(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】超吸着剤を使用した吸着によるアミンの精製
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240315BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20240315BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240315BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
B01D15/00 J
B01J20/26 E
B01J20/34 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554006
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 US2022021082
(87)【国際公開番号】W WO2022203986
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ユジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】キング、スティーブン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ハサン、トウヒド
(72)【発明者】
【氏名】ルディック、ジェロッド
(72)【発明者】
【氏名】ヨーク、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シン、アマーナス
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
5F157
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017BA12
4D017CA14
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4D017DB10
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4G066AA22C
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4G066GA11
5F157BC13
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5F157BF52
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5F157BF72
5F157BF73
5F157DB03
(57)【要約】
本発明は、1種以上の有機アミンを含む混合物中に存在する金属を除去する方法であって、混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と接触させる工程を含む方法を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の有機アミンを含む混合物中に存在する金属イオンを除去する方法であって、前記混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と接触させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖状、分枝鎖状、又はデントリマー状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去される前記金属イオンが、Fe、Zn、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Cd、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Pb及びSbのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機アミンが、モノエタノールアミン(Monoethanolamine、MEA)、ジエタノールアミン(Diethanolamine、DEA)、トリエタノールアミン(Triehanolamine、TEA)、モノイソプロパノールアミン(Monoispropanolamine、MIPA)、ジイソプロパノールアミン(Diisopropanolamine、DIPA)、トリイソプロパノールアミン(Triisopropanolamine、TIPA)、N-メチルジエタノールアミン(N-Methyldiethanolamine、MDEA)、N-メチルエタノールアミン(N-Methylethanolamine、NMEA)、エチレンジアミン(Ethylenediamine、EDA)、ピペラジン(Piperazine、PIP)、ジエチレントリアミン(Diethylenetriamine、DETA)、アミノエチルエタノールアミン(Aminoethylethanolamine、AEEA)、アミノエチルピペラジン(Aminoethylpiperazine、AEP)、トリエチレンテトラミン(Triethylenetetramine、TETA)、テトラエチレンペンタミン(Tetraethylenepentamine、TEPA)、ジメチルエタノールアミン(dimethylethanolamine、DMEA)、ポリエチレンポリアミン、ペンタエチレンヘキサミン混合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物がシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤の固定床を通過させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記床を通る前記混合物の流量が、1時間当たり1~30BVの範囲であり、BVが前記床の体積である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記床を通る前記混合物の流量が、1時間当たり1~10BVの範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物が、シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤の2つ以上の固定床を通過させられ、前記2つ以上の床が、並列回路、直列回路、又は並列回路と直列回路との組み合わせで配置される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記2つ以上の床が並列回路で配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤が前記混合物に添加され、混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を、前記シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と、前記混合物の凝固点から前記混合物の沸点のすぐ下までの範囲の温度で接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤が、前記混合物を接触させる前に、水又はその他の溶媒(複数可)で洗浄される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤が、水又はその他の溶媒(複数可)で2回以上洗浄される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤が、前記吸着剤を、前記金属イオンがより高い親和性を有する材料(例えば、弱酸若しくは弱酸水溶液、又は比較的強いアミン)と接触させることによって、周期的に再生される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記接触材料が弱酸であり、酢酸、ギ酸、シアン化水素酸、フッ化水素酸、硫化水素、トリクロロ酢酸、又はこれらの混合物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記接触材料がアンモニアである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記床の体積が、特定の金属汚染物質の量を、所望の流量が所与される所望のレベルまで低減するように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
金属汚染物質の前記所望のレベルが10ppb未満である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの用途、例えば、電子工学プロセス及び医薬製造プロセスでは、高純度アミンが所望される。いくつかの用途では、金属イオン不純物が10ppb未満であることが望ましい。しかし、アミンなどの有機溶液から金属イオンを除去するプロセスは、ほとんど報告されていない。むしろ、ほとんどの利用可能な文献は、典型的には、水溶液から金属イオンを除去することに焦点を当てている。イオン交換樹脂の使用は、金属イオンを除去するための最も一般的に研究されているプロセスであり、異なる官能基を有するキレート樹脂の使用を含む。しかしながら、アミン溶液から金属イオンを除去するためにこのような技術を使用することは、金属イオンとアミンとの間の強い結合親和性又はこのような樹脂とアミンとの間の非相溶性の問題のために、難題である。
【0002】
本発明は、アミンから微量金属不純物を除去するための特別な部類の超吸着剤の利用を開示する。本吸着剤は、分枝鎖状ポリエチレンイミンで修飾されたシリカ粒子に基づく。記載された方法は、有機アミン中に存在するほとんどの金属不純物に対して高い吸着容量を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明は、1種以上の有機アミンを含む混合物中に存在する金属を除去する方法であって、混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と接触させる工程を含む方法を記載する。
【0004】
理論的には、金属イオン不純物を有するアミンの任意の溶液は、全てが、金属不純物の除去のために一般的に使用されるほとんどの技術で金属除去を問題にするアミン官能基を有するので、本発明から利益を得ることができる。アミン(複数可)は、アルキルアミン及び/又は芳香族アミンであり得る。アミン(複数可)は、一級アミン、二級アミン、三級アミン、環状アミン、又はこれらの組み合わせであり得る。これは、モノエタノールアミン(monoethanolamine、MEA)、ジエタノールアミン(diethanolamine、DEA)、トリエタノールアミン(triehanolamine、TEA)、モノイソプロパノールアミン(monoispropanolamine、MIPA)、ジイソプロパノールアミン(diisopropanolamine、DIPA)、トリイソプロパノールアミン(triisopropanolamine、TIPA)、n-メチルジエタノールアミン(n-methyldiethanolamine、MDEA)、n-メチルエタノールアミン(n-methylethanolamine、NMEA)、エチレンジアミン(ethylenediamine、EDA)、ピペラジン(piperazine、PIP)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine、DETA)、アミノエチルエタノールアミン(aminoethylethanolamine、AEEA)、アミノエチルピペラジン(aminoethylpiperazine、AEP)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine、TETA)、テトラエチレンペンタミン(tetraethylenepentamine、TEPA)、ジメチルエタノールアミン(dimethylethanolamine、DMEA)、ポリエチレンポリアミン、及びペンタエチレンヘキサミン混合物を含む。
【0005】
これらのアミン材料は、ニートであってもよい、又はこれらの材料の2つ以上との混合物中に、単独で若しくは溶媒中に含有されていてもよい。溶媒は、アミンと相溶性である水又は任意の有機溶媒(及びこれらの組み合わせ)であり得る。有機溶媒は、有利には、アルコール、ベンゼン又はエーテルであり得る。
【0006】
本方法は、純粋なアミン又はアミン混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と接触させる工程を含む。好適なシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤は、以下の文献である米国特許第2021/0016246 A1号、米国特許第2021/0017047号、「Novel Polyethylenmeimine-Acrylamide/SiO2 Hybrid Hydrogel Sorbent for Rare-Earth-Element Recycling from Aqueous Sources」、Qiuming Wang、Walter C.Wilfong、Brian W.Kail、Yang Yu、及びMcMahan L.Grayによる、「ACS Sustainable Chemistry&Engineering」、2017年9月14日、Walter Christopher Wilfong、Brian W.Kail、Tracy L.Bank、Bret H.Howard and McMahan L.Grayによる、「Recovering Rare Earth Elements from Aqueous Solution with Porous Amine-Epoxy Networks」、「ACS Applied Materials&Interfaces」、2017年5月12日、Qiuming Wang、Brian W.Kail、Walter C.Wilfong、Fan Shi、Thomas J.Tarka、及びMcMahan L.Grayによる、「Amine Sorbents for Selective Recovery of Heavy Rare-Earth Elements (Dysprosium,Ytterbium) from Aqueous Solution」、Walter Christopher Wilfong、Brian w.Kail、Qiuming Wang、Fan Shi、Greg Shipley、Thomas J.Tarka、及びMcMahan L.Grayによる、「ChemPlusChem」、2020年、85 130-136、及び「Stable Immobilized Amine Sorbents for Heavy Metal and REE Removal from Industrial Wastewaters」、「Environ.Sci:Water Res.Technol.」、2020年、6、1286に記載されている。
【0007】
シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤は、ポリエチレンイミン修飾シリカ粒子であるが、これは、シリカ支持体、シリカ支持体に結合した架橋剤、及び架橋剤に結合したポリエチレンイミンを含む。ポリエチレンイミンは、直鎖状、分枝鎖状、又はデンドリマー状の形態であり得る。好ましくは、ポリエチレンイミンは、分岐鎖状又はデンドリマー状の形態である。イミン官能基は、アミンよりも金属イオンに対してより高い親和性を有し、高度に分岐鎖状の材料は、異なる種類の潜在的により多くの官能基を有し、したがって、金属イオンに対して更により高い親和性を有することが理論付けられる。直鎖状ポリエチレンイミンは、全て二級アミンを含有する。分岐鎖状ポリエチレンイミンは、一級、二級及び三級アミノ基を含有してもよい。デントリマー状のポリエチレンイミンは、一級アミノ基及び三級アミノ基を含有する。ポリエチレンイミンの重量分子量は、500Da、好ましくは800Da、5,000Da、あるいは10,000Daから、50,000Da、75,000Da、90,000Da、あるいは1,000,000Daまでの範囲である。
【0008】
シリカ-ポリエチレンイミン修飾シリカ支持体は、好ましくは、当技術分野で一般に周知のような架橋剤を使用して作製され得る。架橋剤は、エポキシシランリンカ、トリエポキシドリンカ、又はアクリルアミド系のリンカを含んでもよい。好ましい架橋剤としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ethyltrimethoxysilane、ECTMS)、ビスフェニルAジグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-glycidyloxyanaline(E3)、又は4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0009】
シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤は、任意の好適な様式でアミン含有混合物と接触させることができる。例えば、それは、シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤がアミン含有混合物に添加されるバッチプロセスで行い得るが、好ましくは、吸着剤とアミン中の金属不純物との間の接触を増大させるための撹拌、振盪、又はいくつかのその他のプロセスを伴う。一般に、このようなバッチプロセスにおける不純物の除去速度及びアミン含有混合物中に残留する不純物の得られるレベルは、当業者によって理解されるように、特定の吸着剤の有効性、アミン含有混合物の量に対する吸着剤の量、撹拌速度、及び接触が継続される時間の関数である。
【0010】
アミン又はアミン含有混合物を吸着剤と接触させる連続プロセスを有することもまた、可能である。これは、アミン含有混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤の固定床に通すことによって、好都合に行い得る。床体積(又はbed volume(BV))は、出発材料中に存在する汚染物質のレベル及び最終生成物の所望の純度レベルに従って構成され得、より大きな床体積は、一般に、より短時間でより大量の除去が可能である。
【0011】
固定床からの不純物除去の効率は、固定床を通る混合物の流量の関数でもある。床を通る混合物の流量は、有利には、1時間当たり1~30BVの範囲、より好ましくは1時間当たり1~10BVの範囲であるように調節され得るが、ここで、BVは床の体積である。例えば、吸着剤の床体積が1リットルである場合、流速は、有利には、1時間当たり1~30リットル、より好ましくは、1時間当たり1~10リットルの範囲の速度に設定され得る。当業者によって理解されるように、より遅い流速は、所与の系についてより多くの不純物が除去されることをもたらすが、プロセスに時間を追加する。
【0012】
いくつかの実施形態では、混合物は、シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤の2つ以上の固定床を通過し得る。これらの追加の床は、並列又は直列に配置され得る、あるいは少なくとも3つの床を使用する場合には、並列構成と直列構成との組み合わせとすることができる。
【0013】
アミン含有混合物をシリカ-ポリエチレンイミン吸着剤と接触させるプロセス(バッチプロセスであろうと連続プロセスであろうと可)は、混合物の凝固点から混合物の沸点のすぐ下までの範囲の任意の温度で行い得る。
【0014】
シリカ-ポリエチレンイミン吸着剤は、有利には、混合物と接触させる前に水又はその他の溶媒で洗浄して、吸着剤材料から可能性のある汚染不純物を除去し、したがって、吸着剤の寿命を延ばし、吸着剤の金属除去効率を改善し得る。好ましくは、新鮮な吸着剤から更に多くの汚染不純物を除去するために、この洗浄を2回以上行い得る。
【0015】
使用中、アミンから除去された金属不純物は、時間とともに吸着剤上に蓄積する。したがって、吸着剤を定期的に再生することが望ましい場合がある。これは、吸収剤を弱酸液体又は弱酸水溶液と、液体の凝固点から液体の沸点のすぐ下までの範囲の任意の温度で接触させることによって、好都合に達成することができる。弱酸は、水溶液又は水中でそのイオンへと部分的に解離する酸である。例えば、弱酸としては、酢酸、ギ酸、シアン化水素酸、フッ化水素酸、硫化水素、トリクロロ酢酸又はこれらの混合物が挙げられる。このような弱酸液又は弱酸水溶液のpHは2~7の範囲である。(吸着剤と比較して)より強いアミンであるアンモニアなどの、金属イオンがより高い親和性を有するその他の材料を使用して吸着剤を再生することもまた、可能である場合がある。
【0016】
本発明の方法を使用して、アミン含有混合物中の金属不純物レベルを10ppb未満、あるいは5ppb未満の金属汚染物質のレベルまで低減し得る。
【0017】
実験
材料:洗浄されていない分岐鎖状ポリエチレンイミン修飾シリカ吸着剤を、以下の実施例のそれぞれの吸着剤として使用した。吸着剤は、以下の参考文献である米国特許第2021/0016246 A1、米国特許第2021/0017047号、「Novel Polyethylenmeimine-Acrylamide/SiO2 Hybrid Hydrogel Sorbent for Rare-Earth-Element Recycling from Aqueous Sources」、Qiuming Wang、Walter C.Wilfong、Brian W.Kail、Yang Yu、及びMcMahan L.Grayによる、「ACS Sustainable Chemistry&Engineering」、2017年9月14日、Walter Christopher Wilfong、Brian W.Kail、Tracy L.Bank、Bret H.Howard and McMahan L.Grayによる、「Recovering Rare Earth Elements from Aqueous Solution with Porous Amine-Epoxy Networks」、「ACS Applied Materials&Interfaces」、2017年5月12日、Qiuming Wang、Brian W.Kail、Walter C.Wilfong、Fan Shi、Thomas J.Tarka、及びMcMahan L.Grayによる、「Amine Sorbents for Selective Recovery of Heavy Rare-Earth Elements (Dysprosium,Ytterbium) from Aqueous Solution」、Walter Christopher Wilfong、Brian w.Kail、Qiuming Wang、Fan Shi、Greg Shipley、Thomas J.Tarka、及びMcMahan L.Grayによる、「ChemPlusChem」、2020年、85 130-136、及び「Stable Immobilized Amine Sorbents for Heavy Metal and REE Removal from Industrial Wastewaters」、「Environ.Sci:Water Res.Technol.」、2020年、6、1286に記載されている種類のものである。n-メチルエタノールアミン(n-methylethanolamine、NMEA)(Dow Chemical Companyから市販されている、>99%のNMEA純粋アミン液体)の試料を、これらの実施例のそれぞれについて精製される標的アミン液体として使用する。
【0018】
金属濃度分析は、ICP-MSによって実施される。Agilent 7900x ICP-MS装置は、有機マトリックス、運搬ガス等からの干渉を排除するために、不活性ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PFA)マイクロフローネブライザ、PFA噴霧チャンバ、及び石英試料導入システムを備えている。7900 ICP-MS装置は、八重極反応セル(Octopole Reaction Cell、ORC)、He及びH2セルガスラインを備えている。本システムは、衝突/反応セル(CRC)技術を用いて、多原子干渉を除去し得る。ICP-MS装置は、ISOクラス100クリーンフードを備えた、ISOクラス100クリーンルームである。秤量、温浸及び分析を含む試料調製は、清浄な化学作用に従って行われる。Agilent 7900x ICP-MSで分析を行う。装置は、200μLの自己吸引PFA Micro Flowネブライザと、内径1.5mmの注入器と、白金インターフェース(サンプラーコーン及びスキマーコーン)を有するPFA噴霧チャンバと、を装備する。高感度及び低バックグラウンドに到達し、任意の多原子干渉を低減するために、ICP-MS機器は、ガスなし、H2反応、及びヘリウム衝突様式下で1ppbの調整溶液を用いて調整される。
【0019】
ICP-MS分析に使用される化学物質及び試薬は、硝酸、多元素標準液及びICP-MS調整溶液を含む。硝酸は、Ultra-Trace Metalグレード又はOptimaグレードである。それらは、試料温浸のために、並びに較正標準液及び調整溶液を作製するために使用される。装置は、N2ガス、H2ガス、及びHeガスの様式下で調整及び較正される。5%の硝酸中で作製した0、0.25、1、5及び10ng/mLの較正標準液(SPEX CertiPrep、Multi-element Standards)を使用して、0~10ng/mLの範囲にわたって装置を較正する。
【0020】
ICP-MSによって金属を分析するために、アミン試料中の有機物を除去する必要がある。これは通常、窒素パージしながら高温ブロック中で沸点以下の温度で蒸発乾固させることによって実行され得る。次に、残渣を硝酸に再溶解し、水で希釈する。調製した溶液を、上記のように、Agilent 7900 ICP-MSを使用する誘導結合プラズマ質量分析(inductively coupled plasma-mass spectrometry、ICP-MS)を使用して分析する。
【0021】
実施例1:バッチ法
表1に示すように、5つの異なる量の同じ吸着剤を、5本のプラスチックボトル内へとそれぞれ添加する。ほぼ同量のNMEAを、各ボトルに添加する。NMEA溶液の添加後、5本のボトルを、吸着平衡を促進するように一晩振盪するために、機械式振盪器上に置く。振盪後、吸着剤をボトル中で沈降させて、液体試料を金属分析のために採取する。元の未処理NMEA試料もまた、比較例として金属含量について分析する。
【0022】
表1に実験結果を示す。この表に示すように、元のNMEA比較例試料は、それぞれ97、9、47ppbの濃度のFe、Cu及びZnイオンを有する。試験1~5については、NMEAアミン液体量はほとんど同じであり、各試験についての吸着剤用量は、試験1から5へと増加される。表1は、より多くの吸着剤が適用されるほど、より多くの金属イオンが液体NMEAから除去されることを示す。例えば、Fe3+金属イオンについては、試験5において、0.816グラムの吸着剤を適用した後、平衡状態でNMEA中に4ppbのFe3+しか残っていなかった。別の実施例では、Zn2+について、試験4において0.405グラムのみの吸着剤が適用された後でさえ、3ppbのみのZn2+が平衡状態でNMEA中に残った。第3の実施例では、Cu2+について、試験5において0.816グラムの吸着剤を適用した後、2ppbのCu2+が平衡状態でNMEA中に残った。
【0023】
理解され得るように、適切に設計される場合、このクラスの吸着剤を利用する吸着器は、良好な動作寿命を伴って、Fe及びZnなどの主要金属汚染物質に対して95%を上回る除去効率を提供し得る。
【表1】
【0024】
実施例2:固定床の吸着実験
吸着カラムは、吸着媒体の支持体としてポリプロピレンフリットを有するポリプロピレンから作製された。カラム内へと充填された超吸着剤の量は0.985gであり、吸着剤床の体積は2.85mLである。NMEAは、Alltechから入手した液体クロマトグラフィポンプ(モデル626)によってポンピングされる。ポンプは、金属を含まないPEEK材料で構成される。吸着実験の全時間を通して、1.0mL/分(1時間当たり21床体積(「bed volume、BV」))の流量を維持する。比較例試料を前後に収集して、ポンプ取付具及びチューブからの汚染がないことを確実にする。規則的な間隔で、約1~2mLの試料を、分析測定のためにカラムの出口で収集する。本固定床の吸着実験からの結果を表2に示す。
【表2】
【0025】
固定床の吸着の結果は、NMEA(比較例)中に存在する本質的に全ての金属不純物が、ある程度まで超吸着剤によって吸着されることを示す。金属濃度のいくらかの変動は、分析誤差又は実験誤差による可能性が最も高かった。Fe3+金属イオンを例にとると、140BVのNMEAが吸着剤カラムを通して供給された場合、流出液中のFe3+濃度は26ppbであり、NMEA供給物(比較例)中の84ppbから下がった。別の例としてCu2+をとると、140BVのNMEAが吸着剤カラムを通して供給された場合、流出液中のその濃度は2ppbであり、NMEA供給物(比較例)中の16ppbから下がった。第3の例としてZn2+をとると、42BVのNMEAが吸着剤カラムを通して供給された場合、流出液中のその濃度は3ppbであり、NMEA供給物(比較例)中の158ppbから下がった。42BVのNMEAがカラム内へと供給された後、より多くのZn2+が吸着剤床をゆっくりと通り抜け始めるが、これは、より多くのNMEAがカラムを通して供給されるにつれてZn2+濃度がゆっくりと増加することによって証明される。超吸着剤は、異なる金属に対して異なる吸着容量を有する。したがって、固定床吸着カラムにおける各金属の破過時間は異なる。検討された実施例の結果は、1時間当たり21BVの供給流量で行われたことに留意されたい。供給流量がより低い場合、特に1時間当たり1~10BVの好ましい範囲である場合、金属除去効率はより高くなり、流出液中の金属濃度はより低くなる。
【国際調査報告】