(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】環状のGd(III)錯体及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 257/02 20060101AFI20240315BHJP
A61K 49/10 20060101ALI20240315BHJP
C07F 5/00 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
C07D257/02
A61K49/10
C07F5/00 D CSP
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566683
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2022100671
(87)【国際公開番号】W WO2023173618
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】202210256593.2
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522426722
【氏名又は名称】国科温州研究院(温州生物材料与工程研究所)
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】戴 利雄
(72)【発明者】
【氏名】徐 維元
(72)【発明者】
【氏名】葉 方富
【テーマコード(参考)】
4C085
4H048
【Fターム(参考)】
4C085HH07
4C085KA09
4C085KA28
4C085KB12
4C085KB56
4C085LL05
4H048AA01
4H048AA02
4H048AA03
4H048AB20
4H048VA32
4H048VA70
4H048VB10
(57)【要約】
【課題】環状のGd(III)錯体及びその調製方法と使用を提供する。
【解決手段】本発明は、環状のGd(III)錯体を提供し、式Iに示す化学構造を有し、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、すなわちDOTAの環構造を親環とし、前記式I中の親油基R’及びR’’はそれぞれフェニル酢酸のα位及びベンゼン環構造に導入され、前記式I中のキラル基RはDOTA大環状位置に導入され、キラル基Rにより大環状構造の剛性を高め、前記錯体の安定性を向上させ、親油基R’及びRは肝細胞の有機アニオン輸送ポリペプチドと結合できるため、肝胆における造影剤としての前記環状のGd(III)錯体の分布が大幅に改善され、すなわち標的性が高い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のGd(III)錯体であって、式Iに示す化学構造を有し、
前記式I中のRは、H、C
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、前記式I中のRの立体配置は、独立してS又はRであり、
前記式I中のR’’はベンゼン環のオルト位、メタ位又はパラ位にあり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立してH、C
1~C
10のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
10のアルコキシ基、-COOH、-R
1COOH、-COOR
1、-Ph、-NO
2、置換フェニル基、-R
1-Ph、-R
1NO
2、-OR
1-Ph、-CONHR
3、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-R
1COOH、-COOR
1、-R
1-Ph、-R
1NO
2及び-OR
1-Ph中のR
1は、独立してC
1~C
5のアルキル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、C
1~C
5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
5のアルコキシ基、-COOH、-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2又は-SO-R
2であり、前記-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2及び-SO-R
2中のR
2は、独立してC
1~C
3のアルキル基であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であり、
前記式I中のM
+は、金属カチオン又はグルコサミンカチオンであることを特徴とする環状のGd(III)錯体。
【請求項2】
前記式I中のRは、H、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)OH、-CH
2Ph又は-(CH
2)
4Phであり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立して、H、-COOH、CONHR
3、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2、-OBn、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であることを特徴とする請求項1に記載の環状のGd(III)錯体。
【請求項3】
前記式I中のM
+は、Na
+、K
+、Li
+又はグルコサミンカチオンであることを特徴とする請求項1に記載の環状のGd(III)錯体。
【請求項4】
前記式Iにおいて、RはHであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式A-1に示す構造の化合物、DO3A、炭酸カリウム及びアセトニトリルを混合し、求核置換反応を行い、式A-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた式A-2に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、第1の反応前駆体を得るステップと、
(3)窒素雰囲気中で、前記ステップ(2)で得られた第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた式A-3に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(5)前記ステップ(4)で得られた式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(5)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項5】
前記ステップ(4)における脱tert-ブチルエステル反応の温度は室温であり、脱tert-ブチルエステル反応の時間は10~15hであることを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記式Iにおいて、RはHであり、R’はHであり、R’’はH、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、DO3A、炭酸カリウムを混合して求核置換反応を行い、第2の反応前駆体を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた第2の反応前駆体を塩酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式B-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(3)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(3)における配位反応の温度は90~110℃であり、配位反応の時間は5~7hであることを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は-COOHであり、前記調製方法は、
(a)式C-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(b)窒素雰囲気中で、前記ステップ(a)で得られた式C-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(c)前記ステップ(b)で得られた式C-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、式C-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)で得られた式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(d)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)における第2の求核置換反応の温度は室温であり、第2の求核置換反応の時間は16~20hであることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
1)式A-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式D-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
2)窒素雰囲気中で、前記ステップ1)で得られた式D-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式D-3に示する構造を有する化合物を得るステップと、
3)前記ステップ2)で得られた式D-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、第3の反応前駆体を得るステップと、
4)窒素雰囲気中で、前記ステップ3)で得られた第3の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン化合物及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
5)窒素雰囲気中で、前記ステップ4)で得られた式D-4に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式D-5に示す構造を有する化合物を得るステップと、
6)前記ステップ5)で得られた式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ6)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項11】
前記ステップ3)における前記エステル加水分解反応の温度は室温であり、エステル加水分解反応の時間は4~8hであることを特徴とする請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’はH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1’)窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式E-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2’)窒素雰囲気中で、前記ステップ(1’)で得られた式E-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3’)前記ステップ(2’)で得られた式E-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、その後、エステル加水分解反応の生成物に対して濃縮、希釈及びpH調整を順次行い、式E-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4’)前記ステップ(3’)で得られた式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(4’)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項13】
前記ステップ(4’)における配位反応の温度は90~110℃であり,配位反応の時間は5~7hであることを特徴とする請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体を含む医薬品組成物。
【請求項15】
核磁気共鳴イメージングにおける請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体又は請求項14に記載の医薬品組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年03月16日に中国特許庁へ提出された出願番号202210256593.2、発明名称「環状のGd(III)錯体及びその調製方法と使用」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本出願に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、有機錯体の技術分野に関し、特に、環状のGd(III)錯体及びその調製方法と使用に関する。
【0003】
核磁気共鳴イメージング(MRI)は磁場の作用下での原子核の核磁気共鳴現象によって電磁気信号を取得し、コンピュータ技術及び画像再構成方法を用いてイメージングする技術である。該イメージング技術は、外部からの放射、吸収及び反射に頼らず、外へγ線を放出することもないため、人体に無害であるという利点がある。しかも、MRIは、肝癌の検出に独特な優位性があり、マルチパラメータ、多方向及び高い軟部組織コントラストのイメージングを提供できる。しかし、MRIの検出感度は低く、約40%のMRI検出は検出信号を改善するために造影剤の使用を必要とするが、神経系のMRI検出では、その割合は約60%と高く、全世界で毎年約4000万人がMRI造影剤を使用している。
【0004】
現在、市販の肝胆特異性MRI造影剤の多くは線状のGd-DTPA誘導体、例えば、Gd-EOB-DTPA、Primovist/Eovist及びプリモビストなどである。しかし、上記市販のGd基MRI造影剤には、安定性の低さのため金属ガドリニウムの残留物が多く、標的性が低いという問題があり、深刻な健康リスクが存在する。したがって、安定性が高く、肝胆を標的とするMRI造影剤をどのように提供するかは、従来技術において早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、環状のGd(III)錯体及びその調製方法と使用を提供することにある。本発明が提供する環状のGd(III)錯体は、肝胆を標的とするMRI造影剤とすることができ、安定性と標的性が高いという利点もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、環状のGd(III)錯体を提供し、式Iに示す化学構造を有し、
前記式I中のRは、H、C
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、前記式I中のRの立体配置は、独立してS又はRであり、
前記式I中のR’’はベンゼン環のオルト位、メタ位又はパラ位にあり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立してH、C
1~C
10のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
10のアルコキシ基、-COOH、-R
1COOH、-COOR
1、-Ph、-NO
2、置換フェニル基、-R
1-Ph、-R
1NO
2、-OR
1-Ph、-CONHR
3、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-R
1COOH、-COOR
1、-R
1-Ph、-R
1NO
2及び-OR
1-Ph中のR
1は、独立してC
1~C
5のアルキル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、C
1~C
5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
5のアルコキシ基、-COOH、-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2又は-SO-R
2であり、前記-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2及び-SO-R
2中のR
2は、独立してC
1~C
3のアルキル基であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であり、
前記式I中のM
+は、金属カチオン又はグルコサミンカチオンである。
【0008】
好ましくは、前記式I中のRは、H、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)OH、-CH
2Ph又は-(CH
2)
4Phであり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立して、H、-COOH、CONHR
3、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2、-OBn、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基である。
【0009】
好ましくは、前記式I中のM+は、Na+、K+、Li+又はグルコサミンカチオンである。
【0010】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供し、前記式I中のRはHであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式A-1に示す構造の化合物、DO3A、炭酸カリウム及びアセトニトリルを混合し、求核置換反応を行い、式A-2に示す構造の化合物を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた式A-2に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、第1の反応前駆体を得るステップと、
(3)窒素雰囲気中で、前記ステップ(2)で得られた第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた式A-3に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(5)前記ステップ(4)で得られた式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(5)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記ステップ(4)における脱tert-ブチルエステル反応の温度は室温であり、脱tert-ブチルエステル反応の時間は10~15hである。
【0012】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供し、前記式I中のRはHであり、R’はHであり、R’’はH、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、DO3A、炭酸カリウムを混合して求核置換反応を行い、第2の反応前駆体を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた第2の反応前駆体を塩酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式B-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(3)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記ステップ(3)における配位反応の温度は90~110℃であり、配位反応の時間は5~7hである。
【0014】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供し、前記式I中のRはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は-COOHであり、前記調製方法は、
(a)式C-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して求核置換反応を行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(b)窒素雰囲気中で、前記ステップ(a)で得られた式C-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して求核置換反応を行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(c)前記ステップ(b)で得られた式C-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、式C-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)で得られた式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(d)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記ステップ(b)における第2の求核置換反応の温度は室温であり、第2の求核置換反応の時間は16~20hである。
【0016】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供し、前記式I中のRはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
1)式A-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して求核置換反応を行い、式D-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
2)窒素雰囲気中で、前記ステップ1)で得られた式D-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して求核置換反応を行い、式D-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
3)前記ステップ2)で得られた式D-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、第3の反応前駆体を得るステップと、
4)窒素雰囲気中で、前記ステップ3)で得られた第3の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン化合物及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
5)窒素雰囲気中で、前記ステップ4)で得られた式D-4に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式D-5に示す構造を有する化合物を得るステップと、
6)前記ステップ5)で得られた式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ6)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記ステップ3)における前記エステル加水分解反応の温度は室温であり、エステル加水分解反応の時間は4~8hである。
【0018】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供し、前記式I中のRはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’はH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1’)窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して求核置換反応を行い、式E-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2’)窒素雰囲気中で、前記ステップ(1’)で得られた式E-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して求核置換反応を行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3’)前記ステップ(2’)で得られた式E-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、その後、エステル加水分解反応の生成物に対して濃縮、希釈及びpH調整を順次行い、式E-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4’)前記ステップ(3’)で得られた式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(4’)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記ステップ(4’)における配位反応の温度は90~110℃であり、配位反応の時間は5~7hである。
【0020】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の医薬品組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、核磁気共鳴イメージングにおける上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体又は前記医薬品組成物の使用を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、環状のGd(III)配合物を提供し、式Iに示す化学構造を有し、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、すなわちDOTAの環構造を親環とし、前記式I中の親油基R’及びR’’はフェニル酢酸のα位及びベンゼン環構造に導入され、前記式I中のキラル基RはDOTA大環状位置に導入され、キラル基Rにより大環状構造の剛性を高め、前記配合物の安定性を向上させ、親油基R’及びR’’は肝細胞の有機アニオン輸送ポリペプチドと結合できるため、肝胆における造影剤としての前記環状のGd(III)錯体の分布が大幅に改善され、すなわち標的性が高い。実施例の結果から、本発明が提供する環状のGd(III)錯体の肝胆標的化能力は、核磁気共鳴イメージングの最適な緩和率範囲を有し、GdL9も高磁場核磁気共鳴イメージングに適した緩和率を有し、前記環状のGd(III)錯体は安定性が高く、プリモビスト及びGd-DOTAより大幅に高く、キラル基Rが導入された後、前記環状のGd(III)錯体の安定性は大幅に改善され、GdL9とGdL10は1年以内に金属イオンの遊離が検出されず、安定性に優れ、肝胆MRI造影剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1で調製した錯体GdL1を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL1を投与した後の対応する検出時間である。
【
図2】本発明の実施例3で調製した錯体GdL3を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min及び1hはそれぞれ、マウスにGdL3を投与した後の対応する検出時間である。
【
図3】本発明の実施例4で調製した錯体GdL4を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL4を投与した後の対応する検出時間である。
【
図4】本発明の実施例8で調製した錯体GdL8を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL8を投与した後の対応する検出時間である。
【
図5】本発明の実施例9で調製した錯体GdL9を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min及び1hはそれぞれ、マウスにGdL9を投与した後の対応する検出時間である。
【
図6】本発明の実施例10で調製した錯体GdL10を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスの肝胆を検出することによって得られた肝胆MRI画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min及び30minはそれぞれ、マウスにGdL10を投与した後の対応する検出時間である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、環状のGd(III)錯体を提供し、式Iに示す化学構造を有し、
前記式I中のRはH、C
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、好ましくは、H、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)OH、-CH
2Ph又は-(CH
2)
4Phであり、前記式I中のRの立体配置は、独立してS又はRであり、
前記式I中のR’’はベンゼン環のオルト位、メタ位又はパラ位にあり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立してH、C
1~C
10のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
10のアルコキシ基、-COOH、-R
1COOH、-COOR
1、-Ph、置換フェニル基、-R
1-Ph、-R
1NO
2、-OR
1-Ph、-CONHR
3、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、好ましくは、H、-COOH、CONHR
3、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2、-OBn、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、さらに好ましくは、H、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2、-OBn、
であり、
前記-R
1COOH、-COOR
1、-R
1-Ph、-R
1NO
2及び-OR
1-Ph中のR
1は、独立してC
1~C
5のアルキル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、C
1~C
5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
5のアルコキシ基、-COOH、-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2又は-SO-R
2であり、前記-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2及び-SO-R
2中のR
2は、独立してC
1~C
3のアルキル基であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であり、
前記式I中のR’は、より好ましくは、H、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3又は-Phであり、
前記式I中のM
+は、金属カチオン又はグルコサミンカチオン、好ましくは、Na
+、K
+、Li
+又はグルコサミンカチオンである。
【0025】
本発明では、前記式Iに示す化学構造の環状のGd(III)錯体は、好ましくは、
のうちのいずれかである。
【0026】
本発明が提供する環状のGd(III)錯体は、肝胆を標的とするMRI造影剤として使用でき、安定性と標的性が高いという利点もある。
【0027】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法を提供する。
【0028】
本発明では、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が
である場合、前記環状のGd(III)錯体の調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式A-1に示す構造を有する化合物、DO3A、炭酸カリウム及びアセトニトリルを混合し、求核置換反応を行い、式A-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた式A-2に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、第1の反応前駆体を得るステップと、
(3)窒素雰囲気中で、前記ステップ(2)で得られた第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた式A-3に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(5)前記ステップ(4)で得られた式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(5)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。
【0029】
本発明では、特に説明しない限り、使用する原料はいずれも本分野の通常の市販製品である。
【0030】
本発明では、窒素雰囲気中で、式A-1に示す構造を有する化合物、DO3A、炭酸カリウム及びアセトニトリルを混合し、求核置換反応を行い、式A-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0031】
本発明では、前記式A-1に示す構造を有する化合物、DO3A及び炭酸カリウムの物質の量の比率は、好ましくは1:1:(1.5~2.5)であり、より好ましくは1:1:(1.8~2.2)である。本発明では、式A-1に示す構造を有する化合物、DO3A及び炭酸カリウムの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、副生成物を減少させるのに有益である。
【0032】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、本分野の通常の技術的解決手段を用いればよい。
【0033】
本発明では、前記求核置換反応の温度は、好ましくは60~80℃であり、より好ましくは65~75℃である。前記求核置換反応の時間は、好ましくは12~18hであり、より好ましくは14~17hである。本発明では、求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式A-2に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0034】
本発明では、求核置換反応が完了した後、前記求核置換反応の生成物に対して濃縮及びカラムクロマトグラフィーを順次行い、式A-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0035】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比5:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0036】
本発明では、式A-2に示す構造を有する化合物を得た後、前記式A-2に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、第1の反応前駆体を得る。
【0037】
本発明では、前記式A-2に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率は、好ましくは(1~1.5):(3.5~4.5)であり、より好ましくは(1.1~1.4):(3.8~4.2)である。本発明では、式A-2に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、反応効率を向上させるのに有益である。
【0038】
本発明では、前記混合の方法は、式A-2に示す構造を有する化合物を体積比1:1のテトラヒドロフランとメタノールと混合して混合液を得て、前記混合液を水酸化リチウムの水溶液と混合することが好ましい。
【0039】
本発明では、前記加水分解反応の温度は、好ましくは室温である。前記加水分解反応の時間は、好ましくは10~15hであり、より好ましくは11~13hである。本発明では、加水分解反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、加水分解反応の生成物の収率及び純度を向上させるのに有益である。
【0040】
本発明では、加水分解反応が完了した後、前記加水分解反応の生成物を順次濃縮し、水を加えて希釈し、pH値を調整し、溶媒を除去して、第1の反応前駆体を得ることが好ましい。
【0041】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記水を加えて希釈する方法は特に制限されず、前記濃縮した生成物を溶解するという目的を達成すればよい。本発明では、前記pH値を調整することは、1N塩酸でpHを7に調整することが好ましい。本発明では、前記溶媒除去の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。
【0042】
本発明では、第1の反応前駆体を得た後、窒素雰囲気中で、前記第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得る。
【0043】
本発明では、前記アミンは、好ましくは、p-エトキシベンジルアミン又は3,3-ジフェニルプロピルアミンである。本発明では、前記式A-2に示す構造を有する化合物、HATU、アミン及びDIPEAの物質の量の比率は、好ましくは(1~1.5):(2~3):(2~3):(2~3)であり、より好ましくは(1.1~1.4):(2.2~2.8):(2.2~2.8):(2.2~2.8)である。本発明では、式A-2に示す構造を有する化合物、HATU、アミン及びDIPEAの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式A-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0044】
本発明では、前記混合の方法は、第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタンと混合して、混合液を得て、前記混合液をアミン及びDIPEAと混合することが好ましい。
【0045】
本発明では、前記縮合反応の温度は、好ましくは室温である。前記縮合反応の時間は、好ましくは3~6hであり、より好ましくは3.5~5hである。本発明では、縮合反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、副反応を減少させるのに有益である。
【0046】
本発明では、縮合反応が完了した後、前記縮合反応の生成物に対してジクロロメタンの添加、水による洗浄、乾燥、濃縮及びカラムクロマトグラフィーを順次行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得る。
【0047】
本発明では、前記ジクロロメタンを添加する方法は特に制限されず、十分に溶解するという目的を達成すればよい。本発明では、前記水による洗浄の方法は特に制限されず、水溶性不純物を除去するという目的を達成すればよい。本発明では、前記乾燥の方法は特に制限されず、水除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、有機溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーの方法は特に制限されず、分離精製して式A-3に示す構造を有する化合物を得るという目的を達成すればよい。
【0048】
本発明では、式A-3に示す構造を有する化合物を得た後、前記式A-3に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得る。
【0049】
本発明では、前記式A-3に示す構造を有する化合物の物質の量とトリフルオロ酢酸の体積との比率は、好ましくは(0.9~1.5):(3.3~5)であり、より好ましくは(1~1.3):(3.5~4.5)である。本発明では、式A-3に示す構造を有する化合物の物質の量とトリフルオロ酢酸の体積との比率を上記範囲内に制御することは、式A-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0050】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。
【0051】
本発明では、前記脱tert-ブチルエステル反応の温度は室温であり、前記脱tert-ブチルエステル反応の時間は10~15hであり、より好ましくは11~13hである。本発明では、脱tert-ブチルエステル反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式A-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0052】
本発明では、脱tert-ブチルエステル反応が完了した後、前記脱tert-ブチルエステル反応の生成物に対してトリフルオロ酢酸の蒸発乾固及び分離を順次行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得る。
【0053】
本発明では、前記トリフルオロ酢酸を蒸発乾固させる方法は特に制限されず、トリフルオロ酢酸を除去するという目的を達成すればよい。本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製して、式A-4に示す構造を有する化合物を得るという目的を達成すればよい。
【0054】
本発明では、式A-4に示す構造を有する化合物を得た後、前記式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得る。
【0055】
本発明では、前記式A-4に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。本発明では、式A-4に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、環型のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0056】
本発明では、前記M+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。本発明では、前記金属水酸化物は、好ましくはNaOH、KOH又はLiOHである。本発明では、前記M+を含む溶液の濃度は、好ましくは1Nである。本発明では、前記混合の方法は、式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水と混合して、混合溶液を得て、M+を含む溶液で前記混合溶液のpH値を7に調整することが好ましい。
【0057】
本発明では、前記配位反応の温度は、好ましくは90~110℃であり、より好ましくは95~105℃である。前記配位反応の時間は、好ましくは5~7hであり、より好ましくは5.5~6.5hである。本発明では、配位反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、環状のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0058】
本発明では、配位反応が完了した後、前記配位反応の生成物を分離して、環状のGd(III)錯体を得ることが好ましい。
【0059】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0060】
本発明では、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’がH、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnである場合、前記環状のGd(III)錯体の調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、DO3A、炭酸カリウムを混合して求核置換反応を行い、第2の反応前駆体を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた第2の反応前駆体を塩酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式B-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(3)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。
【0061】
本発明では、窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、DO3A、炭酸カリウムを混合して求核置換反応を行い、第2の反応前駆体を得る。
【0062】
本発明では、前記式B-1に示す構造を有する化合物、DO3A及び炭酸カリウムの物質の量の比率は、好ましくは1:1:(1.5~2.5)であり、より好ましくは1:1:(1.8~2.2)である。本発明では、式B-1に示す構造を有する化合物、DO3A及び炭酸カリウムの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、求核置換反応の生成物の収率を向上させるのに有益である。
【0063】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、本分野の通常の技術的解決手段を用いればよい。
【0064】
本発明では、前記求核置換反応の温度は、好ましくは60~80℃であり、より好ましくは65~75℃である。前記求核置換反応の時間は、好ましくは15~19hであり、より好ましくは16~18hである。本発明では、求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、求核置換反応の生成物の収率を向上させるのに有益である。
【0065】
本発明では、求核置換反応が完了した後、前記求核置換反応の生成物を順次濾過し、濃縮する。
【0066】
本発明では、前記濾過の方法は特に制限されず、固液分離を達成すればよい。本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。
【0067】
本発明では、第2の反応前駆体を得た後、前記第2の反応前駆体を塩酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式B-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0068】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。本発明では、前記塩酸の濃度は、好ましくは6Nである。本発明では、前記式B-1に示す構造を有する化合物の物質の量と塩酸の体積との比率は、好ましくは1mmol:(5~7)mLである。
【0069】
本発明では、前記脱tert-ブチルエステル反応の温度は、好ましくは100~120℃であり、より好ましくは105~110℃である。前記置換反応の時間は、好ましくは15~19hであり、より好ましくは16~18hである。本発明では、脱tert-ブチルエステル反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式B-2に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0070】
本発明では、脱tert-ブチルエステル反応が完了した後、前記脱tert-ブチルエステル反応の生成物を分離して、式B-2に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0071】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0072】
本発明では、式B-2に示す構造を有する化合物を得た後、前記式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得る。
【0073】
本発明では、前記式B-2に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。本発明では、前記M+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。本発明では、前記金属水酸化物は、好ましくはNaOH、KOH又はLiOHである。本発明では、前記M+を含む溶液の濃度は、好ましくは1Nである。本発明では、前記混合の方法は、式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水と混合して、混合溶液を得て、M+を含む溶液で前記混合溶液のpH値を7に調整することが好ましい。
【0074】
本発明では、前記配位反応の温度は90~110℃であり、より好ましくは95~105℃である。前記配位反応の時間は5~7hであり、より好ましくは5.5~6.5hである。本発明では、配位反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、環状のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0075】
本発明では、配位反応が完了した後、前記配位反応の生成物を分離して、環状のGd(III)錯体を得ることが好ましい。
【0076】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0077】
本発明では、前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’がH、R’’が-COOHである場合、前記環状のGd(III)錯体の化合物の調製方法は、
(a)式C-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(b)窒素雰囲気中で、前記ステップ(a)で得られた式C-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(c)前記ステップ(b)で得られた式C-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、式C-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)で得られた式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(d)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。
【0078】
本発明では、式C-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0079】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。
【0080】
本発明では、前記式C-1に示す構造を有する化合物と式キラルcyclenに示す構造を有する化合物との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。
【0081】
本発明では、前記第1の求核置換反応の温度は、好ましくは室温である。前記置換反応の時間は、好ましくは16~20hであり、より好ましくは17~19hである。本発明では、第1の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式C-2に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0082】
本発明では、第1の求核置換反応が完了した後、前記第1の求核置換反応の生成物に対して第1の溶媒除去、溶解、第1の抽出、pH値の調整、第2の抽出及び第2の溶媒除去を順次行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0083】
本発明では、前記第1の溶媒除去の方法は特に制限されず、有機溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記溶解に用いる試薬は、好ましくは酢酸エチルである。本発明では、前記第1の抽出に用いる試薬は、好ましくは1Nの塩酸である。前記第1の抽出の回数は、好ましくは3回である。本発明では、前記pH値を調整する方法は、炭酸カリウム溶媒でpH値を10に調整することが好ましい。本発明では、前記第2の抽出に用いる試薬は、好ましくはジクロロメタンである。前記第1の抽出の回数は、好ましくは3回である。本発明では、前記第2の溶媒除去の方法は特に制限されず、有機溶媒除去の目的を達成すればよい。
【0084】
本発明では、式C-2に示す構造を有する化合物を得た後、窒素雰囲気中で、前記式C-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得る。
【0085】
本発明では、前記混合は、式C-2に示す構造を有する化合物をアセトニトリルと混合して混合液を得て、前記混合液に炭酸カリウム及びブロモ酢酸tert-ブチルを順次に加えることが好ましい。
【0086】
本発明では、前記式C-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルの物質の量の比率は、好ましくは1:(4.9~5.3)であり、より好ましくは1:(5~5.2)である。本発明では、式C-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式C-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0087】
本発明では、前記第2の求核置換反応の温度は室温である。前記置換反応の時間は16~20hであり、より好ましくは17~19hである。本発明では、第2の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式C-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0088】
本発明では、第2の求核置換反応が完了した後、前記第2の求核置換反応の生成物に対して濾過、濃縮及びカラムクロマトグラフィーを行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0089】
本発明では、前記濾過の方法は特に制限されず、固液分離の目的を達成すればよい。本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比10:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0090】
本発明では、式C-3に示す構造を有する化合物を得た後、前記式C-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、式C-4に示す構造を有する化合物を得る。
【0091】
本発明では、式C-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率は、好ましくは(1~1.5):(3.5~4.5)であり、より好ましくは(1.1~1.4):(3.8~4.2)である。本発明では、式C-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式C-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0092】
本発明では、前記混合の方法は、式C-3に示す構造を有する化合物を体積比1:1のテトラヒドロフランとメタノールと混合して、混合液を得て、前記混合液を水酸化リチウムの水溶液と混合することが好ましい。
【0093】
本発明では、前記加水分解反応の温度は、好ましくは室温である。前記加水分解反応の時間は、好ましくは4~8hであり、より好ましくは5~7hである。本発明では、加水分解反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式C-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0094】
本発明では、加水分解反応が完了した後、前記加水分解反応の生成物を順次濃縮し、水を加えて希釈し、pH値を調整し、分離して、式C-4に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0095】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記水を加えて希釈する方法は特に制限されず、前記濃縮した生成物を溶解するという目的を達成すればよい。本発明では、前記pH値を調整することは、1N塩酸でpHを7に調整することが好ましい。本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製して式C-4に示す構造を有する化合物を得るという目的を達成すればよい。
【0096】
本発明では、式C-4に示す構造を有する化合物を得た後、前記式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得る。
【0097】
本発明では、前記式C-4に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。本発明では、前記M+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。本発明では、前記金属水酸化物は、好ましくはNaOH、KOH又はLiOHである。本発明では、前記M+を含む溶液の濃度は、好ましくは1Nである。本発明では、前記混合の方法は、式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水と混合して、混合溶液を得て、M+を含む溶液で前記混合溶液のpH値を7に調整することが好ましい。
【0098】
本発明では、前記配位反応の温度は、好ましくは90~110℃であり、より好ましくは95~105℃である。前記配位反応の時間は、好ましくは5~7hであり、より好ましくは5.5~6.5hである。本発明では、配位反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、環状のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0099】
本発明では、配位反応が完了した後、前記配位反応の生成物を分離し、環状のGd(III)錯体を得ることが好ましい。
【0100】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0101】
本発明では、前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’がH、R’’が
である場合、前記環状のGd(III)錯体の調製方法は、
1)式A-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式D-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
2)窒素雰囲気中で、前記ステップ1)で得られた式D-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式D-3に示する構造を有する化合物を得るステップと、
3)前記ステップ2)で得られた式D-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、第3の反応前駆体を得るステップと、
4)窒素雰囲気中で、前記ステップ3)で得られた第3の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン化合物及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
5)窒素雰囲気中で、前記ステップ4)で得られた式D-4に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式D-5に示す構造を有する化合物を得るステップと、
6)前記ステップ(5)で得られた式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ6)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。
【0102】
本発明では、式A-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式D-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0103】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。
【0104】
本発明では、前記式A-1に示す構造を有する化合物と式キラルcyclenに示す構造を有する化合物との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。
【0105】
本発明では、前記第1の求核置換反応の温度は、好ましくは70~90℃であり、より好ましくは75~85℃である。前記置換反応の時間は、好ましくは6~8dであり、より好ましくは6.5~7.5dである。本発明では、第1の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式D-2に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0106】
本発明では、第1の求核置換反応が完了した後、前記第1の求核置換反応の生成物に対して濃縮及びカラムクロマトグラフィーを順次行うことが好ましい。
【0107】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比5:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0108】
本発明では、式D-2に示す構造を有する混合物を得た後、窒素雰囲気中で、前記式D-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式D-3に示す構造を有する化合物を得る。
【0109】
本発明では、前記式D-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルの物質の量の比率は、好ましくは1:(4.9~5.3)であり、より好ましくは1:(5~5.2)である。本発明では、式D-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式D-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0110】
本発明では、前記第2の求核置換反応の温度は、好ましくは室温である。前記置換反応の時間は、好ましくは16~20hであり、より好ましくは17~19hである。本発明では、第2の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式D-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0111】
本発明では、第2の求核置換反応が完了した後、前記第2の求核置換反応の生成物に対して濾過、濃縮及びカラムクロマトグラフィーを行い、式D-3に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0112】
本発明では、前記濾過の方法は特に制限されず、固液分離の目的を達成すればよい。本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比20:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0113】
本発明では、式D-3に示す構造を有する化合物を得た後、前記式D-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、第3の反応前駆体を得る。
【0114】
本発明では、式D-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率は、好ましくは(1.5~2):(4.9~5.5)であり、より好ましくは(1.6~1.8):(5~5.2)である。本発明では、式D-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、エステル加水分解反応の生成物の収率を向上させるのに有益である。
【0115】
本発明では、前記混合の方法は、式D-3に示す構造を有する化合物を体積比1:1のテトラヒドロフランとメタノールと混合して、混合液を得て、前記混合液を水酸化リチウムの水溶液と混合することが好ましい。
【0116】
本発明では、前記エステル加水分解反応の温度は室温である。前記エステル加水分解反応の時間は4~8hであり、より好ましくは5~7hである。本発明では、エステル加水分解反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、エステル加水分解反応の生成物の収率を向上させるのに有益である。
【0117】
本発明では、エステル加水分解反応が完了した後、前記エステル加水分解反応の生成物を順次濃縮し、水を加えて希釈し、pH値を調整し、溶媒を除去して、第3の反応前駆体を得ることが好ましい。
【0118】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記水を加えて希釈する方法は特に制限されず、前記濃縮した生成物を溶解するという目的を達成すればよい。本発明では、前記pH値を調整することは、1N塩酸でpHを7に調整することが好ましい。本発明では、前記溶媒除去の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。
【0119】
本発明では、第3の反応前駆体を得た後、窒素雰囲気中で、前記第3の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン化合物及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得る。
【0120】
本発明では、前記アミン化合物は、好ましくはp-エトキシベンジルアミン又は3,3-ジフェニルプロピルアミンである。本発明では、前記式D-3に示す構造を有する化合物、HATU、アミン化合物及びDIPEAの物質の量の比率は、好ましくは(1.5~2):(3.2~3.6):(3.2~3.6):(3.2~3.6)であり、より好ましくは(1.6~1.8):(3.3~3.5):(3.3~3.5):(3.3~3.5)である。本発明では、式D-3に示す構造を有する化合物、HATU、アミン化合物及びDIPEAの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式D-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0121】
本発明では、前記混合の方法は、第3の反応前駆体をジクロロメタンと混合して、混合液を得て、前記混合液をHATU、アミン化合物及びDIPEAと混合することが好ましい。
【0122】
本発明では、前記縮合反応の温度は、好ましくは室温である。前記縮合反応の時間は、好ましくは3~6hであり、より好ましくは3.5~5hである。本発明では、縮合反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式D-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0123】
本発明では、縮合反応が完了した後、前記縮合反応の生成物に対して溶媒除去及びカラムクロマトグラフィーを順次行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0124】
本発明では、前記溶媒除去の方法は特に制限されず、有機溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比10:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0125】
本発明では、式D-4に示す構造を有する化合物を得た後、窒素雰囲気中で、前記式D-4に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式D-5に示す構造を有する化合物を得る。
【0126】
本発明では、前記式D-4に示す構造を有する化合物の物質の量とトリフルオロ酢酸の体積との比率は、好ましくは(0.8~1.2):(3.3~5)であり、より好ましくは(0.9~1.1):(3.5~4.5)である。本発明では、式D-4に示す構造を有する化合物の物質の量とトリフルオロ酢酸の体積との比率を上記範囲内に制御することは、式D-5に示す構造を有する化合物の収率を向上させるに有益である。
【0127】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。
【0128】
本発明では、前記脱tert-ブチルエステル反応の温度は、好ましくは室温である。脱tert-ブチルエステル反応の時間は、好ましくは10~15hであり、より好ましくは11~13hである。本発明では、脱tert-ブチルエステル反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式D-5に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0129】
本発明では、脱tert-ブチルエステル反応が完了した後、前記脱tert-ブチルエステル反応の生成物を順次濃縮及び分離して、式D-5に示す構造を有する化合物を得る。
【0130】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0131】
本発明では、式D-5に示す構造を有する化合物を得た後、前記式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得る。
【0132】
本発明では、前記式D-5に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。本発明では、前記M+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。本発明では、前記金属水酸化物は、好ましくはNaOH、KOH又はLiOHである。本発明では、前記M+を含む溶液の濃度は、好ましくは1Nである。本発明では、前記混合の方法は、式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水と混合して、混合溶液を得て、M+を含む溶液で前記混合溶液のpH値を7に調整することが好ましい。
【0133】
本発明では、前記配位反応の温度は、好ましくは90~110℃であり、より好ましくは95~105℃である。前記配位反応の時間は、好ましくは5~7hであり、より好ましくは5.5~6.5hである。本発明では、配位反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、環状のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0134】
本発明では、配位反応が完了した後、前記配位反応の生成物を分離して、環状のGd(III)錯体を得ることが好ましい。
【0135】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0136】
本発明では、前記式Iにおいて、Rは、C
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’がH、R’’がH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnである場合、前記環状のGd(III)錯体の調製方法は、
(1’)窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式E-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2’)窒素雰囲気中で、前記ステップ(1’)で得られた式E-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3’)前記ステップ(2’)で得られた式E-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、その後、前記エステル加水分解反応の生成物に対して濃縮、希釈及びpH調整を順次行い、式E-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4’)前記ステップ(3’)で得られた式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(4’)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。
【0137】
本発明では、窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式E-2に示す構造を有する化合物を得る。
【0138】
本発明では、前記混合の方法は特に制限されず、各成分を均一に混合するという目的を達成すればよい。
【0139】
本発明では、前記式E-1に示す構造を有する化合物と式キラルcyclenに示す構造を有する化合物との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。
【0140】
本発明では、前記第1の求核置換反応の温度は、好ましくは室温である。前記置換反応の時間は、好ましくは15~22hであり、より好ましくは17~20hである。本発明では、第1の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式E-2に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0141】
本発明では、第1の求核置換反応が完了した後、前記第1の求核置換反応の生成物に対して濃縮及びカラムクロマトグラフィーを順次行うことが好ましい。
【0142】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比5:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0143】
本発明では、式E-2に示す構造を有する化合物を得た後、窒素雰囲気中で、式E-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得る。
【0144】
本発明では、前記式E-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルの物質の量の比率は、好ましくは1:(4.9~5.3)であり、より好ましくは1:(5~5.2)である。本発明では、式E-2に示す構造を有する化合物、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式E-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0145】
本発明では、前記第2の求核置換反応の温度は、好ましくは室温である。前記置換反応の時間は、好ましくは16~20hであり、より好ましくは17~19hである。本発明では、第2の求核置換反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式E-3に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0146】
本発明では、第2の求核置換反応が完了した後、前記第2の求核置換反応の生成物に対して濾過、濃縮及びカラムクロマトグラフィーを行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0147】
本発明では、前記濾過の方法は特に制限されず、固液分離の目的を達成すればよい。本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記カラムクロマトグラフィーに用いる溶離剤は、体積比10:1の酢酸エチルとメタノールからなる混合溶液が好ましい。
【0148】
本発明では、式E-3に示す構造を有する化合物を得た後、前記式E-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、その後、エステル加水分解反応の生成物に対して濃縮、希釈及びpH調整を順次行い、式E-4に示す構造を有する化合物を得る。
【0149】
本発明では、式E-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率は、好ましくは(1~1.5):(3.5~4.4)であり、より好ましくは(1.1~1.4):(3.6~4.1)である。本発明では、式E-3に示す構造を有する化合物と水酸化リチウムの水溶液中の水酸化リチウムとの物質の量の比率を上記範囲内に制御することは、式E-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0150】
本発明では、前記混合の方法は、式E-3に示す構造を有する化合物を体積比1:1のテトラヒドロフランとメタノールと混合して、混合液を得て、前記混合液を水酸化リチウムの水溶液と混合することが好ましい。
【0151】
本発明では、前記エステル加水分解反応の温度は、好ましくは室温である。エステル加水分解反応の時間は、好ましくは4~8hであり、より好ましくは5~7hである。本発明では、エステル加水分解反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、式E-4に示す構造を有する化合物の収率を向上させるのに有益である。
【0152】
本発明では、前記濃縮の方法は特に制限されず、溶媒除去の目的を達成すればよい。本発明では、前記水を加えて希釈する方法は特に制限されず、前記濃縮した生成物を溶解するという目的を達成すればよい。本発明では、前記pH値を調整することは、1N塩酸でpHを7に調整することが好ましい。
【0153】
本発明では、pH値の調整が完了した後、前記pH値の調整で得られた生成物を分離して、式E-4に示す構造を有する化合物を得ることが好ましい。
【0154】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0155】
本発明では、式E-4に示す構造を有する化合物を得た後、前記式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得る。
【0156】
本発明では、前記式E-4に示す構造を有する化合物とガドリニウム源との物質の量の比率は、好ましくは1:1である。本発明では、前記M+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液である。本発明では、前記金属水酸化物は、好ましくはNaOH、KOH又はLiOHである。本発明では、前記M+を含む溶液の濃度は、好ましくは1Nである。本発明では、前記混合の方法は、式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水と混合して、混合溶液を得て、M+を含む溶液で前記混合溶液のpH値を7に調整することが好ましい。
【0157】
本発明では、前記配位反応の温度は90~110℃であり、より好ましくは95~105℃である。前記配位反応の時間は5~7hであり、より好ましくは5.5~6.5hである。本発明では、配位反応の温度及び時間を上記範囲内に制御することは、環状のGd(III)錯体の収率を向上させるのに有益である。
【0158】
本発明では、配位反応が完了した後、前記配位反応の生成物を分離して、環状のGd(III)錯体を得ることが好ましい。
【0159】
本発明では、前記分離の設備は、好ましくは逆相液体クロマトグラフィーである。本発明では、前記分離の方法は特に制限されず、分離精製の目的を達成すればよい。
【0160】
本発明では、前記逆相液体クロマトグラフィーにより、Gd(III)錯体、配位子及び無機塩の効果的な分離を達成し、それによって、核磁気共鳴イメージングのための高純度のGd(III)錯体を得ることができる。
【0161】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体を含む医薬品組成物を提供する。
【0162】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載の環状のGd(III)錯体又は核磁気共鳴イメージングにおける前記医薬品組成物の使用を提供する。本発明では、前記環状のGd(III)錯体又は前記医薬品組成物は、肝胆を標的とする核磁気共鳴イメージング造影剤とすることが好ましい。
【0163】
以下では、本発明の実施例を参照しながら、本発明の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0164】
実施例1
【0165】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が
である化合物は、錯体GdL1と表記する。
【0166】
調製方法:
(1)式A-1に示す構造を有する化合物(1.0g、3mmol)、DO3A(1.6g、3mmol)、炭酸カリウム(0.6g、6mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解し、窒素の保護下で、70℃に加熱し、撹拌して求核置換反応を16h行い、求核置換反応の生成物を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=5:1)、式A-2に示す構造を有する化合物を得て、収率は76%であった。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):8.00(d,2H,J=8.40Hz),7.54(d,2H,J=8.40Hz),4.52(s,1H),3.92(s,3H),3.33(s,2H),3.18(s,3H),2.80(m,15H),1.48(s,20H),1.43(s,16H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ(ppm)171.26,171.09,170.86,166.93,143.16,129.46,129.38,129.10,81.65,80.81,77.41,77.09,76.77,69.45,56.24,56.10,52.37,52.08,52.05,49.32,31.27,29.73,28.28,28.22,28.19,28.09。
(2)前記ステップ(1)で得られた式A-2に示す構造を有する化合物(1.0g、1.3mmol)をテトラヒドロフラン/メタノール(10mL、1:1)に溶解して、混合液を得て、水酸化リチウム(0.1g、4.0mmol)を1mLの水に溶解して得られた水酸化リチウム水溶液に混合液を加え、室温で撹拌してエステル加水分解反応を12h行い、エステル加水分解反応の生成物を濃縮した後、5mLの水を加えて希釈し、1N塩酸溶液でpHを7に調整し、続いて、溶媒を蒸発乾固させて、第1の反応前駆体を得た。
(3)前記ステップ(2)で得られた第1の反応前駆体にHATU(1.0g、2.6mmol)及び30mLのジクロロメタンを加えた。完全に溶解した後、p-エトキシベンジルアミン(0.4g、2.6mmol)及びDIPEA(0.3g、2.6mmol)を加え、窒素の保護の下で、撹拌して続けて縮合反応を4h行い、縮合反応の生成物に70mLのジクロロメタンを加えた後、水で3回洗浄し、有機相を乾燥させ、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで式A-3に示す構造を有する化合物を精製し、収率は80%であった。
(4)前記ステップ(3)で得られた式A-3に示す構造を有する化合物(1.0g、1.1mmol)に4mLのトリフルオロ酢酸を加え、室温で撹拌して脱tert-ブチルエステル反応を12h行い、脱tert-ブチルエステル反応の生成物のトリフルオロ酢酸を蒸発乾固させ、逆相液体クロマトグラフィーで分離精製して、式A-4に示す構造を有する化合物を得た。
(5)前記ステップ(4)で得られた式A-4に示す構造を有する化合物(0.2g、0.3mmol)及びGdCl
3・6H
2O(111mg、0.3mmol)を10mLの水に溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを7に調整し、100℃に加熱して配位反応を6h行い、配位反応の生成物を逆相分取液体クロマトグラフィーで分離して錯体GdL1を得た。
【0167】
実施例2
【0168】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が
である化合物は、錯体GdL2と表記する。
【0169】
【0170】
実施例1の方法に従って錯体GdL2を調製した。HPLC-MS(ESI-)calculated for C38H43GdN5O9,[M]=871.23,found 871.25。
【0171】
実施例1との違いは、前記ステップ(2)において、p-エトキシベンジルアミンを3,3-ジフェニルプロピルアミンに置換することである。
【0172】
実施例3
【0173】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が-NO2である化合物は、錯体GdL3と表記する。
【0174】
調製方法:
(1)窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物(1.5g、5mmol)を30mLのアセトニトリルに溶解し、DO3A(2.6g、5mmol)、炭酸カリウム(1.4g、10mmol)を加え、70℃に加熱して、撹拌し続けて求核置換反応を17h行い、求核置換反応の生成物を濃縮した後、濾過し、蒸発乾固させ、濃縮して、第2の反応前駆体を得た。
(2)前記ステップ(1)で得られた第2の反応前駆体及び30mLの塩酸溶液(6N)を100℃に加熱して還流し、撹拌し続けて脱tert-ブチルエステル反応を17h行い、脱tert-ブチルエステル反応の生成物を逆相半分取液相で分離精製して、式B-2に示す構造を有する化合物を得た。
1H NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):8.07(d,2H,J=8.52Hz),7.61(d,2H,J=8.52Hz),5.24(s,1H),4.10-2.30(m,25H).
13C NMR(100MHz,D2O)δ 178.85,176.45,175.50,170.44,170.16,168.41,147.19,144.20,131.10,129.85,124.52,123.54,65.54,60.63,57.00,56.07,55.16,54.71,54.05,51.89,51.68,50.79,49.94,49.36,48.31,46.55,45.83,43.58,42.51。
(3)前記ステップ(2)で得られた式B-2に示す構造を有する化合物(0.2g、0.4mmol)及びGdCl
3・6H
2O(148mg、0.4mmol)を10mLの水に溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを7に調整し、100℃に加熱して配位反応を6h行い、配位反応の生成物を逆相分取液体クロマトグラフィーで分離して、錯体GdL3を得た。HPLC-MS(ESI
-)calculated for C
22H
27GdN
5O
10[M]
-679.10,found 679.12。
【0175】
実施例4
【0176】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が-Hである化合物は、錯体GdL4と表記する。
【0177】
【0178】
実施例3の方法に従って錯体GdL4を調製した。HPLC-MS(ESI-)calculated for C22H28GdN4O8,[M]-634.11,found 634.11。
【0179】
実施例3との違いは、前記ステップ(1)では、RがH、R’がH、R’’がHである式B-1に示す化学構造を有する化合物を原料として用いることである。
【0180】
実施例5
【0181】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が-OBnである化合物は、錯体GdL5と表記する。
【0182】
【0183】
実施例3の方法に従って錯体GdL5を調製した。HPLC-MS(ESI-)calculated for C29H34GdN4O9[M]-740.16,found 740.20。
【0184】
実施例3との違いは、前記ステップ(1)では、RがH、R’がH、R’’が-OBnである式B-1に示す化学構造を有する化合物を原料として用いることである。
【0185】
実施例6
【0186】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’がH、R’’が-Phである化合物は、錯体GdL6と表記する。
【0187】
【0188】
実施例3の方法に従って錯体GdL6を調製した。HPLC-MS(ESI-)calculated for C28H32GdN4O8,[M]-710.15,found 710.20。
【0189】
実施例3との違いは、前記ステップ(1)では、RがH、R’がH、R’’が-Phである式B-1に示す化学構造を有する化合物を原料として用いることである。
【0190】
実施例7
【0191】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、RがH、R’が-Ph、R’’がHである化合物は、錯体GdL7と表記する。
【0192】
【0193】
実施例3の方法に従って錯体GdL7を調製した。HPLC-MS(ESI-)calculated for C28H32GdN4O8,[M]-710.15,found 710.17。
【0194】
実施例3との違いは、前記ステップ(1)では、RがH、R’がH、R’’が-Phである式B-1に示す化学構造を有する化合物を原料として用いることである。
【0195】
実施例8
【0196】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、Rが-CH2CH3、R’がH、R’’が-COOHである化合物は、錯体GdL8と表記する。
【0197】
調製方法:
(a)化合物C-1(1.0g、3.5mmol)及び式キラルcyclenに示す構造を有する化合物(1.0g、3.5mmol)を混合して20mLのアセトニトリルに溶解し、室温で撹拌して第1の求核置換反応を18h行い、第1の求核置換反応の生成物の溶媒を蒸発乾固させた後、50mLの酢酸エチルを加えて溶解し、塩酸溶液(1N、20mL×3)と分液した。水相は炭酸カリウムでpHを10に調整した後、ジクロロメタン(30mL×3)と分液し、有機相を合わせ、蒸発乾固させて、式C-2に示す構造を有する化合物を得た。
(b)窒素雰囲気中で、前記ステップ(a)で得られた式C-2に示す構造を有する化合物を(1.0g、2mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(1.4g、10.2mmol)、ブロモ酢酸tert-ブチル(1.7g、10.2mmol)を順次加え、撹拌して第2の求核置換反応を18h行い、第2の求核置換反応の生成物を順次濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=10:1)、式C-3に示す構造を有する化合物を得た。
(c)前記ステップ(b)で得られた式C-3に示す構造を有する化合物(1.0g、1.3mmol)をテトラヒドロフラン/メタノール(10mL、1:1)に溶解し、水酸化リチウム(0.1g、4mmol)を1mLの脱イオン水に溶解して調製した水酸化リチウムの水溶液を加え、室温で撹拌し続け、加水分解反応を6h行い、加水分解反応の生成物を濃縮した後、10mLの水を加え、1N塩酸溶液でpHを中性に調整し、逆相液体クロマトグラフィーでさらに精製して、式C-4に示す構造を有する化合物を得た。
1H NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):7.82(d,2H,J=8.48Hz),7.30(d,2H,J=8.48Hz),4.78(s,1H),4.20-3.62(m,7H),3.41(s,2H),3.32-3.10(m,6H),2.89(m,6H),2.58(d,1H,J=11.84Hz),2.20-1.82(m,4H),1.37(m,3H),1.10-0.65(m,12H),0.47(t,3H,J=7.08Hz),0.24(s,1H)。
(d)前記ステップ(c)で得られた式C-4に示す構造を有する化合物(0.2g、0.3mmol)及びGdCl
3・6H
2O(111mg、0.3mmol)を10mLの水に溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを7に調整し、100℃に加熱して配位反応を6h行い、配位反応の生成物を逆相分取液体クロマトグラフィーで分離して、錯体GdL9を得た。HPLC-MS(ESI
-)calculated for C
31H
44GdN
4O
10[M]
-790.23,found 790.30。
【0198】
実施例9
【0199】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、Rが-CH
2CH
3、R’がH、R’’が
である化合物は、錯体GdL9と表記する。
【0200】
調製方法:
1)式A-1に示す構造を有する化合物(1.0g、3mmol)及び式キラルcyclenに示す構造を有する化合物(0.9g、3mmol)を30mLのアセトニトリルに溶解し、反応液を窒素雰囲気下で80℃に加熱し、撹拌し続けて第1の求核置換反応を7日間行い、第1の求核置換反応の生成物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=5:1)、式D-2に示す構造を有する化合物を得た。
2)窒素雰囲気中で、前記ステップ1)で得られた式D-2に示す構造を有する化合物(1.6g、3mmol)、炭酸カリウム(2.1g、15mmol)及びブロモ酢酸tert-ブチル(2.9g、15mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解し、撹拌して第2の求核置換反応を18h行い、第2の求核置換反応の生成物を濾過し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=20:1)、式D-3に示す構造を有する化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.95(d,2H,J=7.92Hz),7.46(d,2H,J=7.92Hz),4.51(s,1H),3.21-2.69(m,14H),2.37(m,1H),2.20(m,2H),1.80(m,1H),1.72-1.10(m,51H),1.01-0.75(m,14H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ(ppm)172.62,171.90,171.75,166.70,143.16,129.99,129.31,129.21,80.85,80.25,80.08,79.79,77.51,77.19,76.87,63.29,60.24,57.50,56.92,56.58,56.10,54.03,53.40,52.68,52.41,51.89,51.75,51.49,50.89,47.08,31.85,29.62,29.59,29.28,28.03,27.95,27.83,27.14,23.65,23.11,23.00,22.73,22.62,20.92,14.14,14.07,12.26,11.92,11.70,11.63。
3)前記ステップ2)で得られた式D-3に示す構造を有する化合物(1.0g、1.7mmol)をテトラヒドロフラン/メタノール(10mL、1:1)に溶解し、水酸化リチウム(122mg、5.1mmol)を1mLの水に溶解した後、上記溶液に加え、室温で撹拌してエステル加水分解反応を6h行い、エステル加水分解反応の生成物を濃縮した後、10mLの水を加え、1N塩酸溶液でpHを中性に調整し、溶媒を蒸発乾固させて、第3の反応前駆体を得た。
4)窒素雰囲気中で、前記ステップ3)で得られた第3の反応前駆体を20mLのジクロロメタンと混合した後、HATU(1.3g、3.4mmol)、p-エトキシベンジルアミン(0.5g、3.4mmol)及びDIPEA(0.4g、3.4mmol)を順次加え、室温で撹拌して縮合反応を4h行い、縮合反応の生成物を蒸発乾固させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=10:1)、式D-4に示す構造を有する化合物を得た。
5)窒素雰囲気中で、前記ステップ4)で得られた式D-4に示す構造を有する化合物(1.0g、1.0mmol)を4mLのトリフルオロ酢酸に溶解し、窒素の保護下で、室温で撹拌して脱tert-ブチルエステル反応を12h行い、脱tert-ブチルエステル反応の生成物を濃縮した後、逆相分取高速液体クロマトグラフィーで分離精製して、式D-5に示す構造を有する化合物を得た。
6)前記ステップ5)で得られた式D-5に示す構造を有する化合物(0.3g、0.4mmol)とGdCl
3・6H
2O(148mg,0.4mmol)を10mLの水に溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを中性に調整した後、100℃に加熱して配位反応を6h行い続け、配位反応の生成物を逆相分取高速液体クロマトグラフィーで分離して、錯体GdL9を得た。
【0201】
実施例10
【0202】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、Rが-CH2CH3、R’がH、R’’が-NO2である化合物は、錯体GdL10と表記する。
【0203】
調製方法:
(1’)窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物(1.0g、3.5mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解し、続いて、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物(1.0g、3.5mmol)を加えて、室温で撹拌して第1の求核置換反応を18h行い、第1の求核置換反応の生成物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=5:1)、式E-2に示す構造を有する化合物を得て、収率は81%であった。
(2’)窒素雰囲気中で、前記ステップ(1’)で得られた式E-2に示す構造を有する化合物(1.0g、2.0mmol)、炭酸カリウム(1.4g、10mmol)及びブロモ酢酸エチル(1.7g、10mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解し、室温で撹拌して第2の求核置換反応を18h行い、第2の求核置換反応の生成物を濾過し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル:メタノール=10:1)、E-3に示す構造を有する化合物を得て、収率は73%であった。
1H NMR(400MHz,D2O)δ(ppm):7.97(m,2H),7.31(m,2H),5.25(s,1H),4.35-2.31(m,16H),2.05-0.08(m,20H).
13C NMR(100MHz,D2O)δ(ppm):189.90,189.09,178.06,175.74,175.36,174.73,174.28,173.69,173.17,171.01,168.59,168.42,168.36,166.80,166.51,166.44,164.94,164.30,153.96,147.63,147.56,147.21,141.00,131.88,131.23,129.57,124.48,123.85,118.82,63.04,62.69,62.47,61.24,60.88,59.70,58.82,57.61,55.30,52.43,51.54,51.22,48.96,48.21,47.62,44.23,42.10,20.65,18.49,18.04,13.10,12.76,11.56,11.12,10.66,10.20,10.12,9.91,9.80,9.70.HPLC-MS(ESI
-)Calculated for C
30H
48N
5O
10[M+H]
+638.33,found 638.37。
(3’)前記ステップ(2’)で得られた式E-3に示す構造を有する化合物(1.0g、1.3mmol)をテトラヒドロフラン/メタノール(10mL、1:1)に溶解し、水酸化リチウム(0.1g、4mmol)を1mLの脱イオン水に溶解して調製した水酸化リチウムの水溶液を加え、室温で撹拌し続けてエステル加水分解反応を6h行い、エステル加水分解反応の生成物を濃縮した後、10mLの水を加え、1N塩酸溶液でpHを7に調整し、逆相分取高速液体クロマトグラフィーで精製して、式E-4に示す構造を有する化合物を得た。
(4’)前記ステップ(3’)で得られた式E-4構造を有する化合物及びGdCl
3・6H
2O(111mg、0.3mmol)を10mLの水に溶解した後、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを7に調整し、100℃に加熱して配位反応を6h行い、配位反応の生成物を逆相分取液体クロマトグラフィーで分離して、錯体GdL10を得た。HPLC-MS(ESI
-)Calculated for C
30H
43GdN
5O
10[M]
-719.23,found 719.21。
【0204】
実施例11
【0205】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、Rが-CH2CH3、R’がH、R’’が-C(CH3)3である化合物は、錯体GdL11と表記する。
【0206】
【0207】
実施例10の方法に従って錯体GdL11を調製した。HPLC-MS(ESI-)Calculated for C34H52GdN4O8[M]802.30,found 802.33。
【0208】
実施例10との違いは、前記ステップ(1’)では、R’’が-C(CH3)3であるE-1に示す化学構造を有する化合物を出発原料として用いることである。
【0209】
実施例12
【0210】
環状のGd(III)錯体は、式Iに示す化学構造を有し、前記式Iにおいて、Rが-CH2CH3、R’がH、R’’が-CF3である化合物は、錯体GdL12と表記する。
【0211】
【0212】
実施例10の方法に従って錯体GdL12を調製した。HPLC-MS(ESI-)Calculated for C31H43F3GdN4O8[M]-:814.23,found 814.25。
【0213】
実施例10との違いは、前記ステップ(1’)では、R’’が-CF3である式E-1に示す化学構造を有する化合物を出発原料として用いることである。
【0214】
検出1:1.5T、3T及び7T核磁気共鳴装置を利用して一部の錯体の緩和率パラメータを検出し、結果を表1に示す。
【0215】
【0216】
表1から分かるように、本発明が提供する環状のGd(III)錯体は、核磁気共鳴イメージングの最適な緩和率範囲を有し、GdL9は高磁場核磁気共鳴イメージングに適した緩和率も有する。
【0217】
検出2:肝胆を標的とするMRI造影剤としての性能検出
【0218】
図1は、実施例1で調製した錯体GdL1を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL1を投与した後の対応する検出時間であり、
図1から分かるように、錯体GdL1は肝胆標的化能力を有する。
図2は、実施例3で調製した錯体GdL3を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min及び1hはそれぞれ、マウスにGdL3を投与した後の対応する検出時間であり、
図2から分かるように、錯体GdL3は肝胆標的化能力が高く、肝胆イメージングに適する。
図3は、実施例4で調製した錯体GdL4を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL4を投与した後の対応する検出時間であり、
図3から分かるように、錯体GdL4は肝胆標的化能力が高く、肝胆イメージングに適する。
図4は、実施例8で調製した錯体GdL8を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min、1h及び2hはそれぞれ、マウスにGdL8を投与した後の対応する検出時間であり、
図4から分かるように、錯体GdL8は肝胆標的化能力を有する。
図5は、実施例9で調製した錯体GdL9を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min、30min及び1hはそれぞれ、マウスにGdL9を投与した後の対応する検出時間であり、
図5から分かるように、錯体GdL9は肝胆標的化能力を有する。
図6は、実施例10で調製した錯体GdL10を肝胆を標的とするMRI造影剤として使用して、マウスのMRIを検出することによって得られた肝胆MRイメージング画像であり、そのうち、0min、5min、10min、20min及び30minはそれぞれ、マウスにGdL10を投与した後の対応する検出時間であり、
図6から分かるように、錯体GdL10肝胆標的化能力が極めて高く、イメージング効果が極めて高い。
【0219】
検出3:部分錯体の安定性の検出
【0220】
高速液体クロマトグラフィーでpH=1の酸性溶液における化合物の安定性を検出し、それぞれGdL2、GdL9、GdL10をpH=1の酸性溶液に溶解して室温(298K、25℃)で置いた後、高速液体クロマトグラフィーで上記化合物の時間による減衰をテストして、半減時間(t1/2)を得た。プリモビスト、Gd-DOTAの半減時間は文献で報告されている。
【0221】
【0222】
表2から、本発明が提供する環状のGd(III)錯体は肝胆標的化能力が高く、高い安定性を有することが分かる。キラル基Rが導入された後、前記環状のGd(III)錯体の安定性は大幅に改善され、プリモビスト及びGd-DOTAより著しく高い。GdL9とGdL10は1年以内に金属イオンの遊離が検出されず、安定性に優れる。
【0223】
実施例から分かるように、本発明が提供する環状のGd(III)錯体は核磁気共鳴イメージングの最適な緩和率範囲を有し、GdL9は高磁場核磁気共鳴イメージングに適した緩和率も有し、前記環状のGd(III)錯体は高い安定性を有し、プリモビスト及びGd-DOTAより著しく高い。キラル基Rが導入された後、前記環状のGd(III)錯体の安定性は大幅に改善され、GdL9とGdL10は1年以内に金属イオンの遊離が検出されず、安定性に優れる。
【0224】
以上の実施例の説明は、本発明の方法及びその核心思想の理解を助けるためのものに過ぎない。当業者にとって、本発明の原理を逸脱することなく、本発明に対して若干の改良と修飾を行うことができ、これらの改良と修飾も本発明の特許請求の保護範囲内に含まれる。これらの実施例に対する複数種の修正は当業者にとって明らかであり、本明細書に定義された一般的な原理は本発明の精神又は範囲を逸脱せずに他の実施例において達成できる。したがって、本発明は本明細書に示したこれらの実施例に制限されず、本明細書に開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を含む。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のGd(III)錯体であって、式Iに示す化学構造を有し、
前記式I中のRは、H、C
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、前記式I中のRの立体配置は、独立してS又はRであり、
前記式I中のR’’はベンゼン環のオルト位、メタ位又はパラ位にあり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立してH、C
1~C
10のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
10のアルコキシ基、-COOH、-R
1COOH、-COOR
1、-Ph、-NO
2、置換フェニル基、-R
1-Ph、-R
1NO
2、-OR
1-Ph、-CONHR
3、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-R
1COOH、-COOR
1、-R
1-Ph、-R
1NO
2及び-OR
1-Ph中のR
1は、独立してC
1~C
5のアルキル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、C
1~C
5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、C
1~C
5のアルコキシ基、-COOH、-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2又は-SO-R
2であり、前記-R
2COOH、-COOR
2、-Ph、-R
2NO
2、-OR
2-Ph、-CONHR
2、-SO
2-R
2及び-SO-R
2中のR
2は、独立してC
1~C
3のアルキル基であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であり、
前記式I中のM
+は、金属カチオン又はグルコサミンカチオンであることを特徴とする環状のGd(III)錯体。
【請求項2】
前記式I中のRは、H、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)OH、-CH
2Ph又は-(CH
2)
4Phであり、
前記式I中のR’及びR’’は、独立して、H、-COOH、CONHR
3、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2、-OBn、
-SO
2-R
4又は-SO-R
5であり、
前記-CONHR
3、-SO
2-R
4及び-SO-R
5中のR
3、R
4及びR
5は、独立してC
1~C
5のアルキル基又はベンジル基であることを特徴とする請求項1に記載の環状のGd(III)錯体。
【請求項3】
前記式I中のM
+は、Na
+、K
+、Li
+又はグルコサミンカチオンであることを特徴とする請求項1に記載の環状のGd(III)錯体。
【請求項4】
前記式Iにおいて、RはHであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式A-1に示す構造の化合物、DO3A、炭酸カリウム及びアセトニトリルを混合し、求核置換反応を行い、式A-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた式A-2に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、第1の反応前駆体を得るステップと、
(3)窒素雰囲気中で、前記ステップ(2)で得られた第1の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式A-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた式A-3に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式A-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(5)前記ステップ(4)で得られた式A-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(5)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項5】
前記式Iにおいて、RはHであり、R’はHであり、R’’はH、-COOH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1)窒素雰囲気中で、式B-1に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、DO3A、炭酸カリウムを混合して求核置換反応を行い、第2の反応前駆体を得るステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた第2の反応前駆体を塩酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式B-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた式B-2に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(3)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項6】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は-COOHであり、前記調製方法は、
(a)式C-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式C-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(b)窒素雰囲気中で、前記ステップ(a)で得られた式C-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式C-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(c)前記ステップ(b)で得られた式C-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合して加水分解反応を行い、式C-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)で得られた式C-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(d)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項7】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’は
であり、前記調製方法は、
1)式A-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式D-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
2)窒素雰囲気中で、前記ステップ1)で得られた式D-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸tert-ブチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式D-3に示する構造を有する化合物を得るステップと、
3)前記ステップ2)で得られた式D-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、第3の反応前駆体を得るステップと、
4)窒素雰囲気中で、前記ステップ3)で得られた第3の反応前駆体をHATU、ジクロロメタン、アミン化合物及びDIPEAと混合して縮合反応を行い、式D-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
5)窒素雰囲気中で、前記ステップ4)で得られた式D-4に示す構造を有する化合物をトリフルオロ酢酸と混合して脱tert-ブチルエステル反応を行い、式D-5に示す構造を有する化合物を得るステップと、
6)前記ステップ5)で得られた式D-5に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ6)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項8】
前記式Iにおいて、RはC
1~C
4のアルキル基、-CH
2OH、-CH(CH
3)OH、-CH
2CH
2OH、-CH
2Ph、-(CH
2)
2Ph、-(CH
2)
3Ph、-(CH
2)
3NH
2又は-(CH
2)
4Phであり、R’はHであり、R’’はH、-CF
3、-C(CH
3)
3、-Ph、-NO
2又は-OBnであり、前記調製方法は、
(1’)窒素雰囲気中で、式E-1に示す構造を有する化合物、式キラルcyclenに示す構造を有する化合物及びアセトニトリルを混合して第1の求核置換反応を行い、式E-2に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(2’)窒素雰囲気中で、前記ステップ(1’)で得られた式E-2に示す構造を有する化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、ブロモ酢酸エチルを混合して第2の求核置換反応を行い、式E-3に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(3’)前記ステップ(2’)で得られた式E-3に示す構造を有する化合物をテトラヒドロフラン、メタノール及び水酸化リチウムの水溶液と混合してエステル加水分解反応を行い、その後、エステル加水分解反応の生成物に対して濃縮、希釈及びpH調整を順次行い、式E-4に示す構造を有する化合物を得るステップと、
(4’)前記ステップ(3’)で得られた式E-4に示す構造を有する化合物をガドリニウム源、水、M
+を含む溶液と混合して配位反応を行い、環状のGd(III)錯体を得るステップとを含み、
前記ステップ(4’)におけるM
+を含む溶液は、金属水酸化物又はグルコサミンの溶液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の調製方法。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体を含む医薬品組成物。
【請求項10】
核磁気共鳴イメージングにおける請求項1~3のいずれか一項に記載の環状のGd(III)錯体の使用。
【国際調査報告】