(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】薬物で調節可能な転写リプレッサー
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20240314BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240314BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240314BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20240314BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/09 100
C07K19/00
C07K14/195
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561277
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022023735
(87)【国際公開番号】W WO2022216874
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519028678
【氏名又は名称】センティ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ハン ミシェル エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】コットマン レベッカ テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ゴードリー ラッセル モリソン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA11
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、薬物で調節される転写抑制のためのキメラポリペプチドが提供される。また、目的の遺伝子の抑制を阻害する方法も提供される。本明細書では、(i)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、(ii)前記ITMに動作可能に連結されている、デグロンと、を含むキメラポリペプチドが提供される。本明細書に記述されるキメラポリペプチドは、小分子薬物に応答して転写抑制を阻害することによって可逆的な遺伝子オンスイッチを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、
(b)デグロンと
を含むキメラポリペプチドであって、
前記デグロンが、前記ITMに動作可能に連結され、かつ
前記転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメイン、HDAC4ドメイン、SCX HLHドメイン、ID1 HLHドメイン、HERC2 Cyt-b5ドメイン、TWST1 HLHドメイン、NKX22ホメオドメイン、ID3 HLHドメイン、およびTWST2 HLHドメインからなる群から選択される、
キメラポリペプチド。
【請求項2】
前記転写リプレッサードメインが、前記KRAB抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、minKRABを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A、L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fからなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつQ34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のキメラポリペプチド。
【請求項3】
前記転写リプレッサードメインが、前記HDAC4抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記HDAC4抑制ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のキメラポリペプチド。
【請求項4】
前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつジンクフィンガーモチーフのジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成され、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、6個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、配列番号5を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項5】
a.前記転写リプレッサードメインが、前記DNA結合ドメインに対しN末端側または前記DNA結合ドメインに対しC末端側であり、かつ/または、
b.前記転写リプレッサードメインおよび前記DNA結合ドメインが、第1のペプチドリンカーによって隔てられ、
任意選択的に、前記第1のペプチドリンカーが、GGGGSGGT(配列番号60)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/または、
c.前記ITMが、合成転写調節因子である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項6】
(a)前記デグロンが、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択され、かつ/または
(b)前記デグロンが、免疫調節薬物(IMiD)に応答してCRBNに結合する能力を有するセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択され、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物を含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物を含み、かつ/または、
(c)前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMIDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択され、
任意選択的に、前記ITMが、前記デグロンに対しN末端側または前記デグロンに対しC末端側であり、
任意選択的に、前記ITMが、第2のペプチドリンカーによって前記デグロンから隔てられ、
任意選択的に、前記第2のペプチドリンカーが、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、およびAAPAKQE(配列番号10)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、または前記第2のペプチドリンカーが、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットであって、
任意選択的に、前記プロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターを含むか、または前記プロモーターが、誘導性プロモーターを含み、任意選択的に、前記誘導性プロモーターが、最小プロモーターと、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそのタンデムリピートからなる群から選択される応答要素と、を含み、
任意選択的に、前記プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、前記キメラポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、mRNA不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードし、
任意選択的に、前記mRNA不安定化要素が、AUリッチ要素およびステムループ不安定化要素からなる群から選択される、
発現カセット。
【請求項8】
請求項7に記載の発現カセットと、目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムであって、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが、プロモーター配列および前記ITMの前記DNA結合ドメインに結合する配列を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号54のアミノ酸配列を有する一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、四つのより多くのジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号55のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーター配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、最小プロモーターを含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、目的の遺伝子が、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群から選択される治療用ポリペプチドをコードし、
任意選択的に、前記発現システムが、(i)請求項7に記載の発現カセットと、(ii)標的発現カセットと、の両方を含む異種構築物を含み、
任意選択的に、前記発現システムが、請求項7に記載の発現カセットを含む第1の異種構築物と、標的発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、
発現システム。
【請求項9】
請求項7に記載の発現カセット、または請求項8に記載の発現システムを含む、単離された細胞。
【請求項10】
a.前記細胞が、ヒト細胞であり、かつ/または、
b.前記細胞が、幹細胞であり、かつ/または、
c.前記細胞が、免疫細胞であり、かつ/または、
d.前記細胞が、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞からなる群から選択される、
請求項9に記載の単離された細胞。
【請求項11】
目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチであって、
請求項1~6のいずれか一項に記載のキメラポリペプチドおよびリガンドを含み、
前記リガンドの前記デグロンへの結合が前記キメラポリペプチドの分解を誘導し、それによって、目的の遺伝子の抑制を阻害し、
前記目的の遺伝子が、ITM応答性プロモーターに動作可能に連結され、
任意選択的に、前記リガンドが、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含み、
任意選択的に、前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMiDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される、
遺伝子スイッチ。
【請求項12】
目的の遺伝子の抑制を阻害する方法であって、
a.(i)請求項1~6のいずれか一項に記載の前記キメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む、発現システムを含む細胞を提供する工程と、
b.前記形質転換細胞を、前記キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、前記キメラポリペプチドの分解を誘導する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
a.前記方法が、前記キメラポリペプチドの発現に適した条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含み、かつ/または、
b.前記キメラポリペプチドをコードする前記発現カセットが、請求項7に記載の発現カセットを含み、かつ/または、
c.前記発現システムが、請求項8に記載の発現システムを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬物で調節される転写抑制の能力を有する細胞を産生する方法であって、
請求項7に記載の発現カセットまたは請求項8に記載の発現システムを用いて前記細胞を形質転換する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべての目的のためにその全体で参照により本明細書に組み込まれる、2021年4月6日に出願された米国仮特許出願第63/171,551号の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願には、EFS-Webを介して提出され、その全体が参照により本明細書に援用される配列表が含まれる。20XX年、XX月に作成された該ASCIIコピーは、XXXXXUS_sequencelisting.txtと称され、サイズがX,XXX,XXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
現在利用可能な細胞および遺伝子療法製品は、発現制御を欠く可能性があり、これは、こうした療法を受ける対象において毒性などの安全性の懸念につながる可能性がある。したがって、これらの療法を発現制御および調節する追加の方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書では、(i)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、(ii)前記ITMに動作可能に連結されている、デグロンと、を含むキメラポリペプチドが提供される。前記転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメイン、HDAC4ドメイン、SCX HLHドメイン、ID1 HLHドメイン、HERC2 Cyt-b5ドメイン、TWST1 HLHドメイン、NKX22ホメオドメイン、ID3 HLHドメイン、およびTWST2 HLHドメインからなる群から選択される。
【0005】
本明細書に記述されるキメラポリペプチドは、小分子薬物に応答して転写抑制を阻害することによって可逆的な遺伝子オンスイッチを提供する。
【0006】
一部の態様では、キメラポリペプチドの転写リプレッサードメインは、KRAB抑制ドメインを含む。一部の態様では、KRAB抑制ドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、KRAB抑制ドメインは、minKRABを含む。一部の態様では、KRAB抑制ドメインは、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントであり、そしてW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A、L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fvからなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の態様では、KRAB抑制ドメインは、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントであり、そしてQ34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0007】
一部の態様では、KRAB抑制ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一部の態様では、転写リプレッサードメインは、HDAC4抑制ドメインを含む。一部の態様では、HDAC4抑制ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0008】
一部の態様では、キメラポリペプチドのDNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。一部の態様では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、ジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成される。一部の態様では、ZFタンパク質ドメインは、1から10個のZFAを含む。一部の態様では、ZFタンパク質ドメインは、10個のZFAを含む。
【0009】
一部の態様では、転写リプレッサードメインは、DNA結合ドメインに対しN末端側である。その他の態様では、転写リプレッサードメインは、DNA結合ドメインに対しC末端側である。
【0010】
一部の態様では、転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインは、第1のペプチドリンカーによって隔てられている。一部の態様では、第1のペプチドリンカーは、GGGGSGGT(配列番号60)のアミノ酸配列を含む。
【0011】
一部の態様では、キメラポリペプチドのデグロンは、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択される。一部の態様では、デグロンは、免疫調節薬物(IMiD)への応答においてCRBNに結合する能力を有し、それにより、キメラポリペプチドのユビキチン経路を介した分解を促進することができるセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含む。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択される選択される。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物である。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物である。一部の態様では、IMiDは、FDA承認薬物である。一部の態様では、IMiDは、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される。
【0012】
一部の態様では、誘導性転写調節因子(ITM)は、デグロンに対しN末端側である。その他の態様では、ITMは、デグロンに対しC末端側である。
【0013】
一部の態様では、ITMは、第2のペプチドリンカーによってデグロンから隔てられている。一部の態様では、第2のペプチドリンカーは、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、およびAAPAKQE(配列番号10)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のペプチドリンカーは、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
また、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットも提供される。一部の態様では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターは、構成的プロモーターを含む。一部の態様では、構成的プロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される。
【0015】
一部の態様では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターは、誘導性プロモーターを含む。一部の態様では、誘導性プロモーターは、最小プロモーターと、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答性要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそのタンデムリピート、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答性要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそのタンデムリピートからなる群から選択される応答要素と、を含む。
【0016】
一部の態様では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターは、合成プロモーターである。
【0017】
一部の態様では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、mRNA-不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードする。一部の態様では、mRNA不安定化要素は、AUリッチ要素およびステムループ不安定化要素からなる群から選択される。
【0018】
また、(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む、発現システムが提供される。一部の態様では、ITM応答性プロモーターは、プロモーター配列およびITMのDNA結合ドメインに結合する配列を含む。一部の態様では、DNA結合ドメインに結合する配列は、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含む。一部の態様では、DNA結合ドメインに結合する配列は、より多くのジンクフィンガー結合部位の四つを含む。一部の態様では、ITM応答性プロモーターのプロモーター配列は、構成的プロモーター配列を含む。一部の態様では、構成的プロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される。一部の態様では、ITM応答性プロモーターのプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。一部の実施形態では、ITM応答性プロモーターは、合成プロモーターを含む。
【0019】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、治療用ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、目的の遺伝子は、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群から選択されるポリペプチドをコードする。
【0020】
一部の実施形態では、発現システムは、(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットと、(ii)標的発現カセットとの両方を含む異種構築物を含む。
【0021】
一部の実施形態では、発現システムは、(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを含む第1の異種構築物と、(ii)標的発現カセットを含む第2の異種構築物とを含む。
【0022】
また、(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセット、または(ii)本明細書に記述されるような発現システムを含む単離された細胞も提供される。一部の実施形態では、単離された細胞はヒト細胞である。一部の態様では、単離された細胞は、幹細胞である。一部の態様では、単離された細胞は、免疫細胞である。一部の態様では、細胞は、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞からなる群から選択される。
【0023】
また、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドおよびリガンドを含み、リガンドのデグロンへの結合がキメラポリペプチドの分解を誘導し、それによって目的の遺伝子の抑制を阻害する、目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチも提供される。一部の態様では、遺伝子スイッチのリガンドは、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含む。一部の態様では、IMiDは、FDA承認薬物である。一部の態様では、IMiDは、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される。
【0024】
また、(a)(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムを用いて細胞を形質転換することと、(b)キメラポリペプチドの発現に適した条件下で形質転換細胞を培養することと、(c)形質転換細胞を、キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、キメラポリペプチドの分解を誘導することと、を含む、目的の遺伝子の抑制を阻害する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してより良好に理解されるであろう。
【0026】
【
図1】ポマリドミドを用いた処理後の様々なデグロン連結型DNA結合剤の分解効率を示す。左の列は「薬物なし」を表し、右の列は「+1uM Pom」を表す。
【
図2】様々なデグロン連結型転写リプレッサーの分解後のレポーター発現の誘導を示す。左の列は「薬物なし」を表し、右の列は「+1uM Pom」を表す。
【
図3】様々なデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞における、ポマリドミドを用いた処置後と比較した、ポマリドミドの非存在下でのレポーター発現の差を示す。
【
図4A】ポマリドミドの存在下または非存在下で二つのデグロン連結型転写リプレッサー構築物(それぞれSB03758およびSB03759)で形質導入された細胞について、非形質導入細胞(レポーターを欠く)およびリプレッサーで形質導入されていないレポーター細胞と比較した、レポーター発現のヒストグラムプロットを示す。
【
図4B】ポマリドミドの存在下または非存在下で二つのデグロン連結型転写リプレッサー構築物(それぞれSB03758およびSB03759)で形質導入された細胞について、非形質導入細胞(レポーターを欠く)およびリプレッサーで形質導入されていないレポーター細胞と比較した、レポーター発現のヒストグラムプロットを示す。
【
図5】ポマリドミドを用いた処理後、各々がmRNA不安定化タグを含む二つのデグロン連結型DNA結合剤の分解効率を示す。左の列は「薬物なし」を表し、右の列は「1uM ポマリドミド」を表す。
【
図6A】N末端にデグロンを有する様々なデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞における、ポマリドミドの存在下または非存在下でのレポーター発現を示す。レポーターのみを発現するが、デグロン連結型転写リプレッサーを発現しない細胞と比較した、レポーターおよびデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞におけるレポーター発現のための幾何学的平均蛍光強度(gMFI)の倍率変化が示される。左の列は「薬物なし」を表し、右の列は「1uM Pom」を表す。
【
図6B】N末端にデグロンを有する様々なデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞における、ポマリドミドの存在下または非存在下でのレポーター発現を示す。
図6Aのデグロン連結型転写リプレッサーの各々を発現する細胞について、ポマリドミドの存在下での発現をポマリドミドの非存在下での発現と比較する、レポーター発現の倍率変化が示される。
【
図7A】C末端にデグロンを有する様々なデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞における、ポマリドミドの存在下または非存在下でのレポーター発現を示す。レポーターのみを発現するが、デグロン連結型転写リプレッサーを発現しない細胞と比較した、レポーターおよびデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞におけるレポーター発現のための幾何学的平均蛍光強度(gMFI)の倍率変化が示される。左の列は「薬物なし」を表し、右の列は「1uM Pom」を表す。
【
図7B】C末端にデグロンを有する様々なデグロン連結型転写リプレッサーを発現する細胞における、ポマリドミドの存在下または非存在下でのレポーター発現を示す。
図7Aのデグロン連結型転写リプレッサーの各々を発現する細胞について、ポマリドミドの存在下での発現をポマリドミドの非存在下での発現と比較する、レポーター発現の倍率変化が示される。
【
図8】デグロン連結型リプレッサーを含むシステムにおけるIL-12の発現を制御するIMiD調節オンスイッチを示す。上のパネルは、薬物を含まない条件、またはポマリドミドの滴定(1nM、10nM、100nM、および1uM)を用いた条件における三つの示されたデグロン連結型リプレッサーによって調節されるIL-12発現レベルを示す。下のパネルは、構成的IL-12レポーターを用いて形質導入された細胞で定量されたIL12発現レベルの画分として表示されるIL-12レベルを示す。
【
図9】1uMのポマリドミドおよび1uMのイベルドミドでのIMiDオンスイッチのオンからオフの動態を示す。1uMのポマリドミド(上のパネル)または1uMのイベルドミド(下のパネル)処理からの、示された経過時間で細胞から収集された上清中のIL-12発現レベルが示される。SB04640のみ(右列)は、IL-12発現が構成的であり、かつデグロン連結型リプレッサーによって調節されないレポーターのみの対照として機能する(左列)。
【
図10】1uMのポマリドミドでのIMiDオンスイッチのオンからオフへの動態を示し、12時間および16時間において追加の時点を有する。上清中のIL-12発現レベルは、1uMのポマリドミド処理からの、示された経過時間において細胞から収集される。対照SB04640のみであるレポーターを用いて形質導入された細胞におけるIL-12発現レベルに対して正規化されたIL-12の発現レベルが示され、IL-12発現は構成的であり、かつデグロン連結型リプレッサーによって調節されない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、以下に記載されるように定義される。
【0028】
「インビボ」という用語は、生体内で生じるプロセスを指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒトの両方を含み、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、及びブタを含むがこれらに限定されない。
【0030】
二つ以上の核酸またはポリペプチドの配列の文脈では「同一性」パーセントという用語は、最大の一致について比較および整列するときに、下記の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTN、または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの一つを使用して、または目視検査により測定される、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定の割合を有する二つ以上の配列または部分配列を指す。アプリケーションに応じて、「同一性」パーセントは、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在することができ、または代替的に、比較される二つの配列の全長にわたって存在することができる。
【0031】
配列比較については、典型的に、一つの配列は、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験および参照配列をコンピューターに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムのプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0032】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法の検索によって、これらのアルゴリズム(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)のコンピューター化された実装によって、または視覚的検査(一般的にAusubel et al.,以下に記載、を参照のこと)によって、実施することができる。
【0033】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するのに適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記述されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、アメリカ国立生物工学情報センター(www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公開されている。
【0034】
「十分な量」という用語は、所望の効果を生み出すのに十分な量、例えば、細胞内の転写抑制を阻害するのに十分な量を意味する。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0036】
分解性転写リプレッサーキメラポリペプチド
本開示は、誘導性転写調節因子(ITM)およびデグロンを含むキメラポリペプチドを提供する。一般に、デグロンは、ITMに動作可能に連結されて、キメラポリペプチドのデグロンベースの分解を可能にして、ITMの活性を調節する。
【0037】
誘導性転写調節因子
本明細書に記述されるキメラポリペプチドは、誘導性転写調節因子(ITM)を含む。ITMは、DNA結合ドメインおよび転写リプレッサードメインを含む。
【0038】
一部の実施形態では、転写リプレッサードメインとしては、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン、ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)ドメイン、スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合阻害剤1(ID1)HLHドメイン、HECTドメインおよびRCC1-l様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合阻害剤1(ID3)HLHドメイン、またはツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメインを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0039】
一部の実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「KRAB抑制ドメイン」は、DNA結合ドメインに動作可能に連結されたときに転写を抑制する能力を有するKRABドメインの野生型、バリアント、またはセグメントを指す。C2H2/クルッペル型ジンクフィンガー(ZNF)タンパク質は、KRABドメインおよびDNAに結合するジンクフィンガーのC末端アレイを含む転写因子である。KRABドメインは、KRAB-B、KRAB-BL、KRAB-b、またはKRAB-Cなどの補助サブドメインを有する、または有しない、規範的なサブドメインA(KRAB-A)で作製される。一部の実施形態では、KRABリプレッサードメインは、ジンクフィンガータンパク質ZNF10のKRABドメインを含む。例示的なZNF10配列は、配列番号1として提供される。ZNF10のKRABドメインは、ZNF10の残基2~81を含み、配列番号2として提供される。一部の実施形態では、KRABリプレッサードメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、KRABリプレッサードメインは、minKRABを含む。「MinKRAB」は、KRAB抑制ドメインの45アミノ酸セグメントが、KRAB抑制ドメイン内に存在する最小抑制ドメインとして特定されていることを指す。例示的なminKRABリプレッサードメインは、配列番号3として提供される。
【0041】
一部の実施形態では、KRABリプレッサードメインは、KRABリプレッサードメインバリアントを含む。本明細書で使用される場合、「KRABリプレッサードメインバリアント」は、リプレッサー活性を保持するが、一つ以上のアミノ酸置換を有するKRABドメイン(例えば、配列番号2または配列番号3)を指す。一部の実施形態では、KRABリプレッサードメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、そしてKRABリプレッサードメインバリアントであり、そしてW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A,L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fから選択される一つ以上のアミノ酸置換が挙げられる。
【0042】
一部の実施形態では、KRAB抑制ドメインとしては、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントが挙げられ、Q34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0043】
一部の実施形態では、転写リプレッサードメインは、ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)ドメインを含む。例示的なHDAC4ドメインは、配列番号4として提供される。
【0044】
一部の実施形態では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。ZFタンパク質ドメインの含有は、誘導性転写調節因子(ITM)による標的核酸結合を可能にする。
【0045】
一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、ジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成される。
【0046】
ジンクフィンガーアレイ(ZFA)は、一緒に連結された複数のジンクフィンガータンパク質モチーフを含み、任意選択的に可撓性リンカー配列によって隔てられている。各ジンクフィンガーモチーフは、異なる核酸モチーフに結合する。これは、任意の所望の核酸配列に特異性を有するZFAをもたらす。ZFモチーフは、互いに直接的に隣接することができ、または可撓性リンカー配列によって隔てることができる。一部の実施形態では、ZFAは、タンデムに配置されたZFモチーフの配列、ストリング、または鎖を含む。ZFAは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のジンクフィンガーモチーフを有することができる。ZFAは、1~10、1~15、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、3~4、3~5 3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、または5~15個のジンクフィンガーモチーフを有することができる。
【0047】
ZFタンパク質ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個、またはそれ以上のZFAを有することができる。ZFドメインは、1~10、1~15、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、3~4、3~5 3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、10~15、10~20、または10~25個のZFAを有することができる。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、1から10個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも1個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも2個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも3個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも4個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも5個のZFAを含む。一部の実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも10個のZFAを含む。
【0048】
一部の実施形態では、ZFAは、6個のジンクフィンガーモチーフを含む。6個のジンクフィンガーモチーフを含むZFAから構成される例示的なZFタンパク質ドメインは、配列:
SRPGERPFQCRICMRNFSRRHGLDRHTRTHTGEKPFQCRICMRNFSDHSSLKRHLRTHTGSQKPFQCRICMRNFSVRHNLTRHLRTHTGEKPFQCRICMRNFSDHSNLSRHLKTHTGSQKPFQCRICMRNFSQRSSLVRHLRTHTGEKPFQCRICMRNFSESGHLKRHLRTHLRGS(配列番号5)
で示される。
【0049】
デグロン
一部の実施形態では、本明細書に記述されるキメラポリペプチドは、デグロンを含む。一部の実施形態では、デグロンは、ITMの分解を誘導する能力を有する。一部の実施形態では、デグロンとしては、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、またはPCNA結合PIPボックスを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0050】
一部の実施形態では、デグロンは、免疫調節薬物(IMiD)への応答においてCRBNに結合する能力を有し、それにより、ITMのユビキチン経路を介した分解を促進することができるセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含む。一部の実施形態では、CRBNポリペプチド基質ドメインとしては、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有するIKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787またはZN827、またはその断片を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物を含む。一部の実施形態では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、アミノ酸配列:
FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)
を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物を含む。デグロンは、国際出願公開第2019/089592Al号においてより詳細に記述され、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
ペプチドリンカー
一部の実施形態では、キメラポリペプチドは、少なくとも一つのペプチドリンカーを含む。
【0052】
ペプチドリンカーは、ポリペプチドドメインの機能を妨げることなく、二つのポリペプチドドメイン(例えば、誘導性転写調節因子およびデグロン)を隔てる任意のポリペプチド配列とすることができる。ペプチドリンカーの例としては、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、AAPAKQE(配列番号10)、GSGSGSGSGGAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号11、本明細書では「連結されたMax Jenリンカー」または「ConMJ」と称される)、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12、本明細書では「ecpd」と称される)、AEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)、およびGGGGSGGT配列番号60)が挙げられる。
【0053】
一部の実施形態では、転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインは、ペプチドリンカーによって隔てられている。
【0054】
一部の実施形態では、誘導性転写調節因子(ITM)およびデグロンは、ペプチドリンカーによって隔てられている。一部の実施形態では、ITMとデグロンとの間のペプチドリンカーは、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、AAPAKQE(配列番号10)、およびGGGGSGGT(配列番号60)から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ITMとデグロンとの間のペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGT(配列番号60)を含む。
【0055】
一部の実施形態では、ITMとデグロンとの間のペプチドリンカーとしては、GSGSGSGSGGAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号11、本明細書では「連結されたMax Jenリンカー」または「ConMJ」と称される)、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12、本明細書では「ecpd」と称される)、AEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、およびEGKから選択されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0056】
一部の実施形態では、ITMとデグロンとの間のペプチドリンカーとしては、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12、本明細書では「ecpd」と称される)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0057】
一部の実施形態では、転写リプレッサードメイン、DNA結合ドメインは、ペプチドリンカーによって隔てられ、またデグロンは、各々ペプチドリンカーによって隔てられる。一部の実施形態では、転写リプレッサードメイン、DNA結合ドメインは、ペプチドリンカーによって隔てられ、またデグロンは、各々別個のペプチドリンカーによって隔てられる。
【0058】
遺伝子スイッチ
また、本明細書では、目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチも提供される。遺伝子スイッチは、(a)目的の遺伝子の転写を抑制する能力を有するデグロンおよび誘導性転写調節因子を含むキメラポリペプチド、および(b)キメラポリペプチドのデグロンに結合し、かつキメラポリペプチドの分解を誘導するリガンドを含んでもよい。キメラポリペプチドの分解は、誘導性転写調節因子のリプレッサー活性を放出する。
【0059】
一部の実施形態では、リガンドは、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含む。
【0060】
一部の実施形態では、IMiDは、FDA承認薬物である。
【0061】
一部の実施形態では、IMiDとしては、サリドマイド、レナリドミド、またはポマリドミドを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0062】
単離ポリヌクレオチド分子および発現カセット
ポリヌクレオチド分子(例えば、単離ポリヌクレオチド分子)および本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードする発現カセットも本明細書に提供される。一部の実施形態では、本開示は、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットを提供する。
【0063】
「単離」核酸分子またはポリヌクレオチドは、その天然環境から取り出されたDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチド分子を指す。例えば、異種構築物中に含有されるキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、単離されていると考えられる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞中で維持される組み換えポリヌクレオチド、または溶液中の(部分的もしくは実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離ポリヌクレオチドはまた、通常、ポリヌクレオチド分子を含有する細胞中に含有されるポリヌクレオチド分子も含むが、ポリヌクレオチド分子は、染色体外に、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0064】
単離ポリヌクレオチド分子としては、cDNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、RNAiオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNAなど)、mRNAポリヌクレオチド、環状プラスミド、直鎖状DNA断片、ベクター、ミニサークル、ssDNA、細菌人工染色体(BAC)、および酵母人工染色体(YAC)、ならびにオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
一部の実施形態では、単離ポリヌクレオチド分子としては、DNA、cDNA、RNA、mRNA、およびネイキッドプラスミド(直鎖状または環状)挙げることができるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドによって、ポリヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の各100個のヌクレオチド当たり最大5個の点変異を含んでもよいことを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを取得するために、参照配列中のヌクレオチドの最大5%が、欠失される場合がある、もしくは別のヌクレオチドで置換される場合がある、または参照配列中の総ヌクレオチドの最大5%のヌクレオチドの数が、参照配列へと挿入されてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照配列中残基の間で個々に、または参照配列内の一つ以上の連続基中のいずれかで点在して、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置において、またはそれらの末端位置の間のいずれかの場所で生じる場合がある。実用的な問題として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、知られているのコンピュータプログラムを使用して従来の方法で決定することができる。
【0067】
「発現カセット」という用語は、標的細胞における特定のポリヌクレオチドの転写を許容する一連の核酸要素を有する、組み換えによって、または合成的に生成されたポリヌクレオチドを指す。発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、または核酸断片の中へと組込むことができる。典型的に、発現ベクターの発現カセット部分は、数ある配列の中でもとりわけ、転写される核酸配列およびプロモーターを含む。
【0068】
一部の実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたmRNA不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードする。一部の実施形態では、mRNA不安定化要素は、AUリッチ要素および/またはステムループ不安定化要素(SLDE)を含む。
【0069】
一部の実施形態では、mRNA不安定化要素は、AUリッチ要素を含む。一部の実施形態では、AUリッチ要素は、配列ATTTA(配列番号14)の少なくとも二つの重複モチーフを含む。一部の実施形態では、AUリッチ要素は、ATTTATTTATTTATTTATTTA(配列番号15)を含む。
【0070】
一部の実施形態では、mRNA不安定化要素は、ステムループ不安定化要素(SLDE)を含む。一部の実施形態では、SLDEは、CTGTTTAATATTTAAACAG(配列番号16)を含む。
【0071】
一部の実施形態では、mRNA不安定化要素は、少なくとも一つのAUリッチ要素および少なくとも一つのSLDEを含む。本明細書で使用される場合、「AuSLIDE」は、ステムループ不安定化要素(SLDE)に動作可能に連結されたAUリッチ要素を指す。例示的なAuSLIDE配列は、配列番号17として提供される。一部の実施形態では、mRNA不安定化要素は、2X AuSLIDEを含む。例示的なAuSLDE配列は、配列番号18として提供される。
【0072】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを提供する。一部の実施形態では、本開示は、前述のようなキメラポリペプチドをコードする第1の発現カセット、および目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットを含む発現システムを提供する。
【0073】
「標的発現カセット」は、誘導性転写調節因子(ITM)制御可能な発現を有する遺伝子を含む発現カセットを指す。発現は、リガンド(例えば、ポマリドミド)の存在に基づいてITMによって制御される。
【0074】
本明細書に記述されるような単離ポリヌクレオチド分子および異種構築物は、操作されたポリヌクレオチド分子である。「操作されたポリヌクレオチド」は、天然には生じないポリヌクレオチドである。しかし当然のことながら、操作されたポリヌクレオチドは、全体として天然には生じない一方で、それは、天然に生じるヌクレオチド配列を含む場合があることが理解されるべきある。一部の実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、異なる生命体からの(例えば、異なる種からの)ヌクレオチド配列を含む。例えば、一部の実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、マウスヌクレオチド配列、細菌ヌクレオチド配列、ヒトヌクレオチド配列、および/またはウイルスヌクレオチド配列を含む。「操作されたポリヌクレオチド」という用語は、組み換え核酸及び合成核酸を含む。「組換えポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド分子を結合することによって構築され、一部の実施形態では、生細胞中で複製することができる分子を指す。「合成ポリヌクレオチド」は、増幅された、または化学的に、もしくは他の手段によって合成された分子を指す。合成ポリヌクレオチドは、化学的に修飾された、または別の方法で修飾されるが、天然に生じたヌクレオチド分子と塩基対合することができるものを含む。修飾としては、一つ以上の修飾されたヌクレオチド間連結および非天然核酸が挙げられるが、これらに限定されない。修飾は、米国特許第6,673,611号および米国特許出願公開2004/0019001号にさらに詳細に記述され、それらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。修飾されたヌクレオチド間連結は、ホスホロジチオエートまたはホスホロチオエート連結とすることができる。非天然核酸は、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMOまたは「モルホリノ」)、およびトレオース核酸(TNA)とすることができる。非天然核酸は、国際出願国際公開第1998/039352号、米国出願公開第2013/0156849号、および米国特許第6,670,461号;同第5,539,082号;同第5,185,444号にさらに詳細に記述され、各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。組み換えポリヌクレオチドおよび合成ポリヌクレオチドはまた、前述のうちのいずれかの複製からもたらされる分子も含む。本開示の操作されたポリヌクレオチドは、単一の分子(例えば、同じプラスミドまたは他のベクターに含まれる)によって、または複数の異なる分子(例えば、複数の異なる独立して複製する分子)によってコードされてもよい。
【0075】
本開示の操作されたポリヌクレオチドは、標準的な分子生物学方法を使用して産生されてもよい(例えば、Green and Sambrook,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2012,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと)。一部の実施形態では、操作された核酸構築物は、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)クローニング(例えば、Gibson,D.G.et al.Nature Methods,343-345,2009;およびGibson,D.G.et al.Nature Methods,901-903,2010を参照のこと。その各々は、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して産生される。GIBSON ASSEMBLY(登録商標)は、典型的に、単一チューブ反応において三つの酵素活性:5’エキソヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼのY伸長活性、およびDNAリガーゼ活性を使用する。5’エキソヌクレアーゼ活性は、5’末端配列を噛み返し、アニーリングのために相補配列を曝露する。次いでポリメラーゼ活性は、アニーリングされた領域上のギャップを埋める。次いでDNAリガーゼは、ニックを密閉し、DNA断片を一緒に共有結合的に連結させる。隣接する断片の重複する配列は、ゴールデンゲートアセンブリにおいて使用されるものよりずっと長く、したがって、正しい組み立てのより高い割合がもたらされる。一部の実施形態では、操作された核酸構築物は、IN-FUSION(登録商標)クローニング(Clontech)を使用して産生される。
【0076】
プロモーター
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、核酸配列の残りの転写の開始および速度が制御される、核酸配列の制御領域を指す。プロモーターはまた、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子など、調節タンパク質および分子が結合し得るサブ領域を含有する場合がある。プロモーターは、構成的、誘導的、抑制的、組織特異的、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。プロモーターは、それが調節する核酸配列の発現を駆動する、または転写を駆動する。本明細書では、プロモーターは、それが調節する核酸配列に関係して、正しい機能的位置および配向にある場合、その配列の転写開始および/または発現を制御する(駆動する)ために、「動作可能に連結されている」と考えられる。
【0077】
プロモーターは、所与の遺伝子または配列のコードセグメントの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られる場合があるような、遺伝子または配列と天然に関連付けられるプロモーターであってもよい。こうしたプロモーターは、「内因性」と呼ぶことができる。一部の実施形態では、コード核酸配列は、組み換えまたは異種プロモーターの制御下で位置付けられる場合があるが、それは、その天然の環境においてコードされた配列と通常は関連付けられないプロモーターを指す。こうしたプロモーターは、他の遺伝子のプロモーター;任意の他の細胞から単離されたプロモーター;ならびに「天然に生じた」ものではない合成プロモーターまたはエンハンサー、例えば、当技術分野において公知である遺伝子操作の方法を通じて発現を改変する異なる転写調節領域の異なる要素および/または変異を含むものなどを含んでもよい。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に産生することに加えて、配列は、組み換えクローニングおよび/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む核酸増幅技術を使用して産生されてもよい(例えば、米国特許第4,683,202号および米国特許第5,928,906号を参照のこと)。
【0078】
本明細書で使用される場合、「誘導性プロモーター」は、シグナルの存在下にあるか、シグナルによる影響を受けたか、またはシグナルによって接触されたときに、転写活性を調節すること(例えば、開始または活性化すること)によって特徴付けられるプロモーターを指す。このシグナルは、誘導性プロモーターからの転写活性を調節する際に活性であるような方法において、誘導性プロモーターと接触する内因性または通常は外因性の状態(例えば、光)、化合物(例えば、化学的または非化学的化合物)、またはタンパク質(例えば、サイトカイン)であってもよい。転写の活性化は、プロモーターに直接的に作用して転写を駆動すること、またはプロモーターが転写を駆動することを防止しているリプレッサーの不活性化によりプロモーターに間接的に作用することを含んでもよい。反対に、転写の不活性化は、転写を防止するためにプロモーターに直接的に作用すること、または、その後プロモーターに作用するリプレッサーを活性化することによってプロモーターに間接的に作用することを含んでもよい。
【0079】
本明細書で使用される場合、プロモーターは、局所腫瘍状態(例えば、炎症もしくは低酸素)またはシグナルの存在下で、プロモーターからの転写が活性化もしくは不活化されるか、増加するか、または減少する場合に、その状態もしくはシグナル「に応答する」か、またはその状態もしくはシグナル「によって調節される」。一部の実施形態では、プロモーターは応答要素を含む。「応答要素」は、プロモーター領域内のDNAの短い配列であり、それは、プロモーターから遺伝子発現を調節する(modulate)(調節する(regulate))特定の分子(例えば、転写因子)に結合する。本開示に従って使用されてもよい応答要素としては、フロレチン調整可能制御要素(PEACE)、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン(DBD)、インターフェロンガンマ活性化配列(GAS)(Decker,T.et al.J Interferon Cytokine Res.1997 Mar;17(3):121-34、参照により本明細書に組み込まれる)、インターフェロン刺激応答要素(ISRE)(Han,K.J.et al.J Biol Chem.2004 Apr 9;279(15):15652-61、参照により本明細書に組み込まれる)、NF-カッパB応答要素(Wang,V.et al.Cell Reports.2012;2(4):824-839、参照により本明細書に組み込まれる)、およびSTAT3応答要素(Zhang,D.et al.J of Biol Chem.1996;271:9503-9509、参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。他の応答要素が本明細書に包含される。応答要素はまた、その同族結合分子に対する応答要素の感受性を概して増加させるために、タンデムリピート(例えば、応答要素をコードする同じヌクレオチド配列の連続リピート)も含むことができる。タンデムリピートは、2×、3×、4×、5×などとラベル付けして、存在するリピートの数を表示することができる。
【0080】
応答性プロモーター(また、「誘導性プロモーター」とも呼ばれる)の非限定的な例(例えば、TGF-ベータ応答性プロモーター)を表1にリストし、これは、プロモーターおよび転写因子の設計を示すだけでなく、転写因子(TF)および導入遺伝子転写(T)に向かう誘導因子分子の効果も示す(B、結合;D、解離;n.d.、判定せず)(A、活性化;DA、非活性化;DR、抑制解除)(Horner,M.& Weber,W.FEBS Letters 586(2012)20784-2096m、およびその中で引用される参考文献を参照のこと)。誘導性プロモーターの構成成分の非限定的な例としては、表2に示すものが挙げられる。
【0081】
【0082】
【0083】
本明細書で使用される場合、「構成的プロモーター」は、連続的または調整されていない転写活性を可能にするプロモーターを指す。
【0084】
構成的プロモーターの他の非限定的な例としては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、伸長因子1-アルファ(EF1a)プロモーターおよびEF1aバリアントhEF1aV1およびhEF1aV2、伸長因子(EFS)プロモーター、MNDプロモーター(骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを伴う修飾MoMuLV LTRのU3領域を含む合成プロモーター)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、ならびにユビキチンC(UbC)プロモーターが挙げられる。構成的プロモーターアミノ酸配列の例を表3に示す。
【0085】
【0086】
キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結されたプロモーター
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む異種構築物を提供する。
【0087】
一部の実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および/または合成プロモーターを含む。
【0088】
一部の実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結されたプロモーターは、構成的プロモーターを含む。構成的プロモーターの例が、表3に示される。一部の実施形態では、構成的プロモーターとしては、CMV、EFS、SFFV、SV40、MCD、PGK、UbC、EF1a(例えば、野生型、またはhEF1aV1もしくはhEF1aV2などのバリアント)、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0089】
異種構築物
一部の実施形態では、本明細書に記述されるようなポリヌクレオチド分子は、異種構築物に含まれる。「ベクター」または「発現ベクター」という用語は、「異種構築物」と同じ意味であり、標的細胞中の構築物と動作可能に関連付けられる一つ以上の遺伝子の発現を導入および誘導するために使用されるポリヌクレオチド分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としての構築物だけでなく、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。本明細書に記載されるような異種構築物は、発現カセットを含む。一部の実施形態では、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を含む発現カセットを含む異種構築物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、異種構築物は、誘導性転写調節因子応答(ITM応答性)プロモーターを含む標的発現カセットをさらに含む。一部の実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を含む発現カセットを含む第1の異種構築物、および誘導性転写調節因子応答性(ITM応答性)プロモーターを含む標的発現カセットを含む第2の異種構築物が本明細書に提供される。
【0090】
誘導性転写調節因子応答性プロモーターを含む発現システム
一部の実施形態では、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードする第1の発現カセットと、目的の遺伝子に動作可能に連結された誘導性転写調節因子応答(ITM応答性)プロモーターを含む標的発現カセットとを含む発現システムが本明細書に提供される。
【0091】
目的の遺伝子
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、治療用タンパク質を含む。治療用タンパク質は、対象に提供される場合、臨床的利益を提供する任意のポリペプチドである。治療用タンパク質は、ポリペプチドを投与すること、ポリペプチドを発現する能力を有する細胞を投与すること、またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって提供されてもよい。
【0092】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ペプチド、および酵素から選択されるポリペプチドをコードする。
【0093】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、サイトカインを含む。一部の実施形態では、サイトカインとしては、IL1-ベータ、IL2、IL4、IL6、IL7、IL10、IL12、IL12p70融合タンパク質、IL15、IL17A、IL18、IL21、IL22、I型インターフェロン、インターフェロン-ガンマ、およびTNF-アルファを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0094】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、細胞死制御因子を含む。細胞死制御因子としては、細胞死誘導ポリペプチドおよび細胞生存ポリペプチドが挙げられる。
【0095】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、細胞死誘導ポリペプチドを含む。細胞死誘導ポリペプチドの例としては、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、ジフテリア毒素断片A(DTA)、Bax、Bak、Bok、Bad、Bcl-xS、Bak、Bik、Bcl-2-相互作用タンパク質3(BNIP3)、Fas、死ドメインを有するFas関連タンパク質(FADD)、腫瘍壊死因子受容体1型関連死ドメインタンパク質(TRADD)、TNF受容体(TNF-R)、APAF-1、グランザイムB、カスパーゼの第2のミトコンドリア由来活性化因子(SMAC)、Omi、Bmf、Bid、Bim、p53-アポトーシスの上方制御された調節因子(PUMA)、Noxa、Blk、Hrk、シトクロムc、Art、TNF関連細胞死誘導リガンド(TRAIL)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)、水胞帯状ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(VZV-TK)、ウイルススパイクタンパク質、カルボキシルエステラーゼ、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼFksb、カルボキシペプチダーゼG2、カルボキシペプチダーゼA、西洋ワサビペルオキシダーゼ、リナマラーゼ、肝シトクロムP450-2B1、プリンヌクレオシドホスホリラーゼが挙げられる。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、カスパーゼ9、またはその機能的切断である。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、配列番号49のカスパーゼ9アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドはジフテリア毒素断片A(DTA)である。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、配列番号50のDTAアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、グランザイムBである。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、配列番号51のグランザイムBアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、Baxである。一部の実施形態では、細胞死誘導ポリペプチドは、配列番号52のBaxアミノ酸配列を含む。
【0096】
一部の実施形態では、目的の遺伝子は、細胞生存ポリペプチドを含む。細胞生存ポリペプチドの例としては、XIAP、Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Bcl-2-関連タンパク質A1(BCL2A1)、Mcl-1、FLICE様阻害性タンパク質(c-FLIP)、およびアデノウイルスE1B-19Kタンパク質が挙げられる。一部の実施形態では、細胞生存ポリペプチドはXIAPである。一部の実施形態では、細胞生存ポリペプチドは、配列番号53のXIAPアミノ酸配列を含む。
【0097】
誘導性転写調節因子応答性プロモーター
一部の実施形態では、本開示は、誘導性転写調節因子応答性プロモーター(ITM応答性プロモーター)に動作可能に連結された目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチド分子を提供する。一部の実施形態では、ITM応答性プロモーターは、ITMを含むキメラポリペプチドに応答する合成プロモーターであり、またITMによる目的の遺伝子の抑制は、ポマリドミドなどのリガンドの存在によって制御することができる。
【0098】
一部の実施形態では、ITM応答性プロモーターは、プロモーター配列と、本明細書に記述されるような誘導性転写調節因子(ITM)によって特異的に認識されるITM結合ドメインとを含む。本明細書で使用される場合、「コアプロモーター配列」は、RNAポリメラーゼIIと相互作用し、かつ転写を開始するのに十分であるコア(すなわち、「最小」)プロモーター配列を含むプロモーターの一部分を指す。一部の実施形態では、ITM応答性プロモーターは、コアプロモーター配列(プロモーター配列によって提供されるような)と、プロモーター領域内で自然に共起しない転写調節因子応答配列(結合ドメインによって提供されるような)とを含む合成プロモーターを含む。
【0099】
結合ドメインは、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含んでもよい。ジンクフィンガー結合部位は、ジンクフィンガータンパク質ドメイン(例えば、配列番号5のジンクフィンガータンパク質ドメイン)に結合する能力を有するポリヌクレオチド配列である。結合ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のジンクフィンガー結合部位を含むことができる。例示的なジンクフィンガー結合部位は、GGCGTAGCCGATGTCGCG(配列番号54)を含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、一つのジンクフィンガー結合部位を含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、二つ以上のジンクフィンガー結合部位を含む。ジンクフィンガー結合部位は、DNAリンカーによって隔てられてもよい。DNAリンカーは、一部の実施形態では、5~40、5~30、10~40、10~30塩基対の長さであってもよい。一部の実施形態では、結合ドメインは、二つのジンクフィンガー結合部位を含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、三つのジンクフィンガー結合部位を含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、四つのジンクフィンガー結合部位を含む。ジンクフィンガー結合部位を含む例示的な結合ドメインは、配列:
cgggtttcgtaacaatcgcatgaggattcgcaacgccttcGGCGTAGCCGATGTCGCGctcccgtctcagtaaaggtcGGCGTAGCCGATGTCGCGcaatcggactgccttcgtacGGCGTAGCCGATGTCGCGcgtatcagtcgcctcggaacGGCGTAGCCGATGTCGCG(配列番号55)
で示される。配列番号55の結合ドメインは、各々が配列番号5のジンクフィンガータンパク質ドメインに結合する四つの結合部位を含み、結合部位の各々はDNAリンカーによって隔てられている。
【0100】
一部の実施形態では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。一部の実施形態では、コアプロモーター配列は、minP、minCMV、YB_TATA、およびminTKから選択されるプロモーターに由来する。例示的なコアプロモーター配列は、TCTAGAGGGTATATAATGGGGGCCA(配列番号56)を含む。
【0101】
一部の実施形態では、コアプロモーター配列は、構成的プロモーターの配列を含む。構成的プロモーター配列の例を、表3に示す。一部の実施形態では、構成的プロモーター配列としては、CMV、EFS、SFFV、SV40、MCD、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0102】
例示的なITM応答性プロモーターは、配列:
cgggtttcgtaacaatcgcatgaggattcgcaacgccttcGGCGTAGCCGATGTCGCGctcccgtctcagtaaaggtcGGCGTAGCCGATGTCGCGcaatcggactgccttcgtacGGCGTAGCCGATGTCGCGcgtatcagtcgcctcggaacGGCGTAGCCGATGTCGCGcattcgtaagaggctcactctcccttacacggagtggataACTAGTTCTAGAGGGTATATAATGGGGGCCA(配列番号57)
を含む。
【0103】
別の例示的なITM応答性プロモーターは、配列:cgggtttcgtaacaatcgcatgaggattcgcaacgccttcGGCGTAGCCGATGTCGCGctcccgtctcagtaaaggtcGGCGTAGCCGATGTCGCGcaatcggactgccttcgtacGGCGTAGCCGATGTCGCGcgtatcagtcgcctcggaacGGCGTAGCCGATGTCGCGcattcgtaagaggctcactctcccttacacggagtggataACTAGTGGATCTGCGATCGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAATTGAACCGGTGCCTAGAGAAGGTGGCGCGGGGTAAACTGGGAAAGTGATGTCGTGTACTGGCTCCGCCTTTTTCCCGAGGGTGGGGGAGAACCGTATATAAGTGCAGTAGTCGCCGTGAACGTTCTTTTTCGCAACGGGTTTGCCGCCAGAACACAGCTGAAGCTTCGAGGGGCTCGCATCTCTCCTTCACGCGCCCGCCGCCCTACCTGAGGCCGCCATCCACGCCGGTTGAGTCGCGTTCTGCCGCCTCCCGCCTGTGGTGCCTCCTGAACTGCGTCCGCCGTCTAGGTAAGTTTAAAGCTCAGGTCGAGACCGGGCCTTTGTCCGGCGCTCCCTTGGAGCCTACCTAGACTCAGCCGGCTCTCCACGCTTTGCCTGACCCTGCTTGCTCAACTCTACGTCTTTGTTTCGTTTTCTGTTCTGCGCCGTTACAGATCCAAGCTGTGACCGGCGCCTAC (配列番号67)
を含む。
【0104】
マルチシストロンシステムおよび複数プロモーターシステム
一部の実施形態では、本開示の操作されたポリヌクレオチドまたは構築物は、複数のポリペプチドを産生するように構成される。例えば、ポリヌクレオチドは、二つの異なるポリペプチドを産生するように構成されてもよい。ポリヌクレオチド分子は、本明細書に記述されるようなキメラタンパク質を含むポリペプチド、およびキメラタンパク質に応答するプロモーターの制御下で発現される目的のポリペプチドを産生するように構成されてもよい。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチド、およびキメラポリペプチドによって転写的に抑制することができる目的の遺伝子は、同じポリヌクレオチド分子または異種構築物によってコードされてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、操作された核酸は、マルチシストロン性とすることができ、すなわち、二つ以上の別個のポリペプチド(例えば、複数の外因性ポリヌクレオチドまたはエフェクター分子)を単一の転写産物から産生することができる。操作された核酸は、様々なリンカーの使用を通してマルチシストロン性とすることができ、例えば、第1の外因性ポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド配列は、5’から3’の配向で第1の遺伝子:リンカー:第2の遺伝子など、第2の外因性ポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列へと連結することができる。リンカーポリヌクレオチド配列は、T2Aなどの一つ以上の2Aリボソームスキッピング要素をコードすることができる。他の2Aリボソームスキッピング要素としては、E2A、P2A、およびF2Aが挙げられるが、これらに限定されない。2Aリボソームスキッピング要素は、第1および第2の遺伝子によってコードされる別個のポリペプチドの産生が翻訳中に産生されるのを可能にする。リンカーは、フューリン切断部位またはTEV切断部位などの切断可能なリンカーポリペプチド配列をコードすることができ、発現の後、切断可能なリンカーポリペプチドは切断され、これにより第1および第2の遺伝子によってコードされた別個のポリペプチドが産生される。切断可能なリンカーは、こうした可撓性リンカー(例えば、Gly-Ser-Gly配列)などのポリペプチド配列を含むことができ、これは切断をさらに促進する。
【0107】
リンカーは、配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードすることができ、これにより第1および第2の遺伝子によってコードされる別個のポリペプチドは、翻訳中に産生される。リンカーは、ウイルススプライスアクセプターなどのスプライスアクセプターをコードすることができる。
【0108】
リンカーは、2Aリボソームスキッピング、それに続く、2A残基の完全な除去を可能にするフューリン部位のさらなる切断を通して別個のポリペプチドを産生することができる、フューリン-2Aリンカーなどのリンカーの組み合わせとすることができる。一部の実施形態では、リンカーの組み合わせとしては、フューリン配列、可撓性リンカー、および2Aリンカーを挙げることができる。したがって、一部の実施形態では、リンカーは、フューリン-Gly-Ser-Gly-2A融合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、リンカーは、フューリン-Gly-Ser-Gly-T2A融合ポリペプチドを含む。
【0109】
一般に、マルチシストロン性システムは、任意の数または組み合わせのリンカーを使用して、任意の数の遺伝子またはその部分を発現することができる(例えば、操作された核酸は、各々がリンカーによって隔てられている第1、第2、および第3のエフェクター分子をコードすることができ、これにより第1、第2、および第3のエフェクター分子によってコードされた別個のポリペプチドが産生される)。
【0110】
本明細書で使用される場合、「リンカー」は、第1のポリペプチド配列及び第2のポリペプチド配列を連結するペプチドリンカーを指すことができる、または上述のマルチシストロン性リンカーを指すことができる。
【0111】
転写後調節要素
一部の実施形態では、本開示の操作されたポリヌクレオチド分子は、転写後調節要素(PRE)を含む。PREは、例えば、RNAを不安定化することによって(例えば、前述したようなAU-スライド)、またはRNAを安定化することによって、RNA安定性を調節することができる。一部の実施形態では、PREは、三次RNA構造の安定性および3’末端形成を可能にすることを介して遺伝子発現を強化することができる。PREの非限定的な例としては、B型肝炎ウイルスPRE(HPRE)およびウッドチャック肝炎ウイルスPRE(WPRE)が挙げられる。一部の実施形態では、転写後調節要素としては、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)が挙げられる。一部の実施形態では、WPREは、WPRE要素のアルファ、ベータ、およびガンマ成分を含む。一部の実施形態では、WPREは、WPRE要素のアルファ成分を含む。WPRE配列の例としては、配列番号58および配列番号59が挙げられる。
【0112】
操作された細胞
本開示の一つ以上のポリヌクレオチド分子、発現カセット、または構築物を含む細胞および細胞を産生する方法も本明細書に提供される。これらの細胞は、本明細書では「操作された細胞」と呼ばれる。典型的に一つ以上の操作された核酸を含むこれらの細胞は、天然では生じない。一部の実施形態では、細胞は、一つ以上の操作されたポリヌクレオチドを組み換え発現する単離された細胞である。一部の実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、一つ以上のベクターまたは細胞のゲノム由来の選択された遺伝子座から発現される。一部の実施形態では、細胞は、ヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチドを含むように操作される。
【0113】
本開示の操作された細胞は、細胞のゲノムに組み込まれた一つ以上の操作されたポリヌクレオチド(例えば、誘導性転写調節因子(ITM)応答性プロモーターを含む発現システム)を含むことができる。操作された細胞は、例えば、プラスミドまたはmRNAなどの一過性発現システムで操作された、細胞のゲノムに組み込まれることなく発現の能力を有する、一つ以上の操作されたポリヌクレオチドを含むことができる。
【0114】
操作された細胞型
本開示の操作された細胞は、ヒト細胞とすることができる。操作された細胞は、ヒトの初代細胞とすることができる。操作された初代細胞は、任意の体細胞とすることができる。操作された初代細胞は、任意の幹細胞とすることができる。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、対象由来である。一部の実施形態では、操作された細胞は、対象に関して同種異系である。
【0115】
本開示の操作された細胞は、がんを有することが知られている、または疑われる対象などの対象から単離することができる。細胞単離方法は当業者に知られており、FACSソーティングなどの細胞表面マーカー発現に基づくソーティング技法、ポジティブ単離技法、およびネガティブ単離、磁気単離、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。操作された細胞は、治療が投与されている対象に関して同種異系とすることができる。同種異系の修正された細胞は、治療が投与されている対象にHLA適合させることができる。操作された細胞は、エクスビボ培養細胞などの、培養細胞とすることができる。操作された細胞は、対象から単離された初代細胞などの、エクスビボ培養細胞とすることができる。培養細胞は、一つ以上のサイトカインを用いて培養することができる。
【0116】
一部の実施形態では、本開示の操作された細胞としては、T細胞(例えば、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはガンマデルタT細胞)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ(例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージ)、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ニューロン、乏突起膠細胞、星状膠細胞、プラコード由来細胞、シュワン細胞、心筋細胞、内皮細胞、結節筋細胞、ミクログリア細胞、肝細胞、胆管細胞、ベータ細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0117】
一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、T細胞(例えば、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはガンマ-デルタT細胞)である。一部の実施形態では、本開示の操作されたのは、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、調節性T細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、B細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、自然リンパ球細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、肥満細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、好酸球である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、好塩基球である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、好中球である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、骨髄細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、マクロファージ、例えば、M1マクロファージまたはM2マクロファージである)。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、単球である。一部の実施形態では、本開示の操作されたまたは単離された細胞は、樹状細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、赤血球である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、血小板細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、ニューロンである。一部の実施形態では、本開示の細胞は、ミクログリア細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、乏突起膠細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、星状膠細胞である。一部の実施形態では、本開示の細胞は、プラコード由来細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、シュワン細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、心筋細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、内皮細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、結節筋細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ミクログリア細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、胆管細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ベータ細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ヒト胚性幹細胞(ESC)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、ESC由来細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、多能性幹細胞である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、間葉系間質細胞(MSC)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、iPSC由来細胞である。一部の実施形態では、操作された細胞は自己である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、同種異系である。一部の実施形態では、本開示の操作された細胞は、CD34+細胞、CD3+細胞、CD8+細胞、CD16+細胞、および/またはCD4+細胞である。
【0118】
一部の実施形態では、本開示の細胞は、腺がん細胞、膀胱腫瘍細胞、脳腫瘍細胞(例えば、グリオーマ細胞またはグリア芽腫細胞)、乳房腫瘍細胞、頚部腫瘍細胞、直腸結腸腫瘍細胞、食道腫瘍細胞、グリオーマ細胞、腎臓腫瘍細胞、肝臓腫瘍細胞、肺腫瘍細胞、メラノーマ細胞、中皮腫細胞、卵巣腫瘍細胞、膵臓腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、皮膚腫瘍細胞、甲状腺腫瘍細胞、および子宮腫瘍細胞から選択される腫瘍細胞である。
【0119】
また、本開示の操作された細胞を培養することを含む方法も本明細書で提供される。本明細書に記述される操作された細胞を培養する方法は、知られている。当業者は、培養条件が、目的の特定の操作された細胞に依存することを認識するであろう。当業者は、培養条件が、操作された細胞の特定の下流での使用、例えば、対象に対する操作された細胞のその後の投与のための特定の培養条件に依存することを認識するであろう。
【0120】
細胞を操作する方法
本明細書に記述されるような任意のポリヌクレオチド分子または構築物を有する細胞を操作するための組成物および方法も本明細書で提供される。
【0121】
一般に、細胞は、本開示の一つ以上のポリヌクレオチドの導入(すなわち、送達)により操作される。送達方法としては、ウイルス媒介送達、脂質媒介導入、ナノ粒子送達、電気穿孔、超音波処理、および物理的手段による細胞膜変形が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、送達方法の選択は、操作されるべき特定の細胞型に依存する可能性があることを理解するであろう。
【0122】
ウイルス媒介送達
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームを使用して、細胞を操作することができる。一般に、ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、宿主細胞の中への導入(すなわち、送達)を通して細胞を操作する。例えば、ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、本明細書に記述される核酸のうちのいずれかの導入を通して細胞を操作することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは核酸とすることができるが、このように、操作された核酸はまた、操作されたウイルス由来の核酸を包含することもできる。こうした操作されたウイルス由来の核酸はまた、組み換えウイルスまたは操作されたウイルスとも呼ぶことができる。
【0123】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、同じ核酸内に二つ以上の操作された核酸、遺伝子、または導入遺伝子をコードすることができる。例えば、操作されたウイルス由来の核酸、例えば、組み換えウイルスまたは操作されたウイルスは、一つ以上のエフェクター分子をコードする本明細書に記載の操作された核酸のうちのいずれかが挙げられるがこれらに限定されない一つ以上の導入遺伝子をコードすることができる。一つ以上のエフェクター分子をコードする一つ以上の導入遺伝子を、一つ以上のエフェクター分子を発現するように構成することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、ウイルス感染性および/またはウイルス産生に必要なウイルス遺伝子など(例えば、キャプシドタンパク質、エンベロープタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、ウイルスなど)の、一つ以上の導入遺伝子(例えば、一つ以上のエフェクター分子をコードする導入遺伝子)に加えて、シス作用要素またはシス作用遺伝子と呼ばれる一つ以上の遺伝子をコードすることができる。
【0124】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、本明細書中に記述され、かつトランス作用性要素または遺伝子と呼ばれる、操作された核酸、遺伝子、または導入遺伝子をコードする別個のウイルスベクターなどの、二つ以上のウイルスベクターを含むことができる。例えば、ヘルパー依存性ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、一つ以上のエフェクター分子をコードするベクターに加えて、一つ以上の追加の別個のベクター上にウイルス感染性および/またはウイルス産生のために必要な追加の遺伝子を提供することができる。一つのウイルスベクターは、二つ以上のエフェクター分子を産生するように構成された操作された核酸を送達する一つのベクターなど、二つ以上の操作された核酸を送達することができる。二つ以上のウイルスベクターは、一つ以上のエフェクター分子を産生するように構成された一つ以上の操作された核酸を送達する二つ以上のベクターなどの、二つ以上の操作された核酸を送達することができる。使用されるウイルスベクターの数は、上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング容量に依存することができ、また当業者は、適切な数のウイルスベクターを選択することができる。
【0125】
一般に、ウイルスベクターベースのシステムのうちのいずれかは、エフェクター分子などの分子のインビトロ産生のために使用することができ、または、例えば、一つ以上のエフェクター分子をコードする操作された核酸をインビボ送達するために、インビボおよびエクスビボ遺伝子療法手順に使用することができる。適切なウイルスベクターベースのシステムの選択は、カーゴ/ペイロードのサイズ、ウイルスシステムの免疫原性、目的の標的細胞、遺伝子発現の強度およびタイミング、ならびに当業者によって理解される他の要因などの、様々な要因に依存する。
【0126】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、RNAベースのウイルスまたはDNAベースのウイルスとすることができる。例示的なウイルスベクターベースの送達プラットフォームには、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、インディアナベシクロウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、粘液腫ウイルス、レオウイルス、ムンプスウイルス、マラバウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、肝炎ウイルス、風疹ウイルス、デングウイルス、チクングニアウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、モルビリウイルス、レンチウイルス、複製レトロウイルス、ラブドウイルス、セネカバレーウイルス、シンドビスウイルス、及びそれらの任意のバリアント又は誘導体が含まれるが、これらに限定されない。ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照のこと)、または特定の細胞型もしくは受容体を標的化するように設計された第2、第3またはハイブリッド第2/第3世代レンチウイルスおよび任意の世代の組み換えレンチウイルスが挙げられるがこれらに限定されないレンチウイルスなど(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45-61、Sakuman et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18、Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690、Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照のこと)などの他の例示的なウイルスベクターベースの送達プラットフォームが、当技術分野において記述される。
【0127】
この配列は、細胞内コンパートメントを標的化する一つ以上の配列で先行されてもよい。宿主細胞への導入(すなわち、送達)に伴い、感染細胞(すなわち、操作された細胞)は、一つ以上のエフェクター分子を発現することができ、そしていくつかの事例では分泌することができる。免疫化プロトコルにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記述されている。別のベクターはBCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記述されている。操作された核酸の導入(すなわち、送達)のために有用な多種多様な他のベクター、例えば、Salmonella typhiベクター、およびこれに類するものは、本明細書の記述から当業者には明らかであろう。
【0128】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、腫瘍細胞を標的とするウイルスとすることができ、本明細書では腫瘍溶解性ウイルスと呼ばれる。腫瘍溶解性ウイルスの例としては、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス、腫瘍溶解性アデノウイルス、腫瘍溶解性麻疹ウイルス、腫瘍溶解性インフルエンザウイルス、腫瘍溶解性インディアナベシクロウイルス、腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルス、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、腫瘍溶解性ポリオウイルス、腫瘍溶解性粘液腫ウイルス、腫瘍溶解性レオウイルス、腫瘍溶解性ムンプスウイルス、腫瘍溶解性マラバウイルス、腫瘍溶解性狂犬病ウイルス、腫瘍溶解性ロタウイルス、腫瘍溶解性肝炎ウイルス、腫瘍溶解性風疹ウイルス、腫瘍溶解性デングウイルス、腫瘍溶解性チクングニアウイルス、腫瘍溶解性呼吸器合胞体ウイルス、腫瘍溶解性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、腫瘍溶解性モルビリウイルス、腫瘍溶解性レンチウイルス、腫瘍溶解性複製レトロウイルス、腫瘍溶解性ラブドウイルス、腫瘍溶解性セネカバレーウイルス、腫瘍溶解性シンドビスウイルス、およびそれらの任意のバリアントまたは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記述される腫瘍溶解性ウイルスのうちのいずれかは、一つ以上のエフェクター分子をコードするもう一つの導入遺伝子(例えば、操作された核酸)を含む組み換え腫瘍溶解性ウイルスとすることができる。一つ以上のエフェクター分子をコードする導入遺伝子は、一つ以上のエフェクター分子を発現するように構成することができる。
【0129】
一部の実施形態では、ウイルスとしては、レンチウイルス、レトロウイルス、腫瘍溶解性ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびウイルス様粒子(VLP)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0130】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、レトロウイルスベースとすることができる。一般に、レトロウイルスベクターは、最大で6~10kbの外来配列に対するパッケージング能力を有する、シス作用性の長い末端反復からなる。最小のシス作用性LTRは、ベクターの複製およびパッケージングのために十分であり、これはその後、一つ以上の操作された核酸(例えば、一つ以上のエフェクター分子をコードする導入遺伝子)を標的細胞に組み込んで、永久的な導入遺伝子発現を提供するために使用される。レトロウイルスベースの送達システムとしては、ネズミ白血病、ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびそれらの組み合わせに基づく送達システムが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Buchscher et al.,J.Virol.66:2731-2739(1992)、Johann et ah,J.Virol.66:1635-1640(1992)、Sommnerfelt et al.,Virol.176:58-59(1990)、Wilson et ah,J.Virol.63:2374-2378(1989)、Miller et al,J,Virol.65:2220-2224(1991)、PCT/US94/05700号を参照のこと)。他のレトロウイルスシステムとしては、Phoenixレトロウイルスシステムが挙げられる。
【0131】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、レンチウイルスベースとすることができる。一般的に、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入または感染させることができ、典型的に、高いウイルス力価を産生するレトロウイルスベクターである。レンチウイルスベースの送達プラットフォームは、ViraPowerシステム(ThermoFisher)またはpLentiシステム(Cell Biolabs)などの、HIVベースとすることができる。レンチウイルスベースの送達プラットフォームは、SIVまたはFIVベースとすることができる。他の例示的なレンチウイルスベースの送達プラットフォームは、米国特許第7,311,907号、同第7,262,049号、同第7,250,299号、同第7,226,780号、同第7,220,578号、同第7,211,247号、同第7,160,721号、同第7,078,031号、同第7,070,993号、同第7,056,699号、同第6,955,919号に、より詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、アデノウイルスベースとすることができる。一般に、アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率の能力を有し、細胞分裂を必要とせず、高い力価および発現のレベルを達成し、かつ比較的単純なシステムにおいて大量に産生することができる。一般に、アデノウイルスは、感染細胞内での導入遺伝子の一過性発現のために使用することができる。なぜなら、アデノウイルスは、典型的に、宿主のゲノム中に組み込まれないためである。アデノウイルスベースの送達プラットフォームは、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994、Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999、Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995、Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999、国際公開第94/12649号、同第93/03769号、同第93/19191号、同第94/28938、同第95/11984号、および同第95/00655号に、より詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。他の例示的なアデノウイルスベースの送達プラットフォームは、米国特許第5585362号、同第6,083,716号、同第7,371,570号、同第7,348,178号、同第7,323,177号、同第7,319,033号、同第7,318,919号、および同第7,306,793号ならびに国際特許出願国際公開第96/13597号に、より詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベースとすることができる。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、操作された核酸(例えば、本明細書に記述される操作された核酸のうちのいずれか)を用いて細胞を形質導入するために使用されてもよい。AAVシステムは、エフェクター分子のインビトロ産生のために使用することができ、またはインビボおよびエクスビボ遺伝子療法手順において、例えば、一つ以上のエフェクター分子をコードする操作された核酸のインビボ送達のために使用することができる(例えば、West et al.,Virology 160:38-47(1987)、米国特許第4,797,368号、同第5,436,146号、同第6,632,670号、同第6,642,051号、同第7,078,387号、同第7,314,912号、同第6,498,244号、同第7,906,111号、米国特許公開第2003-0138772号、同第2007/0036760号、および同第2009/0197338号、Gao,et al.,J.Virol,78(12):6381-6388(June 2004);Gao,et al,Proc Natl Acad Sci USA,100(10):6081-6086(May 13,2003)、ならびに国際特許出願国際公開第2010/138263号および同第93/24641号、Kotin,Human Gene Therapy 5:793-801(1994)、Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる) 組み換えAAVベクターを構築するための例示的な方法が、米国特許第5,173,414号、Tratschin et ah,Mol.Cell.Biol.5:3251-3260(1985)、Tratschin,et ah,Mol.Cell,Biol.4:2072-2081(1984)、Hermonat &Muzyczka,PNAS 81:64666470(1984)、およびSamuiski et ah,J.Virol.63:03822-3828(1989)に、さらに詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。一般に、AAVベースのベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11およびそれらのバリアントのうちのいずれか一つに対応するアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0134】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、ウイルス様粒子(VLP)プラットフォームとすることができる。一般に、VLPは、ウイルス構造タンパク質を産生し、結果として得られたウイルス粒子を精製することによって構築される。次いで、精製後、カーゴ/ペイロード(例えば、本明細書に記述される、操作された核酸のうちのいずれか)を、精製した粒子内にエクスビボで封入する。したがって、VLPの産生は、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸およびカーゴ/ペイロードをコードする核酸の分離を維持する。VLP産生において使用されるウイルス構造タンパク質は、哺乳動物、酵母、昆虫、細菌、またはインビボ翻訳発現システムを含む、様々な発現システムにおいて産生することができる。精製されたウイルス粒子を、当業者に知られている方法を使用して、所望のカーゴの存在下で変性および再形成して、VLPを産生することができる。VLPの産生は、Seow et al.(Mol Ther.2009 May;17(5):767-777)に、より詳細に記述され、参照によりすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0135】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、ある範囲の細胞を標的化(すなわち、感染)する、細胞の狭いサブセットを標的化する、または特定の細胞を標的化するように操作することができる。一般に、ウイルスベクターベースの送達プラットフォーム用に選ばれたエンベロープタンパク質は、ウイルス親和性を決定する。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームにおいて使用されるウイルスは、目的の特定の細胞を標的化するように偽型化することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、汎親和性とすることができ、かつある範囲の細胞に感染することができる。例えば、汎親和性ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、VSV-Gエンベロープを含むことができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、両種指向性とすることができ、かつ哺乳動物細胞に感染することができる。したがって、当業者は、所望の細胞型を標的化するための適切な親和性、偽型、および/またはエンベロープタンパク質を選択することができる。
【0136】
脂質構造送達システム
本開示の操作された核酸(例えば、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子)は、脂質媒介送達システムを使用して細胞の中へと導入することができる。一般に、脂質媒介送達システムは、内部コンパートメントを包む外部脂質膜で構成される構造を使用する。脂質ベースの構造の例としては、脂質ベースのナノ粒子、リポソーム、ミセル、エキソソーム、小胞、細胞外小胞、細胞、または組織が挙げられるが、これらに限定されない。脂質構造送達システムは、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで、カーゴ/ペイロード(例えば、本明細書に記述される、操作された核酸のうちのいずれか)を送達することができる。
【0137】
脂質ベースのナノ粒子としては、単層リポソーム、多層リポソーム、および脂質調製物を挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「リポソーム」は、所望のカーゴ、例えば、例えば、本明細書に記述される、操作された核酸のうちのいずれかなどの操作された核酸を、脂質シェルまたは脂質凝集体内に封入することにより形成される脂質ビヒクルのインビトロ調製物を包含する総称である。リポソームは、一般的にリン脂質を含む二分子膜を有する小胞構造、および一般的に水性組成物を含む内部媒質を有するとして特徴付けられてもよい。リポソームとしては、エマルション、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、層状層、およびこれに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームは単層リポソームとすることができる。リポソームは多層リポソームとすることができる。リポソームは多胞性リポソームとすることができる。リポソームは、正に荷電、負に荷電、または中性に荷電することができる。ある特定の実施形態では、リポソームは中性に荷電している。リポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができ、これは、一般的に、中性および負に荷電したリン脂質ならびにコレステロールなどのステロールを含む。脂質の選択は、一般的に、所望の目的、例えば、インビボ送達についての基準、例えばリポソームのサイズ、酸の不安定性、および血流中でのリポソームの安定性などの考慮により誘導される。例えば、Szokan et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9;467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、および同第5,019,369号(各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記述されるような様々な方法が、リポソームを調製するために利用可能である。
【0138】
多層リポソームは、一般的に、リン脂質を含む脂質を過剰の水溶液中に懸濁した場合に自発的に生成され、これにより複数の脂質層が水性媒体によって分離される。水および溶解された溶質は、脂質成分の自己再構成後に、脂質二分子層の間の閉じた構造中に封入される。所望のカーゴ(例えば、ポリペプチド、核酸、小分子薬物、本明細書に記述される操作された核酸のいずれかなどの操作された核酸、ウイルスベクター、ウイルスベースの送達システムなど)は、リポソーム内部の水溶液中に封入するか、リポソームおよびポリペプチド/核酸の両方と会合する連結分子を介してリポソームに付着させるか、リポソームの脂質二分子層内に散在させるか、リポソーム内に取り込むか、リポソームと複合体化させるか、または別の方法で、リポソームと会合させることができ、これによりそれを標的実体へと送達することができる。親油性分子または親油性領域を有する分子はまた、脂質二分子層内に溶解されてもよく、またはそれと会合してもよい。
【0139】
本実施形態に従って使用されるリポソームは、当業者には知られているであろうように、異なる方法により作製することができる。リポソームの調製は、国際公開第2016/201323号、国際出願第PCT/US85/01161号および同第PCT/US89/05040号、ならびに米国特許第4,728,578号、同第4,728,575号、同第4,737,323号、同第4,533,254号、同第4,162,282号、同第4,310,505号、および同第4,921,706号に、より詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
リポソームはカチオン性リポソームとすることができる。カチオン性リポソームの例は、米国特許第5,962,016号、同第5,030,453号、同第6,680,068号、米国出願第2004/0208921号、ならびに国際特許出願国際公開第03/015757A1号、同第04029213A2号、および同第02/100435A1号に、より詳細に記述され、各々は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
脂質媒介遺伝子送達方法は、例えば、国際公開第96/18372号、同第93/24640号、Mannino & Gould-Fogerite,BioTechniques 6(7):682-691(1988)、米国特許第5,279,833号Rose米国特許第5,279,833号、国際公開第91/06309、およびFelgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7414(1987)に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
エキソソームは、エンドサイトーシス起源の小さい膜小胞であり、それは、多胞性本体と原形質膜との融合後に細胞外環境へと放出される。エキソソームのサイズは、直径30~100nmの範囲である。それらの表面は、ドナー細胞の細胞膜からの脂質二分子層からなり、それらは、エキソソームを産生した細胞からのサイトゾルを含み、そして表面上に親細胞からの膜タンパク質を呈する。核酸の送達のために有用なエキソソームは、当業者に知られており、例えば、米国特許第9,889,210号においてより詳細に記述されるエキソソームであり、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「細胞外小胞」または「EV」という用語は、内部空間を封入する膜を含む細胞由来の小胞を指す。一般に、細胞外小胞は、それらが由来する細胞より小さい直径を有するすべての膜結合型小胞を含む。一般的に、細胞外小胞は、直径20nm~1000nmの範囲であり、細胞外小胞の外部表面上に表示される、および/または膜にわたる内部空間内のいずれかで、様々な高分子カーゴを含むことができる。カーゴは、核酸(例えば、本明細書に記述される操作された核酸のうちのいずれか)、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、および/またはそれらの組み合わせを含むことができる。例として、限定されないが、細胞外小胞は、アポトーシス小体、細胞の断片、直接または間接操作(例えば、連続的な押し出しまたはアルカリ溶液での処理による)によって細胞から由来する小胞、小胞化オルガネラ、および生細胞により産生される小胞(例えば、直接的な原形質膜の出芽または後期エンドソームと原形質膜との融合による)を含む。細胞外小胞は、生存生物または死滅生物、外植された組織もしくは器官、および/または培養細胞に由来することができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「エキソソーム」という用語は、内部空間を取り囲む膜を含み、直接的な原形質膜の出芽または後期エンドソームと原形質膜との融合により細胞から生成される細胞由来の小さい(直径20~300nm、より好ましくは直径40~200nmの)小胞を指す。エキソソームは、脂質または脂肪酸およびポリペプチドを含み、そして任意選択的に、ペイロード(例えば、治療薬)、レシーバ(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、またはDNA、例えば、本明細書に記述される操作された核酸のうちのいずれかなど)、糖(例えば、単糖類、多糖類、またはグリカン)、または他の分子を含む。エキソソームは、産生細胞から由来することができ、またそのサイズ、密度、生化学的パラメーター、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離することができる。エキソソームは、細胞外小胞の一種である。一般的に、エキソソーム産生/生合成は、産生細胞の破壊をもたらさない。エキソソームおよびエキソソームの調製は、国際公開第2016/201323号にさらに詳細に記述され、それは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本明細書で使用される場合、「ナノ小胞」(また、「マイクロ小胞」とも呼ばれる)という用語は、内部空間を取り囲む膜を含み、直接または間接操作により細胞から生成される、細胞由来の小さい(直径20~250nm、より好ましくは直径30~150nmの)小胞を指し、これにより当該ナノ小胞は、当該操作を有しないで、当該産生細胞によって産生されないことになる。一般に、ナノ小胞は、細胞外小胞の亜種である。産生細胞の適切な操作としては、連続押出、アルカリ性溶液を用いた処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ナノ小胞の産生は、一部の事例では、当該産生細胞の破壊をもたらす場合がある。好ましくは、ナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームと原形質膜との融合により産生細胞から由来する小胞を実質的に含まない。ナノ小胞は、脂質または脂肪酸およびポリペプチドを含み、そして任意選択的に、ペイロード(例えば、治療薬)、レシーバ(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、またはDNA、例えば、本明細書に記述される操作された核酸のうちのいずれかなど)、糖(例えば、単糖類、多糖類、またはグリカン)、または他の分子を含む。ナノ小胞は、当該操作に従って産生細胞から誘導されると、そのサイズ、密度、生化学的パラメーター、またはそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離される場合がある。
【0146】
脂質ナノ粒子(LNP)は、一般に、脂質の両親媒性の性質に依存して膜および小胞様の構造を形成する合成脂質構造である(Riley 2017)。一般に、これらの小胞は、標的細胞の膜中に吸収され、カーゴをサイトゾル中に放出することによって、本明細書に記述される、操作された核酸またはウイルスシステムのいずれかなどのカーゴ/ペイロードを送達する。LNP形成において使用される脂質は、カチオン性、アニオン性、または中性とすることができる。脂質は、合成または天然由来とすることができ、一部の事例では生分解性とすることができる。脂質としては、脂肪、コレステロール、リン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート(PEG化脂質)が挙げられるがこれらに限定されない脂質コンジュゲート、ワックス、油、グリセリド、および脂溶性ビタミンを含むことができる。脂質組成物は、一般的に、カチオン性、中性、アニオン性、および両親媒性脂質などの材料の定義された混合物を含む。一部の事例では、LNP凝集を防止する、脂質酸化を防止する、または追加部分の付着を促進する機能的な化学基を提供するために、特定の脂質が含まれる。脂質組成物は、全体的なLNPサイズおよび安定性に影響を与える可能性がある。一例では、脂質組成物は、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(MC3)またはMC3様分子を含む。MC3およびMC3様脂質組成物は、PEGまたはPEGコンジュゲート脂質、ステロール、または中性脂質などの一つ以上の他の脂質を含むように製剤化することができる。加えて、LNPをさらに操作または機能化して、特定の細胞型の標的化を促進することができる。LNP設計における別の考慮事項は、標的化効率と細胞傷害性とのバランスである。
【0147】
ミセルは、一般に、単鎖脂質を使用して形成される球状の合成脂質構造であり、ここで、単鎖脂質の親水性の頭部は外層または膜を形成し、また単鎖脂質の疎水性の尾部はミセル中心を形成する。ミセルは、典型的に、脂質単層のみを含む脂質構造を指す。ミセルは、Quader et al.(Mol Ther.2017 Jul 5;25(7):1501-1513)に、より詳細に記述され、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
血清に直接曝露された発現ベクターなどの核酸ベクターは、血清ヌクレアーゼによる核酸の分解または遊離核酸による免疫系のオフターゲット刺激を含む、いくつかの望ましくない結果を有する可能性がある。同様に、血清に直接曝露されたウイルス送達システムは、望ましくない免疫応答および/またはウイルス送達システムの中和をトリガーする可能性がある。したがって、操作された核酸および/またはウイルス送達システムの封入を使用して、分解を回避することができ、一方で潜在的なオフターゲットの影響を回避することもできる。ある特定の例では、操作された核酸および/またはウイルス送達システムは、LNPの水性内部内などの送達ビヒクル内に完全に封入される。LNP内での操作された核酸および/またはウイルス送達システムのカプセル化は、当業者に周知の技術、例えば、マイクロ流体混合およびマイクロ流体液滴生成デバイス上で行われる液滴生成などにより行うことができる。こうした装置デバイスとしては、標準的なTジャンクションデバイスまたはフローフォーカシングデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。一例では、MC3またはMC3様含有組成物などの所望の脂質製剤は、操作された核酸またはウイルス送達システムおよび任意の他の所望の薬剤と並行して液滴生成デバイスに提供され、これにより送達ベクターおよび所望の薬剤は、MC3またはMC3様ベースのLNPの内部内に完全に封入される。一例では、液滴生成デバイスは、産生されるLNPのサイズ範囲およびサイズ分布を制御することができる。例えば、LNPは、直径の1~1000ナノメートルの範囲、例えば、1、10、50、100、500、または1000ナノメートルのサイズを有することができる。液滴生成の後、カーゴ/ペイロードをカプセル化する送達ビヒクル(例えば、操作された核酸および/またはウイルス送達システム)をさらに処理または操作して、投与用にそれらを調製することができる。
【0149】
ナノ粒子送達
ナノ材料は、操作された核酸(例えば、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子)を送達するために使用することができる。ナノ材料ビヒクルは、重要なことに、非免疫原性材料で作製することができ、また一般的に、その送達ベクター自体に対する免疫を引き出すことを回避することができる。これらの材料としては、脂質(前述したような)、無機ナノ材料、および他の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されない。ナノ材料粒子は、Riley et al.(Recent Advances in Nanomaterials for Gene Delivery--A Review. Nanomaterials 2017,7(5),94)に、より詳細に記述され、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
ゲノム編集システム
ゲノム編集システムを使用して、本開示のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子などの操作された核酸をコードするように宿主ゲノムを操作することができる。一般に、「ゲノム編集システム」は、外因性遺伝子を宿主細胞のゲノム中に組み込むための任意のシステムを指す。ゲノム編集システムとしては、トランスポゾンシステム、ヌクレアーゼゲノム編集システム、およびウイルスベクターベースの送達プラットフォームが挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
トランスポゾンシステムを使用して、本開示の操作された核酸などの操作された核酸を宿主ゲノムに組み込むことができる。トランスポゾンは、一般的に、カーゴ/ペイロード核酸およびトランスポザーゼに隣接する末端逆位反復(TIR)を含む。トランスポゾンシステムは、TIR隣接カーゴとともに、シスにおいてまたはトランスにおいてトランスポゾンを提供することができる。トランスポゾンシステムは、レトロトランスポゾンシステムまたはDNAトランスポゾンシステムとすることができる。一般に、トランスポゾンシステムは、カーゴ/ペイロード(例えば、操作された核酸)をランダムに宿主ゲノム中に組み込む。トランスポゾンシステムの例としては、スリーピングビューティートランスポゾンシステムなどのTc1/マリナートランスポゾンスーパーファミリーのトランスポゾンを使用したシステムが挙げられ、Hudecek et al.(Crit Rev Biochem Mol Biol.2017 Aug;52(4):355-380)、ならびに米国特許第6,489,458号、同第6,613,752号、および同第7,985,739号に、より詳細に記述され、それらの各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。トランスポゾンシステムの別の例としては、PiggyBacトランスポゾンシステムが挙げられ、米国特許第6,218,185号および同第6,962,810号に、より詳細に記述され、それらの各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
ヌクレアーゼゲノム編集システムを使用して、本開示の単離ポリヌクレオチドまたは異種構築物などの操作された核酸をコードするように宿主ゲノムを操作することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、一般に、外因性遺伝子を導入するために使用されるヌクレアーゼ媒介遺伝子編集システムは、細胞の天然DNA修復機構、特に相同的組み換え(HR)修復経路を利用する。簡潔に述べると、ゲノムDNAへの損傷(典型的には二本鎖切断)の後、細胞は、損傷を修復するためのDNA合成時に、その5’と3’の両方の末端に同一または実質的に同一の配列を有する別のDNA供給源をテンプレートとして使用することにより、損傷を解消することができる。天然の状況では、HDRは、細胞中に存在するその他の染色体をテンプレートとして使用することができる。遺伝子編集システムでは、外因性ポリヌクレオチドを細胞中に導入し、相同的組み換えテンプレート(HRTまたはHRテンプレート)として使用する。一般に、HRT(例えば、遺伝子または遺伝子の一部)内の5’および3’相補的末端の間に含まれる損傷を伴う、染色体内に本来は見出されない任意の追加の外因性配列を、テンプレート化されたHDR中に所与のゲノム遺伝子座中に組み込む(すなわち、統合する)ことができる。それ故に、所与のゲノム遺伝子座に対する典型的なHRテンプレートは、内因性ゲノム標的遺伝子座の第1の領域と同一のヌクレオチド配列、内因性ゲノム標的遺伝子座の第2の領域と同一のヌクレオチド配列、およびカーゴ/ペイロード核酸(例えば、一つ以上のエフェクター分子をコードする操作された核酸のうちのいずれかなどの本明細書に記載の操作された核酸のいずれか)をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0153】
一部の例では、HRテンプレートは直線状とすることができる。直線状HRテンプレートの例としては、直線化されたプラスミドベクター、ssDNA、合成DNA、およびPCR増幅DNAが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例では、HRテンプレートは、プラスミドなど、環状とすることができる。環状テンプレートは、スーパーコイル状のテンプレートを含むことができる。
【0154】
HRテンプレートの5’および3’末端で見出される同一または実質的に同一の配列は、導入される外因性配列に関して、一般的にアーム(HRアーム)と呼ばれる。HRアームは、内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一(即ち、100%同一)とすることができる。HRアームは、一部の例では、内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と実質的に同一とすることができる。実質的に同一のHRアームを使用することができる一方で、HDR経路の効率は、100%未満の同一性を有するHRアームによって影響を受ける場合があるため、HRアームが同一であることは有利となる可能性がある。
【0155】
各HRアーム、すなわち5’および3’HRアームは、同じサイズまたは異なるサイズとすることができる。各HRアームの長さは、各々、50、100、200、300、400、もしくは500塩基以上とすることができる。HRアームは、一般に、任意の長さとすることができるが、全体的な編集効率に対するHRアームの長さおよび全体的なテンプレートサイズの影響などの実際的な考慮事項も考慮に入れることができる。HRアームは、切断部位に直接隣接する内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、または実質的に同一とすることができる。各HRアームは、切断部位に直接隣接する内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、または実質的に同一とすることができる。各HRアームは、切断部位から、互いに1塩基対、10塩基対以下、50塩基対以下、または100塩基対以下などのある特定の距離以内にある内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、または実質的に同一とすることができる。
【0156】
ヌクレアーゼゲノム編集システムは、クラスター化した規則的な間隔の短い回文配列リピート(CRISPR)ファミリーヌクレアーゼまたはその誘導体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはその誘導体、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)またはその誘導体、およびホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)またはその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない、様々なヌクレアーゼを使用して、標的ゲノム遺伝子座を切断することができる。
【0157】
CRISPR媒介遺伝子編集システムを使用して、本明細書に記述されるエフェクター分子のうちの一つ以上をコードする操作された核酸などの、操作された核酸をコードするように宿主ゲノムを操作することができる。CRISPRシステムは、M. Adli(“The CRISPR tool kit for genome editing and beyond”Nature Communications;volume 9(2018),Article number:1911)に、より詳細に記述され、それが教示するすべてのために、参照により本明細書に組み込まれる。一般に、CRISPR媒介遺伝子編集システムは、CRISPR関連(Cas)ヌクレアーゼおよび特定の標的配列に切断を方向付けるRNAを含む。例示的なCRISPR媒介遺伝子編集システムは、Cas9ヌクレアーゼならびにCRISPR RNA(crRNA)ドメインおよびトランス活性化CRISPR(tracrRNA)ドメインを有するRNAからなるCRISPR/Cas9システムである。crRNAは、典型的に、二つのRNAドメイン:塩基対ハイブリダイゼーションを通じて標的配列(「定義されたヌクレオチド配列」)、例えば、ゲノム配列に特異性を方向付けるガイドRNA配列(gRNA)と、tracrRNAにハイブリダイズするRNAドメインと、を有する。tracrRNAは、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)と相互作用し、そしてそれによって、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)のゲノム遺伝子座への動員を促進することができる。crRNAおよびtracrRNAポリヌクレオチドは、別個のポリヌクレオチドとすることができる。crRNAおよびtracrRNAポリヌクレオチドは、単一のポリヌクレオチドとすることができ、また単一のガイドRNA(sgRNA)とも呼ばれる。Cas9システムが本明細書に例証されるが、Cpf1システムなどの他のCRISPRシステムを使用することができる。ヌクレアーゼは、Cas9機能性変異体などのその誘導体、例えば、Cas9酵素により典型的に産生される完全な二本鎖切断とは対照的に、一般に、定義されたヌクレオチド配列の一本鎖のみの切断を媒介するCas9「ニッカーゼ」変異体を含むことができる。
【0158】
一般に、CRISPRシステムの成分は、互いに相互作用してリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成して、配列特異的な切断を媒介する。一部のCRISPRシステムでは、各成分を別個に産生し、かつ使用して、RNP複合体を形成することができる。一部のCRISPRシステムでは、各成分をインビトロで別個に産生し、そしてインビトロで互いに接触させて(すなわち、「複合体化させて」)RNP複合体を形成することができる。インビトロで産生されたRNPは、次に、細胞のサイトゾルおよび/または核、例えば、T細胞のサイトゾルおよび/または核へと導入(すなわち、「送達」)することができる。インビトロで産生されたRNP複合体は、電気穿孔、脂質媒介導入、物理的手段による細胞膜変形、脂質ナノ粒子(LNP)、ウイルス様粒子(VLP)、および超音波処理が挙げられるが、これらに限定されない、様々な手段により細胞に送達することができる。特定の例では、インビトロで産生されたRNP複合体を、Nucleofactor/Nucleofection(登録商標)電気穿孔ベースの送達システム(Lonza(登録商標))を使用して細胞に送達することができる。他の電気穿孔システムとしては、MaxCyte電気穿孔システム、Miltenyi CliniMACS電気穿孔システム、Neon電気穿孔システム、およびBTX電気穿孔が挙げられるが、これらに限定されない。CRISPRヌクレアーゼ、例えば、Cas9は、当業者に知られている様々なタンパク質産生技法を使用して、インビトロで産生(すなわち、合成および精製)することができる。CRISPRシステムRNA、例えば、sgRNAは、当業者に公知の様々なRNA生成技術、例えばインビトロ転写または化学合成などを使用して、インビトロで産生(すなわち、合成および精製)することができる。
【0159】
インビトロで産生されたRNP複合体は、ヌクレアーゼとgRNAとの異なる比で複合体化することができる。インビトロで産生されたRNP複合体はまた、CRISPR媒介編集システムにおいて異なる量で使用することもできる。例えば、編集されることが望ましい細胞の数に依存して、反応において多数の細胞を編集するときに加えられるRNP複合体の量の低減などのように、加えられるRNPの総量を調整することができる。
【0160】
一部のCRISPRシステムでは、各成分(例えば、Cas9およびsgRNA)は、ポリヌクレオチドによって別個にコードすることができ、各ポリヌクレオチドは一緒にまたは別個に細胞中に導入される。一部のCRISPRシステムでは、各成分は、単一のポリヌクレオチド(すなわち、マルチプロモーターまたはマルチシストロンベクター、以下の例示的なマルチシストロンシステムの説明を参照のこと)によってコードすることができ、また細胞中に導入することができる。細胞内での各ポリヌクレオチドにコードされたCRISPR成分の発現(例えば、ヌクレアーゼの翻訳およびCRISPR RNAの転写)後、RNP複合体を細胞内で形成させることができ、そして次に、部位特異的切断に方向付けることができる。
【0161】
一部のRNPは、核の中へのRNPの送達を促進する部分を有するように操作することができる。例えば、Cas9ヌクレアーゼは、核局在化シグナル(NLS)ドメインを有することができ、これによりCas9 RNP複合体が、細胞のサイトゾル中に送達される場合、またはCas9の翻訳およびその後のRNP形成後に、NLSは、核の中へのCas9 RNPのさらなる輸送を促進することができる。
【0162】
本明細書に記述される、細胞は、非ウイルス方法を使用して操作することができ、例えば、本明細書に記述されるヌクレアーゼおよび/またはCRISPR媒介遺伝子編集システムは、非ウイルス方法を使用して細胞に送達することができる。本明細書に記述される細胞は、ウイルス方法を使用して操作することができ、例えば、本明細書に記述されるヌクレアーゼおよび/またはCRISPR媒介遺伝子編集システムは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、または本明細書に記述されるその他のウイルスベースの送達方法のいずれかなどのウイルス方法を使用して細胞に送達することができる。
【0163】
一部のCRISPRシステムでは、二つ以上のCRISPR組成物を提供することができ、これにより各々が、同じ遺伝子または一般的なゲノム遺伝子座を、標的ヌクレオチド配列より多くで別個に標的化する。例えば、二つの別個のCRISPR組成物を提供して、互いのある特定の距離内の二つの異なる標的ヌクレオチド配列において切断を方向付けることができる。一部のCRISPRシステムでは、二つ以上のCRISPR組成物を提供することができ、これにより各々は、同じ遺伝子または一般的なゲノム遺伝子座の逆ストランドを別個に標的化する。例えば、二つの別個のCRISPR「ニッカーゼ」組成物を提供して、逆ストランドにおける同じ遺伝子または一般的なゲノム遺伝子座において切断を方向付けることができる。
【0164】
一般に、本明細書に記述されるCRISPR媒介編集システムの特徴を、他のヌクレアーゼベースのゲノム編集システムに適用することができる。TALENは、操作された部位特異的ヌクレアーゼであって、これは、TALE(転写アクチベーター様エフェクター)のDNA結合ドメインおよび制限エンドヌクレアーゼFoklの触媒ドメインで構成される。DNA結合ドメインの単量体の高度に可変的な残基領域中に存在するアミノ酸を変化させることにより、異なる人工TALENを作製して様々なヌクレオチド配列を標的化することができる。DNA結合ドメインは、その後、ヌクレアーゼを標的配列に方向付け、そして二本鎖切断を作製する。TALENベースのシステムは、米国特許出願シリアル番号第12/965,590号、米国特許第8,450,471号、米国特許第8,440,431号、米国特許第8,440,432号、米国特許第10,172,880号、および米国特許出願シリアル番号第13/738,381号に、より詳細に記述され、それらのすべてが、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。ZFNベースの編集システムは、米国特許第6,453,242号;第6,534,261号;第6,599,692号;第6,503,717号;第6,689,558号;第7,030,215号;第6,794,136号;第7,067,317号;第7,262,054号;第7,070,934号;第7,361,635号;第7,253,273号;および米国特許公開第2005/0064474号;第2007/0218528号;第2005/0267061号に、より詳細に記述され、すべてが、すべての目的のためにそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
他の操作送達システム
操作された核酸(例えば、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子)を、本明細書に記述される脂質構造のうちのいずれかなどの細胞または他の標的レシピエント実体の中へと導入するための様々な追加の手段。
【0166】
電気穿孔を使用して、ポリヌクレオチドをレシピエント実体へと送達することができる。電気穿孔は、電界を適用して、標的細胞または実体の外膜またはシェルを一時的に透過させることを通じて、カーゴ/ペイロードを標的細胞または実体の内部コンパートメントの中に内在化させる方法である。一般に、この方法は、目的のカーゴ(例えば、本明細書に記述される、操作された核酸のうちのいずれか)を含む溶液中の二つの電極の間に細胞または標的実体を定置することを含む。細胞の脂質膜を次に、一過性の設定電圧を印加することにより破壊、すなわち、透過し、これは、カーゴが、細胞の細胞質などの実体の内部、に入ることを可能にする。細胞の例では、細胞の大部分ではない場合でも、少なくとも一部は生存可能なままである。細胞および他の実体は、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで電気穿孔することができる。電気穿孔条件(例えば、細胞の数、カーゴの濃度、回復条件、電圧、時間、静電容量、パルスタイプ、パルス長さ、容積、キュベット長さ、電気穿孔溶液の組成など)は、細胞または他のレシピエント実体の種類、送達されるカーゴ、所望の内在化の効率、および所望の生存率が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかの要因に依存して変動する。こうした基準の最適化は、当業者の範囲内である。様々なデバイスおよびプロトコルを電気穿孔のために使用することができる。例としては、Neon(登録商標)トランスフェクションシステム、MaxCyte(登録商標)Flow Electroporation(商標)、Lonza(登録商標)Nucleofector(商標)システム、およびBio-Rad(登録商標)電気穿孔システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
操作された核酸(例えば、本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子)を細胞または他の標的レシピエント実体の中に導入するための他の手段としては、超音波処理、遺伝子銃、流体力学的注射、および物理的手段による細胞膜変形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
ネイキッドプラスミドまたはmRNAなどの操作されたmRNAをインビボで送達するための組成物および方法は、Kowalski et al.(Mol Ther.2019 Apr 10;27(4):710-728)およびKaczmarek et al.(Genome Med.2017;9:60)に、詳細に記述され、各々は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0169】
使用方法
本明細書に記述されるようなキメラポリペプチド、ポリヌクレオチド分子、または細胞を使用する方法も、本開示に包含される。
【0170】
一部の実施形態では、方法は、目的の遺伝子の抑制を阻害することを含む。抑制を阻害する方法は、(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムを含む形質転換細胞を提供することと、キメラポリペプチドの発現に適した条件下で形質転換細胞を培養することと、形質転換細胞を、キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、キメラポリペプチドの分解を誘導することと、を含んでもよい。
【0171】
一部の実施形態では、抑制を阻害することは、形質転換細胞をリガンドと接触させた後、リガンドと接触していない同等の形質転換細胞における目的の遺伝子の発現と比較して、形質転換細胞においてITM応答性プロモーターに動作可能に連結された目的の遺伝子の発現の少なくとも1.5倍の増加、少なくとも2倍の増加、少なくとも3倍の増加、少なくとも4倍の増加、または少なくとも5倍の増加として測定可能である。
【0172】
一部の実施形態では、リガンドの非存在下で、目的の遺伝子の発現レベルは、ITMの非存在下での発現レベルと比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍だけ、ITMによって抑制される。
【0173】
インビボ方法
本明細書に提供される方法はまた、例えば、インビボでのキメラポリペプチドの分解を誘導するリガンドを送達することによって、インビボでの転写抑制を阻害することも含む。
【0174】
一部の実施形態では、形質転換細胞は、ヒトまたは動物にあり、また形質転換細胞をガンドと接触させることは、薬理学的用量のリガンドをヒトまたは動物に投与することを含む。一部の実施形態では、対象に投与されたリガンドは、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)。一部の実施形態では、IMiDとしては、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドを挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、IMiDはポマリドミドであり、1日当たり約1mg~1日当たり約50mgの濃度で対象に投与される。特定の実施形態では、非内因性リガンドは、1日当たり約4mgの濃度で対象に投与される。
【0175】
医薬組成物
本開示のキメラポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、および細胞は、医薬組成物の状態に製剤化することができる。これらの組成物は、操作された核酸または操作された細胞のうちの一つ以上に加えて、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含むことができる。こうした材料は、非毒性でなければならず、また活性成分の有効性と干渉してはならない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内の経路に依存することができる。
【0176】
個体に投与されるものが、細胞、ポリペプチド、核酸、小分子、または本開示による他の薬学的に有用な化合物であるかどうかに関わらず、投与は、好ましくは「治療有効量」または「予防有効量」(場合によっては、予防は治療と考えることもできる)であり、これは個体に利益を示すのに十分である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間的経過は、治療されるタンパク質凝集疾患の性質および重症度に依存するであろう。治療の処方、例えば、用量の決定などは、一般開業医および他の医師の責任の範囲内であり、典型的に、治療されるべき障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、および開業医に知られている他の要因を考慮する。上記の技法およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.(ed),1980に見出すことができる。
【0177】
組成物は、治療されるべき状態に応じて、単独で、または他の治療と組み合わせて、同時投与または逐次投与のいずれかとすることができる。
【0178】
追加的な実施形態
以下の段落は、追加的な列挙された実施形態を提供する。
【0179】
実施形態1:
以下:
(a)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、
(b)デグロンと
を含むキメラポリペプチドであって、
デグロンが、ITMに動作可能に連結され、かつ
転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメイン、HDAC4ドメイン、SCX HLHドメイン、ID1 HLHドメイン、HERC2 Cyt-b5ドメイン、TWST1 HLHドメイン、NKX22ホメオドメイン、ID3 HLHドメイン、およびTWST2 HLHドメインからなる群から選択される、
キメラポリペプチド。
【0180】
実施形態2:
転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメインを含む、実施形態1に記載のキメラポリペプチド。
【0181】
実施形態3:
KRAB抑制ドメインが、minKRABを含む、実施形態2に記載のキメラポリペプチド。
【0182】
実施形態4:
KRAB抑制ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態1~3のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0183】
実施形態5:
KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A、L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fからなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態4に記載のキメラポリペプチド。
【0184】
実施形態6:
KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつQ34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態4に記載のキメラポリペプチド。
【0185】
実施形態7:
KRAB抑制ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、実施形態1~3のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0186】
実施形態8:
転写リプレッサードメインが、HDAC4抑制ドメインを含む、実施形態1に記載のキメラポリペプチド。
【0187】
実施形態9:HDAC4抑制ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載のキメラポリペプチド。
【0188】
実施形態10:
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0189】
実施形態11:
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつジンクフィンガーモチーフのジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成される、実施形態10に記載のキメラポリペプチド。
【0190】
実施形態12:
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態11に記載のキメラポリペプチド。
【0191】
実施形態13:
ZFタンパク質ドメインが、1~6個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態11に記載のキメラポリペプチド。
【0192】
実施形態14:
ZFタンパク質ドメインが、配列番号5を含む、実施形態13に記載のキメラポリペプチド。
【0193】
実施形態15:
転写リプレッサードメインが、DNA結合ドメインに対しN末端側である、実施形態1~14のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0194】
実施形態16:
転写リプレッサードメインが、DNA結合ドメインに対しC末端側である、実施形態1~14のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0195】
実施形態17:
転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインが、第1のペプチドリンカーによって隔てられている、実施形態1~16のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0196】
実施形態18:
第1のペプチドリンカーが、GGGGSGGT(配列番号60)のアミノ酸配列を含む、実施形態17に記載のキメラポリペプチド。
【0197】
実施形態19:
ITMが、合成転写調節因子である、実施形態1~18のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0198】
実施形態20:
デグロンが、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択される、実施形態1~19のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0199】
実施形態21:
デグロンが、免疫調節薬物(IMiD)に応答してCRBNを結合する能力を有するセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含む、実施形態1~20のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0200】
実施形態22:
CRBNポリペプチド基質ドメインが、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択される、実施形態21に記載のキメラポリペプチド。
【0201】
実施形態23:
CRBNポリペプチド基質ドメインが、天然のCRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物を含む、実施形態21または実施形態22に記載のキメラポリペプチド。
【0202】
実施形態24:
CRBNポリペプチド基質ドメインが、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物を含む、実施形態21に記載のキメラポリペプチド。
【0203】
実施形態25:
IMiDが、FDA承認薬物である、実施形態21~24のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0204】
実施形態26:
IMiDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される、実施形態21~25のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0205】
実施形態27:
ITMが、デグロンに対しN末端側である、実施形態1~26のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0206】
実施形態28:
ITMが、デグロンに対しC末端側である、実施形態1~26のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0207】
実施形態29:
ITMが、第2のペプチドリンカーによってデグロンから隔てられている、実施形態1~28のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【0208】
実施形態30:
第2のペプチドリンカーが、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、およびAAPAKQE(配列番号10)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態29に記載のキメラポリペプチド。
【0209】
実施形態31:
第2のペプチドリンカーが、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態29に記載のキメラポリペプチド。
【0210】
実施形態32:
実施形態1~31のいずれか一つに記載のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセット。
【0211】
実施形態33:
プロモーターが構成的プロモーターを含む、実施形態32に記載の発現カセット。
【0212】
実施形態34:
構成的プロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される、実施形態33に記載の発現カセット。
【0213】
実施形態35:
プロモーターが誘導性プロモーターを含む、実施形態32に記載の発現カセット。
【0214】
実施形態36:
誘導性プロモーターが、最小プロモーターと、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそれらのタンデムリピートからなる群から選択される応答要素と、を含む、実施形態35に記載の発現カセット。
【0215】
実施形態37:
プロモーターが合成プロモーターを含む、実施形態36に記載の発現カセット。
【0216】
実施形態38:
キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が、mRNA不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードする、実施形態32~37のいずれか一つに記載の発現カセット。
【0217】
実施形態39:
mRNA不安定化要素が、AUリッチ要素およびステムループ不安定化要素からなる群から選択される、実施形態38に記載の発現カセット。
【0218】
実施形態40:
実施形態32~39に記載の発現カセットと、目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システム。
【0219】
実施形態41:
ITM応答性プロモーターが、プロモーター配列と、ITMのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む、実施形態40に記載の発現システム。
【0220】
実施形態42:
DNA結合ドメインに結合する配列が、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含む、実施形態41に記載の発現システム。
【0221】
実施形態43:
DNA結合ドメインに結合する配列が、配列番号54のアミノ酸配列を有する一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含む、実施形態42に記載の発現システム。
【0222】
実施形態44:
DNA結合ドメインに結合する配列が、四つのより多くのジンクフィンガー結合部位を含む、実施形態42または実施形態43に記載の発現システム。
【0223】
実施形態45:
DNA結合ドメインに結合する配列が、配列番号55のアミノ酸配列を含む、実施形態44に記載の発現システム。
【0224】
実施形態46:
ITM応答性プロモーターのプロモーター配列が、構成的プロモーター配列を含む、実施形態40~45のいずれか一つに記載の発現システム。
【0225】
実施形態47:
構成的プロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される、実施形態46に記載の発現システム。
【0226】
実施形態48:
ITM応答性プロモーターのプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態40~47のいずれか一つに記載の発現システム。
【0227】
実施形態49:
ITM応答性プロモーターが、合成プロモーターを含む、実施形態40~48のいずれか一つに記載の発現システム。
【0228】
実施形態50:
目的の遺伝子が、治療用ポリペプチドをコードする、実施形態40~49のいずれか一つに記載の発現システム。
【0229】
実施形態51:
目的の遺伝子が、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群から選択されるポリペプチドをコードする、実施形態40~50のいずれか一つに記載の発現システム。
【0230】
実施形態52:
(i)実施形態28~35のいずれかの発現カセットおよび(ii)標的発現カセットの両方を含む異種構築物を含む、実施形態40~51のいずれか一つに記載の発現システム。
【0231】
実施形態53:
実施形態32~39のいずれかに記載の発現カセットを含む第1の異種構築物と、標的発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、実施形態40~51のいずれか一つに記載の発現システム。
【0232】
実施形態54:
実施形態32~39のいずれか一つに記載の発現カセットを含む、単離された細胞。
【0233】
実施形態55:
実施形態40~53のいずれか一つに記載の発現システムを含む、単離された細胞。
【0234】
実施形態56:
細胞が、ヒト細胞である、実施形態54または55に記載の単離された細胞。
【0235】
実施形態57:
細胞が、幹細胞である、実施形態54~56のいずれか一つに記載の単離された細胞。
【0236】
実施形態58:
細胞が、免疫細胞である、実施形態54~56のいずれか一つに記載の単離された細胞。
【0237】
実施形態59:
細胞が、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞からなる群から選択される、実施形態54~56のいずれか一つに記載の単離された細胞。
【0238】
実施形態60:
実施形態1~31のいずれか一つに記載のキメラポリペプチドと、リガンドとを含み、リガンドのデグロンへの結合がキメラポリペプチドの分解を誘導し、それによって、目的の遺伝子の抑制を阻害し、目的の遺伝子が、ITM応答性プロモーターに動作可能に連結される、目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチ。
【0239】
実施形態61:
リガンドが、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含む、実施形態60に記載の遺伝子スイッチ。
【0240】
実施形態62:
IMiDが、FDA承認薬物である、実施形態61に記載の遺伝子スイッチ。
【0241】
実施形態63:
IMiDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される、実施形態61または62に記載の遺伝子スイッチ。
【0242】
実施形態64:
目的の遺伝子の抑制を阻害する方法であって、
(a)(i)実施形態1~31のいずれか一つに記載のキメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む、発現システムを含む細胞を提供する工程と、
(b)形質転換細胞を、キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、キメラポリペプチドの分解を誘導する工程と
を含む、方法。
【0243】
実施形態65:
キメラポリペプチドの発現に適した条件下で細胞を培養する工程をさらに含む、実施形態64に記載の方法。
【0244】
実施形態66:
キメラポリペプチドをコードする発現カセットが、実施形態32~39のいずれか一つに記載の発現カセットを含む、実施形態64または実施形態65または実施形態65に記載の方法。
【0245】
実施形態67:
発現システムが、実施形態40~53のいずれか一つに記載の発現システムを含む、実施形態64~66のいずれか一つに記載の方法。
【0246】
実施形態68:
薬物で調節される転写抑制の能力を有する細胞を産生する方法であって、実施形態32~39のいずれか一つに記載の発現カセットまたは実施形態40~56のいずれか一つに記載の発現システムを用いて細胞を形質転換する工程を含む、方法。
【実施例】
【0247】
以下は、本開示を実行するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、あくまで例示の目的のために提供されるものにすぎず、本開示の範囲をいかなるやり方でも限定することを意図しない。努力が、使用される数(例えば、量、温度など)に関する正確さを確実にするためになされてきたが、当然のことながら、一部の実験の誤差および逸脱が、許容されるべきである。
【0248】
本開示の実施では、別途指示のない限り、当該技術の範囲内で、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技法、および薬理学の従来の方法が用いられるであろう。こうした技法は、文献で完全に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照のこと。
【0249】
実施例1 デグロン連結型DNA結合剤の効率的な分解
薬物処理後のデグロン連結型DNA結合剤の分解効率を評価した。
【0250】
材料および方法
U87-MG細胞を、表4に示されるように、各構築物をコードするレンチウイルス(各50,000pg、p24アッセイにより力価決定した)を用いて形質導入した(50,000細胞/形質導入)。各構築物フォーマットは、表4に記述される配列を用いて、5’から3’へと(N末端からC末端へのORF)記述される。
【0251】
【0252】
形質導入後2日目に、各細胞群を、1μMのポマリドミドの存在下または薬物の非存在下で7日間培養し、青色蛍光タンパク質(BFP)発現を蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって評価した。各細胞群(薬物を伴うまたは伴わない)のBFP発現を
図1に示す。
【0253】
結果
免疫調節薬物(IMiD)ポマリドミドに応答するユビキチン経路を介した分解を、セレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメイン(表4では「デグロン」と呼ばれる)を含む構築物について、様々な向きで、かつ様々なリンカーを使用して評価した。
図1に示すように、試験した各構築物について、細胞の少なくとも40%が、薬物の非存在下でBFP陽性であったのに対し、ポマリドミドの存在下では、10%以下の細胞がBFP陽性であった。各構築物について、薬物の存在下でのBFP陽性細胞の割合を、薬物の非存在下でのBFP陽性細胞の割合と比較して、分解パーセントを決定した。表5は、試験された構築物の各々について分解パーセントを示す。結果は、構築物のIMiD依存性分解を実証する。
【0254】
【0255】
実施例2 転写を誘導するためのデグロン連結型リプレッサーの分解
レポーター細胞株は、コアプロモーター配列の上流の四つのZF10-1結合部位で構成されるジンクフィンガー結合ドメインを有するEF1コアプロモーター配列を含む、配列番号56のITM応答性プロモーターに連結されたmCherryをコードするレンチウイルスを用いてU87-MG細胞を形質導入することによって産生された。
【0256】
レポーターのタンパク質発現を調節するデグロン連結型リプレッサーの能力を、形質導入アッセイによって評価した。
【0257】
材料および方法
レポーター細胞株は、コアプロモーター配列の上流の四つのZF10-1結合部位で構成されるジンクフィンガー結合ドメインを有するEF1aコアプロモーター配列を含む、配列番号56のITM応答性プロモーターに連結されたmCherryをコードするレンチウイルスを用いてU87-MG細胞を形質導入することによって産生された。レポーター細胞を、表6に示されるように、各構築物をコードするレンチウイルス(各50,000pg、p24アッセイにより力価決定した)を用いて形質導入した(50,000細胞/形質導入)。各構築物フォーマットは、5’から3’へと(N末端からC末端へのORF)記述される。構築物SB03757およびSB03760は、大腸菌(E.coli)に最適化されたコドンであるminKrab抑制ドメイン、ならびに構築物SB03758およびSB03761を含む。構築物SB03758およびSB03761については、構築物全体を大腸菌に対してコドン最適化した。
【0258】
【0259】
形質導入後2日目に、細胞を、1μMのポマリドミドの存在下または薬物の非存在下のいずれかでインキュベートした。薬物処理の5日目に、細胞を、mCherry発現について蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によってアッセイした。
【0260】
結果
デグロン連結型プロモーター調節を、セレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメイン(d913)を含む構築物について、様々な向きで、かつ様々なKrab由来抑制ドメイン、リンカー、およびmRNA不安定化要素を使用して評価した。各条件に対するmCherryの幾何学的平均蛍光強度(MFI)を、
図2に示す。無薬物条件対ポマリドミド治療条件に対するmCherryの幾何学的MFIとの間の倍率差を、
図3に示すように計算した。
図3に示すように、抑制の薬物誘導性解放は、ポマリドミド治療に応答して、構築物SB03758およびSB03759を用いて可能であった。SB03758で形質導入された細胞に対する、ポマリドミドの存在下または非存在下での、ならびに非形質導入細胞(レポーターを欠く)およびリプレッサーで形質導入されていないレポーター細胞と比較したmCherry発現のヒストグラムプロットを、
図4Aに示す。SB03759で形質導入された細胞に対する、ポマリドミドの存在下または非存在下での、ならびに非形質導入細胞(レポーターを欠く)およびリプレッサーで形質導入されていないレポーター細胞と比較したmCherry発現のヒストグラムプロットを、
図4Bに示す。
図4Aおよび
図4Bに示すヒストグラムプロットは、SB03758およびSB03759による抑制が、薬物依存的な様態で調節可能であることを実証する。
【0261】
実施例3 デグロン連結型リプレッサーの分解の最適化
抑制の薬物誘導性解放を最適化するように操作された構築物をアッセイして、分解効率を直接試験した。
【0262】
材料および方法
実施例2に記述されるようなレポーター細胞を、表7に示されるように、各構築物をコードするレンチウイルス(各50,000pg、p24アッセイにより力価決定した)を用いて形質導入した(50,000細胞/形質導入)、または陰性対照として形質導入しなかった。各構築物フォーマットは、5’から3’へと(N末端からC末端へのORF)記述される。SB03747およびSB03750の両方は、3’末端にmRNA不安定化タグAuSLDEを含む。形質導入の7日後で、かつ1μMのポマリドミドの存在下、または薬物の非存在下での5日間の処置で、BFPを蛍光活性化細胞分類(FACS)分析によって測定した。
【0263】
【0264】
結果
図5に示すように、構築物SB03747およびSB03750は、1μMのポマリドミドを用いた処理に伴い、それぞれ81.3%および72.5%の分解パーセントを示した。それ故に、両方の構築物は、ポマリドミド処理後に効率的に分解される。
【0265】
実施例4 転写を誘導する様々な構築物の向きを有するデグロン連結型リプレッサーの分解
レポーター発現を調節する様々な向きを有するデグロン連結型リプレッサーの能力を、形質導入アッセイによって評価した。
【0266】
材料および方法
レポーター細胞株を、実施例2に記述されるように産生した。レポーター細胞を、誘導性転写調節因子(ITM)に対するデグロンN末端を有する構築物(表8)、またはITMに対するデグロンC末端を有する構築物(表9)のいずれかをコードするレンチウイルス(各50,000pg、p24アッセイにより力価決定した)を用いて形質導入した(50,000細胞/形質導入)。実施例2で記述されるような構築物SB03758およびSB03759も、この実験に含まれた。各構築物フォーマットは、5’から3’へと(N末端からC末端へのORF)記述される。
【0267】
【0268】
【0269】
形質導入後2日目に、各構築物を用いて遺伝子導入した細胞を、1μMのポマリドミドの存在下または薬物の非存在下のいずれかでインキュベートした。薬物処理の5日目に、細胞を、mCherry発現について蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によってアッセイした。各条件に対するmCherryの幾何学的平均蛍光強度(MFI)を、N末端にデグロンを有する各構築物について、
図6Aに示す。無薬物条件対ポマリドミド治療条件に対するmCherryの幾何学的MFIとの間の倍率差を、N末端にデグロンを有する各構築物について、
図6Bに示すように計算した。各条件に対するmCherryの幾何学的平均蛍光強度(MFI)を、C末端にデグロンを有する各構築物について、
図7Aに示す。無薬物条件対ポマリドミド治療条件に対するmCherryの幾何学的MFIとの間の倍率差を、C末端にデグロンを有する各構築物について、
図7Bに示すように計算した。
【0270】
結果
デグロン連結型プロモーター調節を、セレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメイン(d913)を含む構築物について、様々な向きで、かつ様々な抑制ドメイン、リンカー、およびmRNA不安定化要素を使用して評価した。
図6Aに示すように、HDAC4リプレッサードメインを有し、かつN末端にデグロンを有するデグロン連結型リプレッサーは、薬物の非存在下でレポーター発現を抑制する能力を有し、また薬物の存在下で誘導されたレポーター発現によって示されるように抑制が解放された。加えて、
図6Aは、実施例2で実証されるように、構築物SB03758およびSB03759による抑制の可逆性を確認する。
図6Bに示すように、HDAC4リプレッサードメインを有し、かつN末端にデグロンを有するデグロン連結型リプレッサー、および構築物SB03758およびSB03759は、各々薬物の非存在と比較して、薬物の存在下でレポーター発現において少なくとも4倍の増加を実証する。
図7Aに示すように、HDAC4リプレッサードメインを有し、かつC末端にデグロンを有するデグロン連結型リプレッサーは、薬物の非存在下でレポーター発現を抑制する能力を有し、また薬物の存在下で誘導されたレポーター発現によって示されるように抑制は可逆的であった。加えて、
図7Aは、
図6Aに示すように構築物SB03758およびSB03759を構築する別の確認を提供し、また実施例2でも実証される。
図7Bに示すように、HDAC4リプレッサードメインを有し、かつC末端にデグロンを有するデグロン連結型リプレッサー、および構築物SB03758およびSB03759は、各々薬物の非存在と比較して、薬物の存在下でレポーター発現において少なくとも4倍の増加を実証する。したがって、データは、薬物依存性の調節可能な様式で転写を抑制する能力を有する構築物を実証する。
【0271】
【0272】
実施例5 IMiD-OnシステムにおけるIL-12ペイロードのIMiD調節された発現
IL-12ペイロードのIMiD調節された発現の効率を、IMiDの添加が、デグロン連結型リプレッサーの分解を通してIL-12の発現を増加させるシステムで評価した。
【0273】
材料および方法
形質導入の18~14時間前に50,000個のU87MG細胞を24w皿に播種し、次いで25kpgのデグロン連結型リプレッサー(SB03759、SB03936、またはSB04397)および25kpgのIL12レポーター構築物(SB04640)で形質導入した(ウイルスはp24 ELISAによって定量された)。EFSプロモーター配列(配列番号67)の上流の四つのZF10-1結合部位で構成されるジンクフィンガー結合ドメインを有するEFSプロモーター配列を含むITM応答性プロモーターに連結されたIL-12をコードする構築物が、レポーターとして使用された。
【0274】
ポマリドミド滴定実験については、形質導入の2日後、細胞を薬物を含まない培地条件または1uMのポマリドミド条件へと分割した。次いで3日後、各条件の100kの細胞を24wプレートに播種し、24時間後、上清を収集し、そしてIL12 p70 ELISAキット(#D1200 R&D Systems)を使用してアッセイして、IL-12を定量した。
【0275】
動態実験研究については、形質導入細胞を、24wプレートにウェル当たり100kの細胞を播種した。次いで24時間後、上清を、薬物を含まないもの、または1uMのポマリドミドもしくはイベルドミドで置き換えた。上清を、薬物処理後の指示された経過時間(3時間、6時間、12時間、16時間、および24時間)において採取した。
【0276】
評価した構築物を表11に示す。各構築物フォーマットは、表11に記述される配列を用いて、5’から3’へと(N末端からC末端へのORF)記述される。構築物の配列を、表12に示す。
【0277】
【0278】
結果
免疫調節薬物(IMiD)ポマリドミドに応答して調節されたIL-12発現を、様々な向きのd913デグロンを含む構築物について評価し、そしてIMiDの添加が、ペイロード(「IMiD ON」)の発現の増加をもたらすデグロン連結型リプレッサーの分解につながる薬物で調節可能なシステムのための様々なリンカーを使用した。
【0279】
デグロン連結型リプレッサーは、転写リプレッサーおよび薬物の非存在下でIL-12に動作可能に連結されたプロモーターに結合するDNA結合ドメインを特徴とする誘導性転写調節因子(ITM)を通して、薬物を含まない条件下でペイロードIL-12の発現を抑制するように構築された。ITMは、転写抑制が、IMiDポマリドミドの添加に伴いデグロン連結型ITMが分解されたときに放出されるように、デグロンに連結される。
【0280】
三つの異なるデグロン連結型リプレッサーを、薬物を含まない条件下で、またはポマリドミドの増加する濃度(1nM、10nM、100nM、および1uM)でIL-12発現を調節するその能力について評価した。
図8に示すように、IL-12発現は、構築物SB03936およびSB04397に対するIMIDの添加に伴い増加した。IL-12レベルを上のパネルに示す。下のパネルには、増加する濃度のポマリドミドの添加を用いてデグロン連結型リプレッサーが分解されたときの、非抑制レベルへのIL-12回復発現の定量が示されている。IL-12レベルは、構成的IL-12レポーターを用いて形質導入された細胞内の定量されたIL12発現レベルの画分として表示される。IL-12発現は、SB04397デグロン連結型リプレッサーによって調節され、かつ10nM以上の濃度のポマリドミドで処理された細胞においてレポーターのみのレベルに回復する。結果は、IL-12産生のIMiD依存性調節を実証し、IMiDの添加は、デグロン連結型リプレッサーを特徴とする「IMiD-ON」システムにおけるIL-12の発現を増加させた。
【0281】
次いで、デグロン連結型リプレッサーSB04397について動態を評価した。IMiDのポマリドミドおよびイベルドミドも比較した。
図9に示すように、IL-12発現レベルは、レポーターのみの対照(右の列)と比較して、IL-12レポーターSB04640およびデグロン連結型リプレッサーSB04397(左の列)の両方を用いて導入された細胞に対して、1uMのポマリドミド処理(上のパネル)および1uMのイベルドミド処理(下のパネル)の両方について、細胞から収集された上清において経時的に増加した。デグロン連結型リプレッサーSB04397およびIMiDポマリドミドについて、追加の時点で動態をさらに評価した。
図10に示すように、IL-12発現レベル(SB04640レポーターのみを用いて形質導入された細胞内でIL-12発現レベルへと正規化して評価されたとして)は、1uMのポマリドミドの添加に伴い、12時間および16時間でIL-12発現の増加を実証した。これらの結果は、IMiD ONスイッチの迅速な活性化を示し、IL-12の発現は、IMiDを添加し、かつデグロン連結型リプレッサーの分解を開始してから24時間以内に検出された。
【0282】
【0283】
本開示は、好ましい実施形態および様々な代替的な実施形態を参照して特異的に示され、説明されているが、本開示および添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が、その中に行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。
【0284】
本明細書の本文内で引用されたすべての参考文献、取得済み特許および特許出願は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、
(b)デグロンと
を含むキメラポリペプチドであって、
前記デグロンが、前記ITMに動作可能に連結され、かつ
前記転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメイン、HDAC4ドメイン、SCX HLHドメイン、ID1 HLHドメイン、HERC2 Cyt-b5ドメイン、TWST1 HLHドメイン、NKX22ホメオドメイン、ID3 HLHドメイン、およびTWST2 HLHドメインからなる群から選択される、
キメラポリペプチド。
【請求項2】
前記転写リプレッサードメインが、前記KRAB抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、minKRABを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A、L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fからなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつQ34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のキメラポリペプチド。
【請求項3】
前記転写リプレッサードメインが、前記HDAC4抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記HDAC4抑制ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のキメラポリペプチド。
【請求項4】
前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつジンクフィンガーモチーフのジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成され、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、6個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、配列番号5を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項5】
a.前記転写リプレッサードメインが、前記DNA結合ドメインに対しN末端側または前記DNA結合ドメインに対しC末端側であり、かつ/または、
b.前記転写リプレッサードメインおよび前記DNA結合ドメインが、第1のペプチドリンカーによって隔てられ、
任意選択的に、前記第1のペプチドリンカーが、GGGGSGGT(配列番号60)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/または、
c.前記ITMが、合成転写調節因子である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項6】
(a)前記デグロンが、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン
(「DSGxxS」は配列番号68として記載)、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択され、かつ/または
(b)前記デグロンが、免疫調節薬物(IMiD)に応答してCRBNに結合する能力を有するセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択され、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物を含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物を含み、かつ/または、
(c)前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMIDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択され、
任意選択的に、前記ITMが、前記デグロンに対しN末端側または前記デグロンに対しC末端側であり、
任意選択的に、前記ITMが、第2のペプチドリンカーによって前記デグロンから隔てられ、
任意選択的に、前記第2のペプチドリンカーが、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、およびAAPAKQE(配列番号10)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、または前記第2のペプチドリンカーが、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットであって、
任意選択的に、前記プロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターを含むか、または前記プロモーターが、誘導性プロモーターを含み、任意選択的に、前記誘導性プロモーターが、最小プロモーターと、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそのタンデムリピートからなる群から選択される応答要素と、を含み、
任意選択的に、前記プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、前記キメラポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、mRNA不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードし、
任意選択的に、前記mRNA不安定化要素が、AUリッチ要素およびステムループ不安定化要素からなる群から選択される、
発現カセット。
【請求項8】
請求項7に記載の発現カセットと、目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムであって、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが、プロモーター配列および前記ITMの前記DNA結合ドメインに結合する配列を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号54のアミノ酸配列を有する一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、四つのより多くのジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号55のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーター配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、最小プロモーターを含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、目的の遺伝子が、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群から選択される治療用ポリペプチドをコードし、
任意選択的に、前記発現システムが、(i)請求項7に記載の発現カセットと、(ii)標的発現カセットと、の両方を含む異種構築物を含み、
任意選択的に、前記発現システムが、請求項7に記載の発現カセットを含む第1の異種構築物と、標的発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、
発現システム。
【請求項9】
請求項7に記載の発現カセット、または請求項8に記載の発現システムを含む、単離された細胞。
【請求項10】
a.前記細胞が、ヒト細胞であり、かつ/または、
b.前記細胞が、幹細胞であり、かつ/または、
c.前記細胞が、免疫細胞であり、かつ/または、
d.前記細胞が、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞からなる群から選択される、
請求項9に記載の単離された細胞。
【請求項11】
目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチであって、
請求項1~6のいずれか一項に記載のキメラポリペプチドおよびリガンドを含み、
前記リガンドの前記デグロンへの結合が前記キメラポリペプチドの分解を誘導し、それによって、目的の遺伝子の抑制を阻害し、
前記目的の遺伝子が、ITM応答性プロモーターに動作可能に連結され、
任意選択的に、前記リガンドが、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含み、
任意選択的に、前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMiDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される、
遺伝子スイッチ。
【請求項12】
目的の遺伝子の抑制を阻害する方法であって、
a.(i)請求項1~6のいずれか一項に記載の前記キメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む、発現システムを含む細胞を提供する工程と、
b.前記形質転換細胞を、前記キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、前記キメラポリペプチドの分解を誘導する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
a.前記方法が、前記キメラポリペプチドの発現に適した条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含み、かつ/または、
b.前記キメラポリペプチドをコードする前記発現カセットが、請求項7に記載の発現カセットを含み、かつ/または、
c.前記発現システムが、請求項8に記載の発現システムを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬物で調節される転写抑制の能力を有する細胞を産生する方法であって、
請求項7に記載の発現カセットまたは請求項8に記載の発現システムを用いて前記細胞を形質転換する工程
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一部の態様では、キメラポリペプチドのデグロンは、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン(「DSGxxS」は配列番号68として記載)、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択される。一部の態様では、デグロンは、免疫調節薬物(IMiD)への応答においてCRBNに結合する能力を有し、それにより、キメラポリペプチドのユビキチン経路を介した分解を促進することができるセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含む。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択される選択される。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物である。一部の態様では、CRBNポリペプチド基質ドメインは、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物である。一部の態様では、IMiDは、FDA承認薬物である。一部の態様では、IMiDは、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
また、(a)(i)本明細書に記述されるようなキメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムを用いて細胞を形質転換することと、(b)キメラポリペプチドの発現に適した条件下で形質転換細胞を培養することと、(c)形質転換細胞を、キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、キメラポリペプチドの分解を誘導することと、を含む、目的の遺伝子の抑制を阻害する方法も提供される。
[本発明1001]
以下:
(a)転写リプレッサードメインおよびDNA結合ドメインを含む、誘導性転写調節因子(ITM)と、
(b)デグロンと
を含むキメラポリペプチドであって、
前記デグロンが、前記ITMに動作可能に連結され、かつ
前記転写リプレッサードメインが、KRAB抑制ドメイン、HDAC4ドメイン、SCX HLHドメイン、ID1 HLHドメイン、HERC2 Cyt-b5ドメイン、TWST1 HLHドメイン、NKX22ホメオドメイン、ID3 HLHドメイン、およびTWST2 HLHドメインからなる群から選択される、
キメラポリペプチド。
[本発明1002]
前記転写リプレッサードメインが、前記KRAB抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、minKRABを含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつW27L、K28L、D31A、T32A、Q34A、Q35A、R39E、L43S、T57C、K58C、P59C、V61Y、I62Y、I62A、L63W、L63Y、L63E、R64F、R64W、R64E、L65F、L65E、L65W、E66V、K67F、G68F、およびE69Fからなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号2のKRABリプレッサードメインバリアントを含み、かつQ34A/Q35A、I62A、T57C/K58C/P59C、D31A/T32A、L63W/R64W/L65W、E66V、L63E/R64E/L65E、R64F/L65F、W27L/K28L KRAB、R39E、K67F/G68F/E69F、およびV61Y/I62Y/L63Yから選択される一つ以上のアミノ酸置換を含み、
任意選択的に、前記KRAB抑制ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、
本発明1001のキメラポリペプチド。
[本発明1003]
前記転写リプレッサードメインが、前記HDAC4抑制ドメインを含み、
任意選択的に、前記HDAC4抑制ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、
本発明1001のキメラポリペプチド。
[本発明1004]
前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつジンクフィンガーモチーフのジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成され、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、6個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択的に、前記ZFタンパク質ドメインが、配列番号5を含む、
本発明1001~1003のいずれかのキメラポリペプチド。
[本発明1005]
a.前記転写リプレッサードメインが、前記DNA結合ドメインに対しN末端側または前記DNA結合ドメインに対しC末端側であり、かつ/または、
b.前記転写リプレッサードメインおよび前記DNA結合ドメインが、第1のペプチドリンカーによって隔てられ、
任意選択的に、前記第1のペプチドリンカーが、GGGGSGGT(配列番号60)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/または、
c.前記ITMが、合成転写調節因子である、
本発明1001~1004のいずれかのキメラポリペプチド。
[本発明1006]
(a)前記デグロンが、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択され、かつ/または
(b)前記デグロンが、免疫調節薬物(IMiD)に応答してCRBNに結合する能力を有するセレブロン(CRBN)ポリペプチド基質ドメインを含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、CRBNの薬物誘導性結合の能力を有する、IKZF1、IKZF3、CKla、ZFP91、GSPT1、MEIS2、GSS E4F1、ZN276、ZN517、ZN582、ZN653、ZN654、ZN692、ZN787およびZN827、またはその断片からなる群から選択され、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、天然CRBNポリペプチド配列のキメラ融合産物を含み、
任意選択的に、前記CRBNポリペプチド基質ドメインが、FNVLMVHKRSHTGERPLQCEICGFTCRQKGNLLRHIKLHTGEKPFKCHLCNYACQRRDAL(配列番号6)のアミノ酸配列を有するIKZF3/ZFP91/IKZF3キメラ融合産物を含み、かつ/または、
(c)前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMIDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択され、
任意選択的に、前記ITMが、前記デグロンに対しN末端側または前記デグロンに対しC末端側であり、
任意選択的に、前記ITMが、第2のペプチドリンカーによって前記デグロンから隔てられ、
任意選択的に、前記第2のペプチドリンカーが、GSGSGSGS(配列番号7)、KEGS(配列番号8)、EGK、EAAAK(配列番号9)、およびAAPAKQE(配列番号10)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、または前記第2のペプチドリンカーが、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号12)およびAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号13)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
本発明1001~1005のいずれかのキメラポリペプチド。
[本発明1007]
本発明1001~1006のいずれかのキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットであって、
任意選択的に、前記プロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターを含むか、または前記プロモーターが、誘導性プロモーターを含み、任意選択的に、前記誘導性プロモーターが、最小プロモーターと、NFkB応答要素、CREB応答要素、NFAT応答要素、SRF応答要素1、SRF応答要素2、AP1応答要素、TCF-LEF応答要素プロモーター融合体、低酸素応答要素、SMAD結合要素、STAT3結合部位、誘導因子分子応答性プロモーター、およびそのタンデムリピートからなる群から選択される応答要素と、を含み、
任意選択的に、前記プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、前記キメラポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、mRNA不安定化要素を含む3’非翻訳領域(UTR)をさらにコードし、
任意選択的に、前記mRNA不安定化要素が、AUリッチ要素およびステムループ不安定化要素からなる群から選択される、
発現カセット。
[本発明1008]
本発明1007の発現カセットと、目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む発現システムであって、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが、プロモーター配列および前記ITMの前記DNA結合ドメインに結合する配列を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号54のアミノ酸配列を有する一つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、四つのより多くのジンクフィンガー結合部位を含み、
任意選択的に、前記DNA結合ドメインに結合する前記配列が、配列番号55のアミノ酸配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、およびhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーター配列を含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターの前記プロモーター配列が、最小プロモーターを含み、
任意選択的に、前記ITM応答性プロモーターが合成プロモーターを含み、
任意選択的に、目的の遺伝子が、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング分子、成長因子、細胞死制御因子、共活性化分子、腫瘍微小環境修飾因子a、受容体、リガンド、抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群から選択される治療用ポリペプチドをコードし、
任意選択的に、前記発現システムが、(i)本発明1007の発現カセットと、(ii)標的発現カセットと、の両方を含む異種構築物を含み、
任意選択的に、前記発現システムが、本発明1007の発現カセットを含む第1の異種構築物と、標的発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、
発現システム。
[本発明1009]
本発明1007の発現カセット、または本発明1008の発現システムを含む、単離された細胞。
[本発明1010]
a.前記細胞が、ヒト細胞であり、かつ/または、
b.前記細胞が、幹細胞であり、かつ/または、
c.前記細胞が、免疫細胞であり、かつ/または、
d.前記細胞が、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、およびiPSC由来細胞からなる群から選択される、
本発明1009の単離された細胞。
[本発明1011]
目的の遺伝子の抑制を阻害するための遺伝子スイッチであって、
本発明1001~1006のいずれかのキメラポリペプチドおよびリガンドを含み、
前記リガンドの前記デグロンへの結合が前記キメラポリペプチドの分解を誘導し、それによって、目的の遺伝子の抑制を阻害し、
前記目的の遺伝子が、ITM応答性プロモーターに動作可能に連結され、
任意選択的に、前記リガンドが、ユビキチン経路を介したキメラポリペプチドの分解を促進する免疫調節薬物(IMiD)を含み、
任意選択的に、前記IMiDが、FDA承認薬物であり、
任意選択的に、前記IMiDが、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される、
遺伝子スイッチ。
[本発明1012]
目的の遺伝子の抑制を阻害する方法であって、
a.(i)本発明1001~1006のいずれかの前記キメラポリペプチドをコードする発現カセットと、(ii)目的の遺伝子に動作可能に連結されたITM応答性プロモーターを含む標的発現カセットと、を含む、発現システムを含む細胞を提供する工程と、
b.前記形質転換細胞を、前記キメラポリペプチドの分解を促進するリガンドと接触させることによって、前記キメラポリペプチドの分解を誘導する工程と
を含む、方法。
[本発明1013]
a.前記方法が、前記キメラポリペプチドの発現に適した条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含み、かつ/または、
b.前記キメラポリペプチドをコードする前記発現カセットが、本発明1007の発現カセットを含み、かつ/または、
c.前記発現システムが、本発明1008の発現システムを含む、
本発明1012の方法。
[本発明1014]
薬物で調節される転写抑制の能力を有する細胞を産生する方法であって、
本発明1007の発現カセットまたは本発明1008の発現システムを用いて前記細胞を形質転換する工程
を含む、方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
デグロン
一部の実施形態では、本明細書に記述されるキメラポリペプチドは、デグロンを含む。一部の実施形態では、デグロンは、ITMの分解を誘導する能力を有する。一部の実施形態では、デグロンとしては、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン(「DSGxxS」は配列番号68として記載)、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、またはPCNA結合PIPボックスを挙げることができるが、これらに限定されない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0198
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0198】
実施形態20:
デグロンが、HCV NS4デグロン、PEST(ヒトIκBαの残基277~307の二つのコピー)、GRR(ヒトp105の残基352~408)、DRR(酵母Cdc34の残基210~295)、SNS(SP2およびNBのタンデムリピート(A型インフルエンザまたはB型インフルエンザのSP2-NB-SP2)、RPB(酵母RPBの残基1688~1702の四つのコピー)、SPmix(SP1およびSP2のタンデムリピート(A型インフルエンザウイルスM2タンパク質のSP2-SP1-SP2-SP1-SP2)、NS2(A型インフルエンザウイルスNSタンパク質の残基79~93の三つのコピー)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼの残基106~142)、Nek2A、マウスODC(残基422~461)、マウスODC_DA(D433AおよびD434A点変異を含むmODCの残基422~461)、APC/Cデグロン、COP1 E3リガーゼ結合デグロンモチーフ、CRL4-Cdt2結合PIPデグロン、アクチンフィリン結合デグロン、KEAP1結合デグロン、KLHL2およびKLHL3結合デグロン、MDM2結合モチーフ、N-デグロン、低酸素シグナル伝達におけるヒドロキシプロリン修飾体、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、SCFユビキチンリガーゼ結合ホスホデグロン、植物ホルモン依存的SCF-LRR結合デグロン、DSGxxSリン依存的デグロン(「DSGxxS」は配列番号68として記載)、Siah結合モチーフ、SPOP SBCドッキングモチーフ、ならびにPCNA結合PIPボックスからなる群から選択される、実施形態1~19のいずれか一つに記載のキメラポリペプチド。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】