(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ダイオード設計におけるセルの回転及び周波数の補償法
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/38 20060101AFI20240314BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240314BHJP
H01Q 25/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01Q3/38
H01Q21/06
H01Q25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561316
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022023515
(87)【国際公開番号】W WO2022216730
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレル カグダス
(72)【発明者】
【氏名】エスファーラニ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】モメニ ハサン アバディ サイエド モハマド アミン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB05
5J021FA02
5J021GA02
5J021HA07
(57)【要約】
固体デバイス(例えば、ダイオード)設計におけるアイリス及び/又はセル回転及び/又は周波数補償を備えたアンテナ、並びにこのアンテナを使用する方法が記載される。一部の実施形態において、アンテナは、アイリスとアイリスにわたって結合された固体デバイスを各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、各リングの少なくとも一部におけるアンテナ素子のアイリスの各々の向きが、各リングの一部における隣接するアイリスに対して回転されており、対応する固体デバイスの向きが均一である、アンテナアパーチャと、RF放射アンテナ素子のアレイを制御してRF放射アンテナ素子を同調させ、複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
アイリスと前記アイリスにわたって結合された固体デバイスと各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、前記複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、前記各リングの少なくとも一部における前記アンテナ素子の前記アイリスの各アイリスの向きが、前記各リングの前記一部における隣接するアイリスに対して回転されており、対応する前記固体デバイスの向きは均一である、アンテナアパーチャと、
前記RF放射アンテナ素子のアレイを制御して前記RF放射アンテナ素子を同調させ、前記複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラと、
を備える、アンテナ。
【請求項2】
前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子は、前記他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトするために前記複数のアンテナ素子の他のアンテナ素子からのサイズの修正を含む、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を前記他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにする、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記修正は、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対する前記アイリスの向きの変化を補償する、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上の側部に1又は2以上のノッチを含む、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの上部及び底部のうちの1又は2以上に1又は2以上のノッチを含む、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上の側部から内部に延びる1又は2以上のバーを含む、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスのより長い側部を含む、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上のランディングパッドの位置、形状又はサイズを含む、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子は、前記他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトするためにソフトウェアを介して調整された共振周波数を含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は更に、前記各アンテナ素子の前記固体デバイスに直列に結合されたキャパシタを含み、前記固体デバイスは、ダイオードを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は更に、前記アンテナ素子の前記固体デバイスを前記アンテナ素子の対応するアイリスに結合する2又は3以上のランディングパッドを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記ランディングパッドは、矩形又は円形の形状である、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記ランディングパッドは、3つのランディングパッドを含み、前記3つのランディングパッドのうち2つは、RFランディングパッドであり、前記3つのランディングパッドのうち1つは、前記各アンテナ素子の前記固体デバイスに電圧を伝達するための直流(DC)ランディングパッドである、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項15】
アンテナであって、
アイリスと前記アイリスにわたって結合された固体デバイスとを各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、前記複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、前記各リングの少なくとも一部における前記アンテナ素子の前記アイリスの各アイリスの向きが、前記各リングの前記一部における隣接するアイリスに対して回転されており、対応する前記固体デバイスの向きが均一であり、前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子は、前記他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトさせるために前記複数のアンテナ素子の他のアンテナ素子からのサイズの修正を含み、更に前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、前記アンテナ素子の固体デバイスを前記アンテナ素子の対応するアイリスに結合する3つのランディングパッドを更に含み、前記3つのランディングパッドのうち2つは、RFランディングパッドであり、前記3つのランディングパッドのうち1つは、前記各アンテナ素子の前記固体デバイスに電圧を伝達するための直流(DC)ランディングパッドである、アンテナアパーチャと、
前記RF放射アンテナ素子のアレイを制御して前記RF放射アンテナ素子を同調させ、前記複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラと、
を備える、アンテナ。
【請求項16】
前記修正は、前記1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を前記他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにする、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記修正は、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対するアイリスの向きの変化を補償する、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記固体デバイスは、ダイオードを含む、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項19】
アンテナアパーチャの複数のRF放射アンテナ素子のアイリスに対する回転を決定するステップであって、前記複数のRF放射アンテナ素子の各々が、前記アイリスにわたって結合された固体デバイスを含む、ステップと、
前記複数のRF放射アンテナ素子の他のアンテナ素子と比べて前記アンテナ素子の共振周波数をシフトするために前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップと、
前記アンテナアパーチャの基板の表面上に前記複数のアンテナ素子を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップが、前記1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を前記他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにするように修正するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップが、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対する前記アイリスの向きの変化を補償するステップを含む、請求項19の方法。
【請求項22】
前記固体デバイスは、ダイオードを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、名称が「バラクター設計におけるセルの回転及び周波数の補償」である、2021年4月5日に出願された米国仮特許出願第63/170,994号明細書及び2022年4月4日に出願された米国非仮特許出願第17/713,042号明細書の本出願及び、これらの利益を主張するものであり、これらの出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書で開示される実施形態は、無線通信に関し、より詳細には、本明細書で開示される実施形態は、単位セルの配置及び周波数の補償に関する。
【背景技術】
【0003】
平面アンテナは、近年、衛星通信システムにおいて普及するようになってきた。これらの平面アンテナについて、メタサーフェスアンテナなどの電子走査アンテナは、軽量で低コストの平面物理プラットフォームからの誘導指向性ビームを生成する新しい技術として現れてきた。メタサーフェスアンテナは、給電波から選択的にエネルギーを結合して、通信に使用するために制御できるビームを生成することができるメタマテリアルアンテナ素子を含むことができる。これらのアンテナは、安価で製造が容易なハードウェアプラットフォームからフェーズドアレイアンテナに匹敵する性能を達成することができ、また車両内ソリューションにも用いられている。
【0004】
RF放射単位セルを同調するデバイスを含む無線周波数(RF)放射単位セルを有する一部のフラットパネル電子誘導メタマテリアルアンテナ。一部の実施において、バラクターダイオードがRF放射単位セルを同調するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/170,994号明細書
【特許文献2】米国非仮特許出願第17/713,042号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
固体デバイス(例えば、ダイオード)設計におけるアイリス及び/又はセル回転及び/又は周波数補償を備えたアンテナ、並びにこのアンテナを使用する方法が記載される。一部の実施形態において、アンテナは、アイリス及びアイリスにわたって結合された固体デバイスを各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、各リングの少なくとも一部におけるアンテナ素子のアイリスの各々の向きが、各リングの一部における隣接するアイリスに対して回転されて、対応する固体デバイスの向きが均一であるアンテナアパーチャと、RF放射アンテナ素子のアレイを制御してRF放射アンテナ素子を同調させ、複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラと、を含む。
【0007】
記載された実施形態及びその利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して当業者が行い得る形態及び詳細の変更をどのようにも制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】円筒状給電ホログラフィック放射アンテナアパーチャの1つの実施形態を示す略図である。
【0009】
【
図2A】アンテナ素子のスロット又はアイリスの2つのセットを示す図である。
【
図2B】アンテナ素子のスロット又はアイリスの2つのセットを示す図である。
【0010】
【
図3A】アンテナアパーチャセグメントにおけるタイプAのRF放射アンテナ素子のダイオード配置の実施例を示す図である。
【0011】
【
図3B】アンテナアパーチャセグメントにおけるタイプBのRF放射アンテナ素子のダイオード配置の実施例を示す図である。
【0012】
【
図4A】スロット及び横向きダイオードを備えた4つのアンテナ素子の実施例を示す図である。
【0013】
【
図4B】縦スロットで異なる向きのダイオードを有する他のアンテナ素子の実施例を示すである。
【
図4C】縦スロットで異なる向きのダイオードを有する他のアンテナ素子の実施例を示す図である。
【0014】
【
図5A】ダイオードの均一な向きを備えた3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【
図5B】ダイオードの均一な向きを備えた3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【
図5C】ダイオードの均一な向きを備えた3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【0015】
【
図6A】ダイオードの均一な向きで、ダイオードデバイスの各々が横向きのダイオードを含む3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【
図6B】ダイオードの均一な向きで、ダイオードデバイスの各々が横向きのダイオードを含む3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【
図6C】ダイオードの均一な向きで、ダイオードデバイスの各々が横向きのダイオードを含む3つのセル設計の実施形態を示す図である。
【0016】
【
図7A】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【
図7B】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【
図7C】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【
図7D】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【
図7E】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【
図7F】各セルの共振周波数を各セルの回転に応じて同調する様々な方法を示す図である。
【0017】
【
図8】アンテナアパーチャを製造する処理の一部の実施形態を示す流れ図である。
【0018】
【
図9A】グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
【0019】
【
図9B】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態を示す側面図である。
【0020】
【
図10】射出波を備えたアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
【0021】
【
図11】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
【0022】
【
図12】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
【0023】
【
図13】同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、本発明の完全な解説を提供するために多数の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないために、公知の構造及びデバイスを詳細にではなくブロック図の形式で示す。
【0025】
本明細書で開示される技術は、アンテナアパーチャにおけるアンテナ素子(例えば、RF放射単位セル)の一部として用いられるダイオード(例えば、バラクターダイオード、ショットキーダイオード、ピンダイオードなど)が均一の向き(例えば、横向き、縦向きなど)を有することができ、アンテナ素子はそのアンテナ素子の向きを漸次的に変化させる。これは、ダイオードの回転とセルの回転の間のミスアラインメントを生じる。アンテナ素子が均一の向きを有することができると、典型的にはダイオードの向きが変化しないか又は別のステップ(例えば、90度)しか変化しないことを必要とするダイオード配置に従来のピックアンドプレースを使用するときに製造中に特に有益である。
【0026】
アンテナ素子が回転を変えて配置されたときにダイオードの均一の向きを維持することは、あらゆるアンテナ素子が列状(例えば、リング状)に隣接する他のアンテナ素子と比較したときに僅かな回転の変化を有するので、あらゆるアンテナ素子(例えば、単位セル)に対する周波数シフトを起こすことがある。本明細書で開示される技術は、個々のアンテナ素子の共振周波数を同調させて周波数シフトを補償することができる。
【0027】
以下の開示は、アンテナの実施形態の例を論じ、次に回転されたアンテナ素子(例えば、アイリス)に対して均一の向きを有するダイオード配置の実施形態、及び個々のアンテナ素子に関連付けられる周波数補償方法を論じる。本明細書で開示される技術は、ダイオードの点で記載されるが、本技術は、例えば、限定されないが、トランジスタ(例えば、MOSFET、BJT、MOS-キャパシタなど)のアンテナ素子に用いられる他の個体デバイス及び/又は同調素子に応用可能である。
【0028】
アンテナ実施形態の実施例
上述の技術は、平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナアパーチャは、例えば、以下に記載されるアンテナアパーチャなどのメタサーフェスアンテナアパーチャである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、上述、及び2021年2月18日に公表された「マス転送技術によって製造されるメタサーフェスアンテナ」という名称の米国特許出願公表第20210050671号に記述されるようなダイオード及びバラクターを備えたバラクターダイオードベースのアンテナ素子を含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動するためのマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、素子は、リング状に配置される。
【0029】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、互に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0030】
図1は、円筒状給電ホログラフィック放射状アパーチャアンテナの1つの実施形態の略図を示す。
図1を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部102の周りの同心円リングに配置されたアンテナ素子103の1又は2以上のアレイ101を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子103は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子103は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブ及び分散されるRx及びTxアイリス両方を含む。このようなRx及びTxアイリス、又はスロットは、3又は4以上のセットのグループとすることができ、ここで各セットは、別々に及び同時に制御される帯域のためである。アイリスを備えたこのようなアンテナ素子の実施例を以下に詳しく記載する。本明細書に記載されるRF共振器は、円筒状給電を含まないアンテナに用いることができる点に留意されたい。
【0031】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部102を介した円筒状電波給電を提供するために用いられる同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒状電波給電アーキテクチャは、給電ポイントから円筒状方式で外向きに拡大する励起によって中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進行する同心円給電波を生成する。だとしても、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、四角、又は何れの形状にもすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進行する給電波を生成する。このような場合、給電波の多くが、当然ながら円形構造から発生する。
【0032】
1つの実施形態において、アンテナ素子103は、アイリス(アイリス開口部)を含み、
図1のアパーチャアンテナは、同調型ダイオード、バラクター、及び/又は固体デバイスを介してアイリス開口部に放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形作られるメインビームを生成するために用いられる。1つの実施形態において、アンテナは、所望の走査角度の水平又は垂直偏波電界を放射するために励起することができる。
【0033】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、上述のように単位セルの一部である。1つの実施形態において、単位セルは、上述のマトリクス駆動実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、各単位セルのダイオード/バラクターは、同調電極(例えばアイリス金属)に関連付けられる上部コンダクタから分離されたアイリススロットに関連付けられる下部コンダクタを有する。ダイオード/バラクターを制御して、アイリス開口部とパッチ電極の間のバイアス電圧を調節することができる。この特性を用いて、1つの実施形態において、ダイオード/バラクターは、導波から単位セルへのエネルギーの伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチオンされた時に、ユニットは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を発する。本明細書の教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する単位セルを有することに制限されない点に留意されたい。
【0034】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1つの波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0035】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0036】
各単位セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してバラクターダイオードに電圧を印加することによって制御される。各バラクターダイオードへのトレースは、バラクターダイオードに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用されるダイオード/バラクターに依存する。
【0037】
ダイオードの配置及び向き
一部の実施形態において、アンテナアパーチャは、各々がアイリスとアイリスの両端に結合されたバラクターダイオードを含むRF放射アンテナ素子を有し、アンテナ素子は、リング(又は行)上に位置付けられる。各リング又は各リングの一部分におけるアンテナ素子の各アイリスの向きは、このリングにおける隣接するアイリスに対して回転され、対応するバラクターダイオードの向きは均一である。
【0038】
一部の実施形態において、アンテナアパーチャにおけるダイオードは、以下の特性を有する。
1)全ての受信(Rx)RF放射アンテナ素子の単一アイリス(スロット)設計
2)全ての送信(Tx)RF放射アンテナ素子の単一アイリス(スロット)設計
3)ダイオードは、2つの向きに対応する2つのステップで配置され、ダイオードは、配置中は回転されない、これは、ダイオードが均一の向きを有することを結果として生じる。一部の実施形態において、ダイオードは、向きの15~20度の範囲内にある限りランディングパッドに接地する。
4)ダイオードは、全て同じ形状を有するボンディングパッド(例えば、矩形ボンディングパッド、円形ボンディングパッドなど)を有する。
アンテナ素子におけるアイリス及びアイリスに対応するダイオードは、様々な構成を有するアパーチャに含めることができる点に留意されたい。
【0039】
図2A‐2Bは、アンテナ素子のスロット又はアイリスの2つのセットを示す。一部の実施形態において、アンテナ素子、及びこれに対応するスロットは、リング状に位置付けられるか又は配置される。一部の他の実施形態において、アンテナ素子は、リング以外の配列で配置される。
【0040】
図2Aは、各スロットの中心位置に当たる円筒状給電波に対して+45度の角度を有するスロットの1つのセットを示し、
図2Bは、各スロットの中心位置に当たる円筒状給電波に対して-45度の角度を有するスロットのもう片方のセットを示している。従って、RF放射アンテナ素子のアンテナアレイは、円筒状給電波伝播方向に対して+45度回転されたスロットの第1セットと、円筒状給電波の伝播方向に対して-45度回転されたスロットの第2セットとを含むスロット式アレイである。一部の実施形態において、ダイオードの全ては、横向きで構成される。一部の他の実施形態において、ダイオードの全ては、縦向きで構成される。更に他の実施形態において、ダイオードの全ては、横と縦の間の向きで構成される。
【0041】
図2Aを参照すると、5つのスロット、すなわちスロット201A~201Eが、スロットのリングの一部として示されている。5つのスロットのみが示されているが、一般的には更に多くのスロットが各行に含まれる点に留意されたい(
図1を参照のこと)。スロット201Aは、キャパシタ203Aに直列に結合されたダイオード202Aを含み、スロット201A両端の直列接続を生成する。一部の実施形態において、
図2A(並びに
図2B‐7などの他の図)のダイオードに直列に結合又は接続されたキャパシタは、例えばインターデジタルキャパシタ(IDC)などの同調型キャパシタを含む。
【0042】
スロット201Bは、スロット201B両端のキャパシタ203Bに直列に結合されたダイオード202Bを含む。スロット201Cは、スロット201C両端のキャパシタ203Cに直列に結合されたダイオード202Cを含む。スロット201Dは、スロット201D両端のキャパシタ203Dに直列に結合されたダイオード202Dを含み、スロット201Eは、スロット201E両端のキャパシタ203Eに直列に結合されたダイオード202Eを含む。
図2Aに示すように、ダイオード202A‐202Eの全ては、横向きを有し、スロット201A‐201Eの位置は、リング状で隣接するスロットに対して徐々に回転している。すなわち、スロットは、回転しているが、ダイオードは全て、横軸にアラインされている。
【0043】
図2Bを参照すると、5つのスロット、すなわちスロット211A~211Eが、スロットのリングの一部として示されている。5つのスロットだけが示されているが、一般的には更に多くのスロットが各行に含まれる点に留意されたい(
図1を参照のこと)。スロット211Aは、スロット211A両端のキャパシタ213Aに直列に結合されたダイオード212Aを含む。スロット211Bは、キャパシタ213Bに直列に結合されたダイオード212Bを含み、スロット211B両端の直列接続を生成する。スロット211Cは、スロット211C両端のキャパシタ213Cに直列に結合されたダイオード212Cを含む。スロット211Dは、スロット211D両端のキャパシタ213Dに直列に結合されたダイオード212Dを含み、スロット211Eは、スロット211E両端のキャパシタ213Eに直列に結合されたダイオード212Eを含む。ダイオード212A‐212Eは、横向きを有し、スロット211A‐211Eの位置は、リング状で隣接するスロットに対して徐々に回転している。すなわち、スロットは、回転しているが、ダイオードは全て、横軸にアラインされている。
【0044】
図3Aは、アンテナアパーチャセグメントにおけるタイプAのRF放射アンテナ素子のダイオード配置の例を示している。アンテナアパーチャセグメントは、他のアンテナアパーチャセグメントに結合された、又はそうでなければ組み合わされたときに、円形アンテナアパーチャを形成するために用いられる。
図3Aでは、素子タイプAは、135度より小さいか又は等しく且つ45度より大きいか又は等しい回転角度を有する。アンテナアパーチャは、円形でない形状(例えば、四角、楕円など)を有することができる点に留意されたい。セグメント化アンテナアパーチャに関する情報については、2018年2月6日に発行された「円筒状給電アンテナのアパーチャセグメンテーション」という名称の米国特許第9,887,455号を参照されたい。
図3Aでは、ダイオードは、アンテナ素子で横向きである。
【0045】
図3Aを参照すると、アンテナアパーチャセグメント301は、アンテナ素子を含む。セグメント301では、タイプAのアンテナ素子の各々が、横向きのダイオード302を含む。すなわち、アンテナアパーチャセグメント301では、スロット305などのスロットの向きに関わらず、ダイオード302は、横向きである。
【0046】
ダイオード302は、キャパシタ304に直列に結合され、ボンディングパッド303を介してアンテナ素子のスロット305両端の直列接続を生成する。図のように、ボンディングパッド303は円形である。しかしながら、他の実施形態において、ダイオード302は、例えば、矩形、四角などの他の形状であるボンディングパッドを有することができる。ボンディングパッド303の1つは、ランディングパッド306を介してキャパシタ304に結合され、別のランディングパッド(図示せず)が下方にあり、ダイオード302の他のボンディングパッド303に結合される。
【0047】
図3Bは、アンテナアパーチャセグメントにおけるタイプBのRF放射アンテナ素子のダイオード配置の例を示している。
図3Aと同様に、アンテナアパーチャセグメントは、他のアンテナアパーチャセグメントに結合されるか、又はそうでなければ組み合わされたときに円形のアンテナアパーチャを形成するために用いられる。
図3Bでは、素子タイプBは、45度より小さいか又は135度より大きいか又は等しい回転角度を有する。アンテナアパーチャは、円形ではない形状(例えば、四角、楕円など)を有することができる点に留意されたい。
図3Bでは、ダイオードは、アンテナ素子で縦向きである。
【0048】
図3Bを参照すると、アンテナアパーチャセグメント311は、アンテナ素子を含む。セグメント311では、タイプBのアンテナ素子の各々が、横向きのダイオード312を含む。すなわち、アンテナアパーチャセグメント311では、スロット315などのスロットの向きに関わらず、ダイオード312は、横向きである。
【0049】
ダイオード312は、キャパシタ314に直列に結合され、ボンディングパッド313を介してアンテナ素子のスロット315両端の直列接続を生成する。図のように、ボンディングパッド313は円形である。しかしながら、他の実施形態において、ダイオード312は、例えば、矩形、四角などの他の形状であるボンディングパッドを有することができる。ボンディングパッド313の一方は、ランディングパッド316を介してキャパシタ314に結合され、別のランディングパッド(図示せず)が下方にあり、ダイオード312の他方のボンディングパッド313に結合される。
【0050】
図4Aは、スロット及び横向きのダイオードを備えた4つのアンテナ素子の例を示している。
図4Aは、横向きダイオードのスロットを備えたアンテナ素子の例を示している。
図4Aを参照すると、スロット401は、横向きのダイオード402を含む。ダイオード402は、キャパシタ403に直列に結合され、ボンディングパッド404を介してスロット401両端の直列接続を生成する。詳細には、ダイオード402は、スロットのボンディングパッド404を介して1つのスロットに且つボンディングパッド404を介してキャパシタ403に結合される。ボンディングパッド404の各々は、ランディングパッド(図示せず)に結合される。
【0051】
スロット411は、横向きのダイオード412を含む。ダイオード412は、ボンディングパッド414を介してスロット411両端のキャパシタ413に直列に結合される。詳細には、ダイオード412は、スロットのボンディングパッド414を介して1つのスロットにボンディングパッド414を介してキャパシタ413に結合される。ボンディングパッド414の各々は、ランディングパッド415の1つに結合される。
【0052】
スロット421は、横向きのダイオード422を含む。ダイオード422は、キャパシタ423に直列に結合されて、ボンディングパッド424を介してスロット421両端の直列接続を生成する。詳細には、ダイオード422は、スロットのボンディングパッド424を介して1つのスロットにボンディングパッド424を介してキャパシタ423に結合される。ボンディングパッド424の各々は、ランディングパッド(図示せず)に結合される。
【0053】
スロット431は、横向きのダイオード432を含む。ダイオード432は、キャパシタ433に直列に結合され、ボンディングパッド434を介してスロット431両端の直列接続を生成する。詳細には、ダイオード432は、スロットのボンディングパッド434を介して1つのスロットに、ボンディングパッド434を介してキャパシタ433に結合される。ボンディングパッド434の各々は、ランディングパッド435などのランディングパッドに結合される(他方のランディングパッドは図示せず)。
【0054】
図4B‐4Cは、縦スロットを備え、異なる向きのダイオードを有する他のアンテナ素子の実施例を示している。
図4Bを参照すると、スロット450は、キャパシタ453に直列に結合されたダイオード455を含み、スロット450両端の直列接続を生成する。ダイオード455は、スロット450の側部に結合されたランディングパッド452に結合されたボンディングパッド451を介してスロット450の側部に結合される。ダイオード455のもう片方の側は、ボンディングパッド451及びランディングパッド452を介してキャパシタ453に結合される。キャパシタ453は、スロット450のもう片方の側に結合される。ボンディングパッド及びランディングパッドは両方とも、
図4Bの形状の矩形である点に留意されたい。ボンディングパッド及び/又はランディングパッドは、これらが、ダイオードとスロットの片側とキャパシタ453の間の電気接続を提供することができる限り他の形状(例えば、円形)にもすることができる。
【0055】
スロット460は、キャパシタ463と直列に結合されたダイオード465を含み、スロット460両端の直列接続を生成する。ダイオード465は、スロット460の側部に結合されたランディングパッド462に結合されたボンディングパッド461を介してスロット460の側部に結合される。ダイオード465のもう片方の側は、ボンディングパッド461及びランディングパッド462を介してキャパシタ463に結合される。キャパシタ463は、スロット460の他方の側に結合される。ボンディングパッド及びランディングパッドは両方とも、
図4Bの形状の矩形である点に留意されたい。ボンディングパッド及び/又はランディングパッドは、これらがダイオードとスロットの片側とキャパシタ463の間の電気接続を提供できる限り他の形状(例えば、円形)にすることができる。
【0056】
スロット470は、キャパシタ473と直列に結合されたダイオード475を含み、スロット470両端の一連の接続を生成する。ダイオード475は、スロット470の側部に結合されたランディングパッド472に結合されたボンディングパッド471を介して、スロット470の側部に結合される。ダイオード475の他方の側は、ボンディングパッド471及びランディングパッド472を介してキャパシタ473に結合される。キャパシタ473は、スロット470の他方の側に結合される。ボンディングパッド及びランディングパッドの両方は
図4Bの形状の矩形である点に留意されたい。ボンディングパッド及び/又はランディングパッドは、これらが、ダイオードとスロットの片側とキャパシタ473の間の電気接続を提供できる限り他の形状(例えば、円形)にすることができる。
【0057】
スロット480は、キャパシタ483と直列に結合されたダイオード485を含み、スロット480両端の一連の接続を生成する。ダイオード485は、スロット480の側部に結合されたランディングパッド482に結合されたボンディングパッド481を介して、スロット480の側部に結合される。ダイオード485の他方の側は、ボンディングパッド481及びランディングパッド482を介してキャパシタ483に結合される。キャパシタ483は、スロット480の他方の側に結合される。ボンディングパッド及びランディングパッドは両方とも、
図4Bの形状の矩形である点に留意されたい。ボンディングパッド及び/又はランディングパッドは、これらが、ダイオードとスロットの片側とキャパシタ483の間の電気接続を提供できる限り他の形状(例えば、円形)にすることができる。
【0058】
図4Cは、縦向きのスロットであるアンテナ素子の他の2つの実施例を示す。この場合、ダイオードのボンディングパッドが結合されるランディングパッドは、スロットの端にあり、スロット自体に完全に延長していない。同様に、ダイオードの他方の端のボンディングパッドが結合されるランディングパッドは、キャパシタから延びるランディングパッドにただ取り付けられるのとは対照的に、キャパシタの一部分の上に部分的に乗っている。
【0059】
図4Cを参照すると、両方の実施例において、スロット490は、キャパシタ493と直列に結合されたダイオード495を含み、スロット490両端の一連の接続を生成する。ダイオード495は、スロット490の側部に結合されたランディングパッド492に結合されたボンディングパッド491を介して、スロット490の側部に結合される。ダイオード495のもう片方の側は、ボンディングパッド491及びランディングパッド492を介して、キャパシタ493の一部分及び一部分の上部に結合される。キャパシタ493は、スロット490の他方の側に結合される。ボンディングパッド及びランディングパッドは両方とも、
図4Bの形状の矩形である点に留意されたい。ボンディングパッド及び/又はランディングパッドは、これらが、ダイオードとスロットの片側とキャパシタ493の間の電気接続を提供できる限り他の形状(例えば、円形)にすることができる。
【0060】
図5A‐5Cは、ダイオードの向きが均一である3つのセル設計の実施形態を示している。これらの例示的実施形態において、ダイオードデバイスの各々は、横向きのダイオードを含み、スロットは、互いに対して異なる回転を有する。更にまた、一部の実施形態において、ダイオードデバイスの各々は、スロットの中央に対称の軸を有する。
【0061】
図5Aを参照すると、スロット510は、キャパシタ518に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス511を含む。ボンディングパッド512は、スロット510に延びるランディングパッド513に結合される。ボンディングパッド512はランディングパッド513と共にスロット510のRF端子を形成する。ダイオードデバイス511はまた、ダイオード/キャパシタ518のダイオードとキャパシタとの間の接合部に結合された直流(DC)パッド514を含む。DCパッド514は、DCトレースの延長部515を有する。DCトレースの延長部515は、あらゆるセルに対してセルの回転が変わる度に変化する。DCトレースの延長部515は、ITO/導電トレース516に結合される。一部の実施形態において、トレース516は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ518のダイオードに結合する。
【0062】
図5Bを参照すると、スロット520は、キャパシタ528に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス521を含む。ボンディングパッド522は、スロット520に延びるランディングパッド523に結合される。ボンディングパッド522はランディングパッド523と共にスロット520のRF端子を形成する。ダイオードデバイス521はまた、ダイオード/キャパシタ528のダイオードとキャパシタの間の接合部に結合された直流(DC)パッド524を含む。DCパッド524は、ITO/導電トレース526に結合される。一部の実施形態において、トレース526は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ528のダイオードに結合する。
【0063】
図5Cを参照すると、スロット530は、キャパシタ538に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス531を含む。ボンディングパッド532は、スロット530に延びるランディングパッド533に結合される。ボンディングパッド532はランディングパッド533と共にスロット530のRF端子を形成する。ダイオードデバイス531はまた、ダイオード/キャパシタ538のダイオードとキャパシタの間の接合部に結合された直流(DC)パッド534を含む。DCパッド534は、DCトレースの延長部535を有する。DCトレースの延長部535は、あらゆるセルに対してセルの回転が変わる度に変化する。DCトレースの延長部535は、ITO/導電トレース536に結合される。一部の実施形態において、トレース536は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ538のダイオードに結合する。
【0064】
図5Aのスロット510及び
図5Cのスロット530は、ノッチを含む。例えば、スロット510は、ノッチ517を含み、スロット530は、ノッチ537を含む。以下に詳しく説明するように、ノッチ517及び537は、スロット510と530の周りの外周長をそれぞれ変えて、アンテナ素子の共振周波数を変える。このようなノッチの代わりに、又はこのようなノッチに加えて、他の特徴をスロットに含めることができる。これらの特徴の実施例を以下に更に詳しく記載する。
【0065】
図6A‐6Cは、ダイオードの向きが均一である3つのセル設計の実施形態を示し、ここでは、ダイオードデバイスの各々が、横向きのダイオードを含む(スロットは、互いに対して異なる回転を有する)。更にまた、一部の実施形態において、ダイオードデバイスの各々は、スロットの中央に対称の軸を有する。
【0066】
図6Aを参照すると、スロット610は、キャパシタ618に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス611を含む。ボンディングパッド612は、スロット610に延びるランディングパッド613に結合される。ボンディングパッド612は、ランディングパッド613と共にスロット610のRF端子を形成する。ダイオードデバイス611はまた、ダイオード/キャパシタ618のダイオードとキャパシタの間の接合部に結合された直流(DC)パッド614を含む。DCパッド614は、DCトレースの延長部615を有する。DCトレースの延長部615は、あらゆるセルに対してセルの回転が変わる度に変化する。DCトレースの延長部615は、ITO/導電トレース616に結合される。一部の実施形態において、トレース616は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ618のダイオードに結合する。
【0067】
図6Bを参照すると、スロット620は、キャパシタ628に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス621を含む。ボンディングパッド622は、スロット620に延びるランディングパッド623に結合される。ボンディングパッド622は、ランディングパッド623と共にスロット620のRF端子を形成する。ダイオードデバイス621はまた、ダイオード/キャパシタ628のダイオードとキャパシタの間の接合部に結合された直流(DC)パッド624を含む。DCパッド624は、ITO/導電トレース626に結合される。一部の実施形態において、トレース626は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ628のダイオードに結合する。
【0068】
図6Cを参照すると、スロット630は、キャパシタ638に直列のダイオードを包含するダイオードデバイス631を含む。ボンディングパッド632は、スロット630に延びるランディングパッド633に結合される。ボンディングパッド632は、ランディングパッド633と共にスロット630のRF端子を形成する。ダイオードデバイス631はまた、ダイオード/キャパシタ638のダイオードとキャパシタの間の接合部に結合された直流(DC)パッド634を含む。DCパッド634は、DCトレースの延長部635を有する。DCトレースの延長部635は、あらゆるセルに対してセルの回転が変わる度に変化する。DCトレースの延長部635は、ITO/導電トレース636に結合される。一部の実施形態において、トレース636は、同調電圧をダイオード/直列キャパシタ638のダイオードに結合する。
【0069】
図6Aのスロット610及び
図6Cのスロット630は、それぞれにノッチ617及び637を含む。以下に詳しく説明するように、これらのノッチは、スロット610及び630の周りの外周長をそれぞれに変えて、アンテナ素子の共振周波数を変える。このようなノッチの代わりに、又はこのようなノッチに加えて、他の特徴をスロットに含めることができる。これらの特徴の例は、以下に詳しく記載する。
【0070】
一部の実施形態において、上述のように、
図2A‐6Cのダイオードは他のタイプの固体デバイスに置き換えられる。
【0071】
周波数の補償
図7Aから7Fは、各セルの共振周波数をセルの回転に応じて同調させる様々な方法を示している。以下の特徴の1又は2以上は、スロットの外周長を変えるためにスロットに含めることができる。スロットの外周長を変えることによって、各セルの共振周波数を変えることができる。一部の実施形態において、1ミリだけスロットの外周長を変えることで、アンテナ素子の共振周波数を100MHz変えることになる。換言すると、スロットの外周長を1ミリ増やすことで、スロットの共振周波数を100MHz低減させ、スロットの外周長を1ミリ減らすことで、スロットの共振周波数を100MHz上げられる。スロットの共振周波数を調整できることによって、アンテナアパーチャのスロットの全て、又はこの一部分(例えば、アンテナアパーチャセグメントなど)を、特定の共振周波数に設定することができる(例えば、全てのアンテナ素子セットを同じ共振周波数に設定できる等)。
【0072】
一部の実施形態において、多種多様な特徴をスロットに組み入れて、スロットの外周長を調整することができる。このような特徴は、スロットの片側又は両側又はスロットの上部及び/又は底部に含めることができる。一部の実施形態において、あらゆるスロットが、個々にカスタマイズされた特徴又はサイズを有することができる。一部の他の実施形態において、スロットは、サブグループ(例えば、セグメント、サブセグメントなど)に入れて、アンテナアパーチャが製造されるときの変動を軽減させることもできる。
【0073】
一部の実施形態において、スロットの寸法は、新しい特徴を追加することなく直接変えることができる。例えば、個々のスロットを長くするか又は短くして、共振周波数を変えることができる。すなわち、アンテナ素子の共振周波数を制御するために、異なる外周長を有する長い又は短いスロットを使用することができる。
【0074】
一部の実施形態において、各ダイオードは、アイリスローディングに影響を与える2又は3以上の接続パッドを有することができ、これによって共振周波数に作用する。一部の実施形態において、アンテナ素子に、例えば、ダイオード又はパッチなどの異なる外部の特徴を取り入れて、単位セルの回転に応じて各単位セルの共振を同調させることができる。
【0075】
一部の実施形態において、ダイオードは、
図7A‐7Eに示すように2又は3以上の接続パッドを有することができる。各ダイオードは、2つのRFパッド(アンテナ素子が信号を受信するときにRF端子として動作する)及び同調(バイアス)電圧を受け取りダイオードに同調電圧を供給するDCパッドを有する。
【0076】
図7Aは、スロットの端部(例えば、スロットの上部、スロットの底部など)にノッチ701を含むことを示している。
図7Bは、スロットの1つの端部(例えば、スロットの上部、スロットの底部)の矩形状の特徴702を示しており、短いスロット長を生成している。
図7Cは、スロットの寸法を変えるためのスロットへの1又は2以上の突出部を含む特徴703を示している。
図7Dは、スロットの外周長を変えてスロットの共振を同調させるためにスロットの端から離れて延びる2つのノッチを示している。
図7Eは、ランディングパッド705の位置、形状、又はサイズを調整して、セルの共振周波数を同調させるためにスロットの外周長を調整できることを示している。
図7Fは、スロットの両側のバー706の位置、形状、及びサイズを調整して、セルの回転に応じて各セルの共振周波数を同調させるために寄生静電容量又はインダクタンスを追加できることを示している。バーは、ランディングパッドとは異なり、異なるランディングパッド構成による周波数シフトを補償するために使用できる点に留意されたい。一部の実施形態において、バーは、様々なサイズのランディングパッドを補償するためにアイリスの向きの各構成に対して具体的に設計される。ランディングパッドが長く又は短くなる(アイリスの向きに基づいて)とき、これらは、アイリスの全体のインダクタンス及び/又は静電容量を上げるか又は下げることがあり、この結果として周波数シフトを生じる。この周波数シフトを補償するために、追加の搭載素子(バーなど)が設計され、アイリスに追加される。
図7A‐7Fと共に記述した特徴は、様々なサイズ及び寸法にすることができ、共振周波数における所望の変化(例えば、縁の1ミリの長さの変化が100MHzの共振周波数の変化を起こすなど)を起こすことができる。
【0077】
従って、周波数シフトは、あらゆる単位セルに対して行うことができ、スロットのサイズの修正を実行することによって、あらゆるセルが、行(例えば、リング)の隣接するセルに対して有する僅かな変化を補償することができる。
【0078】
一部の実施形態において、個々のアンテナの共振周波数の同調は、ソフトウェアの制御下で行われる。これは、個々のスロットの共振周波数を調整するために加えられたハードウェア特徴と共に、又はこれらのハードウェア特徴に代わって行うことができる。あらゆるセルの周波数調整を起こすためのこのようなソフトウェア制御の実施例は、オフセット周波数を考慮に入れてバラクターダイオードを制御するステップを含む。一部の実施形態において、オフセット周波数を考慮に入れてバラクターダイオードを制御するステップは、オフセット周波数を電圧オフセットにマッピングするか、又はDAC値を修正して所望の電圧オフセットを取り入れ更にこのオフセット又は新しいDACをRF素子に加えて全ての素子の共振周波数をアラインすることによって、実行することができる。一部の実施形態において、DAC値は、RF素子に出力される所望の電圧を生成するFPGAパターンドライバによって支援される値である。
【0079】
一部の実施形態において、オフセット周波数を考慮に入れてバラクターダイオードを制御するステップは、あらゆるスロットの共振器モデルを別々に計算して、これらのモデルの各々に、この特定のユニットセルの実際の共振を考慮に入れさせるステップを含む。アイリスの各向きの周波数シフトの量が既知になったら、周波数シフトを補償するためにダイオードの電圧を修正することができる。
【0080】
アンテナ素子の共振周波数を調整するステップは、アンテナアパーチャ、又はこの一部分(例えば、アンテナアパーチャセグメントなど)の設計及び/又は製造によって実行することができる点に留意されたい。一部の実施形態において、
図7のダイオードは、固体デバイスの他のタイプに置き換えられる。
【0081】
図8は、アンテナアパーチャを製造する処理の一部の実施形態の流れ図である。処理は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ソフトウェア(例えば、チップ又はプロセッサで実行されるソフトウェアなど)、ファームウェア、又は3つの組み合わせを含む処理論理によって実行される。
【0082】
図8を参照すると、処理は、アンテナアパーチャの放射アンテナ素子のスロット/アイリスに対して回転を決定する処理論理を含む(801)。一部の実施形態において、この決定は、アンテナアパーチャのアンテナ素子のレイアウトを決定するときに起こる。一部の実施形態において、RF放射アンテナ素子の各々は、スロット両端に結合されるバラクターダイオードを含む。ダイオードは、ダイオードに直列に結合されたキャパシタ(例えば、同調型キャパシタ、IDCなど)に結合することができる。
【0083】
回転を決定した後に、処理論理は、複数のRF放射アンテナ素子の他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトするようにRF放射アンテナ素子の1又は2以上のスロット/アイリスを修正する(802)。一部の実施形態において、RF放射アンテナ素子の1又は2以上のスロットを修正するステップは、他のアンテナ素子のアイリスの外周長とは異なるように1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を修正するステップを含む。一部の実施形態において、RF放射アンテナ素子の1又は2以上のスロットを修正するステップは、同じリングに隣り合わせて位置付けられたアイリスに対するアイリスの向きの変化を補償するステップを含む。
【0084】
アパーチャ設計のスロット/アイリスを修正した後に、処理論理は、アンテナアパーチャの基板の表面(例えば、メタサーフェス)上に複数のアンテナ素子を生成する(803)。このような製造技術は、当技術で周知である。
【0085】
一部の実施形態において、
図8のダイオードは、固体デバイスの他のタイプに置き換えられる。
【0086】
アンテナの実施例の詳細
上述の技術は、平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。これらのアンテナは、アンテナアパーチャにアンテナ素子を含むアンテナの動作を制御するための制御構造を含む。
【0087】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用の駆動電子機器を含むアンテナアレイコントローラは、本明細書に記載されるような表面散乱アンテナ素子の波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整する商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0088】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステム及び/又はアンテナシステムの一部でなくてもよい他のシステムによってプロセッサに提供することができる。
【0089】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、バラクターダイオードに電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0090】
送信については、コントローラが、RFダイオードに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する、可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0091】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔をあけて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0092】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0093】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0094】
図9Aは、グランドプレーン945及び再構成可能な共振器層930を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層930は、同調型スロット910のアレイ912を含む。同調型スロット910のアレイ912は、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。同調型スロット910の各々は、バラクターダイオードの静電容量を変化させ、放射アンテナ素子の振幅及び位相を変化させる周波数シフトを生じることによって同調/調整することができる。アレイ状のアンテナ素子の適正な位相及び振幅の調整は、ビーム形成及びビーム誘導性を結果として生じることになる。
【0095】
制御モジュール980、又はコントローラは、再構成可能共振器層930に結合され、ダイオード/バラクターへの電圧を変化させることによって同調型スロット910のアレイ912を変調する。制御モジュール980は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール980は、同調型スロット910のアレイ912を駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール980は、同調型スロット910のアレイ912上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール980と同様の制御モジュールは、本開示の様々な実施形態に記載された同調型スロットの各アレイを駆動することができる。
【0096】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波905などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、同調型スロット910のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としての
及び射出波上の波動方程式としての
を用いて、
によって計算される。
【0097】
バラクターダイオードとアイリス開口部との間の電圧は、アンテナ素子(例えば、同調型共振器/スロット)を同調するように変調することができる。電圧を調整すると、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、スロットの共振周波数は、式
に従って変化し、ここで、
は、スロットの共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロットのインダクタンス及び静電容量である。スロットの共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波905から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波905が20GHzである場合には、スロット910の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、スロット910が、給電波905からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット910の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット910が、給電波905からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいてはスロット910の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット910から放射されるエネルギーを精密に制御して、同調型スロットのアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0098】
1つの実施形態において、行における同調型スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された同調型スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0099】
図9Bは、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、
図9Bのアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「誘導可能円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国公表第2015/0236412号に記載されるような同軸給電部を含む。
【0100】
図9Bを参照すると、同軸ピン901は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン901は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン901は、導電性グランドプレーン902であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0101】
内部導体である間隙導体903は、導電性グランドプレーン902から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン902及び間隙導体903は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン902と間隙導体903との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0102】
グランドプレーン902は、スペーサ904を介して間隙導体903から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ904は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ904は、プラスチックスペーサを含む。
【0103】
間隙導体903の上部には、誘電体層905がある。1つの実施形態において、誘電体層905はプラスチックである。誘電体層905の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層905は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体層905として使用することができる。
【0104】
RFアレイ906は誘電体層905の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体903とRFアレイ906との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0105】
アンテナは、側面907及び908を含む。側面907及び908は、同軸ピン901からの進行波給電が反射によって間隙導体903の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体903の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側面907及び908の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面907及び908は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。
図9Bは、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何れかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0106】
動作中、給電波が同軸ピン901から供給されると、この給電波は、グランドプレーン902と間隙導体903との間の領域で同軸ピン901から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部907及び908により反射され、間隙導体903とRFアレイ906との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層905によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ906の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0107】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部909がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部909は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部909は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ906の上部で使用することができる。
【0108】
図10は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。
図10を参照すると、2つのグランドプレーン1010及び1011は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーン1010、1011の間に誘電体層1012(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1019(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1010及び1011を共に結合する。同軸ピン1015(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1016は、誘電体層1012及びグランドプレーン1011の上部に存在する。
【0109】
動作中、給電波は、同軸ピン1015を介して供給され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1016の素子と相互作用をする。
【0110】
図9B及び
図10の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45° Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25° EI)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何れかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0111】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0112】
波散乱素子のアレイ
図9BのRFアレイ906及び
図10のRFアレイ1016は、放射体として機能する1つのグループのアンテナ素子(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このアンテナ素子のグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0113】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、単位セル素子を、給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決め可能にする。この素子の位置により、素子から生成され又は素子によって受け取られる自由空間波の偏波の制御が可能になる。1つの実施形態において、単位セルは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0114】
セル配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。
図11は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図11を参照すると、行コントローラ1101は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1111及び1112に結合され、列コントローラ1102は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1111及び1112に結合される。また、トランジスタ1111は、ダイオードへの接続1131を介してアンテナ素子1121に結合され、トランジスタ1112は、ダイオードへの接続1132を介してアンテナ素子1122に結合される。
【0115】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング状に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング状に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0116】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。これにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0117】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング状に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0118】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。
図12は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図12を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1203が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1201に接続された2つの入力ポートと、トレース1202に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0119】
全二重通信システムの例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。
図13は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つより多い受信経路を含むことができる。
【0120】
図13を参照すると、アンテナ1301は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1301は、ダイプレクサ1345に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1345は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1301とダイプレクサ1345の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0121】
ダイプレクサ1345は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1327に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1327は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1327は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1327は、コンピューティングシステム1340(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1360に結合される。
【0122】
モデム1360は、アナログデジタル変換器(ADC)1322を含み、このADCは、LNB1327に結合されて、ダイプレクサ1345から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1323によって復調されて、復号器1324によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1325に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1340に送る。
【0123】
モデム1360は更に、コンピューティングシステム1340から送信されたデータを符号化するエンコーダ1330を含む。符号化されたデータは、変調器1331によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1332によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1333によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1345の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1333は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0124】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1345は、伝送のため送信信号をアンテナ1301に供給する。
【0125】
コントローラ1350は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1301を制御する。
【0126】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正される。このような場合、コンバイナ/アービターはモデムの後であるがBUC及びLNBの前である。
【0127】
図13に示した全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェアアップデートを含む)などを含む幾つかの応用を有する点に留意されたい。
【0128】
図1‐13に関して、他の同調型コンデンサ、同調型静電容量ダイ、パッケージ化ダイ、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、又は他の同調型静電容量デバイスを、本明細書に記載する実施形態、他の実施形態のバリエーションでアパーチャ又はその他に配置できることを理解されたい。電子的走査アレイ、及び、様々な他の電気、電子及び電気機械デバイスのための様々な基板への、様々なダイ、パッケージ化ダイ又はMEMSデバイスの配置を含むマス転送の技術は、他の実施形態にも応用できる。
【0129】
幾つかの例示的実施形態を本明細書に記載する。
【0130】
実施例1は、アイリスとアイリスにわたって結合された固体デバイスとを各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、各リングの少なくとも一部におけるアンテナ素子のアイリスの各々の向きが、各リングの一部における隣接するアイリスに対して回転されており、対応する固体デバイスの向きが均一であるアンテナアパーチャと、RF放射アンテナ素子のアレイを制御してRF放射アンテナ素子を同調させ、複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラと、を含むアンテナである。
【0131】
実施例2は、複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子が、他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトするための複数のアンテナ素子の他のアンテナ素子からのサイズの修正を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0132】
実施例3は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにする、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0133】
実施例4は、修正が、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対するアイリスの向きの変化を補償する、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0134】
実施例5は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上の側部に1又は2以上のノッチを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0135】
実施例6は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの上部及び底部のうちの1又は2以上に1又は2以上のノッチを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0136】
実施例7は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上の側部から内部に延びる1又は2以上のバーを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0137】
実施例8は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスのより長い側部を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0138】
実施例9は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子の少なくとも1つのアイリスの1又は2以上のランディングパッドの位置、形状又はサイズを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0139】
実施例10は、複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子が、他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトするためにソフトウェアを介して調整された共振周波数を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0140】
実施例11は、複数のアンテナ素子の各アンテナ素子が更に、前記各アンテナ素子の前記固体デバイスに直列に結合されたキャパシタを含み、固体デバイスが、ダイオードを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0141】
実施例12は、複数のアンテナ素子の各アンテナ素子が更に、アンテナ素子の固体デバイスをアンテナ素子の対応するアイリスに結合する2又は3以上のランディングパッドを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0142】
実施例13は、ランディングパッドが矩形又は円形の形状である、ことを任意選択的に含むことができる実施例12のアンテナである。
【0143】
実施例14は、ランディングパッドが3つのランディングパッドを含み、3つのランディングパッドのうち2つが、RFランディングパッドであり、3つのランディングパッドのうち1つが、電圧を前記各アンテナ素子の前記固体デバイスに伝達するための直流(DC)ランディングパッドである、ことを任意選択的に含むことができる実施例12のアンテナである。
【0144】
実施例15は、アイリスとアイリスにわたって結合された固体デバイスとを各々が含む複数のRF放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャであって、複数のアンテナ素子が、リング状に位置付けられて、各リングの少なくとも一部におけるアンテナ素子のアイリスの各アイリスの向きが、各リングの一部における隣接するアイリスに対して回転されており、対応する固体デバイスの向きが均一であり、複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子は、他のアンテナ素子と比べて共振周波数をシフトさせるために複数のアンテナ素子の他のアンテナ素子からのサイズの修正を含み、更に複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、アンテナ素子の固体デバイスをアンテナ素子の対応するアイリスに結合する3つのランディングパッドを更に含み、3つのランディングパッドのうち2つは、RFランディングパッドであり、3つのランディングパッドのうち1つは、各アンテナ素子の前記固体デバイスに電圧を伝達するための直流(DC)ランディングパッドである、アンテナアパーチャを備えるアンテナである。アンテナはまた、RF放射アンテナ素子のアレイを制御してRF放射アンテナ素子を同調させ、複数のRF放射アンテナ素子を使用して1又は2以上のビームを生成するように結合されたコントローラを含む。
【0145】
実施例16は、修正が、1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにする、ことを任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0146】
実施例17は、修正が、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対するアイリスの向きの変化を補償する、ことを任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0147】
実施例18は、固体デバイスがダイオードを含む実施例1のアンテナである。
【0148】
実施例19は、アンテナアパーチャの複数のRF放射アンテナ素子のアイリスに対して回転を決定するステップであって、複数のRF放射アンテナ素子の各々が、アイリスにわたって結合された固体デバイスを含む、ステップと、複数のRF放射アンテナ素子の他のアンテナ素子と比べてアンテナ素子の共振周波数をシフトするよう複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップと、アンテナアパーチャの基板の表面上に複数のアンテナ素子を生成するステップと、を含む方法である。
【0149】
実施例20は、複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップが、1又は2以上のアンテナ素子のアイリスの外周長を他のアンテナ素子のアイリスの外周長と異なるようにするよう修正するステップを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例19の方法である。
【0150】
実施例21は、複数のRF放射アンテナ素子の1又は2以上のアンテナ素子の1又は2以上のアイリスを修正するステップが、同じリングに隣接して位置付けられたアイリスに対するアイリスの向きの変化を補償するステップを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例19の方法である。
【0151】
実施例22は、固体デバイスがダイオードを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例19の方法である。
【0152】
本明細書に記載される方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムによって実行し且つ完全に自動化することができる。コンピュータシステムは、場合によっては、ネットワークを通じて通信し相互運用する複数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティング資源など)を含み、記述した機能を実行することができる。各々のこのようなコンピューティングデバイスは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体又はデバイス(例えば、固体ストレージデバイス、ディスクドライブなど)に格納されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本明細書で開示される様々な機能は、このようなプログラム命令で実施することができるか、又はコンピュータシステムの特定用途向け集積回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実施することができる。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一場所に位置付けることができるが、必須ではない。開示する方法及びタスクの結果は、固体メモリチップ又は磁気ディスクなどの物理的ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって持続的に格納することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、処理資源が複数の別個のビジネスエンティティ又は他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムとすることができる。
【0153】
実施形態に応じて、本明細書に記載される処理又はアルゴリズムの何れかの一定の動作、事象、又は機能を、異なるシーケンスで実行し、追加、統合、又は共に除外することができる(例えば、記述した動作又は事象の全てがアルゴリズムの実施に必要であることはない)。更にまた、一定の実施形態において、動作又は事象は、同時に、例えば、連続ではなく、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコア又は他の並行アーキテクチャによって実行することができる。
【0154】
本明細書に開示する実施形態に関して記述した様々な例証の論理的ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGAデバイス)、コンピュータハードウェアで実行されるコンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実施することができる。更にまた、本明細書で開示される実施形態に関して記述した様々な例証の論理的ブロック及びモジュールは、プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するよう設計されたこれらの何れかの組み合わせなどの機械によって実施又は実行することができる。プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、同様の組み合わせなどとすることができる。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するよう構成された電子回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理動作を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスは、コンピュータデバイスの組み合わせとして、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1又は2以上のマイクロプロセッサ、又は何れかの他のこのような構成として実施することもできる。本明細書ではデジタル技術に関して主に説明してきたが、プロセッサデバイスは、主としてアナログの構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載される表示される技術の一部又は全部を、アナログ回路又はアナログとデジタルを混合した回路で実施することができる。コンピューティング環境は、限定ではないが、例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯式コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内のコンピュータエンジンに基づくコンピュータシステムを含むコンピュータシステムの何れのタイプも含むことができる。
【0155】
本明細書で開示される実施形態に関して記述した方法、処理、ルーチン、又はアルゴリズムの要素は、ハードウェアで直接、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールで、又は両方の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD-ROM、又は非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の何れかの他の形態に常駐させることができる。例示的ストレージ媒体は、プロセッサデバイスが、ストレージ媒体から情報を読み取り且つストレージ媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサデバイスに結合することができる。代替として、ストレージ媒体は、プロセッサデバイスに一体化させることができる。プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ASICに常駐させることができる。ASICは、ユーザ端末に常駐させることができる。代替として、プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ユーザ端末の離散的な構成要素として常駐させることができる。
【0156】
とりわけ、「can(できる)」、「could(できた)」、「might(可能性があった)」、「may(可能性がある)」、「e.g.,(例えば)」などの本明細書で用いる条件言語は、他に明示的に示されない限り、又は使用される文脈内でこれ以外に理解されない限り、一般的には、一定の実施形態が、一定の特徴、要素又はステップを含み、他の実施形態は含まないことを伝えるものとする。従って、このような条件言語は、一般的には、特徴、要素又はステップが、1又は2以上の実施形態に多少なりとも必要である、或いは、これらの特徴、要素又はステップが、何れかの特定の実施形態に含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきであるかどうかを、他の入力又は指示のあり又はなしで決定する論理を必ず含むことを意味するものではない。「comprising(含む)」、「including(内包する)」、「having(有する)」などの語は、同義であり、包含的に、制約のない方式で用いられ、追加の要素、特徴、動作、作動などを除外するものではない。また、「or」という語は、例えば使用された時に、要素のリストを繋げるためであり、「or(又は)」という語は、リストにある要素の1つ、一部、又は全部を意味するような包含的な意味で(排他的な意味でなく)用いられる。
【0157】
「X、Y、又はZの少なくとも1つ」という句などの離接的言語は、他に明示的に示されない限り、項目、項などが、X、Y、又はZの何れか、又はこの何れかの組み合わせ(例えば、X、Y、又はZ)とすることができることを示すために一般的に用いられる文脈によって他の意味に理解される。従って、このような離接的言語は、一般的には、一定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つが各々存在することを必要とすることを意図せず、且つ意図すべきでない。
【0158】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に加えられる新しい特徴を示し、記述し、指摘しており、例証するデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更が、本開示の精神から逸脱することなく行い得ることを理解できる。認識されるように、一部の特徴が、他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書に記載される一定の実施形態は、本明細書に示した特徴及び利点の全てを提供しない形態内で実施することができる。本明細書で開示される一定の実施形態の範囲は、前述の説明によってではなく添付の請求項によって示される。請求項の等価性の意味及び範囲内で生じる全ての変更は、これらの範囲内に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0159】
101 アパーチャアンテナアレイ
102 円筒状給電部
103 アンテナ素子
【図】
【図】
【国際調査報告】