(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】粒子を分離するためのマイクロ流体デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240315BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557312
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022057184
(87)【国際公開番号】W WO2022195087
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006731
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523354266
【氏名又は名称】ブレインディーテック エスピーエイ
【氏名又は名称原語表記】BRAINDTECH S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ ビアンコ
(72)【発明者】
【氏名】ノエミ トンナ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ロフチク
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029FA01
(57)【要約】
本発明の目的を特定するとすれば、少なくとも第1のマイクロ流体流路(110、210)と、前記流路内の壁に配置された少なくとも第1の誘電泳動生成電界発生ユニット(DEPユニット、140、240)と、前記第1の流路(110、210)内であって、前記DEPユニットが配置される壁に対して対向する壁に配置された少なくとも1つの免疫親和性捕捉領域(150、250)と、前記DEPユニット(140、240)に電気的に結合された電圧源(160、260)とを備えた、小粒子を同定及び/又は分離するためのマイクロ流体チップ(100、200、800、900)であって、前記第1の流路(110、210)は、当該流路(110、210)を通る流体の移動経路の第1の流路端部(112、212)及び第2の流路端部(114、214)を含む。さらなる目的は、この発明によるマイクロ流体チップを使用するステップを含む、流体サンプルから小粒子を同定及び/又は分離する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のマイクロ流体流路(110、210)と、少なくとも第1の誘電泳動生成電界発生ユニット(DEPユニット、140、240)と、少なくとも1つの免疫親和性捕捉領域(150、250)と、前記DEPユニット(140、240)に電気的に結合された電圧源(160、260)とを含む、小粒子を同定及び/又は分離するためのマイクロ流体チップ(100、200、800、900)であって、前記第1のマイクロ流体流路(110、210)は、当該流路(110、210)を通る流体の移動経路の第1の流路端部(112、212)及び第2の流路端部(114、214)を含み、流れ(116)に対して垂直方向に前記マイクロ流体流路(110、210)に2つの部分、すなわち、上部(170)と下部(171)が規定され、前記流路(110)の内側の表面は、上部(170)では天井(162)として、下部(171)では床(163)として規定されており、前記免疫親和性捕捉領域(150、250)は、前記流路(110)の内の前記床(163)に沿って延びており、
前記少なくとも第1のDEPユニット(140、240)は、前記流路(110)内の前記天井(162)に沿って、前記流路自体の長さのほとんど全体にわたって延在し、電極は、前記流れ(116)に沿って方向付けられることを特徴とするマイクロ流体チップ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのDEPユニット(140、240)は、前記流路(110、210)内の流体の流れに垂直な方向に、前記流路の長さのほとんど全体にわたって不均一な電界を発生させる、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマイクロ流体チップであって、基板20を含み、当該基板20は、その間に流体の流路を規定するように互いに関連付けられた1つ又は複数の基板で構成されるマイクロ流体チップ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のマイクロ流体チップであって、前記マイクロ流体チップ(218)の上方に配置されたガスケット(251)と、前記ガスケットの上部に設けられた押圧片(252)とを含むマイクロ流体チップ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロ流体チップであって、第1の端部(812)を有する前記マイクロ流体流路(810)が複数の流路(811、812、813)に分岐し、前記複数の流路(821、822、823)のそれぞれは、1つ又は複数の独立したDEPユニットと、前記DEPユニットが配置される壁に対して対向する壁に少なくとも1つの免疫親和性捕捉領域(851、852、853)とを含み、前記複数の流路(821、822、823)のそれぞれは、第2の流路端部(814)を含む、マイクロ流体チップ。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロ流体チップであって、マイクロ流体装置は、第1の端部(912)及び第2の端部(914)と前記捕捉領域(951、952、953)のそれぞれの出口に設けられたバルブ(990)とを含む単一の流路(910)に沿って、直線状に順次配置されたDEPユニット及び免疫親和性捕捉領域(951、952、953)を有する多重化装置である、マイクロ流体チップ。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロ流体チップを使用するステップを含む、流体サンプルから小粒子を同定及び/又は分離する方法。
【請求項8】
流体サンプルを入口ユニットに注入するステップと、
誘電泳動生成電極により、主たる流路の方向に対して垂直な不均一電界を発生させ、サンプル中の粒子を誘電泳動させ、免疫親和性捕捉領域に向かって移動させるステップと、
ターゲット粒子を前記免疫親和性捕捉領域に特異的に結合させるステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法であって、流体サンプルを入口ユニットに注入するステップを含み、前記流体は、20~200mMの塩化ナトリウム、0.1~10mMの塩化カリウム、0.1~10mMのリン酸水素二ナトリウム、及び0.1~6mMのリン酸二水素カリウム、10~500mMのHepes、50~450mMのスクロース、0.1~100mMのグルコース、0.1~20mMの塩化マグネシウム、0~200mMの塩化ナトリウム、0.1~40mM塩化カリウム、0~5%(p/V)のBSAを含む、水性組成物である、方法。
【請求項10】
前記DEPは、0.1~6.0V、好ましくは1~5V、さらに好ましくは1.5~4.5Vの電流強度(I)で、0.1~5MHz、好ましくは1~4.5MHz、または1.5~4MHzの周波数(W)で印加される、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記流体が、0.1~5μl/分の流速で流れる、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
細胞外小胞(EV)は、様々な生理学的・病理学的条件下でほとんどの細胞から放出され、細胞間情報伝達における生物学的に活性なメディエーターとして重要な役割を果たしている。近年、科学研究は、EVの役割、いくつかの疾患の進行へのEVの関与、診断、治療、ドラックデリバリーシステムの開発におけるバイオマーカーとしての潜在的役割の理解に焦点を当てている。
【0002】
EVはすべての体液(血液、尿、脳脊髄液など)に存在し、複数の生物学的バリアを通過することができる。
【背景技術】
【0003】
EVには3つの主要な種類(エクソソーム、微小小胞体、アポトーシス小体)があり、大きさ、内容物、生合成、生物物理学的特性により明確に区別される。
i)エクソソームは、小胞内小胞をリソソームや細胞外環境などの適切な目的地へと仕分けることに関与するエンドソーム・ネットワークに由来する小さい均一な小胞(直径30~150nm)である。具体的には、エクソソームは、細胞外への放出を促進するため、細胞膜と融合する多胞体(MVB)内で形成される。
ii)細胞起源の細胞膜から排出される微小小胞体は、大きさがかなり不均一で(100~800nn)、細胞起源の選択された細胞特異的なレセプターと表面マーカーを持ち、細胞起源の生理学的・病理学的条件に依存する生化学的組成と分子含有量によって特徴付けられる。
iii)アポトーシス小体は、はるかに大きく(500nm~4μm)、細胞収縮後の静水圧上昇の結果、死にかけたアポトーシス細胞から分離するブレブである。
【0004】
EVは、組織や細胞起源に特異的な表面マーカーを発現し、これは組織や細胞の生理学的状態を表している。
【0005】
診断用バイオマーカーの潜在的供給源としてのEVに対する関心の高まりは、EVの分離と内容物分析のための革新的なソリューションの開発を高めてきた。
【0006】
非特許文献1(Ibsen et al. , in ACS Nano, 2017, 11: 6641-6651)は、血漿からエクソソームや微小小胞体を捕捉する誘電泳動(DEP)について述べている。DEPは、ラベルをつける必要がなく、高速かつ正確である。しかしながら、この解決策はそれほど特異的ではない。たとえ電極が抗体でコーティングされていたとしても、この解決策では強いクラスタリングのため非特異的な捕捉を避けることは難しいだろう。
【0007】
非特許文献2(Yasukawa et al., in 2014: World Automation Congress, 1569887255, TSI Press)は、電極間で抗体コーティング領域に細胞を捕捉するネガティブDEP操作について述べている。特許文献1(米国特許出願公開第2019/039060号明細書)は、細胞に適用されるDEP操作について記載している。この文献では、電極はチャネル内の所定の領域に点在しており、この電極は、細胞が移動している流路の床から細胞を引き寄せたり、そこへと細胞を押し返したりする。これら2つの技術は、EVよりも1、2桁大きい細胞に適している。
【0008】
さらに、既存の方法論的アプローチの主な欠点の1つは、分離されたEVの中で、特定の細胞から得られたEVを区別することが難しいことにあり、EVの中に特異性のあるサブセットを見いだすことは、前述の用途で効果的に使用するために極めて重要であることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/039060号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Ibsen et al. , in ACS Nano, 2017, 11: 6641-6651
【非特許文献2】Yasukawa et al., in 2014: World Automation Congress, 1569887255, TSI Press
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、粒子、好ましくはEVのサブセットを分離するための装置および方法であって、限られた量の生物学的サンプルを扱うのに適している装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、微細加工された装置または「チップ」を利用して粒子を分離するための、構成要素およびその使用を含むマイクロ流体システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるマイクロ流体チップの概略図を示す。
【
図2】本発明によるマイクロ流体チップの一実施形態を、A)透視図と、B)垂直断面図で示す。
【
図3】操作中の3つの段階、つまり、A)サンプル液の供給、B)DEPがオン、C)DEPがオフ、のマイクロチャンネル断面の概略図を示す。
【
図4】EVは抗体でコーティングされた領域で捕捉され(A)、BSAでコーティングされた領域では捕捉されない(B)様子について、蛍光染色された捕捉EVの例示的な写真を示す。
【
図5】EVは、DEPの存在下でのみ、抗体でコーティングされた領域に捕捉される(B)様子について、蛍光染色された捕捉EVの例示的な写真を示す。
【
図6】N9小胞はCD144抗体に付着しなかった。
【
図7】ミクログリア細胞から特異的に分離されたEVについて、蛍光染色された捕捉EVの例示的な写真を示す。
【
図8】MVから抽出されたmiRNAのプロファイルを示す。
【
図9】本発明によるマイクロ流体チップの一実施形態の概略図を示す。
【
図10】本発明によるマイクロ流体チップの一実施形態の概略図を示す。
【0014】
本教示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるのであり、本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0015】
定義された用語は、本教示の技術分野において一般的に理解され、受け入れられている当該用語の技術的および科学的な意味に、追加の意味を加える。
【0016】
本明細書で使用される場合、それらの通常の意味に加えて、用語「実質的な」または「実質的に」は、当業者にとって許容可能な限界または程度の範囲内であることを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ほぼ」および「約」という用語は、当業者にとって許容できる限界または量の範囲内であることを意味する。「約」という用語は、一般に、示された数値のプラスマイナス15%を指す。例えば、「約10」は8.5~11.5の範囲を示す。例えば、「ほぼ同じ」とは、当業者が、そのものが同等であるとみなすことを意味する。
【0018】
本開示において、数値範囲には、その範囲を定義する数値も含まれる。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈から明らかにそうでないと示されない限り、指示対象が単数の場合と複数の場合を含む。したがって、例えば、「a channel」は、1つの流路および複数の流路を含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体環境」という用語は、数ミクロン(例えば、4~5μm)から数百ミクロンの寸法を持つ流路のネットワークを含む基板を意味する。流路は、マイクロリットルからピコリットルの範囲の流体を流し、操作し、制御するように構成される。
【0021】
本明細書で使用される「流路」とは、流体の流れを少なくとも部分的に導く物(基板)の上または中の特徴を意味する。流路は、あらゆる断面形状(円形、楕円形、三角形、不規則な形状、正方形、長方形等)を有することができ、覆われていても覆われていなくてもよい。完全に覆われている実施形態では、流路の少なくとも一部分が完全に囲まれている断面を有してもよいし、流路全体が、その入口および/または出口を除いて、その全長に沿って完全に囲まれていてもよい。
【0022】
「免疫親和性捕捉領域」とは、1つ以上の粒子のサブセットと特異的に結合できる表面を意味する。前記表面は抗体で覆われ、その結果、抗体-抗原結合が可能となる、および/または、前記表面は、ビオチン-アビジン-システム若しくは他のタイプの生物反応増幅システム、つまり、ビオチン-ストレプトアビジンに類する物質(つまり、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、CaptaAvidinビオチン結合タンパク質)に類似する相互作用物質カップルと、アフィニティマトリックスに類する物質(つまり、プロテインA/G プロテインA、プロテインG、プロテインL)に類似する相互作用物質カップルに覆われる。
【0023】
「粒子」とは、小さな体積の物質を意味する。この文脈において、粒子は約800nmの最大寸法を有する。一実施形態では、生物学的粒子に言及する。好ましい実施形態において、前記生物学的粒子は小胞である。
【0024】
本明細書では、小胞はすべて細胞外小胞(EV)であり、これらは以下のように分類される。
-小型EV(sEV)は、その寸法が200nm未満または300nm未満である。
-中型/大型EV(m/lEV)は、その寸法が200nmまたは300nmから800nmの範囲である。
【0025】
粒子を分離するためのマイクロ流体装置が提供される。この装置は一般に、第1の端部と第2の端部、すなわち入口と出口を含む流路を少なくとも含むチップを備える。
【0026】
本発明の一態様として、水性流体の流れから粒子のサブセット、好ましくはEVのサブセットを効率的に分離するマイクロ流体装置(例えば、マイクロ流体チップ)が提供される。本発明によるマイクロ流体装置は、前記粒子のサブセットの完全かつ特異的な分離を容易にする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明によるマイクロ流体装置を概略的に示している。前記マイクロ流体装置100は、第1のマイクロ流路110と、第1のDEPユニット140と、免疫親和性捕捉領域150と、DEPユニット140に電気的に結合された電圧源160とを備える。
【0028】
前記マイクロ流路110は、矢印116で表される、流路110を通る流体の流路内移動経路の第1の流路端部112(すなわち、流路入口)および第2の流路端部114(すなわち、流路出口)からなる。例えば、流体は、第1の流路端部112から流路110に入り、流路110を通って流れ、第2の流路端部114で流路110から出る。
【0029】
前記マイクロ流路110では、流れ116に対して垂直に、上部170と下部171の2つの部分が規定されている。前記流路110の内側の表面は、上部170では天井162として、下部171では床163として、規定されている。
【0030】
前記第1のDEPユニット140は、前記流路110内の前記天井162に沿って延びている。好ましい実施形態では、前記DEPユニット140は、前記流路110自体の長さのほとんど全てにわたって前記天井162上に延在する。
【0031】
ここで説明した形状により、流れ方向116と同じ向きの長い均一電界を流路110内に形成することができる。
【0032】
前記免疫親和性捕捉領域150は、前記流路110内の前記床163に沿って延びている。
【0033】
この実施形態では、DEPユニットと免疫親和性捕捉領域は、前記流路110において互いに反対側に位置し、DEPユニットは上部170に、免疫親和性捕捉領域は下部171にある。
【0034】
流体サンプルを受け入れる役割を果たす流路入口112は、実施形態では、流体サンプルの導入を容易にするために、100μmから1mmの間で構成される断面を有する。
【0035】
流路入口は、流路と連通していてもよい。すなわち、流路入口に導入された流体サンプルは、流路内を入り、流路に沿って流れてもよい。
【0036】
流路は、流路入口に接続されていてもよい。流路は、流路入口に導入されたサンプルがこの流路を通過できる移動経路を提供してもよい。流路は、流体サンプルが出口ユニットへ移動できるようにするために設けられてもよい。
【0037】
流体サンプルは、流路内で毛管力、圧力、および/または遠心力を動力として移動する。
【0038】
流路は、例えばマイクロ流路である。マイクロ流路とは、サンプルが毛細管現象により移動または流動する流路を指す場合がある。
【0039】
マイクロ流体装置100は、基板20を含み、この基板20は、その間に流路を規定するために互いに関連付けられた1つまたは複数の基板であってもよい。一実施形態では、基板20は、装置100の様々な特徴(例えば、流路、入口、出口)が設計される絶縁性(例えば、ガラスまたはポリマー)、または半導体(例えば、シリコン構造)を含む。そのような特徴は、当業者に公知の微細加工技術を用いて、基板20の表面および/または表面下構造にそれらの特徴を形成することによって作ることができる。
【0040】
一実施形態では、前記流路は、例えばPDMS基板および/またはガラスなどの2枚の基板を重ね合わせて得られる。この実施形態では、マイクロ流体チップは、下方を向いた流路からなる。マイクロ流体チップは、流路が形成されるようにPDMSディスクに重ね合わされる。この実施形態では、免疫親和性捕捉領域はPDMSディスク上にあり、PDMSディスクは適切に機能を持たせられ、DEPユニットはマイクロ流体チップ上にある、あるいは、これらの逆である。
【0041】
一例として、
図2A、Bによれば、マイクロ流体装置200は、PDMSディスク219に重ねられた六角形のマイクロ流体チップ218からなる。マイクロ流体チップ218とPDMSディスクとの間の重なりにより流路210が形成され、この特定の実施形態では8つのチャネルが形成される。少なくともDEPユニット240が、前記マイクロ流体チップ218上の前記流路210の内側の壁に配置され、少なくとも免疫親和性捕捉領域250が、PDMSディスク上に配置され、したがって、この領域は、前記DEPユニット240が配置されている壁に関して、流路210の内側で対向する壁に対応する。マイクロ流体装置は、DEPユニット240に電気的に結合された電圧源260をさらに備える。
【0042】
流路210は、流路210を通る流体のための流路内移動経路の第1の流路端部212(すなわち、流路入口)と第2の流路端部214(すなわち、流路出口)とを含む。この実施形態では、流路出口214は出口ユニット215に接続されている。
【0043】
本発明の例示的かつ非限定的なこの実施形態では、好ましくはPDMSで作られたガスケット251が、前記マイクロ流体チップ218の上方に配置される。前記ガスケット251の上部には、押圧片252が配置されている。前記ガスケット251および前記押圧片252の上には連通流路253があり、この連通流路253には、一例として、流路210を外部環境または排出ユニット215に接続するキャピラリーチューブ255が挿入されている。この実施形態では、ガスケットによりチップ密閉を完全な密閉にすることができる。押圧片252は、チップの密閉を維持するためにわずかな力を加え、サンプルを入れるための漏斗254を含む領域を備える。
【0044】
この実施形態では、前記押圧片252の上部には、積み重ね構造を所定の位置に正しく保持するために、ねじ固定ブリッジ270、271が取り付けられている。
【0045】
この装置は、引っ張りモードでも押し出しモードでも機能する。しかし、層間剥離を減らすためには、引っ張りモードが望ましい。
【0046】
一実施形態では、マイクロ流体装置は並列流路を持つ多重化装置である。
【0047】
この実施形態において、マイクロ流体装置は、入口を通して供給される流路を備え、前記流路は複数の流路に分割、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの並列流路に分割される。少なくとも第1のDEPユニットが、前記並列流路のそれぞれの天井に沿って延び、前記並列流路の前記DEPユニットのそれぞれは、互いに独立して制御される。免疫親和性捕捉領域が、前記並列流路のそれぞれの床に沿って延びる。前記並列流路のそれぞれは、第2の流路端部を含む。
【0048】
図9には、一実施形態が概略的に示されている。マイクロ流体装置800は、入口812を通して供給され、3つの流路821、822、823に分かれる、流路810を含む。3つの電極841、842、843を含むDEPユニットが、前記並列流路のそれぞれの天井に沿って延びている。免疫親和性捕捉領域851、852、853が、前記並列流路のそれぞれの床に沿って延びている。前記複数の流路のそれぞれは、第2の流路端部814を備える。
【0049】
前記電極841、842、843は、それらの間に長い均一の電界を発生させる。
【0050】
この実施形態では、一例として、異なる起源のEVは、免疫親和性捕捉領域851、852、853のそれぞれにおいて異なる抗体を用いて、それぞれの流体移動経路において特異的に捕捉され、それぞれの流体経路は、EVサブセットの特異的回収のために別々の出口814につながる。
【0051】
一実施形態では、マイクロ流体装置は、連続したDEP電極アレイと免疫親和性捕捉領域を有する多重化装置900である。
【0052】
この実施形態では、1つの流路は流れ方向に沿ってより多くのセクションを備える。前記セクションのそれぞれには、天井に沿って少なくともDEPユニットが、床に沿って免疫親和性捕捉領域が設けられている。前記DEPユニットのそれぞれは、互いに独立して制御される。流路を分割したセクションのそれぞれは、EVサブセットの特異的回収のためのバルブを有する。
【0053】
図10に示した実施形態について、流路910は、入口112を通して供給されるものであり、3つのセクションを備える。3つの電極941、942、943からなるDEPユニットが、セクションのそれぞれの天井に沿って延びている。免疫親和性捕捉領域951、952、953は、前記セクションのそれぞれに沿って延びている。
【0054】
この実施形態では、一例として、異なる起源のEVは、免疫親和性捕捉領域951、952、953のそれぞれにおいて異なる抗体を用いて、それぞれの流体移動経路において特異的に捕捉され、それぞれの流体経路は、EVサブセットの特異的回収のための別々のバルブ990につながる。
【0055】
試薬5は、入口112、812、912から流路110、810、910に流入し、出口114、814、914から流出する。流体が前記流路に入っている間、流体は、流束に垂直な方向にDEPの影響を受ける。したがって、前記流体中に含まれる粒子は免疫親和性捕捉領域に向かって方向づけられ、識別された粒子はこれに結合する。
【0056】
はじめに、このシステムは、充填エリアに到達するまで、液体(主にウシ血清アルブミンを含む生理的緩衝液のような不動態化液)で満たされる。その後、液体サンプルが追加される。
【0057】
好ましくは、分離される粒子が懸濁される流体サンプルは、20~200mMの塩化ナトリウム、0.1~10mMの塩化カリウム、0.1~10mMのリン酸水素二ナトリウム、および0.1~6mMのリン酸二水素カリウム、10~500mMのHepesおよび50~450mMのスクロースを含む水性組成物である。実施形態において、前記緩衝液は、グルコース(0~100mM)、塩化マグネシウム(0~20mM)、塩化ナトリウム(0~200mM)、塩化カリウム(0~40mM)、BSA(0~5%(p/V))をさらに含む。
【0058】
この緩衝液によって、マイクロ流体流束内で微小小胞体を正しく取り扱えるようになり、特定のDEP力を加え、粒子を捕捉領域に偏向させられることが実証されている。
【0059】
一実施形態では、前記DEPは、0.1~6.0V(好ましい動作範囲)、好ましくは1~5V、さらに好ましくは1.5~4.5Vの電流強度(I)で、0.1~5MHz(好ましい動作範囲)、好ましくは1~4.5MHz、または1.5~4MHzの周波数(W)で印加される。
【0060】
流体は、好ましくは0.1~5μl/分(好ましい動作範囲)、または1~4、または2~4μl/分の流速で流れる。
【0061】
好ましい実施形態では、前記粒子がEVである場合、0.1MHz~20MHzの範囲で3~10Vの間のピーク・ツー・ピーク電圧の負のDEPにより、EVは抗体でコーティングされた表面に向かって押し出される。EVは強制的に表面と相互作用し、速度を落とし、抗体の上を「転がり」、抗体結合が起これば表面に付着する。この方法は一般に、小粒子を含む水性媒体である流体を少なくとも1つの流路を通して流すことを含む。この方法はさらに、流体を電場勾配にさらすことを含む。前記電場は、前記小粒子に負の誘電泳動力を加えるために、流路の壁に貼り付けられる少なくとも1つのDEPユニットによって生成され、前記誘電泳動力は、小粒子を前記流路の対向壁に向かって押し出す。流路の前記対向壁は、免疫親和性捕捉領域である。
【0062】
図3は、マイクロ流体チップの動作を説明したものである。パネルAでは、流体サンプル(白矢印)がチップに導入され、流路310を満たします。DEP340がオンになり(パネルBの黒矢印)、粒子は免疫親和性捕捉領域350に対して強制的に移動させられる。最後にパネルCでは、DEPはオフにされ、免疫親和性捕捉領域に特異的に結合した粒子が捕捉されたままとなり、流体サンプルは流路の入口から出口へと流れ続ける。
【0063】
好ましくは、前記小粒子は小胞である。小胞は一般に、脂質エンベロープによって規定される細胞由来または細胞由来でない粒子を含む。小胞は、そのエンベロープまたは内部部分に任意の適切な成分を含んでもよい。適切な成分には、化合物、ポリマー、複合体、混合物、凝集体、および/または粒子などが含まれてもよい。例示的な成分には、タンパク質、ペプチド、低分子化合物、薬剤候補、受容体、核酸、リガンド、および/またはこれらに類するものが含まれてもよい。好ましくは、前記小粒子はEVである。
【0064】
EVの混合集合では、すべてのEVは前記対向表面に接触させられ、ローリング、ホッピング、スライディングするが、目的のEVのみ、すなわち前記免疫親和性捕捉領域上で前記抗体を識別するEVのみが、抗体との特異的結合を受ける。
【0065】
前記免疫親和性捕捉領域上の抗体は、有利には、目的の細胞または組織で主に発現する選択されたタンパク質に対する特異的な抗体である。この細胞特異性により、一方では細胞特異的なEVを分離することができ、他方では分析のための細胞特異的な要素を提供することができる。
【0066】
さらなる実施形態では、前記免疫親和性捕捉領域に、アビジンとビオチンの共役複合体が見つかる。
【0067】
その後、DEPユニットの電源が切られ、流路内に洗浄液が流される。非特異的に結合したEVは流路から洗い流され、特異的に結合したEVは抗体でコーティングされた表面に残る。
【0068】
有利なことに、ここに記載されたシステムの形状により、緩やかな電気泳動場を長時間印加することが可能となり、ここでDEPユニットの電極は流路全体の天井に沿って分布している。好ましい実施形態では、本発明による方法は、中型/大型のEVである粒子を分離するために使用される。粒子の大きさは、その電荷ポテンシャルを決定し、その電荷ポテンシャルは、同じ粒子を移動させるのに必要なDEPに直接関係する。
【0069】
ここでのシステムの形状では、流体中の粒子は長時間、つまり、粒子が入口から出口に移動するのに必要な時間、電界にさらされ、粒子自体は押されて減速し、捕捉領域に接触するように移動させられる。
【0070】
粒子に作用する電場は、粒子の性質に影響を与えることなく、粒子自体を免疫親和性捕捉領域に向かって移動させるのに十分である。より強い電界を短時間印加すれば、粒子は破裂するだろう。
【0071】
いくつかの実施例
方法:
細胞培養とin vitro刺激
N9:マウスミクログリア細胞を、ポリ-L-リジン(蒸留水中に0.1mg/ml)プレコートプレートに20,000細胞/cm2の密度で播種し、一晩培養した。
【0072】
初代ラットミクログリア:細胞は17~18DIVのP2新生スプラーグドーリーラット(Envigo srl)から得た。簡単に述べると、1ウェル当たり50万細胞をポリ-L-リジン(蒸留水中に0.1mg/ml)プレコートした6ウェルプレート(50,000細胞/cm2)に播種し、一晩培養した。
【0073】
ミクログリア細胞の課題
培養24時間後、細胞をクレブスリンガーHepes(KRH)溶液(125mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カリウム、1.2mMのリン酸二水素カリウム、2mMの塩化カルシウム、1.2mMの硫酸マグネシウム、25mMの4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸(HEPES)、および、6mMのグルコース)を用いて優しく洗い、KRH溶液(60μl/cm2)中で、30分間、2mMのアデノシン5′-三リン酸(ATP)(Sigma Aldrich)で刺激し、MVの分泌を促進した。
【0074】
ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC、Lonza、#LOCC-2543、ロット番号:000440546)を、データシートに記載されているように、EGM-2M内皮培地(Lonza)で播種し培養した。
【0075】
内皮細胞の課題
HMVECからEVを分離するために、細胞を10ng/mlのTNF-αで18時間培養した後、細胞上清からEVを回収した。
【0076】
EVの分離
このプロトコルは、非特異的な方法で、分析中の流体生物学的サンプルの上清に存在するすべてのEVを分離することができる。
【0077】
調整されたKRHを回収し、300g×15分間の反応時間で細胞や残屑が除去される。上清を回収し、別のチューブに移す。
【0078】
残屑や膜の残骸からサンプルをさらに精製するために、最初の遠心分離で得られた上清に対して、もう1度遠心分離を行う。条件は、1200g×15分、4℃である。上清を回収する。
【0079】
その後、16,000g×30分、4℃で遠心分離を行い、上清からEVを沈殿させた。
【0080】
小胞EVを沈降させた後、回収したEVを50%のMicroCATCH緩衝液(25mMの塩化マグネシウム、5mMのグルコース、250mMのHEPES、12mMの塩化カリウム)、25%の水、25%のBSA(4%)に懸濁した。
【0081】
こうして得られた懸濁液は、EVの特定のサブグループを分離するために、本発明によるチップに導入される流体サンプルである。
【0082】
EV膜の染色
分離したEVをFITC-CFSE染色(Life Technologies)またはYellow CellTrace CFSE(Life Technologies)で染色し、サンプル中のすべてのEVを検出できるようにした。プローブは、細胞膜を通過し、その表面や細胞内または小胞内の遊離アミンと非特異的に共有結合できるものを選択した。
【0083】
文献にしたがい、サンプルは、MVを含まないPBSで最終容量500μLのCSFE(20μLのVCT、50μM+480μlのPBS-最終的なCSFE濃度は2μM)に懸濁し、遮光して37℃で45分間培養し、10分ごとに緩やかに混合した。
【0084】
未結合の色素は、EVサンプルに少量のPBSまたはKRH緩衝液(つまり、500~700μl)を加えて洗浄し、除去した。染色したEVを16,000g×30分、4℃で分離した。
【0085】
例1:本発明の実施形態による装置の組み立て
図2を参照すると、DEP用電極アレイとSU-8チャンネルからなる六角形状のマイクロ流体チップが、3Dプリントされた装置内に配置される。流路は下向きである。チップは、金属電極(Ti:5nm、Pd:100nm)でパターン形成されたガラスチップである。
【0086】
PDMSディスク(ほぼ1mmの厚さ)は、流路を閉じるために組み立て後にチップ上に置かれる。このPDMSディスクは抗体で機能化されている。
【0087】
ガスケットと押圧片、および、弾力性のある押圧片を備えたブリッジが位置決めに使用され、漏れのないようにキャピラリーをチップに接続する。
【0088】
倒立顕微鏡(
図2Bの290)を用いて、チップ内部のサンプルを底面から可視化することができる。
【0089】
この実施形態では、チップは引っ張りモードで動作するため、PDMSがチップから剥離する可能性は低くなる。
【0090】
例2:抗体コーティングとBSA不動態化
例1に記載したPDMSディスクを抗体溶液とともに37℃で少なくとも1時間培養した。
【0091】
抗体溶液から領域を保護するためにPDMSスラブを使用した。水ですすいだ後、保護用PDMSを除去し、ディスクを水で2度すすぎ、窒素気流下で乾燥させた。
【0092】
コーティングされていない領域については、チップの初期充填に4%BSA溶液を使用して不動態化した。
【0093】
図4に示すように、いくつかの実験セッションの例として、EVの効率的な捕捉が抗体上(領域A)で観察され、BSA上(領域B)ではほとんど捕捉されなかった。ここで示した実験では、DEPパラメーターは、2HMzの矩形波、4.5Vであった。
【0094】
流速は0.025μl/分であった。
【0095】
例として、便利ということで使用される抗体混合物は以下の通りである。
ミクログリアEV捕捉用抗体:
-抗CD11b細胞外抗体(Life Technologies)
-抗TMEM119細胞外抗体(Abcam)
-抗lba1細胞外抗体(Life Technologies)
内皮EV捕捉用抗体:
-抗CD144細胞外抗体(Life Technologies)
-抗CD62E細胞外抗体(Life Technologies)
-抗CD31細胞外抗体(Life Technologies)
-抗CD106細胞外抗体(Life Technologies)
【0096】
混合物の最終濃度は15μg/mlである。
【0097】
例3:DEP効果の評価
N9微小小胞体を含む、EVの分離の段落で詳述した方法で得られた液体サンプルを、例1で例示したチップに導入した。
【0098】
最初のステップでは、DEPをオフにし、微小小胞体は、抗体でコーティングされた表面に捕捉されることなく、流路の中央の高さに流れ込んだ(
図5A)。
【0099】
第2のステップでは、DEPをオンにし、微小小胞体を、TMEM119抗体でコーティングされた免疫親和性捕捉領域で捕捉した(
図5B)。
【0100】
このことは、微小小胞体を表面に接触させるためには、DEPが必要であることを示している。
【0101】
動作設定:2MHzの矩形波、5.5V、流速0.01μl/分、MicroCATCH緩衝液
【0102】
例4:細胞特異的EVの分離
2つの異なる免疫親和性捕捉領域を持つチップを準備した。第1の領域はいかなる抗体も含まず、第2の領域はCD144抗体を含む。N9微小小胞体を含む液体サンプルをマイクロ流体チップに導入した。
【0103】
動作設定は以下の通り:2MHzの矩形波、5.5V、流速0.01μl/分、MicroCATCH緩衝液。N9小胞はCD144に付着しなかった(
図6)。実験は30分以上行った。数回(10回未満)の付着が観察された。逆に、MVはN9特異的な抗体混合物を用いた免疫親和性捕捉領域で特異的に結合した(
図6B)。
【0104】
例5:細胞特異的EVの分離
3つの異なる免疫親和性捕捉領域からなる本発明によるチップを準備した。第1の領域(
図7A)には、抗体は存在しなかった。第2の領域(
図7B)には、TMEM119抗体があり、第3の領域(
図7C)にはCD144があった。このチップには、内皮小胞とミクログリア小胞を含む液体サンプルが導入された。
【0105】
図7は、TMEM119陽性の捕捉領域でのDEP後に分離されたミクログリアMV(タイプ1)を示す代表的な写真である(
図7B)。内皮マーカーCD144でコーティングされた捕捉領域で同じ流体サンプルにDEPを適用すると、ミクログリア小胞は捕捉されない(
図7C)。この同じ領域で別の蛍光流路を観察すると、上記のように染色された内皮小胞がCD144抗体によって捕捉される(ここではデータは示されていない)。
【0106】
例6:分離された細胞特異的MVの分子解析
例5にしたがって分離されたMVは、その後の生化学的解析及び分子解析のために処理される。
図8は、ミクログリアMVから抽出したmiRNAのピークを報告している。
【国際調査報告】