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特表2024-513224ケーブルを防水及び防塵的に挿通するためのケーブル導入口、ケーブル導入口付きハウジング、並びにケーブル導入口にケーブルを挿通する方法
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  • 特表-ケーブルを防水及び防塵的に挿通するためのケーブル導入口、ケーブル導入口付きハウジング、並びにケーブル導入口にケーブルを挿通する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ケーブルを防水及び防塵的に挿通するためのケーブル導入口、ケーブル導入口付きハウジング、並びにケーブル導入口にケーブルを挿通する方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/013 20060101AFI20240314BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240314BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H02G15/013
H02G3/22
F16L5/02 N
F16L5/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561083
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2022053202
(87)【国際公開番号】W WO2022214989
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2021/5268
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523375869
【氏名又は名称】1エンクローズ ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】1ENCLOSE BV
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ヴェルクルイッセ
【テーマコード(参考)】
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
5G363AA01
5G363AA03
5G363BA01
5G363CA12
5G363CA17
5G363CB01
5G363CB08
5G375BA02
5G375BB08
5G375BB24
5G375BB28
5G375BB81
(57)【要約】
本発明は、本体と、封止要素と、クランプ要素とを備えるケーブル導入口に関し、本体は、長手方向軸線に沿って延在して、空洞と、ケーブルを通すための第1の開口部及び第2の開口部とを含み、封止要素は、中空本体内に受け入れられ、ケーブルを通すための円筒形チャネルを含み、円筒形チャネルは、長手方向軸線に沿って配向され、クランプ要素は、封止要素をクランプするために第2の開口部の側にあり、本体及びクランプ要素は、それぞれ2つの着脱可能な半体を備え、第1の半体が平面の第1の側にあり、第2の半体が平面の第2の側に位置し、本体の長手方向軸線は平面内にあり、封止要素は螺旋形状である。また、本発明は、ハウジング、方法及び使用に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にケーブルを防水及び防塵的に通すためのケーブル導入口であって、
長手方向軸線に沿って延在する本体であり、空洞、前記ケーブルを挿通するための第1の開口部及び第2の開口部を含み、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、前記本体の前記長手方向軸線上で、前記空洞の両側に位置決めされている、該本体と、
前記本体の前記空洞内に受け入れられる封止要素であり、前記ケーブルを挿通するための円筒形チャネルを含み、前記円筒形チャネルは、前記長手方向軸線に沿って配向される、該封止要素と、並びに
前記本体の前記空洞内で前記封止要素をクランプするために前記第2の開口部の側にあるクランプ要素と、
を備える、該ケーブル導入口であって、
前記本体及び前記クランプ要素は、それぞれ2つの着脱可能な半体を含み、第1の半体が平面の第1の側に位置し、かつ第2の半体が平面の第2の側に位置し、前記本体の前記長手方向軸線が前記平面内に位置し、また前記封止要素は螺旋形状であることを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル導入口において、前記空洞及び前記封止要素は、円錐形状であり、前記空洞及び前記封止要素は頂角が等しく、また前記空洞の前記頂角は、前記第1の開口部の側に位置決めされることを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のケーブル導入口において、前記本体は、前記第1の開口部の側に張力緩和部を含むことを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のケーブル導入口において、前記第1の開口部近傍で前記本体の前記空洞内に座金が配置され、
前記座金は、2つの着脱可能な半体を含むものであり、
第1の半体が第1の側に位置し、第2の半体が平面の第2の側に位置し、
前記本体の前記長手方向軸線は、前記平面内に位置することを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のケーブル導入口において、前記クランプ要素は中空ボルトであり、前記中空ボルトは長手方向軸線に沿って延在し、また
前記中空ボルトは、前記長手方向軸線に沿って前記ケーブルを通すためのチャネルを含むものであることを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項6】
請求項5に記載のケーブル導入口において、前記ケーブル導入口は、前記本体の前記長手方向軸線の周りに対称的に、前記第2の開口部の側で、前記中空ボルトを受け入れるように構成された円筒形のねじ山付き内壁を含むことを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のケーブル導入口において、前記中空ボルトの内側に中空円筒形押圧手段が配置され、前記円筒形押圧手段は前記第2の開口部の側に環状圧力面を含み、
前記円筒形押圧手段は2つの着脱可能な半体を含み、第1の半体が平面の第1の側に位置し、第2の半体が平面の第2の側に位置し、前記本体の前記長手方向軸線は前記平面内に位置するものであることを特徴とする、ケーブル導入口。
【請求項8】
少なくとも1つのケーブルを防水及び防塵的に挿通するため、少なくとも1つのケーブル導入口と箱とを備えるケーブル導入口付きのハウジングであって、
前記ケーブル導入口の各々は請求項1~7のいずれか一項に記載のものであり、また前記箱は、2つの着脱可能な半体を含み、各ケーブル導入口の前記本体における第1の半体が前記箱の第1の半体に一体化され、また前記ケーブル導入口の前記本体における第2の半体が、前記箱の第2の半体によって前記ケーブル導入口の前記第1の半体に対してクランプされることを特徴とする、ハウジング。
【請求項9】
請求項8に記載のハウジングにおいて、前記箱の前記第1の半体は底板を含み、前記底板は、ケーブル導入口を有する前記箱の側壁上で前記側壁を越えて延在し、また前記底板は、前記箱の外側で、前記側壁上のケーブル導入口の長手方向に張力緩和部を含むことを特徴とする、ハウジング。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のハウジングにおいて、前記ハウジングは少なくとも2つのケーブル導入口を備え、前記箱は側壁上に細長円筒形突出部を含み、前記細長円筒形突出部はケーブルを挿通するための円筒形チャネルを含み、前記細長円筒形突出部は2つの着脱可能な半体を含み、前記細長円筒形突出部の第1の半体が前記箱の第1の半体の一部であり、また前記細長円筒形突出部の第2の半体が前記箱の第2の半体の一部であることを特徴とする、ハウジング。
【請求項11】
防水及び防塵性のケーブル導入口にケーブルを挿通するための方法であって、
- 前記ケーブル導入口の封止要素内の円筒形チャネルにケーブルを送り込むステップと、
- 前記ケーブル導入口の本体の空洞内に前記封止要素を収容するステップであり、前記本体は長手方向軸線に沿って延在し、前記ケーブルは前記本体の第1の開口部及び第2の開口部に挿通させ、前記第1の開口部及び第2の開口部は前記本体の前記長手方向軸線上で前記空洞の両側に位置決めされるものである、ステップと、
- クランプ要素を使用して前記本体の前記空洞内に前記封止要素をクランプするステップと、
を備える、該方法であって、
前記封止要素を前記ケーブルの周りに螺旋状に巻回し、前記封止要素を受け入れるために前記本体を2つの半体に開き、その後、前記2つの半体を前記封止要素の周りで閉じ、前記封止要素をクランプするために前記クランプ要素を2つの半体に開き、その後、前記2つの半体を前記ケーブルの周りで閉じ、前記クランプ要素を前記ケーブル導入口内に又は前記ケーブル導入口上で固定することを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記クランプ要素は中空ボルトであり、
前記中空ボルトを前記ケーブル導入口内で締め付け、
前記中空ボルトは締付中に前記封止要素を圧縮することを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法において、前記ケーブル導入口の前記本体に含まれる張力緩和部にねじ込む追加のステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項10、11、又は12に記載の方法において、前記ケーブルは、前記ケーブル導入口に挿通するときに切断されないことを特徴とする、方法。
【請求項15】
通信又はエネルギーシステムに接続箱を配置するための、請求項8又は9に記載のハウジング又は請求項11~14のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル導入口、特に、例えばハウジング内のケーブルを防水及び防塵的に挿通するためのケーブル導入口、並びにケーブル導入口にケーブルを挿通する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信及びエネルギーシステムのケーブル接続の分野では、接続箱(junction box)、配電箱(switch box)等においてケーブルを接続するための多くの可能性のあるものが利用可能である。これらの接続箱及び配電箱は、屋内及び屋外の両方に配置することができる。ある場合には、例えば、接続箱は地下に配置されることもある。このような接続箱及び配電箱は、水、埃、あるいは地下の接続箱の場合は土又は泥が例えば接続箱又は配電箱内に侵入しないように、完全に防水及び防塵であることが不可欠である。このことは、これらの接続箱内の分岐又は接続の品質に非常に悪影響を及ぼす可能性があり、これは長期的には通信及び電力システムの品質低下、又は例えば短絡による中断につながる可能性がある。
【0003】
ここでの重要なポイントは、ケーブル導入口である。これについては、これまでに数多くの解決策が考案され、適用されてきた。その一例としては、ゴム製の封止リングをケーブルに被せ、グランド内のナットを締め付けることでケーブルに押し付ける古典的なケーブルグランドがある。
【0004】
別の既知のケーブル導入口は、特許文献1(EP2 617 112)に記載されている。特許文献1には、ケーブル又はパイプ用のモジュラーコネクタが記載されている。モジュラーコネクタは、同心円状の剥離可能層を備える。ケーブル又はパイプの通過に適した直径が得られるまで、ケーブル又はパイプの直径に応じて1つ以上の層が剥がされる。
【0005】
ケーブル用のモジュラーコネクタの他の実施例は、特許文献2(DE 20 2004 018 347)、特許文献3(US2018/0138681)及び特許文献4(DE 295 18 214)から知られている。
【0006】
さらに、例えば接続箱内への水及び埃の侵入を避けるための別の既知の解決策は、接続箱を樹脂又は二液性液体で完全に充填することである。
【0007】
また、収縮スリーブ又は加硫ゴムのような熱可塑性材料を使用することも知られており、これらは、ケーブル導入口及びケーブルの周りで融解されて、防水性及び防塵性を高める。
【0008】
これらの既知の解決策には、重大な課題又は問題がある。グランドを使用するとき、ケーブルをグランドとゴム製封止リングに通すために、ケーブルを切断する必要がある。このことは、通信又はエネルギーシステムを一時的に中断させなければ、例えば既存のケーブルの周りに接続箱を取り付けて新しい分岐を作ることができないことを意味する。加えて、切断後にケーブル内のすべての導体を再接続しなければならないが、これは時間のかかる作業であり、エラー及び接続不良のリスクが高い。さらに、ケーブルグランドは、ゴム製封止リングが例えば高水圧に耐えられないため、地下水、水及び/又は泥が接続箱内に侵入する可能性があり、地下接続には適していない。加えて、ゴム製封止リングは時間の経過とともに硬化し、防水及び防塵挿通の効果を徐々に低下させる。
【0009】
特許文献1によるモジュラーコネクタは、モジュラーコネクタが2つの半体からなるため、ケーブルを切断することなくケーブルを貫通させるのに適している。このケーブル導入口の課題は、ケーブルを通すために剥がすべき層の数を見積もる必要があることである。層を剥がしすぎた場合、特許文献1によるモジュラーコネクタは、視覚的には正しく接合されているように見えても、局所的に目には見えない小さな亀裂が入っている可能性がある。その結果、このようなモジュラーコネクタは、水、土及び/又は泥が高水圧でこれらの亀裂を強制的に通るため、地下のケーブル導入口には再使用できなくなる。ここでも経年劣化の問題があり、これは水及び埃の侵入をますます悪化させる。
【0010】
例えば、接続箱を樹脂又は二液性液体で充填することは効果的な解決策であるが、例えばケーブルに追加の分岐を作るために、固化樹脂又は二液性液体を接続箱から切断しなければならず、これはケーブルを損傷するリスクが高いという大きな欠点がある。
【0011】
熱可塑性材料は、時間の経過とともに硬化し、ケーブル導入口がもはや防水でも防塵でもなくなってしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題又は課題の少なくとも一部を解決することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第2617112号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第202004018347号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0138681号明細書
【特許文献4】西独国実用新案公開第29518214号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は、請求項1に記載のケーブル導入口に関する。
【0015】
このようなケーブル導入口の大きな利点は、封止要素が螺旋形状であり、本体及びクランプ要素がそれぞれ2つの着脱可能な半体を備えることである。その結果、本発明によるケーブル導入口に挿通するケーブルは、最初に切断されなくて済む。封止要素がケーブルの周りに螺旋状に巻かれることによって、ケーブルは、封止要素のチャネルに挿入される。本体の2つの半体が封止要素の周りで閉じられ、クランプ要素の2つの半体がケーブルの周りで閉じられた後、封止要素は、本体の空洞内のクランプ要素によってクランプされる。封止要素は、ケーブル及びケーブル導入口本体の両方に押し付けられるため、ケーブル導入口が防水及び防塵となる。螺旋形状の封止要素を使用することによって、ケーブルの周りにいくつかの連続した封止リングが形成され、それによって本発明によるケーブル導入口が高い水圧に耐えることができ、したがって地下での使用に特に有利であることも有利である。経時的に環境と接する側の封止要素が老朽化しても、防水性と防塵性を保証し続けるのに十分な連続したリングがあることも有利である。
【0016】
本装置の好ましい実施形態は、請求項2~9に記載されている。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態は、請求項2に記載の装置に関する。この好ましい実施形態は、空洞と封止要素の両方が円錐形状であるため、特に有利である。封止要素を本体の空洞内でクランプするとき、封止要素は頂角に向かって押し付けられ、本体によってケーブルに対して均等に圧縮される。これにより、ケーブルの直径が多少異なっていても、ケーブル導入口が防水及び防塵であることが保証される。
【0018】
第2の態様では、本発明は、第1の態様による少なくとも1つのケーブル導入口を備えるハウジングに関する。本発明によるハウジングの主な利点は、ハウジングが2つの半体の箱を備え、各ケーブル導入口の本体の第1の半体が箱の第1の半体に一体化され、ケーブル導入口の本体の第2の半体が箱の第2の半体によってケーブル導入口の本体の第1の半体に対してクランプされることである。その結果、ケーブルグランドを使用するときのように、ケーブル導入口とハウジングの箱との間に防水及び防塵シールを追加する必要がなくなり、箱のシールだけで、ハウジングが防水及び防塵性であることを保証することができる。更なる利点は、ケーブルにハウジングを被せるためにケーブルを切断する必要がないことである。
【0019】
第3の態様では、本発明は、請求項11に記載の方法に関する。この方法は、とりわけ、ケーブルをケーブル導入口に挿通させるためにケーブルを切断する必要がないという利点を有する。封止要素がケーブルの周りに螺旋状に巻かれ、ケーブル導入口の本体は、2つの半体に開かれ封止要素の周りで閉じることができる。クランプ要素も、2つの半体に開かれケーブルの周りで閉じることができる。クランプ要素をケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定した後、封止要素は、本体の空洞内でクランプされ、ケーブルは、ケーブル導入口から防水及び防塵された状態で供給される。螺旋形状の要素を使用することは、結果としてケーブルの周りにいくつかの連続した封止リングが形成され、それによって本発明により形成されたケーブル導入口が高い水圧に耐えることができ、したがって地下での使用に特に有利であるため、有利である。
【0020】
本方法の好ましい実施形態は、従属請求項12~14に記載されている。
【0021】
第4の態様では、本発明は、請求項15に記載の使用に関する。この使用は、ケーブルを切断する必要がなく、通信又はエネルギーシステムを中断する必要がないため、通信又はエネルギーシステムにおけるケーブルの分岐が有利になる。接続箱は、既に設置されたケーブルの周りに取り付けることができ、その後、追加の分岐を行うことができる。ケーブル導入口を使用することで、接続箱は、地下で使用するときでも防水性と防塵性を非常に長期間維持し、例えば修理又は追加の分岐のために簡単に再び開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態によるハウジングの断面図である。
図2】本発明の代替実施形態によるハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
別段の定めがない限り、技術用語及び科学用語を含む本発明の説明で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本発明の説明をよりよく理解するために、以下の用語を明示的に説明する。
【0024】
本明細書において、「a」及び「the」は、文脈上そうでない場合を除き、単数形及び複数形の両方を指す。例えば、「セグメント(a segment」は、1つ以上のセグメントを意味する。
【0025】
「備える/含む(comprise)」、「備えている/含んでいる(comprising)」、「~からなる(consist of)」、「からなっている(consisting of)」、「~を設ける(provide with)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「収納/含有する(contain)」、「収納/含有している(containing)」という用語は、同義語であり、後に続くものの存在を示す包括的な又はオープンな用語であり、従来技術から知られている、又は従来技術に開示されているような他の構成要素、特性、要素、部材、ステップの存在を排除又は妨げるものではない。
【0026】
端点による数値区間の引用は、端点間の全ての整数、分率及び/又は実数を含み、これらの端点が含まれる。
【0027】
第1の態様では、本発明は、ハウジング内のケーブルを防水及び防塵挿通するためのケーブル導入口に関する。
【0028】
好ましい実施形態によれば、ケーブル導入口は、本体と、封止要素と、クランプ要素と、を備える。
【0029】
本体は、長手方向軸線に沿って延在している。本体は、好ましくはプラスチックから製造される。本体は、空洞と、ケーブルを通すための第1の開口部と第2の開口部とを備える。第1の開口部と第2の開口部は、本体の長手方向軸線上で、空洞の両側に位置決めされている。第1の開口部と第2の開口部は、好ましくは平行な平面内に位置している。したがって、ケーブルは、本体の長手方向軸線に沿って、ケーブル導入口から第1の開口部、空洞、及び第2の空洞を通る。第1の開口部と第2の開口部の直径は、少なくともケーブルの直径以上である。
【0030】
封止要素は、本体の空洞内に受け入れられる。封止要素は、例えばゴムなどの可撓性材料から作られる。好ましくは、封止要素は、合成可撓性材料から作られる。このことは、例えば水、空気、太陽などとの接触による封止要素の経年劣化を避けるか、又は少なくとも遅らせるのに有利である。適切な材料の非限定的な例は、スチレンブタジエンゴム又は他の適切な合成ゴムである。封止要素は、本体の長手方向軸線に沿って延在している。封止要素は、ケーブルを通すための円筒形チャネルを備える。円筒形チャネルは、本体の長手方向軸線に沿って配向されている。静止状態において、本体の空洞内で受け入れる前、及び管内にケーブルを通す前に、封止要素は、空洞内の第1の開口部と第2の開口部との間の長手方向軸線に沿った距離よりも少なくとも大きい長手方向軸線に沿った長さを有する。
【0031】
クランプ要素は、封止要素を本体の空洞内でクランプするのに適している。クランプ要素は、第2の開口部の側に配置されている。クランプ要素は、ケーブル導入口内又はケーブル導入口上に着脱可能に取り付けることができる。例えば、クランプ要素は、ケーブル導入口内に又はケーブル導入口上でクリック止めすることができる。例えば、クランプ要素は、ケーブル導入口に又はケーブル導入口の上にねじ込むことができる。クランプ要素は、例えばねじ又はボルトによって、ケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定することができる。静止状態の封止要素は、長手方向軸線に沿って、第1の開口部と第2の開口部との間の距離よりも少なくとも大きい長さを有するので、封止要素は、クランプ要素によってクランプされた後、本体の空洞内で圧縮され、それによって封止要素は空洞の壁に対して及びケーブルの周りでクランプされ、ケーブル導入口を防水及び防塵的に封止する。
【0032】
本体とクランプ要素は、各々2つの着脱可能な半体を備える。本体の2つの半体は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。クランプ要素の2つの半体は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。本体の第1の半体は、平面の第1の側にあり、第2の半体は、平面の第2の側にあり、本体の長手方向軸線は平面内にある。クランプ要素の第1の半体は第1の側にあり、第2の半体は平面の第2の側にあり、本体の長手方向軸線は平面内にある。本体とクランプ要素との半体が横たわる平面は等しくてもよいし、等しくなくてもよい。本体の半体は、好ましくは互いにクリック止めすることができ、又はねじ若しくはボルトによって互いに締結することができる。代替的に、本体の半体は一緒にクランプされる。クランプ要素の半体は、好ましくは互いにクリック止めすることができ、又はねじ若しくはボルトによって互いに締結することができる。代替的に、クランプ要素の半体は一緒にクランプされる。封止要素は、螺旋形状である。
【0033】
この実施形態は、ケーブルを切断することなくケーブル導入口からケーブルを送り込むことができるため有利である。封止要素が螺旋形状であるため、ケーブルを切断することなく、封止要素をケーブルの周りに螺旋状に巻くことができ、それによってケーブルが封止要素のチャネルに導入される。更なる利点は、封止要素を更新又は手入れする必要がなく、封止要素が広範囲のケーブル直径に適していることである。
【0034】
本体の2つの半体を切り離すことによって、ケーブルを切断することなく、本体を封止要素の周りで閉じることができ、その後、封止要素は本体の空洞内に受け入れられる。クランプ要素の2つの半体を切り離すことによって、ケーブルを切断することなく、クランプ要素をケーブルの周りで閉じることができる。クランプ要素をケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定することによって、封止要素は本体の空洞内でクランプされる。
【0035】
また、螺旋形状の封止要素を使用することによって、ケーブルの周りにいくつかの連続した封止リングが形成され、それによって本発明によるケーブル導入口が高い水圧に耐えることができ、したがって地下での使用に特に有利であることも有利である。環境と接する側の封止要素が老朽化しても、防水性と防塵性を保証し続けるのに十分な連続したリングがあることも有利である。
【0036】
クランプ要素によって本体の空洞内で本体の長手方向軸線に沿った方向に封止要素をクランプするとき、封止要素は長手方向軸線方向に圧縮され、長手方向軸線に直交する方向に拡張し、チャネルは、場合によっては最初に、封止要素が空洞の壁に押し付けられるまで拡張し、その後、チャネルは、更なる圧縮時に閉じられる。したがって、チャネルがケーブルのあらゆる所に完全に結合しないこともあり得る。したがって、封止要素が螺旋形状であることで、螺旋形状の封止要素の連続したループが圧縮中に互いに対してねじれて変位し、封止要素に含まれるチャネルが直ちに収縮する一方で、同時に、封止要素が空洞の壁に対して圧縮されることが特に有利である。これは、蛇が獲物に巻き付くのに似ている。これにより、封止要素の全長にわたってケーブル導入口が防水及び防塵であることが保証される。
【0037】
本発明によるケーブル導入口の別の利点は、ケーブルを切断する又は接続を切ることなく、設置後に簡単に開閉でき、必要に応じて交換できることである。
【0038】
一実施形態によれば、静止時の長手方向軸線に沿った封止要素の長さは、第1の開口部と第2の開口部との間の長手方向軸線に沿った距離よりも少なくとも5%長く、好ましくは少なくとも7.5%長く、より好ましくは少なくとも10%長く、更により好ましくは少なくとも12.5%長く、更により好ましくは少なくとも15%長い。このことは、結果として、空洞内での締付けによって封止要素を長手方向軸線方向に十分に圧縮可能であり、ケーブル導入口が防水及び防塵であることが保証されるため有利である。
【0039】
一実施形態によれば、空洞と封止要素は、長手方向軸線に直交する平面において適合した断面を有する。静止状態での封止要素の断面は、本体内の空洞の断面に対して少なくとも0.95:1のスケールであり、封止要素と空洞との断面は、第1の開口部に対して長手方向軸線に沿って同じ位置にある。好ましくは、封止要素の断面は、少なくとも0.96:1のスケールであり、より好ましくは少なくとも0.97:1のスケールであり、更により好ましくは少なくとも0.98:1のスケールであり、更により好ましくは少なくとも0.99:1のスケールである。このことは、結果として、封止要素を空洞内で容易に受け入れることができ、空洞内のクランプ要素によってクランプした後、空洞の壁に素早く押し付け、それによってケーブルの周りで圧縮及びクランプして、防水及び防塵挿通することができるため、有利である。
【0040】
更なる実施形態によれば、空洞と封止要素との断面は、本体の長手方向軸線に対して回転対称である。このことは、結果として、空洞に対する封止要素の向きに関係なく、封止要素を常に空洞内に受け入れることができ、その結果、ケーブル導入口の組み立てが簡単であるため、有利である。
【0041】
好ましい実施形態によれば、空洞と封止要素は円錐形状である。空洞と封止要素は、頂角が等しい。頂角は、空洞と封止要素との円錐形状に対応する円錐の頂角である。空洞の頂角は、第1の開口部の側に位置決めされている。頂角は、少なくとも5°、好ましくは少なくとも6°、より好ましくは少なくとも7°である。
【0042】
この実施形態は、本体の空洞内で封止要素のクランプ要素によってクランプされるとき、封止要素が第2の開口部の側から第1の開口部の側の頂角の方向に押し付けられ、本体によってケーブルに対して均等に圧縮されるので、特に有利である。例えば円筒形の空洞では、封止要素は最初に第1の開口部の側の空洞の壁に押し付けられて圧縮され、後に初めて第1の開口部から離れた空洞の壁に押し付けられることになり、円錐形状の空洞及び封止要素のように、封止要素の全長に沿ってすぐに押し付けられることはない。ケーブルの直径がわずかにずれている場合であっても、とりわけケーブルの直径が静止状態の封止要素のチャネルの直径と比較して小さい場合であっても、ケーブル導入口が防水及び防塵であることが保証され、そうでなければ封止要素はケーブルに接続する第1の開口部の近くでしか十分に圧縮されない場合がある。
【0043】
好ましい実施形態によれば、本体は、第1の開口部の側に張力緩和部を備える。張力緩和部は、圧力板と、2つのねじ又はボルトとを備える。ボルト又はねじは、好ましくはステンレス金属製のねじ又はボルトである。本体は、2つのねじ又はボルトを受け入れるための2つのねじ穴を含む。圧力板は、2つのねじによってケーブルに取り付けることができる。圧力板は、好ましくはU字形状である。好ましくは、張力緩和部は2つのU字形状を含み、第1のU字形状が圧力板であり、第2のU字形状が本体の第1の半体に固定されている。張力緩和部により、ケーブルにかかる引張力は、第2の開口部の側から、第1の開口部の側のケーブル上の可能性のある分岐に伝達されることはない。このことは、分岐を頑丈にするのに有利である。更なる利点は、ケーブルがケーブル導入口に対して常に同じ方向に位置決めされるため、ケーブルがケーブル導入口にねじり力を及ぼさない、又はねじり力が制限されることである。ねじり力は、ケーブル導入口の防水性及び防塵性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0044】
好ましい実施形態によれば、本体は、第2の開口部の側に張力緩和部を備える。第2の開口部の側の張力緩和部は、第1の開口部の側の張力緩和部と同様であり、同様の利点を有する。両方の実施形態を有利に組み合わせて、最適な張力緩和部を得ることができる。
【0045】
好ましい実施形態によれば、第1の開口部近くの本体の空洞内に座金が配置されている。座金は、第1の開口部と封止要素との間に配置されている。座金は、2つの半体を備える。座金の2つの半体は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。座金の第1の半体は、平面の第1の側にあり、第2の半体は、平面の第2の側にあり、本体の長手方向軸線は平面内にある。座金の半体は、好ましくは一緒にクリック止めすることができる。2つの半体を備える座金は、ケーブルを切断することなく座金を取り付けることができるため、有利である。座金は、封止要素が第1の開口部から押し込まれるのを防ぐための封止要素の圧力面として有利である。
【0046】
一実施形態によれば、第2の開口部近くの本体の空洞内に第2の座金が配置されている。第2の座金は、第2の開口部と封止要素との間に位置決めされている。第2の座金は、2つの半体を備える。第2の座金の2つの半体は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。第2の座金の第1の半体は、第1の側にあり、第2の半体は、平面の第2の側にあり、本体の長手方向軸線は平面内にある。第2の座金の半体は、好ましくは一緒にクリック止めすることができる。2つの半体を備える第2の座金は、ケーブルを切断することなく座金を取り付けることができるため、有利である。第2の座金は、クランプ要素による締付中に封止要素が損傷するのを防ぐための封止要素の圧力面として有益である。
【0047】
好ましい実施形態によれば、クランプ要素は中空ボルトである。中空ボルトは、長手方向軸線に沿って延在している。中空ボルトは、長手方向軸線に沿ってケーブルを挿通するためのチャネルを備える。チャネルは、ボルトの第1の端部から第2の端部まで延在している。中空ボルトはねじ山を含む。ケーブルの直径に応じて中空ボルトをより少なく又はより多くねじ込むことができ、それによって、中空ボルトが封止要素を空洞内の壁により少なく又はより多く押し付け、チャネルがより多く又はより少なく収縮するため、中空ボルトは本体の空洞内に封止要素をクランプするのに有利である。
【0048】
中空ボルトは、好ましくは中空ボルトの2つの半体の長手方向軸線に沿った縁部に凹部及び/又は歯を備える。第1の半体の凹部及び/又は歯は、第2の半体の歯及び/又は凹部と相補的である。このことは、中空ボルトがケーブルの周りで閉じられた後、中空ボルトのねじ山が連続するように、中空ボルトが正しく構成されることを保証するのに有利である。また、このことは、中空ボルトが締め付けられるときに、2つの半体が互いに対して滑るのを防ぐのにも有利である。
【0049】
更なる実施形態によれば、ケーブル導入口は、本体の長手方向軸線の周りに対称的に、第2の開口部の側に、中空ボルトを受け入れるように構成された円筒形のねじ山付き内壁を備える。これは、内壁のねじ山と中空ボルトのねじ山とのピッチが少なくとも同じであり、中空ボルトの直径と円筒形内壁の直径とが互いに一致することを意味する。円筒形のねじ山付き内壁は、ケーブル導入口内への中空ボルトの簡単なねじ込み及びねじ抜きに有利であり、中空ボルトは、第1の開口部に対して自動的に正しく位置合わせされる。円筒形内壁は、好ましくは空洞の外側に位置している。このことは、空洞と封止要素とが円錐形状を有する前述の実施形態との組み合わせにおいて特に有利であり、そのため、中空ボルトを本体内で非常に限られた範囲でしか締め付けることができず、これにより封止要素の圧縮が過度に制限され、その結果、中空ボルトがケーブル導入口に十分にしっかりと取り付けられない可能性がある。
【0050】
円筒形のねじ山付き内壁は、ケーブル導入口の本体の一部である。代替的に、円筒形のねじ山付き内壁は、前述の実施形態のように、第2の開口部の側の張力緩和部の一部である。ねじ山は、本明細書では、一部が第1のU字形状に、一部が第2のU字形状に配置されている。
【0051】
好ましい実施形態によれば、中空ボルトの内側に中空円筒形押圧手段が配置されている。円筒形押圧手段は、ケーブルと中空ボルトとの間に配置されている。円筒形押圧手段は、第2の開口部の側に環状圧力面を備える。環状圧力面は、好ましくは本体の空洞内に配置されている。円筒形押圧手段は、第1の開口部から第2の開口部に向かって長手方向軸線に沿って移動可能である。中空ボルトを締め付けることによって、円筒形押圧手段は、ボルトによって第1の開口部から第2の開口部に向かって移動する。これにより、圧力面は、封止要素を押圧する。圧力面は、中空ボルトの回転によって封止要素が損傷するのを防ぐのに有利である。圧力面は、前述の第2の封止リングと同様の機能を有する。圧力面の外縁部は、少なくとも中空ボルトのねじ山よりも直径が大きい。圧力面の外縁部は、好ましくは第2の開口部の高さで本体の空洞の断面よりも直径が小さく、長手方向軸線に直交する。このことは、結果として、特に空洞が円錐形状である前述の実施形態と組み合わせて、圧力面を長手方向軸線に沿って空洞内で少なくとも部分的に移動させることができるため、有利である。また、円筒形押圧手段は、中空ボルトの回動による損傷からケーブルを保護するのにも有利である。
【0052】
中空円筒形押圧手段は、好ましくは中空円筒形押圧手段の2つの半体の長手方向軸線に沿った縁部に凹部及び/又は歯を備える。第1の半体の凹部及び/又は歯は、第2の半体の歯及び/又は凹部と相補的である。このことは、中空円筒形押圧手段がケーブルの周りで閉じられた後、中空円筒形押圧手段が正しく構成されることを保証するのに有利である。また、このことは、中空ボルトが締め付けられるときに、中空円筒形押圧手段の2つの半体が互いに対して滑るのを防ぐのにも有利である。
【0053】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つのケーブルを防水及び防塵的に挿通するためのケーブル導入口付きハウジングに関する。
【0054】
好ましい実施形態によれば、ハウジングは、少なくとも1つのケーブル導入口と、好ましくは少なくとも2つのケーブル導入口と、箱とを備える。各ケーブル導入口は第1の態様に従う。箱は防水材料でできている。箱は、自由内部空間を含む。箱は、好ましくは耐腐食性材料でできている。箱は、2つの切離し可能な半体を備える。各ケーブル導入口の本体の第1の半体は、箱の第1の半体に一体化されている。ケーブル導入口の本体の第2の半体は、箱の第2の半体によって本体の第1の半体に対してクランプされる。随意的に、ケーブル導入口の本体の第2の半体は、箱の第2の半体に一体化されている。各ケーブル導入口の本体の半体を箱の半体と同時に金型内で成形して、それぞれの半体を箱の半体に一体化することができる。各ケーブル導入口の本体の半体を箱の半体に融合して、それぞれの半体を箱の半体に一体化することができる。
【0055】
箱の半体は、接触面を備える。接触領域は、箱を閉じた後に箱の半体が互いに接触する面のことである。接触領域は、箱の断面の円周である。接触領域は、当該断面の円周に沿った溝を含む。箱は、好ましくは、箱を防水及び防塵閉鎖するために、当該溝にシールを備える。シールは、例えば封止ゴムである。代替的に、箱の一方の半体が当該断面の円周に沿った溝を備え、箱の他方の半体が当該断面の円周に沿った相補的な舌部を備える。更に別の実施形態は、両方の組み合わせであり、シールは溝の舌部によって圧縮される。本体の第2の半体が箱の第2の半体に一体化されていない場合、好ましくは少なくとも1つのシールが使用され、そのシールも箱の第2の半体と本体の第2の半体との間に配置されている。
【0056】
本発明によるハウジングの主な利点は、ハウジングが2つの半体の箱を備え、各ケーブル導入口の本体の第1の半体が箱の第1の半体に一体化され、ケーブル導入口の本体の第2の半体が箱の第2の半体によってケーブル導入口の本体の第1の半体に対してクランプされることである。その結果、ケーブルグランドを使用するときのように、ケーブル導入口とハウジングの箱との間に防水及び防塵シールを追加する必要がなくなり、箱のシールだけで、防水及び防塵が保証されたハウジングを得ることができる。更なる利点は、ケーブルにハウジングを被せるためにケーブルを切断する必要がないことである。
【0057】
本発明によるハウジングの別の利点は、ケーブルを切断する又は接続を切ることなく、設置後に簡単に開閉でき、必要に応じて交換できることである。
【0058】
好ましい実施形態によれば、箱の第1の半体は、底板を備える。底板は、ケーブル導入口を有する箱の側壁上に、側壁を越えて、したがって箱の容積を超えて延在している。好ましくは、底板は、ケーブル導入口を有する各側壁上に、側壁を越えて延在している。底板は、箱の外側で、当該側壁上のケーブル導入口の長手方向に張力緩和部を備える。
【0059】
張力緩和部は、圧力板と、2つのねじ又はボルトとを備える。底板は、2つのねじ又はボルトを受け入れるための2つのねじ穴を含む。ボルト又はねじは、好ましくはステンレス金属製のねじ又はボルトである。圧力板は、2つのねじ又はボルトによってケーブルに取り付けることができる。圧力板は、好ましくはU字形状である。好ましくは、張力緩和部は2つのU字形状を含み、第1のU字形状が圧力板であり、第2のU字形状が底板に固定されている。張力緩和部により、ケーブルにかかる引張力は、第1の開口部の側からケーブル導入口に伝達されることはない。このことは、ケーブル導入口を頑丈で防水及び防塵にするのに有利である。更なる利点は、ケーブルがケーブル導入口に対して常に同じ方向に位置決めされるため、ケーブルがケーブル導入口にねじり力を及ぼさないか、又はねじり力が制限されることである。ねじり力は、ケーブル導入口の防水性及び防塵性に悪影響を及ぼす可能性がある。この実施形態は、直径の大きなケーブルに特に有利である。
【0060】
好ましい実施形態によれば、ハウジングは、少なくとも2つのケーブル導入口を備える。箱は、側壁上に細長円筒形突出部を含む。細長円筒形突出部は、ケーブルを通すための円筒形チャネルを含む。チャネルは、箱から細長円筒形突出部の自由端部まで延在している。細長円筒形突出部は、2つの着脱可能な半体を含む。細長円筒形突出部の第1の半体が、箱の第1の半体の一部であり、細長円筒形突出部の第2の半体が、箱の第2の半体の一部である。これにより、ケーブルを切断することなく、いくつかのケーブルをチャネルに送り込むことができるので、有利である。好ましくは、1つのケーブル導入口は、細長円筒形突出部の長手方向で、反対側の側壁上にある。複数のケーブルの直径が異なる場合、直径が最大のケーブルのためのケーブル導入口は、好ましくは細長円筒形突出部の長手方向にある。このことは、直径が最大のケーブルは可撓性が最も小さく、ケーブル導入口から細長円筒形突出部までケーブルを曲げることが容易でないと予想されるため、有利である。
【0061】
この実施形態は、例えば第2のハウジング内の1つの開口部にいくつかのケーブルを送り込むのに有利である。複数のケーブルは、各々、ハウジング内の別個のケーブル導入口から別々に供給される。複数のケーブルは、ハウジングの外から細長円筒形突出部に一緒に送り込まれる。細長円筒形突出部は、第2のハウジング内のケーブル導入口を通過し、それによって、複数のケーブルは同時に、第2のハウジング内のケーブル導入口を通過する。例えば、第1の態様によるケーブル導入口又は第2の態様によるハウジングを使用して、防水及び防塵性のケーブル導入口を使用して細長円筒形突出部を第2のハウジング内に送り込むことにより、複数のケーブルは単一の防水及び防塵性のケーブル導入口から第2のハウジング内を通過する。本実施形態によるハウジングは、いわば、第1の態様による単一のケーブル導入口用のマルチケーブル挿入部である。
【0062】
第3の態様では、本発明は、防水及び防塵のケーブル導入口にケーブルを通すための方法に関する。
【0063】
好ましい実施形態では、本方法は、
- ケーブル導入口の封止要素内の円筒形チャネル内にケーブルを送り込むステップと、
- ケーブル導入口の本体の空洞内に封止要素を受け入れるステップであって、本体は長手方向軸線に沿って延在し、ケーブルは本体の第1の開口部及び第2の開口部を挿通させ、第1の開口部及び第2の開口部は本体の長手方向軸線上で空洞の両側に位置決めされるものである、ステップと、
- クランプ要素を使用して本体の空洞内に封止要素をクランプするステップと、
を含む。
【0064】
封止要素は螺旋形状である。封止要素は、ケーブルの周りに螺旋状に巻かれている。封止要素がケーブルの周りに螺旋状に巻回されているため、ケーブルを切断することなく封止要素をケーブルの周りに巻くことができ、それによってケーブルが封止要素のチャネルに導入される。更なる利点は、封止要素を更新又は手入れする必要がなく、封止要素が広範囲のケーブル直径に適していることである。また、封止要素をケーブルの周りに螺旋状に巻き付けることによって、ケーブルの周りにいくつかの連続する連続した封止リングが形成され、それによって本発明によるケーブル導入口が高い水圧に耐えることができ、したがって地下での使用に特に有利であることも有利である。環境と接する側の封止要素が老朽化しても、防水性と防塵性を保証し続けるのに十分な連続したリングがあることも有利である。
【0065】
本体は、2つの半体に開かれて封止要素を受け入れる。その後、2つの半体は、封止要素の周りで閉じられる。本体を2つの半体に開くことによって、ケーブルを切断することなく、本体を封止要素の周りで閉じることができ、その後、封止要素は、本体の空洞内に受け入れられる。
【0066】
クランプ要素は、2つの半体に開かれて封止要素をクランプする。次いで、2つの半体はケーブルの周りで閉じられ、クランプ要素はケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定される。クランプ要素は、長手方向軸線に沿った方向でケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定される。クランプ要素を2つの半体に開くことによって、ケーブルを切断することなく、クランプ要素をケーブルの周りで閉じることができる。クランプ要素をケーブル導入口内又はケーブル導入口上に固定することによって、封止要素は本体の空洞内でクランプされる。
【0067】
クランプ要素によって本体の空洞内で本体の長手方向軸線に沿った方向に封止要素をクランプするとき、封止要素は長手方向軸線方向に圧縮され、長手方向軸線に直交する方向に拡張し、チャネルは、場合によっては最初に、封止要素が空洞の壁に押し付けられるまで拡張し、その後、チャネルは、更なる圧縮時に閉じられる。したがって、チャネルがケーブルのあらゆる所に完全に結合しないこともあり得る。したがって、封止要素をケーブルの周りに螺旋状に巻き付けることによって、封止要素の連続したループが圧縮中に互いに対してねじれ、封止要素に含まれるチャネルが直ちに収縮する一方で、同時に、封止要素が空洞の壁に対して圧縮されることが特に有利である。これは、蛇が獲物に巻き付くのに似ている。これにより、封止要素の全長にわたってケーブル導入口が防水及び防塵性であることが保証される。
【0068】
好ましい実施形態によれば、クランプ要素は中空ボルトである。中空ボルトは、長手方向軸線に沿って延在している。中空ボルトは、本体の長手方向軸線に沿ってケーブルを通すためのチャネルを備える。チャネルは、ボルトの第1の端部から第2の端部まで延在している。中空ボルトはねじ山を含む。中空ボルトは、ケーブル導入口内で締め付けられる。中空ボルトは、締付中に封止要素を圧縮する。ケーブルの直径に応じて中空ボルトをより少なく又はより多くねじ込むことができ、それによって、中空ボルトが封止要素を空洞内の壁により少なく又はより多く押し付け、チャネルがより多く又はより少なく収縮するため、中空ボルトは本体の空洞内に封止要素をクランプするのに有利である。
【0069】
好ましい実施形態によれば、本方法は、張力緩和部にねじ込む追加のステップを含む。張力緩和部は、ケーブル導入口に含まれる。張力緩和部は、圧力板と、2つのねじ又はボルトとを備える。ボルト又はねじは、好ましくはステンレス金属製のねじ又はボルトである。本体は、2つのねじ又はボルトを受け入れるための2つのねじ穴を含む。圧力板は、2つのねじ又はボルトによってケーブルに取り付けられている。圧力板は、好ましくはU字形状である。好ましくは、張力緩和部は2つのU字形状を含み、第1のU字形状が圧力板であり、第2のU字形状がケーブル導入口に固定されている。好ましくは、2つの張力緩和部がねじ込まれ、第1の張力緩和部が第1の開口部の側に、第2の張力緩和部が-+第2の開口部の側にある。張力緩和部により、ケーブルにかかる引張力は、ケーブル上の可能性のある分岐に伝達されることはない。このことは、分岐を頑丈にするのに有利である。更なる利点は、ケーブルがケーブル導入口に対して常に同じ方向に位置決めされるため、ケーブルがケーブル導入口にねじり力を及ぼさないか、又はねじり力が制限されることである。ねじり力は、ケーブル導入口の防水性及び防塵性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0070】
好ましい実施形態によれば、ケーブルは、ケーブル導入口を通るときに切断されない。このことは、ケーブルをケーブル導入口に通すために通信又はエネルギーシステムを中断する必要がないことを意味するため、有利である。
【0071】
当業者は、第1の態様によるケーブル導入口が、好ましくは第3の態様による方法を実行するように構成され、第3の態様による方法が、好ましくは第1の態様によるケーブル導入口を使用して実行されることを理解するであろう。したがって、本明細書で上述及び後述する各構成は、本発明の4つの態様のいずれにも関連し得る。
【0072】
第4の態様では、本発明は、通信又はエネルギーシステムに接続箱を配置するための第2の態様によるハウジング又は第3の態様による方法の使用に関する。
【0073】
この使用は、ケーブルを切断する必要がなく、通信又はエネルギーシステムを中断する必要がないため、通信又はエネルギーシステムにおけるケーブルの分岐が有利になる。接続箱は、既に設置されたケーブルの周りに取り付けることができ、その後、追加の分岐を行うことができる。ケーブル導入口を使用することで、接続箱は、地下で使用するときでも防水性と防塵性を非常に長期間維持し、例えば修理又は追加の分岐のために簡単に再び開けることができる。
【0074】
以下では、本発明を図示する非限定的な図によって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0075】
[図面の詳細な説明]
図1は、本発明の一実施形態によるハウジングの断面図である。
【0076】
ケーブル(1)は、ハウジング(2)内のケーブル導入口(18)から送り込まれる。図1にはハウジング(2)の一部のみが示されている。ケーブル導入口(18)は、ハウジング(2)と一体化している。ケーブル導入口(18)は、本体(4)と、封止要素(5)と、クランプ要素(12)と、を備える。本体(4)は、長手方向軸線(20)に沿って延在している。本体(4)は、空洞(6)と、第1の開口部(9)と、第2の開口部(10)と、を備える。第1の開口部(9)及び第2の開口部(10)は、長手方向軸線(20)上で、空洞(6)の両側に位置決めされている。封止要素(5)は、空洞(6)内に受け入れられる。封止要素(5)は螺旋形状であり、ケーブル(1)の周りに巻かれている。空洞(6)及び封止要素(5)は円錐形状であり、空洞(6)及び封止要素(5)は頂角(β)が等しい。本体(4)及びクランプ要素(12)は、2つの半体を備える。本体(4)の第1の半体は、ハウジング(2)の第1の半体と一体化している。本体(4)の第2の半体は、ハウジング(2)の第2の半体によって本体(4)の第1の半体に対してクランプされる。ケーブル導入口(18)は、2つの、張力緩和部(8)及び張力緩和部(17)を備える。張力緩和部(8)及び張力緩和部(17)は、それぞれ(31)及び(30)に詳細に示されている。張力緩和部(8)及び張力緩和部(17)は、第1のボルト(23)及び第2のボルト(28)を含む2つの金属ステンレスボルト(24)を含み、第1のU字形状部(25)及び第2のU字形状部(29)を含む。第2のU字形状部(29)は、本体(4)の第1の半体に取り付けられている。第1のU字形状部(25)は、第1のボルト(23)及び第2のボルト(28)によって第2のU字形状部(29)に取り付けられている。第1の開口部(9)近くの空洞(6)内には、第1の座金(7)が配置されている。第1の座金(7)は、2つの着脱可能な半体を含む。クランプ要素(12)は、中空ボルト(12)である。中空ボルト(12)は、中空ボルト(12)の2つの半体の長手方向軸線(20)に沿った縁部に凹部及び/又は歯(13)を有する。第2の開口部(10)の側で、ケーブル導入口(18)は、ケーブル導入口(18)内で中空ボルト(12)を締め付けるための、長手方向軸線(20)の周りに対称的にねじ山を有する円筒形内壁(11)を備える。本実施形態では、円筒形内壁(11)は、張力緩和部(17)に含まれている。ねじ山付き円筒形内壁(11)は、ねじ山付き円筒形内壁(26)として細部(30)に示しており、第1のU字形状部(25)の一部及び第2のU字形状部(29)の一部である。張力緩和部(8)の細部(31)も円筒形内壁を有するが、ねじ山はない。矢印付きの破線(27)は、ケーブル導入口(18)内で中空ボルト(12)を締め付ける際の回転方向を示す。中空ボルト(12)の内側には、中空円筒形押圧手段(14)が配置されている。ケーブル(1)は、中空円筒形押圧手段(14)を通り抜けている。中空円筒形押圧手段(14)は、第2の開口部(10)の側に環状圧力面(15)を有し、中空円筒形押圧手段(14)の2つの半体の長手方向軸線(20)に沿った縁部に凹部及び/又は歯(21)を有する。第2の開口部(10)近くの空洞(6)内には、第2の座金(22)が配置されている。第2の座金(22)は、2つの着脱可能な半体を含む。第2の座金(22)は、中空円筒形押圧手段(14)の環状圧力面(15)に当接して配置され、中空円筒形押圧手段(14)が封止要素(5)に加える押圧力を均等に分散させるように適合化されている。ケーブルの直径が大きい場合、大きな引張力と曲げ力が生じるため、追加の張力緩和部を設置しなければならない。このために、ハウジング(2)は、随意的な底板(3)を備える。底板は(3)は、ケーブル導入口(18)のある側壁を越えて延在している。底板(3)は、ケーブル導入口(18)の長手方向に張力緩和部(16)を備える。
【0077】
図2は、本発明の代替実施形態によるハウジングの断面図である。
【0078】
ハウジング(2)は、自由内部空間と、細長円筒形突出部(19)と、複数のケーブル導入口(18)とを備える。ケーブル導入口(18)は、図1のケーブル導入口(18)と同様である。細長円筒形突出部(19)側とは反対側のハウジング(2)の側壁にはケーブル導入口(18)がある。ハウジング(2)は、細長円筒形突出部(19)と反対側のケーブル導入口(18)との間のハウジング(2)の第1の側壁における3つの更なるケーブル導入口(18)と、細長円筒形突出部(19)と反対側のケーブル導入口との間のハウジング(2)の第2の側壁における3つの更なるケーブル導入口(18)とを備える。当該6つの更なるケーブル導入口(18)は、当該反対側のケーブル導入口(18)よりも直径が小さい。細長円筒形突出部(19)は、図1のケーブル導入口(18)と同様に、ケーブル導入口(18)を通過し、防水及び防塵的に第2のハウジングを通過する。第2のハウジングは図2には示していない。図2のハウジング(2)は、複数のケーブルが防水及び防塵的に通過するのに適しており、この実施形態では、ケーブル導入口を通過する主ケーブル、及び6つの追加ケーブルがある。
図1
図2
【国際調査報告】