(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】電源分配システム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/20 20060101AFI20240314BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240314BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H02H7/20 A
H02J1/00 309Q
H02H3/087
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023560301
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 CN2022080938
(87)【国際公開番号】W WO2022206372
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110356005.8
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523369916
【氏名又は名称】ホーフェイ イートン エレクトロニック テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HEFEI YITONG ELECTRONIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】4/f, Block D, building g 4, Phase 2, Innovation Industrial Park Hefei high-tech Industrial Development Zone Hefei, Anhui 230088 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ユェン ティンホア
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB03
5G004BA01
5G004BA03
5G004BA04
5G004DA01
5G004EA01
5G053AA01
5G053AA02
5G053AA06
5G053BA01
5G053CA01
5G053EC03
5G053EC05
5G053FA05
5G165BB04
5G165EA02
5G165FA01
5G165GA04
5G165GA09
5G165NA04
(57)【要約】
電源分配システムはシステム電源1、主制御ユニット2、電源線3及び複数のサブ制御ユニット4を含む。主制御ユニット2は主制御器21及び主制御器21に接続されている主電源回路保護装置22を含む。主電源回路保護装置22の入力端23はシステム電源の電源出力端に接続されており、主電源回路保護装置22の出力端23は電源線3の一端に接続されている。各サブ制御ユニット4は、サブ制御器41及びサブ制御器41に接続されているサブ電源回路保護装置42を含む。サブ電源回路保護装置42の入力端は電源線3に並列接続されており、サブ電源回路保護装置42の出力端は電気装置に接続されている。これにより、システム電源1から電気装置へ至るまでの間に二段階で電源が保護される。主制御ユニット2は電源線3を保護し、サブ制御ユニット4は本体及び該サブ制御ユニット4に接続される電気装置を保護する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源分配システムであって、システム電源、主制御ユニット、電源線及び複数のサブ制御ユニットを含んでおり、
前記主制御ユニットは、前記システム電源の管理及び保護のために用いられ、主制御器及び前記主制御器に接続されている主電源回路保護装置を含んでおり、
前記主電源回路保護装置の入力端は、前記システム電源の電源出力端に接続されており、
前記主電源回路保護装置の出力端は、前記電源線の一端に接続されており、
前記サブ制御ユニットは、前記サブ制御ユニットの電源の安全及び前記サブ制御ユニットの外部から接続された電気装置の電源の安全を管理及び保護するために用いられ、
各前記サブ制御ユニットは、サブ制御器及び前記サブ制御器に接続されているサブ電源回路保護装置を含んでおり、
前記サブ電源回路保護装置の電源入力端は、前記電源線に並列接続されており、
前記サブ電源回路保護装置の出力端は、前記電気装置に接続されており、
前記主電源回路保護装置と前記サブ電源回路保護装置は、いずれも(1)電子スイッチトランジスタのみによって構成される回路保護装置、(2)ヒューズのみによって構成される前記回路保護装置、(3)前記ヒューズ及び前記電子スイッチトランジスタが直列接続されることによって構成される前記回路保護装置、(4)前記電子スイッチトランジスタ及び前記電子スイッチトランジスタが直列接続されることによって構成される前記回路保護装置、の内のいずれか1つの前記回路保護装置から選択される、ことを特徴とする電源分配システム。
【請求項2】
前記システム電源は蓄電池電源である、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項3】
前記主制御ユニットは、前記主制御器に接続されている少なくとも1つの前記主電源回路保護装置を含んでおり、
各前記主電源回路保護装置の入力端は、前記システム電源の電源出力端に接続されており、
各前記主電源回路保護装置の出力端は、前記主制御器の電源出力端であるか、又は対応する前記電源線に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項4】
前記主制御ユニットの前記主制御器にツイストペアケーブルが接続されており、
各前記サブ制御ユニットの前記サブ制御器には、前記ツイストペアケーブルに並列接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項5】
前記サブ電源回路保護装置の入力端は、サブ電源線を介して前記電源線に並列接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項6】
前記主制御器は、対応する電流変換器を介して前記主電源回路保護装置に接続されており、前記主電源回路保護装置の電源出力の管理及び保護を実現し、
前記サブ制御器は、対応する前記電流変換器を介して前記サブ電源回路保護装置に接続されており、前記サブ電源回路保護装置の電源出力の管理及び保護を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項7】
前記主制御ユニットは、前記主制御器に接続されている3つの前記主電源回路保護装置を含んでおり、
3つの前記主電源回路保護装置の入力端は、いずれも前記システム電源の電源出力端に接続されており、
各前記主電源回路保護装置の出力端は、拡張用の電源出力端であるか、又は対応する前記電源線に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項8】
前記主制御ユニットは、前記ヒューズ、前記電子スイッチトランジスタ、電流センサ及び前記主制御器を含んでおり、前記ヒューズと前記電子スイッチトランジスタとが直列接続されていることによって前記主電源回路保護装置が構成されており、前記電子スイッチトランジスタが導通しているとき、前記電源線を流れる電流が前記電子スイッチトランジスタの導通抵抗において発生させる電圧降下によって、前記電流センサが作動し、
前記電子スイッチトランジスタが導通しているとき、前記主制御器の入力端において発生する電圧の計算式は以下の通りであり、
VDE=IA*RON
ここで、IAは前記電源線に流れる電流値であり、RONは前記電子スイッチトランジスタM2の導通抵抗値であり、
前記計算式によって、前記電子スイッチトランジスタが導通しているときの前記電流値を得ることができ、
前記電源線の短絡、漏電、又は前記サブ制御ユニットの異常が発生した場合、前記電流センサの検出値が変化し、前記主制御器が検出した作動電流が、予め設定された保護閾値電流値より大きいとき、前記主制御器は、ポートを介して前記電子スイッチトランジスタをオフにすることによって、前記電源線からの給電を遮断し、前記電源線の安全を保護し、
前記ヒューズは、前記主電源回路保護装置の安全を強化するためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項9】
前記サブ制御ユニットは、前記ヒューズ、3つのMOS電子スイッチトランジスタ、電流変換機構及び前記サブ制御器を含んでおり、前記ヒューズが3つの前記MOS電子スイッチトランジスタに直列接続されていることによって、子電源回路保護装置が構成されており、前記子電源回路保護装置の3つの出力端に、電子負荷又は前記電気装置が外部接続されており、
3つの前記MOS電子スイッチトランジスタの電流変換は、前記電流変換機構によって実現され、
前記サブ制御器は、前記電流変換機構によって変換された3つの電流値に基づいて、3つの前記MOS電子スイッチトランジスタの電源出力の管理及び保護を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【請求項10】
前記サブ制御ユニットは、4つのMOS電子スイッチトランジスタ、電流変換器及び前記サブ制御器を含んでおり、
前記MOS電子スイッチトランジスタは、他の3つの前記MOS電子スイッチトランジスタに直列接続されており、
4つの前記MOS電子スイッチトランジスタの電流変換は、前記電流変換器によって実現され、
前記サブ制御器は、前記電流変換器によって変換された4つの電流値に基づいて、4つの前記MOS電子スイッチトランジスタの電源出力の管理及び保護を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の電源分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車電源システム分野に関し、具体的には、電源分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車の車体における電源システムは、複数の継電器及びヒューズを有するジャンクションボックスを介して、電源の分配、電源の論理制御、及び電源の安全管理を行う。
【0003】
近年、車両ネットワークシステムは、車両内に配置された複数の電気装置の制御に適用されるようになっている。車両ネットワークシステムにおいて、通常、ネットワークシステムに接続されている1つの制御ユニットが、その周囲に配置されている複数の電気装置を制御する。
【0004】
一般的に、一定の電力を使用する車両電装品や制御ユニットに電力を供給する電源線は、それぞれ独立に1つのジャンクションボックスに接続される。そして、電源線の安全を保護するために、各電源線に適したヒューズが直列接続される。また、ジャンクションボックス内のヒューズに継電器がさらに直列接続される場合もあり、このようなロジックで、電源の制御が実現されている。
【0005】
図1に示すように、通常の電源分配システムは、ジャンクションボックス60と複数の電源線61とを含んでいる。電源システムB+がジャンクションボックス60に接続されて、4つに分岐される。これら4つに分岐された電源は、それぞれヒューズF1、F2、F3及びF4によって安全保護された後に、電気設備51、52及び制御ユニット53、54に接続される。ここで、ヒューズF1に接続された電源に継電器D1が直列接続され、当該電源に対する論理制御を実現する。
【0006】
従来の電源分配方法には、以下のような問題がある。
【0007】
(1)構造が複雑で、故障率が高い。
【0008】
電源を分岐する際、継電器及びヒューズによって論理制御と安全防護を実現することが多い。独立したヒューズは、該ヒューズに直接接続されている電気設備を保護するが、電気設備の異常又は該電気設備が接続されている電源線からの漏電若しくは短絡が発生した場合、ヒューズの溶断が容易に引き起こされる可能性がある。また、継電器は機械的接点であり、信頼性および耐用期間には限界がある。したがって、従来の電源分配方法では、配電システムの信頼性を向上させることは困難である。
【0009】
また、各電気装置の電源は、いずれもジャンクションボックスを介して供給されるため、ジャンクションボックスから分配される電源線の中に干渉をもたらす電源線が存在する場合、この干渉は、ジャンクションボックスを介して他の電源線に伝搬されやすく、他の電源線に接続された電気装置又は電気制御ユニットの損傷又は破壊につながる虞がある。
【0010】
(2)自動車電気システムの機能は、年々増加しており、より高度に情報化され、情報化の適用範囲も広がっている。同時に、自動車電気システムもより複雑となり、従来の電気システム及び給電方法では十分に対応することが困難になっている。
【0011】
(3)従来の電源配電システムは、十分にインテリジェント化されていないため、インテリジェント化された電源管理には不向きである。
【0012】
(4)従来の電源分配のアーキテクチャは、将来的に自動車の電源システムへ求められる要件に適応できていない。
【発明の概要】
【0013】
そこで、本発明では、上記の技術的課題を解決する電源分配システムを提供することを目的とし、該電源分配システムは、主制御ユニット、サブ制御ユニット及び電源線によって構成される。この構成によって、システム電源から電気装置へ至るまでの間に、二段階で電源が保護される。主制御ユニットは、電源線を保護し、サブ制御ユニットは、該サブ制御ユニット本体及び該サブ制御ユニットに接続される電気装置を保護する。
【0014】
本発明に係る技術的解決手段は、以下の通りである。
【0015】
電源分配システムであって、システム電源、主制御ユニット、電源線及び複数のサブ制御ユニットを含んでいる。主制御ユニットは、システム電源の管理及び保護のために用いられ、主制御器及び主制御器に接続されている主電源回路保護装置を含んでいる。主電源回路保護装置の入力端は、システム電源の電源出力端に接続されており、主電源回路保護装置の出力端は、電源線の一端に接続されている。サブ制御ユニットは、サブ制御ユニットの電源の安全、及びサブ制御ユニットの外部から接続された電気装置の電源の安全を管理及び保護するために用いられる。各サブ制御ユニットは、サブ制御器及びサブ制御器に接続されているサブ電源回路保護装置を含んでいる。サブ電源回路保護装置の電源入力端は、電源線に並列接続されており、サブ電源回路保護装置の出力端は、電気装置に接続されている。
【0016】
システム電源は、蓄電池電源である。
【0017】
主制御ユニットは、主制御器に接続されている少なくとも1つの主電源回路保護装置を含んでいる。各主電源回路保護装置の入力端は、システム電源の電源出力端に接続されており、各主電源回路保護装置の出力端は、主制御ユニットの電源出力端として機能するか、又は対応する電源線に接続されている。
【0018】
主電源回路保護装置とサブ電源回路保護装置は、いずれも以下の4種の回路保護装置の内、いずれか1つから選択される:(1)電子スイッチトランジスタのみによって構成される回路保護装置、(2)ヒューズのみによって構成される回路保護装置、(3)ヒューズ及び電子スイッチトランジスタが直列接続されることによって構成される回路保護装置、(4)電子スイッチトランジスタ及び電子スイッチトランジスタが直列接続されることによって構成される回路保護装置。
【0019】
主制御ユニットの主制御器には、ツイストペアケーブルが接続されており、各サブ制御ユニットのサブ制御器には、ツイストペアケーブルが並列接続されている。
【0020】
サブ電源回路保護装置の入力端は、サブ電源線を介して電源線に並列接続されている。
【0021】
主制御器は、対応する電流変換器を介して主電源回路保護装置に接続されており、主電源回路保護装置の電源出力の管理及び保護を実現する。サブ制御器は、対応する電流変換器を介して、サブ電源回路保護装置に接続されており、サブ電源回路保護装置の電源出力の管理及び保護を実現する。
【0022】
産業上の利用可能性
本発明の主要な技術的特徴は、電源構造及び制御モードが革新的であることにある。具体的には、性能、構造、取り付け及びコストなどにおいて、以下に挙げる多くの利点をもたらす。
【0023】
〈1〉本発明によれば、ヒューズ及び継電器を含む従来のジャンクションボックスが不要となるため、各電気機器及び制御ユニットに対してジャンクションボックスから電源線を個別に引き出す必要がなくなる。その代わりに、1本の電源線を設け、該電源線を主制御ユニット及びサブ制御ユニットに接続するだけで、電源分配システムを構築することができる。その結果、電源線の配線の標準化が可能となり、設計及び製造を簡略化させることができる。
【0024】
〈2〉本発明によれば、電源分配システムにおける電源線の銅の使用量が小さくなるため、コストの低減と、車体重量の低減が実現される。その技術的根拠は、主に以下の3点である。
【0025】
(1)電源線の通電能力の設計マージンは、通常、電気装置が起動する際に発生する大電流及び安全係数を満たすことに留意することが重要である。複数の電気装置が1本の電源線に接続される場合、該電源線の必要線径は、各電気装置に個別接続された場合の電源線の線径の総和よりもはるかに小さい。なぜなら、1本の電源線に複数の電気装置が接続されている場合、ある時点において、電気装置を起動する際に発生する最大電流の増加量は、比較的小さく抑えられた値となるためである。
(2)自動車用の電気設備の特徴として、断続的に電力を使用する電気設備(ワイパー、ウインカーなど)や、短時間においてのみ電力を使用する電気設備(クラクション、ブレーキランプなど)が存在する。本発明によれば、電源線の設計を総合的に考える際、上記の電気設備については、当初設計した電源線の線径から比較的小さい線径を増加させるだけ、又は、線径を増加させることなく要求を満たすことができる。
(3)例えば、センサや電子スイッチなどの電力使用量が小さい電気装置については、電源線の追加を考慮する必要はない。
【0026】
以上の3つの根拠により、本発明における電源線の材料となる銅の使用量は、通常の電源分配方法における銅の使用量よりも小さくなる。
【0027】
〈3〉本発明の電源分配システムによれば、電源線に接続される電気装置は、優先度を設定して起動の遅延や知的な電源分配を行うことができるため、電源システムへの負荷を抑制し、動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来の電源分配システムの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施形態1における電源分配システムの構造概略図である。
【
図3】本発明における3組の主電源回路保護装置を含む主制御ユニットの概略図である。
【
図4】本発明における主制御ユニットの概略図である。
【
図5】本発明におけるサブ制御ユニットの1例の構造概略図である。
【
図6】本発明におけるサブ制御ユニットの1例の構造概略図である。
【
図7】本発明の実施形態2における電源分配システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態による上記課題の技術的解決手段について、図を用いて詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明のすべての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部に過ぎない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造性を伴う労力を要することなく得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0030】
〈実施形態1〉
図2に示すように、実施形態1の電源分配システムは、システム電源1、主制御ユニット2、電源線3及び複数のサブ制御ユニット4を含んでいる。主制御ユニット2は、システム電源の管理及び保護のために用いられ、主制御器21及び主制御器21に接続されている主電源回路保護装置22を含んでいる。主電源回路保護装置22の入力端23は、システム電源1の電源出力端に接続されており、主電源回路保護装置22の出力端24は、電源線3の一端に接続されている。サブ制御ユニット4は、サブ制御ユニットの電源の安全、及びサブユニットの外部から接続される電気装置の電源の安全の管理及び保護のために用いられる。各サブ制御ユニット4は、サブ制御器41及びサブ制御器41に接続されているサブ電源回路保護装置42を含んでいる。サブ電源回路保護装置42の入力端は、電源線3に直接並列接続されているか、又は、サブ電源線5を介して電源線に並列接続されている。サブ電源回路保護装置42の出力端は、電気装置に接続されている。
【0031】
主電源回路保護装置22とサブ電源回路保護装置42は、いずれも以下の4種の回路保護装置の内、いずれか1つの構造から選択される:(1)電子スイッチトランジスタのみによって構成される回路保護装置、(2)ヒューズ(速断型ヒューズ及び遅延型ヒューズを含む)のみによって構成される回路保護装置、(3)ヒューズと電子スイッチトランジスタとが直列接続して構成される回路保護装置、(4)電子スイッチトランジスタと電子スイッチトランジスタとが直列接続して構成される回路保護装置。
【0032】
図3に示すように、主制御ユニット2は、主制御器21に接続されている3つの主電源回路保護装置22a、22b及び22cを含んでいる。3つの主電源回路保護装置の入力端23a、23b及び23cは、いずれもシステム電源1の電源出力端B+に接続されている。各主電源回路保護装置の出力端24a、24b及び24cは、拡張用の電源出力端であるか、又は対応する電源線3に接続されている。
【0033】
図4に示すように、主制御ユニット2は、ヒューズF2、電子スイッチトランジスタM2、電流センサIS及び主制御器21を含んでいる。ヒューズF2と電子スイッチトランジスタM2とが直列接続され、主電源回路保護装置22を構成している。電子スイッチトランジスタM2が導通しているとき、電源線3を流れる電流IAが電子スイッチトランジスタM2の導通抵抗RONにおいて発生させる電圧降下によって、電流センサISが作動する。
【0034】
主制御器21は、電流信号の調整、電流の収集及び出力の制御を行う機能を備えている。電子スイッチトランジスタM2が導通しているとき、主制御器21のDE入力端において発生する電圧の計算式は、以下の通りである。
VDE=IA*RON
【0035】
ここで、IAは電源線3を流れる電流であり、RONは電子スイッチトランジスタM2の導通抵抗である。
【0036】
この式によって、電子スイッチトランジスタM2が導通しているときの電流値を得ることができる。
【0037】
電源線3の短絡、漏電、又はサブ制御ユニット4の異常が発生した場合、電流センサISの検出値が変化する。主制御器21が検出した作動電流が、予め設定された保護閾値電流値より大きいとき、主制御器21は、ポートGを介して電子スイッチトランジスタM2をオフにすることによって、電源線3から給電を遮断し、電源線3の安全を保護する。ヒューズF2は、主電源回路保護装置の安全を強化するためのものである。
【0038】
図5に示すように、サブ制御ユニット4は、ヒューズF4、3つのMOS電子スイッチトランジスタ、電流変換機構43及びサブ制御器41を含んでいる。ヒューズF4が3つのMOS電子スイッチトランジスタに直列接続されていることによって、子電源回路保護装置42が構成される。子電源回路保護装置42の3つの出力端に、電子負荷又は電気装置6が外部接続されている。3つのMOS電子スイッチトランジスタの電流変換は、電流変換機構43によって実現される。サブ制御器41は、電流変換機構43によって変換された3つの電流値に基づいて、3つのMOS電子スイッチトランジスタM1、M2及びM3の電源出力の管理及び保護を実現する。
【0039】
図6に示すように、サブ制御ユニット4は、4つのMOS電子スイッチトランジスタ、電流変換器43及びサブ制御器41を含んでいる。MOS電子スイッチトランジスタM0は、他の3つのMOS電子スイッチトランジスタに直列接続されており、4つのMOS電子スイッチトランジスタの電流変換は、電流変換器43によって実現される。サブ制御器41は、電流変換器43によって変換された4つの電流値に基づいて、4つのMOS電子スイッチトランジスタM0、M1、M2及びM3の電源出力の管理及び保護を実現する。
【0040】
本実施形態における主電源回路保護装置22及びサブ電源回路保護装置42に含まれるMOSスイッチトランジスタは、保護性能がより優れた統合型スマートMOSトランジスタを採用してもよい。統合型スマートMOSトランジスタによる電源の保護及び管理機能は、過熱保護、過電流保護、過電圧保護及び故障診断を含む。
【0041】
〈実施形態2〉
図7に示すように、実施形態2の電源分配システムは、システム電源1、主制御ユニット2、電源線3、ツイストペアケーブル7及び複数のサブ制御ユニット4a、4b及び、4cを含んでいる。システム電源1、主制御ユニット2、電源線3及び複数のサブ制御ユニット4の接続関係は、実施形態1と同様である。主制御ユニット2の主制御器21にツイストペアケーブル7が接続されている。各サブ制御ユニット4のサブ制御器41は、ツイストペアケーブル7に並列接続されている。主制御ユニット2は、ツイストペアケーブル7を介して、各サブ制御ユニット4の最適な電源分配及び知的な電源管理を実現する。
【0042】
サブ制御ユニット4a及び4cによって制御される電気装置が、同一の制御ロジックを実行する1つの操作命令を受信した場合、主制御ユニット2は、予め設定した優先順位及び遅延時間に基づいて、対応するサブ制御ユニット4a及び4cによって制御される電気装置の各々に対して操作を実行することができる。例えば、サブ制御ユニット4aは、左フロントドアのガラスの昇降を制御し、サブ制御ユニット4cは、右フロントドアのガラスの昇降を制御し、さらにサブ制御ユニット4aの優先順位をサブ制御ユニット4cの優先順位より高く設定することができる。左フロントドアのガラスと右フロントドアのガラスを同時に下降させる命令の実行が1つのボダンによって起動された場合、主制御ユニット2は、まず、左フロントドアのガラスを下降させて、一定時間待機した後、右フロントドアのガラスを下降させるように制御する。このような操作は、電流の最大値を抑制し、その結果、電線の直径を低減させることができるため、制御システムを軽量化することができる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。例えば、左フロントドアのガラスの昇降スイッチと右フロントドアのガラスの昇降スイッチにより、ガラスを下降させる命令が同時に実行される場合、主制御ユニット2は、同様に、左フロントドアのガラスを先に下降させて、一定時待機した後、右フロントドアのガラスを下降させるように制御することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、当業者は本発明の原理及び趣旨を逸脱しない範囲内において、これらの実施形態を変更、修正、置き換え及び変形することができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれと同等のものによって規定される。
【国際調査報告】