IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スコット、シルベストロの特許一覧

<>
  • 特表-ボートの金属部品の陰極防食用装置 図1
  • 特表-ボートの金属部品の陰極防食用装置 図1A
  • 特表-ボートの金属部品の陰極防食用装置 図2
  • 特表-ボートの金属部品の陰極防食用装置 図3
  • 特表-ボートの金属部品の陰極防食用装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ボートの金属部品の陰極防食用装置
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/04 20060101AFI20240314BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20240314BHJP
   C23F 13/22 20060101ALI20240314BHJP
   B63B 59/04 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C23F13/04
C23F13/02 B
C23F13/22
B63B59/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023560981
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2022053067
(87)【国際公開番号】W WO2022208464
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000008279
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523373706
【氏名又は名称】スコット、シルベストロ
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット、シルベストロ
【テーマコード(参考)】
4K060
【Fターム(参考)】
4K060AA03
4K060BA02
4K060BA16
4K060BA17
4K060CA04
4K060CA06
4K060CA13
4K060CA15
4K060CA30
4K060EA01
4K060EA02
(57)【要約】
電解環境に浸漬されるように構成された金属要素(10)の印加電流陰極防食を提供するように配置された陰極防食用装置(100)。陰極防食用装置(100)は、内部チャンバ(111)と、金属要素(10)に電気的に接続されるように配置された少なくとも1つの導電性インターフェース(115)とを備える容器本体(110)と、容器本体(110)に一体化され、容器本体(110)に対して外部に面する部分を有する陽極(120)と、容器本体(110)に一体化され、容器本体(110)に対して外部に面する部分を有する基準電極(130)と、容器本体(110)内に配置され、導電性インターフェース(115)に電気的に接続された負極と、陽極(120)に電気的に接続された正極とを備える直流電源(140)と、容器本体(110)内に配置され、陰極防食用装置(100)が電解環境に浸漬されたときに、導電性インターフェース(115)と基準電極(130)との間の電圧ΔVを測定するように構成された制御ユニット(150)とを備える。特に、陰極防食用装置(100)は、ΔVを所定の閾値として、制御ユニット(150)が電圧ΔV>ΔVを検出するとき、直流電源(140)は、状態V≦ΔVを回復するように、導電性インターフェース(115)と陽極(120)との間に、電流Iを供給するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解環境に浸漬されるように構成された金属要素(10)の印加電流陰極防食を提供するように配置された陰極防食用装置(100)であって、
-内部チャンバ(111)と、前記金属要素(10)に電気的に接続されるように配置された少なくとも1つの導電性インターフェース(115)とを備える容器本体(110)と、
-前記容器本体(110)と一体化され、前記容器本体(110)に対して外部に面する部分を有する陽極(120)と、
-前記容器本体(110)内に配置され、前記導電性インターフェース(115)に電気的に接続された負極と、前記陽極(120)に電気的に接続された正極とを備える直流電源(140)と、を備え、
前記陰極防食用装置(100)は、
-前記容器本体(110)と一体化され、前記容器本体(110)に対して外部に面する部分を有する基準電極(130)と、
-前記容器本体(110)内に配置され、前記陰極防食用デバイス(100)が電解環境に浸漬されたときに、前記導電性インターフェース(115)と前記基準電極(130)との間の電圧ΔVを測定するように構成された制御ユニット(150)と、をさらに備え、
前記制御ユニット(150)が、ΔVを所定の閾値として、電圧ΔV>ΔVを検出するとき、前記直流電源(140)は、状態ΔV≦ΔVを回復するように、前記導電性インターフェース(115)と前記陽極(120)との間で、電流Iを供給するように、構成される、陰極防食用装置(100)。
【請求項2】
前記導電性インターフェース(115)は、前記容器本体(110)を前記金属要素(10)に機械的に固定するように構成されている、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項3】
前記導電性インターフェース(115)は、前記容器本体(110)を前記金属要素(10)に機械的かつ電気的に固定するように構成された少なくとも1つのフランジを備える、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項4】
前記容器本体(110)は、前記内側チャンバ(111)を前記電解環境から絶縁するように構成された気密封止要素を備える、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項5】
前記陽極(120)は、
-チタン、
-イリジウムおよびルテニウムで活性化されたチタン、
-プラチナで活性化されたチタン、
-プラチナで活性化されたニオブ、
-上記の組み合わせ、の元素のうち、少なくとも1つを含む、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項6】
前記制御ユニット(150)は、
-前記導電性インターフェース(115)と前記基準電極(130)との間の前記電圧ΔV、
-前記直流電源(140)によって供給される前記電流I、
-前記直流電源(140)の前記正極と前記負極との間の電圧ΔV
-前記直流電源(140)の状態データ、
-上記の組み合わせ、からなる群から選択される電気パラメータの経時的な傾向が報告されるレジスタを生成するようにも構成された、請求項1に記載の陰極防食装置(100)。
【請求項7】
前記内側チャンバ(111)内には、前記制御ユニット(150)を遠隔装置に無線接続するようにアンテナも配置されている、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項8】
前記制御ユニット(150)は、前記レジスタ上に存在するデータを前記アンテナによって送信するように適合されている、請求項6および7に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項9】
前記直流電源(140)を再充電するように配置された再充電装置(154)も設けられた、請求項1に記載の陰極防食装置(100)。
【請求項10】
前記直流電源(140)は、無線充電によってエネルギーを蓄積するように適合されている、請求項1に記載の陰極防食装置(100)。
【請求項11】
前記再充電装置(154)は、
-前記容器本体(110)の一部に配置されたソーラーパネル、
-前記容器本体(110)に接続され、前記陰極防食装置(100)と前記電解環境との間の相対運動によって推進されるように構成された回転子を有する直流発生器、
-前記容器本体(110)内に配置され、前記金属要素(10)の振動を利用するように構成された慣性発生器、からなる群から選択される、請求項9に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記遠隔装置によって前記所定の閾値ΔVを調整するように構成された、請求項7に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項13】
前記制御ユニットは、決定された環境パラメータに基づいて前記所定の閾値ΔVを自動的に調整するように構成された、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項14】
前記金属要素(10)は、電解質流体に浸漬されるように構成され、前記決定された環境パラメータは、
-前記電解質流体の酸素のレベル、
-前記電解流体の塩分のレベル、
-前記電解質流体中の前記金属要素(10)の移動速度、
-上記の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項13に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項15】
前記陰極防食用装置(100)は、3cm~30cmの最大長を有する、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【請求項16】
前記容器本体(110)は、流体力学的形状、特に丸みを帯びた形状を有する、請求項1に記載の陰極防食用装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淡水または海水などの電解環境にさらされた金属構造体のガルバニック腐食の分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、印加電流陰極防食装置に関する。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、ガルバニック腐食は、導電性液体(電解質と呼ばれる)に浸漬された異なる電位の金属が、直接的に、またはリンクとして働くさらなる要素の介入によって、互いに接触するときに引き起こされる電気化学反応である。生成される電流は、最も低い電位を有する金属(陽極)、通常は最も貴でない金属を攻撃し、腐食させることができる。
【0004】
ボートが水に浸されると、優れた電解質である水は、この現象を引き起こすのに非常に好ましい環境を構成し、ボートに浸された金属(プロペラ、シャフト、キール、ステム、シーコック、フラップなど)およびこれらの要素と接触するすべての金属部品(バルブ、パイプなど)を深刻に危険にさらす。水の塩分の程度、その温度、および酸素の存在が高いほど、腐食の可能性が大きくなる。
【0005】
通常、ボートを保護するための最も効果的な解決策は、適切に配置された陽極を使用することであり、陽極は自然に保護電流を生成する。これらのより貴でない金属元素(一般的に亜鉛またはアルミニウム合金であるが、マグネシウム合金も)は腐食し、ボートの最も重要で高価な部品の腐食を防止する。このため、それらは一般に犠牲陽極と呼ばれる。このシステムの適用の例は、国際公開第2004101851号に記載されている。
【0006】
しかしながら、このシステムは、犠牲陽極の進行性の摩耗を伴い、ボートの効果的な保護を維持するために絶えず検査を必要とし、ならびに冬季保管中に毎年交換しなければならない。さらに、腐食中に、犠牲陽極は海洋環境に金属酸化物を放出し、高い汚染を生じる。
【0007】
別のシステムは、いわゆる印加電流陰極防食であり、保護される金属は、電源陰極と呼ばれる好適な直流電源によって一般に供給される起電力により印加される、電流を用いて、安全電位になる。
【0008】
印加電流陰極防食のいくつかの例は、ロシア特許第2713898号、米国特許第4592818号、米国特許第3929606号、米国特許第3930977号に記載されている。
【0009】
しかしながら、このようなシステムでは、保護される金属に対して遠隔位置に配置された単一の電流発生器があり、この電流発生器は、複雑な回路によって船体に配置された様々な構成要素に接続される。
【0010】
このため、このようなシステムは通常、ボート全体の保護システムに電力を供給することができる電流発生器のための空間を得ることが可能な、大型ボートで使用される。
【0011】
さらに、保護対象の金属部品を発電機と電気的に接続するのに必要な回路は、一般に、船体の表面に形成される。これは、完全に金属ではない、例えばガラス繊維または木材からなる船体の場合、非常に複雑である。
【0012】
欧州特許第1715229(A2)号は、充電モジュールと、エネルギー貯蔵モジュールと、電気化学的腐食防止モジュールと、制御モジュールとを備える海中機器の腐食防止装置を開示している。
【0013】
しかしながら、制御モジュールは、ユーザによって設定される定電流によって海中機器を保護するように設計されている。したがって、ユーザは、確実にガルバニック電流に対抗するのに十分な高い電流強度を設定して、完全な保護を提供できるが、エネルギーを分散させることもできる、またはユーザは、より低い電流強度を設定して、エネルギーを節約することができるが、保護の有効性を失う危険を冒す。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の特徴は、小型ボート、例えば、プレジャーボート、または電解環境に浸漬された金属構造体もしくは構成要素に使用することができ、腐食からの完全な保護を保証し、同時に従来技術の装置よりも低いエネルギー消費を保証する、印加電流陰極防食装置を提供することである。
【0015】
また、本発明の特徴は、完全に自律型であり、中央発電機に接続するための回路を必要とせずに、ボートまたは水中構造物の金属部品上に直接設置することができる、装置を提供することである。
【0016】
また、本発明の特徴は、局所的に監視された電気量に関する情報をリアルタイムで記録および送信することができるような、装置を提供することである。
【0017】
これらの目的および他の目的は、電解環境に浸漬されるように構成された金属要素の印加電流陰極防食を提供するように配置された、陰極防食用装置によって達成され、陰極防食用装置は、
-内部チャンバと、金属要素に電気的に接続されるように配置された少なくとも1つの導電性インターフェースとを備える容器本体と、
-容器本体と一体化され、容器本体に対して外部に面する部分を有する陽極と、
-容器本体内に配置され、導電性インターフェースに電気的に接続された負極と、陽極に電気的に接続された正極とを備える直流電源と、を備え、
その主な特徴は、
-容器本体と一体であり、容器本体に対して外部に面する部分を有する基準電極と、
-容器本体内に配置され、陰極防食用装置が電解環境に浸漬されたときの、導電性インターフェースと基準電極との間の電圧ΔVを測定するように構成された制御ユニットと、をさらに備え、
制御ユニットが、ΔVを所定の閾値として、電圧ΔV>ΔVを検出するとき、直流電源は、条件ΔV≦ΔVを回復するように、導電性インターフェースと陽極との間に、電流Iを供給する、ように構成されることである。
【0018】
このようにして、本発明は、犠牲陽極の使用を回避しながら、同時に、金属要素上に戴置された1つまたは複数の装置のエネルギー自律性を有して、金属要素の印加電流で、陰極防食を得ることを可能にする。これにより、装置から遠隔の、またその一方で、従来技術の印加電流陰極防食システムが必要とする、中央エネルギー源なしで済ますことが可能となる。
【0019】
特に、導電性インターフェースは、容器本体を金属要素に機械的に締結するように構成される。
【0020】
有利には、導電性インターフェースは、容器本体を金属要素に機械的かつ電気的に固定するように構成された、少なくとも1つのフランジを備える。
【0021】
特に、容器本体は、電解環境によって内部チャンバを絶縁するように構成された気密封止要素を備える。
【0022】
有利には、陽極は、以下の元素のうちの少なくとも1つを含む。
-チタン、
-イリジウムおよびルテニウムで活性化されたチタン、
-プラチナで活性化されたチタン、
-プラチナで活性化されたニオブ、
-上記の組み合わせ。
【0023】
特に、制御ユニットは、以下からなる群から選択される電気パラメータの経時的な傾向が報告されるレジスタを生成するようにも配置される。
-導電性インターフェースと参照電極との間の電圧ΔV、
-直流電源によって供給される電流I、
-直流電源の正極と負極との間の電圧ΔV
-直流電源の状態データ、
-上記の組み合わせ。
【0024】
このようにして、経時的なパラメータの傾向を監視し、保護電流を変更するために使用できる統計および/または予測を作成することが可能である。
【0025】
有利には、内側チャンバ内には、制御ユニットを遠隔装置に無線接続するように配置されたアンテナも配置される。装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、またはデータを収集するサーバであり得る。
【0026】
特に、制御ユニットは、レジスタ上に存在するデータをアンテナによって送信するように適合されている。
【0027】
有利には、再充電装置も、特に原動力または太陽エネルギーによって、直流電源を再充電するように配置されて設けられる。
【0028】
有利には、直流電源は、無線充電によってエネルギーを蓄積するように適合されている。例えば、バッテリは、磁気誘導または共鳴装置を使用して再充電することができる。
【0029】
特に、装置は、バッテリの状態および/または装置の動作状態を視覚的に示す装置、特にLEDなどを備え得る。
【0030】
特に、再充電装置は以下からなる群から選ばれる。
-容器本体の一部に配置されたソーラーパネル、
-容器本体に接続され、陰極防食用装置と電解環境との間の相対運動によって推進されるように構成された回転子を有する直流発電機、
-容器本体内に配置され、金属要素の振動を利用するように構成された慣性発電機。
【0031】
有利には、制御ユニットは、遠隔デバイスを用いて所定の閾値ΔVを調整するように構成される。
【0032】
特に、制御ユニットは、所定の閾値ΔVを決定された環境パラメータに基づいて、自動的に調整するように構成されている。
【0033】
有利には、金属要素は、電解液に浸漬されるように構成され、決定された環境パラメータは以下からなる群から選ばれる。
-電解質流体の酸素のレベル、
-電解質流体の塩分のレベル、
-電解液中の金属要素の移動速度、
-上記の組み合わせ。
【0034】
特に、陰極防食用装置は、3cm~30cmの最大長さを有する。
【0035】
有利には、容器本体は流体力学的形状、特に丸みを帯びた形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明について、添付図面を参照しながら、例示するが限定するものではないいくつかの例示的な実施形態に関する以下の説明を使用して示す。
図1】本発明の陰極防食用装置の可能な例示的な実施形態を示す。
図1A】陰極防食用装置の動作の論理図を示す。
図2】再充電装置と、遠隔装置と無線接続するためのアンテナと、視覚信号装置とを備える、本発明の陰極防食用装置の可能な例示的な実施形態を示す。
図3】再充電装置として外部タービンが存在する陰極防食用装置の例示的な実施形態を示す。
図4】ボートの船体に配置された、本発明のいくつかの陰極防食装置の可能な用途を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、ボートまたは他の構造の金属要素10が、海水または淡水などの電解環境に浸漬されたときに、この要素10の印加電流陰極防食を提供するように配置された、本発明の陰極防食装置100の好ましい例示的な実施形態が示されている。
【0038】
特に、陰極防食用装置100は、外側によって絶縁された内部チャンバ111を備える容器本体110と、容器本体110と保護対象の金属要素10との間の機械的および電気的接続を可能にする2つの導電性インターフェース115とを備える。
【0039】
陰極防食用装置100はまた、陽極120と基準電極130を備え、両方とも、電解液と接触して容器本体110の外部に配置される。
【0040】
さらに、直流電源140、特に充電式バッテリと、制御ユニット150とが内部チャンバ内に配置される。
【0041】
特に、電池140は、負極によって導電性インターフェース115に接続され、正極によって陽極120に接続され、電解液によって回路を形成する。
【0042】
制御ユニット150は、代わりに、導電性インターフェース115と基準電極130との間の電圧ΔVを測定するように構成される。
【0043】
図1Aも参照すると、装置100は、ΔVを所定の値として、制御ユニット150が電圧ΔV>ΔVを検出するとき、バッテリ140は、導電性インターフェース115、したがってそれに接続された金属要素10が陰極として作用して、状態ΔV≦ΔVを回復することを可能にするように、導電性インターフェース115と陽極120との間に電流Iを供給するように構成される。
【0044】
このようにして、本発明は、犠牲陽極の使用を回避しながら、同時に、金属要素上に配置された1つまたは複数のデバイスのエネルギー自律性を有して、金属要素10の印加電流による陰極防食を得ることを可能にする。これにより、印加電流を用いる従来技術の陰極防食システムが代わりに必要とする、中央発電機なしで済ますことが可能になる。
【0045】
特に、制御ユニットは、レジスタを生成するように適合された電子基板151を備えることができ、レジスタには、例えば、導電性インターフェース115と基準電極130との間の電圧ΔV、電池140によって供給された電流I、および電池140の電圧ΔVなどの、電気パラメータの経時的な傾向が報告される。さらに、制御ユニットは、任意の腐食ピークおよび「過保護」現象を記録することができる。
【0046】
このようにして、経時的なパラメータの傾向を監視し、保護電流を変更するために使用できる統計および/または予測を作成することが可能である。
【0047】
図2および図3を参照すると、本発明の例示的な実施形態では、制御ユニットは、監視された電気パラメータのレジスタ内に存在するデータを送信するために、制御ユニット150を、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、またはデータを収集するサーバなどの遠隔装置200に無線接続するように配置された、電子基板152とアンテナとを備えてもよい。
【0048】
このようにして、遠隔装置によって、記録されたパラメータ、金属要素10の腐食/保護状態、およびバッテリ状態をリアルタイムで監視することが可能であり、故障の場合、または装置の保守の必要がある場合、またはそれを超えると保護電流がアクティブ化される電圧の閾値ΔVを調整したい場合であっても、介入することを可能にする。
【0049】
有利には、再充電装置154も、例えば動力エネルギーまたは太陽エネルギーによって、バッテリ140を再充電するように配置されて設けられる。
【0050】
特に、この再充電装置154は、例えば、内部チャンバ111(図3)の外側に配置された水力発電タービンとすることができる。あるいは、再充電デバイスは、波動によって作動され、内部チャンバ111の内側に配置される、ジャイロスコープ発電機であり得る。この第2の解決策は、海洋環境または、一般に、電解環境への浸漬に由来し得る再充電デバイスの摩耗を回避することを可能にする。
【0051】
このようにして、直流電源は、ボートの動きまたは長い停止の場合の波の動きから得られるエネルギーによって再充電することができる。
【0052】
あるいは、充電装置154は、陰極防食装置100に対して遠隔に、例えば船体上またはボートのデッキ上に配置されたソーラーパネルであってもよい。
【0053】
さらに、バッテリ140は、無線充電によって再充電可能であり得る。このようにして、装置100を船体から取り外す必要なくバッテリを再充電することが可能である。例えば、バッテリは、磁気誘導または共鳴装置を使用して再充電することができる。
【0054】
さらに、デバイス100は、特にLEDなどの、デバイスのバッテリ状態および/または動作状態の視覚信号デバイス153を備え得る。
【0055】
このようにして、装置100の迅速な目視検査を行い、その正しい機能(例えば、緑色光または断続的な緑色光)、バッテリの故障または切迫した消耗(例えば、赤色光または点滅赤色光)、あるいは装置またはバッテリの完全な故障(光なし)を検証することが可能である。
【0056】
本発明の前述の説明の例示的な実施形態は、概念的な観点に従って本発明を完全に明らかにするであろうし、その結果、他の人が、現在の知識を適用することによって、さらなる研究なしに、かつ本発明から離れることなく、そのような実施形態を様々な用途のために修正および/または適合させることができ、したがって、そのような適合および修正は、特定の実施形態と同等であると見なされなければならないことを理解されたい。本明細書に記載の異なる機能を実現するための手段および材料は、この理由のために、本発明の分野から逸脱することなく、異なる性質を有することができる。本明細書で採用される表現または用語は、説明を目的とするものであり、限定するものではないことを理解されたい。
図1
図1A
図2
図3
図4
【国際調査報告】