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特表2024-513180DDR阻害物質としてのインドリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】DDR阻害物質としてのインドリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20240314BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240314BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240314BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20240314BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240314BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240314BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240314BHJP
   C07D 403/06 20060101ALI20240314BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240314BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C07D401/06
A61K9/72
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P1/16
A61P27/02
A61P9/00
A61P25/00
C07D403/14 CSP
A61K31/506
C07D401/14
A61K31/4439
C07D403/06
A61K31/496
A61K31/497
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558884
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022057938
(87)【国際公開番号】W WO2022200576
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21165265.6
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】カルツァニーガ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ランカーティ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】リッツィ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】カラヴァイチク,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォウェク,バルバラ カロリーナ
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ,トビー マシュー グローバー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB03
4C063BB09
4C063CC25
4C063CC29
4C063CC34
4C063DD06
4C063EE01
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC29
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC38
4C086BC42
4C086BC48
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZC20
(57)【要約】
DDR阻害物質としてのインドリン誘導体
本発明は、DDR1およびDDR2を阻害する一般式(I)の化合物に関する。特に、本発明は、インドリン誘導体である化合物、それらを含む医薬組成物およびその治療的使用に関する。本発明の化合物は、DDRの調節不全と関連する疾患または状態、特に線維症の処置に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R1は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
Lは、-CH2および-C(O)-からなる群から選択され;
L1は、-C(O)NH-および-NHC(O)-からなる群から選択され;
Hyは、-(C1-C4)アルキルおよびオキソから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい-(CH2)nNR4R5、-C(O)NR4R5、-(C1-C4)アルキル、-NR4(CO)R5、-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルおよび-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい単環式ヘテロアリールであり;
nは、0、1または2であり;
R4は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
R5は、Hであるか、または、-(C1-C4)アルキル、-(C1-C4)アルキレン-NR1R4および-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい(C3-C7)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、
【化2】
(式中、R2は、-(C1-C4)アルキル、-O(C1-C4)ハロアルキル、ハロゲン原子、-(C1-C4)ハロアルキル、-(C3-C7)シクロアルキルおよび-O(C3-C7)シクロアルキルからなる群から選択され;
R3は、Hであるか、または-O(C1-C4)アルキル、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよいヘテロアリール、および(C4-C7)ヘテロシクロアルキル-(C1-C4)アルキレン-からなる群から選択され、ここで、前記-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルは、-(C1-C4)アルキルおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい)
である]
の化合物およびその薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
Lが、-CH2である、請求項1に記載の式(I)の化合物
【請求項3】
L1が-C(O)NH-であり、XがX':
【化3】
である、式(Ia1'):
【化4】
で示される、請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)インドリン-6-カルボキサミド;
N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-((2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イル)メチル)インドリン-6-カルボキサミド;
N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;および
1-((2-((1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド、の少なくとも一つから選択される、請求項3に記載の式(Ia1')の化合物。
【請求項5】
L1が-C(O)NH-であり、XがX'':
【化5】
である、式(Ia1''):
【化6】
で示される、請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
1-((2-アミノピリミジン-5-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((6-アミノピリジン-3-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((4-アミノピリミジン-5-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((5-アミノピラジン-2-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((2-(メチルアミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((6-アセトアミドピリジン-3-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((6-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;
1-((2-アセトアミドピリミジン-5-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド;および
1-((5-カルバモイルピリジン-3-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド、の少なくとも一つから選択される、請求項5に記載の式(Ia1'')の化合物。
【請求項7】
L1が-NHC(O)-であり、XがX':
【化7】
である、式(Ib1'):
【化8】
で示される、請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
N-(1-((2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N-(1-((3-アミノピラジン-2-イル)メチル)インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N-メチル-4-((6-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)インドリン-1-イル)メチル)ピコリンアミド;および
N-(1-((2-アミノピリミジン-5-イル)メチル)インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド、の少なくとも一つから選択される、請求項7に記載の式(Ib1')の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体または賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項10】
吸入による投与のための、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または、請求項9または10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ジスコイジンドメイン受容体の調節不全と関連する疾患、障害または状態の予防および/または処置における、請求項11に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項13】
線維症および/または線維症が関与する疾患、障害または状態の予防および/または処置における、請求項11または12に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項14】
肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、腎線維症、眼線維症、心線維症、動脈性線維症および全身性硬化症を含む線維症の予防および/または処置における、請求項13に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項15】
特発性肺線維症(IPF)の予防および/または処置における、請求項14に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジスコイジンドメイン受容体を阻害する化合物(DDR阻害物質)、そのような化合物を製造する方法、それらを含有する医薬組成物およびその治療的使用に関する。本発明の化合物は、例えば、DDRメカニズムと関連する多くの障害の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
ジスコイジンドメイン受容体(DDR)は、I型膜貫通型受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。DDRファミリーは2つの異なるメンバー、DDR1とDDR2を含む。
【0003】
DDRがコラーゲンによって活性化されるのに対し、RTKスーパーファミリーの他のメンバーは主に、可溶性ペプチド様増殖因子によって活性化される点において、DDRは、RTKスーパーファミリーの他のメンバーの中で特異な受容体である(Vogel, W. (1997) Mol. Cell 1, 13-23; Shrivastava A. Mol Cell. 1997; 1:25-34を参照)。さらに、DDRは、非共有結合で結合している、リガンドに依存しない安定な二量体を形成することからも、DDRは、一般的ではないRTKである(Noordeen, N. A. (2006) J. Biol. Chem. 281, 22744-22751; Mihai C. J Mol Biol. 2009; 385:432-445を参照すること)。
【0004】
DDR1サブファミリーは5つの膜アンカーアイソフォームで構成され、DDR2サブファミリーは単一タンパク質で代表される。5つのDDR1アイソフォームはすべて、細胞外ドメインと膜貫通ドメインを共通に有するが、細胞質領域が異なる(Valiathan, R. R. (2012) Cancer Metastasis Rev. 31, 295-321; Alves, F. (2001) FASEB J. 15, 1321-1323を参照)。
【0005】
DDR受容体ファミリーは、肺線維症、特に特発性肺線維症(IPF)などの一連の線維性疾患に関与していることが見出されている。肺線維症におけるDDR1欠失の保護的役割に関する最初の証拠は、2006年にVogel博士の研究グループによって生み出された(Avivi-Green C, Am J Respir Crit Care Med 2006;174:420-427を参照)。この著者らは、DDR1欠損マウスがブレオマイシン(BLM)誘発傷害からほぼ保護されることを示した。さらに、これらの動物では、筋線維芽細胞の増殖とアポトーシスが、野生型の対照物と比較して、はるかに低かった。ノックアウトマウスに炎症がないことは、洗浄細胞の数とサイトカインELISAによって確認された。これらの結果から、DDR1の発現が肺の炎症と線維症の発症の前提条件であることが示された。
【0006】
DDR2の欠損またはダウンレギュレーションは、ブレオマイシン誘発肺線維症を軽減する(Zhao H, Bian H, Bu X, Zhang S, Zhang P, Yu J, et al Mol Ther 2016; 24:1734-1744を参照)。Zhaoらは、DDR2が肺における線維化と血管新生の誘発に重要な役割を果たしていること、特にDDR2がトランスフォーミング増殖因子(TGF)-βと相乗的に作用することで筋線維芽細胞の分化を誘導することを示した。さらに、DDR2に対する特異的siRNAで傷害マウスを処置すると、肺線維症に対して治療効果を示したことも示した。2つ目の公開で、Jiaらは、DDR2欠損マウスがブレオマイシン誘発肺線維症から保護されることを示した(Jia S, Am J Respir Cell Mol Biol 2018;59:295-305を参照)。さらに、DDR2のない線維芽細胞は野生型線維芽細胞よりも有意にアポトーシスを有意に起こしやすく、これは、アポトーシスに対する線維芽細胞の抵抗性が線維症の進行に重要であるというパラダイムを支持している。
【0007】
いくつかの化合物はDDR1またはDDR2アンタゴニストとして文献に記載されている。
【0008】
WO2016064970(Guangzhou)は、炎症、肝線維症、腎線維症、肺線維症、皮膚瘢痕、アテローム性動脈硬化症および癌の予防および処置のための治療薬として有用な選択的DDR1阻害物質としてのテトラヒドロイソキノリン-7-カルボキサミドを開示している。
【0009】
Guangzhouの同じ発明者から、Wang Z. et al. Chem. 2016, 59, 5911-5916に、選択的DDR1阻害物質としてのテトラヒドロイソキノリン-7-カルボキサミドが開示されている。
【0010】
特に、DDR受容体をアンタガナイズすることは、線維症および線維症に起因する疾患、障害および状態の処置に有用であり、さらに受容体DDR1およびDDR2の両方をアンタガナイズすることは、上記の疾患、障害および状態の処置に特に有効である。
【0011】
過去数年間、いくつかの疾患の処置に有用な新規DDR1およびDDR2受容体アンタゴニストを開発するために、いくつかの努力がなされてきて、これらの化合物のいくつかは、ヒトにおいても有効性を示している。
【0012】
上記で引用した先行技術にもかかわらず、吸入経路によって投与され、かつ全身曝露および関連する安全性の問題を最小限にするために、肺における良好な活性、良好な肺保持、および低い代謝安定性に対応する良好な吸入プロファイルを特徴とする、呼吸器分野、特に特発性肺線維症(IPF)において、DDR受容体の調節不全と関連する疾患または状態の処置に有用な、受容体DDR1およびDDR2の両方の選択的阻害物質を開発する可能性が残っている。
【0013】
この方向において、驚くべきことに、吸入による投与のための受容体DDR1およびDDR2に対する阻害物質を提供するという問題を解決し、他のヒトタンパク質キナーゼに対して受容体DDR1およびDDR2の選択的阻害物質として活性である、本明細書で以下に報告する一般式(I)の新しい一連の化合物を見出した。このような化合物は、高い効力、良好な吸入プロファイル、低い代謝安定性、低い全身曝露、改善された安全性および忍容性を示す。
【発明の概要】
【0014】
第一の態様において、本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R1は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
Lは、-CH2および-C(O)-からなる群から選択され;
L1は、-C(O)NH-および-NHC(O)-からなる群から選択され;
Hyは、-(C1-C4)アルキルおよびオキソから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい-(CH2)nNR4R5、-C(O)NR4R5、-(C1-C4)アルキル、-NR4(CO)R5、-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルおよび-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい単環式ヘテロアリールであり;
nは、0、1または2であり;
R4は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
R5は、Hであるか、または、-(C1-C4)アルキル、-(C1-C4)アルキレン-NR1R4および-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい(C3-C7)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、
【化2】
(式中、R2は、-(C1-C4)アルキル、-O(C1-C4)ハロアルキル、ハロゲン原子、-(C1-C4)ハロアルキル、-(C3-C7)シクロアルキルおよび-O(C3-C7)シクロアルキルからなる群から選択され;
R3は、Hであるか、または-O(C1-C4)アルキル、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよいヘテロアリール、および(C4-C7)ヘテロシクロアルキル-(C1-C4)アルキレン-からなる群から選択され、ここで、前記-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルは、-(C1-C4)アルキルおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい)
である]
の化合物およびその薬学的に許容できる塩に関する。
【0015】
第二の態様において、本発明は、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩を、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体または賦形剤と共に含む医薬組成物に関する。
【0016】
第三の態様において、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩、または式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物に関する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、DDRの調節不全と関連する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩、または式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物に関する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、線維症および/または線維症が関与する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩、または式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物に関する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、特発性肺線維症(IPF)の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩、または式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物に関する。
【0020】
本発明の詳細な説明
定義
特に断らない限り、本発明の式(I)の化合物は、その立体異性体または薬学的に許容できる塩も含むことを意図している。
【0021】
特に断らない限り、本発明の式(I)の化合物は、式(Ia)、(Ia1)、(Ia1')、(Ia1'')、(Ib)、(Ib1)、(Ib1')の化合物も含むことが意図される。
【0022】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容できる塩」とは、いずれかの遊離酸または塩基性基(存在する場合)を、薬学的に許容できるものとして従来意図されている、いずれかの塩基または酸と対応する付加塩に変換させることによって親化合物が適切に修飾されている、式(I)の化合物の誘導体を意味する。
【0023】
したがって、前記塩の適当な例としては、アミノ基などの塩基性残基の鉱酸付加塩または有機酸付加塩、ならびにカルボキシル基などの酸性残基の鉱酸付加塩または有機塩基性付加塩がある。
【0024】
塩の調製に適当に使用できる無機塩基の陽イオンは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオン、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムを含む。
【0025】
塩基として機能する主化合物を無機酸または有機酸と反応させることで塩を形成させて得られるものには、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩およびクエン酸塩がある。
【0026】
用語「立体異性体」とは、空間において原子の配置が異なる、同一構造の異性体を意味する。エナンチオマーおよびジアステレオマーは立体異性体の例である。
【0027】
用語「エナンチオマー」とは、互いに鏡像であり、重ねることが出来ない一対の分子種の一方を意味する。
【0028】
用語「ジアステレオマー」とは、鏡像体ではない立体異性体を意味する。
【0029】
用語「ラセミ体」または「ラセミ混合物」とは、等モル量の二つのエナンチオマー種からなる、光学活性がない組成物を意味する。
【0030】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「ハロゲン原子」または「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が含まれる。
【0031】
用語「(Cx-Cy)アルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、x~y個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。したがって、例えば、xが1であり、yが6である場合、この用語には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルが含まれる。
【0032】
用語「O(Cx-Cy)アルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、炭素原子が酸素原子に結合している、上記で定義された「(Cx-Cy)アルキル」基、例えばエトキシを意味する。
【0033】
用語「(Cx-Cy)アルキレン」(ここで、xおよびyは整数である)とは、合計で2つの不充分な結合価を有する(Cx-Cy)アルキル基を意味する。
【0034】
用語「(Cx-Cy)ハロアルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、一つまたはそれ以上の水素原子が一つまたはそれ以上の同一でも異なっていてもよいハロゲン原子と置き換えられている、上記で定義された「(Cx-Cy)アルキル」基を意味する。前記「(Cx-Cy)ハロアルキル」基の例としては、ハロゲン化アルキル基およびポリハロゲン化アルキル基、およびすべての水素原子がハロゲン原子と置き換えられている完全ハロゲン化アルキル基、例えばトリフルオロメチルが挙げられる。
【0035】
用語「O(Cx-Cy)ハロアルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、炭素原子が酸素原子に結合している、上記で定義された「(Cx-Cy)ハロアルキル」基を意味する。
【0036】
したがって、前記「O(Cx-Cy)ハロアルキル」基の例としては、ハロゲン化Oアルキル基、ポリ-ハロゲン化Oアルキル基、およびすべての水素原子がハロゲン原子と置き換えられている完全ハロゲン化Oアルキル基、例えばトリフルオロメトキシが挙げられる。
【0037】
用語「(Cx-Cy)シクロアルキル」(ここで、xおよびyは整数である)は、環中に示された数の炭素原子を含む飽和環状炭化水素基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0038】
用語「O(Cx-Cy)シクロアルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、炭素原子が酸素原子に結合している、上記で定義された「(Cx-Cy)シクロアルキル」基を意味する。例としては、例えば、シクロプロピルオキシが挙げられる。
【0039】
用語「アリール」とは、環が芳香族である、6個の環原子を有する単環式炭素環系を意味する。適当なアリール単環式環系の例としては、例えばフェニルがある。
【0040】
用語「ヘテロアリール」とは、S、NおよびOから選択される一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む単環式または二環式芳香族基を意味し、二つのそのような単環式環、または一つのそのような単環式環および一つの単環式アリール環が共通の結合を介して縮合している基を含む。適当なヘテロアリールの例としては、例えば、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、アミノピラジニル、ピリジルが挙げられる。
【0041】
用語「-(Cx-Cy)ヘテロシクロアルキル」(ここで、xおよびyは整数である)とは、少なくとも1個の環炭素原子が少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)と置き換えられているか、または-オキソ(=O)置換基を有していてもよい飽和または部分不飽和単環式(Cx-Cy)シクロアルキル基を意味する。前記ヘテロシクロアルキルは、環中の利用可能な位置、すなわち炭素原子上、または置換に利用可能なヘテロ原子上でさらに場合により置換されていてもよい。炭素原子上の置換には、スピロ二置換および隣接する2つの炭素原子上の置換が含まれ、いずれの場合も、こうして付加的な縮合5-6員ヘテロ環式環を形成する。例えば、ピペラジニルやオキソピペラジニルがある。
【0042】
用語「(Cx-Cy)ヘテロシクロアルキル-(Cx-Cy)アルキレン」とは、x~y個の炭素原子を有する直鎖または分岐(Cx-Cy)アルキレン基に結合したヘテロシクロアルキルを意味する。例えば、(4-メチルピペラジン-1-イル)メチルなどが挙げられる。
【0043】
本明細書の構造式で使用される
【化3】

などの波線または波線を指す結合は、部分または置換基のコアまたは主鎖構造への結合点である結合を示す。
【0044】
置換基について言及する場合、二つの文字、単語、または記号の間のものではないダッシュ(「-」)は、そのような置換基の結合点を表すことを意味する。
【0045】
カルボニル基は、-CO-、-(CO)-または-C(=O)-などの他の一般的な表現の代替として、本明細書では好ましくは-C(O)-として示される。
【0046】
式(I)のL1の基-C(O)NH-または-NHC(O)-について言及する場合、その基の左ダッシュ(「-」)は、その基とインドリンコアとの間の結合であり、その基の右ダッシュ(「-」)は、その基とR1基との間の結合である。従って、式(I)のL1の-C(O)NH-について言及する場合、炭素はインドリンコアに結合し、窒素はR1基に結合する。式(I)のL1の-NHC(O)-について言及する場合、窒素はインドリンコアに結合し、炭素はR1基に結合する。
【0047】
塩基性アミノ基が式(I)の化合物中に存在する場合は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩およびナフタレンジスルホン酸塩の中から選択される、生理学的に許容できる陰イオンが存在してもよい。同様に、酸性基の存在下では、例えばアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含む、対応する生理学的陽イオン塩も存在し得る。
【0048】
用語「半最大阻害濃度」(IC50)とは、インビトロで生物学的プロセスを50%阻害するのに必要な特定の化合物または分子の濃度を示す。
【0049】
用語「Ki」とは、酵素-阻害物質複合体の解離定数を示し、モル単位で表される。阻害物質とDDR1またはDDR2受容体との間の結合親和性の指標である。
【0050】
本発明は、少なくとも共通の新しいコア足場について当該技術分野で開示されている構造とは異なる新規化合物に関する。実際、本発明は、以下に詳細に記載する一般式(I)で示される、インドリンの窒素がリンカー-CH2-または-C(O)-を介して単環式ヘテロアリール環Hyに結合しているインドリン誘導体である化合物あって、受容体DDR1およびDDR2に対して阻害活性を有する化合物に関する。
【0051】
本発明の化合物は、他のヒトプロテインキナーゼに対してDDR1およびDDR2受容体の選択的阻害物質として活性であり、強力で、良好な吸入プロファイル、低い代謝安定性、低い全身曝露、改善された安全性および忍容性を示す。
【0052】
この点に関して、当技術分野では、前述の必要性の解決策となる、受容体DDR1およびDDR2に対して阻害活性を有する、本発明の一般式(I)のインドリン誘導体について記載も示唆もされていない。
【0053】
GuangzhouとWangは、選択的なDDR1阻害物質としてのテトラヒドロイソキノリン-7-カルボキサミドを開示している。
【0054】
注目すべきことに、本発明による式(I)の化合物において、少なくともインドリン部分および、ピロリジンの窒素原子とヘテロアリール基Hyとの間のスペーサー-CH2-または-C(O)-の存在は、予想外にも、驚くべきことに、DDR1およびDDR2受容体の両方に対する高い親和性と、細胞アッセイにおけるDDR1およびさらにDDR2受容体に対する適切な阻害活性を決定する。
【0055】
実際、以下の実験部分で詳述するように、本発明の式(I)の化合物は、実質的かつ効果的な方法で、DDR1およびDDR2受容体の両方のアンタゴニストとして作用することができる。特に、以下の表5は、本発明の化合物について、DDR1およびDDR2受容体のいずれかに対する親和性およびDDR1およびDDR2受容体のいずれかに対する阻害活性の両方が、結合(Kiとして表される)および細胞に基づくアッセイ(IC50として表される)においてそれぞれ約80nM未満であることを示している。このことは、式(I)の化合物が、主に線維症および線維症関連疾患に関与するDDR受容体の2つのアイソフォームを阻害できることを確認する。従って、式(I)の化合物は、DDR1およびDDR2が関与する場合の線維症、特に肺線維症の処置に使用することができる。
【0056】
さらに、実験部分、特に表6の比較例で示されているように、インドリン環とHy基との間のリンカーを欠くことを特徴とする実施例C1~C3の化合物とは逆に、本発明化合物においてその位置に-CH2-または-C(O)-リンカーが存在することは、驚くべきことに、顕著に、DDR1およびDDR2に対する阻害活性の適切な増加を決定することが示される。
【0057】
有利なことに、本発明の化合物は、結合アッセイおよび細胞に基づくアッセイでそれぞれ示されるように、DDR1およびDDR2に対して非常に高い親和性および効力を有するため、先行技術の化合物に対して低用量でヒトに投与することができ、その結果、高用量の薬物を投与した場合に生じる可能性のある有害事象を低減することができる。
【0058】
本発明の化合物は、DDR1およびDDR2受容体に対する親和性が高く、DDR1およびDDR2受容体の両方に対して阻害活性を発揮する際に顕著に強力であることに加えて、また、肺コンパートメントに効果的に作用することを可能にする良好な吸入プロフィールを特徴とし、同時に、安全性および忍容性の問題などの全身曝露と関連する欠点を最小化することを可能にする低い代謝安定性を有する。
【0059】
したがって、本発明の化合物は、吸入経路によって投与される、線維症、特に特発性肺線維症の処置に有用であり、肺に対する良好な活性、良好な肺保持、および低い代謝安定性に対応し、全身曝露および相関する安全性の問題を最小化する、良好な吸入プロファイルを特徴とする、適当かつ有効な化合物を見るとき、当業者によって特に高く評価される。
【0060】
したがって、一態様において、本発明は、一般式(I):
【化4】
[式中
R1は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
Lは、-CH2および-C(O)-からなる群から選択され;
L1は、-C(O)NH-および-NHC(O)-からなる群から選択され;
Hyは、-(C1-C4)アルキルおよびオキソから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい-(CH2)nNR4R5、-C(O)NR4R5、-(C1-C4)アルキル、-NR4(CO)R5、-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルおよび-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい単環式ヘテロアリールであり;
nは、0、1または2であり;
R4は、Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
R5は、Hであるか、または、-(C1-C4)アルキル、-(C1-C4)アルキレン-NR1R4および-(C1-C4)アルキレン-O-(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい(C3-C7)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、
【化5】
(式中、R2は、-(C1-C4)アルキル、-O(C1-C4)ハロアルキル、ハロゲン原子、-(C1-C4)ハロアルキル、-(C3-C7)シクロアルキルおよび-O(C3-C7)シクロアルキルからなる群から選択され;
R3は、Hであるか、または-O(C1-C4)アルキル、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよいヘテロアリール、および(C4-C7)ヘテロシクロアルキル-(C1-C4)アルキレン-からなる群から選択され、ここで、前記-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルは、-(C1-C4)アルキルおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つまたはそれ以上の基によって場合により置換されていてよい)]
の化合物およびその薬学的に許容できる塩に関する。
【0061】
好ましい一実施態様において、R1はHである。
【0062】
別の好ましい実施態様において、Lは-CH2である。
【0063】
別の好ましい実施態様において、Hyは単環式ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ原子は一つまたはそれ以上のN原子で示される。
【0064】
別の好ましい実施態様において、本発明は、一般式(I)[式中、Hyは、3-アミノピラジン-2-イル、ピリミジン-5-イル、2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イル、-N-メチル-4-ピコリンアミド、4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル、2-アミノピリミジン-5-イル、6-アミノピリジン-3-イル、4-アミノピリミジン-5-イル、5-アミノピラジン-2-イル、2-(メチルアミノ)ピリミジン-5-イル、6-アセトアミドピリジン-3-イル、6-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル、2-アセトアミドピリミジン-5-イル、2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル、5-カルバモイルピリジン-3-イル、2-((1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イルおよび(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イルからなる群から選択される]の化合物に関する。
【0065】
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、一般式(I)[式中、Xは、((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェン-3-イル、3-(トリフルオロメチル)フェニル、4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニルおよび(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェン-3-イルからなる群から選択される]の化合物に関する。
【0066】
好ましい実施態様によれば、本発明は、以下の表1に列挙する化合物の少なくとも一つに関する。これらの化合物は、表5に示されているように、受容体DDR1およびDDR2に対して活性である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0067】
別の好ましい実施態様において、本発明は、一般式(I)[式中、Lは-CH2-である]の化合物に関する。
【0068】
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、一般式(I)[式中、L1は-C(O)NH-であり、Lは-CH2-である]の化合物であって、式(Ia):
【化6】
[式中、Hy、R1およびXは、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0069】
別の特に好ましい実施態様において、本発明は、式(Ia)[式中、Xは、
【化7】
である]の化合物であって、式(Ia1):
【化8】
[式中、Hy、R1、R2およびR3は、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0070】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)[式中、L1は-C(O)NH-であり、Lは-CH2-であり、Xは、X':
【化9】
である]の化合物であって、式(Ia1'):
【化10】
[式中、Hy、R1、R2およびR3は、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0071】
別の特に好ましい実施態様において、本発明は、式(Ia1')[式中、R2は-CF3であり、R3は、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよいヘテロアリール、および(C4-C7)ヘテロシクロアルキル-(C1-C4)アルキレン-からなる群から選択され、ここで、前記-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルは、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよい]の化合物およびその薬学的に許容できる塩に関する。
【0072】
さらに特に好ましい実施態様において、本発明は、式(Ia1')[式中、R2は-CF3であり、R3は、4-メチル-1H-イミダゾール-1-イルおよび(4-メチルピペラジン-1-イル)メチルからなる群から選択される]の化合物に関する。
【0073】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、一般式(Ia1')[式中、Hyは、2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イル、2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル、2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル、2-((1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル、2-アミノピリミジン-5-イルおよびピリミジン-5-イル-メチルからなる群から選択される]の化合物に関する。
【0074】
好ましい実施態様によれば、本発明は、以下の表2に列挙する式(Ia1')の化合物の少なくとも一つおよびその薬学的に許容できる塩に関する。これらの化合物は、表5にしめされているように、受容体DDR1およびDDR2に対して活性である。
【表2-1】
【表2-2】
【0075】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(Ia)[式中、Xは、X'':
【化11】
である]の化合物であって、式(Ia1'')
【化12】
[Hy、R1、R2およびR3は、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0076】
別の特に好ましい実施態様において、本発明は、式(Ia1'')[式中、Hyは、2-アミノピリミジン-5-イル、6-アミノピリジン-3-イル、4-アミノピリミジン-5-イル、2-(メチルアミノ)ピリミジン-5-イル、6-アセトアミドピリジン-3-イル、6-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル、2-アセトアミドピリミジン-5-イルおよび5-アミノピラジン-2-イルからなる群から選択され、R2はトリフルオロメチルであり、そして、R3は(4-メチルピペラジン-1-イル)メチルである]の化合物に関する。
【0077】
好ましい実施態様によれば、本発明は、以下の表7に列挙する式(Ia1'')の化合物の少なくとも一つおよびその薬学的に許容できる塩に関する。これらの化合物は、表5に示されているように、受容体DDR1およびDDR2に対して活性である。
【0078】
【表3-1】
【表3-2】
【0079】
別の特に好ましい実施態様において、本発明は、式(I)[式中、L1は-NHC(O)-であり、Lは-CH2-である]の化合物であって、式(Ib)
【化13】
[式中、Hy、R1およびXは、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0080】
さらに特に好ましい実施態様において、本発明は、式(Ib)[式中、Xは、
【化14】
である]の化合物であって、式(Ib1)
【化15】
[式中、R1、Hy、R2およびR3は、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0081】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、式(I)[式中、L1は-NHC(O)-であり、Lは-CH2-であり、そして、Xは、X':
【化16】
である]の化合物であって、式(Ib1')
【化17】
[式中、R1、Hy、R2およびR3は、上記に定義されている通りである]で示される化合物に関する。
【0082】
別のさらに好ましい実施態様において、本発明は、式(Ib1')[式中、R2は-CF3であり、R3は(C4-C7)ヘテロシクロアルキル-(C1-C4)アルキレン-であり、ここで、前記-(C4-C7)ヘテロシクロアルキルは、一つまたはそれ以上の-(C1-C4)アルキルによって場合により置換されていてよい]の化合物に関する。
【0083】
好ましい実施態様において、本発明は、一般式(Ib1')[式中、R3は、4-メチルピペラジン-1-イル)メチルおよび-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)からなる群から選択される]の化合物に関する。
【0084】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、一般式(Ib1')[式中、Hyは、3-アミノピラジン-2-イル、2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル、2-アミノピリミジン-5-イルおよび-N-メチル-4-ピコリンアミドからなる群から選択される]の化合物に関する。
【0085】
好ましい実施態様によれば、本発明は、以下の表3に列挙する式(Ib1')の化合物の少なくとも一つおよびその薬学的に許容できる塩に関する。これらの化合物は、表5に示されているように、受容体DDR1およびDDR2に対して活性である。
【0086】
【表4】
【0087】
本発明の化合物(ここに上に列挙したすべての化合物を含む)は、以下の一般的な方法および手順を用いて、または当業者に容易に利用可能なわずかに変更されたプロセスを用いて、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。本発明の特定の実施態様が本明細書に示されるかまたは記載され得るが、当業者は、本発明の全ての実施態様または態様が、本明細書に記載される方法を使用して、または他の公知の方法、試薬および出発物質を使用して得られ得ることを認識するであろう。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、特に断らない限り、他のプロセス条件も使用できる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒によって変更され得るが、そのような条件は、日常的な最適化手順によって当業者によって容易に決定され得る。
【0088】
場合によっては、一般的に知られている保護基(PG)を、化学の一般原則に従って、感受性部分または反応性部分をマスクまたは保護するために必要なときに採用することもできる(Protective group in organic syntheses, 3rd ed. T. W. Greene, P. G. M. Wuts)。
【0089】
驚くべきことに、本発明の式(I)の化合物は、DDR1およびDDR2の両方を効果的に阻害することが見出された。有利なことに、受容体DDR1およびDDR2の阻害は、DDR受容体が関与する疾患または状態の有効な処置をもたらし得る。
【0090】
この点に関して、本発明の式(I)の化合物は、本実験部に示されているように、DDR1およびDDR2に対する、Ki定数として表される阻害効力が80nMより低いことが、現在見出されている。好ましくは、本発明の化合物は、DDR1およびDDR2に対して50nMより低いKiを有する。さらに好ましくは、本発明の化合物は、DDR1およびDDR2に対して25nMより低いKiを有する。
【0091】
さらに、本発明の式(I)の化合物は、本実験部に示されているように、結合(Kiとして表される)および細胞に基づくアッセイ(IC50として表される)において、DDR1およびDD2受容体のいずれかに対する親和性およびDDR1およびDDR2受容体のいずれかに対する阻害効力の両方が、それぞれ約80nM未満であることが見出された。好ましくは、本発明の化合物は、DDR1およびDDR2受容体に対して50nMより低いKiおよび/またはIC50を有する。さらに好ましくは、本発明の化合物は、DDR1およびDDR2受容体に対して25nMより低いKiおよび/またはIC50を有する。
【0092】
一態様において、本発明は、医薬として使用するための、上記に開示されている実施態様のいずれかによる式(I)の化合物に関する。
【0093】
好ましい実施態様において、本発明は、DDRの調節不全と関連する疾患、障害または状態の処置に使用するための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩に関する。
【0094】
別の態様において、本発明は、DDRの調節不全と関連する障害の処置のための医薬の調製における、上記の式(I)の化合物の使用に関する。
【0095】
好ましい実施態様において、本発明は、DDR受容体メカニズムと関連する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩に関する。一実施態様において、本発明は、線維症および/または、線維症が関与する疾患、障害または状態の予防および/または処置に有用な式(I)の化合物に関する。
【0096】
本明細書で使用される「線維症」または「線維化障害」という用語は、細胞および/またはフィブロネクチンおよび/またはコラーゲンの異常蓄積および/または線維芽細胞動員の増加と関連する状態を意味し、心臓、腎臓、肝臓、関節、肺、胸膜組織、腹膜組織、皮膚、角膜、網膜、筋骨格および消化管などの個々の臓器または組織の線維症を含むが、これらに限定されない。
【0097】
好ましくは、上記の式(I)の化合物は、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、腎線維症、眼線維症、心線維症、動脈性線維症および全身性硬化症などの線維症の処置および/または予防に有用である。
【0098】
より好ましくは、上記の式(I)の化合物は、特発性肺線維症(IPF)の処置のためのものである。
【0099】
一態様において、本発明はまた、DDR受容体メカニズムと関連する障害を予防および/または処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量の上記の式(I)の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0100】
さらなる態様において、本発明は、DDR受容体メカニズムと関連する障害を処置するための、上記の式(I)の化合物の使用に関する。
【0101】
別の態様において、本発明は、DDR受容体メカニズムと関連する障害を処置するための医薬の調製における、上記の式(I)の化合物の使用に関する。
【0102】
さらなる態様において、本発明は、DDR受容体1および2の調節不全と関連する障害または状態を予防および/または処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量の上記の式(I)の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0103】
さらなる態様において、本発明は、DDR受容体1および2の調節不全と関連する疾患、障害または状態を処置するための、上記の式(I)の化合物の使用に関する。
【0104】
本明細書で使用される場合、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩、または他の薬学的に活性な剤に関する「安全な有効量」とは、患者の状態を処置するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分低い化合物の量を意味し、それにもかかわらず当業者によって日常的に決定され得る。
【0105】
式(I)の化合物は、単回投与されてもよく、所定の期間、様々な時間間隔で複数回の用量を投与する投与レジメンに従って投与されてもよい。典型的な1日の投与量は、選択された投与経路に応じて変化し得る。
【0106】
本発明はまた、その実施態様のいずれかに従う式(I)の化合物を、少なくとも一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体または賦形剤と共に含む医薬組成物に関する。
【0107】
一実施態様において、本発明は、一つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences Handbook, XVII Ed., Mack Pub., N.Y., U.S.A.に記載されているものと共に混合した式(I)の化合物の医薬組成物を意味する。
【0108】
本発明の化合物およびその医薬組成物の投与は、患者の必要性に応じて、例えば、経口投与、経鼻投与、非経腸的投与(皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、胸骨内投与、および注入により)および吸入により達成され得る。
【0109】
好ましくは、本発明の化合物は経口または吸入により投与される。
【0110】
一好ましい実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、錠剤、ジェルキャップ、カプセル、カプレット、顆粒、トローチ剤および原末などの固体経口剤形である。
【0111】
一実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、錠剤である。
【0112】
本発明の化合物は、単独でまたは、様々な薬学的に許容できる担体、希釈剤(スクロース、マンニトール、ラクトース、デンプンなど)および、懸濁化剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、防腐剤、着色剤、香味剤、滑沢剤などを含む公知の賦形剤と組み合わせて投与することができる。
【0113】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、水溶液および非水溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップおよびエリキシルなどの液体経口剤形である。このような液体剤形はまた、水などの適切な公知の不活性希釈剤、および防腐剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤などの適切な公知の賦形剤、ならびに本発明の化合物を乳化および/または懸濁するための剤を含むことができる。
【0114】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、吸入可能な粉末、噴射剤含有計量エアロゾル、または噴射剤を含まない吸入可能な製剤などの吸入可能な調剤である。
【0115】
乾燥粉末として投与する場合は、従来技術から知られている単回用量または複数回用量の吸入器を利用することができる。その場合、粉末はゼラチン、プラスチックまたはその他のカプセル、カートリッジまたはブリスターパックまたはリザーバーに充填することができる。
【0116】
本発明の化合物に対して化学的に不活性な希釈剤または担体、例えばラクトース、または呼吸可能な画分を改善するのに適した他の添加剤を、本発明の粉末化合物に添加することができる。
【0117】
ヒドロフルオロアルカンなどの噴射剤ガスを含有する吸入用エアゾールは、本発明の化合物を溶液または分散形態のいずれかで含有することができる。噴射剤-駆動型製剤は、共溶媒、安定剤および任意に他の賦形剤などの他の成分を含有してもよい。
【0118】
本発明の化合物を含む、噴射剤を含まない吸入可能な製剤は、水性、アルコール性またはヒドロアルコール性媒体中の溶液または懸濁液の形態であってもよく、先行技術から公知のジェットネブライザーまたは超音波ネブライザー、またはソフトミストネブライザーによって送達され得る。
【0119】
本発明の化合物は、単独で、または他の医薬活性成分と組み合わせて投与することができる。
【0120】
本発明の化合物の用量は、特に処置される特定の疾患、症状の重症度、投与経路などを含む様々な要因に依存する。
【0121】
本発明はまた、本発明による式(I)の化合物を含む医薬組成物を、単回用量もしくは複数回用量の乾燥粉末吸入器または定量吸入器の形態で含む装置にも向けられる。
【0122】
式(I)の化合物について上述したすべての好ましい基または実施態様は、互いに組み合わせることができ、同様に準用される。
【0123】
本発明の化合物(ここに上に列挙したすべての化合物を含む)は、以下の一般的な方法および手順を用いて、または当業者に容易に利用可能なわずかに変更されたプロセスを用いて、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。本発明の特定の実施態様が本明細書に示されるかまたは記載され得るが、当業者は、本発明の全ての実施態様または態様が、本明細書に記載される方法を使用して、または他の公知の方法、試薬および出発物質を使用して得られ得ることを認識するであろう。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、特に断らない限り、他のプロセス条件も使用できる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒によって変更され得るが、そのような条件は、日常的な最適化手順によって当業者によって容易に決定され得る。
【0124】
したがって、以下に記載され、以下のスキームで報告される工程は、本発明の化合物の調製に利用可能な合成法の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0125】
ここに列挙するすべての化合物または少なくとも一つを含む式(I)の化合物は、一般に公知の方法を用いて、以下に示すスキームに詳細に概説した手順に従って調製することができる。
【0126】
式(I)[式中、R1、L、L1、HyおよびXは、上記に定義されている通りである]の化合物は、すべての実施例の調製のための少なくとも一つの非限定的合成経路を提供する以下に記載するスキーム1に従って調製することができる。
【0127】
本発明の第一の実施態様において、式(I)の化合物はスキーム1に記載されているように調製することができる。
【化18】
【0128】
スキーム1によれば、中間体IIIは、適当なアミドカップリング反応条件下で、中間体IIから出発して一段階合成に従って調製することができる。例えば、中間体IIおよびIVを、一般にRT付近の温度で数時間から一晩の範囲の時間、DCMまたはDMFなどの適当な有機溶媒中で、T3PまたはHATUなどの、その後のアミンとの反応のためにカルボン酸パートナーを活性化する剤の存在下で、DIPEAまたはTEAのような有機塩基で反応させることができる。あるいは、中間体IIIは、中間体IIから出発して、適当な温度、例えば室温で、DMFなどの溶媒中で、適切なアミンIVと反応する過渡的に活性化されたアシルイミダゾリニウム中間体を与えるTCFHおよび1-メチルイミダゾールの存在下、アミド化を介して調製され得る。
【0129】
別のアプローチでは、-78℃で、THFまたはジオキサンなどの適当な有機溶媒中で、例えばブチルリチウムをプロモーターとして用い、中間体IIbと中間体IVの間でエステルの直接アミド化(トランスアミド化)を行うことで、中間体IIIを得ることができる。
【0130】
中間体IIIを、室温で数時間、適当な溶媒、例えばDCM(これらに限定されない)中で、トリフルオロ酢酸などの酸性条件下で、BOC保護アミンを脱保護することによって中間体Vに変換させることができる。
中間体Vを適切なアルデヒドHy-CHO Xで還元的アミノ化することで式(I)の化合物を得るには、室温で、酢酸などの酸および必要に応じてチタンテトラヒドロイソプロポキシドなどの配位剤の存在下で、DCMまたはEtOHなどの適当な溶媒中で、Na(OAc)3BHまたはNaCNBH3のどの適当な還元剤を用いて行うことができる。
【0131】
あるいは、上記の条件に従って、5-ホルミルニコチノニトリルなどの適切なアルデヒドを用いて、中間体Vに対して還元的アミノ化を実施することで中間体VIに変換させ、次いで、適切な温度、例えば100℃で、水などの適当な溶媒中で、Ghaffar-Parkins触媒などの適切な水和剤を用いて、中間体VIに適用され得るニトリル水和条件を実施て、式(I)の化合物を得ることができる。
【0132】
別法として、中間体IIaを、上述の条件を用いて、5-ブロモニコチナルアルデヒドなどの適切なアルデヒドで還元的アミノ化を行い、中間体VIIに変換させることができる。中間体VIIを、上述の条件を適用して加水分解することで、中間体VIIIを得て、それに、上述の条件を適用して、アミドカップリングを行うことで中間体IXに変換させることができる。
【0133】
最後に、式(I)の化合物は、中間体IXから、適切な温度、例えば、80℃で、ジオキサンまたはDMFなどの適当な溶媒中で、炭酸セシウムまたは炭酸カリウムなどの適当な塩基中で、RuPhos Pd G3などの適切なPd-リガンド系を用いて、1-メチルピペラジン-2-オンなどの適切なアミンとのPd触媒クロスカップリングを実施するすることがで調製できる。
【0134】
式(I)の化合物は、すべての実施例の調製のための少なくとも一つの非限定的合成経路を提供する以下に記載するスキーム2に従って調製することができる。
【0135】
別の実施態様において、式(I)[式中、R1、L、L1、HyおよびXは、上記に定義されている通りである]の化合物は、スキーム2に記載されているように調製することができる。
【化19】
【0136】
スキーム2によれば、中間体XIは、中間体IIcから出発して、一般に室温付近の温度で数時間から一晩の範囲の時間、DCMなどの適当な有機溶媒中で、BOC-無水物およびDMAPの存在下、DIPEAまたはTEAなどの有機塩基を用いて調製することができる。室温で数時間、
酢酸エチル(これに限定されない)などの適当な溶媒中で、Pd/Cなどの適当な触媒の存在下、水素雰囲気下で、中間体XIのニトロ基を、中間体XIIの対応するアミンに還元することができる。中間体XIIIは、中間体XIIから、適当なアミドカップリング反応条件下で調製することができる。例えば、中間体XIIおよびIVを、一般に室温付近の温度で数時間から一晩の範囲の時間、DCMまたはDMFなどの適当な有機溶媒中で、HATUまたはTBTUなどの、その後のアミンとの反応のためにカルボン酸パートナーを活性化する剤の存在下で、DIPEAまたはTEAなどの有機塩基で、反応させることができる。中間体XIIIを、室温で数時間、DCM(これに限定されない)などの適当な溶媒中で、トリフルオロ酢酸などの酸性条件下で、BOCで保護アミンを脱保護することにより、中間体XIVに変換させることができる。中間体XIVを適切なアルデヒドHy-CHOで還元的アミノ化することで、式(I)の化合物を得るには、適切な温度、例えば室温で、必要に応じて酢酸などの酸、および必要に応じてチタンテトラヒドロイソプロポキシドなどの配位剤の存在下、DCMまたはEtOHなどの適当な溶媒中で、Na(OAc)3BHまたはNaCNBH3などの適切な還元剤で実施することができる。
【0137】
本出願に記載された本発明の様々な態様は、以下の実施例によって例示されるが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0138】
中間体および実施例の調製
化合物の化学名は、PerkinElmer ChemDraw Professional 19.1.1.21でStructure To Name Place IUPAC Nameを用いて作成した。実験部分に合成が記載されていない試薬はすべて、市販されているか、既知の化合物であるか、または当業者が既知の方法によって既知の化合物から生成することができる。
【0139】
以下の手順では、出発原料の一部を「中間体」または「実施例」の番号と工程番号で示す。これは単に熟練した化学者の補助のために提供されている。
【0140】
「類似(similar)」または「類似(analogous)」の手順とは、例えば反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、ワークアップ条件、クロマトグラフィー精製条件など、そのような手順がわずかな変更を伴うことがあることを意味する。
【0141】
略語-意味
tR=保持時間;(CH3)3COK=カリウムtert-ブチレート;Boc=tert-ブトキシカルボニル;TEA=トリエチルアミン;DMF=ジメチルホルムアミド;EtOAc=酢酸エチル;RTまたはrt=室温;THF=テトラヒドロフラン;DCM=ジクロロメタン;MeOH=メチルアルコール;LCMS=液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー;HPLC=高速 液体クロマトグラフィー;d-DMSO=重水素化ジメチルスルホキシド。NMR=核磁気共鳴;DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;UPLC=超高速液体クロマトグラフィー;tBu XPhos=2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル;Pd(dba)2=ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0);PdCl2(dppf)=[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);RuPhos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシ-1,1'-ビフェニル;STAB=ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド;AcOH=酢酸;prepHPLC=分取高速液体クロマトグラフィー;NaBH3CN=ナトリウムシアノボロハイドライド;Na2SO4=硫酸ナトリウム;FCC=フラッシュカラムクロマトグラフィー;BuLi=nブチルリチウム; NaHCO3=重炭酸ナトリウムの15%または飽和溶液(sat.aq.sol.);SM=出発物質;SCX=強陽イオン交換;TFA=トリフルオロ酢酸;T3P=プロピルホスホン無水物;sat.sol.=飽和溶液。
【0142】
一般的な実験の詳細と方法
NMR特徴付け:
1H NMRスペクトル、400MHZ(プロトン周波数)で動作するVarianMR-400分光計に、逆検出用自己シールドZグラジエントコイル5mm 1H/nX広帯域プローブヘッド、重水素デジタルロックチャンネルユニット、トランスミッターオフセット周波数シフト付き直交デジタル検出ユニットを搭載して記録し、あるいは、1H NMRスペクトルは、Bruker Fourier 300MHzで記録した。化学シフトは、内部標準としてトリメチルシラン(TMS)に対するppmの6値で報告されている。結合定数(J値)はヘルツ(Hz)で示し、多重度は以下の略号を用いて報告する(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br. s=ブロードシングレット、nd=未定)。
【0143】
アミド結合またはアミン結合からのシグナルNH(交換可能なプロトン)は見えない場合がある。
【0144】
インドリン環のCH2のシグナルが水のシグナルまたはDMSOのシグナルの下に隠れている場合がある。
【0145】
LC/UV/MS分析メソッド
【0146】
LC/MSの保持時間は±0.5分の実験誤差の影響を受けると推定される。
【0147】
メソッド1:Kinetex(登録商標) XB-C18カラム、4.6x50mm、2.6μm、25℃に維持。移動相:MeCN(0.1%ギ酸)中の水(0.1%ギ酸)、3.90分以内に80%から5%に;流速:1.0ml/分;波長:190~340nm DAD。DAD検出器付きDionex UHPLC Ultimate 3000/Thermo Scientific MSQ Plus。
【0148】
メソッド2:Acquity CSH C18カラム 50mmx2.1mm 1.7μm、40℃維持;移動相:溶離剤A(水/MeCN 95:5 +0.05% HCOOH)中の溶離剤B(MeCN/水 95:5 +0.05% HCOOH)、1.5分以内に1%から99.9%に。流速:1mL/分。波長:210~400nm DAD。UPLC + Waters PDA + Waters QDA。
【0149】
メソッド3:Acquity UPLC HSS C18カラム、100x2.1mm、1.8μm(Plusガードカートリッジ)、40℃に維持。移動相:水(0.1%ギ酸)中のMeCN(0.1%ギ酸) 5.6分以内5%から95%に。流速:0.4ml/分。波長:210~400nm DAD。UPLC + Waters DAD + Waters SQD2、シングル四重極UPLC-MS
【0150】
メソッド4:Kinetex(登録商標)XB-C18カラム、4.6x50mm、2.6μm、25℃に維持。移動相:水(0.1%ギ酸)中のACN(0.1%ギ酸)、3.90分以内80%から5%に;流速:1.0mll/分;波長:190~340nm DAD。DAD検出器付きDionex UHPLC Ultimate 3000/Thermo Scientific MSQ Plus。
【0151】
メソッド5:Acquity BEH UPLCカラム、2.1x50mm、1.7μm、40℃に維持。移動相:水(0.03%アンモニア)中のMeCN(0.03%アンモニア)、1.5分以内8%から97%に;流速:0.8ml/分;波長:210~400nm DAD。PDA検出器およびQDa付き。
【0152】
出発物質の調製が記載されていない場合、これらは市販されているもの、文献で知られているもの、または当業者が標準的な手順で容易に入手できるものである。溶媒はすべて市販のものを使用し、さらに精製することなく使用した。
【0153】
分取HPLCは、逆相(C18)分取HPLCを用いて、塩基性条件(ACN+0.1%NH3、H2O+0.1%NH3またはACN、H2O+0.05%NH3)または酸性条件(ACN+0.1%FA、H2O+0.1%FA)で行った。後者の場合、特に断りのない限り、生成物の遊離塩基を得るためにSCX(NH)を利用した。
【0154】
フラッシュクロマトグラフィー(FCC)は、プレパックされたシリカゲルカートリッジまたはIsoleraTMフラッシュ精製システムを用いるInterchim PuriFlash 450および520Plusシステムで実施した。
【0155】
薄層クロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60 F254 TLC プレートで行った。分取薄層クロマトグラフィー(pTLC)は、ユニプレート1000ミクロンまたは500ミクロンのシリカゲルプレートで行った。
【0156】
出発物質は、必ずしも参照のバッチから調製されたものとは限らない。
【0157】
当業者には理解されるであろうが、「類似(similar)」または「類似(analogous)」の手順の使用に言及する場合、そのような手順には、例えば反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、ワークアップ条件、またはクロマトグラフィー精製条件などのわずかな変更が伴うことがある。特に断らない限り、最終化合物はすべて遊離塩基として得た。
【0158】
中間体の調製
3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸-中間体1の調製
【化20】
【0159】
工程1:メチル 3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンゾエート-中間体2
【化21】
【0160】
0℃で、MeOH(282mL)中の3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)安息香酸(75.0g、279mmol)の溶液に、SOCl2(81.0mL、1115mmol)を滴下した。次に、反応混合物を還流下で一晩攪拌し、その後、真空中で揮発性物質を除去した。残留物に水(200mL)を添加し、水相をEtOAc(2x250mL)で抽出した。有機相を一緒にし、NaHCO3の飽和溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮して、表題生成物(74.5g、94%)を得た。
【0161】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (dt, J = 1.8, 0.8 Hz, 2H), 8.13 (td, J = 1.6, 0.8 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H).
【0162】
工程2:メチル 3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンゾエート-中間体3
【化22】
【0163】
中間体2(47.5g、168mmol)、Cs2CO3(164g、503mmol)、カリウム1-メチル-4-トリフルオロボレートメチルピペラジン(40.6g、184.6mmol)を、THF(100mL)および水(11mL)の混合物に懸濁させた。懸濁液を脱気し、次に、Pd(OAc)2(3.76g、16.8mmol)およびXPhos(16.0g、33.5mmol)を添加し、反応を80℃で24h行った。反応混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(2x150mL)で抽出した。有機相を一緒にし、濃縮し、真空下で乾燥させて、粗製物を得て、それをカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH、9:1)により精製して、表題化合物(25.3g、48%)を得た。
【0164】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.16 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.07 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 7.97 - 7.86 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.62 (s, 2H), 2.38 (s, 8H), 2.15 (s, 3H).
【0165】
工程3:3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸-中間体1
【0166】
中間体3(25.3g、80.0mmol)をMeOH(700mL)に溶解した。1M LiOH溶液(3.8g、160mL)を反応混合物に添加し、RTで一晩攪拌した。溶媒を真空下で除去し、粗製の材料をジエチルエーテル(2x)で粉砕し、濾過した。固体を集めて、表題化合物(26.0g、100%)を得た。
【0167】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.02 (s, 2H), 7.49 (s, 1H), 3.51 (s, 2H), 2.32 (s, 8H), 2.14 (s, 3H).
【0168】
pH 4になるまで塩を2M水性HClに溶解し、次に、溶液を減圧下で濃縮した。残留物を水で洗浄し、濾過し、真空下で乾燥させて、対応するカルボン酸としての表題化合物を定量の収率で得た。
【0169】
2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ) ピリミジン-5-カルボアルデヒド-中間体4の調製
【0170】
工程1:2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ) ピリミジン-5-カルボアルデヒド-中間体4
【化23】
【0171】
2-クロロピリミジン-5-カルボアルデヒド(50mg、0.351mmol)をTHF(3.5ml)に溶解し、次に、1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(41mg、0.421mmol)、TEA(0.1ml、0.719mmol)およびTHF(3.5ml)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。混合物をDCMおよび塩水でクエンチした。相分離を行い、水相をDCM(x2)で洗浄した。有機相を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗製の材料を、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)で溶出させるFCCにより精製して、表題生成物(35mg、39%)をえた。
【0172】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.45 (s, 1H), 9.80 (s, 1H), 8.92 - 8.79 (m, 2H), 7.99 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H).
【0173】
2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボアルデヒド-(中間体17)の調製
【化24】
【0174】
工程1:2-クロロ-5-(ジエトキシメチル)ピリミジン(中間体18)
【化25】
【0175】
2-クロロピリミジン-5-カルボアルデヒド(2.07g、14.52mmol)、トリエチルオルトホルメート(7.24ml、43.5mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(276mg、1.451mmol)を、
Ar下、乾燥丸底フラスコ中で無水EtOH(41ml)に溶解した。混合物を還流で1hr攪拌した。溶液を氷浴で冷却した。飽和NaHCO3を40mL添加した。混合物をRTまで温めるようにした。EtOHを蒸発させ、得られた懸濁液をAcOEtで抽出した。有機相を一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。粗製の材料をFCC(100/0→80/20ヘキサン/AcOEt)で精製して、表題化合物(2.68g、12.37、85%)を得た。
【0176】
NMR: 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.75 (s, 2H), 5.68 (s, 1H), 3.67 - 3.50 (m, 4H), 1.17 (t, J = 7.0 Hz, 6H).
【0177】
工程2:5-(ジエトキシメチル)-N-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(中間体19)
【化26】
【0178】
前の中間体18(435mg、2.008mmol)を、Ar.1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(0.3ml、2.53mmol)の下、反応チューブ中でトルエン(7ml)およびジオキサン(7.0ml)に溶解し、三塩基性リン酸カリウム(1.32g、6.22mmol)を溶液に添加した。溶液をArで15分パージした。2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(98mg、0.206mmol)およびPd2(dba)3(94mg、0.103mmol)を溶液に添加した。チューブを密封し、混合物を100℃で48hr加熱した。粗製の混合物をセライトで濾過し、MeOHで洗浄し、蒸発させた。FCC(DCM/MeOH/NH3(100/0~90/10)による精製後、表題化合物(458mg、1.42mmol、71%)を得た。
【0179】
以下の表で報告されている化合物は、対応する市販のアミンを適用して、中間体19について記載されているように調製した。
【表5】
【0180】
工程3:2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボアルデヒド(中間体17)
【0181】
中間体19(458mg、1.425mmol)を丸底フラスコに入れた。塩酸、水(45ml、45.0mmol)中の1N 塩酸を添加し、混合物をRTで一晩攪拌した。混合物を氷浴で冷却し、pH=13になるまで飽和NaOH溶液をゆっくりと添加した。水相をAcOEtで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、蒸発させて、表題化合物(312mg、1,62mmol、89%)を得た。
【0182】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.44 (s, 1H), 9.80 (s, 1H), 8.92 - 8.80 (m, 2H), 8.01 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 4.24 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.66 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.23 (s, 3H).
【0183】
以下の表で報告されている化合物は、対応する市販のアミンを適用して、中間体17について記載されているように調製した。
【0184】
【表6】
【0185】
N-(5-ホルミルピリミジン-2-イル)アセトアミド-(中間体22)の調製
【化27】
【0186】
工程1:N-(5-ホルミルピリミジン-2-イル)アセトアミド(中間体22)
【0187】
2-アミノピリミジン-5-カルボアルデヒド(100mg、0.812mmol)を酢無水物(2.0mL、22.8mmol)に溶解し、反応混合物を140℃で90分加熱した。反応混合物をRTまで放冷し、2:1シクロヘキサン/ジエチルエーテルを添加することで固体を沈殿され、濾過し、シクロヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物(84mg、0.5086mmol、62.6%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3) d 10.03 (s、1H)、9.04 (s、2H)、8.76 (s、1H)、2.58 (s、3H)。
【0188】
実施例の調製
【0189】
実施例1:N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)インドリン-6-カルボキサミド)の調製
【化28】
【0190】
工程1:tert-ブチル 6-((3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル) フェニル)カルバモイル)インドリン-1-カルボキシレート-中間体5
【化29】
【0191】
1-(tert-ブトキシカルボニル)インドリン-6-カルボン酸(1g、3.80mmol)および3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン(0.916g、3.80mmol)をDCM(2ml)に溶解した。次に、酢酸エチル(4.48ml、7.60mmol)中のDIPEA(1.990ml、11.39mmol)および50% T3Pを添加した。反応混合物を20℃で20hrにかけて攪拌した。反応混合物をDCM(10ml)で希釈し、次に、水(5ml)を添加した。相分離を行い、有機相をクエン酸(5% aq.sol、2x10ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗製の材料をDCM/MeOHで(100%DCMからDCM中の5%のMeOHに)溶出させルカラムクロマトグラフィーを介して精製した。得られた純粋な所望の生成物は200mgのみで、所望の生成物および出発物質(酸)の混合物1.4gを得た。この材料をDCM(100ml)に溶解し、Na2CO3(3x50ml)および塩水(100ml)で洗浄し、残留の酸を除去した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、回転減圧蒸発器で蒸発乾固させて、表題化合物(1.01g、55%)を得た。
【0192】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.66 (s, 1H), 8.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.71 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 7.7, 1.7 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 1.3 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.98 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.15 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 2.18 (d, J = 1.0 Hz, 3H), 1.53 (s, 8H).
【0193】
工程2:N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド-中間体6
【化30】
【0194】
中間体5(1.01g、2.076mmol)をDCM(5ml)に溶解し、次に、トリフルオロ酢酸(1.440ml、18.68mmol)を添加した。反応混合物をRTで一晩攪拌した。反応混合物をDCM(10ml)で希釈し、NaHCO3(sat.aq.sol.)を添加した。混合物を室温で30分撹拌させた(泡立ちを観察した)。次に、相分離を行った。有機相をNaHCO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。材料はさらに精製することなく使用した。表題化合物を、遊離塩基として(900mg、100%)得た。
【0195】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.49 (s, 1H), 8.31 (dd, J = 4.2, 2.1 Hz, 2H), 8.17 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.25 - 7.13 (m, 2H), 7.06 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 2.98 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 2.20 (d, J = 1.0 Hz, 3H).
【0196】
工程3:N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)インドリン-6-カルボキサミド(実施例1)
【0197】
中間体6(0.1g、0.259mmol)をDCM(2ml)に溶解し、次に、ピリミジン-5-カルボアルデヒド(0.028g、0.259mmol)、NaCNBH3(0.024g、0.388mmol)およびAcOH(0.030ml、0.518mmol)を添加した。反応混合物を20℃で18hr攪拌した。反応混合物を蒸発させ、次に、DCM(5ml)で希釈し、次に、水(5ml)を添加した。相分離を行い、有機相をK2CO3(aq.sat.sol.)2x10mlで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製の材料を、ACN+0.1%NH3、H2O+0.1%NH3で溶出させる分取HPLCを介して精製し、次に、残留物を、DCM/MeOH(9:1)で溶出させる分取TLCを介して精製して、表題化合物(14mg、11%)を得た。
【0198】
【表7】

【0199】
実施例2は、実施例1の工程1~3について記載されているように、工程3における対応する市販のカルバルデヒドを適用して、還元的アミノ化を介して調製した:
【0200】
【表8】
【0201】
実施例3:N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化31】
【0202】
工程1:tert-ブチル 6-((3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)インドリン-1-カルボキシレート-中間体7
【化32】
【0203】
乾燥(ヒートガン/真空/N2サイクル)した二つ口25mLフラスコ中で、3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン(0.542g、1.983mmol)を無水THF(15ml)に溶解し、-78℃に冷却し、次に、ブチルリチウム(0.793ml、1.983mmol)を滴下した。溶液を15分攪拌し、次に、無水THF(1mL)中の1-(tert-ブチル)6-メチルインドリン-1,6-ジカルボキシレート(0.275g、0.992mmol)の溶液を滴下した。混合物を、温度を-78℃から室温に昇温しながら攪拌した。水(50mL)を添加し、次に、EtOAc(3x10mL)で抽出を行った。有機相を塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗製物を、FCC(NH)溶出系DCM/MeOH(100:0から90:10に)で精製して、表題化合物(518mg、100%)を得た。
【0204】
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ = 10.48 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.57 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.36-7.32 (m, 2H), 6.76 (s, 1H), 5.51 (s, 2H), 3.97 (t, 2H, J = 8.7 Hz), 3.14 (t, 2H, J = 8.7 Hz), 2.33 (bs, 8H), 2.15 (s, 3H), 1.53 (s, 9H) ppm
【0205】
工程2:N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド-中間体8
【化33】
【0206】
中間体7(0.514g、0.991mmol)を、DCM(12ml)および2,2,2-トリフルオロ酢酸(3.04ml、39.6mmol)の3:1混合物に溶解した。溶液を室温で1h攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粗製物を水(20mL)で希釈し、次に、pHを約7~8に調整した。生成物を、相分離装置を介してDCM(2x20mL)で抽出した。次に、有機相を濃縮乾固させて、表題化合物(415mg、100%)を得た。
【0207】
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ = 10.25 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.15 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.01 (s, 1H), 4.04 (q, 1H, J = 5.1 Hz), 3.49 (s, 2H), 3.44 (t, 2H, J = 8.7 Hz), 2.94 (t, 2H, J = 8.7 Hz), 2.34-2.27 (m, 8H), 2.13 (s, 3H) ppm
【0208】
工程3:N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イルメチル)イノリン-6-カルボキサミド(実施例3)
【0209】
磁気スターラーバーを備えた40mLバイアル中で、無水メタノール(5ml)およびAcOH(0.500ml)中の中間体8(0.05g、0.119mmol)およびピリミジン-5-カルボアルデヒド(0.013g、0.119mmol)の溶液を室温で10分攪拌し、次に、NaCNBH3(7.51mg、0.119mmol)を一度に添加した。反応混合物を室温で16h攪拌した。反応混合物をDCM(5ml)で希釈し、水(5ml)で洗浄した。有機相をK2CO3飽和溶液(2x10ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物を、H2O/MeCN/HCO2H(95:5:0.1から5:95:0.1に)で溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(22mg、33%)を得た。ギ酸塩のデブロック化はSCXにより達成し、純粋な生成物を遊離塩基(13mg、100%)として回収した。
【0210】
【表9】

【0211】
以下の表で報告する化合物は、実施例3の工程1~3について記載されているように、工程3における対応する市販のアルデヒドまたは以前に合成したアルデヒドを適用して、還元的アミノ化により調製した。還元剤、溶媒またはクロマトグラフィー精製条件の変更は、表にて報告した。
【0212】
【表10-1】

【表10-2】

【表10-3】
【0213】
実施例4:N-(1-((2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの調製
【化34】
【0214】
工程1:tert-ブチル 6-ニトロインドリン-1-カルボキシレート-中間体9
【化35】
【0215】
BOC-無水物(26.6g、122mmol)、6-ニトロインドリン(20g、122mmol)、DMAP(1.5g、12.18mmol)、TEA(51ml、365mmol)、DCM(244 ml)をフラスコに入れた。反応混合物をrtで一晩攪拌した。溶媒を真空下で除去した。DCMで抽出を行った。溶媒をもう一回除去した。粗生成物を溶出剤(ヘキサン/酢酸エチル(9:1))を用いてFCCにより精製して、表題化合物(29g、90%)を得た。
【0216】
H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.42 (s, 1H), 7.84 (dd, J = 8.2, 2.3 Hz, 1H), 7.49 - 7.40 (m, 1H), 4.01 (dd, J = 9.2, 8.2 Hz, 2H), 3.19 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 1.54 (s, 9H).
【0217】
工程2:tert-ブチル 6-アミノインドリン-1-カルボキシレート-中間体10
【化36】
【0218】
三つ口丸底フラスコに、中間体9(29.13g、110mmol)を装入した。空気を、水ポンプを用いて排除し、アルゴンでパージし、この工程は三回繰り返した。その後、炭素上パラジウム10wt.%(2.91g、27.3mmol)および酢酸エチル(551ml)を添加した。反応混合物をアルゴンでパージし、水ポンプを用いて取り出し、次に、水素でパージした。水素雰囲気下、rtで一晩混合物を攪拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濃縮して、表題化合物(27g、100%)を得た。
【0219】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.05 (s, 1H), 6.80 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.13 (dd, J = 7.9, 2.1 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 3.82 (dd, J = 9.2, 7.9 Hz, 2H), 2.86 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 1.50 (s, 9H).
【0220】
工程3:tert-ブチル 6-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)インドリン-1-カルボキシレート-中間体11
【化37】
【0221】
中間体10(6.45g、21.34mmol)をフラスコに入れ、次に、HATU(16.23g、42.7mmol)、DIPEA(14.91ml、85mmol)、DMF(53.4ml)およびジクロロメタン(160ml)を添加した。反応混合物をrtで30分攪拌した。その後、tert-ブチル 6-アミノインドリン-1-カルボキシレート(5g、21.34mmol)を添加した。撹拌を一晩続けた。水およびDCMを用いて抽出を行った。有機相を減圧下で取り出した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)で溶出させるFCCにより精製して、表題化合物(10.4g、92%)を得た。
【0222】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.40 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.24 (d, J = 17.0 Hz, 2H), 8.15 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.94 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 3.78 (s, 2H), 3.05 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.40 (s, 8H), 1.52 (s, 9H).
【0223】
工程4:N-(インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド-中間体12
【化38】
【0224】
中間体11(1.938g、3.74mmol)をDCM(37.4ml)に溶解し、TFA(2.59ml、33.6mmol)を添加した。反応混合物をrtで一晩攪拌した。混合物をNaHCO3および塩水(10mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗製の材料を、カラムクロマトグラフィーおよび溶出系DCM/MeOH(95:5)を介して精製した。純粋な画分を水、塩水および5%クエン酸で洗浄し、最後に、有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させて、表題化合物(770mg、48%)を得た。
【0225】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.16 (s, 1H), 8.14 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.04 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.92 - 6.82 (m, 1H), 5.61 (s, 1H), 3.63 (s, 2H), 3.48 - 3.39 (m, 2H), 2.88 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.37 (d, J = 22.8 Hz, 8H), 2.16 (s, 3H).
【0226】
工程5:N-(1-((2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)インドリン-6-イル)-3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(実施例4)
【0227】
中間体12(0.065g、0.155mmol)を無水DCM(2.4ml)に溶解し、次に、2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボアルデヒド(0.032g、0.155mmol)を添加し、次いで、AcOH(17.78μl、0.311mmol)および硫酸マグネシウム(37.4mg、0.311mmol)を添加した。反応混合物をrtで30分攪拌した。次に、STAB(65.8mg、0.311mmol)を添加し、反応混合物をrtで一晩攪拌した。混合物をsat.NaHCO3でクエンチした。相分離を行い、水相をDCM(x2)で洗浄した。有機相を集め、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。粗製の材料を、DCM/MeOH(4:1)で溶出させるFCCおよびACN、H2O+0.05% NH3で溶出させる分取HPLCにより精製して、表題化合物(56mg、21%)を得た。
【0228】
【表11】

【0229】
以下の化合物は、実施例4の工程1について記載されいるように、工程1における対応する市販のアルデヒドを適用して、還元的アミノ化により調製した。
【0230】
【表12】
【0231】
実施例6:N-メチル-4-((6-(2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-オキソエチル)インドリン-1-イル)メチル)ピコリンアミドの調製
【化39】
【0232】
工程1:tert-ブチル 6-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル) ベンズアミド)インドリン-1-カルボキシレート-中間体13
【化40】
【0233】
3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸(1.15g、4.27mmol)、tert-ブチル 6-アミノインドリン-1-カルボキシレート(1.0g、4.27mmol)、HATU(4.87g、12.80mmol)、DIPEA(4.47ml、25.6mmol)をフラスコに入れ、DMF(0.907ml)およびDCM(2.721ml)を添加した。反応混合物をrtで一晩攪拌した。水およびDCMで抽出を行った。溶媒をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で除去した。粗製の材料を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出させFCCにより精製して、表題化合物(2.2g、90%)を除去した。
【0234】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.52 (s, 1H), 9.55 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.43 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.15 (s, 2H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.01 - 3.90 (m, 2H), 3.06 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 2.36 (d, J = 1.2 Hz, 3H), 1.52 (s, 9H).
【0235】
工程2:N-(インドリン-6-イル)-3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル) ベンズアミド-中間体14
【化41】
【0236】
中間体13(1.87g、3.84mmol)をDCM(38.4ml)に溶解した。次に、TFA(2.67ml、34.6mmol)を添加した。反応混合物をrtで一晩攪拌した。NaHCO3、DCMで洗浄した後、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、DCM/MeOH(95:5)で溶出させるFCCにより精製した。その後、水、塩水および5%クエン酸で抽出を行って、表題化合物(1.09g、53%)を得た。
【0237】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.21 (s, 1H), 8.40 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 8.22 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.72 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.64 (s, 1H), 3.44 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 2.89 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.20 (s, 3H).
【0238】
工程3:N-メチル-4-((6-(2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-オキソエチル)インドリン-1-イル)メチル)ピコリンアミド(実施例6)
【0239】
フラスコに、中間体14(100mg、0.259mmol)、4-ホルミル-N-メチルピコリンアミド(42mg、0.259mmol)を入れ、次に、酢酸(30μl、0.518mmol)およびDCM(2.4 ml)を添加した。反応混合物をrtで1/2h攪拌した。その後、NaBH3CN(62.8mg、0.388mmol)を添加し、混合物を一晩攪拌した。混合物を、sat.NaHCO3 を添加することによりクエンチした。相分離を行い、水相をDCM(x2)で洗浄した。有機相を全て一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製の材料を、DCM/MeOH(95:05)で溶出させるカラムクロマトグラフィーおよびACN、H2O+0.05% NH3で溶出させる分取HPLCにより精製して、表題化合物(40mg、28%)を得た。
【0240】
【表13】

【0241】
実施例7:1-((5-(4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化42】
【0242】
工程1:メチル 1-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)インドリン-6-カルボキシレート(中間体23)
【化43】
【0243】
メチルインドリン-1-イウム-6-カルボキシレートヒドロクロライド(1g、4.68mmol)および5-ブロモ-3-ピリジンカルボアルデヒド(871mg、4.68mmol)から出発して、実施例4の工程5と同様の手順で表題化合物を得た(1.54g、87%)。
【0244】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.88 - 8.79 (m, 2H), 8.68 - 8.68 (m, 1H), 8.36 - 8.35 (m, 1H), 7.76 - 7.70 (m, 1H), 7.46 - 7.42 (m, 1H), 4.09 (t, J=8.2 Hz, 2H), 3.88 - 3.84 (m, 3H), 3.18 (t, J=8.3 Hz, 2H)
【0245】
工程2:1-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)インドリン-6-カルボン酸(中間体24)
【化44】
【0246】
MeOH(15mL)中の中間体23(1g、2.88mmol)の溶液に、水(15mL)中の水酸化リチウム一水和物(363mg、8.64mmol)を添加し、得られた混合物をrtで3日間攪拌し、次に40℃で2h攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、1M HCl(aq)で酸性化した。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、表題化合物(890mg、93%)を得た。
【0247】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.62 (s, 1H), 8.63 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.27 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.15 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 4.38 (s, 2H), 3.38 (t, J=8.2 Hz, 2H), 2.98 (t, J=8.3 Hz, 2H).
【0248】
工程3:1-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル) インドリン-6-カルボキサミド(中間体25)
【化45】
【0249】
中間体24(500mg、1.50mmol)および3-(トリフルオロメチル)アニリン(0.20mL、1.58mmol)から出発して、中間体11と同様の手順で、表題化合物を得た(373mg、52%)。
【0250】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.33 (s, 1H), 8.65 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.60 (d, J=1.8 Hz, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.06 (t, J=2.1 Hz, 1H), 8.03 (d, J=9.3 Hz, 1H), 7.58 (t, J=8.0 Hz, 1H), 7.44 - 7.41 (m, 1H), 7.29 (q, J=3.0 Hz, 1H), 7.21 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.16 (d, J=1.2 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H), 3.38 (t, J=8.2 Hz, 2H), 3.01 (t, J=8.3 Hz, 2H)
【0251】
工程4:1-((5-(4-メチル-3-オキソピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド(実施例7)
【0252】
無水1,4-ジオキサン(2.00mL)中の中間体25(70mg、0.147mmol)、1-メチルピペラジン-2-オン(18mg、0.162mmol)および炭酸セシウム(96mg、0.294mmol)の混合物を脱気し、RuPhos Pd G3(12mg、0.0147mmol)を添加した。反応混合物を加熱し、80℃で、アルゴン下で18h攪拌した。反応混合物を冷却し、セライトのパッドで濾過し、濃縮した。粗製の化合物を、分取HPLC(Sunfire C18 19x150mm、10um 20~80% ACN/H2O(10mM NH4CO3)、20ml/min、RT)により精製して、表題化合物(44mg、57%)を灰白色の固体として得た。
【0253】
LC-MS (ESI): (Method 3) tR = 3.58 min; m/z [M+H]+= 510.5
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.34 (s, 1H), 8.26 - 8.24 (m, 2H), 8.06 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.60 (t, J=8.0 Hz, 1H), 7.45 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.36 (t, J=2.2 Hz, 1H), 7.29 (q, J=3.0 Hz, 1H), 7.23 - 7.20 (m, 2H), 4.36 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 3.57 (dd, J=4.5, 6.3 Hz, 2H), 3.44 (dd, J=4.3, 6.4 Hz, 2H), 3.38 (t, J=8.5 Hz, 2H), 3.00 (t, J=8.3 Hz, 2H), 2.91 (s, 3H).
【0254】
実施例8:1-((2-アミノピリミジン-5-イル)メチル)-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化46】
【0255】
工程1:tert-ブチル 6-((4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)インドリン-1-カルボキサミド(中間体26)
【化47】
【0256】
DMF(10mL)中の1-tert-ブトキシカルボニルインドリン-6-カルボン酸(1.00g、3.80mmol)および4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-3-(トリフルオロメチル)アニリン(1.25g、4.56mmol)の懸濁液に、1-メチルイミダゾール(1.1mL、13.3mmol)およびクロロ-N,N,N',N'-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(1.60g、5.70mmol)を添加した。反応混合物をRTで24h攪拌した。混合物を、塩水と酢酸エチルとの間で分配した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。残留物をFCC(DCM中の0~10% 2M NH3/MeOH)により精製して、表題化合物(2.22g、100%)を得た。
【0257】
LCMS (Method 5) tR = 1.72 min, m/z [M+H] = 519
【0258】
工程2:N-((4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)インドリン-6-カルボキサミド(中間体27)
【化48】
【0259】
DCM(15mL)中で、中間体26(2.22g、4.28mmol)から出発して、中間体12と同様の手順に従って表題化合物を得た(1.47g、82%)。
【0260】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.28 - 10.26 (m, 1H), 8.21 - 8.19 (m, 1H), 8.01 (dd, J=1.9, 8.5 Hz, 1H), 7.68 - 7.65 (m, 1H), 7.16 - 7.15 (m, 2H), 7.03 (s, 1H), 5.75 (s, 1H), 3.55 (s, 2H), 3.48 (dt, J=1.4, 8.6 Hz, 2H), 3.00 - 2.94 (m, 2H), 2.38 - 2.33 (m, 8H), 2.16 - 2.15 (m, 3H)
【0261】
工程3:1-((2-アミノピリミジン-5-イル)methy)l-N-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド(実施例8)
【0262】
2-アミノピリミジン-5-カルボアルデヒド(18mg、0.149mmol)および中間体27(50mg、0.119mmol)から出発して、実施例4の工程3と同様の手順に従い行い、HPLC(Xbridge フェニル 19x150mm、10um 40~100% MeOH/H2O(10mM NH4CO3)、20ml/min、RT)により精製した後、表題化合物を得た(50mg、79%)。
【0263】
LC-MS (ESI): (Method 3) tR = 3.07 min; m/z [M+H]+= 526.2
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.30 (s, 1H), 8.26 (s, 2H), 8.21 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.04 (dd, J=2.1, 8.6 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.29 - 7.17 (m, 3H), 6.61 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.29 (t, J=7.6 Hz, 2H), 2.99 - 2.93 (m, 2H), 2.40 - 2.34 (m, 8H), 2.18 - 2.17 (m, 3H)
【0264】
以下の表で報告されている化合物は、工程3における対応する市販のアルデヒドを適用して、実施例8の工程3について記載されているように調製した。
【0265】
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
【表14-5】
【表14-6】
【表14-7】
【0266】
実施例16:1-((2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化49】
【0267】
工程1:tert-ブチル 3-メチル-6-((3-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)インドリン-1-カルボキシレート(中間体28)
【化50】
【0268】
3-(トリフルオロメチル)アニリン(2.027ml、16.23mmol)を乾燥THF(27.0ml)に溶解し、この溶液を-78℃に冷却した。次に、n-BuLi(5.41ml、13.52mmol)を添加し、混合物を30分攪拌し、次いでanh.THF(27.0ml)中の1-(tert-ブチル) 6-メチル インドリン-1,6-ジカルボキシレート(1.5g、5.41mmol)を添加した。混合物を乾燥氷浴中で一晩攪拌した。反応混合物を、水を添加することによってクエンチし、溶液をAcOEtで抽出した。有機相全てを一緒にし、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0269】
粗製の材料を、FCC(溶出系:Hex 100%からHex/AcOEt(1/1)に)により精製した。次に、AcOEtに溶解し、0.5M HClで抽出して、表題化合物(1.70g、4.2mmol、77%)を得た。
【0270】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.52 (s, 1H), 8.23 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 8.09 - 8.00 (m, 1H), 7.63 - 7.52 (m, 2H), 7.44 (ddd, J = 7.8, 2.0, 1.0 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.97 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.14 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 1.53 (s, 9H).
【0271】
工程2:3-メチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド(中間体29)
【化51】
【0272】
中間体28(560mg、1.332mmol)から出発して、中間体12と同様の手順に従って、表題化合物を得た(375mg、86%)。
【0273】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.33 (s, 1H), 8.25 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.03 (dt, J = 8.0, 1.3 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.41 (ddt, J = 7.8, 1.9, 0.9 Hz, 1H), 7.20 - 7.12 (m, 2H), 7.04 (t, J = 1.0 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 3.48 (td, J = 8.6, 1.9 Hz, 2H), 2.97 (t, J = 8.5 Hz, 2H).
【0274】
工程3:1-((2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)メチル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)インドリン-6-カルボキサミド(実施例16)
【0275】
中間体29(148mg、0.483mmol)および2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボアルデヒド(107mg、0.433mmol)から出発して、実施例4の工程5と同様の手順に従って表題化合物を得た(20.4mg、0.04mmol、8%)。
【0276】
LC-MS (ESI): (Method 1) tR = 3.077 min; m/z [M+H]+= 538.2
1H NMR (300 MHz, Methanol-d4) δ 8.43 (s, 2H), 8.15 (s, 1H), 7.99 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.23 - 7.18 (m, 2H), 4.28 - 4.23 (m, 4H), 3.72 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.37 (t, J = 8.3 Hz, 2H), 3.01 (t, J = 8.3 Hz, 2H).注:OMeシグナルは溶媒シグナルと重なるため見えない。
【0277】
実施例17:1-[(5-カルバモイル-3-ピリジル)メチル]-N-[4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル]インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化52】
【0278】
工程1:1-[(5-シアノ-3-ピリジル)メチル]-N-[4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル]インドリン-6-カルボキサミド(中間体30)
【化53】
【0279】
中間体27(100mg、0.23mmol)および5-ホルミルピリジン-3-カルボニトリル(39mg、0.3mmol)から出発して、実施例4の工程5と同様の手順に従って表題化合物を得た(128 mg、100%)。
【0280】
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 10.30 (s, 1H), 8.99 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.91 (d, J=2.1 Hz, 1H), 8.34 (dd, J=2.1, 2.1 Hz, 1H), 8.20 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.03 (dd, J=2.0, 8.4 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.30 (dd, J=1.4, 7.5 Hz, 1H), 7.23 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 4.49 (s, 2H), 3.57 (s, 2H), 3.44 - 3.37 (m, 2H), 3.03 (dd, J=8.3, 8.3 Hz, 2H), 2.50 - 2.34 (m, 8H), 2.18 (s, 3H)
【0281】
工程2:1-[(5-カルバモイル-3-ピリジル)メチル]-N-[4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル]インドリン-6-カルボキサミド(実施例17)
【0282】
水(0.5mL)中の中間体30(110mg、0.206mmol)の溶液に、ヒドリド(ジメチルホスフィン酸-kP)[水素ビス(ジメチルホスフィニート-kP)]白金(II)(8.8mg、0.021mmol)を添加し、混合物を100℃で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を、分取HPLC(Sunfire C18 19x150mm、10um 20~80% ACN/H2O(10mM NH4CO3)、20ml/min、RT)により精製して、表題化合物(41mg、34%)を得た。
【0283】
LC-MS (ESI): (Method 3) tR = 3.02 min; m/z [M+H]+= 553.5
1H NMR (400 MHz, DMSO) d 10.30 (s, 1H), 8.98 (d, J=2.1 Hz, 1H), 8.74 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.24 - 8.19 (m, 3H), 8.03 (dd, J=1.9, 8.5 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.30 (dd, J=1.3, 7.6 Hz, 1H), 7.24 - 7.19 (m, 2H), 4.47 (s, 2H), 3.57 (s, 2H), 3.44 - 3.35 (m, 2H), 3.02 (dd, J=8.3, 8.3 Hz, 2H), 2.39 - 2.34 (m, 6H), 2.17 (s, 3H). 溶媒ピークの下に2個のピペラジンプロトンがある。
【0284】
比較のために新たに合成した化合物は、インドリン環とHy基の間にリンカーを欠くが、本発明の化合物はその位置にリンカー-CH2-または-C(O)-を示す。
【0285】
実施例C1:N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化54】
【0286】
磁気攪拌棒を備え、スクリュー蓋を取り付けた10mLバイアルに、実施例4の工程1~4のように得られた中間体8(0.030g、0.072mmol)、炭酸セシウム(0.070g、0.215mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(4.12mg、7.17μmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシ-1,1'-ビフェニル(6.69mg、0.014mmol)および5-ブロモピリミジン(0.015g、0.093mmol)を装入した。バイアルをトルエン(4ml)で満たし、アルゴンで5分通気した。溶液を105℃で3h加熱した。室温まで冷却した後、溶液をセライトのパッドで濾過し、次に、濃縮乾固させた。粗製物を、DCM/MeOH(100:0から90:10に)で溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(11mg、30%)を得た。
【0287】
【表15】

【0288】
実施例C2:N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-カルボキサミドの調製
【化55】
【0289】
工程1:メチル インドリン-6-カルボキシレート-中間体15
【化56】
【0290】
1-(tert-ブチル)6-メチルインドリン-1,6-ジカルボキシレート(0.1g、0.361mmol)を、DCM(6ml)および2,2,2-トリフルオロ酢酸(2.1ml)の3:1混合物に溶解した。溶液を室温で3h攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をそのまま使用した(65mg、100%)。
【0291】
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ = 7.15 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.01 (s, 1H), 5.74 (s, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.46 (t, 2H, J = 8.6 Hz), 2.96 (t, 2H, J = 8.6 Hz) ppm
【0292】
工程2:メチル 1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-カルボキシレート-中間体16
【化57】
【0293】
磁気攪拌棒を備え、ゴム製セプタムを取り付けた50mLフラスコに、中間体15(0.065g、0.367mmol)、5-ブロモピリミジン(0.076g、0.477 mmol)、炭酸セシウム(0.359g、1.100mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.021g、0.037mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシ-1,1'-ビフェニル(0.034g、0.073mmol)を装入した。容器を排気してアルゴンで満たし、シリンジでトルエン(5ml)を添加した。溶液を100℃で加熱し、16h攪拌した。室温まで冷却した後、溶液をセライトのパッドで濾過し、次に、濃縮乾固させた。粗製物を、Hept/EtOAc(100:0から0:100に)で溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(87mg、93%)を得た。
【0294】
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ = 8.81 (s, 3H), 7.62 (s, 1H), 7.48 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 4.09 (t, 2H, J = 8.5 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.23 (t, 2H, J = 8.5 Hz) ppm
【0295】
工程3:N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-カルボキサミド(実施例C2)
【0296】
10mLバイアル中で、中間体16(0.03g、0.118mmol)および3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン(0.028g、0.118mmol)を無水THF(5ml)に溶解した。溶液を0℃(氷浴)に冷却し、次に、カリウムtert-ブチレート(0.040g、0.353mmol)を一度に添加した。溶液を室温で5h攪拌した。さらなるカリウムtert-ブチレート(0.040g、0.353mmol)および無水DMF(2.0ml)を溶液に添加し、撹拌を一晩維持した。反応混合物を氷水(5mL)でクエンチし、次に、EtOAc(10mL)で抽出を行った。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗製物を、DCM/MeOH(100:0から90:10に)で溶出させるカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(4.6mg、8%)を得た。
【0297】
【表16】
【0298】
実施例C3:3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-N-(1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-イル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの調製
【化58】
【0299】
工程1:3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-N-(1-(ピリミジン-5-イル)インドリン-6-イル)-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【0300】
磁気攪拌棒を備え、ゴム製セプタムを取り付けた40mLバイアルに、中間体12(0.095g、0.227mmol)、5-ブロモピリミジン(0.047g、0.295mmol)、炭酸セシウム(0.222g、0.681mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.013g、0.023mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシ-1,1'-ビフェニル(0.021g、0.045mmol)を装入し、トルエン(5ml)に溶解した。容器をアルゴンで10分通気し、次に、溶液を℃で16h加熱した。室温に冷却した後、溶液をセライトのパッドで濾過し、次に、濃縮乾固させた。粗製物、H2O/MeCN/HCO2H(95:5:0.1から5:95:0.1に)で溶出させるFCCにより精製して、表題化合物をギ酸塩(123mg、100%)として得た。
【0301】
【表17】

【0302】
本発明の化合物の薬理学的活性
【0303】
インビトロアッセイ
結合アッセイ
DDR1およびDDR2結合アッセイは、Life TechnologiesのLanthaScreenTMユーロピウムキナーゼ結合アッセイを用いて行った。アッセイ緩衝液(50mM HEPES pH7.5、10mM MgCI2、1mM EGTA、0.01% BRIJ35)中、それぞれ20nMまたは10nMのキナーゼトレーサー178と2nMユーロピウム標識抗GST抗体(Life Technologies)をを含有する白色384ウェルOptiPlate(PerkinElmer)中で、化合物を5nM DDR1(Carna Biosciences)または5nM DDR2(Life Technologies)と室温で1時間インキュベートした。Tecan Spark 20Mプレートリーダーを用いて、340nmで励起した後の蛍光発光665nm/615nmの比を求めた。IC50値は、GraphPad Prism 8.0ソフトウェアで、log(阻害物質)対応答という4パラメータモデルを用いて決定した。IC50値は、Cheng-Prusoff式(Ki=IC50/(1+[トレーサー]/Kd))を用いてKiに変換した。
【0304】
DDR1細胞に基づくアッセイ
化合物によるDDR1受容体活性化の阻害は、PathHunter(登録商標)U2OS DDR1アッセイ(Eurofins DiscoverX社)を用いて、製造元の指示に従って評価した。簡単に説明すると、U2OS-DDR1細胞を5000細胞/ウェルの密度で白色384ウェルプレートに播種し、37℃、5% CO2で2時間インキュベートした。次に、細胞を様々な濃度の化合物で処理し、30分間インキュベートした後、ウシII型コラーゲン20μg/mlで刺激し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。PathHunter検出試薬をDiscoverX社のプロトコールに従って調製し、このミックスを各ウェルに20μl/ウェル添加した。プレートを暗所、室温で1時間インキュベートした後、プレートリーダーで発光シグナルを取得した。生データは、ビヒクル対照(0%で正規化)および陽性対照(100%で正規化;20μg/mlのコラーゲンIIで処理した細胞)に対して正規化し、IC50パラメーターは、GraphPad Prism 8.0ソフトウェアで、可変勾配を持つシグモイド用量反応曲線フィッティングを用いて計算した。
【0305】
DDR2細胞に基づくアッセイ
化合物によるDDR2リン酸化の阻害を、HEK293T-DDR2組換え細胞を用いてホスホELISAアッセイにより評価した。簡単に説明すると、HEK293T-DDR2細胞をポリ-D-リジンコーティング24ウェルプレートに250.000細胞/ウェルの密度で播種し、DMEM+10%FBS中で、37℃、5% CO2で1.5時間インキュベートした。その後、培地を無血清DMEMに変え、細胞を3時間インキュベートした。次に、50μg/mlのウシII型コラーゲンでさらに3時間刺激する30分前に、試験化合物を様々な濃度で添加した。DDR2 phospho-ELISAアッセイ(DuoSet IC Human Phospho-DDR2; R&D Systems)について、製造元の指示に従って調製した60μl/ウェルの溶解緩衝液を添加してタンパク質抽出物を得た。試料中のタンパク質濃度はBCAアッセイで測定し、Phospho-DDR2のレベルはR&Dシステムの指示に従い測定した。生データは、最大阻害対照(0%正規化)および陽性コントロール(100%正規化;20μg/mlのコラーゲンIIで処理した細胞)に対して正規化し、IC50パラメーターは、GraphPad Prism 8.0ソフトウェアで、可変勾配によるシグモイド用量反応曲線フィッティングを用いて算出した。
【0306】
個々の化合物の結果は、DDR1およびDDR2受容体に対する結合親和性(Ki)、およびDDR1およびDDR2受容体に対する阻害活性に関する効力(IC50)の観点から分類して表5に示す。
【0307】
【表18】

【0308】
理解できるように、表5の化合物、すなわち本発明の化合物は、DDR1およびDDR2受容体のアンタゴニストとして良好な活性を示す。従って、本発明の化合物は、線維症、例えば肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、腎線維症、眼線維症、心線維症、動脈性線維症および全身性硬化症などの、DDR受容体と関連する疾患、障害または状態の処置に効果的に使用することができる。
【0309】
比較例
実施例C1~C3の化合物を上記と同じ結合アッセイで試験した。
【0310】
【表19】

【0311】
表5に示すように、本発明の化合物は、DDR1およびDDR2受容体に対するKiとして表される結合親和性、およびDDR1およびDDR2受容体に対するIC50として表される阻害効力の両方とも80nMより低く、ほとんどの化合物では50nMより低く、さらには25nMより低い。逆に、表6に示すように、比較例C1~C3は、DDR1受容体に対する結合親和性(Ki)が30000nMより高く、C2およびC3では58000でさえあり、DDR2受容体に対する結合親和性(Ki)が4000nMより高く、C1およびC3ではそれぞれ50000と等しいかそれ以上でさえある。
【0312】
これらのデータは、インドリン環とHy基との間のリンカーを欠くことを特徴とする実施例C1~C3の化合物に対し、本発明化合物においてその位置に-CH2-または-C(O)-リンカーが存在することが、DDR1およびDDR2受容体に対する阻害活性の適切な増加を予想外かつ顕著に、決定することを示している。
【国際調査報告】