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特表2024-513308酸化セリウム粒子、その製造プロセス及び化学機械研磨でのその使用
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  • 特表-酸化セリウム粒子、その製造プロセス及び化学機械研磨でのその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】酸化セリウム粒子、その製造プロセス及び化学機械研磨でのその使用
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/235 20200101AFI20240315BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240315BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240315BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240315BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C01F17/235
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
B24B37/00 H
H01L21/304 622B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553737
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2022056265
(87)【国際公開番号】W WO2022189597
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21162225.3
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プリッソノー, マリ
(72)【発明者】
【氏名】トス, レカ
(72)【発明者】
【氏名】ダレンコン, ローリアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビュイセット, ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ブドー, ミカエル
【テーマコード(参考)】
3C158
4G076
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB03
3C158CB04
3C158CB05
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158ED02
3C158ED11
3C158ED21
3C158ED26
4G076AA02
4G076AB07
4G076AB11
4G076BA13
4G076BD01
4G076BD02
4G076BE11
4G076CA02
4G076CA28
4G076DA30
5F057AA28
5F057AA44
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA09
(57)【要約】
本発明は、少なくとも5の粗さ指数(RI)
【数1】
を有する酸化セリウム粒子、その製造プロセス及び化学機械研磨用途でのその使用に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化セリウム粒子を製造するプロセスであって、以下の工程:
(a)不活性雰囲気下において、(i)塩基の水溶液、(ii)NO 、CeIII、任意選択的にCeIVを含む水溶液、及び(iii)有機酸又はその塩を接触させて混合物を得る工程であって、前記有機酸は、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールカルボン酸である、工程;
(b)工程(a)で得られた前記混合物を熱処理に供する工程;
(c)任意選択的に、工程(b)で得られた前記混合物を酸性化する工程;
(d)任意選択的に、工程(b)又は(c)の終わりに得られた固体材料を水で洗浄する工程;
(e)任意選択的に、工程(d)の終わりに得られた前記固体材料を機械的処理に供して、前記粒子を解凝集させる工程
を含むプロセス。
【請求項2】
前記有機酸は、置換又は非置換ヘテロアリールカルボン酸、好ましくは非置換ヘテロアリールカルボン酸、より好ましくはヘテロアリール基中に少なくとも1つの窒素原子を有する非置換ヘテロアリールカルボン酸である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記有機酸は、ピコリン酸である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程(b)の前記熱処理は、75℃~95℃の範囲の温度で実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスによって入手可能な酸化セリウム粒子。
【請求項6】
酸化セリウム粒子において、少なくとも5の粗さ指数RIを示し、RIは、式:
【数1】
(式中、「TEMサイズ」は、透過電子顕微鏡法画像において測定される前記粒子の平均サイズを示し、及び「SSAサイズ」は、以下の式:
【数2】
(式中、SSAは、窒素吸着によって測定される前記粒子のBET比表面積を示し、及びρは、酸化セリウム(IV)の密度を示し、且つ7.22g/cmに等しい)
による前記粒子の理論平均サイズを示す)
によって定義されることを特徴とする酸化セリウム粒子。
【請求項7】
実質的に立方体であることを特徴とする、請求項6に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項8】
TEMによって得られる前記粒子の前記画像は、実質的に同じ長さを有する4つの側面を示し、且つ前記4つの側面の隣接する側面が、実質的に90°に等しい角度を形成するようなものであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項9】
0.001重量%~5重量%、特に0.1重量%~2.5重量%の範囲の炭素重量比を示すことを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項10】
15~100m2/g、より特に38~80m2/g、より特に40~70m2/g、更により特に42~60m2/gに含まれる比表面積を示すことを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項11】
22~70m2/gに含まれる比表面積を示すことを特徴とする、請求項10に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項12】
30~500nm、特に70~300nmの平均サイズを示し、前記平均サイズは、TEM画像から測定されることを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項13】
120~300nm、特に125~270nm、より特に130~250nm、更により特に140~240nmに含まれる平均サイズを示し、前記平均サイズは、TEM画像から測定されることを特徴とする、請求項12に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスによって入手可能である、請求項6~13のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項15】
酸化セリウム粒子において、少なくとも2.4、特に少なくとも3.5の粗さ指数RIを示し、RIは、式:
【数3】
(式中、「TEMサイズ」は、透過電子顕微鏡法画像において測定される前記粒子の平均サイズを示し、及び「SSAサイズ」は、以下の式:
【数4】
(式中、SSAは、窒素吸着によって測定される前記粒子のBET比表面積を示し、及びρは、酸化セリウム(IV)の密度を示し、且つ7.22g/cm3に等しい)
による前記粒子の理論平均サイズを示す)
によって定義されることと、前記粒子は、0.001重量%~5重量%、特に0.1重量%~2.5重量%の範囲の炭素重量比を示すこととを特徴とする酸化セリウム粒子。
【請求項16】
実質的に立方体であることを特徴とする、請求項15に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項17】
TEMによって得られる前記粒子の前記画像は、実質的に同じ長さを有する4つの側面を示し、且つ前記4つの側面の隣接する側面が、実質的に90°に等しい角度を形成するようなものであることを特徴とする、請求項15又は16に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項18】
15~100m2/g、より特に38~80m2/g、より特に40~70m2/g、更により特に42~60m2/gに含まれる比表面積を示すことを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項19】
22~70m2/gに含まれる比表面積を示すことを特徴とする、請求項18に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項20】
30~500nm、特に70~300nmの平均サイズを示し、前記平均サイズは、TEM画像から測定されることを特徴とする、請求項15~19のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項21】
120~300nm、特に125~270nm、より特に130~250nm、更により特に140~240nmに含まれる平均サイズを示し、前記平均サイズは、TEM画像から測定されることを特徴とする、請求項20に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項22】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスによって入手可能である、請求項15~21のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子。
【請求項23】
液体媒体中における、請求項6~22のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子の分散液。
【請求項24】
300μS/cm未満、より特に150μS/cm未満、更により特に100μS/cm又は50μS/cm未満の導電率を示す、請求項23に記載の分散液。
【請求項25】
研磨組成物、より特にCMP組成物の調製のための、請求項5~22のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子又は請求項22若しくは23に記載の分散液の使用。
【請求項26】
請求項5~22のいずれか一項に記載の酸化セリウム粒子又は請求項23若しくは24に記載の分散液を含む研磨組成物。
【請求項27】
以下の成分:
- 請求項5~17若しくは18~21に記載の酸化セリウム粒子又は請求項22若しくは23に記載の分散液の前記酸化セリウム粒子以外の研磨粒子;及び/又は
- pH調整剤;及び/又は
- 界面活性剤;及び/又は
- 粘度向上剤及び凝固剤を含むレオロジーコントロール剤;及び/又は
- 非イオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、第四級アンモニウム、シラン、スルホン化モノマー、ホスホン化モノマー、アクリレート、デンプン、シクロデキストリン及びそれらの組合せから選択される添加物
の1つ以上を更に含む、請求項26に記載の研磨組成物。
【請求項28】
基板の一部を除去する方法であって、請求項23又は24に記載の研磨組成物で前記基板を研磨することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セリウム粒子及び研磨用組成物、特に化学機械研磨(CMP)組成物の構成要素としてのその使用に関する。本発明は、酸化セリウム粒子の調製方法にも関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、CMP組成物中に実装される場合に良好な研磨特性を有する酸化セリウム粒子及び簡単であり、経済的であり、且つ工業規模で実施することが容易である、そのような粒子の調製方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
酸化第二セリウムは、研磨用途向けに一般的に使用されている。エレクトロニクス産業の発展は、ディスク又は誘電性コンパウンドなどの様々な部品を研磨するための組成物の一層多くの使用を必要とする。分散液の形態で通常商業化されているこれらの組成物は、一定数の特性を示さなければならない。例えば、それらは、その研磨能力を反映する材料の高度な除去を提供しなければならない。それらは、できるだけ低い欠陥も有しなければならず、用語「欠陥」は、組成物で一度処理された基板によって示される擦り傷の量を特に意味することを意図する。安定性及び使用の容易さから、これらの分散液は、通常、サブミクロン寸法、すなわち一般に300nm未満の粒子を含む。加えて、これらの分散液中のあまりにも細かい粒子の存在は、その研磨能力を低下させ、あまりにも大きい粒子は、欠陥の増加の一因になり得る。
【0004】
したがって、CMP用途向けに特に作り上げられた幾つかのタイプの酸化セリウム粒子が従来技術から公知である。
【0005】
国際公開第2015/197656号パンフレットは、金属がドープされた酸化セリウム粒子を開示している。
【0006】
国際公開第08043703号パンフレットは、液相中の酸化セリウム粒子の懸濁液を開示しており、前記粒子は、最大でも200nmの平均サイズを有する二次粒子であり、前記二次粒子は、その平均サイズが最大でも100nmである一次粒子であって、標準偏差が前記一次粒子の前記平均サイズの値の最大でも30%である、一次粒子を含む。
【0007】
国際公開第2015/091495号パンフレットは、液相中の酸化セリウム粒子の懸濁液を開示しており、前記粒子は、一次粒子を含む二次粒子を含み、前記二次粒子は、105~1000nmに含まれる平均サイズD50を有し、標準偏差は、前記二次粒子の前記平均サイズの値の10~50%に含まれ、前記一次粒子は、100~300nmに含まれる平均サイズD50を有し、標準偏差は、前記一次粒子の前記平均サイズの値の10~30%に含まれる。
【0008】
CMPにおける改善された性能を示す新しい酸化セリウム粒子及び簡単であり、経済的であり、且つ工業規模で実施することが容易である、そのような粒子の調製方法を提供するための改善の余地が依然として存在すると考えられる。
【発明の概要】
【0009】
本出願人は、上述の問題を解決し得る新しい酸化セリウム粒子を作り上げた。
【0010】
本発明の1つの主題は、したがって、少なくとも5の粗さ指数(RI)を示す酸化セリウム粒子である。より具体的には、粒子の粗さ指数は、以下の式:
【数1】
(式中、「TEMサイズ」は、透過電子顕微鏡法(TEM)画像において測定される粒子の平均サイズを示す)
によって定義される。好ましくは、この平均サイズを得るために、少なくとも80個の粒子が透過電子顕微鏡法画像において測定される。「SSAサイズ」は、以下の式:
【数2】
(式中、SSAは、窒素吸着によって測定される粒子のBET比表面積を示し、及びρは、酸化セリウム(IV)の密度を示し、且つ7.22g/cmに等しい)
による粒子の理論平均サイズを示す。
【0011】
本発明者らが知る限り、本発明のこの主題の粒子によって達成される粗さ指数は、従来技術の酸化セリウム粒子のものよりも高い。それは、そのような粒子がCMP組成物又はプロセスに研磨粒子として使用される場合、より大きい研磨効率を達成することに寄与すると考えられる。
【0012】
本発明は、本発明の酸化セリウム粒子を製造するプロセスであって、少なくとも以下の工程:
(a)不活性雰囲気下において、(i)塩基の水溶液、(ii)NO 、CeIII、任意選択的にCeIVを含む水溶液、及び(iii)有機酸又はその塩を接触させて混合物を得る工程であって、有機酸は、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールカルボン酸である、工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を熱処理に供する工程;
(c)任意選択的に、工程(b)で得られた混合物を酸性化する工程;
(d)任意選択的に、工程(b)又は(c)の終わりに得られた固体材料を水で洗浄する工程;
(e)任意選択的に、工程(d)の終わりに得られた固体材料を機械的処理に供して、粒子を解凝集させる工程
を含むプロセスにも関する。
【0013】
有利には、このプロセスは、本発明の酸化セリウム粒子を簡単な方式で調製することを可能にする。
【0014】
本発明は、上述のプロセスによって入手可能であるか又は得られる酸化セリウム粒子、液体媒体中の本発明の酸化セリウム粒子の分散液、CMP組成物を調製するための前記分散液又は本発明の粒子の使用、前記分散液又は前記粒子を含むCMP組成物、前記CMP組成物が基板の一部を除去するために使用される研磨プロセス及びそれにより研磨された基板を含む半導体にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1-4】透過電子顕微鏡法によって観察される本発明の粒子の画像である。
図5】透過電子顕微鏡法によって観察される従来技術の酸化セリウム粒子の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
写真は、120kVで動作するJEM-1400(JEOL)装置で得られた。
【0017】
本開示では、表現「~に含まれる」は、両端を含むものとして理解されるべきである。
【0018】
本発明の粒子に関連して、用語「酸化セリウム」は、酸化第二セリウムとしても知られる酸化セリウム(IV)を意味する。酸化セリウムは、一般に、酸化物の重量に対して少なくとも99.8重量%の純度を有する。酸化セリウムは、一般に、結晶性酸化第二セリウムである。セリウム以外の若干の不純物が酸化物中に存在し得る。不純物は、酸化セリウムの調製プロセスで使用される原材料又は出発材料に由来し得る。不純物の合計割合は、一般に、酸化セリウムに対して0.2重量%未満である。残留硝酸塩は、本出願では不純物と見なされない。
【0019】
表現「分散液」は、本発明の酸化セリウム粒子の分散液に関連して、液体媒体中に安定して分散した、サブミクロン寸法の固体の微細な酸化セリウム粒子からなる系を示し、前記粒子は、残存量の結合した若しくは吸着されたイオン、例えば硝酸塩又はアンモニウムなどのイオンも任意選択的に含有することが可能である。
【0020】
ここで、本発明は、その異なる実施形態に従ってより詳細に記載される。
【0021】
前に説明されたように、本発明の1つの主題は、少なくとも5の粗さ指数(RI)を示す酸化セリウム粒子である。より具体的には、本発明の粒子の粗さ指数は、5~20、特に6~17、より特に7~14の範囲であり得る。
【0022】
粒子の粗さ指数(RI)は、以下の式:
【数3】
(式中、「TEMサイズ」は、透過電子顕微鏡法画像において測定される粒子の平均サイズを示し、及び「SSAサイズ」は、以下の式:
【数4】
(式中、SSAは、窒素吸着によって測定される粒子のBET比表面積を示し、及びρは、酸化セリウム(IV)の密度を示し、且つ7.22g/cmに等しい)
による粒子の理論平均サイズを示す)
によって定義される。
【0023】
TEMサイズは、統計分析を得るために、少なくとも80、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも100個の多数の粒子に関して測定されるものなど、粒子の有効平均サイズである。測定は、通常、酸化セリウム粒子の同じサンプルの1つ以上の写真に関して行われる。保持される粒子は、好ましくは、その画像が写真上でよく見えるようなものである。粒子が、後に詳述される立方体形状を有する一実施形態によれば、実質的に同じ長さを有する4つの側面を示し、且つこれらの4つの側面の隣接する側面が、90°に実質的に等しい角度を形成するようなものである保持される粒子の数は、粒子の好ましくは少なくとも80.0%、より特に少なくとも90.0%、更により特に少なくとも95.0%に対応する。粒子の一部は、その表面及び/又はその角の1つのいずれかの上に若干の欠陥を示す場合がある。これらの粒子は、それにもかかわらず、統計分析に保持することができる。
【0024】
比表面積(SSA)は、Brunauer-Emmett-Teller法(BET法)による窒素の吸着によって酸化セリウム粒子の粉末に関して測定され得る。この方法は、規格ASTM D 3663-03(2015年再認可)に開示されている。この方法は、定期刊行物“The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)”にも記載されている。比表面積は、製造者のガイドラインに従ってMicromeriticsの装置TriStar 3000で自動的に測定され得る。測定の前に、粉末形態のサンプルは、吸着された化学種を除去するために、最大でも210℃の温度で加熱することによって静的空気下で脱気されるものとする。
【0025】
BET比表面積の測定は、上に与えられた式に従ってSSAサイズを計算することを可能にする。所与のSSAに関して、式は、粒子が球形であると仮定して、酸化セリウム(IV)粒子の理論サイズを与える。比TEMサイズ/SSAサイズは、そのため、粒子の粗さの指標である。この比が高いほど、粒子の粗さがより高い。増加した粗さ指数を有する酸化セリウム粒子は、CMPなどの研磨プロセスに使用される場合に改善された効率を有すると考えられる。
【0026】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明の酸化セリウム粒子は、実質的に立方体である。本発明者らが知る限り、粒子の特異的粗さ指数とその特異的立方体形態との組合せは、それらを用いたCMPの、従来の酸化セリウム粒子(すなわち立方体でなく、且つ必要とされる粗さ指数を示さない)と比較して改善された結果を達成することに寄与する。
【0027】
その立方体形態を認めるために、粒子は、TEM(透過電子顕微鏡法)によって得られた写真上で観察することができる。写真の観察は、粒子の形状を明確に識別することを可能にする大きさ及び装置で行われなければならない。そのため、粒子を個別に明確に識別することが好ましい。観察のために用いられる大きさは、例えば、25K~250Kの範囲であり得る。150K倍率が使用され得る。120kVで動作するJeol製のモデルJEM 1400がとりわけ好適である。
【0028】
そのような「立方体」酸化セリウム粒子のTEMによって得られる画像は、実質的に同じ長さを有する4つの側面を示す。更に、画像は、これらの4つの側面の隣接する側面が、実質的に90°に等しい角度を形成するようなものである。これらの4つの側面の隣接する側面によって形成される角度は、88°~92°又は89°~91°に含まれ得る。
【0029】
一実施形態によれば、本発明の酸化セリウム粒子は、30nm以上である平均サイズを示し得る。多くの場合、粒径は、70nm以上である。本発明の酸化セリウム粒子は、500nm以下である平均サイズを示し得る。多くの場合、粒径は、300nm以下、特に150nm以下である。一態様において、本発明の酸化セリウム粒子は、120~300nm、特に125~270nm、より特に130~250nm、更により特に140~240nmに含まれる平均サイズを示し得る。平均サイズは、好ましくは、TEM画像から測定される。この測定は、好ましくは、少なくとも80個の粒子に関して行われる。
【0030】
一実施形態によれば、本発明の酸化セリウム粒子は、35~100m2/g、より特に38~80m2/g、より特に40~70m2/g、更により特に42~60m2/gに含まれる比表面積を示し得る。比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller法(BET法)による窒素の吸着によって粉末に関して測定される。
【0031】
特定の態様において、比表面積は、15~100m2/g、より特に22~70m2/gである。
【0032】
一実施形態によれば、本発明の酸化セリウム粒子は、0.001重量%~5重量%、特に0.1重量%~2.5重量%の範囲の炭素重量比を示し得る。炭素痕跡は、特定の有機酸を必要とする、粒子を調製するために用いられる合成方法のフットプリントであり得る。元素状炭素の投与は、Horiba EMIA 320-V2などの炭素及び硫黄分析計を使用することによって行われ得る。
【0033】
別の態様において、本発明は、酸化セリウム粒子において、少なくとも2.4、特に少なくとも3.5の粗さ指数RIを示し、RIは、式:
【数5】
(式中、「TEMサイズ」は、透過電子顕微鏡法画像において測定される粒子の平均サイズを示し、及び「SSAサイズ」は、以下の式:
【数6】
(式中、SSAは、窒素吸着によって測定される粒子のBET比表面積を示し、及びρは、酸化セリウム(IV)の密度を示し、且つ7.22g/cm3に等しい)
による粒子の理論平均サイズを示す)
によって定義されることと、前記粒子は、0.001重量%~5重量%、特に0.1重量%~2.5重量%の範囲の炭素重量比を示すこととを特徴とする酸化セリウム粒子に関する。
【0034】
特定の実施形態において、この態様における粗さ指数RIは、5未満である。
【0035】
本発明者らが知る限り、この態様による酸化セリウム粒子中の炭素重量比は、CMP用途向けに一般的に使用される分散液及び研磨組成物の他の構成要素との酸化セリウム粒子の相溶性に寄与する。
【0036】
この態様による酸化セリウム粒子は、一般に、前記粒子が実質的に立方体であることを特徴とする。この態様における立方体形状、粒径及び比表面積のキャラクタリゼーションは、上記の通りである。
【0037】
本発明は、本発明の酸化セリウム粒子を製造するプロセスであって、少なくとも以下の工程:
(a)不活性雰囲気下において、(i)塩基の水溶液、(ii)NO 、CeIII、任意選択的にCeIVを含む水溶液、及び(iii)有機酸又はその塩を接触させて混合物を得る工程であって、有機酸は、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールカルボン酸である、工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を熱処理に供する工程;
(c)任意選択的に、工程(b)で得られた混合物を酸性化する工程;
(d)任意選択的に、工程(b)又は(c)の終わりに得られた固体材料を水で洗浄する工程;
(e)任意選択的に、工程(d)の終わりに得られた固体材料を機械的処理に供して、粒子を解凝集させる工程
を含むプロセスにも関する。
【0038】
高純度の塩及び成分を使用することが有利である。塩の純度は、少なくとも99.5重量%、より特に少なくとも99.9重量%のものであり得る。
【0039】
塩基の水溶液(i)が工程(a)で使用される。水酸化物タイプの製品を塩基として特に使用することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物及び水性アンモニアが挙げられ得る。第二級、第三級又は第四級アミンも使用することができる。塩基の水溶液は、不活性ガスでバブリングすることによって予め脱気することもできる。
【0040】
モル比塩基/総Ceで表される、工程(a)で使用される塩基の量は、好ましくは、4~10、好ましくは5~8に含まれる。
【0041】
NO 、CeIII及び任意選択的にCeIVを含む水溶液(ii)が工程(a)で使用される。硝酸塩又はセリウムは、特に溶液を調製するために使用することができる。CeIVが水溶液中に存在する場合、CeIV/総Ceモル比は、好ましくは、1/500000~1/4000に含まれる。このモル比は、とりわけ、1/6000~1/4000であり得る。実施例で使用されるCeIV/総Ceのモル比が使用され得る。
【0042】
硝酸と水和酸化第二セリウムとの反応によって得られる硝酸第二セリウム水溶液が調製方法で使用され得る。酸化第二セリウムは、CeIIIカチオンをCeIVカチオンに変換するための、水性過酸化水素の存在下での第一セリウム塩の溶液とアンモニア水溶液との反応によって従来通りに調製される。仏国特許第2570087号明細書に開示されたような硝酸第一セリウム溶液の電気化学的酸化の方法に従って得られる硝酸第二セリウム溶液を使用することも特に有利である。仏国特許第2570087号明細書の教示に従って得られる硝酸第二セリウムの溶液は、ほぼ0.6Nの酸性度を示し得る。
【0043】
CeIVは、工程(a)において存在する場合、硝酸セリウムIV又は硝酸セリウムアンモニウムであり得る塩によって提供され得る。
【0044】
NO /CeIIIモル比で表される、工程(a)で使用される水溶液中の硝酸イオンの量は、一般に、1/3~5/1である。工程(a)で使用される水溶液の酸性度は、好ましくは、0.8N~12.0Nに含まれる。
【0045】
置換又は非置換アリール又はヘテロアリールカルボン酸である特定の有機酸(iii)又はその塩が工程(a)で使用される。置換又は非置換アリール基は、好ましくは、置換又は非置換フェニル基である。置換又は非置換ヘテロアリール基は、好ましくは、置換又は非置換ヘテロフェニル基である。
【0046】
一実施形態によれば、有機溶媒は、置換されている。置換基の例としては、ハロゲン、低級アルキル(すなわち6つ未満の炭素原子を有するアルキル基)、アリール、アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル及びアリールスルホニルが挙げられる。好ましい置換基は、ヒドロキシル基である。1つ以上の置換基がアリール又はヘテロアリール基中に存在し得る。好ましくは、1つのみの置換基がその中に存在し、好ましくはヒドロキシル基である。別の代わりの実施形態によれば、有機酸は、非置換である。
【0047】
一実施形態によれば、有機酸は、ヘテロアリールカルボン酸である。前記ヘテロアリール基のヘテロ原子部分として、とりわけS、O及び/又はN原子を挙げることができる。1つ以上のヘテロ原子が前記ヘテロアリール基の部分であり得る。ヘテロアリール基は、好ましくは、少なくとも1つのN原子、より好ましくは1つのみのN原子を有する。本発明の枠組みにおいて好適なヘテロアリール基として、ピリジル基を挙げることができる。別の代わりの実施形態によれば、有機酸は、アリールカルボン酸である。
【0048】
1つの特定の実施形態によれば、有機酸は、非置換ヘテロアリールカルボン酸、好ましくは非置換ヘテロフェニルカルボン酸である。前記非置換ヘテロアリール基のヘテロ原子部分として、S、O及び/又はN原子を挙げることができる。1つ以上のヘテロ原子が前記ヘテロアリールの一部であり得る。ヘテロアリール基は、好ましくは、少なくとも1つのN原子、より好ましくは1つのみのN原子を有し、好ましくはピリジル基である。本発明のプロセスを実施するための好適に非置換ヘテロアリールカルボン酸として、とりわけピコリン酸を挙げることができる。
【0049】
別の特定の実施形態によれば、有機酸は、置換アリールカルボン酸、好ましくは置換フェニルカルボン酸である。アリール基の置換基の例としては、ハロゲン、低級アルキル(すなわち6つ未満の炭素原子を有するアルキル基)、アリール、アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル及びアリールスルホニルが挙げられる。アリール基の好ましい置換基は、ヒドロキシルである。1つ以上の置換基がアリール基中に存在し得る。好ましくは、1つのみの置換基がその中に存在し、好ましくはヒドロキシル基である。本発明のプロセスを実施するための好適な置換アリールカルボン酸として、とりわけ4-ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。
【0050】
上記の有機酸の好適な塩として、アンモニウム塩を挙げることができる。
【0051】
一実施形態によれば、有機酸は、水溶液の形態である。水溶液中の有機酸の濃度は、例えば、1~20重量%、特に2~10重量%、より特に3~7重量%の範囲であり得る。別の実施形態によれば、純粋な、すなわち希釈されない有機酸が使用される。
【0052】
混合物を形成するために工程(a)で接触される成分(i)、(ii)及び(iii)は、任意の順で接触させることができる。とりわけ一実施形態によれば、塩基の水溶液(i)及び有機酸(iii)が互いに接触され、結果として生じた混合物は、硝酸セリウムを含有する水溶液(ii)と接触される。そのような場合、塩基の溶液(i)が既に水溶液の形態であるため、純粋な(すなわち希釈されない)有機酸(iii)を使用することができる。(i)及び(iii)の混合物と(ii)との接触は、好ましくは、撹拌及び/又は不活性ガスのバブリング下において、(ii)を前記混合物に添加することを含み得る。
【0053】
代わりの実施形態によれば、硝酸セリウムを含有する水溶液(ii)及び塩基の水溶液(i)が互いに接触され、結果として生じた混合物は、有機酸(iii)と接触される。そのような場合、有機酸(iii)は、その水溶液の形態で使用することができる。(ii)と(i)との接触は、好ましくは、撹拌及び/又は不活性ガスバブリング下において、(ii)を(i)に添加することを含み得る。
【0054】
有機酸(iii)は、工程(a)で得られた混合物の全容積に対して0.11~245mmol/L、特に0.5~150mmol/L、より特に1~100mmol/L、より特に2~50mmol/Lの範囲の濃度で使用され得る。この範囲は、よく定められた粒子を形成するために特に好適である。
【0055】
混合物中の遊離酸素の量は、慎重に制御され、最小限にされるべきである。この目的のため、使用される成分(i)、(ii)及び(iii)の1つ以上並びに/又は結果として生じた混合物は、不活性ガスでバブリングすることによって脱気され得る。用語「不活性ガス」又は「不活性雰囲気」は、酸素を含まない雰囲気又はガスを意味することを意図し、ガスは、例えば、窒素又はアルゴンであることが可能である。
【0056】
工程(a)は、成分(i)、(ii)及び(iii)を反応させることを含む。工程(a)は、好ましくは、不活性雰囲気下において、とりわけ閉鎖型反応器中又は不活性ガスで掃引しながら半閉鎖型反応器中のいずれかで実施される。接触させることは、一般に、撹拌反応器中で実施される。
【0057】
工程(a)は、一般に、5℃~50℃に含まれる温度で実施される。この温度は、20~25℃であり得る。
【0058】
工程(b)は、先行工程の終わりに得られた反応媒体の熱処理である。それは、(i)加熱サブ工程、及び(ii)熟成サブ工程を含み得る。
【0059】
加熱サブ工程(i)は、一般に、75℃~95℃、より特に80℃~90℃に含まれる温度で媒体を加熱することを含み得る。
【0060】
熟成サブ工程(ii)は、75℃~95℃、より特に80℃~90℃に含まれる温度に媒体を維持することを含み得る。熟成サブ工程(ii)の継続時間は、2時間~20時間である。経験則として、熟成工程の温度が高いほど、熟成サブ工程の継続時間が短くなる。例えば、熟成サブ工程の温度が85℃~90℃、例えば88℃である場合、熟成サブ工程の継続時間は、2時間~15時間、より特に4時間~15時間であり得る。熟成サブ工程の温度が75℃~85℃、例えば80℃である場合、熟成サブ工程の継続時間は、15時間~30時間であり得る。
【0061】
工程(b)中、CeIIIのCeIVへの酸化が起こる。この工程は、不活性雰囲気下でも行われ得、工程(a)についてのこの雰囲気に関する記載は、ここでも同様に当てはまる。同様に、熱処理は、撹拌反応器中で実施され得る。
【0062】
工程(c)において、工程(b)の終わりに得られた混合物は、任意選択的に酸性化され得る。この工程(c)は、硝酸を使用することによって行われ得る。反応混合物は、HNOにより、3.0よりも低い、より特に1.5~2.5に含まれるpHに酸性化され得る。
【0063】
工程(d)において、工程(b)又は工程(c)の終わりに得られた固体材料は、水、好ましくは脱イオン水で洗浄される。この操作は、分散液中の残留硝酸塩の量を減らすこと及び目標の導電率を得ることを可能にする。この工程は、固体を混合物から濾過し、固体を水に再分散させることによって実施され得る。濾過及び再分散は、必要に応じて数回行われ得る。
【0064】
工程(e)において、工程(d)の終わりに得られた固体材料は、粒子を解凝集させるために機械的処理に供され得る。本工程は、ダブルジェット処理又は超音波解凝集によって実施され得る。この工程は、通常、シャープな粒度分布及び大きい凝集粒子の数の減少をもたらす。一実施形態によれば、酸化セリウム粒子は、解凝集の機械的処理に供されている。別の実施形態によれば、酸化セリウム粒子は、解凝集の機械的処理に供されていない。
【0065】
工程(e)後、固体材料は、粉末形態の酸化セリウム粒子を得るために乾燥され得る。工程(e)後、水又は水と混和性液体有機化合物との混合物は、液体媒体中の酸化セリウム粒子の分散液を得るために添加され得る。
【0066】
本発明の1つの更なる目的は、上述のプロセスによって入手可能であるか又は得られる酸化セリウム粒子である。
【0067】
本発明は、液体媒体中の酸化セリウム粒子の分散液にも関する。分散液は、本発明の酸化セリウム粒子と液体媒体とを含む。液体媒体は、水又は水と水混和性有機液体との混合物であり得る。水混和性有機液体は、粒子を沈澱又は凝集させるべきではない。水混和性有機液体は、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノールのようなアルコール;アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンのようなケトン;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルのようなエステルであり得る。割合水/有機液体は、80/20~99/1(wt/wt)であり得る。
【0068】
分散液中の酸化セリウム粒子の割合は、1.0重量%~40.0重量%に含まれ得、この割合は、分散液の総重量で割った酸化セリウム粒子の重量として表される。この割合は、10.0重量%~35.0重量%に含まれ得る。
【0069】
分散液は、300μS/cm未満、より特に150μS/cm未満、更により特に100μS/cm又は50μS/cm未満の導電率も示し得る。導電率は、堀場製作所の導電率計9382-10Dで測定される。
【0070】
本発明の酸化セリウム粒子又は本発明の分散液は、研磨組成物、より特にCMP組成物を調製するために使用され得る。それらは、研磨組成物、より特にCMP組成物の構成要素として使用される。
【0071】
本発明は、CMP組成物にも関する。CMP組成物(すなわち化学機械研磨組成物)は、基板の表面からの材料の選択的除去のために使用される研磨組成物である。それは、集積回路及び他の電子デバイスの分野で使用される。実際に、集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電性、半導体性及び誘電性材料の複数の層は、基板の表面上に堆積されるか又は表面から除去される。材料の層が逐次的に基板上に堆積され、基板から除去されるため、基板の最上面は、非平面になり、平坦化を必要とする場合がある。表面の平坦化(又は表面の「研磨」)は、基板の表面から材料を除去して、概して滑らかで平らな表面を形成するプロセスである。平坦化は、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、擦り傷及び汚染された層又は材料など、望ましくない表面トポグラフィ及び表面欠陥を除去するのに有用である。平坦化は、特徴を埋め、且つメタライゼーション及び処理の後続レベルのための滑らかな表面を提供するために使用された余分な堆積材料を除去することにより、基板上に特徴を形成するためにも有用である。
【0072】
研磨組成物又はCMP組成物で研磨することができる基板は、例えば、二酸化ケイ素タイプの基板、ガラス、半導体又はウェハーであり得る。
【0073】
本発明の粒子又は本発明の分散液は、CMP組成物を調製するために使用され得る。本発明は、したがって、上で定義されたものなどの酸化セリウム粒子又は分散液を含むCMP組成物にも関する。
【0074】
研磨組成物又はCMP組成物は、通常、酸化セリウム粒子以外の異なる成分を含有する。研磨組成物は、以下の成分:
- 本発明の酸化セリウム粒子又は分散液の酸化セリウム粒子以外の研磨粒子;及び/又は
- pH調整剤;及び/又は
- 界面活性剤;及び/又は
- 粘度向上剤及び凝固剤を含むレオロジーコントロール剤;及び/又は
- 非イオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、第四級アンモニウム、シラン、スルホン化モノマー、ホスホン化モノマー、アクリレート、デンプン、シクロデキストリン及びそれらの組合せから選択される添加物
の1つ以上を含み得る。
【0075】
研磨組成物のpHは、一般に、1~6である。典型的には、研磨組成物は、3.0以上のpHを有する。また、研磨組成物のpHは、典型的には、6.0以下である。
【0076】
本発明は、基板の一部を除去する方法であって、基板を上記のものなどの研磨組成物で研磨する工程を含む方法にも関する。
【0077】
本発明は、最後に、この方法によって研磨された半導体に関する。
【0078】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が、ある用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0079】
ここで、本発明は、それを限定することを意図することなく、実施例において更に記載される。
【実施例
【0080】
実施例1
111.3の2.87M硝酸セリウム(III)、16.80gの68%HNO3及び3.27gの脱イオン水を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、74.48gの13.35Mアンモニア水、620.90gの脱イオン水を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの1L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に210L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。有機酸溶液を、1.04gのピコリン酸を23gの脱イオン水に添加することによって調製し、1時間N2ガスによってバブリングし、次いで反応器に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で85℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0081】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0082】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は53.9m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ80個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は157nmであり、標準偏差は平均粒径の14%に対応する23nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、15に等しく、10.1の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。炭素の百分率を、%C=1.78重量%として測定した。得られた立方体粗粒子のTEM写真を図1に報告する。
【0083】
実施例2
113.4gの2.87M硝酸セリウム(III)、16.81gの68%HNO3及び3.29gの脱イオン水を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、75.58gの13.35Mアンモニア水、641.44gの脱イオン水及び1.05gのピコリン酸を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの1L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に210L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で85℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0084】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0085】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は43.1m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ80個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は212.6nmであり、標準偏差は平均粒径の60%に対応する125nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、19に等しく、11.0の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。炭素の百分率を、%C=1.19重量%として測定した。
【0086】
得られた立方体粗粒子のTEM写真を図2に報告する。
【0087】
実施例3
222.4gの2.87M硝酸セリウム(III)、33.9gの68%HNO3を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、133.3gの15Mアンモニア水、1298.5gの脱イオン水及び19.9gのピコリン酸を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの2L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に100L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で80℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0088】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。5回の洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0089】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は72m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ200個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は71nmであり、標準偏差は平均粒径の27%に対応する19nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、12に等しく、6.1の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。炭素の百分率を、%C=4.6重量%として測定した。得られた立方体粗粒子のTEM写真を図3に報告する。
【0090】
実施例4
222.4gの2.87M硝酸セリウム(III)、33.9gの68%HNO3を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、134gの15Mアンモニア水、1296.7gの脱イオン水及び1gのピコリン酸を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの2L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に100L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で80℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0091】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。5回の洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0092】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は25m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ150個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は108nmであり、標準偏差は平均粒径の33%に対応する41nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、30に等しく、3.6の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。炭素の百分率を、%C=0.8重量%として測定した。得られた立方体粗粒子のTEM写真を図4に報告する。
【0093】
実施例5
224.4gの2.87M硝酸セリウム(III)、33.9gの68%HNO3を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、132gの15.1Mアンモニア水、1298.9gの脱イオン水及び2.2gの4-ヒドロキシ安息香酸を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの2L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に100L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で80℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0094】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。5回の洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0095】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は、37m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ200個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は94nmであり、標準偏差は平均粒径の56%に対応する53nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、23に等しく、4.2の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。炭素の百分率を、%C=1.12重量%として測定した。
【0096】
比較例1
139.1gの2.87M硝酸セリウム(III)、21.1gの68%HNO3及び4gの脱イオン水を混合することによって硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を250mL半閉鎖型容器中に入れた。その後、1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比と等価の硝酸セリウム(IV)を硝酸セリウム溶液に添加した。アンモニア水溶液を、100.5gの13.35Mアンモニア水及び795.5gの脱イオン水を混合することによって調製した。この溶液をジャケット付きの1L半閉鎖型反応器中に入れ、1時間撹拌下に210L/hの流量でのN2ガスによってバブリングした。上記の硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2バブリングの同じ条件下におよそ30分でアンモニア水溶液に添加した。反応混合物の温度をおよそ1時間で85℃まで温め、減少したN2バブリング流量(10L/h未満)で撹拌の同じ条件でおよそ4時間維持した。反応混合物を冷却し、68%HNO3を用いてpH2で酸性化した。デカンテーション後、上澄液を除去し、NH4OHをスラリーに添加してpH8に達した。
【0097】
反応混合物を遠心分離によって脱イオン水で洗浄した。洗浄を繰り返し、そのとき、洗浄液の導電率は、0.04mS/cm未満であった。
【0098】
窒素吸着によって測定されるBET比表面積は16.8m2/gであった。懸濁液を代表するおよそ150個の粒子に関して、TEMによって懸濁液を観察し、粒子のそれぞれをカウントし、測定した。平均粒径は87nmであり、標準偏差は平均粒径の24%に対応する21nmであった。本明細書において説明された通りに決定された、SSAサイズは、50に等しく、1.7の、本明細書において説明された通りに決定された、粗さ指数RIを与えた。TEM写真を図5に報告する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】