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特表2024-513195電池パックサポートおよび電池パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】電池パックサポートおよび電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20240314BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240314BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240314BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240314BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240314BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240314BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20240314BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240314BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/209
H01M50/293
H01M50/505
H01M10/613
H01M50/242
H01M10/6567
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560038
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2021037097
(87)【国際公開番号】W WO2021174234
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】63/169,410
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジ・エム・ジャウメ,ファブリス・エス
(72)【発明者】
【氏名】モリス,ブライアン・マルタン
(72)【発明者】
【氏名】スルモニ,マッティア
(72)【発明者】
【氏名】ルノー,ミシェル・セ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA01
5H040AA14
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY04
5H040DD03
5H040NN01
5H043AA05
5H043BA19
5H043CA04
5H043FA04
5H043KA22
5H043KA24
5H043KA27
5H043KA28
5H043LA02
(57)【要約】
複数の横方向の支持デバイス(5)を備える電池パック構造体アセンブリ(2)であって、これらの横方向の支持デバイス(5)の間に、積み重ねられた電池セル(3)の1つまたは複数のグループが取り付けられ、かつ、電気相互接続されてもよく、個々の横方向の支持デバイスは、支持フレーム(6)と、支持フレームの上に取り付けられた複数の電池接続板(16)とを備え、電池接続板は、横方向のサポートの外側に面する導電性表面を有し、支持フレームは、その中に形成された複数のチャンバ(8)を備え、これらのチャンバは、相互に流体接続されて、横方向の支持デバイスを通って冷却流体を循環させるための少なくとも1つの通路を形成し、これらのチャンバは電池接続板によって覆われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の横方向の支持デバイス(5)を備える電池パック構造体アセンブリ(2)であって、
前記横方向の支持デバイス(5)の間に、積み重ねられた電池セル(3)の1つまたは複数のグループが取り付けられ、かつ、電気相互接続されてもよく、
前記横方向の支持デバイスの各々は、支持フレーム(6)と、前記支持フレームの上に取り付けられた複数の電池接続板(16)とを備え、
前記電池接続板は、前記横方向のサポートの外側に面する導電性表面を有し、
前記支持フレームは、その中に形成された複数のチャンバ(8)を備え、
前記複数のチャンバ(8)は、相互に流体接続されて、前記横方向の支持デバイスを通って冷却流体を循環させるための少なくとも1つの通路を形成し、
前記複数のチャンバは、前記電池接続板によって覆われる、
電池パック構造体アセンブリ(2)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの通路の隣接するチャンバが、オリフィス(11)を備えるチャンバ分離壁(10)によって分離される、
請求項1に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項3】
前記チャンバ分離壁が、X方向およびY方向の両方に対して中間角度で、前記支持フレームの第1の側からその反対側の前記支持フレームの第2の側まで延在し、
複数の連続するチャンバ分離壁が、Z方向から見るとジグザグの形を辿り、X、YおよびZが直交基準系の3つの互いに直交する軸を表す、
請求項2に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項4】
前記チャンバが前記支持フレームの第1の側およびその反対側の前記支持フレームの第2の側に配置され、
前記第1の側および第2の側の両方の前記チャンバが前記電池接続板によって覆われる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項5】
前記横方向の支持デバイスが前記支持フレームの第1の端部および第2の端部の各々の上に少なくとも1つの流体ポートを備え、
前記流体ポートが、2つの間隔を隔てた横方向の支持デバイスの間に取り付けられ、それらを相互に流体接続する、流体相互接続シャフト(18)に結合するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の横方向の支持デバイスおよび複数の前記流体相互接続シャフトが蛇行構造体を形成する、
請求項5に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項7】
前記支持フレームが2つの通路を分離する中央分離壁を備え、
それらの個々の通路が、冷却流体が前記横方向の支持デバイスを通って循環するための通路である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項8】
前記支持フレームが、前記支持フレームの周囲壁(7)に配置された、ケーシング(2)の壁(2a、2b)を前記横方向の支持デバイスに固着するための固定ソケット(34)を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項9】
前記支持フレームが一体に形成されたボディでできた支持フレームである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項10】
前記支持フレームが重合体でできた支持フレームであり、任意選択で補強材料を組み込む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項11】
前記重合体が熱可塑性樹脂である、
請求項10に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂が、
ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド66/610、ポリアミド6/12、ポリアミド666などの脂肪族ポリアミド、
ポリアミドであって、それらの二酸ユニットのすべてまたは一部がテレフタレートから誘導されたポリアミドなどの半芳香族ポリアミド、および/またはPA6T、ポリアミド6IT、PA6T/66、PA6T/DTおよびPA6T/6Iなどのイソ-フタレート、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン、
ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、
PBT、PETおよび/またはPTTからなる硬いセグメント、およびポリ(C2-4-アルキレンオキサイド)ジオールからなる軟らかいセグメントを有するコポリエーテルエステルなどのコポリエーテルエステル、
ポリフェニレンサルファイド(PPS)、
ポリアセタール、
液晶重合体
から選択される、
請求項11に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項13】
前記支持フレームが射出成形される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項14】
前記横方向の支持デバイスが、
高さH1、幅Wおよび長さDの最小長方形断面を有するパラレピディッドに適合する細長い形を有し、
DがWおよびH1より長く、
前記高さH1が前記電池セルの高さH2より僅かに高い、
請求項1から13のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項15】
前記支持フレームが、前記支持フレームの誘電材料を第1の面から反対側の第2の面まで横切って、前記第1の面および反対側の第2の面に取り付けられた電池接続板を相互に電気的に接続する、側方導体要素(14)を備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項16】
前記側方導体要素がピンまたはロッドの形態である、
請求項1から15のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項17】
前記電池接続板が導電性材料でできており、任意選択で、前記チャンバを覆う絶縁材料が内面にコーティングされる、
請求項1から16のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項18】
前記電池接続板が金属でできている、
請求項17に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項19】
前記電池接続板が溶接接続によって前記支持フレームに封止結合される、
請求項1から18のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の電池パック構造体アセンブリと、
前記横方向の支持デバイス(5)同士の間に取り付けられ、かつ、それらの間に相互に電気的に接続された複数の電池セル(3)と
を備える電池パックであって、
個々の電池セルが、高さH2、長さLおよび厚さTの概ね細長い長方形の形を有し、LがH2より長く、
前記複数の電池セルが、Y軸の方向に、それらの厚さTの方向に積み重ねられてグループまたはモジュール(35)を形成し、
前記横方向の支持デバイスが前記Y方向に延在し、
前記電池セルの前記長さLが前記X方向に配向され、
X、YおよびZが直交基準系の3つの互いに直交する軸を表し、
前記電池セルの端部に配置された前記電池セルの電気端子が前記電池接続板と接触する、
電池パック。
【請求項21】
前記電池パックの頂部、底部および側部を包む頂部および底部壁(2a)ならびに側壁(2b)を備えるケーシング(2)をさらに備え、
前記ケーシングが複数の固定点(37)で前記電池パック構造体アセンブリの前記横方向の支持デバイス(5)に固定される、
請求項20に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体に組み立てられた、冷却および相互接続手段を必要とする複数の電池セルを有する電池パックのための支持構造体に関する。本発明は、支持構造体を統合した電池パックに同じく関する。このような電池パックのための一用途は、電気車両に使用するための用途である。
【背景技術】
【0002】
電気車両のための従来の電池パックは、典型的には、衝突時におけるパックの剛性および完全性を増すための補強要素を有する、鋼および/またはアルミニウムの金属ハウジング内に取り付けられた電池セルを備える。電池は、使用中、熱を発生するため、電池セルは、金属ハウジング内に取り付けられた個別の冷却板の上に置かれる。電池セルから冷却要素への十分な熱流を保証するために、電池セルと冷却要素の間に挿入された熱インタフェース材料を提供し、それにより接触を改善し、かつ、伝導による熱流を改善することが知られている。電池セルには、電池パックに接続された外部ケーブルにそれぞれ接続された電気相互接続が必要であるため、セルは、通常、セルを電気相互接続するためのセル間母線を備える。
【0003】
従来の電池パックには、以下を始めとする多くの欠点がある。
- 電池セルの冷却が不十分であるか、または不均質であり、電池セルのエネルギー密度を制限している。
【0004】
- 冷却のための組立て構成要素および電気接続が多く、また、構造的抵抗が大きく、それが組立をより複雑にし、かつ、製造コストをより高くし、その一方で信頼性を低下させている。
【0005】
- 構造的剛直性が高いケーシングが電池セルの周りに必要であり、それが重量を重くし、かつ、体積を大きくしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エネルギー密度が高い電池パックのための、コンパクトで、かつ、軽い電池パック構造体アセンブリを提供することである。
本発明の目的は、頑丈で、かつ、コンパクトで、さらには電池パックの電池セルを十分に冷却することができる電池パック構造体アセンブリを同じく提供することである。
【0007】
本発明の特定の目的は、とりわけ自動車アプリケーションのための電池パックおよび電池パックのための構造体アセンブリを提供することである。
製造が経済的である電池パック構造体アセンブリを提供することが有利である。
【0008】
軽い電池パック構造体アセンブリを提供することが有利である。
衝突に強い電池パック構造体アセンブリを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のこれらの目的は、請求項1に記載されている電池パック構造体アセンブリ、および請求項20に記載されている電池パックを提供することによって達成される。
本明細書においては、複数の横方向の支持デバイスを備える電池パック構造体アセンブリが開示され、これらの横方向の支持デバイスの間に、積み重ねられた電池セルの1つまたは複数のグループが取り付けられ、かつ、電気相互接続され得る。個々の横方向の支持デバイスは、支持フレームと、支持フレームの上に取り付けられた複数の電池接続板とを備え、電池接続板は、横方向のサポートの外側に面する導電性表面を有する。支持フレームは、その中に形成された複数のチャンバを備え、これらのチャンバは、流体相互接続されて、横方向の支持デバイスを通って冷却流体を循環させるための少なくとも1つの通路を形成し、これらのチャンバは電池接続板によって覆われる。
【0010】
有利な実施形態では、上記少なくとも1つの通路の隣接するチャンバは、オリフィスを備えるチャンバ分離壁によって分離される。
有利な実施形態では、チャンバ分離壁は、X方向およびY方向の両方に対して中間角度で、支持フレームの第1の側からその反対側の支持フレームの第2の側まで延在し、したがって複数の連続するチャンバ分離壁は、Z方向から見るとジグザグの形を辿り、X、YおよびZは、直交基準系の3つの互いに直角の軸を表す。
【0011】
有利な実施形態では、チャンバは、支持フレームの第1の側およびその反対側の支持フレームの第2の側に配置され、上記第1の側および第2の側の両方の上記チャンバは電池接続板によって覆われる。
【0012】
有利な実施形態では、横方向の支持デバイスは、支持フレームの第1の端部および第2の端部の各々の上に少なくとも1つの流体ポートを備え、流体ポートは、2つの間隔を隔てた横方向の支持デバイスの間に取り付けられ、それらを流体相互接続する流体相互接続シャフトに結合するように構成される。
【0013】
有利な実施形態では、複数の横方向の支持デバイスおよび複数の上記流体相互接続シャフトは蛇行構造体を形成する。
有利な実施形態では、支持フレームは、2つの通路を分離する中央分離壁を備え、それらの個々の通路は、冷却流体が横方向の支持デバイスを通って循環するための通路である。
【0014】
有利な実施形態では、支持フレームは、支持フレームの周囲壁に配置された、ケーシングの壁を横方向の支持デバイスに固着するための固定ソケットを備える。
有利な実施形態では、支持フレームは、一体に形成されたボディでできた支持フレームである。
【0015】
有利な実施形態では、支持フレームは重合体でできた支持フレームであり、任意選択で補強材料を組み込む。
有利な実施形態では、上記重合体は熱可塑性樹脂である。
【0016】
有利な実施形態では、熱可塑性樹脂は、
- ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド66/610、ポリアミド6/12、ポリアミド666などの脂肪族ポリアミド、
- ポリアミドであって、それらの二酸ユニットのすべてまたは一部がテレフタレートから誘導されたポリアミドなどの半芳香族ポリアミド、および/またはPA6T、ポリアミド6IT、PA6T/66、PA6T/DTおよびPA6T/6Iなどのイソ-フタレート、
- ポリプロピレンなどのポリオレフィン、
- ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、
- PBT、PETおよび/またはPTTからなる硬いセグメント、およびポリ(C2-4-アルキレンオキサイド)ジオールからなる軟らかいセグメントを有するコポリエーテルエステルなどのコポリエーテルエステル、
- ポリフェニレンサルファイド(PPS)、
- ポリアセタール、
- 液晶重合体
から選択される。
【0017】
有利な実施形態では、支持フレームは射出成形される。
有利な実施形態では、横方向の支持デバイスは、高さH1、幅Wおよび長さDの最小長方形断面を有するパラレピディッド(paralepidid)に適合する細長い形を有し、DはWおよびH1より長く、また、高さH1は上記電池セルの高さH2より僅かに高い。
【0018】
有利な実施形態では、支持フレームは、支持フレームの誘電材料を第1の面から反対側の第2の面まで横切って、上記第1の面および反対側の第2の面に取り付けられた電池接続板を電気相互接続する、側方導体要素を備える。
【0019】
有利な実施形態では、側方導体要素はピンまたはロッドの形態である。
有利な実施形態では、電池接続板は導電性材料でできており、任意選択で、上記チャンバを覆う絶縁材料が内面にコーティングされる。
【0020】
有利な実施形態では、電池接続板は金属でできている。
有利な実施形態では、電池接続板は、溶接接続によって支持フレームに封止結合される。
【0021】
本明細書においては、上で説明した電池パック構造体アセンブリと、横方向の支持デバイス同士の間に取り付けられ、かつ、それらの間に電気相互接続された複数の電池セルとを備える電池パックが同じく開示される。個々の電池セルは、高さH2、長さLおよび厚さTの概ね細長い長方形の形を有し、LはH2より長く、複数の電池セルは、Y軸の方向に、それらの厚さTの方向に積み重ねられてグループまたはモジュールを形成し、横方向の支持デバイスはY方向に延在し、また、電池セルの長さLはX方向に配向され、X、YおよびZは、直交基準系の3つの互いに直角の軸を表す。電池セルの端部に配置された電池セルの電気端子は電池接続板と接触する。
【0022】
有利な実施形態では、電池パックは、電池パックの頂部、底部および側部を包む頂部および底部壁ならびに側壁を備えるケーシングをさらに備え、ケーシングは複数の固定点で電池パック構造体アセンブリの横方向の支持デバイスに固定される。
【0023】
本発明の他の目的および有利な態様は、特許請求の範囲から、また、以下の詳細な説明および添付の図から明らかになるであろう。
以下、本発明について、一例として本発明の実施形態を示す添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】本発明の実施形態による電池パックの略斜視図である。
図1b】頂部ケーシング部品が除去された図1aの電池パックを示す図である。
図1c】頂部ケーシング部品および側部ケーシング部品が除去された図1bと同様の図である。
図2】互いに並んで置かれた、本発明の実施形態による一対の電池パックの略斜視図である。
図3a】本発明の実施形態による、電池セルが除去された図1aの電池パックの電池パック構造体アセンブリの斜視図である。
図3b】流体相互接続シャフトが除去された図3aの電池パック構造体アセンブリの部品の斜視図である。
図3c】横方向の支持デバイスから分解された流体相互接続シャフトを示す図3aの電池パック構造体アセンブリの部品の斜視図である。
図3d】アセンブリの他の側からの図3bと同様の斜視図である。
図4a】本発明の実施形態による図3aの電池パック構造体アセンブリの横方向の支持デバイスの斜視図である。
図4b】電池接続板が横方向の支持デバイスから除去された図4aと同様の図である。
図4c図4bに示されている支持フレームの一部の詳細な横断面図である。
図4d図4aの横方向の支持デバイスの詳細な横断面斜視図である。
図5a】本発明の実施形態による電池パックの電池セルの接続部分の詳細図である。
図5b】本発明の実施形態による電池パックの、電池セルの接続部分、および支持フレームが除去された横方向の支持部材の接続板の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図を参照すると、電池パック1は、電池パック構造体アセンブリ4内で一体に相互接続された複数の電池セル3、ならびに電池セルおよび電池パック構造体アセンブリを覆うケーシング2を備える。
【0026】
複数の電池セルの各々はセルボディ22および電気端子26を備えており、個々の電池セルは充電式であり、また、例えば当技術分野でそれ自体がよく知られているリチウムイオン電荷蓄積材料を備える。他の知られている電池タイプも同じく使用され得る。当技術分野でそれ自体がよく知られているように、複数の電池セルは、特定の電圧を生成するために直列に接続されてもよく、また、特定の電流を供給するために複数のセルのグループが並列で一体に相互接続されてもよい。
【0027】
本発明の実施形態による電池パック1のための重要なアプリケーションは、例えば電気乗用車など陸上車両における自動車アプリケーションに使用するためのアプリケーションである。自動車アプリケーション以外の、例えば航空機および船舶におけるアプリケーションも同じく本発明を有利に統合することができる。電池パックは、本発明の精神を逸脱することなく、産業分野、商業分野および住宅分野における他のアプリケーションのためにも、固定または携帯電荷蓄積デバイスとして使用され得る。
【0028】
本発明の実施形態による電池パック構造体アセンブリ4は、電池パック1を保護するための構造的剛直性の提供、電池セル3の冷却の提供、および電池セル3の電気相互接続を始めとする複数の目的をサービスする。ケーシング2は、電池パックの頂部、底部および側部を包む頂部および底部壁2aならびに側壁2bを備える。ケーシングは複数の固定点37で電池パック構造体アセンブリに固定され、コンパクトで、かつ、押しつぶし力および衝撃に強い、剛直で、かつ、軽い構造体を形成する。電池パック構造体アセンブリ4は、冷却流体を注入し、かつ、流出させるためのポート20、20a、20b、ならびに外部電源および消費者システムへの電気接続のための電気接続32、例えばケーブル接続または差込み可能コネクタを備える。
【0029】
説明を分かり易くするために、本明細書においては、3つの直交軸X、YおよびZ(図に示されている)を有する直交系が参照されており、軸および名称の選択は、単に、電池パックの構成を説明するための空間的基準および配向を提供するためのものにすぎないことが理解される。個々の電池セル3は、高さH2、長さLおよび厚さTの概ね長方形の形を有し、LはH2より長い。実施形態では、高さH2は厚さTより高いが、変形形態ではH2はTより低くすることも可能である。
【0030】
複数の電池セル3は、Y軸の方向に、それらの厚さTの方向に積み重ねられ、X-Y平面に存在しているグループまたはモジュール35を形成している。電池セルが取り付けられるX-Y平面に対して直角のZ方向における対押しつぶし性は、電池パック構造体アセンブリ4の横方向の支持デバイス5によって提供される。電池セルが積み重ねられるY方向における対押しつぶし性も、電池パック構造体アセンブリ4の横方向の支持デバイス5によって同じく提供される。
【0031】
図に示されているように細長い長方形の形を有する電池セルの縦方向の配向はX方向に配置される。電池セル3は、積み重ねられた電池セルのグループ35で配置され、電池セルの縦方向の両方の端部に配置された横方向の支持デバイス5の間に取り付けられる。
【0032】
横方向の支持デバイス5は、冷却流体が貫通して流れるよう、主として横方向の支持デバイスを流体接続と相互接続するように働く流体相互接続シャフト18によって一体に相互接続される。実施形態では、流体相互接続シャフト18は、図3aに最も良好に示されているように、横方向の支持デバイスの異なる端部に交互に配置されており、したがって電池パック構造体アセンブリ4の蛇行形状を形成する。
【0033】
したがって横方向の支持デバイス5および流体相互接続シャフト18を通って流れる冷却流体は、蛇行回路経路を通って供給通路の中を循環することができ、また、第1の変形形態では、蛇行回路経路の端部の出口ポートは、冷却流体入口ポート20aから遠位である。別の変形形態では、冷却流体は、供給通路から分離された戻り通路の蛇行回路を通って流れて戻り、冷却流体が注入された入口ポート20aと同じ側でポート20bから流出する。
【0034】
個々の横方向の支持デバイス5は、任意選択で補強材料を有する重合体ボディの形態であることが有利である支持フレーム6を備えており、好ましくは一体で形成され、また、射出成形されることが好ましいが、本発明の範囲内で他の材料および製造プロセスが使用されてもよく、例えば加法製造プロセスまたは減法製造プロセスが使用され得る。しかしながら、横方向の支持デバイスの支持フレームが成形され得る射出成形プロセスが有利であり、このプロセスは、製造コストおよび構造的剛直性の点でとりわけ有利であり得る。有利には、重合体は、
・ ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド66/610、ポリアミド6/12、ポリアミド666などの脂肪族ポリアミド、
・ ポリアミドであって、それらの二酸ユニットのすべてまたは一部がテレフタレートから誘導されたポリアミドなどの半芳香族ポリアミド、および/またはPA6T、ポリアミド6IT、PA6T/66、PA6T/DTおよびPA6T/6Iなどのイソ-フタレート、
・ ポリプロピレンなどのポリオレフィン、
・ ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、
・ PBT、PETおよび/またはPTTからなる硬いセグメント、およびポリ(C2-4-アルキレンオキサイド)ジオールからなる軟らかいセグメントを有するコポリエーテルエステルなどのコポリエーテルエステル、
・ ポリフェニレンサルファイド(PPS)、
・ ポリアセタール、
・ 液晶重合体
から選択される熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0035】
上記熱可塑性樹脂は、ガラス、アラミドおよび/または炭素などの補強材料の繊維、フレークまたは板の形態で組み込まれた補強材を追加で有することができ、また、場合によってはその方が好ましい。
【0036】
冷媒流体が水および/またはアルコールを含む実施形態では、支持フレーム6のために使用される重合体は、ポリアミド、とりわけ長鎖ポリアミドおよび/または半芳香族ポリアミドから選択されることが好ましい。
【0037】
横方向の支持デバイス5は、高さH1、幅Wおよび長さDの最小長方形断面を有するパラレピディッドに適合する形を有し、高さは、上で定義した直交系のZ方向であり、幅はX方向であり、また、長さはY方向である。高さH1は、電池セルが横方向の支持デバイスの頂部縁および底部縁を超えてZ方向に延在しないよう、電池セルの高さH2より僅かに高い。
【0038】
個々の横方向の支持デバイス5の支持フレーム6は、異なる工具セットを使用して製造されるべき構成要素の数を少なくするために全く同じ構成を有することができる。個々の支持フレーム6は、複数のチャンバ8を取り囲んでいる周囲壁7、および周囲壁7の第1の端部と第2の端部7bの間を縦方向のX方向に延在する中央分離壁9を備える。周囲壁7の頂部および底部壁7aはZ方向に間隔を隔てており、互いに反対側のケーシング頂部および底部側面2aのための支持表面を形成する。周囲壁7の第1の端部および第2の端部7bは、ケーシング2の側面2bのための支持表面を画定する。
【0039】
チャンバ8は、X方向およびY方向の両方に対して中間角度で、支持フレームの一方の側からもう一方の側まで延在し、したがってZ方向から見ると、交番するジグザグの形を辿るチャンバ分離壁10によって画定される。支持壁10の各々はオリフィス11を備えており、したがって冷却流体は、交互に角度が付けられたチャンバ分離壁10を通って1つのチャンバから隣のチャンバへ流れることができる。中央分離壁9の一方の側のオリフィス11およびチャンバ8は流体相互接続され、冷却流体が流れる第1の通路を形成し、また、中央分離壁9のもう一方の側のオリフィス11およびチャンバ8も流体相互接続され、冷却流体が流れる第2の通路を形成する。
【0040】
ジグザグ方式のチャンバ分離壁10は、Z方向に作用する押しつぶし力、すなわち頂部および底部ケーシング要素2aに対して作用する押しつぶし力に対する構造的剛直性を提供する。また、中央分離壁9も、支持フレーム6に同じく構造的剛直性を提供し、実施形態では、Z方向に隣接するチャンバを封止する壁を提供することができ、したがって一方の側が流入のための通路を表し、また、もう一方の通路が戻り流を表すことができるよう、支持フレームの一方の側を通って流れる冷却流体が支持フレームのもう一方の側を流れる冷却流体から分離される。しかしながら特定の実施形態では、両方の通路が同じ方向に流れる冷却流体のために使用され得る。
【0041】
図4cに示されるように、X方向の支持フレーム6は、X方向に開閉するダイを使用して製造することができる開いたチャンバ側面を示す。チャンバの開いた側面36は、板、詳細には電池接続板16で覆われてもよい。電池接続板16は、要求される電気接続要件に応じて複数の電池セルを直列接続および並列接続で一体に接続するための電池セルの縦方向の端部の電気端子との電気接続のための導体からなっているか、または少なくともその外部表面に導体を備えている。実施形態では、電池接続板は、金属、例えばアルミニウム、銅、それらの合金および他の金属などの導電性材料でてきていてもよい。電池セルの電気端子は、電池接続板に対するばね接触であってもよいが、電池接続板に直接または相互接続導体要素(図示せず)を介して溶接、ろう付けまたははんだ付けされることが好ましい。
【0042】
電池接続板16を支持フレームの一方の縦方向の側面からもう一方の縦方向の側面へ相互接続するために、例えば接続ポストまたはピンの形態であってもよい側方導体要素14が一方の側面からもう一方の側面まで支持フレーム6の誘電材料を横切る。側方導体要素14は、チャンバ8の上に取り付けられた板16と接触している導電性端部を提供する。所望の電気相互接続スキームに応じて、特定の側方導体要素14を省略することができ、あるいは単純にサポートを提供して電池接続板16を押し付ける非導電性材料に置き換えられてもよい。側方導体要素14は他の構成を有することも可能であるが、好ましい実施形態ではロッドの形がとりわけ単純であり、例えば図4cに最も良好に示されているように、中央分離壁9中の異なる位置に沿って成形された空洞に挿入することによって容易に組み立てることができる。
【0043】
電池接続板16は、接着剤を使用して結合することによってチャンバ8のリムに封止結合されてもよく、あるいは溶接、例えばリムを形成している支持フレームの重合体材料に超音波溶接または熱溶接することによってチャンバ8のリムに封止結合され得る。
【0044】
周囲壁は、有利には、ケーシングの頂部および底部壁2aならびにケーシングの側壁2bを固定ソケット34部分で支持フレーム6の周囲壁7に固着するために、リベット接続、ねじ接続または溶接接続のための固定ソケット34を備えることができる。実施形態では、固定ソケット34は、支持フレーム材料、とりわけ、補強されていることが好ましい熱可塑性樹脂材料の一体部品を形成することができる。別の実施形態では、固定ソケットは、例えばオーバーモールディング、ボンディング、溶接または締り力ばめによって支持構造体に挿入される、固定アプリケーションのための金属インサートまたは別の頑丈な材料のインサートを備えることができる。
【0045】
支持フレームの互いに反対側の端部には流体結合ポート20が提供される。支持フレームの一方の端部の流体結合ポート20は一方の側に面し、また、反対側の端部の流体結合ポートは反対側に面する。したがって支持フレーム6の一方の端部は一方の側で流体相互接続シャフト18に結合されてもよく、また、もう一方の端部では、支持フレーム6は、もう一方の側で流体相互接続シャフト18に結合し、したがって図3aに示されているように蛇行構造体を形成する。
【0046】
流体相互接続シャフト18は、支持フレーム6上の流体結合部分20のシュラウド部分21の上に係合する結合部分を有する流体結合ポート38を備える。例えばO-リングまたは他のタイプの封止要素の形態の封止要素23が相互接続カップリングとシュラウド部分の間に配置され、好ましくは雄要素の上に提供される。
【0047】
ケーシング、詳細にはケーシングの頂部および底部壁2aと電池セルの間に空気循環または他の冷却手段を提供するために、周囲壁はくぼみ30をさらに備え、ガスが通ってある程度循環するための隙間をケーシングと周囲壁7の間に残すことができる。
【0048】
したがって有利には、冷却と電気相互接続の両方のために働く複数の横方向の支持デバイス5は、軽い構造体のジグザグ形態のチャンバ分離壁10を使用して、優れた構造的剛直性を同じく提供する。
【0049】
ケーシング2は金属シートでできていてもよく、あるいは別法として、横方向の支持デバイス5の周囲壁7に固定され、周囲壁7と相俟って、極めて軽い構造体で構造的剛直性を提供するための複合物、重合体または他の材料でできていてもよい。
【0050】
また、電池パック内の複数の横方向の支持デバイス5は、全体的に、Z方向およびY方向の両方における高い対押しつぶし力を提供し、したがって電池パックは、押しつぶしに対する保護のための構造体を追加することなく、電気車両の床内で組み立てることができる。
【0051】
したがってコンパクトで薄い電池パックを提供することができ、また、図2に示されているように極めて薄い電池パックを互いに並べて組み立てることができ、あるいは別法として互いに重ねることができる(図示せず)。
【0052】
電池セルの電気端子は、同じく熱を電池から奪い、かつ、電池接続板16の中へもたらすための良好な導体を提供する。電池接続板16は、チャンバ8および支持フレーム6内のオリフィス11によって形成された流体流通路の中の冷却流体と直接接触する。冷却流体は、場合によっては誘電体流体であることが有利であり、その場合、電池接続板16は、その内側を絶縁する必要はない。冷却流体が導電性の水性流体または他の流体である場合、電池接続板は、側方導体要素14と接触する位置を除き、内側に絶縁層を有することができる。
【0053】
図3aの実施形態では蛇行構成が示されているが、押しつぶし強度を増すために(縦方向Xにおける追加剛直性)、電池モジュール35の両側に構造体相互接続シャフトを提供することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 電池パック
35 グループまたはモジュール
2 ケーシング
2a 頂部、底部壁
2b 側壁
37 固定点
3 電池セル
22 セルボディ
24 接続端部
26 電気端子
4 電池パック構造体アセンブリ
5 横方向の支持デバイス
6 支持フレーム
7 周囲壁
7a 頂部、底部壁
34 固定ソケット
7b 第1の端部、第2の端部
30 溝
20、20a、20b 流体結合ポート
21 シュラウド
23 封止要素
8 チャンバ
36 開いた側面
9 中央分離壁
10 チャンバ分離壁
11 オリフィス
14 側方導体要素
16 電池接続板
32 外部接続
18 流体相互接続シャフト
38 流体結合ポート
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c-4d】
図5a
図5b
【国際調査報告】