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特表2024-513230プライミング機能を有する静脈内フィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】プライミング機能を有する静脈内フィルタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/165 20060101AFI20240314BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A61M5/165 500N
A61M5/14 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561268
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022022383
(87)【国際公開番号】W WO2022216478
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】17/223,938
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤミン、レイラ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ケリー クロスター
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066GG06
4C066MM07
4C066QQ12
(57)【要約】
IVフィルタが本明細書に記載される。IVフィルタは、フィルタ・ハウジングと、濾材と、フィルタ・チャネルと、プライミング・チャネルと、円盤弁とを含む。フィルタ・ハウジングは、入口及び出口を画定する。濾材は、フィルタ・ハウジング内に配置される。フィルタ・チャネルは、フィルタ・ハウジング内に配置される。フィルタ・チャネルは、入口及び濾材と流体連通し、濾材は、フィルタ・チャネルから出口への流れを可能にし、流れから微粒子を捕捉する。プライミング・チャネルは、フィルタ・ハウジング内に配置される。プライミング・チャネルは、入口及び出口と流体連通する。円盤弁は、フィルタ・ハウジングへ結合される。円盤弁は、第1の位置において入口からプライミング・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において入口からフィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び出口を画定するフィルタ・ハウジングと、
前記フィルタ・ハウジング内に配置された濾材と、
前記フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、前記入口及び前記濾材と流体連通し、前記濾材が前記フィルタ・チャネルから前記出口への流れを可能にし、前記流れから微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネルと、
前記入口及び前記出口と流体連通する、前記フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネルと、
第1の位置において前記入口から前記フィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において前記入口から前記プライミング・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、前記フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁と
を有する、IVフィルタ。
【請求項2】
前記プライミング・チャネルが、第1の流量で前記入口から前記出口へ流れを方向づけるように構成され、前記フィルタ・チャネルが、第2の流量で前記入口から前記出口へ流れを方向づけるように構成され、前記第1の流量が、前記第2の流量より大きい、請求項1に記載のIVフィルタ。
【請求項3】
前記円盤弁が、そこを通る流れを可能にするように構成される流れ部、及びそこを通る流れを遮断するように構成される封止部を画定する、請求項1に記載のIVフィルタ。
【請求項4】
第1の位置において、前記流れ部が、前記入口と前記プライミング・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、前記封止部が、前記入口と前記フィルタ・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、請求項3に記載のIVフィルタ。
【請求項5】
第2の位置において、前記流れ部が、前記入口と前記フィルタ・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、前記封止部が、前記入口と前記プライミング・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、請求項3に記載のIVフィルタ。
【請求項6】
前記円盤弁が、使用者が前記円盤弁を動かすことを可能にするように構成される、前記流れ部及び前記封止部の周りに配置された外側部を有する、請求項3に記載のIVフィルタ。
【請求項7】
前記円盤弁が、前記フィルタ・ハウジングに対して回転可能である、請求項1に記載のIVフィルタ。
【請求項8】
前記出口と流体連通するリザーバをさらに有する、請求項1に記載のIVフィルタ。
【請求項9】
前記プライミング・チャネルが、前記リザーバと流体連通する、請求項8に記載のIVフィルタ。
【請求項10】
前記濾材が、前記リザーバと流体連通する、請求項8に記載のIVフィルタ。
【請求項11】
前記フィルタ・ハウジング内で濾材を支持するための、少なくとも1つのフィルタ支持体をさらに有する、請求項1に記載のIVフィルタ。
【請求項12】
IVフィルタへの流れを導入することと、
フィルタ・チャネルを介して入口から濾材を通して流れを方向づけることと、
円盤弁を動かして、前記フィルタ・チャネルからプライミング・チャネルへ流れを方向づけることと、
前記プライミング・チャネルを介して前記IVフィルタの前記入口から前記IVフィルタの出口へ流れを方向づけて、前記濾材を迂回することと
を有する、方法。
【請求項13】
第1の流量で前記フィルタ・チャネルを介して前記入口から前記濾材を通して前記出口へ流れを方向づけることと、
第2の流量で前記プライミング・チャネルを介して前記IVフィルタの前記入口から前記IVフィルタの前記出口へ流れを方向づけることであって、前記第2の流量が前記第1の流量より大きい、方向づけることと
をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プライミング・チャネルを介して前記IVフィルタの前記入口から前記IVフィルタの前記出口へ流れを前記方向づけることの間、前記フィルタ・チャネルを封止すること
をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタ・チャネルを介して前記入口から前記濾材を通して流れを前記方向づけることの間、前記プライミング・チャネルを封止すること
をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記IVフィルタに対して前記円盤弁を回転させて、前記フィルタ・チャネルから前記プライミング・チャネルへ流れを方向づけること
をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
管類の第1の部分と、
管類の第2の部分と、
管類の前記第1の部分と流体連通する入口及び管類の前記第2の部分と流体連通する出口を画定するフィルタ・ハウジング、
管類の前記第1の部分及び管類の前記第2の部分と流体連通する、前記フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネル、
前記フィルタ・ハウジング内に配置された濾材、
前記フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、管類の前記第1の部分及び前記濾材と流体連通し、前記濾材が前記フィルタ・チャネルから管類の前記第2の部分への流れを可能にし、管類の前記第1の部分から微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネル、並びに
第1の位置において管類の前記第1の部分から前記フィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において管類の前記第1の部分から前記プライミング・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、前記フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁
を有するIVフィルタと
を有する、IVセット。
【請求項18】
前記プライミング・チャネルが、第1の流量で管類の前記第1の部分から管類の前記第2の部分へ流れを方向づけるように構成され、前記フィルタ・チャネルが、第2の流量で管類の前記第1の部分から管類の前記第2の部分へ流れを方向づけるように構成され、前記第1の流量が、前記第2の流量より大きい、請求項17に記載のIVセット。
【請求項19】
前記円盤弁が、そこを通る流れを可能にするように構成される流れ部、及びそこを通る流れを遮断するように構成される封止部を画定する、請求項17に記載のIVセット。
【請求項20】
第1の位置において、前記流れ部が、管類の前記第1の部分と前記プライミング・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、前記封止部が、管類の前記第1の部分と前記フィルタ・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、請求項19に記載のIVセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にフィルタに関し、詳細には静脈内セットのためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療的処置には、一般に「静脈内(IV:intravenous)セット」と呼ばれる可撓性の管類及び取付具の組み合わせを介して流体の供給源、例えばIVバッグに接続されるIVカテーテルを使用する、患者への医療用流体(例えば、生理食塩水又は液体薬品)の注入がしばしば含まれる。使用されている間、医療用流体を、濾過して、細菌、微生物、及び/又は他の病原体の移入を防ぐことができる。
【0003】
一部の利用において、フィルタは、流体でプライミングを行うために大量の時間を必要とし、ある特定の施術を遅延させ得る。
【発明の概要】
【0004】
開示される主題は、IVフィルタに関する。ある特定の実施例では、入口及び出口を画定するフィルタ・ハウジングと、フィルタ・ハウジング内に配置された濾材と、フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、入口及び濾材と流体連通し、濾材がフィルタ・チャネルから出口への流れを可能にし、流れから微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネルと、入口及び出口と流体連通する、フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネルと、第1の位置において入口からプライミング・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において入口からフィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁とを有する、IVフィルタが開示される。
【0005】
ある特定の実施例では、IVフィルタへの流れを導入することと、プライミング・チャネルを介してIVフィルタの入口からIVフィルタの出口へ流れを方向づけて、濾材を迂回することと、円盤弁を動かして、プライミング・チャネルからフィルタ・チャネルへ流れを方向づけることと、フィルタ・チャネルを介して入口から濾材を通して流れを方向づけることとを有する、方法が開示される。
【0006】
ある特定の実施例では、管類の第1の部分と、管類の第2の部分と、管類の第1の部分と流体連通する入口及び管類の第2の部分と流体連通する出口を画定するフィルタ・ハウジング、管類の第1の部分及び管類の第2の部分と流体連通する、フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネル、フィルタ・ハウジング内に配置された濾材、フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、管類の第1の部分及び濾材と流体連通し、濾材がフィルタ・チャネルから管類の第2の部分への流れを可能にし、管類の第1の部分から微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネル、並びに第1の位置において管類の第1の部分からプライミング・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において管類の第1の部分からフィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁を有するIVフィルタとを有する、IVセットが開示される。
【0007】
本技術の様々な構成が、本開示から当業者に容易に明らかとなり、本技術の様々な構成が、例示として示され記載されることが理解される。認識されるように、本技術は他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべてが本技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で変更が可能である。したがって、概要、図面、及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものとはみなされない。
【0008】
添付の図面は、さらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、開示される実施例を例示し、その説明と共に、開示される実施例の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のある特定の態様による、IVポンプを通して医療用流体の注入を受ける患者を例示する図である。
図2】本開示のある特定の態様による、インラインIVフィルタの前面図である。
図3図2のインラインIVフィルタの前面断面図である。
図4図2のインラインIVフィルタの側面断面の概略図である。
図5図2のインラインIVフィルタの円盤弁の上面図である。
図6A】プライミング構成における、図2のインラインIVフィルタの側面断面の概略図である。
図6B】濾過構成における、図2のインラインIVフィルタの側面断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示されるIVフィルタは、プライミング流路、フィルタ流路、及びプライミング流路とフィルタ流路との間の流れを方向づけるための弁を提供する。IVフィルタは、フィルタの急速なプライミング、及び医療用流体の濾過を選択的に可能にする。
【0011】
以下に記載される詳細な説明は、本技術の様々な構成の説明として意図され、本技術が実施され得る限られた構成を提示することを意図されない。詳細な説明は、本技術の徹底した理解を提供することを目的として、具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくとも本技術を実施できることは、当業者に明らかであろう。一部の例では、周知の構造及び構成要素が、本技術の概念を曖昧にすることを避けるためブロック図の形で示される。同様の構成要素は、理解を容易にするために同一の要素番号で表示される。参照符号は、添え字のない同じ数字によって総称的に参照されるが、共通の要素の別個の例を表すために添え字が付される場合がある。
【0012】
以下の説明は、開示されるIVフィルタを使用した医療用流体の投与のためのフィルタを対象とするが、この説明は用法の実例にすぎず、請求項の範囲を限定しないことが理解されるべきである。開示されるフィルタの様々な態様は、IVフィルタの急速なプライミングを提供することが望ましい、いずれの用途においても使用され得る。
【0013】
開示されるインラインIVフィルタは、ある特定の従来のインラインIVフィルタに関して発見された、いくつかの困難を克服する。ある特定の従来のインラインIVフィルタの困難の1つは、ある特定の従来のインラインIVフィルタが、インラインIVフィルタのプライミングを行うために十分な医療用流体を吸引するために、大量の時間を必要とし得ることである。ある特定の従来のインラインIVフィルタの別の困難は、ある特定の従来のインラインIVフィルタが、延長された又は長期の使用で詰まり得ることである。著しいプライミング時間が施術を遅延させ、臨床医の注意を引き付け、詰まったフィルタが濾過効率及びフィルタ寿命を低下させ得るので、従来のインラインIVフィルタの使用は望ましくない。
【0014】
そのため、本開示により、急速なプライミングを可能にする、本明細書に記載のインラインIVフィルタを提供することは有利である。さらに、濾材の寿命を延長するためにフィルタを通る流れを限定する、本明細書に記載のインラインIVフィルタを提供することは有利である。
【0015】
急速なプライミングを可能にし、濾材の寿命を延長するIVフィルタの実例が、ここで記載される。
【0016】
図1は、本開示のある特定の態様による、IVポンプ30を通して医療用流体の注入を受ける患者5を例示する。IVポンプ30は、コントローラ32と、2つのポンプ・モジュール34とを有する。IVセット20は、医療用流体の容器36と患者5との間に接続される。使用される前に、IVセット20の構成要素は、医療用流体でプライミングを行われ得る。さらに、使用されている間、患者5へ送達された医療用流体を、濾過して、細菌、微生物、及び/又は他の病原体の移入を防ぐことができる。本明細書に記載のインラインIVフィルタは、プライミング作業及び患者5へ送達された医療用流体の濾過を可能にし得る。一部の実施例では、インラインIVフィルタ・アセンブリは、IVセット20の管類の間に又はそれらと一列に配置され得る。認識され得るように、インラインIVフィルタは、重力セット(gravity set)などの他のアセンブリと共に利用され得る。
【0017】
図2は、本開示のある特定の態様による、インラインIVフィルタ100の前面図を例示する。図3は、図2のインラインIVフィルタ100の前面断面図を例示する。図4は、図2のインラインIVフィルタ100の側面断面図を例示する。図2図4を参照すると、インラインIVフィルタ100は、IVセットを通る流体の濾過を可能にする。
【0018】
図示される実例では、流体の流れは、インラインIVフィルタ100の本体110に形成される入口112を通って、インラインIVフィルタ100に入る。入口112は、本体110内に画定される内室との流体連通をもたらして、医療用流体が濾過されることを可能にする。本体110は、プラスチックを含むがこれに限定されない、剛性材料から形成され得る。
【0019】
一部の実施例では、IVセット20からの管類102は、入口112へ結合されて、流体容器36又はIVセット20の他の構成要素から、本体110内に画定される内室への流れを可能にし得る。流体の流れは、インラインIVフィルタ100を通過するために正圧を有し得る。
【0020】
図示される実例では、入口112からの流体の流れは、本体110内に配置されたフィルタ・チャネル130を通して濾材134へ方向づけられ得る。フィルタ・チャネル130は、入口112から濾材134に向かう流路を画定し得る。
【0021】
例示されるように、フィルタ・チャネル130からの流体は、濾材134を通過して、患者への細菌、微生物、及び/又は他の病原体の移入を防ぐことができる。さらに、流体は、濾材134を通過して、1つ又は複数の空気抜き135を通して医療用流体から空気を除去することができる。使用されている間、流体は、フィルタ・チャネル130から濾材134を通って本体110内に形成されるリザーバ122へ、流れることができる。認識され得るように、正の差圧によって、フィルタ・チャネル130から濾材134を通してリザーバ122へ、流体の流れを方向づけることができる。
【0022】
本明細書に記載されるように、濾材134は、インラインIVフィルタ100を通る流れを選択的に濾過することができる。濾材134は、略平面又は直方体形状であり得る。一部の実施例では、濾材134は、円形又は任意の他の好適な形状であり得る。例示されるように、濾材134は、本体110の幅及び長さの一部に沿って延在し得る。一部の実施例では、濾材134は、本体110の幅に概ね沿って延在し得る。使用されている間、流体の流れは、フィルタ・チャネル130からの流れにさらされる濾材134の表面域に沿って、濾材134に流れることができる。
【0023】
例示されるように、濾材134は、本体110の部分によって支持され得る。一部の実施例では、濾材134の部分は、本体110の対向する部分の間で捕捉され得る。場合により、本体110に形成される突出部又はフィルタ支持体136が、本体110内で濾材134をさらに保持又は支持し得る。
【0024】
一部の実施例では、フィルタ支持体136は、フィルタ・チャネル130から濾材134への、1つ又は複数のフィルタ流路132を画定し得る。例示されるように、フィルタ流路132は、本体110内の隣接するフィルタ支持体136の間に画定され得る。使用されている間、流体は、フィルタ・チャネル130から1つ又は複数のフィルタ流路132に沿って濾材134に流れることができる。場合により、フィルタ支持体136によって画定されるフィルタ流路132は、曲がりくねった流路又は複数の屈曲を有する流路を含み得る。例えば、フィルタ流路132は、フィルタ100の壁部の長さに沿って延在し、その後、隣接する反対側の流路に戻って方向づけられ得る。
【0025】
濾材134を通過した後に、流体の流れは、インラインIVフィルタ100の本体110に形成される出口114を通って、インラインIVフィルタ100から出ることができる。入口112と同様に、一部の実施例では、IVセット20からの管類104は、出口114へ結合されて、インラインIVフィルタ100から患者又はIVセット20の他の構成要素への流れを可能にし得る。
【0026】
場合により、濾材134を通過する流体は、本体110内に画定されるリザーバ122内に貯蔵又は保持され得る。使用されている間、リザーバ122内の流体は、流体の送達状況及び需要に基づいて、蓄積及び分配され得る。図示される実例では、流体の流れは、リザーバ122と流体連通する出口114を通って、インラインIVフィルタ100から出ることができる。
【0027】
さらに、図示される実例では、インラインIVフィルタ100は、濾材134を迂回して、プライミング作業を容易にすることができる。認識され得るように、濾材134を迂回することによって、インラインIVフィルタ100が、急速にプライミングを行われることが可能であり、濾材134の寿命が、プライミング流体の流れの不必要な濾過を回避することによって、延長され得る。
【0028】
プライミングの間、インラインIVフィルタ100は、医療用流体が濾材134を通過することなく入口112から出口114へ流れることを可能にし、流体が、濾材134を通して方向づけられる流体の流れと比較して、より大きい流量でインラインIVフィルタ100を通過することを可能にし得る。図示される実例では、医療用流体は、プライミング・チャネル120を介して、入口112から出口114へ流れることができる。一部の実施例では、医療用流体は、プライミング・チャネル120を介して、入口112からリザーバ122へ流れることができる。流体は、リザーバ122と流体連通する出口114を通って、インラインIVフィルタ100から出ることができる。認識され得るように、プライミング・チャネル120の内径は、濾材134を通して流れを方向づけるチャネルの内径より大きく、プライミング・チャネル120を通る流れがフィルタ流路を通る流れより速く流れることを可能にし得る。
【0029】
図示される実例では、インラインIVフィルタ100は、通常の作業の間の医療用流体の濾過、及びプライミング作業の間のプライミングの流れの増加、又はIV療法の間の任意の他の空気除去作業を可能にするように構成され得る。図5は、図2のインラインIVフィルタ100の円盤弁150の上面図を例示する。図2図5を参照すると、円盤弁150は、入口112から、濾過作業のためにフィルタ・チャネル130へ、又はプライミング作業のためにプライミング・チャネル120へ流れを方向づけることができる。
【0030】
使用されている間、円盤弁150は、入口112から濾過チャネル130又はプライミング・チャネル120に向かって流れを方向づけるように動かすことができる。例示されるように、円盤弁150は、流れがそこを通過することを可能にする、流れ部154を画定する。流れ部154は、入口112から濾過チャネル130及び/又はプライミング・チャネル120に向かって流れを方向づけるように形状が定められるか、又は別様に構成され得る。円盤弁150は、入口112から濾過チャネル130及び/又はプライミング・チャネル120への流れを遮断又は止めるように形状が定められる、封止部152をさらに画定する。
【0031】
図示される実例では、円盤弁150の流れ部154及び封止部152は、入口112からの流れ及びインラインIVフィルタ100の動作を制御するように動かされるか、又は整列され得る。
【0032】
図6Aは、プライミング構成における、図2のインラインIVフィルタ100の側面断面の概略図を例示する。図2図6Aを参照すると、円盤弁150は、インラインIVフィルタ100がプライミング構成において動作することを可能にするように動かされ得る。図示される実例では、円盤弁150は、入口112からプライミング・チャネル120に向かって流れを方向づけるために、流れ部154を整列させるように動かされ得る。例示されるように、流れ部154は、入口112からプライミング・チャネル120を通して出口114へ流れを方向づけ、プライミングの流れPが濾材134を迂回し、インラインIVフィルタ100を通過することを可能にし得る。さらに、封止部152は、入口112から濾過チャネル130に向かう流れを遮断するように整列され得る。例示されるように、封止部152は、濾過チャネル130を封止して、入口112からの流れが濾材134に入ることを防ぐことができる。
【0033】
図6Bは、濾過構成における、図2のインラインIVフィルタ100の側面断面の概略図を例示する。図2図5及び図6Bを参照すると、円盤弁150は、インラインIVフィルタ100が濾過構成において動作することを可能にするように動かされ得る。図示される実例では、円盤弁150は、入口112から濾過チャネル130に向かって流れを方向づけるために、流れ部154を整列させるように動かされ得る。例示されるように、流れ部154は、入口112から濾過チャネル130を通して濾材134へ流れを方向づけ、フィルタの流れFが濾材134を通過することを可能にし得る。さらに、封止部152は、入口112からプライミング・チャネル120に向かう流れを遮断するように整列され得る。例示されるように、封止部152は、プライミング・チャネル120を封止して、入口112からの流れが濾材134を迂回することを防ぐことができる。
【0034】
本明細書に記載されるように、円盤弁150は、濾過構成とプライミング構成との間でインラインIVフィルタ100を変化させるように動かされ得る。円盤弁150は、円盤弁150の位置を調整するために、滑動、回転、又は別様に作動され得る。一部の実施例では、円盤弁150は、本体110に対して回転可能である。場合により、円盤弁150の外側部156は、円盤弁150を動かすか、又は別様に作動させ、円盤弁150の流れ部154及び/又は封止部152の位置を調整するために、回転され得る。
【0035】
条項としての本技術の例示
本技術は、例えば、以下で記載される様々な態様により、例示される。本技術の態様の様々な実例は、便宜上、番号づけられた条項(1、2、3など)として記載される。これらは、実例として提供され、本技術を限定しない。従属条項のいずれかが、任意の組み合わせで組み合わされ、それぞれの独立条項、例えば、条項1又は条項5に適応され得ることが留意される。他の条項が、同様に提示され得る。
【0036】
条項1. 入口及び出口を画定するフィルタ・ハウジングと、フィルタ・ハウジング内に配置された濾材と、フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、入口及び濾材と流体連通し、濾材がフィルタ・チャネルから出口への流れを可能にし、流れから微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネルと、入口及び出口と流体連通する、フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネルと、第1の位置において入口からフィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において入口からプライミング・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁とを含む、IVフィルタ。
【0037】
条項2. プライミング・チャネルが、第1の流量で入口から出口へ流れを方向づけるように構成され、フィルタ・チャネルが、第2の流量で入口から出口へ流れを方向づけるように構成され、第1の流量が、第2の流量より大きい、条項1に記載のIVフィルタ。
【0038】
条項3. 円盤弁が、そこを通る流れを可能にするように構成される流れ部、及びそこを通る流れを遮断するように構成される封止部を画定する、条項1に記載のIVフィルタ。
【0039】
条項4. 第1の位置において、流れ部が、入口とプライミング・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、封止部が、入口とフィルタ・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、条項3に記載のIVフィルタ。
【0040】
条項5. 第2の位置において、流れ部が、入口とフィルタ・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、封止部が、入口とプライミング・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、条項3に記載のIVフィルタ。
【0041】
条項6. 円盤弁が、使用者が円盤弁を動かすことを可能にするように構成される、流れ部及び封止部の周りに配置された外側部を有する、条項3に記載のIVフィルタ。
【0042】
条項7. 円盤弁が、フィルタ・ハウジングに対して回転可能である、条項1に記載のIVフィルタ。
【0043】
条項8. 出口と流体連通するリザーバをさらに含む、条項1に記載のIVフィルタ。
【0044】
条項9. プライミング・チャネルが、リザーバと流体連通する、条項8に記載のIVフィルタ。
【0045】
条項10. 濾材が、リザーバと流体連通する、条項8に記載のIVフィルタ。
【0046】
条項11. フィルタ・ハウジング内で濾材を支持するための、少なくとも1つのフィルタ支持体をさらに含む、条項1に記載のIVフィルタ。
【0047】
条項12. IVフィルタへの流れを導入することと、フィルタ・チャネルを介して入口から濾材を通して流れを方向づけることと、円盤弁を動かして、フィルタ・チャネルからプライミング・チャネルへ流れを方向づけることと、プライミング・チャネルを介してIVフィルタの入口からIVフィルタの出口へ流れを方向づけて、濾材を迂回することとを含む、方法。
【0048】
条項13. 第1の流量でフィルタ・チャネルを介して入口から濾材を通して出口へ流れを方向づけることと、第2の流量でプライミング・チャネルを介してIVフィルタの入口からIVフィルタの出口へ流れを方向づけることであって、第2の流量が第1の流量より大きい、方向づけることとをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0049】
条項14. プライミング・チャネルを介してIVフィルタの入口からIVフィルタの出口へ流れを方向づけることの間、フィルタ・チャネルを封止することをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0050】
条項15. フィルタ・チャネルを介して入口から濾材を通して流れを方向づけることの間、プライミング・チャネルを封止することをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0051】
条項16. IVフィルタに対して円盤弁を回転させて、フィルタ・チャネルからプライミング・チャネルへ流れを方向づけることをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0052】
条項17. 管類の第1の部分と、管類の第2の部分と、管類の第1の部分と流体連通する入口及び管類の第2の部分と流体連通する出口を画定するフィルタ・ハウジング、管類の第1の部分及び管類の第2の部分と流体連通する、フィルタ・ハウジング内に配置されたプライミング・チャネル、フィルタ・ハウジング内に配置された濾材、フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタ・チャネルであって、管類の第1の部分及び濾材と流体連通し、濾材がフィルタ・チャネルから管類の第2の部分への流れを可能にし、管類の第1の部分から微粒子を捕捉する、フィルタ・チャネル、並びに第1の位置において管類の第1の部分からフィルタ・チャネルへ流れを方向づけるように、及び第2の位置において管類の第1の部分からプライミング・チャネルへ流れを方向づけるように動かすことができる、フィルタ・ハウジングへ結合された円盤弁を含むIVフィルタとを含む、IVセット。
【0053】
条項18. プライミング・チャネルが、第1の流量で管類の第1の部分から管類の第2の部分へ流れを方向づけるように構成され、フィルタ・チャネルが、第2の流量で管類の第1の部分から管類の第2の部分へ流れを方向づけるように構成され、第1の流量が、第2の流量より大きい、条項17に記載のIVセット。
【0054】
条項19. 円盤弁が、そこを通る流れを可能にするように構成される流れ部、及びそこを通る流れを遮断するように構成される封止部を画定する、条項17に記載のIVセット。
【0055】
条項20. 第1の位置において、流れ部が、管類の第1の部分とプライミング・チャネルとの間の流体連通を可能にするように整列され、封止部が、管類の第1の部分とフィルタ・チャネルとの間の流体連通を遮断するように整列される、条項19に記載のIVセット。
【0056】
本開示は、いずれの当業者も、本明細書に記載の様々な態様を実施することができるように提供される。本開示は本技術の様々な実例を提供し、本技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様の様々な変更が、当業者に容易に明らかであり、本明細書に定義される包括的な原理は、他の態様に適用することができる。
【0057】
単数の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「ただ1つ」を意味することを意図されず、むしろ「1つ又は複数」を意味することを意図される。具体的にそうでないことが述べられていない限り、用語「いくつか」は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び無性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているだけであり、本発明を限定しない。
【0058】
「模範的」という言葉は、「実例又は例示としての役割を果たす」を意味するように本明細書で使用される。「模範的」であると本明細書で記載される態様又は設計がいずれも、他の態様若しくは設計よりも好ましい又は有利であると、必ずしも解釈されるわけではない。一態様では、本明細書に記載される様々な代替の構成及び動作は、少なくとも等価であるとみなされてよい。
【0059】
「態様」などの語句は、そのような態様が本技術に不可欠であることも、そのような態様が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある態様に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。ある態様は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指す場合があり、逆もまた同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が本技術に不可欠であることも、そのような実施例が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある実施例に関する開示は、すべての実施例又は1つ若しくは複数の実施例に適用され得る。ある実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指す場合があり、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が本技術に不可欠であることも、そのような構成が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある構成に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。ある構成は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指す場合があり、逆もまた同様である。
【0060】
一態様では、そうでないことが述べられていない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評点、位置、大きさ、寸法、及び他の仕様は、以下の特許請求の範囲におけるものを含めて、概略的なものであり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関する機能及びそれらが関わる技術分野の慣例に矛盾しない、合理的な範囲を有することを意図される。
【0061】
一態様では、用語「結合された」などは、直接的に結合されることを指し得る。別の態様では、用語「結合された」などは、間接的に結合されることを指し得る。
【0062】
用語「上」、「下」、「前」、「後」などは、本開示で使用される場合、通常の重力基準系(gravitational frame of reference)ではなく、むしろ任意の基準系を指すと理解されるべきである。したがって、上面、下面、前面、及び後面は、重力基準系において、上に、下に、斜めに、又は水平に延在し得る。
【0063】
様々な事物が、すべて本技術の範囲から逸脱することなく、異なって配置され得る(例えば、異なる順序で配置されるか、又は異なるやり方で分割される)。本開示の全体を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的等価物は、当業者に公知であるか、又は後に公知となるが、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図される。さらに、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることを意図するものではない。特許請求の範囲のいかなる要素も、その要素が語句「ための手段」を使用して明確に列挙されていない限り、又は方法の特許請求の範囲の場合には、語句「ためのステップ」を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定に基づいて解釈されるべきではない。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが使用される場合、用語「有する(comprise)」が特許請求の範囲において移行句として用いられる場合に解釈されるように、そのような用語は、「有する(comprise)」と同様に包含的であることを意図される。
【0064】
本開示の、「発明の名称」、「背景技術」、「発明の概要」、「図面の簡単な説明」、及び「要約書」は、これにより本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。本開示は、それらが請求項の範囲又は意味を限定するように使用されないという理解のもとで、提出される。さらに、「発明を実施するための形態」では、説明が例示的な実例を提供し、様々な特徴が本開示の簡素化を目的として、様々な実施例においてまとめられていることがわかる。このような開示方法は、特許請求される主題が各特許請求の範囲において明確に列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される構成又は動作のすべての特徴より少ない特徴で成り立つ。以下の特許請求の範囲は、これにより「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各特許請求の範囲は、別個に特許請求された主題として、それ自体で成立する。
【0065】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図するものではないが、特許請求の範囲の文言に矛盾しない最大限の範囲が認められ、すべての法的等価物を包含することになる。しかしながら、いずれの特許請求の範囲も、米国特許法第101条、102条、又は103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、またそのような主題を包含するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】