(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】三生成物圧力スイング吸着システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/047 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B01D53/047
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560096
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022071384
(87)【国際公開番号】W WO2022213052
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】キャディ、ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB15
4D012CD07
4D012CE03
4D012CF03
(57)【要約】
低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物から3つの生成物流を生成する三生成物PSAシステムが記載されている。三生成物PSAシステムは、低沸限界成分が富化された高圧生成物流、少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流、及び少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物を分離する方法であって、
PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに前記供給ガス混合物を導入することであって、前記三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニット5を含む、ことと、
前記低沸限界成分が富化された高圧生成物流(70)を除去することであって、前記高圧生成物流(70)が前記少なくとも1つの中沸限界成分及び前記少なくとも1つの高沸限界成分を実質的に含まない、ことと、
前記少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流(80)を除去することと、
前記少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流(60)を除去することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記三生成物PSAシステムが、
前記PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に前記高圧生成物流(70)を除去し、
前記PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に前記中圧ベントガス流(80)を除去し、
前記PSAサイクルにおける併流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に前記低圧テールガス流(60)を除去する、
三生成物PSAユニット(5)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記三生成物PSAサイクルが、
高圧併流吸着及び生成物除去ステップと、
前記高圧併流吸着及び生成物除去ステップに続く少なくとも1つの併流減圧ステップと、
前記少なくとも1つの併流減圧ステップに続く中圧併流減圧及びベントガス除去ステップと、
前記中圧併流減圧及びベントガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップと、
前記向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びテールガス除去ステップと、
前記向流パージ及びテールガス除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、
を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く併流供給物再加圧ステップ、又は前記少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高圧生成物流(70)が1,000kPaから6,000kPaの範囲の圧力で除去され、
前記中圧ベントガス流(80)が150kPaから450kPaの範囲の圧力で除去され、
前記低圧テールガス流(60)が100kPaから250kPaの範囲の圧力で除去される、
のうちの少なくとも1つである、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記低沸限界成分が水素である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高沸限界成分が、二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの中沸限界成分が、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記低沸限界成分が水素であり、前記少なくとも1つの高沸限界成分が二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方であり、前記少なくとも1つの中沸限界成分がメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
三生成物PSAユニット(5)であって、
第1の端部(35)及び第2の端部(45)を有するPSA吸着容器(10)であって、前記PSA吸着容器が少なくとも1つの吸着剤層(15,20,25)を含み、前記PSA吸着容器が前記第1の端部(35)に第1の開口部(30)及び前記第2の端部(45)に第2の開口部(40)を有し、前記第1の開口部(30)が高圧供給ガス入口ライン(50)及び低圧高沸限界成分出口ライン(60)と選択的に流体連通し、前記第2の開口部(40)が高圧生成物出口ライン(70)、中圧ベントガス出口ライン(80)、及び低圧パージガス入口ライン(90)と選択的に流体連通する、PSA吸着容器(10)を備える、三生成物PSAユニット(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2021年3月29日に出願された米国仮特許出願第63/167,334号の優先権を主張するものであり、当該仮特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水素は、クリーン燃焼燃料であるので、著しい成長可能性を有すると予想される。しかしながら、水素生成は、伝統的にCO2の重要な放出源であり、政府規制及び社会的圧力は、ますますCO2放出に課税し、又は罰則を設けている。その結果、成長する市場を捕らえるためのその後の地質学的な隔離のために副生成物のCO2を回収しながら水素生成のコストを下げるための激しい競争が予想される。CO2は、共通のパイプラインに供給される蒸気として分離することができるが、世界の特定の地域では、現在CO2パイプラインインフラストラクチャが不足しているため、トラック又は船舶による容易な輸送のために液化形態で製造される必要がある可能性が高い。
【0003】
いくつかの用途では、水蒸気改質又は自己熱改からの95%超、又は公益事業からのCO2影響を含む90%超のCO2捕捉が望ましく、すぐに必要となり得る。しかしながら、50%から60%など、水素生成プラントからのより低いCO2捕捉パーセンテージさえも、特にCO2回収システムが既存の水蒸気改質プラントに改造されるとき、経済的観点から望ましい可能性がある。このような場合、CO2は、シフト合成ガスから経済的に回収することができる(燃焼前捕捉)。水蒸気改質水素プラントに加えて、合成ガスCO2捕捉は、自己熱改質(ATR)、ガス化、又は部分酸化(POX)など、他の炭化水素又は化石燃料変換プロセスでも望ましい可能性がある。
【0004】
ほとんどの既存の水素生成プロセスは、シフト合成ガスから高純度生成物水素を回収するために圧力スイング吸着(PSA)を利用する。PSAユニットからの低圧テールガス流は、典型的に、プロセス用の熱又は流れを発生させるために燃焼される。流れが燃焼器に送られない場合、プロセスにおける不純物の蓄積を防止するために、パージが必要とされる。
【0005】
米国特許第8,021,464号は、合成ガスに変換される炭化水素の混合物からの水素及びCO2の複合生産のプロセスを記載している。合成ガスは、PSAユニット内で水素富化流及びPSAオフガス流に分離される。PSAオフガスは、圧縮及び乾燥され、続いて各ステップで温度を下げながらCO2リッチ凝縮物を凝縮及び分離するいくつかの連続ステップが行われ、この温度は周囲温度から-56℃の範囲である。しかしながら、このプロセスは、プロセスから除去されなければならないかなりの量のCO2を含有するパージ流をもたらす。分離を改善するために透過モジュールを使用することができるが、電力要件が増加するという犠牲を伴う。
【0006】
米国特許第8,241,400号は、改質器ユニット、任意選択的な水性ガスシフト反応器、PSAユニット、及び低温精製ユニット又は触媒酸化器を含むシステムを利用して、炭化水素の混合物から水素及びCO2を回収するプロセスを記載している。PSAユニットは、高圧水素流、低圧CO2流、及びCO2共パージステップ中に引き出されるCH4リッチ流の3つの流れを生成する。プロセスにおけるCO2精製ユニットからの精製CO2は、PSAユニット内で共パージとして使用される。吸着ステップは、250psigから700psigの圧力で実行される。共パージステップ中の圧力は、300psigから800psigの範囲であり、CO2共パージ流は、好ましくは吸着ステップ中の圧力よりも高い圧力で導入される。
【0007】
第2の高圧供給流(CO2共パージ流)の使用は、米国特許第8,241,400号におけるプロセスのコスト及び複雑さを増加させる。セグメント化された吸着器(又は2つの別個の容器)を有し、その2つと中間サイドドローとの間に隔離弁を有する必要性は、プロセスのコスト及び複雑さを更に増加させる。
【0008】
したがって、改善されたコスト効果の高いCO2回収を伴う改良された水素分離プロセスが必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の三生成物PSAシステムで使用するための三生成物PSAユニットの一実施形態の図である。
【
図2】本発明の三生成物PSAユニットを使用する、既存の水蒸気改質水素生成プロセスからのCO
2回収及び水素生成を増加させる方法の一実施形態の図である。
【
図3】本発明の三生成物PSAユニットを使用する、CO
2回収及び水素生成の別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
三生成物PSAシステムは、低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物から3つの生成物流を生成する。三生成物PSAシステムは、軽質分が富化された高圧生成物流、少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流、及び少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流を生成する。軽質分は最も弱く吸着する種であり、重質分は最も強く吸着する種であり、中質分は軽質分と重質分との間である。軽質分及び重質分は、必ずしも分子量に対応しない。
【0011】
三生成物PSAユニットは、PSA吸着容器を備える。一般に、少なくとも6つの容器があり、典型的には8つから14個の容器がある。容器は、1つ以上の吸着剤層、一般に1つから5つ、典型的には2つから3つの吸着剤層を備える。吸着層の床のパーセンテージは、典型的には10%から100%の間である。吸着剤の異なる層は、当業者に知られているように、塔頂流中の成分について異なる選択性を有する。例えば、水素生成プロセス及びCO2の回収では、いくつかの層は、活性アルミナ、シリカゲル、及びナトリウムYゼオライトの層を含むがこれらに限定されない、メタン、一酸化炭素、窒素、アルゴン、及び水素に対するCO2の選択的吸着のための吸着剤を含有する。他の層は、活性炭、シリカゲル、及び分子ふるいゼオライト(例えば、5A又はナトリウムXゼオライト)の層を含むがこれらに限定されない、水素に対するCO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンの選択的吸着のための吸着剤を含有する。当業者は、他のゼオライトを使用することができることを理解し、適切な吸着剤を選択する方法を知るだろう。
【0012】
容器の一端に第1の開口部があり、反対端に第2の開口部がある。便宜上、これらの端部は容器の頂部及び底部と呼ばれる。底部の第1の開口部は、高圧供給ガス入口ライン及び低圧テールガス出口ラインに選択的に接続される。容器の頂部の第2の開口部は、高圧生成物出口ライン、中圧ベントガス出口ライン、及び低圧パージガス入口ラインに選択的に接続される。
【0013】
供給ガスは、容器の底部の第1の開口部を通って高圧で入り、高圧併流吸着及び生成物除去ステップが行われて、生成物が容器の頂部の第2の開口部を通って高圧で容器から出る。少なくとも1つの併流減圧ステップ、次いで中圧併流減圧及びベントガス除去ステップがある。中沸限界成分は、中圧で頂部の開口部を通じて除去される。向流ブローダウンステップ及び向流パージステップがある。パージガスは、低圧で容器の頂部の開口部を通って入る。高沸限界成分は、向流ブローダウンステップ及び向流パージステップの一方又は両方の間に、容器の底部の開口部を通じて低圧で除去することができる。向流パージ及びテールガス除去ステップに続いて、少なくとも1つの向流再加圧ステップがある。
【0014】
本発明の三生成物PSAユニットは、いくつかの利点を提供する。中沸限界成分は、高温で除去されない。代わりに、これは低沸限界成分が除去される高圧と高沸限界成分が除去される低圧との間の中圧で除去されるが、これは高圧よりも低圧の方にはるかに近い。中圧は、典型的には450kPa未満である。
【0015】
加えて、高圧共パージ流は使用されない。更に、容器はセグメント化されない。中沸限界成分は、容器の頂部の開口部を通じて引き出される。したがって、2つの吸着剤床の間に隔離弁及びサイドドロー出口は必要とされない。これらの要因により、三生成物PSAユニットは、米国特許第8,241,400号のPSA及びプロセスよりもはるかに簡単かつ安価に構築及び運転することができる。
【0016】
供給ガス混合物の供給源は、低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む任意のプロセス流とすることができる。適切なプロセス流は、水蒸気改質、ATR、ガス化、又は部分酸化(POX)などの新規及び既存の水素生成プロセスからのプロセス流を含むが、これらに限定されない。他の適切なプロセス流は、流動接触分解(FCC)オフガスなどの石油精製所からの水素含有副生成物流であり得る。
【0017】
本発明の一態様は、低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物を分離する方法である。一実施形態では、本方法は、PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに供給ガス混合物を導入することであって、三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニットを含む、ことと、低沸限界成分が富化された高圧生成物流を除去することであって、高圧生成物流が少なくとも1つの中沸限界成分及び少なくとも1つの高沸限界成分を実質的に含まない、ことと、PSAユニットの頂部の開口部を通じて少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流を除去することと、容器の底部の開口部を通じて少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流を除去することと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、高圧生成物流を除去することは、PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に高圧生成物流を除去することと、PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に中圧ベントガス流を除去することと、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に低圧テールガス流を除去することと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、PSAサイクルは、
高圧併流吸着及び生成物除去ステップと、
高圧併流吸着ステップ及び生成物除去ステップに続く少なくとも1つの併流減圧ステップと、
少なくとも1つの併流減圧ステップに続く中圧併流減圧及びベントガス除去ステップと、
中圧併流減圧及びベントガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップと、
向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びテールガス除去ステップと、
向流パージ及びテールガス除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、
を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、PSAサイクルは、少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く併流供給物再加圧ステップ又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を更に含む。
【0021】
高圧生成物流は、典型的に、1,000から6,000kPa、又は2,000kPaから5,000kPa、又は2,500kPaから4,500kPaの範囲の高圧で除去される。
【0022】
流入する供給ガス混合物の温度は、典型的に、20℃から60℃、又は30℃から50℃、又は40℃(又は温度範囲の任意の組み合わせ)の範囲内である。
【0023】
従来の二生成物PSA供給ガス中の低沸限界成分の濃度は、一般に、60mol%から90+mol%の範囲内である。例えば、水素PSAユニットへの供給流の水素濃度は、典型的に、70mol%から80mol%である。PSAユニット内で50mol%未満の水素濃度を有する供給流を処理することは困難であることが一般に認められている。
【0024】
対照的に、本発明の三生成物PSAユニットへの供給ガス混合物中の水素濃度は、一般に、20mol%から60mol%の範囲内である。例えば、水蒸気改質プラントテールガスに対するCO2回収システム内のCO2蒸留塔塔頂ガス中の水素濃度は30mol%から50mol%であるが、流動接触分解(FCC)オフガス中の水素濃度は20mol%から40mol%である。
【0025】
供給ガス混合物中の低沸限界成分の80%から90%は、典型的には高圧生成物流中で回収され、この高圧生成物流は、高沸限界成分及び中沸限界成分を実質的に含まない。これは典型的に、供給ガス混合物に対して1%未満、又は0.1%未満、又は0.01%未満の高沸限界成分を含有する。これは典型的に、供給ガス混合物に対して10%未満、又は5%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は0.1%未満の中沸限界成分を含有する。
【0026】
低圧生成物流は、典型的に、50kPaから250kPa、又は100kPaから200kPaの範囲の低圧で除去される。
【0027】
低圧生成物流は、典型的に、供給ガス混合物中に95%から100%の高沸限界成分を含有する。これは典型的に、供給ガス混合物に対して10%の低沸限界成分(例えば、5%から15%)、及び供給物に対して40%の中沸限界成分(例えば、20%から60%)を含有する。
【0028】
中圧生成物流は、高圧と低圧との間の中圧で除去される。中圧は、高圧よりも低圧にはるかに近く、典型的には400kPa、又は300kPa、又は200kPaの低圧内である。典型的に、中圧生成物流は、150kPaから450kPa、又は250kPaから350kPaの範囲の圧力で除去される。中圧範囲と低圧範囲との間にはいくらかの重複があるが、特定の場合には、低圧は中圧よりも低いことが理解される。
【0029】
中圧ベントガス流は、典型的に、供給ガス混合物中に40%から80%の中沸限界成分を含有する。これは典型的に、供給ガス混合物に対して10%の低沸限界成分(例えば、5%から25%)、及び供給物に対して5%未満、又は1%未満、又は0.1%未満の高沸限界成分を含有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、低沸限界成分は水素である。
【0031】
いくつかの実施形態では、高沸限界成分は、二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方である。
【0032】
いくつかの実施形態では、中沸限界成分は、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである。
【0033】
いくつかの実施形態では、低沸限界成分は水素であり、高沸限界成分は二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方であり、中沸限界成分はメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである。
【0034】
本発明の別の態様は、水素、二酸化炭素、及びエチレンの少なくとも一方、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む供給ガス混合物を分離する方法であって、PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに供給ガス混合物を導入することであって、三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニットを含む、ことと、水素が富化された高圧生成物流を除去することであって、高圧生成物流が二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを実質的に含まない、ことと、PSAユニットの頂部の開口部を通じて一酸化炭素、メタン、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つが富化された中圧ベントガス流を除去することと、二酸化炭素又はエチレンの少なくとも一方が富化された低圧テールガス流を除去することと、を含む方法である。
【0035】
いくつかの実施形態では、高圧生成物流を除去することは、PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に高圧水素流を除去することを含み、中圧ベントガス流を除去することは、PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に中圧ベントガス流を除去することを含み、低圧テールガス流を除去することは、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に低圧テールガス流を除去することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、PSAサイクルは、
高圧併流吸着及び生成物除去ステップと、
高圧併流吸着ステップ及び生成物除去ステップに続く少なくとも1つの併流減圧ステップと、
少なくとも1つの併流減圧ステップに続く中圧併流減圧及びベントガス除去ステップと、
中圧併流減圧及びベントガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップと、
向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びテールガス除去ステップと、
向流パージ及びテールガス除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、
を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く併流供給物再加圧ステップ又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を更に含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、高圧生成物流が1,000kPaから6,000kPaの範囲の圧力で除去され、中圧ベントガス流が150kPaから450kPaの範囲の圧力で除去され、低圧テールガス流が100kPaから250kPaの範囲の圧力で除去される、のうちの少なくとも1つである。
【0039】
本発明の別の態様は、三生成物PSAユニットである。一実施形態では、三生成物PSAユニットは、第1の端部及び第2の端部を有するPSA吸着容器であって、PSA吸着容器が少なくとも1つの吸着剤層を含み、PSA吸着容器が第1の端部に第1の開口部及び第2の端部に第2の開口部を有し、第1の開口部が高圧供給ガス入口ライン及び低圧高沸限界成分出口ラインと選択的に流体連通し、第2の開口部が高圧生成物出口ライン、中圧ベントガス出口ライン、及び低圧パージガス入口ラインと選択的に流体連通する、PSA吸着容器を備える。
【0040】
特定の用途では、三生成物PSAユニットは、高圧生成物流、CO2及びいくらかの不純物を含む低圧テールガス流、並びに不純物の大部分を含有する中圧ベントガス流中で高純度水素を生成する。中圧ベントガス流は、他の2つの流れの間の圧力を有する。CO2リッチテールガス流を圧縮し、CO2回収システムに送ることができ、そこで高純度液体CO2流が回収される。不純物リッチ中圧ベントガス流は、上流プロセスのために熱及び流れを生成するために、燃焼ヒーター又は廃熱ボイラーで燃焼させることができる。一部は、不純物の更なる反応及び水素の回収のために、改質器又は(1つ又は複数の)水性ガスシフト反応器の上流に再循環されてもよい。
【0041】
供給ガス混合物が水素生成プロセスからの反応混合物流出流であるとき、低沸限界成分は水素であり、高沸限界成分は二酸化炭素であり、中沸限界成分はメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである。
【0042】
供給ガス混合物が流動接触分解(FCC)オフガス流であるとき、低沸限界成分は水素であり、高沸限界成分はエチレンであり、中沸限界成分はメタン及び窒素の少なくとも一方である。
【0043】
従来の二生成物PSAユニットの代わりに三生成物PSAシステムを利用することで、プロセスにおける不純物の蓄積を回避し、ブリード流中の貴重な水素の損失をもたらす可能性のある不純物をパージするために物理的なブリード流を取る必要性を排除する。
【0044】
特定のプロセスでは、供給ガス混合物は、水素生成プロセスからの流出物であってもよい。流出物は、低沸限界成分としての水素、高沸限界成分としてのCO2、並びに中沸限界成分としての一酸化炭素、メタン、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む。流出物は、従来のPSAユニット内で水素流及びテールガス流に分離され得る。テールガス流は圧縮され、CO2回収ユニットの蒸留塔内で、CO2を含む底流と、水素、CO2、並びに一酸化炭素、メタン、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む塔頂流とに分離され得る。塔頂流は三生成物PSAユニットに送られ、そこで高圧の純水素、低圧CO2リッチテールガス流、並びに一酸化炭素、メタン、窒素、及びアルゴンを含む中圧ベントガス流、更に未回収水素(流入する塔頂流中の水素の10%)を生成する。
【0045】
三生成物PSAシステムを用いて塔頂流から純水素を直接抽出することは、再循環構成を使用するシステムに対して経済的な利点を提供する可能性を有する。追加の水素生成は、プロセスの経済性を実質的に改善する。蒸留塔塔頂流で三生成物PSAユニットを使用することで、膜分離プロセスの使用によって発生するCO2の非透過損失を回避する。三生成物PSAシステムを利用することは、革新及び柔軟性を提供し、下流機器のサイズ及び公共料金を削減し、捕捉されるCO2を増加させる(不純物リッチパージ流が有意なCO2を含有しないため)。
【0046】
図1は、PSA吸着容器10を備えるPSAユニット5を示す。容器10は、3つの吸着層15、20、25を含む。容器10は、第1の端部35に第1の開口部30を含み、第2の端部45に第2の開口部40を含む。開口部30は、弁55を介して高圧供給ガス入口ライン50と、及び弁65を介して低圧テールガス出口ライン60と選択的に流体連通している。第2の開口部40は、弁75を介して高圧生成物出口ライン70と、弁85を介して中圧ベントガス出口ライン80と、及び弁95を介して低圧パージガス入口ライン90と選択的に流体連通している。
【0047】
PSAサイクルの高圧併流吸着及び生成物除去ステップ中、弁55及び75は開き、弁65、85、及び95は閉じており、高圧供給ガスが容器10に入り、高圧生成物流が出ることを可能にする。
【0048】
少なくとも1つの併流減圧ステップ中、弁55、65、75、85、及び95は閉じている。
【0049】
中圧併流減圧及び弁と除去ステップ中、弁85は開き、弁55、65、75、及び95は閉じている。
【0050】
向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップ中、弁65は開き、弁55、75、85、及び95は閉じている。床は弁65を通じて減圧され、CO2の一部が脱着される。
【0051】
向流パージ及びテールガス除去ステップ中、弁65及び95は開き、弁55、75、及び85は閉じている。パージガスが導入され、CO2が除去される。
【0052】
少なくとも1つの向流再加圧ステップ中、弁55、65、75、85、及び95は閉じている。
【0053】
図2は、本発明の三生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス100の一実施形態を示す。天然ガス105及び水110は、既存の水蒸気改質プロセスユニット120の反応セクション112に送られ、アシスト燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120内の炉に送られる。天然ガスの代わりに、ナフサ及び液化石油ガス(LPG)を含むがこれらに限定されない他の炭化水素供給流を使用することができる。PSAテールガス又はベントガスは、プロセスを進めるのに十分な熱を提供しないので、アシスト燃料ガスは、改質反応のための安定性及び十分な熱を提供するための追加の燃料源である。適切なアシスト燃料ガスは、天然ガス、及び他の主に炭化水素を含有する燃料、例えば精油所燃料ガス、石油化学コンビナート合成燃料ガス、気化ナフサ若しくは気化液化石油ガス(LPG)、又は炭化水素含有燃料と、元老水素又は純水素まで含む水素との配合物を含むが、これらに限定されない。
【0054】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む流出流125を生成する。煙道ガス流130及び蒸気流135も水蒸気改質プロセスユニット120を出る。
【0055】
流出流125は、30℃から50℃の温度(水蒸気改質プロセス内での熱回収及び冷却後)、及び2,000から3,000kPaの圧力を有する。流出流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素が富化された高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む水素枯渇テールガス流150とに分離される。
【0056】
テールガス流150は圧縮機155に送られ、そこで110kPaから150kPaの範囲の圧力から3,000kPaから6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0057】
圧縮テールガス流160はCO2回収ユニット165に送られ、そこで水流167を除去するために乾燥され、-20℃から-50℃の温度に冷却され、底流170及び塔頂流175に分離される。液体CO2を含む底流170が回収される。
【0058】
塔頂流175は、三生成物PSAユニット185を備える三生成物PSAシステム180に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流190が回収される。低圧CO2流195は、圧縮機155に再循環される。メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1つを含む中圧ベントガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0059】
バイパスライン202は、燃焼のために既存の水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118にテールガス流150を送る。これにより、水蒸気改質プロセスユニット120は、圧縮機155、CO2回収ユニット165、又は三生成物PSAシステム180に問題がある場合に、CO2を回収せずに動作し続けることができる。
【0060】
図3は、本発明の三生成物PSAユニットを組み込んだ水素生成プロセス300の別の実施形態を示す。天然ガス305、水310、及び酸素315がATR/GHRプロセス320に送られる。水蒸気改質及び部分酸化反応は、水性ガスシフト反応ユニット330に送られる合成ガス流出流325を生成する。水性ガスシフト反応ユニット330からの流出物335は、水素、CO
2、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
流出物335はPSAユニット340に送られ、そこで、水素が富化された高純度水素流345と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む水素枯渇テールガス流350とに分離される。
【0062】
テールガス流350は圧縮機355に送られる。圧縮テールガス流360は、水流367を除去するための乾燥、冷却、並びに底流370及び塔頂流375への分離のためにCO2回収ユニット365に送られる。液体CO2を含む底流370が回収される。
【0063】
塔頂流375は、三生成物PSAユニット385を備える三生成物PSAシステム380に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流390が回収される。低圧CO2流395は、圧縮機355に再循環される。メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む中圧ベントガス流400は、燃料として炉に送られる。
【0064】
実施例1-三生成物PSAユニットを備える三生成物PSAシステム
表1~5は、三生成物PSAユニットを備える三生成物PSAシステムの結果を提供する。
【0065】
表1は、3つの均圧ステップを有する10床サイクルを示す。表2は、表1の10床PSAサイクルの詳細な説明を提供する。
【0066】
表3~5に示される三生成物PSAユニットの実験的パイロットプラント試験において、これらのサイクルを使用した。
【0067】
【0068】
【表2】
*x=サブサイクル時間(30から120秒の範囲)
【0069】
供給ガス組成を表3に示し、床充填物を表4に示す。表5に示されるように、高圧水素流は、流入する塔頂流中に水素の82.5%を含有し、CO2、CO、CH4、又は窒素のいずれも含有しない。低圧CO2流は、全てのCO2、水素の8.8%、COの30.8%、CH4の49.8%、及び窒素の11.4%を含有する。中圧ベントガス流は、水素の8.7%、COの69.2%、CH4の50.2%、窒素の88.6%を含有し、CO2を含有しない。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
本明細書で使用するとき、「流れ」という用語は、様々な炭化水素分子及び他の物質を含むことができる。
【0074】
本明細書で使用するとき、「流れ」、「供給物」、「生成物」、「部」又は「部分」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルカン、ナフタレン、アルケン、アルカジエン、及びアルキンなどの様々な炭化水素分子、並びに、任意選択的に、他の物質、例えば、気体、例えば、水素、又は不純物、例えば、重金属、並びに、硫黄及び窒素化合物を含むことができる。上記の各々は、芳香族及び非芳香族炭化水素も含み得る。
【0075】
本明細書で使用するとき、「塔頂流」という用語は、蒸留塔などの容器の頂部又はその付近で回収された流れを意味することができる。
【0076】
本明細書で使用するとき、「底流」という用語は、蒸留塔などの容器の底部又はその付近で回収された流れを意味することができる。
【0077】
本明細書で使用するとき、「ユニット」という用語は、1つ以上の設備機器及び/又は1つ以上のサブゾーンを含む領域を指すことができる。設備機器としては、1つ以上の反応器又は反応容器、分離容器、蒸留塔、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、及びコントローラを挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、反応器、乾燥機、又は容器などの設備機器は、1つ以上のゾーン又はサブゾーンを更に含むことができる。
【0078】
用語「カラム」は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための1つ又は複数の蒸留カラムを意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻る塔頂流の一部を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部流の一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部にリボイラーと、を含む。カラムへの供給物は、予熱又は予冷され得る。頂部又はオーバーヘッドの圧力は、カラムの蒸気出口におけるオーバーヘッド蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。正味のオーバーヘッドライン及び正味の底部ラインは、特に示されない限り、カラムへの任意の還流又は再沸騰の下流にあるカラムからの正味のラインを指す。ストリッピングカラムは、カラムの底部でリボイラーを省略し、代わりに、加熱要件、及び水蒸気などの流動化不活性媒体からの剥離を提供してもよい。
【0079】
図示されるように、図中のプロセスフローラインは、例えば、ライン、パイプ、供給物、ガス、生成物、排出物、部品、部分、又は流れと称することができる。
【0080】
「通過する」という用語は、材料が導管又は容器から対象物へと通過することを意味している。
【0081】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0082】
本発明の第1の実施形態は、低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物を分離する方法であって、PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに供給ガス混合物を導入することであって、三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニットを含む、ことと、低沸限界成分が富化された高圧生成物流を除去することであって、高圧生成物流が少なくとも1つの中沸限界成分及び少なくとも1つの高沸限界成分を実質的に含まない、ことと、少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流を除去することと、少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流を除去することと、を含む方法である。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てであり、三生成物PSAシステムは、三生成物PSAユニットを備え、PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に高圧生成物流を除去し、PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に中圧ベントガス流を除去することと、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に低圧テールガス流を除去することと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てであり、PSAサイクルは、高圧併流吸着及び生成物除去ステップと、高圧併流吸着及び生成物除去ステップ二続く少なくとも1つの併流減圧ステップと、少なくとも1つの併流減圧ステップに続く中圧併流減圧及びベントガス除去ステップと、中圧併流減圧及びベントガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップと、向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びテールガス除去ステップと、向流パージ及びテールガス除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、を含む。本発明の一実施形態は、少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く併流供給物再加圧ステップ又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を更に含む、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、高圧生成物流が1,000kPaから6,000kPaの範囲の圧力で除去される、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、中圧ベントガス流が150kPaから450kPaの範囲の圧力で除去される、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、低圧テールガス流が100kPaから250kPaの範囲の圧力で除去される、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、低沸限界成分が水素である、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、少なくとも1つの高沸限界成分が二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方である、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、少なくとも1つの中沸限界成分がメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、低沸限界成分が水素であり、少なくとも1つの高沸限界成分が二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方であり、少なくとも1つの中沸限界成分がメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つである、本段落の第1の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。
【0083】
本発明の第2の実施形態は、水素、二酸化炭素、及びエチレンの少なくとも一方、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを含む供給ガス混合物を分離する方法であって、PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに供給ガス混合物を導入することであって、三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニットを含む、ことと、水素が富化された高圧生成物流を除去することであって、高圧生成物流が二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つを実質的に含まない、ことと、吸着床の高圧生成物と同じ側の出口を通じて、一酸化炭素、メタン、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1つが富化された中圧ベントガス流を除去することと、二酸化炭素及びエチレンの少なくとも一方が富化された低圧テールガス流を除去することと、を含む方法である。本発明の一実施形態は、高圧生成物流を除去することが、PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に高圧生成物流を除去することを含み、中圧ベントガス流を除去することが、PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に中圧ベントガス流を除去することを含み、低圧テールガス流を除去することが、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に低圧テールガス流を除去することを含む、本段落の第2の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、本段落の第2の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てであり、PSAサイクルは、高圧併流吸着及び生成物除去ステップと、高圧併流吸着ステップ及び生成物除去ステップに続く少なくとも1つの併流減圧ステップと、少なくとも1つの併流減圧ステップに続く中圧併流減圧及びベントガス除去ステップと、中圧併流減圧及びベントガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びテールガス除去ステップと、向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びテールガス除去ステップと、向流パージ及びテールガス除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップと、を含む。本発明の一実施形態は、少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く併流供給物再加圧ステップ又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を更に含む、本段落の第2の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、高圧生成物流が1,000kPaから6,000kPaの範囲の圧力で除去され、中圧ベントガス流が150kPaから450kPaの範囲の圧力で除去され、低圧テールガス流が100kPaから250kPaの範囲の圧力で除去される、のうちの少なくとも1つである、本段落の第2の実施形態に至るまでの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又は全てである。
【0084】
本発明の第3の実施形態は、第1の端部及び第2の端部を有するPSA吸着容器であって、PSA吸着容器が少なくとも1つの吸着剤層を含み、PSA吸着容器が第1の端部に第1の開口部及び第2の端部に第2の開口部を有し、第1の開口部が高圧供給ガス入口ライン及び低圧高沸限界成分出口ラインと選択的に流体連通し、第2の開口部が高圧生成物出口ライン、中圧ベントガス出口ライン、及び低圧パージガス入口ラインと選択的に流体連通する、PSA吸着容器を備える装置である。
【0085】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0086】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低沸限界成分、少なくとも1つの高沸限界成分、及び少なくとも1つの中沸限界成分を含む供給ガス混合物を分離する方法であって、
PSAサイクルを有する三生成物圧力スイング吸着(PSA)システムに前記供給ガス混合物を導入することであって、前記三生成物PSAシステムが三生成物PSAユニット5を含む、ことと
前記低沸限界成分が富化された高圧生成物流(70)を除去することであって、前記高圧生成物流(70)が前記少なくとも1つの中沸限界成分及び前記少なくとも1つの高沸限界成分を実質的に含まない、ことと、
前記少なくとも1つの中沸限界成分が富化された中圧ベントガス流(80)を除去することと、
前記少なくとも1つの高沸限界成分が富化された低圧テールガス流(60)を除去することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記三生成物PSAシステムが、
前記PSAサイクルにおける高圧併流吸着ステップ中に前記高圧生成物流(70)を除去し、
前記PSAサイクルにおける中圧併流減圧ステップ中に前記中圧ベントガス流(80)を除去し、
前記PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップの少なくとも一方の間に前記低圧テールガス流(60)を除去する、
三生成物PSAユニット(5)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
三生成物PSAユニット(5)であって、
第1の端部(35)及び第2の端部(45)を有するPSA吸着容器(10)であって、前記PSA吸着容器が少なくとも1つの吸着剤層(15,20,25)を含み、前記PSA吸着容器が前記第1の端部(35)に第1の開口部(30)及び前記第2の端部(45)に第2の開口部(40)を有し、前記第1の開口部(30)が高圧供給ガス入口ライン(50)及び低圧高沸限界成分出口ライン(60)と選択的に流体連通し、前記第2の開口部(40)が高圧生成物出口ライン(70)、中圧ベントガス出口ライン(80)、及び低圧パージガス入口ライン(90)と選択的に流体連通する、PSA吸着容器(10)を備える、三生成物PSAユニット(5)。
【国際調査報告】