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特表2024-513301耐衝撃性及び屈曲特性に優れた光学フィルム及びこれを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】耐衝撃性及び屈曲特性に優れた光学フィルム及びこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240315BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20240315BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240315BHJP
   C08G 77/48 20060101ALI20240315BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240315BHJP
【FI】
G02B5/30
C08J7/04 Z CER
C08J7/04 CEZ
B32B7/023
C08G77/48
G02B1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553129
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2021017336
(87)【国際公開番号】W WO2022203153
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0039811
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0162294
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】アン,サン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ピル レ
【テーマコード(参考)】
2H149
2K009
4F006
4F100
4J246
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB11
2H149CA02
2H149CB03
2H149FA15Z
2H149FA16X
2H149FC03
2H149FD35
2H149FD47
2K009AA15
2K009BB22
2K009CC42
2K009DD02
4F006AA39
4F006AB43
4F006CA05
4F006EA03
4F100AH06B
4F100AK25B
4F100AK51B
4F100AK52B
4F100AR00A
4F100BA02
4F100GB41
4F100JK07
4F100JN01A
4F100YY00A
4F100YY00B
4J246AA11
4J246AA17
4J246BA120
4J246BA12X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246BB03
4J246BB032
4J246BB03X
4J246BB330
4J246BB331
4J246BB33X
4J246CA560
4J246CA56X
4J246CA650
4J246CA65X
4J246CA790
4J246CA79X
4J246EA05
4J246FA081
4J246FA131
4J246FA321
4J246FA471
4J246FC041
4J246GA01
4J246GA02
4J246GC26
4J246GD08
4J246HA22
4J246HA32
4J246HA56
(57)【要約】
本発明は、光透過性基材;及びバッファー層;を含み、最大復元長さが40mm乃至100mmである光学フィルム及びこのような光学フィルムを含む表示装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材;及び
バッファー層;を含み、
最大復元長さが40mm乃至100mmである、光学フィルム:
前記最大復元長さは、前記光学フィルムから取得した横50mm×縦100mmサイズの測定サンプルを縦方向に直径10mmの円筒シリンダーに巻いて固定し、前記シリンダーに固定した前記測定サンプルを60℃/90RH%で24時間放置した後、前記測定サンプルを前記シリンダーから解除してから平らな面上に立てた後、25℃/50RH%で24時間再放置したとき、前記平らな面の垂直方向から見下ろした前記測定サンプルの形態が、一端と他端とが重なる円を描く場合は円の最大直径として定義され、前記測定サンプルの一端と他端とが重ならない弧を描く場合は弧の最大直線距離として定義される。
【請求項2】
前記バッファー層はウレタンアクリレート樹脂を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記バッファー層はウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、
下記化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物;
下記化学式2で表されるアルコキシシラン化合物;及び
下記化学式3で表されるジオール化合物;を含む組成物によって形成される、請求項3に記載の光学フィルム:
【化1】
前記化学式1において、Rは、C1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、R及びRは、それぞれ独立してC1~C6の線状、分岐状又は脂環式アルキレン基で、Rは、アクリレート基又はメタクリレート基で、nは、1乃至3の整数である。
[化学式2]
Si(OR4-m
前記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立してC1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、mは、0乃至3の整数である。
[化学式3]
HO-R-OH
前記化学式3において、Rは、C1~C6の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基である。
【請求項5】
前記Rは、ヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基である、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記Rは、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうち一つに由来するアクリレート基である、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシランを含む、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ジオール化合物は、エチレングリコールを含む、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記バッファー層は、10μm乃至150μmの厚さを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記光透過性基材は、10μm乃至100μmの厚さを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
3,600Mpa乃至4,700Mpaの弾性モジュラスを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
12mNを基準にして、60%乃至100%の復元率(nIT)を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項13】
ハードコーティング層をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記ハードコーティング層は、0.1μm乃至10μmの厚さを有する、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
表示パネル;及び
前記表示パネル上に配置された、請求項1乃至請求項14のいずれか1項の光学フィルム;を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性に優れ、フォールディング後の復元力が改善された光学フィルム及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の薄型化、軽量化、及びフレキシブル化により、カバーウィンドウとして、ガラスの代わりに光学フィルムを使用することが検討されている。光学フィルムが表示装置のカバーウィンドウとして使用されるためには、優れた光学的特性及び機械的特性を有さなければならない。
【0003】
したがって、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などの機械的特性に優れながらも光学特性に優れたフィルムを開発する必要があり、また、カバーウィンドウなどのフレキシブルウィンドウ部材として活用するとき、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れ、フォールディング時にフォールディング跡が残らない光学フィルムの開発が要求される実情がある。
【0004】
光学フィルムのうち、代表的にポリイミド(PI)系樹脂は、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性、低温特性、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れ、自動車材料、航空素材、宇宙船素材、絶縁コーティング剤、絶縁膜、保護フィルムなどとして使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の一実施例は、新規のバッファー層を含むことによって、フォールディング跡が改善され、耐衝撃性が補強された光学フィルムを提供しようとする。
【0006】
また、本発明の他の一実施例は、フォールディング跡が改善され、耐衝撃性が補強された光学フィルムを含む表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、光透過性基材;及びバッファー層;を含み、最大復元長さ(maximum restoration length)が40mm乃至100mmである光学フィルムを提供する。
【0008】
前記最大復元長さは、前記光学フィルムから取得した横50mm×縦100mmサイズの測定サンプルを縦方向に直径10mmの円筒シリンダーに巻いて固定し、前記シリンダーに固定した前記測定サンプルを60℃/90RH%で24時間放置した後、前記測定サンプルを前記シリンダーから解除してから平らな面上に立てた後、25℃/50RH%で24時間再放置したとき、前記平らな面の垂直方向から見下ろした前記測定サンプルの形態が、一端と他端とが重なる円を描く場合は円の最大直径として定義され、前記測定サンプルの一端と他端とが重ならない弧を描く場合は弧の最大直線距離として定義される。
【0009】
前記バッファー層は、ウレタンアクリレート樹脂を含むことができる。
【0010】
前記バッファー層は、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことができる。
【0011】
前記ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、下記化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物;下記化学式2で表されるアルコキシシラン化合物;及び下記化学式3で表されるジオール化合物;を含む組成物によって形成され得る。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、Rは、C1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、R及びRは、それぞれ独立してC1~C6の線状、分岐状又は脂環式アルキレン基で、Rは、アクリレート基又はメタクリレート基で、nは、1乃至3の整数である。
【0014】
[化学式2]
Si(OR4-m
【0015】
前記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立してC1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、mは、0乃至3の整数である。
【0016】
[化学式3]
HO-R-OH
【0017】
前記化学式3において、Rは、C1~C6の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基である。
【0018】
前記Rは、ヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基であり得る。
【0019】
前記Rは、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうち一つに由来するアクリレート基であり得る。
【0020】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシラン(Tetraalkoxy silane)を含むことができる。
【0021】
前記ジオール化合物は、エチレングリコール(ethylene glycol)を含むことができる。
【0022】
前記バッファー層は、10μm乃至150μmの厚さを有することができる。
【0023】
前記光透過性基材は、10μm乃至100μmの厚さを有することができる。
【0024】
前記光学フィルムは、3,600MPa乃至4,700MPaの弾性モジュラスを有することができる。
【0025】
前記光学フィルムは、12mNを基準にして、60%乃至100%の復元率(nIT)を有することができる。
【0026】
前記光学フィルムは、ハードコーティング層をさらに含むことができる。
【0027】
前記ハードコーティング層は、0.1μm乃至10μmの厚さを有することができる。
【0028】
本発明の他の一実施例は、表示パネル;及び前記表示パネル上に配置された前記光学フィルム;を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によると、バッファー層を含むことによって、フォールディング時にもフォールディング跡が発生しないか、フォールディング跡が迅速に復元され、耐衝撃性に優れた光学フィルムを提供することができる。
【0030】
また、本発明の一実施例によると、フォールディング跡が視認されない光学フィルムを提供することができる。
【0031】
本発明の他の一実施例は、フォールディング跡が改善された光学フィルムを含む表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図2】本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図3】最大復元長さを測定する方法を説明するフローチャートである。
図4】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図5】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図6】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図7】本発明の更に他の一実施例に係る表示装置の一部に対する断面図である。
図8図7の「P」部分に対する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付の図面を参照して本発明の各実施例を詳細に説明する。ただし、下記で説明する各実施例は、本発明の明確な理解を促進するための例示的な目的で提示されるものに過ぎず、本発明の範囲を制限しない。
【0034】
本発明の各実施例を説明するための図面に示した形状、大きさ、比率、角度、個数などは、例示的なものであるので、本発明が図面に示した事項に限定されることはない。明細書全体にわたって同一の構成要素は、同一の参照符号で称され得る。本発明を説明するにおいて、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にし得ると判断される場合、それについての詳細な説明は省略する。
【0035】
本明細書で言及した「含む」、「有する」、「構成される」などが使用される場合、「~のみ」という表現が使用されない以上、他の部分が追加され得る。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む。また、構成要素を解釈するにおいて、別途の明示的な記載がないとしても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0036】
位置関係に対する説明において、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などのように二つの部分の位置関係が説明される場合、「直ぐ」又は「直接」という表現が使用されない以上、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置し得る。
【0037】
空間的に相対的な用語である「下(below、beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示しているように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示している方向に加えて、使用時又は動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語として理解しなければならない。例えば、図面に示している素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」又は「下(beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上(above)」に置かれ得る。よって、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を全て含むことができる。同様に、例示的な用語である「上」は、上と下の方向を全て含むことができる。
【0038】
時間関係に対する説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などのように時間的先後関係が説明される場合、「直ぐ」又は「直接」という表現が使用されない以上、連続的でない場合も含むことができる。
【0039】
「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって制限されない。これらの用語は、ただ一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0040】
「少なくとも一つ」という用語は、一つ以上の関連項目から提示可能な全ての組み合わせを含むものと理解しなければならない。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目又は第3項目のそれぞれのみならず、第1項目、第2項目及び第3項目のうち2個以上から提示され得る全ての項目の組み合わせを意味し得る。
【0041】
本発明の多くの実施例のそれぞれの特徴が部分的に又は全体的に互いに結合又は組み合わせ可能で、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立的に実施可能であってもよく、連関関係で共に実施されてもよい。
【0042】
図1は、本発明の一実施例に係る光学フィルムの断面図で、図2は、本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
【0043】
本発明の一実施例は、光学フィルムを提供する。本発明の一実施例に係る光学フィルムは、光透過性基材110及びバッファー層120を含む。図1に示したように、本発明の光学フィルムにおいては、光透過性基材110の下面にバッファー層120が形成され得る。しかし、本発明がこれに限定されることはなく、図2に示したように、本発明の光学フィルムは、光透過性基材110の上面にバッファー層120が形成されてもよい。又は、図面には示していないが、光透過性基材110の上面及び下面の全てにバッファー層120が配置されてもよい。バッファー層120は、必要によって任意の位置に配置されてもよく、光透過性基材110とバッファー層120との間に更に他の層が形成されてもよい。ただし、バッファー層120が光透過性基材110の上面に形成される場合、バッファー層120の硬度が低くなり、光学フィルムの耐久性及び耐スクラッチ性が低下し得るので、バッファー層120は、光透過性基材110の下面に形成されることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の一実施例に係る光透過性基材110としては、光が透過し得るものであればいずれも使用可能である。例えば、光透過性基材110は、ガラス又は高分子樹脂を含むことができる。特に、高分子樹脂は、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れるので、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに適している。
【0045】
高分子樹脂は、フィルムに固形分粉末の形態、溶液に溶解されている形態、溶液に溶解した後で固体化したマトリックスの形態などの多様な形状及び形態で含まれてもよく、本発明と同一の反復単位を含む樹脂であれば、形状及び形態を問わず、いずれも本発明の高分子樹脂と同一のものとして見なすことができる。一般に、フィルム内の高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布した後、乾燥させて固体化したマトリックスの形態で存在し得る。
【0046】
本発明の一実施例に係る高分子樹脂としては、光透過性樹脂であればいずれも使用可能である。例えば、高分子樹脂は、シクロオレフィン系誘導体、セルロース系高分子、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリアミド系高分子、ポリアミドイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリアクリル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエチレン系高分子、ポリプロピレン系高分子、ポリメチルペンテン系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリ塩化ビニリデン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、ポリビニルアセタール系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルエーテルケトン系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子、ポリエチレンテレフタレート系高分子、ポリブチレンテレフタレート系高分子、ポリエチレンナフタレート系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリウレタン系高分子及びエポキシ系高分子から選ばれた少なくとも一つを含むことができる。好ましくは、本発明の一実施例に係る高分子樹脂は、ポリイミド系高分子、ポリアミド系高分子及びポリアミド-イミド系高分子のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0047】
本発明の一実施例によると、光透過性基材110は、ポリイミド系基材、ポリアミド系基材及びポリアミド-イミド系基材のうちいずれか一つであり得る。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されることはなく、光透過性を有する基材であれば、本発明の一実施例に係る光透過性基材110になり得る。
【0048】
本発明の一実施例によると、光学フィルムは、光学フィルムの最大復元長さが40mm乃至100mmである。
【0049】
前記最大復元長さは、前記光学フィルムから取得した横50mm×縦100mmサイズの測定サンプルを縦方向に直径10mmの円筒シリンダーに巻いて固定し、前記シリンダーに固定した前記測定サンプルを60℃/90RH%で24時間放置した後、前記測定サンプルを前記シリンダーから解除してから平らな面上に立てた後、25℃/50RH%で24時間再放置したとき、前記平らな面の垂直方向から見下ろした前記測定サンプルの形態が、一端と他端とが重なる円を描く場合は円の最大直径として定義され、前記測定サンプルの一端と他端とが重ならない弧を描く場合は弧の最大直線距離として定義される。
【0050】
以下では、図面を参照して、本発明の最大復元長さをより詳細に説明する。
【0051】
図3は、最大復元長さを測定する方法を説明するフローチャートである。
【0052】
図3において、(a)は、円筒シリンダーを示したもので、(b)は、測定サンプルを円筒シリンダーに巻いて固定したことを示したもので、(c)は、シリンダーから測定サンプルを解除し、平らな面上に立てたことを示したもので、(d)及び(e)は、測定サンプルの最大直径を測定することを示したものである。
【0053】
図3に示したように、60℃/90RH%で24時間にわたってシリンダーに固定した後、解除してから平らな面上に立てると、測定サンプルは再び元の状態に戻ろうとする。しかし、光学フィルムの弾性及び柔軟性が不足するほど、測定サンプルは回復できず、巻かれた円の形態を描くようになり、弾性及び柔軟性に優れた光学フィルムの測定サンプルは緩やかな弧の形態を描くようになる。このとき、円の形態とは、測定サンプルの一端と他端の一定部分以上が互いに重なることを言い、弧の形態とは、一端と他端とが互いに重なり合わないことを言う。測定サンプルが円の形態を描く場合は、該当の円の最大直径を最大復元長さと言い、測定サンプルが弧の形態を描く場合は、該当の弧上に存在する互いに異なる二つの点の最大直線距離を最大復元長さと言う。
【0054】
本発明の一実施例によると、光学フィルムの最大復元長さが40mm未満である場合、フォールディング後の光学フィルムの復元率が低いので、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに困難がある。また、フォールディング跡が発生し、視認性が低下する。
【0055】
本発明の一実施例によると、光学フィルムが40mm乃至100mmの最大復元長さを有するためにバッファー層120を含む。バッファー層120は、光透過性基材110の両面のうち少なくとも一つの面上に形成され得る。バッファー層120は、光透過性基材110の上面方向に形成されてもよく、下面方向に形成されてもよく、上面及び下面方向に形成されてもよい。耐久性及び耐スクラッチ性を向上させるために、下面方向にバッファー層120が形成されることが好ましい。バッファー層120は、光透過性基材110と直接接することもでき、バッファー層120と光透過性基材110との間に更に他の層が配置されてもよい。
【0056】
本発明の一実施例によると、バッファー層120は、ウレタンアクリレート樹脂を含むことができる。
【0057】
本発明の一実施例によると、バッファー層120は、好ましくは、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことができる。
【0058】
本発明の一実施例によると、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、下記化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物;下記化学式2で表されるアルコキシシラン化合物;及び下記化学式3で表されるジオール化合物;を含む組成物によって形成され得る。
【0059】
【化2】
【0060】
前記化学式1において、Rは、C1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、R及びRは、それぞれ独立してC1~C6の線状、分岐状又は脂環式アルキレン基で、Rは、アクリレート基又はメタクリレート基で、nは、1乃至3の整数である。
【0061】
[化学式2]
Si(OR4-m
【0062】
前記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立してC1~C8の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基で、mは、0乃至3の整数である。
【0063】
[化学式3]
HO-R-OH
【0064】
前記化学式3において、Rは、C1~C6の脂肪族又は芳香族炭化水素に由来する官能基である。
【0065】
本発明に係るバッファー層120が、前記化学式1乃至3で表される各化合物を含む組成物によって形成されるウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことによって、バッファー層120を含む光学フィルムは、40mm乃至100mmの最大復元長さを有することができる。
【0066】
より具体的には、本発明に係るウレタンアクリレートシロキサン樹脂が、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物を含むことによって、バッファー層120は、表示装置のフォールディング時、光学フィルムの下部の内部基板に加えられる引張力又は圧縮力を緩衝させる役割をすることによって、フォールディング時に発生するフォールディング跡を減少させることができる。
【0067】
本発明に係るウレタンアクリレートシロキサン樹脂が、化学式2で表されるアルコキシシラン化合物を含むことによって、バッファー層120に適切な硬度を与えることができ、それによって、外力による光学フィルムの変形を最小化することができる。
【0068】
本発明に係るウレタンアクリレートシロキサン樹脂が、化学式3で表されるジオール化合物を含むことによって、バッファー層120の柔軟性を極大化させ、弾性を付与することができ、また、光透過性基材110上にバッファー層120をコーティングするとき、コーティング面の平滑度を向上させることができる。それによって、光学フィルムのフォールディング時、光透過性基材110からバッファー層120が剥離されることを防止し、光学フィルムのフォールディング信頼性を向上させることができる。
【0069】
本発明の一実施例によると、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物を9:1乃至5:5のモル比で含むことができる。好ましくは、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物を8:2乃至6:4のモル比で含むことができる。
【0070】
化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物が、9:1のモル比である場合よりも、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物のモル量が大きい、例えば、10:0のモル比であり、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物のみを含む場合は、バッファー層120の硬度特性が非常に低下するので硬くなくなり、柔らかいバッファー層120を形成するので、外部衝撃による復元力が低下するという問題が発生し得る。また、化学式2で表されるアルコキシシラン化合物なしで、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物のみを含む場合は、重合反応自体が著しく低下するという問題がある。
【0071】
その一方で、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物が、5:5のモル比である場合よりも、化学式2で表されるアルコキシシラン化合物のモル量が大きい場合、バッファー層120の柔軟性が低下するので非常に硬くなり、フィルムのコーティング層として使用するときにバッファー層120が割れるおそれがあり、また、バッファー層120の弾性が低下するので、復元力が低下するという問題がある。
【0072】
したがって、バッファー層120に適当な硬度及び弾性を与えるためには、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物が9:1乃至5:5のモル比で含まれなければならない。
【0073】
本発明の一実施例によると、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は、「化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物全体」及び「化学式3で表されるジオール化合物」を8:2乃至3:7のモル比で含むことができる。
【0074】
「化学式3で表されるジオール化合物」に対する「化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物全体」のモル比が8:2より大きい場合、バッファー層120の柔軟性及び弾性が低下し、フォールディング時にバッファー層120が割れたり、クラックが発生し得るという問題がある。また、バッファー層120のコーティング面の平滑度が減少し、光透過性基材110からバッファー層120が剥離される現象が発生することもある。
【0075】
その一方で、「化学式3で表されるジオール化合物」に対する「化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表されるアルコキシシラン化合物全体」のモル比が5:5より小さい場合、低硬度の柔らかいバッファー層120を形成するので、外部衝撃に対する復元力が低下するという問題が発生し得る。
【0076】
本発明の一実施例によると、化学式1のRは、ヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基であり得る。具体的には、例えば、Rは、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうち一つに由来するアクリレート基であり得る。
【0077】
本発明の一実施例によると、化学式1で表されるウレタンアクリレートシラン化合物は、下記化学式4で表されるシラン化合物、及び下記化学式5で表されるシラン化合物のうち少なくとも一つのシラン化合物を含むことができる。
【0078】
【化3】
【0079】
【化4】
【0080】
本発明の一実施例によると、化学式2で表されるアルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシラン(Si(OR、Tetraalkoxy silane)を含むことができる。ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物がテトラアルコキシシランを含むことによって、バッファー層120に適切な硬度を付与し、外力による光学フィルムの変形を最小化することができる。その一方で、トリアルコキシシラン又はジアルコキシシランを含む場合は、バッファー層120の硬度向上が低調となり、外力による光学フィルムの変形程度が増加し得る。
【0081】
本発明の一実施例によると、化学式3で表されるジオール化合物は、エチレングリコールを含むことができる。ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物がエチレングリコールを含むことによって、バッファー層120の柔軟性が増加し、優れた弾性を有することができる。それによって、光学フィルムの最大復元長さが改善され得る。
【0082】
本発明の一実施例によると、光透過性基材110は、10μm乃至100μmの厚さを有することができる。光透過性基材110の厚さが10μm未満である場合は、耐久性及び耐熱性が減少し、カバーウィンドウとして使用するのに不適切である。その一方で、光透過性基材110の厚さが100μm超過である場合は、光学フィルムの厚さが過度に厚くなるので、フォールディング時の最小曲率半径が増加し、光学フィルムの屈曲特性が低下し、光透過率の減少によって視認性が減少する。
【0083】
本発明の一実施例によると、バッファー層120は、10μm乃至150μmの厚さを有することができる。バッファー層120の厚さが10μm未満である場合は、バッファー層120のフォールディング跡及び耐衝撃性の改善効果が微々たるものとなる。その一方で、バッファー層120の厚さが150μm超過である場合は、光学フィルムの厚さが過度に厚くなるので、フォールディング時の最小曲率半径が増加し、光学フィルムの屈曲特性が低下する。
【0084】
本発明の一実施例によると、本発明の光学フィルムは、3,600MPa乃至4,700MPaの弾性モジュラスを有することができる。
【0085】
光学フィルムの弾性モジュラスは、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Nanoindentation)(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定することができる。
【0086】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、12mNを基準にして、60%乃至100%の復元率(nIT)を有することができる。光学フィルムの復元率(12mN)は、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定することができる。復元率(12mN)の測定時、バッファー層120を下方向とし、光透過性基材110を上方向とした状態で、上層基材の物性を測定する方式で実施する。本発明の光学フィルムは、バッファー層120を含むことによって、60%以上の復元率(nIT;12mN)を有することができる。
【0087】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、220N/mm乃至310N/mmの複合硬度を有することができる。
【0088】
光学フィルムの複合硬度は、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定することができる。複合硬度の測定時、バッファー層120を下方向とし、光透過性基材110を上方向とした状態で、上層基材の物性を測定する方式で実施する。
【0089】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、R3.5以下のクラックポイントを有することができる。
【0090】
光学フィルムのクラックポイントは、JUNIL Tech社、JIRBT-620-2 Radius Bending Testerを用いて曲率半径を減少させながら、クラックの発生地点を確認して測定することができる。クラックの発生地点のR値がクラックポイントである。
【0091】
以下では、図4乃至図6を参照して、本発明の他の一実施例を詳細に説明する。図4乃至図5は、ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
【0092】
本発明の他の一実施例によると、光学フィルムは、ハードコーティング層130をさらに含むことができる。図4に示したように、本発明の光学フィルムにおいては、バッファー層120の上面にハードコーティング層130が形成され得る。しかし、本発明がこれに限定されることはなく、図5に示したように、光透過性基材110の下面にバッファー層120が形成され、光透過性基材110の上面にハードコーティング層130が形成されてもよい。また、図6に示したように、本発明に係る光学フィルムは、光透過性基材110の上面及び下面の全てにバッファー層120が形成され、上部バッファー層120の上面にハードコーティング層130が形成されてもよい。バッファー層120及びハードコーティング層130は、必要によって任意の位置に任意の数で配置されてもよく、光透過性基材110とバッファー層120との間、光透過性基材110とハードコーティング層130との間、又は、バッファー層120とハードコーティング層130との間に更に他の層が形成されてもよい。
【0093】
本発明の光学フィルムがハードコーティング層130をさらに含むことによって、光学フィルムの耐久性及び耐スクラッチ性などの機械的特性が向上し得る。
【0094】
本発明の他の一実施例によると、ハードコーティング層130は、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂及びアクリレート系樹脂のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0095】
本発明の他の一実施例によると、ハードコーティング層130は、0.1μm乃至10μmの厚さを有することができる。ハードコーティング層130の厚さが0.1μm未満である場合は、ハードコーティング層130による耐久性及び耐スクラッチ性の向上が低調となる。その一方で、ハードコーティング層130の厚さが10μm超過である場合は、光学フィルムの抗力が増加し、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに困難がある。
【0096】
本発明の一実施例によると、光学フィルムは光透過性を有する。また、光学フィルムはフレキシブル特性を有する。例えば、光学フィルムは、ベンディング(bending)特性、フォールディング(folding)特性及びローラブル(rollable)特性を有する。光学フィルムは、優れた機械的特性及び光学的特性を有することができる。
【0097】
本発明の一実施例によると、光学フィルムは、光学フィルムが表示パネルを保護するのに十分な程度の厚さを有することができる。例えば、光学フィルムは、20μm乃至300μmの厚さを有することができる。
【0098】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、100μmの厚さを基準にして、5.0以下の黄色度を有することができる。また、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、100μmの厚さを基準にして、4.0以下の黄色度を有することもでき、2.0以下の黄色度を有することもできる。
【0099】
黄色度は、SPECTRO PHOTOMETER CM-3700/KONICA MINOLTA/D65、2°、透過率(Transmittance)によって測定され得る。
【0100】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、100μmの厚さを基準にして、UV分光光度計で測定された可視光線領域で88.00%以上の光透過度を有することができる。また、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、50μmの厚さを基準にして、90%以上の光透過度を有することもでき、91%以上の光透過度を有することもできる。
【0101】
光透過度は、標準規格JIS K 7361によって分光光度計(spectrophotometer)を用いて波長360nm乃至740nmの範囲で測定され得る。分光光度計として、例えば、ヘーズメーター(Hazemeter)HM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYが使用され得る。
【0102】
本発明の一実施例に係る光学フィルムは、100μmの厚さを基準にして、2.0以下のヘーズを有することができる。また、本発明の一実施例に係る光学フィルムは、100μmの厚さを基準にして、1.0以下のヘーズを有することもでき、0.5以下のヘーズを有することもできる。
【0103】
ヘーズは、標準規格JIS K 7136によって分光光度計を用いて測定され得る。分光光度計として、例えば、ヘーズメーターHM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYが使用され得る。
【0104】
以下、図7及び図8を参照して、本発明の一実施例に係る光学フィルムが使用された表示装置に対して説明する。
【0105】
図7は、本発明の更に他の一実施例に係る表示装置200の一部に対する断面図で、図8は、図7の「P」部分に対する拡大断面図である。
【0106】
図7を参照すると、本発明の他の一実施例に係る表示装置200は、表示パネル501、及び表示パネル501上の光学フィルム100を含む。
【0107】
図7及び図8を参照すると、表示パネル501は、基板510、基板510上の薄膜トランジスタ(TFT)、及び薄膜トランジスタ(TFT)と連結された有機発光素子570を含む。有機発光素子570は、第1電極571、第1電極571上の有機発光層572、及び有機発光層572上の第2電極573を含む。図7及び図8に示した表示装置200は有機発光表示装置である。
【0108】
基板510は、ガラス又はプラスチックで製造され得る。具体的には、基板510は、高分子樹脂又は光学フィルムなどのプラスチックで製造され得る。図面には示していないが、基板510上にバッファー層が配置され得る。
【0109】
薄膜トランジスタ(TFT)は基板510上に配置される。薄膜トランジスタ(TFT)は、半導体層520と、半導体層520と絶縁され、半導体層520の少なくとも一部と重畳するゲート電極530と、半導体層520と連結されたソース電極541と、ソース電極541と離隔して半導体層520と連結されたドレーン電極542とを含む。
【0110】
図8を参照すると、ゲート電極530と半導体層520との間にゲート絶縁膜535が配置される。ゲート電極530上に層間絶縁膜551が配置され、層間絶縁膜551上にソース電極541及びドレーン電極542が配置され得る。
【0111】
平坦化膜552は、薄膜トランジスタ(TFT)上に配置され、薄膜トランジスタ(TFT)の上部を平坦化させる。
【0112】
第1電極571は、平坦化膜552上に配置される。第1電極571は、平坦化膜552に備えられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ(TFT)と連結される。
【0113】
バンク層580は、第1電極571の一部及び平坦化膜552上に配置され、画素領域又は発光領域を定義する。例えば、バンク層580が複数の画素の間の境界領域にマトリックス構造で配置されることによって、バンク層580によって画素領域が定義され得る。
【0114】
有機発光層572は第1電極571上に配置される。有機発光層572は、バンク層580上にも配置され得る。有機発光層572は、一つの発光層を含むこともでき、上下に積層された2個の発光層を含むこともできる。このような有機発光層572からは、赤色、緑色及び青色のうちいずれか一つの色を有する光が放出されてもよく、白色(White)光が放出されてもよい。
【0115】
第2電極573は有機発光層572上に配置される。
【0116】
第1電極571、有機発光層572及び第2電極573が積層されることによって有機発光素子570が構成され得る。
【0117】
図面には示していないが、有機発光層572が白色光を発光する場合、個別画素は、有機発光層572から放出される白色光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルターを含むことができる。カラーフィルターは、光の移動経路上に形成される。
【0118】
第2電極573上に薄膜封止層590が配置され得る。薄膜封止層590は、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を含むことができ、少なくとも一つの有機膜と少なくとも一つの無機膜とが交互に配置され得る。
【0119】
以上説明した積層構造を有する表示パネル501上に、本発明に係る光学フィルム100が配置される。
【0120】
以下、例示的な製造例、実施例及び比較例を参照して本発明をより具体的に説明する。しかし、以下で説明する製造例、実施例及び比較例によって本発明が限定されることはない。
【0121】
<製造例1:光透過性基材用高分子樹脂組成物の製造>
【0122】
4つ口の二重ジャケット反応槽において、TFDB 80.06g(250mmol)(ジアミン系化合物)をジメチルアセトアミド(DMAc)(溶媒)に溶解した。これに、19.86g(68mmol)のBPDA(ジアンハイドライド系化合物)を投入し、反応器の温度を25℃に2時間維持しながら撹拌した。反応が完了すると、6FDA(ジアンハイドライド系化合物)13.33g(30mmol)を入れ、1時間にわたって25℃で撹拌した。その後、TPC 29.945g(154mmol)を投入し、1時間にわたって15℃で撹拌した。
【0123】
重合反応が終了した後、前記反応液に、イミド化触媒であるピリジン(pyridine、Py)(16.97g)及び脱水剤である酢酸無水物(acetic anhydride、AA)(21.97g)を投入した後、温度を80℃に上げて1時間にわたって撹拌した。これを常温に冷やし、メタノール(3000ml)に注ぎながら沈澱を行った。沈殿物をろ過し、白色固体状態の高分子樹脂を獲得した。獲得された高分子樹脂は、固体粉末状態である。製造例1で製造された高分子樹脂は、ポリアミド-イミド高分子樹脂である。
【0124】
このように獲得された固体粉末状態の高分子樹脂をジメチルアセトアミド(DMAc)に12.7wt%の濃度で溶解し、高分子樹脂組成物を製造した。
【0125】
<製造例2:バッファー層用ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物の製造>
【0126】
<製造例2-1>
【0127】
1)下記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラー(Mechanical Stirrer)を用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0128】
【化5】
【0129】
2)前記1)段階で得た反応物353g(0.90mmol)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)21g(0.10モル)、HO 28g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0130】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,512で、PDIは1.8である。
【0131】
<製造例2-2>
【0132】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0133】
2)前記1)段階で得た反応物314g(0.80モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)42g(0.20モル)、HO 29g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0134】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,785で、PDIは2.1である。
【0135】
<製造例2-3>
【0136】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0137】
2)前記1)段階で得た反応物274g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 30g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0138】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,965で、PDIは2.2である。
【0139】
<製造例2-4>
【0140】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0141】
2)前記1)段階で得た反応物235g(0.60モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)83g(0.40モル)、HO 31g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0142】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,754で、PDIは1.9である。
【0143】
<製造例2-5>
【0144】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0145】
2)前記1)段階で得た反応物196g(0.50モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)104g(0.50モル)、HO 32g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0146】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,498で、PDIは1.8である。
【0147】
<製造例2-6>
【0148】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、2-HEA)255g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0149】
2)前記1)段階で得た反応物255g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 30g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0150】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,836で、PDIは2.0である。
【0151】
<製造例2-7>
【0152】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0153】
2)前記1)段階で得た反応物274g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 24g(1.33モル)、エチレングリコール(Sigma-Aldrich社)20g(0.33モル)、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0154】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,415で、PDIは1.6である。
【0155】
<製造例2-8>
【0156】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0157】
2)前記1)段階で得た反応物274g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 21g(1.17モル)、エチレングリコール(Sigma-Aldrich社)31g(0.50モル)、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0158】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,232で、PDIは1.4である。
【0159】
<製造例2-9>
【0160】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0161】
2)前記1)段階で得た反応物274g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 15g(0.83モル)、エチレングリコール(Sigma-Aldrich社)51g(0.83モル)、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0162】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,485で、PDIは1.6である。
【0163】
<製造例2-10>
【0164】
1)前記化学式6で表される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社、4-HBA)317g(2.20モル)、及びトリエチルアミン11gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて常温で24時間にわたって撹拌して反応させた。
【0165】
2)前記1)段階で得た反応物274g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)62g(0.30モル)、HO 9g(0.5モル)、エチレングリコール(Sigma-Aldrich社)72g(1.16モル)、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0166】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は2,132で、PDIは1.3である。
【0167】
<製造例2-11>
【0168】
1)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane、Shinetsu社、KBM-503)223g(0.90モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)21g(0.10モル)、HO 28g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、シロキサン樹脂組成物を収得した。
【0169】
GPCを用いて測定したシロキサン樹脂の重量平均分子量は6,736で、PDIは2.6である。
【0170】
<製造例2-12>
【0171】
1)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane、Shinetsu社、KBM-503)124g(0.50モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)104g(0.50モル)、HO 32g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、シロキサン樹脂組成物を収得した。
【0172】
GPCを用いて測定したシロキサン樹脂の重量平均分子量は6,532で、PDIは2.8である。
【0173】
<製造例2-13>
【0174】
1)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane、Shinetsu社、KBM-503)99g(0.40モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)125g(0.60モル)、HO 32g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、シロキサン樹脂組成物を収得した。
【0175】
GPCを用いて測定したシロキサン樹脂の重量平均分子量は6,281で、PDIは2.9である。
【0176】
<製造例3:ハードコーティング層用樹脂組成物の製造>
【0177】
1)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane、Shinetsu社、KBM-503)223g(0.90モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社、Dynasylan A)21g(0.10モル)、HO 28g、及びNaOH 0.1gを500mLのガラス反応器に入れ、メカニカルスターラーを用いて80℃で8時間にわたって撹拌して反応させ、シロキサン樹脂組成物を収得した。
【0178】
GPCを用いて測定したウレタンアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は6,736で、PDIは2.6である。
【0179】
<実施例1>
【0180】
1)前記製造例1の高分子樹脂組成物溶液をキャスティングした。キャスティングのためにキャスティング基板が使用される。キャスティング基板の種類には特別な制限がない。キャスティング基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などが使用され得る。本発明の一実施例によると、キャスティング基板として有機基板が使用され得る。
【0181】
具体的には、製造例1の高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布してキャスティングし、80℃の熱風で20分間、120℃で20分間乾燥させることによって光透過性基材を製造した後、製造された光透過性基材をガラス基板から剥離してからフレームにピンで固定した。
【0182】
光透過性基材が固定されたフレームをオーブンに入れ、290℃の等温で30分の熱風で乾燥させた。その結果、50μmの厚さの光透過性基材が完成した。
【0183】
2)前記製造例2-1のウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物10g、2-ブタノン(2-butanone、MEK)10g、及び1-ベンゾイルシクロヘキサノール(1-benzoylcyclohexanol、BASF社のIRGACURE 184)0.1gを混合した後、この混合物をメーヤバー(Mayer Bar)又はアプリケーターを用いて前記1)で製造された光透過性基材上に塗布することによって塗膜を形成した。
【0184】
ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物が塗布された光透過性基材を100℃のオーブンで10分間乾燥させた後、UV露光(150mW/cm、2J/cm)を行い、バッファー層がコーティングされた光学フィルムを製造した。バッファー層の厚さは20μmで、このとき、光透過性基材が光学フィルムの上面で、バッファー層が光学フィルムの下面である。
【0185】
<実施例2乃至実施例14>
【0186】
実施例1と同一の方法で、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物及びバッファー層の厚さのみを異ならせることによって実施例2乃至実施例14の光学フィルムを製造した。
【0187】
実施例2乃至実施例14の具体的なウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物及びバッファー層の厚さは、下記表1の通りである。
【0188】
<実施例15>
【0189】
1)実施例8と同一の方法で光学フィルムを製造した。
【0190】
2)実施例8の光学フィルムの上面(光透過性基材の上面)に前記製造例3のハードコーティング層用樹脂組成物を塗布した後、メーヤバーを用いて塗膜を形成した。
【0191】
ハードコーティング層用樹脂組成物が塗布された光学フィルムを100℃のオーブンに10分間乾燥させた後、UV露光(100mW/cm、1J/cm)を行い、ハードコーティング層が形成された光学フィルムを製造した。ハードコーティング層の厚さは5μmである。
【0192】
実施例15の具体的なウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物は、下記表1の通りである。
【0193】
<比較例1>
【0194】
1)前記製造例1の高分子樹脂組成物溶液をキャスティングした。キャスティングのためにキャスティング基板が使用される。キャスティング基板の種類には特別な制限がない。キャスティング基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などが使用され得る。本発明の一実施例によると、キャスティング基板として有機基板が使用され得る。
【0195】
具体的には、製造例1の高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布してキャスティングし、80℃の熱風で20分間、120℃で20分間乾燥させることによって光透過性基材を製造した後、製造された光透過性基材をガラス基板から剥離してからフレームにピンで固定した。
【0196】
光透過性基材が固定されたフレームをオーブンに入れ、290℃の等温で30分の熱風で乾燥させた。その結果、50μmの厚さの光透過性基材が完成した。
【0197】
2)前記製造例2-11のシロキサン樹脂組成物10g、2-ブタノン(2-butanone、MEK)10g、及び1-ベンゾイルシクロヘキサノール(1-benzoylcyclohexanol、BASF社のIRGACURE 184)0.1gを混合した後、この混合物をメーヤバー又はアプリケーターを用いて前記1)で製造された光透過性基材上に塗布することによって塗膜を形成した。
【0198】
シロキサン樹脂組成物が塗布された光透過性基材を100℃のオーブンで10分間乾燥させた後、UV露光(150mW/cm、2J/cm)を行い、バッファー層がコーティングされた光学フィルムを製造した。バッファー層の厚さは20μmで、このとき、光透過性基材が光学フィルムの上面で、バッファー層が光学フィルムの下面である。
【0199】
<比較例2>
【0200】
前記比較例1と同一の方法で、シロキサン樹脂組成物のみを異ならせることによって比較例2の光学フィルムを製造した。
【0201】
比較例2の具体的なシロキサン樹脂組成物及びバッファー層の厚さは、下記表1の通りである。
【0202】
<比較例3>
【0203】
前記比較例1と同一の方法で、シロキサン樹脂組成物のみを異ならせることによって比較例3の光学フィルムを製造した。
【0204】
比較例3の具体的なシロキサン樹脂組成物及びバッファー層の厚さは、下記表1の通りである。
【0205】
【表1】
【0206】
<測定例>
【0207】
実施例1乃至実施例15及び比較例1乃至比較例3で製造された高分子樹脂及びフィルムに対して、次のような測定を実行した。
【0208】
1)最大復元長さ(mm):光学フィルムから取得した横50mm×縦100mmサイズの測定サンプルを縦方向に直径10mmの円筒シリンダーに巻いて固定し、前記シリンダーに固定した前記測定サンプルを60℃/90RH%で24時間放置した後、前記測定サンプルを前記シリンダーから解除してから平らな面上に立てた後、25℃/50RH%で24時間再放置したとき、前記平らな面の垂直方向から見下ろした前記測定サンプルの形態が、一端と他端とが重なる円を描く場合は円の最大直径として定義され、前記測定サンプルの一端と他端とが重ならない弧を描く場合は弧の最大直線距離として定義される。
【0209】
2)弾性モジュラス(EIT、MPa):弾性モジュラスは、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定した。
【0210】
3)12mN復元率(nIT、%):光学フィルムの復元率(12mN)は、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定した。
【0211】
4)光透過度(%):標準規格JIS K 7361によって分光光度計を用いて波長360nm乃至740nmの範囲で測定した。分光光度計としては、ヘーズメーターHM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYを使用した。
【0212】
5)ヘーズ:標準規格JIS K 7136によって分光光度計を用いて測定した。分光光度計としては、ヘーズメーターHM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYを使用した。
【0213】
6)複合硬度(N/mm):複合硬度は、12mN/12s/Creep 5s/24℃、40RH%の条件でナノインデンテーション(Fischer社、HM2000モデル)を用いて測定した。複合硬度の測定時、バッファー層120を下方向とし、光透過性基材110を上方向とした状態で、上層基材の物性を測定する方式で実施した。
【0214】
7)クラックポイント(Crack point、R):クラックポイントは、JUNIL Tech社、JIRBT-620-2 Radius Bending Testerを用いて曲率半径を減少させながら、クラックの発生地点を確認して測定した。クラックの発生地点のR値がクラックポイントである。
【0215】
測定結果は、次の表2の通りである。
【0216】
【表2】
【0217】
前記表2の測定結果に開示したように、本発明の実施例1乃至実施例15の光学フィルムは、最大復元長さが40mm乃至100mmのフィルムであって、クラックポイントが3.5R以下で、フォールディング後の復元率に優れていた。しかし、比較例1乃至比較例3の光学フィルムは、最大復元長さが40mm未満であって、クラックポイントが3.5R以上で、フォールディング後の復元率が低調となった。
【符号の説明】
【0218】
100 光学フィルム
110 光透過性基材
120 バッファー層
130 ハードコーティング層
200 表示装置
501 表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図1】本発明の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図2】本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図3図3A~3Eは、最大復元長さを測定する方法を説明するための図である。
図4】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図5】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図6】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例に係る光学フィルムの断面図である。
図7】本発明の更に他の一実施例に係る表示装置の一部に対する断面図である。
図8図7の「P」部分に対する拡大断面図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
図3A~図3Eは、最大復元長さを測定する方法を説明するための図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
図3は、円筒シリンダー602を示したもので、図3Bは、測定光学フィルムのサンプル601を円筒シリンダー602に巻いて固定したことを示したもので、図3Cは、シリンダー602から測定サンプル601を解除し、平らな面上に立てたことを示したもので、図3D及び図3Eは、測定サンプル601の最大直径を測定することを示したものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
図3A~図3Eに示したように、60℃/90RH%で24時間にわたってシリンダー602に固定した後、解除してから平らな面上に立てると、測定サンプル601は再び元の状態に戻ろうとする。しかし、光学フィルムの弾性及び柔軟性が不足するほど、測定サンプル601は回復できず、巻かれた円の形態を描くようになり、弾性及び柔軟性に優れた光学フィルムの測定サンプル601は緩やかな弧の形態を描くようになる。このとき、円の形態とは、測定サンプル601の一端と他端の一定部分以上が互いに重なることを言い、弧の形態とは、一端と他端とが互いに重なり合わないことを言う。測定サンプル601が円の形態を描く場合は、該当の円の最大直径を最大復元長さと言い、測定サンプル601が弧の形態を描く場合は、該当の弧上に存在する互いに異なる二つの点の最大直線距離を最大復元長さと言う。
【国際調査報告】