IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凱菜英医藥集團(天津)股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2024-513372ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法、及びアミノ化樹脂による酵素固定化方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法、及びアミノ化樹脂による酵素固定化方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/30 20060101AFI20240315BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20240315BHJP
   C08F 12/08 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 11/06 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 11/08 20200101ALI20240315BHJP
【FI】
C08F8/30
B01J27/125 Z
C08F12/08
C12N11/06 ZNA
C12N11/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559817
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021092799
(87)【国際公開番号】W WO2022205565
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110329787.6
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516336828
【氏名又は名称】凱菜英医藥集團(天津)股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LABORATORIES (TIANJIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】洪 浩
(72)【発明者】
【氏名】肖 毅
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 娜
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲漢▼
(72)【発明者】
【氏名】潘 ▲竜▼
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヤーサ,ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 利▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 瑜霞
(72)【発明者】
【氏名】高 妍妍
【テーマコード(参考)】
4B033
4G169
4J100
【Fターム(参考)】
4B033NA01
4B033NA25
4B033NB34
4B033NC05
4B033ND07
4B033ND20
4B033NF10
4B033NG10
4B033NH10
4G169AA02
4G169BA44A
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC66A
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169CB25
4G169CB77
4G169DA05
4J100AB02P
4J100AB07Q
4J100AB16P
4J100AB16R
4J100AL03Q
4J100BA32H
4J100CA05
4J100CA31
4J100GC35
4J100HA61
4J100HB30
4J100HC48
4J100HE08
4J100HE14
4J100JA15
(57)【要約】
ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法、アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法を提供する。該アミノ化方法は、溶媒中で、ルイス酸触媒である触媒を利用してポリスチレン系樹脂とエナミン塩のフリーデル・クラフツアルキル化反応を触媒し、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップを含む。フリーデル・クラフツアルキル化反応を利用してエナミン塩をポリスチレン系樹脂上にグラフトすることで、ポリスチレン系樹脂に対してアミノ化を完成する。フリーデル・クラフツアルキル化反応は、条件が制御されやすく、後処理のプロセスが簡単で、触媒及び未反応のエナミン塩を洗浄により除去するだけでよく、このため、本願の上記アミノ化方法は、ステップが少なく、簡単で操作されやすいとともに、該アミノ化方法は、貴金属触媒を使用することを避け、生産コストを削減させる。得られたポリスチレン樹脂は、酵素固定化担体として使用される場合、良い固定化効果及び再利用性を有し、酵素固定化担体ライブラリを大幅に拡張する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法であって、
溶媒中で、ルイス酸触媒である触媒を利用してポリスチレン系樹脂とエナミン塩のフリーデル・クラフツアルキル化反応を触媒し、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップを含む、ことを特徴とするポリスチレン系樹脂のアミノ化方法。
【請求項2】
前記フリーデル・クラフツアルキル化反応の温度は40℃~80℃であり、好ましくは、前記フリーデル・クラフツアルキル化反応の時間は12h~20hである、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項3】
前記ポリスチレン系樹脂と前記エナミン塩との質量比が、2:1~2:3である、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項4】
前記エナミン塩と前記ルイス酸触媒とのモル比が、1:3~1:5である、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項5】
前記ルイス酸触媒は、無水三塩化アルミニウム、塩化第二鉄のうちのいずれか1種又は2種の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項6】
前記エナミン塩は、3-ブテニルアミン塩酸塩である、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項7】
前記溶媒は、1,2-ジクロロエタンである、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項8】
前記ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン-メタクリレート樹脂、AB8型ポリスチレン樹脂、ECR1090型ポリスチレン樹脂、NKA9型ポリスチレン樹脂、D101型ポリスチレン樹脂、SXD11型ポリスチレン樹脂から選択されるいずれか1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のアミノ化方法。
【請求項9】
前記ポリスチレン系樹脂と前記エナミン塩を前記溶媒に分散させて、反応待ち系を形成するステップと、
窒素又は不活性雰囲気で、前記反応待ち系を前記触媒と混合して、フリーデル・クラフツアルキル化反応温度に加熱し、フリーデル・クラフツアルキル化反応を行い、前記アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアミノ化方法。
【請求項10】
アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載のアミノ化方法でアミノ化したポリスチレン系樹脂を製造するステップと、
前記アミノ化したポリスチレン系樹脂を担体、グルタルアルデヒドを架橋剤として酵素を固定化するステップと、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
グルタルアルデヒドの緩衝溶液を用いて前記アミノ化したポリスチレン系樹脂を修飾し、グルタルアルデヒド修飾樹脂を得るステップと、
酵素液を前記グルタルアルデヒド修飾樹脂と架橋反応させることで、前記固定化を実現するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酵素液を前記アミノ化したポリスチレン系樹脂と混合して、酵素を吸着した樹脂を得るステップと、
前記酵素を吸着した樹脂をグルタルアルデヒドの緩衝溶液と架橋反応させることで、前記固定化を実現するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記グルタルアルデヒドの緩衝溶液はリン酸塩緩衝溶液を含み、前記グルタルアルデヒドの緩衝液中のグルタルアルデヒドの含有量が1質量%~2質量%であり、前記酵素はトランスアミナーゼである、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素固定化の技術分野に関し、具体的には、ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法、アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学触媒と比較して、生物触媒である酵素は、その高活性、選択性及び基質の特異性が良いため、工業的生産に広く応用されている。生物触媒は、化学品、中間体、精密化学品、及び最終的な薬物分子の製造計画における重要な構成部分となりつつある。酵素は、高い領域選択性、高い触媒効率、及び温和な反応条件を有するが、遊離酵素は、触媒活性が温度、pH、溶媒などの要素の影響を受けるため、とても不活性化しやすい。プロセスの需要の拡張に従って、酵素の使用効率や経済性に対する要求もますます高くなってきた。そのため、酵素活性、特異性及び生産性を高めるだけでなく、酵素の回収可能性、再利用性を高める必要がある。
【0003】
酵素を固体担体に固定することにより固定化を実現し、不均一系固定化酵素系を得ることにより、上記課題を解決するための非常に良い方法が提供される。固定化酵素は、酵素特有の触媒性能を維持しつつ、安定性が高く、分離回収が容易であり、繰り返し操作及び使用が可能で、プロセスが簡便であるなどの一連の利点を有する。固定化酵素の性能は主に固定化方法と使用する担体材料に依存する。酵素と担体との結合方式によって、吸着法、共有結合法、架橋法や包埋法などに分類される。その中で、吸着法は酵素と担体との物理吸着作用、ファンデルワールス力、疎水作用などによる結合であり、操作が簡単で便利であり、吸着容量が大きく、工業コストが低いなどの利点があるため、酵素固定化に最もよく使われる方法である。しかし、担体と酵素は物理的吸着作用で結合しているため結合力が弱く、繰り返し使用中に酵素が担体から脱落して転化率が低下するという問題がある。共有結合法は、酵素と担体とを共有結合により連結するものである。そのため、酵素と反応して共有結合を生成する官能基を担体に持たなければならない。吸着法と比較して、酵素と担体の結合がより強固で、使用中に酵素が脱落するような問題がなく、安定性と循環性がより良い。
【0004】
20世紀70年代の初め、DavankovらはFriedel-Crafts反応により線状ポリスチレンを架橋又は低架橋ポリスチレンを再架橋して、一種類の構造が独特で、性能が優れた多孔質ポリマーを合成した。このような反応は、その製造方法によって、超高架橋反応(Davankov超高架橋反応とも呼ばれる)と呼ばれる。超高架橋反応により製造された多孔質ポリマーは、超高架橋型吸着樹脂と呼ばれる。超高架橋型吸着樹脂は、ゲル型、マクロポーラス型吸着樹脂に続く第3世代吸着樹脂と考えられている。超高架橋吸着樹脂は、通常、比表面積が大きく、平均孔径が小さく、孔径分布が狭く、機械強度が良いなどの構造特徴を持ち、現在、有毒な有機廃水の管理、生薬と抗生物質の抽出、気体の貯蔵分離などの分野で広い応用の将来性が示されている。
【0005】
アミノが良い反応活性、強い電子受容性を有するとともに、プロトン化しやすいため、アミノ化ポリスチレン樹脂は、有機薬物の分離と精製、生物医療用高分子材料、汚水処理吸着、高分子触媒担体などの分野で、予測できない将来性を持っている。現在、アミン化ポリスチレン樹脂を合成する方法は、主に、以下の複数の方法である。
【0006】
ニトロ化合物還元法:ニトロ化合物を還元反応させてアミノ化合物を得ることは、アミン化ポリスチレン樹脂を合成する重要な方法である。そのスキームは多数あり、主に次の方法がある。
【0007】
触媒水素化還元:触媒水素化還元法は、主に、Ni、Pd、Ptなどの貴金属又はその合金を触媒とし、反応条件が一定の温度と圧力に達すると、ニトロがアミノに還元される。この方法は、多くの利点を持っていて、まず、人力の投入を減らすことができ、機械の操作性が強い。次に、収率が高く、生成物の純度が高く、反応ステップが制御可能で、環境にやさしく汚染がない。しかし、その過程で貴金属触媒が必要であり、かつ高温高圧が必要であり、設備に対する要求が高い。これらが材料の合成コストを大幅に増大させる。 ヒドラジン水和物還元法:この方法では、触媒を添加して反応の進行を促進する必要があり、一般的な触媒の1つは貴金属類とその合金であり、通常Pd/C、Pt/C、Raney Niなどが含まれる。
【0008】
金属還元法:この方法は古くから応用されており、具体的には、金属と酸を共存させるが、塩類電解質を水に溶かしてニトロの還元反応を行うこともある。理論的に解析した結果、Li、Na、K、MgのようにHよりも起電力が前の金属は、一定の条件が整っていれば、還元剤として利用できることが分かった。ただし、その欠点は、反応が終わって鉄泥が発生し、環境に深刻な汚染をもたらすことにある。
【0009】
臭素化アミノ化法:求電性置換反応を通じて、ベンゼン環のパラ位に臭素を結合させ、パラジウムを触媒としてLi N(SiMeと反応して、後処理に酸、アルカリ処理を行い、ポリパラアミノスチレンを製造した。
【0010】
クロロメチル化ポリスチレンアミノ化法:まず、ポリスチレンマイクロスフェアーをクロロメチル化反応によりベンゼン環にクロロメチルをパラ位に結合させ、アミノ化試薬とアミン化反応を行い、アミノポリスチレンを製造する。しかし、この方法は、クロロメチルエーテル、ジクロロメチルエーテルを使用する必要があり、この化学試薬は人体に大きな傷害があり、強い発癌リスクを持つため、現在、国際的には広い地域で使用が禁止されている。また、この反応は多置換や後架橋などの副反応を伴い、クロロメチル樹脂構造を複雑化させる。
【0011】
クロロアセチル化ポリスチレンアミノ化法:F-Cアシル化反応によりベンゼン環にアシルをパラ位に導入し、アミン化反応によりアミン化ポリスチレンを製造し、具体的な反応は以下の通りである。
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、新しいポリスチレン系樹脂のアミノ化方法を提供し、また、このアミノ化ポリスチレン系樹脂を酵素固定化担体として、トランスアミナーゼを固定化することである。この方法は、アミノ化ポリスチレン樹脂を合成するための新しい方法を提供するだけではなく、アミノ型酵素固定化担体ライブラリを拡張する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成させるために、本発明の一態様は、溶媒中で、ルイス酸触媒である触媒を利用してポリスチレン系樹脂とエナミン塩のフリーデル・クラフツアルキル化反応を触媒し、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップを含むポリスチレン系樹脂のアミノ化方法を提供する。
【化2】
【0014】
さらに、上記フリーデル・クラフツアルキル化反応の温度は40~80℃であり、好ましくは、フリーデル・クラフツアルキル化反応の時間は12~20hである。
【0015】
さらに、上記ポリスチレン系樹脂とエナミン塩との質量比が、2:1~2:3である。
【0016】
さらに、上記エナミン塩とルイス酸触媒とのモル比が、1:3~1:5である。
【0017】
さらに、上記ルイス酸触媒は、無水三塩化アルミニウム、塩化第二鉄のうちのいずれか1種である。
【0018】
さらに、上記エナミン塩は、3-ブテニルアミン塩酸塩である。
【0019】
さらに、上記溶媒は、1,2-ジクロロエタンである。
【0020】
さらに、上記ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン-メタクリレート樹脂、AB8型ポリスチレン樹脂、ECR1090型ポリスチレン樹脂、NKA9型ポリスチレン樹脂、D101型ポリスチレン樹脂、SXD11型ポリスチレン樹脂から選択されるいずれか1種である。
【0021】
さらに、上記アミノ化方法は、ポリスチレン系樹脂とエナミン塩を溶媒に分散させて、反応待ち系を形成するステップと、窒素又は不活性雰囲気で、反応待ち系を触媒と混合して、フリーデル・クラフツアルキル化反応温度に加熱し、フリーデル・クラフツアルキル化反応を行い、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップと、を含む。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上記のいずれかのアミノ化方法でアミノ化したポリスチレン系樹脂を製造するステップと、アミノ化したポリスチレン系樹脂を担体、グルタルアルデヒドを架橋剤として酵素を固定化するステップと、を含む、アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法を提供する。
【0023】
さらに、上記方法は、グルタルアルデヒドの緩衝溶液を用いてアミノ化したポリスチレン系樹脂を修飾し、グルタルアルデヒド修飾樹脂を得るステップと、酵素液をグルタルアルデヒド修飾樹脂と架橋反応させることで、固定化を行うステップとを含む。
【0024】
さらに、上記方法は、酵素液をアミノ化したポリスチレン系樹脂と混合して、酵素を吸着した樹脂を得るステップと、酵素を吸着した樹脂をグルタルアルデヒドの緩衝溶液と架橋反応させることで、固定化を行うステップと、を含む。
【0025】
さらに、上記グルタルアルデヒドの緩衝溶液はリン酸塩緩衝溶液を含み、グルタルアルデヒドの緩衝液中のグルタルアルデヒドの含有量が1~2質量%であり、酵素はトランスアミナーゼである。
【0026】
本発明の技術的解決手段によれば、本願は、フリーデル・クラフツアルキル化反応を利用してエナミン塩をポリスチレン系樹脂上にグラフトすることで、ポリスチレン系樹脂のアミノ化を完成するものであり、フリーデル・クラフツアルキル化反応は、条件が制御されやすく、後処理のプロセスが簡単であり、触媒及び未反応のエナミン塩を洗浄により除去するだけでよいので、本願の上記アミノ化方法は、ステップが少なく、簡単で操作されやすいとともに、該アミノ化方法は、貴金属触媒の使用を避け、生産コストを削減させる。アミノ化修飾された市販ポリスチレン樹脂は、酵素固定化担体として成功的に用いることができ、良好な固定化効果と再使用性を有する。これは、酵素固定化担体ライブラリを大幅に拡張し、様々な酵素の固定化を行う際に、担体の孔径の大きさ、比表面積、骨格構造、担体の極性などにおいて、より多くの選択肢を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0028】
本願の背景技術において分析した通り、従来技術では、アミノ化ポリスチレン系樹脂の製造方法は、複雑な製造方法を採用したり、複数種の製剤や複雑な後処理方法を必要としたりして、製造方法の複雑化を招く。このような課題を解決するために、本願は、ポリスチレン系樹脂のアミノ化方法、アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法を提供する。
【0029】
本願の代表的な実施形態では、溶媒中で、ルイス酸触媒である触媒を利用してポリスチレン系樹脂とエナミン塩のフリーデル・クラフツアルキル化反応を触媒し、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップを含むポリスチレン系樹脂のアミノ化方法が提供される。
【0030】
本願は、フリーデル・クラフツアルキル化反応を利用してエナミン塩をポリスチレン系樹脂上にグラフトすることで、ポリスチレン系樹脂に対してアミノ化を完成するものであり、フリーデル・クラフツアルキル化反応は、条件が制御されやすく、後処理のプロセスが簡単で、触媒及び未反応のエナミン塩を洗浄により除去するだけでよく、このため、本願の上記アミノ化方法は、ステップが少なく、簡単で操作されやすいとともに、該アミノ化方法は、貴金属触媒の使用を避け、生産コストを削減させる。アミノ化修飾された市販ポリスチレン樹脂は、酵素固定化担体として成功的に用いることができ、良好な固定化効果と再使用性を有する。これは、酵素固定化担体ライブラリを大幅に拡張し、様々な酵素の固定化を行う際に、担体の孔径の大きさ、比表面積、骨格構造、担体の極性などにおいて、より多くの選択肢を提供する。
【0031】
フリーデル・クラフツアルキル化効率を高めるために、上記反応原料に対しては、好ましくは、上記フリーデル・クラフツアルキル化反応の温度は40~80℃であり、好ましくは、フリーデル・クラフツアルキル化反応の時間は12~20hである。
【0032】
上記フリーデル・クラフツアルキル化反応は、実質的にはポリスチレンのベンゼン環にアミノを有するアルキルをグラフトすることであり、ポリスチレン系樹脂が大分子である特徴のため、各ベンゼン環上への均一なグラフトが難しく、アミノ化の確率をできるだけ高めるために、好ましくは、上記ポリスチレン系樹脂とエナミン塩とのモル比が2:1~2:3である。
【0033】
さらに、触媒効率を高めて触媒の浪費を避けるとともに、触媒を除去しやすくするために、好ましくは、上記エナミン塩とルイス酸触媒とのモル比が1:3~1:5である。
【0034】
上記方法では、フリーデル・クラフツアルキル化用のルイス酸触媒は、従来技術においてフリーデル・クラフツアルキル化によく使われるルイス酸触媒から選択されてもよいが、触媒を生成物から分離しやすくしつつ、触媒の効率性を確保するために、好ましくは、上記ルイス酸触媒は、無水三塩化アルミニウム、塩化第二鉄のうちのいずれか1種又は2種の組み合わせである。
【0035】
いくつかの実施例では、上記アミノ化方法に用いるエナミン塩は、3-ブテニルアミン塩酸塩であり、効率的なアミノ化を可能にする。
【0036】
本願に用いる上記溶媒は、主にエナミン塩及びルイス酸触媒を溶解し、これらをポリスチレン系樹脂と十分に接触させるものであり、エナミン塩及びルイス酸触媒の溶解性を高めるために、好ましくは、上記溶媒は1,2-ジクロロエタンである。
【0037】
本願に用いるポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン-メタクリレート樹脂、AB8型ポリスチレン樹脂、ECR1090型ポリスチレン樹脂、NKA9型ポリスチレン樹脂、D101型ポリスチレン樹脂、SXD11型ポリスチレン樹脂のうちのいずれか1種を含むが、これらに限定されない。純粋なポリスチレン樹脂であるか変性ポリスチレン樹脂であるかに関わらず、上記アミノ化方法でアミノ修飾を施してもよい。
【0038】
本願のいくつかの実施例では、上記アミノ化方法は、ポリスチレン系樹脂及びエナミン塩を溶媒に分散させて、反応待ち系を形成するステップと、窒素又は不活性雰囲気で、反応待ち系を触媒と混合して、フリーデル・クラフツアルキル化反応温度に加熱し、フリーデル・クラフツアルキル化反応を行い、アミノ化したポリスチレン系樹脂を得るステップと、を含む。まず、エナミン塩及びポリスチレン系樹脂を溶媒に分散させて、エナミン塩を予めポリスチレン系樹脂の隙間に入れて、次に、触媒を加えてフリーデル・クラフツアルキル化反応を行うことによって、反応速度が速くなり、アルキル化の均一性が向上する。
【0039】
本願の別の代表的な実施形態では、上記のアミノ化方法のいずれかでアミノ化したポリスチレン系樹脂を製造するステップと、アミノ化したポリスチレン系樹脂を担体、グルタルアルデヒドを架橋剤として酵素を固定化するステップとを含む、アミノ化ポリスチレン系樹脂による酵素固定化方法が提供される。
【0040】
本願のアミノ化方法でアミノ化したポリスチレン系樹脂を製造すると、製造方法が簡単で、コストが低く、また、該アミノ化方法でアミノ化の度合を柔軟に調整することができ、さらに次の酵素固定化の度合も柔軟に調整できる。
【0041】
本願のいくつかの実施例では、上記方法は、グルタルアルデヒドの緩衝溶液を用いてアミノ化したポリスチレン系樹脂を修飾し、グルタルアルデヒド修飾樹脂を得るステップと、酵素液をグルタルアルデヒド修飾樹脂と架橋反応させることで、固定化を行うステップと、を含む。
【0042】
上記方法では、まず、グルタルアルデヒドを用いて樹脂を修飾し、これにより、ポリスチレン系樹脂のアミノとグルタルアルデヒドとを架橋させて架橋網目を形成し、次に、酵素のアミノ残基をグルタルアルデヒドと架橋させて、酵素に対する架橋硬化を実現し、このプロセスは、酵素の架橋硬化効率を高くし、特にグルタルアルデヒドに敏感な酵素類に適している。
【0043】
本願の別のいくつかの実施例では、上記方法は、酵素液をアミノ化したポリスチレン系樹脂と混合し、酵素を吸着した樹脂を得るステップと、酵素を吸着した樹脂をグルタルアルデヒドの緩衝溶液と架橋反応させることで、固定化を行うステップと、を含む。
【0044】
上記方法では、まず、吸着作用により酵素をポリスチレン系樹脂の内外面に吸着し、次に、グルタルアルデヒドと反応させることによって、グルタルアルデヒドを利用して架橋方式により酵素をポリスチレン系樹脂に固定することを実現する。上記方法は、特にグルタルアルデヒドに対して敏感ではない酵素類に適している。
【0045】
本願に用いるグルタルアルデヒドの緩衝溶液は、架橋硬化に用いる通常の緩衝溶液を参照してもよく、例えば、上記グルタルアルデヒドの緩衝溶液はリン酸塩緩衝溶液を含む。また、酵素の架橋固定化率を高めるために、好ましくは、上記グルタルアルデヒドの緩衝液中のグルタルアルデヒドの含有量が1~2質量%とされ、これにより、グルタルアルデヒドの利用率が高くなる。酵素を固定化する過程では、担持量が担体に対する酵素の量を調整することにより調整することができ、ここでは詳しく説明しない。
【0046】
上記固定化はグルタルアルデヒドのアルデヒド基と酵素のアミノ酸残基との架橋作用を利用しているので、本願の方法は、通常の酵素類に適用でき、例えば、上記酵素はトランスアミナーゼから選択される。
【0047】
以下、実施例及び比較例によって本願の有益な効果についてさらに説明する。
【0048】
アミノ化実施例
実施例1-1
リスチレン樹脂の合成
0.5% PVAを含む水溶液150mLを500mL四つ口フラスコに加え、40℃に昇温した。スチレン16g、ジビニルベンゼン(80%)5g、トルエン10mL、n-ヘプタン20mL、過酸化ベンゾイル100mgを均一に混合したものを、四つ口フラスコに加えた。撹拌を開始させて液滴を適切な粒径に調整した後、80℃に昇温して2h保温し、その後、88℃に昇温して4h保温した。反応終了後、室温に冷却して、ろ過して目的のビーズを得て、熱水、エタノール、脱イオン水の順に洗浄し、篩分けしてベークし、ポリスチレン樹脂を得た。
【0049】
ポリスチレン樹脂アミノ化
ベークしたポリスチレン樹脂1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩1gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化スチレン樹脂:PS-NHを得た。
【0050】
実施例1-2
ポリスチレン-メタクリレート樹脂の合成
0.5% PVA及び10% NaClを含む水溶液240mLを500mL四つ口フラスコに加え、40℃に昇温した。メタクリル酸メチル6g、ジビニルベンゼン(80%)15g、1,2-ジクロロエタン20mL、メチルシクロヘキサン40mL、アゾビスイソブチロニトリル100mgを均一に混合したものを、四つ口フラスコに加えた。撹拌を開始させて液滴を適切な粒径に調整した後、70℃に昇温して2h保温し、その後、80℃に昇温して4h保温した、85℃で1h保温した。反応終了後、室温に冷却して、ろ過して目的のビーズを得て、熱水、エタノール、脱イオン水の順に洗浄し、篩分けしてベークし、ポリスチレン-メタクリレート樹脂(PDMA)を得た。
【0051】
PDMA樹脂修飾
ベークしたPDMA樹脂1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩0.7gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌した後、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化樹脂:PDMA-NHを得た。
【0052】
実施例1-3
ベークしたECR1090型ポリスチレン樹脂(Purlite社から購入した。)1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩1gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化ECR1090樹脂:ECR1090-NHを得た。
【0053】
実施例1-4
ベークしたAB8樹脂(南開合成有限公司から購入した。)1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩1gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化AB8樹脂:AB8-NHを得た。
【0054】
実施例1-5
ベークしたNKA9樹脂(南開合成有限公司から購入した。)1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩1gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化NKA9樹脂:NKA9-NHを得た。
【0055】
実施例1-6
ベークしたSXD-11樹脂(安徽三星有限公司から購入した。)1g及び1g 3-ブテニルアミン塩酸塩を1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化SXD-11樹脂:SXD-11-NHを得た。
【0056】
実施例1-7
ベークしたD101樹脂(安徽三星有限公司から購入した。)1g及び3-ブテニルアミン塩酸塩1gを1,2-ジクロロエタン100mLに分散させ、室温で1h撹拌し、反応待ち系を形成した。その後、無水三塩化アルミニウム2gを秤量して上記反応待ち系に加え、さらに10min撹拌し、80℃に昇温して、N保護下で20h反応させた。反応終了後、室温に冷却して、メタノール、脱イオン水の順に洗浄し、アミノ化D101樹脂:D101-NHを得た。
【0057】
上記各実施例で得たアミノ化スチレン樹脂について、ニンヒドリン発色法及び酸塩基滴定法によりそのアミノ含有量を検出し、窒素吸脱着法によりその比表面積及び孔径を測定し、検出結果を表1に示す。
【表1】
【0058】
酵素固定化の実施例
Chromobacterium violaceum DSM30191(CVTA)由来のトランスアミナーゼはモデルとされ、その配列である配列番号1は以下のとおりである。
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFFGTTHPPVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWNGYHGSTIGGASLGGMKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPLGAVFVGDRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMMLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCEDIFFRNNLIMTAQGDHIVSAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA。
【0059】
実施例2-1
20mM pH 7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、実施例1-1のアミノ化スチレン樹脂及びスチレン樹脂を1gずつ秤量して上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾アミノ化スチレン樹脂及びグルタルアルデヒド修飾スチレン樹脂を得た。グルタルアルデヒドで修飾された樹脂が赤茶色に変わるので、色の変化からグルタルアルデヒドの修飾が成功したか否かを判断できる。
【0060】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLを、グルタルアルデヒドで修飾された2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、アミノ化スチレン固定化酵素及びスチレン樹脂固定化酵素を得た。
【0061】
系の固定前後のタンパク質含有量の差を測定して、酵素の担持量を算出した結果、アミノ化スチレン固定化酵素の固定化酵素担持量は26.44mg/gであり、スチレン樹脂固定化酵素の固定化酵素担持量は11.09mg/gである。
【0062】
実施例2-2
20mM pH7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、PDMA樹脂、PDMA-NH樹脂を1gずつ秤量して上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾PDMA樹脂及びグルタルアルデヒド修飾PDMA-NH樹脂を得た。
【0063】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLをグルタルアルデヒドで活性化させた2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、PDMA-NH固定化酵素及びPDMA固定化酵素を得た。
【0064】
調製したPDMA-NH固定化酵素の固定化酵素担持量は28.35mg/gであり、調製したPDMA固定化酵素の固定化酵素担持量は9.17mg/gである。
【0065】
実施例2-3
20mM pH7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、ECR1090、ECR1090-NHを1gずつ秤量して、上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾ECR1090樹脂及びグルタルアルデヒド修飾ECR1090-NH樹脂を得た。
【0066】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLを、グルタルアルデヒドで活性化させた2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、ECR1090-NH固定化酵素及びECR1090固定化酵素を得た。
【0067】
ECR1090-NH固定化酵素の固定化酵素担持量は21.82mg/gであり、ECR1090固定化酵素の固定化酵素担持量は21.09mg/gである。
【0068】
実施例2-4
20mM pH7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、AB8、AB8-NHを1gずつ秤量して、上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾AB8樹脂及びグルタルアルデヒド修飾AB8-NH樹脂を得た。
【0069】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLをグルタルアルデヒドで活性化させた2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、AB8-NH固定化酵素及びAB8固定化酵素を調製した。
【0070】
AB8-NH固定化酵素の固定化酵素担持量は28.37mg/gであり、AB8固定化酵素の固定化酵素担持量は12.91mg/gである。
【0071】
実施例2-5
20mM pH7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、NKA9、NKA9-NHを1gずつ秤量して、上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾NKA9樹脂及びグルタルアルデヒド修飾NKA9-NH樹脂を得た。
【0072】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLをグルタルアルデヒドで活性化させた2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、NKA9-NH固定化酵素及びNKA9固定化酵素を調製した。
【0073】
NKA9-NH固定化酵素の固定化酵素担持量は44.56mg/gであり、NKA9固定化酵素の固定化酵素担持量は42.31mg/gである。
【0074】
実施例2-6
20mM pH7.0のリン酸塩緩衝液を用いて1%グルタルアルデヒド溶液を調製し、SXD-11、SXD-11-NHを1gずつ秤量して、上記溶液に分散させた。30℃で1hインキュベートし、その後、脱イオン水で3回洗浄し、赤色のグルタルアルデヒド修飾SXD-11樹脂及びグルタルアルデヒド修飾SXD-11-NH樹脂を得た。
【0075】
調製した酵素液(1V酵素液に3Vリン酸塩緩衝液を加えたもの)4mLをグルタルアルデヒドで活性化させた2種の樹脂(1g)に加えて固定化し、SXD-11-NH固定化酵素及びSXD-11固定化酵素を調製した。
【0076】
SXD-11-NH固定化酵素の固定化酵素担持量は13.31mg/gであり、SXD-11固定化酵素の固定化酵素担持量は13.41mg/gである。
【0077】
酵素触媒の反応スキームは以下のとおりである。
【化3】
【0078】
反応フラスコ20mLにメタノール0.5mLを加え、カルボニル基質0.1gを溶解し、イソプロピルアミン塩酸塩15eq及びPLP(ピリドキサール5’-リン酸)25.0mgを加え、0.1Mリン酸塩緩衝液(pH8.0)を、反応液の最終体積が5mLとなるまで補充し、反応待ち系を形成した。
【0079】
トランスアミナーゼ酵素粉末0.1g、又はトランスアミナーゼ酵素粉末0.1gで製造された固定化酵素をそれぞれ独立して、反応待ち系に加え、47℃で20h撹拌した。系についてHPLCにより転化率を検出し、反応が終了するごとに、固定化酵素を分離し、次の反応に投入して繰り返して使用し、繰り返し使用回数を調べて、結果を表2に記録する。
【表2】
【0080】
以上の説明から、本発明の上記実施例は下記の技術的効果を奏する。
【0081】
本願は、フリーデル・クラフツアルキル化反応を利用してエナミン塩をポリスチレン系樹脂上にグラフトすることで、ポリスチレン系樹脂に対してアミノ化を完成するものであり、フリーデル・クラフツアルキル化反応は、条件が制御されやすく、後処理のプロセスが簡単で、触媒及び未反応のエナミン塩を洗浄により除去するだけでよく、このため、本願の上記アミノ化方法は、ステップが少なく、簡単で操作されやすいとともに、該アミノ化方法は、貴金属触媒の使用を避け、生産コストを削減させる。アミノ化修飾された市販ポリスチレン樹脂は、酵素固定化担体として成功的に用いることができ、良好な固定化効果と再使用性を有する。これは、酵素固定化担体ライブラリを大幅に拡張し、様々な酵素の固定化を行う際に、担体の孔径の大きさ、比表面積、骨格構造、担体の極性などにおいて、より多くの選択肢を提供する。
【0082】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明には各種の変更及び変化を加えることができる。本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる全ての修正、等同置換、改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。

【国際調査報告】