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特表2024-513367AFT骨格構造を有するゼオライト材料の合成及び該ゼオライト材料を含むSCR触媒
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  • 特表-AFT骨格構造を有するゼオライト材料の合成及び該ゼオライト材料を含むSCR触媒 図1
  • 特表-AFT骨格構造を有するゼオライト材料の合成及び該ゼオライト材料を含むSCR触媒 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】AFT骨格構造を有するゼオライト材料の合成及び該ゼオライト材料を含むSCR触媒
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20240315BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20240315BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20240315BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/70 A
B01J29/76 A
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558830
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 CN2022082250
(87)【国際公開番号】W WO2022199574
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/082414
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チー,シヤオトー
(72)【発明者】
【氏名】シー,リーホワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッティパリ,ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】タイ,ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイタオ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チン
【テーマコード(参考)】
4D148
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148BA01Y
4D148BA02Y
4D148BA07Y
4D148BA08X
4D148BA11X
4D148BA13X
4D148BA15Y
4D148BA16Y
4D148BA23Y
4D148BA24Y
4D148BA25Y
4D148BA26Y
4D148BA27Y
4D148BA28Y
4D148BA30Y
4D148BA34Y
4D148BA35X
4D148BA36Y
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BB01
4D148BB02
4D148CA01
4D148DA01
4D148DA13
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BB44
4G073CZ50
4G073FB11
4G073FB21
4G073GA03
4G073GB02
4G073UA01
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA21C
4G169BC08A
4G169BC22A
4G169BC25A
4G169BC26A
4G169BC29A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC66A
4G169BE01C
4G169BE17C
4G169BE37C
4G169BE38C
4G169CA08
4G169CA13
4G169DA06
4G169EA19
4G169EC04Y
4G169FC08
4G169ZA03A
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB08
4G169ZC02
4G169ZC04
4G169ZD01
4G169ZD03
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
4G169ZF09A
(57)【要約】
本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法に関し、この方法は、(1)合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、(A)Alの源、(B)SiOの源、(C1)N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第1の有機構造指向剤の源、及び任意に、(C2-i)式(I)の第四級アンモニウムカチオン、(C2-ii)式(II)のピペリジニウムカチオン、及び(C2-iii)式(III)のピロリジニウムカチオンから選択されるカチオンを含む第二の有機構造指向剤の源を含む合成混合物を提供する工程、及び(2)該合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程を含み、式(I)、(II)及び(III)は、本明細書及び特許請求の範囲に定義される。本発明はまた、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物、及び窒素酸化物の選択的触媒還元のためのアルミノシリケートゼオライトの使用方法に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C1) アルキレン部位が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖である、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) 以下のカチオン、
(C2-i) 式(I)
【化1】
(式中、
、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そして
は、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール及びC~C20アリールアルキルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
で表される第四級アンモニウムカチオン、
(C2-ii) 式(II)
【化2】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、そして
、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、
又は
式中、
及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、
は、C~Cアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピペリジニウムカチオン、及び
(C2-iii) 式(III)
【化3】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル又はC~C10シクロアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピロリジニウムカチオン
からなる群より選択されるカチオンを含む、第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、
及び
(2) 前記合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部位が、置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の有機構造指向剤が、下記の式(IV):
(C(CH(C (IV)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表されるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムより選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第四級アンモニウムカチオン(C2-i)が式(I)で表され、式中、R、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルから選択され、そしてRは、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されているC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第四級アンモニウムカチオン(C2-i)が、N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロペンチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリエチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム、N,N,N-トリエチルベンジルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルベンジルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルベンジルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、R及びRはHであり、そしてR、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、又は式中、R及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、Rは、C~Cアルキルであり、R及びRはHであり、そしてR及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、R及びRはHであり、そしてR、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、Rは、C~Cアルキルであり、Rは、C~Cアルキルであり、R及びRは、互いに独立して、H又はC~Cアルキルであり、R、R及びRは、Hである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が、1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1,1-ジエチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ピロリジニウムカチオン(C2-iii)が式(III)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そしてR、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、又は式中、R及びRの一方はC~Cアルキルであり、他方はC~C10シクロアルキルであり、そしてR、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ピロリジニウムカチオン(C2-iii)が式(III)で表され、式中、R、Rは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そしてR、R、R、RはH、好ましくは1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム、1,1-ジエチルピロリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一及び第二の有機構造指向剤が、それぞれのカチオンに関して、10:1~1:30、又は5:1~1:30、又は4:1~1:25、好ましくは3:1~1:25、より好ましくは3:1~1:20の範囲のモル比で使用される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の有機構造指向剤が(C2-i)第四級アンモニウムカチオンを含み、そして前記第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対第四級アンモニウムカチオンに関して、10:1~1:5、又は5:1~1:1、好ましくは3:1~2:1の範囲のモル比で使用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の有機構造指向剤が(C2-ii)ピペリジニウムカチオンを含み、そして前記第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:25、より好ましくは1:5~1:20の範囲のモル比で使用される、請求項1から4及び7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の有機構造指向剤が(C2-iii)ピロリジニウムカチオンを含み、そして前記第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピロリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:20、より好ましくは1:5~1:15の範囲のモル比で使用される、請求項1から4及び11から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記Al及びSiOの源がFAUゼオライト、特にゼオライトYを含み、より好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO対Alのモル比を有するゼオライトYを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
SiOの追加的な源が使用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C) 先行する請求項1から4のいずれか一項に定義したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤の源、
を含む工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む方法。
【請求項20】
N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む前記有機構造指向剤以外の有機構造指向剤が使用されない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によって得られたAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト。
【請求項22】
シリカ対アルミナのモル比が10~25、好ましくは11~20、より好ましくは11~18である、請求項21に記載のアルミノシリケートゼオライト。
【請求項23】
1μm以下の平均結晶径を有する、請求項21又は22に記載のアルミノシリケートゼオライト。
【請求項24】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、その細孔内に、合成したままの形態で1つの有機構造指向剤のカチオン、好ましくは、先の請求項1から4のいずれか一項に定義したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト。
【請求項25】
窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒における、請求項21から24のいずれか一項に記載のアルミノシリケートゼオライトの使用方法。
【請求項26】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物。
【請求項27】
前記プロモーター金属が、遷移金属、アルカリ土類金属、Sb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、好ましくはCu及び/又はFe、好ましくはCuを含む、請求項26に記載のSCR触媒組成物。
【請求項28】
前記プロモーター金属がCu及び/又はFeからなる、請求項27に記載のSCR触媒組成物。
【請求項29】
前記プロモーター金属が、AFT骨格構造構造を有するアルミノシリケートゼオライト、好ましくは請求項21から23のいずれか一項に記載のアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又はその上にある、先の請求項26から28のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項30】
前記プロモーター金属が、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する、先の請求項26から29のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物。
【請求項31】
触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品であって、前記触媒組成物が請求項26から30のいずれか一項に定義したSCR触媒組成物であるか、又は前記触媒組成物が請求項21から24のいずれか一項に記載のAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトと金属プロモーターとを含む、触媒物品。
【請求項32】
内燃機関、及び前記内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、請求項31に記載の触媒物品が前記排気ガス導管内に存在する、排気ガス処理システム。
【請求項33】
(A)窒素酸化物を含むガス流を提供する工程、
(B)前記ガス流を請求項26から30のいずれか一項に記載のSCR触媒組成物又は請求項31に記載の触媒物品と接触させる工程
を含む、窒素酸化物の選択的触媒還元の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AFT骨格構造を有するゼオライト材料の合成方法、窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)のためのゼオライト材料の使用方法、及び該ゼオライト材料を含むSCR触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
5オングストローム(Å)未満の細孔開口部を有する小孔径ゼオライト、例えばCHA型、AEI型又はAFX型のものは、例えばガス分離又は有機化合物の変換反応(例えばメタノールをオレフィンに(methanol-to-olefins)(MTO))などの様々な用途における吸着剤又は触媒として優れていることが分かっている。他の骨格構造を有する小孔径ゼオライトは、小孔径ゼオライト吸着剤又は触媒のさらに可能性のある候補を見出すことを期待して、研究者の注目が高まっている。
【0003】
例えば、米国特許第US10,343,927B2号には、AFT型の新規アルミノシリケートゼオライトが記載されている。AFT型のゼオライトは小孔径のゼオライトであり、最初はアルミノホスフェート(AIPO)骨格構造として知られていた。US10,343,927B2でSSZ-112と指定されているAFT型のアルミノシリケートゼオライトは、SiO、Alの源、第一族金属、ヒドロキシドイオン、第一の有機テンプレート(Q1)としてヘキサメトニウムジカチオンイオン、及び第二の有機テンプレート(Q2)として1-メチル-1-アルキルピロリジニウムカチオン及び1-メチル-1-アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む合成ゲルから調製され、その各アルキル基は独立してC~Cアルキルである。該特許では、ゼオライトSSZ-112をアルキル化、分解、水素化分解、異性化、オリゴマー化、有機酸素酸塩(例えばメタノール及び/又はジメチルエーテル)からオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)への転化、モノアルキルアミン及びジアルキルアミンの合成、及び窒素酸化物の触媒的還元を含む、多種多様な有機又は無機の転化プロセスの触媒として使用され得ることが記載されている。
【0004】
報告されているAFT型アルミノシリケートゼオライトの調製方法は、非常に特定の有機構造指向剤(OSDA)に限定されている。AFT型のアルミノシリケートゼオライトを調製するためのより多くの方法、特にSCR用途において望ましい触媒活性を有するAFT型のアルミノシリケートゼオライトを提供し得る方法の必要性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第US10,343,927B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための新規方法を提供することである。
この目的は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウム有機構造指向剤、及び任意に、第四級アンモニウム有機構造指向剤、ピペリジニウム有機構造指向剤及びピロリジニウム有機構造指向剤から選択される別の有機構造指向剤を使用することによって達成された。
【0007】
本発明の別の目的は、AFT骨格構造を有するゼオライトをベースとするSCR触媒を提供することであり、この触媒は望ましい活性を有し、特に、高温、例えば800℃以上でのエージングに対する優れた安定性を併せ持つ。
【0008】
驚くべきことに、この目的は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物によって達成されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって1つの側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法に関するものであり、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C1) アルキレン部位が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖である、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) 以下のカチオン、
(C2-i) 式(I)
【化1】
(式中、
、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そして
は、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール及びC~C20アリールアルキルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
で表される第四級アンモニウムカチオン、
(C2-ii) 式(II)
【化2】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、そして
、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、
又は
式中、
及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、
は、C~Cアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピペリジニウムカチオン、及び
(C2-iii) 式(III)
【化3】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル又はC~C10シクロアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピロリジニウムカチオン
からなる群より選択されるカチオンを含む、第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、
及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0010】
この側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法に関するものであり、この方法は、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C) アルキレン部位が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖である、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤の源、
を含む、工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0011】
別の側面において、本発明は、ここに記載の方法によって得られた及び/又は得ることができる、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトに関するものである。
【0012】
さらに別の側面において、本発明は、ここに記載の方法によって得られた及び/又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む、SCR触媒組成物に関するものである。
【0013】
なお別の側面において、本発明は、SCR触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上にSCR触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品に関するものであり、そのSCR触媒組成物は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む。
【0014】
さらなる側面において、本発明は、内燃機関、及びその内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関するものであり、ここに記載の触媒物品が、排気ガス導管内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例1~9のゼオライト(材料A~I)それぞれのSEM画像を示す。
図2図2は、実施例1~9のゼオライト(材料A~I)それぞれのXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を以下で詳細に記載する。本発明は、多くの異なる方法で具体化することができ、ここに記載されている実施形態に限定されると解釈してはならないことを理解されたい。
【0017】
ここで、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「含む」、「含んでいる」などは、「含有する」、「含有」などと同じ意味で使用され、非限定的で開放的に解釈される。すなわち、例えばさらなる構成要素又は要素が存在し得る。「~からなる」又は「~から本質的になる」という表現、又は同族語は、「含む」又は同族語の中に包含される。
【0018】
ここで使用される用語「AFT」とは、国際ゼオライト委員会(IZA)構造委員会(International Zeolite Association (IZA) Structure Commission)によって承認されたAFT骨格型を指す。
【0019】
ゼオライトの文脈で使用される「アルミノシリケート」という用語は、主にアルミナ及びシリカから構成される骨格を意味することを意図しており、アルミニウム及びケイ素以外の骨格金属を含んでいても含んでいなくてもよい。1つ以上のアルミニウム又はケイ素骨格原子の代わりにアルミニウム以外の骨格金属が存在する場合、アルミノシリケートゼオライトは「金属置換」と呼ばれ得る。
【0020】
ここで使用される「AFT骨格構造を有するゼオライト」、「AFT型のゼオライト」、「AFTゼオライト」などの用語は、AFT骨格構造のXRDパターンを示す材料を指すことを意図しており、ここでは以下で互いに互換的に使用される。これらの用語はまた、ゼオライトの任意の形態、例えば、合成したままの形態、か焼された形態、NH-交換された形態、H-形態及び金属置換形態を含むことを意図している。
【0021】
ここで使用される「合成したまま」という用語は、結晶化及び乾燥後の形態の、有機構造指向剤を除去する前のゼオライトを指すことを意図している。
【0022】
ここで使用される「か焼された形態」という用語は、か焼時の形態のゼオライトを指すことを意図している。
【0023】
第一の側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法を提供し、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C1) アルキレン部位が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖である、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン(OSDA1)を含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) 以下のカチオン、
(C2-i) 式(I)
【化4】
(式中、
、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そして
は、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール及びC~C20アリールアルキルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
で表される第四級アンモニウムカチオン、及び
(C2-ii) 式(II)
【化5】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、そして
、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、
又は
式中、
及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、
は、C~Cアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピペリジニウムカチオン、及び
(C2-iii) 式(III)
【化6】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル又はC~C10シクロアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピロリジニウムカチオン
からなる群より選択されるカチオン(OSDA2)を含む、第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、
及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0024】
第一の有機構造指向剤は、特に、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン(OSDA1)を含み、そのアルキレン部位は、置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイルから選択される。
【0025】
第一の有機構造指向剤は、好ましくは、下記の式(IV):
(C(CH(C (IV)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表されるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン(OSDA1)を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるカチオンを含む。好ましくは、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムより選択されるカチオンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、第二の有機構造指向剤は、特に、(C2-i)式(I)
【化7】
(式中、
、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルから選択され、そして
は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
で表される第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0028】
第二の有機構造指向剤は、好ましくは、(C2-i)式(I)で表される第四級アンモニウムカチオンを含み、式中、R、R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル又はイソ-プロピルであり、そしてRは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル及びベンジルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている。
【0029】
より好ましくは、第二の有機構造指向剤は、(C2-i)N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロペンチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリエチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム、N,N,N-トリエチルベンジルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルベンジルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルベンジルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせより選択される第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0030】
或る特定の例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-i)N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される第四級アンモニウムカチオンを含む。好ましくは、第二の有機構造指向剤は、(C2-i)テトラエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0031】
いくつかの他の実施形態では、第二の有機構造指向剤は、特に、(C2-ii)下記の式(II):
【化8】
で表されるピペリジニウムカチオンを含み、
式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、
及びRはHであり、そして
、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、又は、
式中、
及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、
は、C~Cアルキルであり、
及びRはHであり、そして
及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである。
【0032】
第二の有機構造指向剤は、好ましくは、(C2-ii)下記の式(II)で表されるピペリジニウムカチオンを含み、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、R及びRはHであり、そしてR、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである。
【0033】
より好ましくは、第二の有機構造指向剤は、(C2-ii)下記の式(II)で表されるピペリジニウムカチオンを含み、式中、Rは、C~Cアルキルであり、Rは、C~Cアルキルであり、R及びRは、互いに独立して、H又はC~Cアルキルであり、そしてR、R及びRは、Hである。
【0034】
或る特定の例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-ii)1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1,1-ジエチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせから選択されるピペリジニウムカチオンを含む。好ましくは、第二の有機構造指向剤は、(C2-ii)1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるピペリジニウムカチオンを含む。
【0035】
いくつかの他の実施形態では、第二の有機構造指向剤は、特に、(C2-iii)式(III):
【化9】
で表されるピロリジニウムカチオンを含み、
式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、
又は、
式中、
及びRの一方はC~Cアルキルであり、他方はC~C10シクロアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである。
【0036】
第二の有機構造指向剤は、好ましくは(C2-iii)式(III)で表されるピロリジニウムカチオンを含み、式中、R、Rは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そしてR、R、R、RはHである。
【0037】
或る特定の例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-iii)1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム、1,1-ジエチルピロリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせから選択されるピロリジニウムカチオンを含む。好ましくは、第二の有機構造指向剤は、(C2-iii)1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるピロリジニウムカチオンを含む。
【0038】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの好ましい実施形態では、第一の有機構造指向剤はN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤は、(C2-i)N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される第四級アンモニウムカチオン、(C2-ii)1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1,1-ジエチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせより選択されるピペリジニウムカチオン又は(C2-iii)1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム、1,1-ジエチルピロリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせより選択されるピロリジニウムカチオンを含む。
【0039】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかのさらに好ましい実施形態では、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤は、(C2-i)テトラエチルアンモニウム、N,-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第四級アンモニウムカチオン、(C2-ii)1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるピペリジニウムカチオン、又は(C2-iii)1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるピロリジニウムカチオンを含む。
【0040】
第一及び第二の有機構造指向剤は、それぞれのカチオンに関して、10:1~1:30、又は5:1~1:30、又は4:1~1:25、好ましくは3:1~1:25、より好ましくは3:1~1:20の範囲のモル比で使用してよい。
【0041】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-i)第四級アンモニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対第四級アンモニウムカチオンに関して、10:1~1:5、又は5:1~1:1、好ましくは3:1~2:1の範囲のモル比で使用される。より好ましくは、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤は、(C2-i)N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくはテトラエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0042】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの他の例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-ii)ピペリジニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:25、より好ましくは1:5~1:20の範囲のモル比で使用される。より好ましくは、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤は、(C2-ii)1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1,1-ジエチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくは1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるピペリジニウムカチオンを含む。
【0043】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかのさらなる例示的な実施形態では、第二の有機構造指向剤は、(C2-iii)ピロリジニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対ピロリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:20、より好ましくは1:5~1:15の範囲のモル比で使用される。より好ましくは、第一の有機構造指向剤は、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムカチオンを含み、そして第二の有機構造指向剤は、(C2-iii)1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム、1,1-ジエチルピロリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくは1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせから選択されるピロリジニウムカチオンを含む。
【0044】
合成混合物は、さらなる有機構造指向剤を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、合成混合物は、第一及び第二の有機構造指向剤以外の有機構造指向剤を含まない。
【0045】
好適には、第一及び第二の有機構造指向剤は、互いに独立して、ここに上述したそれぞれのカチオンのハライド、例えばフルオリド、クロリド及びブロミド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート及びカルボキシレート、例えばアセテート、好ましくはクロリド、ブロミド、ヒドロキシド及びスルフェートの形態である。
【0046】
好ましくは、第一及び第二の有機構造指向剤は、互いに独立して、ここに上述したそれぞれのカチオンのヒドロキシドである。
【0047】
第一及び第二の有機構造指向剤は、合成混合物中において、SiOの源(複数可)に対し、カチオン(OSDA1+OSDA2)の合計対SiOとして計算して0.01~1.0、好ましくは0.03~0.5、より好ましくは0.05~0.3の範囲の総モル比で存在してよい。
【0048】
Al及びSiOの源に特に制限はない。Alの源の好適な例には、限定するものではないが、アルミナ、アルミネート、アルミニウムアルコキシド及びアルミニウム塩、好ましくはアルミナ、アルミニウムトリ(C~C)アルコキシド、AlO(OH)、Al(OH)、アルミニウムハライド、アルミニウムスルフェート、アルミニウムホスフェート及びアルミニウムフルオロシリケートが含まれる。SiOの源の好適な例には、限定するものではないが、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ケイ酸、シリコンアルコキシド、アルカリ金属シリケート、ナトリウムメタシリケート水和物、セスキシリケート、ジシリケート及びケイ酸エステルが含まれる。Al及びSiOの複合源、例えばFAUゼオライトなどのアルミノシリケートゼオライトを、代替的又は追加的に使用してよい。
【0049】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの実施形態では、Al及びSiOの複合源としてのFAUゼオライト、及びSiOの追加の源が使用される。特に、FAUゼオライトはゼオライトYであり、好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO対Alのモル比を有するゼオライトYである。SiOの追加的な源は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、コロイダルシリカからなる群より選択される。
【0050】
工程(1)で提供される合成混合物は、SiOの源(複数可)及びAlの源(複数可)を、SiO対Alとして計算して、5~100、好ましくは30~80、より好ましくは40~60の範囲のモル比で含む。
【0051】
工程(1)で提供された合成混合物は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)、好ましくはアルカリ金属カチオンの源をさらに含んでよい。アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Cs及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはNa及び/又はK、及び最も好ましくはNaより選択される。アルカリ土類金属は、好ましくは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の好適な源は、典型的にはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハライド、例えばフルオリド、クロリド及びブロミド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート及びカルボキシレート、例えばアセテート、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましくは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の源には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のクロリド、ブロミド、ヒドロキシド又はスルフェート及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。より好ましくは、アルカリ金属のヒドロキシドが合成混合物中に用いられる。
【0052】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)は、合成混合物中において、SiOの源(複数可)に対して、AM対SiOとして計算して0.01~1.0、好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.3~0.8の範囲のモル比で存在してよい。
【0053】
工程(1)で提供される合成混合物は、アニオンOHの源を含んでもよい。OHの有用な源は、例えば金属ヒドロキシド、例えばアルカリ金属ヒドロキシド又はアンモニウムヒドロキシドでよい。好ましくは、アニオンOHは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン(AM)の源、及び第一及び/又は第二の有機構造指向剤の源のうちの1つ以上に由来してよい。
【0054】
OHアニオンは、合成混合物中において、SiOの源(複数可)に対して、OH対SiOとして計算して0.1~2.0、より好ましくは0.2~1.0、より好ましくは0.5~1.0の範囲のモル比で存在してよい。
【0055】
工程(1)で提供される合成混合物は、少なくとも1つの溶媒、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水を含んでもよい。溶媒は、合成混合物の出発材料の1つ以上、例えばAl、SiO及び第一及び/又は第二の有機構造指向剤の源に含まれていてもよく、ひいては合成混合物中に持ち込まれてもよく、及び/又は合成混合物中に別個に組み込まれてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、合成混合物は、水対SiOの源(複数可)のモル比を、HO対SiOとして計算して3~100、好ましくは10~80、より好ましくは20~60の範囲で有する。
【0057】
いくつかの例示的な実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、以下の表1に示すモル組成を有する:
【0058】
【表1】
【0059】
いくつかの実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、AFTゼオライトの種結晶の量をさらに含んでもよい。AFTゼオライトの種結晶は、種結晶を使用せずにここに記載の方法から得てよい。
【0060】
合成混合物は、特に制限なく、工程(2)においてAFTゼオライトを形成するための結晶化条件に供してよい。結晶化は、80~250℃、より好ましくは100~200℃の範囲の高温で、結晶化に十分な期間、例えば0.5~12日間、1~6日間、又は2~5日間行う。典型的には、結晶化は自己圧力下で、例えばオートクレーブなどの圧力密閉容器中で行う。さらに、結晶化は、好ましくは撹拌せずに行う。
【0061】
形成されたままのアルミノシリケートゼオライトを、例えばろ過による単離、任意の洗浄、及び乾燥を含む後処理手順に供して、合成したままのAFTゼオライトを得る。よって、本発明による方法の工程(2)は、後処理手順を任意にさらに含む。
【0062】
合成したままのAFTゼオライトは、典型的にはその構造孔内に、上記の第一及び第二の有機構造指向剤の少なくとも一部分を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、工程(2)からの合成したままのAFTゼオライトを、か焼手順に供する。よって、本発明による方法は、合成したままのAFTゼオライトをか焼する工程(3)をさらに含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、合成したままの又はか焼したままのAFTゼオライトをイオン交換手順に供し、ゼオライトに含有されるイオン性非骨格元素の1つ以上がH及び/又はNH に交換されるようにしてよい。よって、本発明による方法は、
(4)工程(2)又は(3)で得られたゼオライトに含有されるイオン性非骨格元素の1つ以上を、H及び/又はNH 、好ましくはNH に交換する工程
をさらに含む。
【0065】
一般的に、工程(4)においてH及び/又はNH に交換されたゼオライトを、例えばろ過による単離、任意の洗浄、及び乾燥を含む後処理手順に供する、及び/又はか焼手順に供する。よって、本発明による方法の工程(4)は、後処理手順及び/又はか焼手順を任意にさらに含む。
【0066】
工程(3)及び/又は工程(4)におけるか焼は、300~900℃、例えば350~700℃、又は400~650℃の範囲の温度で行ってよい。特に、か焼は、上記の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ってよく、これは空気、酸素、窒素、又はそれらの2つ以上の混合物であってよい。好ましくは、か焼は、0.5~10時間、例えば3~7時間、又は4~6時間の範囲の期間行う。
【0067】
本発明によるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法のいくつかの変形例では、第二の有機構造指向剤を使用しなくてもよい。
【0068】
よって本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法も提供するものであり、この方法は以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C) アルキレン部位(OSDA)が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖であるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤の源
を含む、工程、
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む。
【0069】
いくつかの特定の実施形態では、ここに上述したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤以外の有機構造指向剤は、変形例による方法において使用されない。
【0070】
本明細書中の任意の実施形態について一般に及び好ましいと記載したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンは、ここで変形例による方法に適用可能である。
【0071】
変形例によるいくつかの特定の実施形態では、工程(1)で提供される合成混合物は、以下の表2に示すモル組成を有してよい:
【0072】
【表2】
【0073】
この方法は、第一及び第二の有機構造指向剤を使用する方法についてここに上述したのと同様に行ってよい。
【0074】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、第一の側面に記載した方法から、X線粉末回折(XRD)分析によって決定し、首尾よく得ることができた。
【0075】
よって第二の側面において、本発明は、第一の側面に記載の方法から得ることができる及び/又は得られたAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを提供する。
【0076】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、そのか焼されたH-形態で決定されるシリカ対アルミナのモル比(SAR)を、10~25、好ましくは11~20、より好ましくは11~18で有する。
【0077】
本発明によるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、典型的には、1μm以下、又は500nm以下、例えば200nm~500nmの範囲の平均結晶径を有する。平均結晶径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を介して決定される。特に、平均結晶径は、SEMを介して、サンプルの異なる領域をカバーする複数の画像から無作為に選択された少なくとも30個の異なる結晶について結晶径を測定することにより決定した。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明によるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、60m/g以下、好ましくは50m/g以下、より好ましくは45m/g以下、例えば1~50m/g、又は3~40m/gのメソ細孔表面積(MSA)を有してよい。代替的又は付加的に、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、少なくとも400m/g、又は少なくとも450m/g、例えば450~650m/g、又は450~600m/gの範囲のゼオライト表面積(ZSA)を有する。メソポア表面積及びゼオライト表面積は、N-吸着ポロシメトリーによって決定される。
【0079】
本発明によるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、好ましくは、X線粉末回折(XRD)分析によって決定して、少なくとも90%の相純度であり、すなわち、ゼオライト骨格の少なくとも90%がAFT型である。より好ましくは、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、少なくとも95%、又はさらにより好ましくは少なくとも98%又は少なくとも約99%の相純度である。
【0080】
いくつかの実施形態では、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、AFX又はCHAなどの他の骨格を相互成長(intergrowth)として微量で、例えば10%未満、好ましくは5%未満、さらにより好ましくは2%未満又は1%未満で含有する。
【0081】
驚くべきことに、第一の側面に記載の方法から得られたAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、NOxの選択的触媒還元(SCR)の適用において、同じ骨格型を有するが他の方法で調製されたゼオライトを含む触媒よりも、800℃以上の温度でのエージングに対して著しく高い安定性を示すことが見出された。
【0082】
よって第三の側面において、本発明は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物をさらに提供する。
【0083】
ここで使用される「プロモーター金属」という用語は、ゼオライトの触媒活性を向上させることができる非骨格金属を指す。「非骨格金属」とは、その金属がゼオライト骨格構造の構成に関与しないことを意味することを意図している。プロモーター金属は、ゼオライト内部及び/又はゼオライト表面の少なくとも一部に、好ましくはイオン種の形態で存在する。
【0084】
特に、本発明によるSCR触媒組成物は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトと、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属とを含む。
【0085】
本発明によるSCR触媒組成物において有用なAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、第一の側面に記載の方法によって得られた及び/又は得ることができるか、又は第二の側面に記載のものである。第一の側面の方法又は第二の側面のAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトに関する一般的な及び特定の記述は、参照によりここに組み込まれる。
【0086】
プロモーター金属は、NOxの選択的触媒還元(SCR)の適用においてゼオライトの触媒性能を向上させるのに有用であることが知られている任意の金属であってよい。一般に、プロモーター金属は遷移金属、例えば貴金属、例えばAu及びAg及び白金族金属、卑金属、例えばCr、Zr、Nb、Mo、Fe、Mn、W、V、Ti、Co、Ni、Cu及びZn、アルカリ土類金属、例えばCa及びMg、及びSb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0087】
好ましい実施形態では、SCR触媒組成物は、プロモーター金属として少なくともCu及び/又はFeを含む。いくつかの特定の実施形態では、SCR触媒組成物は、プロモーター金属としてCuを含む。特に、SCR触媒組成物に使用されるプロモーター金属は、Cuからなる。
【0088】
プロモーター金属は、SCR触媒組成物中に、プロモーター金属及びAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの総質量に対して、酸化物をベースとして0.1~10質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~7質量%、特に2~5質量%の量で存在する。銅、鉄又はそれらの組み合わせがプロモーター金属として使用されるいくつかの特定の実施形態では、プロモーター金属は、好ましくは、プロモーター金属及びAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの総質量に対して、酸化物をベースとして1~5質量%、より好ましくは2~4質量%の量でSCR触媒組成物中に存在する。
【0089】
或いは、プロモーター金属は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量でSCR触媒組成物中に存在してよい。銅、鉄又はそれらの組み合わせがプロモーター金属として使用されるいくつかの特定の実施形態では、プロモーター金属の量は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.2~0.7モル、好ましくは0.3~0.5モルである。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態では、SCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)が10~25、好ましくは11~20である、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属であって、Cu及び/又はFe、特にCuである、プロモーター金属
を含み、
プロモーター金属は、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.2~0.7モル、好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する。
【0091】
いくつかのより好ましい実施形態では、本発明によるSCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)が11~20、より好ましくは11~18である、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属Cu
を含み、
Cuは、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.3~0.5モルの量で存在する。
【0092】
例示的な実施形態では、本発明によるSCR触媒組成物は、以下の成分、
- AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、シリカ対アルミナのモル比(SAR)が11~18である、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト、及び
- アルミノシリケートゼオライトの内部及び/又は上に存在するプロモーター金属Cu
を含み、
Cuは、アルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.3~0.5モルの量で存在する。
【0093】
プロモーター金属は、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトに任意の既知のプロセス、例えばイオン交換及び含浸を介して組み込んでよい。例えば、アルミノシリケートゼオライトをプロモーター金属の可溶性前駆体の溶液に混合することにより、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトにプロモーター金属を組み込むことができる。典型的にはカチオンの形態のプロモーター金属でイオン交換したゼオライトは、従来通り洗浄し、乾燥し、そしてか焼してよい。プロモーター金属の有用な可溶性前駆体は、例えばプロモーター金属の塩、プロモーター金属の錯体及びそれらの組み合わせである。或いは、プロモーター金属は、押出成形物又はコーティングされたモノリスなどの触媒物品の調製中に、その場でAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトに組み込んでよい。
【0094】
本発明によるSCR触媒組成物は、NOxの選択的触媒還元(SCR)の用途において望ましい活性を有することが見出された。さらに、驚くべきことに、本発明によるSCR触媒組成物は、特に、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトがここに記載した有機構造指向剤の特定の組み合わせを用いて調製される場合に、高温、例えば800℃以上でのエージングに対する優れた安定性も有することが見出された。
【0095】
第四の側面において、本発明は、NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒における、ここに記載の方法によって得られた及び/又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの使用方法を提供する。
【0096】
SCR用途の場合、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトは、好ましくはここに上述したプロモーター金属を担持し、押出成形物の形態で又はモノリス基材上のウォッシュコートの形態で適用される。
【0097】
よって第五の側面において、本発明は、触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品を提供するものであり、その触媒組成物は、本明細書で第二の側面において上述したAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むか、又はその触媒組成物は、第三の側面において記載したSCR触媒組成物である。
【0098】
「押出成形物」という用語は、一般に、押出成形によって形成された成形体を指す。本発明によれば、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含む押出成形物は、典型的にはハニカム構造を有する。
【0099】
用語「ウォッシュコート」とは、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、すなわち、基材に適用された触媒又は他の材料の薄い付着したコーティングである。
【0100】
用語「基材」とは一般に、触媒コーティングが上に配置されたモノリシック材料、例えば、モノリシックハニカム基材、特にフロースルーモノリシック基材及びウォールフローモノリシック基材を指す。
【0101】
AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト及びプロモーター金属は、特に制限なく、任意の既知のプロセスによって適用形態に処理してよい。
【0102】
さらなる側面において、本発明は、内燃機関及び内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムに関し、ここに記載の触媒物品が排気ガス導管内に存在する。
【0103】
実施形態
以下に様々な実施形態を列挙する。以下に列挙する実施形態は、本発明の範囲に応じて、あらゆる側面及び他の実施形態と組み合わせてよいことが理解されるであろう。
【0104】
1. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C1) アルキレン部位が置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖である、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む第一の有機構造指向剤の源、及び
(C2) 以下のカチオン、
(C2-i) 式(I)
【化10】
(式中、
、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そして
は、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール及びC~C20アリールアルキルから選択され、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
で表される第四級アンモニウムカチオン、及び
(C2-ii) 式(II)
【化11】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、そして
、R、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、
又は
式中、
及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、
は、C~Cアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピペリジニウムカチオン、及び
(C2-iii) 式(III)
【化12】
(式中、
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル又はC~C10シクロアルキルであり、そして
、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである)
で表されるピロリジニウムカチオン
からなる群より選択されるカチオンを含む、第二の有機構造指向剤の源
を含む、工程、
及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む、方法。
【0105】
2. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオン中のアルキレン部位が、置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイル、好ましくは非置換の直鎖又は分枝鎖C~C10アルカンジイルから選択される、実施形態1による方法。
【0106】
3. 第一の有機構造指向剤が、下記の式(IV):
(C(CH(C (IV)
(式中、
nは3~10の整数、好ましくは4~7、最も好ましくは5である)
で表されるN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む、実施形態2による方法。
【0107】
4. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンが、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,3-プロパンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,4-ブタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム、及びそれらの任意の組み合わせ、好ましくは、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,6-ヘキサンジアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,7-ヘプタンジアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より、より好ましくはN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムより選択される、実施形態3による方法。
【0108】
5. 第四級アンモニウムカチオン(C2-i)が式(I)で表され、式中、R、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルから選択され、そしてRは、それぞれ1つ以上のヒドロキシル基で任意に置換されているC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択される、実施形態1から4のいずれかによる方法。
【0109】
6. 第四級アンモニウムカチオン(C2-i)が、N,N,N-トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロペンチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロペンチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘプチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリエチルフェニルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルフェニルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルフェニルアンモニウム、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム、N,N,N-トリエチルベンジルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルベンジルアンモニウム、N-メチル-N,N-ジエチルベンジルアンモニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、実施形態5による方法。
【0110】
7. ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル及びC~C10シクロアルキルから選択されるか、又はそれらが結合しているNと共に5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、R及びRはHであり、そしてR、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、又は式中、R及びRは、共に結合してC~C結合、例えばエチレン結合を形成し、Rは、C~Cアルキルであり、R及びRはHであり、そしてR及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、実施形態1から4のいずれかによる方法。
【0111】
8. ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、R及びRはHであり、そしてR、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、実施形態7による方法。
【0112】
9. ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が式(II)で表され、式中、Rは、C~Cアルキルであり、Rは、C~Cアルキルであり、R及びRは、互いに独立して、H又はC~Cアルキルであり、R、R及びRは、Hである、実施形態8による方法。
【0113】
10. ピペリジニウムカチオン(C2-ii)が、1,1-ジメチルピペリジニウム、1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウム、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピペリジニウム、1,1-ジエチルピペリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピペリジニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、実施形態9による方法。
【0114】
11. ピロリジニウムカチオン(C2-iii)が式(III)で表され、式中、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そしてR、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルであるか、又は式中、R及びRの一方はC~Cアルキルであり、他方はC~C10シクロアルキルであり、そしてR、R、R及びRは、互いに独立して、H、ヒドロキシル又はC~Cアルキルである、実施形態1から4のいずれかによる方法。
【0115】
12. ピロリジニウムカチオン(C2-iii)が式(III)で表され、式中、R、Rは、互いに独立して、C~Cアルキルであり、そしてR、R、R、RはH、好ましくは1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-n-ブチルピロリジニウム、1,1-ジエチルピロリジニウム、1-エチル-1-n-プロピルピロリジニウム、1-エチル-1-n-ブチルピロリジニウム及びそれらの任意の組み合わせである、実施形態11による方法。
【0116】
13. 第一及び第二の有機構造指向剤が、それぞれのカチオンに関して、10:1~1:30、又は5:1~1:30、又は4:1~1:25、好ましくは3:1~1:25、より好ましくは3:1~1:20の範囲のモル比で使用される、実施形態1から12のいずれかによる方法。
【0117】
14. 第二の有機構造指向剤が(C2-i)第四級アンモニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤は、ジアンモニウムカチオン対第四級アンモニウムカチオンに関して、10:1~1:5、又は5:1~1:1、好ましくは3:1~2:1の範囲のモル比で使用される、実施形態1から6のいずれかによる方法。
【0118】
15. 第二の有機構造指向剤が(C2-ii)ピペリジニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピペリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:25、より好ましくは1:5~1:20の範囲のモル比で使用される、実施形態1から4及び7から10のいずれかによる方法。
【0119】
16. 第二の有機構造指向剤が、(C2-iii)ピロリジニウムカチオンを含み、そして第一及び第二の有機構造指向剤が、ジアンモニウムカチオン対ピロリジニウムカチオンに関して、1:1~1:30、又は1:2~1:25、好ましくは1:4~1:20、より好ましくは1:5~1:15の範囲のモル比で使用される、実施形態1から4及び11から12のいずれかによる方法。
【0120】
17. Al及びSiOの源がFAUゼオライト、特にゼオライトYを含み、より好ましくは、40以下、30以下、20以下、又はさらに10以下でさえあるSiO対Alのモル比を有するゼオライトYを含む、実施形態1から16のいずれかによる方法。
【0121】
18. SiOの追加的な源が使用される、実施形態17による方法。
【0122】
19. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトを調製するための方法であって、以下の工程、
(1) 合成混合物を提供する工程であって、該合成混合物が以下の成分、
(A) Alの源、
(B) SiOの源、
(C) 先行する実施形態1から4のいずれかに定義したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤の源、
を含む工程、及び
(2) その合成混合物を結晶化条件に供してAFTゼオライトを形成する工程
を含む方法。
【0123】
20. N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む有機構造指向剤以外の有機構造指向剤が使用されない、実施形態19による方法。
【0124】
21. 実施形態1から20のいずれかによる方法によって得られた及び/又は得ることができるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト。
【0125】
22. シリカ対アルミナのモル比が10~25、好ましくは11~20、より好ましくは11~18である、実施形態21によるアルミノシリケートゼオライト。
【0126】
23. 1μm以下の平均結晶径を有する、実施形態21又は22によるアルミノシリケートゼオライト。
【0127】
24. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトであって、その細孔内に、合成したままの形態で1つの有機構造指向剤のカチオン、好ましくは、先の実施形態1から4のいずれかに定義したN,N,N,N’,N’,N’-ヘキサエチルアルキレンジアンモニウムカチオンを含む、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライト。
【0128】
25. 窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒における、実施形態21から24のいずれかによるアルミノシリケートゼオライトの使用方法。
【0129】
26. AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトとプロモーター金属とを含むSCR触媒組成物。
【0130】
27. プロモーター金属が、遷移金属、アルカリ土類金属、Sb、Sn及びBi、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、好ましくはCu及び/又はFe、好ましくはCuを含む、実施形態26によるSCR触媒組成物。
【0131】
28. プロモーター金属がCu及び/又はFeからなる、実施形態27によるSCR触媒組成物。
【0132】
29. プロモーター金属が、AFT骨格構造構造を有するアルミノシリケートゼオライト、好ましくは実施形態21から23のいずれかによるアルミノシリケートゼオライトの内部及び/又はその上にある、先の実施形態26から28のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0133】
30. プロモーター金属が、AFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトの骨格アルミニウム1モル当たり0.1~1.0モル、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.3~0.5モルの量で存在する、先の実施形態26~29のいずれかによるSCR触媒組成物。
【0134】
31. 触媒組成物を含む押出成形物の形態、又は基材上の触媒組成物を含有するウォッシュコートを含むモノリスの形態の触媒物品であって、その触媒組成物が実施形態26から30のいずれかに定義したSCR触媒組成物であるか、又はその触媒組成物が実施形態21から24のいずれかによるAFT骨格構造を有するアルミノシリケートゼオライトと金属プロモーターとを含む、触媒物品。
【0135】
32. 内燃機関、及び前記内燃機関と流体連通する排気ガス導管を含む排気ガス処理システムであって、前記排気ガス導管内に実施形態31による触媒物品が存在する、排気ガス処理システム。
【0136】
33. 窒素酸化物の選択的触媒還元の方法であって、
(A)窒素酸化物を含むガス流を提供する工程、
(B)前記ガス流を実施形態26から30のいずれかによるSCR触媒組成物又は実施形態31による触媒物品と接触させる工程
を含む方法。
【0137】
本発明を、特に有利な実施形態を示す以下の実施例によってさらに説明する。実施例は本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施形態】
【0138】
走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、走査型電子顕微鏡(日立SU1510)で行った。
【0139】
X線粉末回折(XRD)パターンは、PANalytical X’pert粉末回折装置(40kV、40mA)でCuKα(λ=1.5406Å)放射を用いて測定して、ブラッグ-ブレンターノ形状でデータを収集した。
【0140】
実施例1 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料A、か焼されたH-形態)
【0141】
463.7gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び94.2gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2679.5gのD.I.水と混合し、次いで174.9gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、106.5gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び836.4gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0142】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0143】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して13.2であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が23m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が527m/gであった。
【0144】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0145】
実施例2 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料B、か焼されたH-形態)
【0146】
112.79gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(35質量%)及び742.33gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2429.14gのD.I.水と混合し、次いで148.31gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、69.93gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び884.4gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0147】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0148】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して16.5であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が37m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が484m/gであった。
【0149】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0150】
実施例3 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及びN,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料C、か焼されたH-形態)
【0151】
249.2gのN,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.11質量%)及び453.57gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2431.51gのD.I.水と混合し、次いで163.51gの水酸化ナトリウム(99%、固体)及び9.4gのナトリウムスルフェートを添加した。水酸化ナトリウム及びナトリウムスルフェートが溶解した後、68.37gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び864.6gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0152】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0153】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して17.4であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が22m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が545m/gであった。
【0154】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0155】
実施例4 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-ブチル-ピぺリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料D、か焼されたH-形態)
【0156】
718.45gの1-メチル-1-n-ブチル-ピぺリジニウムヒドロキシド水溶液(9.68質量%)及び27.83gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2441.18gのD.I.水と混合し、次いで172.38gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、104.90gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び824.1gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0157】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0158】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して11.9であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が9m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が542m/gであった。
【0159】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0160】
実施例5 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料E、か焼されたH-形態)
【0161】
1191.3gの1-エチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(7.9質量%)及び47.09gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を1992.65gのD.I.水と混合し、次いで161.51gの水酸化ナトリウム(99%、固体)及び14.63gのナトリウムスルフェートを添加した。水酸化ナトリウム及びナトリウムスルフェートが溶解した後、70.98gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び897.6gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0162】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0163】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して15.3であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が28m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が555m/gであった。
【0164】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0165】
実施例6 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-ブチル-ピロリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料F、か焼されたH-形態)
【0166】
535.79gの1-メチル-1-n-ブチル-ピロリジニウムヒドロキシド水溶液(10.09質量%)及び47.09gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.1質量%)を2639.82gのD.I.水と混合し、次いで174.96gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、106.47gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び836.4gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0167】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0168】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して11.7であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が22m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が477m/gであった。
【0169】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0170】
実施例7 有機構造指向剤としてヘキサメトニウムヒドロキシド及び1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料G、か焼されたH-形態)
【0171】
814.6gの1-メチル-1-n-プロピルピペリジニウムヒドロキシド水溶液(12.6質量%)及び80.2gのヘキサメトニウムヒドロキシド水溶液(25.3質量%)を2754.5gのD.I.水と混合し、次いで110.8gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、44.9gのゼオライトHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び567.6gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は150℃で3日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0172】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、か焼されたH-形態のゼオライトを得た。
【0173】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して12.7であり、か焼されたH-形態で測定して、MSAが41m/g、及びZSAが524m/gであった。
【0174】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0175】
実施例8 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料H、か焼されたH-形態)
【0176】
1038.7gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム水溶液(22.1質量%)を1989.4gのD.I.水と混合し、次いで52.38gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、260.95gのHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び675.0gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は180℃で2日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0177】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNH4Cl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、H-形態のゼオライトを得た。
【0178】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して16.2であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が42m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が539m/gであった。
【0179】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0180】
実施例9 有機構造指向剤としてN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウムヒドロキシドを用いたアルミノシリケートAFTゼオライトの調製(材料I、か焼されたH-形態)
【0181】
1038.7gのN,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム水溶液(22.1質量%)1989.4gのD.I.水と混合し、次いで58.44gの水酸化ナトリウム(99%、固体)を添加した。水酸化ナトリウムが溶解した後、260.95gのHY(SAR=7.2、Shandong Duoyou製)及び675.0gのLudox(登録商標)AS-40コロイダルシリカを添加した。室温で30分間撹拌した後、合成混合物を結晶化のためにオートクレーブに移した。結晶化は180℃で2日間、静置状態で行った。室温まで冷却した後、ゼオライト生成物を濾過により回収し、120℃で一晩乾燥させた。合成したままのゼオライトを550℃で6時間か焼し、有機構造指向剤を除去した。
【0182】
か焼したゼオライトを粉砕し、10質量%のNHCl水溶液中、固液比1:10でイオン交換した。イオン交換処理は80℃で2時間行い、そしてこれを2回繰り返した。イオン交換後、生成物を濾過により回収し、D.I.水で洗浄し、120℃で一晩乾燥した後、450℃で6時間か焼して、H-形態のゼオライトを得た。
【0183】
そのゼオライトは、SiO/Alのモル比(SAR)が、XRFによってか焼されたH-形態で測定して15.6であり、か焼されたH-形態で測定して、メソ細孔表面積(MSA)が43m/g、及びゼオライト表面積(ZSA)が546m/gであった。
【0184】
SEM像から観察されたゼオライトの結晶形態及びゼオライトのXRDパターンを、それぞれ図1図2に示す。XRDパターンから、そのゼオライトは典型的なAFT骨格を有することが確認された。
【0185】
実施例10 Cuを担持したAFTゼオライト材料(SCR触媒)の調製
【0186】
得られたままのH-形態のゼオライト粉末に、銅(II)ニトレート水溶液を湿潤含浸法により含浸させ、密閉容器中50℃で20時間保持した。得られた固体を乾燥させ、空気中450℃の炉で5時間か焼して、Cuを担持したゼオライトを得た。
【0187】
上記の一般的な手順によって調製したCuを担持したAFTゼオライト材料を、以下の表3にまとめる。
【0188】
【表3】
【0189】
実施例11 触媒性能の試験
【0190】
SCR性能試験のため、Cuを担持したゼオライト材料をZr-アセテート水溶液でスラリー化した後、空気中周囲温度で撹拌しながら乾燥し、そして550℃で1時間か焼することにより、生成物の量に対してバインダーとして5質量%のZrOを含有する生成物を得た。生成物を粉砕し、250~500ミクロンの粉末画分を試験サンプルとして使用した。得られた粉末の一部分を650℃で50時間又は820℃で16時間、10vol%の水蒸気/空気流中でエージングし、エージングしたサンプルを得た。
【0191】
選択的触媒還元(SCR)試験は、試験サンプル120mgを希釈液と同じふるい画分のコランダムと共に約1mLの床体積で担持した固定床反応器で、以下の条件に従って実施した。
【0192】
ガス供給:500vppmのNO、500vppmのNH、5vol%のHO、10vol%のO及び残りN、ガス毎時空間速度(GHSV)80,000h-1又は120,000h-1
【0193】
温度:ラン1 - 200、400、575℃(脱グリーンのための第一のラン)
ラン2 - 175、200、225、250、350、450、550、575℃。
【0194】
200℃及び575℃でのラン2から測定したNOx転化率を試験結果として報告する。
【0195】
新しい状態、650℃でエージングした状態、及び820℃でエージングした状態の試験サンプルの結果を、それぞれ以下の表4、5及び6にまとめる。
【0196】
【表4】
【0197】
【表5】
【0198】
【表6】
【0199】
本発明によるCuを担持したAFTゼオライトを含む触媒は、新しい状態及び高温でのエージング後の窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)に有効であることがわかる。
【0200】
本発明の触媒1.1~1.3、2.1~2.3及び3.1~3.3は、N,N,N,N',N',N'-ヘキサエチル-1,5-ペンタンジアンモニウム有機構造指向剤とテトラアルキルアンモニウム有機構造指向剤及びピペリジニウム有機構造指向剤の1つとの組み合わせを用いて調製したAFTゼオライトを含み(実施例1、2及び3)、同じCu/Al比を有するがヘキサメトニウムと1-メチル-1-プロピルピペリジニウム有機構造指向剤の組み合わせを用いて調製した比較例の触媒4.1~4.3(実施例7)と比較して、新しい状態及び650℃でのエージング後に、それぞれ少なくとも同等のNOx転化率を示した。SCR性能試験用のガス供給のガス毎時空間速度(GHSV)がNOx転化率に影響を及ぼすことはよく知られている。GHSVが低いほど、同じ触媒を同じ条件で試験した場合のNOx転化率は高くなる。このことは、本発明の触媒のNOx転化率が、新しい状態及び650℃でのエージング後に少なくとも比較例の触媒と同等と評価されると同時に、いくつかの場合では本発明の触媒が比較例の触媒よりも低いNOx転化率を示す理由である。
【0201】
驚くべきことに、820℃でエージングすると、本発明の触媒は比較例の触媒に比べてNOx転化率が大幅に向上することが見出された。本発明の触媒は820℃でエージングすることにより、200℃におけるNOx転化率が少なくとも64%、さらには最大で85%に達し、そして575℃におけるNOx転化率が少なくとも66%、さらには最大で96%に達したが、対応する比較例の触媒のNOx転化率は200℃で「0」であり、そして575℃で10%以下であった。820℃でエージングした後の本発明の触媒の比較的高いSCR活性は、AFTゼオライトの超高温での高い安定性を反映している。
図1
図2
【国際調査報告】