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特表2024-513278セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための混合物
(51)【国際特許分類】
   C04B 22/14 20060101AFI20240315BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20240315BHJP
   C04B 14/26 20060101ALI20240315BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20240315BHJP
   C04B 22/10 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C04B22/14 A
C04B22/08 A
C04B14/26
C04B22/06 Z
C04B22/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513431
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 ES2022070161
(87)【国際公開番号】W WO2022219211
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P202130329
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523064424
【氏名又は名称】アディティボス デル セメント エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】ADITIVOS DEL CEMENTO S.L.
【住所又は居所原語表記】C/Pablo Rada 2,5 1,21004 HUELVA(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス ロドリゲス,ホセ マリア
(72)【発明者】
【氏名】アルセ ヒメネス,ルルド
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス ロメロ,ホセ ラモン
(72)【発明者】
【氏名】カルダドール フェルナンデス,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】カルダドール デュエニャス,マリア ホセ
(72)【発明者】
【氏名】パロモ オルテガ,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ペレス モヘダノ,サルバドール
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MA00
4G112MB01
4G112MB06
4G112MB12
(57)【要約】
セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための組成物
セメントに含まれるCr(VI)の還元混合物は、2つの工業上の副生物の混合物である。その一方が、TiOの製造の残留物としての硫酸第一鉄(Filter Salt)のフィルターケーキであり、他方が電解銅の生成に由来する鉄ケイ酸塩のスラグである。これらに、硫酸第一鉄の酸性度の中和剤として働く天然骨材(ドロマイト、カルサイト、および/または消石灰)が低割合で添加される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための、材料の混合物の組成物であって、セメントに含まれるCr(VI)の含有量を2ppm未満に低減できることを特徴とし、
組成中に15~25%の間の硫酸を含む、前記混合物全体の重量の50%から90%の間の比率の、TiOの製造の併産物としての硫酸第一鉄(Filter Salt)のフィルターケーキと、
鉄の総含有量が40~50%の間で、添加対象の前記混合物の全体の重量の5%と45%との間の割合で前記混合物に添加される、電解銅の生成に由来する鉄ケイ酸塩と、
硫酸第一鉄の酸性度中和剤として働く、前記混合物全体の5重量%と15重量%との間の比率の天然骨材と、を含む組成物。
【請求項2】
鉄ケイ酸塩に関して0mmと6mmとの間の粒径を特徴とする、請求項1に記載の、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための組成物。
【請求項3】
前記天然骨材(酸性度中和剤)がドロマイトおよび/またはカルサイトおよび/または消石灰のいずれか1つまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための組成物。
【請求項4】
先行する請求項のいずれかに記載の、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための材料の混合物の前記組成物を得る方法であって、
15~25%の間の硫酸を含有する硫酸鉄一水和物と鉄ケイ酸塩とを数日間(2日と8日との間)混合するステップと、
次いで、前記混合物の酸性度が、天然骨材によって、前記混合物の安定的な造粒を可能にする安定化した数値に中和されるステップとを含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の目的】
【0001】
本発明は、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための混合物、これを得るための方法、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1950年、JaegerとPelloniという2人のスイス人皮膚科医が、建設業界でよくみられる職業的疾患の原因を突き止めた。セメントに含まれるクロムが、数十年に亘り知られ恐れられてきた、労働者の皮膚のアレルギー性湿疹の原因であると特定された。
【0003】
六価クロムを含有する物質は、欧州共同体法令において、発がん性、突然変異誘発性、および刺激性のある物質として分類されている。セメント中の六価クロムは感作性を増大させ、工場あるいは建設部門でこれを高頻度で取り扱う労働者がよく罹る深刻なアレルギー反応を引き起こす。
【0004】
六価クロムが引き起こすアレルギー性または接触性の皮膚炎は、ひどい痛みを伴ない、労働者に障害が残る可能性もある。欧州議会・理事会指令2003/53/ECは、2005年1月17日以降、水和した状態で可溶性クロム(VI)の含有量がセメント乾燥重量の2ppmを超える、全てのセメントおよびセメント含有調製物の使用および上市を禁止するよう加盟国政府に求めた。
【0005】
使用される原料によるが、セメント中のクロム含有量は10ppmと100ppmとの間である。水と混合されると、セメントに含まれるクロム(VI)は溶解して、上述の皮膚炎症を引き起こす恐れがある。現行の欧州法令は、クロム(VI)を化学的に還元すること(最大2ppmまで)と、クロム(III)へ変換して、その可溶性、ひいては皮膚への影響を大幅に低減することを求めている。
【0006】
還元反応を起こす物質を使用することで、六価クロムを、皮膚に無害な物質である三価クロムへ還元することができる。現在、一般に使用される市販の化合物が2つあり、硫酸スズと硫酸第一鉄である。
【0007】
欧州特許/公開第1923370号には、アンチモン(III)化合物をベースとした、セメント中のクロムを還元する添加剤が記載されている。
【0008】
米国特許第7128782号には、組成に硫酸第一鉄を用いた、セメントに含まれるクロム(VI)用の還元剤が開示されている。
【0009】
スズ剤は、取り扱いの容易性(低用量の液体製品)と酸化還元効果の経年持続性において有利である。この還元剤の主な欠点はコストが高いことであり、そのため、その使用が特定の場合やCr(VI)の含有量が低いセメントに限られることである。
【0010】
硫酸第一鉄は、セメントの六価クロムを大幅に還元することができ、また、その効果が投入から少なくとも3ヶ月持続する。
【0011】
硫酸第一鉄を化学的還元剤として使用した場合に起こる還元反応は、以下の通りである。
【化1】
【0012】
硫酸鉄(II)は主に、硫酸塩プロセスによる二酸化チタンの製造工程から得られ、その工程で併産物として出現する。
【0013】
この硫酸鉄(II)を得る工程には以下の2つの段階がある。
a)チタンおよび鉄を含み、チタン含有鉱物の分解により得られる硫酸塩溶液の結晶化により得られるものである。高温の溶液を冷却することにより硫酸鉄(II)が結晶化する。この工程で得られる硫酸鉄は、自由水分が4%と7%との間の硫酸鉄七水和物(硫酸鉄ともいう)である。その物理的外観は、雪に似た湿塩に類似している。そのため、この生成物をセメントに正確に投入するのは極めて困難である。
b)上記工程において、鉄の部分だけを溶液から取り除く。濃縮とその後の残溶液のろ過の工程において、15~25%の間の高比率で硫酸を含む硫酸鉄一水和物(Filter Saltとも言う)が得られる。
【0014】
硫酸鉄の適切な投入のために、販売にあたっては、これらの原料を取り扱いが容易になるように流動化した製品に転換するための工程がある。Filter Saltの粒状化、マグネサイトまたはドロマイトなどの塩基性剤によって遊離硫酸を事前に中和することがその1つである。この工程は肥料型の造粒プラントで実施され、得られる製品はセメント工場のミルに投入されることになる、取り扱いの容易な粒状体である。
【0015】
一般に、金属硫酸塩は、酸性度中和のため天然骨材である中和剤(主にドロマイト)と混合され、次いで、その粉砕および/または粒状化を促進する他の要素(10%以下)を加えて造粒プラント(回転ドラムを備える)で造粒される。
【0016】
得られる最終製品(SulfacemまたはAdiferと称される)は、大きさが(工程の最後の篩分けにより)1~10mmの間で、Fe(II)の含有量が15%程度の粒状製品である。
【0017】
問題が始まったのは1年以上前で、二酸化チタンの製造工程から得られる副生物である金属硫酸塩のFe(II)の含有量が低下したためである。それにより、最終製品(Sulfacem)のFe(II)含有量が通常より低くなり(13~14%の間)、その商品性に悪影響を及ぼすこととなった。
【0018】
この製品を工場から遠隔のセメント工場に輸送する物流コストは、製品そのもののコストとほぼ同等であり得るので、物流コストは変わらずにFe(II)の含有量が15%から13%に変化することは、その製品が現在販売されているさらに遠隔の市場(フランス、イタリア、北スペイン等)において競争力を失うことを意味した。
【0019】
これにより、最終製品のFe(II)含有量を増大させることを目的として、ここに記載の結果を生み出した研究プロジェクトが行われることとなり、20%程度追加されていた、Fe(II)に寄与しない天然骨材が、Fe(II)含有量を増大させる可能性のある別の製品に部分的に置き換えられた。
【0020】
Cr(VI)の還元のための還元混合物の割合は、対象となるセメント中のCr(VI)含有量に依存するが、他のセメント成分によるものの、1ppmから4ppmのCr(VI)をCr(III)に還元するための還元剤の比率は0.1%である。平均投入量は、セメントに対して還元混合物0.4%である。
【0021】
本発明の目標は、Cr(VI)の還元に使用される、金属硫酸塩とドロマイトとの混合物の還元能力を、鉄ケイ酸塩のスラグと混合することにより向上させることである。鉄ケイ酸塩のスラグは、濃縮銅鉱物の溶融体にシリカを加えて、原材料によってもたらされる他の成分から鉄を分離して電解銅カソードを生成する際に得られる、既に複数の所定の用途がある工業上の副生物である。
【発明の概要】
【0022】
本発明で解決される課題は、現在使用されている還元剤の用量を減らしてセメント中のCr(VI)をCr(III)に還元することである。
【0023】
本発明の目的は、20%程度添加されていたがFe(II)に寄与しなかった天然骨材をFe(II)含有量を増大させ得る別の製品に部分的に置き換えることで、最終製品のFe(II)含有量の増大を試みることである。
【0024】
多くの製品を試したところ、銅の製造の際の電気分解から得られる副生物である鉄ケイ酸塩が、粉砕工程後のFe(II)の含有量の分析の結果、好適には粉砕後0.16mm未満で、最高でほぼ17%の非常に興味深いFe(II)含有量を示したことが分かった。
【0025】
当初、この鉄ケイ酸塩は、金属硫酸塩の遊離硫酸を中和する働きをしないため、廃棄されていた。そのpHはおおよそ中性(7程度)であり、そのメーカーの分析も含め当時利用可能であった分析によれば、Fe(II)を含有せず、その代わりに本研究の最終目的のCr(VI)をCr(III)に還元する働きをしない、Fe(III)の含有量が高かった(40~50%)ためである。
【0026】
大学と共同で一年超の期間実施された研究での実際の数値であるが、金属硫酸塩が(還元剤で中和されることなく)鉄ケイ酸塩と混合された場合、このケイ酸塩に含まれるFe(II)の部分が硫酸第一鉄になり、最終製品中のFe(II)が最高でほぼ17%にまで飛躍的に増加することも分かった。これは非常に注目すべき改善である。
【0027】
続く造粒工程については、鉄ケイ酸塩と反応しなかった、金属硫酸塩に含まれる硫酸がまだ一部存在するため、上記の初期混合物を還元剤(ドロマイト、石灰岩、または生石灰)で中和しなければならないことが考察された。
【0028】
しかしながら、還元剤の比率は改良前の製品に使用されたものより低くてよく、10%未満でよい。
【0029】
いずれにしても、還元剤を加えてもFe(II)含有量は低減せず、粒状化(あるいは粒状化が所望されない場合は粉末化)が可能でFe(II)含有量が16%を超える最終製品が得られることになり、それにより、硫酸第一鉄の市場において、Fe(II)含有量の高い製品に対して競争力を高められる。
【0030】
新規の混合物の発明は、最終製品の鉄(II)の含有量を増大させ、同時にドロマイトの含有量を減少させる(ドロマイトは再生不可能な天然資源であるため)、工業上の副生物に基づく。この新規の製品の製造の際に原料として使用される併産物は、化学産業に由来する。
【0031】
本発明の還元組成物は、
・ある比率(15~25%の間)の硫酸を含む硫酸鉄一水和物(filter saltとも言う)としての、50%から90%の間の比率の、二酸化チタンの製造由来の硫酸鉄(II)と、
・混合物の還元特性を増大させ、鉄の総含有量が40~50%の間で、5重量%と45重量%との間の割合で当該混合物に添加される、電解銅の生成に由来するスラグ(鉄ケイ酸塩)と、
・ドロマイト、消石灰、およびカルサイトのいずれかまたはそれらの組み合わせであってよい、混合物全体の5重量%と15重量%との間の比率の、酸性度中和剤と、を含む。
【0032】
この還元混合物は、これらの3つの要素を混合することにより得られる粒状の製品である。まず、硫酸鉄一水和物(15~25%の間の硫酸を含む)が、数日間(3日と8日との間)鉄ケイ酸塩と混合され、それにより、鉄ケイ酸塩から鉄(II)を分離させ、結果として、鉄(II)の含有量に連動して、混合物の還元特性を増大させる。次に、ドロマイトによって、混合物の酸性度を、混合物を安定的に造粒できる安定した数値に中和する。
【0033】
還元効果はセメントがその最終的な使用のために水と混合される際に発揮されるので、得られる還元剤は、セメントの製造工程のいずれの段階でも添加可能である。したがって、還元剤は、クリンカーが他の原料と混合され粉砕されるミルの中や、ミル後のセメントのサイロ貯蔵前および/またはサイロ貯蔵後、セメントのパッケージングの際のいずれでも添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
ここに記載の説明を補足するため、また本発明の特徴のよりよい理解を促進する目的で、発明の好適な実施の形態にしたがって、本明細書に、それに組み込まれる一部として、説明のための非限定的な態様で以下を表す図面一式を添付する。
【0035】
図1】粉砕時間の関数としての、0.16mmのふるいを通過する粒径分率を示す。
図2】粉砕時間の関数としての、鉄ケイ酸塩に含まれるFe(II)の比率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の好適な実施形態において、セメント中のCr(VI)の還元は、TiOの製造での併産物として得られる硫酸第一鉄(Filter Salt)のフィルターケーキと、電解銅の生成から得られる鉄ケイ酸塩のスラグと、硫酸第一鉄の酸性度の中和剤との混合物を添加することで実施される。
【0037】
実行可能な一実施形態では、硫酸第一鉄の酸性度中和剤は、ドロマイト、消石灰、およびカルサイトのいずれか、またはこれらの組み合わせでよい。
【0038】
実行可能で限定を意図しない一実施形態において、組成の割合は以下の通りである。
・組成中に15~25%の間の硫酸を含む、混合物全体の重量の50%から90%の間の比率の、TiOの製造の併産物としての硫酸第一鉄(Filter Salt)のフィルターケーキと、
・鉄の総含有量が40~50%の間で、混合物全体の重量の5%と45%との間の割合で混合物に添加される、電解銅の生成に由来する鉄ケイ酸塩と、
・硫酸第一鉄の酸性度の中和剤として働く、混合物全体の5重量%と15重量%との間の比率の天然骨材。
【0039】
水溶性クロム(VI)の測定は、EN基準196-10:2006に代わるUNE-EN基準196-10:2016にしたがって実施された。これは、セメント中の水溶性クロム(VI)含有量の測定のための、方法に特化した基準である。水溶性Cr(VI)を測定する方法は、抽出処理と、ろ過抽出物中のCr(VI)含有量の分析という2つのステップからなる(UNE-EN196-10、第10部)。
【0040】
鉄ケイ酸塩中の鉄(II)の含有量は、この副生物のグラニュロメトリーの影響を受ける。粒径分布、および0.16mm未満の粒子に行われる測定可能な鉄(II)含有量は、粉砕時間によって決まる。(表1、図1および図2。)鉄ケイ酸塩粒子が壊れるため、0.16mm未満の粒子で測定される鉄(II)の含有量が高くなる。粉砕または選別後の鉄ケイ酸塩の粒径に応じて、鉄(II)の含有量は4%から16%までの範囲に亘る。
【表1】
【0041】
鉄ケイ酸塩だけではCr(VI)をCr(III)に還元しない。表2は、0.3%と0.6%の比率で鉄ケイ酸塩をセメントに混合することでは、セメント中のCr(VI)の還元が効果的になされなかったことを示す。
【表2】
【0042】
金属硫酸塩と、鉄ケイ酸塩と、低量の酸性度中和剤とを混合して得られた還元混合物では、金属硫酸塩とドロマイトのみの混合物からなる従来の混合物に対して、鉄(II)の含有量の増加が見られた。
【0043】
混合の日数を関数として、金属硫酸塩と鉄ケイ酸塩と酸性度中和種との混合物における鉄(II)の含有量を測定したところ、鉄(II)含有量の増加が示された。
【0044】
混合プロセスは2つの段階からなる。まず、金属硫酸塩と鉄ケイ酸塩とが2~8日間、複数の混合期間と放置期間とを経て混合され、次いで、3日目と9日目との間に酸性度中和剤が添加される。
【0045】
表3は、金属硫酸塩(SM)と鉄ケイ酸塩(S)に酸性度中和剤5%を加えた混合物の鉄(II)含有量の推移を示す。

95%(80SM+20S)+5%ドロマイト(D)
95%(80SM+20S)+5%消石灰(CA)
95%(80SM+20S)+5%石灰岩(C)
【表3】
【0046】
得られた最終的な鉄(II)含有量は各混合物について約17%である。
【0047】
表4は、金属硫酸塩と鉄ケイ酸塩に酸性度中和剤10%を加えた混合物の鉄(II)含有量の推移を示す。
90%(80SM+20S)+10%ドロマイト(D)
90%(80SM+20S)+10%消石灰(CA)
90%(80SM+20S)+10%石灰岩(C)
【表4】
【0048】
得られた最終的な鉄(II)含有量は各混合物について約17%である。
【0049】
酸性度中和剤5%の混合物(表3)を加えた場合、および酸性度中和剤10%の混合物(表4)を加えた場合の、Cr(VI)のCr(III)への還元の結果を表5に示す。
【表5】
【0050】
表5は、セメント中のCr(VI)含有量を基準(2ppm)未満に低減でき得る量を示す。1ppmの低減には、セメントTmあたり0.12~0.29Kgの間の量の還元混合物が必要になると考えられる。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための、材料の混合物の組成物であって、セメントに含まれるCr(VI)の含有量を2ppm未満に低減できることを特徴とし、
組成中に15~25%の間の硫酸を含む、前記混合物全体の重量の50%から90%の間の比率の、TiOの製造の併産物としての硫酸第一鉄(Filter Salt)のフィルターケーキと、
鉄の総含有量が40~50%の間で、添加対象の前記混合物の全体の重量の5%と45%との間の割合で前記混合物に添加される、電解銅の生成に由来する鉄ケイ酸塩と、
ドロマイトおよび/またはカルサイトおよび/または消石灰から選択され、硫酸第一鉄の酸性度中和剤として働く、前記混合物全体の5重量%と15重量%との間の比率の天然骨材と、を含む組成物。
【請求項2】
鉄ケイ酸塩に関して0mmと6mmとの間の粒径を特徴とする、請求項1に記載の、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための組成物。
【請求項3】
先行する請求項のいずれかに記載の、セメントに含まれるCr(VI)をCr(III)に還元するための材料の混合物の前記組成物を得る方法であって、
15~25%の間の硫酸を含有する硫酸鉄一水和物と鉄ケイ酸塩とを数日間(2日と8日との間)混合するステップと、
次いで、前記混合物の酸性度が、天然骨材によって中和されるステップとを含むことを特徴とする方法。
【国際調査報告】