(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】多線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムのためのX線マルチリーフ動的コリメーション
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20240314BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240314BHJP
A61B 6/06 20060101ALI20240314BHJP
A61B 6/08 20060101ALI20240314BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240314BHJP
G06V 10/25 20220101ALI20240314BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240314BHJP
【FI】
A61B6/02 501H
A61B6/50 500C
A61B6/06 533
A61B6/08 509B
G06T7/00 612
G06T7/00 350B
G06V10/25
A61B6/00 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559030
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022020128
(87)【国際公開番号】W WO2022212009
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300662
【氏名又は名称】アイクススキャン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオリンベイ,マナト
(72)【発明者】
【氏名】ク,チュン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リンボ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアンチアン
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA34
4C093DA03
4C093EB22
4C093FA16
4C093FA54
4C093FF28
5L096AA06
5L096BA06
5L096DA01
5L096FA02
5L096FA64
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
多線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムと連携した関心領域へのX線曝露のための動的マルチリーフコリメータシステムが開示されている。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。リーフは、電気モータによって個々に駆動され、X方向、Y方向に直線的に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができる。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。予備X線イメージング走査の後、人工知能又はシステムオペレータは、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査は、自動コリメーションを用いて動的に実行されることとなり、その場合に、被写体又は患者に対するX線線量は、大幅に低減される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムにより被写体をX線撮影で撮像する方法であって、
多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムを使用して、X線フルビューで被写体を走査することと、
初期走査後に人工知能を使用して関心領域を位置特定することと、
X線管の各々について動的コリメーションマップを判定することと、
前記X線管の動き制御に動的コリメーションマップを適用することと、
マルチリーフ動的コリメータを使用して前記関心領域上にのみ制限されたX線ビームで、前記被写体を再走査することと、を含む、方法。
【請求項2】
放射線漏れを遮断するための、対向して位置付けられた重金属の薄いリーフであって、前記リーフ間にノッチを有する、リーフを取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リーフオンワンラックを1つの構造として提供することを含み、前記ラックが、ステッピングモータによって移動される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数のX線遮断リーフをマルチリーフフレーム上に取り付けることと、前記マルチリーフフレームを第1の方向に移動させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上のX線遮断リーフを第2の方向に移動させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のX線遮断リーフを移動させて、多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムのためのX線曝露窓を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のX線源を、あらかじめ決められたトラック上で、被写体の周りで同時に移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のパルス作動されるX線源を移動構造上に取り付けて、線源アレイを形成することを含み、各X線源が、外部曝露制御ユニットを介して独立にパルス作動される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
個々の各X線源が、第1の位置の周りで移動し、第2の位置の周りで移動する前記線源アレイと同期すると、前記X線源をX線曝露中に静止するように制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
所定の投影画像閾値が満たされるまで、選択されたX線源から初期投影画像を取得することと、
前記投影画像から3Dトモシンセシス画像ボリュームを再構成することと、
機械学習を使用して、前記再構成された3Dトモシンセシス画像ボリュームから1つ以上の肺結節を探索することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
X線イメージング装置であって、
多パルス作動X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムと、
X線管の各々の前の1つ又は複数の動的コリメータであって、
各々が第1の方向に移動可能な、複数の重金属の薄いリーフと、
前記重金属の薄いリーフを保持する、第2の方向に移動可能なフレームと、を含む、1つ又は複数の動的コリメータと、
前記フレーム及び前記リーフを移動させるように複数のモータを制御するための1つ又は複数のモータコントローラと、
前記複数のモータを制御するためのプロセッサと、を備える、X線イメージング装置。
【請求項12】
対向して位置付けられたリーフであって、前記リーフ間にノッチを有する、リーフが、多パルス作動X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムからの放射線漏れを遮断するように位置付けられている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
リーフが、1つの構造としてラック上に取り付けられており、前記ラックが、ステッピングモータによって移動される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
マルチリーフフレーム上に取り付けられた1つ又は複数のX線遮断リーフを備え、前記マルチリーフフレームは、第1の方向に移動される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
1つ又は複数のX線遮断リーフが、第2の方向に移動される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
1つ又は複数のX線遮断リーフが、X線曝露窓を形成するように移動される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
あらかじめ定められたトラック上で、被写体の周りで複数のパルス作動X線源を同時に移動させるためのモータを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
線源アレイを形成するように移動構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
各X線源が、外部曝露制御ユニットを介して独立にパルス作動され、個々の各X線源が、第1の位置の周りで移動し、第2の位置の周りで移動する前記線源アレイと同期すると、前記X線源をX線イメージング中に静止するように制御する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサが、
所定の投影画像閾値が満たされるまで、選択されたX線源から初期投影画像を取得することと、
前記投影画像から3Dトモシンセシス画像ボリュームを再構成することと、
機械学習を使用して、前記再構成された3Dトモシンセシス画像ボリュームから1つ以上の肺結節を識別することと、を行うためのコンピュータ可読コードを実行する、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタルトモシンセシス(DTS)は、重なり合う解剖学的構造又は複合アーチファクトを排除する限定角度トモグラフィである。DTSは、通常のX線撮影と比較して、病変検出、深度局在化、及びコントラスト分解能を促進する。CTと比較して、DTSのコスト及び放射線量は、はるかに低い。したがって、DTSは、胸部X線撮影及びCTフォローアップの両方の代替として推奨されている。特に、DTSは、肺結節を検出するためのより優れた診断性能を示している。DTSでは複数の投影が使用されるため、患者の線量は、通常のX線撮影と比較して高い。本発明は、動的マルチリーフコリメータを使用した顕著な線量低減方法について記載する。最先端のX線撮影及びDTSシステムは、矩形コリメータを使用して、X線ビームを制限する。これらのコリメータ開口部は、典型的には、矩形形状を有する、ある特定の視野(FOV)サイズに固定されているため、動的な関心領域曝露を行うことができない。多くの診断タスクでは、ある特定の関心領域(ROI)のみが重要であり、エリアの残りは、重要度が低いか、又は重要でない。したがって、ROI領域の外側への曝露が、低減され得るか、又は完全に遮断され得る。患者への実効線量は、面積線量(DAP)によって測定され得る。動的コリメータで曝露面積を低減することによって、実効線量を劇的に低減することができる。例えば、40cm×40cmの視野を10cm×10cmの視野に縮小することは、DAPが16倍少なくなることをもたらし得る。様々なコリメーション機構の先行技術がある。しかしながら、先行技術には欠点がある。第1の欠点は、先行技術のコリメーションシステムは動力設備を付帯しているが、それらは、動的コリメーションではなく、固定コリメーションのシステムであることである。そのため、先行技術におけるX線線量は、動的に低減されない。第2の欠点は、先行技術に人工知能が関与していないことである。先行技術のコリメーションシステムは、X線走査中に関心領域の正確な場所を決定することができない。第3の欠点は、先行技術のほとんどのコリメータが、多線源ではなく単一X線源のみを使用してばかりいることである。多線源は、1つ1つの単一X線管全ての前でコリメーションを必要とする。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、システムは、各X線源管の前で、多X線源運動中デジタルトモシンセシスを使用し、動的コリメーションを使用して、患者の線量問題に対処する。
【0003】
別の態様では、多源トモシンセシスイメージングシステムと連動した関心領域上へのX線曝露のための動的マルチリーフコリメータシステムが開示されている。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。リーフは、電気モータによって個々に駆動され、X方向、Y方向に直線的に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができる。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。予備X線イメージング走査の後、人工知能又はシステムオペレータの自己学習により、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査は、自動コリメーションを用いて動的に実行されることとなり、その場合に、患者に対するX線線量が、大幅に低減される。
【0004】
別の態様では、多線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムのためのマルチリーフ動的コリメータシステムが開示される。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。電気モータが、リーフを個々に駆動し、X方向及びY方向に直線的に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。予備X線イメージング走査の後、人工知能又はシステムオペレータの自己学習により、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査を、自動コリメーションを用いて動的に実行することができ、患者に対するX線線量が、著しく低減される。本発明は、先行技術に対するいくつかの重要な利点。動的マルチリーフコリメータを有するデジタルトモシンセシスシステムが記載されている。このコリメータは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。電気モータアレイが、リーフを個々に駆動し、X方向及びY方向に直線的に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。予備X線イメージング走査の後、自己学習した人工知能又はシステムオペレータは、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。
【0005】
別の態様では、フレームリーフが、フレームリーフをX方向に移動させるX方向リニアモータに接続されている。上記の配置は、固定検出器多源トモシンセシスイメージングシステムなどのデジタルトモシンセシスイメージングシステムとともに使用される固定検出器に好適である。言い換えて、この配置を、以後、固定検出器X線曝露システムと呼ぶ。固定検出器X線曝露システムでは、本開示を通して関心領域(ROI)を使用する。ROIは、病変、疑わしい領域、又は特別な治療に必要とされる特定の領域であり得る。ROIのサイズは動的であり、かつ種々の健康診断中に変動し得ることに留意されたい。検出平面を、元の平面から種々の被写体平面を検出するように定義することができる。
【0006】
本発明の別の態様は、モータ制御回路及び電子動的マルチリーフコリメータシステムを提供することである。このコリメータシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。電気モータによって駆動される各リーフは、X方向及びY方向に直線移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができる。複数の曝露穴を通過するX線ビームは、X線検出器上に被写体の画像を生成する。本発明の別の態様は、動的マルチリーフコリメータシステムを提供することである。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備え、各リーフは、電気モータによって個々に駆動され、X方向及びY方向に直線的に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができ、通過X線ビームを制御する曝露穴も、散乱放射線の量を制御することとなろう。通過X線曝露によって撮像される被写体は、トモシンセシスイメージング検出器上に画像を形成する。
【0007】
別の態様では、人工知能ソフトウェアは、関心領域の場所をあらかじめプログラムするためのものである。トモシンセシスイメージングが開始されると、システムは、以下のステップによってROIを自動位置特定する:画像セグメント化方法を使用するか、又は手動セグメント化を実行するステップ、次いで、ROIの周りに境界画定ボックスを描画するステップ、周囲の組織/体液からROIの境界を分離するための特別なフィルタを適用するステップ、次いで、異なるサイズの最適な曝露穴数を計算するためのアルゴリズムを実行するステップ、ヒストグラムを使用して平均DAP値を得るステップ、曝露レベルを増加させて、指定された面積線量値を達成するステップ。ユーザ定義又は自動のサイズの曝露穴が、好ましくは、曝露前に画像に表示されるようになる。ソフトウェアアルゴリズムは、動的な曝露穴配置を作成することとなろう。リーフの物理的な移動を、以下のモードで実行することができる。モード1:人工知能(AI)によって決定された特定のルールに基づいて、曝露穴の場所が自動で移動する。例えば、曝露穴を、基準線と走査スライス間の中間線との間の交差場所に生成することができよう。走査スライスが進行するにつれて、曝露穴の場所は、プログラムされたルールに従って次の走査平面に近づき、曝露エリアがトモシンセシス走査中に被写体の場所と正確に重なり合うようになる。代替的に、モード2:曝露穴を、基準線間の計算された交差点であるランダムな場所に生成することができるであろうし、曝露穴を、曝露計算を必要とする曝露計算ルールに基づいて生成することができよう。
【0008】
別の態様では、多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムの使用について詳細に記載されている。走査システムは、X線源及びコリメータを備え得る。本発明の好ましい実施形態は、被写体の曝露に複数のX線源を使用する。X線管は、走査される被写体の上方に置設されている。走査システムは、X線管を被写体の上で移動させることによって、被写体を走査することができるか、又は被写体をX線ビームの経路に移動させることができる。被写体を、レールに乗っているローラ上に取り付けられたターンテーブル上で回転させることによって移動させることができる。被写体を、リニアモータドライブを1つ以上のリニアガイドとともに使用して移動させることもできる。走査システムは、X線源及びコリメータを備え得る。本発明の好ましい実施形態は、被写体の曝露に複数のX線源を使用する。複数の線源は、種々の曝露領域で種々の曝露用量を得るのに、より効果的である。動的コリメーションを用いて複数のX線源を介して被写体をX線に曝露することにより、ある特定の所望の曝露領域のみへの限られた角度の曝露を達成することを可能にする。限られた曝露領域でのみへの曝露を行うと、不要な曝露領域への曝露を回避することができる。曝露領域を、予備走査中に取得されたX線ビュー投影によって決定することができ得る。曝露の断面図から見えるように、曝露領域は、円形又は楕円形ではないことがある。そうではあっても、それは、本発明の曝露機構に基づく動的曝露穴形状である。
【0009】
システムは、最初に予備走査を実行して、DICOM画像を作成し、次いで、関心領域を自動で位置特定する。これらのステップを、各線源上のCPU若しくはFPGA上で実行されるソフトウェアによって実装することができるか、又は制御モジュール若しくはイメージングデバイスに統合することができる。位置特定されると、適切なコリメーションエリアが設定され、KVレベルのX線ビームが動的に制限される。動的コリメーションが完了した後、最終走査のデータ取得を実行して、必要とされる画像を保存する。例えば、胸部X線が撮影され、肺が心臓よりも関心のあるものである場合、心臓壁は、関心領域(ROI)の一部となることとなる。kVレベルのX線を動的に遮断するコリメータを用いて、肺の正確なROI画像を得ることができる。放射線科医にとって重要ではない心臓の任意の部分を効果的に遮断し、患者の線量を著しく減少させることができる。正確な骨画像が必要とされる場合、全身画像が作成された後、動的コリメータが、特定の領域にのみ曝露された単一のX線管の前に作成され得る。残りのエリアは、遮断されることとなる。乳房は、マンモグラフィーが撮影される場合に枢要なROIになり、そうでない場合、乳房組織を効果的に遮断し、患者の線量を著しく低減することができる。まとめると、異なる医療処置は、イメージングのための異なる必要性を有する。
【0010】
本方法は、各X線源について以下のステップを伴う。動的マルチリーフコリメータ(DMLC)のコリメーションは、DMLCのリーフ位置を調整するようにコンピュータによって制御されてもよい。製造の制限に起因して、DMLCにおける2つの隣接するリーフ間に常にギャップがある。したがって、コリメーション穴は、異なるX線源管間で互いに完全に位置整合することができない。リーフ間のギャップと走査中に取得された画像データ上のボクセル位置との間の空間関係を分析することによって、いくつかの自己学習アルゴリズムが、望ましくないX線を遮断するためにリーフがどこにあるべきかを判定することができる。次いで、コンピュータは、計算されたリーフ位置を使用して制御信号をDMLCに送信して、時間領域で各リーフを適切な位置に移動させる。リーフの移動は、走査対象のエリア上に1つ以上の穴、いわゆる「コリメーション穴」を形成することとなる。
【0011】
人工知能又は画像処理を使用して、イメージング走査によって判定された解剖学的構造情報に基づいて、患者上のROIの場所を獲得する。以下の考慮事項がある。設計は、互いに平行な複数のリーフを有しなければならない。また、コリメーションは、マスキングプレートとして使用される。X線を遮断する最も効果的な方途は、鉛を使用することであるので、リーフは、鉛で作製されている可能性が最も高い。各リーフは、X方向及びY方向の両方で独立して移動するための独自のモータを有するようになる。X線曝露の数は、平行形態で配置されたリーフの2つの対向するバンクを使用すると、1つのリーフのみと比較して著しく増加する。したがって、各イメージング走査後に、患者の線量を更に関心を有するほどに低減することができる。別のラウンドのX線イメージング走査が、実行されるw。したがって、制御及び管理における高度な自動化が必要とされる。X線システムは、関心領域に基づいて、i番目動的マルチリーフコリメータシステムの領域で動的マッピングを実行するようになる。異なる患者は異なる解剖学的構造を有するため、異なる患者に対して異なるコリメーションが必要とされる。関心領域の正確な位置を判定するために、各患者が関心領域情報を格納するための電子フォームが作成されるようになる。全ての関連情報がコンピュータに入力されると、このデータは、コンピュータ上の関心領域の種々の形状で訓練された人工知能ソフトウェアプログラムにアップロードされるようになる。
【0012】
別の態様では、動的マルチリーフコリメータシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを提供する。電気モータが、リーフを個々に駆動し、X方向及びY方向に直線を移動させ、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。X線発生器は、高エネルギーX線ビームを各リーフに独立に送る。所定のエリアを、ユーザ又は人工知能(AI)によって関心領域(ROI)として定義することができる。走査の第1のステップは、第1のX線撮影デジタル画像を作成するようになる。次いで、ROIが、AI又は人間によって自動で識別及び設定される。ROIデータ及び第1のX線撮影デジタル画像を使用して、AIモデルを訓練する。次いで、第2の走査ステップは、ROI領域への放射線量のないX線撮影を収集するようになるが、残りのエリアに放射線量を作成するようになる。上記の2つのステップの後に、AIモデルの訓練に基づいて、マルチリーフ移動プロセスが開始することとなろう。シミュレートされた訓練画像は、表示されて訓練に役立つこととなろう。
【0013】
本出願は、添付の図面と併せると、以下の詳細な説明からより完全に理解されるものとなり、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】モータによって制御される動的マルチリーフコリメータの個々の金属リーフを例示するものである。
【
図2】動的マルチリーフコリメータ金属片が、グループとして+X方向、-X方向に移動し、かつ個々に+Y方向、-Y方向に移動することができることを例示するものである。
【
図3】X線多線源インモーションデジタルトモシンセシスシステムにおいて、2つの関心領域が生成され、他の近くの領域を遮蔽し、かつより良好な画像を達成するために、動的マルチリーフコリメータを使用して再走査される必要があることを例示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を、添付の図面を参照して以下に与える。しかしながら、本発明の以下の説明では、関連する周知の機能又は要素の詳細な説明が、本発明の要点を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、詳細な説明を省略する。
【0016】
本発明について、以下の段落で、添付図面に関して例示的に詳細に記載する。この説明全体を通して、示される好ましい実施形態及び実施例は、本発明の限定ではなく例と見なされるべきである。本明細書で使用される場合、「本発明」は、本明細書に記載の本発明の実施形態のうちのいずれか1つ及び任意の均等物を指す。更に、本明細書を通して「本発明」の様々な特徴を参照することは、全ての特許請求される実施形態又は方法が参照される特徴を含まなければならないことを意味しない。
【0017】
ここから、以後、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明についてより完全に記載する。ここから、図面を参照して、様々な実施形態について記載し、全体を通してそのような要素を指すために参照番号が使用される。以下の説明では、説明の目的で、1つ以上の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細が概説される。しかしながら、そのような実施形態が、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは明らかであり得る。他の事例では、周知の構造及びデバイスが、1つ以上の実施形態の記載を容易にするためにブロック図の形態で示されている。
【0018】
しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で詳述される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提供されている。更に、本発明の実施形態を列挙する本明細書の全ての記述、及びその具体例は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図されている。追加的に、そのような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物(すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する、開発される任意の要素)と、の両方を含むことが意図されている。
【0019】
それゆえ、例えば、図、概略図、図解などが、本発明を具現化するシステム及び方法を例示する概念図又はプロセスを表すことは、当業者によって理解されるであろう。図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、及び関連付けられたソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的であるにすぎない。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、又は更には手動で実行され、この特定の技法は、本発明を実装したエンティティによって選択可能であってもよい。当業者は、本明細書に記載の例示的なハードウェア、ソフトウェア、プロセス、方法、及びオペレーティングシステムが例示の目的のためであり、それゆえ、任意の特定の名称の製造元に限定されることを意図されていないことを更に理解する。
【0020】
図1は、複数の薄い重金属リーフ1が並列に配置された、マイクロステッピングモータ3によって制御される動的マルチリーフコリメータ5を例示している。個々の各金属リーフ1上にギア歯2がある。また、マイクロステッピングモータ3は、シャフトにモータギア4を有する。リーフギア歯2とモータギア4とは、互いに係合している。単一の薄いリーフ1は、電気モータ機構を使用することによって、前後に移動することができる。リーフの空間的な場所に基づいて、所望の形状の穴を各リーフの前側に形成することができる。X線源のX線源管8が、それらのリーフ1の隣に設置されている。薄い重金属リーフ1を、電気的に移動させて、曝露時に所望の形状の穴を作成することができる。コンピュータ及びインテリジェントアルゴリズムが、X線イメージングデータに応じて、曝露パネル上に曝露パターンを設計するようになる。この曝露パネルの2つの側面があり、各側面は、リーフ1の独立した移動を有する。次いで、曝露パネルは、移動して、残りの位置でのパネル曝露の組み合わせによって、患者への曝露を得るようになる。次いで、曝露パネルシステムは、曝露パターンを作成するようになる。曝露パネルは、リーフの上に自動曝露穴の場所を有する。インテリジェントアルゴリズム又はオペレータは、関心領域を手動で位置特定することができるようになる。曝露パネル上の穴の場所の事前設定後、マルチリーフコリメータ5は、患者に対するトモシンセシス走査中に多曝露に対して動的にコリメーションを実行するようになる。
【0021】
ラック又はフレームホルダ6を使用して、動的コリメータ5のモジュールのリーフをX線源管8の前に移動させることができる。このモジュールは、個々のリーフ制御信号を使用して、リーフを平行方向及び垂直方向に移動させることができる。制御信号及び処理ユニットは、個々の各リーフ1の位置を判定することができる。個々の各リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製され得る。リーフ1の2つの対向するバンクは、平行かつスタガ形態で配置され得、電気モータは、リーフを個々に駆動することができる。システムプロセッサは、1つ以上のリーフ位置を制御することができる。関心領域(ROI)11が識別されると、システムプロセッサは、必要なX線ビーム9をROI11の場所に形成することができるように、必要なリーフ1の数及びリーフ1の位置を計算することができる。このモジュールは、患者から望ましくない放射線を遮蔽するためのコリメーションシャッターとしても機能することができる。
【0022】
望ましくない放射線を遮蔽した後、患者からの散乱は、はるかに少なくなり、他のバックグラウンドの場所からの後方散乱放射は、はるかに少なくなることとなる。したがって、X線フラットパネル検出器14において、より良好な信号対ノイズ比及びより良好なコントラストを有する画像を達成することができる。様々な構造間のより良好なコントラストは、より正確な標的位置付けに起因して、病変検出能力の向上、真性悪性腫瘍のより良好な位置特定、及びオペレータ変動性の低減をもたらすこととなる。
【0023】
マイクロステッピングモータ3は、ギアリンク機構を介してリーフ1に接続されている。モータコントローラは、個々のリーフ1の位置を報告するマイクロステッピングモータ3及び位置エンコーダと通信する。リーフが作動されると、リーフは、X方向、Y方向に移動するようになる。リーフがX方向、Y方向に移動するにつれて、人工知能又はシステムオペレータ自己学習が、関心領域(ROI)11を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査は、自動コリメーションを用いて動的に実行されることとなる。その場合に、患者に対するX線線量は、著しく低減される。マルチビーム走査を実行するには、複数のリーフユニットを設定することが必要である。システムオペレータは、これらのリーフユニットを三次元空間内の任意のエリアに配置して、完全なマルチビーム走査を達成することができる。自己学習人工知能は、潜在的な位置不整合誤差を低減するための意思決定のために事前データを使用することができる。本発明は、1つのコリメーションユニットを使用して、動的曝露制御を行う。1つのコリメーションユニットについて1つの線源からの1つのビーム変更のみがあることから、位置整合誤差は、最小限に抑えられ得る。
【0024】
ピニオンギア4は、モータハウジングに接続されたスピンドルによって支持されている。スピンドルは、ピニオンを駆動することができるギア機構を有する。ピニオンは、制御電子機器によって、トラックに沿って左方向又は右方向に移動することができる。ピニオンは、金属リーフ1上にギア歯2を有する伝達システムを介して1つのリーフを駆動することができる。伝達システムは、ピニオンの動きを他のリーフ1に伝達する。これらの金属リーフ1は、高密度の非常に薄い材料、例えば、鉛合金、銅合金で作製されている。各リーフは、前方又は後方に移動される。最終的な方向は、ピニオンが左又は右に移動するかどうかに依存する。2つのリーフ1は、組み合わされて対を形成し得、これらのリーフは、異なる回転方向で同じモータによって一緒に駆動され得る。したがって、複数のリーフ対を、複数のピニオンによって駆動し、したがって、所望の形状を有する複数のX線曝露穴のグループを作成することができる。コリメーション開口部のサイズ及び形状を、単一曝露走査中に動的に変更することができる。各リーフの開口部の位置及び形状は、走査が実行される前に、処方箋又は治療計画に従ってあらかじめプログラムされる。
【0025】
フレームホルダ6は、例えば、ステンレス鋼などの材料の剛性構造である。穴は、X線ビーム9を通過させるためのフレーム壁上の実際の開口部である。これらの開口部は、患者の身体のほとんどの部分が収まるほどの大きさである。典型的な穴のサイズは、直径約6mmである。各穴は、穴を開閉するためのモータコントローラを有する。X線源管8は、撮像される患者の身体部分の厚さ全体を貫通するのに十分なエネルギーレベルの強度を有するX線ビーム9を生成する。コリメータリーフを、X線フラットパネル検出器14からの信号に応答して調整して、これらの望ましくない放射線を遮断又は曝露することができる。信号発生器は、各モータコントローラを制御する。信号発生器は、機械学習の高度な方法を使用して、撮像される患者の総線量を所望の値に保つために、どのモータコントローラを作動させるかを決定し得る。
【0026】
リーフの上側バンクと下側バンクとは、互いに平行に取り付けられている。リーフ1は、制御された速度及び位置で、電気モータの制御下、Y方向に独立して移動することができる。リーフは、スタガ形態で配置されている。上側バンク及び下側バンクの前面は、曝露穴を形成するように接続される。上側バンク上の全てのリーフは、グループで上下に移動可能である。同様に、下側バンク上の全てのリーフは、グループで上下に移動可能である。それゆえ、上側バンク及び下側バンクは、定義された形状を有する所望の場所に曝露穴を形成することができる。
【0027】
頑丈なフレームホルダ6は、リーフのセットを支持する。個々の各リーフ1を電気的に駆動して、制御システム制御下でモータによって、個々にY方向に、かつグループとして及びX方向に移動させることができる。そのようにして、複数のリーフのリーフアレイは、X線曝露中に患者上の指定された関心領域(ROI)11上に多穴コリメーションパターンを提供するコリメータを形成することができる。したがって、多パルス作動X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステム7で複数の投影を実行するために、ROI11に種々の形状の穴を形成することができる。初期段階の間、人工知能は、検出器から学習し、検出器から情報を取得した後に、患者上の特定のROI11上で必要とされる穴のパターンを記憶するようになる。記憶されたパターンが検証された後、患者上の指定されたROI11上への次の投影走査は、動的マルチリーフコリメータ5システムで行われるようになる。したがって、走査後ごとに、動的マルチリーフコリメータ5システムは、初期走査から学習したパターンに基づいて、各リーフの位置を再調整するようになる。このようにして、患者上の指定されたROI11上の累積放射線量は、ROIビュー13が全視野12よりもはるかに小さいため、著しく減少するようになる。
【0028】
モータは、手動制御のための機械的制御インターフェースを有する。これにより、オペレータは、X線走査中にいつでもインタラクティブにリーフの移動を制御することが可能になる。この設計により、オペレータは、走査プロセス中にいつでも異なるリーフパターンパターンを得ることが可能になる。リーフパターンは、X線が通過することとなる場所を決定する。ROI11の場所を覆うコリメータ穴パターンが選択される。動的コリメーションは、X方向及びY方向の両方で実行される。X方向のリーフの動きとY方向のリーフの動きとの両方が、システムの両側の電気モータによって制御される。したがって、このシステムの動的コリメーションエリアは、可変幅を有する平行四辺形形状である。これにより、関心領域(ROI)11上のX線曝露エリアの特定の選択が可能になる。コリメーションパターン指定は、走査処理前に可能である。
【0029】
Y方向は、垂直方向を表す。Y方向に沿って特定の場所に置設される薄い金属リーフの数は、変動するX線源管8の出力のkVレベルに依存する。この実施形態では、説明を簡略化するために、3つの薄い金属リーフ1が例として使用されている。予備走査の後、ROI11を、コンピュータプログラム又は放射線科医によって計算することができる。次いで、システムオペレータは、対応する薄い金属リーフ1にこれらのROIを手動で入力する。コンピュータソフトウェア制御を使用して、各薄い金属リーフ1は、両端部に力センサを有し、かつ内部にモータを有するリニアアクチュエータによって駆動される。アクチュエータは、Y方向に直線的に移動し、リーフ1上で直線移動を生じさせることができる。
【0030】
X方向は、X線源管8の移動方向であり、このことはまた、開示された動的マルチリーフコリメータも移動可能であることを意味する。一度に、リーフは、コリメーションのためにX方向及びY方向に移動する。言い換えると、Y方向のリーフの対が穴を形成した後、次いで、リーフは、X方向に移動して、場所を補正する。X線源管8上の所定の固定位置で、コリメーション穴が作成される。コリメーション穴のサイズは、リーフ及びフレームホルダのサイズの制限に起因して、それらの最大値を有するようになる。この固定位置から隣接するリーフ上のコリメーション場所までの横方向の距離は、異なるリーフで異なり得る。リーフが電動キャリッジ上に取り付けられている場合には、キャリッジのセットで横方向の位置を作成することができる。
【0031】
図2は、マルチリーフコリメータ5の金属片が、グループとして+X方向、-X方向に移動し、個々に+Y方向、-Y方向に移動して、単一のX線曝露穴を作成することができることを例示している。コリメータアレイなどのコリメータデバイスは、患者とX線源管8との間に位置付けられている。コリメータは、X線ビームを、肺結節を含む関心領域(ROI)11に制限するように設計されている。しかしながら、不要な放射線曝露もまた、ROI11の外側で生じる。直接放射線及び散乱放射線に起因する患者へのX線放射線曝露は、総線量に寄与し、通常、実効線量(DE)と称される。DEは、全ての組織及び器官への線量を含み、周囲の組織における気中線量によって制限されるものではない。したがって、周囲の組織における気中の線量を低減するだけでは患者へのDEを著しく低減することはない。したがって、この一実施形態は、新しいタイプの動的マルチリーフコリメータ(DMLC)を使用して患者への放射線量を更に低減するための方法を提供する。この一実施形態は、放射線量を著しく低減することができる動的マルチリーフコリメータシステムを開示する。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフ1の少なくとも2つの対向するバンクを有する。電気モータ3は、リーフを個々に駆動し、X方向及びY方向に直線移動させ、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフ1は、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属片で作製されている。
【0032】
独立したリーフを、曝露穴を作成するための駆動手段によって位置付けることができる。移動の量、方向、及び曝露穴の形状を、ROI11の場所、オペレータ設定、自己学習アルゴリズム、又は人工知能に基づいて、アプリケーションソフトウェアによって決定することができる。例えば、曝露穴は、放射線曝露により感受性がある患者の肺領域の外側に位置特定されてもよく、曝露穴は、胸部領域における全ての器官を曝露する必要がある胸部イメージングに使用されてもよく、2つの曝露穴は、右肺及び左肺のみを曝露する必要がある肺画像に使用されてもよい。したがって、本発明の一実施形態は、同じイメージング手順においてトモシンセシス及びコリメーションを同時に実行するためのシステム及び方法を対象とする。先行技術と比較して、本発明のこの一実施形態における方法は、走査プロセス中に、関心領域(ROI)11の正確な場所を判定し、次いで、多X線源管8を使用して、デジタルトモシンセシスを実行し、マルチリーフコリメータ5システムを使用して、複数の動的コリメーションを実行するものである。これらのトモシンセシスシステム及びコリメータシステムの協働は、患者への放射線量を著しく低減し、安全性を向上させることができる。本発明のこの一実施形態の主な目的は、先行技術の欠点を克服するための新規なデバイス及び方法を設計及び開発することである。複数のX線源及び電動リーフ1を用いたコリメーションを使用して、我々は、同じ走査手順でX線撮影及びトモシンセシスイメージングを実行し、かつ低減された放射線量のみで関心領域(ROI)11を取得するための新規なデバイス及び方法を提供する。
【0033】
薄い重金属リーフの対向するバンクの対を駆動するためにモータが使用される。モータは、110VAC入力電圧電源を受け取ることができるコントローラによって駆動される。薄い重金属リーフの対向するバンクの各対は、平行かつスタガ形態で配置されている。各対の1つのリーフを、奇数リーフと呼び、別のリーフを偶数リーフと呼ぶ。奇数リーフと偶数リーフとが対を形成する。各リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。制御電子機器は、画像処理モジュールの制御下でこれらのリーフを電子制御する。コリメーション穴の位置は、患者の解剖学的構造の様々な関心領域(ROI)を格納する知識ベースに基づいて、関心領域(ROI)11に調整される。全てのコリメーション穴が計算されると、モータコントローラは、モータにパルス信号を提供して、奇数リーフ及び偶数リーフの移動を同時に制御する。マルチリーフシステムでは、所望の関心領域(ROI)についてコリメーション穴を任意の形状に設定することができる。先の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的及び説明的であり、特許請求される発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0034】
マイクロコントローラ又はコンピュータが、X線管ドライバ及びリーフのモータドライバを制御する。制御シーケンスは、オペレータによって操作端末を使用して決定される。多線源DTSについて、関心領域(ROI)上のイメージング走査中に、コンピュータは、X線源管8の正確な位置を読み取る。次いで、コンピュータは、リーフを個々に制御するためのタイミング信号を生成するようになる。例えば、1つのDTS投影に複数のROIが存在すると仮定する。その場合、全てのリーフを、これらのリーフの相対位置に基づいて独立に制御して、各ROI11の形状を判定し、こうして、患者上の望ましい形状を有する種々のX線曝露穴を作成することができる。このリーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。リーフは薄いことから、リーフは、鮮鋭なX線曝露穴を生成するのに十分速く移動することができる。動的X線曝露後、トモシンセシス画像を、医療コンピュータによって再構成することができる。
【0035】
コリメータの開口穴は、形状認識ソフトウェアによって決定される様々なサイズで成形される。これらの開口穴は、X線を通過させることができる。重金属リーフは、スタガ形態を有して平行に配置されている。その場合、リーフは、モータによって独立に駆動される。それゆえ、オペレータ又は自己学習AIによるコリメーション意思決定後、関心領域(ROI)に最も近いリーフが最初に選択されるようになる。次いで、他方の側で別のリーフが選択される。これにより、他のエリアを保護しながら、関心領域(ROI)に好適な開口部のみが残る。結局、モータは、モータのそれぞれのリーフを開閉するように制御され、デジタルトモシンセシスイメージングは、動的なリーフ移動に起因して自動で開始することができる。このシステムに、メカニカルシールは必要ない。したがって、このシステムは、より信頼性が高く、より費用対効果が高い。リーフ移動を、画像キャプチャ期間中に実行することもでき得る。それで、適正なFOVが保証される。画像キャプチャが終了すると、リーフは、初期位置に戻り、次のX線撮影走査の準備が整うようになる。X線源管8は、X線放射を同時に収集し、かつデジタル化のための信号処理ユニットに信号を送信する、X線フラットパネル検出器(FPD)14を備える。信号処理ユニットとして、マルチコアを有する非常に高速のプロセッサを有するコンピュータワークステーションが使用される。
【0036】
図の上側から到来し、かつ調整可能なマルチリーフコリメータに衝突する、X線ビーム9が示されている。システムの主要構成要素は、使用されるイメージングデバイスにかかわらず同じである。各リーフは、複数のリーフを一斉に開閉して複数のX線曝露穴を生成することができるように、個々のモータによって個々に駆動される。これらの穴は、任意の所望の様式で成形され、X方向及びY方向の両方に移動されてもよい。例えば、穴は、円形、正方形、楕円形、長方形、多角形、及び他の幾何学形状のように成形されてもよく、所望される任意の形状又はパターンを形成するように構成されてもよい。加えて、穴は、システムにおける任意の場所に位置してもよい。例えば、穴は、格子パターンで、検出器アレイの1つ以上の縁部に沿って、検出器アレイの中心の周りに、ランダムな様式で、又は任意の他の様式で配置されてもよい。
【0037】
X方向は、水平方向を指す。Y方向は、垂直方向を指す。患者を、ベッド上に、立って、又は着座して位置させることができる。患者とX線源管8との間の関係もまた柔軟である。両方の2つの対向するリーフは、平行に配置されている。各リーフは、リーフ上にコリメーション穴を有する。リーフの一端部は、隣接するリーフと重なり合うエリアを形成するようになっており、このエリアでは、両方のリーフが重なり合って曝露穴を形成する。コリメーション穴は、各リーフ上に随意の形状を有する1つの関心領域を曝露するように設計されている。患者は、曝露穴の中心にいないことがある。本実施形態は、システムインテリジェンスを使用して、曝露穴を設計し、曝露穴は、外側領域への曝露を遮断しながら、曝露穴内の特定の関心領域への曝露を送達し、曝露穴内の他の領域での曝露を遮断する。コリメーションは、放射線防護の不可欠な部分である。そうであっても、コリメーションの主な目的は、体の残りの部分への曝露を低減しながら、標的のボリュームに線量を送達することである。したがって、コリメーションの曝露率は、通常、非常に高い。
【0038】
図3は、多パルス作動X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステム7において、2つの関心領域(ROI)11が生成され、より良好な画像を達成し、かつ他の近くの領域を遮蔽するために、動的コリメーションシステムを使用して再走査される必要があることを示している。多パルス作動X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステム7は、インモーションの複数のパルス作動X線源を使用して、高効率かつ超高速の3DX線撮影を実行する。システム内に線源のアレイを形成するようにインモーションの構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源がある。複数のX線源は、グループとして一定の速度で、所定のアークトラック上で、被写体に対して同時に移動する。個々の各X線源はまたX線源の静止位置の周りで迅速に短距離移動することができる。個々のX線源がグループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有する場合、個々のX線源及びX線検出器は、外部曝露制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器曝露中に相対的に静止したままであることを可能にする。X線受容器は、X線可撓性湾曲パネル検出器である。多X線源インモーション動作は、個々のX線源の線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。3DX線撮影画像データを、はるかに短い時間で全体的により広い掃引角度で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0039】
元々、X線ビーム9は、全視野12をカバーする。しかしながら、関心領域(ROI)11には、はるかに狭いROIビュー13がある。2つのROI11は、X線フラットパネル検出器14の特定の部分によって撮像される。マルチリーフコリメータ(MLC)5は、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフ1の2つの対向するバンクを備える。電気マイクロステッピングモータ3が、リーフを個々に駆動し、Y方向に直線移動させる。フレームホルダが、X方向に移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。更に、マルチリーフコリメータ5は、各リーフの微調整のために軸に沿って移動可能である。マルチリーフコリメータ5の移動を制御するために使用される駆動機構は、機械式モータギア4を使用するものである。モータは、MLCの位置まで上昇又は下降させることができるシャフトによって支持されている。モータの電力は、外部電源ユニットから供給される。シャフトとモータとの間の連結は、ベアリングで行われる。これらの構成要素の組み合わせは、高い精度及び信頼性を可能にする。トモシンセシスイメージングシステム及びコリメーションシステムは、トモシンセシスマルチリーフコリメータ(TMLC)イメージングシステムを形成することができる。多X線源管8及びコリメータ5システムを、X線源ブロックとして一体に構成することもできる。
【0040】
コリメータのアレイは、線源のアレイに沿って設置されている。それゆえ、データ取得の放射線曝露の間の時間は可能な限り短い。自己学習人工知能を有する電子コントローラが、関心領域(ROI)の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査は、自動コリメーションを用いて動的に実行されるようになっており、患者に対するX線線量が、著しく低減される。したがって、異なるX線源及びFOVサイズのあらかじめ定められたコリメータ穴パターンが、データベースに格納され、更新され続けなければならない従来のシステムとは対照的に、本発明の本実施形態は、先行技術のコリメータサイズデータベースの必要性を排除し、システム設計の制限された視野(FOV)又はコリメータ穴形状を本システムがサポートすることはあり得ない。
【0041】
更に、本システムはまた、あらかじめプログラムされたモータ速度及び距離の何らの手動調節も必要としない。代わりに、システムは、放射線技師が初期曝露パラメータを設定し、かつ測定のための関心領域を示した後に、自律的に動作し、コンピュータは、曝露プロセス、画像の処理、及び画像の比較全体を制御する。したがって、曝露は、関心領域(ROI)のニーズに応じて、非常に柔軟であり得る。
【0042】
所望の関心領域(ROI)の検出に応答して、外部曝露制御ユニットは、関連付けられたマルチリーフコリメータ5に命令する。マルチリーフコリメータは、所定のステップに従って動作するための適切なプログラミングを有するコンピュータを介して制御される。マルチリーフコリメータのリーフの各々の移動は、ガントリの移動と同期している。また、マルチリーフコリメータ5の移動は、所定の計画に基づく。X線源管8の焦点を有するリーフの位置を採用することによって、関心領域(ROI)を高分解能デジタルX線画像に供することができる「ビューポート」として使用するための穴が形成される。
【0043】
X線フラットパネル検出器14又は固体検出器アレイが、コリメータに又はコリメータ内に取り付けられ、後続の画像処理のためにコンピュータシステム上にイメージングされ得る。コリメータはまた、長手方向軸に関して並進されるように適合され得る。コリメータの配向は、支持部材に取り付けられるか、又は支持部材の一部として形成された剛性回転要素によって決定され得る。検出器及びコリメータは、検出器と標的エリアとの間の一定の距離が手順中に維持され得るように、互いに対して移動し得る。コリメータの固定幾何学形状は、単一の線源又は複数の線源からの放射線が一度に標的エリアの単一の部分に当たることを可能にし得、その結果、それらの複数の放射事象からキャプチャされた、結果として得られる任意の画像を処理して、三次元画像を生成することができる。
【0044】
トモシンセシス画像データは、三次元の再構成されたX線画像を含み、トモシンセシス画像データは、多くの理由で人気がある。従来のX線撮影画像は、単一のビューポートとともに二次元断面ビューに制限されている。これらの制限により、互いに近い病変を評価することが困難になり、不適切な治療意思決定及び誤った治療方針につながる。トモシンセシス画像のボリュメトリック情報は、医師がより正確な治療方針、腫瘍フォローアップ、及び全体的な診断を行うことを可能にする。加えて、トモシンセシスデバイスによって生成された三次元データを、更なる分析及び解釈のために二次元画像に処理することができる。従来の二次元X線イメージングシステムはトモシンセシスイメージング技法を使用しないことから、トモシンセシスデバイスによって生成された二次元画像は、非トモシンセシスイメージングシステムによって生成された従来の二次元画像を置き換えることはできない。しかしながら、異なるイメージングシステムによって生成される両方の種類の二次元画像は、疾患及び疾患進行の妥当な評価及び管理を妨げるかなりの量の重なり合った解剖学的構造及び複合アーチファクトを含む。特に、上述したMS-DTSなどのいくつかの多線源デジタルトモシンセシス(MS-DTS)システムは、複数のコリメーション穴を使用して、関心領域(ROI)が多線源を通過して曝露することを可能にする。ROIが十分に大きい場合には、ROIの外側での曝露が起こることはなく、患者への過剰な線量が生じることはない。
【0045】
X線管線源管8は、リーフの裏側に位置する。コリメータは、Y方向に個々に移動することができる複数のリーフを有する。リーフは、グループとしてX方向に移動することもできる。個々のモータは、各リーフを駆動することができる。マイクロコントローラは、モータ制御を実行する。したがって、各リーフ1を、個々に移動させることができるか、又はリーフを全て同時に移動させることができる。システムオペレータがコリメーション位置付けを実行するためのコンピュータが提供される。明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴はまた、単一の実施形態で、組み合わせて提供されてもよいことに留意されたい。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴はまた、別個に又は任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されたが、多くの代替、修正、及び変形が当業者に明らかであろうことは明白である。
【0046】
本発明のこの実施形態は、動的マルチリーフコリメータを使用した著しい線量低減のための方法について記載する。動的マルチリーフコリメータは、出願人の以前の特許に開示されたマルチリーフコリメータと同様に、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができる。この技術は、患者の線量を著しく低減することができる。予備X線イメージング走査の後、人工知能又はシステムオペレータの自己学習により、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査を、自動コリメーションを用いて動的に実行することができ、患者に対するX線線量が、著しく低減される。
【0047】
X線フラットパネル検出器14が、アームの端部に取り付けられている。検出器は、多線源デジタルトモシンセシスイメージング及び画像再構成のためのDTSアレイを備える。アームの外面には、同時の多線源デジタルトモシンセシスイメージング及び画像再構成のための複数のX線源が取り付けられている。有利なことに、この方法は、伝統的なX線撮影フォローアップの代替として患者の放射線量及び提案を著しく低減し、伝統的な高線量胸部CTを置き換えることができる。先行技術に関する全ての知られているシステムは、特定のあらかじめ走査された画像データが患者のイメージングに利用可能であることを必要とする。そこで、上記に提案の方法で使用されるROIの情報は、複数の患者のあらかじめ走査された画像の統計分析に基づいて判定されるようになる。この方法は、典型的な高線量胸部CT走査と比較して、患者の放射線量を大きな係数で低減することが判明している。それゆえ、このシステムは、肺がんスクリーニングプログラムにおける肺結節の高線量胸部CT走査のフォローアップの代替として理想的である。
【0048】
図3では、2つの関心領域が動的マルチリーフコリメータシステムの使用に焦点を当てられていることを例示している。X線曝露穴の形状は、患者又は被写体10を通過するX線ビームの形状を決定する一方、ビームの残りは、リーフによって遮断される。1つの構成では、上側リーフ及び下側リーフは、交互するアレイを形成し、フレームがリーフを一緒に保持する。X線曝露穴を、X線視野(FOV)上の任意の所望の位置に形成することができる。予備DTS走査の後、一実施形態では、人工知能(AI)は、あらかじめの走査の画像データ及びシステムオペレータに基づいて、関心領域を決定するようになる。この実施形態は、平行かつスタガ形態で配置された複数の可撓性リーフを有するマルチリーフコリメータ5を使用して、動的X線曝露穴を作成する。X線曝露穴は、関心領域(ROI)と同じ形状を有する。このようにして、患者に対する実効線量は、診断品質を損なうことなく著しく低減される。加えて、全ての動き機構が正確に電動駆動からのものであるため、X線曝露穴の形状を調整するのは非常に簡単であるので、X線線量低減は、安定であり、かつ信頼性が高い。全体のシステムは、多線源のデジタルトモシンセシスイメージングシステム及びマルチリーフコリメータ5を備える。第1の段階の間に、第1の数のX線曝露を被写体から撮影して、画像データのセットを作成する。関心領域(ROI)とみなされることとなる画像データの一部分が判定される。続いて、第2の段階の間に、マルチリーフコリメータ5を使用して被写体から第2の数のX線曝露を撮影して、関心領域(ROI)を曝露する。
【0049】
患者又は被写体10は、本システムにおいては、画面の中央に示されている。患者の周りに位置する5つの線源X線管があり、線源管は、時計回りに回転し、線源X線管の回転速度及び角度は、コンピュータによって計算される。オペレータは、回転速度及び角度を変更又は選定する選択肢が与えられている。5つの線源X線管の回転及び並進、並びにX線フラットパネル検出器14の非対称的な位置付けのために、各投影は、種々の放射角を有する。そのため、各投影は、部分的に重なり合った種々の画像を生成する。その場合、重なり合う画像は、互いに加算されて、正確な解剖学的詳細を有する画像を再構成する。動的コリメーションは、複数の線源を有するため、動的な関心領域の曝露を実効的に低減する。例えば、肺結節を検出するためのDTSを実行する場合、特定の関心領域(ROI)は、10cm×10cmであるため、断層画像を使用した自動学習後、X線コリメータは、線源ごとに10cm×10cmの視野(FOV)サイズに自動調整されるようになる。各線源位置で、フレームが撮影されて、DTS画像を生成する。各フレームで、異なるFOVを自動選択することができる。解剖学的に枢要な構造が見つかった場合、コリメータは、動的に変更されるようになる。そのため、各線源位置で、FOVを自動選択して、DTS画像を順次撮影する。したがって、各投影が同時に画面に示されることはない。
【0050】
マルチリーフコリメータ(MLC)5は、代替ソリューションである。マルチリーフコリメータ5は、X線曝露を動的に実行し、関心領域(ROI)11を曝露しながら、患者への望ましくない曝露エリアを遮断するように電動化されている。マルチリーフコリメータ5を、異なるリーフ形状及び材料で実現することができ、したがって、象限形、くさび形などの異なる形状のROIを曝露するように設計することができる。このことは、DTSシステムのフィールドサイズ低減にとって特に重要であろう。更に、本発明のこの実施形態は、電動化設計に起因する動的X線曝露を達成することができる多くのリーフ幾何学形状をカバーする。これらのリーフは、トモシンセシスイメージングタスクのための複数の曝露穴を作成するために、薄い重金属シートで作製され、Y方向及びX方向の動的移動のために電動化され得る。
【0051】
モータは、ステッピングモータ、又は1つ以上の金属リーフをX線曝露穴に移動させることができる他のモータであり得る。同様に、示されていないが、モータを使用して、金属リーフを視野平面のX方向、Y方向に移動させ得る。制御ユニットのモータ及び電子部品は、フレーム上に取り付けられてもよいし、フレームに固定されてもよく、有線接続又は無線接続を介して相互接続されてもよい。制御ユニットのモータ及び電子部品は、フレーム上に取り付けられてもよいし、フレームに固定されてもよく、有線接続又は無線接続を介してバスに接続されてもよい。当業者は、多くの相互接続構成要素が利用可能であり、そのような技法が本明細書に記載されていないことを認識するであろう。金属リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる任意の重金属、例えば、鉛、タングステン、銅などで作製され得る。
【0052】
イメージング検出器は、単一の大型アレイ検出器又は複数の検出器アレイとして実装され得る。複数の検出器アレイとして実装される場合、イメージング検出器は、サブアレイ又はサブ領域を含む関心領域(ROI)を有し得る。サブアレイは、患者上のサブ領域に関連付けられ得る。本システムは、X線透過被写体を通るX線透過強度を検出することによって、多線源デジタルトモシンセシスを実行するための方法を提供する。動的マルチリーフコリメータは、多線源トモシンセシスのためのコリメーション機能を提供するために、イメージング検出器の前に置設され得る。モータは、マルチリーフコリメータを駆動して、動的な穴のセットを作成する。リーフをX方向、Y方向に移動させることによって、所望の形状を有する穴が作成される。制御ユニットは、モータを制御する。動的マルチリーフコリメータは、各曝露ステップ中に操作されて、患者の関心領域に対応する少なくとも1つの穴を形成する。このようにして、関心領域(ROI)11のみが曝露されるようになる。関心領域の外側の領域の残りを、同軸で遮断するか、又は曝露不足とすることができる。
【0053】
先の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的及び説明的であり、特許請求される発明を限定するものではないことを理解されたい。更に、要素又は構成要素は、本明細書に記載のものについて省略又は置換されてもよく、他の要素又は構成要素が、それに追加されてもよく、要素又は構成要素の配置は、本発明の範囲から逸脱することなく変更されてもよい。
【0054】
動的マルチリーフコリメータシステムの典型的な操作手順は、以下のものであり得る。選択タスクでは、患者が部屋に入る前に、予備X線イメージング走査が実行される。その後、決定的な診断のために全身多線源トモシンセシス走査が実行される。オペレータは、システムオペレータ又は自動インテリジェント学習からの予備イメージング結果及び評価に基づいて、タスクを選択することができる。検査目的に応じて、関心の身体器官又は解剖学的構造において、関心領域が選定されるようになる。更なる検査中に、他のエリアを無視することができる。加えて、先行技術を使用して疾患を診断する場合、関心領域を、以前の診断結果に従って判定するようにもなる。最後に、選択されたタスク及びタスクに基づいて、多線源トモシンセシス走査が実行される。
【0055】
システムは、選択された管からいくつかの初期投影画像を取得して、これらの初期投影画像の一例である標的エリアを位置特定する。本発明は、管の数を限定するものではないが、例示の目的で5つの管が選択される。これらの管は、X線源アレイと並列に配置されている。次のステップでは、システムは、パターン認識方法によって関心領域の標的場所を学習する。学習後、パターン認識モジュールは、関心標的領域の座標情報を制御回路に転送する。次いで、制御回路は、動的マルチリーフコリメータを移動させ、複数の線源で最終的な走査を実行する。したがって、患者の線量を劇的に低減することができる。イメージングタスクが完了すると、システムは、初期走査状態に戻る。次いで、次のタスクを開始することができる。別の実施形態では、1つ以上の線源を、組み合わされた蛍光透視ユニットによって置き換えることができる。本発明の別の態様では、多源トモシンセシスイメージングシステムと連携した、関心領域へのX線曝露のための動的マルチリーフコリメータが開示される。このシステムは、平行かつスタガ形態で配置された薄い重金属リーフの2つの対向するバンクを備える。電気モータが、リーフを駆動し、X方向及びY方向に直線移動し、所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成する。リーフは、kVレベルのX線を遮断することができる薄い重金属で作製されている。
【0056】
システムは、全ての投影画像を蓄積し、3Dトモシンセシス画像ボリュームを再構成する。人工知能エンジンは、複雑な意思決定を行い、他のシステム構成要素を制御するための出力を提供し、意思決定プロセスに入力を提供することを担う人工知能エンジンである。人工知能エンジンの主なタスクは、投影画像の関心領域を識別し、深層学習技術を使用して関心領域を分析し、他のシステム構成要素を制御し、医療画像の処理及び放射線量管理を実行することである。トモシンセシス画像ボリュームを、ROI11の線表現及び表面メッシュモデルなどの視覚化ツールを用いて表示することができる。視覚化ツールは、関心領域がどの程度の大きさであるかと、X線管の場所に対する関心領域の境界及び配向と、を示す。リーフは、X方向及びY方向に直線で移動させ、かつ所望の形状を有する複数のX線曝露穴を作成することができる、電気モータによって個々に駆動される。薄い重金属板が、各リーフの裏側を構成し、高レベルのX線を遮断する。予備X線イメージング走査の後、人工知能又はシステムオペレータの自己学習により、関心領域の場所を判定し、次いで、コリメーション穴の場所を動的に判定することができる。したがって、後続のX線イメージング走査を、自動コリメーションを用いて動的に実行することができ、患者に対するX線線量が、著しく低減される。
【0057】
システムは、画像ボリュームを分析して、ROI11を見出す。曝露が計画されると、システムは、ROI11の外側の領域の曝露を防止するようにコリメーションを設定する。患者の線量は、ROI11がシステムにうまく位置する場合に低減されるか、又は最初にうまく設定されている場合に変更されないままとされるようになる。他のビューを作成するためにROI11の外側の領域が曝露されなければならない場合、曝露エリアは、重金属リーフを移動させることによって調整されるようになる。
【0058】
用途が肺がんスクリーニングなどである場合、オンボードAIシステムが、X線トモシンセシス画像を使用して、あらかじめ定められた肺ゾーン又は呼吸運動ゾーンにおける肺結節を自動探索する。疑わしい肺結節を有する標的化されたROI11が選択され、あらかじめ選択されたサイズ及び形状を有する差分投影データのセットがROI11から抽出される。リーフの直線状のアレイを使用して、ガントリ角度軸に対してリーフのアレイを移動させることによって、コリメーション穴が作成され、各リーフは、リーフの裏側に透明なX線プレートを含む。好ましい実施形態、デュアル線源DTSシステムでは、アレイは、X線源管8の中心線の両側にあるリーフの2つの同等のバンクを伴って対称に設計されている。
【0059】
本発明の様々な修正及び変更が、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。以下の任意の方法の請求項に列挙されたステップは、必ずしもそれらが列挙された順序で実行される必要はないことに留意されたい。
【0060】
当業者は、ステップを実行する際に、列挙されたのもとは異なる、順序の変形を認識するであろう。加えて、特徴、ステップ、又は構成要素の言及又は説明の欠如は、存在しない特徴、又は構成要素が但し書き若しくは同様の請求項の文言によって除外される、請求項の基礎を提供する。
【0061】
本発明の様々な実施形態が上で記載されたが、それらは限定ではなく、例としてのみ提示されたことを理解されたい。様々な図は、本発明のための例示的なアーキテクチャ又は他の構成を描くことができ、このことは、本発明に含まれ得る特徴及び機能性を理解するために行われる。本発明は、例示される例示的なアーキテクチャ又は構成に限定されず、所望の特徴が、多様な代替的なアーキテクチャ及び構成を使用して実装されてもよい。
【0062】
実際、代替的な機能的、論理的、又は物理的な分割及び構成が、本発明の所望の特徴を実装するためにどのように実装され得るかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に表されるもの以外の多くの異なる構成モジュール名が、様々な分割に適用されてもよい。追加的に、フロー図、動作説明、及び方法の請求項に関して、本明細書でステップが提示される順序は、文脈が別段の指示をしない限り、列挙された機能性を同じ順序で実行するための様々な実施形態が実装されることを義務付けないものとする。
【0063】
本発明は、様々な例示的な実施形態及び実装態様の観点で上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載の様々な特徴、態様、及び機能性は、それらが記載されている特定の実施形態への適用に限定されず、代わりに、そのような実施形態が記載されているかどうか、及び記載された実施形態の一部としてそのような特徴が提示されているかどうかにかかわらず、単独で又は様々な組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用され得ることを理解されたい。したがって、本実施形態の広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0064】
この文書において使用される用語及び語句、並びにその変化形は、別途明示的に記載されない限り、限定的であるのとは反対に、オープンエンドであると解釈されるべきである。先述の例として、「含む」という用語は、「含むが、これに限定されない」などの意味として解釈されるべきであり、「例」という用語は、その網羅的又は限定的なリストではなく、説明中の項目の例示的な事例を提供するために使用されるべきであり、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」などを意味するものとして解釈されるべきであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「知られている」などの形容詞及び同様の意味の用語は、所与の時点に又は所与の時点で利用可能な項目に記載された項目を限定するものと解釈されるべきではなく、代わりに、現在又は将来の任意の時点で利用可能か又は知られ得る従来の、伝統的な、通常の、又は標準の技術を包含するように解釈されるべきである。これゆえ、この文書が、当業者に明らかであるか、又は知られている技術に言及する場合、そのような技術は、現在又は将来の任意の時点で当業者に明らかであるか、又は知られている技術を包含する。
【0065】
接続詞「及び」と関連付けられた項目のグループは、それらの項目の全てがグループ内に存在することを必要とするものとして読み取られるべきではなく、特に明示的に記述されていない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「又は」で結びつけけられた項目のグループは、そのグループ間の相互排他性を必要とするものとして読み取られるべきではなく、また、特に明示的に記述されていない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。更に、本発明の項目、要素、又は構成要素は、単数形で記載又は特許請求され得るが、単数形への限定が明示的に記載されない限り、複数形は、その範囲内であることが企図されている。
【0066】
いくつかの事例では、「1つ以上」、「少なくとも」、「であるがこれらに限定されない」などの意義の拡大語及び語句、又は語句などの他のもの存在は、そのような意義の拡大語句が存在しないことがある場合に、より狭い場合が意図されるか、又は必要とされることを意味すると解釈されないものとする。「モジュール」という用語は、モジュールの一部として記載又は特許請求される構成要素又は機能性が全て共通のパッケージ内に構成されていることを含意しない。実際、制御ロジック又は他の構成要素にかかわらず、モジュールの様々な構成要素のいずれか又は全ては、単一のパッケージに組み合わされてもよいし、別個に維持されてもよく、複数の場所にわたって更に分散されてもよい。
【0067】
追加的に、本明細書に詳述される様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャート、及び他の説明図に記載されている。この文書を読んだ後に当業者に明らかになるであろうように、例示される実施形態及びそれらの様々な代替形態は、例示される例に限定されることなく実装されてもよい。例えば、ブロック図とそれらに付随する説明とは、特定のアーキテクチャ又は構成を義務付けるものと解釈されるべきではない。
【0068】
開示される実施形態の先述の説明は、当業者が本発明を作成又は使用することを可能にする。これらの実施形態の様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。
【0069】
それゆえ、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図されないが、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と整合する最も包括的な範囲を付与される。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態及び代替実施形態が示されたが、特定の変更を、上及び下に記載される本発明の基礎となる範囲から逸脱することなく、当業者であれば知られているように行うことができることを理解されたい。更に、上述した実施形態は、本発明の原理を例示することのみを意図されている。それらは、本発明の範囲を開示された要素に限定することを意図されていない。
【国際調査報告】