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特表2024-513351粘着性膜複合体を製造するための方法及び装置
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  • 特表-粘着性膜複合体を製造するための方法及び装置 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】粘着性膜複合体を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240315BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20240315BHJP
   B32B 38/10 20060101ALI20240315BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20240315BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B65H41/00 A
B32B38/10
B32B7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557806
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2022057074
(87)【国際公開番号】W WO2022200187
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107208.5
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】スタインボーン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーダースベルク,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】グーテクンスト,ドロシー
(72)【発明者】
【氏名】ステインブレシェル,ビクトリア
【テーマコード(参考)】
3F108
4F100
【Fターム(参考)】
3F108JA04
4F100AR00
4F100AR00B
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100CB05
4F100CB05A
4F100EJ30
4F100EJ30B
4F100EJ93
4F100EJ94
4F100JL13
4F100JL13A
4F100JL14
4F100JL14B
(57)【要約】
【解決手段】本発明は粘着性膜複合体(106) を製造するための方法に関し、この方法は、(i) 第1の膜(100) 、第2の膜(104) 、及び第1の膜と第2の膜との間に設けられている粘着性の製剤(102) を有する積層体(108) を準備する工程、(ii) 積層体(108) を送り方向(14)に送る工程、並びに、(iii) 製剤(102) が設けられている第1の膜(100) を第2の膜(104) から分離する工程を有し、第1の膜(100) を第2の膜(104) から送り方向(14)に対して斜めに外すことにより、第1の膜(100) 及び第2の膜(104) を分離し、第2の膜(104) を送り方向(14)に更に導き、第1の膜(100) を外すとき、第1の膜(100) を第1の膜の長手軸芯を中心に回転させる。本発明は更に、粘着性膜複合体(106) を製造するための装置(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性膜複合体(106) 、好ましくはTTS 膜複合体を製造するための方法であって、
- 第1の膜(100) 、第2の膜(104) 、及び前記第1の膜と前記第2の膜との間に設けられている粘着性の製剤(102) を有する積層体(108) を準備する工程、
- 前記積層体(108) を送り方向(14)に送る工程、並びに
- 前記製剤(102) が設けられている前記第1の膜(100) を前記第2の膜(104) から、好ましくは剥がして分離する工程
を有し、
前記第1の膜(100) を前記第2の膜(104) から前記送り方向(14)に対して斜めに送り出すことにより、前記第1の膜(100) 及び前記第2の膜(104) を分離し、
前記第2の膜(104) は前記送り方向(14)に進み続け、
前記第1の膜(100) を送り出すとき、前記第1の膜(100) を、前記第1の膜の長手軸芯を中心に回転させる、方法。
【請求項2】
前記第1の膜(100) を前記送り方向(14)に対して60°以上の角度、好ましくは60°~120 °の角度、特に好ましくは約90°の角度で送り出す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の膜(100) を、前記第1の膜の長手軸芯を中心に少なくとも60°、好ましくは90°~270 °、特に好ましくは約180 °回転させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記積層体(108) を送り面に送り、前記第1の膜(100) を送出面に送り出し、好ましくは前記第2の膜(104) は、分離後に通過面に進み続け、前記送り面、前記通過面及び前記送出面の少なくとも2つは互いに平行であり、特に同一である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記製剤(102) は有効成分及び/又は接着剤を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の膜(100) 及び前記第2の膜(104) の少なくとも1つは、粘着性が低下しており、好ましくはシリコーンで被覆されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記第2の膜(104) の粘着性は前記第1の膜(100) の粘着性より低く、又は、前記第1の膜(100) の粘着性は前記第2の膜(104) の粘着性より低く、又は、前記第1の膜(100) 及び前記第2の膜(104) の粘着性は実質的に同一である、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
請求項9~13のいずれか1つに記載の装置(10)を用いて行う、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
粘着性膜複合体(106) 、好ましくはTTS 膜複合体を製造するための装置(10)であって、
積層体(108) を送り方向(14)に導くための積層体搬送手段(12)と、
前記積層体(108) の第1の膜(100) を送出方向(18)に導くための膜複合体搬送手段(16)と、
前記第1の膜(100) を積層体(108) から好ましくは剥がして分離するための分離装置(20)と
を備えており、
前記分離装置(20)は、前記第1の膜(100) が前記分離装置(20)の周りで折り曲げ可能であり、前記第1の膜(100) が前記送り方向に対して斜めに送り出されて、前記第1の膜が長手方向にねじられるように構成されている、装置。
【請求項10】
前記分離装置(20)は、特に角度のある曲げ縁部(22)を有しており、前記曲げ縁部(22)は、好ましくは前記積層体搬送手段(12)による前記積層体(108) の送り経路に隣り合って配置されている、請求項9に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記曲げ縁部(22)は、前記送り方向(14)に対して30°~60°の角度、特に好ましくは約45°の角度で配置されている、請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記曲げ縁部(22)は、前記積層体(108) の送り面、及び/又は前記第1の膜(100) の送出面、及び/又は前記積層体の第2の膜(104) が導かれる通過面に平行に配置されている、請求項10又は11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記送出方向(18)が前記送り方向(14)に対して斜めに、好ましくは60°~120 °の角度で、特に好ましくは約90°の角度であるように構成されている、請求項9~12のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1つに記載の方法を行うように構成されている、請求項9~13のいずれか1つに記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性膜複合体、好ましくはTTS 膜複合体を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮治療システム(TTS) などの膜製品を製造するために、好ましくは中間製品として特に積層体が使用されることが多い。特に、このような積層体は、第1の膜、例えば支持膜、第2の膜、例えば被覆膜、及び第1の膜と第2の膜との間に設けられている製剤を有する。製剤は好ましくはマトリクスである。製剤は一般に、接着剤、及び好ましくは少なくとも1つの有効成分及び/又は更なる補助材料を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
積層体の更なる処理のために、通常、膜の1つ、特に第2の膜を積層体から外す必要がある。例えば、製造工程で積層体が積層体ロールに巻き取られることがあり、膜の1つ、好ましくは第2の膜は中間膜及び/又は保護膜としての機能を果たす。例えば、巻き取りのために、支持膜上に設けられた製剤をこのような被覆膜によって保護することが必要な場合がある。特に別の機械による更なる処理及び/又は別の場所での更なる処理及び/又は別の時間での更なる処理のために、その後、前記被覆膜を外すことが必要な場合がある。特に積層体ロールを広げた後、被覆膜を外す。被覆膜を剥がすことによって、被覆膜を外すことが好ましい。
【0004】
被覆膜を外すときに多くの問題が生じる。例えば、被覆膜を外すとき、製剤の残留物が被覆膜上に残る場合がある、及び/又は、外すことにより、製剤が均一に分散しない場合がある。更に、製剤、特に有効成分を含む粘着性マトリクスが均一に持ち上げられない場合がある。これは、有効成分の投与量に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、マトリクスの更なる処理が不可能になる場合がある。これらの問題は、例えば温度の影響、製剤の特殊な特性、又は被覆膜の粘着特性、例えばシリコーン処理されている被覆膜の場合のシリコーンの劣化により、製剤と被覆膜との粘着力が変わる場合に特に生じる。更に、同様の粘着特性を有する膜材料を選択する場合に問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、積層体からの膜の除去を改善する、粘着性膜複合体、好ましくはTTS 膜複合体を製造するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、請求項1に係る粘着性膜複合体を製造するための方法、及び請求項9に係る粘着性膜複合体を製造するための装置により達成される。
【0007】
本発明に係る粘着性膜複合体を製造するための方法は、好ましくはTTS 膜複合体を製造するための方法である。製造される膜複合体は、特に少なくとも1つの膜と、好ましくは有効成分及び/又は接着剤を含む製剤とを有する。粘着性は特に接着性を意味する。TTS 膜複合体を製造するとき、膜複合体は少なくとも1つの支持膜及び支持膜上に設けられるマトリクスを有することが好ましい。本方法の第1の工程で、積層体を準備する。積層体は、特にTTS 積層体である。準備される積層体は積層シート、好ましくは積層膜シートであることが好ましい。積層シートの好ましい代替名称は積層バンドである。特に、積層体ロールによって積層体を準備する。積層体、特に積層シートを、好ましくは巻かれた状態で準備する。積層シートの長さは、少なくとも1m、好ましくは少なくとも5m、特に好ましくは少なくとも10mであることが好ましい。積層シートの長さと幅との比が少なくとも2:1、好ましくは少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも10:1であることが好ましい。積層体は、第1の膜、第2の膜、及び第1の膜と第2の膜との間に設けられる粘着性の製剤を有する。特に、第1の膜は、中間ライナ又は解放ライナとも称される支持膜である。第1の膜はPET を含み、特にPET で構成されることが好ましい。第2の膜は、バッキング層とも称される被覆膜であることが好ましい。第2の膜は、好ましくは紙及び/又はポリエチレンを含み、特に紙及び/又はポリエチレンで構成される。第2の膜は、ポリエチレンで被覆された紙の膜であることが特に好ましい。特に、第1及び/又は第2の膜はシリコーン処理されている。製剤は有効成分及び/又は接着剤を含むことが好ましい。本方法の第2の工程で、積層体を送り方向に送る。ここで送るとは、特に積層体を、積層体の膜を分離する分離領域に導くことを意味する。更なる工程で、製剤が設けられている第1の膜を第2の膜から分離する。分離を、好ましくは分離領域で行う。特に、分離は剥離分離であるため、第1の膜を第2の膜から剥がす。ここで、分離後に製剤が第1の膜上に設けられるように分離を行うことが好ましく、分離後、第2の膜が実質的に製剤を含まないことが特に好ましい。第1の膜を第2の膜から送り方向に対して斜めに送り出すことによって、第1の膜を第2の膜から分離する。第2の膜は送り方向に進み続ける。更に、第1の膜が送り出されるとき、(第1の膜の)長手軸芯を中心とした第1の膜の回転が生じる。第1の膜を送出方向に送り出す。第1の膜を送り方向に対して斜めに送り出すとき、第1の膜が第2の膜及び/又は送り方向から離れて曲がることが好ましい。言い換えれば、第1の膜を分離領域で特に90°折り曲げることにより、第1の膜及び第2の膜を分離する。この折り曲げは、言い換えれば特に、例えばDIN A4用紙の角を用紙の縁部を越えて内側に折り曲げるDIN A4用紙の折り曲げに基づいて説明され得る。折り曲げ縁部の角度が45°であることが好ましい。その後、DIN A4用紙の前述の角を有するDIN A4用紙の短辺の方向に送り出しを行う。製剤が設けられている送り出される第1の膜は、製造される膜複合体であることが好ましい。本方法を連続的な方法として行うことが好ましい。
【0008】
驚くべきことに、製剤が設けられている第1の膜を斜めに、特に90°の角度で送り出すため、分離中、製剤が第1の膜に実質的に完全に付着し、ひいては製剤が第2の膜に実質的に残存しないことが有利である。
【0009】
好ましい実施形態では、第1の膜を送り方向に対して70°以上、好ましくは70°~110 °、特に好ましくは約90°の送出角度とも称される角度で斜めに送り出す。第1の膜を90°の特に好ましい角度で送り出す場合、第1の膜の送出方向が積層体の送り方向に垂直であるか又は送り出される第1の膜が積層体に垂直であることが好ましい。
【0010】
第1の膜を第1の膜の長手軸芯を中心として少なくとも60°、好ましくは90°~270 °、特に好ましくは約180 °回転させることが好ましい。180 °の回転は、言い換えれば回転前に膜が前方に配置される一方、回転後に膜が後方に配置されるように説明されることができ、回転前に第1の膜の前側が最上部にある一方、回転後に第1の膜の後側が最上部にあることが特に好ましい。
【0011】
好ましい実施形態では、積層体が送り面に送られ、第1の膜が送出面に送り出され、第2の膜が好ましくは分離後に通過面に進み続ける。送り面、通過面及び送出面の少なくとも2つは互いに平行であり、特に同一であることが好ましい。言い換えれば、積層体、送り出される第1の膜及び進み続ける第2の膜の少なくとも2つは平行に、特に同様に導かれる。積層体及び進み続ける第2の膜は同一の面及び同一の方向に導かれることが特に好ましい。
【0012】
製剤は有効成分及び/又は接着剤を含むことが好ましい。有効成分は特に経皮有効成分を含む。接着剤は特に皮膚接着剤を含む。
【0013】
好ましい実施形態では、膜の少なくとも1つの粘着性は低下している。この粘着性の低下は、特に膜の少なくとも1つをシリコーン処理する、つまりシリコーンで被覆するような方法で行われる。
【0014】
一方では、第1の膜及び第2の膜が実質的に等しい粘着力を有する、及び/又は2つの膜へのマトリクスの付着力が実質的に等しいことが可能である。この等しい粘着力は、第1の膜と製剤との粘着力又は付着力と比較して、第2の膜と製剤との特に等しい粘着力又は付着力を意味する。他方では、第2の膜の粘着力が第1の膜の粘着力より低いことが好ましくは可能である。言い換えれば、第2の膜の粘着力は第1の膜の粘着力より大きく低下している。このより低い粘着力は、特に第2の膜と製剤とのより小さい粘着力若しくは付着力、又は第1の膜と製剤とのより大きい粘着力若しくは付着力を意味する。第1の膜及び第2の膜が異なる粘着力を有するため、特に第1の膜及び第2の膜を分離するときに製剤が第1の膜に付着する一方、製剤が第2の膜から離れることが特に有利に行われる。
【0015】
第2の膜を引っ張る、特に巻き取ることによって積層体を送ることが好ましい。ここで、まず積層体全体を引っ張り、製剤が設けられている第1の膜を積層体から分離した後、第2の膜のみを引っ張り続けることが特に好ましい。この引っ張りを、テンションリールによって行うことが好ましい。第1の膜を引っ張る、特に巻き取ることによって第1の膜を送り出すことが好ましい。テンションリールによる引っ張りが特に好ましい。テンションリールが、積層体又は第2の膜を引っ張るため且つ第1の膜を引っ張るために使用されている間、テンションリールの引張方向が互いに垂直であるか及び/又は同一の面内にあることが好ましい。
【0016】
好ましい実施形態では、第1の膜を、好ましくは角度のある曲げ縁部に沿って送り出す。
【0017】
第1の膜を曲げ縁部で曲げることにより、第1の膜の長手軸芯を中心とした回転を行うことが好ましい。
【0018】
特に、本方法を、以下に記載される本発明に係る装置の一又は複数の特徴を有する装置を用いて行う。
【0019】
粘着性膜複合体を製造するための本発明に係る装置は、好ましくは粘着性TTS 膜複合体を製造するための装置である。本装置は、積層体を送り方向に導くための積層体搬送手段を備えている。特に、積層体は、本方法との関連で上述した積層体として構成される。積層体搬送手段は、積層体を分離するための分離領域に積層体を送るように構成されていることが好ましい。更に装置は、積層体の第1の膜を送出方向に導くための膜複合体搬送手段を備えている。膜複合体搬送手段は、特に分離領域を起点として積層体の第1の膜を送り出すように構成されている。送り方向及び送出方向が同一ではなく、特に互いに垂直であることが好ましい。装置は、第1の膜を積層体から分離するための分離装置を更に備えている。特に分離装置は、第1の膜を積層体から剥離して分離するように構成されている。分離装置は、製剤が設けられている第1の膜を積層体の第2の膜から分離するように構成されていることが好ましい。本発明によれば、分離装置は、分離後に第1の膜が分離装置の周りで折り曲げ可能であり、第1の膜が送り方向に対して斜めに送り出されて、第1の膜が長手方向にねじられるように構成されている。製剤が設けられている送り出される第1の膜は、製造される膜複合体であることが好ましい。
【0020】
好ましい実施形態では、分離装置は曲げ縁部を有している。曲げ縁部は尖った曲げ縁部及び/又は角度のある曲げ縁部であることが好ましい。他方では、曲げ縁部が丸みを帯びていることが可能である。特に角度のある曲げ縁部を形成するために、分離装置が曲げプレートを有していることが好ましい。丸みを帯びた曲げ縁部を形成するために、分離装置は曲げ縁部として、好ましくは回転可能なローラ、又は完全若しくは部分的なシリンダを有することが可能である。分離装置は、特に曲げ縁部を有するスキージを有し、好ましくは曲げ縁部を有するスキージで構成されていることが好ましい。
【0021】
特に、曲げ縁部は、積層体が積層体搬送手段によって送られる積層体の送り経路に対向して及び/又は送り経路に隣り合って配置されている。曲げ縁部が送られる積層材と接するように、曲げ縁部が配置されていることが特に好ましい。積層体と曲げ縁部とのこの接触は、送り出される第1の膜の側と反対の曲げ縁部の側で生じることが好ましい。
【0022】
好ましい実施形態では、曲げ縁部は、送り方向に対して30°~60°の角度、特に好ましくは45°の角度で配置されている。
【0023】
曲げ縁部が、積層体の送り面と平行に、及び/又は第1の膜の送出面と平行に、及び/又は積層体の第2の膜の通過面と平行に配置されていることが好ましい。曲げ縁部のこの平行配置は、一又は複数の面まで距離があるように前述の面の一又は複数と平行であることが特に好ましい。
【0024】
装置は、送出方向が送り方向に対して斜めであるように構成されていることが好ましい。ここで、斜めは60°~120 °の角度、特に90°の角度を意味することが特に好ましい。送出方向を送り方向に対してこのように斜めに配置するために、積層体搬送手段のリールの搬送方向が膜複合体搬送手段のリールの搬送方向に対して相応に斜めに配置されていることが好ましい。このリールの搬送方向は互いに垂直である及び/又は共通の面にあることが特に好ましい。
【0025】
積層体搬送手段はリール、特にテンションリールを有していることが好ましい。積層体搬送手段のテンションリールは、送られる積層体の第2の膜及び/又は送られる積層体を巻き取ることが好ましい。積層体搬送手段のリールの代わりに又は積層体搬送手段のリールに加えて、膜複合体搬送手段がリール、特にテンションリールを有することが好ましい。特に、膜複合体搬送手段のテンションリールは積層体の第1の膜を巻き取る。好ましい実施形態では、粘着性膜複合体を製造するための装置は、巻き取った積層体を広げるためのリール、特にペイオフリールを更に備えている。積層体搬送手段のテンションリールが積層体の第2の膜を引っ張り、膜複合体搬送手段のテンションリールが、積層体の製剤が設けられている第1の膜を引っ張り、ひいては積層体をペイオフリールから広げることが特に好ましい。2つのテンションリール及び1つのペイオフリールが設けられているこの実施形態では、積層体搬送手段のテンションリールの搬送方向がペイオフリールの搬送方向と同一であり、膜複合体搬送手段のテンションリールの搬送方向がこの方向に対して斜めであり、特に垂直であることが好ましく、3つの搬送方向が1つの面に設けられていることが特に好ましい。
【0026】
好ましい実施形態では、粘着性膜複合体を製造するための装置は、上述した発明に係る方法の特徴の少なくとも1つを有しており、装置は、上述した発明に係る方法を行うように構成されていることが特に好ましい。
【0027】
以下に、添付図面を参照して好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】積層体を示す側面略図である。
図1b】積層体を示す分解略図である。
図2a】膜複合体を示す側面略図である。
図2b】膜複合体を示す分解略図である。
図3】本発明に係る粘着性膜複合体を製造するための装置の実施形態を示す平面略図である。
図4】本発明に係る粘着性膜複合体を製造するための装置の更なる実施形態を示す斜視略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1aは、粘着性膜複合体106 を製造するための本発明に係る方法のための開始点として使用され得る標準的な積層体108 のタイプの一例を示す。
【0030】
図示されている積層体108 は、第1の膜100 、第2の膜104 、及び第1の膜100 と第2の膜104 との間に設けられている製剤102 を有している。積層体108 はTTS 積層体であることが好ましい。特に、第1の膜100 は支持膜である。第2の膜104 は被覆膜であることが好ましい。製剤102 は、好ましくはマトリクスであり、特に好ましくは接着剤及び経皮有効成分を含む。
【0031】
積層体108 の代替の実施形態では、更なる膜又は製剤などの更なる層が設けられてもよい。
【0032】
図1bは、図1aの積層体108 の分解図である。
【0033】
第1の膜100 は第1の粘着特性を有する表面101 を有する一方、第2の膜104 は第2の粘着特性を有する表面107 を有する。第1の膜100 の第1の粘着特性は、第2の膜104 の第2の粘着特性とは異なることが好ましい。第1の膜100 の粘着力が第2の膜104 の粘着力より大きいことが特に好ましい。第1の膜100 及び/又は第2の膜104 の粘着力が低下しており、特に第1の膜100 の粘着力の低下が第2の膜104 の粘着力の低下より少ないことが好ましい。ここで粘着力とは、特に第1の膜100 と製剤102 との間又は第2の膜104 と製剤102 との間の夫々の粘着力を意味する。第1の膜100 と製剤102 との間の粘着力が第2の膜104 と製剤102 との間の粘着力より大きいことが特に好ましい。第1の膜100 及び第2の膜104 の粘着力が異なるため、第1の膜100 及び第2の膜104 が分離したときに製剤102 が第1の膜100 に付着して、ひいては第1の膜100 に残存することが好ましくは有利である。
【0034】
図2aは、膜複合体106 を例示的に示し、膜複合体106 は、本発明に係る方法及び/又は本発明に係る装置により製造される膜複合体106 であることが好ましい。
【0035】
膜複合体106 は、図1aの積層体108 に実質的に相当するが、第2の膜104 が図1aの積層体108 から外されている又は分離している、特に剥がされている。加えて、図1aの実施形態と比較して、この場合、自身の長手軸芯を中心として180 °回転している。従って、第1の膜100 が底部に示されており、製剤102 が第1の膜100 の上側に設けられ、特に第1の膜100 に付着により連結されている。
【0036】
その後の使用では、例えば、経皮投与のために製剤102 が皮膚に配置されてもよく、好ましくは第1の膜100 が製剤を反対側で覆う。
【0037】
図3は、本発明に係る粘着性膜複合体106 を製造するための装置10の実施形態を示す。図示されている膜複合体106 は、図2aに示されている膜複合体106 であることが好ましい。
【0038】
積層体108 がペイオフリール30に設けられている。積層体108 は図1aに示されている積層体108 であることが好ましい。
【0039】
積層体108 は、積層体搬送手段12によって(矢印14で示されている)送り方向に送られる。図示されているように、積層体搬送手段12は2つのテンションリール13; 17を有している。第1のテンションリール17は、製剤102 が設けられている膜100 で構成されている製造すべき粘着性膜複合体106 を巻きつける。従って、第1のテンションリール17は、第1の膜100 及び第1の膜100 上に設けられた製剤102 を搬送するための膜複合体搬送手段16の一部でもある。第2のテンションリール13は、積層体108 の第2の膜104 を巻き上げる。テンションリール13; 17によって積層体108 の膜100; 104を引っ張ることにより、積層体108 がペイオフリール30から繰り出されるように、積層体108 が送られる。
【0040】
図示されていない代替の実施形態では、例えば、積層体搬送手段12及び膜複合体搬送手段16として第1のテンションリール17のみを使用することが可能である。従って、特にこの代替の実施形態では、第2のリールは省略される。第2の膜104 は中間生成物又は廃棄物であることが多いため、巻き直されることなく排出され得る。従って、この代替の実施形態では、積層体搬送手段12は膜複合体搬送手段16に相当し、積層体搬送手段12又は膜複合体搬送手段16は第1のテンションリール17を有している。
【0041】
図3に示されているように、第1のテンションリール17は、第1の膜100 を送出方向18に搬送する。第2のテンションリール13は、第2の膜104 を通過方向19に搬送する。
送り方向14は通過方向19と平行であり、好ましくは通過方向19と同一である;
送出方向18は送り方向14及び/又は通過方向19に対して斜めであり、特に90°の角度である;
積層体108 の送り経路は第2の膜104 の通過経路と一致している;
第1の膜100 は(xy面に示されている)送出面に送り出され、この送出面は積層体108 の送り面及び/又は第2の膜104 の通過面と平行であり、特に同一である
という条件の少なくとも1つ、より好ましくは全てが適用されることが好ましい。
【0042】
図示されている実施形態では、積層体108 の第2の膜104 からの、製剤102 が設けられている第1の膜100 の分離、好ましくは剥離分離を分離領域21で行う。ここで、第1の膜100 は、分離装置20の曲げ縁部22の周りで曲げられる。図示されている実施形態では、分離装置20は、特に曲げ縁部22を形成する曲げプレート23を有している。曲げ縁部の曲げ角度24は、送り方向14に対して45°である、及び/又は通過方向19に対して45°である、及び/又は送られる積層体108 に対して45°である、及び/又は進み続ける第2の膜104 に対して45°であることが好ましい。
【0043】
曲げ縁部22では、分離後、製剤102 が設けられている第1の膜100 の底部が上向きになるように、積層体108 の第1の膜100 が折り曲げられるか又は折り重ねられる。従って、分離中、第1の膜100 を第1の膜100 の長手軸芯を中心に180 °回転させる。製剤102 が設けられている第1の膜100 は、分離後、送出角度26で送出方向18に送り出される。送出角度26は、送り方向14及び/又は通過方向19及び/又は送られる積層体108 及び/又は送り出される第2の膜104 に対して90°であることが好ましい。
【0044】
分離縁部22は、積層体108 の送り面及び/又は第2の膜104 の通過面及び/又は第1の膜100 の送出面と平行に配置されていることが好ましい。曲げ縁部22は、送られる積層体108 が対向して隣り合うように導かれ、特に接触して導かれるように配置されていることが特に好ましい。
【0045】
驚くべきことに、製剤102 が設けられている第1の膜100 が斜めに、特に90°の送出角度26で送り出されることにより、分離中、製剤102 が第1の膜100 に実質的に完全に付着し、ひいては、製剤102 が第2の膜104 に実質的に残存しない。
【0046】
図4は、本発明に係る粘着性膜複合体106 を製造するための装置の更なる実施形態を示しており、この実施形態は図3の実施形態と実質的に対応する。
【0047】
図3の実施形態とは対照的に、図4では、リール13; 17; 30の(回転矢印で示されている)回転方向が更に逆方向になるように、リール13; 17; 30はねじれて配置されている。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
【国際調査報告】