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  • 特表-ボイラ・ドラムの気水分離器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ボイラ・ドラムの気水分離器
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/12 20060101AFI20240315BHJP
   F22B 37/32 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B01D45/12
F22B37/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551259
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 FI2022050190
(87)【国際公開番号】W WO2022200690
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】20215337
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レッペネン、ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】カレマ、 ハンヌ
【テーマコード(参考)】
4D031
【Fターム(参考)】
4D031AC01
4D031BA07
4D031BA10
4D031EA01
(57)【要約】
蒸気と水とを分離するためのボイラ・ドラムの分離器1は、底部に流体入口2を有し上部に蒸気出口3を有する分離チャンバ5を備え、螺旋羽根9が、入ってくる流体の円形運動を達成するために、流体入口2と蒸気出口3との間で分離チャンバ5の壁6に取り付けられており、円形の水出口4が、蒸気出口3を取り囲んでいる。水出口4の内部にある分離チャンバ5の壁6の上部端部8は、円滑な流れを確実にし、且つ水出口4の上部領域で水トラップ13を充填された状態に保つために、丸みを帯びた上部の外形を有し、好ましくは内側に傾斜している。壁6の上部端部8での傾斜は、凹形であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気と水とを分離するためのボイラ・ドラムの分離器(1)であって、底部に流体入口(2)を有し上部に蒸気出口(3)を有する分離チャンバ(5)を備え、螺旋羽根(9)が、入ってくる流体の円形運動を達成するために、前記流体入口(2)と前記蒸気出口(3)との間で前記分離チャンバ(5)の壁(6)に取り付けられており、円形の水出口(4)が、前記蒸気出口(3)を取り囲んでおり、前記水出口(4)が、まず上方へ通じ、次いで下方に曲がる、分離器(1)において、前記水出口(4)の内部にある前記分離チャンバ(5)の前記壁(6)の上部端部(8)が、8mmの最小半径(R)を有する丸みを帯びた上部の外形を含むことを特徴とする、分離器(1)。
【請求項2】
前記分離チャンバ(5)の前記壁(6)の前記上部端部(8)が内側に傾斜しており、その結果、傾斜線の始点から、前記壁(6)の前記上部端部(8)が前記傾斜線から外側に湾曲する点までの傾斜角(β)が少なくとも15度であり、前記壁(6)の前記上部端部(8)及び前記傾斜の長さ(L)が少なくとも25mmである、請求項1に記載の分離器(1)。
【請求項3】
前記丸みを帯びた上部の外形の前記最小半径(R)が少なくとも12mmである、請求項1又は2に記載の分離器(1)。
【請求項4】
前記壁(6)の前記上部端部(8)での前記傾斜が凹形である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項5】
前記分離チャンバ(5)の前記壁(6)の前記上部端部(8)周りの前記水出口(4)の反対側の壁が、縁部のない湾曲した形を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項6】
前記分離チャンバ(5)が、上方に増加する直径を有する上部区間(7)を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項7】
前記水出口(4)の内部で、前記分離チャンバ(5)の前記上側壁(6)と前記分離器(1)の外壁(11)との間に、前記螺旋羽根(9)のピッチ角(α)に関する反対の前記ピッチ角(α)に整列している複数の案内羽根(12)がある、請求項1から6までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項8】
前記案内羽根(12)の数が、6から16枚又は10から14枚である、請求項7に記載の分離器(1)。
【請求項9】
前記案内羽根(12)の累積的な周方向の有効範囲が、少なくとも300度又は少なくとも360度である、請求項7又は8に記載の分離器(1)。
【請求項10】
前記案内羽根(12)の前記ピッチ角(α)が、好ましくは45から75度の間である、請求項7から9までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項11】
前記水出口(4)の内部にある前記分離チャンバ(5)の前記壁の前記上部端部(8)の前記反対側の壁が湾曲しており、その結果、前記水出口(4)の幅が、実質的に一定であり、又は流出方向に狭くなる、請求項1から10までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【請求項12】
前記蒸気出口(3)が、上方へ減少する直径を有する底部の形状及び/又は上方へ増加する直径を有する上部の形状を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の分離器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気水分離器に関し、この分離器は、底部に流体入口を有し上部に蒸気出口を有する分離チャンバを備える。
【背景技術】
【0002】
ボイラ・ドラムは、ボイラの循環システムの一部を形成する。ドラムは、2つの主な機能を果たし、第1及び1次の機能は、水及び蒸気の混合物から蒸気を分離することである。第2にドラムは、蒸気及び水の浄化のために使用される機器を収容する。
【0003】
水と蒸気との基本的な分離を実行するために、2つの異なる型式のサイクロンが使用される。基本的な型式は接線方向の入口を有し、これにより流体が回転し、より軽い蒸気が、水から分離しサイクロンの上部から抜け出る。
【0004】
縦型のサイクロン式分離器は底部取入口を有し、螺旋羽根が、入ってくる流体流れを循環運動にする。そうして水相は分離し、分離器の分離チャンバの側面まで横向きに流れ、分離チャンバの内壁に沿って上に流れて、分離チャンバと分離器の外壁との間の空間に出ることになる。蒸気は分離器の上部から抜け出る。縦型の分離器は、米国特許第3216182号、EP2250437、特開平11-141802、米国特許第3086343号、GB664447、米国特許第3329130号、及び米国特許第5320652号の公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3216182号
【特許文献2】EP2250437
【特許文献3】特開平11-141802
【特許文献4】米国特許第3086343号
【特許文献5】GB664447
【特許文献6】米国特許第3329130号
【特許文献7】米国特許第5320652号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラの運転効率化の需要が絶え間なく増加しているので、ボイラ・ドラムへの流入量も増加しており、蒸気の分離の効率が最適化されなければならない。従来技術の解決策は、作り出す圧力差が高すぎ、及び/又は蒸気と共に抜け出る水が多すぎることになり、排水に蒸気が混合されたままにもなる。蒸気内部の水は、過熱器に、さらには水が有害な結果を引き起こし得る場所である蒸気タービンに進入することが許容されない。排水中の蒸気泡は、蒸気泡が壊れるときに、ドラムの内部で水の小さな液滴を生じさせることになる。2次デミスタは、液滴の大部分を捕捉する。このことは、2次デミスタの水負荷を増やし、その結果として水の氾濫に影響し得、水が過熱器に進入することがある。過熱器の中に大量の水が進入すると、過熱器を破壊する可能性があり、最悪の場合、蒸気タービンまでのすべての通路に、水滴と共に不純物が進入し得る。また、水の表面下の蒸気泡は、水位の制御を悪化させることになり、最悪の場合、下降管に吸収され得、そうして自然冷却水循環を駆動する水頭を弱める。
【0007】
広く使用されており、他にも公開されている縦型分離器は、分離チャンバの内部で水と蒸気とを効果的に分離することができる。主な課題は、分離工程ではなく、蒸気が水出口に進入することである。気相を液相から分離された状態に保つために、水流は水出口の内部で円滑にむらなく行われるべきである。例えば、既知の分離器の分離チャンバの上部端部設計は、水出口に鋭い縁の水路を有する。米国特許第3216182号の開示は、蒸気が水出口に進入し、そこから戻るという課題を認めている。流路の鋭い変化が水滴を作り出すので、そのような戻り流は水滴を備えることになる。課題は、水出口と同心である別個の水/蒸気出口に混合物を向けることによって解決された。蒸気が水出口の中に進入すると、水と蒸気との混合物の後方への流れを引き起こす。その混合物は、デミスタにおいて再び分離されるべきである。
【0008】
米国特許第3329130号は、分離チャンバの壁の上部端部の丸みを帯びた上部を開示している。そのようなわずかに丸みを帯びた壁の端部は、半径が鋭すぎて、優れた流路案内効果を実現することができないので、水出口の上部での高いレベルの乱流の誘導を防ぐことができない。
【0009】
水出口の内部のむらのある流れ又は乱流は、水出口までの蒸気のより深い進入口を開けることになる。同様に、出口内部に進入した蒸気は、水と蒸気の混合物の後方への噴流を引き起こして、水の蒸気出口への進入を引き起こす場合がある。本発明は、蒸気が水出口に進入し水流出と混合することを防ぐことを目標にする。流路の鋭い変化を回避することによって、流れの完全性を確実にする。水の下方への経路が完全に充填されることになるので、重力による吸込効果のむらが回避され、そうして水通過流の変化もまた回避されることになる。本発明は、分離器にわたって高すぎる圧力降下を引き起こすことなく、蒸気相からの水相のより完璧な分離を可能にする。添付の特許請求の範囲による分離器によって実現されるこれら及び他の目的は、以下の発明の概要及び発明を実施するための形態から理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
蒸気と水とを分離するためのボイラ・ドラムの分離器は、底部に流体入口を有し上部中央に蒸気出口を有する分離チャンバを備える。水相と蒸気相とを分離するための螺旋羽根は、入ってくる流体の円形運動を達成するために、流体入口と蒸気出口との間で分離チャンバの壁に取り付けられている。円形の水出口が、蒸気出口の周りにある。
【0011】
流体の速い円形運動は、水相の平坦な上向流を分離チャンバのわきに向け、軽い蒸気泡が、そこで水の流れの表面に移動し、そこで破裂することになる。蒸気は、上部の蒸気出口まで分離チャンバを上に流れることになる。分離チャンバが、上方へ増加する直径を有する上部形状を含む場合に、水の上向流は、円形成分を有し、上方へ最も良く上がることになる。上方へ流れる水は、薄くなる層を形成することになり、これにより蒸気の分離が改善される。次いで、蒸気出口もまた、圧力降下を下げるためのより大きな初期直径を有し得る。蒸気出口が、円滑に上方に減少する直径を有する底部の形状を含む場合に、圧力の降下はさらに低減される。
【0012】
目的は、均一なバリア表面を有する充填されている水トラップを作り出すことであり、これにより、蒸気が水出口にさらに進入することを防ぐことになる。目的を達成するためには、水は、乱流を抑える形態のために水出口の内部を滑らかに流れ、液滴又は他の流れのむらを分離するべきである。そうでなければ蒸気は、液滴間又は分離された流れ間に、水出口への進入口を有することになる。水トラップは、上下逆さの姿勢で整列しているが、気体についての安定したバリアを作り出す従来のものと同様に働くことになる。水トラップは、分離された水の連続した上向流によって充填されることになる。したがって、水が水トラップから下に落ちて戻らないように、注意深く設計された水用のチャネルがなければならない。運転条件の変動により、異なる厚さの水の層が形成されることになるので、寸法は、様々な運転条件、すなわち流速及び流量に適するように設計されるべきである。運転中には、任意の羽根又は任意の他の部品の任意の能動的な調整を行うことはできない。
【0013】
目的を達成するための主な新規の最も重要な特徴は、分離チャンバの壁の上部端部の形である。水出口の内部にある分離チャンバの壁の上部端部は、十分に大きな最小半径を伴う丸みを帯びた外形を有する。これは、壁の切削された上部端部を単に小さな半径に研削することによっては達成されることができない。上部端部がその周りの流速に対して十分な半径を有する場合に、流出する水は、液滴に分かれること又は流れに対する他の不連続性を引き起こすことなく、上部端部のわきに留まることになる。それは、「ティーポット効果」と呼ばれる。そうして、上部部分は、単なる円筒形又は円錐形の端部ではなく、分離器の特色のある一体部品である。分離チャンバの壁の上部端部が分離チャンバの壁から形成されている場合、丸みを帯びた形は、少なくとも上部の点を超えて、好ましくは上部の点を超え少なくとも45度連続するべきである。
【0014】
水出口内部の水トラップは、分離チャンバの内側に傾斜した上部端部によって、充填された状態及び蒸気から閉じられた状態に最も良く保たれる。設計は、進入する蒸気相に対して、水出口の口の後ろに安定した均一な水表面を形成することになる。分離チャンバの壁の傾斜した上部は、水出口の反対側の壁に対して円滑に流入を向ける。内側への傾斜は、凹形であることが好ましく、そのようにして、水出口の反対側の壁に対して円滑に流入を最も良く向けることになる。出口の反対側の面は、流入が反対側の面に接触する液滴の形成を回避するために、流入の表面に対して低い接触角を有するべきである。
【0015】
水出口の分離チャンバの壁の上部周りの水出口の反対側の外壁は、水トラップ領域を通して水の円滑で密着した流れを可能にするために、円滑に湾曲しているべきである。鋭い縁部は、通過流に対する不連続性を作り出し、そのようにして可能性のある蒸気用の経路を作り出すことになる。
【0016】
水出口の内部の水トラップの後ろで、分離チャンバの壁と分離器の外壁との間に、螺旋羽根に関する反対のピッチ角で下方に整列している複数の案内羽根がある場合に、水トラップを充填された状態に保つことが、追加的に確実になる。羽根は、通過流をより水平な方向に迂回させ、そうしてわずかな背圧を生じさせる。このようにして、分離チャンバのわきの水出口は、水のみで満杯なので、効果的な重力による吸込効果を作り出すことができる。それは、案内羽根によって生じる圧力降下を部分的に補償する。案内羽根の累積的な周方向の有効範囲は、少なくとも360度であることが好ましい。案内羽根のピッチ角は45から75度の間であることが好ましい。案内羽根の数は、ピッチ角及び目標とされる周方向の有効範囲に応じて、好ましくは6から16枚である。
【0017】
水トラップ領域の内部の水出口の反対側の面は、縁部なしの円滑に湾曲した外形を有するべきであり、この外形は、分離チャンバの壁の丸みを帯びた上部端部に準拠する。水出口の幅は、実質的に一定であるべきであり、又は円滑で均一な通過流を確実にするために、好ましくは流れ方向に徐々に狭くなるべきである。狭くなる経路により、確実に水トラップが完璧に充填されたままになり、閉じ込められた蒸気は、出口のより広い口から後方に戻ることができる。
【0018】
圧力の降下を増加させることなく、水及び蒸気相の両方について分離効率のパーセンテージが、従来技術の縦型分離器より良く注目に値すると示された。デミスタもまた、蒸気から分離させる残留水が注目すべきほど少なくなり、そうしてデミスタの効率が高まることになり、デミスタでの圧力損失が最小化される。注意深く最適化された設計の分離器により、従来の分離器を伴うボイラと比較して、より高い蒸気発電が確実になる。
【0019】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の実施例の実例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術の蒸気ドラム構成のボイラを示す図である。
図2】本発明の好ましい一実施例の断面図である。
図3図2の実施例の案内羽根を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ボイラ・チャンバの冷却管から中に入ってくる蒸気及び水の流体を分離するための従来技術の蒸気ドラム構成のボイラを示している。縦型の分離器1は、入ってくる流体を初めに分離する。ボイラの容量に従って、いくつかの分離器1がドラムの内部に設置される。流体は主に水の内部の蒸気泡である。高レベルの蒸気では、水は液滴の形でもあり得る。
【0022】
分離器1の上部にある1次デミスタは、残留液滴の大部分がドラムの蒸気空間に進入することを防ぐ。ドラムの頂上にある2次デミスタは、過熱器管に流れ出ないように液滴を除去する。分離効率のレベルが低すぎる場合、デミスタは、高い圧力損失及び不完全な分離を引き起こす水で充填され得る。
【0023】
分離チャンバ5の内部の螺旋羽根9は、入ってくる流体を円形運動に向け、分離された水相は、分離チャンバ5の壁6のわきで水出口4まで上がる。分離された水は、水出口4の底部端部から分離器1を抜け出る。蒸気は、分離チャンバ5の上部にある中央の蒸気出口3を通って抜け出る。
【0024】
図示の設計には、いくつかの欠陥があり、これにより、分離器1の内部で圧力降下及び不完全な分離が生じる。水出口4の形式は、完全に分離されていない蒸気が水出口4に進入することができて共鳴する逆流を引き起こす場合があるので、流出水に擾乱を引き起こす。分離チャンバ5の壁6の上部にある鋭い縁部は、分離された水の流れを液滴に分け、この液滴は、閉じ込められた蒸気が水出口4から戻って流れる任意の噴流と混合することになる。次いで液滴は、蒸気出口3を介して分離器1を抜け出ることになる。
【0025】
図2は、本発明の好ましい一実施例の断面を示している。分離器1は、底部に流体入口2を有する分離チャンバ5を含む。螺旋羽根9は、流体入口2と蒸気出口3との間で分離チャンバ5の壁6に取り付けられている。環状の水出口4は、蒸気出口3を取り囲んでいる。分離チャンバ5の壁6は上部区間7を有し、上部区間7は、螺旋羽根9を超えて分離チャンバ5の区間の上部で、上方へ増加する直径を有する。蒸気出口3は、上方へ減少する直径を有する底部の形状を有する。蒸気出口3の上部の湾曲した形は、上方へ増加する直径を有する。
【0026】
水出口4は、まず上方へ通じ、次いで上下逆さの水トラップ13の内部で、水出口4の頂上で下方に曲がる。水出口4の内部にある分離チャンバ5の壁6の上部端部8は、丸みを帯びた外形を有し、その最小半径Rは、8mmよりも大きく、好ましくは12mmを超えるべきであり、一定である必要はない。水出口4の反対側の壁は、分離チャンバ5の壁の上部端部8に準拠する外形を有する。水出口4の幅は、実質的に一定であり又は流出方向に狭くなる。水出口4の内部にある分離チャンバ5の壁の上部端部8は、内側に傾斜しており、すなわち、上方に減少する直径を有する。始点から、壁が傾斜線から外側に湾曲する点までの傾斜角βは、少なくとも15度であるべきであり、傾斜の長さLは、少なくとも25mmであるべきである。傾斜の形は、直線ではなく図2に示すように凹形であることが好ましい。内側への傾斜はまた、水の流入を水出口の外壁14に対して一様に迂回させ、そうして自由流れの蒸気から水出口4の口領域を閉じる。内側への傾斜はまた、局所的に速度を低下させ、したがって水の静圧を高める。このことは、水から蒸気を出して除去することを強化する。
【0027】
いくつかの案内羽根12は、分離チャンバ5の壁6の上部領域と分離器1の外壁11との間で、水出口4の内部に配置されている。案内羽根12の数は、好ましくは6から16枚、より好ましくは10から14枚である。案内羽根12が全円の少なくとも大部分を覆うように、均等に間隔を空けられた案内羽根12の累積的な周方向の有効範囲は、少なくとも300度であり、最も好ましくは360度を超える。
【0028】
破線の表面10は、分離チャンバ5の内部のそして水出口4への水流の表面を示している。蒸気出口3の壁と水流の表面10との間には、水が蒸気出口3に進入することを回避するための間隙があるべきである。円滑でむらのない流れにより、充填されている水出口4の最高領域で水トラップ13が保たれることになり、その結果、蒸気は、水出口4の口よりも先には進入することができない。実際には、関係する蒸気の逆流は発生しないが、任意の蒸気の戻る経路が湾曲した矢印で示されている。案内羽根12は、確実に水トラップ13が充填されたままになるように、水出口4の内部の水の流入を制約することになる。同様に又は代わりに、水出口4の幅が水トラップ13の端部で若しくはその後で十分に減少する場合、水トラップ13を充填された状態に保つことが確実になる。
【0029】
図3は、図2の実施例の案内羽根12のより詳細な図を示している。案内羽根12のピッチ角αは、螺旋羽根9のピッチ角に対して反対方向に整列している。案内羽根12のピッチ角αは、好ましくは45から75度の間である。矢印は、水の流れのおおよその方向を示している。流れの方向に対して案内羽根12の迎え角が増加していると、水からの蒸気の分離が強化されるが、圧力損失も増加することになる。仮に、案内羽根12が螺旋羽根9のピッチ角に対して同じ方向に整列していた場合、案内羽根12は水の流入を吸い込み強めることになる。このようにして、水トラップ13は、蒸気に対して開いており中に蒸気を吸い込む可能性がある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】