水耕栄養培地の一部として、または成長の早い植物を使用して、必須化学元素の最も軽い安定同位体が富化されたコンポストへ続く変換のために機能し得る。次に、このコンポストは、植物が生育するための土曜の主成分として使用され得る。軽い同位体の抗ウイルスおよび抗菌作用は、この土壌で生育する植物に対する、細菌およびウイルスからのさらなる防御を提供する。このように生育させた産物は、特有の予防および治療特性を有する。これらの植物または木は、生命の木と同じ特性を有するであろう。したがって、有名なヒポクラテスの表現に従って、本発明者らの医薬となっている。ヒトが現在消費する食物は、天然存在度の同位体からなり、実際に毒と解毒剤の混合物である。同位体選択的食物の毎日の消費は、若々しい恒常性、即ち、変性疾患および感染性疾患からの同時の防止を伴う人体の安定性を連続的に維持するための最良の方法である。食物とともに摂取される必須化学元素に関する1日消費用量は、転移性固形腫瘍、自己免疫疾患、1型&2型糖尿病、肥満、失語症、およびパーキンソン病の患者における第1~2相臨床研究中に決定された治療用量に等しい。
【実施例
【0192】
実施例
【0193】
本発明がより良好に理解されるために、下記実施例を記載する。これらの実施例は、単に説明の目的であり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0194】
実施例1.水耕栽培で生育させた植物
【0195】
植物生成物(作物)を生産する植物は、表12に示すように、指定濃度の必須化学元素の最も軽い同位体を含む溶液を用いて水耕栽培で生育させる。
【0196】
【表12】
この溶液は、日程表通りに、例えば週に1回、あるいは電気伝導度メーターで測定した場合に1つまたは複数の栄養分の濃度がある特定レベル未満に下がったら交換する。溶液がある特定レベル未満に枯渇されたらすぐ、水または新鮮な溶液を添加する。溶液は、表12に示すように必須化学元素の軽い同位体を含む。植物生成物(作物)は、準備ができ次第収穫する。食物は、これらの植物の生成物からヒト消費用に調理される。
植物、植物生成物、およびこれらの植物/植物生成物から作製された食物は、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、K-39、Ca-40、Mg-24、Zn-64、およびFe-54の富化された軽い同位体を含むことを検証することができる。
【0197】
実施例2.肥料としてZn-64が富化された土壌中で生育させた植物
【0198】
上記表11におけるデータに倣って、99.9%に富化したZ-64の10回の静脈内注射は、最も軽い同位体が有利になるように他の必須化学元素の同位体比のシフトを引き起こす。したがって、まさに1つの同位体Zn-64で肥沃にした土壌で植物を生育させることが、非常に有益である。
植物を土壌中に植える前に、または植物が完全に生育しないうちに、Zn-64硫酸塩を含む肥料を土壌に添加する。他の乾燥肥料材料もまた、土壌に添加してもよい。Zn-64の任意の塩またはキレートを肥料として使用することができる。この実施例では、Zn-64硫酸塩を使用する。1エーカー当たり亜鉛-64 1ポンドを添加する。続いて、植物をこの土壌に植える。土壌中のZn-64硫酸塩のレベルが低い場合、または日程表通りに、Zn-64硫酸塩を含む肥料を、時間をかけて土壌に添加し得る。植物または植物生成物は、準備ができ次第収穫する。食物は、これらの植物の生成物からヒト消費用に調理される。
植物、植物生成物、およびこれらの植物/植物生成物から作製された食物は、富化されたZn-64を含むことを検証することができ、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、他の必須化学元素の富化された軽い同位体を含み得る。
【0199】
実施例3.葉面供給によって生育させた植物
Zn-64は、葉面供給を通じて植物作物に供給される。この目的で、粉末状の亜鉛-64硫酸塩を水溶液中に溶解し、植物の葉上にそれらが生育したら噴霧する。1エーカー当たり溶液25ガロンは、Zn-64硫酸塩1.5から3ポンドを含有して、1エーカー当たり0.5から1ポンドのZn-64をデリバリーする。準備ができ次第、植物または植物生成物を収穫する。食物は、植物または植物生成物からヒト消費用に調製され得る。
植物、植物生成物、およびこれらの植物/植物生成物から作製された食物は、富化されたZn-64を含むことを検証することができ、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、他の必須化学元素の富化された軽い同位体を含み得る。
【0200】
実施例4.家畜
ブタおよびニワトリに、それらが生育したらZn-64を含む食物で食餌を与える。Zn-64の任意の塩またはキレート、例えば亜鉛64アスパラギン酸塩を使用することができる。ニワトリ由来の卵を収穫し、消費し得る。ブタ、ニワトリ、ニワトリ由来の卵、ならびにブタおよびニワトリから作製された食物は、富化されたZn-64を含むことを検証することができ、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、他の必須化学元素の富化された軽い同位体を含み得る。
【0201】
実施例5.水産養殖
水産養殖で生育させたマスなどの淡水魚に、それらが生育したらZn-64を含む溶液を供給する。Zn-64の任意の塩またはキレート、例えば亜鉛64アスパラギン酸塩を使用することができる。マスは、富化されたZn-64を含むことを検証することができ、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、他の必須化学元素の富化された軽い同位体を含み得る。
【0202】
実施例6.海洋牧場
【0203】
海洋牧場で成長させたシーバスなどの海水魚に、それらが生育したらZn-64を含む溶液を供給する。Zn-64の任意の塩またはキレート、例えば亜鉛64アスパラギン酸塩を使用することができる。シーバスは、富化されたZn-64を含むことを検証することができ、当該技術分野で通例の方法によって、例えば質量分析によって、他の必須化学元素の富化された軽い同位体を含み得る。
【0204】
本発明は、それらの詳細な説明と併せて記載しているが、先述の説明は、本発明を説明するものと意図されており、本発明の範囲を限定すると意図されず、本発明の範囲は、併記の特許請求の範囲によって規定されることが理解されよう。他の態様、利点および修正は、併記の特許請求の範囲内である。したがって、本発明のある特定の特徴のみが説明および記載される一方で、多くの修正および変更が当業者に思い浮かぶであろう。したがって、併記の特許請求の範囲は、本発明の真の主旨内に収まるような修正および変更全てを網羅すると意図されることが理解されよう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】