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特表2024-513338WLANセンシングのオーバーヘッド削減のための通信装置および通信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】WLANセンシングのオーバーヘッド削減のための通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20240315BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240315BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20240315BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W84/12
H04W28/06 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557229
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 SG2022050114
(87)【国際公開番号】W WO2022216225
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10202103674S
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プシュカルナ ラジャット
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】シム ホン チェン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディン イェンイー
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH22
(57)【要約】
サウンディングのオーバーヘッドを削減するために、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)センシングのためのサウンディングの使用および関連するフレーム交換を最小限にできる複数の仕組みおよび方法を提供する。通信装置は送受信部と回路を備える。送受信部は、動作時に、WLANから信号を受信する。回路は、動作時に、前記信号を復調および復号し、復号された前記信号は第一のPPDUおよび第二のPPDUを含み、前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの第一PHYヘッダおよび前記第二のPPDUの第二PHYヘッダに基づいてフルチャネル測定を行い、前記第一のPHYヘッダおよび前記第二のPHYヘッダは、チャネル品質を推定するためのLTFを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)で信号を受信する送受信部と、
動作時に、前記信号を復調および復号する回路と、
を備える通信装置であって、
復号された前記信号は第一のPPDU(physical layer protocol data unit)および第二のPPDUを含み、
前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの第一PHY(physical layer)ヘッダおよび前記第二のPPDUの第二PHYヘッダに基づいてフルチャネル測定を行い、
前記第一のPHYヘッダおよび前記第二のPHYヘッダは、チャネル品質を推定するためのLTF(long training field)を含む、
通信装置。
【請求項2】
前記第二のPPDUは、前記送受信部によって、前記第一のPPDUに続いて受信され、
前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUに基づいて第一のチャネル測定パラメータを計算し、前記第二のPPDUに基づいて第二のチャネル測定パラメータを計算し、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの差分に基づいてフルチャネル測定を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第一のチャネル測定パラメータおよび前記第二のチャネル測定パラメータは、時間反転共振強度(TRRS:time reversal resonating strength)、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)、および検出チャネルエネルギーのうちの一つを含む、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記回路は、動作時に、閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいてフルチャネル測定を行う、
請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記回路は、動作時に、前記閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいて、閾値超えの通知を生成し、
前記送受信部は、動作時に、前記閾値超えの通知を上りリンクのフレームで送信する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記上りリンクのフレームは、ブロックAckフレーム、サウンディングフレーム、およびユニキャストアクションフレームのうちの一つである、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送受信部は、動作時に、閾値信号を、ビーコンフレーム、ユニキャスト管理フレーム、およびプローブ応答フレームのうちの一つで受信し、
前記回路は、動作時に、前記閾値を得るために、前記閾値信号を復調および復号する、
請求項4から6の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの前記第一PHYヘッダおよび前記第二のPPDUの前記第二PHYヘッダに基づいて、ビームフォーミング手順を開始する、
請求項1から7の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
動作時に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)で信号を受信する送受信部と、
動作時に、前記信号を復調および復号する回路と、
を備える通信装置であって、
復号された前記信号は、関連付けられた通信装置による、閾値超えの通知を含み、
前記回路は、動作時に、前記関連付けられた通信装置による、前記閾値超えの通知に基づいて、フルチャネル測定を実行するためにWLANセンシング手順を開始する、
通信装置。
【請求項10】
前記回路は、動作時に、WLANセンシング要求を含むセンシング要求フレームを生成することによって前記WLANセンシング手順を開始し、
前記送受信部は、前記センシング要求フレームを前記関連付けられた通信装置に送信する、
請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記センシング要求フレームは、前記関連付けられた通信装置からのフィードバックを要請する、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記回路は、動作時に、前記フルチャネル測定を実行する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記回路は、動作時に、フルチャネル測定を実行し、明示的フィードバックを含む要請した前記フィードバックに基づいて明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、前記関連付けられた通信装置に対する送信用のNDPを生成する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項14】
前記回路は、動作時に、前記明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、前記関連付けられた通信装置に対する送信用のスタガードPPDUをさらに生成する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
復号された前記信号は、部分的フィードバックを含む要請した前記フィードバックに基づいて、前記関連付けられた通信装置が受信したPPDUに含まれるLTF(long training field)のチャネル品質情報を含む、
請求項11に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)通信に関し、特に、WLANセンシングのオーバーヘッド削減のための通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において通信装置は、電話機、タブレット、コンピュータ、カメラ、デジタルオーディオ/ビデオプレーヤ、ウェアラブルデバイス、ゲームコンソール、テレヘルス・テレメディシンデバイス、通信機能付帯の車両、および上述の各種組み合わせという形で普及している。通信には、例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)システム、セルラシステム、衛星システム、およびこれらの様々な組み合わせを通じたデータ通信がある。
【0003】
WLANセンシングアプリケーションは通常、チャネル測定を実行し、一つ以上の無線リンクを経時的に追跡して、チャネルの変動をイベント/アクティビティに分類する。チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)は、各サブキャリア上の時間遅延、振幅減衰、および位相シフトなどの様々な影響を伴うチャネル内で無線信号がどのように伝搬するかを記す情報を提供するため、CSI測定はWLANセンシングに利用されることがある。
【0004】
WLAN通信では、CSIはPHY(physical layer)ヘッダのLTF(long training field)に基づいて計算される。送信LTFと受信LTFとの違いは、チャネル状態情報である。受信機は、あらかじめ定義された信号と、巡回プレフィクスの除去、デマッピング、OFDM復調などの受信処理を行った後の受信信号を用いてCSI行列を推定する。
【0005】
現在のWLANの仕様によると、チャネル測定は、NDP(null data packet)のLTFを使用して実行される。ビーコン間隔に10回センシングを行う必要がある場合を検討する。サウンディングは、ビーコン間隔中に最大約1ミリ秒かかることがある。WLANセンシングのアプリケーションによっては、サウンディングの回数を大幅に増やすような非常に頻繁なチャネル測定が必要になる場合がある。WLANセンシングのユースケースによると、多くのシナリオにおいて最大10パーセントのセンシングオーバーヘッドが予想される。一つのイニシエータと一つのレスポンダのシナリオで、チャネル測定がビーコン間隔で10回より多く行われる場合、センシングのオーバーヘッドは10パーセントを超える可能性がある。複数のイニシエータと複数のレスポンダでは、センシングのためのネットワークオーバーヘッドが大幅に増加する可能性がある。
【0006】
そのため、サウンディングのオーバーヘッドを削減するために、WLANセンシングのためのサウンディングの使用および関連するフレーム交換を最小限に抑えることによって、前述の問題を緩和するためのWLANセンシングのオーバーヘッド削減のための通信装置および通信方法が必要とされている。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面やこれらの背景と合わせて、以下の詳細な説明および添付の請求項から明らかになる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の非限定的及び例示的な実施例は、サウンディングのオーバーヘッドを削減するために、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)センシングのためのサウンディングの使用および関連するフレーム交換を最小限にできる、複数の仕組みおよび方法の提供に資する。
【0008】
一実施例において、ここに開示される技術は、送受信部と回路とを有する通信装置を特徴とする。送受信部は、動作時に、WLANから信号を受信する。回路は、動作時に、前記信号を復調および復号し、復号された前記信号は第一のPPDU(physical layer protocol data unit)および第二のPPDUを含み、前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの第一PHY(physical layer)ヘッダおよび前記第二のPPDUの第二PHYヘッダに基づいてフルチャネル測定を行い、前記第一のPHYヘッダおよび前記第二のPHYヘッダは、チャネル品質を推定するためのLTF(long training field)を含む。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下において、例示的な実施例は添付した図面を参照してより詳細に説明される。
図1】無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)システムの一例および動作する通信装置を示す図である。
図2】通信装置の一例のブロック図を示す図2Aおよび図2Bから成り、図2Aは無線ステーション(STA)通信装置の一例を、図2Bは無線アクセスポイント(AP)を示す。
図3】WLANシステムにおけるアクセスポイント(AP)と無線ステーション(STA)との間の通信中の、従来のWLANセンシングの一例を示す図である。
図4】WLANセンシングのための、従来の閾値ベースのフィードバックメカニズムを示す図である。
図5】本開示に係る、WLANセンシングの方法の三つのフェーズを示す図である。
図6】本開示に係る、閾値算出のためのイニシエータ・レスポンダ間の通信を示す図である。
図7】本開示に係る、WLANセンシング閾値要素を示す図である。
図8】本開示に係る、チャネル測定のシナリオを示す図である。
図9】本開示に係る、閾値超えを通知するブロックAckフレームを示す図である。
図10A】複数のレスポンダが同時に閾値を超えるときの、本開示に従ったセンシング手順を示す図である。
図10B】複数のレスポンダが同時に閾値を超えるときの、本開示に従ったセンシング手順で使用されるNDPAフレームを示す図である。
図11】本開示に係る、センシング要求フレームを示す図である。
図12】本開示に係る、フィードバックタイプフィールドがNDP(null data packet)に設定されるときのセンシング手順を示す図である。
図13】本開示に係る、フィードバックタイプフィールドが「部分的フィードバック」に設定されるときのセンシング手順を示す図である。
図14】本開示に係る、フィードバックタイプが「明示的フィードバック」に設定されるときのセンシング手順を示す図である。
図15】本開示の変形例に係る閾値計算のための、イニシエータと複数のレスポンダとの通信を示す図である。
図16図16Aおよび図16Bから成り、本開示に係る閾値設定を示す。図16Aは閾値設定の図示であり、図16Bは本開示に係る閾値管理フレームを示す図である。
図17】本開示に係る、レスポンダがイニシエータにセンシング要求フレームを送ることによって閾値超えを通知する、チャネル測定を示す図である。
図18】本開示に係る、センシング要求フレームに応じて行われるセンシング手順を示す図である。
図19】本開示に係る、レスポンダが送信したセンシング要求フレームに応じて行われるセンシング手順を示す図である。
図20】本開示に係る、レスポンダが閾値超えを通知し、NDPAフレームを直接送信するセンシング手順を示す図である。
図21】本開示に係る、レスポンダが、最初に閾値超えを通知せずに、NDPAフレームを直接送信するセンシング手順を示す図である。
図22】本開示に係る、センシングイニシエータがセンシング送信機でもセンシング受信機でもない、第一の協調センシング手順を示す図である。
図23】本開示に係る、センシングイニシエータがセンシング送信機でもセンシング受信機でもない、第二の協調センシング手順を示す図である。
図24図24Aおよび図24Bから成り、本開示に係る図22および図23の協調センシング手順において使用されるフレームの図である。図24Aはセンシング制御フレームを示し、図24BはNDPAフレームを示す。
図25】本開示に係る、フィードバックを要請するためにスタガードPPDUを利用するセンシング手順を示す図である。
図26】本開示に係る、フィードバックを要請するためにEHT(extra high throughput)PPDUを利用するセンシング手順を示す図である。
図27図27Aおよび図27Bから成り、本開示に係る図26のセンシング手順において使用されるPPDUの図である。図27AはEHT(extra high throughput)PPDUを示す図であり、図27BはHT(high throughput)PPDUを示す図である。
図28】本開示に係るセンシング手順を使用するビームフォーミング手順を示す図である。
図29】従来のWLANセンシングを示す図である。
図30】本開示に係るWLANセンシングを示す図である。
図31】本開示に係るWLANセンシング装置のブロック図である。
図32】本開示に係るWLANセンシングシステムの単一デバイス実装の形態を示すブロック図である。
図33】本開示に係る、WLANセンシングシステムの集中型複数デバイス実装の形態を示すブロック図である。
【0012】
当業者であれば、図中の要素が平易にかつ明瞭に示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、例示的な実施形態または例示的な実施形態の適用および用途を制限することを意図するものでない。さらに、前述の背景または以下の詳細な説明で提示されたいかなる理論にも制約される意図はない。本開示は、サウンディングのオーバーヘッドを削減するために、WLANセンシングのためのサウンディングの使用および関連するフレーム交換を最小限に抑えることによって、WLANのオーバーヘッドを削減するための通信装置および通信方法の例示的な実施形態を提示することを意図している。
【0014】
図1は、オフィス102内のWLANシステムの一例を示す図示100である。アクセスポイント(AP)110a、110b、110c、110d、110e、110fはそれぞれ、対応するサービスエリア(BSS:Basic Service Set)115a、115b、115c、115d、115e、115fを有する。オフィス102内などの密集したWLAN環境では、AP110a、110b、110c、110d、110e、110fの位置は、より良いサービスカバレッジのため、図示100に示されるように、サービスエリア115a、115b、115c、115d、115e、115fが重複する領域を有するように定義される。サービスエリア115a、115b、115c、115d、115e、115f内で、無線ステーション(STA)120a、120b、120c、120d、120e、120fは、AP110a、110b、110c、110d、110e、110fと通信する。AP110a、110b、110c、110d、110e、110fは、サーバ130と通信して、STA120a、120b、120c、120d、120e、120fにインターネット、イントラネット、および他のリソースを提供する。サービスエリア115d内の人物135は、以下で説明するように、STA120dとAP110dとの間のチャネルに影響を及ぼす可能性がある。第2のオフィス160は、内部にSTA150と通信するAPを有する。
【0015】
無線ステーション(STA)120は、WLANシステム上で動作する通信装置である。図2Aは、例示的なSTA120のブロック図200である。STA120は、本開示に記載されるような通信機能を実行する送受信部204といった、アンテナ206に接続される通信デバイスに結合される、制御部202等のデバイスを備えてよい。例えば、STA120は、STA120の通信機能を実行するために送受信部204によって使用される制御信号および/またはデータ信号を生成する制御部202を備えてよい。STA120はまた、制御部202による制御信号および/またはデータ信号の生成のための指示および/またはデータを格納するために、制御部202に結合されたメモリ208を備えてよい。STA120はまた、メモリ208に記憶するためのデータおよび/または指示の入力を受信するため、および/または、制御信号および/またはデータ信号を生成するため、およびオーディオ、ビデオ、テキストまたは他の媒体の形態でのデータ出力を提供するために、制御部202に結合された入出力(I/O)回路210を備えてよい。
【0016】
STA120は、WLANシステム100内のアクセスポイント(AP)110と通信し、インターネット、他の通信装置、または他のシステムとデータを交換するためにサーバ130を介してRU(resource unit)にアクセスする。図2Bは、例示的なAP110のブロック図250である。AP110は、図2Aに示されるようなSTA120a、120b、120c、120d、120e、120f、または他の通信装置と通信する、またはそれらを制御するインフラ設備を備える。AP110は、本開示に記載されるような通信機能を実行する送受信部254といった、アンテナ256に接続される通信デバイスに結合される、制御部252等のデバイスを備えてよい。例えば、AP110は、AP110のSTA120との通信機能を実行するために送受信部254によって使用される制御信号および/またはデータ信号を生成する制御部252を備えてよい。AP110はまた、制御部252による制御信号および/またはデータ信号の生成のための指示および/またはデータを記憶するために、制御部252に結合されたメモリ258を備えてよい。AP110はまた、例えば、サーバ130によって提供される様々なRUと結合するため、メモリ258に記憶するためのデータおよび/または指示の入力を受信するため、および/またはSTA120とRUとの間の通信を可能にするための制御信号および/またはデータ信号の生成のために、コントローラ252に結合された入出力(I/O)回路260を備えてよい。
【0017】
従来のWLANセンシングアプリケーションは、チャネル測定を実行し、一つ以上の無線リンクを経時的に追跡して、チャネルの変動をイベント/アクティビティに分類する。CSI(チャネル状態情報)は、各サブキャリア上の時間遅延、振幅減衰、および位相シフトなどの様々な影響を伴うチャネル内で無線信号がどのように伝搬するかを記す情報を提供するため、CSIはWLANセンシングのチャネル測定パラメータとして利用されている。送信LTF(long training field)と受信LTFとの違いは、CSIである。受信部は、巡回プレフィクスの除去、デマッピング、およびOFDM復調などの受信処理後に、予め定義された信号「x」および受信信号「y」を用いてCSI行列「H」を推定する。推定CSIは、複素数値の三次元行列Hである。
【0018】
図3は、WLANシステムにおける、AP310とSTA320との通信中の、従来のWLANセンシングの一例の図示300である。通常の通信330の後、WLANセンシング335が実行される。現在の仕様によれば、チャネル測定は、NDP(null data packet)340からのLTFを使用して行われる。図示300では、AP310がセンシングイニシエータであると想定され、STA320がセンシングレスポンダであると想定される。表1は、センシングがビーコン間隔で実行されるときのセンシングエアタイムを示す。
【表1】
【0019】
表1に示されるように、サウンディングは、ビーコン間隔中に最大約1ミリ秒(ms)かかることがある。WLANセンシングのアプリケーションによっては、サウンディングの回数を大幅に増やすような非常に頻繁なチャネル測定が必要になる場合がある。従来のWLANセンシングによれば、一つのイニシエータおよび一つのレスポンダのシナリオにおいて、最大10%のセンシングオーバーヘッドが予想される。複数のイニシエータおよびレスポンダを有する例示的な無線ローカルエリアネットワークシステム102(図1)では、WLANセンシングのためのネットワークオーバーヘッドが著しく増大し得る。本開示に係るWLANセンシングは、サウンディングのオーバーヘッドを削減するために、WLANセンシングのためのサウンディングの使用および関連するフレーム交換を最小限に抑える。
【0020】
図4は、WLANセンシングのための、従来の閾値ベースのフィードバックメカニズムの図示400である。イニシエータSTA(ISTA)は、センシングNDPA405を送信することによって、応答STAごとに閾値を設定し、SIFS(short interframe space)の後にNDP410をすべてのRSTAに周期的に送信する。TF(Trigger Frame)センシングポーリング415に応答して、応答STA(RSTA1)は、「CTS(clear to send)」420をISTAに送信する。TFセンシングサウンディング425に応答して、RSTA1は、CSIを測定し、それを以前の測定結果と比較する。CSIの差分が閾値を超える場合、RSTA1は、NDP430をISTAに送信する(スケジューリングが必要とされ得る)。そうでない場合、RSTA1は、測定結果を記憶し、何もフィードバックしない。ISTAは、応答STAによって送信されたNDP430に基づいて、自身の内部でセンシング測定を行うことができる。この従来のWLANセンシングでは、閾値を超えたかどうかを確認するためのチャネル測定を行うために、NDPサウンディングが実行されるが、これは通常の通信に対するオーバーヘッドや付加的なフレーム交換として不利に働く可能性がある。
【0021】
図5は、本開示に係る、オーバーヘッドおよびネットワーク負荷を低減するチャネルサウンディングの方法の図示500である。本開示に係るチャネルサウンディングの方法は、三つのフェーズ510、520、530を含む。STAは、他のSTAから受信した通常のPPDU(Physical Layer Protocol Data Unit)に基づいてチャネル推定を行い、閾値を超えたか否かを確認する。閾値を超えた場合、フルチャネル測定を行う。つまり、本開示に係るWLANセンシングの方法の第一フェーズは、閾値設定フェーズ510である。閾値設定フェーズ510の間、STAは、それより上でフルチャネル測定が実行されるべき閾値について学習する。第二の通常通信フェーズ520の間、STAは、CSIを抽出するためにチャネル測定を実行し、抽出されたCSIの値を基準CSI値と比較して、CSI値の差異から閾値を超えたか否か判断する。CSIは、チャネル品質を測定するチャネル測定パラメータである。本開示によれば、時間反転共振強度(TRRS:time reversal resonating strength)、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)、または検出チャネルエネルギーといった、他のチャネル測定パラメータを、チャネル測定の実行中に抽出することができる。
【0022】
センシング処理フェーズ530の間、STAは、閾値を超えた場合、フルチャネル測定を実行する。チャネル測定では、通常のPPDUを使用してよい。本開示に従って、通常のPPDUを使用して、チャネル測定のために閾値を超えたかどうか判定することによって、サウンディングオーバーヘッドが大幅に低減される。
【0023】
通常のPPDUに基づくチャネル測定は、送受信部204、254によってサポートされる空間ストリーム(SS:Spatial Stream)の数以下であり得る、PPDU中に存在するLTFについてのみ行われ、これは完全なチャネルを推定する場合もあれば、推定しない場合もある。本開示によれば、フルチャネル測定では、完全なチャネルのサウンディングのためにNDP(任意の数のLTF)またはスタガード(Staggered)PPDU(追加のLTFを含むPPDU)を使用してもよい。
【0024】
図6を参照すると、イニシエータ・レスポンダ間の通信の図示600は、本開示に係る閾値算出を示す。イニシエータ610およびレスポンダ620はどちらも、AP110またはSTA120のいずれかであってよい。図示600では、イニシエータ610はAPであり、レスポンダ620はAPに関連付けられたSTAの一つである。
【0025】
閾値は、WLANセンシングが実行される前に算出され(630)、WLANセンシングが、本開示に従って、オフライントレーニングフェーズ中に実行される。オフライントレーニングフェーズは、実際のセンシングが実行される前の時間であり、ここでAPは、関連付けられたSTAと、チャネルインパルス応答のデータベースを準備する。イニシエータ610であるAPがレスポンダ620から上りリンクフレーム640を受信すると、イニシエータ610はチャネルインパルス応答を算出する。このステップは、APの関連サービスエリア115内の環境における局在オブジェクトの知識を持つために、チャネルインパルス応答(CIR:Channel Impulse Response)のデータベースを準備するために、様々な時間インスタンスと場所で繰り返されてよい。データベースが準備されると、APは、他の上りリンクフレーム650を受信すると、時間反転CIRを算出し、それをデータベース内のCIRと畳み込む。これは、対象のレスポンダ620のための閾値であり、イニシエータ610からレスポンダ620への、計算された閾値を含むビーコンフレームまたはユニキャスト管理フレームの送信(670)によって設定(660)される、レスポンダ620のための最大集束利得を生む。
【0026】
本開示によれば、閾値630を計算するために二つの方法が考えられる。第一の方法は時間反転共振強度(TRRS)計算であり、第二の方法は相互相関法である。TRRS法によれば、式(1)および式(2)に示すようにCIRを算出することができる。
【数1】
【数2】
【0027】
およびhはチャネルインパルス応答(CIR)である。CIRhは時間反転され、CIRhと畳み込まれる。式(3)では、閾値として設定された、時間反転されてデータベースの様々な値と畳み込まれたhの最大値として閾値が計算される。
【数3】
【0028】
式(3)は、TR共振強度が、二つの複素CIR間の相互相関のエントリの最大振幅であることを明らかにしている。従来の相関係数の代わりにTR共振強度を使用する主な理由は、チャネル推定誤差に対するロバスト性を高めることである。
【0029】
閾値は、単純に二つのチャネルインパルス応答hとhとの間の相関係数を用いて、相互相関法によって計算することもできる。閾値を計算するために、イニシエータはすでにCIRのデータベースを有し、レスポンダの位置を理解していると仮定する。閾値は、二つのチャネルインパルス応答間の相互相関の最大値として定義される値である。
【0030】
APは、イニシエータ610として、ビーコンフレームまたはユニキャスト管理フレームの送信(670)を用いて、WLANセンシングに参加する全ての関連付けられたSTAに閾値を設定することができる。イニシエータ610がレスポンダ620の閾値を計算(630)した後、イニシエータ610は、本開示に従って定義されたWLANセンシング要素を使用して、閾値設定フェーズ510(図5)に従って閾値を設定してよい。図7を参照すると、図示700には、閾値をレスポンダ620に通知するために使用されるWLANセンシング要素710が示される。WLANセンシング要素710は、10刻みの0から100の間の値としての閾値を含むセンシング閾値フィールド720と、センシング閾値タイムアウトフィールド730とを含む。センシング閾値タイムアウトフィールド730は、フルチャネル測定が実行され得る時間を示し、すなわち、閾値が設定されたレスポンダ620(例えば、STA)のいずれも「センシング閾値タイムアウト」の間に閾値を超えない場合、タイムアウトが発生したSTAは、フルチャネル測定を実行してよい。WLANセンシング要素710は、上記で説明したようにビーコンフレームで搬送されてもよく、プローブ応答フレームまたはユニキャスト管理フレームなどの他のブロードキャストフレームで搬送されてもよい。
【0031】
応答STAで受信した通信中のPPDUはいずれもチャネル測定のために使用できる。需要な点は、PHYヘッダに存在するLTFを使用してチャネル品質を推定するためのPHYヘッダの空き状況である。図8を参照すると、図示800には三つのSTAが関わる第一のチャネル測定シナリオが示され、STA1 810がセンシングイニシエータ無線ステーションであり、STA2 820およびSTA3 830がセンシングレスポンダ無線ステーションである。STA2 820およびSTA3 830は、STA1 810から受信した通常のPPDU840、850からのLTFに基づいてチャネル測定を実行する。STA2 820およびSTA3 830は、CSI値を計算し(845)、当該CSI値を記憶する。STA2 820およびSTA3 830は、後に計算されたCSI値および以前の測定から記憶されたCSI値のCSI差分を算出する(855)。CSI差分が閾値を超える場合、閾値を超えたレスポンダSTA(STA3 830)は、OFDMA通信における上りリンクフレーム860、例えば、ブロックAck(BA)フレームやユニキャストアクションフレームを用いて、イニシエータSTA(STA1 810)に閾値を超えたことを通知してよい。そして、イニシエータSTA(STA1 810)は、閾値を超えたレスポンダSTA(すなわち、STA3 830)にセンシング要求870を送信する。
【0032】
CSI差分計算(855)が現在のCSI値と直前のCSI値との間で算出される場合、転倒検知や動作検知のようなWLANセンシングアプリケーションは恩恵を受けることができる。この計算は、閾値を超えたときにイニシエータ(STA1 810)がフルチャネル測定を開始するためのCSI値の瞬時の変化を提供することができるからである。
【0033】
図9を参照すると、図示900には、本開示に係るブロックAck860のブロックAckフレーム910が示される。ブロックAckフレーム910は、ブロックAck要求(BAR:Block Ack Request)制御フィールド(BAR制御)920を含む。レスポンダ830が閾値を超えると、本開示に従って、ブロックAckフレーム910に閾値超えビットが設定される。一つの閾値超えビット930は、ブロックAckフレーム910のBARフィールド920の中の予備ビット940から超えた閾値を通知するために使用されてよい。
【0034】
図示800(図8)に戻り、センシングレスポンダ(例えば、STA3 830)が閾値超えを通知するとき、イニシエータ(STA1 810)は、フルチャネル測定をトリガするために、センシング要求アクションフレームをレスポンダに送信してよい。図示800のセンシングシーケンスでは、STA1 810(イニシエータ)は、閾値を超えることを通知したSTA3 830(レスポンダ)に、センシング要求フレーム870を送信する。複数のレスポンダが閾値を超える場合、イニシエータは、センシング閾値を超えたレスポンダにWLANセンシング要求フレームを送信してもよい。
【0035】
図10Aを参照すると、図1000には、複数のレスポンダが同時に閾値を超えるときの、本開示に従ったセンシング手順が示される。複数のレスポンダSTA2 820およびSTA3 830は、同時に閾値を超える。イニシエータSTA1 810は、センシング要求1010、1020をSTAに順次送信する。本開示に係るレスポンダSTA(STA2 820およびSTA3 830)はセンシング送信機であり、チャネル測定を実行するために、NDPフレーム1018、1028をイニシエータSTA(STA1 810)に順次送信する。NDPフレーム1018、1028を送信する前に、レスポンダSTA(STA2 820およびSTA3 830)は、イニシエータが明示的なフィードバックを送信しなくてもいいように「フィードバックなし」を通知するため、NDPAフレーム1015、1025を送信する。
【0036】
図10Bは、本開示に係る、NDPAフレーム1015またはNDPAフレーム1025といったNDPAフレーム1050である。STA情報フィールド1060は、「フィードバックなし」を通知する情報1080を含むフィードバックタイプサブフィールド1070を含む。
【0037】
図11を参照すると、図1100は、本開示に係るセンシング要求フレーム1110を示す。センシング要求フレーム1110は、MACヘッダ1120およびフレーム本体1130を含む。センシング要求フレーム1110は、管理アクションフレームとして定義され、本開示によれば、フレーム本体1130は、カテゴリフィールド1132、アクションフィールド1134、レスポンダ/イニシエータフラグフィールド1136、閾値超えフィールド1138、及びフィードバックタイプフィールド1140を含む。カテゴリフィールド1132はSENSであり、アクションフィールド1134はWLANセンシング要求である。レスポンダ/イニシエータフラグ(Resp/Iniフラグ)フィールド1136は、フレームを送信したSTAがレスポンダかイニシエータかを示す。閾値超えフィールド1138は、センシング要求フレーム1110を送信するSTAが閾値を超えたことを示す。そして、フィードバックタイプフィールド1140は、センシングセッション中のフィードバックの種類を決定する。フィードバックタイプフィールド1140には1オクテットが割り当てられ、そのうち2ビットがフィードバックタイプの通知のために使用され、他のビットは将来の使用のために取っておかれる。表2は、本開示に係るフィードバックの種類を示す。
【表2】
【0038】
図12は、本開示に係る、センシング要求フレーム1110内のフィードバックタイプフィールド1140がNDP(null data packet)に設定されるときのセンシング手順の図示1200である。イニシエータ(STA1 810)は、ブロックAck1205において閾値超え通知を受信すると、センシング要求フレーム1110におけるフィードバックタイプフィールド1140がNDPに設定されたセンシング要求1210を、センシング閾値を超えたレスポンダ(STA3 830)に送信する。この場合、イニシエータSTA1 810は、レスポンダSTA3 830からNDP1220を受信すると、チャネル測定を実行する。
【0039】
図13は、本開示に係る、センシング要求フレーム1110内のフィードバックタイプフィールド1140が「部分的フィードバック」に設定されるときのセンシング手順の図示1300である。イニシエータ(STA1 810)は、ブロックAck1305において閾値超え通知を受信すると、センシング要求フレーム1110におけるフィードバックタイプフィールド1140が「部分的フィードバック」に設定されたセンシング要求1310を、センシング閾値を超えたレスポンダ(STA3 830)に送信する。レスポンダSTA3 830は、センシング要求1310をAck(1320)した後、非NDP PPDU 1350に含まれるLTFの受信品質情報に基づいて、データ部における空間ストリーム(SS)の数に対応するストリーム情報の一部である部分的フィードバック1330をイニシエータSTA1 810に送信する。STA1 810などのイニシエータSTAは、センシングアプリケーションに応じて部分的フィードバックを求めてよい。例えば、オブジェクトの位置特定または存在検知などの場合、データに関連するSSのCSIが変更される場合、環境に何らかの変化が生じる可能性があるという事実を利用することによって、部分的フィードバックが有用であり得る。
【0040】
図14は、本開示に係る、センシング要求フレーム1110内のフィードバックタイプフィールド1140が「明示的フィードバック」に設定されるときのセンシング手順の図示1400である。イニシエータ(STA1 810)は、ブロックAck1405において閾値超え通知を受信すると、センシング要求フレーム1110におけるフィードバックタイプフィールド1140が「明示的フィードバック」に設定されたセンシング要求1410を、センシング閾値を超えたレスポンダ(STA3 830)に送信する。イニシエータSTA1 810がレスポンダSTA3 830からの明示的なフィードバックを要請し、レスポンダSTA3 830がAck(1420)すると、イニシエータSTA1 810は、レスポンダSTA3 830がフルチャネル測定を実行し、明示的チャネル測定フィードバック1440をイニシエータSTA1 810に提供することを通知するNDPフレーム1430をレスポンダSTA3 830に送信する。このシナリオは、応答するSTAがスマートTVやノートパソコンといった、計算能力の高いデバイスである場合に有用である。
【0041】
イニシエータはまた、アプリケーションの種類に基づいて、レスポンダからチャネル測定フィードバック1440を求めてもよい。フルチャネル測定を必要とするアプリケーションの場合、レスポンダがNDPをイニシエータに送信し、イニシエータが自身でフルチャネル測定を実行してもよい。イニシエータはまた、通常PPDU 1350からのLTFに基づいて、部分フィードバック1330を要請してもよい。これは、完全なチャネル測定ではない場合があるが、自動照明といった特定のアプリケーションのためのネットワーク負荷を大幅に低減することができる。イニシエータは、閾値を超えたレスポンダから明示的なフィードバック1440を求めてもよい。この場合、イニシエータは、フルチャネル測定が実行され、明示的フィードバック1440が送り返されるように、NDP1430をレスポンダに送信することができる。イニシエータは、閾値を超えたときに測定を実行しないことを選択することもでき、そのような場合、レスポンダは結果を保存し、通常の通信を継続してよい。
【0042】
図15を参照すると、図示1500は、本開示の変形例に係る閾値計算1540のための、イニシエータSTA1 1510と複数のレスポンダSTA2 1520およびSTA3 1530との通信を示す。図示1500では、閾値計算イニシエータは、STA1 1510である。閾値計算イニシエータSTA1 1510は、イニシエータSTA1 1510が完全なチャネルを推定するために、NDP1550、1560、1570、1580をレスポンダSTA2 1520およびSTA3 1530に送信してよい。このプロセスは、図示1500に示すように、数回繰り返され得る。レスポンダSTA2 1520およびSTA3 1530は、CSIを計算し、計算されたCSIを含む明示的フィードバック1555、1565、1575、1585を送信する。イニシエータSTA1 1510は、基準CSIとして適切なCSIを選択してよい。CSI値の選択は、アプリケーションに基づくことができる。例えば、迅速な測定を必要とする転倒検知や動作検知といった、感度の高いアプリケーションは、レスポンダSTA2 1520およびSTA3 1530から経時的に受信されるCSIの最小値など、より低い基準CSI値を有し得る。存在検知または侵入者検知といった、頻繁な測定を必要としないアプリケーションでは、レスポンダSTA2 1520およびSTA3 1530から経時的に受信されるCSIの最大値など、基準として比較的高いCSI値を有し得る。イニシエータSTA1 1510は、現在のCSI計測値と基準CSIとに基づいて算出されたCSIの差分に応じて、閾値を超えるか否かを判断する。
【0043】
図8に戻り、センシングレスポンダ(例えば、STA3 830)が、イニシエータSTA1 810に送信されるブロックAck860において閾値超えを通知するとき、イニシエータは、閾値超えを通知したレスポンダSTA3 830にセンシング要求アクションフレーム870を送信する。例えば、AP 110が閾値を70%に設定したとする。データPPDU内のSSを備える基準CSIのサブセットは、以前のCSI845と次のCSI855との差分を計算するために使用される。さらに、差分が69%であり、10回の反復後に差分が60%に低下する場合を考える。70%の閾値を超えていない間は、CSI差分の値は低下し続ける。このような場合、閾値がセンシングに支障をきたす可能性がある。この問題に対処するために、本開示によると、基準閾値はAP/イニシエータによって設定されて、CSI差分を決定することができる(スケジューリングが必要であり得る)。リセット基準閾値と現在のCSI値とのCSI差分が閾値を超える場合、応答STAは、APに閾値超えを通知できる。
【0044】
図16Aを参照すると、図1600は、本開示の変形例に係る閾値設定を示す。イニシエータSTA1 1610は、閾値設定管理フレーム1660を使用して、各レスポンダ(STA2 1620およびSTA3 1630)の閾値を通知する。つまり、イニシエータSTA1 1610は、第一の閾値設定1640をレスポンダSTA2 1620に送信し、第二の閾値設定1645をレスポンダSTA3 1630に送信する。このようにして、各レスポンダは、レスポンダの閾値をより良く制御する異なる閾値を持つことができ、その結果、より良いセンシング能力を提供することができる。
【0045】
図16Bは、本開示に係る閾値設定管理フレーム1660の図1650である。閾値管理フレーム1660は、MACヘッダ1662およびフレーム本体1664を含む。フレーム本体1664は、フレーム1660が閾値設定管理フレームであることを示す閾値設定フィールド1670を含む。フレーム本体1664はまた、基準CSIフィールド1675およびセンシング閾値タイムアウトフィールド1680を含む。基準CSIフィールドは可変であり、VHT(Very High Throughput)圧縮フィードバックフォーマットまたはCSI行列フィードバックフォーマットを有してよい。センシング閾値タイムアウトフィールド1680は、イニシエータがその後にフルチャネル測定を実行することができる時間を示す情報を含む。
【0046】
図17は、イニシエータSTA1 1710がレスポンダSTA2 1720およびレスポンダSTA3 1730と通信し、レスポンダSTA3 1730が、センシング要求フレーム1740をイニシエータSTA1 1710に送信することによって、本開示に従って閾値超えを通知する、チャネル測定の図示1700である。センシング要求フレーム1740は、センシング要求フレームを送信するSTAがイニシエータ自身であるか、またはレスポンダである場合、閾値を超えたときにSTAによって送信されてよい。
【0047】
図18は、本開示に係る、センシング要求フレーム1740に応じて実行されるセンシング手順の図示1800である。STAは、閾値を超えると、センシング要求フレームを他のSTAに送信して、フルチャネル測定を実行するためにNDP1810を要求する。閾値を超えるSTA(STA3 1730)がイニシエータである場合、イニシエータSTAは、上述のように、必要な種類のフィードバック(例えば、NDP1220、部分的フィードバック1330、または明示的フィードバック1440)を要請できる。閾値を超えるSTA(STA3 1730)がレスポンダである場合、イニシエータ(STA1 1710)に閾値超えを通知し、イニシエータに測定結果の報告を返してよい。
【0048】
図19は、本開示に係る、レスポンダ(STA3 1730)がイニシエータ(STA1 1710)に送信するセンシング要求フレーム1740に応じて実行されるセンシング手順の図示1900である。この場合、STA3 1730は、閾値を超えると、チャネルを求めて、イニシエータからのNDP 1810を要求し、例えば、明示的フィードバック1910において、フルチャネル測定結果の報告をイニシエータSTA1 1710に返してよい。
【0049】
図20は、本開示に従って、レスポンダ(STA3 1730)が、イニシエータ(STA1 1710)に、ブロックAckフレーム2010において閾値超えを通知し、NDPAフレーム2020およびNDPフレーム2030を直接送信する、センシング手順の図示2000である。イニシエータSTA1 1710は、送信機会期間(TXOP)ホルダであるため、STA3 1730から送信されるセンシング測定フレームに対して衝突の可能性がある状況を引き起こし得る他のPPDUを送信し得る。この状況を緩和するために、STA3 1730は、チャネルコンテンションを実行してもよく、フルチャネル測定を実行するためにサウンディングシーケンスを直接送信してもよい。このシナリオでは、NDPAフレーム1055(図10B)は、この通知を受信するSTA1 1710がチャネル測定を実行した後にフィードバックを送信しなくていいように、「Noフィードバック」1080を通知してよい。図示2000のセンシング手順は高速であるが、センシング送信機としてのSTA3 1730によるチャネルコンテンションが必要とされる。
【0050】
図21は、本開示に従って、レスポンダ(STA3 2130)が、最初に閾値超えを通知せずに、閾値を超える際にNDPAフレーム2140を直接送信するセンシング手順の図示2100である。応答STA3 2130は、何の通知もせずに、閾値を超える際、サウンディングフレームをイニシエータSTA1 2110に直接送信するために、チャネルコンテンションを実行してよい。そして、STA1 2110は、チャネル測定を実行し、測定結果をセンシングアプリケーションに使用することができる。
【0051】
図22を参照すると、図示2200は、本開示に係る、センシングイニシエータ(STA1 2210)がセンシング送信機でもセンシング受信機でもない、第一の協調センシング手順を示す。STA2 2220がセンシング送信機であり、STA3 2230がセンシングレスポンダおよびセンシング受信機である。STA2 2220およびSTA3 2230はWLANセンシングを実行し、STA3 2230はSTA2 2220からのPPDU2240、2245に基づいてチャネル測定を実行する。閾値を超えると、STA3 2230は、これをブロックAckフレーム2250でSTA2 2220に通知する。ブロックAckフレーム2250を受信すると、STA2 2220は、STA3 2230によって実行されるセンシング手順の開始をSTA1 2210に通知するために、センシング制御フレーム2260をSTA1 2210に送信する。そして、STA1 2210は、NDPAフレーム2265およびNDPフレーム2270をSTA3 2230に送信し、STA3 2230は、フルチャネル測定を行うと、その結果をSTA2 2220に返し、STA2 2220は、その結果を明示的フィードバック2280としてイニシエータ(STA1 2210)に送信する。通常の通信に参加していないSTAは、WLANセンシングを実行してよく、この協調センシング手順は、中央エンティティがセンシングアプリケーションを管理する集中システムにおいて有用である。
【0052】
図23は、本開示に係る、センシングイニシエータSTA1 2210がセンシング送信機でもセンシング受信機でもない、第二の協調センシング手順の図示2300である。この協調センシング手順は、STA2 2220がセンシング制御フレーム2260をSTA1 2210に送信した後まで、図示2200の協調センシング手順と同様に動作する。その後、STA1 2210は、「センシング開始」フレーム2310をSTA2 2220に送信し、STA2 2220にフルチャネル測定を実行するよう要請する。そして、STA2 2220は、NDPAフレーム2315およびNDPフレーム2320をSTA3 2230に送信し、STA3 2230は、フルチャネル測定を行うと、その結果をSTA2 2220に返し、STA2 2220は、その結果を明示的フィードバック2280としてイニシエータ(STA1 2210)に送信する。
【0053】
図24Aは、本開示に係る、STAが閾値を超えるときにイニシエータSTA1 2210に送信されるセンシング制御フレーム2260の図2400を示す。フレーム本体2405のセンシング制御フィールド2410および閾値超えフィールド2420は、センシング手順が開始しようとしていることをイニシエータSTA1 2210に通知する。アソシエーションID(AID)2430は、センシング手順を実行しようとしているSTAを示す。
【0054】
図24Bは、本開示に係るNDPAフレーム2265、2315の図2450を示す。図示2200(図22)および図示2300(図23)に示され、上記で説明された明示的フィードバックの二部送信の代替として、NDPAフレームは、明示的フィードバック2280が送信されるイニシエータのアドレス2460(例えば、イニシエータSTA1 2210のアドレス)を通知してもよい。
【0055】
図25は、本開示に係る、フィードバックを要請するためにスタガードPPDUを利用するセンシング手順の図示2500である。応答するSTA(STA3 830)が、スタガードサウンディングPPDU2510について知るために、追加のシグナリングが必要とされる。STA3 830は、閾値を超えると、ブロックAck1405においてSTA1 810に閾値超えを通知する。STA1 810は、明示的フィードバックを示すセンシング要求1410をSTA3 830に送信する。STA1 810は、続く送信において、フルチャネルサウンディングのために、スタガードサウンディングPPDU2510(すなわち、追加のLTFを含むPPDU)を送信する。STA3 830は、スタガードサウンディングPPDU2510を受信すると、明示的フィードバック1440をSTA1 810に送信する。フルチャネル測定のためにスタガードPPDU2510を使用することは、NDPサウンディングシーケンスを不要にし、データ通信とともにフルチャネル測定に役立つ可能性がある。
【0056】
図26は、図示2550のセンシング手順と同様のセンシング手順の図示2600であり、ここでは、本開示に従って、フィードバックを要請するために、スタガードPPDU2510の代わりに、EHT(extra high throughput)PPDU2610が利用される。
【0057】
図27Aは、本開示に係る、図示2600のセンシング手順においてEHT PPDU2610として使用される802.11beのEHT PPDU2710の図示2700である。802.11beは、EHT PPDU2710を、それに含まれるEHT-LTF2720の数がSTSの数と無関係でもよいものとして定義し、これは、完全なチャネルを推定するのに役立つ。図27Bは、本開示に係る図示2600のセンシング手順においてEHT PPDU2610として代替的に使用することができる、HT(high throughput)PPDU2760の図示2750である。
【0058】
図28は、本開示に係る、アクセスポイントAP2810および無線局STA2820との、センシング手順を使用するビームフォーミング手順の図示2800である。本開示に係る通常のPPDU2830を使用するチャネル測定は、ビームフォーミング手順をトリガすることもできる。AP2810は、上りリンクチャネルを測定でき、STA2820は、下りリンクチャネルを測定できる。LTFの差に基づいて、ビームフォーミング手順はAP2810によって開始されてよい。
【0059】
図示100(図1)に戻り、閾値ベースのWLANセンシングに関わるステップを以下に説明する。各AP110は、それぞれに関連付けられた(すなわち、関連付けられたサービスエリア115内の)STA120のための閾値を計算する。AP110は、ビーコンフレームまたはユニキャスト管理フレームを使用して、STA120に閾値を知らせてよい。STA120に閾値が設定されると、STA120は、通常の通信中にチャネル測定を実行し、閾値超えをチェックする。図示100において、AP4 110dおよびSTA4 120dは、人物135の存在によるチャネルの変化を検出する。したがって、STA4 120dの閾値は、AP4 110dおよびSTA4 120dの特定のセンシング機能に基づいて超えられる。そして、AP4 110dおよびSTA4 120dに対してフルチャネル測定が実行され、結果がイニシエータ(AP110/STA120/サーバ130)に送信されてよい。
【0060】
図29は、従来のWLANセンシングの図示2900である。本開示に従ったWLANセンシングとは異なり、従来の通信の一部2910の間はチャネル測定が実行されず、閾値をチェックするためのオーバーヘッド2920が通常の通信を不利に中断する。
【0061】
図30は、本開示に係るWLANセンシングの図示3000である。本開示に係る閾値ベースのWLANセンシングを使用することで、通常の通信3015中に通常のPPDUを用いてチャネル測定3010が有利に実行され、通常の通信時間を削減することなく、チャネル測定のためのフルチャネルサウンディングシーケンスのオーバーヘッドを削減できる。フルチャネル測定は閾値を超えるときにのみ実行されるため、不要なサウンディング関連のフレーム交換が抑えられ、オーバーヘッドが削減されるという利点がある。閾値超えが検出されると、本開示に従ってWLANセンシング3020が実行される。
【0062】
図31は、本開示に係るWLANセンシング装置3110のブロック図3100である。上述のように、WLANセンシング装置3110は、制御部252、送受信回路254、およびアンテナ256(図2B)を含むアクセスポイント(AP)110(図1)であってもよく、または制御部202、送受信回路204、およびアンテナ206(図2A)を含む無線ステーション(STA)120であってもよい。簡略化するため、WLANセンシング装置3110は、本開示に係るイニシエータまたはレスポンダであり得るAP110とするが、当業者は、送受信回路254および制御部256のWLAN部分がSTA120の送受信回路204および制御部206に同様に存在することを理解するであろう。
【0063】
送受信回路254内で、ステーション管理エンティティ(SME:station management entity)3120は、MACサブレイヤ管理エンティティ(MLME:MAC sublayer management entity)サービスアクセスポイント(MLME SAP)3122を介してMLME3130を管理し、PHYサブレイヤ管理エンティティ(PLME:PHY sublayer management entity)サービスアクセスポイント(PLME SAP)3124を介してPLME3140を管理する。本開示によれば、MLME3130は、SENSE SAP3152を介して、制御部252内のWLANセンシングアプリケーション3150と通信する。MLME3130は、センシングモジュール3132において本開示に係るWLANセンシングを実行し、イニシエータとして動作するときには、センシング閾値モジュール3134において、関連付けられたSTA120の閾値を計算する。MLME3130は、通常の通信のためにMLME-PLME SAP3142を介してPLME3140と通信し、本開示に係るWLANセンシングのためにSENSE-PLME SAP3144を介してPLME3140と通信する。MACサブレイヤ3160およびPHYサブレイヤ3170は、それぞれMLME3130およびPLME3140の管理下で、当業者に周知の方法で、WLANセンシング装置3110からの送信またはWLANセンシング装置3110による受信のために、符号化または復号化される。
【0064】
単純なユースケース/展開では、WLANセンシングプラットフォーム全体を一つのデバイスに実装することができる。図32は、本開示に係る、一つのデバイス3210に実装されたWLANセンシングシステムのブロック図3200を示す。制御部252内では、複数のWLANセンシングクライアントアプリケーション3220が、(例えば、アプリケーション固有の機械学習アルゴリズムを使用した)チャネル測定に基づいてWLANセンシングを実行し、WLANセンシングアプリケーション3150(図31)のようなWLANセンシングアプリケーションにWLANセンシングの結果(例えば、存在有無、人間の動き)を提供する。WLANセンシングアプリケーション3150は、802.11のデバイスからチャネル測定結果を収集し、統合する。WLANセンシングアプリケーション3150は、結果をWLANセンシングクライアントアプリケーション3220に渡す前に(例えば、平滑化または圧縮によって)処理してよい。送受信部254において、センシングモジュール3132はチャネル測定を実行し、生の結果をWLANセンシングアプリケーション3150に提供する。センシング閾値モジュール3134は、閾値計算を行い、STAに設定される閾値をWLANセンシングMACに提供する。
【0065】
図33を参照すると、ブロック図3300は、本開示に係る、WLANセンシングシステムの集中型複数デバイス実装の形態を示す。集中型WLANセンシングシステムは、アクセスポイント110を介してWLANセンシング装置3110(例えば、STA120)と通信するサーバ130(図1)を含む。サーバ130は、より高度なWLANセンシングアルゴリズムの利用を可能にするWLANセンシングクライアントアプリケーション3310をホストする。さらに、集中型WLANセンシングシステムでは、サーバ130は、関連付けられたAPの閾値計算を実行してよい。
【0066】
集中型WLANセンシングシステムのWLANセンシング装置3110では、WLANセンシングアプリケーション3150は、ネットワークインフラストラクチャのトラフィック負荷を低減するために、チャネル測定結果のより高度な処理(例えば、平滑化または圧縮)を必要とし得る。これに対応するために、WLANセンシング装置3110は、閾値計算サブシステムを有していてもよい。
【0067】
したがって、本開示に係る例示的な実施形態は、通常のPPDUを使用してWLANセンシングを実行する閾値ベースの方法を可能にする、複数の構成および方法を提供することが分かる。従来のWLANセンシングでは、閾値を超えたかどうかを確認するためにNDPフレームを送信するWLANセンシングを実行する、閾値ベースの方法が提案されており、NDPのスケジュール送信によりデータ通信にオーバーヘッドが発生し、進行中のデータ通信が妨げられるが、本開示に係るWLANセンシングは、フルチャネル測定は閾値を超えてはじめて実行されるため、データ通信のオーバーヘッドが低減され、したがって、閾値を超えるまでNDPの送信は不要になる。
【0068】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア又はハードウェアと連動するソフトウェアによって実現することができる。上述した各実施例の説明に用いた各機能ブロックは、集積回路等のLSI(Large Scale Integration)によって部分的又は全体的に実現可能であり、各実施例で説明される各処理は、同一のLSI又はLSIの組み合わせによって部分的又は全体的に制御されてもよい。LSIは、個別にチップとして形成されていてもよいし、あるいは、機能ブロックの一部又は全部を含むように1つのチップが形成されていてもよい。LSIは、それに結合されたデータ入出力を含んでもよい。ここで、LSIとは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIとして呼ばれうる。しかし、集積回路を実現する技術はLSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサを用いて実現されてもよい。さらに、LSI内部に配置される回路セルの接続及び設定が再設定可能なLSI又はリコンフィギュラブルプロセッサの製造後にプログラミング可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)が利用されてもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現することができる。半導体技術や他の派生技術の進歩の結果として、将来の集積回路技術がLSIに取って代わる場合、機能ブロックは、将来の集積回路技術を用いて集積化することができる。バイオテクノロジーも適用できる。
【0069】
本開示は、通信装置と呼ばれる、通信機能を有する何れかのタイプの装置、デバイス又はシステムによって実現することができる。通信装置は、送受信機及び処理/制御回路を有してもよい。送受信機は、受信機及び送信機を有し、及び/又は機能してもよい。送信機及び受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器など及び1つ以上のアンテナを含むRF(Radio Frequency)モジュールを含んでもよい。処理/制御回路は、専用回路、プロセッサ、およびファームウェアまたはプロセッサに備えられたメモリに格納されたインストラクションのいずれかとしての電力管理制御のためのインストラクションを含み得る電力管理回路を含んでもよい。
【0070】
そのような通信装置のいくつかの非限定的な例は、電話機(例えば、携帯(セル)電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック)、カメラ(例えば、デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレーヤ(デジタルオーディオ/ビデオプレーヤ)、ウェアラブルデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、デジタルブックリーダ、遠隔ヘルス/遠隔医療(リモートヘルス及びリモート医療)デバイス、及び通信機能を提供する車両(例えば、自動車、飛行機、船舶)、並びにそれらの様々な組み合わせを含む。
【0071】
通信装置は、携帯型又は可動型であることに限定されず、スマートホームデバイス(例えば、家電、ライティング、スマートメータ、制御パネル)、自動販売機及び“Internet of Things(IoT)”のネットワークにおける他の何れかの“物”など、非携帯型又は固定型である何れかのタイプの装置、デバイス又はシステムを含んでもよい。通信は、例えば、セルラシステム、無線LANシステム、衛星システムなど、及びそれらの様々な組み合わせを介してデータを交換することを含んでもよい。
【0072】
通信装置は、本開示に記載された通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラ又はセンサなどのデバイスを含んでもよい。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号又はデータ信号を生成するコントローラ又はセンサを含んでもよい。
【0073】
通信装置はまた、基地局、アクセスポイントなどのインフラストラクチャファシリティと、上記の非限定的な例におけるものなどの装置と通信又は制御する他の何れかの装置、デバイス又はシステムを含んでもよい。
【0074】
本発明の前述の詳細な説明において例示的な実施形態が示されたが、膨大な数の変形例が存在することが理解されるべきである。さらに、これらの実施形態は例示に過ぎず、本開示の範囲、適用性、運用、または構成を何ら限定することを意図していないことを理解されたい。 むしろ、前述の詳細な説明は、例示的な実施形態を実現するために有益なロードマップを当業者に提供し、添付の請求項に規定される本開示の趣旨から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載のSTA通信装置および/またはAP通信装置の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解されよう。
【0075】
1.動作時に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)で信号を受信する送受信部と、
動作時に、前記信号を復調および復号する回路と、
を備える通信装置であって、
復号された前記信号は第一のPPDU(physical layer protocol data unit)および第二のPPDUを含み、
前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの第一PHY(physical layer)ヘッダおよび前記第二のPPDUの第二PHYヘッダに基づいてフルチャネル測定を行い、
前記第一のPHYヘッダおよび前記第二のPHYヘッダは、チャネル品質を推定するためのLTF(long training field)を含む、
通信装置。
【0076】
2.前記第二のPPDUは、前記送受信部によって、前記第一のPPDUに続いて受信される、請求項1に記載の通信装置。
【0077】
3.前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUと前記第二のPPDUとの差分に基づいてフルチャネル測定を行う、請求項2に記載の通信装置。
【0078】
4.前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUに基づいて第一のチャネル測定パラメータを計算し、前記第二のPPDUに基づいて第二のチャネル測定パラメータを計算する、請求項1または2に記載の通信装置。
【0079】
5.前記回路は、動作時に、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの差分に基づいてフルチャネル測定を行う、請求項4に記載の通信装置。
【0080】
6.前記第一のチャネル測定パラメータは第一チャネル状態情報を含み、前記第二のチャネル測定パラメータは第二チャネル状態情報を含む、請求項4または5に記載の通信装置。
【0081】
7.前記第一のチャネル測定パラメータおよび前記第二のチャネル測定パラメータは、時間反転共振強度(TRRS:time reversal resonating strength)、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)、および検出チャネルエネルギーのうちの一つを含む、請求項4または5に記載の通信装置。
【0082】
8.前記回路は、動作時に、閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいてフルチャネル測定を行う、請求項5から7の何れか一項に記載の通信装置。
【0083】
9.前記回路は、動作時に、前記閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいて、閾値超えの通知を生成し、前記送受信部は、動作時に、前記閾値超えの通知を上りリンクのフレームで送信する、請求項8に記載の通信装置。
【0084】
10.前記上りリンクのフレームは、ブロックAckフレーム、サウンディングフレーム、およびユニキャストアクションフレームのうちの一つである、請求項9に記載の通信装置。
【0085】
11.前記送受信部は、動作時に、閾値信号を、ビーコンフレーム、ユニキャスト管理フレーム、およびプローブ応答フレームのうちの一つで受信し、前記回路は、動作時に、前記閾値を得るために、前記閾値信号を復調および復号する、請求項8から10の何れか一項に記載の通信装置。
【0086】
12.前記回路は、動作時に、前記第一のPPDUの前記第一PHYヘッダおよび前記第二のPPDUの前記第二PHYヘッダに基づいて、ビームフォーミング手順を開始する、請求項1から11の何れか一項に記載の通信装置。
【0087】
13.動作時に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)で信号を受信する送受信部と、
動作時に、前記信号を復調および復号する回路と、
を備える通信装置であって、
復号された前記信号は、関連付けられた通信装置による、閾値超えの通知を含み、
前記回路は、動作時に、前記関連付けられた通信装置による、前記閾値超えの通知に基づいて、フルチャネル測定を実行するためにWLANセンシング手順を開始する、
通信装置。
【0088】
14.前記通信装置はWLANセンシングイニシエータとして機能し、前記関連付けられた通信装置はWLANセンシングレスポンダとして機能する、請求項13に記載の通信装置。
【0089】
15.前記関連付けられた通信装置による、前記閾値超えの通知は、ブロックAckフレームで受信される、請求項13または14に記載の通信装置。
【0090】
16.復号された前記信号はPPDU(physical layer protocol data unit)を含み、前記回路は、動作時に、前記関連付けられた通信装置による、閾値超えを示す前記PPDUに基づいて、フルチャネル測定を実行するためにWLANセンシング手順を開始する、請求項13から15の何れか一項に記載の通信装置。
【0091】
17.前記回路は、動作時に、WLANセンシング要求を含むセンシング要求フレームを生成することによって前記WLANセンシング手順を開始し、前記送受信部は、前記センシング要求フレームを前記関連付けられた通信装置に送信する、請求項13から16の何れか一項に記載の通信装置。
【0092】
18.前記センシング要求フレームは、前記関連付けられた通信装置からのフィードバックを要請する、請求項17に記載の通信装置。
【0093】
19.要請した前記フィードバックは、NDP(null data packet)、部分的フィードバック、および明示的フィードバックのうちの一つを含む、請求項18に記載の通信装置。
【0094】
20.前記回路は、動作時に、NDPを含む要請した前記フィードバックに基づいて前記フルチャネル測定を実行する、請求項19に記載の通信装置。
【0095】
21.前記回路は、動作時に、フルチャネル測定を実行し、明示的フィードバックを含む要請した前記フィードバックに基づいて明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、前記関連付けられた通信装置に対する送信用のNDPを生成する、請求項19に記載の通信装置。
【0096】
22.前記回路は、動作時に、前記明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、前記関連付けられた通信装置に対する送信用の、追加のLTF(long training field)を含むスタガードPPDUをさらに生成する、請求項21に記載の通信装置。
【0097】
23.復号された前記信号は、部分的フィードバックを含む要請した前記フィードバックに基づいて、前記関連付けられた通信装置が受信したPPDUに含まれるLTF(long training field)のチャネル品質情報を含む、請求項19に記載の通信装置。
【0098】
24.無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における通信方法であって、第一のPPDU(physical layer protocol data unit)の第一PHY(physical layer)ヘッダおよび第二のPPDUの第二PHYヘッダに応じてフルチャネル測定を実行するステップを備え、前記第一PHYヘッダおよび前記第二PHYヘッダは、チャネル品質を推定するためのLTF(long training field)を含み、前記第二のPPDUは前記第一のPPDUに続いて受信され、前記フルチャネル測定を実行するステップは、前記第一のPPDUと前記第二のPPDUとの差分に基づいている、通信方法。
【0099】
25.前記第一のPPDUに基づいて第一のチャネル測定パラメータを計算するステップと、
前記第二のPPDUに基づいて第二のチャネル測定パラメータを計算するステップと、をさらに備える通信方法であって、フルチャネル測定を実行するステップは前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの差分に基づく、請求項24に記載の通信方法。
【0100】
26.前記第一のチャネル測定パラメータは第一チャネル状態情報を含み、前記第二のチャネル測定パラメータは第二チャネル状態情報を含む、請求項25に記載の通信方法。
【0101】
27.前記第一のチャネル測定パラメータおよび前記第二のチャネル測定パラメータは、時間反転共振強度(TRRS:time reversal resonating strength)、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)、および検出チャネルエネルギーのうちの一つを含む、請求項25または26に記載の通信方法。
【0102】
28.フルチャネル測定を実行するステップは、閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいてフルチャネル測定を行うステップを含む、請求項25から27の何れか一項に記載の通信方法。
【0103】
29.前記閾値を超える、前記第一のチャネル測定パラメータと前記第二のチャネル測定パラメータとの前記差分に基づいて、閾値超えの通知を上りリンクのフレームで送信するステップをさらに含む、請求項28に記載の通信方法。
【0104】
30.前記上りリンクのフレームは、ブロックAckフレーム、サウンディングフレーム、およびユニキャストアクションフレームのうちの一つである、請求項29に記載の通信方法。
【0105】
31.閾値信号を、ビーコンフレーム、ユニキャスト管理フレーム、およびプローブ応答フレームのうちの一つで受信するステップをさらに含む、請求項28から30の何れか一項に記載の通信方法。
【0106】
32.前記第一のPPDUの前記第一PHYヘッダおよび前記第二のPPDUの前記第二PHYヘッダに基づいて、ビームフォーミング手順を開始するステップをさらに含む、請求項24から30の何れか一項に記載の通信方法。
【0107】
33.無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における通信方法であって、関連付けられた通信装置による閾値超えの通知を受信するステップと、前記関連付けられた通信装置による前記閾値超えの通知に基づいて、フルチャネル測定を実行するためにWLANセンシング手順を開始するステップとを含む通信方法。
【0108】
34.WLANセンシング手順を開始するステップは、前記関連付けられた通信装置による、閾値超えを示すPPDU(physical layer protocol data unit)に基づいてフルチャネル測定を実行するため、WLANセンシング手順を開始するステップを含む、請求項33に記載の通信方法。
【0109】
35.前記WLANセンシング手順を開始するステップは、WLANセンシング要求を含むセンシング要求フレームを、前記関連付けられた通信装置に送信するステップを含む、請求項33または34に記載の通信方法。
【0110】
36.前記センシング要求フレームを、前記関連付けられた通信装置に送信するステップは、前記関連付けられた通信装置からのフィードバックを要請するステップを含む、請求項35に記載の通信方法。
【0111】
37.前記関連付けられた通信装置からのフィードバックを要請するステップは、前記関連付けられた通信装置からNDP(null data packet)、部分的フィードバック、および明示的フィードバックのうちの一つを要請するステップを含む、請求項36に記載の通信方法。
【0112】
38.前記関連付けられた通信装置からNDPを要請するステップは、前記フルチャネル測定を実行するステップを含む、請求項37に記載の通信方法。
【0113】
39.前記関連付けられた通信装置から明示的フィードバックを要請するステップは、前記フルチャネル測定を実行し、明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、前記関連付けられた通信装置に対する送信用のNDPを生成するステップを含む、請求項37に記載の通信方法。
【0114】
40.前記関連付けられた通信装置から明示的フィードバックを要請するステップは、前記明示的チャネル測定フィードバックを提供するため、追加のLTF(long training field)を含むスタガードPPDUを前記関連付けられた通信装置に送信するステップをさらに含む、請求項39に記載の通信方法。
【0115】
41.前記関連付けられた通信装置から部分的フィードバックを要請するステップは、
PPDUに含まれるLTF(long training field)を前記関連付けられた通信装置に送信するステップと、
前記関連付けられた通信装置から前記LTFのチャネル品質情報を受信するステップと、を含む、請求項37に記載の通信方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【国際調査報告】